以下、遊技媒体に遊技球を用いてスロットマシン遊技を行う遊技機の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では当該遊技機のことを「スロットマシン1」として呼称する。
[スロットマシンの構成について]
スロットマシンの構成について、図1乃至図4に基づき説明する。図1は、一実施形態のスロットマシン1の外観を示している。図2は、外枠10から本体枠70を前面側へ開放した状態を示している。図3は、本体枠70から前面扉21を開放した状態を示している。図4は、スロットマシン1を背面側から示している。
本実施形態のスロットマシン1は、一般的なパチンコ機(遊技領域に向け遊技球を発射して結果に応じて遊技球の払い出しを受けることの可能な弾球式遊技機)が有する外枠と同じ幅寸法及び高さ寸法の外枠10を有する他、この外枠10に取り付けられる前面扉21や本体枠70を備えている。スロットマシン1の構成部材は前面側からみて全て外枠10の形状に合わせ収まり、それゆえスロットマシン1はパチンコ機用の島設備に設置することが可能となっている。
パチンコ機用島設備には、スロットマシン1に近接して球貸し機(サンド、台間サンドともいう)200の設置が可能となっている。なお、図示の例では、遊技者が球貸し機200に現金を投入して遊技球を借り受けるタイプとしているが、その他に、プリペイドカードを投入するタイプの球貸し機(CRユニット)を接続することもできる。
スロットマシン1の前面扉21のほぼ中央には、矩形の図柄表示窓23が開口して形成されており、この図柄表示窓23にはガラス板または透明樹脂板等の透明板が取り付けられている。前面扉21の奥には可動表示体として3つの可変回転体111が設置されている。これら3つの可変回転体は同形状であり、いずれも筒型の骨組に複数種類の図柄が印刷された透光性を有する図柄帯が張られて筒状の形態を成している。この筒状の形態を成した可変回転体はスロットマシン等の回胴式遊技機では一般的にリール、またはドラムと呼ばれているものである。なお、以下では、この可変回転体のことをリールと呼称する。このリールは、回転させたり停止させたりしても、周方向でみてリールに付された帯状の図柄列の配置関係を常に保持している。
また、前面扉21の上部には矩形の液晶表示窓24が形成されており、この液晶表示窓24にも、ガラス板または透明樹脂板等の透明板が取り付けられている。前面扉21の奥には液晶モジュール130が設置されている。この液晶モジュール130は、比較的大型(12インチ程度)の画面サイズを有した液晶表示器131と、液晶制御基板が収納された図略の液晶制御基板ボックスとを備えてユニット化されている。そして、液晶表示窓24を通して、スロットマシン1の前面側から液晶表示器131の表示面を視認することが可能となっている。
前面扉21の下部分には、図柄表示窓23の下方の位置に操作部設置台が形成されている。前面扉21において、操作部設置台22は図柄表示窓23からさらに前面側に突出するように形成されており、操作部設置台22の上面にはMAXベットボタン40が設置されている。また、操作部設置台22の前面には、始動レバー41及びストップボタン42,43,44が横並びに設置されている。なお、始動レバー41に代えて始動ボタンを備えた態様であってもよい。
なお、始動レバー41が、本発明の「始動操作手段」に相当し、ストップボタン42,43,44が「停止操作手段」に相当する。
操作部設置台22の左側部には球受入口25が形成されており、この球受入口25は上方に開口し、この開口から遊技球を受け入れ可能となっている。また、操作部設置台22の下方に位置して球受け皿26が形成されている。ホールの島設備には、スロットマシン1に隣接して球貸し機200が設置されており、球貸し機200の球放出桶201から放出された遊技球は球受入口25から受け入れ可能である。なお、球貸し機200に代えてプリペイドカードと投入するタイプの球貸し機(CRユニット)を接続することもできる。このCRユニットを接続する構成例については、スロットマシンの制御構成と合わせて後述する。
前面扉21の下部領域の内部には、球受け皿26を通じて供給される遊技球を取り込み、ゲームごとの掛け数を設定するための球取込装置30が設置されている。また、球受け皿26には、遊技球を前後2列に整列させて球取込装置30に供給するための前後2条の球整列路28が仕切り壁28aによって区画形成されている。球取込装置30や遊技球を取り込む経路の詳細については後述する。
なお、球取込装置30が、本発明の「遊技媒体取り込み手段」に該当する。
前面扉21の前側には、図柄表示窓23及び液晶表示窓24の周囲を取り囲むようにして、装飾ランプを有するランプ基板や各種の表示ランプを有する表示基板、左右のスピーカ等が設置されている。
前面扉21の左側部分には、球受け皿26の下方の位置に球抜きボタン26bが設置されている。また、球受け皿26の底板には、前面側からみて左端近傍の位置に球抜き穴26cが形成されている。球抜き穴26cは球受け皿26の底板をある程度大きい範囲(遊技球の直径の5倍程度)に開口して形成されており、球抜き穴26cは前面扉21の奥で球抜き通路(図では視認されない)に通じている。この球抜きボタン26cを押すと球抜き穴26cが開き、遊技球を球抜き通路から排出させることができる。このとき遊技者は排出される遊技球を受け箱等で受け取ることができる。
本体枠70は外枠10の前面側に設置され、外枠10に対して本体ヒンジ機構60を介して連結されている。そして、図2に示すように本体枠70を外枠10から前面側に片開き式に開くことができる。
本体枠70の背面側には、正面からみて本体ヒンジ機構60と反対側の右側端部に取付基板50aを介して施錠装置50が設置されている。施錠装置50は外枠10に対する本体枠70の施錠と、本体枠70に対する前面扉21の施錠を行う機能を有している。また施錠装置50はシリンダ錠51をはじめ、本体枠施錠部材54や扉施錠部材(図示されていない)、解錠部材53等を備える。シリンダ錠51は取付基板50aに組み付けられており、また本体枠施錠部材54および扉施錠部材は、いずれも取付基板50aに対して上下動可能に組み付けられている。そして解錠部材53は、シリンダ錠51の鍵孔に鍵が挿入された状態で時計回り方向および反時計回り方向(左右方向)に回動可能に組み付けられている。
外枠10の右側部には、その内側に上下で2つのストライカ56が取り付けられている。一方、本体枠施錠部材54には2つのストライカ56に対応して2つの本体枠施錠ラッチ55が形成されており、これら本体枠施錠ラッチ55は、外枠10の前側に本体枠70が閉じられると、それぞれ対応するストライカ56に噛み合って本体枠70を施錠する。なお、ホールにて管理されている専用鍵をシリンダ錠51の鍵穴に挿入して時計回り方向にひねれば、本体枠施錠ラッチ55と外枠10のストライカ56との噛み合いが外れ、本体枠70の施錠が解除された状態となる。この状態でホールの管理者が本体枠70を手前側へ引くと、そのまま本体枠70を片開き式に開くことができる。
次に、図3に示すように、本体枠70には、外枠10の本体ヒンジ機構60とは別に扉ヒンジ機構20が装備されており、前面扉21は扉ヒンジ機構20を介して本体枠70に開閉可能に支持されている。
上記の扉施錠部材(図示しない)は本体枠70の右側縁部に内蔵されており、この扉施錠部材もまた上下で2つの扉施錠ラッチ58を有する。図3に示されているように、本体枠70から前面扉21を開放した状態で、扉施錠ラッチ58は本体枠70から前面側に突出する。一方、前面扉21の背面側には、各扉施錠ラッチ58に対応して上下2つのストライカ59が設置されており、本体枠70に対して前面扉21が閉じられると、2つの扉施錠ラッチ58がそれぞれ対応するストライカ59と噛み合って前面扉21を施錠する。
なお、本体枠70には遊技ユニット100が装着されており、遊技ユニット100には上記のリール111とともに液晶表示器131が装備されている。また本体枠70には、遊技ユニット100の下方に低音用のスピーカ195が設置されている。一方、上記の球取込装置30は前面扉21に内蔵されており、図示のように前面扉21が開放された状態では、球取込装置30の球取込用モータ35が前面扉21の背面側に突出した状態となる。
また図3中に破線で示されているように、前面扉21の背面側には連絡通路部材290が設置されており、この連絡通路部材290には、後述する払出装置166の払出口と球受け皿26の後側開口部26aと連通し、その内部に比較的多数の遊技球を貯留可能な球貯留部兼用の連絡通路が形成されるものとなっている。また連絡通路部材290は、前面側で球受入口25の後側開口部25aと連通しており、球受入口25から投入された遊技球は、その後側開口部25aを通って連絡通路部材290内に流れ込む。これにより、球受け皿26と連絡通路部材290には、球貸し機200の球放出樋201(CR機の場合は払出装置166)から放出された貸し球としての遊技球と、払出装置166から払い出された賞球としての遊技球とが貯留されるものとなっている。
なお、払出装置166が、本発明の「払い出し手段」に相当する。
図4に示すように、本体枠70の背面側には遊技ユニット装着部80が形成されており、上記の遊技ユニット100は遊技ユニット装着部80の前面側から装着されている。また、遊技ユニット装着部80の上(上方)には、球タンク161が設置されている。球タンク161はパチンコ機用(スロットマシン兼用)の島設備から供給される遊技球を受け取り、そこにある程度の量を蓄えておくことができる。球タンク161の下方にタンクレール163が接続されており、このタンクレール163は背面側からみて球タンク161の下方から右方向へ下り傾斜する球供給路を形成している。なおタンクレール163の内側には、前後方向に2条のレール通路が区画して形成されている。球タンク161やタンクレール163には、一般的なパチンコ機で使われるものをそのまま(または加工して)流用することができる。
本体枠70の背面側には、遊技ユニット装着部80の片側(背面側からみて右側端)に払出装置166が設置されている。払出装置166は内部に2条の球通路166aを有し、これら球通路166aはタンクレール163に形成された2条のレール通路の下流端にそれぞれ連なる。また払出装置166は払出しモータ167を内蔵しており、この払出しモータ167を駆動源として球通路166a内の遊技球を払い出すことができる。払い出しは球切り部材166cを回転させることで行われ、払い出された遊技球は連絡通路部材290の連絡通路を経て球受け皿26に送出されるものとなっている。
なお、遊技ユニット100が遊技ユニット装着部80に装着された状態では、収納ボックス150の後壁は遊技ユニット装着部80の後端とほぼ同一面となる位置で後側開口部に露出する。そして、この状態で収納ボックス150の後壁の後側に後カバー155が装着される。後カバー155には、多数のスリット状の放熱孔が形成されており、後カバー155は遊技ユニット装着部80の上部後壁87とほぼ同一面をなして取り外し可能に装着されるものとなっている。また、収納ボックス150の下部には、払出し制御基板ボックス186及び低音用スピーカボックス175が設けられている。
[リール装置の構成について]
図5は、リール装置110の構成を示している。リール装置110は3つのリール111を備え、これら3つのリールがフレーム体102の内側に収容されている。フレーム体102は、リール111を収容する部分が箱形状に形成され、その前面側は開口している。3つのリール111は、フレーム体102の内部に横方向に配列され、それぞれの回転中心軸が同一線上に位置付けられている。なお、以下では、個々のリールを取り上げていう場合には、それぞれ111a(図中で最左端のリール),111b(図中で中央のリール),111c(図中で最右端のリール)と呼び、全てのリールを含む場合にはリール111と呼称する。また、必要に応じてリール111aのことを左リール、リール111bのことを中リール、リール111cのことを右リールと呼ぶ。
なお、リール装置110が本発明の「可変表示手段」に相当し、リール111が「可変表示体」に相当する。
リール111は、耐久性に優れる合成樹脂製あるいは軽金属製のスポークおよびリム体を有し、その周囲には図柄列が付されたリール帯が巻かれた状態で横型円筒形状をなしている。リール帯は光透過性の帯状材であり、リール帯には複数(本実施形態では14個)の図柄が1列をなして付されている。このようなリール帯が1周するように巻かれることで、各リール111の表面に図柄列が形成されている。図柄にはいくつか種類があり、例えば数字の「7」や「REPLAY」等の文字、ベル、スイカ、チェリー等を図案化したもの、あるいは、スロットマシンの機種を特徴付けるキャラクタや図形、記号等を図案化したもの等が含まれている(図6参照)。
リール111は、その前側の外周部分がフレーム体102の前面側に突き出るようにして露出する。このため、遊技ユニット100が本体枠70に取り付けられ、さらに前面扉21が閉じられた状態では、リール111の前側の外周部分が図柄表示窓23に望む位置関係にある。また、各リール111の内周側にはリールバックライト(図示されていない)が配置されており、このリールバックライトは対応する各リール111につき、図柄表示窓23内で上段、中段、下段に位置する図柄に背後からバックライト(透過光)をあてることで、図柄を視認しやすくしたり、目立たせたりすることができる。
また、リール装置110は、個々のリール111a,111b,111cにそれぞれ対応したリールモータ(ここでは図示されていない)を有しており、個々のリール111a,111b,111cは対応するリールモータによって回転したり、その回転を停止したりする。リールモータは、対応するリール111の内周に配置されており、この状態でフレーム体102により支持されている。
[図柄と図柄列について]
各リール111a,111b,111cには、図6に示すように、複数種類(例えば、7種類)の図柄が一定間隔に配置されることで構成された図柄列(例えば、配列番号1番から14番までの合計14コマの図柄の配列)が表記されたリール帯(図柄帯)が付されている。なお、図6には、各リール111a,111b,111cに付されたそれぞれのリール帯112a,112b,112cに表記された図柄列を平面的に展開した状態を示す。
そして、各リール111a,111b,111cは、各々の図柄列中の図柄のうち、連続する所定数(例えば、3つ)の図柄が図柄表示窓23を介して視認可能となるように配置されている(次に説明する図7参照)。なお、図柄列中の図柄を識別するために配列番号を便宜的に記している。
また、図柄の種類は、図6に示すように、「7(赤で塗りつぶされているので、以下では赤7という)」(例えば、リール帯112aの配列番号1番等)、「菱形」(例えば、リール帯112aの配列番号2番等)、「月形」(例えば、リール帯112aの配列番号3番等)、「六角形」(例えば、リール帯112aの配列番号4番等)、「四角形」(例えば、リール帯112aの配列番号5番等)、「丸形」(例えば、リール帯112bの配列番号2番等)、「星形」(例えば、リール帯112bの配列番号3番等)の合計7種類となっている。なお、「赤7」はボーナス図柄ともいう。以下では、「赤7」を含めてその他の図柄についても上記で説明した名称(「菱形」、「月形」、「六角形」、「四角形」、「丸形」、「星形」)で統一して呼称する。
ここで、図6のリール帯の図柄列を見ると、「赤7」を除いた図柄は、ほとんど同様な模様に見える。これは、同じ楕円の中にそれぞれ異なる形(菱形、月形、六角形、四角形、丸形、星形)が描かれているが、楕円の中にはさらに全てに同じ文字「AN」が表記されているので、それぞれが異なる図柄であるということが認識しにくいものとなっている。
[図柄表示窓について]
図7は、図柄表示窓23部分を拡大したところを示している。図柄表示窓23からは、各リール111a,111b,111cの図柄列中の図柄のうち、連続する3つの図柄が視認可能となっている。この図柄が表示されている3つの位置を図7の上から「上段(または上段位置)」(例えば、リール111aの「赤7」の表示されている位置)、「中段(または中段位置)」(例えば、リール111bの「赤7」の表示されている位置)、「下段(または下段位置)」(例えば、リール111cの「菱形」の表示されている位置)という。
上記のことから、図柄表示窓23内では、「段数×リールの数」分の図柄を表示させることが可能である。従って、スロットマシン1では「段数(3)×リールの数(3)」より図柄表示窓23内には最大で9個の図柄を表示させることになる。
図柄表示窓23の左側端で「1」,「2」,「3」と記されているのがベットランプ201である。ベットランプの数字(上記の「1」,「2」,「3」)はそれぞれベット数(掛け数)に対応している。即ち、「1」は1ベット、「2」は2ベット、「3」は3ベット(MAXベット)に対応しているということである。
本実施形態のスロットマシン1は、ベット数の最小単位として5個の遊技球を必要とする。即ち、1ベットでは5個、2ベットでは10個、MAXベットでは15個の遊技球がそれぞれ必要となる。なお、ベット数の最小単位(つまり、遊技球5個)はメダル、コイン等を用いる回胴式遊技機ではメダル(あるいはコイン)1枚に相当するものである。
ベット数に応じて有効となる並び(直線型)が決められている。この「有効となる並び」は、有効ラインとも呼ばれる。なお、以下では有効ラインと統一して呼称する。所定の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様は、一つの有効ライン上に並んで表示されてはじめて所定の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が表示されたと判断されるものである。即ち、所定の当選役に対応する図柄の組み合わせとしては図柄表示窓23内に表示されたとしても、その図柄の組み合わせが一つの有効ライン上に並んでいなければ、所定の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が表示されたとは判断されないことになる。
次に、ベット数に対応する有効ラインと有効ラインの数について具体的に説明する。1ベットに対応する有効ラインは、図7の「1」ベットランプから延びている点線上の1本の直線ライン、即ち、各リールの中段位置を繋いだ「中段−中段−中段」となる並びのみである。この有効ラインのことを「1ライン」という。
2ベットに対応する有効ラインは、図7の「2」ベットランプから延びている点線上の2本の並行な直線ライン、即ち、各リールの上段位置を繋いだ「上段−上段−上段」となる並び(上段ライン)と、各リールの下段位置を繋いだ「下段−下段−下段」となる並び(下段ライン)である。この上段ラインと下段ラインの2つの有効ラインのことをまとめて「2ライン」という。さらに、2ベットの場合は前述の「1ライン」も有効ラインに加えられるので、合計で3つ有効ラインがあることになる。
3ベットに対応する有効ラインは、図7の「3」ベットランプから延びている点線上の右上がり及び右下がりの2本の斜めライン、即ち、左リールの下段位置及び中リールの中段位置及び右リールの上段位置を繋いだ「下段−中段−上段」となる右上がりの並び(右上がりライン)と、左リールの上段位置及び中リールの中段位置及び右リールの下段位置を繋いだ「上段−中段−下段」となる右下がりの並び(右下がりライン)である。この右上がりラインと右下がりラインの2つの有効ラインのことをまとめて「3ライン」という。さらに、3ベットの場合は前述の「1ライン」及び「2ライン」も有効ラインに加えられるので、合計で5つ有効ラインがあることになる。
上記は一般的なスロットマシンに代表される回胴式遊技機の有効ラインについての説明であるが、有効ラインは上記のような直線型の並びに限られることはない。以下では、本実施形態のスロットマシン1の有効ラインについて引き続き図7を用いて具体的に説明する。
本実施形態のスロットマシン1では、掛け数は3ベット(MAXベット)のみとし、有効ラインを図7の図柄表示窓23内で「赤7−赤7−赤7」が表示されているライン、即ち、左リールの上段位置及び中リールの中段位置及び右リールの上段位置を繋いだ「上段−中段−上段」となる「Vの字」型と、右リールに「月形」、中リールに「赤7」、左リールに「菱形」の表示されているライン、即ち、左リールの下段位置及び中リールの中段位置及び右リールの下段位置を繋いだ「下段−中段−下段」となる「への字」型の2つを新たに有効ラインとしている。なお、「Vの字」型のラインのことを「Vの字ライン」、「への字」型のラインのことを「への字ライン」と呼ぶ。
スロットマシン1では、上記の「Vの字ライン」及び「への字ライン」に加えて、前述の「3ライン(右上がりライン、右下がりライン)」の合計4つのラインを有効ラインとしている。従って、一般的なスロットマシンで有効ラインとして用いられている前述の「1ライン」及び「2ライン」は、本実施形態のスロットマシン1では有効ラインに含まれないことになる。
図7で、図柄表示窓23の右側端には、スロットマシン1の遊技状態に合わせて点灯(あるいは点滅)可能なランプ及びLED(Light Emitting Diode)類が設けられている。これらのランプ類は上から、「WIN」という文字の描かれた告知ランプ211、「REPLAY」という文字の描かれたリプレイランプ212、「BET」という文字の描かれたベット指示ランプ213、「START」という文字の描かれたスタートランプ214、2つの横並びの7セグメントLEDを備えた賞球表示LED215、3つの横並びの7セグメントLEDを備えたゲーム数表示LED216と呼ばれるものである。
また、図柄表示窓23の下には4つの横並びの7セグメントLEDを備えた賞球数カウント表示LED217がある。この賞球数カウント表示LED217は、ボーナスゲーム中の賞球数の累計を表示することが可能となっており、ボーナスゲーム中が終了するまで賞球数を累計して計数表示する役割を持っている。
ベット指示ランプ213は、ベット数が最大(MAXベット)になるまで点灯(あるいは点滅)を続けることにより、遊技者にベットを促す役割を持っている。
スタートランプ214は、ベット数がMAXベットに達すると点灯(あるいは点滅)を開始し、遊技者に始動レバー41の操作(始動操作)を促す役割を持っている。
賞球表示LED215は、ゲーム結果に伴う遊技球の払い出しがある場合に、その払い出し数(賞球数)を表示させることにより、遊技者に賞球数を知らせる役割を持っている。
ゲーム数表示LED216は、ボーナスゲーム等の特別な遊技状態に移行した場合に、ボーナス中のゲーム数を表示させることにより、遊技者がボーナスゲームの残りゲーム数等を把握し易くする役割を持っている。
リプレイランプ212は、ゲーム結果がリプレイ(後述する)となった場合に、再遊技(もう一度遊技ができること)ができることを遊技者に知らせる役割を持っている。
告知ランプ211は、ビッグボーナス等に当選していることを遊技者に知らせる役割を持っている。
[球取込装置の構成について]
図8は、球取込装置30の外観を示している。上記のように、球受け皿26には前後に2条の球整列路28が形成されており、これら球整列路28に整列された遊技球(図中、参照符号B)は2列をなして球取込装置30に流れ込む。球整列路28に合わせて球取込装置30の内部には2条の取込通路32が形成されており、球取込装置30に流れ込んだ遊技球は、2条の取込通路32を通じてスロットマシン1に取り込まれるものとなっている。
[球案内路,球案内路区画部材について]
球取込装置30は2つのケース体31を有し、これらケース体31はいずれも薄肉のシェル構造をなしている。2つのケース体31は、互いに前後方向に重ね合わせられるようにして配置され、この状態で、ケース体31の内側の空間に上記の取込通路32が形成されている。さらに2つのケース体31はいずれも透明度の高い合成樹脂材料から成形されており、それゆえ球取込装置30の外側から取込通路32内にある遊技球や球取込装置30の機構部品類を視認することが可能となっている。
球取込装置30は、2つのケース体31のほかにスプロケット状の取込動作体(球搬送体)33を有する。取込動作体33は、2条の取込通路32に合わせてケース体31ごとに設置されており、各取込通路32内に整列した遊技球は、対応する取込動作体33の回転に伴ってスロットマシン1に取り込まれる。2つの取込動作体33は各ケース体31の内側に収容され、この状態で回転自在に支持されている。また、球取込装置30は球取込用モータ35を有しており、2つの取込動作体33は球取込用モータ35によって同時に回転または停止する。
また、球取込装置30は2つの取込計数スイッチ36を有しており、これら取込計数スイッチ36は各取込通路32の終端位置に配置されている。取込動作体33の回転に伴って取り込まれた遊技球は、ケース体31から排出される際に取込計数スイッチ36によってその通過を検出される。
さらに、球取込装置30には通路開閉部材39が内蔵されており、この通路開閉部材39はケース体31の内側にて左右方向にスライド自在に支持されている。なお、通路開閉部材39には連動部39aが一体的に形成されており、この連動部39aは手前側のケース体31から突出している。連動部39aには、左右方向へスライド可能な精算レバー(図略)が接続されるものとなっており、遊技者が精算レバーを左方向へスライド操作すると、これに連動して通路開閉部材39が左方向へスライドするものとなっている。
また球取込装置30内には、2条の取込通路32のそれぞれに対応して球抜き通路37が形成されている。精算レバー30cの操作に連動して上記の通路開閉部材39が左方向へスライドすると、取込動作体33に至る手前で取込通路32の一部が底抜けに開放され、そこから遊技球が自重により流下する。流下した遊技球は球抜き通路37を通り、さらに球受け皿26の下方から排出される。
図9(a)は、取込動作体33による遊技球の取込動作を具体的に示している。先ず、手前側の取込通路32については、案内壁34が取込動作体33の右側方を通過し、斜め右下方まで回り込むようにして形成されている。このため、ポケット部内に受け入れられた遊技球が取込動作体33の回転に伴い移送される際、ポケット部が取込動作体33の右側方の位置(鉛直上方から時計回りに90°の位置)を通過してもなお、遊技球は案内壁34に支えられているため落下しない。この後、ポケット部が取込動作体33の斜め右下方の位置R1(鉛直上方から時計回りに約150°の位置)に到達すると、この位置R1の近傍では案内壁34が取込動作体33の外周から離れているため、図中に矢印で示されるように遊技球は支えを失ってポケット部から落下する。
ここでいう「ポケット部」とは、取込動作体33の周方向に等間隔に形成されている6つの凹部のことである。これらポケット部は出力軸35aの軸線方向でみて断面U字形状(または半円形状)をなし、かつ取込動作体33の回転中心から放射状(60°ごと)に配置されている。さらに、これら6つのポケット部の配列は出力軸35aの軸線方向に重なり合って2列に形成されている。
一方、奥側の取込通路32については、図9(a)中に破線で示されているように案内壁34が取込動作体33の右側方の位置から鉛直下方に延びるようにして形成されている。このため、上記の位置R1よりも右上方の位置R2(鉛直上方から時計回りに約120°の位置)にポケット部が到達すると、この位置R2で遊技球は案内壁34の支えを失い、図中に破線の矢印で示されるようにポケット部から落下する。
このように、本実施形態では手前側と奥側とでポケット部の位置(周方向でみた角度)が相互に合致しているが、ポケット部から遊技球を放出する位置が周方向にずれているため、手前側と奥側とで交互に1個ずつ遊技球を取り込むことができる。また本実施形態では、取込動作体33がポケット部から遊技球を放出する2つの位置R1,R2の間の角度がちょうど30°に設定されている。このため取込動作体33は、30°回転するごとに1個ずつ遊技球を取り込み、1回転(=360°)で合計12個の遊技球を取り込むことができる構造となっている。
遊技球を取り込む際の取込動作体33の動作を含めた球取込装置30についての説明については、図9(a)で説明したとおりである。一方、図9(b)では、遊技球を精算する際の取込動作体33の動作について具体的に示している。スロットマシン1では、遊技者がゲームを終了しようとする場合、精算レバー30cをスライドさせることで球受け皿26に残った遊技球を排出するとともに、合わせて球取込装置30内に残存する遊技球を球抜き通路37から排出することができる。
上記のように遊技者が精算レバー30cをスライドさせると、通路開閉部材39が初期位置から移動して取込通路32が底抜けに開放した状態となる。これにより、球受け皿26に残存する遊技球が取込通路32を通り、そして球抜き通路37から排出される。このとき、取込動作体33は取り込みの際とは反対の方向(反時計周り方向)に回転する(つまり、逆回転する)。そして、取込動作体33のポケット部に受け入れられた遊技球が球抜き通路37から排出されることになる。なお、このとき、取込動作体33の逆回転によりポケット部に受け入れられた遊技球は取込計数スイッチ36を通過することとなる位置(正回転する際に遊技球がポケット部から落下する位置)に到達する前に必ず球抜き通路37に排出される。従って、遊技者が精算をする際に遊技球がポケット部に残留したままということが回避される。
[主基板及び周辺基板の機能的構成について]
図10は、スロットマシン1に装備されている各種の機構要素や電子機器類、操作部材等の機能的な構成を示したブロック図である。
本実施形態のように遊技球を用いるスロットマシン1では、各構成要素については本体枠70または前面扉21(総称して「枠側」)に付属する構成要素と、遊技ユニット100に付属する構成要素とに大きく分かれる。すなわち、遊技ユニット100には主制御基板121や周辺制御基板126、リール装置110が主に付属している。これら構成要素は、特にリール装置110の有する図柄配列や主制御基板121の制御プログラムに基づいてスロットマシン1のゲーム性を決定づけるものであり、また周辺制御基板126は、その制御プログラムに基づいて演出動作の内容を決定づけている。
一方、本体枠70には、球取込装置30や払出装置166等の動作機構が付属し、さらに払出装置166の動作を制御する払出制御基板187や電源系統を構成する電源基板182、分電基板310等が付属している。また前面扉21には、上記のMAXベットボタン40や始動レバー41等の操作部材のほか、左右のスピーカ27や低音スピーカ195、LED装飾312等が付属している。以下、各構成要素について説明する。
なお、主制御基板121が、本発明の「主制御手段」に相当し、払出制御基板187が、「払出制御手段」に相当する。
[主制御基板について]
主制御基板121は、スロットマシン1の遊技の進行を統括的に制御するためのものである。主制御基板121には、CPUやROM、RAM等(例えばROM・RAM内蔵型CPU)の電子部品が実装されている。主制御基板121は主に遊技者の利益に関わる内部抽選を行い、その抽選結果に基づいて各リール111の停止位置を制御する機能を有する。
リール装置110はリール分配基板110cを内蔵し、このリール分配基板110cを介して主制御基板121との通信を行う。上記のようにリール装置110は左・中・右の3つのリール111に対応して3つのリールモータ110aを備え、これら3つのリールモータ110aはそれぞれ対応するリール中継基板110bを介してリール分配基板110cに接続されている。リールモータ110aはステッピングモータからなり、それゆえ主制御基板121からは、各リールモータ110aの駆動(回転または停止)を制御するための駆動パルス信号が個別に出力される。駆動パルス信号はリール分配基板110cにて制御対象となる左・中・右のリール中継基板110bに分配されている。
またリール装置110は、各リール111の回転に関する基準位置を検出するため図示しないリール位置センサを有しており、これらリール位置センサからの検出信号(基準位置信号)がリール分配基板110cを通じて主制御基板121に入力されている。主制御基板121はこの検出信号に基づいて各リール111の回転に関する位置(いずれの図柄が図柄表示窓23内のどの位置に存在しているか)を割り出し、その停止時にいずれの図柄を有効ライン上に停止させるかの制御、つまりリール制御を実行することができる。
遊技ユニット100には設定基板314が装備されており、この設定基板314はスロットマシン1における設定を変更する際に設定変更許可信号や設定変更信号等を主制御基板121に送信する。設定の変更は、スロットマシン1の出玉率(投入数に対する払出数の割合)を段階的に変更するためのものであり、通常、設定1(設定値が1)で最も低い出玉率となり、設定6(設定値が6)で最も高い出玉率となる。なお、このような設定の変更は遊技場の責任者によって行われる。また、スロットマシン1の設定そのものは、メダルを用いるスロットマシンと同じ性質のものである。
[周辺制御基板について]
周辺制御基板126は、CPUやROM、RAM、オーディオアンプ、音源IC等を備えており、周辺制御基板126は、主制御基板121から送信される指令信号に基づいて、液晶モジュール130による画像の表示や、左右のスピーカ27および低音スピーカ195の作動を制御するほか、LED装飾312の点灯または点滅を制御している。さらに周辺制御基板126は、主制御基板121から送信される指令信号(例えば、遊技球の取り込みに伴うベット操作音コマンド、払出音コマンド等)を受け取って、液晶モジュール130やスピーカ27,195、LED装飾312の制御を実行することもできる。
なお、液晶モジュール130の具体的な表示動作は液晶制御基板133により制御されており、液晶制御基板133にはVDP(Video Display Processor)や各種の画像データを格納したROM等が装備されている。また液晶制御基板133にはインバータ基板133aが接続されており、インバータ基板133aは液晶モジュール130のバックライトを制御している。
また、各リール111の内周側にはLEDを有するバックライト基板111aが配置されており、このバックライト基板111aは対応する各リール111につき、図柄表示窓23内で上段、中段、下段に位置する図柄に背後からバックライト(透過光)をあてることで、図柄を点灯表示させることができる。3つのバックライト基板111aは、それぞれバックライト中継基板111bを介してバックライト分配基板111cに接続されており、バックライト分配基板111cには、周辺制御基板126から左・中・右の制御対象となるバックライト基板111aに対する点灯信号が送信される。バックライト分配基板111cは、受け取った点灯信号を対象のバックライト中継基板111bに分配している。
[遊技ユニットと本体枠との接続について]
遊技ユニット100と本体枠70との接続は、遊技ユニット100に装備されているメイン中継端子板140の他に周辺中継端子板316によっても行われる。このメイン中継端子板140は主制御基板121に接続されており、また周辺中継端子板316は周辺制御基板126に接続されている。
一方、本体枠70(または前面扉21)には操作中継基板318や扉装飾駆動基板320、外部情報払出中継基板322が設けられている。上記のMAXベットボタン40や始動レバー41、3つのストップボタン42,43,44等の操作部材は操作中継基板318を介してメイン中継端子板140に接続されている。これら操作部材は図示しないセンサを用いて遊技者による操作を検出し、その操作信号を主制御基板121に出力する。また、左右のスピーカ27や低音スピーカ195、LED装飾312等は扉装飾駆動基板320を介して周辺中継端子板316に接続されている。
本実施形態では、球取込装置30に駆動基板30aが内蔵されており、この駆動基板30aが操作中継基板318を介してメイン中継端子板140に接続されている。また、上記の取込計数スイッチ36や取込球有無検出スイッチ300、精算レバースイッチ30bそして球取込用モータ35はいずれも駆動基板30aを介して操作中継基板318に接続されている。
その他に操作中継基板318に接続される構成要素として、本体ドアスイッチ324およびパネルドアスイッチ326がある。本体ドアスイッチ324は、本体枠70の開閉状態を検出し、その検出信号を出力する。またパネルドアスイッチ326は前面扉21の開閉状態を検出し、その検出信号を出力する。これら検出信号は、操作中継基板318からメイン中継端子板140を通じて主制御基板121に入力される。
また、操作中継基板318に接続される構成要素として機能表示基板328がある。機能表示基板328は前面扉21に設置されており、図柄表示窓23の周囲にてゲームの進行に伴う各種の情報を表示する機能を有する。機能表示基板328は、毎回のゲームで遊技球の掛け数(ベット数)を表示したり(ベットランプ201)、始動レバー41の操作やベット操作の可否を表示したり(ベット指示ランプ213、スタートランプ214)、ゲーム結果に伴う払い出しがある場合はその払い出し数を表示したり(賞球表示LED215、賞球数カウント表示LED217)、ボーナスゲーム等の特別な遊技状態に移行した場合はボーナス中を表示したりする(告知ランプ211、ゲーム数表示LED216)。
あるいは、スロットマシン1にエラー状態が発生すると、機能表示基板328は所定の表示部にてエラー表示を行うことができる(ゲーム数表示LED216または賞球表示LED215)。主制御基板121は遊技の進行を制御する過程で、機能表示基板328を通じてLEDの点灯表示や7セグメントLEDによる数値表示を制御し、各種情報を表示させることができる。
[払出制御基板について]
払出制御基板187は、外部情報払出中継基板322を介して遊技ユニット100に接続されている。上記の払出装置166は払出ケース内基板166aを内蔵し、この払出ケース内基板166aが払出制御基板187に接続されている。また払出装置166は、払出しモータ167をはじめ、払出計数スイッチ166bおよび球切れスイッチ166cを内蔵し、これらは払出ケース内基板166aを介して払出制御基板187に接続されている。なお払出装置166内には2条の払出通路が形成されていることから、払出計数スイッチ166bおよび球切れスイッチ166cは払出通路に対応して2つずつ装備されている。
払出制御基板187と主制御基板121との間では、メイン中継端子板140および外部情報払出中継基板322を介して双方向に通信が行われる。例えば、ゲームの結果に基づき遊技球の払い出しが必要であれば、主制御基板121から規定数分の払出コマンドが払出制御基板187に送信され、そして払出制御基板187は、受け取った払出コマンドに対してACK信号を主制御基板121に返信する。なお、このような通信は一般的なパチンコ機の主基板と払出制御基板との間で行われているものと同じである。
前面扉21の奥に位置する連結通路部材290には満タンスイッチ340が設けられている。連結通路部材290内にて遊技球が満杯になると、満タンスイッチ340から満タンスイッチ信号が出力される。払出制御基板187は満タンスイッチ信号を受け取ると、賞球残数があっても払出動作を停止させる制御を行うことができる。
さらに払出制御基板187には、遊技球等貸出装置接続端子板342を介してCRユニット344が接続可能となっている。なお、先の例では現金による球貸し機200を例示していたが、図8の構成においては、プリペイドカード方式によるCRユニット344を例に挙げている。CRユニット344に対応するスロットマシンにおいては、遊技者がCRユニット344にプリペイドカードを挿入し、そこに記録された貸し出し可能度数の範囲内で球貸し操作を行うと、規定個数の遊技球が貸し球として払出装置166から払い出されるものとなっている。この場合、スロットマシン1の前面扉21には度数表示基板346が設置されており、度数表示基板346は遊技球等貸出装置接続端子板342を介してCRユニット344との間で通信可能となっている。度数表示基板346には、CRユニット344にて読みとられたプリペイドカードの残り度数等の情報が数値表示される。なお、CRユニット344については一般的なパチンコ機で用いられているものをそのまま適用可能である。
[共通外部端子板について]
その他、主制御基板121にはメイン中継端子板140および外部情報払出中継基板332を介して共通外部端子板348が接続されており、スロットマシンはこの共通外部端子板348を通じてホールコンピュータ(遊技場にて管理されるコンピュータ)に接続される。共通外部端子板348は、遊技球の出入信号(球取込信号や賞球払出信号)のほか、主制御基板121から送信される各種信号(BBゲーム中等を表す遊技ステータス)をホールコンピュータに中継している。なお、「BB」はビッグボーナスの略号のことをいう。また、共通外部端子板348が、本発明の「外部出力手段」に相当する。
[電源基板について]
上記の電源基板182は分電基板310を通じて外部電源(例えばAC24V)から電力を取り込み、スロットマシン1の作動に必要な電力(例えばDC24V,12V)を生成する。本実施形態では、電源基板182から払出制御基板187に電力が供給され、そこからさらに遊技ユニット100やその他の機構要素への電力が順次橋渡しされるようにして供給されている。
図11は、主制御基板121および払出制御基板187の電気的な構成の詳細を示すブロック図である。なお、図10に示すように、主制御基板121と払出制御基板187とは、メイン中継端子基板140及び外部情報払出中継基板332を介して接続されているが、説明を簡略化するために、図11ではこれらの基板(メイン中継端子基板140及び外部情報払出中継基板332)を図略している。
主制御基板121は、主制御基板121における種々の演算処理を行うCPUとして、外部とのシリアル通信機能およびパラレル通信機能を有するCPU200(主CPU)を備える。CPU200には、演算処理を行うCPU200と、外部とのシリアル通信を行うシリアル通信ユニットとしてのシリアルIF部391と、外部とのパラレル通信を行うパラレルIF部392とが回路構成されている。払出制御基板187とのコマンドのやり取りは、シリアルIF部391を介して行われ、払出制御基板187とのACK信号のやり取りは、パラレルIF部392を介して行われる。
シリアルIF部391は、CPU200からパラレルデータTDaを受け取り、該データを記憶する送信バッファレジスタ393と、送信バッファレジスタ393に記憶されたデータを受け取り、該データをシリアルデータDabに変換して払出制御基板187にシリアル転送する送信シフトレジスタ394と、払出制御基板187からシリアルデータDbaを受け取り、該データを記憶する受信シフトレジスタ395と、受信シフトレジスタ395に記憶されたデータを受け取り、該データをCPU200によってパラレルデータRDaとして読み出し可能に記憶する受信バッファレジスタ396と、シリアルIF部391における各部の動作状態を管理するシリアル管理部397とを備え、これらを1チップに集積して構成されている。送信バッファレジスタ393および送信シフトレジスタ394,受信シフトレジスタ395,受信バッファレジスタ396は、それぞれ1バイトの記憶容量を有するレジスタである。
シリアル管理部397は、送信シフトレジスタ394および送信バッファレジスタ393に関して、送信シフトレジスタ394がシリアル転送中でない場合に、送信バッファレジスタ393から送信シフトレジスタ394へのデータの受け渡しを許可し、該受け渡し後に、該データを送信バッファレジスタ393から消去するように回路構成されている。
シリアル管理部397は、受信シフトレジスタ395および受信バッファレジスタ396に関して、受信バッファレジスタ396にデータが記憶されていない場合に、受信シフトレジスタ395から受信バッファレジスタ396へのデータの受け渡しを許可し、CPU200が受信バッファレジスタ396からパラレルデータRDaを読み出した後に、受信バッファレジスタ396からデータを消去するように回路構成されている。
なお、シリアルIF部391によるシリアル転送の転送レートは、CPU200を動作させるためのクロック信号を分周した信号に基づいて決定される。この転送レートを決定するクロック信号の分周比は、シリアルIF部391が有するレジスタ(図示しない)の値によって設定することができる。
CPU200は、送信バッファレジスタ393に対して書き込み信号♯WRaを立ち上げることによって、送信バッファレジスタ393へのパラレルデータTDaの書き込みを行い、受信バッファレジスタ396に対して読み出し信号♯REaを立ち上げることによって、受信バッファレジスタ396からのパラレルデータRDaの読み出しを行う。
CPU200は、シリアルIF部391における種々の状態を示す信号を、シリアル管理部397から受ける。CPU200がシリアル管理部397から受ける信号としては、送信バッファレジスタ393がクリアされている際にハイレベルとされる送信バッファ空き信号TEaと、送信シフトレジスタ394がシリアル転送中である際にハイレベルとされるシリアル転送中信号TCaと、受信バッファレジスタ396にデータが記憶されている際にハイレベルとされる受信データあり信号DFaとがある。
図11に示すように、払出制御基板187は、払出制御基板187における種々の演算処理を行うCPU333(払出CPU)と、外部とのシリアル通信を行う回路が形成されたシリアルIFチップ398と、外部とのパラレル通信を行う回路が形成されたパラレルIFチップ399とを備える。主制御基板121とのコマンドのやり取りは、シリアルIFチップ398を介して行われ、主制御基板121とのACK信号のやり取りは、パラレルIFチップ399を介して行われる。
シリアルIFチップ398は、CPU333からパラレルデータTDbを受け取り、該データを記憶する送信バッファレジスタ400と、送信バッファレジスタ400に記憶されたデータを受け取り、該データをシリアルデータDbaに変換して主制御基板121にシリアル転送する送信シフトレジスタ401と、主制御基板121からシリアルデータDabを受け取り、該データを記憶する受信シフトレジスタ402と、受信シフトレジスタ402に記憶されたデータを受け取り、該データをCPU333によってパラレルデータRDbとして読み出し可能に記憶する受信バッファレジスタ403と、シリアルIFチップ398における各部の動作状態を管理するシリアル管理部404とを備え、これらを1チップに集積して構成されている。送信バッファレジスタ400および送信シフトレジスタ401,受信シフトレジスタ402,受信バッファレジスタ403は、それぞれ1バイトの記憶容量を有するレジスタである。
シリアル管理部404は、送信シフトレジスタ401および送信バッファレジスタ400に関して、送信シフトレジスタ401がシリアル転送中でない場合に、送信バッファレジスタ400から送信シフトレジスタ401へのデータの受け渡しを許可し、該受け渡し後に、該データを送信バッファレジスタ400から消去するように回路構成されている。
シリアル管理部404は、受信シフトレジスタ402および受信バッファレジスタ403に関して、受信バッファレジスタ403にデータが記憶されていない場合に、受信シフトレジスタ402から受信バッファレジスタ403へのデータの受け渡しを許可し、CPU333が受信バッファレジスタ403からパラレルデータRDbを読み出した後に、受信バッファレジスタ403からデータを消去するように回路構成されている。
なお、シリアルIFチップ398がシリアル転送されたコマンドをサンプリングするタイミングは、主制御基板121のCPU200を動作させるためのクロック信号を分周したサンプリングクロックに基づいて決定される。このサンプリングクロックを決定刈るクロック信号の分周比は、シリアルIFチップ398が有するレジスタ(図示しない)の値によって設定することができる。
CPU333は、送信バッファレジスタ400に対して書き込み信号♯WRbを立ち上げることによって、送信バッファレジスタ400へのパラレルデータTDbの書き込みを行い、受信バッファレジスタ403に対して読み出し信号♯RDbを立ち上げることによって、受信バッファレジスタ403からのパラレルデータRDbの読み出しを行う。
CPU333は、シリアルIFチップ398における種々の状態を示す信号を、シリアル管理部404から受ける。CPU333がシリアル管理部404から受ける信号としては、送信バッファレジスタ400がクリアされている際にハイレベルとされる送信バッファ空き信号TEbと、送信シフトレジスタ401がシリアル転送中である際にハイレベルとされるシリアル転送中信号TCbと、受信バッファレジスタ403にデータが記憶されている際にハイレベルとされる受信データ有り信号DFbとがある。
次に、主制御基板121と払出制御基板187との間におけるコマンド転送の際の動作について説明する。本実施形態のパチンコ機1は、主制御基板121から払出制御基板187へのコマンド転送と、払出制御基板187から主制御基板121へのコマンド転送を行うことが可能である。
[主制御基板のコマンド送信について]
払出制御基板187に対してコマンドを送信する主制御基板121の動作について説明する。図12は、主制御基板121のCPU200が実行するコマンド送信処理を示すフローチャートである。主制御基板121のCPU200は、遊技の進行を制御する処理を実現するために所定の間隔(本実施形態では、4ミリセカンド(以下、msと表記))で定時割り込み処理を繰り返し実行し、この繰り返し実行される定時割り込み処理の一環として、払出制御基板187に対してコマンドを送信する場合に、図12に示したコマンド送信処理を実行する。
CPU200は、図12に示したコマンド送信処理を開始すると、払出制御基板187に対するコマンドを生成する(ステップS1001)。本実施形態では、払出制御基板187に対するコマンドは、シリアルIF部391の各レジスタの記憶容量である1バイトよりも大きな2バイトのコマンドである。
コマンドを生成した後(ステップS1001)、「送信バッファ空き信号TEaがハイレベル」かつ「シリアル転送中信号TCaがローレベル」であるか否か、すなわち、「送信バッファレジスタ393にデータが記憶されていない場合」かつ「送信シフトレジスタ394がシリアル転送中でない場合」であるか否かを判断する(ステップS1002)。
「送信バッファ空き信号TEaがハイレベル」かつ「シリアル転送中信号TCaがローレベル」である場合(ステップS1002)には、生成したコマンドの2バイトのうち上位1バイトである1バイト目を、送信バッファレジスタ393に書き込む(ステップS1003)。その後、予め設定された書込待機期間Lwaの待機を行った後(ステップS1004)、生成したコマンドの残りの下位1バイトである2バイト目を、送信バッファレジスタ393に書き込み(ステップS1005)、コマンド送信処理を終了する。
ここで、書込待機期間Lwaは、送信バッファレジスタ393へのコマンドの1バイト目の書き込みから、この1バイト目が送信シフトレジスタ394へと受け渡しされるまでの期間である送信レジスタ引渡期間Lbsよりも長い期間であり、その定時割り込み処理の終了までに2バイト目の書き込み処理(図12のステップS1005)を実行可能な時間を残す期間であり、次の定時割り込み処理の開始まで長引くような期間ではない。また、書込待機期間Lwaは、コマンドの1バイト目のシリアル転送が完了するまでの期間であるシリアル転送期間Lscよりも短い期間であり、定時割り込み処理の間隔である4msよりも短い期間である。本実施形態では、書込待機期間Lwaは、2.5マイクロセカンド(以下、μsと表記)に設定されている。なお、本実施形態のシリアルIF部391のハードウエア仕様による送信レジスタ引渡期間Lbsは、約1.25μsである。また、2バイト目の書き込み処理(図12のステップS1005)に要するCPU200の演算処理時間が、シリアルIF部391の送信レジスタ引渡期間Lbs以上である場合には、図12に示したコマンド待機処理のソフトウエアによる待機処理(ステップS1004)は不要である。
図13は、コマンド送信処理が実行される際の主制御基板121における各信号の様子を示すタイムチャートである。上述したコマンド送信処理にて、「送信バッファ空き信号TEaがハイレベル」かつ「シリアル転送中信号TCaがローレベル」であると判断されると(図12中のステップS1002)、CPU200から送信バッファレジスタ393に、パラレルデータTDaとして、コマンドの1バイト目の出力が開始される(タイミングta1)。その後、書き込み信号♯WRaの立ち上がりによって、送信バッファレジスタ393にコマンドの1バイト目が書き込まれる(タイミングta2,図12中のステップS1003)。
送信バッファレジスタ393は、書き込まれたコマンドの1バイト目を送信シフトレジスタ394に引き渡し、この引き渡しが完了するとシリアル管理部397によってクリアされる。送信シフトレジスタ394は、送信バッファレジスタ393から受け取ったコマンドの1バイト目をシリアルデータDabとして出力する。シリアル転送中のシリアルデータDabには、スタートビットSTに続いて、コマンドの1ビット目D0から8ビット目D7までの各ビットが続き、最後にストップビットSPが出力される。このように、コマンドの1バイト目のシリアル転送が開始されると、シリアル転送中信号TCaはハイレベルとなる(タイミングta3)。
コマンドの1バイト目の書き込み(タイミングta2,図12中のステップS1003)から、書込待機期間Lwaの待機を経た後(図12中のステップS1004)、コマンドの1バイト目と同様に、送信バッファレジスタ393にコマンドの2バイト目が書き込まれる(タイミングta4,図12中のステップS1005)。
この際の送信シフトレジスタ394は、コマンドの1バイト目をシリアル転送中であり、コマンドの2バイト目を送信バッファレジスタ393から受け取ることができないため、送信バッファレジスタ393は、書き込まれたコマンドの2バイト目を記憶して保持し、送信バッファ空き信号TEaはローレベルとなる(タイミングta4)。
その後、送信シフトレジスタ394によるコマンドの1バイト目のシリアル転送が終了すると、送信バッファレジスタ393は、記憶するコマンドの2バイト目を送信シフトレジスタ394に引き渡し、この引き渡しが完了するとシリアル管理部397によってクリアされ、送信バッファ空き信号TEaはハイレベルとなる(タイミングta5)。
その後、送信シフトレジスタ394は、コマンドの1バイト目と同様に、送信バッファレジスタ393から受け取ったコマンドの2バイト目をシリアルデータDabとして出力する(タイミングta6〜ta7)。
以上説明した主制御基板121の動作によって、払出制御基板187に対して2バイトのコマンドが送信される。本実施形態の主制御基板121は、払出制御基板187に対してコマンドを送信してから所定の期間の間に、払出制御基板187からACK信号の返答がない場合には、コマンドを再送する。
なお、逆に、主制御基板121に対してコマンドを送信する払出制御基板187の動作は、CPU200に代えてCPU333、送信バッファレジスタ393に代えて送信バッファレジスタ400、送信シフトレジスタ394に代えて送信シフトレジスタ401が、それぞれ上述した主制御基板121の場合と同様の動作を行うことによって実現される。
なお、本実施形態では、CPU200は、4ミリセカンドの感覚で定時割り込み処理を繰り返し実行するのに対し、シリアルIF部391は、1200bps(Bit Per Second)の転送レートでシリアル転送を実行する。したがって、本実施形態では、シリアルIF部391が2バイトのコマンドをシリアル転送する時間は約16.7msとなり、CPU200は、その間に定時割り込み処理を約4回繰り返し実行することとなる。このように、CPU200は、送信バッファレジスタ393にコマンドを書き込んでしまえば、そのコマンドの払出制御基板187へのシリアル転送をシリアルIF部391に任せることができる。なお、シリアル転送における1200bpsの転送レートは、電気的ノイズに対するコマンド転送の信頼性を確保可能な転送レートであり、また、比較的安価なフォトカプラを用いたアイソレーションによってシリアル転送することが可能な転送レートである。
なお、主制御基板121は、シリアル転送中(送信バッファレジスタ393にコマンドが有る状態)に、制御処理を中断することなく、入賞があれば入賞情報を記憶するなど他の制御処理を実行する。パチンコ機の場合、遊技盤5へと打ち出される遊技球は、1分間に最大100個までと規制されているため、遊技球の打ち出し間隔は約600msである。したがって、遊技球が入賞口に連続して入賞したとしても、主制御基板121は、遊技球の検出情報を滞りなく処理し、払出コマンドを払出制御基板187にシリアル転送することができる。
[払出制御基板のコマンド受信について]
主制御基板121からのコマンドを受信する払出制御基板187の動作について説明する。図14は、払出制御基板187のCPU333が実行するコマンド受信処理を示すフローチャートである。払出制御基板187のCPU333は、遊技球の払い出しを制御する一環として主制御基板121からのコマンドを受信する場合に、図14に示したコマンド受信処理を実行する。
CPU333は、コマンド受信処理を開始すると、「受信データ有り信号DFbがハイレベル」であるか否か、すなわち、「受信バッファレジスタ403にデータが記憶されている場合」であるか否かを判断する(ステップS1101)。
ここで、コマンド受信処理において「受信データ有り信号DFbがハイレベル」であると判断される場合(ステップS1101)には、主制御基板121から払出制御基板187に対して送信された2バイトのコマンドのうち、コマンドの1バイト目が、受信シフトレジスタ402を介して受信バッファレジスタ403に記憶された状態である。
「受信データ有り信号DFbがハイレベル」である場合(ステップS1101)には、受信バッファレジスタ403に記憶されているコマンドの1バイト目を読み出す(ステップS1102)。その後、受信シフトレジスタ402を介して受信バッファレジスタ403に記憶されたコマンドの2バイト目を読み出し(ステップS1103)、コマンド受信処理を終了する。
図15は、コマンド受信処理が実行される際の払出制御基板187における各信号の様子を示すタイムチャートである。前述した主制御基板121におけるコマンド送信処理によって、主制御基板121から払出制御基板へと、シリアルデータDabとしてコマンドの1バイト目が出力されると(タイミングtb1〜tb2)、受信シフトレジスタ402にコマンドの1バイト目が記憶された後、受信バッファレジスタ403にコマンドの1バイト目が受け渡され、受信データ有り信号DFbはハイレベルとなる。
コマンドの1バイト目に続き、シリアルデータDabとしてコマンドの2バイト目が出力されると(タイミングtb3〜tb4)、受信シフトレジスタ402にコマンドの2バイト目が記憶される。この際には、受信バッファレジスタ403からコマンドの1バイト目が読み出されておらず、受信バッファレジスタ403はシリアル管理部404によってクリアされていないため、受信シフトレジスタ402はコマンドの2バイト目の記憶を保持する。
その後、図14に示したコマンド受信処理にて、「受信データ有り信号DFbがハイレベル」であると判断されると(図14中のステップS1101)、読み出し信号♯REbの立ち下がりによって、パラレルデータRDbとしてコマンドの1バイト目が、CPU333によって受信バッファレジスタ403から読み出される(タイミングtb5〜tb6,図14中のステップS1102)。
コマンドの1バイト目の読み出しが完了すると、受信バッファレジスタ403はシリアル管理部404によってクリアされ、受信データ有り信号DFbはローレベルとなる(タイミングtb6)。その後、受信シフトレジスタ402から受信バッファレジスタ403へとコマンドの2バイト目が受け渡されると、受信データ有り信号DFbはハイレベルとなる(タイミングtb7)。その後、コマンドの1バイト目と同様にして、受信バッファレジスタ403から、パラレルデータRDbとしてコマンドの2バイト目が読み出される(タイミングtb8〜tb9,図14中のステップS1103)。なお、説明の便宜上、図15では、コマンドの1バイト目と2バイト目とのシリアル転送時間のスケールは、CPU333の演算処理時間のスケールと比べ縮小されているが、実際には、コマンドの1バイト目と2バイト目とのシリアル転送時間は、CPU333の演算処理時間に比べて相当の時間を要する。したがって、図14に示したコマンド受信処理は、CPU333が所定の間隔で繰り返し実行する定時割り込み処理の一環として、複数回の定時割り込み処理に分けて実行される処理である。
以上説明した払出制御基板187の動作によって、主制御基板121から送信された2バイトのコマンドが受信される。本実施形態の払出制御基板187は、主制御基板121からコマンドを受信してから所定の期間の間に、主制御基板121に対してACK信号を送信する。
なお、本実施形態では、シリアルIFチップ398のサンプリングタイミングは、転送レート(1200bps)の16倍である19.2キロヘルツ(kHz)に設定されている。本実施形態では、シリアルIFチップ398は、スタートビット,コマンドの各データビット,ストップビットのビット毎に、それぞれ3回のサンプリングを行い、この3回のサンプリングで検出された値を多数決判定することによって、コマンド受信の信頼性の向上を図っている。
なお、逆に、払出制御基板187からのコマンドを受信する主制御基板121の動作は、CPU333に代えてCPU200、受信シフトレジスタ402に代えて受信シフトレジスタ395、受信バッファレジスタ403に代えて受信バッファレジスタ396が、それぞれ上述した払出制御基板187の場合と同様の動作を行うことによって実現される。
上記の構成のように、CPU200から出力されてシリアルIF部391からシリアル転送されるコマンドを、1バイト等、適宜設定した情報量の単位コマンドに分けて、各単位コマンドをシリアルIF部391の送信バッファレジスタ393と送信シフトレジスタ394とに分担して格納することで、主制御基板121のCPU200が1回の定時割り込み処理を行う間に、2バイト等で構成されたコマンド全体をシリアルIF部391に格納することができ、主制御基板121のCPU200がコマンドのシリアル転送に関わる期間を短縮することができる。その結果、主制御基板121における他の制御処理の進行の阻害や、主制御基板121で実行される制御プログラムの複雑化を抑制することができる。したがって、コマンドを分割してシリアル転送する場合における円滑な遊技制御を実現することができる。
ところで、上記の払出制御基板187では、CPU333,シリアルIFチップ398及びパラレルIFチップ399を備えたものを示したが、以下に示すような構成としても良い。具体的には、図16に示すように、払出制御基板187を、払出制御基板187において種々の演算処理を行うCPU333(払出CPU)と、外部とのシリアル通信およびパラレル通信を行う回路が形成されたシリパラIFチップ405とを備えるものとしてもよい。このシリパラIFチップ405には、主制御基板121のパラレルIF部392とパラレル通信をするパラレルIF部406が備えられている。なお、図16は、図11に示すものとは異なる主制御基板121および払出制御基板187の電気的な構成の詳細を示すブロック図である。また、上記以外の構成については、図11に示したものと同様の構成であり、同一の符号を付してある。
図16に示す払出制御基板187のシリアル管理部407は、図11に示したような、受信バッファレジスタ403のデータを、CPU333による読み出しによって消去するシリアル管理部404とは異なるものであり、CPU333からのバッファクリア信号#CBbに基づいて、受信バッファレジスタ403からデータを消去するものである。
[図16における主制御基板のコマンド送信について]
払出制御基板187に対してコマンドを送信する主制御基板121の動作について説明する。図17は、主制御基板121のCPU200が実行するコマンド送信処理を示すフローチャートである。主制御基板121のCPU200は、遊技の進行を制御する処理の一環として、図17に示したコマンド送信処理を所定のタイミングで繰り返し実行する。
CPU200は、図17に示したコマンド送信処理を開始すると、ジョブフラグFjの値を判断する(ステップS1201)。ジョブフラグFjは、コマンド送信処理における状態を示すフラグであり、CPU200の起動時には「0」に設定されている。
「ジョブフラグFj=0」の場合には、払出制御基板187に対するコマンドを出力するためのコマンド出力処理を実行し(ステップS1202)、「ジョブフラグFj=1」の場合には、払出制御基板187からのACK信号を確認するためのACK待ち処理を実行する(ステップS1203)。コマンド出力処理(ステップS1202)、または、ACK待ち処理(ステップS1203)を終了した後、コマンド送信処理を終了する。なお、コマンド出力処理(ステップS1202)、ACK待ち処理(ステップS1203)の詳細については後述する。
図17に示したコマンド送信処理におけるコマンド出力処理(図17中のステップS1202)の詳細について説明する。図18は、コマンド出力処理(図17中のステップS1202)を示すフローチャートである。CPU200は。図18に示すコマンド出力処理を開始すると、「送信バッファ空き信号TEaがハイレベル」かつ「シリアル転送中信号TCaがローレベル」であるか否か、すなわち、「送信バッファレジスタ393にデータが記憶されていない場合」かつ「送信シフトレジスタ394がシリアル転送中でない場合」であるか否かを判断する(ステップS1301)。「送信バッファ空き信号TEaがハイレベル」かつ「シリアル転送中信号TCaがローレベル」である場合(ステップS1301)には、「チェックフラグFc=1」であるか否かを判断する(ステップS1302)。チェックフラグFcは、払出制御基板187からのACK信号が確認できない場合に、払出制御基板187に対して動作状態の報告を指示するためのフラグであり、CPU200の起動時には「0」に設定されている。
「チェックフラグFc=1」でない場合であって(ステップS1302)、遊技球の入賞口への入賞がある場合には(ステップS1303)、払出制御基板187に所定の個数の賞品球の払い出しを指示する入賞コマンドの1バイト目を生成する(ステップS1304)。
一方、「チェックフラグFc=1」である場合には(ステップS1302)、チェックフラグFcを「0」に設定し(ステップS1305)、払出制御基板187に対して動作状態の報告を指示するチェックコマンドの1バイト目を生成する(ステップS1306)。なお、主制御基板121は、払出制御基板187からの動作状態の報告を、払出制御基板187から主制御基板121に対するコマンドの形態で受け取る。
入賞コマンドまたはチェックコマンドの1バイト目を生成した後(ステップS1304,S1306)、生成した1バイト目の各ビットを反転して、すなわち、1バイト目のビットのうち、「0」であるビットを「1」とし、「1」であるビットを「0」として、コマンドの2バイト目を生成する(ステップS1307)。本実施形態では、コマンドの1バイト目は、コマンドとしての実質的な意味を持つデータであり、コマンドの2バイト目は、払出制御基板187側でコマンドの正誤を判断するためのデータである。
コマンドの2バイト目を生成した後(ステップS1307)、生成したコマンドを送信する(ステップS1308〜S1310)。この処理(ステップS1308〜S1310)は、図12に示したコマンド送信処理における処理(ステップS1003〜S1005)と同様である。コマンドを送信した後(ステップS1308〜S1310)、ジョブフラグFjを「1」に設定し(ステップS1311)、コマンド出力処理を終了する。
コマンド出力処理においてコマンドの送信が実行される際(ステップS1308〜S1310)の主制御基板121における各信号の様子は、図13に示した主制御基板121における各信号の様子と同様である。
図17に示したコマンド送信処理におけるACK待ち処理(図17中のステップS1203)の詳細について説明する。図19は、ACK待ち処理(図17中のステップS1203)を示すフローチャートである。CPU200は、図19に示すACK待ち処理を開始すると、払出制御基板187からACK信号を検出したか否かを判断する(ステップS1401)。ACK信号を検出した場合には(ステップS1401)、ジョブフラグFjを「0」に設定し(ステップS1402)、ACK待ち処理を終了する。
一方、ACK信号を検出しない場合には(ステップS1401)、コマンドの送信(図18中のステップS1308〜S1310と同様)を終えてから所定の時間が経過したか否かを判断する(ステップS1403)。この所定の時間は、払出制御基板187からのACK信号の返答を待つ時間であり、本実施形態では、100msに設定されている。所定の時間が経過していない場合には(ステップS1403)、そのままACK待ち処理を終了し、所定の時間が経過した場合には(ステップS1403)、チェックフラグFcを「1」に設定し(ステップS1404)、ジョブフラグFjを「0」に設定した後(ステップS1402)、ACK待ち処理を終了する。
以上説明した主制御基板121の動作によって、払出制御基板187に対して2バイトのコマンドが送信される。なお、逆に、主制御基板121に対してコマンドを送信する払出制御基板187の動作は、CPU200に代えてCPU333、送信バッファレジスタ393に代えて送信バッファレジスタ400、送信シフトレジスタ394に代えて送信シフトレジスタ401が、それぞれ上述した主制御基板121の場合と同様の動作を行うことによって実現される。
[図16における払出制御基板のコマンド受信について]
主制御基板121からのコマンドを受信する払出制御基板187の動作について説明する。図20は、払出制御基板187のCPU333が実行するコマンド受信処理を示すフローチャートである。払出制御基板187のCPU333は、遊技球の払い出しを制御する一環として主制御基板121からのコマンドを受信する場合に、図20に示したコマンド受信処理を実行する。なお、図20に示したコマンド受信処理は、図14に示したコマンド受信処理と同様に、CPU333が所定の間隔で繰り返し実行する定時割り込み処理の一環として、複数回の定時割り込み処理に分けて実行される処理である。
CPU333は、コマンド受信処理を開始すると、「受信データ有り信号DFbがハイレベル」であるか否か、すなわち、「受信バッファレジスタ403にデータが記憶されている場合」であるか否かを判断する(ステップS1501)。
ここで、コマンド受信処理において「受信データ有り信号DFbがハイレベル」であると判断される場合(ステップS1501)は、主制御基板121から払出制御基板187に対して送信された2バイトのコマンドのうち、コマンドの1バイト目が受信バッファレジスタ403に記憶された状態である。なお、受信データ有り信号DFbがハイレベルとなっていなければ、受信バッファレジスタ403にデータが記憶されていないことになるので、以降の処理をスキップして、処理を終了する。
「受信データ有り信号DFbがハイレベル」である場合(ステップS1501)には、受信バッファレジスタ403に記憶されているコマンドの1バイト目を読み出した後(ステップS1502)、再び受信バッファレジスタ403に記憶されているコマンドの1バイト目を読み出す(ステップS1503)。その後、1回目に読み出したコマンドの1バイト目と、2回目に読み出したコマンドの1バイト目とを照合して(ステップS1504)、両者が一致するか否かを判断する(ステップS1505)。
読み出したコマンドの1バイト目が1回目と2回目とで一致する場合には(ステップS1505)、バッファクリア信号♯CBbを立ち下げることによって受信バッファレジスタ403に記憶されたコマンドの1バイト目をクリアする(ステップS1506)。これによって、受信シフトレジスタ402に記憶されていたコマンドの2バイト目が、受信バッファレジスタ403に受け渡される。
受信バッファレジスタ403をクリアした後(ステップS1506)、受信バッファレジスタ403に記憶されているコマンドの2バイト目を、コマンドの1バイト目と同様に、2回の読み出しの後に照合を行い(ステップS1507,S1508,S1509)、1回目と2回目とが一致する場合には(ステップS1510)、受信バッファレジスタ403に記憶されたコマンドの2バイト目をクリアする(ステップS1511)。
その後、読み出したコマンドの1バイト目と、読み出したコマンドの2バイト目とを照合して(ステップS1512)、両者が整合するか否かを判断する(ステップS1513)。なお、前述したように、コマンドの2バイト目は、主制御基板121がコマンドの1バイト目の各ビットを反転して生成したデータである。
読み出したコマンドの1バイト目と2バイト目とが整合する場合には(ステップS1513)、主制御基板121に対してACK信号を送信して(ステップS1514)、コマンド送信処理を終了する。
一方、読み出したコマンドの1バイト目や2バイト目の照合が1回目と2回目とで一致しない場合や(ステップS1505,S1510)、読み出したコマンドの1バイト目と2バイト目とが整合しない場合には(ステップS1513)、次回のコマンド受信に備えるために、受信シフトレジスタ402および受信バッファレジスタ403をクリアして(ステップS1515)、コマンド送信処理を終了する。
図21は、コマンド受信処理が実行される際の払出制御基板187における各信号の様子を示すタイムチャートである。なお、説明の便宜上、図21において、コマンドの1バイト目と2バイト目とのシリアル転送時間のスケールは、CPU333の演算処理時間のスケールと比べ縮小されている。
図20に示したコマンド受信処理にて、「受信データ有り信号DFbがハイレベル」であると判断されると(図20中のステップS1501)、読み出し信号#REbの立ち下がりによって、パラレルデータRDbとしてコマンドの1バイト目が、CPU333によって受信バッファレジスタ403から読み出される(タイミングtb11〜tb12,図20中のステップS1502)。その後、さらにコマンドの1バイト目が、1回目と同様にして読み出される(タイミングtb13〜tb14,図20中のステップS1503)。
コマンドの1バイト目の2回の読み出しが完了した後、バッファクリア信号#CBbの立ち下がりによって受信バッファレジスタ403がクリアされ、受信データ有り信号DFbはローレベルとなる(タイミングtb15,図20中のステップS1506)。その後、受信シフトレジスタ402から受信バッファレジスタ403ヘとコマンドの2バイト目が受け渡されると、受信データ有り信号DFbはハイレベルとなる(タイミングtb16)。
その後、コマンドの2バイト目が、コマンドの1バイト目と同様にして受信バッファレジスタ403から2回、読み出される(タイミングtb21〜tb24,図20中のステップS1507,S1508)。コマンドの2バイト目の読み出しが完了した後、バッファクリア信号#CBbの立ち下がりによって受信バッファレジスタ403がクリアされ、受信データ有り信号DFbはローレベルとなる(タイミングtb25,図20中のステップS1511)。
以上説明した払出制御基板187の動作によって、主制御基板121から送信された2バイトのコマンドが受信される。なお、逆に、払出制御基板187からのコマンドを受信する主制御基板121の動作は、最初に説明した例と同様である。
[図33における払出制御コマンド送信制御について]
続いて、コールドスタートコマンド(詳細は後述する)を主制御基板121へと送信する機能的な構成について、図33に基づき説明する。
図33に示すように、主制御基板121は、内部抽選手段210と、始動操作許容手段211と、抽選結果決定手段212と、表示変動開始手段213と、表示結果導出手段214と、ゲーム結果判定手段215と、払出コマンド送信手段216とを有して構成されている。
内部抽選手段210は、一回のゲームごとに予め決められた役の当選または落選の抽選を行うものであり、始動操作許容手段211は、球取込装置30によって所定個数の遊技球が取り込まれると、始動レバー41による始動操作を許容するものであり、抽選結果決定手段212は、始動操作許容手段211によって始動操作が許容されると、始動レバー41の始動動作に基づいて内部抽選手段210による抽選を実行させ、抽選の結果を決定するものであり、変動表示開始手段213は、始動操作許容手段211によって始動操作が許容されると、始動レバー41の始動動作に基づいてリール111の表示状態の変動を開始させるものであり、表示結果導出手段214は、リール111の変動を停止させ、リール111の表示結果を導出するものであり、ゲーム結果判定手段215は、表示結果導出手段214に表示結果導出手段214により導出される表示結果の判定を行うものであり、払出コマンド送信手段216は、ゲーム結果判定手段215によるゲームの判定結果に基づいて、獲得した役に応じた所定数の遊技球を払い出す払出コマンドを送信するものである。
また、払出制御基板187は、払出コマンド受信手段217と、払出完了コマンドを送信する払出完了コマンド送信手段218と、払出状態コマンド送信手段219と、払出制御再開手段220とを有して構成されている。払出コマンド受信手段217は、払出コマンド送信手段216によって送信された払出コマンドを受信するものであり、払出完了コマンド送信手段218は、払出装置166によって所定個数の遊技球が払い出されると、払い出しが完了した旨を主制御基板121へとコマンド送信するものであり、払出状態コマンド送信手段219は、払出制御基板187に供給される電力が切断され、再度供給が開始された場合に、復帰後の情報としてコールドスタートコマンドを含めた払出制御基板187の状態を主制御基板121へと送信するものであり、払出制御再開手段220は、払出制御基板187に供給される電力が停電などで遮断された際、制御に関わる情報を記録すると共に、再度電源が供給されると、記録された情報を基に制御を再開するものである。
なお、前述したシリアルIF部391は、払出コマンド送信手段216の機能を有して構成されている。また、シリアルIFチップ398は、払出コマンド受信手段217、払出完了コマンド送信手段218、及び払出状態コマンド送信手段219の機能を有している。
遊技者がMAXベットボタン40などを操作して掛け数を決定し、球取込装置30によって所定個数(例えば15個)の遊技球が取り込まれると、始動操作許容手段211によって、始動レバー41による始動操作が許容される。この状態で、遊技者が始動レバー41を操作すると、表示変動開始手段213によってリール111a,111b,111cが夫々回転を開始し、表示内容の変動が開始される。
始動操作許容手段211によって始動操作が許容された状態で、始動レバー41が操作されると、抽選結果決定手段212によって内部抽選手段210における内部抽選が行われ、抽選結果が決定される。
そして、遊技者がストップボタン42,43,44を操作すると、表示結果導出手段214によって、当該操作と決定した抽選結果とに基づいてリール111a,111b,111cの停止図柄が決定され、該決定された図柄に基づいてリール111が停止する。
すると、ゲーム結果判定手段215によって、停止した図柄、すなわち表示結果の判定が行われ、遊技者が獲得した役(大当り、ハズレ等)の内容が判定される。払出コマンド送信手段216は、ゲーム結果判定手段215によって遊技者が獲得したと判定された役に基づいて、所定個数の遊技球を払い出す旨の払出コマンドを払出制御基板187へと送信する。
払出制御基板187では、払出コマンド送信手段216による払出コマンドが送信されると、払出コマンド受信手段217によって当該払出コマンドを受信する。そして、受信したコマンドに基づいて払出装置166を制御し、所定個数の遊技球を払い出せる。
払出装置166によって所定個数の遊技球が払い出されると、払出制御基板187に対して払い出しが完了した旨を報告する払出完了コマンドが送信される。すると、払出完了コマンド送信手段によって、主制御基板121に対して、払出完了コマンドが送信され、払い出しが完了した旨が報告される。
一方、払出装置166による払出動作中に故障する等して払出制御基板187が交換されると、払出動作が完了しなかったことにより、前述したような払出完了コマンドは主制御基板121に対して送信されないという事態が発生する。この時、主制御基板121は、ステップS1(図22参照、後述する)に示すように、電源遮断前の動作に復帰し、払出完了を待機する状態になっているので、次のゲームに移行することができず、ゲームがデッドロック状態となってしまう場合も考えられる。
しかし、本実施形態の払出制御基板187には、払出状態コマンド送信手段219がさらに備えられているので、係るデッドロック状態を回避することができる。具体的には、払出制御基板187に供給される電力が供給を開始されると、払出状態コマンド送信手段219によってコールドスタートコマンド(払出制御基板187内が初期化されてスタートしたことを伝えるコマンド)が送信される。これにより、主制御基板121は、払出制御基板187がコールドスタートしたことを確認することができる。
すると、主制御基板121は、周辺制御基板126を通じて液晶モジュール130にエラー状態を表示させ、ゲームを中断させる。ホール側管理者は、表示内容よりエラー状態を確認すると、適宜のエラー解除ボタンを操作してエラー状態をリセットし、次のゲームへと進行させる。この時、リセットされるのは、中断された払出動作のみであるので、遊技者は、例えばビッグボーナスゲーム等の有利な遊技状態が継続された状態で次のゲームに移行できる。従って、全ての遊技状態がリセットされる場合に比べて、それまでの遊技状態を継続して進めることができるので、遊技に対する集中力を失わせる虞が少なく、興趣の低下を防止することができる。なお、「適宜のエラー解除ボタン」が本発明の「ゲーム復帰手段」に相当する。該エラー解除ボタンは、図示は省略したが、本例では設定基板314上に設けられている。
なお、本実施形態の払出制御基板187によれば、払出制御再開手段220が備えられているので、上述したようなコールドスタート状態(払出制御基板187が交換され、制御にかかる情報がクリアされて起動される場合)以外の状態、つまり停電などが起こってホットスタート状態でゲームが中断された場合は、停電前の制御情報が記録される。そして、電源復帰後は、記録された情報に基づいて、停電前と同じ制御状態に復帰し、ゲームを再開させることが可能となっている。
以上がスロットマシン1の構成例である。スロットマシン1によるゲームは、遊技者が遊技球の掛け数を決定した状態で始動レバー41を操作するとリール111が回転し、この後、遊技者がストップボタン42,43,44を操作すると、左・中・右の対応するリール111が停止制御され、そして、全てのリール111が停止すると、有効ライン上での図柄の組み合わせ態様からゲーム結果を判断し、該当する当選役に対応する規定数の遊技球が付与される。
[ゲーム処理について]
次に、スロットマシン1におけるゲーム処理の流れについて説明する。以下のゲーム処理は、主制御基板121のCPUにて実行される制御プログラム上の処理手順に沿って進行する。なお、図中のSは制御のステップを示す。
図22は、スロットマシン1における基本的な1ゲームの処理手順を一通り示している。先ずS1においては、ゲームスタートに備えるための初期設定を実行する。特に電源の立ち上げ時等においては、前述した各種装置の接続及び作動状況を確認するとともに、バックアップデータの有無を確認し、バックアップデータが存在する場合には、電源断前の状態に復帰させる処理を実行する。
続いて、S2では、球受け皿26に載置された遊技球を用いた掛け数の決定待ちの状態であり、掛け数が決定され、始動レバー41の操作が受け付けられた時点で掛け数を確定するBET処理を実行する。具体的には、MAXベットボタン40の押下操作により球取込装置30に対して取込制御コマンドを送信し、取込完了コマンドを受け取ることで掛け数が決定される。ここで掛け数が決定された時点で始動レバー41の操作を受け付けることが可能な状態となる。なお、本実施形態のスロットマシン1では掛け数を決定するためのボタンをMAXベットボタンのみとしているが、別に1BETボタン、2BETボタンを設けることとしてもよい。
S3では、S2における始動レバー41の操作によるゲームスタートに伴い、いずれかの当選役を内部抽選の結果とするか否かを決定するための内部抽選処理を実行する。この内部抽選処理とは、全てのリール111が停止される前の段階において、いずれかの当選役を当該ゲームの抽選結果とするか否かを決定するために実行されるものである。即ち、この抽選の抽選結果がいずれかの当選役に該当する場合に限り、その当選役が許容されるのである。
S4では、S3の内部抽選処理の終了に伴い全てのリール111を回転させるリール回転処理を実行する。このリール回転処理においては、全てのリール111が回転をした時点でストップボタン42,43,44の押下操作を有効とし、ストップボタンが有効になったことを知らせる操作有効ランプ(図示しない)を点灯させるとともに、次回のリールの回転が開始されるまでのタイマカウントを開始する。なお、操作有効ランプはストップボタン42,43,44にそれぞれ内蔵されるランプである。つまり、ストップボタンの操作が有効となると、ストップボタンがそれぞれ点灯することとなる。
S5では、遊技者によるストップボタン42,43,44の押下操作が受け付けられて、その受け付け順に操作有効ランプを消灯させるとともに、対応するリール111a,111b,111cの回転を停止させるリール停止処理を実行する。
S6では、S5において全てのリール111の回転が停止されたと判定した時点で、図柄表示窓23内に表示された表示内容と、S3において決定された内部抽選の結果として許容されているものを照合して当選役の判定を行う判定処理を実行するとともに、当選役に対応する各種遊技特典の付与を実行する。この各種遊技特典の内容としては、例えば、賞球の付与、遊技状態の変更、再遊技等がある。
S7では、S6において判定された当選役に対応する遊技特典の内容に基づく払出処理を実行する。具体的には、当選役に対応する賞球数の払い出しを指示する払出制御コマンドの払出制御基板187への送信を行う処理等を実行する。S7の処理が終了すると、S2のBET処理に戻る。
以上が、スロットマシン1の基本的な1ゲームの処理手順である。続いて、各処理の具体的な内容について説明する。
図23は、S1における、ゲームスタートに備えるための初期設定に関するフローチャートである。スロットマシン1に電源が投入されると、CPU200によって、停電信号がONか否かが判別される(ステップS10)。ここで、主制御基板121に供給される電力が所定値以下である場合は、停電より復帰していない(若しくは、これから停電するところである)と判別され、待機状態となる(ステップS10においてYES)。一方、停電信号がONでなければ(ステップS10においてNO)、続いて、ステップS11の処理に移行する。
ステップS11では、液晶制御基板133等の周辺装置を制御する周辺制御基板126が起動したか否かが判別される。ここで、周辺制御基板126が起動していなければ(ステップS11においてNO)、次の処理へと移行せず、待機状態となる。一方、周辺制御基板126が起動していれば、ステップS12の処理に移行する。
ステップS12では、スロットマシン1における設定を変更する設定変更キーが操作されたか否かが判別される。設定変更キーが操作(ON)されていなければ(ステップS12においてNO)、次に、主制御基板121が制御する遊技に関する情報が記憶されたRAMが正常であるか否かが判別される(ステップS13)。そして、RAMが正常であれば(ステップS13においてYES)、次の処理に移行する。
ステップS14では、CPU200のスタック領域のうち未使用領域がクリアされる。そして、ステップS15の処理に移行する。ステップS15では、電源断時の出力ポートが復元される。続いて、ステップS16では、電源断時のスタックポインタを設定し、次に、電源断時に退避したレジスタが復元される(ステップS17)。そして、電源断時のアドレスの処理に復帰する。例えば、電源投入が行われたのが、一日の最初にゲームをスタートさせる時であればステップS2に移行し、所定のゲーム状態が進行中に停電が発生した時であれば、停電前のゲーム状態に復帰する。
ところで、ステップS12において、設定キーが操作されていれば(ステップS12においてYES)、設定変更の処理が行われる(ステップS18)。ここで、「設定変更」とは、スロットマシン1の出玉率(投入数に対する払出数の割合)を段階的に変更する状態を示す。そして、設定変更処理が終了した後に、RAMの内容がクリアされ(ステップS19)、初期設定に関する処理を終了する。
一方、ステップS13において、RAMが正常ではないと判別された場合(ステップS13においてNO)は、周辺制御基板126を通じて液晶モジュール130にエラーの内容(RAMに異常が発見されたことを伝える適宜のコード)を表示させ(ステップS20)、エラーが解除されるまで(進行中のゲームがあれば)ゲームを中断させる(ステップS21)。
次に、S2、S3、及びS4について説明をする。S2(BET処理)及びS3(内部抽選処理)及びS4(リール回転処理)は、一連の操作として遊技者により行われるものである。従って、これらの処理(S2、S3、S4)をまとめて始動処理と呼ぶ。以下ではこの始動処理の具体的な説明をする。
[始動処理について]
図24は、始動処理で行われる各処理を具体的に示したものである。なお、図中の点線で囲まれた部分は、それぞれの処理(前述のS2、S3、S4)の該当する部分を示している。
始動処理で始めに実行されるBET処理を示しているのが破線で囲まれた部分S2である。BET処理では、先ずMAXベットボタン40の押下操作の検出の有無が確認される(S101)。ここで、遊技者によるMAXベットボタン40の押下操作が検出されると、主制御基板121と球取込装置30とでデータの送受信が行われ、それに伴って遊技球の取込みが実行される(取込処理、S102)。
S102の取込処理では、MAXベットボタンの押下操作が検出された場合に、主制御基板121から該当する掛け数を決定するのに必要な球数の取込を指示する旨の取込制御コマンドを球取込装置30内の駆動基板30aに対して送信する。これに基づき球取込装置30内の駆動基板30aでは、指示された取込球数分の取込処理を実行する。具体的には、球取込装置30に対して取込指示信号を出力し、指示された取込球数分の遊技球の取り込みを実行させるとともに、球取込装置30から出力される取込球検出信号により、指示した球数分の遊技球の取り込みが確認された時点で、取込完了コマンドを主制御基板121に対して返信する。また、これに伴い、取込球数を示す球IN信号の外部出力制御を行う(これにより、ベット指示ランプ213が消灯し、ベットランプ201が全て点灯することになる)。一方、取込完了コマンドの返信を受けた主制御基板121では、取り込みが正常に行なわれたことを確認し、該当する掛け数を決定する。
取込処理が終了すると、始動レバー41の操作が有効化される(S103)。始動レバー41の操作が有効化されると、始動レバー41の操作が受け付けられるまで操作待ちの状態となる。即ち、遊技者の始動操作待ちの状態となる。ここまでが、BET処理(前述のS2)に該当する処理の内容である。
また、リプレイゲームでは、新たにベットを必要としないのでS101及びS102は実行されずに始動レバーが有効化された状態で以降の処理へと進むことになる(S101=No)。つまり、リプレイゲームではMAXベット及び始動レバー操作の有効化(再遊技では新たな遊技球の取込は不要なため、取込処理は実行されない)が、遊技者の操作を受け付けることなく行われることになる。なお、このことは言い換えれば、リプレイゲームでは取込処理を経ずに始動レバーが有効化されるということである。
BET処理に次いで実行される内部抽選処理(前述のS3)を示しているのが一点鎖線で囲まれた部分S3である。始動レバーの操作が有効化された後、始動レバー41の操作が受け付けられると、S104の判断が肯定(Yes)されて、次に始動レバーの操作が無効化される(S105)。始動レバーの操作が無効化されると、その後に始動レバーが操作されてもその操作は受け付けられない状態となる。
始動レバー41の操作が受け付けられると、これを契機として乱数の抽出が行われる(S106)。このとき抽出された乱数値のことを抽出乱数値という。なお、始動レバー41の操作を受け付けてから乱数を抽出するタイミングは、プログラミングの過程で適切な抽出タイミングを設けることができる。
S107のフラグ処理では、S106で抽出された乱数値の照合が行われる。ここで行われる照合とは、抽出乱数値がいずれかの当選役に対応する乱数値と一致するか否かを判断することである。つまり、S104の始動操作を契機としてS106で乱数値が抽出され、その抽出された乱数値がいずれかの当選役に該当する乱数値であるか否かが照合される(S107)までの一連の処理が内部抽選処理(前述のS3)に該当することになる。そして、この内部抽選処理で行われる乱数の抽出から照合までが内部抽選と呼ばれる。
この内部抽選の結果(抽出乱数値の照合の結果)が当該ゲームで当選した当選役として許容される。ここで許容された当該ゲームでの抽選結果は、「内部抽選フラグ」という内部抽選の結果を示す情報コマンドとして以降の処理(リール停止処理、判定処理、払出処理等)に反映されることになる。
S107のフラグ処理では、抽出乱数値がいずれかの当選役の当たり値に該当するか否かが判断(照合)されることになる。このとき、いずれかの当選役の当たり値に該当すると判断された場合、その該当する当選役に対応する内部抽選フラグがONにされるとともに、主制御基板121から情報コマンド(該当する当選役の内部抽選フラグ)が周辺制御基板126に送信される。ここで、該当する当選役の内部抽選フラグがONにされることとは、その該当する当選役が当該ゲームの結果として許容されたことをいう。
また、いずれの当選役にも当選しなかったと判断された場合、抽出乱数値はハズレの当たり値に該当することになり、ハズレの内部抽選フラグがONにされるとともに、主制御基板121からハズレの情報コマンドが周辺制御基板126に送信される。
内部抽選処理に次いで実行されるリール回転処理(前述のS4)を示しているのが二点鎖線で囲まれた部分S4である。内部抽選処理が行われると、リールを回転させるための処理が実行される。ここでは先ず、リールの回転を開始させる前にタイマカウントが終了しているかが判断される(S108)。このタイマカウントは、ウェイトタイマと呼ばれるタイマによって計測される。ウェイトタイマは、当該ゲームにおいてリールの回転が開始されたときから次回のゲームでリールの回転が開始されるまでの所定時間(例えば、4.1秒)の経過を計測するものである。つまり、前回のリールの回転が開始されたときから所定時間が経過している場合は、S108の判断が肯定(Yes)され、所定時間が経過するまではS108の処理をループすることになる。
タイマカウントが終了していると判断されると(S108=Yes)、全てのリールの回転が開始される(S109)。このとき同時に新たにタイマカウントも開始される(S110)。全てのリールの回転の速さが一定となると、それぞれのストップボタン42,43,44の操作有効ランプを点灯させる。この点灯により、遊技者はストップボタンの押下操作が有効になったことを知ることとなる。そして、前述したS5(図22参照)の処理に移行する。
次に、図25乃至図26に基づいて、S7について具体的に説明をする。図25及び図26は、主制御基板121における払出処理に関するフローチャートである。
S7では、S6において判定された当選役に対応する遊技特典の内容に基づく払出処理を実行する。具体的には、図25及び図26に示すように、まず、ステップS30において、払出処理が必要か否かが判定される。ここで、内部抽選結果がハズレ役であった場合は、遊技者が獲得した役がハズレ役(賞球がない)であると判定されるので、ストップボタン42,43,44を操作しても、賞球のある図柄で停止することが無い。従って、払出処理が必要ないと判断され(ステップS30においてNO)、払出処理を終了する。一方、内部抽選結果によって、遊技者が獲得した役が賞球のある何らかの役(例えば”小役”など)であると判定され、且つ、遊技者がストップボタン42,43,44を操作して停止させた図柄が所定の組み合わせの図柄列であった場合は、払出処理が必要であると判断され(ステップS30においてYES)、主制御基板121から払出制御基板187に対して払出処理を指示する払出コマンドが送信される(ステップS31)。そして、ステップS32に移行する。
ステップS32では、払出制御基板187が前述の払出コマンドを正常に受信した旨を主制御基板121に対して報告するACK信号を受信したか否かが判別される。ACK信号を受信していれば(ステップS32においてYES)、ステップS33の処理に移行し、払出制御基板187が払出を完了した旨を報告する払出完了コマンドを受信したか否かが判別される(ステップS33)。ここで、払出完了コマンドを受信していれば(ステップS33においてYES)、払出制御基板187に対して、払出完了コマンドを正常に受信した旨を報告するACK信号を送信する(ステップS34)。
一方、ステップS32において、ACK信号を受信していなければ(ステップS32においてNO)、払出制御基板187に対して、現状の稼動状況をチェックさせるSCコマンドを送信させる(ステップS35)。そして、ステップS36の処理に移行する。ステップS36では、払出制御基板187から主制御基板121に対して送信される払出状態コマンドを受信したか否かが判別される。「払出状態コマンド」とは、払出制御基板187がSCを行った内容を示すコマンドであり、例えば、賞球用の遊技球が球切れにより払い出せなかったことを示す球切れ状態、球詰まりを起して払出不能状態に陥っている状態を示す球詰まり状態、等を示すコマンドが例示できる。払出制御基板187より払出状態コマンドを受信していなければ、何らかのエラーによって、遊技が中止する旨のエラー状態を液晶モジュール130に表示させ(ステップS37)、前述したステップS33の処理に戻る。
一方、ステップS36において、払出制御基板187より送信された払出状態コマンドを受信していれば(ステップS36においてYES)、主制御基板121より払出制御基板187に対してコマンドを正常に受信した旨を報告するACK信号を送信する(ステップS38)。そして、受信した払出状態コマンドの内容に基づいて、機能表示板328若しくは液晶モジュール130に払出制御基板187の詳細なエラー状態(“球切れ状態”等)を表示させ(ステップS39)、前述したステップS33の処理に戻る。
一方、ステップS33において払出完了コマンドが受信されなかった場合(ステップS33においてNO)は、ステップS41の処理(図26参照)に移行する。ステップS41では、払出制御基板187からコールドスタートコマンドを受信したか否かが判別される。なお、コールドスタートコマンドとは、払出制御基板187のRAMが初期化されてスタートしたことを伝えるコマンドである。ここで、コールドスタートコマンドを受信してなければ(ステップS41においてNO)、ステップS32の処理に戻る。一方、コールドスタートコマンドを受信していれば(ステップS41においてYES)、正常に受信した旨を報告するACK信号を払出制御基板187に対して送信(ステップS42)し、ステップS43の処理に移行する。
ステップS43では、払出制御基板187が何らかのトラブルによって(例えば、故障のため交換される等して)コールドスタートした旨を機能表示板328若しくは液晶モジュール130にエラー表示させ、ステップS44の処理に移行する。ステップS44では、ホール側管理者等によって設定基板314に設けられたエラー解除ボタン(本発明の「ゲーム復帰手段」に相当)が操作されてエラー状態が解除されるまで遊技を停止させ、待機する(ステップS44においてNO)。エラーが状態が解除されれば(ステップS44においてYES)、主制御基板121における払出処理を終了する。なお、払出コマンドは、払出完了コマンドの有無に関わらず一回しか出力しない。このため、不正に電源を切断/復旧させても二重に払い出すことは無い。
[払出制御基板における払出制御について]
図27は、払出制御基板187における払出処理に関するフローチャートである。なお、払出制御基板187は、払出制御基板187に搭載されるCPU333により所定のタイミング(本実施形態では、4ms毎)でタイマ割り込み処理として実行される。
まず、払出制御基板187の電源が投入されると、払出制御に関する情報が記憶されたRAMが正常であるか否かが判別される(ステップS50)。ここで、RAMの内容が正常であると判別されると(ステップS50においてYES)、続いてステップS51の処理に移行する。なお、“RAMの内容が正常である(ステップS50においてYES)”とは、例えばホールの営業が終了した際にスロットマシン1の電源が落とされた場合や、停電などが生じた場合に正常に停電処理が行われた場合などが例示できる。つまり、払出制御基板187が故障などを起さずに電源が落とされた場合が該当する。
ステップS51では、CPU333に内蔵されたRAMのスタック領域のうち未使用領域がクリアされる。そして、ステップS52の処理に移行する。ステップS52では、電源断時の出力ポートが復元される。続いて、ステップS53では、電源断時のスタックポインタを設定し、次に、電源断時に退避したレジスタが復元される(ステップS54)。そして、電源断時のアドレスの処理に復帰する。
一方、ステップS50において、RAMに記録されている情報が正常でないと判断された場合(ステップS50においてNO)は、ステップS55の処理に移行し、RAMに記録されている情報を初期化する。なお、正常であるか否かの判定は、停電時にバックアップ領域に記憶した固定値の値を保持しているか、そして、停電時にバックアップ領域のデータでチェックサムを作って保持してあるが、これが電源投入時に再計算したチェックサムと一致するかの2点で判定される。そして、RAMの内容が初期化されたことを示すコールドスタートコマンドに係るコールドスタートフラグをONにする(ステップS56)。ここで、“RAMに記録されている情報が正常でない場合(ステップS50においてNO)”としては、何らかのトラブルによりRAMの内容が破壊された場合や、新たな払出制御基板187に交換されたことによりRAMの内容が空白だった場合などが例示できる。このような場合は、電源が遮断される前の遊技情報が記録されていないので、電源断時のアドレスに復帰することができない。そこで、RAMの内容を一旦初期化し、コールドスタートフラグをONにすることで、コールドスタート(初期状態からスタート)したことを情報として有する処理を行う。
続いて、ステップS57の処理に移行する。ステップS57では、主制御基板121からのコマンドを受信したか否かが判別される。ここで、主制御基板121からのコマンドが受信されていないと判別された場合(ステップS57においてNO)は、コマンドが受信されるまで待機状態とする。一方、主制御基板121からのコマンドが受信されたと判別された場合(ステップS57においてYES)は、ステップS58の処理に移行する。
ステップS58では、ステップS57において受信したコマンドが払出コマンドであるか否かが判別される。そして、払出コマンドであると判別された場合(ステップS58においてYES)は、主制御基板121に対して、払出コマンドを正常に受信した旨を報告するACK信号を送信する(ステップS59)。そして、ステップS60の処理に移行する。
ステップS60では、払出に必要な遊技球の個数を払出必要個数情報として取得し、対応する払出しモータ167の回転角度を計算する。そして、計算によって求められた回転角度に従って、払出装置166を制御して払出しモータ167を回転させる(ステップS61)。続いて、払出計数スイッチ166bによってカウントされた払出遊技球の数を、払出に必要とされる遊技球から減算し(ステップS62)、演算結果を参照する(ステップS63)。
ここで、払出に必要とされる遊技球の払出作業が完了していない(演算結果がゼロではない)場合(ステップS63においてNO)は、減算結果を残りの払出必要個数情報として代入し(ステップS64)、ステップS60の処理に移行する。一方、演算結果がゼロであった場合(ステップS63においてYES)は、払出装置166の払出処理が完了したものと判断し、主制御基板121に対して、払出完了コマンドを送信する(ステップS65)。そして、払出制御基板187が送信した払出完了コマンドを、主制御基板121が正常に受信したことを示すACK信号が受信された否かが判別され(ステップS66)、受信されたと判別された場合(ステップS66においてYES)は、払出に係る処理が正常に終了したと判断し、ステップS57の処理に移行する。つまり、主制御基板121から新たなコマンドが送信されたか否かを判別する処理に移行する。ACK信号が受信されなかった場合(ステップS66においてNO)は、主制御基板121からのACK信号を受信するまで待機した状態となる。
一方、ステップS58において、主制御基板121からの払出コマンドが受信されなかった場合(ステップS58においてNO)は、続いて、主制御基板121から送信されたSCコマンドを受信したか否かが判別される(ステップS67)。ここで、SCコマンドを受信していないと判別された場合(ステップS67においてNO)は、主制御基板121から送信されたコマンドの種別が判別できなかったものと判断され、ステップS58の処理に戻り、再度払出コマンドか否かを判別する処理に移行する。一方、SCコマンドを受信したと判別された場合(ステップS67においてYES)は、SCコマンドを正常に受信した旨を報告するACK信号を主制御基板121へと送信し(ステップS68)、ステップS69の処理に移行する。
ステップS69では、コールドスタートフラグがONであるか否かが判別される。ここで、コールドスタートフラグがOFFであれば(ステップS60においてNO)、続くステップS70〜S71の処理をスキップし、ステップS72以降の処理に移行する。ステップS72の処理については後述する。一方、コールドスタートフラグがONであれば(ステップS69においてYES)払出制御基板187のコールドスタートフラグに対応するbitをONにし(ステップS70)、コールドスタートフラグをOFFにする(ステップS71)。そして、ステップS72の処理に移行する。
ステップS72では、払出装置166に係る払出状態がチェックされる。ここで「払出状態」としては、例えば球タンク161に充分な遊技球がストックされておらず、払出に必要な遊技球が足りていない(所謂「球切れエラー」)状態や、球抜き中である状態、払出制御基板187と払出装置166とが正常に接続されていない状態、CRサンドが接続されていない状態、球詰まりの状態等が挙げられる。そして、ステップS72におけるチェックで取得された払出状態は、払出状態コマンドとして主制御基板121へと送信され(ステップS73)、主制御基板121が当該払出状態コマンド(コールドスタートコマンドを含む)を正常に受信した旨を報告するACK信号を受信したか否かが判別される(ステップS74)。
ステップS74において、ACK信号を受信したと判別された場合(ステップS74においてYES)は、セルフチェックに係る制御が終了したものと判断され、ステップS57の処理へと移行する。つまり、次の新しいコマンドが主制御基板121から送信されるのを待機する状態へと移行する。一方、ACK信号が受信されなかった場合(ステップS74においてNO)は、再度ステップS74の処理を繰り返し、ACK信号が受信されるまで待機した状態となる。
次に、各コマンド処理が実行される際の処理の流れを、図28乃至図32に基づき説明をする。
図28は払出に関わる処理が正常に終了した場合におけるタイミングチャートであり、(a)は主制御基板121から払出制御基板187へと送信されるコマンドの出力を示し、(b)は払出制御基板187から主制御基板121へと送信されるACK信号の出力を示している。また、(c)は払出装置166の払出動作を示す出力であり、(d)は払出制御基板187から主制御基板121へと送信される払出完了コマンドの出力であり、(e)は主制御基板121から払出制御基板187へと送信されるACK信号の出力を示している。
主制御基板121から払出コマンドが出力されると((a):t1〜ta)、当該払出コマンドを受信した旨を報告するACK信号が、払出制御基板187から主制御基板121へと送信される(b)。そして、払出装置166が所定数の遊技球を払い出す払出動作を実行し(c)、1ゲームにおける払出動作が終了すると、払出制御基板187より主制御基板121へと払出完了コマンドが送信される(d)。主制御基板121は、払出完了コマンドの受信を確認すると、払出制御基板187に対して正常に受信した旨を報告するACK信号を送信する(e)。なお、ta〜tb間は、所定の払出完了待ち期間であり、主制御基板121は、この期間を経過しても払出完了コマンドが送信されて来ない場合、何らかのエラー状態であると判別する。
図29は払出制御基板187から主制御基板121への払出コマンドに対するACK信号が送信されなかった場合(通信異常時)におけるタイミングチャートであり、(a)は主制御基板121から払出制御基板187へと送信されるコマンドの出力を示し、(b)は主制御基板121から払出制御基板187へと送信されるACK信号の出力を示している。また、(c)は払出装置166の払出動作を示す出力であり、(d)は払出制御基板187が主制御基板121からのコマンドを受信した旨を報告するACK信号の出力を示している。
つまり、主制御基板121から払出コマンドが出力され((a):t1〜ta)た後、所定のACK待ち期間(ta〜t7:例えば、101.32ms等)を経過しても、払出制御基板187からのACK信号が出力されなかった場合(b)は、払出装置166における払出動作が開始されない(c)。そして、主制御基板121は、払出制御基板187に対して、稼動状況を報告させる旨の指示であるSC(セルフチェック)コマンドを出力する(t7:(a))と共に、液晶モジュール130を通じてエラー表示を行う。そして、ホール側の管理者等によって、エラー状態が解除されると、払出制御基板187から主制御基板121へとACK信号が出力される(d)。
図30は払出完了コマンド応答時間内に払出制御基板187から主制御基板121へとエラー情報が送信された場合(払出異常発生時)のタイミングチャートであり、(a)は主制御基板121から払出制御基板187へと送信されるコマンドの出力を示し、(b)は主制御基板121から払出制御基板187へと送信されるACK信号の出力を示している。また、(c)は払出制御基板187から主制御基板121へと送信されるACK信号の出力を示し、(d)は払出装置166の払出動作を示す出力であり、(e)は払出制御基板187から主制御基板121へと送信される払出完了コマンドの出力を示し、(f)は払出制御基板187から主制御基板121へと送信されるエラー信号の出力状態を示している。
つまり、主制御基板121から払出コマンドが出力されると((a):t1〜ta)、当該払出コマンドを受信した旨を報告するACK信号が、払出制御基板187から主制御基板121へと送信される(c)。そして、払出装置166によって所定数の遊技球を払い出す払出動作が実行される(d)が、ここで、払出完了コマンドを待機する所定の期間内(ta〜tb間)に適宜のエラー状態(払出装置166における球切れ、球詰まり等)が発生すると、払出動作が中断され、エラー状態を報告する払出状態コマンドが、払出制御基板187から主制御基板121へと送信される(t3:(f))。これに伴い、払出制御基板187から主制御基板121への払出完了信号の送信が行われない状態となる(e)。すると、主制御基板121は、主払ACK信号(b)を出力し、液晶モジュール130を通じてエラー状態を表示する。これにより、ホール側の管理者等によって、エラー状態が解除されるまで待機状態となる。エラーが解除されると、続く処理が実行される(図略)。
図31は払出完了コマンド応答時間内に払出制御基板187から主制御基板121へと払出完了コマンドが送信されなかった場合(払出未完了時)のタイミングチャートであり、(a)は主制御基板121から払出制御基板187へと送信されるコマンドの出力を示し、(b)は払出制御基板187から主制御基板121へと送信されるACK信号の出力を示している。また、(c)は払出装置166の払出動作を示す出力であり、(d)は払出制御基板187から主制御基板121へと送信される払出完了コマンドの出力であり、(e)は主制御基板121から払出制御基板187へと送信されるACK信号の出力を示している。
つまり、主制御基板121から払出コマンドが所定期間出力されると((a):t1〜ta)、当該払出コマンドを受信した旨を報告するACK信号が、払出制御基板187から主制御基板121へと送信される(b)。しかし、払出完了コマンドを待機する所定の期間内(ta〜tb)に払出動作が完了しなかった場合(c)は、何らかのエラー状態が発生したと判別され、主制御手段121によって、液晶モジュール130によるエラー報知が為される(tb)。そして、ホール側管理者などによってエラー状態が解除され、払出動作が正常に終了すると(t5〜t6:(c))、払出完了コマンドが払出制御基板187から主制御基板121へと送信される(t6:(d))。主制御基板121は、払出完了コマンドの受信を確認すると、払出制御基板187に対して正常に受信した旨を報告するACK信号を送信する(e)。
図32は払出制御基板187から主制御基板121へとコールドスタートコマンドが送信された場合(コールドスタートコマンド送信時)のタイミングチャートである。(a)は主制御基板121から払出制御基板187へと送信されるセルフチェックコマンドの出力を示し、(b)は払出制御基板187から主制御基板121へと送信されるACK信号の出力を示している。また、(c)は払出制御基板187から主制御基板121へと送信されるコールドスタートコマンドの出力であり、(d)は主制御基板121から払出制御基板187へと送信されるACK信号の出力を示している。
払出制御基板187へと供給される電力が切断され、内蔵されたRAM情報が初期化された状態で再度復帰すると、主制御基板121より、現状の状態を報告させる指示としてのSCコマンドが送信される(a)。払出制御基板187によって、主制御基板121からのSCコマンドが正常に受信されると、受信した旨を報告するACK信号が主制御基板121へと送信される(b)。さらに、復帰後の情報として、コールドスタートコマンド(電力が遮断された後、内蔵された情報が全て初期化された状態で復帰した旨を報告するコマンド)が、払出制御基板187から主制御基板121へと送信される(c)。主制御基板121は、払出状態コマンドの受信を確認すると、払出制御基板187に対して正常に受信した旨を報告するACK信号を送信する(d)。
次に、図34に基づいて、停電時(電源断時)の割り込み処理について説明する。なお、図34では、主制御基板121における停電時割り込み処理について説明するが、払出制御基板187においても同様の処理が行われている。
停電などによって、供給される電圧が所定値より小さくなると、CPU200によって停電時割り込み処理が行われる。停電時割り込み処理では、まず、出力ポートの状態がRAMに記憶される(ステップS80)。なお、本実施形態においては、電源基板182にはバックアップ電源が搭載されており、スロットマシン1に供給される電力が一時的に遮断された場合においても、所定期間は記憶された情報が消去せずに保持することが可能な構成となっている。このように、出力ポートの状態を記憶することで、停電時割り込み処理後においてゲームの進行状態に変化が生じることが無くなる。
そして、CPU200はスタックポインタを退避させ(ステップS81)、各種レジスタの内容をRAMのレジスタ領域に退避させる(ステップS82)。電源投入時処理では、これら退避された内容に基づいてレジスタ内容が復元される。
次に、CPU200は、RAMの内容からチェックサムデータを作成すると共に、作成されたチェックサムを記憶する(ステップS83)。すなわちCPU200は、チェックサムの算出内容となるRAMのバックアップ領域の算出開始アドレスをポインタにセットし、併せてチェックサムの算出回数をセットする。そして、チェックサムデータ領域の値に対し、ポインタによって順次指示されるバックアップ領域の値を更新して最終的にチェックサムを算出する。このようにして作成されたサムデータは、前述の電源投入時処理においてサムチェックに使用される。
その後、CPU200はRAMの停電時固有値を記憶(ステップS84)してRAMへのアクセスを禁止し、無限ループを実行しながら電源遮断に備える。
このように、本実施形態のスロットマシン1によると、払出状態コマンド送信手段219によって、電源切断状態より復帰したことを情報として送信するコールドスタートコマンドが主制御基板121へと送信されるため、主制御基板121は、何らかの原因によって払出制御基板187が電源切断より復帰したことを認識することができる。これにより、例えば中断されたゲームがビッグボーナスゲームの進行中に行われたものであった場合でも、当該ゲームの有利遊技状態を失わせることなく、有利遊技状態を継続したまま次のゲームに移行できる。従って、遊技者を落胆させることなく、遊技に対する興趣の低下を防止することが可能となる。
また、共通外部端子板348を通じて、払出制御基板187がコールドスタートしたことを外部に報知することができるので、ホール側の管理者等の外部が迅速且つ確実に状況を把握することができる。これにより、ゲーム再開に要する時間を可及的に短くすることができ、遊技者に与えるイライラ感を最低限に抑えることも可能となる。
また、主制御基板121のCPU200が一回の割込み処理を行う間に、シリアル転送可能なコマンドを2バイト分、シリアル転送ユニットの送信バッファレジスタ393等に格納することができ、CPU200がコマンドのシリアル転送に関わる期間を短縮することができる。その結果、主制御基板121における他の制御処理の進行の阻害や、主制御基板121で実行される制御プログラムの複雑化を抑制することができる。従って、コマンドを分割してシリアル転送する場合における円滑な遊技制御を実現することができる。つまり、独立した信号線を設けることなく、シリアル転送するコマンドとしてこれらのコマンド(払出コマンド、コールドスタートコマンド等)を送信することができるので、遊技機の構成を簡略化することができると共に、制御プログラムの複雑化を抑制することによって経済的なスロットマシン1が提供できる。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
すなわち、上記実施形態において、コールドスタートコマンドがシリアル転送される場合を例示したが、独立した信号線を設け、他の制御コマンドとは別個独立したコールドスタート信号として主制御基板121へと送信するものとしても良い。つまり、「表示状態を変化させることが可能な複数の可変表示体からなる可変表示手段と、
遊技者の操作に基づいて所定個数の遊技媒体を取り込む遊技媒体取り込み手段と、
遊技者の操作に基づいて前記可変表示手段による前記表示状態の変動を開始させる始動操作手段と、
前記遊技媒体取り込み手段によって所定個数の前記遊技媒体が取り込まれると、前記始動操作手段による始動操作を許容する始動操作許容手段と、
前記可変表示手段の前記複数の可変表示体による前記表示状態の変動を、遊技者の操作に基づいて個々に停止させる停止操作手段と、
前記可変表示手段、遊技媒体取り込み手段、始動操作手段、始動操作許容手段、及び、停止操作手段を制御する主制御手段と、
前記遊技媒体の払い出しを行う払い出し手段を制御する払出制御手段と、
前記主制御手段または前記払出制御手段の状態を示す信号を外部へと送信する外部出力手段と
を備え、
前記主制御手段は、
一回のゲームごとに予め決められた役の当選または落選の抽選を行う内部抽選手段、
前記始動操作許容手段により前記始動操作が許容されると、前記始動操作手段の操作に基づいて、前記内部抽選手段による抽選を実行させて、該抽選の結果を決定する抽選結果決定手段、
前記始動操作許容手段により前記始動操作が許容されると、前記始動操作手段の操作に基づいて、前記可変表示手段の前記表示状態の変動を開始させる表示変動開始手段、
前記停止操作手段の操作に応じて前記可変表示体の変動を停止させ、前記可変表示手段の表示結果を導出する表示結果導出手段、
該表示結果導出手段により導出される表示結果の判定を行うゲーム結果判定手段、
及び、前記ゲーム結果判定手段による前記ゲームの判定結果に応じて、獲得した役に応じた所定数の遊技媒体を払い出す払出コマンドを送信する払出コマンド送信手段
を有して構成され、
前記払出制御手段は、
前記払出コマンド送信手段によって送信された前記払出コマンドを受信する払出コマンド受信手段、
前記払い出し手段によって所定個数の前記遊技媒体が払い出されると、払出完了コマンドを送信する払出完了コマンド送信手段、
供給される電源が切断されると、制御に関わる情報を保存し、再度供給が開始された場合に、該保存した情報を基に制御を再開する払出制御再開手段、
及び、前記払出制御手段に電源が供給され、制御に関わる情報をクリアして起動した場合に、復帰後の情報としてコールドスタート信号を前記主制御手段へと送信する払出状態信号送信手段、
を有して構成されていることを特徴とする遊技機」としても良い。このように構成することで、主制御基板121で実行される制御プログラムをより簡易化することが可能となる。但し、本実施例のように、シリアル転送すると、新たな信号線を付加することなく従来のスロットマシン1をそのまま適用することができるので、より汎用性が高く経済的であるため好適である。なお、「払出状態信号送信手段」としては、図33の一点鎖線部(「払出状態信号送信手段230」)に示すように構成すると良い。また、「払出状態コマンド送信手段219」と「払出状態信号送信手段230」との双方を具備する払出制御基板として構成すると、シリアル転送を行うスロットマシンと信号線を使用するスロットマシンとの双方に同じ払出制御基板を適用することも可能となる。
また、主制御基板121のRAMの内容が初期化されて起動した場合(例えば、工場出荷段階から初めて起動する場合や、長期間電源を供給せずに放置したことでRAMのバックアップ内容が消えてしまった後に起動した場合など)、つまりコールドスタートした状態で、払出制御基板187がホットスタートした場合は、エラー状態であるとしてゲームを停止させる第二ゲーム停止手段をさらに備える構成としても良い。例えば、「表示状態を変化させることが可能な複数の可変表示体からなる可変表示手段と、
遊技者の操作に基づいて所定個数の遊技媒体を取り込む遊技媒体取り込み手段と、
遊技者の操作に基づいて前記可変表示手段による前記表示状態の変動を開始させる始動操作手段と、
前記遊技媒体取り込み手段によって所定個数の前記遊技媒体が取り込まれると、前記始動操作手段による始動操作を許容する始動操作許容手段と、
前記可変表示手段の前記複数の可変表示体による前記表示状態の変動を、遊技者の操作に基づいて個々に停止させる停止操作手段と、
前記可変表示手段、遊技媒体取り込み手段、始動操作手段、始動操作許容手段、及び、停止操作手段を制御する主制御手段と、
前記遊技媒体の払い出しを行う払い出し手段を制御する払出制御手段と、
前記主制御手段または前記払出制御手段の状態を示す信号を外部へと送信する外部出力手段と、
停止したゲームを復帰させるゲーム復帰操作手段と
を備え、
前記主制御手段は、
一回のゲームごとに予め決められた役の当選または落選の抽選を行う内部抽選手段、
前記始動操作許容手段により前記始動操作が許容されると、前記始動操作手段の操作に基づいて、前記内部抽選手段による抽選を実行させて、該抽選の結果を決定する抽選結果決定手段、
前記始動操作許容手段により前記始動操作が許容されると、前記始動操作手段の操作に基づいて、前記可変表示手段の前記表示状態の変動を開始させる表示変動開始手段、
前記停止操作手段の操作に応じて前記可変表示体の変動を停止させ、前記可変表示手段の表示結果を導出する表示結果導出手段、
該表示結果導出手段により導出される表示結果の判定を行うゲーム結果判定手段、
前記ゲーム結果判定手段による前記ゲームの判定結果に応じて、獲得した役に応じた所定数の遊技媒体を払い出す払出コマンドを送信する払出コマンド送信手段、
を有して構成され、
前記払出制御手段は、
前記払出コマンド送信手段によって送信された前記払出コマンドを受信する払出コマンド受信手段、
前記払い出し手段によって所定個数の前記遊技媒体が払い出されると、払出完了コマンドを送信する払出完了コマンド送信手段、
供給される電源が切断されると、制御に関わる情報を保存し、再度供給が開始された場合に、該保存した情報を基に制御を再開する払出制御再開手段、
及び、前記払出制御手段に電源が供給され、制御に関わる情報をクリアして起動した場合に、復帰後の情報としてコールドスタート信号を前記主制御手段へと送信する払出状態信号送信手段、
を有して構成され、
前記主制御手段は、さらに、
前記コールドスタートコマンドを受信した場合にゲームを停止させるゲーム停止手段、
該ゲーム停止手段によって停止手段によってゲームが停止した場合に、前記ゲーム復帰操作手段の操作に基づいて停止した前記ゲームを復帰させるゲーム復帰手段、
及び、前記払出制御手段がホットスタートした状態で、前記主制御手段がコールドスタートした場合は、エラー状態であるとしてゲームを停止させる第二ゲーム停止手段、
を具備していることを特徴とする遊技機」とすることができる。また、上記の「コールドスタートコマンド」は、独立した信号線で送信される「コールドスタート信号」であっても当然構わない。すなわち、主基板121がコールドスタートした状態で、払出制御基板187がコールドスタートする場合は、正常であると判断して制御を続行させても構わないが、主制御基板121がコールドスタートした状態で払出制御基板187がホットスタートした場合は、主制御基板121に何らかの不正な処理が加えられた可能性が高いので、外部出力手段を通じて外部(ホール側管理者など)に報知すると共に、ゲームを停止させることが望ましい。このように構成することで、こっそり主制御基板121を交換したり、不正な操作(いわゆるゴト行為など)を加えて制御にかかわる情報を操作され、不正な払出操作が行われることを抑制することができる。また、不正な操作が加えられていなかった場合でも、主制御基板121と払出制御基板187との間で行われる通信状態に何らかの異常が発生している蓋然性が高いので、かかる異常を早期に発見し、対応することが可能となるので好適である。