JP5805160B2 - 電池用セパレータ、電池用セパレータの製造方法およびリチウム二次電池 - Google Patents

電池用セパレータ、電池用セパレータの製造方法およびリチウム二次電池 Download PDF

Info

Publication number
JP5805160B2
JP5805160B2 JP2013200785A JP2013200785A JP5805160B2 JP 5805160 B2 JP5805160 B2 JP 5805160B2 JP 2013200785 A JP2013200785 A JP 2013200785A JP 2013200785 A JP2013200785 A JP 2013200785A JP 5805160 B2 JP5805160 B2 JP 5805160B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
separator
fine particles
battery
plane
insulating fine
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013200785A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014017264A (ja
Inventor
片山 秀昭
秀昭 片山
映理 児島
映理 児島
青山 茂夫
青山  茂夫
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Maxell Energy Ltd
Original Assignee
Hitachi Maxell Energy Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Maxell Energy Ltd filed Critical Hitachi Maxell Energy Ltd
Priority to JP2013200785A priority Critical patent/JP5805160B2/ja
Publication of JP2014017264A publication Critical patent/JP2014017264A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5805160B2 publication Critical patent/JP5805160B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Cell Separators (AREA)
  • Secondary Cells (AREA)

Description

本発明は、安価で高温時の寸法安定性に優れたセパレータ、およびこれを用いてなり、信頼性に優れた安全なリチウム二次電池に関するものである。
非水電解質電池の一種であるリチウム二次電池は、エネルギー密度が高いという特徴から、携帯電話やノート型パーソナルコンピューターなどの携帯機器の電源として広く用いられている。携帯機器の高性能化に伴ってリチウム二次電池の高容量化が更に進む傾向にあり、安全性の確保が重要となっている。
現行のリチウム二次電池では、正極と負極の間に介在させるセパレータとして、例えば厚みが20〜30μm程度のポリオレフィン系の多孔性フィルムが使用されている。また、セパレータの素材としては、電池の熱暴走温度以下でセパレータの構成樹脂を溶融させて空孔を閉塞させ、これにより電池の内部抵抗を上昇させて短絡の際などに電池の安全性を向上させる所謂シャットダウン効果を確保するため、融点の低いポリエチレンが適用されることがある。
ところで、こうしたセパレータとしては、例えば、多孔化と強度向上のために一軸延伸あるいは二軸延伸したフィルムが用いられている。このようなセパレータは、単独で存在する膜として供給されるため、作業性などの点で一定の強度が要求され、これを上記延伸によって確保している。しかし、このような延伸フィルムでは結晶化度が増大しており、シャットダウン温度も、電池の熱暴走温度に近い温度にまで高まっているため、電池の安全性確保のためのマージンが十分とは言い難い。
また、上記延伸によってフィルムにはひずみが生じており、これが高温に曝されると、残留応力によって収縮が起こるという問題がある。収縮温度は、融点、すなわちシャットダウン温度と非常に近いところに存在する。このため、ポリオレフィン系の多孔性フィルムセパレータを使用するときには、充電異常時などに電池の温度がシャットダウン温度に達すると、電流を直ちに減少させて電池の温度上昇を防止しなければならない。空孔が十分に閉塞せず電流を直ちに減少できなかった場合には、電池の温度は容易にセパレータの収縮温度にまで上昇するため、内部短絡による発火の危険性があるからである。
このようなセパレータの熱収縮による短絡を防止し、電池の信頼性を高める技術として、例えば、耐熱性の良好な多孔質基体と、フィラー粒子と、シャットダウン機能を確保するための樹脂成分とを有するセパレータにより電気化学素子を構成することが提案されている(特許文献1)。
国際公開2006/62153号公報
特許文献1に開示の技術によれば、異常加熱した際にも熱暴走が生じ難い安全性に優れた電池を提供することができる。
しかし、今後さらに、リチウム二次電池には、より優れた電池特性を確保することが要求されるようになると共に、電池内でリチウムデンドライトが析出しやすい状況になった際にも、リチウムデンドライトによる短絡の発生を十分抑制できるだけの信頼性の確保も求められるようになる。
すなわち、微粒子とバインダとで構成されているセパレータにおいて、微粒子の充填性が不均一な場合には、リチウムイオンの透過性が不均一になる。よって、このようなセパレータをリチウム二次電池に用いると、上記のリチウムイオンの透過性の不均一さに起因して微小なリチウムデンドライトが析出し易くなり、析出したリチウムデンドライトがセパレータを貫通して、微弱な短絡が生じて電池の信頼性が損なわれたり、充放電サイクル特性が低下したりすることがある。
また、セパレータを構成する微粒子として板状の微粒子を用いた場合には、かかる板状微粒子の平板面をセパレータの面に平行または略平行に配向させてセパレータ内での曲路率を大きくすることで、リチウムデンドライトが析出したとしても、これによるセパレータの貫通を防止することができる。しかし、板状の微粒子を有するセパレータにおいて、その配向や充填が不均一であると、板状の微粒子による上記の作用が十分に発揮されず、また、セパレータにおけるリチウムイオンの透過性が不均一になって、析出したリチウムデンドライトがセパレータを貫通して、微弱な短絡が生じて電池の信頼性が損なわれたり、充放電サイクル特性が低下したりすることがある。特許文献1に開示の技術にも、このような課題をより高いレベルで解決することが必要とされる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、優れた信頼性を有するリチウム二次電池、該リチウム二次電池を構成し得る電池用セパレータおよびその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成し得た本発明の電池用セパレータは、少なくとも、有機電解液に対して安定な絶縁性微粒子と有機バインダとで構成されており、60゜の光沢度が5以上であることを特徴とするものである。
また、本発明の電池用セパレータの別の態様は、少なくとも、板状ベーマイトと有機バインダとで構成されており、X線回折スペクトルでの020面、120面、031面および051面のピーク強度の和に対する020面のピーク強度の比が、0.80以上であることを特徴とするものである。
また、本発明の電池用セパレータの更に別の態様は、少なくとも、板状ベーマイトと有機バインダとで構成されており、X線回折スペクトルでの120面、031面および051面のピーク強度のうち、最も強いピークの強度と020面のピーク強度との比が、0.1以下であることを特徴とするものである。
更に、本発明は、有機電解液に対して安定な絶縁性微粒子と有機バインダと溶媒とを含有するセパレータ形成用組成物を基板または繊維状物で構成されたシート状物に塗布することにより、電池用セパレータを形成する電池用セパレータの製造方法であって、上記絶縁性微粒子を溶媒中に分散させて分散体とする工程と、上記分散体と上記有機バインダとを混合し、上記絶縁性微粒子および上記有機バインダを含む固形分の濃度が10〜80質量%のセパレータ形成用組成物を調製する工程と、基板または繊維状物で構成されたシート状物に上記セパレータ形成用組成物を塗布し、乾燥する工程とを有し、60゜の光沢度を5以上とする電池用セパレータの製造方法を提供する。
更に、本発明のリチウム二次電池は、正極、負極、有機電解液およびセパレータを備えており、上記セパレータとして、上記本発明の電池用セパレータを有することを特徴とするものである。
本発明者らは、電子顕微鏡観察などによって評価されるセパレータの内部構造と、セパレータの表面特性などとの関係について鋭意検討を重ねた結果、セパレータ中の絶縁性微粒子の充填性をより高めて、60゜の光沢度が5以上となるようにセパレータを形成すれば、その構造をより緻密かつ均一にすることができ、信頼性の高いセパレータを構成できること、特に、板状ベーマイトのような板状の絶縁性微粒子を用いた場合に、絶縁性微粒子の充填性および配向性をより高め得ることを見出し、本発明を成すに至った。
ここで、板状の絶縁性微粒子として板状ベーマイトを用いる場合には、X線回折スペクトルでの020面、120面、031面および051面のピーク強度の和に対する020面のピーク強度の比が、0.80以上となるようにセパレータを構成するのであってもよい。
そして、上記のように絶縁性微粒子の充填性や配向性を高めたセパレータを用いることで、充電時におけるリチウムデンドライト発生による短絡を良好に防止することができ、信頼性のより高いリチウム二次電池の提供が可能となった。
なお、本明細書でいうセパレータにおける「60゜の光沢度」とは、JIS Z 8741に規定される方法によって測定されたものであり、具体的には、BYKガードナー社製「micro TRI gloss」などによってセパレータの膜面から60゜の角度で測定される光沢度のことを指す。
本発明によれば、優れた信頼性を有するリチウム二次電池、該リチウム二次電池を構成可能な電池用セパレータ、および該電池用セパレータの製造方法を提供することができる。
実施例3の電池用セパレータのX線回折スペクトルである。 比較例1の電池用セパレータのX線回折スペクトルである。 実施例6の電池用セパレータの断面の走査型電子顕微鏡写真である。 比較例2の電池用セパレータの断面の走査型電子顕微鏡写真である。
本発明のセパレータは、少なくとも、有機電解液(以下、「電解液」と省略する)に対して安定な絶縁性微粒子と有機バインダとを有する多孔質体であり、60゜の光沢度が5以上である。セパレータ中における絶縁性微粒子の充填性や配向性(板状の場合)を高めると、セパレータに光を当てたときの反射量が多くなり、光沢度が上がる。すなわち、セパレータにおける60゜の光沢度が5未満の場合には、セパレータ中における絶縁性微粒子の充填性や配向性が不十分となって、電池の充電時におけるリチウムデンドライト発生による短絡の防止効果が小さくなってしまう。セパレータの60゜の光沢度は50以下であることが好ましい。
また、本発明のセパレータの別の態様は、少なくとも、絶縁性微粒子である板状ベーマイトと、有機バインダとを有する多孔質体であり、X線回折スペクトルでの020面、120面、031面および051面のピーク強度の和に対する020面のピーク強度の比が、0.80以上である。
板状ベーマイトを有するセパレータについて、X線回折パターンを測定すると、020面、120面、031面および051面に大きなピークが認められる。そして、セパレータ中での板状ベーマイトの配向性を向上させると、020面のピークが大きくなり、板状ベーマイトは020面の配向をしていることが本発明者らの検討により判明した。よって、板状ベーマイトを用いたセパレータでは、X線回折スペクトルにおける020面、120面、031面および051面のピーク強度の和に対する020面のピーク強度の比によって、セパレータ中における板状ベーマイトの配向度を評価することができる。
ここで、120面、031面および051面のピーク強度のうち、最も強いピークの強度が、020面のピーク強度に対して0.1以下となる場合、020面、120面、031面および051面のピーク強度の和に対する020面のピーク強度の比は、0.77以上となるので、より簡便には、120面、031面および051面のピーク強度のうち、最も強いピークの強度と、020面のピーク強度との比で評価してもよい。すなわち、ベーマイトのX線回折スペクトルにおける120面、031面および051面のピーク強度のうち、最も強いピークの強度が、020面のピーク強度に対して0.1以下となるようセパレータを構成するのであってもよい。
板状ベーマイトを有するセパレータにおいて、X線回折スペクトルでの020面、120面、031面および051面のピーク強度の和に対する020面のピーク強度の比が、およそ0.8に満たない場合には、セパレータ中における板状ベーマイトの配向性が不十分となって、電池の充電時におけるリチウムデンドライト発生による短絡の防止効果が小さくなってしまう。X線回折スペクトルでの020面、120面、031面および051面のピーク強度の和に対する020面のピーク強度の比は、1でもよい。また、120面、031面および051面のピーク強度のうち、最も強いピークの強度と、020面のピーク強度との比は0であってもよい。
なお、本発明のセパレータが板状ベーマイトを有する場合、その60゜の光沢度の下限、または、X線回折スペクトルでの020面、120面、031面および051面のピーク強度の和に対する020面のピーク強度の比の下限のいずれか一方を満足すればよいが、両者を満足することが好ましい。
絶縁性微粒子は、本発明のセパレータにおいて、その主体となったり、後述する繊維状物同士の間に形成される空隙を埋めるなどして、リチウムデンドライトに起因する短絡の発生を抑制する作用を有している。絶縁性微粒子としては、電気絶縁性を有しており、電気化学的に安定で、更に後述する電解液や、セパレータ形成用組成物(溶媒を含む組成物)に用いる溶媒に安定であり、高温状態で電解液に溶解しないものであれば、特に制限はない。
なお、本明細書でいう「有機電解液に対して安定な絶縁性微粒子」とは、有機電解液(リチウム二次電池の電解液として使用される有機電解液)中で変形および化学的組成変化の起こらない絶縁性微粒子を意味している。また、本明細書でいう「高温状態」とは、具体的には150℃以上の温度であり、このような温度の電解液中で変形および化学的組成変化の起こらない安定な粒子であればよい。また、本明細書でいう「電気化学的に安定な」とは、電池の充放電の際に化学変化が生じないことを意味している。
このような絶縁性微粒子の具体例としては、例えば、酸化鉄、SiO、Al、TiO、BaTiO、ZrOなどの酸化物微粒子;窒化アルミニウム、窒化ケイ素などの窒化物微粒子;フッ化カルシウム、フッ化バリウム、硫酸バリウムなどの難溶性のイオン結晶微粒子;シリコン、ダイヤモンドなどの共有結合性結晶微粒子;タルク、モンモリロナイトなどの粘土微粒子;ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイトなどの鉱物資源由来物質あるいはそれらの人造物;などが挙げられる。また、金属微粒子;SnO、スズ−インジウム酸化物(ITO)などの酸化物微粒子;カーボンブラック、グラファイトなどの炭素質微粒子;などの導電性微粒子の表面を、電気絶縁性を有する材料(例えば、上記の電気絶縁性の絶縁性微粒子を構成する材料など)で表面処理することで、電気絶縁性を持たせた微粒子であってもよい。絶縁性微粒子には、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
絶縁性微粒子の形態としては、球状、粒子状、板状などいずれの形態であっても良いが、板状であることが好ましい。板状粒子としては、各種市販品が挙げられ、例えば、旭硝子エスアイテック社製「サンラブリー」(SiO)、石原産業社製「NST−B1」の粉砕品(TiO)、堺化学工業社製の板状硫酸バリウム「Hシリーズ」、「HLシリーズ」、林化成社製「ミクロンホワイト」(タルク)、林化成社製「ベンゲル」(ベントナイト)、河合石灰社製「BMM」や「BMT」(ベーマイト)、河合石灰社製「セラシュールBMT−B」[アルミナ(Al)]、キンセイマテック社製「セラフ」(アルミナ)、斐川鉱業社製「斐川マイカ Z−20」(セリサイト)などが入手可能である。この他、SiO、Al、ZrO、CeOについては、特開2003−206475号公報に開示の方法により作製することができる。
絶縁性微粒子が板状である場合には、セパレータ中において、絶縁性微粒子を、その平板面がセパレータの面にほぼ平行となるように配向させることで、短絡の発生をより良好に抑制できる。これは、絶縁性微粒子を上記のように配向させることで、絶縁性微粒子同士が平板面の一部で重なるように配置されるため、セパレータの片面から他面に向かう空隙(貫通孔)が、直線ではなく曲折した形で形成される(すなわち、曲路率が大きくなる)と考えられ、これにより、リチウムデンドライトがセパレータを貫通することを防止できることから、短絡の発生がより良好に抑制されるものと推定される。
絶縁性微粒子が板状の粒子である場合の形態としては、例えば、アスペクト比(板状粒子中の最大長さと板状粒子の厚みの比)が、5以上、より好ましくは10以上であって、100以下、より好ましくは50以下であることが望ましい。また、粒子の平板面の長軸方向長さと短軸方向長さの比の平均値は、0.3以上、より好ましくは0.5以上であることが望ましい(1、すなわち、長軸方向長さと短軸方向長さとが同じであってもよい)。板状の絶縁性微粒子が、上記のようなアスペクト比や平板面の長軸方向長さと短軸方向長さの比の平均値を有する場合には、上記の短絡防止作用がより有効に発揮される。
なお、絶縁性微粒子が板状である場合における上記の平板面の長軸方向長さと短軸方向長さの比の平均値は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影した画像を画像解析することにより求めることができる。更に絶縁性微粒子が板状である場合における上記のアスペクト比も、SEMにより撮影した画像を、画像解析することにより求めることができる。
また、絶縁性微粒子は、上記例示の各種絶縁性微粒子を構成する材料を2種以上含有する粒子であってもよい。
60゜の光沢度が5以上のセパレータを構成するためには、絶縁性微粒子として板状ベーマイトを使用することがより好ましい。他方、X線回折スペクトルでの020面、120面、031面および051面のピーク強度の和に対する020面のピーク強度の比が、0.80以上のセパレータでは、上記の通り、絶縁性微粒子として板状ベーマイトを使用する。
絶縁性微粒子の平均粒径は、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.1μm以上であって、好ましくは15μm以下、より好ましくは5μm以下である。なお、本明細書でいう絶縁性微粒子の平均粒径は、例えば、レーザー散乱粒度分布計(例えば、HORIBA社製「LA−920」)を用い、絶縁性微粒子を溶解したり、絶縁性微粒子が膨潤したりしない媒体に、絶縁性微粒子を分散させて測定した数平均粒子径として規定することができる。
セパレータ中における絶縁性微粒子の含有量は、絶縁性微粒子を使用することによる作用をより有効に発揮させる観点から、セパレータの構成成分の全体積中、30体積%以上であることが好ましく、40体積%以上であることがより好ましい。なお、セパレータに、後記の熱溶融性微粒子や膨潤性微粒子を含有させて、シャットダウン機能も持たせる場合には、絶縁性微粒子の体積比率の上限は、例えば80体積%であることが好ましい。他方、シャットダウン機能を有しないセパレータとする場合には、絶縁性微粒子の体積比率は、更に高い比率でもよく、例えば95体積%以下であれば問題ない。
本発明のセパレータでは、絶縁性微粒子同士を結着したり、後記の繊維状物を含有させる場合には、繊維状物同士をシート状物とするために結着したり、繊維状物で構成されるシート状物と絶縁性微粒子やその他の粒子(後記の熱溶融性微粒子、膨潤性微粒子など)などとを結着したりする目的で、有機バインダを使用する。
有機バインダとしては、電気化学的に安定且つ電解液に対して安定で、更に絶縁性微粒子や、繊維状物、その他の粒子などを良好に接着できるものであればよいが、例えば、EVA(酢酸ビニル由来の構造単位が20〜35モル%のもの)、エチレン−エチルアクリレート共重合体などのエチレン−アクリレート共重合体、フッ素系ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリウレタン、エポキシ樹脂などが挙げられ、これらを単独で使用してもよく、2種以上を併用しても構わない。なお、これら有機バインダを使用する場合には、後記するセパレータ形成用の組成物の溶媒に溶解するか、または分散させたエマルジョンの形態で用いることができる。
また、例えば、後記の熱溶融性微粒子や膨潤性微粒子が単独で接着性を有する場合には、これらが有機バインダを兼ねることもできる。よって、有機バインダには、後記の熱溶融性微粒子や膨潤性微粒子のうち、単独で接着性を有するものも含まれる。
セパレータにおける有機バインダの含有量は、セパレータの構成成分の全体積中、0.5〜10体積%であることが好ましい。
本発明のセパレータは補強のために繊維状物を含有することが望ましく、その耐熱温度は150℃以上であることが好ましい。例えば130℃以下の温度でセパレータの構成材料の一部が溶融してセパレータの空隙を塞いでセパレータ中のイオンの移動を遮断する機能(所謂シャットダウン機能)をセパレータに付与させておいた場合(詳しくは後述する)、耐熱温度が150℃以上の繊維状物も用いてセパレータを構成していれば、電池内での発熱などによってシャットダウンが起こった後、更に20℃以上セパレータの温度が上昇しても、その形状が安定に保たれる。他方、シャットダウン機能を付与していない場合でも、耐熱温度が150℃以上の繊維状物も用いて構成したセパレータでは、150℃の温度においても実質的に変形せず、その形状が保持される。そのため、例えば従来のPE製多孔性フィルムで構成されるセパレータで生じていた熱収縮に起因する短絡の発生が防止できることから、電池内が異常加熱した際の信頼性・安全性が確保できる。
なお、本発明のセパレータは、繊維状物を含まない場合においても、絶縁性微粒子に150℃以上の十分な耐熱温度を持たせることにより、高温時の寸法安定性に優れたものとなる。
このように、本発明によれば高温時におけるセパレータの熱収縮に起因する短絡の防止を、例えばセパレータを厚くする以外の構成で達成できるため、本発明のセパレータでは、その厚みを比較的薄くすることが可能であり、これを用いた電池のエネルギー密度の低下を可及的に抑制することもできる。
本明細書でいう「150℃以上の耐熱温度」とは、150℃において実質的に変形しないこと、より具体的には、150℃に加熱された繊維状物や絶縁性微粒子を目視観察した際に熱収縮が確認できないことをいう。
繊維状物は、150℃以上の耐熱温度を有し、かつ電気絶縁性を有しており、電気化学的に安定で、更に下記に詳述する電解液や、絶縁性微粒子などを含有するセパレータ形成用組成物に用いる溶媒に安定であれば、特に制限はない。なお、本明細書でいう「繊維状物」とは、アスペクト比[長尺方向の長さ/長尺方向に直交する方向の幅(直径)]が4以上のものを意味している。繊維状物のアスペクト比は、10以上であることが好ましい。
繊維状物の具体的な構成材料としては、例えば、セルロース、セルロース変成体(カルボキシメチルセルロースなど)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル[ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)など]、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアラミド、ポリアミドイミド、ポリイミドなどの樹脂;ガラス、アルミナ、シリカなどの無機材料(無機酸化物);などが挙げられる。繊維状物は、これらの構成材料の1種を含有していてもよく、2種以上を含有していても構わない。また、繊維状物は、構成成分として、上記の構成材料の他に、必要に応じて、公知の各種添加剤(例えば、樹脂である場合には酸化防止剤など)を含有していても構わない。
繊維状物の直径は、セパレータの厚み以下であればよいが、例えば、0.01〜5μmであることが好ましい。径が大きすぎると、繊維状物同士の絡み合いが不足して、これらで構成されるシート状物の強度、延いてはセパレータの強度が小さくなって取扱いが困難となることがある。また、径が小さすぎると、セパレータの空隙が小さくなりすぎて、イオン透過性が低下する傾向にあり、電池の負荷特性を低下させてしまうことがある。
本発明のセパレータにおける繊維状物の含有量は、セパレータの構成成分の全体積中、例えば、10体積%以上、より好ましくは30体積%以上であって、90体積%以下、より好ましくは70体積%以下であることが望ましい。セパレータ(シート状物)中での繊維状物の存在状態は、例えば、長軸(長尺方向の軸)の、セパレータ面に対する角度が平均で30°以下であることが好ましく、20°以下であることがより好ましい。
また、セパレータにシャットダウン機能を付与するために、80〜140℃、より好ましくは、130℃以下で溶融する熱溶融性微粒子や、電解液中で膨潤し、かつ温度の上昇により膨潤度が増大する膨潤性微粒子を添加することも可能であり、両者を添加してもよく、これらの複合体を添加しても構わない。シャットダウン機能の付与は、上記熱溶融性微粒子および膨潤性微粒子以外に、微多孔性フィルムによりなされてもよく、セパレータには、熱溶融性微粒子や膨潤性微粒子に代えて、あるいは、熱溶融性微粒子や膨潤性微粒子とともに80〜140℃、より好ましくは、130℃以下で溶融してシャットダウンを生じる微多孔性フィルムを備えるのであってもよい。
熱溶融性微粒子や膨潤性微粒子などを用いた場合などにおけるセパレータに係る上記のシャットダウン機能は、例えば、モデルセルの温度による抵抗上昇により評価することが可能である。すなわち、正極、負極、セパレータ、および電解液を備えたモデルセルを作製し、このモデルセルを高温槽中に保持し、5℃/分の速度で昇温しながらモデルセルの内部抵抗値を測定し、測定された内部抵抗値が、加熱前(室温で測定した抵抗値)の5倍以上となる温度を測定することで、この温度をセパレータの有するシャットダウン温度として評価することができる。また、上記微多孔性フィルムのシャットダウン温度も同様にして測定することができる。
80〜140℃で溶融する熱溶融性微粒子あるいは微多孔性フィルム、すなわち、JIS K 7121の規定に準じて、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定される融解温度が80〜140℃のものを含有するセパレータでは、セパレータが80〜140℃(またはそれ以上の温度)に曝されたときに、熱溶融性微粒子あるいは微多孔性フィルムが溶融してセパレータの空隙が閉塞されるため、リチウムイオンの移動が阻害され、高温時における急激な放電反応が抑制される。よって、この場合、上記の内部抵抗上昇により評価されるセパレータのシャットダウン温度は、熱溶融性微粒子の融点以上140℃以下となる。
熱溶融性微粒子の構成材料の具体例としては、ポリエチレン(PE)、エチレン由来の構造単位が85モル%以上の共重合ポリオレフィン、ポリプロピレン、またはポリオレフィン誘導体(塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンなど)、ポリオレフィンワックス、石油ワックス、カルナバワックスなどが挙げられる。上記共重合ポリオレフィンとしては、エチレン−ビニルモノマー共重合体、より具体的には、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体、またはエチレン−エチルアクリレート共重合体が例示できる。また、ポリシクロオレフィンなどを用いることもできる。熱溶融性微粒子は、これらの構成材料の1種のみを有していてもよく、2種以上を有していても構わない。これらの中でも、PE、ポリオレフィンワックス、またはエチレン由来の構造単位が85モル%以上のEVAが好適である。また、熱溶融性微粒子は、構成成分として、上記の構成材料の他に、必要に応じて、樹脂に添加される公知の各種添加剤(例えば、酸化防止剤など)を含有していても構わない。
また、上記微多孔性フィルムとしては、例えばポリエチレン、エチレン由来の構造単位が85モル%以上の共重合ポリオレフィン、PE/PP/PE積層体など、ポリオレフィン系の材料で構成されたフィルムなどが好ましく用いられる。なお、微多孔性フィルムとして、耐熱性の高いPP、ポリエステル、ポリイミドなどで構成されたフィルムを用いることもでき、これを基板とすることにより、セパレータの耐熱性を高めることもできる。
熱溶融性微粒子の粒径としては、絶縁性微粒子と同じ測定法で測定される数平均粒子径で、例えば、0.001μm以上、より好ましくは0.1μm以上であって、15μm以下、より好ましくは1μm以下であることが推奨される。
電解液中で膨潤でき、かつ温度の上昇により膨潤度が増大する膨潤性微粒子をセパレータが有する場合には、電池内で高温に曝されたときに、膨潤性微粒子の膨潤によって電解液を吸収して大きく膨張する(以下、膨潤性微粒子における温度の上昇に伴って膨潤度が増大する機能を「熱膨潤性」という)ことにより、セパレータ内のLiイオンの伝導性を著しく低下させるため、電池の内部抵抗が上昇し、上記のシャットダウン機能を確実に確保することが可能となる。膨潤性微粒子としては、上記の熱膨潤性を示す温度が、75〜125℃であるものが好ましい。
このような熱膨潤性を有する膨潤性微粒子としては、例えば、架橋ポリスチレン(PS)、架橋アクリル樹脂[例えば、架橋ポリメチルメタクリレート(PMMA)]、架橋フッ素樹脂[例えば、架橋ポリフッ化ビニリデン(PVDF)]などが好適であり、架橋PMMAが特に好ましい。
膨潤性微粒子の粒径は、レーザー散乱粒度分布計(例えば、HORIBA社製「LA−920」)を用い、微粒子を膨潤しない媒体(例えば水)に分散させて測定した数平均粒子径で、0.1〜20μmであることが好ましい。
膨潤性微粒子の市販品としては、例えば、ガンツ化成社製の架橋PMMA「ガンツパール(製品名)」、東洋インキ社製の架橋PMMA「RSP1079(製品名)」などが入手可能である。
なお、良好なシャットダウン機能を確保する点からは、セパレータ中における熱溶融性微粒子および/または膨潤性微粒子の含有量は、セパレータの構成成分の全体積中、5〜70体積%であることが好ましい。これらの微粒子の含有量が少なすぎると、これらを含有させることによるシャットダウン効果が小さくなることがあり、多すぎると、セパレータ中における絶縁性微粒子や繊維状物の含有量が減ることになるため、これらによって確保される効果が小さくなることがある。
本発明のセパレータのより具体的な態様としては、例えば、下記(1)、(2)、(3)および(4)の態様が挙げられる。
(1)の態様に係るセパレータは、絶縁性微粒子が有機バインダにより相互に結着しているものである。(2)の態様に係るセパレータは、繊維状物が多数集合して、これらのみによりシート状物を形成しているもの、例えば、織布、不織布(紙を含む)といった形態のものを用い、このシート状物中に絶縁性微粒子や必要に応じてその他の微粒子を含有させ、有機バインダによりシート状物に係る繊維状物や絶縁性微粒子などを結着したものである。
(3)の態様に係るセパレータは、絶縁性微粒子と繊維状物(更には、必要に応じてその他の微粒子)とが均一に分散し、これらが有機バインダにより結着されて、シートを形成しているものである。
(4)の態様に係るセパレータは、基板として微多孔性のフィルム上に、絶縁性微粒子と必要に応じて繊維状物等が、有機バインダにより結着されて、シートを形成しているものである。
なお、(2)の態様と(3)の態様を合わせた形態、すなわち、繊維状物で構成される独立したシート状物中に、絶縁性微粒子と繊維状物(更には、必要に応じてその他の微粒子)とが分散し、有機バインダにより結着されている形態を有していてもよい。また、本発明のセパレータは必ずしも独立膜である必要はなく、正極および負極の少なくとも一方と一体化した形態としてもよい。
電池の短絡防止効果をより高め、セパレータの強度を確保して、その取り扱い性を良好とする観点から、セパレータの厚みは、例えば、3μm以上とすることが好ましく、5μm以上とすることがより好ましい。他方、電池のエネルギー密度をより高める観点からは、セパレータの厚みは、50μm以下とすることが好ましく、30μm以下とすることがより好ましく、20μm以下とすることが特に好ましい。これらの厚みは、前記(4)の態様のように、基板を用いる場合には、基板の厚みを含めた総厚みを指す。また、基板を用いる場合の、基板の厚みと絶縁性微粒子で構成される層との厚みの比率は、基板の厚みをA、絶縁性微粒子の層の厚みをBとした場合に、A/Bが1以上、10以下であることが望ましい。
また、上述のいずれの態様をとる場合でも、セパレータの空隙率は、乾燥した状態で、例えば、20%以上、より好ましくは30%以上であって、70%以下、より好ましくは60%以下であることが望ましい。セパレータの空隙率が小さすぎると、イオン透過性が小さくなることがあり、また、空隙率が大きすぎると、セパレータの強度が不足することがある。なお、セパレータの空隙率:P(%)は、セパレータの厚み、面積あたりの質量、構成成分の密度から、次式を用いて各成分iについての総和を求めることにより計算できる。
P = Σaρ /(m/t)
ここで、上記式中、a:質量%で表した成分iの比率、ρ:成分iの密度(g/cm)、m:セパレータの単位面積あたりの質量(g/cm)、t:セパレータの厚み(cm)、である。
更に、上述のいずれの態様においても、セパレータの強度としては、直径が1mmのニードルを用いた突き刺し強度で50g以上であることが望ましい。かかる突き刺し強度が小さすぎると、リチウムのデンドライト結晶が発生した場合に、セパレータの突き敗れによる短絡が発生する虞がある。
また、ガーレー値で示されるセパレータの透気度は、10〜300secであることが望ましい。透気度が大きすぎると、イオン透過性が小さくなり、小さすぎるとセパレータの強度が小さくなることがある。
本発明のセパレータの製造方法としては、例えば、下記の(I)、(II)の方法が採用できる。(I)の方法は、イオン透過性のシート状物に、絶縁性微粒子および有機バインダを含むセパレータ形成用組成物(スラリーなど)を塗布または含浸させた後、所定の温度で乾燥する製造方法である。(I)の方法によって、(2)の態様あるいは(4)の態様のセパレータを製造することができる。
すなわち、(I)の方法でいう「シート状物」には、繊維状物で構成されたシート状物(各種織布、不織布など)あるいは、微多孔性のフィルムが該当する。具体的には、上記例示の各材料を構成成分に含む繊維状物の少なくとも1種で構成される織布や、これら繊維状物同士が絡み合った構造を有する不織布などの多孔質シートなどが挙げられる。より具体的には、紙、PP不織布、ポリエステル不織布(PET不織布、PEN不織布、PBT不織布など)、PAN不織布などの不織布などが例示できる。また、微多孔性のフィルムとしては、イオン透過性の孔構造を有する微多孔フィルムが挙げられる。より具体的には、ポリエチレン(PE)、PP、ポリエステル、ポリイミドなどのポリマーフィルムが例示できる。特に、PE製の微多孔フィルムや、PE/PP/PE積層体等のPE微多孔フィルムを含む多層フィルムなどのように、シャットダウンを生じる微多孔性フィルムが好ましく用いられる。
上記のセパレータ形成用組成物は、絶縁性微粒子および有機バインダ、更には必要に応じて、熱溶融性微粒子、膨潤性微粒子などを含有し、これらを溶媒(分散媒を含む、以下同じ)に分散させたものである(有機バインダについては溶媒に溶解していてもよい)。セパレータ形成用組成物に用いられる溶媒は、絶縁性微粒子や熱溶融性微粒子、膨潤性微粒子を均一に分散でき、また、有機バインダを均一に溶解または分散できるものであればよいが、例えば、トルエンなどの芳香族炭化水素;テトラヒドロフランなどのフラン類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;などの有機溶媒が好適である。なお、これらの溶媒に、界面張力を制御する目的で、アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコールなど)、または、モノメチルアセテートなどの各種プロピレンオキサイド系グリコールエーテルなどを適宜添加しても良い。また、有機バインダが水溶性である場合、エマルジョンとして使用する場合などでは、水を溶媒としてもよく、この際にもアルコール類(メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)を適宜加えて界面張力を制御することもできる。
上記シート状物が、紙、PP不織布、ポリエステル不織布などの不織布のように、繊維状物で構成されるものであって、特にその空隙の開口径が比較的大きい場合(例えば、空隙の開口径が5μm以上の場合)には、これが電池の短絡の要因となりやすい。よって、この場合には、絶縁性微粒子の一部または全部がシート状物の空隙内に存在する構造とすることが好ましい。また、絶縁性微粒子以外の微粒子(熱溶融性微粒子、膨潤性微粒子など)の一部または全部が、シート状物の空隙内に存在する構造とすることがより好ましい。このような構造とすることで、絶縁性微粒子以外の微粒子を用いることによる作用(熱溶融性微粒子や膨潤性微粒子であればシャットダウン機能)がより有効に発揮されるようになる。シート状物の空隙内に絶縁性微粒子や熱溶融性微粒子、膨潤性微粒子などを存在させるには、例えば、上記のセパレータ形成用組成物をシート状物に含浸させた後、一定のギャップを通し、余分なセパレータ形成用組成物を除去し、その後乾燥するなどの工程を経ればよい。
本発明のセパレータの(II)の製造方法は、上記のセパレータ形成用組成物に、必要に応じて更に繊維状物を含有させ、これをフィルムや金属箔などの基材上に塗布し、所定の温度で乾燥した後に、該基材から剥離する方法である。(II)の方法によって、(1)または(3)の態様のセパレータを製造することができる。また、フィルムや金属箔などの基材上にセパレータ形成用組成物を塗布することで、独立膜である(1)または(3)の態様のセパレータを製造することができ、基材としてフィルムや金属箔の代わりに正極や負極を用いることで、電極と一体化した(1)または(3)の態様のセパレータを製造することができる。
(II)の方法で使用するセパレータ形成用組成物は、必要に応じて繊維状物を含有させる点を除き、(I)の方法で用いるセパレータ形成用組成物と同じである。また、(II)の方法で得られるセパレータにおいても、繊維状物を含有させる場合は繊維状物で形成されるシート状物の空隙内に、絶縁性微粒子の一部または全部が存在する構造とすることが望ましい。
なお、(I)の方法、(II)の方法のいずれにおいても、セパレータの60゜の光沢度を5以上としたり、板状ベーマイトを有するセパレータにおいて、X線回折スペクトルでの020面、120面、031面および051面のピーク強度の和に対する020面のピーク強度の比を0.80以上としたりするために、セパレータ中における絶縁性微粒子の充填性や配向性(板状の絶縁性微粒子の場合)を高めるには、下記のいずれかの方法を採用することができる。
絶縁性微粒子を溶媒に、ディスパー、アジター、ホモジナイザー、ボールミル、アトライター、ジェットミル、サンドミルなどの各種混合・攪拌装置、分散装置など(好ましくは、高圧ホモジナイザー、ボールミル、ジェットミル、サンドミルなどの湿式の分散装置)を用いて分散させ、得られた分散体に有機バインダ(更に、必要に応じて繊維状物、熱溶融性微粒子、膨潤性微粒子など)を添加・混合することで、絶縁性微粒子の分散性が高く、かつ絶縁性微粒子および有機バインダ(更に、必要に応じて添加される繊維状物、熱溶融性微粒子、膨潤性微粒子など)を含む固形分濃度が45〜80質量%のセパレータ形成用組成物を調製し、これを上記シート状物への塗布・含浸や、基材上への塗布に用いることにより、絶縁性微粒子の充填性・配向性(板状の場合)を高めることができる。
セパレータ形成用組成物の塗布・含浸後に乾燥して溶媒を除去することによって絶縁性微粒子の充填性・配向性をある程度高めることは可能であるが、セパレータ形成用組成物の固形分濃度が低い場合には、乾燥時にセパレータ形成用組成物内の絶縁性微粒子の並びに乱れが生じて、その充填性・配向性の向上がある程度制限される。これに対し、上記のように、固形分濃度の高いセパレータ形成用組成物を使用した場合には、セパレータ形成用組成物の塗布・含浸後の乾燥の際に絶縁性微粒子の並びに乱れが生じ難いため、その充填性・配向性を、固形分濃度の低いセパレータ形成用組成物を用いた場合よりも高めることができる。そして、セパレータ形成用組成物中での絶縁性微粒子の分散性を高めておくことで、絶縁性微粒子の充填性・配向性を更に高めることができる。
また、上記のように絶縁性微粒子の分散性を高めた高固形分濃度のセパレータ形成用組成物を上記シート状物に塗布・含浸させたり、基材上に塗布したりした後、乾燥する前に、セパレータ形成用組成物にシェアをかけることが好ましく、その場合には、絶縁性微粒子の充填性・配向性を更に高めることができる。セパレータ形成用組成物にシェアをかける方法としては、例えば、セパレータ形成用組成物を上記シート状物に塗布・含浸させたり、基材上に塗布したりした後に、一定のギャップを通して余分なセパレータ形成用組成物を除去する方法が挙げられる。
また、上記の方法以外にも、表面に油脂類、界面活性剤、シランカップリング剤などの分散性剤を作用させて、表面を改質した絶縁性微粒子を用いて調製したセパレータ形成用組成物に使用する方法;形状、径またはアスペクト比の異なる絶縁性微粒子を併用して調製したセパレータ形成用組成物を使用する方法;セパレータ形成用組成物をシート状物に塗布・含浸させたり、基材上に塗布したりした後の乾燥条件を制御する方法;乾燥後にセパレータを、例えば1〜100MPaの圧力で加圧や加熱加圧プレスする方法;セパレータ形成用組成物をシート状物に塗布・含浸させたり、基材上に塗布したりした後、乾燥前に磁場をかける方法;などを採用することで、セパレータ中における絶縁性微粒子の充填性・配向性(板状の場合)を高めることができる。これらの方法を採用する場合には、セパレータ形成用組成物の固形分濃度は、10〜80質量%とすることが好ましく、比較的低固形分濃度のセパレータ形成用組成物を用いても、セパレータ中における絶縁性微粒子の充填性・配向性(板状の場合)を高めることが可能である。
セパレータ中における絶縁性微粒子の充填性・配向性(板状の場合)を高めるための上記の各方法は、それぞれ1つだけを実施してもよく、2つ以上を組み合わせて実施してもよい。
本発明のセパレータは、上で示した各構造に限定されるものではなく、例えば、絶縁性微粒子は、個々に独立して存在していなくてもよく、互いに、または、繊維状物に、一部が融着されていても構わない。
本発明のリチウム二次電池は、本発明のセパレータを有していれば特に制限はなく、その他の構成、構造については、従来公知の構成、構造が採用できる。
リチウム二次電池の形態としては、スチール缶やアルミニウム缶などを外装缶として使用した筒形(角筒形や円筒形など)などが挙げられる。また、金属を蒸着したラミネートフィルムを外装体としたソフトパッケージ電池とすることもできる。
正極としては、従来公知のリチウム二次電池に用いられている正極、すなわち、Liイオンを吸蔵放出可能な活物質を含有する正極であれば特に制限はない。例えば、活物質として、Li1+xMOで(−0.1<x<0.1、M:Co、Ni、Mnなど)で表されるリチウム含有遷移金属酸化物;LiMnなどのリチウムマンガン酸化物;LiMnのMnの一部を他元素で置換したLiMn(1−x);オリビン型LiMPO(M:Co、Ni、Mn、Fe);LiMn0.5Ni0.5;Li(1+a)MnNiCo(1−x−y)(−0.1<a<0.1、0<x<0.5、0<y<0.5);などを適用することが可能であり、これらの正極活物質に公知の導電助剤(カーボンブラックなどの炭素材料など)やポリフッ化ビニリデン(PVDF)などの結着剤などを適宜添加した正極合剤を、集電体を芯材として成形体(すなわち、正極合剤層)に仕上げたものなどを用いることができる。
正極の集電体としては、アルミニウムなどの金属の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタルなどを用い得るが、通常、厚みが10〜30μmのアルミニウム箔が好適に用いられる。
正極側のリード部は、通常、正極作製時に、集電体の一部に正極合剤層を形成せずに集電体の露出部を残し、そこをリード部とすることによって設けられる。ただし、リード部は必ずしも当初から集電体と一体化されたものであることは要求されず、集電体にアルミニウム製の箔などを後から接続することによって設けてもよい。
負極としては、従来公知のリチウム二次電池に用いられている負極、すなわち、Liイオンを吸蔵放出可能な活物質を含有する負極であれば特に制限はない。例えば、活物質として、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、炭素繊維などの、リチウムイオンを吸蔵、放出可能な炭素系材料の1種または2種以上の混合物が用いられる。また、Si,Sn、Ge,Bi,Sb、Inなどの元素およびその合金、リチウム含有窒化物、または酸化物などのリチウム金属に近い低電圧で充放電できる化合物、もしくはリチウム金属やリチウム/アルミニウム合金も負極活物質として用いることができる。これらの負極活物質に導電助剤(カーボンブラックなどの炭素材料など)やPVDFなどの結着剤などを適宜添加した負極合剤を、集電体を芯材として成形体(負極合剤層)に仕上げたものや、上記の各種合金やリチウム金属の箔を単独、もしくは集電体上に形成したものなどの負極剤層を有するものが用いられる。
負極に集電体を用いる場合には、集電体としては、銅製やニッケル製の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタルなどを用い得るが、通常、銅箔が用いられる。この負極集電体は、高エネルギー密度の電池を得るために負極全体の厚みを薄くする場合、厚みの上限は30μmであることが好ましく、また、下限は5μmであることが望ましい。
負極側のリード部も、正極側のリード部と同様に、通常、負極作製時に、集電体の一部に負極剤層(負極活物質を有する層、負極合剤層を含む)を形成せずに集電体の露出部を残し、そこをリード部とすることによって設けられる。ただし、この負極側のリード部は必ずしも当初から集電体と一体化されたものであることは要求されず、集電体に銅製の箔などを後から接続することによって設けてもよい。
電極は、上記の正極と上記の負極とを、本発明のセパレータを介して積層した積層体や、更にこれを巻回した電極巻回体の形態で用いることができる。
電解液(有機電解液)としては、上述したように、リチウム塩を有機溶媒に溶解した溶液が用いられる。リチウム塩としては、溶媒中で解離してLiイオンを形成し、電池として使用される電圧範囲で分解などの副反応を起こさないものであれば特に制限は無い。例えば、LiClO、LiPF、LiBF、LiAsF 、LiSbF などの無機リチウム塩;LiCFSO、LiCFCO、Li(SO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiC2n+1SO(n≧2)、LiN(RfOSO〔ここでRfはフルオロアルキル基〕などの有機リチウム塩;などを用いることができる。
電解液に用いる有機溶媒としては、上記のリチウム塩を溶解し、電池として使用される電圧範囲で分解などの副反応を起こさないものであれば特に限定されない。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートなどの環状カーボネート;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネートなどの鎖状カーボネート;プロピオン酸メチルなどの鎖状エステル;γ−ブチロラクトンといった環状エステル;ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、1,3−ジオキソラン、ジグライム、トリグライム、テトラグライムなどの鎖状エーテル;ジオキサン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどの環状エーテル;アセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシプロピオニトリルといったニトリル類;エチレングリコールサルファイトなどの亜硫酸エステル類;などが挙げられ、これらを1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用しても構わない。なお、より良好な特性の電池とするためには、エチレンカーボネートと鎖状カーボネートの混合溶媒など、高い導電率を得ることができる組み合わせで用いることが望ましい。また、これらの電解液に安全性や充放電サイクル性、高温貯蔵性といった特性を向上させる目的で、ビニレンカーボネート類、1,3−プロパンサルトン、ジフェニルジスルフィド、シクロヘキサン、ビフェニル、フルオロベンゼン、t−ブチルベンゼンなどの添加剤を適宜加えることもできる。
このリチウム塩の電解液中の濃度としては、0.5〜1.5mol/lとすることが好ましく、0.9〜1.25mol/lとすることがより好ましい。
また、上記の有機溶媒の代わりに、エチル−メチルイミダゾリウムトリフルオロメチルスルホニウムイミド、へプチル−トリメチルアンモニウムトリフルオロメチルスルホニウムイミド、ピリジニウムトリフルオロメチルスルホニウムイミド、グアジニウムトリフルオロメチルスルホニウムイミドといった常温溶融塩を用いることもできる。
更に、上記の電解液を含有してゲル化するような高分子材料を添加して、電解液をゲル状にして電池に用いてもよい。電解液をゲル状とするための高分子材料としては、PVDF、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF−HFP)、PAN、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体、主鎖または側鎖にエチレンオキシド鎖を有する架橋ポリマー、架橋したポリ(メタ)アクリル酸エステルなど、公知のゲル状電解質形成可能なホストポリマーが挙げられる。
本発明のリチウム二次電池は、従来公知のリチウム二次電池が用いられている各種用途と同じ用途に適用することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記を逸脱しない範囲で変更実施をすることは、全て本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1
<セパレータの作製>
絶縁性微粒子である板状ベーマイト(平均粒径1μm、アスペクト比10)1000gと水1000gとのスラリーを卓上ボールミルにて6日間分散を行った後、有機バインダとしてアクリルラテックス(固形分として、絶縁性微粒子100質量部に対して3質量部)を添加し、スリーワンモーターで1時間攪拌して分散させ、均一なスラリー(セパレータ形成用組成物)を得た。得られたスラリーの固形分濃度は、48質量%であった。
上記のスラリー中に、厚みが15μmのPET製不織布を通し、引き上げ塗布によりスラリーを塗布した後、所定の間隔を有するギャップの間を通し、その後60℃15時間減圧乾燥して、厚みが20μmのセパレータを得た。
実施例1のセパレータについて、絶縁性微粒子の比重を3g/cm、バインダの比重を1g/cm、PET製不織布に係るPETの比重を1.38g/cmとして算出した絶縁性微粒子の体積含有率は43.5%である。
<正極の作製>
正極活物質であるLiCoO:85質量部、導電助剤であるアセチレンブラック:10質量部、およびバインダであるPVDF:5質量部を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を溶剤として均一になるように混合して、正極合剤含有ペーストを調製した。このペーストを、集電体となる厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に、活物質塗布長が表面320mm、裏面250mになるように間欠塗布し、乾燥した後、カレンダ処理を行って、全厚が150μmになるように正極合剤層の厚みを調整し、幅43mmになるように切断して、長さ340mm、幅43mmの正極を作製した。さらにこの正極のアルミニウム箔の露出部にタブ付けを行った。
<負極の作製>
負極活物質である黒鉛:90質量部と、バインダであるPVDF:5質量部とを、NMPを溶剤として均一になるように混合して負極合剤含有ペーストを調製した。この負極合剤含有ペーストを、銅箔からなる厚さ10μmの集電体の両面に、活物質塗布長が表面320mm、裏面260mmになるように間欠塗布し、乾燥した後、カレンダ処理を行って全厚が142μmになるように負極合剤層の厚みを調整し、幅45mmになるように切断して、長さ330mm、幅45mmの負極を作製した。さらにこの負極の銅箔の露出部にタブ付けを行った。
<電池の組み立て>
上記のようにして得られた正極と負極とを、上記のセパレータを介して重ね合わせ、電極セパレータ積層体を作製した。電極セパレータ積層体をアルミラミネートで作製した袋に挿入し、電解液(エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートを1:2の体積比で混合した溶媒に、LiPFを1.2mol/lの濃度で溶解させた溶液)を注入し、開口部を常法に従って封止してリチウム二次電池を作製した。電池組み立て後の予備充電(化成時充電)では、電池の定格容量750mAhに対して20%にあたる電気量となるように、150mAで4.2Vまでの定電流充電と、その後4.2Vでの定電圧充電を、合計6時間行い、その後、150mAで3Vまで定電流放電を行った。
実施例2
卓上ボールミルでの分散を3日行った以外は実施例1と同様にしてスラリー(セパレータ形成用組成物)を調製し、このスラリーを用いた以外は実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
上記のセパレータを用いた以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
実施例3
板状ベーマイト(平均粒径1μm、アスペクト比10)1000gと水430gとのスラリーを調製し、このスラリーを卓上ボールミルでの分散に供した以外は実施例1と同様にしてセパレータを作製した。実施例3で使用したスラリー(セパレータ形成用組成物)の固形分濃度は、66質量%である。
上記のセパレータを用いた以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
実施例4
絶縁性微粒子である板状ベーマイト(平均粒径1μm、アスペクト比10)1000gと水2750gとのスラリーを卓上ボールミルにて3日間分散を行った後、有機バインダとしてアクリルラテックス(固形分として、絶縁性微粒子100質量部に対して3質量部)を添加し、スリーワンモーターで1時間攪拌して分散させ、均一なスラリー(セパレータ形成用組成物)を得た。得られたスラリーの固形分濃度は、28質量%であった。
上記のスラリー中に、厚みが15μmのPET製不織布を通し、引き上げ塗布によりスラリーを塗布した後、所定の間隔を有するギャップの間を通し、その後60℃15時間減圧乾燥して、厚みが20μmのセパレータを得た。得られたセパレータに対し、プレス圧9.8MPaでカレンダ処理を行った。
上記のセパレータを用いた以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
実施例5
負極活物質である黒鉛:90質量部と、バインダであるPVDF:5質量部とを、NMPを溶剤として均一になるように混合して負極合剤含有ペーストを調製した。この負極合剤含有ペーストを、銅箔からなる厚さ10μmの集電体の両面に塗布し、乾燥した後カレンダ処理を行って全厚が142μmになるように負極合剤層の厚みを調整した。得られた負極の上に実施例1のスラリーをアプリケータにて塗布し、その後60℃15時間減圧乾燥してセパレータ部の厚みが20μmの負極一体型セパレータを得た。
上記の負極一体型セパレータのセパレータ面と、実施例1と同様にして作製した正極とを重ね合わせて電極セパレータ積層体を作製し、この電極セパレータ積層体を用いた以外は実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
実施例6
板状ベーマイトを、平均粒径0.8μm、アスペクト比20のものに変更した以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製した。上記のセパレータを用いた以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
実施例7
絶縁性微粒子である板状ベーマイト(平均粒径1μm、アスペクト比10)1000gと水1000gとのスラリーを卓上ボールミルにて6日間分散を行った後、有機バインダとしてアクリルラテックス(固形分として、絶縁性微粒子100質量部に対して3質量部)を添加し、スリーワンモーターで1時間攪拌して分散させ、均一なスラリー(セパレータ形成用組成物)を得た。得られたスラリーの固形分濃度は、48質量%であった。
得られたスラリーを、PE製微多孔フィルム(厚み16μm、空孔率40%)上に、ダイコーターを用いて塗布して乾燥し、厚みが20μmのセパレータを得た。上記セパレータを用いた以外は実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
比較例1
卓上ボールミルでの分散を行わなかった以外は、実施例1と同様にしてスラリー(セパレータ形成用組成物)を調製し、このスラリーを用いた以外は実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
上記のセパレータを用いた以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
比較例2
カレンダ処理を行わなかった以外は、実施例4と同様にしてセパレータを作製し、このセパレータを用いた以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
比較例3
絶縁性微粒子として球状アルミナ(平均粒径1μm)を用い、卓上ボールミルでの分散を行わなかった以外は、実施例1と同様にしてスラリー(セパレータ形成用組成物)を調製し、このスラリーを用いた以外は実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
上記のセパレータを用いた以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
実施例1〜7および比較例1〜3のセパレータについて、下記の充填性・配向性測定を行った。結果を表1に示す。
<セパレータの充填性・配向性測定>
実施例1〜7および比較例1〜3のセパレータの60゜の光沢度を、JIS Z 8741に規定される方法に従って、BYKガードナー社製の光沢度計「micro TRI gloss」を用いて測定した。
また、実施例1〜7および比較例1〜2のセパレータについて、X線回折手法(理学電機社製「RINT2500V」(CuKα線)での測定を行い、配向度を求めた。配向度は、(020)回折線の強度(020面のピーク強度)Ia、(120)回折線の強度(120面のピーク強度)Ib、(031)回折線の強度(031面のピーク強度)Icおよび(051)回折線の強度(051面のピーク強度)Idを求め、Ia、Ib、IcおよびIdの和に対するIaの比、Ia/(Ia+Ib+Ic+Id)から求めた。なお、実施例3のセパレータに係るX線回折スペクトルを図1に、比較例1のセパレータに係るX線回折スペクトルを図2に示す。
Figure 0005805160
表1から分かるように、実施例1〜7のセパレータでは、60゜の光沢度、Ia/(Ia+Ib+Ic+Id)のいずれもが高く、絶縁性微粒子の配向性が良好であるのに対し、卓上ボールミルでの分散を行わずに調製したセパレータ形成用組成物を用いて作製した比較例1のセパレータ、および低固形分濃度のセパレータ形成用組成物を使用し、カレンダ処理を行わなかった比較例2のセパレータは、60゜の光沢度、Ia/(Ia+Ib+Ic+Id)のいずれもが低く、絶縁性微粒子の配向性が劣っている。また、絶縁性微粒子に球状アルミナを用い、卓上ボールミルでの分散を行わずに調製したセパレータ形成用組成物を用いて作製した比較例3のセパレータは、60゜の光沢度が低く、絶縁性微粒子の充填性が劣っている(比較例3のセパレータは板状ベーマイトを用いていないため、X線回折測定は実施していない)。
また、図3には実施例6のセパレータの断面のSEM写真を、図4には比較例2のセパレータの断面のSEM写真を示しているが、これらの写真から、実施例6のセパレータでは、比較例2のセパレータよりも板状ベーマイトが良好に配向していることが分かる。
更に、実施例1〜7および比較例1〜3のリチウム二次電池について、下記のようにしてセパレータの短絡電流測定を行った。結果を表2に示す。
<セパレータの短絡電流測定>
実施例1〜7または比較例1〜3の電池を0.2Cで4.2Vまでの定電流充電と、その後4.2Vでの定電圧充電を行い、定電流充電時の充電電流と充電時間の積が1.2Cになるまで充電した。その後、150mAで3Vまで定電流放電を行った。続いて0.1C毎に充電電流を上げながら同様の充放電を繰り返し行い、充電時に電圧が4.2Vに到達しないか、4.2V到達後も充電電流が減衰しない時の充電電流値を、セパレータの短絡電流値として評価した。
Figure 0005805160
表2から明らかなように、絶縁性微粒子の配向性が良好なセパレータを用いた実施例1〜7のリチウム二次電池では、セパレータの短絡電流値が向上しており、セパレータの繊維状物間に形成される空隙を埋める絶縁性微粒子の配向性を向上させることで、セパレータ内部の貫通孔や構造欠陥が減少し、充電時に発生するリチウムデンドライトの部分的な析出を抑制することで短絡の発生を抑えることができているものと推測される。

Claims (10)

  1. 微多孔性フィルム上に、多孔質のシートが形成されたセパレータであって、
    前記シートは、少なくとも、有機電解液に対して安定な板状の絶縁性微粒子と有機バインダとで構成されており、
    前記シートの表面での60゜の光沢度が5以上であり、
    前記微多孔性フィルムの厚みをA、前記シートの厚みをBとしたとき、A/Bが1以上10以下であり、総厚みが5μm以上20μm以下であることを特徴とする電池用セパレータ。
  2. 前記シートの表面での60゜の光沢度が9以上である請求項1に記載の電池用セパレータ。
  3. 絶縁性微粒子が、板状ベーマイトである請求項1に記載の電池用セパレータ。
  4. 少なくとも、板状ベーマイトと有機バインダとで構成される多孔質体からなる電池用セパレータであって、
    前記セパレータ中の前記板状ベーマイトのX線回折スペクトルにおける020面、120面、031面および051面のピーク強度の和に対する020面のピーク強度の比が、0.80以上であることを特徴とする電池用セパレータ。
  5. 少なくとも、板状ベーマイトと有機バインダとで構成される多孔質体からなる電池用セパレータであって、
    前記セパレータ中の前記板状ベーマイトのX線回折スペクトルにおける120面、031面および051面のピーク強度のうち、最も強いピークの強度と020面のピーク強度との比が、0.1以下であることを特徴とする電池用セパレータ。
  6. 前記電池用セパレータが、150℃で実質的に変形しない繊維状物を更に有する請求項4または記載の電池用セパレータ。
  7. 微多孔性フィルムを更に有する請求項4または5に記載の電池用セパレータ。
  8. 微多孔性フィルムがポリオレフィンフィルムである請求項1に記載の電池用セパレータ。
  9. 正極、負極、有機電解液およびセパレータを備えており、上記セパレータとして、請求項1〜8のいずれかに記載の電池用セパレータを有することを特徴とするリチウム二次電池。
  10. 正極、負極、有機電解液、並びに前記正極および前記負極の少なくとも一方と一体化されているセパレータを備えており、前記セパレータとして、請求項4または5に記載の電池用セパレータを有することを特徴とするリチウム二次電池。
JP2013200785A 2007-01-29 2013-09-27 電池用セパレータ、電池用セパレータの製造方法およびリチウム二次電池 Active JP5805160B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013200785A JP5805160B2 (ja) 2007-01-29 2013-09-27 電池用セパレータ、電池用セパレータの製造方法およびリチウム二次電池

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007017249 2007-01-29
JP2007017249 2007-01-29
JP2013200785A JP5805160B2 (ja) 2007-01-29 2013-09-27 電池用セパレータ、電池用セパレータの製造方法およびリチウム二次電池

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007324707A Division JP2008210782A (ja) 2007-01-29 2007-12-17 電池用セパレータ、電池用セパレータの製造方法およびリチウム二次電池

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014017264A JP2014017264A (ja) 2014-01-30
JP5805160B2 true JP5805160B2 (ja) 2015-11-04

Family

ID=39786886

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007324707A Pending JP2008210782A (ja) 2007-01-29 2007-12-17 電池用セパレータ、電池用セパレータの製造方法およびリチウム二次電池
JP2013200785A Active JP5805160B2 (ja) 2007-01-29 2013-09-27 電池用セパレータ、電池用セパレータの製造方法およびリチウム二次電池

Family Applications Before (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007324707A Pending JP2008210782A (ja) 2007-01-29 2007-12-17 電池用セパレータ、電池用セパレータの製造方法およびリチウム二次電池

Country Status (1)

Country Link
JP (2) JP2008210782A (ja)

Families Citing this family (20)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5308118B2 (ja) * 2008-10-30 2013-10-09 帝人株式会社 非水系二次電池用セパレータ、その製造方法、および非水系二次電池
WO2010128548A1 (ja) 2009-05-08 2010-11-11 トヨタ自動車株式会社 電池セパレータの製造方法
JP5427046B2 (ja) * 2010-01-14 2014-02-26 日立マクセル株式会社 非水電解質電池及びその製造方法
WO2012005152A1 (ja) * 2010-07-09 2012-01-12 日立マクセル株式会社 非水電池用セパレータおよび非水電池
JP5478733B2 (ja) * 2010-10-13 2014-04-23 日立マクセル株式会社 非水電解液電池用セパレータおよび非水電解液電池
JP2014238913A (ja) * 2011-09-29 2014-12-18 パナソニック株式会社 電池
JP5800196B2 (ja) * 2011-12-20 2015-10-28 トヨタ自動車株式会社 非水電解質二次電池およびその製造方法
DE112011106071B4 (de) 2011-12-28 2018-11-22 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Lithiumionensekundärbatterie, Separator davon, und Verfahren zum Herstellen derselben
JP6046835B2 (ja) * 2014-11-05 2016-12-21 積水化学工業株式会社 耐熱性合成樹脂微多孔フィルム及びセパレータの製造方法
KR101681452B1 (ko) * 2015-09-24 2016-11-30 스미또모 가가꾸 가부시키가이샤 비수 전해액 이차 전지용 세퍼레이터 및 비수 전해액 이차 전지
US10008706B2 (en) 2015-10-29 2018-06-26 Sumitomo Chemical Company, Limited Laminated separator for nonaqueous electrolyte secondary battery, nonaqueous electrolyte secondary battery member, and nonaqueous electrolyte secondary battery
JP6725251B2 (ja) * 2015-10-29 2020-07-15 住友化学株式会社 非水電解液二次電池用積層セパレータ、非水電解液二次電池用部材および非水電解液二次電池
JP2017084755A (ja) * 2016-02-10 2017-05-18 住友化学株式会社 非水電解液二次電池用積層セパレータ、非水電解液二次電池用部材および非水電解液二次電池
JP6762089B2 (ja) * 2015-10-29 2020-09-30 住友化学株式会社 非水電解液二次電池用積層セパレータ、非水電解液二次電池用部材および非水電解液二次電池
KR101851450B1 (ko) * 2015-10-29 2018-04-23 스미또모 가가꾸 가부시키가이샤 비수 전해액 이차 전지용 적층 세퍼레이터, 비수 전해액 이차 전지용 부재 및 비수 전해액 이차 전지
JP6801561B2 (ja) * 2017-03-31 2020-12-16 トヨタ自動車株式会社 非水電解質二次電池
KR101918448B1 (ko) 2017-04-28 2018-11-13 스미또모 가가꾸 가부시키가이샤 비수 전해액 이차 전지용 절연성 다공질층
JP6912333B2 (ja) * 2017-09-14 2021-08-04 住友化学株式会社 電極アセンブリおよび非水電解液二次電池
CN110498671A (zh) * 2019-06-03 2019-11-26 江西力能新能源科技有限公司 一种用于锂电池极片含勃姆石的陶瓷涂层及制备方法
JP7407065B2 (ja) * 2020-05-14 2023-12-28 宇部マクセル京都株式会社 電池用セパレータおよびそれを用いた非水二次電池

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10284039A (ja) * 1997-04-03 1998-10-23 Japan Storage Battery Co Ltd 二次電池
JPH1180395A (ja) * 1997-09-09 1999-03-26 Nitto Denko Corp 多孔質膜および非水電解液電池用セパレータ
JP4794824B2 (ja) * 2004-04-05 2011-10-19 パナソニック株式会社 リチウムイオン二次電池およびその製造法
JP2006164596A (ja) * 2004-12-03 2006-06-22 Matsushita Electric Ind Co Ltd 二次電池およびその多孔膜の製造方法
WO2006062153A1 (ja) * 2004-12-08 2006-06-15 Hitachi Maxell, Ltd. 電気化学素子用セパレータおよび電気化学素子
KR100772305B1 (ko) * 2005-03-02 2007-11-02 마쯔시다덴기산교 가부시키가이샤 리튬이온 이차전지 및 그 제조법
JP4958484B2 (ja) * 2006-03-17 2012-06-20 三洋電機株式会社 非水電解質電池及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014017264A (ja) 2014-01-30
JP2008210782A (ja) 2008-09-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5805160B2 (ja) 電池用セパレータ、電池用セパレータの製造方法およびリチウム二次電池
JP5657856B2 (ja) 多孔質膜、電池用セパレータおよびリチウム二次電池
JP5326036B2 (ja) リチウム二次電池
JP5670626B2 (ja) 電気化学素子用セパレータ、電気化学素子およびその製造方法
US8822082B2 (en) Separator for electrochemical device, electrode for electrochemical device, and electrochemical device
JP4994054B2 (ja) 電池用セパレータおよびリチウム二次電池
JP5753657B2 (ja) 絶縁層形成用スラリー、電気化学素子用セパレータの製造方法、及び電気化学素子
JP5183435B2 (ja) 電池用セパレータおよびリチウム二次電池
JP5611505B2 (ja) 電池用セパレータおよびリチウム二次電池
JP5575537B2 (ja) 非水電解質電池
JP5576740B2 (ja) 電気化学素子
JP5650738B2 (ja) 電池用セパレータおよび電池
JP2009032677A (ja) セパレータ用多孔質膜およびその製造方法、電池用セパレータおよびその製造方法、電池用電極およびその製造方法、ならびにリチウム二次電池
JP5429811B2 (ja) リチウムイオン二次電池用セパレータおよびリチウムイオン二次電池
JP2011054503A (ja) 電気化学素子用セパレータ、電気化学素子およびその製造方法
JP5247657B2 (ja) 非水電解液電池
JP2008004438A (ja) 電池用セパレータ、およびリチウム二次電池
JP5451426B2 (ja) 電池用セパレータおよびそれを用いたリチウムイオン二次電池
JP2009064566A (ja) 電池用セパレータおよび非水電解質電池
JPWO2015046126A1 (ja) 非水電池用多孔質層、非水電池用セパレータ、非水電池用電極および非水電池
JP2008004439A (ja) 電池用セパレータ、およびリチウム二次電池
JP2018147769A (ja) 電気化学素子用セパレータおよび非水電解質電池
JP5702873B2 (ja) 電気化学素子用セパレータ、電気化学素子およびその製造方法
JP2017073330A (ja) 非水電解質二次電池
JP2014022051A (ja) 電気化学素子用セパレータおよび電気化学素子

Legal Events

Date Code Title Description
A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20131113

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20131202

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140121

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20140501

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140725

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20140801

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20140815

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150724

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150901

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5805160

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250