JP5805578B2 - 化合物 - Google Patents

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Description

本発明は、有機発光素子、または有機金属錯体およびこれらのいずれか一を用いた発光装置、または電子機器、または照明装置に関する。
有機化合物を用いた素子の一例として、発光性の有機化合物や無機化合物を発光材料に用いた発光素子の開発が行われている。例えば、一対の電極間に発光材料を含む発光層が設けられた単純な構造を備えるEL(Electroluminescence)素子と呼ばれる発光素子が研究されている。
EL素子は単純な構造を備えるため、薄型化・軽量化が容易である。またEL素子は入力信号に対して高速に応答できる、比較的低い電圧(数Vから数十V程度)の直流電源で駆動できる、または大きな面積で膜状に形成できる等の特徴から、表示装置や照明装置への応用が進められている。
EL素子は、発光層を挟む一対の電極から電子及びホールを注入し、該発光層において電子及びホールを再結合してエネルギーを生じさせ、該エネルギーを用いて発光層中に励起状態の発光物質を生成し、該励起状態の発光物質が基底状態に戻る際に発する光を取り出して用いるものである。
発光物質の励起状態には、一重項励起状態(S)と三重項励起状態(T)がある。そして、発光素子におけるその統計的な生成比率は、S:T=1:3であると考えられている。
一重項励起状態から発光する化合物(以下、蛍光性化合物という)は、室温において一重項励起状態からの発光(蛍光)のみが観測され、その三重項励起状態からの発光(燐光)は観測されない。そして、S:T=1:3であることから、蛍光性化合物を用いた発光素子における内部量子効率(注入したキャリアに対して発生するフォトンの割合)の理論的限界は25%とされている。
一方、三重項励起状態から発光する化合物(以下、燐光性化合物という)を用いたEL素子は、一重項励起状態からの三重項励起状態への項間交差を含めると、内部量子効率は75〜100%にまで理論上は可能となる。つまり、蛍光性化合物を用いたEL素子に比べて3〜4倍の発光効率が可能となる。このような理由から、高効率な発光素子を実現するために、燐光性化合物を用いた発光素子の開発が近年盛んに行われている。特に、燐光性化合物としては、その燐光量子収率の高さゆえに、イリジウム等を中心金属とする有機金属錯体が注目されており、例えば、特許文献1には、イリジウムを中心金属とする有機金属錯体が燐光材料として開示されている。
国際公開第2000/070655号
燐光性化合物を適用した有機発光素子であっても、内部量子効率が理論限界に達する程度にまで向上された訳ではなく、いまだ改善の余地がある。
本発明の一態様は、このような技術的背景のもとでなされたものである。したがって、発光効率の高い有機発光素子を提供することを課題の一とする。または、発光効率の高い有機金属錯体を提供することを課題の一とする。または、発光効率の高い発光素子を提供することを課題の一とする。または、発光効率が高く消費電力が低減された発光装置を提供することを課題の一とする。または、消費電力が低減された電子機器を提供することを課題の一とする。または、消費電力が低減された照明装置を提供することを課題の一とする。
上記目的を達成するために、有機発光素子の発光波長を長波長化することなく発光効率を向上する方策を検討し、有機発光素子に用いる燐光性化合物の分子吸収係数を高め、または会合し難くすることを考えた。そして、燐光性有機金属イリジウム錯体の配位子について、共鳴効果(R効果(Resonance effect)ともいう)による発光波長の長波長化を引き起こすことなく、燐光性化合物の配位子に電子を供与して錯体の吸収係数を高め、または燐光性化合物の配位子を嵩高くして会合を防ぐ構成を検討した。その結果、電子供与性の誘起効果(I効果(Inductive effect)ともいう)および嵩高い構造を有する、脂環式置換基に着目した。そして、オルトメタル化されたアリール基が、ピリジンまたは単環ジアジンなどの含窒素六員環複素芳香環の、イリジウム又は白金に配位する窒素原子のα炭素と結合し、該六員環の複素芳香環、又は該アリール基がトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカニル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などの分子内に炭素−炭素橋架け結合を有する脂環炭化水素を有する燐光性有機金属錯体を有機発光素子に適用する構成に想到し、上記課題の解決に至った。
すなわち、本発明の一態様は燐光性有機金属錯体を含む有機発光素子であり、該燐光性有機金属錯体は、金属と、該金属に配位する窒素原子を含む六員環の複素芳香環と、を有し、該金属はイリジウム又は白金であり、該窒素原子のα炭素原子にはアリール基が結合しており、該アリール基は該金属に結合することによりオルトメタル化しており、該六員環の複素芳香環、又は該アリール基は分子内に炭素−炭素橋架け結合を有する脂環炭化水素を置換基として有する。なお、該六員環の複素芳香環はピリジンまたは単環ジアジンが好ましく、該脂環炭化水素はトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカニル基、ノルボルニル基またはアダマンチル基のいずれかが好ましい。なお本明細書中では、窒素原子を含む六員環の複素芳香環とは、該複素芳香環の環を構成する原子のうち少なくとも一つが窒素原子であることを意味する。
該燐光性有機金属錯体の配位子に結合したトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカニル基、ノルボルニル基またはアダマンチル基などの脂環炭化水素は、共鳴効果による発光波長の長波長化を引き起こすことなく、その誘起効果により該配位子に電子を供与する。電子が供与された配位子を備える燐光性有機金属錯体は分子吸収係数が高く、ホスト材料に分散して用いると、当該ホスト材料から効率よくエネルギーを受容できる。または、トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカニル基、ノルボルニル基またはアダマンチル基などの嵩高い脂環炭化水素が結合した配位子を備える燐光性有機金属錯体は、分子間距離が大きくなるため会合せず、そのため濃度消光し難い。
このような燐光性有機金属錯体を用いることで、発光効率の高い有機発光素子を提供できる。
本発明の一態様で用いられる上記燐光性有機金属錯体では、該燐光性有機金属錯体の最低三重項励起状態が金属−配位子結合構造にて形成されることにより、該金属−配位子結合構造に由来する燐光発光が得られる。これにより、高い発光効率が得られる。
また、本発明の一態様は、上記のアリール基が置換または無置換のフェニル、ビフェニル乃至ナフチルから選ばれた上記燐光性有機金属錯体を含む、上記の有機発光素子である。
このような構成の燐光性有機金属錯体は発光波長が長波長化する現象(レッドシフトともいう)が抑制され、赤色、黄色又は緑色を呈する光を高い効率で発する。このような燐光性有機金属錯体を用いることで、発光効率が高い発光素子を提供できる。
また、本発明の一態様は、下記一般式(G1)で表される構造を有する燐光性有機金属錯体を含む有機発光素子であり、該燐光性有機金属錯体はイリジウム又は白金である金属Mと、該金属Mに配位するピリミジン環と、を有し、該金属Mに配位する窒素原子のα炭素原子にはフェニル基が結合しており、該フェニル基は該金属Mに結合することによりオルトメタル化しており、置換基R、R、R、R、R、R乃至Rのうち、R、R、R及びRのいずれか一は分子内に炭素−炭素橋架け結合を有する脂環炭化水素であり、他はそれぞれ独立に、水素、ハロゲン、置換または無置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基、置換または無置換の炭素数1〜4のアルキルチオ基、置換または無置換の炭素数1〜4のハロアルキル基、若しくは置換または無置換の炭素数6〜10のアリール基のいずれかである。なお、前記脂環炭化水素はトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカニル基、ノルボルニル基またはアダマンチル基から選ばれるのが好ましい。
金属Mの配位子に結合したトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカニル基、ノルボルニル基またはアダマンチル基などの脂環炭化水素は、共鳴効果による発光波長の長波長化を引き起こすことなく、その誘起効果により該配位子に電子を供与する。電子が供与された配位子を備える燐光性有機金属錯体は分子吸収係数が高く、ホスト材料に分散して用いると、当該ホスト材料から効率よくエネルギーを受容できる。または、トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカニル基、ノルボルニル基またはアダマンチル基などの嵩高い脂環炭化水素が結合した配位子を備える燐光性有機金属錯体は、分子間距離が大きくなるため会合せず、濃度消光し難い。
このような構成の燐光性有機金属錯体は発光波長が長波長化する現象(レッドシフトともいう)が抑制され、赤色、黄色又は緑色を呈する光を高い効率で発する。このような燐光性有機金属錯体を用いることで、発光効率が高い発光素子を提供できる。
また、本発明の一態様は、下記一般式(G1)で表される構造を有する燐光性有機金属錯体を含む上記の有機発光素子であり、置換基R、R、R、R、R、R乃至Rのうち、Rは分子内に炭素−炭素橋架け結合を有する脂環炭化水素であり、他はそれぞれ独立に、水素、ハロゲン、置換または無置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基、置換または無置換の炭素数1〜4のアルキルチオ基、置換または無置換の炭素数1〜4のハロアルキル基、若しくは置換または無置換の炭素数6〜10のアリール基のいずれかである。なお、前記脂環炭化水素はトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカニル基、ノルボルニル基またはアダマンチル基から選ばれるのが好ましい。
金属Mに配位するピリミジン環の置換基Rがトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカニル基、ノルボルニル基またはアダマンチル基などの脂環炭化水素であると、その誘起効果により該配位子は電子を供与され、該燐光性有機金属錯体の分子吸収係数が特に大きくなる。このような燐光性有機金属錯体を用いることで、発光効率の高い有機発光素子を提供できる。
また、本発明の一態様は、下記一般式(G1)で表される構造を有する燐光性有機金属錯体であり、イリジウム又は白金である金属Mと、該金属Mに配位するピリミジン環と、を有し、該金属Mに配位する窒素原子のα炭素原子にはフェニル基が結合しており、該フェニル基は該金属Mに結合することによりオルトメタル化しており、置換基R、R、R、R、R、R乃至Rのうち、R、R、R及びRのいずれか一は分子内に炭素−炭素橋架け結合を有する脂環炭化水素であり、他はそれぞれ独立に、水素、ハロゲン、置換または無置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基、置換または無置換の炭素数1〜4のアルキルチオ基、置換または無置換の炭素数1〜4のハロアルキル基、若しくは置換または無置換の炭素数6〜10のアリール基のいずれかである。なお、前記脂環炭化水素はトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカニル基、ノルボルニル基またはアダマンチル基から選ばれるのが好ましい。
配位子に結合したトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカニル基、ノルボルニル基またはアダマンチル基などの脂環炭化水素は、共鳴効果による発光波長の長波長化を引き起こすことなく、誘起効果により配位子に電子を供与する。電子が供与された配位子を備える燐光性有機金属錯体は分子吸収係数が高く、ホスト材料に分散して用いると、当該ホスト材料から効率よくエネルギーを受容できる燐光性有機金属錯体を提供できる。
または、トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカニル基、ノルボルニル基またはアダマンチル基などの嵩高い脂環炭化水素が結合した配位子を備える燐光性有機金属錯体は、分子間距離が大きくなるため会合せず、濃度消光し難い。
また、本発明の一態様は、下記一般式(G1)で表される構造を有する上記の燐光性有機金属錯体であり、置換基R、R、R、R、R、R乃至Rのうち、Rは分子内に炭素−炭素橋架け結合を有する脂環炭化水素であり、他はそれぞれ独立に、水素、ハロゲン、置換または無置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基、置換または無置換の炭素数1〜4のアルキルチオ基、置換または無置換の炭素数1〜4のハロアルキル基、若しくは置換または無置換の炭素数6〜10のアリール基のいずれかである。なお、前記脂環炭化水素はトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカニル基、ノルボルニル基またはアダマンチル基から選ばれるのが好ましい。
金属Mに配位するピリミジン環の置換基Rがトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカニル基、ノルボルニル基またはアダマンチル基などの脂環炭化水素であると、誘起効果により該配位子は電子を供与され、該燐光性有機金属錯体の分子吸収係数が特に大きくなり、発光効率が高くなる。
また、本発明の一態様は、金属Mがイリジウムである上記の構造を有する燐光性有機金属錯体である。
金属Mがイリジウムであると、スピン−軌道相互作用が大きくなる。また、金属Mと配位子が金属−炭素結合を有していることから、配位子のピリミジン環への電荷の移動(三重項MLCT(Metal to Ligand Charge Transfer)遷移ともいう)が起こり易くなる。その結果、燐光発光のような禁制遷移が生じやすくなる上に、三重項励起寿命も短くなり、該燐光性有機金属錯体の発光効率を高める効果を奏する。
また、本発明の一態様は下記一般式(G2)で表される燐光性有機金属錯体であり、イリジウムと、該イリジウムに配位するピリミジン環と、モノアニオン性配位子Lと、を有し、該イリジウムに配位する窒素原子のα炭素原子にはフェニル基が結合しており、該フェニル基は該イリジウムに結合することによりオルトメタル化しており、置換基R、R、R、R、R、R乃至Rのうち、R、R、R及びRのいずれか一は分子内に炭素−炭素橋架け結合を有する脂環炭化水素であり、他はそれぞれ独立に、水素、ハロゲン、置換または無置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基、置換または無置換の炭素数1〜4のアルキルチオ基、置換または無置換の炭素数1〜4のハロアルキル基、若しくは置換または無置換の炭素数6〜10のアリール基のいずれかである。なお、該脂環炭化水素はトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカニル基、ノルボルニル基またはアダマンチル基から選ばれるのが好ましい。
また、本発明の一態様は上記の燐光性有機金属錯体であり、置換基R、R、R、R、R、R乃至Rのうち、Rは分子内に炭素−炭素橋架け結合を有する脂環炭化水素であり、他はそれぞれ独立に、水素、ハロゲン、置換または無置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基、置換または無置換の炭素数1〜4のアルキルチオ基、置換または無置換の炭素数1〜4のハロアルキル基、若しくは置換または無置換の炭素数6〜10のアリール基のいずれかである。なお、該脂環炭化水素はトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカニル基、ノルボルニル基またはアダマンチル基から選ばれるのが好ましい。
イリジウムに2つのピリミジン環と、1つのモノアニオン性の配位子Lと、が配位する構成により、燐光量子収率が高くなる。これは、イリジウムに対する配位子の対称性が崩れることに起因すると考えられる。
また、本発明の一態様は、上記のモノアニオン性配位子がβジケトンである上記の燐光性有機金属錯体である。
モノアニオン性配位子としてβジケトンを用いると、昇華温度を低くできるため蒸着膜の作製が容易である。また、真空蒸着時の加熱により分解し難く、材料の使用効率が高い。または、分解生成物が蒸着膜に混入し難く、蒸着膜の特性の低下を招きにくく、発光素子の信頼性を向上できる。
また、本発明の一態様は下記一般式(G3)で表される燐光性有機金属錯体であり、イリジウムと、該イリジウムに配位するピリミジン環と、を有し、該イリジウムに配位する窒素原子のα炭素原子にはフェニル基が結合しており、該フェニル基は該イリジウムに結合することによりオルトメタル化しており、置換基R、R、R、R、R、R乃至Rのうち、R、R、R及びRのいずれか一は分子内に炭素−炭素橋架け結合を有する脂環炭化水素であり、他はそれぞれ独立に、水素、ハロゲン、置換または無置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基、置換または無置換の炭素数1〜4のアルキルチオ基、置換または無置換の炭素数1〜4のハロアルキル基、若しくは置換または無置換の炭素数6〜10のアリール基のいずれかである。なお、該脂環炭化水素はトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカニル基、ノルボルニル基またはアダマンチル基から選ばれるのが好ましい。
イリジウムに3つのピリミジン環が配位する構成により、耐熱性が高まる効果を奏する。そして、真空蒸着時の加熱により分解し難く、材料の使用効率が高い。または、分解生成物が蒸着膜に混入し難く、蒸着膜の特性の低下を招きにくく、発光素子の信頼性を向上できる。また、化学的に安定であることも、信頼性の向上の要因と考えられる。
また、本発明の一態様は下記一般式(G3)で表される上記の燐光性有機金属錯体であり、置換基R、R、R、R、R、R乃至Rのうち、Rは分子内に炭素−炭素橋架け結合を有する脂環炭化水素であり、他はそれぞれ独立に、水素、ハロゲン、置換または無置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基、置換または無置換の炭素数1〜4のアルキルチオ基、置換または無置換の炭素数1〜4のハロアルキル基、若しくは置換または無置換の炭素数6〜10のアリール基のいずれかである。なお、該脂環炭化水素はトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカニル基、ノルボルニル基またはアダマンチル基から選ばれるのが好ましい。
イリジウムに3つのピリミジン環が配位する構成により、耐熱性が高まる効果を奏する。そして、真空蒸着時の加熱により分解し難く、材料の使用効率が高い。または、分解生成物が蒸着膜に混入し難く、蒸着膜の特性の低下を招きにくく、発光素子の信頼性を向上できる。さらに、イリジウムに配位するピリミジン環の置換基Rがトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカニル基、ノルボルニル基またはアダマンチル基などの分子内に炭素−炭素橋架け結合を有する脂環炭化水素から選ばれた一であると、その誘起効果により該配位子は電子を供与され、該燐光性有機金属錯体の分子吸収係数が特に大きくなり易く、発光効率が高い。
または、該燐光性有機金属錯体は、ホスト材料に分散して用いると当該ホスト材料から効率よくエネルギーを受容できる。
また、本発明の一態様は、上記の発光素子を備える発光装置である。
また、本発明の一態様は、上記の発光装置を表示部に備える電子機器である。
また、本発明の一態様は、上記の発光装置を備える照明装置である。
上記燐光性有機金属錯体は、ピリジンまたは単環ジアジンなどの、窒素原子を含有する六員環複素芳香環を有し、該窒素原子はイリジウム又は白金に配位し、該窒素原子のα炭素原子にオルトメタル化されたアリール基が結合し、該六員環の複素芳香環、又は該アリール基がトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカニル基、ノルボルニル基またはアダマンチル基などの分子内に炭素−炭素橋架け結合を有する脂環炭化水素を置換基として有する。上記燐光性有機金属錯体をホスト材料に分散して用いると、当該ホスト材料から効率よくエネルギーを授受でき、互いの距離が遠くなるため濃度消光し難い。このような燐光性有機金属錯体が適用された発光素子を備えるため、発光効率が高く、消費電力が低減された発光装置、電子機器、照明装置を提供できる。
なお、本明細書において、EL層とは発光素子の一対の電極間に設けられた層を示すものとする。従って、電極間に挟まれた発光物質である有機化合物を含む発光層はEL層の一態様である。
また、本明細書において、物質Aを他の物質Bからなるマトリクス中に分散する場合、マトリクスを構成する物質Bをホスト材料と呼び、マトリクス中に分散される物質Aをゲスト材料と呼ぶものとする。なお、物質A並びに物質Bは、それぞれ単一の物質であっても良いし、2種類以上の物質の混合物であっても良いものとする。
本発明の一態様によれば、発光効率の高い有機発光素子を提供できる。または、発光効率の高い有機金属錯体を提供できる。または、発光効率の高い発光素子を提供できる。または、発光効率が高く消費電力が低減された発光装置を提供できる。または、消費電力が低減された電子機器を提供できる。または、消費電力が低減された照明装置を提供できる。
実施の形態に係る発光素子を説明する図。 実施の形態に係る発光素子を説明する図。 実施の形態に係る発光素子に用いることができるホスト材料の励起状態を説明する図。 実施の形態に係る発光装置を説明する図。 実施の形態に係る発光装置を説明する図。 実施の形態に係る電子機器を説明する図。 実施の形態に係る照明装置を説明する図。 実施例に係る素子の構成を説明する図。 実施例に係る発光素子の外部量子効率−輝度特性を説明する図。 実施例に係る発光素子の輝度−電圧特性を説明する図。 実施例に係る発光素子が発する光を説明する色度図。 構造式(100)に示す有機金属錯体のH−NMRチャート。 構造式(100)に示す有機金属錯体の紫外・可視吸収スペクトル及び発光スペクトル。 実施例に係る発光素子の外部量子効率−輝度特性を説明する図。 実施例に係る発光素子の輝度−電圧特性を説明する図。 実施例に係る発光素子が発する光を説明する色度図。 構造式(108)に示す有機金属錯体のH−NMRチャート。 構造式(108)に示す有機金属錯体の紫外・可視吸収スペクトル及び発光スペクトル。 構造式(111)に示す有機金属錯体のH−NMRチャート。 構造式(111)に示す有機金属錯体の紫外・可視吸収スペクトル及び発光スペクトル。 構造式(128)に示す有機金属錯体のH−NMRチャート。 構造式(128)に示す有機金属錯体の紫外・可視吸収スペクトル及び発光スペクトル。
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の、オルトメタル化されたアリール基が、イリジウム又は白金に配位する窒素原子のα炭素原子に結合した、ピリジンまたは単環ジアジンなどの六員環の複素芳香環を有し、該六員環の複素芳香環、又は該アリール基がトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカニル基、ノルボルニル基またはアダマンチル基を置換基として有する燐光性有機金属錯体が、一対の電極に挟持された発光性の有機化合物を含む層に適用された発光素子の一例について図1及び図2を参照して説明する。具体的には、当該燐光性有機金属錯体をホスト材料に分散して、発光層として用いる構成について説明する。
本実施の形態で例示する発光素子は、第1の電極、第2の電極及び第1の電極と第2の電極の間に発光性の有機化合物を含む層(以下EL層という)を備える。第1の電極または第2の電極のいずれか一方は陽極、他方が陰極として機能する。
EL層は第1の電極と第2の電極の間に設けられ、該EL層の構成は第1の電極と第2の電極の材質に合わせて適宜選択すればよい。以下に発光素子の構成の一例を例示するが、発光素子の構成がこれに限定されないことはいうまでもない。
<発光素子の構成例1.>
発光素子の構成の一例を図1(A)に示す。図1(A)に示す発光素子は、陽極1101と陰極1102の間にEL層1103が挟まれている。
陽極1101と陰極1102の間に、発光素子の閾値電圧より高い電圧を印加すると、EL層1103に陽極1101の側から正孔が注入され、陰極1102の側から電子が注入される。注入された電子と正孔はEL層1103において再結合し、EL層1103に含まれる発光物質が発光する。
EL層1103は、少なくとも発光物質を含む発光層を備えていればよく、発光層以外の層と積層された構造であっても良い。発光層以外の層としては、例えば正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、正孔輸送性に乏しい(ブロッキングする)物質、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、並びにバイポーラ性(電子及び正孔の輸送性の高い)の物質等を含む層が挙げられる。
EL層1103の具体的な構成の一例を図1(B)に示す。図1(B)に示すEL層1103は、正孔注入層1111、正孔輸送層1112、発光層1113、電子輸送層1114、並びに電子注入層1115が陽極1101側からこの順に積層されている。
<発光素子の構成例2.>
発光素子の構成の他の一例を図1(C)に示す。図1(C)に例示する発光素子は、陽極1101と陰極1102の間にEL層1103が挟まれている。さらに、陰極1102とEL層1103との間には中間層1104が設けられている。なお、当該発光素子の構成例2のEL層1103には、上述の発光素子の構成例1と同様の構成が適用可能であり、詳細については、発光素子の構成例1の記載を参酌できる。
中間層1104は少なくとも電荷発生領域を含んで形成されていればよく、電荷発生領域以外の層と積層された構成であってもよい。例えば、第1の電荷発生領域1104c、電子リレー層1104b、及び電子注入バッファー1104aが陰極1102側から順次積層された構造を適用することができる。
中間層1104における電子と正孔の挙動について説明する。陽極1101と陰極1102の間に、発光素子の閾値電圧より高い電圧を印加すると、第1の電荷発生領域1104cにおいて、正孔と電子が発生し、正孔は陰極1102へ移動し、電子は電子リレー層1104bへ移動する。電子リレー層1104bは電子輸送性が高く、第1の電荷発生領域1104cで生じた電子を電子注入バッファー1104aに速やかに受け渡す。電子注入バッファー1104aはEL層1103に電子を注入する障壁を緩和し、EL層1103への電子注入効率を高める。従って、第1の電荷発生領域1104cで発生した電子は、電子リレー層1104bと電子注入バッファー1104aを経て、EL層1103のLUMO準位に注入される。
また、電子リレー層1104bは、第1の電荷発生領域1104cを構成する物質と電子注入バッファー1104aを構成する物質が界面で反応し、互いの機能が損なわれてしまうことを防ぐことができる。
発光素子の構成例2の陰極に用いることができる材料の選択の幅は、構成例1の陰極に用いることができる材料の選択の幅に比べて、広い。なぜなら、構成例2の陰極は中間層が発生する正孔を受け取ればよく、仕事関数が比較的大きな材料を適用できるからである。
<発光素子の構成例3.>
発光素子の構成の他の一例を図2(A)に示す。図2(A)に例示する発光素子は、陽極1101と陰極1102の間にEL層が2つ設けられている。さらに、EL層1103aと、EL層1103bとの間には中間層1104が設けられている。
なお、陽極と陰極の間に設けるEL層は2つに限定されない。図2(B)に例示する発光素子は、EL層1103が複数積層された構造、所謂、タンデム型の発光素子の構成を備える。但し、例えば陽極1101と陰極1102の間にn(nは2以上の自然数)層のEL層1103を設ける場合には、m(mは自然数、1以上(n−1)以下)番目のEL層と、(m+1)番目のEL層との間に、それぞれ中間層1104を設ける構成とする。
また、当該発光素子の構成例3のEL層1103には、上述の発光素子の構成例1と同様の構成を適用することが可能であり、また当該発光素子の構成例3の中間層1104には、上述の発光素子の構成例2と同様の構成が適用可能である。よって、詳細については、発光素子の構成例1、または発光素子の構成例2の記載を参酌できる。
EL層の間に設けられた中間層1104における電子と正孔の挙動について説明する。陽極1101と陰極1102の間に、発光素子の閾値電圧より高い電圧を印加すると、中間層1104において正孔と電子が発生し、正孔は陰極1102側に設けられたEL層へ移動し、電子は陽極側に設けられたEL層へ移動する。陰極側に設けられたEL層に注入された正孔は、陰極側から注入された電子と再結合し、当該EL層に含まれる発光物質が発光する。また、陽極側に設けられたEL層に注入された電子は、陽極側から注入された正孔と再結合し、当該EL層に含まれる発光物質が発光する。よって、中間層1104において発生した正孔と電子は、それぞれ異なるEL層において発光に至る。
なお、EL層同士を接して設けることで、両者の間に中間層と同じ構成が形成される場合は、EL層同士を接して設けることができる。具体的には、EL層の一方の面に電荷発生領域が形成されていると、当該電荷発生領域は中間層の第1の電荷発生領域として機能するため、EL層同士を接して設けることができる。
発光素子の構成例1乃至構成例3は、互いに組み合わせて用いることができる。例えば、発光素子の構成例3の陰極とn番目のEL層の間に中間層を設けることもできる。
<発光素子に用いることができる材料>
次に、上述した構成を備える発光素子に用いることができる具体的な材料について、陽極、陰極、EL層、第1の電荷発生領域、電子リレー層、並びに電子注入バッファーの順に説明する。
<陽極に用いることができる材料>
陽極1101は、仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上が好ましい)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることが好ましい。具体的には、例えば、インジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有したインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム等が挙げられる。
これらの導電性金属酸化物膜は、通常スパッタリング法により成膜されるが、ゾル−ゲル法などを応用して作製しても構わない。例えば、インジウム−亜鉛酸化物膜は、酸化インジウムに対し1wt%以上20wt%以下の酸化亜鉛を加えたターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。また、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム膜は、酸化インジウムに対し酸化タングステンを0.5wt%以上5wt%以下、酸化亜鉛を0.1wt%以上1wt%以下含有したターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。
この他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)、または金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン等)等が挙げられる。
但し、陽極1101と接して第2の電荷発生領域を設ける場合には、仕事関数を考慮せずに様々な導電性材料を陽極1101に用いることができる。具体的には、仕事関数の大きい材料だけでなく、仕事関数の小さい材料を用いることもできる。第2の電荷発生領域を構成する材料については、第1の電荷発生領域と共に後述する。
<陰極に用いることができる材料>
陰極1102に接して第1の電荷発生領域1104cを、EL層1103との間に設ける場合、陰極1102は仕事関数の大小に関わらず様々な導電性材料を用いることができる。
なお、陰極1102および陽極1101のうち少なくとも一方を、可視光を透過する導電膜を用いて形成する。可視光を透過する導電膜としては、例えば酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物(ITOとも示す。)、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などを挙げることができる。また、光を透過する程度(好ましくは、5nm以上30nm以下程度)の金属薄膜を用いることもできる。この場合、該金属薄膜は半透過・半反射電極として作用する。
<EL層に用いることができる材料>
上述したEL層1103を構成する各層に用いることができる材料について、以下に具体例を示す。
正孔注入層は、正孔注入性の高い物質を含む層である。正孔注入性の高い物質としては、例えば、モリブデン酸化物やバナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等を用いることができる。この他、フタロシアニン(略称:HPc)や銅フタロシアニン(略称:CuPc)等のフタロシアニン系の化合物、或いはポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)等の高分子等によっても正孔注入層を形成することができる。
なお、正孔注入層の代わりに第2の電荷発生領域を形成してもよい。第2の電荷発生領域を用いると、仕事関数を考慮せずに様々な導電性材料を陽極1101に用いることができるのは前述の通りである。第2の電荷発生領域を構成する材料については第1の電荷発生領域と共に後述する。
正孔輸送層は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。正孔輸送層は、単層に限られず正孔輸送性の高い物質を含む層を二層以上積層したものでもよい。電子よりも正孔の輸送性の高い物質であればよく、特に10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質が、発光素子の駆動電圧を低減できるため好ましい。
正孔輸送性の高い物質としては、例えば4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPBまたはα−NPD)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)、4,4’,4’’−トリス(カルバゾール−9−イル)トリフェニルアミン(略称:TCTA)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)などの芳香族アミン化合物が挙げられる。または、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)などが挙げられる。または、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9−[4−(10−フェニル−9−アントラセニル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)、などのカルバゾール誘導体が挙げられる。
これ以外にも、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N−(4−{N’−[4−(4−ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル−N’−フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly−TPD)などの高分子化合物を正孔輸送層に用いることができる。
発光層は、本発明の実施形態の燐光性有機金属錯体を発光物質として含む層である。発光層は、単層に限られず発光物質を含む層を二層以上積層したものでもよい。発光物質として、前記燐光有機金属錯体と同時に蛍光性化合物を用いても良い。
本実施の形態で例示する発光素子は、その発光層に、オルトメタル化されたアリール基が、イリジウム又は白金に配位する窒素原子のα炭素原子に結合した、ピリジンまたは単環ジアジンなどの六員環の複素芳香環を有し、該六員環の複素芳香環、又は該アリール基がトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカニル基、ノルボルニル基またはアダマンチル基を置換基として有する燐光性有機金属錯体を含む。
本発明の一態様の発光素子に用いることができる燐光性有機金属イリジウム錯体は、実施の形態2にて詳細に説明するが、その一例として(アセチルアセトナト)ビス[4−(2−ノルボルニル)−6−フェニルピリミジナト]イリジウム(III)(endo−,exo−混合物)(略称:[Ir(nbppm)(acac)])などが挙げられる。
本発明の一態様の燐光性有機金属錯体と同時にて用いることができる蛍光性化合物としては、例えば、N,N’−ビス[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニルスチルベン−4,4’−ジアミン(略称:YGA2S)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)トリフェニルアミン(略称:2YGAPPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPA)、ペリレン、2,5,8,11−テトラ−tert−ブチルペリレン(略称:TBP)、4−(10−フェニル−9−アントリル)−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBAPA)、N,N’’−(2−tert−ブチルアントラセン−9,10−ジイルジ−4,1−フェニレン)ビス[N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン](略称:DPABPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPPA)、N−[4−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPAPPA)、N,N,N’,N’,N’’,N’’,N’’’,N’’’−オクタフェニルジベンゾ[g,p]クリセン−2,7,10,15−テトラアミン(略称:DBC1)、クマリン30、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCABPhA)、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPABPhA)、9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−N−[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアントラセン−2−アミン(略称:2YGABPhA)、N,N,9−トリフェニルアントラセン−9−アミン(略称:DPhAPhA)、クマリン545T、N,N’−ジフェニルキナクリドン(略称:DPQd)、ルブレン、5,12−ビス(1,1’−ビフェニル−4−イル)−6,11−ジフェニルテトラセン(略称:BPT)、2−(2−{2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}−6−メチル−4H−ピラン−4−イリデン)プロパンジニトリル(略称:DCM1)、2−{2−メチル−6−[2−(2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCM2)、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)テトラセン−5,11−ジアミン(略称:p−mPhTD)、7,14−ジフェニル−N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)アセナフト[1,2−a]フルオランテン−3,10−ジアミン(略称:p−mPhAFD)、2−{2−イソプロピル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCJTI)、2−{2−tert−ブチル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCJTB)、2−(2,6−ビス{2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}−4H−ピラン−4−イリデン)プロパンジニトリル(略称:BisDCM)、2−{2,6−ビス[2−(8−メトキシ−1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:BisDCJTM)、SD1(商品名;SFC Co., Ltd製)などが挙げられる。
本発明の一態様の燐光性有機金属錯体と同時に用いることができる燐光性化合物としては、例えば、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)テトラキス(1−ピラゾリル)ボラート(略称:FIr6)、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:FIrpic)、ビス[2−(3’,5’−ビストリフルオロメチルフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:[Ir(CF3ppy)(pic)])、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:FIracac)、トリス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(ppy)])、ビス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(ppy)(acac)])、ビス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(bzq)(acac)])、ビス(2,4−ジフェニル−1,3−オキサゾラト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(dpo)(acac)])、ビス{2−[4’−(パーフルオロフェニル)フェニル]ピリジナトト−N,C2’}イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(p−PF−ph)(acac)])、ビス(2−フェニルベンゾチアゾラト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(bt)(acac)])、ビス[2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジナト−N,C’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(btp)(acac)])、ビス(1−フェニルイソキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(piq)(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(Fdpq)(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tppr)(acac)])、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン白金(II)(略称:PtOEP)、トリス(アセチルアセトナト)(モノフェナントロリン)テルビウム(III)(略称:Tb(acac)(Phen))、トリス(1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオナト)(モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(DBM)(Phen))、トリス[1−(2−テノイル)−3,3,3−トリフルオロアセトナト](モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(TTA)(Phen))、ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)(ジピバロイルメタナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tppr)(dpm)])などが挙げられる。
発光物質は、ホスト材料に分散させて用いるのが好ましい。ホスト材料としては、NPB、TPD、TCTA、TDATA、MTDATA、BSPB、などの芳香族アミン化合物、PCzPCA1、PCzPCA2、PCzPCN1、CBP、TCPB、CzPA、9−フェニル−3−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:PCzPA)、4−フェニル−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBA1BP)などのカルバゾール誘導体を用いることができる。または、PVK、PVTPA、PTPDMA、Poly−TPDなどの高分子化合物を含む正孔輸送性の高い物質を用いることができる。または、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体を用いることができる。または、ビス[2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンズオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))、ビス[2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))、などのオキサゾール系やチアゾール系配位子を有する金属錯体を用いることができる。または、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、9−[4−(5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)フェニル]カルバゾール(略称:CO11)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)などの電子輸送性の高い物質を用いることができる。
電子輸送層は、電子輸送性の高い物質を含む層である。電子輸送層は、単層に限られず電子輸送性の高い物質を含む層を二層以上積層したものでもよい。正孔よりも電子の輸送性の高い物質であればよく、特に10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質が、発光素子の駆動電圧を低減できるため好ましい。
電子輸送性の高い物質としては、例えばAlq、Almq、BeBq、BAlqなどのキノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等を用いることができる。または、Zn(BOX)、Zn(BTZ)などのオキサゾール系や、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。または、PBD、OXD−7、CO11、TAZ、BPhen、BCP、2−[4−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]−1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール(略称:DBTBIm−II)などが挙げられる。
これ以外にも、ポリ[(9,9−ジヘキシルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(ピリジン−3,5−ジイル)](略称:PF−Py)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(2,2’−ビピリジン−6,6’−ジイル)](略称:PF−BPy)、などの高分子化合物を電子輸送層に用いることができる。
電子注入層は、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入層は、単層に限られず電子注入性の高い物質を含む層を二層以上積層したものでもよい。電子注入層を設ける構成とすることで陰極1102からの電子の注入効率が高まり、発光素子の駆動電圧を低減できるため好ましい。
電子注入性の高い物質としては、例えばリチウム(Li)、セシウム(Cs)、カルシウム(Ca)、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF)等のアルカリ金属、アルカリ土類金属またはこれらの化合物が挙げられる。また電子輸送性を有する物質中にアルカリ金属又はアルカリ土類金属、マグネシウム(Mg)、又はそれらの化合物を含有させたもの、例えばAlq中にマグネシウム(Mg)を含有させたもの等を用いることもできる。
これらの層を適宜組み合わせてEL層1103を形成する方法としては、種々の方法(例えば、乾式法や湿式法等)を適宜選択することができる。例えば、用いる材料に応じて真空蒸着法、インクジェット法またはスピンコート法などを選んで用いればよい。また、各層で異なる方法を用いて形成してもよい。
<電荷発生領域に用いることができる材料>
第1の電荷発生領域1104c、及び第2の電荷発生領域は、正孔輸送性の高い物質とアクセプター性物質を含む領域である。なお、これらの電荷発生領域は、同一膜中に正孔輸送性の高い物質とアクセプター性物質を含有する場合だけでなく、正孔輸送性の高い物質を含む層とアクセプター性物質を含む層とが積層されていても良い。但し、陰極に接して設けられる第1の電荷発生領域が積層構造の場合には、正孔輸送性の高い物質を含む層が陰極1102と接する構造となる。陽極に接して設けられる第2の電荷発生領域が積層構造の場合には、アクセプター性物質を含む層が陽極1101と接する構造となる。
なお、電荷発生領域において、正孔輸送性の高い物質に対して質量比で、0.1以上4.0以下の比率でアクセプター性物質を添加することが好ましい。
電荷発生領域に用いるアクセプター性物質としては、遷移金属酸化物、特に元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物が好ましい。具体的には、酸化モリブデンが特に好ましい。なお、酸化モリブデンは、吸湿性が低いという特徴を有している。
また、電荷発生領域に用いる正孔輸送性の高い物質としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマーを含む)など、種々の有機化合物を用いることができる。具体的には、10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。
<電子リレー層に用いることができる材料>
電子リレー層1104bは、第1の電荷発生領域1104cにおいてアクセプター性物質がひき抜いた電子を速やかに受け取ることができる層である。従って、電子リレー層1104bは、電子輸送性の高い物質を含む層であり、またそのLUMO準位は、第1の電荷発生領域1104cにおけるアクセプター性物質のアクセプター準位と、EL層1103のLUMO準位との間に位置する。具体的には、およそ−5.0eV以上−3.0eV以下とするのが好ましい。
電子リレー層1104bに用いる物質としては、例えば、ペリレン誘導体や、含窒素縮合芳香族化合物が挙げられる。なお、含窒素縮合芳香族化合物は、安定な化合物であるため電子リレー層1104bに用いる物質として好ましい。さらに、含窒素縮合芳香族化合物のうち、シアノ基やフッ素などの電子吸引基を有する化合物を用いることにより、電子リレー層1104bにおける電子の受け取りがさらに容易になるため、好ましい。
ペリレン誘導体の具体例としては、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(略称:PTCDA)、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボキシリックビスベンゾイミダゾール(略称:PTCBI)、N,N’−ジオクチルー3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸ジイミド(略称:PTCDI−C8H)、N,N’−ジヘキシルー3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸ジイミド(略称:Hex PTC)等が挙げられる。
また、含窒素縮合芳香族化合物の具体例としては、ピラジノ[2,3−f][1,10]フェナントロリン−2,3−ジカルボニトリル(略称:PPDN)、2,3,6,7,10,11−ヘキサシアノ−1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレン(略称:HAT(CN))、2,3−ジフェニルピリド[2,3−b]ピラジン(略称:2PYPR)、2,3−ビス(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−b]ピラジン(略称:F2PYPR)等が挙げられる。
その他にも、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(略称:TCNQ)、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(略称:NTCDA)、パーフルオロペンタセン、銅ヘキサデカフルオロフタロシアニン(略称:F16CuPc)、N,N’−ビス(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフルオロオクチル−1、4、5、8−ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド(略称:NTCDI−C8F)、3’,4’−ジブチル−5,5’’−ビス(ジシアノメチレン)−5,5’’−ジヒドロ−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン(略称:DCMT)、メタノフラーレン(例えば[6,6]−フェニルC61酪酸メチルエステル)等を電子リレー層1104bに用いることができる。
<電子注入バッファーに用いることができる材料>
電子注入バッファー1104aは、第1の電荷発生領域1104cからEL層1103への電子の注入を容易にする層である。電子注入バッファー1104aを第1の電荷発生領域1104cとEL層1103の間に設けることにより、両者の注入障壁を緩和することができる。
電子注入バッファー1104aには、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、およびこれらの化合物(アルカリ金属化合物(酸化リチウム等の酸化物、ハロゲン化物、炭酸リチウムや炭酸セシウム等の炭酸塩を含む)、アルカリ土類金属化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む)、または希土類金属の化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む))等の電子注入性の高い物質を用いることが可能である。
また、電子注入バッファー1104aが、電子輸送性の高い物質とドナー性物質を含んで形成される場合には、電子輸送性の高い物質に対して質量比で、0.001以上0.1以下の比率でドナー性物質を添加することが好ましい。なお、ドナー性物質としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、およびこれらの化合物(アルカリ金属化合物(酸化リチウム等の酸化物、ハロゲン化物、炭酸リチウムや炭酸セシウム等の炭酸塩を含む)、アルカリ土類金属化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む)、または希土類金属の化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む))の他、テトラチアナフタセン(略称:TTN)、ニッケロセン、デカメチルニッケロセン等の有機化合物を用いることもできる。なお、電子輸送性の高い物質としては、先に説明したEL層1103の一部に形成することができる電子輸送層の材料と同様の材料を用いて形成することができる。
以上のような材料を組み合わせることにより、本実施の形態に示す発光素子を作製することができる。この発光素子からは、本発明の一態様の燐光性有機金属イリジウム錯体からの発光が得られ、その発光色は該燐光性有機金属イリジウム錯体の種類を変えることにより選択できる。また、発光色の異なる複数の発光物質を用いることにより、発光スペクトルの幅を拡げて、例えば白色発光を得ることもできる。なお、白色発光を得る場合には、互いに補色となる発光色を呈する発光物質を用いればよく、例えば補色となる発光色を呈する異なる層を備える構成等を用いることができる。具体的な補色の関係としては、例えば青色と黄色、あるいは青緑色と赤色等が挙げられる。
本発明の一態様の有機発光素子は、本発明の一態様の、オルトメタル化されたアリール基が、イリジウム又は白金に配位する窒素原子のα炭素原子に結合したピリジンまたは単環ジアジンなどの六員環の複素芳香環を有し、該六員環の複素芳香環、又は該アリール基がトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカニル基、ノルボルニル基またはアダマンチル基を置換基として有する燐光性有機金属錯体が、発光層に適用されたものである。
イリジウム又は白金の配位子に結合したトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカニル基、ノルボルニル基またはアダマンチル基は、共鳴効果による発光波長の長波長化を引き起こすことなく、その誘起効果により該配位子に電子を供与する。電子が供与された配位子を備える燐光性有機金属錯体は分子吸収係数が高く、ホスト材料に分散して用いると、当該ホスト材料から効率よくエネルギーを受容できる。または、嵩高いトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカニル基、ノルボルニル基またはアダマンチル基などの置換基を有する配位子を備える燐光性有機金属錯体は、分子間距離が大きくなるため濃度消光し難い。
このような燐光性有機金属錯体を用いることで、発光効率の高い有機発光素子を提供できる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の燐光性有機金属錯体の一例について説明する。
本発明の一態様の燐光性有機金属錯体は、金属と、該金属に配位する窒素原子を含む六員環の複素芳香環と、を有し、該金属はイリジウム又は白金であり、該六員環の複素芳香環はピリジンまたは単環ジアジンであり、該窒素原子のα炭素原子にアリール基が結合しており、該アリール基は金属に結合することによりオルトメタル化しており、該六員環の複素芳香環、又は該アリール基は、トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカニル基、ノルボルニル基またはアダマンチル基のいずれか一を置換基として備える。
本発明の一態様の燐光性有機金属錯体が備える六員環の複素芳香環は、ピリジン骨格または単環ジアジン骨格である。なお、単環ジアジン骨格としては、具体的には、1,2−ジアジン(ピリダジンともいう)骨格、1,3−ジアジンまたは1,5−ジアジン(ピリミジンともいう)骨格、1,4−ジアジン(ピラジンともいう)骨格である。また、ピリジン骨格の窒素原子、及び単環ジアジン骨格の窒素原子のうち1つは、イリジウム又は白金に配位し、該窒素原子のα炭素原子(すなわち、該窒素原子と直接結合している炭素原子)には、アリール基が結合している。なお、当該アリール基は上記のイリジウム又は白金に結合することによりオルトメタル化している。
本発明の一態様の燐光性有機金属錯体が備えるアリール基としては、フェニル基、炭素数1〜4のアルキル基で1以上置換されたフェニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基で1以上置換されたフェニル基、炭素数1〜4のアルキルチオ基で1以上置換されたフェニル基、炭素数6〜10のアリール基で1以上置換されたフェニル基、ハロゲンで1以上置換されたフェニル基、炭素数1〜4のハロアルキル基で1以上置換されたフェニル基、置換もしくは無置換のビフェニル基、置換もしくは無置換のナフチル基が挙げられる。
本発明の一態様の燐光性有機金属錯体は、架橋された脂環式の置換基を、該六員環の複素芳香環又は該アリール基に備える。架橋された脂環式の置換基としては、トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカニル基、ノルボルニル基またはアダマンチル基が挙げられる。なお、ノルボルナン化合物にはendo体とexo体の異性体が存在するが、本発明はそのどちらでも良く、両者を混合していても良い。
本発明の一態様の燐光性有機金属錯体が備える該六員環の複素芳香環、又は該アリール基に結合したトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカニル基、ノルボルニル基またはアダマンチル基は、燐光性有機金属錯体の発光波長が共鳴効果により長波長化する現象を引き起こすことなく、その誘起効果により該配位子に電子を供与する。電子が供与された配位子を備える燐光性有機金属錯体は分子吸収係数が高く、ホスト材料に分散して用いると、当該ホスト材料から効率よくエネルギーを受容できる。または、トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカニル基、ノルボルニル基またはアダマンチル基は構造が嵩高いため、このような置換基が結合した配位子を備える燐光性有機金属錯体は、分子間距離が大きくなるため会合せず、濃度消光し難い。
<燐光性有機金属錯体の構成例1.>
本発明の一態様は下記一般式(G1)で表される構造を有する燐光性有機金属錯体であり、イリジウム又は白金である金属Mと、該金属Mに配位するピリミジン環と、を有し、フェニル基が前記金属Mに配位する窒素原子のα炭素原子に結合しており、該フェニル基は該金属Mに結合することによりオルトメタル化しており、置換基R、R、R、R、R、R乃至Rのうち、R、R、R及びRのいずれか一はトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカニル基、ノルボルニル基またはアダマンチル基から選ばれた一を表し、他はそれぞれ独立に、水素、ハロゲン、置換または無置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基、置換または無置換の炭素数1〜4のアルキルチオ基、置換または無置換の炭素数1〜4のハロアルキル基、若しくは置換または無置換の炭素数6〜10のアリール基のいずれかである。
ハロゲンとしては、例えばフッ素等を挙げることができる。
置換または無置換の炭素数1〜4のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等を挙げることができる。
置換または無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基等を挙げることができる。
置換または無置換の炭素数1〜4のアルキルチオ基としては、例えばメチルスルファニル基(メチルチオ基)、エチルスルファニル基(エチルチオ基)、プロピルスルファニル基(プロピルチオ基)、イソプロピルスルファニル基(イソプロピルチオ基)、n−ブチルスルファニル基(n−ブチルチオ基)、イソブチルスルファニル基(イソブチルチオ基)、sec−ブチルスルファニル基(sec−ブチルチオ基)、tert−ブチルスルファニル基(tert−ブチルチオ基)等を挙げることができる。
置換または無置換の炭素数1〜4のハロアルキル基としては、例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル基等を挙げることができる。
置換または無置換の炭素数6〜10のアリール基としては、フェニル基、炭素数1〜4のアルキル基で1以上置換されたフェニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基で1以上置換されたフェニル基、炭素数1〜4のアルキルチオ基で1以上置換されたフェニル基、炭素数6〜10のアリール基で1以上置換されたフェニル基、ハロゲンで1以上置換されたフェニル基、炭素数1〜4のハロアルキル基で1以上置換されたフェニル基、置換もしくは無置換のナフタレン−イル基等を挙げることができる。
なお、Rに用いる炭素数1〜4のアルキル基としては、炭素数2以上のアルキル基がより好ましい。炭素数2以上のアルキル基は、立体障害により分子間相互作用を抑制する。そのため、本発明の一態様である有機金属錯体の合成反応における副反応が抑制され、収率が向上する。これを考慮すると、Rにおける炭素数1〜4のアルキル基としては、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基がより好ましい。
また、Rにおける炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基が好ましい。Rをメチル基とすることで、本発明の一態様の燐光性有機金属錯体の発光波長を短波長側にシフト(ブルーシフトともいう)できる。
<燐光性有機金属錯体の構成例2.>
また、本発明の一態様は、燐光性有機金属錯体の構成例1.において、置換基R、R、R、R、R、R乃至Rのうち、Rはトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカニル基、ノルボルニル基またはアダマンチル基から選ばれた一を表し、他はそれぞれ独立に、水素、ハロゲン、置換または無置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基、置換または無置換の炭素数1〜4のアルキルチオ基、置換または無置換の炭素数1〜4のハロアルキル基、若しくは置換または無置換の炭素数6〜10のアリール基のいずれかである下記一般式(G1)で表される構造を有する燐光性有機金属錯体である。
ハロゲン、置換または無置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基、置換または無置換の炭素数1〜4のアルキルチオ基、置換または無置換の炭素数1〜4のハロアルキル基、若しくは置換または無置換の炭素数6〜10のアリール基の具体例は、燐光性有機金属錯体の構成例1.と同様である。
イリジウム又は白金に配位するピリミジン環の置換基Rがトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカニル基、ノルボルニル基またはアダマンチル基から選ばれた一であると、その誘起効果により該配位子は電子を供与され、該燐光性有機金属錯体の分子吸収係数が特に大きくなり、発光効率が高くなる。
<燐光性有機金属錯体の構成例3.>
また、本発明の一態様は、燐光性有機金属錯体の構成例1.または構成例2.において、金属Mがイリジウムである燐光性有機金属錯体である。
金属Mがイリジウムであると、スピン−軌道相互作用が大きくなる。また、金属Mと配位子が金属−炭素結合を有していることから、イリジウムからピリミジン環への電荷の移動(三重項MLCT(Metal to Ligand Charge Transfer)遷移ともいう)が起こりやすくなる。その結果、燐光発光のような禁制遷移が生じやすくなる上に、三重項励起寿命も短くなり、該燐光性有機金属錯体の発光効率を高める効果を奏する。
<燐光性有機金属錯体の構成例4.>
本発明の一態様は下記一般式(G2)で表される燐光性有機金属錯体であり、該燐光性有機金属錯体はイリジウムと、該イリジウムに配位するピリミジン環と、モノアニオン性配位子Lと、を有し、該イリジウムに配位する窒素原子のα炭素原子にはフェニル基が結合しており、該フェニル基は該イリジウムに結合することによりオルトメタル化しており、置換基R、R、R、R、R、R乃至Rのうち、R、R、R及びRのいずれか一はトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカニル基、ノルボルニル基またはアダマンチル基から選ばれた一を表し、他はそれぞれ独立に、水素、ハロゲン、置換または無置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基、置換または無置換の炭素数1〜4のアルキルチオ基、置換または無置換の炭素数1〜4のハロアルキル基、若しくは置換または無置換の炭素数6〜10のアリール基のいずれかである。
<燐光性有機金属錯体の構成例5.>
また、本発明の一態様は下記一般式(G2)で表される燐光性有機金属錯体であり、置換基R、R、R、R、R、R乃至Rのうち、Rはトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカニル基、ノルボルニル基またはアダマンチル基から選ばれた一を表し、他はそれぞれ独立に、水素、ハロゲン、置換または無置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基、置換または無置換の炭素数1〜4のアルキルチオ基、置換または無置換の炭素数1〜4のハロアルキル基、若しくは置換または無置換の炭素数6〜10のアリール基のいずれかである。
イリジウムに2つのピリミジン環と1つのモノアニオン性の配位子Lとが配位する、構成例4.及び構成例5.の燐光性有機金属錯体は、燐光量子収率が高い。これは、イリジウムに対する配位子の対称性が崩れることに起因すると考えられる。
<燐光性有機金属錯体の構成例6.>
また、本発明の一態様は、燐光性有機金属錯体の構成例4.または構成例5.において、モノアニオン性配位子がβジケトンである上記の燐光性有機金属錯体である。
モノアニオン性配位子としてβジケトンを用いると、昇華温度を低くできるため蒸着膜の作製が容易である。また、真空蒸着時の加熱により分解し難く、材料の使用効率が高い。または、分解生成物が蒸着膜に混入し難く、蒸着膜の特性の低下を招きにくく、発光素子の信頼性を向上できる。
<燐光性有機金属錯体の構成例7.>
また、本発明の一態様は下記一般式(G3)で表される燐光性有機金属錯体であり、イリジウムと、該イリジウムに配位するピリミジン環と、を有し、該イリジウムに配位する窒素原子のα炭素原子にはフェニル基が結合しており、該フェニル基は該イリジウムに結合することによりオルトメタル化しており、置換基R、R、R、R、R、R乃至Rのうち、R、R、R及びRのいずれか一はトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカニル基、ノルボルニル基またはアダマンチル基から選ばれた一を表し、他はそれぞれ独立に、水素、ハロゲン、置換または無置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基、置換または無置換の炭素数1〜4のアルキルチオ基、置換または無置換の炭素数1〜4のハロアルキル基、若しくは置換または無置換の炭素数6〜10のアリール基のいずれかである。
イリジウムに3つのピリミジン環が配位する構成により、耐熱性が高まる効果を奏する。そして、真空蒸着時の加熱により分解し難く、材料の使用効率が高い。または、分解生成物が蒸着膜に混入し難く、蒸着膜の特性の低下を招きにくく、発光素子の信頼性を向上できる。また、化学的に安定であることも、信頼性の向上の要因と考えられる。
<燐光性有機金属錯体の構成例8.>
また、本発明の一態様は下記一般式(G3)で表される上記の燐光性有機金属錯体であり、置換基R、R、R、R、R、R乃至Rのうち、Rはトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカニル基、ノルボルニル基またはアダマンチル基から選ばれた一を表し、他はそれぞれ独立に、水素、ハロゲン、置換または無置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基、置換または無置換の炭素数1〜4のアルキルチオ基、置換または無置換の炭素数1〜4のハロアルキル基、若しくは置換または無置換の炭素数6〜10のアリール基のいずれかである。
イリジウムに3つのピリミジン環が配位する構成により、耐熱性が高まる効果を奏する。そして、真空蒸着時の加熱により分解し難く、材料の使用効率が高い。または、分解生成物が蒸着膜に混入し難く、蒸着膜の特性の低下を招きにくく、発光素子の信頼性を向上できる。さらに、イリジウムに配位するピリミジン環の置換基Rがトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカニル基、ノルボルニル基またはアダマンチル基から選ばれた一であると、その誘起効果により該配位子は電子を供与され、該燐光性有機金属錯体の分子吸収係数が特に大きくなり、発光効率が高い。
または、該燐光性有機金属錯体は、ホスト材料に分散して用いると当該ホスト材料から効率よくエネルギーを受容できる。
次に、本発明の一態様の燐光性有機金属錯体の合成方法の一例について説明する。
≪一般式(G0)で表される4−アリールピリミジン誘導体の合成方法≫
下記一般式(G0)で表される4−アリールピリミジン誘導体の合成方法の一例について説明する。下記一般式(G0)で表される4−アリールピリミジン誘導体は、以下のような簡便な合成スキーム(a)、(a’)、または(a”)により合成できる。
一般式(G0)において、R〜Rは、水素、ハロゲン、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基、置換または無置換の炭素数1〜4のアルキルチオ基、置換または無置換の炭素数1〜4のハロアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリール基を表し、Arは、置換又は無置換の炭素数6〜10のアリール基を表す。但し、R及びAr上の置換基のうち少なくとも一つは、分子内で炭素−炭素橋架け結合された脂環炭化水素である。なお、特にRとしては、水素以外の置換基が好ましい。
例えば、一般式(G0)で表される4−アリールピリミジン誘導体は、合成スキーム(a)に示すように、アリールボロン酸(A1)とハロゲン化ピリミジン化合物(A2)とをカップリングすることにより得られる。
合成スキーム(a)において、Xはハロゲンを表す。
また、一般式(G0)で表される4−アリールピリミジン誘導体は、合成スキーム(a’)に示すように、(A1’)に示すアリールリチウム化合物またはグリニヤール試薬をピリミジン化合物(A2’)と反応させることにより得られる。
合成スキーム(a’)において、Xは、ハロゲンを表す。
また、一般式(G0)で表される4−アリールピリミジン誘導体は、合成スキーム(a’’)に示すように、アリール基置換の1,3−ジケトン(A1’’)とアミジン(A2’’)を反応させることにより得られる。
なお、一般式(G0)において、Rが水素の場合は、非特許文献(H.Bredereck,R.Gompper,G.Morlock,「Chemische Berichte」,90,p.942−952(1957))に示されるように、アリール基置換の1,3−ジケトン(A1’’)とホルムアミドを酸触媒存在下で加熱し、反応させることにより得られる。
合成スキーム(a’’)において、Rは、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリール基を表し、Rは、水素、ハロゲン、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基、置換または無置換の炭素数1〜4のアルキルチオ基、置換または無置換の炭素数1〜4のハロアルキル基、又は置換もしくは無置換のフェニル基を表し、Rは、水素、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基を表し、Arは、置換又は無置換の炭素数6〜10のアリール基を表す。但し、R及びAr上の置換基のうち少なくとも一つは、分子内で炭素−炭素橋架け結合された脂環炭化水素である。
上述の化合物(A1)、(A2)、(A1’)、(A2’)、(A1’’)、(A2’’)は、様々な種類が市販されている、あるいは合成可能であるため、一般式(G0)で表される4−アリールピリミジン誘導体は数多くの種類を合成することができる。したがって、本発明の一態様である有機金属錯体は、その配位子のバリエーションが豊富であるという特徴がある。
≪一般式(G2)及び(G3)で表される本発明の一態様の有機金属錯体の合成方法≫
次に、一般式(G0)で表される4−アリールピリミジン誘導体をオルトメタル化して、下記一般式(G2)及び(G3)で表される本有機金属錯体を合成する方法の一例を説明する。具体的には、好ましい例として、一般式(G0)のアリール基がフェニル基であって、Rが水素を表す場合の一般式(G0’)を用いて説明する。
一般式(G2)及び(G3)において、Lは、モノアニオン性の配位子を表す。また、R及びR〜Rは、水素、ハロゲン、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基、置換または無置換の炭素数1〜4のアルキルチオ基、置換または無置換の炭素数1〜4のハロアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリール基を表し、Rは、水素、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基を表す。但し、R及びR〜Rのうち少なくとも一つは、分子内で炭素−炭素橋架け結合された脂環炭化水素である。
<一般式(G2)で表される本発明の一態様の有機金属錯体の合成方法>
まず、下記合成スキーム(b)に示すように、一般式(G0’)で表される4−フェニルピリミジン誘導体と、ハロゲン化イリジウム化合物(塩化イリジウム、臭化イリジウム、ヨウ化イリジウムなどで、好ましくは3塩化イリジウム水和物)とを無溶媒、またはアルコール系溶媒(グリセロール、エチレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノールなど)単独、あるいはアルコール系溶媒1種類以上と水との混合溶媒を用いて、不活性ガス雰囲気にて加熱することにより、ハロゲンで架橋された構造を有する有機金属錯体の一種であり、新規物質である複核錯体(B)を得ることができる。マイクロ波を加熱手段として用いることも可能である。
合成スキーム(b)において、Xはハロゲンを表す。
さらに、下記合成スキーム(c)に示すように、上述の合成スキーム(b)で得られる複核錯体(B)と、配位子HLを、不活性ガス雰囲気にて反応させることにより、HLのプロトンが脱離してLが中心金属Irに配位し、一般式(G2)で表される本発明の一態様である有機金属錯体が得られる。マイクロ波を加熱手段として用いることも可能である。
合成スキーム(c)において、Lは、モノアニオン性の配位子を表す。
なお、Rとして、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリール基を用いると、Rとして水素を用いた場合に比較して、複核金属錯体が合成スキーム(c)で分解してしまうことが抑制され、飛躍的に高い収率を得ることができる。
なお、一般式(G2)中におけるモノアニオン性の配位子Lは、βジケトン構造を有するモノアニオン性の二座キレート配位子、カルボキシル基を有するモノアニオン性の二座キレート配位子、フェノール性水酸基を有するモノアニオン性の二座キレート配位子、又は2つの配位元素がいずれも窒素であるモノアニオン性の二座キレート配位子であることが好ましい。特に、βジケトン構造を有するモノアニオン性の二座キレート配位子であると、有機金属錯体の有機溶媒への溶解性が高まり、精製が容易となり好ましい。また、βジケトン構造を有することで、発光効率の高い有機金属錯体を得ることができるため好ましい。また、βジケトン構造を有することで昇華性も高まり、蒸着性能に優れるという利点がある。
また、モノアニオン性の配位子は、一般式(L1)乃至(L7)のいずれか一であることが好ましい。これらの配位子は、配位能力が高く、また、安価に入手することができるため有効である。
一般式(L1)乃至(L7)中、R71〜R109はそれぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン、ビニル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のハロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキルチオ基を表す。また、A〜Aは、それぞれ独立に、窒素、水素と結合するsp炭素、または置換基Rと結合するsp炭素を表し、置換基Rは炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン、炭素数1〜4のハロアルキル基、またはフェニル基を表す。
<一般式(G3)で表される本発明の一態様の有機金属錯体の合成方法>
一般式(G3)で表される本発明の一態様である有機金属錯体は、下記合成スキーム(d)により合成することができる。すなわち、一般式(G0’)で表される4−フェニルピリミジン誘導体と、ハロゲン化イリジウム化合物(塩化イリジウム、臭化イリジウム、ヨウ化イリジウムなどで、好ましくは3塩化イリジウム水和物)、またはイリジウム錯体(アセチルアセトナト錯体、ジエチルスルフィド錯体等)とを混合した後、加熱することにより、一般式(G3)で表される構造を有する有機金属錯体を得ることができる。また、この反応は、溶媒、例えばアルコール系溶媒(グリセロール、エチレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール等)の存在下で行ってもよい。また、マイクロ波を加熱手段として用いることも可能である。
合成スキーム(d)において、R〜Rは、上記一般式(G3)の置換基とR〜R同様に定義される。
なお、Rとして、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリール基を用いることで、Rとして水素を用いた場合に比較して、合成スキーム(d)における収率を高めることができる。
以上、合成方法の一例について説明したが、開示する本発明の一態様である有機金属錯体は、他のどのような合成方法によって合成されても良い。
次に、本発明の一態様の有機金属錯体の具体的な構造式を構造式(100)〜(141)に列挙する。ただし、本発明はこれらに限定されることはない。
なお、上記構造式(100)〜(141)で表される有機金属錯体には、配位子の種類によっては立体異性体が存在しうるが、本発明の一態様の有機金属錯体にはこれらの異性体も全て含まれる。
本実施の形態で説明した本発明の一態様の燐光性有機金属錯体は、以下の効果を奏する。
配位子に結合したトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカニル基、ノルボルニル基またはアダマンチル基は、共鳴効果による発光波長の長波長化を引き起こすことなく、その誘起効果により配位子に電子を供与する。電子が供与された配位子を備える燐光性有機金属錯体は分子吸収係数が高く、ホスト材料に分散して用いると、当該ホスト材料から効率よくエネルギーを受容できる燐光性有機金属錯体を提供できる。
または、トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカニル基、ノルボルニル基またはアダマンチル基などの嵩高い置換基が結合した配位子を備える燐光性有機金属錯体は、分子間距離が大きくなるため会合が生じず、濃度消光し難い。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の燐光性有機金属錯体を、発光性の有機化合物として発光層のゲスト材料に用いる発光素子の構成の一例について図3を参照して説明する。本実施の形態で例示する発光素子は、第1の電極、第2の電極及び第1の電極と第2の電極の間に発光性の有機化合物を含む層(以下EL層という)を備える。第1の電極または第2の電極のいずれか一方は陽極、他方が陰極として機能する。
該EL層の構成は第1の電極と第2の電極の材質に合わせて適宜選択すればよい。本実施の形態では、ホスト材料である第1の有機化合物に第2の有機化合物と発光性の有機化合物がゲスト材料として分散された発光層を備え、該発光層に注入された電子と正孔の再結合により生じたエネルギーが、第1の有機化合物と第2の有機化合物の励起錯体を経て、発光性の有機化合物の発光に至る構成を備える発光素子について説明する。発光層をこのような構成とすることで、電子と正孔が再結合して生じるエネルギーを高い効率で発光性の有機化合物に移動でき、効率のよい発光素子を構成できる。
<発光層におけるホスト材料の挙動>
本実施の形態で例示する発光層におけるホスト材料の挙動を、従来の発光層におけるホスト材料の挙動と比較して、図3を用いて説明する。
はじめに、従来の発光層のホスト材料の挙動を図3(A)に示す。なお、ここでは、ホスト材料である第1の有機化合物(Hとする)に発光性の有機化合物をゲスト材料として分散して用いる場合について説明するが、次に説明する励起錯体を生じる組み合わせでなければ、複数のゲスト材料をホスト材料に分散して用いる構成についても同様に説明できる。
従来の発光層において、ホスト材料である有機化合物Hは電子と正孔の再結合により生じるエネルギーにより励起され、一重項励起状態の有機化合物H (S1)と、三重項励起状態の有機化合物H (T1)とが生じる。なお、その生成確率は25:75(=H (S1):H (T1))となる。一般に一重項励起状態の有機化合物H (S1)は、三重項励起状態の有機化合物H (T1)より高いエネルギーを有するうえ、一重項励起状態から三重項励起状態への遷移は禁制遷移となる。その結果、図3(A)に示すように、発光層にはエネルギーが異なる状態(エネルギー状態E1、エネルギー状態E2)の2つの励起種が存在することになる。
次に、本実施形態で例示する発光層のホスト材料の挙動を図3(B)に示す。本実施の形態で例示する発光層はホスト材料である第1の有機化合物(Aとする)と、ゲスト材料として第2の有機化合物(Bとする)と、発光性の有機化合物を含む。なお、ここでは、発光性の有機化合物に加えて1種類の第2の有機化合物をゲスト材料に用いる場合について説明するが、発光性の有機化合物に加えて2種類以上の第2の有機化合物をゲスト材料に用いる場合、又は励起状態において分子内電荷移動が可能な第1の有機化合物を1種類用いる場合についても、同様の説明をあてはめることができることがある。
本実施の形態で例示する発光層において、ホスト材料である第1の有機化合物Aは電子と正孔の再結合により生じるエネルギーにより励起され、一重項励起状態の第1の有機化合物A (S1)と、三重項励起状態の第1の有機化合物A (T1)とが生じる。なお、その生成確率は25:75(=A (S1):A (T1))となる。一般に一重項励起状態の有機化合物A (S1)は、三重項励起状態の有機化合物A (T1)より高いエネルギーを有するうえ、一重項励起状態から三重項励起状態への遷移は禁制遷移となる。
次に、一重項励起状態の第1の有機化合物A (S1)は共存する基底状態の第2の有機化合物B(S0)との間で電子の授受を行い、励起錯体ABを形成する。
ここで、第2の有機化合物Bを選択して用いると、生成する励起錯体ABのエネルギーを調整できる。そして、一重項励起状態の第1の有機化合物A (S1)が持つエネルギーを、三重項励起状態の第1の有機化合物A (T1)が持つエネルギーとおよそ等しい程度まで低減できる。その結果、図3(B)に示すように、本実施の形態で例示する発光層には、エネルギーがおよそ等しい状態(エネルギー状態E1)の励起種が存在することになる。言い換えると、電子と正孔の再結合により生じるエネルギーをおよそ等しい状態に集約できる。
なお、励起錯体ABが生成する別の過程も存在する。具体的には、発光層に注入した電子と正孔により、還元された第1の有機化合物Aと酸化された第2の有機化合物B、又は酸化された第1の有機化合物Aと還元された第2の有機化合物Bが生じ、互いが直接励起錯体ABを形成する場合もある。いずれにせよ、およそ等しい状態に集約されたエネルギーは効率よく発光性の有機化合物に移動し、発光に至る。
<発光層におけるゲスト材料の挙動>
次に、本実施形態で例示する発光層にゲスト材料として分散する発光性の有機化合物の挙動について説明する。なお、ここでは励起状態のホスト材料から発光性の有機化合物にエネルギーが移動する過程について説明する。
励起状態のホスト材料から発光性の有機化合物にエネルギーを移動する過程には、フェルスター機構(双極子−双極子相互作用)によるものと、デクスター機構(電子交換相互作用)によるものとがある。いずれの機構においても、エネルギーを供与する励起種が発する発光の規格化されたスペクトルと、エネルギーを授受するゲスト材料の吸収スペクトルの積の積分値が大きい組み合わせにおいて、エネルギー移動の速度係数が大きくなることが知られている。言い換えると、励起種の規格化された発光と発光性の有機化合物の吸収の重なりが大きいものほど、エネルギー移動が起こりやすいことが知られている。
本実施の形態で例示する発光層は、ホスト材料である第1の有機化合物Aと第2の有機化合物Bの励起錯体を生じ、電子と正孔の再結合により生じるエネルギーがおよそ等しい状態(エネルギー状態E1)に集約されている。従って、エネルギー状態E1からの発光スペクトルに対して重なりが大きい吸収スペクトルを有する材料を発光性の有機化合物に選択して用いることにより、およそ等しい状態に集約されたエネルギーを発光性の有機化合物に効率よく移動できる。さらに、発光性の有機化合物に発光効率が高い材料を選択して用いることにより、電子と正孔の再結合により生じたエネルギーを効率よく光に変換できる発光素子を提供できる。
<本実施の形態の発光層に用いることができる材料>
ホスト材料である第1の有機化合物にゲスト材料として第2の有機化合物と共に発光性の有機化合物が分散された発光層を備え、該発光層に注入された電子と正孔の再結合により生じたエネルギーが、第1の有機化合物と第2の有機化合物の励起錯体を経て、発光性の有機化合物が発光に至る構成に使用できる材料を以下に例示する。
ホスト材料である第1の有機化合物と、励起状態の第1の有機化合物と励起錯体を生じる第2の有機化合物の組み合わせとしては、電子を受け取りやすい化合物(電子トラップ性化合物)と、ホールを受け取りやすい化合物(正孔トラップ性化合物)の組み合わせが好ましい。ただし、第1の有機化合物及び第2の有機化合物は、これらに限定されることなく、励起錯体を形成できる組み合わせであって、該励起錯体の発光スペクトルが、ホスト材料に分散する発光性の有機化合物の吸収スペクトルと重なりが大きく、該励起錯体の発光スペクトルのピークが、燐光性化合物の吸収スペクトルのピークよりも長波長であればよい。
なお、電子を受け取りやすい化合物とホールを受け取りやすい化合物で第1の有機化合物と第2の有機化合物を構成する場合、その混合比によってキャリアバランスを制御できる。つまり、その混合比によって、発光層内の正孔と電子の再結合確率を高め、発光効率を高める最適なバランスを設計することができる点も、本発明の一態様の特徴の一つである。このキャリアバランスの観点と、励起錯体を形成させる観点から、第1の有機化合物と第2の有機化合物の割合は極端に違わないことが好ましい。具体的には、第1の有機化合物:第2の有機化合物=1:9〜9:1の範囲が好ましい。
電子を受け取りやすい化合物としては、例えば、2−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTPDBq−II)、2−[4−(3,6−ジフェニル−9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2CzPDBq−III)、7−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:7mDBTPDBq−II)、及び、6−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:6mDBTPDBq−II)などのベンゾキノキサリン誘導体が挙げられる。
ホールを受け取りやすい化合物としては、例えば、4−フェニル−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBA1BP)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)、4,4’,4’’−トリス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:1’−TNATA)、2,7−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]−スピロ−9,9’−ビフルオレン(略称:DPA2SF)、N,N’−ビス(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N,N’−ジフェニルベンゼン−1,3−ジアミン(略称:PCA2B)、N−(9,9−ジメチル−2−N’,N’−ジフェニルアミノ−9H−フルオレン−7−イル)ジフェニルアミン(略称:DPNF)、N,N’,N’’−トリフェニル−N,N’,N’’−トリス(9−フェニルカルバゾール−3−イル)ベンゼン−1,3,5−トリアミン(略称:PCA3B)、2−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]スピロ−9,9’−ビフルオレン(略称:PCASF)、2−[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]スピロ−9,9’−ビフルオレン(略称:DPASF)、N,N’−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニル−9,9−ジメチルフルオレン−2,7−ジアミン(略称:YGA2F)、4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(TPD)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、N−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−N−{9,9−ジメチル−2−[N’−フェニル−N’−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−アミノ]−9H−フルオレン−7−イル}−フェニルアミン(略称:DFLADFL)、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3−[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzDPA1)、3,6−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzDPA2)、4,4’−ビス(N−{4−[N’−(3−メチルフェニル)−N’−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)、3,6−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−(1−ナフチル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzTPN2)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)などの芳香族アミンやカルバゾール誘導体が挙げられる。
発光性の有機化合物としては、燐光性化合物が好ましく、有機金属錯体の中でもイリジウム錯体が特に好ましい。なお、上述のフェルスター機構によるエネルギー移動を考慮すると、燐光性化合物の最も長波長側に位置する吸収帯のモル吸光係数は、2000M−1・cm−1以上が好ましく、5000M−1・cm−1以上が特に好ましい。
大きなモル吸光係数を有する発光性の有機化合物としては、例えば、ビス(3,5−ジメチル−2−フェニルピラジナト)(ジピバロイルメタナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(mppr−Me)2(dpm)])や、(アセチルアセトナト)ビス(4,6−ジフェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(dppm)2(acac)])などが挙げられる。
また、本発明の一態様の燐光性有機金属イリジウム錯体(実施の形態2参照)は好適であり、例えば(アセチルアセトナト)ビス[4−(2−ノルボルニル)−6−フェニルピリミジナト]イリジウム(III)(endo−,exo−混合物)(略称:[Ir(nbppm)(acac)])などが好ましい。
以上のように、ホスト材料である第1の有機化合物に、ゲスト材料として第2の有機化合物と発光性の有機化合物が分散された発光層を備え、該発光層に注入された電子と正孔の再結合により生じたエネルギーが、第1の有機化合物と第2の有機化合物の励起錯体を経て、発光性の有機化合物の発光に至る構成を発光層に備える発光素子を作製できる。
本実施の形態で例示した発光素子は、該発光層に注入された電子と正孔の再結合により生じたエネルギーを、およそ等しい状態に集約してから発光性の有機化合物に移動する。その結果、ホスト材料から発光性の有機化合物へ効率良くエネルギーを移動できる。さらに、本発明の一態様の発光効率が高い燐光性有機金属錯体を用いることにより、電子と正孔の再結合により生じたエネルギーを効率よく光に変換できる発光素子を提供できる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の燐光性有機金属錯体が、一対の電極に挟持された発光性の有機化合物を含む層に適用された発光素子を用いた発光装置について図4、及び図5を参照して説明する。具体的には、アクティブマトリクス型及びパッシブマトリクス型の発光装置について説明する。
<アクティブマトリクス型の発光装置>
アクティブマトリクス型の発光装置に適用した場合の構成を図4に示す。なお、図4(A)は、発光装置の上面図、図4(B)は図4(A)をA−B及びC−Dで切断した断面図である。
アクティブマトリクス型の発光装置1400は、駆動回路部(ソース側駆動回路)1401、画素部1402、駆動回路部(ゲート側駆動回路)1403、封止基板1404、シール材1405を備える(図4(A)参照)。なお、シール材1405で囲まれた内側は、空間1407になっている(図4(B)参照)。
発光装置1400は外部入力端子となるFPC(フレキシブルプリントサーキット)1409を介して、ビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を受け取る。なお、ここではFPCしか図示されていないが、FPCにはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光装置本体だけでなく、それにFPC又はPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。
次に、発光装置1400の構成について図4(B)に示す断面図を用いて説明する。発光装置1400は、素子基板1410上に図示されたソース側駆動回路1401を含む駆動回路部及び、図示された画素を含む画素部1402を備える。また、ソース側駆動回路1401及びゲート側駆動回路1403に入力される信号を伝送するための引き回し配線1408を備える。
なお、本実施の形態ではソース側駆動回路1401がnチャネル型TFT1423とpチャネル型TFT1424とを組み合わせたCMOS回路を含む構成について例示するが、駆動回路はこの構成に限定されず、種々のCMOS回路、PMOS回路又はNMOS回路で構成しても良い。また、本実施の形態では、基板上に駆動回路を形成したドライバ一体型を示すが、必ずしもその必要はなく、駆動回路を基板上ではなく外部に形成することもできる。
また、画素部1402は本発明の一態様の発光素子を用いて構成する。画素部1402はスイッチング用TFT1411と、電流制御用TFT1412とそのドレインに電気的に接続された第1の電極1413とを含む複数の画素を有する。画素部1402には、例えば実施の形態1で例示した発光素子を適用できる。具体的には、画素部1402が備える発光素子のそれぞれに、スイッチング用のTFTを設ける構成とすればよい。なお、隔壁1414が第1の電極1413の端部を覆って形成されている。ここでは、ポジ型の感光性アクリル樹脂膜を用いることにより形成する。
また、隔壁1414の上端部又は下端部には、曲率を有する曲面が形成されるようにする。例えば、隔壁1414の材料としてポジ型の感光性アクリル樹脂を用いた場合、隔壁1414の上端部のみに曲率半径(0.2μm〜3μm)を有する曲面を持たせることが好ましい。また、隔壁1414として、光の照射によってエッチャントに不溶解性となるネガ型、或いは光の照射によってエッチャントに溶解性となるポジ型のいずれも使用することができる。
発光装置1400は、第1の電極1413上に第2の電極1417を有し、第1の電極1413と第2の電極1417の間にEL層1416が設けられ、発光素子1418を構成している。発光素子1418の構成としては、例えば実施の形態1で例示した発光素子を適用できる。
本実施の形態で例示する発光装置1400は、素子基板1410、封止基板1404、及びシール材1405で囲まれた空間1407に本発明の一態様の発光素子1418を封止する構造になっている。なお、空間1407には、充填材が充填されており、不活性気体(窒素やアルゴン等)が充填される場合の他、シール材1405で充填される場合もある。また、乾燥剤など不純物の吸着材を設けても良い。
シール材1405及び封止基板1404は、大気中の不純物(例えば水分や酸素)をできるだけ透過しない材料であることが望ましい。封止基板1404に用いる材料としては、ガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、ポリエステル又はアクリル樹脂等からなるプラスチック基板をその例に挙げることができ、シール材1405には代表的にはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。
上述した本発明の一態様のアクティブマトリクス型の発光装置は、本発明の一態様の燐光性有機金属錯体が、一対の電極に挟持されたEL層に適用された発光素子を備える。該燐光性有機金属錯体は、ピリジンまたは単環ジアジンなどの、窒素原子を有する六員環の複素芳香環とイリジウム又は白金を有しており、該窒素原子がイリジウム又は白金に配位し、オルトメタル化されたアリール基が該窒素原子のα炭素原子に結合され、該六員環の複素芳香環、又は該アリール基がトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカニル基、ノルボルニル基またはアダマンチル基のいずれか一を置換基として備える。このため、発光効率が高く、消費電力が低減された発光装置を提供できる。
<パッシブマトリクス型の発光装置>
次に、パッシブマトリクス型の発光装置に適用した場合の構成を図5に示す。なお、図5(A)は、発光装置を示す斜視図、図5(B)は図5(A)をX−Yで切断した断面図である。
パッシブマトリクス型の発光装置2500は、基板2501上に第1の電極2502を備える。また、絶縁層2505が第1の電極2502の端部を覆って設けられており、隔壁層2506が絶縁層2505上に設けられている。
発光装置2500は、本発明の一態様の発光素子を用いて形成されている。該発光素子は、例えば実施の形態1で例示した構成を適用できる。第1の電極2502上に第2の電極2503を有し、第1の電極2502と第2の電極2503の間にEL層2504が設けられ、発光素子を構成している。
隔壁層2506の側壁は、基板面に近くなるに伴って、一方の側壁と他方の側壁との間隔が狭くなるような傾斜を有する。つまり、隔壁層2506の短辺方向の断面は、台形状であり、底辺(絶縁層2505の面方向と同様の方向を向き、絶縁層2505と接する辺)の方が上辺(絶縁層2505の面方向と同様の方向を向き、絶縁層2505と接しない辺)よりも短い。このように、隔壁層2506を設けることで、クロストーク等に起因した発光素子の不良を防ぐことができる。
上述した本発明の一態様のパッシブマトリクス型の発光装置は、本発明の一態様の燐光性有機金属錯体が一対の電極に挟持されたEL層に適用された発光素子を備える。該燐光性有機金属錯体は、ピリジンまたは単環ジアジンなどの、窒素原子を有する六員環の複素芳香環とイリジウム又は白金を有しており、該窒素原子がイリジウム又は白金に配位し、オルトメタル化されたアリール基が該窒素原子のα炭素原子に結合され、該六員環の複素芳香環、又は該アリール基がトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカニル基、ノルボルニル基またはアダマンチル基のいずれか一を置換基として備える。このため、発光効率が高く、消費電力が低減された発光装置を提供できる。
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様の燐光性有機金属錯体が、一対の電極に挟持されたEL層に適用された発光素子を用いた発光装置を搭載した電子機器の一例について、図6を用いて説明する。
発光装置を適用した電子機器として、例えば、テレビジョン装置(テレビ、又はテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。これらの電子機器の具体例を図6に示す。
図6(A)は、テレビジョン装置の一例を示している。テレビジョン装置7100は、筐体7101に表示部7103が組み込まれている。表示部7103により、映像を表示することが可能であり、発光装置を表示部7103に用いることができる。また、ここでは、スタンド7105により筐体7101を支持した構成を示している。
テレビジョン装置7100の操作は、筐体7101が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機7110により行うことができる。リモコン操作機7110が備える操作キー7109により、チャンネルや音量の操作を行うことができ、表示部7103に表示される映像を操作することができる。また、リモコン操作機7110に、当該リモコン操作機7110から出力する情報を表示する表示部7107を設ける構成としてもよい。
なお、テレビジョン装置7100は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線又は無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)又は双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
図6(B)はコンピュータであり、本体7201、筐体7202、表示部7203、キーボード7204、外部接続ポート7205、ポインティングデバイス7206等を含む。なお、コンピュータは、発光装置をその表示部7203に用いることにより作製される。
図6(C)は携帯型遊技機であり、筐体7301と筐体7302の2つの筐体で構成されており、連結部7303により、開閉可能に連結されている。筐体7301には表示部7304が組み込まれ、筐体7302には表示部7305が組み込まれている。また、図6(C)に示す携帯型遊技機は、その他、スピーカ部7306、記録媒体挿入部7307、LEDランプ7308、入力手段(操作キー7309、接続端子7310、センサ7311(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン7312)等を備えている。もちろん、携帯型遊技機の構成は上述のものに限定されず、少なくとも表示部7304および表示部7305の両方、又は一方に発光装置を用いていればよく、その他付属設備が適宜設けられた構成とすることができる。図6(C)に示す携帯型遊技機は、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出して表示部に表示する機能や、他の携帯型遊技機と無線通信を行って情報を共有する機能を有する。なお、図6(C)に示す携帯型遊技機が有する機能はこれに限定されず、様々な機能を有することができる。
図6(D)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機7400は、筐体7401に組み込まれた表示部7402の他、操作ボタン7403、外部接続ポート7404、スピーカ7405、マイク7406などを備えている。なお、携帯電話機7400は、発光装置を表示部7402に用いることにより作製される。
図6(D)に示す携帯電話機7400は、表示部7402を指などで触れることで、情報を入力することができる。また、電話を掛ける、或いはメールを作成するなどの操作は、表示部7402を指などで触れることにより行うことができる。
表示部7402の画面は主として3つのモードがある。第1は、画像の表示を主とする表示モードであり、第2は、文字等の情報の入力を主とする入力モードである。第3は表示モードと入力モードの2つのモードが混合した表示+入力モードである。
例えば、電話を掛ける、或いはメールを作成する場合は、表示部7402を文字の入力を主とする文字入力モードとし、画面に表示させた文字の入力操作を行えばよい。この場合、表示部7402の画面のほとんどにキーボード又は番号ボタンを表示させることが好ましい。
また、携帯電話機7400内部に、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサを有する検出装置を設けることで、携帯電話機7400の向き(縦か横か)を判断して、表示部7402の画面表示を自動的に切り替えるようにすることができる。
また、画面モードの切り替えは、表示部7402を触れること、又は筐体7401の操作ボタン7403の操作により行われる。また、表示部7402に表示される画像の種類によって切り替えるようにすることもできる。例えば、表示部に表示する画像信号が動画のデータであれば表示モード、テキストデータであれば入力モードに切り替える。
また、入力モードにおいて、表示部7402の光センサで検出される信号を検知し、表示部7402のタッチ操作による入力が一定期間ない場合には、画面のモードを入力モードから表示モードに切り替えるように制御してもよい。
表示部7402は、イメージセンサとして機能させることもできる。例えば、表示部7402に掌や指で触れ、掌紋、指紋等を撮像することで、本人認証を行うことができる。また、表示部に近赤外光を発光するバックライト又は近赤外光を発光するセンシング用光源を用いれば、指静脈、掌静脈などを撮像することもできる。
図6(E)は、照明装置の一例を示している。照明装置7500は、筐体7501に光源として本発明の一態様の発光装置7503a〜7503dが組み込まれている。照明装置7500は、天井や壁等に取り付けることが可能である。
また、本発明の一態様の発光装置は、発光パネルが薄膜状であるため、曲面を有する基体に貼り付けることで、曲面を有する発光装置とすることができる。また、その発光装置を、曲面を有する筐体に配置することで、曲面を有する電子機器または照明装置を実現することができる。
また、本発明の一態様の電子機器は発光効率が高い発光素子を用いているため、消費電力が低い。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様のる燐光性有機金属錯体が、一対の電極に挟持されたEL層に適用された発光素子を用いた発光装置を搭載した照明装置の一例について、図7を用いて説明する。
本発明の一態様では、発光部が曲面を有する照明装置を実現することもできる。
本発明の一態様は、自動車の照明にも適用することができ、例えば、ダッシュボードや、天井等に照明を容易に設置することもできる。
図7(A)では、本発明の一態様を適用した、室内の天井に設ける照明装置901、壁面に設ける照明装置904及び卓上照明器具903を示す。発光装置は大面積化も可能であるため、大面積の照明装置として用いることができる。
図7(B)に別の照明装置の例を示す。図7(B)に示す卓上照明装置は、照明部9501、支柱9503、支持台9505等を含む。照明部9501は、本発明の一態様の発光装置を含む。このように、本発明の一態様では、曲面を有する照明装置を実現することができる。
本発明の一態様の発光素子の構成、作製方法および特性の測定結果について説明する。
本実施例で作製した発光素子の構成を図8、表1および表2を用いて説明する。具体的には、本発明の一態様の燐光性有機金属錯体が、一対の電極に挟持されたEL層に適用された発光素子について説明する。
<発光素子の構成>
図8(A)に作製した発光素子1510の構成の一例を示す。発光素子1510は、第1の電極1501と第2の電極1502の間にEL層1503を有する。第1の電極1501は、EL層1503が発する光を透過し、第2の電極1502は当該光を反射する。
本実施例では、ガラス基板1500上に珪素を含むインジウム錫酸化物(略称:ITSO)膜を用いて第1の電極1501を形成し、それを陽極とした。また、アルミニウム膜を用いて第2の電極1502を形成し、陰極とした。
<発光性の有機化合物を含む層の構成>
図8(A)にEL層1503の構成を示す。EL層1503は、陽極として機能する第1の電極1501上に正孔注入層1511、正孔輸送層1512、発光層1513、第1の電子輸送層1514a、第2の電子輸送層1514b、及び電子注入層1515をこの順に備える。
本実施例では上記の構成を有する発光素子1510のうち発光層に用いる発光性の有機化合物を変えて3種類の発光素子を作製した。具体的には、本発明の一態様の発光素子(発光素子1および発光素子2とする)と、発光素子の効果を対比して示すための比較素子(比較素子)を作製した。作製した素子の詳細な構造を表1に示す。
また、本発明の一態様の発光素子は、発光層1513を二層の積層体とする発光素子も含む(図8(B)参照)。具体的には、本発明の一態様の発光素子は、正孔輸送層に接する第1の発光層1513aと、第1の電子輸送層1514aに接する第2の発光層1513bと、を発光層1513が備える構成も含む。本実施例では、発光層1513を二層の積層体とする発光素子(発光素子3とする)も作製した。発光素子3の詳細を表2に示す。
また、本実施例で用いる一部の有機化合物の構造式を以下に示す。
(発光素子1の作製)
次に、発光素子1の作製について説明する。
まず、ガラス基板1500上にスパッタリング法を用いて透光性を有する導電膜を形成した。本実施例では、110nmの珪素を含むインジウム錫酸化物(略称:ITSO)膜を形成した。
透光性を有する導電膜上に開口部を有する隔壁を形成し、第1の電極の面積を2mm×2mmとした。
次に、第1の電極が形成された面を下方に向けて、ガラス基板1500を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、真空蒸着装置を10−4Pa程度まで減圧した。
次に、正孔注入層1511を第1の電極上に形成した。正孔注入層1511は1,3,5−トリ(ジベンゾチオフェン−4−イル)−ベンゼン(略称:DBT3P−II)と酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、有機化合物と無機化合物とを複合してなる複合材料を含む層を用いた。複合材料を含む層の膜厚は40nmとし、DBT3P−IIと酸化モリブデンの比率は、重量比で2:1(=DBT3P−II:酸化モリブデン)となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で複数の蒸発源を用いて、複数の材料を同時に蒸着する方法を指す。
次に、正孔輸送層1512を正孔注入層1511上に形成した。正孔輸送層1512は抵抗加熱を用いた蒸着法により、BPAFLPを20nmの膜厚となるように成膜した。
次に、発光層1513を正孔輸送層1512上に形成した。発光層1513は2−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTPDBq−II)、4−フェニル−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBA1BP)及びIr(nbppm)(acac)(endo−,exo−混合物)を40nmの膜厚となるように共蒸着して形成した。2mDBTPDBq−II及びPCBA1BP及びIr(nbppm)(acac)の重量比は、0.8:0.2:0.05(=2mDBTPDBq−II:PCBA1BP:Ir(nbppm)(acac))となるように蒸着レートを調整した。
次に、電子輸送層を発光層1513上に形成した。電子輸送層は、第1の電子輸送層1514aと第2の電子輸送層1514bからなる。なお、第1の電子輸送層1514aとして2mDBTPDBq−IIを10nm、その上に第2の電子輸送層1514bとしてBPhenを20nmの膜厚となるように成膜した。
次に、電子注入層1515を第2の電子輸送層1514b上に形成した。電子注入層1515としてLiFを、1nmの膜厚となるように蒸着した。
最後に、第2の電極1502を電子注入層1515上に形成した。第2の電極1502は、抵抗加熱を用いた蒸着法により、アルミニウム(Al)を200nmの膜厚となるように蒸着した。
以上により得られた発光素子1を大気に曝さないように窒素雰囲気のグローブボックス内において封止した。
次いで、この発光素子1の動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
(発光素子2の作製)
次に、発光素子2の作製について説明する。
発光素子2は、発光層1513に用いる発光性の有機化合物の濃度を除いて、上述の発光素子1と同様の材料、方法、及び条件を用いて作製した。よって、構成を同じくする部分の作製の詳細については、発光素子1の記載を参酌し、構成が異なる発光層1513の作製のみを以下に説明する。
発光素子2の発光層1513は2mDBTPDBq−II、PCBA1BP及びIr(nbppm)(acac)を40nmの膜厚となるように共蒸着して形成した。2mDBTPDBq−II及びPCBA1BP及びIr(nbppm)(acac)の重量比は、0.8:0.2:0.01(=2mDBTPDBq−II:PCBA1BP:Ir(nbppm)(acac))となるように蒸着レートを調整した。
この発光素子2の動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
(発光素子3の作製)
次に、発光素子3の作製について説明する。
発光素子3は、発光層1513を二層の積層体とする構成と、それに用いる発光性の有機化合物の種類と濃度を除いて、上述の発光素子1と同様の材料、方法、及び条件を用いて作製した。よって、構成を同じくする部分の作製の詳細については、発光素子1の記載を参酌し、構成が異なる発光層1513の作製を以下に説明する。
発光素子3の発光層1513は第1の発光層1513aと第2の発光層1513bとを備え、いずれも2mDBTPDBq−II、PCBA1BP及び(アセチルアセトナト)ビス[5−メチル−4−(2−ノルボルニル)−6−フェニルピリミジナト)]イリジウム(III)(endo−,exo−混合物)(略称:[Ir(nbmppm)(acac)])を20nmの膜厚となるように共蒸着して形成した。ただし、第1の発光層1513aは、2mDBTPDBq−II、PCBA1BP及びIr(nbmppm)(acac)の重量比が、0.8:0.2:0.05(=2mDBTPDBq−II:PCBA1BP:Ir(nbmppm)(acac))となるように蒸着レートを調整した。また、第2の発光層1513bは、2mDBTPDBq−II、PCBA1BP及びIr(nbmppm)(acac)の重量比が、0.8:0.2:0.01(=2mDBTPDBq−II:PCBA1BP:Ir(nbmppm)(acac))となるように蒸着レートを調整した。
この発光素子3の動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
(比較素子の作製)
次に、比較素子の作製について説明する。
比較素子は、発光層1513に用いる発光性の有機化合物を除いて、上述の発光素子1と同様の材料、方法、及び条件を用いて作製した。よって、構成を同じくする部分の作製の詳細については、発光素子1の記載を参酌し、構成が異なる発光層1513の作製のみを以下に説明する。
比較素子の発光層1513は、2mDBTPDBq−II、PCBA1BP及び(アセチルアセトナト)ビス(6−tert−ブチル−4−フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tBuppm)acac])を40nmの膜厚となるように共蒸着して形成した。2mDBTPDBq−II及びPCBA1BP及びIr(tBuppm)acacの重量比は、0.8:0.2:0.05(=2mDBTPDBq−II:PCBA1BP:Ir(tBuppm)acac))となるように蒸着レートを調整した。
この比較素子の動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
(評価結果)
発光素子1、発光素子2乃至比較素子のそれぞれの外部量子効率−輝度特性を図9に、輝度−電圧特性を図10に、色度を図11に、示す。
発光素子1は、輝度1000cd/mのときのCIE色度座標は(x=0.46、y=0.53)であり、黄緑色の発光を示した。また、輝度1000cd/mのときの外部量子効率は25.4%であり、電圧は2.9V、電流密度は1.2mA/cmであった。
発光素子2は、輝度1200cd/mのときのCIE色度座標は(x=0.43、y=0.56)であり、緑色の発光を示した。また、輝度1200cd/mのときの外部量子効率は26.9%であり、電圧は2.9V、電流密度は1.2mA/cmであった。
また、発光素子3の外部量子効率−輝度特性を図14に、輝度−電圧特性を図15に、色度を図16に、示す。
発光素子3は、輝度855cd/mのときのCIE色度座標は(x=0.44、y=0.55)であり、緑色の発光を示した。また、輝度855cd/mのときの外部量子効率は27.8%であり、電圧は2.8V、電流密度は0.86mA/cmであった。
比較素子は、輝度1120cd/mのときのCIE色度座標は(x=0.44、y=0.55)であり、緑色の発光を示した。また、輝度1120cd/mのときの外部量子効率は24.3%であり、電圧は2.9V、電流密度は1.28mA/cmであった。
また、発光素子の信頼性を試験した。信頼性試験は、初期輝度を5000cd/mに設定し、電流密度一定の条件で発光素子を駆動した際の輝度の経時変化を観測して行った。初期輝度を100%とし、輝度が90%を下回る時間を比較した。発光素子1は33.7時間、発光素子2は35.5時間、発光素子3は20.1時間、比較素子は34.0時間であり、いずれも良好な信頼性を備えていた。
本実施例で作製した発光素子はいずれも極めて高い外部量子効率で発光した。特に発光素子1、発光素子2および発光素子3は、比較素子に比べて発光効率が高いことが示された。また、いずれの発光素子も低い電圧で駆動ができること、及び高い信頼性を備えていることが示された。
上述したように、本発明の一形態の燐光性有機金属錯体を一対の電極に挟持されたEL層に適用された発光素子は、発光効率が高い。
このような効果を奏する理由は、金属の配位子に結合したトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカニル基、ノルボルニル基またはアダマンチル基が、共鳴効果による発光波長の長波長化を引き起こすことなく、その誘起効果により該配位子に電子を供与する。電子が供与された配位子を備える燐光性有機金属錯体は分子吸収係数が高く、ホスト材料に分散して用いると、当該ホスト材料から効率よくエネルギーを受容できるからである。または、嵩高い置換基であるトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカニル基、ノルボルニル基またはアダマンチル基を有する配位子を備える燐光性有機金属錯体は、分子間距離が遠くなるため会合せず、濃度消光し難いからである。
本発明の一態様の燐光性有機金属錯体の合成および特性の測定結果について説明する。
(合成例1)
本合成例では、実施の形態2の構造式(100)で表される本発明の一態様である有機金属錯体、[Ir(nbppm)(acac)](endo−,exo−混合物)の合成例を具体的に例示する。[Ir(nbppm)(acac)])の構造を以下に示す。
≪ステップ1; 4−クロロ−6−フェニルピリミジンの合成≫
4,6−ジクロロピリミジン3.35gとフェニルボロン酸3.02g、トリシクロヘキシルホスフィン(略称:PCy)1.7mL、炭酸セシウム14.7g、トリス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)(略称:Pd(dba) )0.31g、ジオキサン30mLを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、内部をアルゴン置換した。この反応容器にマイクロ波(2.45GHz 120W)を60分間照射することで加熱し、反応させた。この反応溶液の溶媒を留去し、得られた残渣を、ジクロロメタンとヘキサンの混合溶媒(体積比1/1)を展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、4−クロロ−6−フェニルピリミジンを得た(淡い黄色粉末、収率34%)。なお、マイクロ波の照射はマイクロ波合成装置(CEM社製 Discover)を用いた。ステップ1の合成スキームを下記(a−1)に示す。
≪ステップ2; 4−(2−ノルボルニル)−6−フェニルピリミジン(endo−,exo−混合物)(略称:Hnbppm)の合成≫
exo−2−ブロモノルボルナン2.99gとマグネシウム0.50g、テトラヒドロフラン(THF)10mLを反応容器に入れ、この反応容器にマイクロ波(2.45GHz 100W)を10分間照射することで加熱し、グリニャー試薬を調整した。上記ステップ1で得た4−クロロ−6−フェニルピリミジン5.02gとTHF30mLを混合し、−15℃で撹拌しながら、得られたグリニャー試薬を添加し、さらに[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケル(II)ジクロリド(略称:Ni(dppe)Cl )30mgを添加して、室温まで昇温した。この反応溶液に塩化アンモニウム水溶液を加えて、有機層を酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥した後の溶液をろ過した。この溶液の溶媒を留去した後、得られた残渣を、ヘキサンと酢酸エチルの混合溶媒(体積比5/1)を展開溶媒とするフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)で精製し、目的のピリミジン誘導体Hnbppmを得た(黄色油状物、収率43%)。ステップ2の合成スキームを下記(b−1)に示す。
≪ステップ3; ジ−μ−クロロ−ビス{ビス[4−(2−ノルボルニル)−6−フェニルピリミジナト]イリジウム(III)}(endo−,exo−混合物)(略称:[Ir(nbppm)Cl])の合成≫
2−エトキシエタノール15mLと水5mL、上記ステップ2で得たHnbppm0.83g、塩化イリジウム水和物(IrCl・HO)0.49gを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、フラスコ内をアルゴン置換した。その後、マイクロ波(2.45GHz 100W)を30分間照射し、反応させた。反応溶液をろ過し、得られたろ物をエタノールで洗浄し、複核錯体[Ir(nbppm)Cl]を得た(褐色粉末、収率74%)。ステップ3の合成スキームを下記(c−1)に示す。
≪ステップ4;Ir(nbppm)(acac)(endo−,exo−混合物)の合成≫
2−エトキシエタノール20mL、上記ステップ3で得た複核錯体[Ir(nbppm)Cl] 0.89g、アセチルアセトン0.19mL、炭酸ナトリウム0.65gを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、フラスコ内をアルゴン置換した。その後、マイクロ波(2.45GHz 100W)を30分間照射し、反応させた。反応溶液をろ過し、得られたろ物を水、次いでエタノール、次いでヘキサンにて洗浄した。ろ物をジクロロメタンに溶解し、セライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)をろ過補助剤としてろ過した。ろ液の溶媒を留去した後、得られた残渣を、ジクロロメタンと酢酸エチルの混合溶媒(体積比50/1)を展開溶媒とするフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)で精製し、本発明の有機金属錯体[Ir(nbppm)(acac)]を橙色粉末として得た(収率54%)。ステップ4の合成スキームを下記(d−1)に示す。
上記ステップ4で得られた橙色粉末の核磁気共鳴分光法(H−NMR)による分析結果を下記に示す。また、H−NMRチャートを図12に示す。なお、得られた橙色粉末はendo体とexo体のシグナルが混在し、H−NMRにおいて分離出来なかったため、ケミカルシフト値はこれら混合物のものを記述する。この結果から、本合成例1において、上述の構造式(100)で表される本発明の一態様である有機金属錯体[Ir(nbppm)(acac)]が得られたことがわかった。
H−NMR.δ(CDCl):1.24−1.51,1.61−2.06,2.07,2.48,2.69,3.03,3.56,5.24,6.34,6.74−6.86,7.64,8.99.
次に、[Ir(nbppm)(acac)]のジクロロメタン溶液の紫外可視吸収スペクトル(以下、単に「吸収スペクトル」という)及び発光スペクトルを測定した。吸収スペクトルの測定には、紫外可視分光光度計((株)日本分光製 V550型)を用い、ジクロロメタン溶液(0.105mmol/L)を石英セルに入れ、室温で測定を行った。また、発光スペクトルの測定には、蛍光光度計((株)浜松ホトニクス製 FS920)を用い、脱気したジクロロメタン溶液(0.105mmol/L)を石英セルに入れ、室温で測定を行った。得られた吸収スペクトル及び発光スペクトルを図13に示す。横軸は波長、縦軸は吸収強度および発光強度を表す。また、図13において細い実線は吸収スペクトルを示し、太い実線は発光スペクトルを示している。なお、図13に示す吸収スペクトルは、ジクロロメタン溶液(0.105mmol/L)を石英セルに入れて測定した吸収スペクトルから、ジクロロメタンのみを石英セルに入れて測定した吸収スペクトルを差し引いた結果を示している。
図13に示すとおり、本発明の一態様である有機金属錯体[Ir(nbppm)(acac)]は、547nmに発光ピークを有しており、ジクロロメタン溶液からは黄緑色の発光が観測された。
(合成例2)
本合成例では、実施の形態2の構造式(108)で表される本発明の一態様である有機金属錯体、トリス[4−(2−ノルボルニル)−6−フェニルピリミジナト]イリジウム(III)(endo−,exo−混合物)(略称:[Ir(nbppm)])の合成例を示す。[Ir(nbppm)]の構造を以下に示す。
《トリス[4−(2−ノルボルニル)−6−フェニルピリミジナト]イリジウム(III)(endo−,exo−混合物)(略称:[Ir(nbppm)])の合成》
複核錯体[Ir(nbppm)Cl] 1.24g、4−(2−ノルボルニル)−6−フェニルピリミジン(略称:Hnbppm)0.53g、炭酸カリウム1.18g、フェノール10gを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、フラスコ内をアルゴン置換した。その後、マイクロ波(2.45GHz 100W)を30分間照射し、反応させた。反応物にメタノールを加え、ろ過した。得られたろ物を水、次いでメタノールにて洗浄した。ろ物をジクロロメタンに溶解し、ジクロロメタンを展開溶媒とするフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)で精製し、本発明の有機金属錯体[Ir(nbppm)]を黄色粉末として得た(収率36%)。本ステップの合成スキームを下記(d−2)に示す。
上記ステップで得られた黄色粉末の核磁気共鳴分光法(H−NMR)による分析結果を下記に示す。また、H−NMRチャートを図17に示す。なお、得られた黄色粉末はendo体とexo体のシグナルが混在し、H−NMRにおいて分離出来なかったため、ケミカルシフト値は混合物として記述する。この結果から、本合成例2において、上述の構造式(108)で表される本発明の一態様である有機金属錯体[Ir(nbppm)]が得られたことがわかった。
H−NMR.δ(CDCl):1.18−1.72,1.86−1.96,2.38−2.50,2.61,2.84,3.31,6.78−6.85,6.87−6.96,7.61,7.74,8.14−8.24.
次に、[Ir(nbppm)]のジクロロメタン溶液の吸収スペクトル及び発光スペクトルを測定した。測定は[Ir(nbppm)(acac)]の場合と同じ装置、手法、条件下で行った。ただし、サンプルの濃度は0.085mmol/Lとした。得られた吸収スペクトル及び発光スペクトルを図18に示す。横軸は波長、縦軸は吸収強度および発光強度を表す。また、図18において細い実線は吸収スペクトルを示し、太い実線は発光スペクトルを示している。
図18に示すとおり、本発明の一態様である有機金属錯体[Ir(nbppm)]は、541nmに発光ピークを有しており、ジクロロメタン溶液からは黄緑色の発光が観測された。
また、Ir(nbppm)のりん光量子収率(Φ)を、脱気したトルエン溶液中で測定した。りん光量子収率の測定には、絶対量子収率測定装置(浜松フォトニクス社製C9920−02)を用い、室温で測定を行った。Ir(nbppm)の濃度を0.01mmol/Lとした。Ir(nbppm)のりん光量子収率Φは0.76であった。この結果から、Ir(nbppm)は溶液中高い効率でりん光を発する材料であることがわかった。
なお、本発明の一態様の有機金属錯体Ir(nbppm)のイリジウムに配位するピリミジン環は置換基Rとしてノルボルニル基を備えるが、ノルボルニル基に代えて置換基Rにターシャリーブチル基を備える有機金属錯体Ir(tBuppm)のりん光量子収率は、0.61である。
置換基Rがノルボルニル基であると、電子がイリジウムに配位するピリミジン環に、誘起効果によりより強く供与される。その結果、本発明の一態様の有機金属錯体Ir(nbppm)は高い効率でりん光を発する。
(合成例3)
本合成例では、実施の形態2の構造式(111)で表される本発明の一態様である有機金属錯体、[Ir(nbmppm)(acac)](endo−,exo−混合物)の合成例を示す。[Ir(nbmppm)(acac)])の構造を以下に示す。
《ステップ1; 4−クロロ−5−メチル−6−フェニルピリミジンの合成》
4,6−ジクロロ−5−メチルピリミジン4.9gとフェニルボロン酸3.7g、PCy2.3mL、炭酸セシウム20g、Pd(dba)0.41g、ジオキサン40mLを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、内部をアルゴン置換した。この反応容器にマイクロ波(2.45GHz 300W)を100分間照射することで加熱し、反応させた。この反応溶液の溶媒を留去し、得られた残渣を、ジクロロメタンとヘキサンの混合溶媒(体積比7/3)を展開溶媒とするフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)で精製し、4−クロロ−5−メチル−6−フェニルピリミジンを得た(黄色油状物、収率37%)。なお、マイクロ波の照射はマイクロ波合成装置(MILESTONE社製MicroSYNTH)を用いた。ステップ1の合成スキームを下記(a−3)に示す。
《ステップ2; 5−メチル−4−(2−ノルボルニル)−6−フェニルピリミジン(endo−,exo−混合物)(略称:Hnbmppm)の合成》
exo−2−ブロモノルボルナン4.2gとマグネシウム0.70g、THF12mLを反応容器に入れ、この反応容器にマイクロ波(2.45GHz 100W)を10分間照射することで加熱し、グリニャー試薬を調整した。上記ステップ1で得た4−クロロ−5−メチル−6−フェニルピリミジン2.3gとTHF20mLを混合し、−20℃で撹拌しながら、得られたグリニャー試薬を添加し、さらにNi(dppe)Cl40mgを添加して、室温まで昇温した。この反応溶液に塩化アンモニウム水溶液を加えて、有機層を酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥した後の溶液をろ過した。この溶液の溶媒を留去した後、得られた残渣を、ジクロロメタンと酢酸エチルの混合溶媒(体積比9/1)を展開溶媒とするフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)で精製し、目的のピリミジン誘導体Hnbmppmを得た(黄色油状物、収率17%)。なお、マイクロ波の照射はマイクロ波合成装置(CEM社製Discover)を用いた。ステップ2の合成スキームを下記(b−3)に示す。
《ステップ3; ジ−μ−クロロ−ビス{ビス[5−メチル−4−(2−ノルボルニル)−6−フェニルピリミジナト]イリジウム(III)}(endo−,exo−混合物)(略称:[Ir(nbmppm)Cl])の合成》
2−エトキシエタノール15mLと水5mL、上記ステップ2で得たHnbmppm0.5g、塩化イリジウム水和物(IrCl・HO)0.28gを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、フラスコ内をアルゴン置換した。その後、マイクロ波(2.45GHz 100W)を30分間照射し、反応させた。反応溶液をろ過し、得られたろ物をエタノールで洗浄し、複核錯体[Ir(nbmppm)Cl] を得た(黄色粉末、収率63%)。なお、マイクロ波の照射はマイクロ波合成装置(CEM社製Discover)を用いた。ステップ3の合成スキームを下記(c−3)に示す。
《ステップ4; [Ir(nbmppm)(acac)](endo−,exo−混合物)の合成》
さらに、2−エトキシエタノール20mL、上記ステップ3で得た複核錯体[Ir(nbmppm)Cl] 0.45g、アセチルアセトン0.093mL、炭酸ナトリウム0.32gを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、フラスコ内をアルゴン置換した。その後、マイクロ波(2.45GHz 100W)を30分間照射し、反応させた。反応溶液をろ過し、得られたろ物を水、次いでエタノール、次いでヘキサンにて洗浄し、ジクロロメタンを展開溶媒とするフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)で精製し、本発明の有機金属錯体[Ir(nbmppm)(acac)]を黄色粉末として得た(収率40%)。なお、マイクロ波の照射はマイクロ波合成装置(CEM社製Discover)を用いた。ステップ4の合成スキームを下記(d−3)に示す。
上記ステップ4で得られた黄色粉末の核磁気共鳴分光法(H−NMR)による分析結果を下記に示す。また、H−NMRチャートを図19に示す。なお、得られた黄色粉末はendo体とexo体のシグナルが混在し、H−NMRにおいて分離出来なかったため、ケミカルシフト値は混合物として記述する。この結果から、本合成例3において、上述の構造式(111)で表される本発明の一態様である有機金属錯体[Ir(nbmppm)(acac)]が得られたことがわかった。
H−NMR.δ(CDCl):1.15−1.41,1.47−1.51,1.46−1.85,2.14−2.68,2.76,3.23,3.77,5.21−5.25,6.33−6.35,6.70,6.82,7.87−7.90,8.96−9.01.
次に、[Ir(nbmppm)(acac)]の吸収スペクトル及び発光スペクトルを測定した。測定は[Ir(nbppm)(acac)]の場合と同じ装置、手法、条件下で行った。ただし、サンプルの濃度は0.094mmol/Lとした。、得られた吸収スペクトル及び発光スペクトルを図20に示す。横軸は波長、縦軸は吸収強度および発光強度を表す。また、図20において、細い実線は吸収スペクトルを示し、太い実線は発光スペクトルを示している。
図20に示すとおり、本発明の一態様である有機金属錯体[Ir(nbmppm)(acac)]は、547nmに発光ピークを有しており、ジクロロメタン溶液からは黄緑色の発光が観測された。
(合成例4)
本合成例では、実施の形態2の構造式(128)で表される本発明の一態様である有機金属錯体、(アセチルアセトナト)ビス[4−(1−アダマンチル)−6−フェニルピリミジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(Adm1ppm)(acac)])の合成例を示す。[Ir(Adm1ppm)(acac)])の構造を以下に示す。
《ステップ1; 1−(1−アダマンチル)−3−フェニル−プロパン−1,3−ジオンの合成》
アセトフェノン14.50gと1−アダマンタンカルボン酸エチル25.13g、tert−ブトキシナトリウム22g、THF60mLを、還流管を付けたフラスコに入れ、内部を窒素置換した。この反応容器を80℃で7時間30分間加熱し、反応させた。この反応溶液に、希塩酸を添加し、トルエンにて抽出した。得られたトルエン溶液の溶媒を留去し、得られた残渣を、ジクロロメタンとヘキサンの混合溶媒(体積比9/1)を展開溶媒とするフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)で精製し、1−(1−アダマンチル)−3−フェニル−プロパン−1,3−ジオン(無色油状物、収率4%)。ステップ1の合成スキームを下記(a−4)に示す。
《ステップ2; 4−(1−アダマンチル)−6−フェニルピリミジン(略称:HAdm1ppm)の合成》
次に、上記ステップ1で得た1−(1−アダマンチル)−3−フェニル−プロパン−1,3−ジオン1.39gとホルムアミド2.22gを混合し、マイクロ波(2.45GHz 300W)を15分間照射し、220℃で反応させた。この反応溶液を希水酸化ナトリウム水溶液に注ぎ、有機層を酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥した後の溶液をろ過した。この溶液の溶媒を留去した後、得られた残渣を、ジクロロメタンと酢酸エチルの混合溶媒(体積比97/3)を展開溶媒とするフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)で精製し、目的のピリミジン誘導体HAdm1ppmを得た(赤褐色油状物、収率8%)。なお、マイクロ波の照射はマイクロ波合成装置(MILESTONE社製MicroSYNTH)を用いた。ステップ2の合成スキームを下記(b−4)に示す。
《ステップ3; ジ−μ−クロロ−ビス{ビス[4−(1−アダマンチル)−6−フェニルピリミジナト]イリジウム(III)}(略称:[Ir(Adm1ppm)Cl])の合成》
2−エトキシエタノール10mLと水3mL、上記ステップ2で得たHAdm1ppm0.12g、塩化イリジウム水和物(IrCl・HO)0.062gを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、フラスコ内をアルゴン置換した。その後、マイクロ波(2.45GHz 100W)を15分間照射し、反応させた。反応混合物をろ過し、得られたろ物をエタノールで洗浄し、複核錯体[Ir(Adm1ppm)Cl] を得た(黄色粉末、収率77%)。なお、マイクロ波の照射はマイクロ波合成装置(CEM社製Discover)を用いた。ステップ3の合成スキームを下記(c−4)に示す。
《ステップ4; [Ir(Adm1ppm)(acac)]の合成》
2−エトキシエタノール20mL、上記ステップ3で得た複核錯体[Ir(Adm1ppm)Cl] 0.13g、アセチルアセトン0.025mL、炭酸ナトリウム0.085gを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、フラスコ内をアルゴン置換した。その後、マイクロ波(2.45GHz 120W)を15分間照射し、反応させた。反応混合物をろ過し、得られたろ物を水、次いでエタノール、次いでヘキサンにて洗浄し、ジクロロメタンを展開溶媒とするフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)で精製し、本発明の有機金属錯体[Ir(Adm1ppm)(acac)]を黄色粉末として得た(収率86%)。なお、マイクロ波の照射はマイクロ波合成装置(CEM社製Discover)を用いた。ステップ4の合成スキームを下記(d−4)に示す。
上記ステップ4で得られた黄色粉末の核磁気共鳴分光法(H−NMR)による分析結果を下記に示す。また、H−NMRチャートを図21に示す。この結果から、本合成例4において、上述の構造式(128)で表される本発明の一態様である有機金属錯体[Ir(Adm1ppm)(acac)]が得られたことがわかった。
H−NMR.δ(CDCl):1.78(s,6H),1.85(s,6H),2.12(s,12H),2.20(s,6H),5.25(s,1H),6.32(d,2H),6.76(t,2H),6.83(t,2H),7.66(m,4H),9.02(s,2H).
次に、[Ir(Adm1ppm)(acac)]のジクロロメタン溶液の吸収スペクトル及び発光スペクトルを測定した。測定は[Ir(nbppm)(acac)]の場合と同じ装置、手法、条件下で行った。ただし、サンプルの濃度は0.103mmol/Lとした。得られた吸収スペクトル及び発光スペクトルを図22に示す。横軸は波長、縦軸は吸収強度および発光強度を表す。また、図22において、細い実線は吸収スペクトルを示し、太い実線は発光スペクトルを示している。
図22に示すとおり、本発明の一態様である有機金属錯体[Ir(Adm1ppm)(acac)]は、543nmに発光ピークを有しており、ジクロロメタン溶液からは黄緑色の発光が観測された。
(参考例1)
上記実施例で用いたBPAFLPの合成について具体的に説明する。BPAFLPの構造を以下に示す。
≪ステップ1:9−(4−ブロモフェニル)−9−フェニルフルオレンの合成≫
100mL三つ口フラスコにて、マグネシウム1.2g(50mmol)とジエチルエーテル10mL中に溶かした2−ブロモビフェニル12g(50mmol)をゆっくり反応させ、その後2.5時間加熱還流撹拌してグリニヤール試薬を得た。
4−ブロモベンゾフェノン10g(40mmol)と、ジエチルエーテル100mLを500mL三口フラスコに入れた。ここに先に合成したグリニヤール試薬をゆっくり滴下した後、9時間加熱還流撹拌した。
反応後、この混合物を濾過して濾物を得た。得られた濾物を酢酸エチル150mLに溶かし、ここに1N−塩酸を酸性になるまで加えて2時間撹拌した。この混合物の有機層を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて水分を取り除いた。この懸濁液を濾過し、得られた濾液を濃縮しアメ状の物質を得た。
500mLナスフラスコに、このアメ状物質と、氷酢酸50mLと、塩酸1.0mLとを入れ、窒素雰囲気下、130℃で1.5時間加熱撹拌し、反応させた。
反応後、この反応混合物を濾過して濾物を得た。得られた濾物を水、水酸化ナトリウム水、水、メタノールの順で洗浄したのち乾燥させ、目的物の白色粉末を収量11g、収率69%で得た。ステップ1の合成スキーム(x−1)を以下に示す。
≪ステップ2:4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)の合成≫
100mL三つ口フラスコへ、9−(4−ブロモフェニル)−9−フェニルフルオレン3.2g(8.0mmol)、4−フェニル−ジフェニルアミン2.0g(8.0mmol)、ナトリウム tert−ブトキシド1.0g(10mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)23mg(0.04mmol)を加え、三つ口フラスコ内の雰囲気を窒素置換した。この混合物へ、脱水キシレン20mLを加えた。この混合物を、減圧下で攪拌しながら脱気した後、トリ(tert−ブチル)ホスフィン(10wt%ヘキサン溶液)0.2mL(0.1mmol)を加えた。この混合物を、窒素雰囲気下、110℃で2時間加熱撹拌し、反応させた。
反応後、この反応混合物にトルエン200mLを加え、この懸濁液をフロリジール(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:540−00135)、セライトを通して濾過した。得られた濾液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 トルエン:ヘキサン=1:4)による精製を行った。得られたフラクションを濃縮し、アセトンとメタノールを加えて超音波をかけたのち、結晶を析出させたところ、目的物の白色粉末を収量4.1g、収率92%で得た。また、ステップ2の合成スキーム(x−2)を以下に示す。
シリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)でのRf値(展開溶媒 酢酸エチル:ヘキサン=1:10)は、目的物は0.41、9−(4−ブロモフェニル)−9−フェニルフルオレンは0.51、4−フェニル−ジフェニルアミンは0.27だった。
上記ステップ2で得られた化合物を核磁気共鳴分光法(H−NMR)により測定した。以下に測定データを示す。測定結果から、フルオレン誘導体であるBPAFLPが得られたことがわかった。得られた物質のH NMRデータを以下に示す。
H NMR(CDCl,300MHz):δ(ppm)=6.63−7.02(m,3H)、7.06−7.11(m,6H)、7.19−7.45(m,18H)、7.53−7.55(m,2H)、7.75(d,J=6.9,2H)。
(参考例2)
上記実施例で用いた2mDBTPDBq−IIの合成について説明する。
≪2mDBTPDBq−IIの合成≫
2mDBTPDBq−IIの合成スキームを(y−1)に示す。
2L三つ口フラスコに2−クロロジベンゾ[f,h]キノキサリン5.3g(20mmol)、3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニルボロン酸6.1g(20mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)460mg(0.4mmol)、トルエン300mL、エタノール20mL、2Mの炭酸カリウム水溶液20mLを加えた。この混合物を、減圧下で攪拌することで脱気し、三つ口フラスコ内を窒素置換した。この混合物を窒素気流下、100℃で7.5時間攪拌した。室温まで冷ました後、得られた混合物を濾過して白色の濾物を得た。得られた濾物を水、エタノールの順でよくすすいだ後、乾燥させた。得られた固体を約600mLの温トルエンに溶かし、セライト・フロリジールを通して濾過し、無色透明の濾液を得た。得られた濾液を濃縮し、約700mLのシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。クロマトグラフィーは、温度約40℃のトルエンを展開溶媒に用いて行った。精製後に得られた固体にアセトン・エタノールを加えて超音波を照射した後、析出物を濾取して乾燥させたところ、目的物の白色粉末を収量7.85g、収率80%で得た。
得られた白色粉末4.0gをトレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製は、圧力5.0Pa、アルゴン流量5mL/minの条件で、白色粉末を300℃で加熱して行った。240℃−230℃付近で固化した部分を回収し、目的物の白色粉末を収量3.5g、収率88%で得た。
核磁気共鳴分光法(H−NMR)によって、この化合物が目的物である2mDBTPDBq−IIであることを確認した。得られた物質のH NMRデータを以下に示す。
H NMR(CDCl,300MHz):δ(ppm)=7.45−7.52(m,2H)、7.59−7.65(m,2H)、7.71−7.91(m,7H)、8.20−8.25(m,2H)、8.41(d,J=7.8Hz,1H)、8.65(d,J=7.5Hz,2H)、8.77−8.78(m,1H)、9.23(dd,J=7.2Hz,1.5Hz,1H)、9.42(dd,J=7.8Hz,1.5Hz,1H)、9.48(s,1H)。
(参考例3)
上記実施例で用いた[Ir(tBuppm)(acac)]の合成について説明する。
≪ステップ1;4−tert−ブチル−6−フェニルピリミジン(略称:HtBuppm)の合成≫
ステップ1の合成スキームを(z−1)に示す。
4,4−ジメチル−1−フェニルペンタン−1,3−ジオン22.5gとホルムアミド50gを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、内部を窒素置換した。この反応容器を加熱することで反応溶液を5時間還流させた。その後、この溶液を水酸化ナトリウム水溶液に注ぎ、ジクロロメタンにて有機層を抽出した。得られた有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥し、濾過した。濾液の溶媒を留去した後、得られた残渣を、ヘキサン:酢酸エチル=10:1(体積比)を展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、ピリミジン誘導体HtBuppmを得た(無色油状物、収率14%)。
≪ステップ2;ジ−μ−クロロ−ビス[ビス(6−tert−ブチル−4−フェニルピリミジナト)イリジウム(III)](略称:[Ir(tBuppm)Cl])の合成≫
ステップ2の合成スキームを(z−2)に示す。
次に、2−エトキシエタノール15mLと水5mL、上記ステップ1で得たHtBuppm1.49g、塩化イリジウム水和物(IrCl・HO)1.04gを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、フラスコ内をアルゴン置換した。その後、マイクロ波(2.45GHz 100W)を1時間照射し、反応させた。溶媒を留去した後、得られた残渣を吸引濾過、エタノールで洗浄し、複核錯体[Ir(tBuppm)Cl]を得た(黄緑色粉末、収率73%)。
≪ステップ3;[Ir(tBuppm)(acac)]の合成≫
ステップ3の合成スキームを(z−3)に示す。
さらに、2−エトキシエタノール40mL、上記ステップ2で得た複核錯体[Ir(tBuppm)Cl] 1.61g、アセチルアセトン0.36g、炭酸ナトリウム1.27gを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、フラスコ内をアルゴン置換した。その後、マイクロ波(2.45GHz 100W)を60分間照射し、反応させた。溶媒を留去し、得られた残渣を吸引濾過し、水、エタノールで洗浄した。この固体をジクロロメタンに溶解させ、セライト、アルミナ、セライトの順で積層した層を通して濾過した。溶媒を留去して得られた固体をジクロロメタンとヘキサンの混合溶媒にて再結晶することにより、目的物を黄色粉末として得た(収率68%)。
上記ステップ3で得られた黄色粉末の核磁気共鳴分光法(H−NMR)による分析結果を下記に示す。この結果から、本合成例において、[Ir(tBuppm)(acac)]が得られたことがわかった。得られた物質のH NMRデータを以下に示す。
H−NMR.δ(CDCl):1.50(s,18H),1.79(s,6H),5.26(s,1H),6.33(d,2H),6.77(t,2H),6.85(t,2H),7.70(d,2H),7.76(s,2H),9.02(s,2H)。
901 照明装置
903 卓上照明器具
904 照明装置
1101 陽極
1102 陰極
1103 EL層
1103a EL層
1103b EL層
1104 中間層
1104a 電子注入バッファー
1104b 電子リレー層
1104c 電荷発生領域
1111 正孔注入層
1112 正孔輸送層
1113 発光層
1114 電子輸送層
1115 電子注入層
1400 発光装置
1401 駆動回路部(ソース側駆動回路)
1402 画素部
1403 駆動回路部(ゲート側駆動回路)
1404 封止基板
1405 シール材
1407 空間
1408 配線
1409 FPC(フレキシブルプリントサーキット)
1410 素子基板
1411 スイッチング用TFT
1412 電流制御用TFT
1413 電極
1414 隔壁
1416 EL層
1417 電極
1418 発光素子
1423 nチャネル型TFT
1424 pチャネル型TFT
1500 ガラス基板
1501 電極
1502 電極
1503 EL層
1510 発光素子
1511 正孔注入層
1512 正孔輸送層
1513 発光層
1513a 発光層
1513b 発光層
1514a 電子輸送層
1514b 電子輸送層
1515 電子注入層
2500 発光装置
2501 基板
2502 電極
2503 電極
2504 EL層
2505 絶縁層
2506 隔壁層
7100 テレビジョン装置
7101 筐体
7103 表示部
7105 スタンド
7107 表示部
7109 操作キー
7110 リモコン操作機
7201 本体
7202 筐体
7203 表示部
7204 キーボード
7205 外部接続ポート
7206 ポインティングデバイス
7301 筐体
7302 筐体
7303 連結部
7304 表示部
7305 表示部
7306 スピーカ部
7307 記録媒体挿入部
7308 LEDランプ
7309 操作キー
7310 接続端子
7311 センサ
7312 マイクロフォン
7400 携帯電話機
7401 筐体
7402 表示部
7403 操作ボタン
7404 外部接続ポート
7405 スピーカ
7406 マイク
7500 照明装置
7501 筐体
7503a〜7503d 発光装置
9501 照明部
9503 支柱
9505 支持台

Claims (12)

  1. 金属と、配位子と、を有し、
    前記配位子は、窒素原子を有する六員環の複素芳香環と、アリール基と、を有し、
    前記金属は、イリジウムまたは白金であり、
    前記窒素原子は、前記メタルに配位しており、
    前記アリール基は、前記金属に結合することによりオルトメタル化しており、
    前記アリール基は、前記六員環の複素芳香環における前記窒素原子のα−炭素原子と結合しており、
    前記六員環の複素芳香環または前記アリール基は、トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカニル基、ノルボルニル基、アダマンチル基のいずれか一を置換基として有し、
    前記六員環の複素芳香環は、ピリジンまたは単環ジアジンである化合物。
  2. 請求項1において、
    前記六員環の複素芳香環は、ピリミジンである化合物。
  3. 請求項1または請求項2において、
    さらに、モノアニオン性の配位子を有する化合物。
  4. 請求項において、
    前記モノアニオン性の配位子は、βジケトンである化合物。
  5. 請求項1乃至請求項のいずれか一において、
    前記アリール基は、置換または無置換のフェニル基、置換または無置換のビフェニル基、置換または無置換のナフチル基のいずれかである化合物。
  6. 式(G1)で表される化合物。

    (Mは、イリジウムまた白金を表し、
    〜Rのうち、R、R、R、Rのいずれか一は、分子内に炭素−炭素橋架け結合を有する脂環炭素を表し、他は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、置換または無置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基、置換または無置換の炭素数1〜4のアルキルチオ基、置換または無置換の炭素数1〜4のハロアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜10のアリール基のいずれかを表す。)
  7. 式(G1)で表される化合物。

    (Mは、イリジウムまた白金を表し、
    〜Rのうち、R、R、R、Rのいずれか一は、トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカニル基、ノルボルニル基、アダマンチル基のいずれか一を表し、他は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、置換または無置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基、置換または無置換の炭素数1〜4のアルキルチオ基、置換または無置換の炭素数1〜4のハロアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜10のアリール基のいずれかを表す。)
  8. 式(G2)で表される化合物。

    (Mは、イリジウムを表し、
    〜Rのうち、R、R、R、Rのいずれか一は、分子内に炭素−炭素橋架け結合を有する脂環炭素を表し、他は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、置換または無置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基、置換または無置換の炭素数1〜4のアルキルチオ基、置換または無置換の炭素数1〜4のハロアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜10のアリール基のいずれかを表し、
    Lは、モノアニオン性の配位子を表す。)
  9. 式(G2)で表される化合物。

    (Mは、イリジウムを表し、
    〜Rのうち、R、R、R、Rのいずれか一は、トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカニル基、ノルボルニル基、アダマンチル基のいずれか一を表し、他は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、置換または無置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基、置換または無置換の炭素数1〜4のアルキルチオ基、置換または無置換の炭素数1〜4のハロアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜10のアリール基のいずれかを表し、
    Lは、モノアニオン性の配位子を表す。)
  10. 請求項または請求項において、
    前記モノアニオン性配位子がβジケトンである化合物。
  11. 式(G3)で表される化合物。

    (Mは、イリジウム表し、
    〜Rのうち、R、R、R、Rのいずれか一は、分子内に炭素−炭素橋架け結合を有する脂環炭素を表し、他は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、置換または無置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基、置換または無置換の炭素数1〜4のアルキルチオ基、置換または無置換の炭素数1〜4のハロアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜10のアリール基のいずれかを表す。)
  12. 式(G3)で表される化合物。

    (Mは、イリジウム表し、
    〜Rのうち、R、R、R、Rのいずれか一は、トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカニル基、ノルボルニル基、アダマンチル基のいずれか一を表し、他は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、置換または無置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基、置換または無置換の炭素数1〜4のアルキルチオ基、置換または無置換の炭素数1〜4のハロアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜10のアリール基のいずれかを表す。)
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