JP2009199979A - 有機エレクトロルミネッセンス装置およびその製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス装置およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】装置に反りが生じず高品位な表示を実現する有機EL装置を提供する。
【解決手段】基板20と、一対の電極間に発光層12を挟持した複数の発光素子21と、基板20上に複数の発光素子21が配置されて形成される表示領域と、少なくとも基板20上の表示領域を覆って形成され、表示領域の周辺部で基板20と当接する封止層と、を有する素子基板20Lと、を備えた有機EL装置1であって、素子基板20Lを挟持して設けられた一対の反り緩和基板31a,bを有しており、一対の反り緩和基板31a,bは、基板20と一方の反り緩和基板との線膨張係数の差に起因して生じる素子基板20Lの反りを、基板20と他方の反り緩和基板との線膨張係数の差に起因して生じる素子基板20Lの反りによって緩和し、反り緩和基板31a,bの形成材料は、基板20の形成材料よりもヤング率が低く且つ基板20の形成材料よりも密度が低いことを特徴とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス装置およびその製造方法に関するものである。
近年、情報機器の多様化等に伴い、消費電力が少なく軽量化された平面表示装置のニーズが高まっている。この様な平面表示装置の一つとして、有機発光層を備えた有機エレクトロルミネッセンス装置(以下「有機EL装置」という)が知られている。
有機EL装置は、有機材料を含む材料で形成された発光素子を備えている。この発光素子は基本的な構成として、陽極と陰極との間に有機発光層(発光層)が挟持される構成となっている。更にこれらの基本構成に加えて、発光素子には、陽極からの正孔注入をより容易に行うために陽極と発光層との間に配置される正孔注入層や、陰極からの電子注入をより容易に行うために陰極と発光層との間に配置される電子注入層など、様々な機能を担う機能層が付加され、これらの機能層の効果により高い輝度や高い発光効率を実現している構成のものが多い。
これら発光層、正孔注入層、電子注入層等の各層の形成に用いられる材料は、大気中の水分や酸素と容易に反応し劣化するものが多い。これらの層が劣化すると、有機EL装置に、いわゆる「ダークスポット」と呼ばれる非発光領域が形成されてしまい、発光素子としての性能が低下する。そのため有機EL装置においては、水分や酸素等の侵入を防ぐために、防湿性に優れた薄膜や封止材などのガスバリア層で発光素子を封止する構造が提案されている(たとえば特許文献1、2参照)。
特開2004−281085号公報 特開2005−19082号公報
ところで、平面表示装置の技術トレンドは薄型化と大画面化であり、広い画面を備える薄型の液晶ディスプレイやプラズマディスプレイが市場を賑わしている。有機EL装置においても活発に開発が行われている。
装置の厚みについて、従来の有機EL装置の構造では、装置内部への水分の浸透防止のために、密度が高く水分子を通さないガラスや金属製の封止基板と素子基板とを、シール材を用いて周縁部で貼り合わせて中空構造とし、内部の空隙部に封止された乾燥剤で浸入する水分を捕捉する構造が一般的であった。
しかし近年では、中空構造を必要としない完全な固体構造により封止する技術が可能となってきている。これは、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイのように液状体や気体を封入する工程を必要とする平面表示装置と比べると構造が大きく異なる点であり、中空構造を必要としないこの特長を活かし、有機EL装置は大幅な薄型化と軽量化が実現できる。
また有機EL装置は、消費電力が低く視野角が広いといった大画面化に有利とされる特長を備えている。これらの特長を活かし、大画面化を実現する有機EL装置の開発が期待されている。
有機EL装置を大型化した場合、高精細且つ高速な応答の動画表示を実現するため、スイッチング素子として薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:以下、TFT)を用いるアクティブマトリクス駆動方式を採用することが好ましい。しかし、TFTは十分な電子移動度を得るためには300℃以上の高温プロセスで形成する必要があるため、TFTを配置する素子基板には、ガラス基板または金属基板などの耐熱性を有する基板を用いる必要がある。一方で、ガラス基板や金属基板を備えた有機EL装置を大型化すると、装置重量が大きくなり、薄型化によって実現できる軽量化が損なわれる。
そこで、素子基板に対向配置される対向基板をプラスチック基板とすると軽量化を図ることが出来るが、素子基板に用いられるガラス基板や金属基板と、対向基板に用いられるプラスチック基板との、熱に対する変形率が異なるため装置に反りや歪みが生じやすい。このような反りや歪みの影響は、装置が大型化するほどより顕著であり、表示画像の劣化や装置の破損につながるおそれがある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、装置に反りが生じず高品位な表示を実現する有機EL装置を提供することを目的とする。また、このような有機EL装置の製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明の有機EL装置は、基板と、一対の電極間に有機発光層を挟持した複数の発光素子と、前記基板上に前記複数の発光素子が配置されて形成される表示領域と、少なくとも前記基板上の前記表示領域を覆って形成され、前記表示領域の周辺部で前記基板と当接する封止層と、を有する素子基板と、を備えた有機エレクトロルミネッセンス装置であって、前記素子基板を挟持して設けられた一対の反り緩和基板を有しており、前記一対の反り緩和基板は、前記基板と一方の前記反り緩和基板との線膨張係数の差に起因して生じる前記素子基板の反りを、前記基板と他方の前記反り緩和基板との線膨張係数の差に起因して生じる前記素子基板の反りによって緩和し、前記反り緩和基板の形成材料は、前記基板の形成材料よりもヤング率が低く且つ前記基板の形成材料よりも密度が低いことを特徴とする。
この構成によれば、反り緩和基板の形成材料は基板の形成材料よりも低密度であるため、反り緩和基板を基板の形成材料で形成した場合よりも軽量化することができる。また、素子基板を一対の反り緩和基板で挟持しているため、素子基板と両反り緩和基板との間に発生する熱応力同士が相殺し、全体として熱応力を緩和するために、装置の反りを緩和し軽減することができる。更に、両反り緩和基板の形成材料は基板の形成材料よりも低ヤング率であるため、装置に反りが生じても破損しにくい。したがって、装置を軽量化と装置の反りの防止とを両立し、高品位な表示を実現する有機EL装置とすることができる。
本発明においては、前記封止層は、前記表示領域を覆って全面に形成され、前記表示領域の周辺部で前記基板と当接する電極保護層と、前記電極保護層上に形成され、前記表示領域を覆う有機緩衝層と、前記有機緩衝層の全面を覆って形成され、前記表示領域の周辺部で前記電極保護層と当接するガスバリア層と、を備えることが望ましい。
この構成によれば、発光素子へ浸透する水分を捕捉する乾燥剤が不要であり、確実な水分浸透防止が可能である上に、乾燥剤を用いた中空構造の有機EL装置と比べて装置に生じる反りによって破損しにくく、熱変形に強い構造を備えた有機EL装置とすることができる。また、反り緩和基板にこのようなガスバリア層を設けるものに比べて、側面接着部からの水分浸透が防げるため長期信頼性が達成できる。
本発明においては、前記反り緩和基板は、厚さが50μm以上1000μm以下の範囲の値であることが望ましい。
反り緩和基板の厚みが50μmよりも薄いとわずかな変形で反り緩和基板が破損しやすく、1000μmよりも厚いと重量が増加するため軽量化に不利であると共に、コスト増となるため不向きである。そのため、この構成とすることで良好な反り緩和基板とすることができ、高品質な有機EL装置とすることができる。
本発明においては、前記一対の反り緩和基板は、それぞれ前記素子基板との間に形成された接着層を介して貼り合わせられ、前記接着層の厚さは、隣接する前記反り緩和基板の厚さの5分の1以下であることが望ましい。
この構成によれば、反り緩和基板の曲げ特性に影響を与えない程度の薄膜とすることができるため設計が容易となり、適切に制御した物性を備えた反り緩和基板を備える有機EL装置とすることができる。
本発明においては、前記反り緩和基板の形成材料は、ヤング率が0.1GPa以上15GPa以下の範囲の値であることが望ましい。
ヤング率が0.1GPaよりも小さいと、反り緩和基板による素子基板の補強が困難となり、15GPaより大きいと、反りが発生した際に屈曲圧力によって脆性的に破損しやすくなるため不向きである。そのため、この構成とすることで良好な反り緩和基板とすることができ、高品質な有機EL装置とすることができる。
本発明においては、前記反り緩和基板の形成材料は、線膨張係数が200ppm/℃よりも小さいことが望ましい。
この構成によれば、反り緩和基板の熱変形率が小さくなり、素子基板との線膨張係数の差を小さくなることで基板へかかる応力負荷を小さくし、熱に対する寸法安定性が高く反りが生じにくい有機EL装置とすることができる。
本発明においては、一方の前記反り緩和基板の厚さの3乗と該反り緩和基板の形成材料のヤング率との積が、他方の前記反り緩和基板の厚さの3乗と該反り緩和基板の形成材料のヤング率との積の0.5倍以上1.5倍以下の範囲の値であることが望ましい。
この構成によれば、一対の反り緩和基板のそれぞれをヤング率が異なる材料で形成した場合であっても、発生する反りを良好に緩和することができる。そのため、反り緩和基板の形成材料の選択自由度が高まり、良好な有機EL装置とすることができる。
本発明においては、前記反り緩和基板の形成材料が、ポリエチレンナフタレートを含むことが望ましい。
この構成によれば、熱変形が小さい上に高透明な良好な反り緩和基板とすることができる。
本発明においては、前記一対の反り緩和基板は、形成材料が同じ線膨張係数を備えることが望ましい。
この構成によれば、熱による反り緩和基板の変形が素子基板の両面で同程度となるため、効率的に反りの発生を抑制することができる。
本発明においては、前記一対の反り緩和基板は、同じ形成材料であることが望ましい。
この構成によれば、容易且つ確実に反り緩和基板の物理特性をそろえることができ、反りの発生を抑制した高品質の有機EL装置とすることができる。
本発明においては、前記一対の反り緩和基板は、表面に透明導電性の金属酸化物を含む機能層を備えることが望ましい。
この構成によれば、装置駆動により発生する熱を機能層により効率的に放熱することが可能となるため、上記効果に加え駆動発熱による反りや変形を軽減することができる。
また、本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法は、一対の電極の間に有機発光層を挟持した複数の発光素子を有する素子基板を備えた有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、前記有機エレクトロルミネッセンス装置は、前記素子基板を挟持して貼り合わせられ、前記素子基板の両面から該素子基板の反りを抑制する一対の反り緩和基板を有し、前記一対の反り緩和基板の各々の片面にあらかじめ前記一対の反り緩和基板と前記素子基板とを貼りあわせる接着層の形成材料が塗布され、該一対の反り緩和基板の前記接着層の形成材料を配置した面と前記素子基板とを対向配置して、前記素子基板の両面から同時に圧着する工程を備えることを特徴とする。
この方法によれば、素子基板の両面に接着層形成材料を配置する工程が不要であるため、素子基板の両面に対して反り緩和基板を容易に同時圧着することができる。そのため、片面ずつ取り付けるよりも反り緩和基板を取り付ける工程が削減することができる。更に、両面の接着層の硬化を同時に行うことができるため、接着層形成材料の硬化収縮を素子基板の両面で同時に生じさせることができる。したがって、硬化収縮による反りの影響が無く、良好な有機EL装置を製造することができる。
本発明においては、前記圧着する工程は、減圧または加圧雰囲気下において行うことが望ましい。
この方法によれば、接着剤に気泡が混入することを防ぐことができ、合わせて、接着層の形成材料が含む水分を除きながら接着層の形成を行うことができる。そのため、水分や気泡が原因となる反り緩和基板の剥離や表示画像の低下の無い高品質な有機EL装置を製造することができる。
本発明においては、前記有機エレクトロルミネッセンス装置は、前記素子基板に接続し他の装置と導通させる接続配線を有し、前記圧着する工程に先立って、所定の熱処理条件で熱処理を行って前記接続配線と前記素子基板とを接続する工程を備えることが望ましい。
この方法によれば、反り緩和基板が熱処理環境に曝されないため、反り緩和基板に過剰な耐熱性が要求されず、材料選択の自由度が増す。
[第1実施形態]
以下、図1〜図7を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス装置(有機EL装置)について説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の膜厚や寸法の比率などは適宜異ならせてある。
図1は、本実施形態の有機EL装置1の配線構造を示す模式図である。この有機EL装置1は、スイッチング素子としてTFTを用いたアクティブマトリクス方式のもので、複数の走査線101と、各走査線101に対して直角に交差する方向に延びる複数の信号線102と、各信号線102に並列に延びる複数の電源線103とからなる配線構成を有し、走査線101と信号線102との各交点付近にサブ画素Xを形成したものである。本発明の技術的思想に沿えば、TFTなどを用いるアクティブマトリクスは必須ではなく、単純マトリクス向けの素子基板を用いて本発明を実施し、単純マトリクス駆動しても全く同じ効果が低コストで得られる。
信号線102には、シフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオライン及びアナログスイッチを備えるデータ線駆動回路100が接続されている。また、走査線101には、シフトレジスタ及びレベルシフタを備える走査線駆動回路80が接続されている。
さらに、サブ画素Xの各々には、走査線101を介して走査信号がゲート電極に供給されるスイッチング用TFT(スイッチング素子)112と、このスイッチング用TFT112を介して信号線102から共有される画素信号を保持する保持容量113と、該保持容量113によって保持された画素信号がゲート電極に供給される駆動用TFT(スイッチング素子)123と、この駆動用TFT123を介して電源線103に電気的に接続したときに該電源線103から駆動電流が流れ込む陽極10と、該陽極10と陰極11との間に挟み込まれた発光層(有機発光層)12が設けられている。
この有機EL装置1によれば、走査線101が駆動されてスイッチング用TFT112がオン状態になると、そのときの信号線102の電位が保持容量113に保持され、該保持容量113の状態に応じて、駆動用TFT123のオン・オフ状態が決まる。そして、駆動用TFT123のチャネルを介して、電源線103から陽極10に電流が流れ、さらに発光層12を介して陰極11に電流が流れる。発光層12は、これを流れる電流量に応じて発光する。
次いで、図2の概略平面図を用いて有機EL装置1の平面構造を説明する。基板20Aは、平面視矩形の形状を有しており、基板本体(基板)20の中央部に配置された表示領域3と、表示領域3の周囲に配置された額縁部4とを備えている。
表示領域3は平面視矩形の領域形状を備え、図1で示したサブ画素Xがマトリクス状に配置されている。サブ画素Xにはそれぞれ発光素子21が配置されており、は赤色(R)、緑色(G)、青色(B)のいずれかの光が取り出される構成となっている。これら各々の色に発色するサブ画素Xは、図中の短手方向において同一色で配列していわゆるストライプ配置を構成している。そして、サブ画素Xが発色するRGBが一つのまとまりとなって、単位画素が構成されており、該単位画素はRGBの発光を混色させてフルカラー表示を行うようになっている。表示領域3の大きさは、対角で約10インチとなっている。
額縁部4には、表示領域3を覆って表示領域3よりも広い面積に(額縁部4にはみ出るまで)形成される平面視矩形の陰極11と、陰極11の周囲を囲んで形成される第1陰極配線22Aと、第1陰極配線22Aと接続して形成される第2陰極配線22Bと、陰極11の周辺部に配置され、陰極11と第1陰極配線22Aとを接続する帯状の補助陰極配線24と、複数のサブ画素Xの間の領域に延在し、補助陰極配線24同士を接続する補助配線25と、を備えている。また、基板20Aの長辺のうちの一方の辺21には、その中央部に基板20Aを他の部材と電気的に接続させる際に用いる実装端子40を備えている。第1陰極配線22Aと第2陰極配線22Bとは、1つの陰極配線22を構成している。
第1陰極配線22Aは、陰極11の両短辺および辺21側とは反対側の陰極11の長辺に対向して平面視コの字型に配置されている。また、第2陰極配線22Bは平面視L字型を備えており、第1陰極配線22Aの両端部にはそれぞれ1つずつ第2陰極配線22Bの一端部が接続されている。また、各第2陰極配線22Bの他端部には接続端子部23が設けられており、接続端子部23は実装端子40の一部を構成して辺21に当接するように設けられている。
実装端子40は、不図示の配線基板を介して有機EL装置1が備える各種配線と接続されている。実装端子40は、有機EL装置1と他の部材とを電気的に接続させる際に用いる。実装端子40は、必要に応じて金や銀などの導電性の高い金属によるメッキを行い、実装端子40での導電性を高めることとしておいても良い。
これら各種配線のうち実装端子40の端部を除いて、ガスバリア層19が形成されている。ガスバリア層19に覆われない部分(露出部分)には、実装端子40の一部を構成する接続端子部23も含んでいる。また、第2陰極配線22Bの備える屈曲部はガスバリア層19に覆われている。
次に、本実施形態の有機EL装置1の具体的な態様を、図3から図7を参照して説明する。
図3は有機EL装置1を模式的に示す断面図である。本実施形態における有機EL装置1は、いわゆる「トップエミッション方式」の有機EL装置である。トップエミッション方式は、光を有機EL素子が配置された基板側ではなく対向する基板側から取り出すため、発光面積が素子基板に配置された各種回路の大きさに影響されず、発光面積を広く確保できる効果がある。そのため、電圧及び電流を抑えつつ輝度を確保することが可能であり、発光素子の寿命を長く維持することができる。
この有機EL装置1は、素子基板20Lと、素子基板20Lの両面に配置された反り緩和基板31a,bと、を備えており、これら素子基板20Lと反り緩和基板31a,bとは、接着層34a,bを介して貼り合わされている。また、素子基板20Lは、複数の発光素子21が配置された基板20Aと、複数の発光素子21を覆って積層して形成される電極保護層17と有機緩衝層18とガスバリア層19の各層からなる封止層と、を備えている。以下の説明においては、基板20Aの配置している側を下側、反り緩和基板31aが配置している側を上側として、各構成の上下関係、積層関係を示すこととする。以下、各構成要素について順に説明する。
基板20Aが備える基板本体20は、無アルカリガラスのような透明基板や、ステンレススチール、銅などの不透明基板を用いることができる。これらの素材では、500℃程度までの耐熱性があるとTFTを形成する際に、基板本体20が変形や品質劣化を起こさないため好ましい。装置全体の軽量化を考慮した場合、3g/cm以上の密度を備えるものが多い金属材料よりも、2.0〜2.4g/cm程度であるガラスの方が低密度であり好ましい。基板本体20の厚みは、剛性維持と軽量化とのバランスのため、0.1〜0.5mmの厚みであると良い。本実施形態では、基板本体20の材料としてガラスを用いる。
基板本体20上には、前述した駆動用TFT123や不図示の各種配線が形成されており、これらの構成を覆って基板本体20の表面の全面に無機絶縁膜14が形成されている。無機絶縁膜14は、例えば窒化シリコンで構成されている。
基板20A上には、基板20Aが備える配線やTFT素子等に由来する表面の凹凸を緩和するための平坦化層16と、平坦化層16に内装されて配置される発光素子21から照射される光を基板本体20と対向する側に反射する機能を有する金属反射層15と、が形成されている。平坦化膜16は、絶縁性の樹脂材料で形成されており、形成方法はフォトリソグラフィを用いるため、材料には例えば感光性のアクリル樹脂や環状オレフィン樹脂などが用いられている。
金属反射層15は、配線と製造工程を兼ねるため、配線材料と同じ例えばアルミニウムやチタン、モリブデン、銀、銅などの金属またはそれらを組み合わせた合金材料で形成されており、光を反射する性質を備えている。本実施形態ではアルミニウムで形成されている。金属反射層15は、後述する発光素子21と基板本体20との間で発光素子21に平面的に重なるように配置されている。
平坦化膜16上であって、金属反射層15と平面的に重なる領域には、発光素子21が配置されており、隣接する発光素子21の間および発光素子21と基板本体20の端部との間には隔壁13が形成されている。隔壁13は平坦化膜16と同様に絶縁性の樹脂材料で形成されており、形成方法はフォトリソグラフィを用いるため、材料には例えば感光性のアクリル樹脂や環状オレフィン樹脂などが用いられている。
隔壁13の頭頂部には、陰極11の導通を補助する補助配線25が形成されている。補助配線25は、アルミニウムや金、銀、銅などの金属材料を使用し、公知の方法を用いて形成することができる。
発光素子21は、陽極10と陰極11に発光層12が挟持されて形成されている。発光素子21を構成する陽極10は、平坦化膜16上に形成され、基板20Aが備える駆動用TFT123に接続されている。また陽極10は、仕事関数が5eV以上の正孔注入効果の高い材料が好適に用いられる。このような正孔注入効果の高い材料としては、例えばITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)等の金属酸化物を挙げることができる。本実施形態ではITOを用いる。
また、上記金属反射層15は、発光層12との距離を制御することでRGBの発光効率を高めることが出来るため、RGB画素ごとに金属反射層15の膜厚を制御して反射する距離を制御することが好ましい。なお、本実施形態の有機EL装置1はトップエミッション方式の発光方法であるため、陽極10は必ずしも光透過性を有する必要は無く、アルミニウム等の光を透さない金属電極を設けることとしてもよい。その場合には、陽極10が光を反射し先述の金属反射層15の機能を兼ね備えるため、金属反射層15は設けなくても良い。
発光層12は、白色に発光する白色発光層を採用している。本実施形態では、この白色発光層は低分子系の発光材料を用いて真空蒸着法を用いて形成されている。白色の発光材料としては、スリチルアミン系発光層にアントラセン系のドーパントをドーピングした層(青色)と、スリチルアミン系発光層にルブレン系のドーパントをドーピングした層(黄色)と、を同時に発光させて白色発光を実現している発光材料を挙げることができる。また、各層の構成を変化させ、赤色、緑色、青色の3色を同時に発光させて白色発光を取り出す3層構造とすることも可能である。
なお、陽極10と発光層12との間に、トリアリールアミン多量体(ATP)層(正孔注入層)、トリフェニルジアミン系誘導体(TPD)層(正孔輸送層)、発光層12と陰極11との間にアルミニウムキノリノール(Alq3)層(電子注入層)、LiF(電子注入バッファー層)をそれぞれ成膜し、各電極からの電子および正孔の注入を容易にさせる構成とすることが好ましい。それぞれの層は、加熱ボートまたは加熱るつぼを用いた真空蒸着法により各層の形成材料を順次形成する。
陰極11は、発光層12と隔壁13との表面を覆って、最も外側(基板20Aの外周部に近い側)に配置された隔壁13の頭頂部に至るまで延在して形成されている。陰極11の形成材料には、電子注入効果の大きい(仕事関数が4eV以下)材料が好適に用いられる。例えば、カルシウムやマグネシウム、ナトリウム、リチウム金属、又はこれらの金属化合物である。金属化合物としては、フッ化カルシウム等の金属フッ化物や酸化リチウム等の金属酸化物、アセチルアセトナトカルシウム等の有機金属錯体が該当する。これらの材料を用いる場合には、金属材料は真空蒸着法、金属化合物はECRプラズマスパッタ法やイオンプレーティング(圧力勾配型プラズマガン成膜)法、対向ターゲットスパッタ法などの高密度プラズマ成膜法を用いて陰極11を形成することができる。
また、これらの材料だけでは、電気抵抗が大きく電極として機能しにくいため、ITOや酸化スズなどの透明な金属酸化物導電層との積層体と組み合わせて用いてもよい。なお、本実施形態では、マグネシウム−銀合金(MgAg)を透明性が得られる20nm以下の膜厚に調整して用いている。陰極11の膜厚は約10nmである。
また、基板20A上であって、基板20Aの外周部近傍の平坦化膜16が形成されていない領域には陰極配線22が形成され、陰極配線22と陰極11とは補助陰極配線24により接続され導通している。
陰極配線22は、陰極11を不図示の電源まで通電させることを目的として形成されており、主に基板20Aの周縁部に設けられる。陰極配線22の形成材料には、電気伝導性の高いアルミニウムやチタン、モリブデン、タンタル、銀、銅などの金属またはそれらを組み合わせた合金が用いられ、これらの材料を単層もしくは多層に積層して形成したものが用いられる。また、陰極配線22の最表層には、陽極10と同じ材料であるITOが形成されている。陽極10の形成時と同時に、陰極配線22の最表層にもITOを形成しておくことで、製造工程におけるフォトリソグラフィ工程での陰極配線22の腐食を防ぐことができる。
補助陰極配線24は、陰極11と陰極配線22との通電を補助する目的で陰極11の端部に設けられている。補助陰極配線24の形成材料には、アルミニウム等の導電性の高い金属が用いられ、マスクを介して真空蒸着法やスパッタ法で成膜して形成される。これらの方法で成膜することで、発光層12へ影響なく補助陰極配線24を形成することができる。補助陰極配線24の膜厚は100nmから500nm程度であることが好ましい。本実施形態では300nmの膜厚の補助陰極配線24を形成している。
さらに、発光素子21の周囲に配置された隔壁13の頭頂部には、補助配線25が形成されている。補助配線25は陰極11および補助陰極配線25に接続しており、表示領域3の中央部と周縁部との電位差を解消している。補助配線25の形成材料には、アルミニウム等の導電性の高い金属が用いられ、マスクを介して真空蒸着法やスパッタ法で成膜して形成される。
基板20A上には、配置されている発光素子21を覆って全面に複数の保護層が積層して層構造を形成している。この保護層として、本実施形態の有機EL装置1は、電極保護層17と有機緩衝層18とガスバリア層19とを備えている。以下、基板20A上に形成されている各層について説明する。
基板20A上には、第1陰極配線22Aの端面を覆い、第1陰極配線22A、補助陰極配線24、陰極11の表面を覆って全面に、電極保護層17が形成されている。この電極保護層17により、20nm以下と非常に薄い陰極11や、その下の発光層12の破損を抑制することができる。また、発光素子21への水分の浸入を防ぐガスバリア層としての機能も兼ね備える。
電極保護層17はECRスパッタ法やイオンプレーティング法などの高密度プラズマ成膜法を用いて形成することができる。形成前には、酸素プラズマ処理を行って形成した膜の密着性を向上させることが好ましい。このようにすることで、陰極11との密着性が向上し、発光ムラを低減させることができる。
電極保護層17は、透明性や密着性、耐水性、絶縁性、更にはガスバリア性を考慮して、酸窒化シリコンや窒化シリコンなどのケイ素化合物で構成することが望ましい。中でも、酸窒化シリコンは、含まれる酸素と窒素の比率を変えることで高い防湿性を維持しながら、膜応力を抑えつつ無色透明な膜とすることが可能であるため好ましい。本実施形態では、酸窒化シリコンを用いて電極保護層17を形成している。
また、電極保護層17の膜厚は、上層に形成する有機緩衝層の形成材料の発光層12への浸透を防ぐ目的で100nm以上とすることが好ましい。また、隔壁13を被覆することで発生する応力によるクラック発生を防ぐため、膜厚の上限は300nm以下に設定することが好ましい。なお、本実施形態においては、電極保護層17を単層で形成しているが、複数層で積層してもよい。例えば、低弾性率の下層と高耐水性の上層とで電極保護層17を構成してもよい。
電極保護層17の上には有機緩衝層18が形成されている。有機緩衝層18は、隔壁13の形状の影響により、凹凸状に形成された電極保護層17の凹凸部分を埋めるように配置され、さらに、その上面は略平坦に形成される。この有機緩衝層18は、基板20Aの反りや体積膨張により発生する応力を緩和し、隔壁13からの電極保護層17の剥離を防止する機能を有する。また、有機緩衝層18の上面が略平坦化されるので、有機緩衝層18上に形成される硬い被膜からなる後述するガスバリア層19も平坦化される。したがって、応力が集中する部位がなくなり、これにより、ガスバリア層19でのクラックの発生を防止することができる。
有機緩衝層18の形成材料としては、流動性に優れ且つ溶媒や揮発成分の無い、全てが高分子骨格の原料となる有機化合物材料であることが好ましく、その様な形成材料としてエポキシ基を有する分子量3000以下のエポキシモノマー/オリゴマーを好適に用いることができる。ここでは、分子量1000以下の原料をモノマー、分子量1000〜3000の原料をオリゴマーとする。例えば、ビスフェノールA型エポキシオリゴマーやビスフェノールF型エポキシオリゴマー、フェノールノボラック型エポキシオリゴマー、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3',4'−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、ε−カプロラクトン変性3,4-エポキシシクロヘキシルメチル3',4'−エポキシシクロヘキサンカルボキレートなどがあり、これらが単独もしくは複数組み合わされて用いられる。
また、有機緩衝層18の形成材料には、エポキシモノマー/オリゴマーと反応する硬化剤が含まれる。このような硬化剤としては、電気絶縁性や接着性に優れ、かつ硬度が高く強靭で耐熱性に優れる硬化被膜を形成するものが好適に用いられ、透明性に優れ且つ硬化のばらつきの少ない付加重合型が好ましい。例えば、3−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、メチル−3,6−エンドメチレン−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物などの酸無水物系硬化剤が好ましい。これらの硬化剤を加えた有機緩衝層18の形成材料は優れた熱硬化性樹脂として振る舞う。
さらに、酸無水物の反応(開環)を促進する反応促進剤として、1,6−ヘキサンジオールなど分子量が大きく揮発しにくいアルコール類や、アミノフェノールなどのアミン化合物を微量添加することで低温硬化しやすくなる。これらの硬化は60〜100℃の範囲で加熱することで行われ、その硬化被膜はエステル結合を持つ高分子となる。
また、硬化時間を短縮するためよく用いられるカチオン放出タイプの光重合開始剤を用いてもよいが、硬化収縮が急激に進まないよう反応の遅いものが良く、また、塗布後の加熱による粘度低下で平坦化を進めるように最終的には熱硬化を用いて硬化物を形成するものが好ましい。更には、陰極11やガスバリア層19との密着性を向上させるシランカップリング剤や、イソシアネート化合物等の捕水剤、硬化時の収縮を防ぐ微粒子などの添加剤が混入されていても良い。
また、有機緩衝層18の最適な膜厚としては、2〜5μmが好ましい。有機緩衝層18の膜厚が厚いほうが異物混入した場合等にガスバリア層19の破損を防ぎやすいが、有機緩衝層18を合わせた層厚が5μmを超えると、後述する着色層32aと発光層12の距離が広がり側面に逃げる光が増えるため光を取り出す効率が低下するためである。
有機緩衝層18の上には、有機緩衝層18の端部を含め全面を被覆し、且つ電極保護層17の全面を覆うガスバリア層19が形成されている。ガスバリア層19は、酸素や水分が浸入するのを防止するためのもので、これにより酸素や水分による発光素子21の劣化等を抑えることができる。ガスバリア層19は、透明性、ガスバリア性、耐水性を考慮して、好ましくは窒素を含むケイ素化合物、すなわち窒化シリコンや酸窒化シリコンなどを用いて形成される。本実施形態では、酸窒化シリコンを用いてガスバリア層19を形成している。
ガスバリア層19は、ECRスパッタ法やイオンプレーティング法などの高密度プラズマ成膜法を用いて形成することができる。形成前には、形成面の酸素プラズマ処理を行って形成した膜の密着性を向上させることが好ましい。また、ガスバリア層19の膜厚は、ガスバリア層19の破損を防ぎガスバリア性を担保するために100nm以上であることが好ましい。また、有機緩衝層18の端部や陰極配線22等の凹凸部を被覆する際にクラックを防ぐために800nm以下であることが好ましい。なお、本実施形態においては、ガスバリア層19を単層で形成しているが、複数層で積層してもよい。
素子基板20Lのガスバリア層19が配置された側には、反り緩和基板31aが対向配置されている。反り緩和基板31aについては後に詳述する。
反り緩和基板31aの素子基板20Lと対向する面には、カラーフィルタ層32が形成されている。カラーフィルタ層32には、透過光を赤色(R)、緑色(G)、青色(B)のいずれかの光に変調する着色層32aがマトリクス状に配列形成されている。この着色層32aの各々は、陽極10上に形成された白色の発光層12に対向して配置されている。これにより、発光層12から射出された光は着色層32aの各々を透過して、赤色光、緑色光、青色光として観察者側に射出され、カラー表示を行うようになっている。
また、隣接する着色層32aの間および着色層32aの周囲には、光漏れを防ぎ視認性を向上させるブラックマトリクス層32bが形成されている。ブラックマトリクス層32bは、発光素子21に平面的に重ならない領域にまで延在して形成されている。そのため、装置側面からの光漏れを効率的に防ぎ画質を向上させることができる。
素子基板20Lと反り緩和基板31aとは接着層34aによって貼り合わされている。接着層34aは、シール層33で囲まれた有機EL装置1の内部に隙間なく充填されており、素子基板20Lに対向配置された反り緩和基板31aを固定し、外部の熱変化で発生する素子基板と反り緩和基板の膨張率の差が生じても剥離することなく緩和し、かつ外部からの機械的衝撃に対して緩衝機能を有し、発光層12やガスバリア層19を保護する機能を備える。
接着層34aの形成材料の主成分としては、有機溶媒のような揮発成分を除去した有機化合物材料である必要があり、アクリル系やポリウレタン系、エポキシ系接着剤などの透明性の高い液状の材料を使用する。好ましくは、耐熱性が高く高透明で、かつガスバリア層である酸窒化シリコンとの接着性に優れる熱硬化型エポキシ系接着剤が好ましい。これらを塗布形成し、60〜100℃の加熱による硬化工程により固体化させる。
接着層34aを形成するための材料には、基板間の距離を制御するための所定粒径の球状粒子(スペーサ)や、粘度を調整するため燐片状や塊状の無機材料(無機フィラー)などの充填物が混合されていることが多いが、これらの充填物は貼り合わせ圧着時にガスバリア層19を損傷させるおそれがあるため、本実施形態ではこれらの充填物が混入していない形成材料を用いる。
接着層34aの形成材料の塗布時の粘度は、200〜1000mPa・s(室温)が好ましい。理由は、貼り合わせ後の空間への材料充填性を考慮したもので、加熱直後に一度粘度が下がってから硬化が始まる材料が好ましい。また、含水量は1000ppm以下に調整された材料であることが好ましい。
また、接着層34aとして上記のような硬化工程によって完全に固体化する材料でなくても、アクリル系粘着剤やゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤のような、貼り合せ後も恒久的に粘着性を保持する材料を用いてもよい。これらの粘着性材料は、完全固体化できないため耐熱性など劣るものの、硬化設備が不要になり製造コスト面で有利である。
接着層34aの膜厚はブラックマトリクス層32bの幅との関係により最適な値が決まるが、一般には3〜10μmが好ましい。接着層34aがこの程度の厚みを備えると、接着層34aの膜厚と先述した有機緩衝層18等の各保護層の膜厚との合計が最大で15μm程度になる。この合計膜厚が15μmを超えると、カラーフィルタ層32と発光素子21との間の距離が広がりすぎ、発光素子21から射出される光のうち装置側面に逃げる光の割合が増えるため、光取り出し効率が悪くなるためである。本実施形態では、接着層34aの層厚を5μmに形成している。
また、反り緩和基板31aとの関係においては、反り緩和基板31aの厚みの5分の1以下の膜厚が好適である。この膜厚だと反り緩和基板31aの曲げ弾性率に影響を与えないため好ましい。接着層34aの膜厚の制御は、接着層34aの形成材料を配置する量を制御することで行う。
基板本体20の発光素子21と対向しない面には、反り緩和基板31aと対を成す反り緩和基板31bが配置されている。反り緩和基板31bと基板本体20とは、接着層34bにより接着されている。接着層34aと同様の性質を備える。
素子基板20Lの端部(図では右端)では、陰極配線22が外部に露出しており実装端子40を形成している。実装端子40には、フレキシブル基板等により形成された別部材の配線基板50が接続されており、配線基板50上には他の装置との接続に用いる接続配線が形成されている。有機EL装置1は、配線基板50を介して他の装置と接続され、例えば表示画面としての機能を示す。
(反り緩和基板)
次いで、本発明の特徴部分である反り緩和基板31a,31bについて詳細に説明する。反り緩和基板31a、31bは、有機EL装置1の表示面および裏面に付設される。
一般に樹脂材料はガラスよりも密度が小さいため、基板本体20をガラスで形成し、基板本体20の対向基板を樹脂材料で形成すると、同じ厚みの対向基板をガラスで形成する場合よりも軽量化を図ることができる。しかし、基板本体20をガラス、対向基板を樹脂材料で形成すると、基板本体20と対向基板との線膨張係数の差に起因して、基板本体20と対向基板との間に熱膨張率・熱収縮率(熱変形率)の差が生じる。
この熱変形率の差は、装置全体に反り・歪みを生じさせる。そこで、この反りを防ぐため本発明では基板本体20の発光素子21を配置しない面にも樹脂材料の基板を配置し、熱変形による装置の反りを防止する。本発明では、ここで説明した対向基板と、基板本体の裏面に配置する樹脂材料の基板とを合わせて反り緩和基板としている。
反り緩和基板31a,bは、低密度材料を用いることによる軽量化と、基板本体を両面から挟持することによる耐屈曲性の向上とを同時に実現している。これらの目的に合致した反り緩和基板とするために、以下のような形成材料を用いることが好ましい。
両反り緩和基板の形成材料の密度は、1.0g/cm以上1.5g/cm以下の範囲のものが好ましく、1.0g/cm以上の密度であれば汎用の樹脂材料を用いることができる。また、1.5g/cmを越える密度の形成材料では、ガラスと比較した場合の軽量化メリットが少なくなる。
両反り緩和基板の形成材料の線膨張係数は、熱応力によるパネルの反りを考慮して、2つの反り緩和基板の線膨張係数が近い材質を選定することが好ましく、双方とも200ppm/℃以下が好ましい。更に、基板本体20の形成材料の線膨張係数と近い値のものが好ましく、本実施形態では基板本体20の形成材料であるガラスの線膨張係数(約8ppm/℃)に近い形成材料がより好ましい。線膨張係数は、ASTM D696示される方法にて測定することできる。
両反り緩和基板の形成材料は、ヤング率が0.1GPa以上15GPa以下の範囲のものが好ましい。形成材料のヤング率が0.1GPa未満であると剛性が低すぎて基板の補強が出来ず、15GPaより大きくなると、屈曲圧力に耐えられず脆性破壊しやすく、なるためである。
両反り緩和基板の形成材料のヤング率は、ASTM D638やJIS K7161に示される引張り試験の結果から得られる引張り弾性率を用いても良く、また、ASTM D790やJIS K7171に示される3点曲げ試験の結果から得られる曲げ弾性率を用いて引張り弾性率に近似することとしても良い。本実施形態では、ASTM D790準拠の測定により得られる曲げ弾性率を用いる。
3点曲げ試験において試験片の曲げ弾性率(ヤング率)E(Pa)は、試験片の幅をb(mm)、厚みをd(mm)、支点間距離をL(mm)、荷重をP(N)、たわみ量をh(mm)とすると、以下の式(1)で表すことができる。
Figure 2009199979
上式より、ヤング率は厚みの3乗に比例するため、反り緩和基板31aの形成材料のヤング率をE、反り緩和基板31bの形成材料のヤング率をEとすると、両反り緩和基板に同じ荷重が加わる場合に同じたわみ量になるためには、反り緩和基板31aの厚みdおよび反り緩和基板31bの厚みdが以下の式(2)を満たすものとすればよい。
Figure 2009199979
または、上式(2)を満たさないまでも、各反り緩和基板の形成材料のヤング率と厚みの3乗との積同士を比較し、一方の積の値が他方の積の値の0.5倍から1.5倍の範囲内の値であると、反りを緩和する効果が得られる。もちろん、両反り緩和基板を同じ形成材料で形成することとしても良く、その場合には両反り緩和基板の厚みを等しくすることが好ましい。
両反り緩和基板の厚みは、基板の補強のため50μm以上が好ましく、また重量や材料コストを考慮して1000μm以下であることが好ましい。本実施形態では両反り緩和基板を200μmの厚みに形成する。
両反り緩和基板の形成材料としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PC(ポリカーボネート)、PI(ポリイミド)、PE(ポリエチレン)、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などの透明プラスチックを用いることができる。図4は、これらの形成材料のヤング率、密度、線膨張係数を示す表である。表に示すように、これらの形成材料は、比較例としてあげるエラストマーまたはゴムや、ガラスと比べ、反り緩和基板に好適な材料となる物性を備えている。
なかでも、耐熱水性(耐加水分解性)と高い透明性、熱変形量(線膨張係数)の低さなどから、PENの2軸延伸フィルムを好適に用いることができる。上記材料で同様に延伸フィルムを用いる場合、1軸延伸フィルムでは配向状態や熱変形に異方性が生じるため、2軸延伸フィルムを用いることが望ましい。本実施形態では、両反り緩和基板の形成材料にPENの2軸延伸フィルムを用いる。
以上のような構成の有機EL装置1によれば、反り緩和基板31a,bの形成材料の選択により軽量化することができ、素子基板を一対の反り緩和基板31a,bで挟持しているため、素子基板と反り緩和基板31a,bとの間に発生する熱応力同士が相殺し合い、全体として熱応力を緩和するために、装置の反りを緩和し軽減することができる。更に、反り緩和基板31a,bの形成材料は基板本体20の形成材料よりも低ヤング率であるため、装置に反りが生じても破損しにくい。したがって、装置を軽量化と装置の反りの防止とを両立し、高品位な表示を実現する有機EL装置1とすることができる。
また、本実施形態では、発光素子21上に電極保護層17、有機緩衝層18、ガスバリア層19の3層構造の封止層を備えることとしている。そのため、発光素子21へ浸透する水分を捕捉する乾燥剤が不要であり、確実な水分浸透防止が可能である上に、乾燥剤を用いた中空構造の有機EL装置と比べて装置に生じる反りによって破損しにくく、熱変形に強い構造を備えた有機EL装置1とすることができる。
また、本実施形態では、反り緩和基板31a,bを、厚さが200μmのPENフィルムで形成することとしている。そのため、好適なヤング率、線膨張係数、膜厚を備えた良好な反り緩和基板31a,bとすることができ、高品質な有機EL装置1とすることができる。
また、本実施形態では、両接着層の層厚は5μmである。反り緩和基板31a,bの曲げ特性に影響を与えない程度の薄膜となっているため、反り緩和基板31a,bの設計が容易となり、適切に物性を制御した反り緩和基板31a,bを備える有機EL装置1とすることができる。
なお、本実施形態においては、接着層34aの形成材料には、粒子状の充填材を含まないこととしたが、ガスバリア層19を損傷させない程度に弾性率が小さい有機材料の球状粒子を混合することとしてもよい。
また、本実施形態においては、ガスバリア層19は窒化シリコンまたは酸窒化シリコンを用いることとしたが、酸化シリコンを用いることとしても構わない。その場合、酸化シリコンは窒化シリコンや酸窒化シリコンと比べると透湿性が高いため、窒化シリコンや酸窒化シリコンを用いて形成するガスバリア層19よりも厚く成膜することが望ましい。
また、本実施形態においては、発光層12の形成材料として低分子系の発光材料を用いているが、高分子系の発光材料を用いて公知の方法により発光層を形成することとしても良い。高分子材料としては、例えばポリフルオレン誘導体(PF)、ポリパラフェニレンビニレン誘導体(PPV)、ポリフェニレン誘導体(PP)、ポリパラフェニレン誘導体(PPP)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、ポリチオフェン誘導体、ポリメチルフェニルシラン(PMPS)などのポリシラン系などが好適に用いられる。また、これらの高分子材料に、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素などの高分子系材料や、ルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等の低分子材料をドープして用いることもできる。
また、本実施形態においては、発光素子21から射出される白色光をカラーフィルタ層32で変調して各色の光を表示することとしたが、カラーフィルタ層を用いず、発光素子の備える発光層に赤色発光層、緑色発光層および青色発光層を用い、各色の光をそれぞれ独立に射出することとしてもよい。
また、本実施形態においては、トップエミッション方式を採用することとしたが、ボトムエミッション方式を採用していることとしても同様に効果がある。ボトムエミッション方式の場合には、陽極10はITO等の光透過性の形成材料を用い、金属反射層15は不要となる。また、陰極11は、光を反射する性質を備え、各発光層から放出される光を基板20A側に向けて反射する反射膜と、低い電気抵抗を兼ね備える材料・膜厚で形成することが望ましい。例えば、陰極11の形成材料にマグネシウム−銀合金(MgAg)を使用し、50nm〜200mmに成膜することで実現することができる。
また、本実施形態においては、反り緩和基板31a,bはPENのみで構成しているが、図5に示す有機EL装置2のように、反り緩和基板31a,bの装置外側に、ITO、ZnO、GaZnOなどの金属酸化物からなる放熱層(機能層)36を積層した多層構造とすることも可能である。放熱層36の形成材料として透明性を備えるITOやZnOを用いることで、非表示面のみならず表示面にも放熱機能を持たせることができる。更には、表面耐磨耗性を得るためのハードコート層や、太陽光から発光素子21を守る紫外線遮断/吸収層などの別の機能を備えた機能膜を備えることとすることもできる、また、反り緩和基板31a,bの装置内側に他の機能膜を備えることとしても良い。これらの場合、装置中心からの積層順が、反り緩和基板31a,bにおいて同じになるような配置で積層させると好ましい。
(有機EL装置の製造方法)
次に、図6および図7を参照して本実施形態における有機EL装置1の製造方法を説明する。ここで、図6は有機EL装置1の基板20Aに各種保護層を積層させた層構造を形成し素子基板20Lとするまでの工程図であり、図7は素子基板20Lと反り緩和基板31a,bとを貼りあわせ有機EL装置1とするまでの工程図である。
電子機器が備える基板は、生産性向上のため、一枚の大きな原板の上に幾つもの基板構成を形成した後に所定の大きさの基板に切り分ける、いわゆる多面取りで作成されることが多い。以下の説明では、有機EL装置1を多面取りで形成する工程を示しており、原板上に一度に形成される複数の有機EL装置のうち一部を断面視した図を用いて工程を示している。
まず、図6(a)に示すように、陰極11までが積層された基板20Aに電極保護層17を形成する。例えば、前述のように窒化シリコンや酸窒化シリコンなどを、ECRスパッタ法やイオンプレーティング法等の高密度プラズマ成膜法により成膜する。なお、透明無機材料として、酸化シリコンなどの無機酸化物や、LiFやMgF等のアルカリハライドを、真空蒸着法や高密度プラズマ成膜法により積層して電極保護層17としてもよい。
次に、図6(b)に示すように、有機緩衝層18を電極保護層17上に形成する。具体的には、まず減圧雰囲気下でスクリーン印刷法により有機緩衝層18の形成材料を配置する。減圧雰囲気下で有機緩衝層18の形成材料を配置することで、有機緩衝層18の形成材料やスクリーンメッシュに含まれる揮発性の不純物や水分を極力除去することができる。また、スクリーン印刷法ではスキージによる摩擦により配置した材料の表面が強制的に平坦化されるため、他の材料配置方法と比較して材料表面を平坦にすることが可能である。
有機緩衝層18の形成材料は、前述のように複数の材料が混合されているが、これらの原料ごとの粘度は、1000mPa・s(室温:25℃)以上であることが望ましい。塗布直後に発光層12へ浸透して、ダークスポットと呼ばれる非発光領域を発生させないためである。また、これらの原料を混合した有機緩衝層18の形成材料の粘度としては、特に2000〜10000mPa・s(室温)が好ましく、スクリーン印刷法による塗布のし易さと、成膜精度との兼ね合いにより、3000〜7000mPa・s(室温)であることが好ましい。本実施形態では有機緩衝層18の形成材料の粘度は5000mPa・sである。また、含水量をあらかじめ10ppm以下に調整しておくと、電極保護層17に欠陥が生じても陰極11や発光素子21の変質を防ぐことができ、また、減圧環境下での発泡が抑えられ作業が容易になるため好ましい。
続いて、配置した有機緩衝層18の形成材料を60〜100℃の範囲で加熱して硬化させる。この加熱硬化は、大気圧での水分が10ppm以下に管理された窒素雰囲気下において行われる。この際、加熱直後から反応が開始されるまでの間は、一時的に有機緩衝層18の形成材料の粘度が低下するため、形成材料が電極保護層17や陰極11を透過して発光層12に浸透しダークスポットを発生させるおそれがある。そこで、ある程度硬化が進むまでは60〜80℃の低温で硬化し、ある程度反応が進んで高粘度化したところで80度以上に温度を上げて完全硬化させることが好ましい。
次に、図6(c)に示すように、ガスバリア層19を有機緩衝層18上に形成する。具体的には、ECRスパッタ法やイオンプレーティング法などの高密度プラズマ成膜法で形成する。なお形成前には、酸素プラズマ処理によって密着性を向上させると信頼性が向上するため好ましい。また、製造の際には、ガスバリア層19と電極保護層17とを同一の材料にて形成すると、製造工程や製造装置の簡略化を図ることができる。こうした場合には、ガスバリア層19を形成する際に用いるマスクと電極保護層17を形成する際に用いるマスクは共通のマスクが使用可能である。
一方、反り緩和基板31a,bにおいては、図7(a)に示すように、カラーフィルタ層32が形成された反り緩和基板31aに接着層形成材料35aを、反り緩和基板31bに接着層形成材料35bを配置する。配置方法としては、例えばスクリーン印刷法や、グラビアロールやアニロックスロール、コンマロールなどの転写用ローラを用いた転写式塗布法を用いることができる。なお、両接着層の形成材料は、必ずしも反り緩和基板の全面に塗布する必要はなく、ジェットディスペンス法などの方法を用い、必要量を配置面の複数箇所に分けて塗布することとしても良い。
続いて、反り緩和基板31aの接着層形成材料35aを塗布した面とガスバリア層19とを対向させ、また、反り緩和基板31bの接着層形成材料35bを塗布した面と素子基板20Lの基板20A側の面とをそれぞれ対向させて貼り合わせる。この際、反り緩和基板31aにはカラーフィルタ層32が形成されているため、精密アライメントによる位置あわせの後に貼り合わせる。この貼り合わせ工程は、接着層形成材料中の気泡を除去するために、例えば真空度が1Paの減圧雰囲気下で行うことが好ましい。また、同じ理由のために加圧雰囲気下で貼り合わせ工程を行うこととしても良い。
本実施形態に係る接着層34a,bの形成材料の塗布時の粘度は200〜1000mPa・s(室温)であることが好ましい。接着層の形成材料がこのような粘度を備えていると、貼り合わせ面の凹凸内部に良好に形成材料を充填することができる。
次に、図7(b)に示すように、圧着して貼り合わせた有機EL装置1を大気中で加熱して、両接着層形成材料の硬化を完了させ接着層34a,bとする。接着層34a,bの硬化が基板本体20の両側で同時に進行するため、接着層34a,bの形成材料の硬化収縮による反りの発生を抑制することができる。また、温度条件または硬化剤の配合を制御し、加熱直後には形成材料の粘度が一旦低下した後に硬化が始まる様にすると、貼り合わせ面の凹凸内部に良好に形成材料を充填することができる。
次に、図7(c)に示すように、実装端子40にペースト状のはんだを印刷した配線基板50を配置し、加熱しはんだ付けを行うリフロー工程によって配線基板50を取り付ける。その後、複数の基板構成を形成した原板から各単位に切り離すことで、前述した本実施形態における所望の有機EL装置1を得ることができる。
以上のような構成の有機EL装置の製造方法では、素子基板20Lの両面に接着層形成材料35a,bを配置する工程が不要であるため、素子基板20Lの両面に対して反り緩和基板31a,bを同時圧着することができる。そのため、片面ずつ取り付ける場合と比べ工程を削減することができる。更に、両面の接着層34a,bの形成を同時に行うことができるため、接着層形成材料35a,bの硬化収縮を素子基板20Lの両面で同時に生じさせることができる。したがって、硬化収縮による反りの影響が無く、良好な有機EL装置1を製造することができる。
また、本実施形態では、反り緩和基板31a,bを圧着する工程を、減圧雰囲気下において行うこととしている。そのため、水分や気泡が原因となる反り緩和基板31a,bの剥離や、表示画像の低下の無い高品質な有機EL装置1を製造することができる。
なお、本実施形態では、リフロー工程により配線基板50を取り付けた後に原板から各単位に切り離すこととしたが、切り離し後に配線基板50を取り付けることとすることもできる。
また、本実施形態では、両反り緩和基板を取り付けた後に、リフロー工程により配線基板50を取り付けることとしたが、両反り緩和基板の取り付け前に配線基板50の取り付けを行うこともできる。その場合、両反り緩和基板はリフロー工程に曝されることがないため、両反り緩和基板の熱履歴を減らし、熱による歪みや劣化を抑制することができる。また、リフロー工程は一般に200℃近い温度条件であるため、リフロー工程に曝される反り緩和基板は該温度条件に耐えるのに十分な耐熱性を備えることが必要となるが、前記のように取り付け順を逆にするとリフロー工程に耐えるほどの耐熱性が必要ではなくなるため、反り緩和基板の材料選択の幅が広げることができる。
また、本実施形態では、両反り緩和基板を同時に取り付けることとしたが、一方ずつ取り付けることとしても構わない。
[電子機器]
次に、本発明の有機EL装置を用いた電子機器の実施形態について説明する。図8は、本発明の有機EL装置を用いた電子機器の一例としてのテレビジョン受像機を示す斜視図である。図8に示すテレビジョン受像機1300は、受信機本体(筐体)1302、スピーカーなどの音声出力部1304、上述した有機EL装置1を用いた表示部1306を備える。これにより、反りや歪みの無い高品質な表示部1306を具備し軽量な薄型大画面テレビ1300を提供することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
本発明に係る有機EL装置の配線構造を示す模式図である。 本発明に係る有機EL装置の構成を模式的に示す平面図である。 本発明に係る有機EL装置の構成を模式的に示す断面図である。 本発明の反り緩和基板の形成材料の例を示す表である。 本発明に係る有機EL装置の変形例を示す断面図である 本発明に係る有機EL装置の製造工程図である。 本発明に係る有機EL装置の製造工程図である。 本発明の有機EL装置を備えた電子機器を示す図である。
符号の説明
1,2…有機エレクトロルミネッセンス装置、3…表示領域、12…有機発光層、17…電極保護層(封止層)、18…有機緩衝層(封止層)、19…ガスバリア層(封止層)、20…基板本体(基板)、20A…基板、20L…素子基板、21…発光素子、31a,b…反り緩和基板、34a,b…接着層、36…放熱層(機能層)、50…配線基板(接続配線)

Claims (14)

  1. 基板と、
    一対の電極間に有機発光層を挟持した複数の発光素子と、
    前記基板上に前記複数の発光素子が配置されて形成される表示領域と、
    少なくとも前記基板上の前記表示領域を覆って形成され、前記表示領域の周辺部で前記基板と当接する封止層と、を有する素子基板と、を備えた有機エレクトロルミネッセンス装置であって、
    前記素子基板を挟持して設けられた一対の反り緩和基板を有しており、
    前記一対の反り緩和基板は、前記基板と一方の前記反り緩和基板との線膨張係数の差に起因して生じる前記素子基板の反りを、前記基板と他方の前記反り緩和基板との線膨張係数の差に起因して生じる前記素子基板の反りによって緩和し、
    前記反り緩和基板の形成材料は、前記基板の形成材料よりもヤング率が低く且つ前記基板の形成材料よりも密度が低いことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置。
  2. 前記封止層は、前記表示領域を覆って全面に形成され、前記表示領域の周辺部で前記基板と当接する電極保護層と、
    前記電極保護層上に形成され、前記表示領域を覆う有機緩衝層と、
    前記有機緩衝層の全面を覆って形成され、前記表示領域の周辺部で前記電極保護層と当接するガスバリア層と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  3. 前記反り緩和基板は、厚さが50μm以上1000μm以下の範囲の値であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  4. 前記一対の反り緩和基板は、それぞれ前記素子基板との間に形成された接着層を介して貼り合わせられ、
    前記接着層の厚さは、隣接する前記反り緩和基板の厚さの5分の1以下であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  5. 前記反り緩和基板の形成材料は、ヤング率が0.1GPa以上15GPa以下の範囲の値であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  6. 前記反り緩和基板の形成材料は、線膨張係数が200ppm/℃よりも小さいことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  7. 一方の前記反り緩和基板の厚さの3乗と該反り緩和基板の形成材料のヤング率との積が、他方の前記反り緩和基板の厚さの3乗と該反り緩和基板の形成材料のヤング率との積の0.5倍以上1.5倍以下の範囲の値であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  8. 前記反り緩和基板の形成材料が、ポリエチレンナフタレートを含むことを特徴とする請求項7に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  9. 前記一対の反り緩和基板は、形成材料が同じ線膨張係数を備えることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  10. 前記一対の反り緩和基板は、同じ形成材料であることを特徴とする請求項9に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  11. 前記一対の反り緩和基板は、表面に透明導電性の金属酸化物を含む機能層を備えることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  12. 一対の電極の間に有機発光層を挟持した複数の発光素子を有する素子基板を備えた有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、
    前記有機エレクトロルミネッセンス装置は、前記素子基板を挟持して貼り合わせられ、前記素子基板の両面から該素子基板の反りを抑制する一対の反り緩和基板を有し、
    前記一対の反り緩和基板の各々の片面にあらかじめ前記一対の反り緩和基板と前記素子基板とを貼りあわせる接着層の形成材料が塗布され、該一対の反り緩和基板の前記接着層の形成材料を配置した面と前記素子基板とを対向配置して、前記素子基板の両面から同時に圧着する工程を備えることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
  13. 前記圧着する工程は、減圧または加圧雰囲気下において行うことを特徴とする請求項12に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
  14. 前記有機エレクトロルミネッセンス装置は、前記素子基板に接続し他の装置と電気的に導通させる接続配線を有し、
    前記圧着する工程に先立って、所定の熱処理条件で熱処理を行って前記接続配線と前記素子基板とを接続する工程を備えることを特徴とする請求項12または13に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
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