JP2009134984A - 有機エレクトロルミネッセンス装置およびその製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス装置およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】第1基板において有機EL上に封止膜を形成するとともに、第1基板に第2基板を接着剤で貼り合せた場合でも、有機EL素子の水分劣化を確実に防止可能な有機EL装置、およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】有機EL装置100では、第2電極層83の上層に画素領域10aよりも広い領域にわたって封止膜60を形成しておき、この状態で、第1基板10と第2基板20とを接着剤層91で貼り合せる。その際、第2基板20には、画素領域10aの周りにスペーサー用突起93が形成されているので、スペーサー用突起93が第1基板10に当接する。このため、第2基板20は封止膜60に当接せず、スペーサー用突起93は、封止膜60において画素領域10aの近傍領域10bを覆っている部分に当接しない。
【選択図】図3

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス(以下有機ELという)装置、およびその製造方法に関するものである。
有機EL装置は、陽極、発光機能層および陰極が積層された有機EL素子を基板上に備えており、低電圧で電子注入効果を高めることを目的に、発光機能層と陰極との層間に、アルカリ金属やアルカリ土類金属を主成分とする電子注入層が配置される場合もある。このような有機EL素子に用いられる陰極や電子注入層は、非常に活性であるため、大気中に存在する水分と簡単に反応して変質しやすい。かかる変質が起こると、電子注入効果が損なわれ、ダークスポットと呼ばれる非発光部分が発生してしまう。そこで、従来は、水分を遮断するガラスなどからなる蓋状のカバーの側板部を接着剤で基板に取り付けて中空構造とするとともに、中空部分に乾燥剤を配置し、接着剤断面から侵入する水分については乾燥剤で捕捉して有機EL素子に到達させない構造が採用されている(特許文献1参照)。
特開2003−223992号公報
しかしながら、蓋状のカバーの側板部を接着剤で基板に取り付けるとともに、その中空部分に乾燥剤を配置した構造は、強度面やコスト面でも大きな問題がある。
そこで、本願発明者は、図10に示すように、画素電極(陽極)としての第1電極層81、有機機能層82、および陰極としての第2電極層83を備えた有機EL素子80が画素領域10aに複数形成された第1基板10に対して、画素領域10aより広い領域にわたって封止膜60を形成した後、接着剤層91で第2基板20を貼り合せることを提案する。しかしながら、かかる構造の場合、第1基板10と第2基板20との間に隙間を確保しないと、第2基板20が封止膜60に当接して封止膜60を損傷させるという問題点がある。なお、図10に示す構成は、本発明の特徴点を説明しやすいように、本願発明者が案出した参考例であり、従来技術とは相違する。
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、第1基板において有機EL上に封止膜を形成するとともに、第1基板に第2基板を接着剤で貼り合せた場合でも、有機EL素子の水分劣化を確実に防止可能な有機EL装置、およびその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明では、第1電極層、有機機能層および第2電極層を備えた有機EL素子が画素領域に複数配列された第1基板と、該第1基板に対向配置された第2基板と、を有する有機EL装置において、前記第1基板には、前記第2電極層の上層に前記画素領域よりも広い領域にわたって封止膜が形成されており、前記第1基板と前記第2基板とは、前記第1基板と前記第2基板との間で少なくとも前記画素領域よりも広い領域に配置された接着剤層により貼り合わされているとともに、前記画素領域の周りには、前記第2基板から突出して前記第1基板に当接するスペーサー用突起が形成されていることを特徴とする。
本発明では、第1電極層、有機機能層および第2電極層を備えた有機EL素子が画素領域に複数配列された画素領域を有する第1基板と、該第1基板に対向配置された第2基板と、を有する有機EL装置の製造方法において、前記第1基板には、前記第2電極層の上層に前記画素領域よりも広い領域にわたって封止膜を形成しておく一方、前記第2基板において前記画素領域の周りに、当該第2基板から突出して、前記第1基板と前記第2基板とを重ね合わせたときに前記第1基板に当接するスペーサー用突起を形成しておき、前記第1基板および前記第2基板のうちの少なくとも一方の基板において前記スペーサー用突起で囲まれる領域内に接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、前記接着剤を挟んで前記第1基板と前記第2基板とを重ね合わせる重ね合わせ工程と、前記接着剤を硬化させて前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる貼り合せ工程と、を行なうことを特徴とする。
本発明では、有機EL素子を水分などから保護することを目的に、第2電極層の上層に画素領域よりも広い領域にわたって封止膜を形成しておき、この状態で、第1基板と第2基板とを接着剤で貼り合せる。その際、第2基板には、画素領域の周りにスペーサー用突起が形成されているので、スペーサー用突起が第1基板に当接することにより、第1基板と第2基板とは、所定の隙間を介して貼り合わされる。このため、第2基板が封止膜に当接しないので、封止膜を損傷させることがない。ここで、スペーサー用突起は、第2基板の所定位置に形成されているので、スペーサー用突起は、第1基板の所定位置に確実に当接し、封止膜において画素領域の近傍を覆っている部分に当接しない。このため、スペーサー用突起が第1基板に当接しても、封止膜において画素領域の近傍を覆っている部分が損傷することがないので、第1基板と第2基板とを接着剤で貼り合せた構造を採用した場合でも、封止膜によって、接着剤を介して侵入した水分から有機EL素子を確実に保護することができる。それ故、本発明によれば、有機EL装置の信頼性を向上することができる。
本発明において、前記第2基板、前記封止膜および前記接着剤層は透光性であり、前記第2基板には、前記複数の有機EL素子と対向する各領域に異なる色のカラーフィルタ層が形成されていることが好ましい。このように構成すると、複数の有機EL素子の各々から白色光を出射させ、かかる白色光をカラーフィルタ層を介して出射させることができ、カラー画像を表示することができる。
本発明において、前記スペーサー用突起は、前記第1基板と前記第2基板との基板間隔を制御していることが好ましい。このように構成すると、有機EL素子とカラーフィルタ層との間隔は、スペーサー用突起により制御されるので、混色などが発生せず、高精細なカラー画像を広い視野角をもって表示することができる。
本発明では、前記第1基板において、隣接する前記第1電極層の境界部分には、当該第1基板から前記第2基板に向けて突出する隔壁が形成され、前記スペーサー用突起の高さ寸法は、前記隔壁の高さ寸法および前記カラーフィルタ層の厚さ寸法の和より高いことが好ましい。このように構成すると、第1基板に隔壁が形成され、第2基板にカラーフィルタ層が形成されている場合でも、スペーサー用突起によって、第1基板と第2基板との基板間隔を制御することができる。
本発明において、前記接着剤層は、粒子状の充填剤が配合されていない材料からなることが好ましい。このような構成を採用すると、充填剤によって封止膜が損傷することを防止することができる。
本発明において、前記スペーサー用突起は、前記画素領域の全周を囲むように線状に形成されていることが好ましい。このように構成すると、第1基板と第2基板とを接着剤で貼り合せた際、第1基板と第2基板との基板間隔を高い精度で制御することができる。また、第1基板と第2基板とを接着剤で貼り合せる際、接着剤の外側への流出をスペーサー用突起によって堰き止めることができる。さらに、スペーサー用突起を線状に形成すれば、スペーサー用突起が第1基板に当接する領域が狭いので、スペーサー用突起が画素領域の近傍で封止膜に当接することがないとともに、画素領域の外側領域を狭めることができる。
本発明において、前記第2基板には、前記スペーサー用突起の少なくとも前記画素領域側に位置する内側壁に沿って周辺シール用樹脂層が形成されていることが好ましい。このように構成すると、スペーサー用突起を周辺シール用樹脂層で補強することができるので、接着剤層の流出をスペーサー用突起によって堰き止めた際、スペーサー用突起が途切れて、接着剤層が流出してしまうことを回避することができる。また、周辺シール用樹脂層をスペーサー用突起の側壁に沿うように形成すると、周辺シール用樹脂層は、それを塗布した際の流動性によって、スペーサー用突起の先端部分では根元部分よりも狭い幅に形成される。このため、第1基板と第2基板を貼り合せた際、スペーサー用突起が第1基板に当接しても、周辺シール用樹脂層は、封止膜において画素領域の近傍を覆っている部分を損傷させることがない。
本発明において、前記封止膜は、例えば、前記第2電極層上に積層されたシリコン化合物層からなる第1膜、該第1膜上に積層された樹脂層からなる第2膜、および該第2膜上に積層されたシリコン化合物からなる第3膜を備えている構成を採用する。
本発明に係る有機EL装置の製造方法では、少なくとも前記重ね合わせ工程を減圧雰囲気中で行なうことが好ましい。このように構成すると、常圧に戻した際、大気圧によって加圧されたのと同様な状態になるので、第1基板と第2基板との間で接着剤が隅々まで行き渡り、接着剤の充填性が向上する。
本発明に係る有機EL装置の製造方法では、前記重ね合わせ工程の前に、前記第2基板に対して前記スペーサー用突起の少なくとも前記画素領域側に位置する内側壁に沿って周辺シール用樹脂材料を塗布する周辺シール用樹脂材料塗布工程を行い、その後、前記周辺シール用樹脂材料を硬化させて前記スペーサー用突起に沿って周辺シール用樹脂層を形成する周辺シール用樹脂材料硬化工程を行なうことが好ましい、このように構成すると、スペーサー用突起を周辺シール用樹脂層で補強することができるので、接着剤層の流出をスペーサー用突起によって堰き止めた際、スペーサー用突起が途切れて、接着剤層が流出してしまうことを回避することができる。また、周辺シール用樹脂層をスペーサー用突起の側壁に沿うように形成すると、周辺シール用樹脂層は、それを塗布した際の流動性によって、スペーサー用突起の先端部分では根元部分よりも狭い幅に形成される。このため、第1基板と第2基板を貼り合せた際、スペーサー用突起が第1基板に当接しても、周辺シール用樹脂層は、封止膜において画素領域を覆っている部分を損傷させることがない。
本発明に係る有機EL装置の製造方法では、前記周辺シール用樹脂材料として前記接着剤よりも粘度の高い樹脂材料を用い、前記周辺シール用樹脂材料塗布工程の後、前記周辺シール用樹脂材料硬化工程の前に、前記接着剤塗布工程を行い、前記周辺シール用樹脂材料硬化工程では、前記接着剤および前記周辺シール用樹脂のうち、周辺シール用樹脂材料のみを選択的に硬化させて前記周辺シール用樹脂層を形成することが好ましい。このように構成すると、周辺シール用樹脂材料の塗布、および接着剤の塗布を連続して行なうことができるので、生産性を向上することができる。
本発明において、前記接着剤は熱硬化性接着剤からなり、前記周辺シール用樹脂は光硬化性樹脂からなることが好ましい。このように構成すると、前記周辺シール用樹脂材料硬化工程において、周辺シール用樹脂のみを選択的に硬化させることができる。
本発明を適用した有機EL装置は、携帯電話機あるいはモバイルコンピュータなどの電子機器において直視型の表示部などとして用いられる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。以下の説明で参照する図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。また、以下の説明では、図10を参照して説明した構成との対応が分りやすいように、可能な限り、対応する部分には同一の符号を付して説明する。
[実施の形態1]
(全体構成)
図1は、本発明の実施の形態1に係る有機EL装置の電気的な構成を示す等価回路図である。図1に示す有機EL装置100において、第1基板10上には、複数の走査線3aと、走査線3aに対して交差する方向に延びる複数のデータ線6aと、走査線3aに対して並列して延在する複数の電源線3eとを有している。また、第1基板10において、矩形形状の画素領域10aには複数の画素100aがマトリクス状に配列されている。データ線6aにはデータ線駆動回路101が接続され、走査線3aには走査線駆動回路104が接続されている。画素領域10aの各々には、走査線3aを介して走査信号がゲート電極に供給されるスイッチング用の薄膜トランジスタ30bと、このスイッチング用の薄膜トランジスタ30bを介してデータ線6aから供給される画素信号を保持する保持容量70と、保持容量70によって保持された画素信号がゲート電極に供給される駆動用の薄膜トランジスタ30cと、この薄膜トランジスタ30cを介して電源線3eに電気的に接続したときに電源線3eから駆動電流が流れ込む画素電極81(陽極層)と、この画素電極81と陰極層との間に有機機能層が挟まれた有機EL素子80とが構成されている。
かかる構成によれば、走査線3aが駆動されてスイッチング用の薄膜トランジスタ30bがオンになると、そのときのデータ線6aの電位が保持容量70に保持され、保持容量70が保持する電荷に応じて、駆動用の薄膜トランジスタ30cのオン・オフ状態が決まる。そして、駆動用の薄膜トランジスタ30cのチャネルを介して、電源線3eから画素電極81に電流が流れ、さらに有機機能層を介して対極層に電流が流れる。その結果、有機EL素子80は、これを流れる電流量に応じて発光する。
このように構成した有機EL装置100において、複数の画素100aは各々、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)に対応し、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3つの画素100aによって1つのピクセルを構成している。本形態において、有機EL素子80は、白色光またはRGB混合色光が出射され、画素100aが赤色(R)、緑色(G)、青色(B)のいずれに対応するかは、後述するカラーフィルタによって規定されている。
なお、図1に示す構成では、電源線3eは走査線3aと並列していたが、電源線3eがデータ線6aに並列している構成を採用してもよい。また、図1に示す構成では、電源線3eを利用して保持容量70を構成していたが、電源線3eとは別に容量線を形成し、かかる容量線によって保持容量70を構成してもよい。
(有機EL装置の具体的構成)
図2(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態1に係る有機EL装置の平面的な構成を各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図、およびそのJ−J′断面図である。なお、図2(b)にはカラーフィルタなどの図示を省略してある。図2(a)、(b)において、本形態の有機EL装置100では、素子基板としての第1基板10と、封止基板およびカラーフィルタ基板の双方の機能を担う第2基板20とが接着剤層91によって貼り合わされており、かかる接着剤層91の形成領域は、図2(a)にドットが粗に付された領域として表してある。第1基板10において、画素領域10aの外側の領域には、図1を参照して説明したデータ線駆動回路101、走査線駆動回路104、およびITO膜からなる端子102が形成されている。詳しくは後述するが、第1基板10の画素領域10aには、複数の有機EL素子80がマトリクス状に配列されており、かかる複数の有機EL素子80が各々、画素100aを構成している。
(有機EL素子の構成)
図3は、本発明の実施の形態1に係る有機EL装置の断面構成を模式的に示す断面図である。なお、図3には、有機EL素子として、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)に対応する3つの有機EL素子のみを示してある。
図3に示すように、第1基板10は、石英基板、ガラス基板、セラミック基板、金属基板などからなる支持基板10dを備えている。支持基板10dの表面には、絶縁膜11、12、13、14、15が形成され、絶縁膜15の上層には有機EL素子80が形成されている。本形態において、絶縁膜11、12、13、15は、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜などから形成され、絶縁膜14は、厚さが1.5〜2.0μmの厚い感光性樹脂からなる平坦化膜として形成されている。絶縁膜11は下地絶縁層であり、図示を省略するが、絶縁膜11、12、13、14の層間などを利用して、図1を参照して説明した薄膜トランジスタ30b、30c、保持容量70、各種配線や各駆動回路が形成されている。また、絶縁膜12、13、14、15に形成されたコンタクトホールを利用して、異なる層間に形成された導電膜同士の電気的な接続が行なわれている。
本形態の有機EL装置100は、トップエミッション型であり、矢印L1で示すように、支持基板10dからみて有機EL素子80が形成されている側から光を取り出すので、支持基板10dとしては、アルミナなどのセラミックス、ステンレススチールなどといった不透明な基板を用いることができる。また、絶縁膜13、14の層間には、アルミニウム、銀、それらの合金からなる光反射層41が形成されており、有機EL素子80から支持基板10dに向けて出射された光を光反射層41で反射することにより、光を出射可能である。なお、有機EL装置100をボトムエミッション型で構成した場合、支持基板10dの側から光を取り出すので、支持基板10dとしては、ガラスなどの透明基板が用いられる。
また、第1基板10では、絶縁膜15の上層にITO膜などからなる第1電極層81(陽極/画素電極)が島状に形成されており、第1電極層81の上層には、発光領域を規定するための開口部を備えた感光性樹脂などからなる厚い隔壁51が形成されている。
また、第1電極層81の上層には、有機機能層82および第2電極層83(陰極)が積層されており、第1電極層81、有機機能層82および第2電極層83によって、有機EL素子80が形成されている。本形態において、有機機能層82および第2電極層83は、隔壁51が形成されている領域も含めて、画素領域10aの全面にわたって形成されている。
本形態において、有機機能層82は、トリアリールアミン(ATP)多量体からなる正孔注入層、TPD(トリフェニルジアミン)系正孔輸送層、アントラセン系ドーパントやルブレン系ドーパントを含むスチリルアミン系材料(ホスト)からなる発光層、アルミニウムキノリノール(Alq3)からなる電子注入層をこの順に積層した構造を有しており、その上層にMgAgなどの薄膜金属からなる第2電極層83が形成されている。また、有機機能層82と第2電極層83との間には、LiFからなる電子注入バッファ層が形成されることもある。これらの材料のうち、有機機能層82を構成する各層、および電子注入バッファ層は、加熱ボート(るつぼ)を用いた真空蒸着法で順次形成することができる。また、第2電極層83などを構成する金属系材料については真空蒸着法により形成でき、第1電極層81を構成するITOなどの酸化物材料についてはECRプラズマスパッタ法やプラズマガン方式イオンプレーティング法、マグネトロンスパッタ法などの高密度プラズマ成膜法により形成することができる。
このように構成した有機EL素子80は、白色光またはRGB混合色光が出射されるため、本形態の有機EL装置100では、第2基板20において、有機EL素子80と対向する位置に形成した赤色(R)、緑色(G)、青色(B)のカラーフィルタ層22(R)、(G)、(B)によって色変換を行なうことにより、フルカラー表示を行なう。ここで、第2基板20は、ポリエチレンテレフタレート、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリオレフィンなどプラスチック基板や、ガラス基板などからなる透光性の支持基板20dに、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)のカラーフィルタ層22(R)、(G)、(B)、カラーフィルタ層22(R)、(G)、(B)の間で光の漏洩を防止するための遮光層23(ブラックマトリックス層)、透光性の平坦化膜24、酸窒化シリコン層からなる透光性のガスバリア層25がこの順に形成されている。カラーフィルタ層22(R)、(G)、(B)は、透明バインダー層に顔料または染料が混合されている層であり、赤(R)、緑(G)、青(B)を用いるのが基本であるが、目的に応じてライトブルーやライトシアン、白などを加えてもよい。また、カラーフィルタ層22(R)、(G)、(B)の厚みは、光線透過率を考慮して極力薄いほうが良く、0.1〜1.5μmの範囲で形成され、その厚さは、対応する色によって相違させることもある。遮光層23は、黒色顔料を含んだ樹脂からなり、その厚さは、カラーフィルタ層22(R)、(G)、(B)よりも厚く、1〜2μm前後の膜厚が好ましいが、第1基板10と第2基板20とを貼り合せた際の基板間隔や、遮光層23を構成する材料の軟硬状態によっては、これ以上の膜厚であってもよい。なお、第2基板20には、紫外線の入射を防止する紫外線遮断・吸収層や、光反射防止層、放熱層などの機能層が設けられていてもよい。
(封止構造)
このように構成した有機EL装置100において、陰極として用いた第2電極層83や、電子注入層、電子注入バッファ層は、水分により劣化しやすく、かかる劣化は、電子注入効果の劣化を惹き起こし、ダークスポットと呼ばれる非発光部分を発生させてしまう。そこで、本形態では、第2基板20を封止基板として第1基板10と貼り合せた構成と、第1基板10に対して以下に説明する封止膜60を形成した構成とを併用する。
まず、第1基板10には、第2電極層83の上層に画素領域10aよりも広い領域にわたって封止膜60が形成されている。かかる封止膜60として、本形態では、第2電極層83上に積層されたシリコン化合物層からなる第1膜61、この第1膜61上に積層された樹脂層からなる第2膜62、およびこの第2膜62上に積層されたシリコン化合物からなる第3膜63を備えた積層膜が用いられている。ここで、第1膜61および第2膜62は、高密度プラズマ源を用いた高密度プラズマ気相成長法、例えば、ブラズマガン方式イオンプレーティング、ECRプラズマスパッタ、ECRプラズマCVD、表面波プラズマCVD、ICP−CVDなどを用いて成膜された窒化珪素(SiNx)や酸窒化珪素(SiOxy)などから構成されており、かかる薄膜は、低温で成膜しても水分を確実に遮断する高密度ガスバリア層として機能する。また、第2層62は、樹脂層から構成されており、隔壁51や配線などに起因する表面凹凸を平坦化して第1膜61および第2膜62にクラックが発生するのを防止する有機緩衝層として機能している。
本形態では、封止膜60を構成する第1膜61および第3膜63(高密度ガスバリア層)は、画素領域10a、画素領域10aの近傍領域10b、および画素領域10aから離れた周辺領域10cの全てを含む第1基板10の全面に形成されている。これに対して、第2層62(有機緩衝層)は、画素領域10a、および画素領域10aの近傍領域10bのみに分厚く形成され、画素領域10aから離れた周辺領域10cには形成されていない。また、絶縁膜14、15は概ね、画素領域10aのみ形成されている。このため、画素領域10aの近傍領域10bにおいて、封止膜60はテーパ面をもつように形成されている。
次に、本形態では、第1基板10と第2基板20との間には、画素領域10aよりも広い領域にわたって透光性の接着剤層91が形成されており、かかる接着剤層91によって、第1基板10と第2基板20とが貼り合わされている。ここで、接着剤層91は、画素領域10a、および画素領域10aの近傍領域10bのみに形成されており、画素領域10aから離れた周辺領域10cには形成されていない。
このような接着剤層91は、熱によって硬化するエポキシ系接着剤が用いられている。かかるエポキシ系接着剤の原料主成分としては、流動性に優れかつ溶媒のような揮発成分を持たない有機化合物材料である必要があり、好ましくはエポキシ基を有する分子量3000以下のエポキシモノオリゴマー、より好ましくは分子量1000以下のエポキシモノマーなどである。例えば、接着剤層91の形成には、硬ビスフェノールA型エポキシモノマーやビスフェノールF型エポキシモノマー、ノボラック形フェノールエポキシモノマー、3,4-エポキシシクロヘキセニルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、ε-カプロラクトン変性3,4-エポキシシクロヘキシルメチル3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキレートなどが単独もしくは複数組み合わされて用いられる。また、エポキシモノマーと反応する硬化剤としては、強靭で耐熱性に優れる硬化皮膜を形成する付加重合型が良く、芳香族アミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエーテルジアミンなどのアミン類や、3−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、メチル−3,6−ンドメチレン−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物などの酸無水物系硬化剤、ジシアンジアミドなどが挙げられる。これらと、芳香族アミノアルコールやアルコール類、メルカプタンなどの反応開始剤または3級アミン触媒、シランカップリング剤と共に混合されて用いられる。
このような封止構造を採用するにあたって、本形態では、第2基板20に対しては、画素領域10aの周りに、第2基板20から突出して第1基板10に先端部分が当接するスペーサー用突起93が形成されている。かかるスペーサー用突起93の高さ寸法は、例えば15μmあるいは15μm未満である。ここで、第1基板10には隔壁51が形成され、第2基板20にはカラーフィルタ層22(R)、(G)、(B)や遮光層23が形成されているが、スペーサー用突起93の高さ寸法は、隔壁51の高さ寸法と、カラーフィルタ層22(R)、(G)、(B)や遮光層23の厚さ寸法との和より厚く設定されている。このため、スペーサー用突起93は、第1基板10と第2基板20との間に隙間を確保しており、第2基板20は、第1基板10に形成された封止膜60に当接していない。また、スペーサー用突起93は、接着剤層91の全周を囲むように線状に形成されており、第2基板20の基板縁に沿っている。このため、スペーサー用突起93は、第1基板10と第2基板20との基板間隔を高い精度で制御している。
さらに、本形態では、第2基板20には、スペーサー用突起93の少なくとも画素領域10a側に位置する内側壁931に沿って周辺シール用樹脂層95が形成されている。ここで、周辺シール用樹脂層95は、スペーサー用突起93の内側壁931に沿うように塗布した後、硬化させた樹脂層であるため、樹脂を塗布した際の流動性によって、スペーサー用突起93の先端部分では根元部分よりも狭い幅に形成されている。このため、スペーサー用突起93は第1基板10に当接しているが、周辺シール用樹脂層95は、封止膜60において画素領域10の近傍領域10bを覆っている部分に一切当接していないか、軽く当接しているだけである。
このような周辺シール用樹脂層95には、紫外線によって硬化するエポキシ材料が用いられ、かかる樹脂材料としては、好ましくはエポキシ基を有する分子量3000以下のエポキシモノマー/オリゴマー(モノマーの定義:分子量1000以下、オリゴマーの定義:分子量1000〜3000)が用いられる。より具体的には、周辺シール用樹脂層95には、例えば、ビスフェノールA型エポキシオリゴマーやビスフェノールF型エポキシオリゴマー、フェノールノボラック型エポキシオリゴマー、3,4-エポキシシクロヘキセニルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、ε-カプロラクトン変性3,4-エポキシシクロヘキシルメチル3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキレートなどが単独もしくは複数組み合わされて用いられる。また、エポキシモノマー/オリゴマーと反応する硬化剤としては、ジアゾニウム塩、ジフェニルヨウドニウム塩、トリフェニルスルフォニウム塩、スルホン酸エステル、鉄アレーン錯体、シラノール/アルミニウム錯体などのカチオン重合反応を起こす光反応型開始剤が添加され、主に紫外線の照射によってカチオン重合反応を起こす。
(製造方法)
図4を参照して、本形態の有機EL装置100の製造方法を説明する。図4は、本形態の有機EL装置100の製造工程のうち、第2基板20にスペーサー用突起93を形成した後、第1基板10と第2基板20とを貼り合せる直前までの様子を示す工程断面図である。なお、図4には、第2基板20を図2および図3に示す状態とは上下反対に示してある。
まず、図4(a)に示すように、第2基板20において画素領域10aの周りに、第2基板20から突出して、第1基板10と第2基板20とを重ね合わせたときに第1基板10に当接するスペーサー用突起93を形成しておく。かかるスペーサー用突起93を形成するには、画素領域10aから離れた周辺領域10cのうち、第2基板20の外周縁に沿って、接着剤層91と同様な熱硬化性のエポキシ樹脂材料や、周辺シール用樹脂層95と同様な紫外線硬化性のエポキシ樹脂材料を印刷あるいはディスペンサ描画した後、紫外線照射あるいは加熱を行なって硬化させる。
次に、図4(b)に示す周辺シール用樹脂材料塗布工程において、印刷あるいはディスペンサ描画により、第2基板20に対してスペーサー用突起93の少なくとも画素領域10a側に位置する内側壁931に沿って、光硬化性のエポキシ樹脂材料からなる周辺シール用樹脂材料95aを厚さが15μm以下になるように塗布する。その際、周辺シール用樹脂材料95aは、それ自身の流動性によって、スペーサー用突起93の根元部分では幅広に形成される一方、スペーサー用突起93の先端部分では狭い幅に形成されるので、周辺シール用樹脂材料の内側側面には傾斜面95bが形成される。
ここで、1mm以下の狭い幅で十分な強度をもつ周辺シール用樹脂層95を形成するには、周辺シール用樹脂材料95aとしては、硬化速度の遅い樹脂材料を用いることが好ましく、この場合、周辺シール用樹脂材料95aを硬化させる工程は、第1基板10と第2基板20とを重ね合わせ工程の前に行なう。これに対して、周辺シール用樹脂材料95aの硬化速度が速い場合には、周辺シール用樹脂材料95aを硬化させる工程は、第1基板10と第2基板20とを重ね合わせた後に行なってもよい。周辺シール用樹脂材料95aの塗布時の粘度は、室温で2万〜20万mPa・s程度が好ましく、4〜10万mPa・s程度がさらに好ましい。また、周辺シール用樹脂材料95aが光照射後に徐々に粘度が上昇する材料である場合、1mm以下の細い幅寸法でも、十分な強度の周辺シール用樹脂層95を形成することができる。いずれの場合も、周辺シール用樹脂材料95aでは、水分を含んでいると、気泡が発生し、強度が低下するため、含水率は0.1wt%(1000ppm)以下に脱水されていたほうが好ましい。
次に、図4(c)に示す接着剤塗布工程において、ディスペンサ描画により、第2基板20に対してスペーサー用突起93で囲まれた領域内に、前記した熱硬化性の接着剤91aを塗布する。図4(c)には、接着剤91aを全面にベタに塗布した形態を示してあるが、接着剤91aはドット状あるいはストライプ状、等々、様々なパターンに塗布される。本形態では、周辺シール用樹脂材料95aは、接着剤91aよりも粘度が高く、かつ、周辺シール用樹脂材料95aの外側にスペーサー用突起93が形成されているので、周辺シール用樹脂材料95aを硬化させる前に接着剤91aを塗布しても接着剤が外側に流出することはない。ここで、接着剤91aに用いた硬化剤は吸水しやすく、多量の水分を含んでいると硬化阻害を起こしやすいため、接着剤91aの塗布前に、第2基板20については加熱脱水などの工程を行なうことが望ましい。さらに、酸無水の開環を促進する硬化促進剤やカチオン重合反応を起こす光反応型開始剤などを添加することで低温かつ短時間での硬化が可能となる。また、接着剤91aは水分の影響により硬化剤の反応性に影響があるため、接着剤91aの含水率は0.1wt%(1000ppm)以下に脱水されていたほうが好ましい。また。接着剤91aの塗布には、ディスペンサ描画の他、スクリーン印刷法や、マイクロピエゾヘッドを用いたインクジェット法などを用いてもよい。接着剤91aの塗布時の粘度は、薄膜でかつ充填性を上げるためには500mPa・s以下の低粘度材料が必要であるが、あまり低すぎても、周辺シール用樹脂層95やスペーサー用突起93の切断を生じやすいため好ましくない。それ故、接着剤91aの粘度は、30〜300mPa・sの範囲であることが好ましい。
次に、図4(d)に示す周辺シール用樹脂材料硬化工程では、周辺シール用樹脂材料95aに30mW/cm2程度のパワーで2000mJ/cm2程度の光量の紫外線を照射して接着剤91aおよび周辺シール用樹脂材料95aのうち、周辺シール用樹脂材料95aのみを選択的に硬化させて、周辺シール用樹脂層95を形成する。
次に、図3に示すように、第1基板10と第2基板20とを接着剤93aを挟んで重ね合わせる重ね合わせ工程を行なう。その際、約600N程度の力で第1基板10を第2基板20に向けて加圧し、この状態を約200秒保持する。かかる重ね合わせ工程では、まず、周辺シール用樹脂材料95aやスペーサー用突起93が第1基板10に接触して内側が密閉され、その後、第1基板10と第2基板20と間で接着剤91aが拡がる。かかる重ね合わせ工程は、真空度1Pa程度の減圧雰囲気で行なう。
次に、常圧に戻すと、大気圧によって加圧されたのと同様な状態になるので、第1基板10と第2基板20との間で接着剤91aが隅々まで行き渡り、接着剤91aの充填性が向上する。その際、周辺シール用樹脂層95とスペーサー用突起93は、接着剤91aに対するバンクとして機能する。このため、減圧状態から常圧に戻した際に大気圧によって加圧されたのと同様な状態になっても、接着剤91aは、周辺シール用樹脂層95およびスペーサー用突起93によって堰き止められ、外側に流出しない。
次に、第1基板10と第2基板20とを接着剤91aを挟んで重ね合わせた状態で、ホットプレート上で60〜100℃の加熱を行い、接着剤91aを隅々まで行き渡らせながら接着剤91aを硬化させ、第1基板10と第2基板20とを接着剤層91によって貼り合わせた構造とする(貼り合せ工程)。このようにした状態で、接着剤層91は硬化されているので、高温放置時に対流が起こらないので、封止膜60の第3層63を損傷することがなく、接着剤層91は、封止膜60の第3層63に対する保護膜として機能する。ここで、接着剤層91の厚さは1〜5μmであり、画素高精細になる程薄いほうが好ましい。いずれの場合も、一般的な接着剤に多く含まれる粘土鉱物やシリカボール、樹脂ボールなどの充填物(フィラー)は、封止膜60の第3層63を損傷させる原因となるため、接着剤層91には充填物が配合されていないことが好ましい。また、周辺シール用樹脂層95も、接着剤層91と同様、一般的な樹脂材料に多く含まれる粘土鉱物やシリカボール、樹脂ボールなどの充填物(フィラー)は、封止膜60の第3層63を損傷させる原因となるため、周辺シール用樹脂層95には充填物が配合されていないことが好ましい。
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の有機EL装置100およびその製造方法では、有機EL素子80を水分などから保護することを目的に、第2電極層83の上層に画素領域10aよりも広い領域にわたって封止膜60を形成しておき、この状態で、第1基板10と第2基板20とを接着剤層91で貼り合せる。その際、第2基板20には、画素領域10aの周りにスペーサー用突起93が形成されているので、スペーサー用突起93が第1基板10に当接することにより、第1基板10と第2基板20とは、所定の隙間を介して貼り合わされる。このため、第2基板20が封止膜60に当接しないので、封止膜60を損傷させることがない。ここで、スペーサー用突起93は、第2基板20の所定位置に形成されているので、スペーサー用突起93は、第1基板10の所定位置(周辺領域10c)のみに確実に当接し、封止膜60において画素領域10aの近傍領域10bを覆っている部分に当接しない。このため、スペーサー用突起93が第1基板10に当接しても、封止膜60において画素領域10aの近傍領域10bを覆っている部分が損傷することがないので、第1基板10と第2基板20とを接着剤層91で貼り合せた構造を採用した場合でも、封止膜60によって、接着剤層91を介して侵入した水分から有機EL素子80を確実に保護し続けることができる。それ故、本形態によれば、有機EL装置100の信頼性を向上することができる。
また、スペーサー用突起93は、画素領域10aの全周を囲むように線状に形成されているため、第1基板10と第2基板20とを接着剤層91で貼り合せた際、第1基板10と第2基板20との基板間隔を高い精度で制御することができる。従って、有機EL素子80とカラーフィルタ層22(R)、(G)、(B)との間隔が高い精度で制御されるので、混色などが発生せず、高精細なカラー画像を広い視野角をもって表示することができる。また、有機EL素子80とカラーフィルタ層22(R)、(G)、(B)との間隔が高い精度で制御されるため、有機EL素子80とカラーフィルタ層22(R)、(G)、(B)との間隔を狭めることができるので、高輝度化や低消費電力化を図ることができる。
また、第2基板20が封止膜60に当接しないので、第2基板20において平坦化膜24を省略した構成を採用でき、その場合、製造工程数の削減や、有機EL装置100の薄型化を図ることができる。
また、スペーサー用突起93は、画素領域10aの全周を囲むように線状に形成されているため、第1基板10と第2基板20との間で接着剤91aを展開させる際、接着剤91aを堰き止めることができる。さらに、スペーサー用突起93を線状に形成したので、スペーサー用突起93が第1基板10に当接する領域が狭いので、スペーサー用突起93が画素領域10aの近傍領域10bで封止膜60に当接して損傷させてしまうことがないとともに、表示に直接寄与しない画素領域10aの外側領域(周辺領域10c)を狭めることができる。
さらに、スペーサー用突起93の内側壁931に沿って周辺シール用樹脂層95が形成されているため、スペーサー用突起93を周辺シール用樹脂層95で補強することができる。従って、接着剤91aの流出をスペーサー用突起93によって堰き止めた際、スペーサー用突起93が途切れて、接着剤91aが流出してしまうことを回避することができる。また、周辺シール用樹脂層95をスペーサー用突起93の内側壁931に沿うように形成すると、周辺シール用樹脂層95は、それを塗布した際の流動性によって、スペーサー用突起93の先端部分では根元部分よりも狭い幅に形成される。このため、第1基板10と第2基板20を貼り合せた際、スペーサー用突起93が第1基板10の周辺領域10cに当接しても、周辺シール用樹脂層95は、封止膜60において画素領域10aの近傍領域10bを覆っている部分に強く当接することがないので、かかる部分の封止膜60を損傷させることがない。
[実施の形態2]
図5は、本発明の実施の形態2に係る有機EL装置の平面的な構成を各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図であり、実施の形態1の説明に用いた図2(a)に対応する。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する機能を有する部分には同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
実施の形態1では、スペーサー用突起93を画素領域10aの全周を囲む線状に形成したが、図5に示すように、画素領域10aの周りにおいて、辺部分あるいは角部分に途切れ部分93e、93fをもつようにスペーサー用突起93を形成してもよい。このような構成の場合、途切れ部分93e、93fは、周辺シール用樹脂層95で埋められた構造となる。
このように構成した場合も、実施の形態1と同様、スペーサー用突起93が第1基板10に当接することにより、第1基板10と第2基板20とは、所定の隙間を介して貼り合わされるため、第2基板20が封止膜60に当接しない。また、スペーサー用突起93は、第2基板20の所定位置に形成されているので、スペーサー用突起93は、第1基板10の所定位置(周辺領域10c)のみに確実に当接し、封止膜60において画素領域10aの近傍領域10bを覆っている部分に当接しない。従って、封止膜60において画素領域10a、および画素領域10aの近傍領域10bを覆っている部分が損傷することがないので、封止膜60によって、接着剤層91を介して侵入した水分から有機EL素子80を確実に保護し続けることができるなど、実施の形態1と同様な効果を奏する。その他の構成は、実施の形態1と同様であるため、それらの説明を省略する。
[実施の形態3]
図6は、本発明の実施の形態3に係る有機EL装置の断面構成を模式的に示す断面図であり、実施の形態1の説明に用いた図3に対応する。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する機能を有する部分には同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
実施の形態1、2では、第2基板20にスペーサー用突起93を形成するにあたって、第2基板20に樹脂材料を塗布した後、硬化させたが、図6に示すように、第2基板20がポリエチレンテレフタレート、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリオレフィンなどの透光性プラスチック製である場合、第2基板20を成形する際にスペーサー用突起93を形成してもよい。このような構成の場合、スペーサー用突起93は、第2基板20と同一材料からなる。
このように構成した場合も、実施の形態1と同様、スペーサー用突起93が第1基板10に当接することにより、第1基板10と第2基板20とは、所定の隙間を介して貼り合わされるため、第2基板20が封止膜60に当接しない。また、スペーサー用突起93は、第2基板20の所定位置に形成されているので、スペーサー用突起93は、第1基板10の所定位置(周辺領域10c)のみに確実に当接し、封止膜60において画素領域10aの近傍領域10bを覆っている部分に当接しない。従って、封止膜60において画素領域10a、および画素領域10aの近傍領域10bを覆っている部分が損傷することがないので、封止膜60によって、接着剤層91を介して侵入した水分から有機EL素子80を確実に保護し続けることができるなど、実施の形態1と同様な効果を奏する。その他の構成は、実施の形態1と同様であるため、それらの説明を省略する。
[実施の形態4]
図7(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態4に係る有機EL装置の平面的な構成を各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図、およびその断面図であり、実施の形態1の説明に用いた図2に対応する。図8は、本発明の実施の形態4に係る有機EL装置の断面構成を模式的に示す断面図であり、実施の形態1の説明に用いた図3に対応する。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する機能を有する部分には同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
実施の形態1では、第2基板20の周辺領域10cには、第2基板20にスペーサー用突起93を形成するとともに、スペーサー用突起93の内側壁931に沿うように周辺シール用樹脂層95を形成したが、図7および図8に示すように、周辺領域10cに十分な強度を備えたスペーサー用突起93のみを形成し、周辺シール用樹脂層95の形成を省略してもよい。
このように構成した場合も、実施の形態1と同様、スペーサー用突起93が第1基板10に当接することにより、第1基板10と第2基板20とは、所定の隙間を介して貼り合わされるため、第2基板20が封止膜60に当接しない。また、スペーサー用突起93は、第2基板20の所定位置に形成されているので、スペーサー用突起93は、第1基板10の所定位置(周辺領域10c)のみに確実に当接し、封止膜60において画素領域10aの近傍領域10bを覆っている部分に当接しない。従って、封止膜60において画素領域10a、および画素領域10aの近傍領域10bを覆っている部分が損傷することがないので、封止膜60によって、接着剤層91を介して侵入した水分から有機EL素子80を確実に保護し続けることができる。
また、第1基板10と第2基板20との間で接着剤91aを隅々まで拡げる際、スペーサー用突起93がバンクとして機能するため、接着剤91aが外側に流出しないという効果を奏する。かかる構成を採用すると、実施の形態1で用いた周辺シール用樹脂層95の形成を省略できるので、有機EL装置100の生産性を向上することができる。
かかる構成は実施の形態3で説明した構造を採用した場合にも適用することができる。なお、その他の構成は、実施の形態1と同様であるため、それらの説明を省略する。
[他の実施の形態]
上記実施の形態では、トップエミッション型の有機EL装置100において第2基板20にカラーフィルタ22(R)、(G)、(B)を設けた場合を例に説明したが、有機EL素子自身が各色の光を出射する有機EL装置に本発明を適用してもよく、この場合、第2基板20は封止基板のみとして機能する。また、上記実施の形態では、カラー表示用の有機EL装置100を例に説明したが、複写機の光学ヘッドなどとして利用する場合には、モノクロでよく、このようなモノクロ用の有機EL装置に本発明を適用してもよい。この場合も、第2基板20は封止基板のみとして機能する。さらに、上記実施の形態では、トップエミッション型の有機EL装置100を例に説明したが、ボトムエミッション型の有機EL装置に本発明を適用してもよく、この場合、第2基板20は封止基板のみとして機能する。
また、上記形態では、有機機能層82を画素領域10aの全面に形成した例を説明したが、隔壁51で囲まれた領域内にインクジェット法などで有機機能層を選択的に塗布した後、定着させて、第1電極層81の上層には、3,4−ポリエチレンジオシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)などからなる正孔注入層、および発光層からなる有機機能層が形成された有機EL装置に発明を適用してもよい。この場合、発光層は、例えば、ポリフルオレン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリチオフェン誘導体、またはこれらの高分子材料に、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素、例えばルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等をドープした材料から構成される。また、発光層としては、二重結合のπ電子がポリマー鎖上で非極在化しているπ共役系高分子材料が、導電性高分子でもあることから発光性能に優れるため、好適に用いられる。特に、その分子内にフルオレン骨格を有する化合物、すなわちポリフルオレン系化合物がより好適に用いられる。また、このような材料以外にも、共役系高分子有機化合物の前駆体と、発光特性を変化させるための少なくとも1種の蛍光色素とを含んでなる組成物も使用可能である。
[電子機器への搭載例]
図9を参照して、上述した実施形態に係る有機EL装置100を搭載した電子機器について説明する。図9は、本発明に係る有機EL装置を用いた電子機器の説明図である。
図9(a)に、有機EL装置100を備えたモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す。パーソナルコンピュータ2000は、表示ユニットとしての有機EL装置100と本体部2010を備える。本体部2010には、電源スイッチ2001及びキーボード2002が設けられている。図9(b)に、有機EL装置100を備えた携帯電話機の構成を示す。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001及びスクロールボタン3002、並びに表示ユニットとしての有機EL装置100を備える。スクロールボタン3002を操作することによって、有機EL装置100に表示される画面がスクロールされる。図9(c)に、有機EL装置100を適用した情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001及び電源スイッチ4002、並びに表示ユニットとしての有機EL装置100を備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が有機EL装置100に表示される。なお、有機EL装置100が適用される電子機器としては、図9(a)〜(c)に示すものの他、デジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。そして、これらの各種電子機器の表示部として、前述した有機EL装置100が適用可能である。
本発明の実施の形態1に係る有機EL装置の電気的な構成を示す等価回路図である。 (a)、(b)は各々、本発明の実施の形態1に係る有機EL装置の平面的な構成を各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図、およびそのJ−J′断面図である。 本発明の実施の形態1に係る有機EL装置の断面構成を模式的に示す断面図である。 本発明の実施の形態1に係る有機EL装置の製造工程のうち、第2基板にスペーサー用突起を形成した後、第1基板と第2基板とを貼り合せる直前までの様子を示す工程断面図である。 本発明の実施の形態2に係る有機EL装置の平面的な構成を各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図である。 本発明の実施の形態3に係る有機EL装置の断面構成を模式的に示す断面図である。 (a)、(b)は各々、本発明の実施の形態4に係る有機EL装置の平面的な構成を各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図、およびその断面図である。 本発明の実施の形態4に係る有機EL装置の断面構成を模式的に示す断面図である。 本発明に係る有機EL装置を用いた電子機器の説明図である。 (a)、(b)は各々、本発明の参考例に係る有機EL装置の断面図である。
符号の説明
10・・第1基板、10a・・画素領域、10c・・周辺領域、20・・第2基板、22(R)、(G)、(B)・・カラーフィルタ、60・・封止層、80・・有機EL素子、81・・第1電極層、82・・有機機能層、83・・第2電極層、91・・接着剤層、93・・スペーサー用突起、95・・周辺シール用樹脂層、100・・有機EL装置、100a・・画素

Claims (14)

  1. 第1電極層、有機機能層および第2電極層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子が画素領域に複数配列された第1基板と、該第1基板に対向配置された第2基板と、を有する有機エレクトロルミネッセンス装置において、
    前記第1基板には、前記第2電極層の上層に前記画素領域よりも広い領域にわたって封止膜が形成されており、
    前記第1基板と前記第2基板とは、前記第1基板と前記第2基板との間で少なくとも前記画素領域よりも広い領域にわたって配置された接着剤層によって貼り合わされているとともに、前記画素領域の周りには、前記第2基板から突出して前記第1基板に当接するスペーサー用突起が形成されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置。
  2. 前記第2基板、前記封止膜および前記接着剤層は透光性であり、
    前記第2基板には、前記複数の有機エレクトロルミネッセンス素子と対向する各領域に異なる色のカラーフィルタ層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  3. 前記スペーサー用突起は、前記第1基板と前記第2基板との基板間隔を制御していることを特徴とする請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  4. 前記第1基板において、隣接する前記第1電極層の境界部分には、当該第1基板から前記第2基板に向けて突出する隔壁が形成され、
    前記スペーサー用突起の高さ寸法は、前記隔壁の高さ寸法および前記カラーフィルタ層の厚さ寸法の和より高いことを特徴とする請求項2または3に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  5. 前記接着剤層は、粒子状の充填剤が配合されていない材料からなることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  6. 前記スペーサー用突起は、前記画素領域の全周を囲むように線状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  7. 前記第2基板には、前記スペーサー用突起の少なくとも前記画素領域側に位置する内側壁に沿って周辺シール用樹脂層が形成されていることを特徴とする請求項6に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  8. 前記封止膜は、前記第2電極層上に積層されたシリコン化合物層からなる第1膜、該第1膜上に積層された樹脂層からなる第2膜、および該第2膜上に積層されたシリコン化合物からなる第3膜を備えていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  9. 第1電極層、有機機能層および第2電極層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子が画素領域に複数配列された第1基板と、該第1基板に対向配置された第2基板と、を有する有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法において、
    前記第1基板には、前記第2電極層の上層に前記画素領域よりも広い領域にわたって封止膜を形成しておく一方、
    前記第2基板において前記画素領域の周りに、当該第2基板から突出して、前記第1基板と前記第2基板とを重ね合わせたときに前記第1基板に当接するスペーサー用突起を形成しておき、
    前記第1基板および前記第2基板のうちの少なくとも一方の基板において前記スペーサー用突起で囲まれる領域内に接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、
    前記接着剤を挟んで前記第1基板と前記第2基板とを重ね合わせる重ね合わせ工程と、
    前記接着剤を硬化させて前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる貼り合せ工程と、
    を行なうことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
  10. 前記第2基板、前記封止膜および前記接着剤層は透光性であり、
    前記第2基板には、前記複数の有機エレクトロルミネッセンス素子と対向する各領域に異なる色のカラーフィルタ層を形成しておくことを特徴とする請求項9に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
  11. 少なくとも前記重ね合わせ工程を減圧雰囲気中で行なうことを特徴とする請求項9または10に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
  12. 前記重ね合わせ工程の前に、前記第2基板に対して前記スペーサー用突起の少なくとも前記画素領域側に位置する内側壁に沿って周辺シール用樹脂材料を塗布する周辺シール用樹脂材料塗布工程を行い、
    その後、前記周辺シール用樹脂材料を硬化させて前記スペーサー用突起に沿って周辺シール用樹脂層を形成する周辺シール用樹脂材料硬化工程を行なうことを特徴とする請求項9乃至11の何れか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
  13. 前記周辺シール用樹脂材料として前記接着剤よりも粘度の高い樹脂材料を用い、
    前記周辺シール用樹脂材料塗布工程の後、前記周辺シール用樹脂材料硬化工程の前に、前記接着剤塗布工程を行い、
    前記周辺シール用樹脂材料硬化工程では、前記接着剤および前記周辺シール用樹脂材料のうち、周辺シール用樹脂材料のみを選択的に硬化させて前記周辺シール用樹脂層を形成することを特徴とする請求項12に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
  14. 前記接着剤は熱硬化性接着剤からなり、
    前記周辺シール用樹脂は光硬化性樹脂からなることを特徴とする請求項13に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
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