以下、図面を参照して、本発明に係る画像形成装置をプリンターに適用した場合の一実施形態について説明する。まず、プリンター1の全体構成について説明する。図1は、本実施形態に係るプリンター1の全体構成を示す説明図である。
図1に示すように、本実施形態に係るプリンター1は、主要な構成として、用紙搬送部10と、画像形成部30と、定着部40と、を備える。
用紙搬送部10は、第1送りローラー11と、第2送りローラー12と、レジストローラー対13と、第1ローラー対14と、第2ローラー対15と、用紙排出部16と、を備える。また、用紙Kが搬送される搬送路Lは、第1送りローラー11又は第2送りローラー12から画像形成部30(後述する転写ニップN)までの第1搬送路L1と、画像形成部30(後述する転写ニップN)から定着部40までの第2搬送路L2と、定着部40から用紙排出部16までの第3搬送路L3と、定着部40から排出された用紙Kをレジストローラー対13に戻す第4搬送路L4と、を備える。
第1送りローラー11は、給紙カセット17に収容される用紙K(被転写材)を第1搬送路L1に供給する。第2送りローラー12は、手差トレイ18に載置される用紙Kを第1搬送路L1に供給する。レジストローラー対13は、第1搬送路L1を搬送されてきた用紙Kを感光体ドラム31と転写ローラー38との間に形成される転写ニップNに供給して、感光体ドラム31に形成されたトナー画像を用紙Kに転写させるために、用紙Kの搬送又は用紙Kの搬送停止を行う。
また、レジストローラー対13は、用紙Kのスキュー(斜め給紙)補正を行う。第1ローラー対14は、第3搬送路L3に設けられ、定着部40から排出された用紙Kを用紙排出部16側に搬送する。第2ローラー対15は、第1ローラー対14により用紙排出部16側に搬送された用紙Kを第4搬送路L4に搬入させる。用紙排出部16は、トナー画像が定着された用紙Kをプリンター1の外部に排出する。用紙排出部16におけるプリンター1の外側には、排紙集積部19が形成される。排紙集積部19には、用紙排出部16から排出された用紙Kが集積される。
画像形成部30は、用紙Kにトナー画像を形成するための装置である。画像形成部30は、像担持体としての感光体ドラム31と、帯電部32と、レーザースキャナーユニット33と、現像部としての現像装置34と、除電器35と、クリーニング部36と、トナー収容部としてのトナーカートリッジ37と、転写部としての転写ローラー38と、を備える。
なお、本実施形態において、トナーカートリッジ37は、画像形成部30の一部を構成する。また、画像形成部30は、現像装置34(現像部)に収容されているトナー量を検出するセンサーを備えていない。すなわち、本実施形態の画像形成部30は、現像装置34に収容されているトナー量が検出不能に構成される。
感光体ドラム31は、現像ローラー343(トナー担持体)のトナー層からトナーが供給されることにより、表面に形成された静電潜像に沿った画像(トナー画像)が形成される。感光体ドラム31の周囲には、感光体ドラム31の回転方向に沿って上流側から下流側へ順に、帯電部32、レーザースキャナーユニット33、現像装置34、及びクリーニング部36が配置される。
帯電部32は、感光体ドラム31の表面を、一様に負(マイナス極性)又は正(プラス極性)に帯電させる。
レーザースキャナーユニット33は、感光体ドラム31の表面から離れて配置される。レーザースキャナーユニット33は、外部に配置される外部機器(例えば、パーソナルコンピューター等)により送信された画像データ(原稿画像)に基づいて、感光体ドラム31の表面にレーザー光を連続又は間欠的に照射(露光)する。レーザースキャナーユニット33から感光体ドラム31にレーザー光を照射することにより、感光体ドラム31の表面において、露光された部分の電荷が除去されて、原稿画像に対応した静電潜像が形成される。
現像装置34は、感光体ドラム31の表面に形成された静電潜像に、単色(通常はブラック)のトナーを付着させて、静電潜像をトナー画像として現像する。現像装置34は、第1攪拌ローラー341と、第2攪拌ローラー342と、現像ローラー343と、を備える。第1攪拌ローラー341、第2攪拌ローラー342、及び現像ローラー343は、それぞれのローラー軸に連結された専用の駆動モーター(不図示)により回転力が付与される。
第1攪拌ローラー341及び第2攪拌ローラー342は、トナー供給ローラー371(後述)から供給されたトナーを攪拌する。第1攪拌ローラー341及び第2攪拌ローラー342は、例えば、スパイラルスクリュー形状の部材により構成される。第1攪拌ローラー341及び第2攪拌ローラー342は、回転軸を中心として回転することにより、現像装置34の内部に収容されたトナーを攪拌する。第1攪拌ローラー341及び第2攪拌ローラー342により攪拌されたトナーには、摩擦により静電気が発生する。これにより、トナーは帯電する。
現像ローラー343は、円筒形状の非磁性部材からなる現像スリーブにより構成される。現像ローラー343の内部には、複数の磁性部材が配置されている。現像ローラー343は、感光体ドラム31の表面に対向する位置において、現像スリーブの回転方向が第2攪拌ローラー342の回転方向と反対方向となるように駆動される。
現像ローラー343は、第2攪拌ローラー342から供給されるトナーにより表面にトナー層(不図示)が形成される。具体的には、現像ローラー343の表面には、第2攪拌ローラー342の層厚規制ブレード(不図示)により層厚が規制されたトナーのみが移動して、トナー層が形成される。なお、現像ローラー343には、現像バイアス印加部(不図示)により現像のための現像バイアス(電圧)が印加される。
除電器35は、感光体の表面に光を照射することにより、転写が行われた後の感光体ドラム31の表面を除電する(電荷を除去する)。
クリーニング部36は、除電器35によって感光体ドラム31の表面が除電された後のその表面に残るトナー等を除去する。
トナーカートリッジ37は、トナー(磁性1成分トナー)を収容する容器である。トナーカートリッジ37の内部には、トナー供給ローラー371が設けられている。トナー供給ローラー371は、トナーカートリッジ37に収容されたトナーを現像装置34に供給する。トナー供給ローラー371は、例えば、スパイラルスクリュー形状の部材により構成される。トナー供給ローラー371は、回転軸を中心として回転することにより、現像装置34にトナーを供給する。トナー供給ローラー371と現像装置34との間は、トナー供給路(不図示)により接続されている。
トナーカートリッジ37は、現像装置34と隣接して設けられたトナーカートリッジ装着部(不図示)に着脱自在に装填される。すなわち、トナーカートリッジ37は、現像装置34に対して交換可能に構成されている。トナーカートリッジ37が交換されると、トナーカートリッジ装着部は、交換検出信号を制御部90に出力する。このように、トナーカートリッジ37(トナー収容部)は、トナーを現像装置34(現像部)に供給可能であり且つ画像形成部30に対して交換可能に構成される。
また、トナーカートリッジ37の近傍には、トナー量検出部としてのトナー量検出センサー20が設けられている。トナー量検出センサー20は、トナーカートリッジ37に収容されているトナー量を検出する。トナー量検出センサー20は、トナーカートリッジ37に収容されているトナー量を所定時間毎に検出し、検出したトナー量に基づく検出信号を制御部90に出力する。
転写ローラー38は、感光体ドラム31との間に用紙Kを挟み込むことにより、感光体ドラム31の表面に形成されたトナー画像を用紙Kに転写させる。転写ローラー38には、転写バイアス印加部(不図示)により、感光体ドラム31の表面に形成されたトナー画像を用紙Kに転写させるための転写バイアス(電圧)が印加される。
定着部40は、加熱回転体41と、加圧回転体42と、を備える。加熱回転体41と加圧回転体42とは、トナー画像が転写された用紙Kを挟み込んで、トナーを溶融及び加圧し、そのトナーを用紙Kに定着させる。
次に、本実施形態に係るプリンター1の機能的な構成について説明する。図2は、プリンター1の機能的な構成を示すブロック図である。なお、図1を用いて説明した構成については、その説明を適宜に省略する。
プリンター1は、上述した構成要素(用紙搬送部10、画像形成部30及び定着部40等)に加えて、更に、操作部50と、通知部としての表示部60と、インターフェイス部70と、記憶部80と、制御部90と、を備える。
操作部50は、複数のキー(不図示)を有する。これら複数のキーは、例えば、プリンター1の設定を変更する場合やジョブをリセットする場合等に操作される。操作部50は、いずれかのキーが操作されたときに、操作されたキーに対応する信号を制御部90に送信する。
表示部60は、設定モード、用紙サイズ、印刷枚数、出力先のほか、トナーの補給中であることを知らせるメッセージ、給紙カセット17内に用紙Kが収容されていないことを知らせるメッセージ等を表示する。また、表示部60は、トナーカートリッジ37に収容されるトナーの残量が少ないこと(トナーロー)を知らせるメッセージ、トナーカートリッジ37にトナーが無くなったこと(トナーエンプティー)を知らせるメッセージを表示する。
インターフェイス部70は、プリンター1の外部に設置された外部機器、例えば、パーソナルコンピューター等と有線(又は無線)により接続される。インターフェイス部70は、感光体ドラム31の表面に形成される静電潜像の画像データを取得する機能を有する。上述したパーソナルコンピューターから送信された画像データは、インターフェイス部
70で受信され、記憶部80(後述)に記憶される。
記憶部80は、ハードディスクや半導体メモリー等から構成される。記憶部80は、パーソナルコンピューターから受信した画像データを一時的に記憶する。また、記憶部80は、プリンター1において利用される制御プログラム、及びこの制御プログラムによって利用されるデータ等を記憶する。
制御部90は、CPU、RAM及びROMを備える。RAMは、各種データを一時的に記憶する機能や演算時の作業領域となる機能を有する記憶装置である。ROMは、各種プログラムを記憶するフラッシュメモリーとしての機能を有する記憶装置である。CPUは、ROMからプログラムを読み出して実行する演算装置である。CPU、RAM及びROMとは、データバス(不図示)を介してデータの送受信を行う。CPUは、ROM(又は記憶部80)から読み出したプログラムを実行することにより、そのプログラムの内容に応じた処理を実行する。
制御部90は、用紙搬送部10、画像形成部30、定着部40及び表示部60を制御する。
また、制御部90は、印字制御部91と、第1印字率算出部92と、トナー強制消費処理実行部93と、第2印字率算出部94と、トナー強制消費閾値設定部95と、を含む。
印字制御部91は、原稿画像を印字する場合において、プリンター1の各部を制御する。ここで、印字制御部91において、プリンター1に原稿画像を印字させる場合の動作について説明する。なお、以下の説明では、用紙Kの片面にトナー画像を形成する場合を例とする。
まず、印字制御部91は、インターフェイス部70を介して受信された画像データを記憶部80に一時記憶させる。印字制御部91は、記憶部80に一時記憶された画像データに基づいて、用紙Kにトナー画像を形成するために、用紙搬送部10、画像形成部30及び定着部40をそれぞれ制御する。すなわち、印字制御部91は、第1送りローラー11又は第2送りローラー12を駆動させて、用紙Kを画像形成部30に搬送させる。
また、印字制御部91は、画像データに基づいて生成されたトナー画像を形成するためのデータをレーザースキャナーユニット33に供給し、レーザースキャナーユニット33から照射されるレーザー光により感光体ドラム31に静電潜像を形成させる。印字制御部91は、現像装置34より感光体ドラム31にトナー画像を形成させ、このトナー画像を転写ローラー38によって用紙Kに転写させる。印字制御部91は、加熱回転体41が所定の温度に加熱されるよう制御して、その加熱回転体41により用紙Kに転写されたトナー画像のトナーを溶融させると共に、加熱回転体41に圧接される加圧回転体42によりトナーを用紙Kに定着させる。更に、印字制御部91は、トナー画像が定着された用紙Kを用紙搬送部10により用紙排出部16から排出させる。
また、印字制御部91は、第2印字率算出部94(後述)において、トナーカートリッジ37のトナー量が予め設定されたトナー量未満(トナーロー)であると判定された後、画像形成部30において、印字されたトナー画像の印字率の累積値が閾値を超えたときに、トナーカートリッジ37のトナー量がトナーエンプティーの状態となったと判定する。
そして、印字制御部91は、プリンター1の動作を停止させると共に、トナーカートリッジ37の交換を促すメッセージを表示部60に表示させる。なお、印字制御部91は、第2印字率算出部94において、トナーカートリッジ37のトナー量が予め設定されたトナー量未満(トナーロー)であると判定されたときに、トナーカートリッジ37のトナー量が少ないことを知らせるメッセージを表示部60に表示させてもよい。
次に、第1印字率算出部92、トナー強制消費処理実行部93、第2印字率算出部94、及びトナー強制消費閾値設定部95について説明する。
第1印字率算出部92は、画像形成部30において用紙Kに形成されたトナー画像の所定面積当たりにおける平均の面積を第1平均印字率Xとして算出する。
第1印字率算出部92は、トナー画像の印字(形成)に使用されたトナー量をドット数として累積加算し、その累積加算値を用紙Kの印字枚数の累積加算値で除算することにより、第1平均印字率Xを算出する。ドット数の累積加算値及び印字枚数の累積加算値は、記憶部80に設定されたカウンタ機能によりそれぞれカウントされる。第1印字率算出部92は、ドット数の累積加算値及び印字枚数の累積加算値を、記憶部80のカウンタ機能によりカウントさせると共に、トナー強制消費処理が実行された後、記憶部80に記憶されているカウント値をリセットする。
第1印字率算出部92は、トナー画像の印字に使用されたトナー量を、インターフェイス部70により取得された画像データ(原稿画像)に基づいて算出する。また、第1印字率算出部92は、印字枚数の累積加算値を、A4サイズを基準として算出する。例えば、A4サイズの用紙Kを1枚印字した場合には、印字枚数を「1」とし、A3サイズの用紙Kを1枚印字した場合には、係数(×2)を乗じて、印字枚数を「2」とする。第1平均印字率Xは、プリンター1が動作している間、1つの印字ジョブが終了する毎に算出される。
トナー強制消費処理実行部93は、第1印字率算出部92で算出された第1平均印字率Xがトナー強制消費閾値Xth未満の場合には、トナー強制消費処理を実行する。トナー強制消費閾値Xthとは、トナー強制消費処理(後述)を実行するか否かを判定するための閾値である。トナー強制消費閾値Xthは、記憶部80の所定記憶エリアに書き替え可能に記憶される。
本実施形態において、トナーカートリッジ37を交換してから、トナーカートリッジ37のトナー量が予め設定されたトナー量未満(トナーロー)となるまでの間、トナー強制消費閾値Xthは、トナー強制消費閾値設定部95(後述)により、1%に設定される。また、トナーカートリッジ37のトナー量が予め設定されたトナー量未満となってから、トナーエンプティーの状態になるまでの間、トナー強制消費閾値Xthは、トナー強制消費閾値設定部95により、1%又は3%のいずれかに設定される。
また、トナー強制消費処理実行部93は、以下のようにしてトナー強制消費処理を実行する。
まず、トナー強制消費処理実行部93は、帯電部32をオフ状態とし、現像ローラー343が1周するのに要する時間Tだけ、現像バイアスが現像ローラー343に印加されるように現像バイアス印加部(不図示)を制御する。これにより、現像ローラー343の1周分に相当するトナーが感光体ドラム31上に現像される。また、トナー強制消費処理実行部93は、転写ローラー38に印加される転写バイアスが逆バイアスとなるように、転写バイアス印加部(不図示)を制御する。これにより、トナーが感光体ドラム31上から移動しないようになる。その結果、感光体ドラム31上に現像されたトナーは、転写ローラー38に付着することなく、そのままクリーニング部36まで移動し、除去される。
また、このトナー強制消費において消費されるトナー量は、第1印字率算出部92で算出された第1平均印字率Xが1%未満である場合に、下記の式(1)で算出される印字率Dに基づいて設定される。
印字率D=(1−X)×印字枚数の累積加算値 (1)
トナー強制消費処理実行部93は、トナー強制消費において消費されるトナー量が、上記式で算出される印字率Dに対応する量となるように、現像ローラー343を必要な回数分だけ回転させる。
なお、ここでは、トナー強制消費時に、帯電部32をオフにした状態とする例について説明したが、帯電部32を通常通りにオン状態とし、感光体ドラム31上の現像ローラー343の1周分に相当する領域をレーザースキャナーユニット33で露光するようにしてもよい。
第2印字率算出部94は、トナーカートリッジ37が交換されてから、トナー量検出センサー20により検出されたトナー量が予め設定されたトナー量未満となるまでの間に、画像形成部30において被転写材に形成されたトナー画像の所定面積当たりにおける平均の面積を第2平均印字率Aとして算出する。
第2印字率算出部94は、トナーカートリッジ37の交換の有無を、トナーカートリッジ装着部(不図示)から出力される交換検出信号により判定することができる。また、本実施形態において、予め設定されたトナー量未満(以下、「トナーロー」ともいう)とは、トナー量検出センサー20によりトナーカートリッジ37内のトナーを検出できない程度までトナー量が少なくなった状態でのトナー量をいう。なお、予め設定されたトナー量未満とは、トナー量検出センサー20により検出されるトナー量として、トナーカートリッジ37がほぼ空になった状態とみなせる量に達したときのトナー量であればよい。
また、第2印字率算出部94は、トナー画像の印字(形成)に使用されたトナー量をドット数として累積加算し、その累積加算値を用紙Kの印字枚数の累積加算値で除算することにより、第2平均印字率Aを算出する。
第2印字率算出部94は、トナーカートリッジ37を交換してから、トナーカートリッジ37のトナー量が予め設定されたトナー量未満(トナーロー)となるまでの間に、トナー画像の印字に使用されたトナー量を、インターフェイス部70により取得された画像データ(原稿画像)に基づいて算出する。また、第2印字率算出部94は、印字枚数の累積加算値を、A4サイズを基準として算出する。例えば、A4サイズの用紙Kを1枚印字した場合には、印字枚数を「1」とし、A3サイズの用紙Kを1枚印字した場合には、係数(×2)を乗じて、印字枚数を「2」とする。
トナー強制消費閾値設定部95は、第2印字率算出部94で算出された第2平均印字率Aに基づいて、記憶部80の所定記憶エリアに記憶されているトナー強制消費閾値Xthを設定する。本実施形態において、トナー強制消費閾値設定部95は、第2印字率算出部94で算出された第2平均印字率Aが平均印字率判定値(後述)以上の場合には、トナー強制消費閾値Xthを、第1閾値としての1%に設定する。この第1閾値は、トナー強制消費において、トナーが劣化しない必要最小限のトナー消費量となるように設定された標準の閾値である。また、トナー強制消費閾値設定部95は、第2印字率算出部94で算出された第2平均印字率Aが平均印字率判定値未満の場合には、トナー強制消費閾値Xthを、第1閾値よりも高い第2閾値としての3%に設定する。この第2閾値は、トナー強制消費において、トナー消費量が出来るだけ多くなるように設定された閾値である。
トナー強制消費閾値設定部95は、第2印字率算出部94で算出された第2平均印字率Aが3%以上であれば、トナー強制消費処理におけるトナー消費量を増やす必要がない、言い換えると、トナー強制消費閾値Xthを高くする必要がないため、トナー強制消費閾値Xthを1%(第1閾値)に設定する。一方、トナー強制消費閾値設定部95は、第2印字率算出部94で算出された第2平均印字率Aが3%未満の場合には、トナー強制消費処理におけるトナー消費量を増やす必要がある。言い換えると、トナー強制消費閾値Xthを高くする必要がある。そのため、トナー強制消費閾値Xthを3%(第2閾値)に設定する。
上述のように、第2印字率算出部94で算出された第2平均印字率Aが平均印字率判定値以上の場合には、現像装置34においてトナーが十分に消費されている。そのため、トナー強制消費閾値設定部95は、トナー強制消費において必要以上にトナー消費されないように、トナー強制消費閾値Xthを1%(第1閾値)に設定する。一方、第2印字率算出部94で算出された第2平均印字率Aが平均印字率判定値未満の場合には、現像装置34においてトナーが十分に消費されていない。この場合、現像装置34内のトナーは帯電量が高くなっているため、交換後のトナーカートリッジ37から帯電量の低いトナーが現像装置34に供給されると、帯電量の差が大きくなることから、地肌かぶり等の画像不良が発生しやすくなる。そこで、トナー強制消費閾値設定部95は、第2平均印字率Aが平均印字率判定値未満の場合には、トナーカートリッジ37が交換される前に、現像装置34においてトナーが十分に消費されるようにするため、トナー強制消費閾値Xthを3%(第2閾値)に設定する。これにより、交換後のトナーカートリッジ37から帯電量の低いトナーが現像装置34に供給されても、帯電量の差が大きくならないため、トナーカートリッジ37を交換した後の印字において、地肌かぶり等の画像不良が発生しにくくなる。
次に、制御部90において、トナー強制消費処理を実行する場合の動作を、図3を参照しながら説明する。図3は、制御部90において、トナー強制消費処理を実行する場合の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、プリンター1の動作中において、繰り返し実行される。
図3に示すステップST101において、制御部90(第1印字率算出部92)は、トナー画像の印字に使用されたトナー量をドット数として累積加算する。
ステップST102において、制御部90(第1印字率算出部92)は、用紙Kの印字枚数を累積加算する。
ステップST103において、制御部90(第1印字率算出部92)は、印字が終了したか否かを判定する。このステップST103において、制御部90(第1印字率算出部92)により、印字が終了したと判定された場合に、処理はステップST104へ移行する。また、このステップST103において、制御部90(第1印字率算出部92)により、印字が終了していない判定された場合に、処理はステップST101へ戻る。
ステップST104(ステップST103:YES)において、制御部90(第1印字率算出部92)は、第1平均印字率Xを算出する。制御部90(第1印字率算出部92)は、トナー画像の印字に使用されたドット数の累積加算値を、用紙Kの印字枚数の累積加算値で除算することにより、第1平均印字率Xを算出する。これにより、1つの印字ジョブにおいて、画像形成部30において用紙Kに形成されたトナー画像の所定面積当たりにおける平均の面積が第1平均印字率Xとして算出される。
ステップST105において、制御部90(トナー強制消費処理実行部93)は、記憶部80(図2参照)に記憶されているトナー強制消費閾値Xthを取得する。
ステップST106において、制御部90(トナー強制消費処理実行部93)は、第1印字率算出部92で算出された第1平均印字率Xがトナー強制消費閾値Xth未満か否かを判定する。このステップST106において、制御部90(トナー強制消費処理実行部93)により、第1平均印字率Xがトナー強制消費閾値Xth未満である(YES)と判定された場合に、処理はステップST107へ移行する。また、ステップST106において、制御部90(トナー強制消費処理実行部93)により、第1平均印字率Xがトナー強制消費閾値Xth以上である(NO)と判定された場合に、処理はステップST108へ移行する。
ステップST107(ステップST106:YES)において、制御部90(トナー強制消費処理実行部93)は、先に説明したトナー強制消費処理を実行する。
ステップST108において、制御部90(第1印字率算出部92)は、記憶部80のカウンタ機能によりカウントされたドット数の累積加算値をリセットする。
ステップST109において、制御部90(第1印字率算出部92)は、記憶部80のカウンタ機能によりカウントされた印字枚数の累積加算値をリセットする。
制御部90は、ステップST109の処理が終了した時点において、本フローチャートの処理を終了する。本フローチャートの処理によれば、1つの印刷ジョブが終了する毎に第1平均印字率Xが算出され、その値がトナー強制消費閾値Xth未満であればトナー強制消費の処理が実行される。
次に、制御部90において、トナー強制消費閾値Xthを設定する場合の動作を、図4を参照しながら説明する。図4は、制御部90において、トナー強制消費閾値Xthを設定する場合の処理手順を示すフローチャートである。
図4に示すステップST201において、制御部90(第1印字率算出部92)は、トナーカートリッジ装着部(不図示)から交換検出信号を受信したか否かを判定する。このステップST201において、制御部90(第1印字率算出部92)により、交換検出信号を受信した(YES)と判定された場合に、処理はステップST202へ移行する。また、ステップST201において、制御部90(第1印字率算出部92)により、交換検出信号を受信していない(NO)と判定された場合に、ステップST201の処理が繰り返される。
ステップST202(ステップST201:YES)において、制御部90(トナー強制消費閾値設定部95)は、記憶部80の所定記憶エリアに記憶されているトナー強制消費閾値Xthが3%(第2閾値)であるか否かを判定する。このステップST202において、制御部90(トナー強制消費閾値設定部95)により、トナー強制消費閾値Xthが3%である(YES)と判定された場合には、処理はステップST203へ移行する。また、ステップST202において、制御部90(トナー強制消費閾値設定部95)により、トナー強制消費閾値Xthが3%ではない(NO)と判定された場合には、処理はステップST204へ移行する。
ステップST203(ステップST202:YES)において、制御部90(トナー強制消費閾値設定部95)は、記憶部80の所定記憶エリアに記憶されているトナー強制消費閾値Xthを1%(第1閾値)に設定する。制御部90(トナー強制消費閾値設定部95)は、トナーカートリッジ37が交換された場合には、トナー強制消費閾値Xthを、トナー強制消費において、トナーが劣化しない必要最小限のトナー消費量となるように設定された標準の閾値である1%に設定する。
ステップST204において、制御部90(第2印字率算出部94)は、トナー画像の印字に使用されたトナー量をドット数として累積加算する。
ステップST205において、制御部90(第2印字率算出部94)は、用紙Kの印字枚数を累積加算する。
ステップST206において、制御部90(第2印字率算出部94)は、トナー量検出センサー20から出力された検出信号に基づいて、トナーカートリッジ37のトナー量がトナーローか否かを判定する。このステップST206において、制御部90(第2印字率算出部94)により、トナーカートリッジ37のトナー量がトナーローである(YES)と判定された場合に、処理はステップST207へ移行する。また、ステップST206において、制御部90(第2印字率算出部94)により、トナーカートリッジ37のトナー量がトナーローでない(NO)と判定された場合に、処理はステップST204へ戻る。
このように、ステップST206において、トナーカートリッジ37のトナー量がトナーローである(YES)と判定されるまでの間、用紙Kに印字されたトナー画像のドット数及び印字枚数がそれぞれ累積加算される(ステップST204及びST205)。
ステップST207(ステップST206:YES)において、制御部90(第2印字率算出部94)は、第2平均印字率Aを算出する。制御部90(第2印字率算出部94)は、トナー画像の印字に使用されたドット数の累積加算値を、用紙Kの印字枚数の累積加算値で除算することにより、第2平均印字率Aを算出する。これにより、トナーカートリッジ37が交換されてから、トナー量検出センサー20により検出されたトナー量がトナーローとなるまでの間に、画像形成部30において用紙Kに形成されたトナー画像の所定面積当たりにおける平均の面積が第2平均印字率Aとして算出される。
ステップST208において、制御部90(トナー強制消費閾値設定部95)は、第2印字率算出部94で算出された第2平均印字率Aが平均印字率判定値である3%未満か否かを判定する。このステップST208において、制御部90(トナー強制消費閾値設定部95)により、第2平均印字率Aが3%未満である(YES)と判定された場合に、処理はステップST209へ移行する。また、ステップST208において、制御部90(トナー強制消費閾値設定部95)により、第2平均印字率Aが3%以上である(NO)と判定された場合に、処理はステップST210へ移行する。
ステップST209(ステップST208:YES)において、制御部90(トナー強制消費閾値設定部95)は、トナー強制消費閾値Xthを3%(第2閾値)に設定する。なお、第2平均印字率Aが3%以上であれば、トナー強制消費閾値Xthは、既に設定されている1%のままとなる。
ステップST210において、制御部90(印字制御部91)は、トナーカートリッジ37のトナー量がトナーエンプティーの状態となったか否かを判定する。このステップST210において、制御部90(印字制御部91)により、トナーエンプティーの状態になった(YES)と判定された場合に、処理はステップST211へ移行する。また、ステップST210において、制御部90(印字制御部91)により、トナーエンプティーの状態ではない(NO)と判定された場合には、ステップST210の処理が繰り返される。
ステップST211(ステップST210:YES)において、制御部90(印字制御部91)は、プリンター1の動作を停止する。
ステップST212において、制御部90(印字制御部91)は、トナーカートリッジ37の交換を促すメッセージを表示部60に表示させる。制御部90は、ステップST212の処理が終了した時点において、本フローチャートの処理を終了する。本フローチャートの処理によれば、トナーカートリッジが交換されてからトナーローの状態となるまでの間の第2平均印字率Aが算出され、その値が平均印字率判定値未満であれば、トナー強制消費閾値Xthが3%に設定される。
次に、本実施形態のプリンター1において、所定の平均印字率で連続印字を行い、トナーエンプティーとなった時点でトナーカートリッジを交換した後の地肌かぶりを計測した実験結果について説明する。
図5は、本実施形態のプリンター1において、トナーカートリッジを交換した後の地肌かぶりを計測した場合の実験結果を示すグラフである。図5において、横軸は、トナーカートリッジ37を交換した後の印字枚数(単位:枚)を示す。また、図5において、縦軸は、印字枚数100毎の地肌かぶりの大きさを示す。
この実験では、平均印字率として、1%、2%、及び3%の3パターンを設定した。そして、3パターンそれぞれの平均印字率によりトナー画像を印字する動作を、トナーエンプテイーとなるまで連続して実行させた。そして、各々トナーエンプティーとなった後に、トナーカートリッジ37を交換し、今度は、3%の平均印字率によりトナー画像を印字する動作を、印字枚数800枚となるまで連続して実行させた。
図5に示すように、本実施形態のプリンター1によれば、3%の平均印字率で連続して印字した場合であれば、トナーカートリッジ37の交換後において、地肌かぶりの発生が抑制され、1%の平均印字率で連続して印字した場合には、トナーカートリッジ37の交換後において、地肌かぶりが発生しやすいことが確認された。
上述した本実施形態のプリンター1によれば、例えば、以下のような効果が奏される。
本実施形態のプリンター1において、トナー強制消費閾値設定部95は、第2印字率算出部94で算出された第2平均印字率Aに基づいて、トナー強制消費閾値Xthを設定する。本実施形態のトナー強制消費閾値設定部95は、第2印字率算出部94で算出された第2平均印字率Aが平均印字率判定値以上の場合には、トナー強制消費閾値Xthを第1閾値(1%)に設定し、第2印字率算出部94で算出された第2平均印字率Aが平均印字率判定値未満の場合には、トナー強制消費閾値Xthを第1閾値よりも高い第2閾値(3%)に設定する。
これによれば、第2平均印字率Aが平均印字率判定値未満の場合には、トナーカートリッジ37が交換される前に、現像装置34においてトナーが十分に消費されるように、トナー強制消費閾値Xthが第2閾値(3%)に設定される。これにより、交換後のトナーカートリッジ37から帯電量の低いトナーが現像装置34に供給されても、帯電量の差が大きくならない。そのため、本実施形態のプリンター1では、トナーカートリッジ37を交換した後の印字において、地肌かぶり等の画像不良が発生しにくくなる。
また、第2平均印字率Aが平均印字率判定値以上の場合には、トナー強制消費閾値Xthが第1閾値(1%)に設定される。そのため、本実施形態のプリンター1では、トナー強制消費において、必要以上にトナー消費されるのを抑制することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
例えば、本実施形態では、トナー強制消費閾値設定部95が、トナー強制消費閾値Xthとして、第1閾値(1%)又は第2閾値(3%)を設定する例について説明した。これら閾値の数値は、本実施形態の例に限定されることなく、画像形成部30の性能等に応じて、適宜に変更可能である。また、第2平均印字率Aに応じて、トナー強制消費閾値Xthを、第1閾値(1%)、第2閾値(2%)、第3閾値(3%)というように、更に細かく設定してもよい。
また、本実施形態では、1つの印字ジョブが終了する毎に第1平均印字率Xを算出する例について説明した。これに限らず、所定枚数の印字が終了した時点で、その所定枚数分の印字における第1平均印字率Xを算出してもよい。このように、トナー強制消費の処理は、1つの印刷ジョブが終了した時点だけでなく、どのようなタイミングで実行されてもよい。
また、本実施形態で説明したプリンター1は、モノクロプリンターである。しかし、本発明は、この形態に限定されることはなく、カラープリンターであってもよい。
また、本実施形態で説明したプリンター1は、感光体ドラム31に形成されたトナー画像を直接に用紙Kに転写する形態(直接転写方式)である。しかし、本発明は、この形態に限定されることはなく、中間転写ベルトを介して用紙にトナー画像を転写する形態(間接転写方式)であってもよい。
また、本発明に係る画像形成装置の実施形態は、上述したプリンター1に限定されない。すなわち、本発明に係る画像形成装置は、コピー機、ファクシミリのほか、コピー機、ファクシミリ及びプリンターの機能を備えた複合機にも適用することができる。