従来の典型的な遊技機は、遊技ホール内の遊技機固定設備(一般的に島設備と称される)に固定される枠体と、枠体に対して開閉自在に支持された遊技機本体とで構成されている。遊技機本体は、遊技機が遊技機固定設備への設置後においても、その内部を適宜に表出できるように互いに開閉自在に支持された複数のブロックで構成されている。一般的には、遊技機の前面側を構成する前面ブロックと、前面ブロックに対して開閉自在に支持された背面ブロックとを備えている。なお、通常、前面ブロックと背面ブロックとは、枠体に対して遊技機本体を開放した後でなければ開閉できない構成となっている。また、従来の典型的な遊技機は、遊技機本体を枠体に対して施錠したり、背面ブロックを前面ブロックに対して施錠したりする施錠機構を備えており、枠体に対して遊技機本体を施錠や開錠する場合や前面ブロックに対して背面ブロックを施錠や開錠する場合には、所定の操作を実行しなければならない。
遊技機本体は、その前面側(前面ブロックの前面側)に、遊技者によって操作される各種の入力装置(例えば、弾球遊技機における遊技ハンドル並びに回胴式遊技機におけるベット操作装置、単位遊技開始操作装置及び回胴停止操作装置)や、遊技媒体を貯留する貯留装置や、遊技進行に応じた演出や状態報知を行う装置等を備えている。一方、遊技機本体は、その背面側(背面ブロックの背面側)に、遊技進行中に操作する必要が比較的に発生し易い装置及びスイッチ並びにそれらの装置を制御したりそれらのスイッチの入力を監視したりする装置(例えば、遊技媒体の払出機構、遊技状態リセットスイッチ、設定変更スイッチ、電源スイッチ、払出機構を制御する払出制御装置、各種のスイッチの入力を監視する電源装置)を備えている。また、遊技機本体は、その内部(前面ブロックの背面側や背面ブロックの前面側)に、遊技進行を実行する主要な装置、例えば、弾球遊技機における遊技盤、遊技媒体の発射装置及び主制御装置並びに回胴式遊技機における投入装置、回胴装置及び主制御装置を備えている。
遊技機本体における各種の制御装置は、故障等により検査の必要性が発生した場合や故障等により取り替える必要が発生した場合に、個別に取り外しできるように着脱自在に装着されている。また、一般的に、遊技球の獲得に関与する制御装置の回路基板や遊技球の獲得に関与するスイッチが設けられている制御装置の回路基板については、もし開封した場合にはその痕跡が残るように構成された特殊な基板ケースに収納されている。
従来の典型的な遊技機において、上述のように、遊技球の獲得に関与する全ての回路基板が多段階の操作を行わなければ表出させることができないように遊技機本体の内部に配置されているわけではない。遊技球の獲得に関与するものの遊技機本体の背面側に配置される回路基板として、払出制御基板や設定変更スイッチの設けられた回路基板が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。また、主制御装置で規定される遊技性によっては、電源スイッチの操作によって通常の遊技状態よりも遊技球の獲得に関して有利な所定の利益遊技状態へ移行する場合及び遊技状態リセットスイッチの操作によって同様に所定の利益遊技状態へ移行する場合もあり、このような場合には、電源スイッチや遊技状態リセットスイッチが設けられた回路基板も遊技球の獲得に関与するものの遊技機本体の背面側に配置される回路基板の1つとなる。
本来的には、遊技球の獲得に関与する全ての回路基板の全てを遊技機本体の内部に配置できればよいのであるが、構造的な制約や保守点検及び遊技中に必要となる操作等の作業性の要請から、主制御装置以外の他の制御装置の動作は基本的に主制御装置が監視することとして、遊技機本体の背面側に配置される。これによって、主制御装置以外の制御装置の回路基板に改変が加えられたとしても遊技機自体(主制御装置)でその動作が正常であるか異常であるかを基本的には判別できるからである。なお、主制御装置の回路基板については不正行為によって改変が加えられた場合には、遊技機自体で制御動作が正常であるか不正による異常な動作が判別できなくなるために、最大限に保護されている。
従来の典型的な遊技機において、主制御装置以外の制御装置の回路基板に改変が加えられた場合に、その回路基板からの各種の信号に基づいてその回路基板の動作の正常性を基本的には主制御装置で判別できたとしても、主制御装置によって監視される各種の信号までも包括的に改変された場合には、主制御装置によってもその回路基板の動作を正常に判別できなくなる。このような包括的な改変を行うためには、その回路基板を収納した制御装置を遊技機本体から取り外し、その後、改変を加えた回路基板を収納した制御装置を遊技機本体に装着する必要がある。
そこで、本発明の遊技機では、回路装置が不正に取り外されることを抑制する。
本発明に係る遊技機の形態について説明する。なお、本発明に係る遊技機の概念的な構成について説明した後に、本発明に係る遊技機の具体的な構成について説明する。
[概念的な構成]
本発明に係る遊技機は、前面ブロックと、前面ブロックの後方に配置され、背面基体及び背面基体の背面側に着脱自在に取着された遊技媒体の獲得に関与する回路装置を含む背面ブロックと、前面ブロックに対して背面ブロックを開閉自在に支持するブロック間支持機構とを備えている。「前面ブロック」及び「背面ブロック」は、それぞれ、遊技機の前面側及び背面側を構成する互いに開閉自在に支持された各構成体を意味する。また、「遊技媒体の獲得に関与する回路装置」は、遊技球の獲得に関与する少なくとも1つの回路基板を含む一体化された装置を意味する。このような回路基板としては、例えば、払出制御基板、設定変更スイッチの設けられた回路基板が挙げられる。なお、遊技機の遊技性によっては、電源基板、電源スイッチの設けられた回路基板、初期化スイッチが設けられた回路基板も遊技球の獲得に関与する回路基板として挙げられる。「背面基体に着脱自在に取着された」には、背面基体に直接に着脱自在に取着されている場合や、背面基体に他の部材を介して間接的に着脱自在に取着されている場合を含意している。背面ブロックは、遊技媒体の獲得に関与する回路装置を少なくとも1つ備えていればよく、1つの回路装置のみを備えている場合に限らず複数の回路装置を備えている場合であってもよい。
本発明に係る遊技機は、更に、背面ブロックに対して移動自在に支持され、背面基体の背面側からの回路装置の離脱を規制する離脱規制体を更に備えている。「離脱規制体」は、少なくとも回路装置の離脱を規制できる構成であればよく、回路装置の離脱のみを規制できる構成であってもよいし、回路装置の離脱及び回路装置の装着の双方を規制できる構成であってもよい。「背面基体からの回路装置の離脱」とは、背面基体の背面側に装着されている回路装置を離脱させることを意味しており、背面基体に直接的に装着されている回路基板を背面基体から離脱させる場合や、背面基体に他の部材を介して間接的に装着されている回路基板を介在する他の部材からから離脱させる場合を含意している。
離脱規制体は、背面ブロックの前面側において移動自在に支持された基体部と、基体部の移動に連動して移動する離脱規制部とを含んでいる。基体部は、前面ブロックに対する背面ブロックの開放状態において、前面ブロックと背面ブロックとの間の空間内で移動する。一方、離脱規制部は、前面ブロックに対する背面ブロックの開放状態において、回路装置の離脱を禁止する離脱禁止位置と回路装置の離脱を許容する離脱許容位置との間を移動する。基体部及び離脱規制部の移動としては、例えば、並進移動、回転移動、及び、それらの組合せによる移動が挙げられる。また、離脱規制部が離脱禁止位置に配置されて回路装置の離脱を禁止する具体的な形態としては、例えば、回路装置の周縁の少なくとも一部を覆う形態や、回路装置に形成された陥没穴や貫通穴に離脱規制部の少なくとも一部が挿入される形態が挙げられる。なお、以下においては、上記の構成の遊技機を「遊技機A」とも称す。
本発明に係る遊技機Aであれば、遊技媒体の獲得に関与する回路装置を取り替える際に、その回路装置が背面ブロック基体の背面側に設けられていても、前面ブロックに対して背面ブロックを開放すると共に、その開放後に更に離脱規制体を作動させて離脱規制部を離脱禁止位置から離脱許容位置に移動させなければならないために、その回路装置の取り替え操作が複雑となることによって、遊技媒体の獲得に関与する回路装置を一旦取り外して不正な改変を加えるような不正行為が実行されることを抑制できる。また、遊技媒体の獲得に関与する回路装置を他の不正な回路装置に取り替えたりしてその回路装置を改変するような不正行為を行うには、払出機構等における球詰まりを解消するような通常遊技中においても発生する遊技機の背面側を表出して行う作業(以下、「背面表出後通常作業」とも称す)においては開放されることが極めて稀な前面ブロックに対する背面ブロックの開放を行うことととなり、また、背面表出後通常作業において開放されることのない離脱規制体の開放が行われることとなり、更に、背面ブロックを前面ブロックに対して所定の開放角度以上で開放して離脱規制部を離脱許容位置に維持しなければならず、背面表出後通常作業に必要な前面ブロックの開放角度に比べて大幅に大きな開放角度で開放を行うことともなり、遊技機の背面側を表出して行う作業における不正行為の識別力が向上する。これによっても上記のような不正行為の実行が抑制される。したがって、不正行為の実行後における遊技機の通常と異なる作動によって、不正に遊技媒体が獲得されることが抑制される。
上記の遊技機Aにおいて、
枠体と、前記枠体に対して前記前面ブロック、背面ブロック及びブロック間支持機構を含む本体を開閉自在に支持する本体開閉支持機構とを更に備え、
前記背面ブロックは、前記枠体に対する前記本体の開放状態及び閉鎖状態のうち開放状態のみにおいて、前記前面ブロックに対して開閉自在である構成であることが好ましい。なお、以下においては、この構成の遊技機を「遊技機B」とも称す。
ここで、「枠体」は、遊技ホール等に設けられた遊技機設置設備に遊技機を固定するための構成体を意味し、「本体」は、枠体に対して開閉自在に支持される構成体を意味する。また、「背面ブロックが前面ブロックに対して開閉自在」とは、何らの操作も必要なく開閉自在な状態である場合に限らず、通常の遊技機のように前面ブロックに対する背面ブロックの施錠を解除することによって開閉自在な状態になる場合をも意味する。遊技機Bの具体的な構成としては、例えば、枠体に対する背面ブロックの閉鎖状態において、背面ブロックが後方側に開放させようとしても背面ブロックが枠体に当接することによって前記前面ブロックに対する開閉が阻止される構成や、枠体に対する背面ブロックの閉鎖状態において前面ブロックに対して背面ブロックがロックされ、枠体に対する背面ブロックの開放状態において前面ブロックに対する背面ブロックのロックが解除される開放防止機構とを備える構成が挙げられる。
上記の遊技機Bであれば、枠体に対する背面ブロックの閉鎖状態における遊技機の背面側からの操作によって、背面ブロックが前面ブロックに対して開放され、更に離脱規制部が離脱許容位置に移動されて、回路装置が着脱自在な状態になることが防止される。これによっても、遊技媒体の獲得に関与する回路装置に不正な改変が加えられることが抑制される。
なお、本発明においては、上記の遊技機Bとは異なり、背面ブロックは、少なくとも枠体に対する本体の開放状態において前面ブロックに対して開閉自在であればよく、本体の開放状態のみにおいて開閉自在である場合や、本体の閉鎖状態及び開放状態の双方において開閉自在である場合であってもよい。
上記の遊技機A〜Bにおいて、
前記離脱規制部が、前記基体部から後方側に突設され、
前記離脱規制部が、前記離脱禁止位置において前記背面ブロックの背面側に突出し、前記離脱許容位置において前記離脱禁止位置より前記前面ブロック側に位置する構成であることが好ましい。なお、以下においては、この構成の遊技機を「遊技機C」とも称す。
ここで、離脱規制部が離脱許容位置において離脱禁止位置より前面ブロック側に位置するとは、離脱許容位置に配置されている場合の離脱規制部材の前面ブロック側の端部が、その離脱禁止位置に配置されている場合の離脱規制部材の前面ブロック側の端部よりも前面ブロック側に位置していることを意味している。
上記の遊技機Cであれば、極めて簡素な構成によって、背面ブロックの背面側に設けられた回路装置の着脱を規制できる。
上記の遊技機A〜Cにおいて、
前記離脱規制部の前記離脱許容位置への移動が、前記前面ブロックに対する前記背面ブロックの閉鎖状態において、前記離脱規制体と前記前面ブロックとの当接により禁止される構成であることが好ましい。なお、以下においては、この構成の遊技機を「遊技機D」とも称す。
上記の遊技機Dであれば、枠体に対する背面ブロックの閉鎖状態における遊技機の背面側からの操作によって、離脱規制部が離脱許容位置に移動されて、回路装置が着脱自在な状態になることが防止される。これによって、遊技機Bの場合と同様に、遊技媒体の獲得に関与する回路装置に不正な改変が加えられることが抑制される。
上記の遊技機A〜Dにおいて、
前記背面ブロックに対する前記離脱規制体の移動が、回動である構成であることが好ましい。なお、以下においては、この構成の遊技機を「遊技機E」とも称す。遊技機Eの具体的な構成としては、離脱規制体が背面ブロックに対してブロック間支持機構の開閉軸と実質的に平行な軸を中心として回動する構成や、離脱規制体が背面ブロックに対してブロック間支持機構の開閉軸と実質的に垂直な軸を中心として回動する構成があげられる。
上記の遊技機Eであれば、背面ブロックに対して離脱規制体を並進移動自在に支持する場合に比べて、支持構造が簡素化され、また、離脱規制体の移動距離を大きく確保することができる。これは、離脱規制体を並進移動自在に支持するためには、前面ブロック側に延出するガイドレール等の誘導構造を形成しなければならないために支持構造が複雑となり、また、このような誘導構造の長さが背面ブロックの閉鎖状態における前面ブロックと背面ブロックとの間隙の幅によって制限されるために離脱規制体の移動距離もその長さによって制限されて短くなるからである。離脱規制体の移動距離を大きく確保できることによって、背面基体の背面側のより後方側に配置される回路装置に対してもその離脱を規制することができ、また、離脱規制体を操作するために必要な前面ブロックと背面ブロックとの最小開放角度を大きく確保することができる。更に、背面ブロックに対して離脱規制体を並進移動自在に支持する場合と異なり、回路装置の側面を迂回してその背面側まで覆うように離脱規制体を配置させることもできる。
上記の遊技機Eにおいて、
前記離脱規制体が、前記背面ブロックに対して前記ブロック間支持機構の開閉軸と実質的に平行な軸を中心として回動し、
前記離脱規制部は、前記基体部において前記離脱規制体の回動中心より前記ブロック間支持機構と反対側に位置する構成であることが好ましい。なお、以下においては、この構成の遊技機を「遊技機F」とも称す。
上記の遊技機Fであれば、前面ブロックと背面ブロックとが旋回によって離間する側から離脱規制体を操作でき、また、離脱規制体を操作する際の背面ブロックの最小開放角度を適度に抑制できるために、不正行為に対する対策を疎かにすることなく、離脱規制体の操作性を向上させることができる。なお、背面ブロックの最小開放角度が大きすぎると、背面ブロックと枠体との間の開放角度が小さくなりすぎて、回路装置を取り外したりするための作業の作業性が低下する場合もあるからである。
上記の遊技機Fにおいて、
前記基体部は、前記背面基体の左右方向の中央近傍において支持され、
前記離脱規制部は、前記離脱禁止位置において、前記背面基体の左右方向の前記開閉軸と反対側の端部近傍から前記背面ブロックの背面側へ突出する構成であることが好ましい。なお、以下においては、この構成の遊技機を「遊技機G」とも称す。
上記の遊技機Gであれば、離脱規制体を操作する際の背面ブロックの最小開放角度を大きく確保できると共に適度に抑制できるために、最小開放角度を簡便に最適化できる。なお、離脱規制体の回動軸とブロック間支持機構の開閉軸との距離が大きすぎる場合には離脱規制体が大型化し、一方、その距離が小さすぎる場合には離脱規制部を離脱禁止状態から離脱許容状態へ移行するための操作角度が大きくなり操作性が低下することともなるからである。また、上記の遊技機Gであれば、不正目的で離脱規制部が破損されていないかを目視によって確認し易くなるために、回路装置に不正な改変が加えられていないかの識別精度が向上する。
上記の遊技機Gにおいて、前記背面ブロックに対する前記離脱規制体の回動角度範囲が、90度以下である構成であることが好ましい。なお、以下においては、この構成の遊技機を「遊技機H」とも称す。
上記の遊技機Hであれば、離脱規制体が閉鎖状態に戻されていない状態で背面ブロックが閉鎖されるような誤操作が行われたとしても、離脱規制体や離脱規制体と背面ブロックとの連結が破損されることを抑制できる。また、回路基板に対する操作をする際における背面ブロックの回転を固定するための把持部材として離脱規制体を良好に機能させることもでき、不正行為に対する対策を疎かにすることなく、回路基板の着脱の操作性を向上させることができる。
上記の遊技機A〜Hにおいて、
前記背面基体に装着されている前記回路装置を離脱させるための移動方向を離脱方向とし、前記背面基体に装着されている前記回路装置を離脱させるための前記離脱方向への最小移動距離を離脱距離として、
前記離脱規制部は、前記離脱禁止位置において、前記回路装置における前記離脱方向側の端部から前記離脱距離未満だけ前記離脱方向の前方に配置されている構成であることが好ましい。なお、以下においては、この構成の遊技機を「遊技機I」とも称す。
上記の遊技機Iであれば、回路装置の形状等を変更することなく簡便に、回路基板の離脱を抑制できる。また、離脱規制部が回路装置の外部に配置されるために、離脱規制体の閉鎖状態においても不正目的で離脱規制部が破損されていないかを目視によって極めて確認し易くなるために、回路装置に不正な改変が加えられていないかの識別精度が向上する。
上記の遊技機A〜Iにおいて、
前記背面基体は、貫通孔を有し、
前記離脱規制部は、前記離脱禁止位置において前記貫通孔に挿通されている構成であることが好ましい。なお、以下においては、この構成の遊技機を「遊技機J」とも称す。
上記の遊技機Jであれば、背面基体の背面側における回路装置の配置位置に依存せずに、回路装置の離脱を規制することができる。
上記の遊技機A〜Jにおいて、
前記基体部が、板状片と、前記板状片からの少なくとも一方に延設され、前記板状片を補強する補強片を更に含む構成であることが好ましい。なお、以下においては、この構成の遊技機を「遊技機K」とも称す。
上記の遊技機Kであれば、基体部として稠密な部材を用いた場合に比べて、基体部の強度を大幅に低下させることなく軽量化を図ることができる。
上記の遊技機Kにおいて、
前記補強片が、前記板状片と前記前面ブロック及び前記背面基体の少なくとも一方との間の空間を複数の部分空間に分割する構成であることが好ましい。なお、以下においては、この構成の遊技機を「遊技機L」とも称す。
上記の遊技機Lであれば、板状片と前面ブロック及び背面基体の少なくとも一方との間に回路装置による制御動作を変更したりするような遊技機の動作を改変する不正装置が装着されることが抑制される。
上記の遊技機Lにおいて、
前記板状片が、前記前面ブロックにおける前記前面ブロックに対する前記背面ブロックの閉鎖状態において前記板状片と対向する部分の凹凸形状と実質的に同一の凹凸形状であり、
前記補強片が、前記板状片から前記背面基体側に垂設されて、前記板状片と前記背面基体との間の空間を複数の部分空間に分割し、前記背面基体における前記背面ブロックに対する前記離脱規制体の閉鎖状態において前記補強片と対向する部分の凹凸形状と実質的に同一の凹凸形状であり、
前記離脱規制部の移動が、前記前面ブロックに対する前記背面ブロックの閉鎖状態において、前記板状片における前記前面ブロック側の表面の実質的に全面と前記前面ブロックとの当接及び前記補強片の前記背面基体側の表面の実質的に全面と前記背面基体との当接により禁止される構成であることが好ましい。なお、以下においては、この構成の遊技機を「遊技機M」とも称す。
上記の遊技機Mであれば、前面ブロックの凹凸形状に関わらず板状片と前面ブロックとの空隙が実質的になくなり、背面基体の凹凸形状に関わらず板状片と背面ブロックとの間の空間が小空間に分割されるために、回路装置による制御動作を変更したりするような遊技機の動作を改変する不正装置が装着されることが極めて良好に抑制される。
上記の遊技機A〜Mにおいて、
前記背面ブロックに対する前記離脱規制体の移動を規制する移動規制機構を更に備え、
前記移動規制機構に対する所定の操作に基づいて、前記離脱規制部の前記離脱禁止位置から前記離脱許容位置への移動が許容される構成であることが好ましい。ここで、移動規制機構に対する所定の操作は、背面ブロックの前面側から行われる操作であっても裏面側から行われる操作であってもよい。なお、以下においては、この構成の遊技機を「遊技機N」とも称す。
上記の遊技機Nであれば、離脱規制体に対する開放操作を行う前に、更に移動規制機構に対する操作が必要となり、不正行為に必要な作業時間が増加すること基づいて、また、本来通常遊技中において開放されることのない離脱規制体が開放されることの監視に基づいて、遊技機の本体を開放した状態での作業における不正行為の識別力が向上する。
上記の遊技機Nにおいて、
前記前面ブロックに対する前記背面ブロックの閉鎖に伴う前記前面ブロックと前記基体部との当接に基づく前記離脱規制体の移動に応じて、前記離脱規制部が前記離脱禁止位置へ自動的に移動する構成であることが好ましい。なお、以下においては、この構成の遊技機を「遊技機O」とも称す。
上記の遊技機Oであれば、背面ブロックの閉鎖状態において離脱規制部が移動規制機構によって離脱禁止位置に維持されるために、不測に回路装置に対して不正な改変を加えやすい状況となることが抑制される。
上記の遊技機Oにおいて、
前記移動規制機構は、前記背面基体に設けられた係合部と、前記離脱規制体に設けられ、前記背面基体の前記係合部と係合する係合部とを含み、
前記背面基体の前記係合部と前記離脱規制体の前記係合部との係合により前記離脱規制部の前記離脱禁止位置から前記離脱許容位置への移動が禁止され、前記第1係合部と前記第2係合部との係合の解除により前記離脱規制部の前記離脱禁止位置から前記離脱許容位置への移動が許容される構成であることが好ましい。なお、以下においては、この構成の遊技機を「遊技機P」とも称す。
上記の遊技機Pであれば、極めて簡素な構造によって、背面ブロックの閉鎖状態において離脱規制部が移動規制機構によって離脱禁止位置に維持することができる。
上記の遊技機Pにおいて、
前記背面基体の前記係合部と前記離脱規制体の前記係合部とが、前記前面ブロックに対する前記背面ブロックの閉鎖に伴う前記前面ブロックと前記基体部との当接に基づく前記離脱規制体の移動に応じて、自動的に係合する構成であることが好ましい。
なお、以下においては、この構成の遊技機を「遊技機Q」とも称す。
上記の遊技機Qであれば、前面ブロックに対する背面ブロックの閉鎖状態において離脱規制部が背面基体及び離脱規制体の双方の係合部の係合によって離脱禁止位置に維持されるために、不測に回路装置に対して不正な改変を加えやすい状況となることが抑制される。
上記の遊技機A〜Qにおいて、
前記離脱規制体が、前記基体部から前記背面ブロック側に突出して前記離脱規制部の周縁の一部を覆う破断抑制部を更に含む構成であることが好ましい。なお、以下においては、この構成の遊技機を「遊技機R」とも称す。
上記の遊技機Rであれば、不正目的で離脱規制部が故意に破損されることが抑制される。
[具体的な構成]
本発明に係る遊技機の最良の形態の具体的な実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下において、遊技機が球体を遊技媒体とする回胴式遊技機(以下、「球式回胴遊技機」と称す)である場合の具体的な一例を挙げて説明するが、以下で説明する具体的な一例には限定されず、本発明の主旨から逸脱しない限りにおいて、その設計を適宜に変更してもよい。また、本発明は、メダルを遊技媒体として使用する回胴式遊技機(スロット機)や弾球遊技機(パチンコ機、アレンジボール機、雀球遊技機等)にも適用することができる。
本実施形態の球式回胴遊技機について説明する。本実施形態の球式回胴遊技機は、上記の遊技機A〜遊技機Iの全ての特徴を複合的に満たす構成である。なお、球式回胴遊技機の全体構造、電気的構成及び制御構成について概説した後に、本発明の特徴部分の構成及びそれに関連する構成については、後述する〔本発明の主たる特徴部分の構成〕においてまとめて詳細に説明する。
〔全体的な構成〕
本実施形態の球式回胴遊技機の全体構造について説明する。図1は球式回胴遊技機の一例を閉鎖状態で表す斜視図であり、図2は球式回胴遊技機の一例を表す正面図であり、図3は球式回胴遊技機の一例を表す背面図であり、図4は球式回胴遊技機の一例を開放状態で表す斜視図である。なお、図3及び図4において各種の内部配線は省略されており、以下で参照する他の図面についても同様とする。
本形態の球式回胴遊技機100は、図1〜図4に示されたように、球式回胴遊技機100の外殻を形成する外枠110と、遊技機本体120と、外枠110に対して遊技機本体120を着脱自在及び開閉自在に支持する一対の本体支持機構130(図1には一方のみ図示)と、遊技機本体120を外枠110に対して施錠する本体施錠機構140(図4のみ)と、本体施錠機構140を開錠させたり施錠させたりするために管理者によって操作される錠開閉操作機構150(図1及び図2のみ)と、外枠110に対して遊技機本体120が閉鎖されている状態(以下「遊技機本体120の閉鎖状態」と略記)であるか又は外枠110に対して遊技機本体120が開放されている状態(以下「遊技機本体120の開放状態」と略記)であるかを検出する本体開閉検出装置160(図3のみ:図5及び図6も参照)とを備えている。図1に示されたような遊技機本体120の閉鎖状態において、本体施錠機構140によって遊技機本体120は外枠110に対して施錠された状態(以下「遊技機本体120の施錠状態」と略記)であり、遊技機本体120の閉鎖状態から図4に示されたような遊技機本体120の開放状態へ移行させる場合には、錠開閉操作機構150への所定の開錠操作に基づいて本体施錠機構140による遊技機本体120の施錠状態を解除し、遊技機本体120を開放方向(遊技機本体120の右端を外枠110から離隔させる方向)に回転させる。逆に、遊技機本体120の開放状態から遊技機本体120の閉鎖状態へ移行させる場合には、遊技機本体120を閉鎖方向(遊技機本体120の右端を外枠110に近接させる方向)に回転させると共に、少なくとも遊技機本体120の閉鎖状態への移行完了の直前に錠開閉操作機構150に対して本体施錠機構140の施錠を解除させるための操作(以下「開錠操作」と略記)を行い、その開錠操作中に遊技機本体120の閉鎖状態への移行を完了させる。球式回胴遊技機100は、通常、その外枠110が遊技ホールの遊技機固定設備(図示せず)の設置窓(図示せず)に装着されることによって外枠110及びそれよりも球式回胴遊技機100の後方側が遊技者の滞在する外側空間から視認できないように遊技機固定設備に固定されるが、外枠110に対して遊技機本体120が開閉自在に支持されていることによって、遊技機固定設備への設置後においても球式回胴遊技機100の背面側を外側空間に露出させることができる。
外枠110は、図3及び図4に示されたように、天板部材111と、底板部材112と、右側板部材113と、左側板部材114(図3のみ)と、遊技機本体120の閉鎖状態において遊技機本体120が載置される載置部材115とを備えている。天板部材111、底板部材112、右側板部材113及び左側板部材114は、接続部材116〜119(図3のみ)を介して組み付けられており、その全体形状が略矩形状の枠形状である。
一対の本体支持機構130の各々は、図3及び図4に示されたように、外枠110に固着された外枠側支持体131と、遊技機本体120に固着された本体側支持体132(図16も参照)と、外枠側支持体131と本体側支持体132とを連結する連結体133とを備えている。外枠側支持体131には軸受溝部131A(図4のみ)が形成され、一方、本体側支持体132には軸体部132A(図4のみ)が形成されており、軸体部132Aが軸受溝部131Aに挿入され、外枠側支持体131と本体側支持体132とが連結体133で連結されることによって、遊技機本体120が外枠110に対して着脱自在かつ開閉自在に支持されている。また、連結体133は、軸体部132Aと軸受溝部131Aとの間にかかる荷重負荷、特に、遊技機本体120の開放状態における荷重負荷を低減することによって軸体部132Aの軸ズレを抑制したり、外枠110に対する遊技機本体120の最大回転角度(90度を越えて大きいが90度の近傍の値、例えば95度)を制限したりする。なお、連結体133と外枠110との連結は簡便な操作によって解除できる構成となっている。
本体施錠機構140は、図3及び図4に示されたように、外枠110の右側板部材113に固着された一対の外枠側施錠部材141と、遊技機本体120に取設された施錠機構142とを備えている。施錠機構142は、遊技機本体120に固着された基体部材143と、基体部材143に枢設された一対の本体側施錠部材144と、一対の本体側施錠部材144に接続され、上下方向に移動自在な動力伝達棹145と、動力伝達棹145を所定の基準位置(以下において、「施錠位置」とも称す)に復帰させる方向に付勢する付勢体(図示せず)と備えている。なお、付勢体は、図4に示されたように、基体部材143を介して遊技機本体120に固着された保護カバー159によって覆われている。一対の外枠側施錠部材141の各々には係合爪部141Aが形成され、一方、一対の本体側施錠部材144の各々には係合爪部141Aと係合する係合溝部144A(図4のみ)が形成されている。
錠開閉操作機構150は、図1及び図2に示されたように、所定の開閉鍵(図示せず)の凹凸形状に対応する鍵溝(図示せず)が形成されたキーシリンダ151と、キーシリンダ151の内側に摺動自在に挿着され、挿入された開閉鍵の回動に連動して回動する可動軸体152と、開閉鍵が挿入される鍵穴と反対側(背面側)において可動軸体152に固着され、可動軸体152の回動に連動して偏心回動する可動片(図示せず)とを備えている。なお、開錠開閉操作機構150の背面側は、図4に示されたように、基体部材143を介して遊技機本体120に固着された保護カバー159によって覆われており、可動片はその内側に配置されている。
遊技機本体120の閉鎖状態において、図3及び図4に示されたように、付勢体からの付勢力に基づいて、動力伝達棹145は所定の基準位置に維持され、また、一対の外枠側施錠部材141の係合爪部141Aも所定の基準位置に維持されている。なお、遊技機本体120の閉鎖状態においては、図3に示されたように、一対の外枠側施錠部材141の係合爪部141Aは一対の本体側施錠部材144の係合溝部144Aと係合した状態である。これによって、外枠110に対して遊技機本体120が施錠された状態(以下、「遊技機本体120の施錠状態」と略記する)が維持される。遊技機本体120の閉鎖状態において錠開閉操作機構150のキーシリンダ151及び可動軸体152に形成された鍵穴に所定の開閉鍵(図示せず)が挿入され、その鍵によって所定の開錠操作、本形態では90度の時計回りの回転操作が行われると、可動軸体152が回転すると共に可動片(図示せず)が偏心回転する。その可動片の偏心回転に応じて、本体施錠機構140の動力伝達棹145が上方側に移動する。動力伝達棹145の上方側への移動に応じて、一対の本体側施錠部材144が回転し、その先端が下側へ移動する。これによって、係合爪部141Aが係合溝部144Aから離脱し、遊技機本体120が外枠110に対して回転可能な状態(以下、「遊技機本体120の開錠状態」と略記)になる。また、動力伝達棹145の上方側への移動に応じて付勢体(図示せず)が延伸される。これによって、遊技機本体120の閉鎖状態において本体施錠機構140による施錠が開錠された状態で鍵から手を離すと付勢体からの付勢力に基づいて動力伝達棹145及び一対の本体側施錠部材144は施錠位置に復帰し、遊技機本体120が施錠状態に戻る。一方、遊技機本体120の開放状態から閉鎖状態へ移行させる場合には、遊技機本体120の開放状態において開錠操作がなされていない状態で遊技機本体120を閉鎖方向に回転させると一対の外枠側施錠部材141と一対の本体側施錠部材144とが当接してその閉鎖方向の回転が阻止されるために、遊技機本体120の閉鎖状態まで移行させるためには、一旦、開錠操作を行わなければならない。
本体開閉検出装置160は、図3に示されたように、遊技機本体120の左側板部材114側に一部が突出するように配置されている。ここで、本体開閉検出装置160について詳細に説明する。図5は、本体開閉検出装置の一例の近傍を表す部分分解斜視図であり、図6(A)及び図6(B)は、それぞれ、遊技機本体の閉鎖状態及び開放状態における本体開閉検出装置の一例を模式的に表す背面図である。本体開閉検出装置160は、図5並びに図6(A)及び図6(B)に示されたように、遊技機本体120に軸止された軸部材161と、軸部材161に軸支された略U字形状の可動部材162と、可動部材162に取着されU字の開き角を大きくする付勢体163と、遊技機本体120に取着された開閉検出スイッチ164とを備えている。可動部材162は、遊技機本体120の閉鎖状態において、図6(A)に示されたような外枠110の左側板部材114に当接している閉鎖位置と、図6(B)に示されたような遊技機本体120の開放状態において外枠110に当接していない開放位置との間で移動する。なお、可動部材162の開き角は、可動部材162が閉鎖位置に位置する場合より開放位置に位置する場合の方が大きい。開閉検出スイッチ164は、図6(A)に示されたように、可動部材162が閉鎖位置にある場合に、可動部材162によって開閉検出スイッチ164の検出突起164Aが押圧されているオン状態であり、一方、図6(B)に示されたように、可動部材162が開放位置にある場合に、可動部材162によって開閉検出スイッチ164の検出突起164Aが押圧されていないオフ状態であり、検出状態に応じて電位の異なる開閉検出信号を主制御装置750(図41及び図46参照)の主制御基板751(図46参照)に出力する。
球式回胴遊技機100は、図3及び図4に示されたように、遊技機本体120の底部に設けられ、外枠110に対する遊技機本体120の開閉動作を円滑化する開閉円滑化機構170(図3のみ)と、遊技機本体120の底部に取着され、外枠110に対する遊技機本体120の開錠に応じて、管理者による意図的な遊技機本体120の開放方向の回転に因らずに、遊技機本体120が閉鎖状態から開放状態へ移行することを抑制する滑止部材180とを備えている。開閉円滑化機構170は、遊技機本体120の重心を通る上下方向(鉛直方向)と前後方向との双方に垂直な平面(以下、「荷重中心平面」とも称す)に対して外枠110に対する遊技機本体120の回転軸側に配設された内側ローラ171と、荷重中心平面に対して遊技機本体120の回転軸と反対側に配設された外側ローラ172とを備えており、遊技機本体120の閉鎖状態からの開放方向の回転に伴う摩擦力を低減すると共に、遊技機本体120の開放状態からの閉鎖方向の回転における外枠110の載置部材115への乗り上げを容易にしている。なお、内側ローラ171と外側ローラ172とは荷重中心平面を挟んで両側に配置されている。滑止部材180は、遊技機本体120の底部において回転軸と反対側の一端に配設され、略U字形状に曲折された板状体であり、その一部が遊技機本体120の底面から下方側へ突出している。
ここで、開閉円滑化機構170及び滑止部材180について詳細に説明する。図7は、開閉円滑化機構及び滑止部材の一例の近傍を表す斜視図であり、図8は、開閉円滑化機構及び滑止部材の一例の近傍を表す右側面図である。外枠110の載置部材115は、図7及び図8に示されたように、平坦部115Aと平坦部115Aの前方側において傾斜する傾斜部115Bとを含んでおり、平坦部115Aにおいて前方側に延出している部分の平坦面P1上に、一対の外枠側支持体131が配設されている。平坦部115Aにおいて前方側に延出している部分の平坦面P2は、従来において遊技機本体120が載置される載置面を構成するために設けられていたが、本形態では遊技機本体120は閉鎖状態においても平坦面P2に当接しない。遊技機本体120の閉鎖状態において、内側ローラ171は傾斜部115Bの傾斜面P3上に配置され、外側ローラ172は傾斜部115Bの傾斜面P4上に配置され、滑止部材180は傾斜面P4に最後方側で当接するように配置される。滑止部材180の下方端面180Aは傾斜面P4と実質的に同一の傾斜角で傾斜しており、遊技機本体120の閉鎖状態において下方端面180Aの全面が傾斜面P4に当接している。内側ローラ171が傾斜面P3上に配置されていない場合の遊技機本体120の開放状態において、遊技機本体120は自重によって遊技機本体120の回転軸が微少角度だけ傾斜して、その右端が下方側にずれて配置されている。なお、このような傾斜は遊技機一般について発生する。
遊技機本体120を開放状態から閉鎖状態に移行させる場合に、閉鎖方向の回転によって、まず、遊技機本体120の底面が傾斜面P3、平坦面P2及び傾斜面P4に当接することなく内側ローラ171が傾斜面P3に乗り上げる。これによって、遊技機本体120の回転軸の傾斜角度が緩和され、遊技機本体120の底面が平坦面P2に当接することなく閉鎖方向の回転を継続できる。その後、外側ローラ172が傾斜面P4に乗り上げる。これによって、遊技機本体120の回転軸の傾斜角度が大幅に緩和され、その後の閉鎖方向の回転によって滑止部材180の背面側の平面180Bが傾斜部115Bの前方側の平面P5に衝突することを防止できる。その後、滑止部材180の下方端面180Aが傾斜面P4に当接して、滑止部材180を介した遊技機本体120の載置部材115への乗り上げが開始される。その後、滑止部材180が傾斜面P4を上り終えると遊技機本体120の閉鎖状態となる。これによって、遊技機本体120が開放状態から閉鎖状態に簡便かつ円滑に移行する。逆に、遊技機本体120を閉鎖状態から開放状態に移行させる場合に、閉鎖状態において滑止部材180の下方端面180Aの全面が傾斜面P4に当接しているために摩擦力が大きく、外枠110に対する遊技機本体120の施錠を解除した直後に、球式回胴遊技機100の遊技機固定設備への設置角度ズレや経年劣化等による一対の本体支持機構130による支持角度ズレに基づいて意図せずに開放方向への回転が開始されることが抑制される。また、開放状態から閉鎖状態に移行する過程で多段階(本形態では3段階)に分けて遊技機本体120の回転軸の傾斜角度が変化するために、傾斜角度の変化に伴い一対の本体支持機構130に与えられる最大負荷を、一段階で傾斜角度が変化する場合に比べて低減できる。これによって、経年劣化等による一対の本体支持機構130による支持角度ズレの発生自体も抑制することができる。
ここで、遊技機本体120の構成について説明する。図9及び図10は、球式回胴遊技機の一例を内部開放状態で表す斜視図である。なお、図9には、前面ブロック121に対して払出ブロック122及び遊技ブロック123が一体的に開放されている状態が示されており、図10には、前面ブロック121に対して払出ブロック122が開放され、かつ払出ブロック122に対して遊技ブロック123が開放されている状態が示されている。
遊技機本体120は、図9及び図10に示されたように、球式回胴遊技機100の前面側を構成する前面ブロック121と、球式回胴遊技機100の背面側を構成する払出ブロック122と、前面ブロック121及び払出ブロック122によって被包される遊技ブロック123と、前面ブロック121に対して払出ブロック122及び遊技ブロック123を着脱自在かつ開閉自在に支持する一対のブロック支持機構124(一方のみ図示)と、前面ブロック121に対して払出ブロック122を施錠する払出ブロック施錠機構125と、払出ブロック122に対して遊技ブロック123を固定する一対の遊技ブロック固定機構126とを備えている。
一対のブロック支持機構124の各々は、前面ブロック121に取着された前面ブロック側支持部材211(図16参照)と、払出ブロック122に取着された払出ブロック側支持部材212(図32参照)と、遊技ブロック123に取着された遊技ブロック側支持部材213(図43参照)とで構成されている。図16に示されるように、前面ブロック側支持部材211は、前面ブロック121に取着された固定部221と、固定部221に対して略垂直に屈曲して背面側に延設され、上側軸挿通孔222Aの形成された払出ブロック用軸受部222と、固定部221に対して略垂直に屈曲して背面側に延設され、上側軸挿通孔222Aの真下に下側軸挿通孔223Aの形成された遊技ブロック用軸受部223とを含んでいる。払出ブロック側支持部材212は、図32に示されるように、払出ブロック122に固着された固定部224と、固定部224に対して略垂直に屈曲して正面側に延設された接続部225と、接続部225から下側に延設された軸体部226とを含み、軸体部226が前面ブロック側支持部材211の上側軸挿通孔222Aに遊挿されている。同様に、遊技ブロック側支持部材213は、図43に示されるように、遊技ブロック123に固着された固定部227と、固定部227に対して略垂直に屈曲して正面側に延設された接続部228と、接続部228から下側に延設された軸体部229とを含み、軸体部229が前面ブロック側支持部材211の下側軸挿通孔223Aに遊挿されている。
払出ブロック施錠機構125は、払出ブロック122に形成された一対の陥没部122Aの各々に架設され、一対の陥没部122Aの陥没口の一部を覆う一対の払出ブロック側施錠部材231(図31も参照)と、前面ブロック121側に配設された施錠機構232(図16も参照)とを備えている。施錠機構232は、図16に示されるように、本体施錠機構140における基体部材143に対して上下方向に移動自在に取着され、本体施錠機構140を作動させる方向と逆方向への錠開閉操作機構150の可動片(図示せず)の回転に連動して上下方向に移動する前面ブロック側施錠部材233と、前面ブロック側施錠部材233を所定の基準位置へ復帰させる方向に付勢する付勢体(図示せず)とを備えている。前面ブロック側施錠部材233は、基体部材143と略平行に延びる棹部235と棹部235の長手方向の両端近傍から背面側に突出する一対の突出部236とを含み、一対の突出部236の各々には一部を切り欠いた係合溝236Aが形成されている。なお、本体施錠機構140の基体部材143には、一対の払出ブロック側施錠部材を誘導する一対の誘導部149が形成されている。前面ブロック121に対して払出ブロック122が閉鎖された状態(以下、「払出ブロックの閉鎖状態」とも略記)において、一対の払出ブロック側施錠部材231が一対の突出部236の係合溝部236Aに配置されており、その係合状態が付勢体からの付勢力によって維持される。これによって、前面ブロック121に対して払出ブロック122が施錠されている状態(以下、「払出ブロックの施錠状態」とも略記)が維持される。一方、本体施錠機構140を作動させる方向と逆方向への錠開閉操作機構150の操作に応じて、その操作に伴う可動片(図示せず)の回転に連動して前面ブロック側施錠部材233が下方側へ移動して、一対の突出部236の上面が一対の誘導部143Aの上面と同一又はそれよりも下方側に移動する。これによって、払出ブロック側施錠部材231が前面ブロック側施錠部材233よりも背面側へ移動させることができるために、前面ブロック121に対して払出ブロック122を開放することができる。また、払出ブロック施錠機構125は、更に、外枠110に対する遊技機本体120の開放前における前面ブロック121に対する払出ブロック122の開放を防止する開放防止機構を備えており、前面ブロック121に対する払出ブロック122の開放は、外枠110に対して遊技機本体120を開放した後のみにおいて実行できる。
ここで、開放防止機構について説明する。図11は、遊技機本体の開放過程における払出ブロックの開放防止機構の動作を表す説明図であり、図11(A)が遊技機本体の閉鎖状態を表し、図11(B)が錠開閉操作機構への本体施錠機構140による施錠を解除するための操作状態を表し、図11(C)が遊技機本体の開放状態を表している。
開放防止機構は、図11(A)〜図11(C)に示されたように、本体施錠機構140の基体部材143に軸止された一対の支軸237(一方のみ図示)と、一対の支軸237によって回動自在に軸支された一対の回動部材238(一方のみ図示)と、一対の回動部材238の各々と基体部材143とに接続され、回動部材238における支軸237と反対側の一端を基体部材143の外方向に突出させる方向に付勢する付勢体239とを備えている。一対の回動部材238の各々には、棹部235側に突出する突起部238Aと、棹部235側に突出する突起部238Bと、付勢体239の一端が挿通される貫通孔238Cとが形成されている。基体部材143、動力伝達棹145及び棹部235には、それぞれ、一対の回動部材238の突起部238Aに対応して、一対の貫通孔143A(一方のみ図示)、一対の貫通孔145A(一方のみ図示)及び一対の貫通孔238A(一方のみ図示)が形成され、また、動力伝達棹145には、更に、一対の回動部材238の突起部238Aに対応して一対の貫通孔145B(一方のみ図示)が形成されている。
遊技機本体120の閉鎖状態において、図11(A)に示されたように、回動部材238は、付勢体239からの付勢力に基づいて外枠110の右側板部材113に当接している。このとき、突起部238Aは、貫通孔143A、貫通孔145A及び貫通孔238Aを貫通し、突起部238Bは、貫通孔145Bを貫通している。これによって、遊技機本体120の閉鎖状態において、前面ブロック121に対して払出ブロック122を開放させるための錠開閉操作機構150の可動軸体152への略90度の左回転操作を実行しようとしても、この操作に伴う棹部235の下方側への移動が突出部238Aとの当接によって阻止されるために、左回転操作を略90度にまで続行することができない。したがって、遊技機本体120の閉鎖状態においては、前面ブロック121に対して払出ブロック122を開放させることはできない。
図11(A)に示された遊技機本体120の閉鎖状態において、前面ブロック121に対して払出ブロック122を開放させるための可動軸体152への略90度の右回転操作を実行すると、図11(B)に示されたように、その操作に応じて動力伝達棹145が上方側に移動し、動力伝達棹145の移動に伴って貫通孔145Bに挿通されている回動部材238の突起部238Bが押圧される。これによって、突起部238Bの押圧に基づいて回動部材238が付勢体239からの付勢力に抗して回転して、回動部材238と右側板部材113(図10参照)との当接が解除される。このとき、本体施錠機構140による施錠が動力伝達棹145の移動によって解除されており、遊技機本体120が外枠110に対して開放可能な状態となっている。その後、外枠110に対して遊技機本体120を開放すると共に可動軸体152への略90度の右回転操作を解除すると、図11(C)に示されたように、付勢体239からの付勢力に基づいて回動部材238が回転して、回動部材238の突出部238Aが貫通孔238Aから抜脱される。これによって、払出ブロック122が前面ブロック121に対して開放可能な状態となる。
なお、図11(C)に示された場合には、回動部材238の一部は、図11(A)に示された場合(図11(C)中の一点鎖線)よりも外方向に突出している。これによって、遊技機本体120を閉鎖させる場合において、本体施錠機構140の一対の外枠側施錠部材141の係合爪部141A(図4参照)と一対の本体側施錠部材144の係合溝部144A(図4参照)とが当接する前に、回動部材238と右側板部材113と当接させることができ、係合爪部141Aと係合溝部144Aとの衝突に起因する本体施錠機構140の損傷や故障が防止できる。
ここで、払出ブロックの開放過程における払出ブロック施錠機構の動作について説明する。図12は、払出ブロックの開放過程における払出ブロック施錠機構の動作を表す説明図であり、図12(A)が払出ブロックの閉鎖状態を表し、図12(B)及び図12(C)が錠開閉操作機構への本体施錠機構140による施錠を解除するための操作状態を表し、図12(D)が払出ブロックの開放状態を表している。
払出ブロック施錠機構125は、図12(A)に示されたように、払出ブロック122の閉鎖状態であり、錠開閉操作機構150(図1参照)の可動軸体152に対して略90度の左回転操作が実行されていない場合に、前面ブロック側施錠部材233(図16参照)の一対の突出部236(一方のみ図示)が一対の払出ブロック側施錠部材231(一方のみ図示)(図10も参照)よりも後方側に配置され、可動軸体152への略90度の左回転操作を伴わない前面ブロック121に対する払出ブロック122と遊技ブロック123との一体的な開放回転が禁止された施錠状態である。なお、可動軸体152を操作するための開閉鍵(図示せず)の挿抜は、可動軸体152への操作がなされておらず、基準位置に配置されている場合にのみ実行できる。
図12(A)に示された施錠状態における可動軸体152への左回転操作に応じて、図12(B)に示されたように、前面ブロック側施錠部材233の下方側への移動に伴う突出部236も基体部材143の誘導部149側へ移動し、略90度の左回転操作の完了により、突出部236の上面S13が誘導部149の上面S21よりも下側に配置される。これによって、払出ブロック側施錠部材231が突出部236の上方を誘導部149に沿って移動できる状態となる。なお、図12(C)に示されたように、払出ブロック側施錠部材231が突出部236の上方に配置されている場合において可動軸体152への左回転操作が解除されると、突出部236(前面ブロック側施錠部材233の全体)は付勢体(図示せず)の付勢力に基づいて上方側に移動するが、払出ブロック側施錠部材231に当接するとそれ以上の移動が阻止される。このとき、突出部236の上面S13は誘導部149の上面S21と実質的に同一の高さに位置している。このように、略90度の左回転操作が実行されると共に払出ブロック122が所定の角度範囲内の角度だけ回転して、払出ブロック側施錠部材231の少なくとも一部が突出部236の上方に配置されている中間開錠状態においては、可動軸体152への左回転操作を伴わずに、前面ブロック121に対する開放角度を大きくする方向に払出ブロック122と遊技ブロック123とを一体的に回転(以下において「開放回転」とも称す)させることも、開放角度を小さくする方向に回転(以下において「閉鎖回転」とも称す)させることもできる。なお、この中間開錠状態においては、可動軸体152が基準位置に復帰しないために、開閉鍵を可動軸体152から抜脱することはできない。また、払出ブロック122に対して遊技ブロック123を開放することもできない。
図12(C)に示された中間開錠状態から更に払出ブロック122と遊技ブロック123とが一体的に開放回転され、突出部236の上方に払出ブロック側施錠部材231が配置されない角度以上まで回転されると、図12(D)に示されたように、それより開放角度が大きい範囲内において、可動軸体152への左回転操作を伴わずに払出ブロック122と遊技ブロック123とを一体的に開放回転させることも、閉鎖回転させることもできる完全開錠状態となる。可動軸体152への左回転操作を維持した状態で完全開錠状態へ移行させた場合には、その左回転操作の解除に応じて突出部236が上方に移動して所定の基準位置に復帰する。一方、中間開錠状態において可動軸体152への左回転操作が解除された状態で完全開錠状態へ移行させた場合には、払出ブロック側施錠部材231が突出部236の上方に配置されない角度への払出ブロック及び遊技ブロックの一体的な開放回転に応じて突出部236は自動的に上方に移動して所定の基準位置に復帰する。これによって、完全開錠状態においては、開閉鍵を可動軸体152から抜脱することができる。
一対の遊技ブロック固定機構126は、図9及び図10に示されたように、払出ブロック122に固着された一対の払出ブロック側固定部材241(図31も参照)と、遊技ブロック123に設けられた一対の固定機構242(図41も参照)とを備えている。一対の払出ブロック側固定部材241の各々は、図31に示されるように、上下方向の中央側に向けて延出する被挟持部241Aと、被挟持部241Aに対して略垂直に屈曲して前方側に突出する位置補正部241Bとを含んでいる。一対の固定機構242の各々は、図41に示されるように、払出ブロック122に形成された固定壁部244と、遊技ブロック123に回動自在に軸支された可動挟持部材245とを含んでいる。可動挟持部材245は、軸支部245Aと、軸支部245Aの周縁において円周方向に突出する操作部245Bと、軸支部245Aから回動軸方向に沿って固定壁部244よりも後方側まで突出する接続部245Cと、接続部245Cの先端から回動軸と略垂直方向に突出する挟持部245Dとを含んでおり、一対の遊技ブロック固定機構126の各々によって払出ブロック122に対して遊技ブロック123の固定されている状態(以下「遊技ブロック123の固定状態」とも略記)において、固定壁部244が払出ブロック側固定部材241の位置補正部241Bに載置されており、挟持部245Dと固定壁部244とが被挟持部241Aを挟持している。可動挟持部材245を回転させる操作部245Bへの力の付与によって挟持部245Dが回転し、その回転に伴い挟持状態が解除される。更に挟持部245Dを回転させると、前後方向に対して挟持部245Dが払出ブロック側固定部材241を被覆しない状態へと移行する。これによって、払出ブロック122に対する遊技ブロック123の回転が可能な状態(以下「遊技ブロック123の固定解除状態」とも略記)となる。
払出ブロック122に対して遊技ブロック123が一対の遊技ブロック固定機構126を介して一体化されていない場合には、可動挟持部材245が前面ブロック121に衝突することとなり、前面ブロック121に対して払出ブロック122及び遊技ブロック123を一体的に閉鎖状態まで回転させることはできない。また、前面ブロック121に対して払出ブロック122及び遊技ブロック123が一対の払出ブロック施錠機構125を介して一体化されている場合には、可動挟持部材245が前面ブロック121の内部に配置されているために、一対の遊技ブロック固定機構126に対する操作ができず、払出ブロック122と遊技ブロック123との固定を解除することはできない。
遊技機本体120は、図9に示されたように、更に、払出ブロック122の閉鎖状態において払出ブロック122から前面ブロック121への遊技球の移動を許容し、前面ブロック121に対する払出ブロック122の開放状態においてその移動を禁止するブロック間遊技球移動規制機構127(一部のみ図示)を備えている。ブロック間遊技球移動規制機構127は、払出ブロック122に形成され、遊技進行に応じて払い出された遊技球や貸し出された遊技球(以下、これらをまとめて「放出球」とも称す)を上貯留皿320(図1参照)へ誘導する上皿誘導通路502(図35参照)で払出ブロック122から前面ブロック121へのそれらの遊技球の移動を許容する移動許容状態とその移動を禁止する移動禁止状態との間で状態移行する上皿側球止め機構251(図34参照)と、払出ブロック122に形成され、放出球を下貯留皿330(図1参照)へ誘導する下皿誘導通路503(図34参照)における払出ブロック122から前面ブロック121への遊技球の移動を許容する移動許容状態とその移動を禁止する移動禁止状態との間で状態移行する下皿側球止め機構252(図34参照)と、前面ブロック121に形成され、前面ブロック121に対する払出ブロック122の開閉動作に応じて上皿側球止め機構251の規制状態を変化させる上皿側規制変更部材253と、前面ブロック121に形成され、前面ブロック121に対する払出ブロック122の開閉動作に応じて下皿側球止め機構252の規制状態を変化させる下皿側規制変更部材254とで構成されている。
遊技機本体120は、図9及び図10に示されたように、更に、前面ブロック121に対する払出ブロック122の閉鎖状態における前面ブロック121に対する払出ブロック122の施錠の解除に応じたブロック間遊技球移動規制機構127の付勢体からの付勢力に基づく前面ブロック121に対する払出ブロック122の回転を所定の微少角度に制限する自動開放制限機構128を備えている。
ここで、自動開放制限機構128について詳細に説明する。図13(A)及び図13(B)は、自動開放制限機構の一例の近傍を表す斜視図である。図13(A)及び図13(B)は、それぞれ、払出ブロック122の閉鎖状態及び開放状態を表している。自動開放制限機構128は、図13(A)及び図13(B)に示されたように、払出ブロック122の払出ブロック基体500に形成された係合丘部271と、払出ブロック基体500に形成され、係合丘部271よりも後方側に位置する陥没部272と、本体施錠機構140の基体部材143を介して前面ブロック121の基枠300に固着された保護カバー159から延設された係合爪部273とを含んでいる。自動開放制限機構128は、図13(A)に示されたように、払出ブロック122の施錠状態において、係合爪部273の突出爪273Aが陥没部272に配置され、また、係合爪部273の突出腕273Bが係合丘部271と対向して配置され、突出爪273A及び突出腕273Bが係合丘部271と接触していない閉鎖時非係合状態である。前面ブロック121に対して払出ブロック122が開放回転すると、自動開放制限機構128は、突出爪273Aが係合丘部271に乗り上げ、突出腕273Bが大きく撓んだ強係合状態となる。更に払出ブロック122が開放回転すると、自動開放制限機構128は、突出爪273Aが係合丘部271から乗り下がって、払出ブロック基体500の先端部274と係合し、突出腕273Bが小さく撓んだ弱係合状態となる。更に払出ブロック122が開放回転すると、払出ブロック基体500との係合が外れ、突出腕273Bの撓みが解消された開放時非係合状態となる。
前面ブロック121に対して払出ブロック122及び遊技ブロック123を一体的に開放する場合及びそれらを一体的に閉鎖させる場合における払出ブロック施錠機構125、上皿側球止め機構251、下皿側球止め機構252及び自動開放制限機構128の動作について包括的に説明する。なお、以下においては簡単のために、払出ブロック122を開放又は閉鎖するという場合には、前面ブロック121に対して払出ブロック122及び遊技ブロック123を一体的に開放する場合を意味することとする。図14は、前面ブロックに対して払出ブロック及び遊技ブロックを一体的に開放する場合の払出ブロック施錠機構及び自動開放制限機構の動作の一例を表す説明図であり、図14(A)が払出ブロックの閉鎖状態の一例を表し、図14(B)が払出ブロックの自動開放が停止された際の中間開錠状態を表し、図14(C)が払出ブロックの手動による開放操作中の中間開錠状態を表し、図14(D)が払出ブロックの完全開錠状態を表している。なお、以下においては図14と共に図12も参照する。図14(A)〜図14(D)に示された各状態は、それぞれ、図12(A)〜図12(D)に示された各状態に対応している。
予め、図1に示された外枠110に対する遊技機本体120の閉鎖状態において、錠開閉操作機構150の可動軸体152に開閉鍵を挿入し、開閉鍵による可動軸体152の右回転操作と共に外枠110に対して遊技機本体120を開放移動させる操作を行って、図9に示されたような外枠110に対する遊技機本体120の開放状態に移行させる。これによって、図11(A)に示されたように、回動部材146の突出部143Aが払出ブロック側施錠部材233の棹部235に形成された貫通孔235Aに挿通されている開放禁止状態から、図11(C)に示されたように、突出部143Aが貫通孔235Aから抜脱されている開放許容状態へ移行し、前面ブロック121に対して払出ブロック122を開放するために必要な可動軸体152の左回転操作が許容される。
外枠110に対する遊技機本体120の開放後であって前面ブロック121に対して払出ブロックが閉鎖された状態において、図14(A)及び図12(A)に示されたように、前面ブロック側施錠部材233の突出部236によって払出ブロック側施錠部材231の移動が阻止されているために、前面ブロック121に対する払出ブロック122の開放回転が禁止されている。このとき、払出ブロック122は、上皿側球止め機構251の付勢体(図示せず)及び下皿側球止め機構252の付勢体(図示せず)からの付勢力に基づいて、前面ブロック121に対して払出ブロック122を開放回転させる方向に付勢されている。これによって、図12(A)に示されたように、払出ブロック側施錠部材231が突出部236側に押圧されて、払出ブロック側施錠部材231は突出部236の傾斜側面S11に当接している。また、図14(A)に示されたように、係合爪部273の突出爪273Aの一部が係合丘部271よりも背面側の陥没部272に位置するものの係合丘部271に当接しないように、また、係合爪部273の突出腕273Bが係合丘部271と対向するように、係合爪部273が配置されている。
まず、図14(A)及び図12(A)に示された状態において可動軸体152を左回転操作すると、突出部236が下方側(図14の紙面の裏面側:図12における下側)に移動し、この移動に応じて払出ブロック側施錠部材231は突出部236の傾斜側面S11との当接を維持しながら誘導部149の上面S21に沿って後方側(図14の上側:図12における右側)へ移動する。これによって、前面ブロック121に対して払出ブロック122が自動的に開放回転する。同様に、係合丘部271も払出ブロック122の自動的な開放回転に応じて後方側(図14の紙面の裏面側)へ移動する。ブロック側施錠部材231と突出部236の傾斜側面S11との当接が維持された状態での払出ブロック122の自動的な開放回転中において、突出爪273Aの傾斜面S31が係合丘部271に当接し、突出腕273Bが撓むことによって突出爪273Aが係合丘部271に乗り上げる。なお、突出爪273Aの係合丘部271への乗り上げが進行するにつれて、突出腕273Bの撓みが大きくなり、突出爪273Aと係合丘部271との摩擦力も大きくなる。一方、上皿側球止め機構251の付勢体及び下皿側球止め機構252の付勢体からの付勢力は、払出ブロック122の自動的な開放回転が進行するにつれて弱くなる。
可動軸体152の右回転操作が進行すると、突出部236の下方側への移動も進行し、この移動に応じて払出ブロック側施錠部材231は突出部236の傾斜面S12との当接状態を維持しながら後方側へ移動する。これによって、前面ブロック121に対する払出ブロック122の自動的な開放回転が進行する。同様に、係合丘部271の後方側(図14の紙面の裏面側)への移動も進行する。ブロック側施錠部材231と突出部236の傾斜側面S12との当接が維持された状態での払出ブロック122の自動的な開放回転中において、突出爪273Aの係合丘部271への乗り上げが完了する。これによって、突出腕273Bの撓みが更に大きくなって突出爪273Aと係合丘部271との摩擦力も更に大きくなり、一方、付勢体及び付勢体からの付勢力は更に弱くなるために、払出ブロック122の自動的な開放回転に急制動が働くこととなる。
更に可動軸体152の右回転操作が進行して、突出部236の平坦面S13が誘導部149の上面S21の位置を超えて下方側に移動すると、払出ブロック側施錠部材231と突出部236との当接が解除され、払出ブロック側施錠部材231は誘導部149の上面S21に沿って後方側に移動する。これによって、前面ブロック121に対する払出ブロック122の自動的な開放回転が更に進行する。同様に、突出爪273Aの係合丘部271への乗り上げが完了した状態を維持しながら、係合丘部271の後方側(図14の紙面の裏面側)への移動が更に進行する。可動軸体152に対する略90度の右回転操作が完了すると、図12(B)に示されたように、突出部236の平坦面S13が誘導部149の上面S21の位置を超えて下方側に移動する。
払出ブロック側施錠部材231と突出部236との当接が解除され、払出ブロック側施錠部材231と誘導部149の上面S21とが当接した状態における払出ブロック122の自動的な開放回転中において、図14(B)及び図12(B)に示されたように、払出ブロック側施錠部材231が突出部236の上面S13の上方に位置した払出ブロック施錠機構232の中間開錠状態で停止する。払出ブロックの自動的な開放回転の停止後に、開閉鍵から手を離して可動軸体152への右回転操作を解除する。これによって、払出ブロック施錠機構の付勢体(図示せず)からの付勢力に基づいて、突出部236は図12(A)に示されたような基準位置へ復帰しようとして上方側に移動するが、払出ブロック側施錠部材231に当接することによって基準位置への復帰が阻止される。上述のように、中間開錠状態においては、可動軸体152への左回転操作を伴わずに、払出ブロック122を開放回転させることも、閉鎖回転させることもできる。なお、払出ブロック122の自動的な開放回転の停止された際に、上皿側球止め機構251及び下皿側球止め機構252の各々は、遊技球の流下を禁止する移動禁止状態となっている。
前面ブロックと払出ブロック122とを掴んで更に払出ブロック122を開放回転させると、図14(C)に示されたように、払出ブロック側施錠部材231が、払出ブロック側施錠部材231と突出部236の上面S13との当接を維持しながら後方側へ移動する。ブロック側施錠部材231と突出部236の上面S13との当接が維持された状態での払出ブロック122の開放回転中において、突出爪273Aの傾斜面S32が係合丘部271に当接して突出爪273Aが係合丘部271から乗り下がると伴に係合爪273Aが先端部274に乗り上げる。これによって、突出腕273Bの撓みが緩和されるが、突出爪273Aと先端部274と当接している状態において突出腕273Bは撓んだ状態を維持している。前面ブロックと払出ブロック122とを掴んだ状態で払出ブロック122を開放回転させると、突出爪273Aの傾斜面S32が先端部274から乗り下がり、突出爪273Aと先端部274と当接が解除される。
突出爪273Aと先端部274と当接が解除された状態において、更に払出ブロック122を開放回転させると、払出ブロック側施錠部材231の後方側への移動が更に進行し、払出ブロック側施錠部材231と突出部236の上面S13との当接が解除される。これによって、図12(D)に示されたように、突出部236は、払出ブロック施錠機構の付勢体(図示せず)からの付勢力に基づいて、基準位置へ復帰し、払出ブロック施錠機構230は完全開錠状態となる。上述のように、完全開錠状態においては、可動軸体152への左回転操作を伴わずに、払出ブロック121を開放回転させることも、閉鎖回転させることもできる。但し、一旦、払出ブロック施錠機構230を完全開錠状態に移行させると、再度、開閉鍵による可動軸体152への略90度の左回転操作を行わなければ、閉鎖回転によって中間開錠状態に復帰させることができなくなる。
逆に、前面ブロック121に対する払出ブロック122の完全開錠状態から施錠状態へ移行させる場合には、前面ブロックと払出ブロック122とを掴んで前面ブロック121に対して払出ブロック122を閉鎖回転させ、払出ブロック122の開放角度が所定の角度になった場合、例えば、払出ブロック側施錠部材231と突出部236又は誘導部149に当接した場合に、開閉鍵によって略90度の左回転操作を行いながら払出ブロック122の閉鎖回転を続行して払出ブロック122を閉鎖状態に移行させたり、開閉鍵によって略90度の左回転操作を行いながら払出ブロックの閉鎖回転を続行して前面ブロック121に対して払出ブロック122を中間開錠状態に移行させたりした後に、再度前面ブロックと払出ブロック122とを掴んで払出ブロック122を閉鎖状態に移行させたりする。
上述のように、錠開閉操作機構150の所定の操作に基づく払出ブロック施錠機構125の開錠に応じて前面ブロック121に対して払出ブロック122及び遊技ブロック123を自動的に開放させるが、払出ブロック施錠機構125に対して錠開閉操作機構150への所定の操作を一旦実行すれば、その後は所定の操作を実行するための開閉鍵から手を離しても前面ブロック121を押さえていれば、更なる錠開閉操作機構150への操作を伴わずに手動で払出ブロック122及び遊技ブロック123を完全開放状態へ移行させたり、閉鎖状態へ移行させたりすることができる中間開放範囲内の半開放固定状態で停止させることができる。これによって、半開放固定状態において、錠開閉操作機構150に対して操作部への所定の操作を一旦実行すればその後は所定の操作を実行するための開閉鍵から手を離しても前面ブロック121を押さえていれば、前面ブロック121に対して払出ブロック122及び遊技ブロック123を開放できるために、前面ブロック121に対して払出ブロック122及び遊技ブロック123を開放させる際に錠開閉操作機構150を操作した状態で前面ブロック121と払出ブロック122及び遊技ブロック123とを開放させる必要がなくなる。したがって、前面ブロック121に対する払出ブロック122及び遊技ブロック123の開放操作の円滑性が向上し、また、施錠機構への負荷が低減することによって前面ブロック121に対して払出ブロック122を施錠する施錠機構の耐久性が向上する。更に、枠体に対する遊技機本体の開放又は閉鎖における誤操作によって前面ブロック121に対して払出ブロック122を開錠する操作がなされたとしても半開放固定状態で停止し、前面ブロック121に対して払出ブロック122及び遊技ブロック123が大開放範囲まで開放されないために、前面ブロック121と払出ブロック122及び遊技ブロック123とを押さえることによって前面ブロック121に対して払出ブロック122及び遊技ブロック123を閉鎖状態に簡便に復帰させることができ、錠開閉操作機構150を操作した状態で前面ブロック121に対して払出ブロック122及び遊技ブロック123を閉鎖させる必要がなくなる。したがって、前面ブロック121に対する払出ブロック122及び遊技ブロック123の開放操作の円滑性が向上し、また、施錠機構への負荷が低減することによって前面ブロック121に対して払出ブロック122を施錠する施錠機構の耐久性が向上する。
前面ブロック121は、主に、入賞に伴い払い出された遊技球(以下「払出球」とも称す)や貸し出された遊技球(以下「貸与球」とも称す)を遊技者によって取り扱い可能な状態で貯留したり、単位遊技の開始条件となる所定の個数の遊技球を投入(以下「ベット」とも称す)したり、単位遊技を進行させるための遊技者による各種の入力を受け付けたり、遊技進行に伴う所定の遊技状態を報知したり、遊技進行に伴う視覚的及び聴覚的な演出を行ったりする。払出ブロック122は、主に、投入された遊技球の返却及び遊技者への遊技球の払い出しを行う。なお、払出ブロック122は、外部電力を取り込んで球式回胴遊技機100の各部へ内部電力を供給する。遊技ブロック123は、主に、単位遊技における当選役を決定する抽選や当選役に基づく単位遊技の結果の表示や当選役に基づく演出の報知等の遊技進行の包括的な管理を行う。なお、前面ブロック121及び払出ブロック122は球式回胴遊技機の種類に実質的に依存せず、また、遊技ブロック123は払出ブロック122に対して着脱自在に支持されているために、遊技ブロック123のみを取り替えること(一般的に、「面替え」と称される)によって他の遊技性を有する遊技機に変更ができる。以下において、前面ブロック121、払出ブロック122、遊技ブロック123についてブロック別に概ねこの順序で詳細に説明する。
なお、それらの説明に先立ち、説明の便宜上、遊技ブロック123における回胴ユニット710について簡単に説明する。遊技ブロック123は、図9に示されたように、左回胴810Lと、中回胴810Mと、右回胴810Rとを備えている。左回胴810L、中回胴810M及び右回胴810Rの各々の表面には複数種類の図柄が描かれており、単位遊技の開始時に左回胴810L、中回胴810M及び右回胴810Rの全てが所定の方向に回転することによって図柄表示が変動し、その後、左回胴810L、中回胴810M及び右回胴810Rの全てが停止することによって遊技結果を表す図柄表示が確定される。
(前面ブロック)
前面ブロック121について説明する。図15及び図16は、それぞれ、前面ブロックの一例を表す正面側及び背面側の斜視図であり、図17及び図18は、それぞれ、前面ブロックの一例を表す正面側及び背面側の分解斜視図である。前面ブロック121は、図15〜図18に示されたように、基枠300と、基枠300に取着され、遊技ブロック123における遊技結果の表示や遊技進行に伴う演出等を透視できる透明性の遊技領域透視パネル301と、基枠300の前面側に取着された前面パネル枠310と、遊技球を貯留する上貯留皿320と、遊技球を貯留する下貯留皿330(図15及び図17のみ)と、遊技球の投入指示を入力するベット操作装置340(図15、図17及び図18のみ)と、上貯留皿320に貯留された遊技球を下貯留皿330へ移動させたり、一旦投入された遊技球を返却させたりするために操作される返却操作機構350(図15、図17及び図18のみ)と、ベット操作装置340への投入指示の入力に応じて上貯留皿320に貯留された遊技球を投入したり、返却操作機構350の操作に応じて上貯留皿320に貯留された遊技球を下貯留皿330に移動させたり、返却操作機構350の操作を検知して投入済の遊技球と同数の遊技球の返却を指示したりする投入装置360(図16及び図17のみ)と、単位遊技の開始指示を入力する単位遊技開始操作装置370(図15、図17及び図18のみ)と、遊技ブロック123における図柄変動の停止指示を入力する図柄変動停止装置380(図15、図17及び図18のみ)と、球式回胴遊技機100に隣接して設けられる球貸出制御ユニット(図示せず)と連動して遊技球の貸出指示を入力したり、貸し出し状況を表示したりする球貸出操作装置390と、遊技進行に伴う音響演出や遊技状態に応じた音響報知を行う下音響装置311、右上音響装置312及び左上音響装置313(図15、図17及び図18のみ)からなる音響装置群と、遊技進行に伴う発光演出や遊技状態に応じた発光報知を行う上発光装置314、右発光装置315(図15、図17及び図18のみ)及び左発光装置316からなる枠発光装置群と、遊技進行に伴う演出形態を変更する演出変更操作装置319(図15、図17及び図18のみ)とを備えている。
基枠300及び前面パネル枠310の各々は、前面ブロック121に設けられる各種の装置等を固定するための基礎となる枠体である。また、遊技機本体120の一部としての基枠300には、遊技機本体120(図4参照)と外枠110(図4参照)とを回動自在に支持固定する一対の本体支持機構130(図4参照)を構成する図16に示された一対の本体側固定部材132と、外枠110に対して遊技機本体120を施錠する本体施錠機構140を構成する図18に示された施錠機構142、施錠機構142(図18参照)を操作するための図15に示された錠開閉操作機構150と、外枠110に対する遊技機本体120の開閉状態を検出する本体開閉検出装置160(図5参照)の図16に示された可動部材162及び付勢体163と、外枠110に対する遊技機本体120の開閉を円滑化する開閉円滑化機構170(図3参照)の図16に示された内側ローラ171及び外側ローラ172と、外枠110(図9参照)に対する遊技機本体120(図9参照)の意図しない開放を抑制する図18に示された滑止部材180とが取着されている。以下において、図15及び図16を参照しながら前面ブロック121の具体的な構成について説明する。
遊技領域透視パネル301は、基枠300の窓部に後方側から挿入され、遊技領域透視パネル301の周縁において基枠300にネジ止めされている。遊技領域透視パネル301の背面側には遊技ブロック123(図4参照)が配置されており、遊技者は、遊技領域透視パネル301を通して遊技ブロック123で表示される各種の情報や演出を視認できる。
上貯留皿320は、遊技領域透視パネル301の下方において、前面パネル枠310を貫通してその一部が前面側に突出するように基枠300に取着されており、遊技球をベット用に貯留する。上貯留皿320には、遊技者が遊技球を直接に投入できると共に、払出球が自動的に流入する。なお、上貯留皿320は、返却操作機構350及び球貸出操作装置390と共に、それらが一体化された上皿ユニットを構成する。図19は上皿ユニットの一例を表す分解斜視図である。
上貯留皿320は、図19に示されたように、桶状部材321と、桶状部材321の後方側を覆う板状の被覆部材322と、遊技球の流下を一段に制限すると共に下方に配置される投入装置360(図16参照)を外部から遮蔽する遮蔽整流部材323(第1遮蔽整流部材323A及び第2遮蔽整流部材323B)と、桶状部材321から投入装置360への流下を規制する流下規制機構324とを備えている。桶状部材321には、一端に払出球や貸出球を流入させる流入口321Aが形成され、他端に桶状部材321に貯留されている遊技球を投入装置360へ流出させる流出口321B(図20参照)が形成されている。桶状部材321の底面は、流入口321A側から流出口321B側へ向けて緩やかに傾斜しており、遊技球が自重によって流入口321A側から流出口321B側へ向けて自動的に流下する。桶状部材321の下流側であって遮蔽整流部材323の下方には遊技球を3条(3列)に分配整列させる2つの整列突起325が取着されている。これによって、上貯留皿320には3条の流出通路321C(図20及び図22も参照)が形成される。また、桶状部材321の底面は、前方側から後方側へ向けて緩やかに傾斜しており、後方側の流出通路に優先的に遊技球が流入する。具体的には、前方側の第3条の流出通路321Cよりも中間の第2条の流出通路321Cへ流入し易く、第2条の流出通路321Cよりも後方側の第1条の流出通路321Cへ流入し易い。遮蔽整流部材323の下面にも整列突起(図示せず)が形成されており、遊技球の整列状態が維持される。遮蔽整流部材323の下面は3条の流出通路321Cの各々が下流側に向けて上下方向の幅が小さくなるように傾斜している。これによって、遊技球が積層状態で貯留されていたとしてもそれらが一段(一層)に規制される。したがって、上貯留皿320から投入装置360への遊技球の流入が円滑化される。
流下規制機構324は、上貯留皿320の桶状部材321から投入装置360への遊技球の流入を許容したり、禁止したりする。流下規制機構324は、操作部材327と、操作部材327を回動自在に支持する支持部材328と、操作部材327の回転操作に連動して移動する流下規制部材329とを備えている。操作部材327は、支持部材328によって回転自在に支持される回転軸部327Aと、回転軸部327Aの一端に延設された操作レバー部327Bと、回転軸部327Aから放射方向に突出し流下規制部材329を流入禁止位置へ移動させる3つの突起部327Cと、回転軸部327Aから放射方向に突出し流下規制部材329を流下許容位置へ移動させる3つの突起部327Dと、操作レバー部327Bの回転角度を制限する回転制限壁部327Eとを含んでいる。支持部材328は、操作部材327の回転軸部327Aを回動自在に支持する4つの軸受部328A〜328Dと、操作部材327の回転制限壁部327Eとの係合によって操作部材327の操作レバー部327Bの回転を制限する回転制限突起部328Eとを含んでいる。流下規制部材329は、突起部327Cとの係合によって流下規制部材329を流下禁止位置に移動させる動力受け部329Aと、突起部327Cとの係合によって流下規制部材329を流下許容位置に移動させる動力を受ける動力受け部329Bと、桶状部材321の流出口321Bへの突出又は流出口321Bから抜脱によって桶状部材321からの遊技球の流出を規制する3つの規制爪部329Cとを含んでいる。3つの規制爪部329Cは、それぞれ、桶状部材321における3つ流出通路321Cに対応して設けられている。
ここで、流下規制機構324の動作について詳細に説明する。図20及び図21は、それぞれ、流下規制機構324の流下許容状態及び流下禁止状態を表す断面図である。なお、図20及び図21には、説明の便宜のために投入装置360も表されている。規制爪部329Cは、図20に示された流下許容状態において、流出通路321Cの流出口321Bから遊技球が流出できる領域を確保するように配置されている。この流下許容状態において、操作部材327の操作レバー部327B(図19参照)を回転させると、その回転に応じて回転軸部327Aが回転し、突起部327Cが流下規制部材329の動力受け部329Aに当接する。更に、操作レバー部327Bを回転させると、突起部327Cが動力受け部329Aを押圧し、その押圧力によって流下規制部材329が移動する。これによって、流下規制部材329の規制爪部329Cが、図21に示されたように流出口321Bを狭窄し、流出口321Bから遊技球が流出できなくなる。逆に、図21に示された流下禁止状態において、操作部材327の操作レバー部327Bを逆回転させると、その回転に応じて回転軸部327Aが回転し、突起部327Dが流下規制部材329の動力受け部329Bに当接する。更に、操作レバー部327Bを回転させると、突起部327Dが動力受け部329Cを押圧し、その押圧力によって流下規制部材329が移動する。これによって、流下規制部材329の規制爪部329Cは、図20に示されたように流出口321Bから遊技球が流出できる空間を確保するように配置される。
ここで、基枠300への上貯留皿320の取り付けについて説明する。なお、上貯留皿320は、返却操作機構350及び球貸出操作装置390と共に、それらが一体化された上皿ユニットを構成し、上皿ユニットが基枠300に取り付けられることによって前面ブロック121に配設される。図22は上皿ユニットの一例を表す斜視図であり、図23(A)及び図23(B)は上皿ユニット(上貯留皿320)の装着過程の一例を表す斜視図である。図23(A)が上貯留皿320(上皿ユニット)の取り付け前を表し、図23(B)が上貯留皿320(上皿ユニット)の取り付け中を表している。なお、図23(A)及び図23(B)において、投入装置360が取着された状態で取り付けるかのように表されているが、正確には投入装置360を取着する前に取り付けられる。また、払出ブロック122及び遊技ブロック123が装着されていない場合が示されているがそれらの装着後においても上皿ユニットは着脱できる。
上貯留皿320の桶状部材321には、図22に示されたように、流入口321A側の外壁面から突出し、基枠300に連結される連結部326が形成されており、連結部326は、板状の固定壁部326Aと、固定壁部326Aよりも更に外方向に突出する脱落防止壁部326Bと、固定壁部326Aの上下方向の両端から突出する一対の回転軸部326C(一方のみ図示)とが形成されている。一方、基枠300には、図23(A)に示されたように、上貯留皿連結部材302が取着されており、上貯留皿連結部材302は、上貯留皿320の一対の回転軸部326Cが挿入される上下に一対の軸受部302A,302Bと、脱落防止壁部326Bの後方側に位置する脱落防止壁部302Cとを含んでいる。
図23(A)に示されたように上貯留皿320が基枠300と乖離している状態において、上貯留皿320の一対の回転軸部326Cが基枠300の一対の軸受部302A,302Bに挿入される。この状態から図23(B)に示されたように上貯留皿320を回転させると、固定壁部326Aが下側の軸受部302Bに乗り上げることによって一対の軸受部302A,302Bの間に配置され、また、上貯留皿320の脱落防止壁部326Bが基枠300の脱落防止壁部302Cと対向するようにその前方側に配置される。これによって、上貯留皿320は、並進移動によっては基枠300から離脱できないように回転自在に支持される。所定の位置まで更に回転させた状態において、上貯留皿320と基枠300とが所定の少なくとも1箇所でネジ止めされて固定される。このような構成とすることによって、ネジ止めにおいてネジ止め箇所の位置決めが実質的に不要となるために、ネジ止め箇所の位置決めを行いながら複数の箇所のネジ止めを行う場合に比べて上貯留皿320(上皿ユニット)の装着が簡便となり、スループットが向上する。また、演出変更操作装置319は遊技者によって連打されたり、必要以上の力で殴打されたりする場合があり寿命が他の操作装置に比べて短くなり易いが、上皿ユニット単位で取り外しできることによって、演出変更操作装置319を簡便に取り換えることもできる。
下貯留皿330は、図15に示されたように、その一部が前面側に突出するように前面パネル枠310に取着されており、上貯留皿320に貯留しきれない遊技球や球式回胴遊技機100の外部に排出する場合に一時的に遊技球を貯留する。下貯留皿330には、上貯留皿320が満杯である場合に払出球が流入し、また、返却操作機構350の操作に基づいて上貯留皿320に貯留されている遊技球が流入する。下貯留皿330は、放出球(払出球、貸出球)が流入する流入口331A、上貯留皿320に貯留されている遊技球が流入する返却口331B及び遊技球が流出する排出口331Cが形成された桶状部材331と、排出口331Cを開放する開放位置と排出口331Cを閉鎖する閉鎖位置との間で移動自在な板状の可動部材332と、可動部材332を移動させる操作レバー333と、可動部材332を閉鎖位置側に付勢する付勢体(図示せず)とを備えている。図15において可動部材332が閉鎖位置に位置し、排出口331が閉口状態である場合が示されており、この状態から操作レバー333を付勢体からの付勢力に抗して左方向へ移動させると、可動部材332が開放位置に移動し、排出口331が開口状態となる。一方、操作レバー333を右方向へ移動させた状態において、操作レバー333から手を離すと、可動部材は付勢体からの付勢力によって閉鎖位置に自動的に復帰する。
ベット操作装置340は、前面パネル枠310における上貯留皿320の前方側に突出する部分に取着されている。ベット操作装置340は、単位ベット数(1ベット)に対応する所定の単位個数(例えば、5球)の遊技球をベットする最小ベット操作部340Aと、最大規定数の遊技球をベットする最大ベット操作部340Cとを備えている。ここで、最大規定数とは、単位遊技においてベットできる遊技球の最大数を意味し、通常遊技状態の単位遊技において5球、10球又は15球の遊技球をベット(1ベット、2ベット又は3ベット)できる場合には15球を意味し、特別遊技状態中の単位遊技等において5球の遊技球のみをベットできる場合には5球を意味する。
最小ベット操作部340Aは、前面パネル枠310の前面側に突出し遊技者によって操作される単位ベットボタン(入力操作部)341Aと、単位ベットボタン341Aの操作を検出する操作検出器(図示せず)と、単位ベットボタン341Aを所定の基準位置に復帰させる付勢体(図示せず)とを含む単位ベットスイッチ341(図46参照:ベットスイッチの一種)を備えている。同様に、最大ベット操作部340Cは、前面パネル枠310の前面側に突出し遊技者によって操作される最大ベットボタン(入力操作部)343Aと、最大ベットボタン343Aの操作を検出する操作検出器(図示せず)と、最大ベットボタン343Aを所定の基準位置に復帰させる付勢体(図示せず)とを含む最大ベットスイッチ343(図46参照:ベットスイッチの一種)を備えている。遊技者によるベット操作装置340の操作に応じて、ベット操作部の種類(最小ベット操作部340A又は最大ベット操作部340C)に応じたベット指示が入力される。具体的には、単位ベットボタン341A及び最大ベットボタン343Aの押圧操作に応じて、それぞれ、単位ベット指示(ベット指示の一種)及び最大ベット指示(ベット指示の一種)が入力される。単位ベットボタン341A及び最大ベットボタン343Aは、遊技者が手を離すと押圧が解除されて、付勢体からの付勢力に基づいて基準位置に自動復帰する。なお、このベット指示の入力に応じて、投入装置360がベット指示の種類や遊技状態の種類に応じた所定の個数の遊技球を投入することとなる。
最大ベット操作部340Cは、更に、最大ベットボタン343Aに裏面側に設けられた発光素子(図示せず)と発光素子の発光を制御する発光制御回路(図示せず)とを含む最大ベット発光装置344(図46参照)を備えている。最大ベット発光装置344は、最大ベットスイッチ343が有効に操作できる場合に、遊技者に最大ベットボタン343Aの操作を促すために点灯され、最大ベットスイッチ343が有効に操作できない場合には消灯される。最大ベットスイッチ343が有効に操作できる場合としては、例えば、遊技ブロック123(図9参照)における後述する左回胴810L、中回胴810M及び右回胴810R(図9参照)による図柄表示の変動が行われていない状態において最大規定数の遊技球がベットされていない場合が挙げられ、最大ベットスイッチ343が有効に操作できない場合としては、例えば、図柄表示の変動が行われている場合や前回の単位遊技で再遊技役が入賞した場合が挙げられる。
返却操作機構350は、前面パネル枠310における上貯留皿320の前方側に突出する部分に配設されている。なお、返却操作機構350は、球貸出操作装置390と共に上貯留皿320に取着されて、それらが一体化された上皿ユニットを構成し、上皿ユニットが基枠300に取着されることによって所定の位置に配設される。返却操作機構350は、図19に示されたように、上貯留皿320の下側に配設される収納部材351と、収納部材351に立設された支軸351Aに軸支された回動自在な操作部材352と、収納部材351に立設された支軸351Bに軸支された回動自在な押圧部材353と、収納部材351を覆う蓋部材354と、収納部材351と操作部材352とを接続し操作部材352を所定の基準位置に復帰させる付勢体(図示せず)とを備えている。操作部材352は、支軸351Aに軸支された基部352Aと、基部352Aに延設されて前面パネル枠310の前面側に突出し遊技者によって操作される返却操作部352Bと、押圧部材353の接続軸部353Bを摺動自在に把持する把持部352Cとを含んでいる。押圧部材353は、支軸351Bに軸支された基部353Aと、基部353Aの一方の先端から回転軸方向に突出して操作部材352の把持部352Cに摺動自在に接続される接続軸部353Bと、基部352Aの他方の先端から回転軸方向に突出して投入装置360(図24参照)の返却シャッタ364(図24参照)を押圧する押圧部353Cとを含んでいる。
返却操作部352Bに遊技者によって回転力が付与されると、操作部材352が支軸351Aを中心にして回転し、その回転に連動して押圧部材353が支軸351Bを中心にして回転する。押圧部材353の回転に応じて押圧部353Cが奥方側へ移動し、その移動に基づいて押圧部353Cが投入装置360の返却シャッタ364を押圧する。この押圧力によって返却シャッタ364が移動して、上貯留皿320に貯留されている遊技球が下貯留皿330に返却されることとなる。なお、返却シャッタ364の移動に伴う返却動作については、投入装置360の説明において詳細に説明することとし、ここでの説明は省略する。
球貸出操作装置390は、前面ブロック121における上貯留皿320の前方側に突出する部分に配設されている。球貸出操作装置390は、遊技球の貸し出し可能な状態であるか否か、また貸し出し可能な場合にはその貸し出しの上限を表示する度数表示部391と、遊技球の貸し出しを受ける場合に遊技者によって操作される球貸出操作部392と、球貸し出し用のカードを返却する場合に遊技者によって操作されるカード返却操作部393とを備えている。度数表示部391は、球式回胴遊技機100に隣接して遊技機固定設備(図示せず)に設けられるCRユニット(図示せず)に所定のカード(図示せず)を挿入することでそのカードに電気的に記憶されている残額に相当する度数を表示し、遊技球の貸し出しが可能であることと共に貸し出しの上限を報知する。例えば、度数表示部391は、カードの残額の1/100の値を度数として表示する。一方、CRユニットにカードが挿入されていない場合には、度数表示部391は、消灯した状態を維持することによって遊技球の貸し出しが可能でないことを報知する。球貸出操作部392は、上貯留皿320の上面側に突出し遊技者によって操作される球貸出ボタン(入力操作部)392Aと、球貸出ボタン392Aの操作を検出する操作検出器(図示せず)と、球貸出ボタン392Aを所定の基準位置に復帰させる付勢体(図示せず)とを含むボタンスイッチ(図示せず)である。遊技者による球貸出ボタン392Aの球貸出操作に応じて払出制御装置580(図32参照)の払出制御基板581(図46参照)に球貸出指示が入力されて、払出装置540から遊技球が貸し出されることとなる。カード返却操作部393は、上貯留皿320の上面側に突出し遊技者によって操作されるカード返却ボタン(入力操作部)393Aと、球貸出ボタン393Aの操作を検出する操作検出器(図示せず)と、カード返却ボタン393Aを所定の基準位置に復帰させる付勢体(図示せず)とを含むボタンスイッチ(図示せず)である。遊技者によるカード返却操作部393の操作に応じてカード返却指示がCRユニットに入力され、CRユニットからカードが返却されることとなる。
投入装置360は、上貯留皿320及び投入装置360に貯留されている遊技球をベット操作装置340(図15参照)の操作に応じて所定数だけ投入したり、返却操作機構350の操作に応じて下貯留皿330に返却したり、返却操作機構350の操作に応じて既に投入(ベット)されている遊技球の払い戻しを指示したりする。図24は、投入装置の一例を表す斜視図であり、図25は、投入装置の一例を表す部分分解斜視図である。
投入装置360は、図24及び図25に示されたように、上貯留皿320の3つの流出通路321C(図19及び図22参照)に1つずつ対応した第1条の投入部361、第2条の投入部362及び第3条の投入部363と、第1条の投入部361〜第3条の投入部363に摺動自在に貫設され、上貯留皿320(図15参照)から下貯留皿330(図15参照)への遊技球の流下を規制する返却シャッタ364と、返却シャッタ364の一端を覆うカバー部材365と、カバー部材365の中空突出部365Aの内部に配置され返却シャッタ364を所定の基準位置に復帰させる方向に付勢する付勢体366(図25のみ)と、返却シャッタ364の基準位置からの移動を検知する返却スイッチ367と、主制御装置750(図40参照)の主制御基板751(図46参照)と投入装置360との間の電気信号の伝達や電力の供給を中継する投入系信号中継装置368と、投入系信号中継装置368を被覆するカバー部材369とを備えている。投入装置360は、投入すべき遊技球を第1条の投入部361〜第3条の投入部363の3つの投入系統で協同して投入する。
第1条の投入部361〜第3条の投入部363の各々は、図25に示されたように、第1ケーシング部材411と第2ケーシング部材412とで構成されるケーシングを備えている。第1条の投入部361及び第2条の投入部362の第1ケーシング部材411が、それぞれ、第2条の投入部362及び第3条の投入部363の第2ケーシング部材412に取り付けられることによって、第1条の投入部361、第2条の投入部362及び第3条の投入部363は、一体的に連接されている。第1条の投入部361、第2条の投入部362及び第3条の投入部363の各々のケーシングには、遊技球の通り道となる球通路420や各種の部材が配置される空間が形成される。球通路420は、投入装置360の上面側において上貯留皿320から流出してきた遊技球が載置される緩やかに傾斜した樋状の待機通路421と、待機通路421の下流側において待機通路421に対して屈曲して下方側(略鉛直方向)に延びる投入通路422と、待機通路421の下流側において斜め下方側に延びて払出通路を越えた後に屈曲して下方側に延びる返却通路423とで構成されている。第1条の投入部361〜第3条の投入部363の各々は、第1ケーシング部材411と第2ケーシング部材412とが組み付けられたケーシングに配設され、待機通路421から投入通路422への遊技球の流下を禁止する投入禁止状態とその流下を許容する投入許容状態との間で状態移行自在な投入フリッカ440と、ケーシングに配設され、投入フリッカ440による投入規制状態を変更する投入ソレノイド430と、ケーシングに配設され、投入通路422へ流入した遊技球を検出する通過センサ450と、ケーシングに配設され、通過センサ450より下流側において投入通路422を流下する遊技球を検出するカウントセンサ460とを備えている。
返却シャッタ364は、図25に示されたように、第1条の投入部361〜第3条の投入部363にわたって摺動自在に挿通され(図24も参照)、第1条の投入部361〜第3条の投入部363の各々における待機通路421から返却通路422への遊技球の流下を一斉に禁止する返却禁止状態とその流下を一斉に許容する返却許容状態との間で状態移行自在である。返却シャッタ364には、第1条の投入部361〜第3条の投入部363における3つの球通路420に1つずつ対応付けられた3つの返却遮断壁364Aと、3つの球通路420に1つずつ対応付けられた3つの返却窓孔364Bと、3つの返却窓孔464Aの各々の下部において待機通路421側へ延在し、待機通路421から各窓孔364Bに遊技球を案内する3つの誘導片364Cと、第3条の投入部363より外方向に突出し、返却操作機構350の押圧部材353に当接する被押圧部364Dと、付勢体366に当接する被付勢部364Eと、返却スイッチ367を作動させる作動片364Fとが形成されている。第1条の投入部361〜第3条の投入部363の各々において、返却シャッタ364が返却禁止状態である場合には、返却遮断壁364Aの少なくとも一部が球通路420の内側に配置されて待機通路421から返却通路423への遊技球の流入を禁止している。一方、返却シャッタ364が返却許容状態である場合には、返却遮断壁364Aが球通路420の外側に配置されると共に返却窓孔364B及び誘導片364Cが球通路420の内側に配置されて待機通路421から返却通路423への遊技球の流入を許容する。なお、返却シャッタ364は、返却許容状態において付勢体366から付勢力を受けており、返却操作機構350の操作解除に応じて返却禁止状態へ自動的に復帰する。
返却スイッチ367は、図25に示されたように、返却シャッタ364の移動を検出し、返却シャッタ364の移動の検出状態に基づいて検出状態に応じた信号を、投入系信号中継装置368を介して主制御装置750(図41参照)の主制御基板751(図46参照)に出力する。主制御基板751は、返却スイッチ367からの信号に基づいて、ベット操作装置340(図15参照)の操作の受付を不能にし、投入動作中である場合にはその投入動作を中断する。更に、既に投入済の遊技球が存在する場合には、主制御基板751は払出制御装置580(図32参照)の払出制御基板581(図46参照)に返却指示を出力し、払出制御装置581は返却指示に応じて投入済の遊技球と同数の遊技球を払出装置540(図32参照)から返却させる。
第1条の投入部361〜第3条の投入部363について詳細に説明する。なお、第1条の投入部361〜第3条の投入部の構成は実質的に同一であるために、第1条の投入部361について説明し、第2条の投入部362及び第3条の投入部363についての詳細な説明を省略する。なお、第1条の投入部361〜第3条の投入部363の内部構造について互いの投入部を特に識別する必要がある場合には第1条、第2条及び第3条との接頭辞を付加して識別することとする。図26は、投入装置の一例を背面側から見た横断面図である。図26には、説明の便宜のために返却操作機構350も示されている。図27及び図28は、投入装置の一例を表す縦断面図であり、図27が投入動作をしていない場合を表し、図28が投入動作をしている場合を表している。
投入ソレノイド430は、図27に示されたように、固定筒(図示せず)及び固定筒の周縁に固定筒を中心にして配置された励磁コイル(図示せず)を含むソレノイド本体431と、ソレノイド本体431の固定筒に摺動自在に挿入されたプランジャ(可動磁性芯)432と、プランジャ432をソレノイド本体431から離隔させる方向に付勢する付勢体433(例えば、コイルバネ)と、プランジャ432の先端部に取着され、投入フリッカ440に接続される動力伝達部材434とを備えている。プランジャ432は、ソレノイド本体430の励磁コイルに電流が印加されると磁気吸着によってコイルバネ433からの付勢力に抗してソレノイド本体431に近接するように移動し、励磁コイルの電流が遮断されると付勢体433からの付勢力に基づいてソレノイド本体431から離隔するように反対側に移動する。このとき、動力伝達部材434もプランジャ432の動きに追従して移動する。
投入フリッカ440は、第1ケーシング部材411及び第2ケーシング部材412によって固定される支軸441と、支軸443に回動自在に軸支され、投入ソレノイド430の動力伝達部材434に接続される基端部材442と第1ケーシング部材411及び第2ケーシング部材412によって固定される支軸443と、支軸441に回動自在に軸支された先端部材444とを備えている。基端部材442の一端に形成されている二股上に突出する把持部442Aによって投入ソレノイド430の動力伝達部材434に形成されている舌片434Aが把持されており、基端部材442は、プランジャ432の移動に連動して支軸441を中心にして回動する。また、基端部材444において把持部442Aの形成側と異なる一端に形成されている可動連結軸(図示せず)が先端部材444の一端に形成された軸受孔(図示せず)に遊挿されており、先端部材444は、基端部材442の回動に連動して支軸443を中心にして回動する。
第1条の投入部361における投入動作について説明する。第1条の投入部361が投入動作をしていない場合には、図27に示されたように、投入ソレノイド430は、励磁コイルが励磁されておらずプランジャ432がソレノイド本体431から離隔する所定の非作動位置に配置されている非作動状態であり、また、投入フリッカ440は、先端部材444において軸受孔の形成側と異なる一端に形成された尖塔形状の規制部444Bの一部が球通路420の内側に配置され、待機通路421から投入通路422への流入が禁止されている投入禁止状態である。なお、投入フリッカ440は、主制御装置750(図40参照)の主制御基板751(図46参照)からの投入制御信号のオン状態への移行に基づいて励磁コイルに電流が印加されて投入ソレノイド430が作動すると、励磁コイルの励磁に応じて、付勢体433からの付勢力に抗してプランジャ432が上方(ソレノイド本体431側)へ並進移動する。このプランジャ432の移動に基づいて動力伝達部材434も上方へ並進移動し、動力伝達部材434に接続された基端部材442が支軸441を中心に回転(図中においては反時計回りに回転)し、また、基端部材442の回転に基づいて先端部材444が支軸443を中心に基端部材442と反対方向に回転(図中においては時計回りに回転)する。これによって、先端部材444の回転に応じて規制部444Bが球通路420から抜脱される方向に移動する。プランジャ432の並進移動が完了して所定の作動位置に配置されると、図28に示されたように、投入フリッカ440は、先端部材444の規制部444Bが球通路420の外側に配置され、待機通路421から投入通路422への流入が許容されている流入許容状態となる。なお、プランジャ432は流入許容状態において付勢体433から非作動位置に復帰させる方向の付勢力を受けている。流入許容状態においては、待機通路421に配置されていた遊技球が自重によって順次に投入通路422に流入する。
逆に、主制御基板751からの投入制御信号のオフ状態への移行に基づいて励磁コイルへの電流が遮断されて投入ソレノイド430の作動が停止すると、励磁コイルが消磁されて、付勢体433からの付勢力によってプランジャ432が下方へ並進移動する。このプランジャ432の移動に基づいて動力伝達部材434が下方へ並進移動し、基端部材442が支軸441を中心に回転(図中においては時計回りに回転)し、また、基端部材442の回転に基づいて先端部材444が支軸443を中心に基端部材442と反対方向に回転(図中においては反時計回りに回転)する。これによって、先端部材444の回転に応じて規制部444Bが球通路420に挿入される方向に移動する。プランジャ432の並進移動が完了して所定の非作動位置に配置されると、図27に示されたように、投入フリッカ440は、先端部材444の規制部444Bが球通路420の外側に配置された流入禁止状態となる。
通過センサ450は、投入通路322において投入フリッカ440の先端部444Bのすぐ下流側に配置され、投入通路322に流入した遊技球を検出する。通過センサ450は、投入フリッカ440の先端部材442の一部を取り囲む横断面略コ字形状であり、上流側センサ451と上流側センサ451よりも下流側に配設された下流側センサ452とを備えている。上流側センサ451と下流側センサ452とは、遊技球1個分の直径よりも短い所定の間隔を隔てて設けられている。上流側センサ451及び下流側センサ452の各々は、投入フリッカ440よりも前面側又は背面側のいずれか一方側に配設された発光素子(図示せず)と他方側に配設された受光素子(図示せず)とを含んでおり、受光素子における発光素子からの検査光の受光状態の変化で遊技球を検出する。上流側センサ451及び下流側センサ452は、遊技球の検出状態に基づいて検出状態に応じた信号を、投入系信号中継装置368を介して主制御基板751に出力する。
上流側センサ451及び下流側センサ452の双方が遊技球を検出していない状態から、上流側センサ451のみが遊技球を検出している状態、上流側センサ451及び下流側センサ452が同時に遊技球を検出している状態、下流側センサ452のみが遊技球を検知している状態をこの順序経て上流側センサ451及び下流側センサ452の双方が遊技球を検出していない状態に戻る場合であって、それらの状態移行が所定の通過許容時間内に行われたときは、主制御基板751において、上流側センサ451及び下流側センサ452から出力される信号の変化パターンに基づいて1球の遊技球が正常に投入されたと判定される。また、通過センサ450による遊技球の検出に基づいて、主制御装置750の主制御基板751において投入動作を停止させるための投入ソレノイド430の制御が実行される。具体的には、通過センサ450による遊技球の検出に基づいて、正常に投入された遊技球の個数が第1条の投入部361で投入すべき個数よりも1つ少ない状態において上流側センサ451が遊技球を検出した場合に、投入ソレノイド430の作動が停止され、投入フリッカ440が投入禁止状態に移行する。なお、下流側センサ452のみが遊技球を検知した状態から上流側センサ451及び下流側センサ452の双方が同時に遊技球を検知している状態に変化した場合等のように遊技球が正常には投入されなかったと判定された場合には、投入エラーの発生を報知装置群及び音響装置群が報知すると共に遊技進行が停止される。これによって、不正具を用いてあたかも遊技球が投入されたかのようにする不正行為によって遊技が行われることを抑制できる。
カウントセンサ460は、第1条の投入部361〜第3条の投入部363によって投入された遊技球の個数を通過センサ450とは別個に検出し、遊技球の検出状態に基づいて検出状態に応じた信号を、投入系信号中継装置368を介して主制御装置750の主制御基板751に出力する。カウントセンサ460における遊技球の検出に基づいて計数された投入済個数が通過センサ450における遊技球の検出に基づいて正常な投入と判定された遊技球の個数未満である場合には、投入数エラーと判断されることとなり、投入数エラーの発生を報知装置群及び音響装置群が報知すると共に遊技進行が停止される。これにより不正具を用いてあたかも遊技球が投入されたかのようにする不正行為によって遊技が行われることを更に良好に抑制できる。また、カウントセンサ460は、通過センサ450とは異なる作用によって遊技球の通過を検出する。具体的には、通過センサ450は光学センサであるが、カウントセンサ460は磁気センサである。これによって、カウントセンサ460を通過したものが鉄材料であるか否かも判定できることとなり、正規の鉄製の遊技球と異なる安価な樹脂製の遊技球等を投入する不正行為によって遊技が行われることも抑制できる。
ここで、返却操作機構350の操作に基づく投入装置360の返却動作について説明する。図29及び図30は、それぞれ、投入装置の一例を返却状態によって表す横断面図及び縦断面図である。返却操作機構350が操作されていない場合には、図26及び図27に示されたように、返却シャッタ364は基準位置にあり、第1条の投入部361〜第3条の投入部363(図26においては第1条の投入部361のみ図示)において、返却シャッタ364の返却遮断壁部364Aの一部が球通路420の内側に突出し、第1条の投入部361〜第3の投入部363の全てにおいて待機通路421から返却通路423への遊技球の流入が禁止されている。返却操作機構350の操作部材352における返却操作部352Bが返却操作(図中において時計回りの回転操作)されると、付勢体354からの付勢力に抗して操作部材352が支軸351Aを中心にして回転(図中において時計回りの回転)し、操作部材352の回転に基づいて押圧部材353が操作部材352と反対方向に回転(図中において反時計回りの回転)する。押圧部材353の回転に応じて押圧部353Cが返却シャッタ364の被押圧部364Dを押圧し、返却シャッタ364が所定の基準位置から並進移動(図中において下方移動)する。この返却シャッタ364の移動に応じて、第1条の投入部361〜第3条の投入部363において、返却シャッタ364の返却遮断壁364Aが球通路420の外側に移動すると共に返却窓孔364B及び誘導片364Cが球通路420の内側に移動する。これによって、図30に示されたように、返却遮断壁364Aが球通路420の外側に配置されると共に返却窓孔364B及び誘導片364Cが球通路420の内側に配置されて、待機通路421から返却通路423への遊技球の流入が許容され、待機通路421及び上貯留皿320(図15及び図20参照)に貯留されている遊技球が返却通路423を経て下貯留皿330(図15参照)へ移動する。なお、返却スイッチ367は、返却シャッタ364が基準位置から移動を開始した直後に、その移動を検出する。この返却許可状態において返却操作部352Aから手を離すと、操作部材352及び押圧部材353は付勢体からの付勢力に基づいて、また、返却シャッタ364は付勢体367の付勢力に基づいて、図29に示された状態に戻る。
単位遊技開始操作装置370は、図15に示されたように、前面パネル枠310における上貯留皿320の前方側に突出する部分に取着されている。単位遊技開始操作装置370は、前面パネル枠310の前面側に突出し遊技者によって操作されるスタートレバー(入力操作部)371Aと、スタートレバー371Aの操作を検出する操作検出器(図示せず)と、スタートレバー371Aを所定の基準位置に復帰させる付勢体(図示せず)とを含むスタートスイッチ371を備えている。遊技者による単位遊技開始操作装置370の単位遊技開始操作、具体的にはスタートレバー371Aの押圧操作に応じて、主制御装置750(図40参照)の主制御基板751(図46参照)に単位遊技開始指示が入力される。スタートレバー371Aは、遊技者が手を離すと押圧が解除されて、付勢体からの付勢力に基づいて基準位置に自動的に復帰する。この単位遊技開始指示の入力に応じて、各種の役から当選役(ハズレ役を含む)が決定され、左回胴810L、中回胴810M及び右回胴810R(図9参照)による図柄表示の変動が開始されることとなる。
単位遊技開始操作装置370は、更に、スタートスイッチ371が有効に操作できることを報知する発光装置372(図46参照)を備えており、発光装置372は、スタートスイッチ371が有効に操作できる場合に点灯し、一方、スタートスイッチ371が有効に操作できない場合には消灯する。なお、スタートスイッチ371が有効に操作できる場合として、例えば、図柄表示の変動が行われておらず、少なくとも最小規定数以上の遊技球がベットされた場合が挙げられる。ここで、最小規定数とは、単位遊技においてベットできる遊技球の最小数を意味し、通常遊技状態の単位遊技において5球、10球又は15球の遊技球をベット(1ベット、2ベット又は3ベット)できる場合には5球を意味し、特別遊技状態中の単位遊技等において5球の遊技球のみをベットできる場合には5球を意味する。なお、単位遊技においてベットできる個数に選択の幅がない場合には、最小規定数と最大規定数とは同一の値となる。
図柄変動停止操作装置380は、前面ブロック121における上貯留皿320の前方側に突出する部分に配設されている。図柄変動停止操作装置380は、左回胴810Lの回転を停止させるために左回胴停止指示を入力する左回胴停止操作部380Lと、中回胴810M(図9参照)の回転を停止させるために中回胴停止指示を入力する中回胴停止操作部380Mと、右回胴810Rの回転を停止させるために右回胴停止指示を入力する右回胴停止操作部380Rとを備えている。左回胴停止操作部380Lは、上貯留皿320の前面側に突出し遊技者によって操作される左回胴停止ボタン(入力操作部)381Lと、左回胴停止ボタン381Lの操作を検出する操作検出器(図示せず)と、左回胴停止ボタン381Lを所定の基準位置に復帰させる付勢体(図示せず)とを含む左回胴停止スイッチ384L(図46参照:回胴停止スイッチの一種)を備えている。左回胴停止操作部380Lは、更に、左回胴停止スイッチ381Lが有効に操作できることを報知する発光装置385L(図46参照)を備えている。発光装置385Lは、左回胴停止スイッチ384Lが有効に操作できる場合に点灯しており、左回胴停止スイッチ384Lが有効に操作できる場合に消灯している。左回胴停止スイッチ384Lが有効に操作できる場合としては、前回の単位遊技から所定の時間が経過し、左回胴810Lが定常回転している場合が挙げられる。なお、中回胴停止操作部380Mや右回胴停止操作部380Rが操作中である場合はこの限りではない。左回胴停止操作部380Lの場合と同様に、中回胴停止操作部380Mは、中回胴停止ボタン381M、操作検出器(図示せず)及び付勢体(図示せず)とを含む中回胴停止スイッチ384M(図46参照:回胴停止スイッチの一種)と発光装置385M(図46参照)とを備え、右回胴停止操作部380Rは、右回胴停止ボタン381R、操作検出器(図示せず)及び付勢体(図示せず)とを含む右回胴停止スイッチ384R(図46参照:回胴停止スイッチの一種)と発光装置385R(図46参照)とを備えている。
遊技者による左回胴停止スイッチ384Lへの停止入力操作、具体的には、左回胴停止ボタン381Lの押圧操作に応じて、左回胴810Lの回転が停止することとなる。なお、遊技者が左回胴停止ボタン381Lから手を離す等によって押圧操作が解除されると、左回胴停止ボタン381Lは自動的に所定の基準位置に復帰して、次回の押圧操作を受け付ける状態となる。同様に、中回胴停止スイッチ384M及び右回胴停止スイッチ384Rへの停止入力操作への停止入力操作に応じて、それぞれ、中回胴810M及び右回胴810Rの回転が停止することとなる。したがって、左回胴停止スイッチ384L、中回胴停止スイッチ384M又は右回胴停止スイッチ384Rが操作されるごとに左回胴810L、中回胴810M及び右回胴810Rによる図柄表示の変動が部分的に停止され、左回胴停止スイッチ384L、中回胴停止スイッチ384M及び右回胴停止スイッチ384Rの全てが操作された場合にその図柄表示の変動が完全に停止する。
音響装置群を構成する下音響装置311、右上音響装置312及び左上音響装置313の各々は、エラー報知や遊技進行に伴う演出等において単純機械音や音声や音楽を出力する。下音響装置311は、図17及び図18に示されたように、基枠300に取着されたスピーカ311Aと、前面パネル枠310に形成され多数の音響出力口が形成され、スピーカの前面を覆うスピーカカバー部311Aとを備えている。右上音響装置312及び左上音響装置313の各々は、前面パネル枠310に固着されたスピーカ312A,313A(図18のみ)とスピーカカバー部312B,313B(図17のみ)とを備えている。
枠発光装置群を構成する上発光装置314、右発光装置315及び左発光装置316の各々は、図17及び図18に示されたように、前面パネル枠310に固着された発光ダイオード(LED)等の発光素子(図示せず)が搭載された回路基板314A,315A,316A(図18のみ)と、前面パネル枠310に固着された発光素子カバー314B,315B,316Bとを備えている。上発光装置314、右発光装置315及び左発光装置316の各々は、エラー報知や遊技進行に伴う演出等において、点灯したり、消灯したり、点滅したりする。
(払出ブロックの構成)
払出ブロック122について説明する。図31及び図32は、払出ブロックの一例を表す前面側及び背面側の斜視図であり、図33は、払出ブロックの一例を表す部分分解斜視図である。また、図34及び図35は、払出ブロックの一例を表す正面図及び背面図である。なお、図35においては、一部の部材を取り除いた状態が示されている。
払出ブロック122は、図31〜図34に示されたように、払出ブロック122に配置される各種の装置等を固定する基体になる払出ブロック基体500と、払出ブロック基体500に取着され、遊技機固定設備(図示せず)から供給される遊技球を貯留する遊技球タンク510と、遊技球タンク510の下流側において払出ブロック基体500に取着され、積層貯留されている遊技球を4条に整流させると共に1段に整列させるタンクレール520と、タンクレール520の下流側において払出ブロック基体500に取着され、タンクレール520から流入した遊技球を誘導するケースレール530と、ケースレール530の下流側において払出ブロック基体500に取着され、遊技進行に伴う入賞に基づく遊技球の払い出しや球貸出要求に基づいて遊技球の貸し出しを実行する払出装置540と、払出装置540の下流側において払出ブロック基体500に取着され、払出装置540から流出した遊技球を払出ブロック基体500に形成された所定の各種の誘導通路に誘導する誘導部材550と、払出ブロック基体500に取着され、遊技機の内部電源を制御する電源制御装置570と、電源制御装置570に積層され、遊技球の払出動作を制御する払出制御装置580と、球式回胴遊技機100をCRユニット(図示せず)に接続するためのCRユニット接続装置590とを備えている。なお、上述のように、払出ブロック122の一部としての払出ブロック基体500には、払出ブロック122(図9及び図10参照)を前面ブロック121(図9及び図10参照)に対して回動自在に支持固定する一対のブロック支持機構124(図9及び図10参照)の図32に示された払出ブロック側支持部材212と、払出ブロック122(図9及び図10参照)を前面ブロック121(図9及び図10参照)に対して施錠する払出ブロック施錠機構125の図31に示された一対の払出ブロック側施錠部材231と、払出ブロック122に対して遊技ブロック123を固定すると一対の遊技ブロック固定機構126(図10参照)の図31に示された払出ブロック側固定部材241と、払出ブロック122から前面ブロック121への遊技球の移動を規制するブロック間遊技球移動規制機構127(図10参照)の図34に示された上皿側球止め機構251及び下皿側球止め機構252と、前面ブロック121に対する払出ブロック122の自動開放を制限する自動開放制限機構128(図9及び図10参照)の図31に示された係合丘部271及び陥没部272とが設けられている。
払出ブロック基体500には、その中央に背面側へ張り出して遊技ブロック123(図40及び図41参照)を被包する保護カバー部501が形成され、保護カバー部501の上部及び一側部を取り囲むように、遊技球タンク510、タンクレール520、ケースレール530、払出装置540、CRユニット接続装置590、払出制御装置560及び電源制御装置550が配設されている。また、払出ブロック基体500には、図35に示されたように、払出装置540から流出した遊技球を上貯留皿320(図15参照)へ案内する上皿誘導通路502と、払出装置540から遊技球を下貯留皿330(図15参照)へ案内する下皿誘導通路503と、遊技球を球式回胴遊技機100の外部へ排出する排出通路504が形成されている。上皿誘導通路502の流入口502Aから流入した遊技球は、上皿用流出口502B(図34参照)から流出して上貯留皿320の流入口320A(図16参照)に流入する。また、下皿誘導通路503の流入口503Aから流入した遊技球は、下皿用流出口503B(図34参照)から流出して下貯留皿330の流入口331A(図16参照)に流入する。
下皿誘導通路503には、球溢れ検出スイッチ509が設けられている。図36は、球溢れ検出スイッチの近傍の一例を表す背面図であって、図36(A)が正常状態を表し、図36(B)が球溢れ状態を表している。球溢れ検出スイッチ509は、図36(A)及び図36(B)に示されたように、作動部509Aと作動検出部509Bとを備えている。図36(A)に示された正常状態から下貯留皿330へ遊技球が流入して下貯留皿330(図15参照)が満杯となり、下皿誘導通路503における遊技球の貯留数が増加すると作動部509Aが作動検出部509Bの方向に押圧される。この押圧が所定の圧力を超えると、図36(B)に示されたように、作動検出部509Bが作動部509Aの移動を検出し、球溢れ検出スイッチ509がオン状態となる。そのオン状態が所定の時間にわたり継続した場合には球溢れエラーと判断され、払出装置540(図32参照)による払い出しの実行が一時中止されることとなる。一方、下貯留皿330の操作レバー333(図15参照)が操作されて下貯留皿330に貯留されている遊技球が減少すると、作動部509Aへの押圧力が低下し、その押圧力が所定の圧力を下回ると球溢れ検出スイッチ509がオフ状態となる。そのオフ状態が所定の時間にわたり継続した場合には球溢れエラーが解除され、払出装置540(図32参照)による払い出しの実行が再開されることとなる。
遊技球タンク510は、図31〜図34に示されたように、上方に開口した横長の箱型容器であり、その長手方向の一端から遊技機固定設備の球循環装置から供給される遊技球が逐次補給される。遊技球タンク510における遊技球の供給される側と異なる長手方向の一端の底面には開口510Aが形成されている。遊技球タンク510の底面は長手方向に緩やかに傾斜し、遊技球タンク510に供給された遊技球は開口510A側に自重によって移動する。また、長手方向と直交する方向(前後方向)に対して更に穏やかに傾斜し、前方側(払出ブロック基体500への取り付け面側)に優位に遊技球を誘導する。球循環装置(図示せず)は、遊技球を遊技球タンク510の前方側の端部近傍における上方から供給し、遊技球タンク510が満杯になると自動的に停止する構成であることが一般的であるために、遊技球タンク510において遊技球を前方側に優位に誘導することによって、前後方向に傾斜を持たせない場合と比較的して遊技球タンク510に多少の余裕がある状態で球循環装置からの遊技球の供給が停止させることができ、後述するタンクレール520における遊技球の整流整列における球詰まりの発生が抑制される。また、遊技球タンク510には、球循環装置から遊技球の供給される一端から中央近傍にかけて少なくとも底部を覆う帯電防止板511が取着されており、帯電防止板511は接地電位に接続されている。球循環装置から供給される遊技球は、遊技球の磨きやその搬送過程において静電気を帯び易く、また、一般的な球式回胴遊技機においては、遊技球の循環サイクルが弾球遊技機に比べて早いために静電気が蓄積され易いが、帯電防止板511を設けた場合には、帯電した遊技球が供給されたとしても最前段で静電気を除去できる。これによって、球式回胴遊技機100に静電気が蓄積されて、その蓄積された静電気が遊技者に放出されたり、その静電気によって各種の制御装置が誤作動したりすることを防止できる。
タンクレール520は、図32、図33及び図35に示されたように、遊技球タンク510の下方に取り付けられ、タンクレール520には遊技球タンク510の開口510Aを通して遊技球が流入する。タンクレール520は、仕切り片(図示せず)によって仕切られた4列(4条)の樋状通路(図示せず)を形成する桶状部材521と、桶状部材511に軸止された固定軸522と、固定軸512に回動自在に軸支され球詰まりを防止させながら4条に整流させると共に1段に整列させる一対の整流部材523と、整列した遊技球を誘導する誘導部材524と、タンクレール520からケースレール530への遊技球の流下を規制する流下規制機構525とを備えている。各樋状通路は、下流側に向けて緩やかに傾斜しており、遊技球タンク510から流入した側と長手方向の反対側へ遊技球を誘導する。整流部材523は固定軸522を中心軸として遊技球との接触によって振り子のように動作する。誘導部材524には4条の流出口(図示せず)形成されており、その流出口から遊技球が流出することを流下規制機構525の操作部525Aの操作によって禁止したり許容したりできる。
ケースレール530は、保護カバー部501の一側面部に沿うように縦向きに配置されており、タンクレール520から遊技球が流入する。ケースレール530には、遊技球が勢いよく流れないように波状のうねりをもって前後左右に湾曲する4条の球通路530A(図35参照)が形成されている。また、球通路530Aの上流側には、球切れ検出スイッチ531が取着されている。球切れ検出スイッチ531は、ケースレール530の内部に遊技球が十分にないこと、つまりケースレール530よりも上流側で球詰りが発生してケースレール530に遊技球が補給されていない場合や次回の払出において最大個数の払出が完了できない場合を検出する。ここで、球切れ検出スイッチ531について詳細に説明する。図37(A)及び図37(B)は、球切れ検出スイッチの近傍の一例を表す縦断面図であって、図37(A)が球有り状態を表し、図37(B)が球無し状態を表している。
球切れ検出スイッチ531は、図37(A)に示されたように、ケースレールに軸止された支軸532と、支軸532に回動自在に軸支された作動片533と、作動片533の作動を検出する検出部534とで構成される。作動片533には、支軸532から半径方向下方に延びてケースレール530内の球通路530Aを閉鎖可能な板状の揺動部533Aと、支軸532よりも上方でかつ支軸532よりも一方側に偏った偏心部533Bと、偏心部533Bから一方側に突出し検出部534を感応させる感応部533Cが形成されている。検出部534は、作動片533の一方側に設置され、作動片533の回転に応じた感応部533Cの移動を検出する。
図37(A)に示されたようにケースレール530内に十分に遊技球が補給されている場合は、揺動部533Aが遊技球によって押されてほぼ鉛直下向きになり、球通路530Aの側壁となる。この場合には、感応部533Cが検出部534から離間しており、検出部534によって感応部533Cは検出されない。一方、ケースレール530の上流側で球詰りが発生している場合等、ケースレール530に遊技球が補給されない場合には、図37(B)に示されたように、ケースレール530内の遊技球が不足する。この場合、偏心部533Bと感応部533Cの自重で作動片533が回転し、揺動部533Aにて球通路530Aが閉鎖される。このとき、感応部533Cが検出部534にて検出される。この球切れ検出スイッチ530の検出結果に基づき、所定の時間にわたり球無し状態が継続したと判断された場合には球切れエラーが発光装置群によって報知される。一方、ケースレール530の上流側での球詰りが解消されると、遊技球がケースレール530に流れ込み揺動部533Aが押圧されて、検出部534によって感応部533Cが検出されない正常な状態に戻る。この球切れ検出スイッチ530の検出結果に基づき、所定の時間にわたり球有り状態が継続したと判断された場合には球切れエラーの報知が停止される。
払出装置540は、図32、図33及び図35に示されたように、所定の入賞条件を満たすこと又はCRユニット(図示せず)にカード(図示せず)を挿入した状態で球貸出ボタン(図8参照)を押すことで、遊技球の貸し出しを実行する。本実施形態では、一般的な弾球遊技機の最大の獲得球数が15球であるのに対し、球式回胴遊技機100の最大の獲得球数は75球であり、弾球遊技機に比べて球式回胴遊技機100の最大の獲得球数が多いという観点から、弾球遊技機よりも多数条で協同して払出しを実行し、払出球や貸出球の払い出しを迅速に行えるようにしている。つまり、弾球遊技機は2つの払出系統(2条)の払出装置を1つ備えていれば遊技を迅速に進行できたが、球式回胴遊技機100の場合は獲得球数が多くかつ賞球が全て払い出されなければ次の単位遊技を開始できないという制約があるので、遊技を遅滞なく進行できるように、本実施形態では、4つの払出系統(4条)で協同して払い出しを行うことによって払出球の払い出しの迅速化を図っている。
払出装置540は、図33に示されたように、第1払出装置541と、第2払出装置542と、第1払出装置541の背面側を覆うカバー543とを備えている。第1払出装置541及び第2払出装置542の各々は、2つの払出系統で払い出しを実行する。ここで、第1払出装置541及び第2払出装置542について説明する。なお、第1払出装置541及び第2払出装置542とは同一の構成であるために、以下においては、第1払出装置541についてのみ詳細に説明する。図38は、第1払出装置の構成の一例を表す部分分解図である。第1払出装置541は、第1ケーシング611と第2ケーシング612とカバー613とで構成される筐体を備え、第1ケーシング611がカバー613で被覆されること及び第2ケーシング612が第1ケーシング611で被覆されることによって、それぞれ、第1払出系統及び第2払出系統に遊技球の通過する球通路620が形成される。なお、第1ケーシング611は、第2ケーシング612に対してカバー613と同様の役割も担っている。球通路620は、ケースレール530の球通路530Aに連通する流入口近傍において曲折した待機通路621と、待機通路621より下流側の略直線な払出通路622と、払出通路622の途中で払出通路622から分岐する排出通路623とで構成されている。また、第1ケーシング611、第2ケーシング612及びカバー613の一側面には、払出制御基板581(図46参照)との間の各種の信号の送受信を行う払出系信号中継装置691が配設されている。
第1ケーシング611及び第2ケーシング612の各々には、待機通路621から払出通路622への遊技球の自重による移動を規制する支軸641及び支軸642によって軸支された払出フリッカ640と、払出フリッカ640の規制状態を変化させる払出ソレノイド630とが配設されている。なお、支軸641及び支軸642は2つの払出系統で共用されている。また、第1払出装置541は、待機通路621より上流側に貯留されている遊技球を排出通路623に強制的に誘導して、球式回動遊技機100の外部に排出させる球抜き機構680を備えている。球抜き機構680は、固定軸681と、固定軸681に軸支された操作レバー682と、払出通路622に進入した遊技球を払出通路622と排出通路623との分岐点において遊技球の流下経路を切り替える切換部684Aを2つの払出系統に対応して一対で含み2つの払出系統で共通な切換部材684と、払出ソレノイド630を強制的に機構的に作動させる押圧部683Dを2つの払出系統に対応して一対で含み2つの払出系統で共通な押圧部材683とで構成されている。また、第1払出装置541は、払出通路622に流入した遊技球を検出する払出カウントスイッチ671を2つの払出系統に対応して一対で含み2つの払出系統で共通な払出数計数装置670を備えている。
第1払出装置541の各払出系統の詳細な構成及びその動作について説明する。なお、払出装置540における各払出系統の構成は実質的に同一であるために一方の払出系統について説明し、他の払出系統については説明を省略する。図39(A)〜図39(C)は第1払出装置の構成の一例を示す縦断面図である。図39(A)が払出待機状態である場合、図39(B)が払出状態である場合、図39(C)が排出状態である場合を表している。
第1払出装置541の払出系統は、図39(A)に示されたように、第1ケーシング611とカバー613(図35参照)からなる樹脂製の筐体を有し、この筐体の内部に、払出フリッカ640と、払出ソレノイド630と、切換部材684の切換部684Aとを備えている。第1ケーシング611の内部には、待機通路621と、待機通路621の下流側でほぼ鉛直下向きに延びる払出通路622と、払出通路622の途中から分岐して斜め下方へ延びる排出通路623とが形成されている。切換部684Aは、払出通路622から排出通路623への分岐部に配設されている。通常は、切換部684Aは略鉛直上向きに維持されているために、遊技球は排出通路623には流入しない。
払出フリッカ640は、待機通路621から払出通路622への遊技球の流入を規制する。払出フリッカ640は、基端部材644と先端部材643とを備え、基端部材644に形成された可動連結軸644Cが先端部材643に形成された軸受孔(図示せず)に挿通されていることによって、基端部材644と先端部材643とが連結されている。払出フリッカ640の基端部材644及び先端部材643は、それぞれ、第1ケーシング611の支軸641及び支軸642によって回動自在に支持されている。払出フリッカ640の基端部材644には、払出ソレノイド630の舌片634Bを把持する把持部644Bが設けられている。また、払出フリッカ640の先端部材643には、待機通路621と払出通路622との境界部分に突出可能な開閉部643Bが設けられている。
払出ソレノイド630は、所定の入賞条件を満たすことにより、或いは図示しないCRユニット(図示せず)にカード(図示せず)を挿入した状態における球貸出操作装置390(図15及び図46参照)への貸出操作により通電されて作動し、プランジャ632を上方へ縮まらせるものである。プランジャ632の先端には、プランジャ632の一側面から外方向に延びる舌片634Bの形成されたつまみ部材634が装着されている。また、プランジャ632の周縁には、コイルバネ633(付勢体の一種)が外装されている。コイルバネ633は、励磁コイル(図示せず)を含む払出ソレノイド630の本体部分631とつまみ部材634とを離間させる方向に付勢している。つまり、払出ソレノイド630への通電を切ったときには、プランジャ632は、コイルバネ633の付勢力により下方へ移動する。
待機通路621と払出通路622との境界部分に払出フリッカ640の開閉部643Bが図39(A)に示されたように突出し、待機通路621から払出通路622への遊技球の流入が禁止された通過禁止状態において、所定の入賞条件が成立したり、度数表示部391(図15参照)に残度数がある状態で球貸出操作装置390の貸出操作がなされると、払出ソレノイド630の励磁コイルに通電される。この通電に応じて、図39(B)に示すように、プランジャ632が本体部分631に引き寄せられて払出フリッカ640の基端部材44が図示上反時計回りに回転し、これに連動して払出フリッカ640の先端部材643は図示上時計回りに回転する。これによって、先端部材643の開閉部643Bが待機通路621と払出通路622との境界部分からそれらの球通路620(図38も参照)の外側に移動し、待機通路621から払出通路622への遊技球の流入が許可された通過許可状態に移行する。通過許可状態に移行すると、遊技球は、自重によって自然落下する。逆に、図39(B)に示された払出フリッカ640の通過許可状態において、払出ソレノイド630の通電が遮断されると、コイルバネ633の付勢力によりプランジャ632が本体部分631から引き離されて払出フリッカ640の基端部材644が図示上時計回りに回転し、これに連動して払出フリッカ640の先端部材643は図示上反時計回りに回転する。これによって、先端部材643の開閉部643Bが待機通路621と払出通路622との境界部分の球通路620の内側に移動し、図39(A)に示された通過禁止状態に戻る。
また、払出ソレノイド630の下方には、押圧部材683(図38も参照)の略L字形状の押圧部683Dが配置されている。押圧部683Dは、支軸部683Cを中心にして回動し、つまみ部材634を上方へ押圧したり押圧を解除したりする。第1ケーシング611の外部には、略扇形状の操作レバー682(図38参照)が配設されている。操作レバー682は回転軸681を中心に回動可能である。操作レバー682には、切換部684Aの中間に設けられた突起部684Cと、押圧部材683の基端部683Aに設けられた突起部683Bとが連結されている。つまり、操作レバー682を操作すると、操作レバー682の回動に連動して、切換部684Aと押圧部683Dが回動する。
図39(A)に示された通過禁止状態から、操作レバー682を図示上反時計回りに操作すると、図39(C)に示されたように、その操作に連動して切換部684Aが図示上反時計回りに回転し、その回転に応じて払出通路622が遮断されて排出通路623への遊技球の流入が許可され、また、その操作に連動して押圧部683Dが回転しその回転によって払出ソレノイド630のつまみ部材634が押し上げられ、払出フリッカ640が通過許可状態となる。これによって、待機通路621から排出通路623への遊技球の流入が許可される。なお、タンクレール520(図32参照)に設けた操作部525Aの操作によって遊技球が流れるのを阻止しつつ操作レバー682を上記の如く操作すると、流下規制機構525から下流側に貯留されていた全ての遊技球を球式回胴遊技機100の外部に排出できる。また、払出装置540(図32参照)やケースレール530(図32参照)が故障した場合には、払出装置540やケースレール530を簡便に取り替えることもできる。
また、横断面略コ字形状の払出カウントスイッチ671が装着されており、払出カウントスイッチ671は、払出フリッカ640の開閉部643Bのすぐ下流側に配置され、払出通路622を流下する遊技球を検出する。払出カウントスイッチ671による遊技球の検出に基づいて払い出した遊技球の個数が計数されることとなる。
誘導部材550は、図33に示されたように、払出装置540の下方に配設されており、各払出装置540に1つずつ対応付けられた2条の払出球通路551と、各払出装置540に1つずつ対応付けられた2条の排出球通路552とを形成する。2条の払出球通路551は、図35に示されたように、上流端において所定の払出通路622に連通し、下流端において上皿誘導通路502及び下皿誘導通路503に一括して連通されている。2条の払出球通路551の各々は、その下流部において上皿誘導通路502及び下皿誘導通路503を跨ぐように下流側に向けて先太りするテーパ形状となっており、その上流部において上皿誘導通路502側にやや傾いている。払出球通路551に流入した遊技球は、上皿誘導通路502又は下皿誘導通路503に流出するが、上流部が上皿誘導通路502側にやや傾いていることによって、下皿誘導通路503よりも上皿誘導通路502に優位に流出する。また、2条の排出球通路552は、上流端において所定の排出通路623に連通し、下流側において合流して1条の排出球通路となり、その下流端において排出誘導通路504に連通されている。
電源制御装置570は、図33に示されたように、外部電力に基づいて所定の電源電圧の電力を各種制御装置や各種の駆動装置や各種のスイッチに供給する。電源制御装置570は、電源制御基板571(図46参照)と、電源制御基板571を収納する収納部材572及び収納部材572と係合して電源制御基板571を封止する蓋部材573からなる2つ割りの基板ケースとを含んでいる。電源制御基板571には、電源回路571A(図46参照)と、電源スイッチ571B、リセットスイッチ571C、打止切換スイッチ571D及び設定変更スイッチ571E(図47参照)及び電源回路571Aから出力される電力の電圧を監視する停電監視回路571F(図46参照)が設けられている。電源制御装置570の蓋部材573には係合爪部573A(図34参照)が形成され、また、払出ブロック基体500には電源制御装置570の係合爪部573Aが挿通される貫通孔507Aと、貫通孔507Aの一部に突出し、係合爪部573Aと係合する係合爪部507Bが形成されており、払出ブロック基体500に対して電源制御装置570を対向方向に移動させて払出ブロック基体500の貫通孔507Aに電源制御装置570の係合爪部573Aを挿入し、その後、払出ブロック基体500に対して電源制御装置570を並進移動(スライド)させて払出ブロック基体500の係合爪部507Bに電源制御装置570の係合爪部573Aを係合させることによって、電源制御装置570が払出ブロック基体500に装着される。
電源スイッチ571Bは、外部電力を電源回路571Aに取り込むか否かを決定するスイッチであり、電源スイッチ571Bがオン状態である場合には、外部電力が取り込まれて各種制御装置や各種の駆動装置や各種のスイッチに電力が供給される。リセットスイッチ571Cは主制御基板751や払出制御基板581の動作状態を初期化するボタンスイッチであり、電源スイッチ571Bがオン状態であり遊技状態がエラー状態である場合にリセットスイッチ571Cが操作(押下)されるとRAM751C及びRAM581Cのエラーに関連する情報がリセットされてエラー状態が解除される。打止切換スイッチ571Dは、ビッグボーナスの終了毎に遊技進行を一時停止するか否かを設定するスイッチである。設定変更スイッチ571Eは、ボーナス役の当選確率等の各種の抽選確率を決定する確率設定を変更するキースイッチである。球式回胴遊技機100において出球率(単位遊技当たりの遊技球の獲得に対する期待値)等の異なる確率設定が予め複数段階(例えば6段階)に定められており、そのいずれかの段階が確率設定として設定されている。確率設定の変更の手順は次の通りである。まず、電源スイッチ571Bがオフ状態である場合に、設定変更スイッチ571Eに所定の設定キー(図示せず)を挿入して時計回りに90度回転させる。なお、このとき設定キーから手を離しても現状が維持される。この状態で、電源スイッチ571Bをオン状態に移行させると、遊技ブロック123の前面側に設けられた遊技状態表示装置734(図40参照)に現在の確率設定(例えば、数値「1」〜「6」)が表示される。この状態で、リセットスイッチ571Cを操作すると、その操作毎に変更後の確率設定の候補が遊技状態表示装置734の7セグメント表示部734Aに循環的に表示される(例えば、操作毎に表示される数値が変化して1ずつ増加し、「6」の場合には「1」に戻る)。変更後の確率設定の候補として所望の確率設定が遊技状態表示装置734に表示されている状態で単位遊技開始操作装置370(図15参照)を操作(スタートレバー370Aを押下)すると、確率設定の候補が7セグメント表示部734Aに表示されている確率設定に確定される。その後、設定キーを反時計回りに90度回転させると、7セグメント表示部734Aにおける確率設定の候補の表示が消え、確率設定が上記で候補として確定された確率設定に変更される。停電監視回路571Fは、電源回路571Aから出力される電力の電圧を監視しており、電源スイッチ571Bのオフ状態への移行や不測の外部電力の遮断や不測の電圧変動によって所定の許容範囲の電圧未満となったか否かを検出する。その状態が所定の時間だけ継続した場合には、停電状態の発生と判断して、球式回胴遊技機100が停止されることとなる。
払出制御装置580は、主制御装置750(図40参照)の主制御基板751(図46参照)からの指示に基づいて払出装置540による遊技球の払い出しや貸し出しを制御する。払出制御装置580は、払出制御基板581(図46参照)と、払出制御基板581を収納する収納部材582及び収納部材582と係合して払出制御基板581を封止する蓋部材583からなり、収納部材582及び蓋部材583が開封の痕跡を残さずには開封できないように連結された2つ割りの基板ケースとを含んでいる。払出制御基板581は、図46に示されたように、制御の中枢をなすCPU581A、制御プログラムや制御プログラムで参照される固定データを記憶するROM581B及び制御プログラムの実行において参照される可変データ等を記憶するRAM581Cを1チップ化したMPUや外部に出力する信号及び外部から入力される信号の入出力を制御する各種の入出力ポート581D等を含んでいる。払出制御装置580の蓋部材583には係合爪部583Aが形成され、また、電源制御装置570の収納部材572には払出制御装置580の係合爪部583Aと係合する係合爪部572Aが形成されており、電源制御装置570に対して払出制御装置580を並進移動(スライド)させて電源制御装置570の係合爪部572Aに払出制御装置580の係合爪部583Aを係合させることによって、払出制御装置580が電源制御装置570に装着される。
CRユニット接続装置590は、球式回胴遊技機100の前面の球貸出操作部392(図15参照)及びCRユニット(図示せず)に電気的に接続され、遊技者による貸出操作を検知してCRユニットに信号を出力したり、その出力に応じたCRユニットからの信号を払出制御基板581に伝達したりする。なお、CRユニットを介さずに外部球貸装置等から上貯留皿320(図15参照)に遊技球が直接に貸し出される場合には、CRユニット接続装置590は不要である。
(遊技ブロックの構成)
遊技ブロック123について説明する。図40及び図41はそれぞれ遊技ブロックの一例を表す正面側及び背面側の斜視図であり、図42は遊技ブロックの一例を表す部分分解斜視図であり、図43は遊技ブロックの一例を表す背面図である。遊技ブロック123は、図40〜図43に示されたように、前面ブロック121の遊技領域透視パネル301(図15参照)を介して視認される。遊技ブロック123は、窓孔700A及び窓孔700Bが形成されている遊技ブロック基体700と、窓孔700Aに対応して遊技ブロック基体700の背面側から取着され、窓孔700Aを通して一部が視認される回胴ユニット710と、窓孔700Bに対応して遊技ブロック基体700に背面側から取着され、窓孔700Bを通して表示画面が視認される液晶表示装置720と、液晶表示装置720の左方において遊技ブロック基体700に背面側から取着された可動演出装置731と、可動演出装置731の下方において遊技ブロック基体700に背面側から取着された演出発光装置732、液晶表示装置720及び回胴ユニット710の右方において遊技ブロック基体700に背面側から取着された演出発光装置733と、演出発光装置733の下方において遊技ブロック基体700に背面側から取着された遊技状態表示装置734と、回胴ユニット710の一側方において遊技ブロック基体700の背面側に取着された主取付台740と、主取付台740に配設された主制御装置750と、液晶表示装置720の後方に位置し、遊技ブロック基体700の背面側に取着された副取付台760と、副取付台760に配設された副制御装置770とを備えている。なお、上述のように、遊技ブロック123の一部としての遊技ブロック基体700には、図43に示されたように遊技ブロック123(図9及び図10参照)を前面ブロック121(図9及び図10参照)に対して回動自在に支持固定する一対のブロック支持機構124(図9及び図10参照)を構成する遊技ブロック側支持部材212と、図41及び図43に示されたように遊技ブロック123を払出ブロック122に対して固定すると一対の遊技ブロック固定機構126(図10参照)を構成する遊技ブロック側固定機構242とが設けられている。
回胴ユニット710は、左回胴810Lと、中回胴810Mと、右回胴810Rとを備えている。左回胴810L、中回胴810M及び右回胴810Rの各々の表面には複数種類の図柄が描かれており、単位遊技の開始時に左回胴810L、中回胴810M及び右回胴810Rの全てが所定の方向に回転することによって図柄表示が変動し、その後、左回胴810L、中回胴810M及び右回胴810Rの全てが停止することによって遊技結果を表す図柄表示が確定される。遊技ブロック基体700の窓孔700Aからは、左回胴810L、中回胴810M及び右回胴810Rにそれぞれ貼着される左図柄シール812L、中図柄シール812M及び右図柄シール812L(図44及び図45参照)の各々の図柄のうちそれぞれ3図柄の全体が窓孔700Aから視認できる。
液晶表示装置720は、通常遊技中の小役当選の報知演出や遊技状態が通常遊技状態からボーナス状態に遷移することを示唆するための示唆演出、ビッグボーナス又はレギュラーボーナス中の演出、ボーナス中の小役ゲーム数やJACゲーム数の表示、特定の遊技状態(例えば、リプレイが当選しやすいRT状態)であることを報知する演出、左回胴停止操作部380L、中回胴停止操作部380M及び右回胴停止操作部380R(図15参照)の操作タイミングや操作順序を報知する演出などを行う。
回胴ユニット710について詳細に説明する。図44は、回胴ユニットの一例の部分解斜視図である。回胴ユニット710は、図44に示されたように、左回胴810Lと、中回胴810Mと、右回胴810Rと、左回胴810L、中回胴810M及び右回胴810Rを固定する上枠部材801、下枠部材802、左枠部材803及び背枠部材804からなる回胴ユニット枠と、左回胴810L、中回胴810M及び右回胴810Rの駆動を制御するモータドライバ809とを備えている。左回胴810L、中回胴810M及び右回胴810Rは、実質的に同一の構成であるために、以下において、右回胴810Rを例に挙げて説明する。なお、左回胴810L、中回胴810M及び右回胴810Rの内部構造について互いの回胴を特に識別する必要がある場合には参照符号の末尾にそれぞれL、M及びRの接尾辞を付加して識別することとする。
右回胴810Rは、円筒状のかごを形成する円筒骨格部材811と、円筒骨格部材811の外周面に貼着され、21個の図柄(識別要素)が等間隔で描かれた図柄シール812(図45も参照)と、円筒骨格部材811を回転させるステッピングモータ813と、円筒骨格部材811とステッピングモータ813の回転軸813Aとを連結する円盤状の連結板814と、上枠部材801及び下枠部材802とに接続され、回胴ユニット枠にステッピングモータ813を固定するモータプレート815と、円筒骨格部材811の5つの車輻811Aのうちの1つに配設され、回転軸方向に突出するセンサカット板816と、モータプレート815に取着され、センサカット板816の通過を検出する回胴位置検出センサ817とを備えている。
ステッピングモータ814は、504パルスの駆動信号(励磁信号又は励磁パルスとも称される)により右回胴810Rが1周するように設定されており、この励磁パルスによって回転位置が制御される。すなわち、右回胴810Rが1周すると21図柄が順々に遊技ブロック基体700の窓孔700Aから露出するため、ある図柄から次の図柄へ切り替えるには24パルス(=504パルス÷21図柄)を要する。そして、回胴位置検出センサ817がセンサカット板816の通過を検出したことを表す信号の受信の時点からのパルス数により、どの図柄が窓孔700Aを通して表示されているかを認識したり、所望の図柄が窓孔700Aを通して表示されるように停止制御を行ったりできる。ステッピングモータ814として、本形態においては、1−2相励磁方式を採用したハイブリッド(HB)型の2相ステッピングモータを使用している。なお、ステッピングモータ814はハイブリッド型や2相に限らず、3相のステッピングモータや5相のステッピングモータなど、種々のステッピングモータを使用することができる。ステッピングモータ814に対する駆動信号(駆動信号用データ)は、励磁データとしてモータドライバ809に与えられる。
回胴位置検出センサ817は発光素子と受光素子とが一対となったフォトセンサであり、発光素子と受光素子とは所定の間隔を隔てて配置されている。センサカット板816は、右回胴810Rの回転に伴って1回転毎に回胴位置検出センサ817の発光素子と受光素子との間隙を通過する。したがって、右回胴810Rが1回転するごとにセンサカット板816の通過が回胴位置検出センサ817によって検出され、検出状態に応じた信号が出力される。主制御装置750の主制御基板751はこの検出信号に基づいて右回胴810Rの角度位置を1回転ごとに確認し、ズレが発生している場合には主制御基板751における回転情報が補正される。
ここで、左回胴810L、中回胴810M及び右回胴810Rの図柄シール812L、812M及び812Rの各々に描かれる図柄について説明する。図45は、図柄シールを表す展開図であり、図45(A)が左回胴の図柄シールの一例を表し、図45(B)が中回胴の図柄シールを表し、図45(C)が右回胴の図柄シールを表している。図45(A)〜図45(C)に示されたように、左図柄シール812L、中図柄シール812M及び右図柄シール812Rの各々には、「7」図柄(例えば、左図柄シール812Lにおける第19番目の図柄)と、「青年」図柄(例えば、左図柄シール812Lにおける第14番目の図柄)と、「BAR」図柄(例えば、左図柄シール812Lにおける第17番目の図柄)と、「リプレイ」図柄(例えば、左図柄シール812Lにおける第20番目の図柄)と、「スイカ」図柄(例えば、左図柄シール812Lにおける第12番目の図柄)と、「ベル」図柄(例えば、左図柄シール812Lにおける第18番目の図柄)と、「チェリー」図柄(例えば、左図柄シール812Lにおける第16番目の図柄)とを含んでいる。左図柄シール812L、中図柄シール812M及び右図柄シール812Rの各々において、図柄の種類ごとの数や図柄の配列等は異ならせている。本形態では、左図柄シール812L、中図柄シール812M及び右図柄シール812Rの各々には、全種類の図柄が含まれている場合を例示したが、本発明においては、各図柄シールには必ずしも全種類の図柄が含まれていなくてもよい。また、本形態においては、左図柄シール812L、中図柄シール812M及び右図柄シール812Rの各々における図柄数が21個である場合を例示したが、本発明においては、図柄数は20個以下であってもよいし、22個以上であってもよい。
本形態では、「7」図柄(ビッグボーナス図柄の一種)がいずれかの有効ラインに沿って3つ揃った場合又は「青年」図柄(ビッグボーナス図柄の一種)がいずれかの有効ラインに沿って3つ揃った場合には、ビッグボーナス役の入賞となり、ビッグボーナスゲームに移行する。また、「BAR」図柄(レギュラーボーナス図柄)がいずれかの有効ラインに沿って3つ揃った場合には、レギュラーボーナス役の入賞となり、レギュラーボーナスゲームに移行する。「リプレイ」図柄がいずれかの有効ラインに沿って3つ揃った場合には、再遊技役の入賞となり、再遊技ゲーム(リプレイゲーム)に移行する。「スイカ」図柄いずれかの有効ラインに沿って3つ揃った場合にはスイカ役の入賞となり、「ベル」図柄いずれかの有効ラインに沿って3つ揃った場合にはベル役の入賞となり、左回胴810Lの「チェリー」図柄がいずれかの有効ライン上に停止した場合にはチェリー役の入賞となり、それぞれ所定の個数の遊技球が払い出されることとなる。
可動演出装置731、演出発光装置732及び演出発光装置733は、図40に示されたように、遊技進行に伴う演出やビッグボーナス又はレギュラーボーナスの確定報知などに使用される。
可動演出装置731、演出発光装置732及び演出発光装置733は、遊技進行に伴う演出やビッグボーナスやレギュラーボーナス等の利益役当選の確定報知などに使用される。遊技状態表示装置734は、上方側において数字関連情報を表示する7セグメント表示部734Aと、前回の単位遊技で再遊技役に当選しかつ入賞した再遊技状態であることを表示する再遊技状態表示部734Bと、ベット数を表示するベット数表示部734C〜Eで構成されている。7セグLED表示部734Aは、入賞に伴う払出数、エラー状態発生時のエラーコード、ボーナス遊技状態中の総払出数やゲーム数、設定変更時の現在の確率設定や変更候補の確率設定等を表示する。
主制御装置750は、図40〜図43に示されたように、球式回胴遊技機100の主たる遊技進行の制御を司るもので、例えば、単位遊技開始操作装置370(図15参照)からの単位遊技開始指示の入力に応じて複数種類の利益役(ビッグボーナス、レギュラーボーナス、小役、リプレイ等)の抽選を行い、その抽選結果に基づき副制御装置770や払出制御装置580に指令信号を出力する。主制御装置750は、主制御基板751(図46も参照)と、主出制御基板751を収納する収納部材752及び収納部材752と係合して主出制御基板751を封止する蓋部材753からなり、収納部材752及び蓋部材753が開封の痕跡を残さずには開封できないように連結された2つ割りの基板ケースとを含んでいる。主制御基板751は、図46に示されたように、制御の中枢をなすCPU751A、制御プログラムや制御プログラムで参照される固定データを記憶するROM751B及び制御プログラムの実行において参照される可変データ等を記憶するRAM751Cを1チップに含むMPUと、外部に出力する信号及び外部から入力される信号の入出力を制御する各種入出力ポート751D、各種抽選に用いられる乱数発生回路751E、時間計数や同期を図る場合等に使用されるクロック回路751F等を含んでいる。図42に示されたように、主制御装置750の収納部材752には係合爪部750Aが形成され、また、主取付台740には収納部材752の係合爪部750Aと係合する係合爪部740Aが形成されており、主取付台740に対して主制御装置750を並進移動(スライド)させて主取付台740の係合爪部740Aに主制御装置750の係合爪部750Aを係合させることによって、主制御装置750が主取付台740に装着される。
副制御装置770は、図42に示されたように、副制御基板771(図46参照)と、副制御基板771を収納する収納部材771及び収納部材772と係合して副制御基板771を封止する蓋部材773からなり、収納部材772及び蓋部材773が開封の痕跡を残さずには開封できないように連結された2つ割りの基板ケースとを含んでいる。副制御基板771は、制御の中枢をなすCPU(図示せず)、制御プログラムや制御プログラムで参照される固定データを記憶するROM(図示せず)、制御プログラムの実行において参照される可変データ等を記憶するRAM(図示せず)、外部に出力する信号及び外部から入力される信号の入出力を制御する各種入出力ポート(図示せず)等を含んでいる。副制御装置770は、副取付台760を介して遊技ブロック基体700に装着される。
〔本発明の主たる特徴部分の構成〕
本発明に係る球式回胴遊技機100(〔遊技機〕の一種)は、図10を参照して上述したように、外枠110(〔枠体〕の一種)と、遊技機本体120(〔本体〕の一種)と、遊技機本体120を外枠110に対して開閉自在に支持する本体支持機構130と、外枠110に対して遊技機本体120を施錠する本体施錠機構140と、本体施錠機構140を開錠させたり施錠させたりする錠開閉操作機構150(図1参照)とを備えている。遊技機本体120は、前面ブロック121(〔前面ブロック〕の一種)と、払出ブロック122(〔背面ブロック〕の一種の一部)と、遊技ブロック123(〔背面ブロック〕の一種の一部)と、前面ブロック121に対して払出ブロック122及び遊技ブロック123を開閉自在に支持する一対のブロック支持機構124(〔ブロック間支持機構〕の一種)と、前面ブロック121に対して払出ブロック122を施錠する払出ブロック施錠機構125と、払出ブロック122に対して遊技ブロック123を固定する一対の遊技ブロック固定機構126(〔背面ブロック〕の一種の一部)とを備えている。払出ブロック122及び遊技ブロック123は、外枠110に対する遊技機本体120の開放状態において前面ブロック121に対する開閉が許容され、外枠110に対する遊技機本体120の閉鎖状態において、主に一対の回動部材238を含む開放防止機構によって前面ブロック121に対する開閉が禁止されている。なお、以下においては、遊技ブロック123は、払出ブロック122に常に固定されているとして説明する。払出ブロック122は、図32を参照して上述したように、払出ブロック基体500(〔基体〕の一種)と、払出ブロック基体500の背面側に着脱自在に取着された電源制御装置570(〔遊技媒体の獲得に関与する回路装置〕の一種)と、払出ブロック基体500の背面側に電源制御装置570を介して着脱自在に取着された払出制御装置580(〔遊技媒体の獲得に関与する回路装置〕の一種)とを含んでいる。
電源制御装置570は、所定の一方向(以下、「離脱方向」とも称す)への払出ブロック基体500に対する所定の最小距離(以下、「離脱距離」とも称す)以上の並進移動によって、払出ブロック基体500から取り外せる状態となり、また、払出制御装置580は、所定の一方向(以下、「離脱方向」とも称す)への払出ブロック基体500に対する所定の最小距離(以下、「離脱距離」とも称す)以上の並進移動によって、払出ブロック基体500から取り外せる状態となる。なお、本形態においては、電源制御装置570の離脱方向と払出制御装置580の離脱方向とは同一方向である。
球式回胴遊技機100は、更に、図31に示されたように、払出ブロック122に対して回動自在(〔移動自在〕の一種)であり、電源制御装置570及び払出制御装置580の着脱を規制する着脱規制体10(〔離脱規制体〕の一種)を更に備えている。ここで、着脱規制体10について詳細に説明する。図47は、着脱規制体の動作の一例を説明するために離脱規制体の近傍の一例を表す斜視図である。図47(A)及び図47(B)には、それぞれ、払出ブロック122に対する着脱規制体560の閉鎖状態及び開放状態が示されている。
図47(A)及び図47(B)に示されたように、着脱規制体10(〔離脱規制体〕の一種)は、払出ブロック122の閉鎖状態において前面ブロック121(図10参照)(〔前面ブロック〕の一種)と払出ブロック122との間隙(〔ブロック間隙〕の一種)を実質的に埋める基体部11(〔基体部〕の一種)と、基体部11の左端に設けられ、払出ブロック基体500に接続される一対の軸体部12(図31参照)と、基体部11の背面側に突出する突出爪部13(〔移動規制機構〕の一種の一部:〔背面基体の係合部〕の一種)と、基体部11に固着された着脱規制部14(〔離脱規制部〕の一種)と、基体部11に設けられ、着脱規制部14の周縁の一部を覆う被覆部15(〔破断抑制部〕の一種)を含んでいる。
基体部11は、前面ブロック121において払出ブロック122の閉鎖状態で基体部11に対向する部分の凹凸形状と概ね同一の凹凸が形成された板状片21(図47(B)のみ;図31も参照)と、板状片21の背面側に垂設され、払出ブロック122において払出ブロック122の閉鎖状態で基体部11に対向する部分の凹凸形状と概ね同一の凹凸形状となるように局所的な長さが適宜に調整された垂設片22(図47(B)のみ)とを含んでいる。払出ブロック122の閉鎖状態における板状片21と前面ブロック122との間には実質的に空隙が形成されない。着脱規制体10の閉鎖状態における板状片21と払出ブロック122との間の空間は、垂設片22によって複数の小空間に分割されている。突出爪部13は、着脱規制部14側と反対側に突出する先端爪31と、先端爪31と基体部11とを接続する突出腕32とを含んでいる。着脱規制部14は、板状片21の背面側に垂設された規制片41と、規制片41から垂設され、規制片41の強度を補強する補強片42とを含んでいる。被覆部15は、補強片42が突出する側の着脱規制部14の一部を覆い、着脱規制部14の撓みに基づく破断を抑制している。
払出ブロック基体500には、その前面側(前面ブロック側)において着脱規制体10の軸体部12と係合する一対の軸受け部91(図31参照)と、着脱規制体10の最大回転角度を制限する一対の回転制限部92(図31参照)とが設けられている。また、払出ブロック基体500には、着脱規制体10の突出爪部13が挿通される貫通孔93と、着脱規制体10の着脱規制部14が挿通される貫通孔94とが形成されている。なお、一対の軸受け部91、一対の回転制限部92、貫通孔93及び貫通孔94は、払出ブロック基体500の一体成型において一括して形成される。
着脱規制体10は、一対の軸受け部91と一対の軸体部12との枢着によって、球式回胴遊技機100の左右方向の中央近傍における上下方向の軸を回転軸として回動して、図47(A)に示されたように、払出ブロック122に対して着脱規制体10が閉鎖された状態(以下、「着脱規制体の閉鎖状態」とも略記する)と、図47(B)に示されたように、払出ブロック122に対して着脱規制体10が開放された状態(以下、「着脱規制体の開放状態」とも略記する)との間を移行する。
着脱規制体の閉鎖状態において、着脱規制部14は、電源制御装置570及び払出制御基板に対する着脱規制位置(〔離脱規制位置〕の一種)に配置されており、貫通孔94を貫通して払出ブロック基体500の背面側に突出し、電源制御装置570における離脱方向側の端部から離脱距離未満だけの間隙を隔てて離脱方向の前方を覆うと共に、払出制御装置580における離脱方向側の端部から離脱距離未満だけの間隙を隔てて離脱方向の前方を覆っている。つまり、着脱規制部14は、また、着脱規制体10の突出爪部13が払出ブロック基体500の貫通孔93に挿通されて、突出爪部13における着脱規制部14と反対側に突出する先端爪31が払出ブロック基体500の背面側に突出しており、貫通孔93による突出爪部13の係止によって払出ブロック122に対する着脱規制体10の前面ブロック121側への回転(以下、「開放回転」とも称す)が禁止されている。なお、着脱規制体10の前面ブロック121と反対側への回転(以下、「閉鎖回転」とも称す)も、着脱規制体10の垂設片22と払出ブロック基体500とが当接することによって実質的に禁止されている。
着脱規制体10の閉鎖状態から払出ブロック122に対して着脱規制体10を開放回転させるためには、まず、突出爪部13の先端爪31を着脱規制部14側へ移動させて貫通孔93による突出爪部13の係止を解除しなければならない。但し、払出ブロック122の開放状態においては、突出爪部13の係止の解除によって、着脱規制体10は回転自在となるが、払出ブロック122の開放状態においては、突出爪部13の係止が解除されたとしても、着脱規制体10の板状片21と前面ブロック基体とが当接することによって実質的に着脱規制体10の開放回転は禁止される。
ここで、払出ブロック122の開放状態における着脱規制体10の開閉動作について説明する。まず、先端爪31が着脱規制部14側へ押圧されると、先端爪31は、押圧される部分が傾斜面であるために、突出腕32の撓みによって着脱規制部14側へ移動した後に前面ブロック側に移動する。したがって、突出爪部13は先端爪31への押圧を止めても係止状態に復帰しない。更に、突出腕32の撓み状態からの復元力によって、先端爪31が貫通孔93の側壁とも係合しない状態まで自動的に回転する。この状態においては、まだ、着脱規制部14は電源制御装置570の離脱方向の前方を覆うと共に払出制御装置580の離脱方向の前方を覆っており、電源制御装置570及び払出制御装置580の取り外しは着脱規制部14によって禁止されている。その後は、図47(B)に示されたように、払出ブロック基体500の前面側から着脱規制体10を掴んで自由に回動させることができる。なお、基体部11は、前面ブロック121と払出ブロック122との間の空間内で回動する。
突出爪部13の係止解除後において、着脱規制体10を所定の角度だけ開放回転させると、着脱規制部14は電源制御装置570の離脱方向の前方は覆うが払出制御装置580の離脱方向の前方は覆わない払出制御装置580に対する着脱許容位置(〔離脱許容位置〕の一種)に移動し、払出制御装置580を電源制御装置570から離脱させることができる。なお、このときの着脱規制部14の位置は、電源制御装置570に対しては着脱禁止位置である。また、着脱規制体10を所定の角度だけ更に開放回転させると、電源制御装置570の離脱方向の前方も覆わない電源制御装置570に対する着脱許容位置(〔離脱許容位置〕の一種)に移動し、電源制御装置570を払出ブロック基体500から離脱させることができる。なお、着脱規制体10を更に開放回転させると着脱規制体10が回転制限部92に当接し、これによって、着脱規制体10の閉鎖状態からの最大回転角度が所定の角度(本形態では90度)に制限される。
ここで、電源制御装置570及び払出制御装置580の着脱について説明する。図48及び図49は、電源制御装置及び払出制御装置の着脱過程の一例を説明するための背面視及び正面視の分解斜視図である。図48(A)及び図49(A)には、払出ブロック基体500から電源制御装置570及び払出制御装置580を一体的に取り外した状態が示され、図48(B)及び図49(B)には、更に、電源制御装置570から払出制御装置580を取り外した状態が示されている。
図48(A)及び図49(A)に示されたように、着脱規制体10の開放状態において、電源制御装置570及び払出制御装置580が一体的に離脱距離以上だけ離脱方向に並進移動されて払出ブロック基体500の貫通孔507Aと電源制御装置570の係合爪部573Aとの係合が解除され、更にそれらの係合が解除された後に払出ブロック基体500に対して電源制御装置570が背面側へ並進移動されると、貫通孔507Aから係合爪部573Aが抜脱されて払出ブロック基体500と電源制御装置570が離間する。更に、図48(B)及び図49(B)に示されたように、払出制御装置580が離脱距離以上だけ離脱方向に並進移動されて電源制御装置570の係合爪部572Aと払出制御装置580の係合爪部583Aとの係合が解除され、更にそれらの係合が解除された後に払出ブロック基体500に対して電源制御装置570が背面側へ並進移動されると、払出ブロック基体500と電源制御装置570が離間する。図48及び図49を参照して払出ブロック基体500から電源制御装置570及び払出制御装置580を一体的に取り外した後に、電源制御装置570から払出制御装置580を取り外す場合について説明したが、電源装置570が払出ブロック基体500に装着されている状態において、払出制御装置580を取り外すこともできる。なお、着脱規制体10の開放状態において、上記で説明した取り外しの場合と逆の過程を経ることによって、電源制御装置570と払出制御装置580とを装着できる。
球式回胴遊技機100であれば、電源制御装置570や払出制御装置580の取り替えにおいて、外枠110に対して遊技機本体120を開放するだけではなく、その開放後に前面ブロック121に対して払出ブロック122を開放すると共に着脱規制体10を開放して、着脱規制部14を着脱禁止位置から、払出制御装置580を取り替える場合には払出制御装置580に対する着脱許容位置に、また、電源制御装置570を単独又は払出制御装置570と共に取り替える場合には電源制御装置570に対する着脱許容位置に移動させなければならない。これによって、第1に、電源制御装置570や払出制御装置580を他の不正な回路装置に取り替えたりして球式回胴遊技機100の動作を改変するような不正行為を行うには、本体開放後通常作業(背面表出後通常作業)に必要な作業時間に比べて大幅に長い作業時間を要することとなり、作業時間の長短に基づいて本体開放後通常作業であるか不正行為であるかの識別精度が向上する。第2に、上記の不正行為を行うには、電源制御装置570や払出制御装置580を取り外したり取り出したりする作業を行うために払出ブロック122を外枠110に対して所定の開放角度以上で開放するだけではなく、更に、着脱規制部14を着脱禁止位置に維持するために払出ブロック122を前面ブロック121に対して所定の開放角度以上で開放させなければならず、本体開放後通常作業に必要な外枠110に対する前面ブロックの開放角度に比べて大幅に大きな開放角度で開放を行うこととなり、外枠110に対する前面ブロック121の開放角度に基づいて本体開放後通常作業であるか不正行為であるかの識別精度が向上する。第3に、上記の不正行為を行うには、外枠110に対して遊技機本体120を開放するだけではなく、更に、本体開放後通常作業においては開放されることが極めて稀な前面ブロック121に対する払出ブロック122の開放を行うこととなり、また、本来通常遊技中において開放されることのない着脱規制体10の開放が行われることとなり、前面ブロック121や着脱規制体10の開放が行われた否かの監視に基づいて本体開放後通常作業であるか不正行為であるかの識別精度が向上する。これらの識別精度の向上によって不正行為の識別力が向上し、電源制御装置570や払出制御装置580に不正な改変が加えられることや、不正な改変が加えられた状態で遊技が行われることが抑制される。
また、球式回胴遊技機100であれば、着脱規制部14の電源制御装置570や払出制御装置580に対する着脱許容位置への移動が、払出ブロック122の閉鎖状態において、着脱規制体10と前面ブロック121との当接により禁止されるために、外枠110に対する払出ブロック122の閉鎖状態における球式回胴遊技機100の背面側からの操作によって、電源制御装置570や払出制御装置580が着脱自在な状態になることが防止される。更に、球式回胴遊技機100であれば、払出ブロック122は、払出ブロック122と外枠110との当接によって、また、主に一対の回動部材238を含む開閉防止機構によるロックによって、外枠110に対する遊技機本体120の開放状態のみにおいて前面ブロック121に対して開閉自在となるために、払出ブロック122の閉鎖状態における球式回胴遊技機100の背面側からの操作によって払出ブロック122が開放されることが防止できる。したがって、着脱規制部14が電源制御装置570や払出制御装置580に対する着脱許容位置に移動されて、電源制御装置570や払出制御装置580が着脱自在な状態になることが防止される。これらよっても、電源制御装置570や払出制御装置580に不正な改変が加えられることや、不正な改変が加えられた状態で遊技が行われることが抑制される。なお、これは、通常、遊技ホールの遊技機設置設備には、2つの遊技機がそれらの背面側を対向させて配置されるために、不正行為の対象となる遊技機の背後に設置される遊技機本体を開放した場合には不正行為の対象となる遊技機の背面側が露出されることとなり、背後の遊技機本体が開放された場合にはその遊技機の動作は監視される可能性はあったとしても、不正行為の対象となったが遊技機本体は開放されていない遊技機までは監視され難いことによる。
球式回胴遊技機100であれば、払出ブロック122に対する着脱規制体10の移動が回動であるために、払出ブロック122に対して着脱規制体10を並進移動自在に支持する場合に比べて、着脱規制体14の支持構造が簡素化され、また、着脱規制体10の移動距離を大きく確保することができる。これは、着脱規制体10を並進移動自在に支持するためには、前面ブロック121側に延出するガイドレール等の誘導構造を形成しなければならないために支持構造が複雑となり、また、このような誘導構造の長さが払出ブロック122の閉鎖状態における前面ブロック121と払出ブロック122との間隙の幅によって制限されるために着脱規制体10の最大移動距離もその長さによって制限されて短くなるからである。着脱規制体10の移動距離を大きく確保できることによって、背面ブロック基体500の背面から後方側に離隔して配置される回路装置、例えば、払出制御装置580に対してもその着脱を規制することができ、また、着脱規制体10を操作するために必要な前面ブロック121に対する払出ブロック122の最小開放角度を大きく確保することもできる。
球式回胴遊技機100であれば、着脱規制体10が払出ブロック122に対して一対のブロック支持機構124の開閉軸と実質的に平行な軸を中心として回動し、着脱規制部14が基体部11において着脱規制体10の回動中心より一対のブロック支持機構124と反対側に位置するために、前面ブロック121と背面ブロック122とが回転によって離間する側から着脱規制体10を操作でき、また、着脱規制体10を操作する際の払出ブロック122の最小開放角度を適度に抑制できる。これによって、不正行為に対する対策を疎かにすることなく、着脱規制体10の操作性を向上させることができる。なお、これは、払出ブロック122の最小開放角度が大きすぎると、払出ブロック122と外枠110との間の開放角度が小さくなりすぎて、電源制御装置570や払出制御装置580を取り外したりするための作業の作業性が低下する場合もあるからである。
球式回胴遊技機100であれば、基体部11が背面ブロック基体500の左右方向の中央近傍において支持され、着脱規制部14が着脱禁止位置において背面ブロック基体500におけるブロック支持機構124の開閉軸と反対側の端部近傍から払出ブロック122の背面側へ突出するために、着脱規制体10を操作する際の払出ブロック122の最小開放角度を簡便に最適化できる。なお、着脱規制体10の回動軸と遊技機本体120の開閉軸との距離が大きすぎる場合には着脱規制体10が大型化し、一方、その距離が小さすぎる場合には着脱規制部14を着脱禁止状態から着脱許容状態へ移行するための操作角度が大きくなり操作性が低下することともなる。また、電源制御装置570や払出制御装置580に不正な改変を行う場合の前段階として着脱規制部14を破壊する場合が考えられるが、このような不正目的で着脱規制部14が破損されていないかを目視によって簡便に確認できるために、電源制御装置570や払出制御装置580に不正な改変が加えられていないかの識別精度が向上する。
球式回胴遊技機100であれば、払出ブロック122に対する着脱規制体10の最大開放角度が90度であるために、着脱規制体10の開放状態で払出ブロック122が閉鎖されるような誤操作が行われたとしても、着脱規制体10や着脱規制体10と払出ブロック122との連結が破損されることが抑制される。また、電源制御装置570や払出制御装置580を着脱する際には払出ブロック122を固定しなければならないが、着脱規制体10が払出ブロック122の回転を固定するための把持部材として機能するために、不正行為に対する対策を疎かにすることなく、電源制御装置570や払出制御装置580の着脱の操作性を向上させることができる。
球式回胴遊技機100であれば、板状片21と前面ブロック121との空隙が実質的になく、また、板状片21と前面ブロック122との間の空間が小空間に分割されるために、電源制御装置570や払出制御装置580による制御動作を変更したりするような遊技機の動作を改変する不正装置が装着されることが極めて良好に抑制される。
球式回胴遊技機100であれば、払出ブロック122の開放直後において、背面ブロック基体500の貫通孔93と着脱規制体10の係合爪部13との係合により着脱規制部14の移動が禁止されているために、着脱規制体10に対する開放操作を行う前に貫通孔93と係合爪部13との係合を解除する操作が必要となり、不正行為に必要な作業時間が増加すること基づく遊技機本体120を開放した状態での作業における不正行為の識別力が向上する。
球式回胴遊技機100であれば、貫通孔93と係合爪部13とが、背面ブロック122の閉鎖に伴う前面ブロック121と板状片21との当接に基づく着脱規制体10の移動に応じて自動的に係合するために、背面ブロック122の閉鎖状態において着脱規制部14を着脱禁止位置に確実に維持できる。これによって、不測に電源制御装置570や払出制御装置580に対して不正な改変を加えやすい状況となることが抑制される。
球式回胴遊技機100であれば、着脱規制体10が電源制御装置570や払出制御装置580と反対側に押圧されたとしても、着脱規制体10と被覆部15との当接によって、着脱規制体10が破断される程度に撓むことが抑制される。したがって、不正目的で着脱規制部14が故意に破損されることが抑制される。