JP5806633B2 - モータ制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、モータに電力を供給するインバータを、PWM信号によってスイッチング制御するモータ制御装置、これを含むモータ制御システム、および電気車システムに関する。
従来より、モータの駆動制御に、インバータが広く用いられている。すなわち、直流電力をインバータの正負母線間に供給し、インバータのスイッチングを制御することで、モータ駆動電流を制御する。そして、インバータによるモータ駆動電流の制御には、インバータのスイッチング素子をPWM信号によってオンオフするPWM制御が利用される場合が多い。
このPWM制御では、三角波キャリアの周波数と、電圧制御指令の周波数が近づいてくると、ビート現象が生じることがある。このため、三角波キャリアの周波数を電圧制御指令の周波数の整数倍として両者を同期させる同期PWM制御が提案されている(特許文献1参照)。
また、PWM制御では、各相のモータ電流を検出し、これに応じて電圧指令を生成する。従って、適切なモータ電流検出が望まれるが、同期PWM制御ではモータ電流がキャリアに応じて脈動し、正確なモータ電流値を検出することが難しい。
特許文献2では、電圧位相各指令値に同期した座標系であるP軸、Q軸を設定し、この3相モータ電流をP軸、Q軸に3相/2相変換し、Q軸成分の電流リップルIQhが「0」になる位相角で電流検出値をサンプリングホールドし、直前のサンプリングホールド値と最新のサンプリングホールド値の平均値を電流検出値とすることが示されている。なお、サンプリングホールドは、位相角60°区域に2回行われる。
特開2006−230195号公報 特許第4102114号公報 特開2010−200537号公報
ここで、同期PWM制御において、PWM信号によりインバータを制御した際におけるモータ電流中の高調波成分を抑制することを目的として、予め定められたPWM波形を用いる低次高調波消去PWM制御が知られている(特許文献3参照)。
特許文献2の電流サンプリングタイミングの前提はその段落0078に記載されるように、IPhが60°毎の区域において30°,0Aの点を中心とした点対称波形、IQhが60°毎の区域において30°を中心とした線対称波形である。しかし、低次高調波消去PWMを行った場合等、Q軸成分の電流リップルIQhが「0」になる位相角における、P軸成分の電流リップルIPhは同じ大きさで交互に繰り返す誤差でないため、平均値が「0」にならず、電流の基本波成分を抽出することができない場合がある。
また、変調率及びパルス数に対応したサンプリングタイミングのマップを複数個持つ必要があり、ECUのメモリを多く必要とし、かつ同期PWMの種類(三角波比較PWM,低次高調波消去PWMなど)によってマップが異なり、その都度マップの作成が必要となる。
本発明に係るモータ制御装置は、モータ供給されるモータ電流を検出する電流検出手段と、前記電流検出手段で検出したモータ電流値をサンプルホールドするサンプルホールド手段と、前記サンプルホールド手段によってサンプルホールドされたモータ電流値を移動平均する移動平均手段と、前記モータの回転周波数及びトルク指令に基づき電圧指令を生成する電圧指令生成手段と、前記モータの回転周波数及び前記トルク指令に基づきPWM信号を生成するPWM信号生成手段と、前記生成されたPWM信号をインバータに出力するPWM信号出力手段と、前記モータの回転周波数及びトルク指令に基づき、前記モータの1電気周期中のパルス数を算出するパルス数算出手段と、を備え、前記サンプルホールド手段は、モータ電流の位相角0°を基準にして60°間を8以上の整数で除算した角度間隔で、モータ電流値をサンプルホールドし、前記移動平均手段は、60°分ずつ、モータ電流値を移動平均し、前記電圧指令生成手段は、前記移動平均されたモータ電流値に応じたモータ電流及びトルク指令に基づき前記電圧指令を生成し、前記PWM信号生成手段は、前記パルス数に基づき、前記電圧指令と同期した前記PWM信号を生成し、前記インバータは、前記PWM信号に基づいたモータ電流を前記モータに供給する。
また、前記サンプルホールドされたモータ電流値を、回転座標系であるd軸、q軸上のd軸及びq軸電流値に変換する変換手段、を備え、前記移動平均手段は、60°分ずつ、前記変換されたd軸及びq軸電流値を移動平均することが好適である。
また、前記PWM信号は、前記パルス数に対応したPWM波形のデューティ比を前記電圧指令に応じて変更した信号であることが好適である。
また、前記サンプルホールド手段は、60°間を8以上であって2のべき乗の整数で除算した角度間隔で、前記モータ電流値をサンプルホールドすることが好適である。
また、本発明に係るモータ制御システムは、上述したモータ制御装置と、前記モータと、前記インバータと、を備える。
また、本発明に係る電気車システムは、上述したモータ制御システムを備える。
本発明によれば、モータ電流を60°間の値を8以上の整数で除算した角度間隔でサンプルホールドし、60°分ずつ移動平均する。60°を区切りとしてその中のサンプリングにより適切なモータ電流検出が行え、またサンプリングした値を平均化することによって、ローパスフィルタによるアナログ検出値の積分に比べ、時間遅れを生じることなく安定した電流値検出が行える。
第1実施形態の構成を示すブロックである。 パルス数と電流歪み率の関係を示す図である。 変調率と、パルス数の関係を回転数−トルクマップ上で示す図である。 従来のパルス数決定を示す図である。 パルス数決定方法を示す図である。 パルス数決定のフローチャートである。 電流検出値を示す波形(低次高調波消去PWM、3パルス、力行)である。 電流検出値を示す波形(低次高調波消去PWM、5パルス、力行)である。 電流検出値を示す波形(低次高調波消去PWM、7パルス、力行)である。 電流検出値を示す波形(低次高調波消去PWM、11パルス、力行)である。 11〜19パルスの波形及び変調率と切り換えタイミングの関係を示す図である。 電流検出値を示す波形(低次高調波消去PWM、15パルス、力行)である。 電流検出値を示す波形(低次高調波消去PWM、19パルス、力行)である。 電流検出値を示す波形(低次高調波消去PWM、5パルス、回生)である。 電流検出値を示す波形(低次高調波消去PWM、7パルス、回生)である。 電流検出値を示す波形(低次高調波消去PWM、9パルス、回生)である。 ローパスフィルタを用いた電流検出値を示す波形(低次高調波消去PWM、5パルス、力行)である。 実施形態の電流検出値を示す波形(低次高調波消去PWM、5パルス、力行)である。
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
<第1実施形態の装置構成>
図1は、実施形態に係るモータ制御装置を含むモータ制御システムの構成を示すブロック図である。このモータ制御システムは、電気車に搭載され、モータ10が電気車の駆動に用いされる。この例において、駆動対象となるモータ10は、三相の交流モータであり、そのロータの回転位置(位相角)がレゾルバや、ホール素子などの回転検出器12によって検出される。
モータの出力トルクについての目標値であるトルク指令と、回転検出器12によって検出された回転位置から得られた回転周波数が電圧指令生成部14に供給される。電圧指令生成部14では、トルク指令と回転数から得た回転周波数(回転角速度ω/2π)に基づいて、電圧指令vd,vqを生成する。この電圧指令vd,vqは、ベクトル制御における励磁電圧指令vd,トルク電圧指令vqである。なお、モータはポール数によって、電気周波数と機械周波数が異なる。そこで、本明細書においては、機械的な周波数は無視し、回転周波数は、電気周波数(モータ電流(電圧)の周波数)、周期は電気周期(モータ電流(電圧)の周期)をいう。
また、モータ10の三相のモータ電流iu,iv,iwを電流検出手段である電流センサ22によって検出する。三相の内の2相のモータ電流を検出することで三相のモータ電流を検出できるため、この例では、2相のモータ電流を検出している。
電流センサ22の出力は、サンプリング手段であるサンプラー24に供給され、ここで所定のサンプリングポイントにおけるモータ電流がサンプリングされる。このサンプラー24におけるサンプリングについては、後述する。
サンプラー24において、所定の間隔でサンプリングされた三相のモータ電流は、3相/dq軸変換部26において、dq軸電流id,iqにそれぞれ変換される。得られたdq軸電流id,iqは、移動平均化部28に供給され、ここで60°分が移動平均される。そして、得られた平均値であるidav,iqavが電圧指令生成部14に供給される。
電圧指令生成部14は、トルク指令から計算した目標dq軸電流id*,iq*と比較して、PI制御による電圧指令vd,vqを生成する。また、目標d,q軸電流id*,iq*と、回転角速度ωから、電圧指令vd,vqの計算は、次式によって行われる。
ここで、Rは抵抗、Ldはd軸インダクタンス、Lqはq軸インダクタンス、Φはモータコイルに鎖交する磁束の大きさである。また、トルク指令をτとすると、τ=Φiq*+(Ld−Lq)id*・iq*の関係があり、通常はモータの効率を最大にするようにid*,iq*を決定する。また、温度変化による抵抗値変化、デッドタイムによる電圧誤差等は除いてある。
このように、回転位置から回転角速度ωを求め、トルク指令からid*,iq*を求めることで、電圧指令vd,vqが算出される。
また、この電圧指令生成部14には、インバータの入力電圧(正負母線間電圧)VHも供給されており、電圧指令の振幅をVHで除算することで変調率を計算する(下式)。
このように、電圧指令生成部14では、電圧指令vd、vqと、変調率を計算し、これをPWM信号生成部16に供給するが、変調率をパルス数生成部18に供給する。このパルス数生成部18では、供給される変調率に基づいて非同期PWM制御とするか、同期PWM制御とするか、及び同期PWM制御の際のパルス数を決定する。このパルス数の決定は、モータの回転周波数(電気周波数)に応じて、インバータのスイッチング周波数が所定の上限値を上回らないように決定すればよいが、モータ損失を考慮することも好適である。
このようにして、パルス数生成部18で生成されたパルス数はPWM信号生成部16に供給される。なお、このパルス数生成部18によるパルス数の生成については、後述する。
電圧指令生成部14からの電圧指令vd、vqと、変調率と、パルス数生成部18からのパルス数(非同期PWMについての指令も含む)は、PWM信号生成部16に供給される。なお、PWM信号生成部16には、回転位置の信号も供給されている。そこで、PWM信号生成部16では、モータ10を駆動するためにインバータ20の各スイッチング素子をオンオフするPWM信号を生成する。
すなわち、回転位置を参照して電圧指令vd、vqについて、dq軸→3相変換するとともに、変調率に基づきPWM波形を決定し、さらにパルス数により同期PWM制御の際のパルス数を決定して、各スイッチング素子をオンオフするPWM信号を生成する。
ここで、このPWM信号生成部16においては、三角波と電圧指令の比較に基づきPWM信号を発生するのではなく、低次高調波消去PWMによりPWM信号を生成する。この低次高調波消去PWM制御では、各パルス数の低次高調波を消去できるPWM波形を予め記憶しておき、このPWM波形を用いて同期PWM制御が行われる。
すなわち、PWM信号生成部16では、同期PWM制御を行う場合に、供給されてくるパルス数に応じて、PWM信号の波形を決定し、変調率に応じてその波形のデューティ比を変更する。これによって、低次高調波を消去できるとともに、所期のモータの同期PWM制御を行うことができる。
インバータ20は、正負母線間に2つのスイッチング素子の直列接続からなるレグを3本有し、これらレグの中点を三相のモータ10の各相コイル端に接続している。そして、6つのスイッチング素子をPWM信号生成部16からのPWM信号でそれぞれスイッチング制御することで、モータ10の3相のコイルに三相のモータ駆動電流を供給する。
なお、インバータ20の正負母線間には、バッテリなどの直流電源から電圧VHの直流電力が供給される。
このようにして、インバータ20のスイッチングを制御することで、モータ10にトルク指令に応じた駆動電流を供給して、モータ10の駆動を制御することが可能となる。
例えば、電気自動車や、ハイブリッド自動車などでは、アクセルの踏み込み量などからトルク指令が決定され、これに応じて走行用モータの駆動が制御される。
<パルス数の生成>
ここで、パルス数生成部18におけるパルス数の生成について説明する。図2には、変調率と、電流歪み率の関係を示してある。電流歪み率は、モータ電流をFFT(高速フーリエ変換)解析して得た周波数成分について、電流歪み率=(高調波成分/基本波)で計算したものである。このように、パルス数が多いほど電流歪み率が小さくなる。このような関係は、モータの構成とPWM制御におけるパルス波形を決定することで計算ができる。
そして、電流歪み率について、モータ10の駆動において許容される上限である、閾値を設定し、その中でなるべくパルス数が小さくなるようにしてパルス数を決定する。このようにして、パルス数が少ないことで、スイッチング損失を低くし、電流歪み率が小さいことでモータ損失を小さくできる。
図2の例において、各パルス数の電流歪み率が閾値と交わる点の変調率は、おおむね次のようになっている。3パルス:0.6、5パルス:0.53、7パルス:0.41、11パルス:0.3、15パルス:0.24。従って、変調率に応じて、パルス数を次のように決定することで、電流歪み率を閾値以下に維持しつつ、パルス数をなるべく少なくすることが可能となる。なお、変調率は0.78が上限であり、それ以上は1パルスの矩形波制御となる。そこで、変調率0.78〜0.6(a1)以上:3パルス、0.6(a1)〜0.53(a2):5パルス、0.53(a2)〜0.41(a3):7パルス、0.41(a4)〜0.3(a5):11パルス、0.3(a5)〜0.24(a6):15パルス。
この変調率とパルス数の関係を、モータ回転周波数と、モータ出力トルク(トルク指令)の関係とともに図3に示す。図において、1p〜19pは、パルス数を示す。
このように、本実施形態では、変調率によりパルス数を決定するため、単に回転周波数によってパルス数が決定されるのではなく、出力トルクによってもパルス数が変化する。すなわち、出力トルク及び回転周波数によって変調率が決定され、そのときのパルス数が決定される。図3からわかるように、同じ回転周波数であっても出力トルクが大きくなるとパルス数が少なくなり、これによって電流歪み率を所定値以下に抑制しつつパルス数を少なくすることができる。
なお、図4には、従来の回転周波数に応じたパルス数の決定方法を示している。このように、基本的に回転周波数のみにより、パルス数を決定し、その時の出力トルクにはよらない。従って、電流歪み率が大きくなり、モータ損失が大きくなる場合が生じる。
パルス数生成部18では、変調率とパルス数の関係をテーブルとして持っておいたり、判定処理を行うなどの方法で、電圧指令生成部14から供給される変調率に対し、パルス数を決定することができる。
図5には、パルス数生成部18におけるパルス数の決定法を示してある。この例では、パルス数の変更にヒステリシスを持たせている。すなわち、変調率の切り換えポイントan(nは添え字ナンバー)に対し、若干小さな値a1nをそれぞれ設定しておき、変調率が下がってパルス数を増加する場合には、a1nを用い、変調率が上がってパルス数を減少する場合には、anを用いる。これによって、パルス数の制御を安定することができる。
図6には、図5のパルス数決定方法を実行するフローチャートを示す。このように、変調率Aの値によって、パルス数Sを決定することができる。
ここで、上述したように、トルク指令、回転周波数と変調率には一定の関係があり、変調率を用いなくても、同様のパルス数の決定が行える。そこで、パルス数生成部18に、回転周波数、トルク指令を供給し、これらからパルス数を決定するとよい。例えば、回転周波数と出力トルク(トルク指令)に応じてパルス数が決定されるように2入力に対しパルス数を出力するテーブルを用意しておき、パルス数を決定するとよい。
なお、本実施形態においては、図4に示すようなパルス数の決定方法を採用してもよい。
<モータ電流のサンプリング>
ここで、本実施形態では、上述のように、同期PWM制御において低次高調波消去PWMを用いる。このため、パルス数により波形が決定されており、そのデューティ比が電圧指令に応じて変更される。
そして、同期PWMで駆動した場合のモータの各相波形は、0°〜60°,60°〜120°,120°〜180°の3つのパターンに分解され、180°〜360°はその反転となっている。また、各相は位相が120°異なっているが、dq軸電流波形をみると、すべて60°の間隔の波形の繰り返しである。
なお、各相モータ電流は、基本的に位相が120°ずつ異なった同様の波形であり、dq軸電流の位相角は、各相モータ電流の位相角に対応する。
そこで、本実施形態では、サンプラー24は、電気周期60°の区間において、16(2)で除算した、3.75°毎にサンプリングポイントを設定して、データをサンプリングしている。すなわち、各パルス数で同期PWMで駆動した場合のモータのdq軸波形を検討することで、60°を8で除算した各点(8点)以上のサンプリングを行い、これらの平均値をとることで、適切なdq軸電流が得られることがわかった。
特に、q軸波形は比較的滑らかに変化するが、d軸波形は三角波の繰り返しであり、パルス数によって60°内の波数が変化している。3パルスで1波、19パルスで5波であり、パルス数が多くなるに従って波数が増えているが、60°に8ポイント程度のサンプリングにより、適切な平均値が得られた。
なお、3相/dq軸変換を行った後にサンプリングすることも可能であるが、サンプリングした後はデジタル処理を行うため、サンプラー24でモータ電流をサンプリングして、得られた値を3相/dq変換することが好ましい。
本実施形態において、サンプラー24は、電気周期60°の区間において、16(2)で除算した、3.75°毎にサンプリングポイントを設定して、データをサンプリングしている。
図7〜図13には、3パルス、5パルス、7パルス、9パルス、11パルス、15パルス、19パルスにおける、各相PWM波形、dq軸電流波形、サンプリングポイント、平均値を示す。なお、これら図7〜図13は、モータを力行状態で駆動した場合のものであり、モータを回生状態とした場合については5,7,9パルスの場合について図14〜16に示す。
これらより、本実施形態により、パルス数が異なっていても、dq軸電流の基本成分を抽出して、十分正確なdq軸電流の検出が行える。特に、力行時、回生時のいずれにおいても、正確なdq軸電流の検出が行えることが理解される。
なお、デジタル演算で、平均処理を行う都合上、60°の区間について、2のべき乗の等間隔でサンプリングすることが好適である。すなわち、60°の区間において、8,16,32,64個などのサンプリングポイントを設定することで、演算制御部における演算付加を軽減して効率的な演算を行うことができる。
本実施形態においては、1〜19パルスを採用した。最小値は1パルスとするが、最大は、必ずしも19でなくてもよいが、あまり大きいと同期の意味が薄れるため、19パルス程度を上限とすることが好適である。また、低次高調波消去PWM制御では、パルス数を奇数とするため、13パルス、17パルスなどを採用してもよい。
<平均化>
このように、本実施形態では、サンプラー24において、データをサンプリングし、サンプリングした値について、平均化処理を行っている。
通常のモータ駆動制御において、モータ電流をについて、ローパスフィルタを利用して、アナログ的にモータ電流を検出していた。これに対し、本実施形態では、上述したように、適切なサンプリング数のサンプリングを行い、これを平均することで、dq軸電流を検出する。
ここで、移動平均化部28では、dq軸電流の基本波成分を、dq軸電流のサンプリング値を16回分の移動平均で算出する。
id = { ids(n)+ids(n-1)+ids(n-2)+ids(n-3)+…+ids(n-14)+ids(n-15) } / 16
iq = { iqs(n)+iqs(n-1)+iqs(n-2)+iqs(n-3)+…+iqs(n-14)+iqs(n-15) } / 16
この時、演算制御を行うECU(電子制御ユニット)の演算を軽減するため、除算の替わりにビットシフトで算出することが望ましい。
id = { ids(n)+ids(n-1)+ids(n-2)+ids(n-3)+…+ids(n-14)+ids(n-15) } >> 3
iq = { iqs(n)+iqs(n-1)+iqs(n-2)+iqs(n-3)+…+iqs(n-14)+iqs(n-15) } >> 3
ここで、「>>」はビットシフトを表す。また、ids,iqsはdq軸電流のサンプリング値を示す。このように、除算する値を2のべき乗にすることで、ビットシフトにより除算を行うことができ、演算負荷を軽減することができる。
図17には、5パルス力行時における、dq軸電流とそれをローパルフィルタで処理して検出したdq軸電流を示してある。このように、検出値に時間遅れが生じる。なお、ローパルフィルタの時定数を小さくすれば、応答性は改善できるが、検出値の安定性が十分でなくなるため、図14に示されるような時間遅れを避けることは困難である。
図18には、同一のモータ電流に対し、本実施形態における60°間に16サンプリングして、得られた16点の検出値を平均処理して得たdq軸電流を示す。
これから、本実施形態により、時間遅れがなく正確なdq軸電流検出が行えることが理解される。
10 モータ、12 回転検出器、14 電圧指令生成部、16 PWM信号生成部、18 パルス数生成部、20 インバータ。

Claims (6)

  1. モータ供給されるモータ電流を検出する電流検出手段と、
    前記電流検出手段で検出したモータ電流値をサンプルホールドするサンプルホールド手段と、
    前記サンプルホールド手段によってサンプルホールドされたモータ電流値を移動平均する移動平均手段と、
    前記モータの回転周波数及びトルク指令に基づき電圧指令を生成する電圧指令生成手段と、
    前記モータの回転周波数及び前記トルク指令に基づきPWM信号を生成するPWM信号生成手段と、
    前記生成されたPWM信号をインバータに出力するPWM信号出力手段と、
    前記モータの回転周波数及びトルク指令に基づき、前記モータの1電気周期中のパルス数を算出するパルス数算出手段と、
    を備え、
    前記サンプルホールド手段は、モータ電流の位相角0°を基準にして60°間を8以上の整数で除算した角度間隔で、モータ電流値をサンプルホールドし、
    前記移動平均手段は、60°分ずつ、モータ電流値を移動平均し、
    前記電圧指令生成手段は、前記移動平均されたモータ電流値に応じたモータ電流及びトルク指令に基づき前記電圧指令を生成し、
    前記PWM信号生成手段は、前記パルス数に基づき、前記電圧指令と同期した前記PWM信号を生成し、
    前記インバータは、前記PWM信号に基づいたモータ電流を前記モータに供給する、
    モータ制御装置。
  2. 前記サンプルホールドされたモータ電流値を、回転座標系であるd軸、q軸上のd軸及びq軸電流値に変換する変換手段、
    を備え、
    前記移動平均手段は、60°分ずつ、前記変換されたd軸及びq軸電流値を移動平均する、
    請求項1記載のモータ制御装置。
  3. 前記PWM信号は、前記パルス数に対応したPWM波形のデューティ比を前記電圧指令に応じて変更した信号である、
    請求項1または2記載のモータ制御装置。
  4. 前記サンプルホールド手段は、60°間を8以上であって2のべき乗の整数で除算した角度間隔で、前記モータ電流値をサンプルホールドする、
    請求項1乃至のいずれか記載のモータ制御装置。
  5. 請求項1乃至のいずれか記載のモータ制御装置と、
    前記モータと、
    前記インバータと、
    を備える、
    モータ制御システム。
  6. 請求項記載のモータ制御システムを備える電気車システム。
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