以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
(回転検出装置の構成)
図1は、本発明の第1の実施形態による回転検出装置を示し、図2は図1中の矢示II−II方向から見た回転検出装置の断面を示している。
図1において、本発明の運動検出装置の第1の実施形態である回転検出装置31は、被検出体の回転運動、具体的には、回転方向および回転数を検出する装置である。回転検出装置31は、様々な被検出体の回転運動を検出することができる。本実施形態では、産業用ロボットの可動部分に設けられたサーボモータの回転軸32を被検出体の一例としてあげる。
回転検出装置31は、例えば樹脂等により有蓋円筒状に形成されたケーシング41を備えている。ケーシング41には、回転軸32を回転可能に挿通させる挿通孔42が形成されている。ケーシング41は、例えば、図示しない取付部材を介して産業用ロボットに取り付けられ、固定されている。
ケーシング41内には可動部43が設けられている。可動部43は例えば樹脂等により円柱状に形成されている。可動部43の回転軸に当たる部分には貫通孔44が形成され、可動部43は貫通孔44に回転軸32を貫通させることにより、回転軸32に取り付けられている。また、可動部43は回転軸32に固定されており、回転軸32と共に回転する。
可動部43の外周部には4つの磁石51、52、53、54が設けられている。磁石51、53はそれぞれ、磁界の方向が第1の方向である第1の磁界を発生させる第1の磁界発生部としての磁石である。各磁石51、53は、図1において手前側がN極となり、奥側がS極となるように可動部43の内部に固定されている。一方、磁石52、54はそれぞれ、磁界の方向が、第1の方向とは逆の第2の方向である第2の磁界を発生させる第2の磁界発生部としての磁石である。各磁石52、54は、図1において手前側がS極となり、奥側がN極となるように可動部43の内部に固定されている。
また、ケーシング41内において可動部43の周囲であって、可動部43の外周部近傍の領域には、3つの磁気センサ61、62、63が設けられている。各磁気センサ61、62、63は、大バルクハウゼン効果を生じる磁性素子である複合磁気ワイヤ64と、複合磁気ワイヤ64に巻回されたコイル65とを備えている。磁気センサ61、62、63はそれぞれ磁界検出部の具体例である。
一般に、複合磁気ワイヤは、細いワイヤ状の強磁性体である。複合磁気ワイヤは、その外周部は比較的小さな外部磁界の付与によって磁化の方向が変化するのに対し、中心部は比較的大きな外部磁界を付与しなければ磁化の方向が変化しないといった独特な磁気特性を有する一軸異方性の複合磁性体である。複合磁気ワイヤの長手方向と平行な一の方向に、複合磁気ワイヤの中心部の磁化の方向を反転させるのに十分な比較的大きな外部磁界を付与すると、複合磁気ワイヤの中心部の磁化の方向と外周部の磁化の方向とが同じ方向に揃う。その後、複合磁気ワイヤの長手方向と平行であり、上記一の方向とは逆である他の方向に、複合磁気ワイヤの外周部の磁化の方向だけを反転させることができる程度の比較的小さな外部磁界を付与すると、複合磁気ワイヤの中心部の磁化の方向は変化せず、外周部の磁化の方向だけが反転する。この結果、複合磁気ワイヤは、その中心部と外周部とで磁化の方向が異なる状態となり、この状態は外部磁界を取り除いても維持される。
ここで、中心部が上記一の方向に磁化され、外周部が上記他の方向に磁化された状態の複合磁気ワイヤに、上記一の方向に外部磁界を付与する。このとき、外部磁界の強さを始めは小さくし、その後、外部磁界の強さを徐々に増加させる。すると、外部磁界の強さがある強度を超えたときに、大バルクハウゼン効果が生じ、複合磁気ワイヤの外周部の磁化の方向が上記他の方向から上記一の方向へ急激に反転する。そして、複合磁気ワイヤの磁化方向の急激な反転により生じる起電力により、例えば正の方向に鋭くパルス状に立ち上がる電気信号が、複合磁気ワイヤに巻回されたコイルから出力される。
また、中心部および外周部がいずれも上記一の方向に磁化された状態の複合磁気ワイヤに、上記他の方向に外部磁界を付与する。このときも、外部磁界の強さを始めは小さくし、その後、外部磁界の強さを徐々に増加させる。すると、外部磁界の強さがある強度を超えたときに、複合磁気ワイヤの外周部の磁化の方向が上記一の方向から上記他の方向へ急激に反転する。そして、複合磁気ワイヤの磁化方向の急激な反転により生じる起電力により、例えば負の方向に鋭くパルス状に立ち上がる電気信号が、複合磁気ワイヤに巻回されたコイルから出力される。
このような性質を有する複合磁気ワイヤ64を備えた各磁気センサ61、62、63は、図2に示すように、複合磁気ワイヤ64の一端部が後述の基板66に支持され、他端部がケーシング41の壁部に支持されることによりケーシング41内に固定されている。また、各磁気センサ61、62、63は、複合磁気ワイヤ64の長手方向が、各磁石51、52、53、54から発せられる磁界の方向に対して平行となるように設けられている。
さらに、ケーシング41内には、基板66が設けられている。基板66は例えばケーシング41の壁部に固定されている。また、基板66は図1に示すように円板状に形成され、その中心部には図2に示すように回転軸32を回転可能に貫通させる孔部67が形成されている。基板66上には、後述する回路ユニット68およびコネクタ69が設けられている。また、各磁気センサ61、62、63のコイル65は、基板66上の回路ユニット68に電気的に接続されている。また、コネクタ69にケーブル70を接続することにより、後述の回路ユニット68中の計数値メモリ85に記憶された計数値を外部に出力することができる。
(磁石・磁気センサの配置関係)
図3および図4は本発明の第1の実施形態による回転検出装置31における4つの磁石51、52、53、54と3つの磁気センサ61、62、63との配置関係を示している。図5は可動部43が右、左にそれぞれ回転したときに磁石51、52、53、54により1つの磁気センサに付与される磁界の強さを示している。
図3に示すように、磁石51、52、53、54は、可動部43の外周部に周方向に配置されており、可動部43の左回転方向において磁石51、52、53、54の順序に並んでいる。また、磁石51、52、53、54は、第1の磁界を発生させる磁石51、53と第2の磁界を発生させる磁石52、54とがそれぞれ周方向に交互に並ぶように配置されている。すなわち、磁石51、52、53、54は、周方向に互いに隣り合う磁石の極性が異なるように配置されている。
一方、磁気センサ61、62、63は、可動部43の外周側の近傍の領域に、可動部43が回転したときの可動部43の外周部の軌跡に沿うように配置されている。磁気センサ61、62、63は、可動部43の右回転方向において磁気センサ61、62、63の順序で並んでいる。
磁石51、52、53、54および磁気センサ61、62、63の配置関係は、磁石51、52、53、54の右回転反応点R1、R2、R3、R4および左回転反応点L1、L2、L3、L4の位置を考慮して設定されている。
ここで、右回転反応点R1、R2、R3、R4は、磁石51、52、53、54において、可動部43が右回転する間に各磁気センサ61、62、63の磁化の方向を第1の方向と第2の方向との間で変化させる点である。また、左回転反応点L1、L2、L3、L4は、磁石51、52、53、54において、可動部43が左回転する間に各磁気センサ61、62、63の磁化の方向を第1の方向と第2の方向との間で変化させる点である。
すなわち、図5の上段のグラフに示すように、可動部43が右回転する間に、磁石51が例えば磁気センサ61に接近するに従って、磁石51から磁気センサ61に付与される第1の磁界の強さが大きくなり、磁石51が磁気センサ61と真正面で向き合う前に、当該第1の磁界の強さが+Hrに達した時点で、磁気センサ61の磁化の方向が第2の方向から第1の方向に反転する。このように磁石51が各磁気センサ61、62、63の磁化の方向を反転させる点が右回転反応点R1である。また、可動部43が右回転する間に、磁石52が例えば磁気センサ61に接近するに従って、磁石52から磁気センサ61に付与される第2の磁界の強さが大きくなり、磁石52が磁気センサ61と真正面で向き合う前に、当該第2の磁界の強さが−Hrに達した時点で、磁気センサ61の磁化の方向が第1の方向から第2の方向に反転する。このように磁石52が各磁気センサ61、62、63の磁化の方向を反転させる点が右回転反応点R2である。同様に、磁石53が各磁気センサ61、62、63の磁化の方向を反転させる点が右回転反応点R3であり、磁石54が各磁気センサ61、62、63の磁化の方向を反転させる点が右回転反応点R4である。
また、図5の下段のグラフに示すように、可動部43が左回転する間に、磁石51が例えば磁気センサ61に接近するに従って、磁石51から磁気センサ61に付与される第1の磁界の強さが大きくなり、磁石51が磁気センサ61と真正面で向き合う前に、当該第1の磁界の強さが+Hrに達した時点で、磁気センサ61の磁化の方向が第2の方向から第1の方向に反転する。このように磁石51が各磁気センサ61、62、63の磁化の方向を反転させる点が左回転反応点L1である。また、可動部43が左回転する間に、磁石54が例えば磁気センサ61に接近するに従って、磁石54から磁気センサ61に付与される第2の磁界の強さが大きくなり、磁石54が磁気センサ61と真正面で向き合う前に、当該第2の磁界の強さが−Hrに達した時点で、磁気センサ61の磁化の方向が第1の方向から第2の方向に反転する。このように磁石54が各磁気センサ61、62、63の磁化の方向を反転させる点が右回転反応点L2である。同様に、磁石53が各磁気センサ61、62、63の磁化の方向を反転させる点が右回転反応点L3であり、磁石52が各磁気センサ61、62、63の磁化の方向を反転させる点が左回転反応点L4である。
右回転反応点R1、R2、R3、R4および左回転反応点L1、L2、L3、L4の位置は、磁石51、52、53、54の磁気特性等により定まるが、概ね、図3に示すように、磁石51の近傍に右回転反応点R1および左回転反応点L1が位置し、磁石52の近傍に右回転反応点R2および左回転反応点L2が位置し、磁石53の近傍に右回転反応点R3および左回転反応点L3が位置し、磁石54の近傍に右回転反応点R4および左回転反応点L4が位置する。また、右回転反応点R1、R2、R3、R4および左回転反応点L1、L2、L3、L4は、可動部43が回転したときには、磁石51、52、53、54と共に移動する。
このような磁石51、52、53、54の右回転反応点R1、R2、R3、R4および左回転反応点L1、L2、L3、L4の位置を考慮し、磁石51、52、53、54および磁気センサ61、62、63の配置関係は、次の第1の配置条件を充足するように設定されている。
第1の配置条件: 磁気センサ61、62、63のうちの1つの磁気センサが右回転反応点R1、R2、R3、R4のうちの1つの右回転反応点と向かい合うとき、磁気センサ61、62、63のうちの他の各磁気センサが右回転反応点R1、R2、R3、R4のいずれとも向かい合わず、かつ、磁気センサ61、62、63のうちの1つの磁気センサが左回転反応点L1、L2、L3、L4のうちの1つの左回転反応点と向かい合うとき、磁気センサ61、62、63のうちの他の各磁気センサが左回転反応点L1、L2、L3、L4のいずれとも向かい合わない。
これにより、磁気センサ61が右回転反応点R1と向かい合うとき、磁気センサ62、63はそれぞれ、右回転反応点R1、R2、R3、R4のいずれとも向かい合わず、磁気センサ61が右回転反応点R2と向かい合うとき、磁気センサ62、63はそれぞれ、右回転反応点R1、R2、R3、R4のいずれとも向かい合わず、磁気センサ61が右回転反応点R3と向かい合うとき、磁気センサ62、63はそれぞれ、右回転反応点R1、R2、R3、R4のいずれとも向かい合わず、磁気センサ61が右回転反応点R4と向かい合うとき、磁気センサ62、63はそれぞれ、右回転反応点R1、R2、R3、R4のいずれとも向かい合わない。磁気センサ62が右回転反応点R1、R2、R3、R4のいずれかと向かい合う場合についても同様であり、磁気センサ63が右回転反応点R1、R2、R3、R4のいずれかと向かい合う場合についても同様である。
また、磁気センサ61が左回転反応点L1と向かい合うとき、磁気センサ62、63はそれぞれ、左回転反応点L1、L4、L3、L2のいずれとも向かい合わず、磁気センサ61が左回転反応点L4と向かい合うとき、磁気センサ62、63はそれぞれ、左回転反応点L1、L4、L3、L2のいずれとも向かい合わず、磁気センサ61が左回転反応点L3と向かい合うとき、磁気センサ62、63はそれぞれ、左回転反応点L1、L4、L3、L2のいずれとも向かい合わず、磁気センサ61が左回転反応点L2と向かい合うとき、磁気センサ62、63はそれぞれ、左回転反応点L1、L4、L3、L2のいずれとも向かい合わない。磁気センサ62が左回転反応点L1、L4、L3、L2のいずれかと向かい合う場合についても同様であり、磁気センサ63が左回転反応点L1、L4、L3、L2のいずれかと向かい合う場合についても同様である。
さらに、磁石51、52、53、54および磁気センサ61、62、63の配置関係は、図4に示すように、次の第2の配置条件をも充足するように設定されている。
第2の配置条件: 可動部43の左回転方向における右回転反応点R1からR2までの間隔Ra、可動部43の左回転方向における右回転反応点R2からR3までの間隔Rb、可動部43の左回転方向における右回転反応点R3からR4までの間隔Rc、および可動部43の左回転方向における右回転反応点R4からR1までの間隔Rdのいずれもが、可動部43の右回転方向における磁界検出部61から63までの間隔Ddよりも大きく、かつ、可動部43の左回転方向における左回転反応点L1からL2までの間隔La、可動部43の左回転方向における左回転反応点L2からL3までの間隔Lb、可動部43の左回転方向における左回転反応点L3からL4までの間隔Lc、および可動部43の左回転方向における左回転反応点L4からL1までの間隔Ldのいずれもが、可動部43の右回転方向における磁界検出部61から63までの間隔Ddよりも大きい。
具体的には、磁石51、52、53、54が可動部43の左回転方向においてこの順序で90度の間隔をもって配置されているので、右回転反応点R1からR2までの間隔Ra、右回転反応点R2からR3までの間隔Rb、右回転反応点R3からR4までの間隔Rc、および右回転反応点R4からR1までの間隔Rdはいずれも90度である。そして、左回転反応点L1からL2までの間隔La、左回転反応点L2からL3までの間隔Lb、左回転反応点L3からL4までの間隔Lc、および左回転反応点L4からL1までの間隔Ldはいずれも90度である。そして、磁気センサ61、62、63は可動部43の右回転方向においてこの順序で30度の間隔をもって配置されているので、磁界検出部61から63までの間隔Ddは60度である。したがって、本発明の第1の実施形態による回転検出装置31における磁石51、52、53、54と磁気センサ61、62、63との配置関係は上記第1の配置条件および上記第2の配置条件を充足している。
(磁気センサの動作)
本発明の第1の実施形態による回転検出装置31における磁気センサ61、62、63の動作について説明する。前提として、各磁気センサ61、62、63の複合磁気ワイヤ64の中心部の磁化の方向は、例えば第1の方向に設定されており、これは磁石51、52、53、54により磁界が付与されても変化しない。一方、各磁気センサ61、62、63の複合磁気ワイヤ64の外周部の磁化の方向は、磁石51、53により第1の磁界が付与されると第1の方向に設定され、磁石52、54により第2の磁界が付与されると第2の方向に設定される。ここで、各磁気センサ61、62、63において、複合磁気ワイヤ64の中心部の磁化の方向が第1の方向であり、複合磁気ワイヤ64の外周部の磁化の方向も第1の方向である状態を「同方向状態」という。また、各磁気センサ61、62、63において、複合磁気ワイヤ64の中心部の磁化の方向が第1の方向であり、複合磁気ワイヤ64の外周部の磁化の方向が第2の方向である状態を「異方向状態」という。
さて、磁気センサ61は次のように動作する。図3において、磁気センサ61が異方向状態である間に可動部43が右回転し、磁気センサ61に磁石51が接近し、磁気センサ61と右回転反応点R1とが向かい合ったとき、磁石51から磁気センサ61に付与される第1の磁界により、磁気センサ61の複合磁気ワイヤ64の外周部の磁化の方向が第2の方向から第1の方向に反転し、磁気センサ61が異方向状態から同方向状態に切り替わる。磁気センサ61が異方向状態である間に可動部43が右回転し、磁気センサ61に磁石53が接近し、磁気センサ61と右回転反応点R3とが向かい合ったときも同様に、磁気センサ61が異方向状態から同方向状態に切り替わる。磁気センサ61が異方向状態から同方向状態に切り替わるとき、正の方向に鋭く立ち上がる検出パルス(正の検出パルス)が磁気センサ61のコイル65から出力される。
また、磁気センサ61が同方向状態である間に可動部43が右回転し、磁気センサ61に磁石52が接近し、磁気センサ61と右回転反応点R2とが向かい合ったとき、磁石52から磁気センサ61に付与される第2の磁界により、磁気センサ61の複合磁気ワイヤ64の外周部の磁化の方向が第1の方向から第2の方向に反転し、磁気センサ61が同方向状態から異方向状態に切り替わる。磁気センサ61が同方向状態である間に可動部43が右回転し、磁気センサ61に磁石54が接近し、磁気センサ61と右回転反応点R4とが向かい合ったときも同様に、磁気センサ61が同方向状態から異方向状態に切り替わる。磁気センサ61が同方向状態から異方向状態に切り替わるとき、負の方向に鋭く立ち上がる検出パルス(負の検出パルス)が磁気センサ61のコイル65から出力される。
一方、磁気センサ61が異方向状態である間に可動部43が左回転し、磁気センサ61に磁石51が接近し、磁気センサ61と左回転反応点L1とが向かい合ったとき、磁石51から磁気センサ61に付与される第1の磁界により、磁気センサ61の複合磁気ワイヤ64の外周部の磁化の方向が第2の方向から第1の方向に反転し、磁気センサ61が異方向状態から同方向状態に切り替わる。磁気センサ61が異方向状態である間に可動部43が左回転し、磁気センサ61に磁石53が接近し、磁気センサ61と左回転反応点L3とが向かい合ったときも同様に、磁気センサ61が異方向状態から同方向状態に切り替わる。磁気センサ61が異方向状態から同方向状態に切り替わるとき、正の方向に鋭く立ち上がる検出パルス(正の検出パルス)が磁気センサ61のコイル65から出力される。
また、磁気センサ61が同方向状態である間に可動部43が左回転し、磁気センサ61に磁石54が接近し、磁気センサ61と左回転反応点L4とが向かい合ったとき、磁石54から磁気センサ61に付与される第2の磁界により、磁気センサ61の複合磁気ワイヤ64の外周部の磁化の方向が第1の方向から第2の方向に反転し、磁気センサ61が同方向状態から異方向状態に切り替わる。磁気センサ61が同方向状態である間に可動部43が左回転し、磁気センサ61に磁石52が接近し、磁気センサ61と左回転反応点L2とが向かい合ったときも同様に、磁気センサ61が同方向状態から異方向状態に切り替わる。磁気センサ61が同方向状態から異方向状態に切り替わるとき、負の方向に鋭く立ち上がる検出パルス(負の検出パルス)が磁気センサ61のコイル65から出力される。
他方、磁気センサ61が同方向状態である間に磁石51または磁石53が接近し、磁気センサ61が右回転反応点R1、R3、左回転反応点L1、L3のうちのいずれかと向かい合っても、磁気センサ61の状態は切り替わらない。すなわち、この場合、磁気センサ61は同方向状態を維持する。磁石が接近しても磁気センサ61の状態が切り替わらない場合には、磁気センサ61から検出パルスは出力されない。このような現象は、例えば、可動部43が右回転して磁石51が磁気センサ61の近傍を通過し、その後、磁石52が磁気センサ61に接近する前に可動部43が反転して左回転となり、磁石51が磁気センサ61の近傍を再び通過する場合に起こる。
同様に、磁気センサ61が異方向状態にある間に磁石52または磁石54が接近し、磁気センサ61が右回転反応点R2、R4、左回転反応点L2、L4のうちのいずれかと向かい合っても、磁気センサ61の状態は切り替わらない。すなわち、この場合、磁気センサ61は異方向状態を維持する。この場合も、磁気センサ61から検出パルスは出力されない。このような現象は、例えば可動部43が右回転して磁石52が磁気センサ61の近傍を通過し、その後、磁石53が磁気センサ61に接近する前に可動部43が反転して左回転となり、磁石52が磁気センサ61の近傍を再び通過する場合に起こる。
磁気センサ62、63も磁気センサ61と同様に動作する。
(検出パルスの出力パターン)
本発明の第1の実施形態による回転検出装置31において、磁気センサ61が異方向状態から同方向状態に切り替わったときに磁気センサ61から出力される正の検出パルスをA+、磁気センサ61が同方向状態から異方向状態に切り替わったときに磁気センサ61から出力される負の検出パルスをA−、磁気センサ62が異方向状態から同方向状態に切り替わったときに磁気センサ62から出力される正の検出パルスをB+、磁気センサ62が同方向状態から異方向状態に切り替わったときに磁気センサ62から出力される負の検出パルスをB−、磁気センサ63が異方向状態から同方向状態に切り替わったときに磁気センサ63から出力される正の検出パルスをC+、磁気センサ63が同方向状態から異方向状態に切り替わったときに磁気センサ63から出力される負の検出パルスをC−とする。この場合、可動部43が反転することなく右方向に1回転する間、磁気センサ61、62、63からの検出パルスの出力パターンは例えば次のようになる。
A+、B+、C+、A−、B−、C−、A+、B+、C+、A−、B−、C−
また、可動部43が反転することなく左方向に1回転する間、磁気センサ61、62、63からの検出パルスの出力パターンは例えば次のようになる。
C−、B−、A−、C+、B+、A+、C−、B−、A−、C+、B+、A+
このように、可動部43が一定の方向に1回転する場合、磁気センサ61、62、63からの検出パルスの出力パターンは、それぞれの異なる6つの検出パルスが一定の順序で並んだ配列が2回現れるといったパターンとなる。このパターンは、2組の磁石(磁石51、52、53、54)および3つの磁気センサ(磁気センサ61、62、63)を備え、2組の磁石および3つの磁気センサの配置関係が上記第1の配置条件および上記第2の配置条件を充足する場合に形成される。
回転検出装置31は、この検出パルスの出力パターンに基づいて、次の現象が起こった場合でも、回転軸32の回転数の計数を常に正確に行うことができる。
(1)回転軸32の回転方向は一定でないため、可動部43の回転方向も一定でなく、それゆえ可動部43が予測不能なタイミングで反転する。
(2)同方向状態の磁気センサに磁石により第1の磁界が付与されても、または異方向状態の磁気センサに磁石により第2の磁界が付与されても磁気センサの状態が切り替わらず、それゆえ当該磁気センサから検出パルスが出力されない。
(3)次に述べる検出パルスの欠落の2つの態様のうちいずれか1つの態様が生じる。
(3a)可動部43がある位置から回転を開始し、再びその位置に到達するまでの間に、いずれか1つの磁気センサにおいて、正の検出パルスおよび負の検出パルスのうちのいずれか一方の欠落が1回生じる。
(3b)可動部43がある位置から回転を開始し、再びその位置に到達するまでの間に、いずれか1つの磁気センサにおいて、正の検出パルスの1回の欠落と負の検出パルスの1回の欠落が連続して生じる。
上記現象(1)、(2)、(3)について説明を加えると、現象(1)は、回転検出装置31の被検出体が予測不能なタイミングで回転方向が反転する場合に必然的に起こり得る。現象(2)が生じる理由は上述した通りである。現象(3)が起こるか否かは磁気センサの信頼性や回転検出装置31が利用される外部環境等に依存する問題である。磁気センサからの検出パルスの欠落が生じる頻度は極めて低いが、欠落が全くないとまではいえない。
現象(3a)が起こる理由は例えば次の通りである。すなわち、磁石の接近により磁気センサの複合磁気ワイヤに十分な磁界が印加されたにもかかわらず、複合磁気ワイヤの磁気性能の磁界生成のあり方により、大バルクハウゼン効果が生じず、最終的には複合磁気ワイヤの外周部の磁化方向が反転したものの、反転が急峻ではなかったために、検出パルスの波形が崩れることが考えられ、このような場合には現象(3a)が起こり得る。また、現象(3b)が起こる理由は例えば次の通りである。すなわち、磁石が磁気センサに接近したものの、磁場が外乱磁場の影響等により一時的に弱まり、複合磁気ワイヤの外周側の磁化方向が反転しなかったために検出パルスが出力されないことが考えられ、この場合には、磁気センサの状態(同方向状態・異方向状態)が変化しないため、正・負1組の検出パルスが連続して欠落することとなり、このような場合には現象(3b)が起こり得る。
回転検出装置31は、現象(3a)または(3b)が、たとえ可動部43が1回転するごとに1回生じたとしても回転軸32の回転数の計数を正確に行うことができる。なお、現象(3a)または(3b)がこのような高い頻度で起こることは実際上考えにくいが、このような劣悪の状況下でも回転軸32の正確な回転数の計数を保証することで、回転検出装置31の信頼性を高めることができる。
(正確な計数を実現し得る最も小規模な構成)
回転検出装置31における2組の磁石(磁石51、52、53、54)および3つの磁気センサ(磁気センサ61、62、63)からなる構成は、上述した現象(1)、(2)および(3)が起こった場合でも回転軸32の回転数の計数を常に正確に行うことができる最も小規模な構成である。すなわち、回転検出装置31は、磁気センサの個数が少なく、磁石の組数が少なく、かつ可動部43が1回転する間の検出パルスの出力パターンが短いにも拘わらず、回転軸32の回転数の計数を常に正確に行うことができる。特に、個々の磁気センサが比較的高価であること考えると、磁気センサの個数を3つに制限することで、回転検出装置31の低コスト化に図ることができる。また、磁気センサが検出パルスの欠落の主たる根源であることを考えると、磁気センサの個数を3つと少なくすることで、全体的に見て検出パルスの欠落が生じる頻度を低くし、または、検出パルスの欠落の影響を確実に取り除くための処理の実現容易性を高め、もって回転検出装置31の信頼性を向上させることができる。
さて、これより、回転検出装置31における2組の磁石および3つの磁気センサからなる構成が、上記現象(1)、(2)および(3)が起こる状況のもとで回転軸32の回転数の正確な計数を実現し得る最も小規模な構成である点につき、図3、図4、図24ないし図26を参照しながら考察する。
まず、回転軸32の回転数の正確な計数を実現するための基本条件を検討する。回転軸32の回転数の正確な計数を実現するためには、次の基本条件を充たす必要がある。
(a)たとえ上記現象(1)、(2)および(3)が起こった場合であっても、検出パルスの出力パターンに基づいて、可動部43の所定単位量の回転とその回転の方向を正しく認識することができる。
(b)ある1つの磁気センサから出力される検出パルスを基準検出パルスとすると、たとえ上記現象(2)および(3)が起こった場合であっても、可動部43が右回転し、基準検出パルスが出力されてからその次の検出パルスが出力されるまでの可動部43の右方向における回転量(回転角度)と、可動部43が左回転し、基準検出パルスが出力されてからその次の検出パルスが出力されるまでの可動部の左方向における回転量(回転角度)との合計が常に360度未満である。
基本条件(a)を充たす場合には、例えば可動部43が右方向に所定単位量回転した場合には計数値を1増加させ、可動部43が左方向に所定単位量回転した場合には計数値を1減少させる計数処理を行うことで、計数値に基づいて回転軸32の回転数を正確に計数することができる。基本条件(a)を充たすためには、計数処理の中で、可動部43の反転および検出パルスの欠落の検出、可動部43の反転によって生じる回転方向の変化の認識、および可動部43の反転または検出パルスの欠落によって生じる可動部43の所定単位量の回転の計数誤差の補正を、検出パルスの出力パターンに基づいて行うことができなければならない。
また、基本条件(b)を充たす場合には、上記計数処理により可動部43の所定単位量の回転またはその回転の方向を正しく認識することができないタイミングで回転軸32の回転数を確定しなければならないときでも、回転軸32の回転数を正確に確定することが可能になる。例えば、図7に示す後述の計数処理では、検出パルスの欠落が起こってから2つの連続した検出パルスが出力されるまでは、可動部43の所定単位量の回転およびその回転の方向を認識する処理が完了しない。このため、検出パルスの欠落が起こった直後のタイミングで回転軸32の回転数を確定しなければならないとき(例えばこのタイミングで回転軸32の回転数の最終的な値を算定することを外部の装置から要求されたとき)には、計数処理とは別の処理により回転軸32の正確な回転数を認識しなければならない。例えば、本実施形態ではこの別の処理の一例として、回転数最終補正処理を採用している。この回転数最終補正処理では、検出パルスの欠落が生じる直前に出力された検出パルスと、上記タイミングにおける回転軸32の絶対角度とに基づいて回転軸32の回転数を必要に応じて補正する。基本条件(b)を充たす場合には、回転数最終補正処理により、検出パルスの欠落が生じる直前に検出パルスが出力された時点から上記タイミングまでの間に回転軸がいずれの方向にどれだけ回転したかを算出し、これに基づいて回転軸32の回転数を補正することが可能になる。
次に、図24に示す比較例による回転検出装置91が上記基本条件(a)および(b)を充たすかどうかを考察する。図24に示す回転検出装置91は、図3に示す回転検出装置31における可動部43、1つの磁気センサ61および1組の磁石51、52を用いて構成されている。可動部43が右方向に1回転した場合と、可動部43が左方向に1回転した場合における磁気センサ61からの検出パルスの出力パターンは例えば次のようになる。
右方向1回転:A+、A−、A+
左方向1回転:A+、A−、A+
ここで、回転検出装置91において、磁気センサ61が異方向状態であるときに可動部43が右回転し、検出パルスA+が出力されてから引き続き右方向に180度回転し、検出パルスA−が出力された直後に反転して左方向に180度回転し、検出パルスA+が再び出力された場合、検出パルスの出力パターンは次のようになる。
A+、A−、A+
したがって、回転検出装置91においては、可動部43の反転の有無に拘わらず検出パターンの出力パターンが同一であるため、検出パルスの出力パターンに基づいて、可動部43の反転を認識することができず、それゆえ可動部43の所定単位量の回転の方向を正しく認識することができない。すなわち、回転検出装置91は基本条件(a)を充たさない。
よって、回転検出装置91により回転軸32の回転数を正確に計数することができない。また、回転検出装置91において磁石の組数を増やしても、基本条件(a)を充たさないことが確認されている。それゆえ、磁気センサが1つの場合には、磁石の組数が何組であっても、回転軸32の回転数の正確な計数を実現することはできない。
次に、図25に示す比較例による回転検出装置92が上記基本条件(a)および(b)を充たすかどうかを考察する。図25に示す回転検出装置92は、図3に示す回転検出装置31における可動部43、2つの磁気センサ61、62、および1組の磁石51、52を用いて構成されている。可動部43が右方向に1回転した場合と、可動部43が左方向に1回転した場合における磁気センサ61、62からの検出パルスの出力パターンは例えば次のようになる。
右方向1回転:A+、B+、A−、B−、A+
左方向1回転:A+、B−、A−、B+、A+
ここで、回転検出装置92において、磁気センサ61、62がいずれも異方向状態であるときに可動部43が右回転し、検出パルスA+が出力されてから引き続き右方向に1回転し、再び検出パルスA+が出力された場合であって、検出パルスB−に欠落が生じた場合、検出パルスの出力パターンは次のようになる。
A+、B+、A−、(B−)、A+
なお、()は、検出パルスが欠落したことを表している。
また、回転検出装置92において、磁気センサ61、62がいずれも異方向状態であるときに可動部43が右回転し、検出パルスA+が出力されてから引き続き右方向に180度回転し、検出パルスA−が出力された直後に反転して左回転となり、左方向に180度回転して検出パルスA+が再び出力された場合、検出パルスの出力パターンは次のようになる。
A+、B+、A−、[B+]、A+
なお、[]は、磁気センサの状態が切り替わらなかったために検出パルスが出力されなかったことを表している。
このように、回転検出装置92においては、検出パルスB−が欠落したときの検出パルスの出力パターンと、可動部43の反転により検出パルスB+が出力されなかったときの検出パルスの出力パターンとが同一であるため、検出パルスB−の欠落と可動部43の反転とを識別することができず、それゆえ可動部43の所定単位量の回転の方向を正しく認識することができない。すなわち、回転検出装置92は基本条件(a)を充たさない。
よって、回転検出装置92により回転軸32の回転数を正確に計数することができない。また、回転検出装置92において磁石の組数を増やしても、基本条件(a)を充たさないことが確認されている。一例をあげると、可動部43が右回転を継続している間に検出パルスA+、B+、A−が順次出力された後、検出パルスB−に欠落が生じ、続いて検出パルスA+が出力された後、検出パルスB+に欠落が生じ、続いて検出パルスA−、B−が出力された場合、検出パルスの出力パターンは次のようになる。
A+、B+、A−、(B−)、A+、(B+)、A−、B−、
一方、可動部43が右回転している間に検出パルスA+、B+、A−が順次出力され、その直後、可動部43が反転して左回転となり、続いて検出パルスA+が出力され、その直後、可動部43が再び反転して右回転に戻り、続いて検出パルスA−、B−が出力された場合、検出パルスの出力パターンは次のようになる。
A+、B+、A−、[B+]、A+、[B+]、A−、B−、
これら2つの場合を比較すると、可動部43の回転量が異なるにもかかわらず、検出パルスの出力パターンが同一である。このことから、回転検出装置92において磁石の組数を増やしても、基本条件(a)を充たさないことがわかる。このように、磁気センサが2つの場合には、磁石の組数が何組であっても、回転軸32の回転数の正確な計数を実現することはできない。
次に、図26に示す比較例による回転検出装置93が上記基本条件(a)および(b)を充足するかどうかを考察する。図26に示す回転検出装置93は、図3に示す回転検出装置31における可動部43、3つの磁気センサ61、62、63、および1組の磁石51、52を用いて構成されている。この回転検出装置93において、可動部43が右方向に1回転した場合と、可動部43が左方向に1回転した場合における磁気センサ61、62、63からの検出パルスの出力パターンは例えば次のようになる。
右方向1回転:A+、B+、C+、A−、B−、C−、A+
左方向1回転:A+、C−、B−、A−、C+、B+、A+
ここで、回転検出装置93において、磁気センサ61から出力される検出パルスA+を基準検出パルスとすると、磁気センサ61、62、63がいずれも異方向状態であるときに可動部43が右回転し、検出パルスA+が出力されてからその次の検出パルスB+が出力されるまでの可動部43の右方向における回転角度は30度である。しかしながら、検出パルスB+が欠落した場合、検出パルスA+の次に出力される検出パルスがC+となる。この場合には、検出パルスA+が出力されてからその次の検出パルスC+が出力されるまでの可動部43の右方向における回転角度は60度になる。一方、磁気センサ61、62、63がいずれも異方向状態であるときに可動部43が左回転し、検出パルスA+が出力されてからその次の検出パルスAーが出力されるまでの可動部43の左方向における回転角度は180度である。しかしながら、検出パルスA−が欠落した場合、検出パルスA−の次に出力される検出パルスがC+となる。この場合には、検出パルスA+が出力されてからその次の検出パルスC+が出力されるまでの可動部43の左方向における回転角度は300度になる。
このように、可動部43が右回転し、検出パルスA+が出力されてからその次の検出パルスC+が出力されるまでの可動部43の右方向における回転角度が60度であり、可動部43が左回転し、検出パルスA+が出力されてからその次の検出パルスC+が出力されるまでの可動部43の左方向における回転角度が300度であり、両者の合計は360度である。したがって、回転検出装置93は基本条件(b)を充たさない。
よって、回転検出装置93は、回転軸32の回転数の正確な計数を実現することはできないと考えることができる。
次に、図3に示す本発明の実施形態による回転検出装置31が上記基本条件(b)を充たすかことについて説明する。
上述したように、回転検出装置31が右方向に1回転した場合には、検出パルスの出力パターンは次のようになる。
A+、B+、C+、A−、B−、C−、A+、B+、C+、A−、B−、C−
また、上述したように、回転検出装置31が左方向に1回転した場合には、検出パルスの出力パターンは次のようになる。
C−、B−、A−、C+、B+、A+、C−、B−、A−、C+、B+、A+
ここで、回転検出装置31において、可動部43が1回転する間に、磁気センサ61からは検出パルスA+が2回出力されるが、このうちの一方の検出パルスA+を基準検出パルスとすると、可動部43が右回転し、基準検出パルスA+が出力されてからその次の検出パルスが出力されるまでの可動部43の右方向における回転角度が最大になるのは、磁気センサ61が異方向状態であり、磁気センサ62、63がいずれも同方向状態であるときに可動部43が右回転し、基準検出パルスA+が出力されてから引き続き右方向に回転した場合であって、基準検出パルスA+が出力されてから最初に出力されるべき検出パルスA−に欠落が生じた場合である。この場合の検出パルスの出力パターンは次のようになり、基準検出パルスA+が出力されてから次の検出パルスB−が出力されるまでの可動部43の右方向における回転角度は120度である。
A+、[B+]、[C+]、(A−)、B−、C−、…
また、同一の検出パルスA+を基準検出パルスとすると、可動部43が左回転し、基準検出パルスA+が出力されてからその次の検出パルスが出力されるまでの可動部43の左方向における回転角度が最大になるのは、磁気センサ61、62、63がいずれも異方向状態であるときに可動部43が左回転し、基準検出パルスA+が出力されてから引き続き左方向に回転した場合であって、基準検出パルスA+が出力されてから最初に出力されるべき検出パルスA−に欠落が生じた場合である。この場合の検出パルスの出力パターンは次のようになり、基準検出パルスA+が出力されてから次の検出パルスC+が出力されるまでの可動部43の左方向における回転角度は120度である。
A+、[C−]、[B−]、(A−)、C+、B+、…
このように、回転検出装置31において、可動部43が右回転し、基準検出パルスが出力されてからその次の検出パルスが出力されるまでの可動部43の右方向における最大の回転角度が120度であり、可動部43が左回転し、基準検出パルスが出力されてからその次の検出パルスが出力されるまでの可動部43の左方向における最大の回転角度が120度である。したがって、両者の合計は240度であり、360度未満である。よって、回転検出装置31は基本条件(b)を充たす。
また、回転検出装置31が上記基本条件(a)を充たすことは、後述する計数処理(図7参照)の説明により明らかになる。
以上の考察から、磁気センサの個数が2つ以下の場合には、磁石の組数を何組にしても、上記現象(1)、(2)および(3)が起こる状況において回転軸32の回転数の計数を正確に行うことができないことがわかる。また、磁気センサの個数が3つで磁石の組数が1組の場合にも、上記現象(1)、(2)および(3)が起こる状況において回転軸32の回転数の計数を正確に行うことができないことがわかる。ところが、磁気センサの個数が3つで磁石の組数が2組である回転検出装置31によれば、上記現象(1)、(2)および(3)が起こる状況において回転軸32の回転数の計数を正確に行うことができることがわかる。すなわち、回転検出装置31における2組の磁石および3つの磁気センサからなる構成は、上記現象(1)、(2)および(3)が起こる状況のもとで回転軸32の回転数の正確な計数を実現し得る最も小規模な構成である。
(回路ユニットの構成)
図6は回転検出装置31に設けられた回路ユニット68の内部構造を示している。図6中の回路ユニット68は、可動部43の所定単位量の回転を計数する回路である。回路ユニット68は、可動部43の所定単位量の回転を計数した計数値を、ケーブル70(図1参照)を介して外部に出力することができる。この計数値により、回転軸32の回転数を知ることができる。なお、回路ユニット68は運動検出回路の具体例である。
回路ユニット68は、電源電圧生成回路としての整流回路81、判定回路82、計数回路83、状態判定用の履歴メモリ84および計数値メモリ85を備えている。整流回路81は、磁気センサ61、62、63から出力される検出パルスから直流電圧(電源電圧)を作り出し、この直流電圧を判定回路82、計数回路83、履歴メモリ84および計数値メモリ85に供給する。判定回路82、計数回路83、履歴メモリ84および計数値メモリ85は、整流回路81から供給される直流電圧により動作する。これにより、無電源の回転検出装置31を実現することができる。
判定回路82は、磁気センサ61、62、63から出力される検出パルスの識別、可動部43の回転方向の認識、可動部43の反転の認識、検出パルス欠落時の補正処理等を行い、計数値を増減させる信号を計数回路83へ出力する。
また、判定回路82は、磁気センサ61から出力される正の検出パルスA+をパルス番号「1」の検出パルスとして認識し、磁気センサ62から出力される正の検出パルスB+をパルス番号「2」の検出パルスとして認識し、磁気センサ63から出力される正の検出パルスC+をパルス番号「3」の検出パルスとして認識する。また、判定回路82は、磁気センサ61から出力される負の検出パルスA−をパルス番号「4」の検出パルスとして認識し、磁気センサ62から出力される負の検出パルスB−をパルス番号「5」の検出パルスとして認識し、磁気センサ63から出力される負の検出パルスC−をパルス番号「6」の検出パルスとして認識とする。
計数回路83は、判定回路82から出力される信号に従って計数値を増減させる。履歴メモリ84は、判定回路82の処理に必要な情報を記憶するメモリであり、計数値メモリ85は計数値を記憶するメモリである。
判定回路82、計数回路83および履歴メモリ84は磁気センサ61、62、63から出力される検出パルスに基づいて、以下に述べる計数処理を行う。
(計数処理の原理)
上述したように、回転検出装置31において、可動部43が一定の方向に1回転する場合、磁気センサ61、62、63からの検出パルスの出力パターンは、それぞれの異なる6つの検出パルスが一定の順序で並んだ配列が2回現れるといったパターンとなる。回転検出装置31における計数処理は、この検出パルスの出力パターンが有する性質を利用して、可動部43の所定単位量の回転とその回転の方向を認識し、可動部43の所定単位量の回転を計数する。
この計数処理の原理について説明する。回転検出装置31において、可動部43が右方向に1回転した場合、検出パルスの出力パターンに対応する検出パルスのパルス番号のパターンは例えば次のようになる。
1、2、3、4、5、6、1、2、3、4、5、6
ここで、磁気センサ61が異方向状態であり、磁気センサ62、63がいずれも同方向状態である場合において、可動部43が右方向に1回転した場合、検出パルスのパルス番号のパターンは例えば次のようになる。
1、[2]、[3]、4、5、6、1、2、3、4、5、6
なお、[]は、磁気センサの状態が切り替わらなかったために検出パルスが出力されなかったことを表している。
さらに、この場合において、検出パルスの欠落が1回生じた場合、次の12通りの検出パルスのパルス番号のパターンが考えられる。
(1)、[2」、[3]、4、5、6、1、2、3、4、5、6
1、[2」、[3]、(4)、5、6、1、2、3、4、5、6
1、[2」、[3]、4、(5)、6、1、2、3、4、5、6
1、[2」、[3]、4、5、(6)、1、2、3、4、5、6
1、[2」、[3]、4、5、6、(1)、2、3、4、5、6
1、[2」、[3]、4、5、6、1、(2)、3、4、5、6
1、[2」、[3]、4、5、6、1、2、(3)、4、5、6
1、[2」、[3]、4、5、6、1、2、3、(4)、5、6
1、[2」、[3]、4、5、6、1、2、3、4、(5)、6
1、[2」、[3]、4、5、6、1、2、3、4、5、(6)
なお、()は、検出パルスが欠落したことを表している。
これら12通りのパターンは、回転検出装置31において上記現象(1)、(2)および(3)が起こった場合に現れるパターンである。もちろん、これら以外のパターンも現れ得るが、上記12通りのパターンにより、計数処理において利用するパターンの性質を十分に説明することができる。
これら12通りのパターンを観察すると、これらのパターンには次のような性質があることがわかる。
(i)可動部43の反転もなく、検出パルスの欠落も生じていない場合には、連続して出力される2つの検出パルスのパルス番号の差が1になる(なお、パルス番号「6」の検出パルスとパルス番号「1」の検出パルスとが連続して出力された場合、これら2つの検出パルスのパルス番号の差は1であるとする)。
(ii)可動部43が反転した場合、当該反転が生じた直前および直後のいずれにも検出パルスの欠落が生じていなければ、当該反転が生じる直前に出力された検出パルスのパルス番号と、当該反転が生じた直後に出力された検出パルスのパルス番号との差が3になる。
(iii)連続して出力された2つの検出パルスのパルス番号の差が1でも3でもない場合には、当該2つの検出パルスのうち一方の検出パルスが出力されてから、他方の検出パルスが出力されるまでの間に検出パルスの欠落が必ず生じている。
(iv)検出パルスの欠落が1回生じてから検出パルスが最初に出力された直後に、検出パルスの欠落が生じることはない。
回転検出装置31における計数処理は、これらの性質(i)ないし(iv)を利用して、可動部43の所定単位量の回転とその回転の方向を認識し、可動部43の所定単位量の回転を計数する。
具体的に説明すると、性質(i)を利用して、可動部43が反転することもなく、検出パルスの欠落も生じることもなく、可動部43が所定単位量回転したことを検出し、この時点において認識している可動部43の回転方向に従って計数値を1増加または1減少させる。
また、性質(ii)を利用して、検出パルスの欠落が生じることなく可動部43が反転したことを検出し、この時点において認識している可動部43の回転方向が逆になったことを認識し、この逆になった回転方向に従って計数値を3増加または3減少させる。
また、性質(iii)を利用して、検出パルスの欠落を検出する。
また、性質(iv)を利用して、検出パルスの欠落が1回生じてから最初に出力される検出パルスと、その次に出力される検出パルスから、検出パルスの欠落の発生によって生じる、または検出パルスの欠落と可動部43の反転の連続的発生によって生じる可動部43の所定単位量の回転の計数誤差を補正すると共に、検出パルスの欠落の発生後、または検出パルスの欠落と可動部43の反転の連続的発生後における可動部43の所定単位量の回転の方向を認識する。
なお、検出パルスに欠落が生じた場合、当該欠落した検出パルスの直前に出力された検出パルスと、当該検出パルスの欠落後に最初に出力された検出パルスとに基づいて可動部43の回転方向を特定することができない。その理由は例えば次のような場合を考えると明らかになる。
可動部43が右回転し、検出パルスA+、B+、C+、A−、B−、C−が出力されるべきところ、検出パルスA−に欠落が生じた場合、検出パルスのパルス番号のパターンは次のようになる。
1、2、3、(4)、5、6
一方、可動部43が右回転し、検出パルスA+、B+、C+が出力された直後に、可動部43が反転して左回転になり、引き続き、検出パルスC−、B−、A−が出力されるべきところ、検出パルスC−に欠落が生じた場合、検出パルスのパルス番号のパターンは次のようになる。
1、2、3、[2]、[1]、(6)、5、4
これら2つのパターンを比較するとわかる通り、いずれのパターンにおいても、検出パルスの欠落直前に出力された検出パルスのパルス番号が「3」であり、当該検出パルスの欠落後に最初に出力された検出パルスのパルス番号が「5」である。ところが、前者のパターンでは、検出パルス欠落後の可動部43の回転方向が右方向であり、後者のパターンでは、検出パルス欠落後の可動部43の回転方向が左方向である。このように、検出パルス欠落直前に出力された検出パルスのパルス番号および当該検出パルス欠落後に最初に出力された検出パルスのパルス番号が両パターン間で同一であるのに、検出パルス欠落後の可動部43の回転方向が両パターン間で逆なる場合がある。それゆえ、検出パルスに欠落が生じた場合、当該欠落した検出パルスの直前に出力された検出パルスと、当該検出パルスの欠落後に最初に出力された検出パルスとに基づいて可動部43の回転方向を特定することはできない。
(単純な右回転時の計数処理)
図7は回転検出装置31における計数処理を示している。図8は可動部43が途中で反転することなく単純に右回転したときの計数処理を示しており、図8中の上段が検出パルスに欠落が生じなかった場合を示し、図8中の下段が検出パルスに1回の欠落が生じた場合を示している。
まず、可動部43が右回転しており、その間に、磁石51が磁気センサ61、62、63の近傍をこの順番で順次通過し、続いて磁石52が磁気センサ61、62、63の近傍をこの順番で順次通過した場合であって検出パルスに欠落が生じなかった場合ついて、図7および図8上段を参照しながら説明する。
まず、磁石51が磁気センサ61に接近し、磁気センサ61と右回転反応点R1とが向かい合ったとき、検出パルスA+が磁気センサ61から回路ユニット68に出力される。そして、判定回路82はこの検出パルスを受け取り、この検出パルスをパルス番号「1」の検出パルスとして認識する。
判定回路82がパルス番号「1」の検出パルスを受け取った時点において、履歴メモリ84には、この時点における可動部43の回転状態を示す情報が記憶されている。すなわち、履歴メモリ84には、判定回路82が前回受け取った検出パルスのパルス番号、判定回路82が前々回受け取った検出パルスのパルス番号、可動部43の回転方向および検出パルスの欠落の有無が記憶されている。具体的には次の通りである。
今回のパルス番号「1」
更新前:前回パルス番号「6」
更新前:前々回パルス番号「5」
更新前:回転方向「右」
更新前:欠落の有無「なし」
なお、可動部43の回転方向は、可動部43が回転を開始した直後は、判定回路82が連続して受け取った2つの検出パルスのパルス番号を比較して判断されるが、その後は、後述するように、原則として可動部43の反転を認識することにより判断される。
判定回路82は、履歴メモリ84を参照し、パルス番号「1」の検出パルスを受け取った時点における検出パルスの欠落の有無を判断する(図7中のステップS1)。図8上段に示す通り、パルス番号「1」の検出パルスを受け取った時点において履歴メモリ84には、欠落の有無「なし」と記憶されているので、判定回路82は、パルス番号「1」の検出パルスを受け取った時点における検出パルスの欠落がないと判断する(ステップS1:NO)。
続いて、判定回路82は、履歴メモリ84を参照し、今回受け取った検出パルスのパルス番号と前回受け取った検出パルスのパルス番号との差が1であるか否かを判断する(ステップS2)。図8上段に示す通り、パルス番号「1」の検出パルスを受け取った時点において履歴メモリ84には、前回パルス番号「6」と記憶されている。ここで、可動部43が単純に右回転している場合、パルス番号「1」の検出パルスが出力される直前に出力される検出パルスはパルス番号「6」の検出パルスである。したがって、パルス番号「1」の検出パルスを受け取った時点において履歴メモリ84に前回パルス番号「6」が記憶されている場合には、判定回路82は、今回受け取った検出パルスのパルス番号と前回受け取った検出パルスのパルス番号との差が実質的に1であると判断する(ステップS2:YES)。
続いて、判定回路82および計数回路83は、可動部43の回転方向に応じて計数値を1増加または1減少させる(ステップS3)。すなわち、判定回路82は、パルス番号「1」の検出パルスを受け取った時点において、履歴メモリ84に回転方向「右」と記憶されている場合には、+1を示す信号を計数回路83に出力し、パルス番号「1」の検出パルスを受け取った時点において、履歴メモリ84に回転方向「左」と記憶されている場合には、−1を示す信号を計数回路83に出力する。図8上段によれば、パルス番号「1」の検出パルスを受け取った時点において履歴メモリ84には回転方向「右」と記憶されているので、判定回路82は、+1を示す信号を計数回路83に出力する。そして、計数回路83は、計数値メモリ85から計数値を読み取り、判定回路82から出力された信号に従って当該計数値を1増加させ、その後、当該1増加させた計数値を計数値メモリ85に記憶(上書き)する。さらに、判定回路82は、履歴メモリ84の更新を行う。具体的には、判定回路82は、現時点において履歴メモリ84に記憶されている前回パルス番号「6」および前々回パルス番号「5」を「1」および「6」にそれぞれ変更する。
続いて、磁石51が磁気センサ62に接近し、磁気センサ62と右回転反応点R1とが向かい合ったとき、検出パルスB+が磁気センサ62から回路ユニット68に出力される。判定回路82はこの検出パルスを受け取り、この検出パルスをパルス番号「2」の検出パルスとして認識する。
判定回路82がパルス番号「2」の検出パルスを受け取った時点において、履歴メモリ84には、この時点における可動部43の回転状態が記憶されている。具体的には次の通りである。
今回のパルス番号「2」
更新前:前回パルス番号「1」
更新前:前々回パルス番号「6」
更新前:回転方向「右」
更新前:欠落の有無「なし」
判定回路82は、履歴メモリ84を参照し、パルス番号「2」の検出パルスを受け取った時点における検出パルスの欠落がないと判断する(ステップS1:NO)。続いて、判定回路82は、履歴メモリ84を参照し、今回受け取った検出パルスのパルス番号と前回受け取った検出パルスのパルス番号との差が1であると判断する(ステップS2:YES)。続いて、判定回路82は、パルス番号「2」の検出パルスを受け取った時点において履歴メモリ84には回転方向「右」と記憶されているので、+1を示す信号を計数回路83に出力する。計数回路83は、上述した手順で計数値メモリ85に記憶された計数値を1増加させる。さらに、判定回路82は、現時点において履歴メモリ84に記憶されている前回パルス番号「1」および前々回パルス番号「6」を「2」および「1」にそれぞれ変更する。
続いて、磁石51が磁気センサ63に接近し、磁気センサ63と右回転反応点R1とが向かい合ったとき、検出パルスC+が磁気センサ63から回路ユニット68に出力される。判定回路82はこの検出パルスをパルス番号「3」の検出パルスとして受け取り、判定回路82および計数回路83は計数値を1増加させる処理を行い、さらに判定回路82は履歴メモリ84を更新する処理を行う(ステップS1ないしS3)。
続いて、磁石52が磁気センサ61に接近し、磁気センサ61と右回転反応点R2とが向かい合ったとき、検出パルスA−が磁気センサ61から回路ユニット68に出力される。判定回路82はこの検出パルスをパルス番号「4」の検出パルスとして受け取り、判定回路82および計数回路83は計数値を1増加させる処理を行い、さらに判定回路82は履歴メモリ84を更新する処理を行う(ステップS1ないしS3)。
続いて、磁石52が磁気センサ62に接近し、磁気センサ62と右回転反応点R2とが向かい合ったとき、検出パルスB−が磁気センサ62から回路ユニット68に出力される。判定回路82はこの検出パルスをパルス番号「5」の検出パルスとして受け取り、判定回路82および計数回路83は計数値を1増加させる処理を行い、さらに判定回路82は履歴メモリ84を更新する処理を行う(ステップS1ないしS3)。
続いて、磁石52が磁気センサ63に接近し、磁気センサ63と右回転反応点R2とが向かい合ったとき、検出パルスC−が磁気センサ63から回路ユニット68に出力される。判定回路82はこの検出パルスをパルス番号「6」の検出パルスとして受け取り、判定回路82および計数回路83は計数値を1増加させる処理を行い、さらに判定回路82は履歴メモリ84を更新する処理を行う(ステップS1ないしS3)。
次に、可動部43が右回転しており、その間に、磁石51が磁気センサ61、62、63の近傍をこの順番で順次通過し、続いて磁石52が磁気センサ61、62、63の近傍をこの順番で順次通過した場合であって、パルス番号「4」の検出パルスが欠落した場合ついて、図7および図8下段を参照しながら説明する。
まず、磁石51が磁気センサ61、62、63の近傍をこの順番で順次通過するまでの判定回路82および計数回路83の処理は上述した通りである。
続いて、磁石52が磁気センサ61に接近し、磁気センサ61と右回転反応点R2とが向かい合ったとき、検出パルスA−が磁気センサ61から回路ユニット68に出力され、判定回路82がこの検出パルスをパルス番号「4」の検出パルスとして受け取るはずであるところ、この検出パルスが欠落し、判定回路82がパルス番号「4」の検出パルスを受け取らなかったとする。このような検出パルスの欠落が生じたとき、判定回路82も計数回路83も判定回路82が次の検出パルスを受け取るまで待機している。そして、磁石52が磁気センサ62に接近し、磁気センサ62と右回転反応点R2とが向かい合ったとき、検出パルスB−が磁気センサ62から回路ユニット68に出力される。そして、判定回路82はこの検出パルスを受け取り、この検出パルスをパルス番号「5」の検出パルスとして認識する。
図8下段に示す通り、判定回路82がパルス番号「5」の検出パルスを受け取った時点において、履歴メモリ84には次の情報が記憶されている。
今回のパルス番号「5」
更新前:前回パルス番号「3」
更新前:前々回パルス番号「2」
更新前:回転方向「右」
更新前:欠落の有無「なし」
判定回路82は、履歴メモリ84を参照し、パルス番号「5」の検出パルスを受け取った時点における検出パルスの欠落の有無を判断する(図7中のステップS1)。図8下段に示す通り、パルス番号「5」の検出パルスを受け取った時点において履歴メモリ84には、欠落の有無「なし」と記憶されているので、判定回路82は、パルス番号「5」の検出パルスを受け取った時点における検出パルスの欠落がないと判断する(ステップS1:NO)。なお、この時点で、実際には検出パルスの欠落が生じているのであるが、このステップでは、あくまでも履歴メモリ84に記憶された情報に基づいて、欠落なしと判断する。
続いて、判定回路82は、履歴メモリ84を参照し、今回受け取った検出パルスのパルス番号と前回受け取った検出パルスのパルス番号との差が1であるか否かを判断する(ステップS2)。図8下段に示す通り、パルス番号「5」の検出パルスを受け取った時点において履歴メモリ84には、前回パルス番号「3」と記憶されている。とすると、今回受け取った検出パルスのパルス番号と前回受け取った検出パルスのパルス番号との差は2である。したがって、判定回路82は、今回受け取った検出パルスのパルス番号と前回受け取った検出パルスのパルス番号との差が1でないと判断する(ステップS2:NO)。
続いて、判定回路82は、今回受け取った検出パルスのパルス番号と前回受け取った検出パルスのパルス番号との差が3であるか否かを判断する(ステップS4)。後述するように、可動部43が反転したときには、今回受け取った検出パルスのパルス番号と前回受け取った検出パルスのパルス番号との差が3となる。ところが、上述したように、今回受け取った検出パルスのパルス番号と前回受け取った検出パルスのパルス番号との差は2である。したがって、判定回路82は、今回受け取った検出パルスのパルス番号と前回受け取った検出パルスのパルス番号との差が3でないと判断する(ステップS4:NO)。
このように、検出パルスを受け取った時点において履歴メモリ84に検出パルスの欠落の有無「なし」が記憶され、かつ、今回受け取った検出パルスのパルス番号と前回受け取った検出パルスのパルス番号との差が1でも3でもないとき、判定回路82は、検出パルスの欠落が生じたと判断する(ステップS6)。そして、判定回路82は履歴メモリ84の更新を行う。具体的には、判定回路82は、現時点において履歴メモリ84に記憶されている前回パルス番号「3」および前々回パルス番号「2」を「5」および「3」にそれぞれ変更し、欠落の有無「なし」を「あり」に変更する。なお、判定回路82が検出パルスの欠落が生じたと判断した時点において、判定回路82および計数回路83は、計数値の増加も減少も行わない。
続いて、磁石52が磁気センサ63に接近し、磁気センサ63と右回転反応点R2とが向かい合ったとき、検出パルスC−が磁気センサ63から回路ユニット68に出力される。判定回路82はこの検出パルスを受け取り、この検出パルスをパルス番号「6」の検出パルスとして認識する。
続いて、判定回路82は、履歴メモリ84を参照し、パルス番号「6」の検出パルスを受け取った時点における検出パルスの欠落の有無を判断する(ステップS1)。図8下段に示す通り、パルス番号「6」の検出パルスを受け取った時点において履歴メモリ84には、欠落の有無「あり」と記憶されているので、判定回路82は、パルス番号「6」の検出パルスを受け取った時点において検出パルスの欠落が生じていると判断する(ステップS1:YES)。
続いて、判定回路82は、履歴メモリ84を参照し、今回受け取った検出パルスのパルス番号と前回受け取った検出パルスのパルス番号との差が1であるか否かを判断する(ステップS7)。図8下段に示す通り、パルス番号「6」の検出パルスを受け取った時点において履歴メモリ84には、前回パルス番号「5」と記憶されている。したがって、判定回路82は、今回受け取った検出パルスのパルス番号と前回受け取った検出パルスのパルス番号との差が1であると判断する(ステップS7:YES)。
続いて、判定回路82は、今回受け取った検出パルスのパルス番号から前回受け取った検出パルスのパルス番号を差し引いた値が+1であるときには、現時点における可動部43の回転方向が右であると判断し、当該値が−1であるときには、現時点における可動部43の回転方向が左であると判断する(ステップS8)。今回受け取った検出パルスのパルス番号は「6」であり、履歴メモリ84には前回パルス番号「5」が記憶されているので、今回受け取った検出パルスのパルス番号から前回受け取った検出パルスのパルス番号を差し引いた値は+1である。したがって、判定回路82は、現時点における可動部43の回転方向が右であると判断する。
続いて、判定回路82および計数回路83は、可動部43の回転方向に応じて計数値を増加または減少させる。このとき、判定回路82および計数回路83は、検出パルスの欠落を補うべく計数値の補正を行う(ステップS10)。すなわち、判定回路82は、ステップS8の判断結果に基づき現時点における可動部43の回転方向が右の場合には、今回受け取った検出パルスのパルス番号から前々回(検出パルスの欠落が生じる直前)に受け取った検出パルスのパルス番号を差し引く。そして、差し引いた結果得られた値が正の値である場合には、その値を示す信号を計数回路83に出力し、一方、差し引いた結果得られた値が負の値である場合には、当該値に6(検出パルスの種類の数)を加えた値を示す信号を計数回路83に出力する。一方、ステップS8の判断結果に基づき現時点における可動部43の回転方向が左の場合には、今回受け取った検出パルスのパルス番号から前々回(検出パルスの欠落が生じる直前)に受け取った検出パルスのパルス番号を差し引く。そして、差し引いた結果得られた値が負の値である場合には、その値を示す信号を計数回路83に出力し、一方、差し引いた結果得られた値が正の値である場合には、当該値から6(検出パルスの種類の数)を減じた値を示す信号を計数回路83に出力する。今回は、ステップS8の判断結果に基づく現時点における可動部43の回転方向は右であり、今回受け取った検出パルスのパルス番号は「6」であり、履歴メモリ84には前々回パルス番号「3」が記憶されている。したがって、判定回路82は、今回受け取った検出パルスのパルス番号「6」から前々回に受け取った検出パルスのパルス番号「3」を差し引き、これにより得られた値を示す信号、すなわち+3を示す信号を計数回路83に出力する。そして、計数回路83は、計数値メモリ85から計数値を読み取り、判定回路82から出力された信号に従って当該計数値を3増加させ、その後、当該3増加させた計数値を計数値メモリ85に記憶(上書き)する。さらに、判定回路82は、履歴メモリ84の更新を行う。具体的には、判定回路82は、現時点において履歴メモリ84に記憶されている前回パルス番号「5」および前々回パルス番号「3」を「6」および「5」にそれぞれ変更する。さらに、判定回路82は、回転方向「右」を記憶し、欠落の有無「あり」を「なし」に変更する(ステップS11)。
この結果、計数値は「+6」となる。図8の上段と下段を比較するとわかる通り、いずれも最終的な計数値は「+6」である。これは判定回路82により検出パルスの欠落が補正されたことを意味する。
このように、判定回路82によれば、まず、パルス番号「4」の検出パルスの欠落が生じる直前に受け取ったパルス番号「3」の検出パルスと、パルス番号「4」の検出パルスの欠落が生じた直後に受け取ったパルス番号「5」の検出パルスとに基づいてパルス番号「4」の検出パルスの欠落を検出し、次に、パルス番号「4」の検出パルスの欠落が生じる直前に受け取ったパルス番号「3」の検出パルスと、パルス番号「4」の検出パルスの欠落が生じた直後に受け取ったパルス番号「5」の検出パルスと、当該パルス番号「5」の検出パルスを受け取った直後に受け取ったパルス番号「6」の検出パルスとから、パルス番号「4」の検出パルスの欠落前後の可動部43の位置の推移を認識し、これにより当該検出パルスの欠落を補い、計数値を、当該検出パルスの欠落が生じなかった場合と同じ計数値となるように修正することができる。
(反転が1度生じた場合の計数処理)
図9は可動部43が途中で1度反転した場合の計数処理を示し、図9中の上段が検出パルスに欠落が生じなかった場合を示し、図9中の下段が検出パルスに1回の欠落が生じた場合を示している。
まず、可動部43が右回転している間に、磁石51が磁気センサ61、62、63の近傍をこの順番で順次通過し、その直後に可動部43が反転して左回転となり、磁石51が磁気センサ63、62、61の近傍をこの順番で順次通過し、続いて磁石54が磁気センサ63、62、61の近傍をこの順番で順次通過した場合であって、検出パルスに欠落が生じなかった場合ついて、図7および図9上段を参照しながら説明する。
まず、可動部43が右回転している間に磁石51が磁気センサ61、62、63の近傍をこの順番で順次通過するまでの判定回路82および計数回路83の処理は上述した通りである。
続いて、磁石51が磁気センサ63の近傍を通過した直後に可動部43が反転し、左回転になると、磁石51は今までの軌跡を逆に辿り、磁気センサ63、62、61の近傍をこの順番で順次通過する。磁石51が磁気センサ63、62、61の近傍をこの順番で順次通過する間は、磁気センサ63、62、61のいずれからも検出パルスは出力されない。なぜなら、可動部43が、反転する前に右回転していた間に、磁石51が磁気センサ61、62、63の近傍を通過することにより、磁気センサ61、62、63がいずれも同方向状態となり、その直後に、第1の磁界を発する磁石51が磁気センサ63、62、61に接近しても、磁気センサ63、62、61は同方向状態のままであり、状態の切り替わりは起こらないからである。
続いて、可動部43が左回転を継続し、磁石54が磁気センサ63に接近し、磁気センサ63と右回転反応点L4とが向かい合ったとき、検出パルスC−が磁気センサ63から回路ユニット68に出力される。判定回路82はこの検出パルスを受け取り、この検出パルスをパルス番号「6」の検出パルスとして認識する。
図9上段に示す通り、判定回路82がパルス番号「6」の検出パルスを受け取った時点において、履歴メモリ84には、次の情報が記憶されている。
今回のパルス番号「6」
更新前:前回パルス番号「3」
更新前:前々回パルス番号「2」
更新前:回転方向「右」
更新前:欠落の有無「なし」
判定回路82は、履歴メモリ84を参照し、パルス番号「6」の検出パルスを受け取った時点における検出パルスの欠落の有無を判断する(図7中のステップS1)。図9上段に示す通り、パルス番号「6」の検出パルスを受け取った時点において履歴メモリ84には、欠落の有無「なし」と記憶されているので、判定回路82は、パルス番号「6」の検出パルスを受け取った時点における検出パルスの欠落がないと判断する(ステップS1:NO)。
続いて、判定回路82は、履歴メモリ84を参照し、今回受け取った検出パルスのパルス番号と前回受け取った検出パルスのパルス番号との差が1であるか否かを判断する(ステップS2)。図9上段に示す通り、パルス番号「6」の検出パルスを受け取った時点において履歴メモリ84には、前回パルス番号「3」と記憶されている。とすると、今回受け取った検出パルスのパルス番号と前回受け取った検出パルスのパルス番号との差は3である。したがって、判定回路82は、今回受け取った検出パルスのパルス番号と前回受け取った検出パルスのパルス番号との差が1でないと判断する(ステップS2:NO)。
続いて、判定回路82は、今回受け取った検出パルスのパルス番号と前回受け取った検出パルスのパルス番号との差が3であるか否かを判断する(ステップS4)。上述したように、今回受け取った検出パルスのパルス番号と前回受け取った検出パルスのパルス番号との差は3である。したがって、判定回路82は当該差が3であると判断する(ステップS4:YES)。
今回受け取った検出パルスのパルス番号と前回受け取った検出パルスのパルス番号との差が3であるとき、判定回路82は、可動部43の回転方向が反転したと判断する。そして、判定回路82および計数回路83は、可動部43の反転した回転方向に応じて計数値を3増加または3減少させる(ステップS5)。すなわち、判定回路82は、可動部43の反転した回転方向が右のときには+3を示す信号を計数回路83に出力し、可動部43の反転した回転方向が左のときには−3を示す信号を計数回路83に出力する。今回、パルス番号「6」の検出パルスを受け取った時点において履歴メモリ84には回転方向「右」が記憶されているので、可動部43の反転した回転方向は左である。したがって、判定回路82は−3を示す信号を計数回路83に出力する。そして、計数回路83は、計数値メモリ85から計数値を読み取り、判定回路82から出力された信号に従って当該計数値を3減少させ、その後、当該3減少させた計数値を計数値メモリ85に記憶(上書き)する。さらに、判定回路82は、履歴メモリ84の更新を行う。具体的には、判定回路82は、現時点において履歴メモリ84に記憶されている前回パルス番号「3」および前々回パルス番号「2」を「6」および「3」にそれぞれ変更する。さらに、判定回路82は、履歴メモリ84における回転方向「右」を「左」に変更する。
続いて、磁石54が磁気センサ62に接近し、磁気センサ62と右回転反応点L4とが向かい合ったとき、検出パルスB−が磁気センサ62から回路ユニット68に出力される。そして、判定回路82はこの検出パルスをパルス番号「5」の検出パルスとして受け取り、判定回路82および計数回路83は計数値を1減少させる処理を行い、さらに判定回路82は履歴メモリ84を更新する処理を行う(ステップS1ないしS3)。
続いて、磁石54が磁気センサ61に接近し、磁気センサ61と右回転反応点L4とが向かい合ったとき、検出パルスA−が磁気センサ61から回路ユニット68に出力される。そして、判定回路82はこの検出パルスをパルス番号「4」の検出パルスとして受け取り、判定回路82および計数回路83は計数値を1減少させる処理を行い、さらに判定回路82は履歴メモリ84を更新する処理を行う(ステップS1ないしS3)。
次に、可動部43が右回転している間に、磁石51が磁気センサ61、62、63の近傍をこの順番で順次通過し、その直後に可動部43が反転して左回転となり、磁石51が磁気センサ63、62、61の近傍をこの順番で順次通過し、続いて磁石54が磁気センサ63、62、61の近傍をこの順番で順次通過した場合であって、パルス番号「6」の検出パルスが欠落した場合について、図7および図9下段を参照しながら説明する。
まず、可動部43が右回転している間に磁石51が磁気センサ61、62、63の近傍をこの順番で順次通過するまでの判定回路82および計数回路83の処理は上述した通りである。
続いて、磁石51が磁気センサ63の近傍を通過した直後に可動部43が反転し、左回転になると、磁石51が今までの軌跡を逆に辿り、磁気センサ63、62、61の近傍をこの順番で順次通過する。磁石51が磁気センサ63、62、61の近傍をこの順番で順次通過する間は、上述したように磁気センサ63、62、61のいずれからも検出パルスは出力されない。
続いて、可動部43が左回転を継続し、磁石54が磁気センサ63に接近し、磁気センサ63と右回転反応点L4とが向かい合ったとき、検出パルスC−が磁気センサ63から回路ユニット68に出力され、判定回路82がこの検出パルスをパルス番号「6」の検出パルスとして受け取るはずであるところ、この検出パルスが欠落し、判定回路82がパルス番号「6」の検出パルスを受け取らなかったとする。この場合、判定回路82も計数回路83も判定回路82が次の検出パルスを受け取るまで待機している。そして、磁石54が磁気センサ62に接近し、磁気センサ62と右回転反応点L4とが向かい合ったとき、検出パルスB−が磁気センサ62から回路ユニット68に出力される。そして、判定回路82はこの検出パルスを受け取り、この検出パルスをパルス番号「5」の検出パルスとして認識する。
図9下段に示す通り、判定回路82がパルス番号「5」の検出パルスを受け取った時点において、履歴メモリ84には、次の情報が記憶されている。
今回のパルス番号「5」
更新前:前回パルス番号「3」
更新前:前々回パルス番号「2」
更新前:回転方向「右」
更新前:欠落の有無「なし」
判定回路82は、履歴メモリ84を参照し、パルス番号「5」の検出パルスを受け取った時点において履歴メモリ84には、欠落の有無「なし」と記憶されているので、パルス番号「5」の検出パルスを受け取った時点における検出パルスの欠落がないと判断する(図7中のステップS1:NO)。なお、この時点で、実際には検出パルスの欠落が生じているのであるが、このステップでは、あくまでも履歴メモリ84に記憶された情報に基づいて、欠落なしと判断する。
続いて、判定回路82は、履歴メモリ84を参照し、今回受け取った検出パルスのパルス番号と前回受け取った検出パルスのパルス番号との差が1であるか否かを判断する(ステップS2)。図9下段に示す通り、パルス番号「5」の検出パルスを受け取った時点において履歴メモリ84には、前回パルス番号「3」と記憶されている。とすると、今回受け取った検出パルスのパルス番号と前回受け取った検出パルスのパルス番号との差は2である。したがって、判定回路82は、今回受け取った検出パルスのパルス番号と前回受け取った検出パルスのパルス番号との差が1でないと判断する(ステップS2:NO)。
続いて、判定回路82は、今回受け取った検出パルスのパルス番号と前回受け取った検出パルスのパルス番号との差が3であるか否かを判断する(ステップS4)。上述したように、今回受け取った検出パルスのパルス番号と前回受け取った検出パルスのパルス番号との差は2であるので、判定回路82は、今回受け取った検出パルスのパルス番号と前回受け取った検出パルスのパルス番号との差が3でないと判断する(ステップS4:NO)。
この場合、判定回路82は、検出パルスの欠落が生じたと判断する(ステップS6)。そして、判定回路82は履歴メモリ84の更新を行う。具体的には、判定回路82は、現時点において履歴メモリ84に記憶されている前回パルス番号「3」および前々回パルス番号「2」を「5」および「3」にそれぞれ変更し、欠落の有無「なし」を「あり」に変更する。なお、判定回路82が検出パルスの欠落が生じたと判断した時点において、判定回路82および計数回路83は、計数値の増加も減少も行わない。
続いて、磁石54が磁気センサ61に接近し、磁気センサ61と右回転反応点L4とが向かい合ったとき、検出パルスA−が磁気センサ61から回路ユニット68に出力される。そして、判定回路82はこの検出パルスを受け取り、この検出パルスをパルス番号「4」の検出パルスとして認識する。
続いて、判定回路82は、履歴メモリ84を参照し、パルス番号「4」の検出パルスを受け取った時点における検出パルスの欠落の有無を判断する(ステップS1)。図9下段に示す通り、パルス番号「4」の検出パルスを受け取った時点において履歴メモリ84には、欠落の有無「あり」と記憶されているので、判定回路82は、パルス番号「4」の検出パルスを受け取った時点において検出パルスの欠落が生じていると判断する(ステップS1:YES)。
続いて、判定回路82は、履歴メモリ84を参照し、今回受け取った検出パルスのパルス番号と前回受け取った検出パルスのパルス番号との差が1であるか否かを判断する(ステップS7)。図9下段に示す通り、パルス番号「4」の検出パルスを受け取った時点において履歴メモリ84には、前回パルス番号「5」と記憶されている。したがって、判定回路82は、今回受け取った検出パルスのパルス番号と前回受け取った検出パルスのパルス番号との差が1であると判断する(ステップS7:YES)。
続いて、判定回路82は、今回受け取った検出パルスのパルス番号から前回受け取った検出パルスのパルス番号を差し引いた値が+1であるときには、現時点における可動部43の回転方向が右であると判断し、当該値が−1であるときには、現時点における可動部43の回転方向が左であると判断する(ステップS8)。今回受け取った検出パルスのパルス番号は「4」であり、履歴メモリ84には前回パルス番号「5」が記憶されているので、今回受け取った検出パルスのパルス番号から前回受け取った検出パルスのパルス番号を差し引いた値は−1である。したがって、判定回路82は、現時点における可動部43の回転方向が左であると判断する。
続いて、判定回路82および計数回路83は、可動部43の回転方向に応じて計数値を増加または減少させる。このとき、判定回路82および計数回路83は、検出パルスの欠落を補うべく計数値の補正を行う(ステップS10)。すなわち、判定回路82は、ステップS8の判断結果に基づき現時点における可動部43の回転方向が右の場合には、今回受け取った検出パルスのパルス番号から前々回(検出パルスの欠落が生じる直前)に受け取った検出パルスのパルス番号を差し引く。そして、差し引いた結果得られた値が正の値である場合には、その値を示す信号を計数回路83に出力し、一方、差し引いた結果得られた値が負の値である場合には、当該値に6(検出パルスの種類の数)を加えた値を示す信号を計数回路83に出力する。一方、ステップS8の判断結果に基づき現時点における可動部43の回転方向が左の場合には、今回受け取った検出パルスのパルス番号から前々回(検出パルスの欠落が生じる直前)に受け取った検出パルスのパルス番号を差し引く。そして、差し引いた結果得られた値が負の値である場合には、その値を示す信号を計数回路83に出力し、一方、差し引いた結果得られた値が正の値である場合には、当該値から6(検出パルスの種類の数)を減じた値を示す信号を計数回路83に出力する。今回は、ステップS8の判断結果に基づく現時点における可動部43の回転方向が左であり、今回受け取った検出パルスのパルス番号は「4」であり、履歴メモリ84には前々回パルス番号「3」が記憶されている。したがって、判定回路82は、今回受け取った検出パルスのパルス番号から、前々回受け取った検出パルスのパルス番号を差し引き、これより得られた値から6を減じた値を示す信号、すなわち−5を示す信号を計数回路83に出力する。そして、計数回路83は、計数値メモリ85から計数値を読み取り、判定回路82から出力された信号に従って当該計数値を5減少させ、その後、当該5減少させた計数値を計数値メモリ85に記憶(上書き)する。さらに、判定回路82は、履歴メモリ84の更新を行う。具体的には、判定回路82は、現時点において履歴メモリ84に記憶されている前回パルス番号「5」および前々回パルス番号「3」を「4」および「5」にそれぞれ変更する。さらに、判定回路82は、回転方向「左」を記憶し、欠落の有無「あり」を「なし」に変更する(ステップS11)。
この結果、計数値は「−2」となる。図9の上段と下段を比較するとわかる通り、いずれも最終的な計数値は「−2」である。これは判定回路82により検出パルスの欠落が補正されたことを意味する。
このように、判定回路82によれば、可動部43の反転が生じた場合でも、パルス番号「6」の検出パルスの欠落が生じる直前に受け取ったパルス番号「3」の検出パルスと、パルス番号「6」の検出パルスの欠落が生じた直後に受け取ったパルス番号「5」の検出パルスとに基づいてパルス番号「6」の検出パルスの欠落を検出し、次に、パルス番号「6」の検出パルスの欠落が生じる直前に受け取ったパルス番号「3」の検出パルスと、パルス番号「6」の検出パルスの欠落が生じた直後に受け取ったパルス番号「5」の検出パルスと、当該パルス番号「5」の検出パルスを受け取った直後に受け取ったパルス番号「4」の検出パルスとから、パルス番号「6」の検出パルスの欠落前後の可動部43の位置の推移を認識し、これにより当該検出パルスの欠落を補い、計数値を、当該検出パルスの欠落が生じなかった場合と同じ計数値となるように修正することができる。
(反転が2度生じた場合の計数処理)
図10は可動部43が途中で2度反転した場合の計数処理を示し、図10中の上段が検出パルスに欠落が生じなかった場合を示し、図10中の下段が検出パルスに1回の欠落が生じた場合を示している。
まず、可動部43が右回転している間に、磁石51が磁気センサ61、62、63の近傍をこの順番で順次通過し、その直後に可動部43が反転して左回転となり、磁石51が磁気センサ63、62、61の近傍をこの順番で順次通過し、続いて磁石54が磁気センサ63の近傍を通過し、その直後に可動部43が反転して右回転となり、磁石54が磁気センサ63の近傍を通過し、続いて、磁石51が磁気センサ61、62、63の近傍をこの順番で順次通過し、続いて磁石52が磁気センサ61の近傍を通過した場合であって検出パルスに欠落が生じなかった場合ついて、図7および図10上段を参照しながら説明する。
まず、可動部43が右回転している間に磁石51が磁気センサ61、62、63の近傍をこの順番で順次通過するまでの判定回路82および計数回路83の処理は上述した通りである。
続いて、磁石51が磁気センサ63の近傍を通過した直後に可動部43が反転し、左回転になると、磁石51は今までの軌跡を逆に辿り、磁気センサ63、62、61の近傍をこの順番で順次通過する。磁石51が磁気センサ63、62、61の近傍をこの順番で順次通過する間は、上述したように、磁気センサ63、62、61のいずれからも検出パルスは出力されない。
続いて、可動部43が左回転を継続し、磁石54が磁気センサ63に接近し、磁気センサ63と右回転反応点L4とが向かい合ったとき、検出パルスC−が磁気センサ63から回路ユニット68に出力される。判定回路82はこの検出パルスを受け取り、この検出パルスをパルス番号「6」の検出パルスとして認識する。
判定回路82は、履歴メモリ84を参照し、パルス番号「6」の検出パルスを受け取った時点における検出パルスの欠落がないと判断する(図7中のステップS1:NO)。続いて、判定回路82は、履歴メモリ84を参照し、今回受け取った検出パルスのパルス番号と前回受け取った検出パルスのパルス番号との差が1でないと判断し(ステップS2:NO)、続いて、今回受け取った検出パルスのパルス番号と前回受け取った検出パルスのパルス番号との差が3であると判断する(ステップS4:YES)。
今回受け取った検出パルスのパルス番号と前回受け取った検出パルスのパルス番号との差が3であるとき、判定回路82は、可動部43の回転方向が反転したと判断する。そして、判定回路82および計数回路83は、可動部43の反転した回転方向に応じて計数値を3増加または3減少させる(ステップS5)。すなわち、判定回路82は、可動部43の反転した回転方向が右のときには+3を示す信号を計数回路83に出力し、可動部43の反転した回転方向が左のときには−3を示す信号を計数回路83に出力する。今回、パルス番号「6」の検出パルスを受け取った時点において履歴メモリ84には回転方向「右」が記憶されているので、可動部43の反転した回転方向は左である。
したがって、判定回路82は−3を示す信号を計数回路83に出力する。そして、計数回路83は計数値メモリ85に記憶された計数値を3減少させる。さらに、判定回路82は、履歴メモリ84の更新を行う。具体的には、判定回路82は、現時点において履歴メモリ84に記憶されている前回パルス番号「3」および前々回パルス番号「2」を「6」および「3」にそれぞれ変更する。さらに、判定回路82は、履歴メモリ84における回転方向「右」を「左」に変更する。
続いて、磁石54が磁気センサ63の近傍を通過した直後に可動部43が反転し、右回転になると、磁石54が磁気センサ63の近傍を通過し、続いて、磁石51が磁気センサ61、62の近傍をこの順番で順次通過する。ところが、磁石54が磁気センサ63の近傍を通過し、続いて、磁石51が磁気センサ61、62の近傍を順次通過する間は、磁気センサ63、61、62の状態は切り替わらないので、磁気センサ63、61、62のいずれからも検出パルスは出力されない。
続いて、可動部43が右回転を継続し、磁石51が磁気センサ63に接近し、磁気センサ63と右回転反応点R1とが向かい合ったとき、検出パルスC+が磁気センサ63から回路ユニット68に出力される。判定回路82はこの検出パルスを受け取り、この検出パルスをパルス番号「3」の検出パルスとして認識する。
続いて、判定回路82は、履歴メモリ84を参照し、パルス番号「3」の検出パルスを受け取った時点における検出パルスの欠落がないと判断する(図7中のステップS1:NO)。続いて、判定回路82は、履歴メモリ84を参照し、今回受け取った検出パルスのパルス番号と前回受け取った検出パルスのパルス番号との差が1でないと判断し(ステップS2:NO)、続いて、今回受け取った検出パルスのパルス番号と前回受け取った検出パルスのパルス番号との差が3であると判断する(ステップS4:YES)。
今回受け取った検出パルスのパルス番号と前回受け取った検出パルスのパルス番号との差が3であるとき、判定回路82は、可動部43の回転方向が反転したと判断する。そして、判定回路82および計数回路83は、可動部43の反転した回転方向に応じて計数値を3増加または3減少させる(ステップS5)。すなわち、判定回路82は、可動部43の反転した回転方向が右のときには+3を示す信号を計数回路83に出力し、可動部43の反転した回転方向が左のときには−3を示す信号を計数回路83に出力する。今回、パルス番号「3」の検出パルスを受け取った時点において履歴メモリ84には回転方向「左」が記憶されているので、可動部43の反転した回転方向は右である。したがって、判定回路82は+3を示す信号を計数回路83に出力する。そして、計数回路83は計数値メモリ85に記憶された計数値を3増加させる。さらに、判定回路82は、履歴メモリ84の更新を行う。具体的には、判定回路82は、現時点において履歴メモリ84に記憶されている前回パルス番号「6」および前々回パルス番号「3」を「3」および「6」にそれぞれ変更する。さらに、判定回路82は、履歴メモリ84における回転方向「左」を「右」に変更する。
続いて、磁石52が磁気センサ61に接近し、磁気センサ61と右回転反応点R2とが向かい合ったとき、検出パルスA−が磁気センサ61から回路ユニット68に出力される。判定回路82はこの検出パルスをパルス番号「4」の検出パルスとして受け取り、判定回路82および計数回路83は計数値を1増加させる処理を行い、さらに判定回路82は履歴メモリ84を更新する処理を行う(ステップS1ないしS3)。
次に、可動部43が右回転している間に、磁石51が磁気センサ61、62、63の近傍をこの順番で順次通過し、その直後に可動部43が反転して左回転となり、磁石51が磁気センサ63、62、61の近傍をこの順番で順次通過し、続いて磁石54が磁気センサ63の近傍を通過し、その直後に可動部43が反転して右回転となり、磁石54が磁気センサ63の近傍を通過し、続いて、磁石51が磁気センサ61、62、63の近傍をこの順番で順次通過し、続いて磁石52が磁気センサ61の近傍を通過した場合であって、パルス番号「3」の検出パルスが欠落した場合ついて、図7および図10下段を参照しながら説明する。
まず、可動部43が右回転している間に磁石51が磁気センサ61、62の近傍をこの順番で順次通過するまでの判定回路82および計数回路83の処理は上述した通りである。
続いて、磁石51が磁気センサ63に接近し、磁気センサ63と右回転反応点R1とが向かい合ったとき、検出パルスC+が磁気センサ63から回路ユニット68に出力され、判定回路82がこの検出パルスをパルス番号「3」の検出パルスとして受け取るはずであるところ、この検出パルスが欠落し、判定回路82がパルス番号「3」の検出パルスを受け取らなかったとする。この場合、判定回路82も計数回路83も判定回路82が次の検出パルスを受け取るまで待機している。その後、可動部43が反転し、左回転となり、磁石54が磁気センサ63に接近し、磁気センサ63と右回転反応点L4とが向かい合ったとき、検出パルスC−が磁気センサ63から回路ユニット68に出力される。そして、判定回路82はこの検出パルスを受け取り、この検出パルスをパルス番号「6」の検出パルスとして認識する。
図10下段に示す通り、判定回路82がパルス番号「6」の検出パルスを受け取った時点において、履歴メモリ84には次の情報が記憶されている。
今回のパルス番号「6」
更新前:前回パルス番号「2」
更新前:前々回パルス番号「1」
更新前:回転方向「右」
更新前:欠落の有無「なし」
判定回路82は、履歴メモリ84を参照し、パルス番号「6」の検出パルスを受け取った時点において履歴メモリ84には、欠落の有無「なし」と記憶されているので、パルス番号「6」の検出パルスを受け取った時点における検出パルスの欠落がないと判断する(図7中のステップS1:NO)。なお、この時点で、実際には検出パルスの欠落が生じているのであるが、このステップでは、あくまでも履歴メモリ84に記憶された情報に基づいて、欠落なしと判断する。
続いて、判定回路82は、履歴メモリ84を参照し、今回受け取った検出パルスのパルス番号と前回受け取った検出パルスのパルス番号との差が1であるか否かを判断する(ステップS2)。図10下段に示す通り、パルス番号「6」の検出パルスを受け取った時点において履歴メモリ84には、前回パルス番号「2」と記憶されている。とすると、今回受け取った検出パルスのパルス番号と前回受け取った検出パルスのパルス番号との差は4である。したがって、判定回路82は、今回受け取った検出パルスのパルス番号と前回受け取った検出パルスのパルス番号との差が1でないと判断する(ステップS2:NO)。
続いて、判定回路82は、今回受け取った検出パルスのパルス番号と前回受け取った検出パルスのパルス番号との差が3であるか否かを判断する(ステップS4)。上述したように、今回受け取った検出パルスのパルス番号と前回受け取った検出パルスのパルス番号との差は4である。したがって、判定回路82は、今回受け取った検出パルスのパルス番号と前回受け取った検出パルスのパルス番号との差が3でないと判断する(ステップS4:NO)。
この場合、判定回路82は、検出パルスの欠落が生じたと判断する(ステップS6)。そして、判定回路82は履歴メモリ84の更新を行う。具体的には、判定回路82は、現時点において履歴メモリ84に記憶されている前回パルス番号「2」および前々回パルス番号「1」を「6」および「2」にそれぞれ変更し、欠落の有無「なし」を「あり」に変更する。しかし、回転方向は変更しない。なお、判定回路82が検出パルスの欠落が生じたと判断した時点において、判定回路82および計数回路83は、計数値の増加も減少も行わない。
その後、可動部43が反転し、右回転となり、磁石51が磁気センサ63に接近し、磁気センサ63と右回転反応点R1とが向かい合ったとき、検出パルスC+が磁気センサ63から回路ユニット68に出力される。そして、判定回路82はこの検出パルスを受け取り、この検出パルスをパルス番号「3」の検出パルスとして認識する。
続いて、判定回路82は、履歴メモリ84を参照し、パルス番号「3」の検出パルスを受け取った時点における検出パルスの欠落の有無を判断する(ステップS1)。図10下段に示す通り、パルス番号「3」の検出パルスを受け取った時点において履歴メモリ84には、欠落の有無「あり」が記憶されているので、判定回路82は、パルス番号「3」の検出パルスを受け取った時点において検出パルスの欠落が生じていると判断する(ステップS1:YES)。
続いて、判定回路82は、履歴メモリ84を参照し、今回受け取った検出パルスのパルス番号と前回受け取った検出パルスのパルス番号との差が1であるか否かを判断する(ステップS7)。図10下段に示す通り、パルス番号「3」の検出パルスを受け取った時点において履歴メモリ84には、前回パルス番号「6」と記憶されている。したがって、判定回路82は、今回受け取った検出パルスのパルス番号と前回受け取った検出パルスのパルス番号との差が1でないと判断する(ステップS7:NO)。
続いて、判定回路82は、履歴メモリ84を参照し、今回受け取った検出パルスのパルス番号から前々回受け取った検出パルスのパルス番号を差し引いた値が+1である場合には、検出パルスの欠落が生じる直前における可動部43の回転方向と、現時点における可動部43の回転方向とを比較したときに可動部43が反転していないと判断する。一方、判定回路82は、今回受け取った検出パルスのパルス番号から前々回受け取った検出パルスのパルス番号を差し引いた値が−1である場合には、検出パルスの欠落が生じる直前における可動部43の回転方向と、現時点における可動部43の回転方向とを比較したときに可動部43が反転したと判断する(ステップS9)。図10下段に示す通り、パルス番号「3」の検出パルスを受け取った時点において履歴メモリ84には、前々回パルス番号「2」が記憶されている。したがって、判定回路82は、今回受け取った検出パルスのパルス番号から前々回受け取った検出パルスのパルス番号を差し引いた値が+1であるので、検出パルスの欠落が生じる直前における可動部43の回転方向と、現時点における可動部43の回転方向とを比較したときに可動部43が反転していないと判断する。実際上、検出パルスの欠落が生じる直前と現時点との間に可動部43が2回反転をしている結果、検出パルスの欠落が生じる直前における可動部43の回転方向と、現時点における可動部43の回転方向とを比較した場合、可動部43は反転していない。
続いて、判定回路82および計数回路83は、可動部43の回転方向に応じて計数値を増加または減少させる。このとき、判定回路82および計数回路83は、検出パルスの欠落を補うべく計数値の補正を行う(ステップS10)。すなわち、判定回路82は、ステップS9の判断結果および履歴メモリ84に記憶された可動部43の回転方向の情報に基づき現時点における可動部43の回転方向が右の場合には、今回受け取った検出パルスのパルス番号から前々回(検出パルスの欠落が生じる直前)に受け取った検出パルスのパルス番号を差し引く。そして、差し引いた結果得られた値が正の値である場合には、その値を示す信号を計数回路83に出力し、一方、差し引いた結果得られた値が負の値である場合には、当該値に6(検出パルスの種類の数)を加えた値を示す信号を計数回路83に出力する。一方、ステップS9の判断結果および履歴メモリ84に記憶された可動部43の回転方向の情報に基づき現時点における可動部43の回転方向が左の場合には、今回受け取った検出パルスのパルス番号から前々回(検出パルスの欠落が生じる直前)に受け取った検出パルスのパルス番号を差し引く。そして、差し引いた結果得られた値が負の値である場合には、その値を示す信号を計数回路83に出力し、一方、差し引いた結果得られた値が正の値である場合には、当該値から6(検出パルスの種類の数)を減じた値を示す信号を計数回路83に出力する。今回は、ステップS9の判断結果によれば、可動部43は反転しておらず、パルス番号「3」の検出パルスを受け取った時点において履歴メモリ84には回転方向「右」が記憶されている。そして、今回受け取った検出パルスのパルス番号は「3」であり、履歴メモリ84には前々回パルス番号「2」が記憶されている。したがって、判定回路82は、今回受け取った検出パルスのパルス番号から前々回に受け取った検出パルスのパルス番号を差し引いた値を示す信号、すなわち+1を示す信号を計数回路83に出力する。そして、計数回路83は、計数値メモリ85から計数値を読み取り、判定回路82から出力された信号に従って計数値メモリ85に記憶された計数値を1増加させる。さらに、判定回路82は、履歴メモリ84の更新を行う。具体的には、判定回路82は、現時点において履歴メモリ84に記憶されている前回パルス番号「6」および前々回パルス番号「2」を「3」および「6」にそれぞれ変更する。さらに、判定回路82は、回転方向「右」を記憶し、欠落の有無「あり」を「なし」に変更する(ステップS11)。
続いて、磁石52が磁気センサ61に接近し、磁気センサ61と右回転反応点R2とが向かい合ったとき、検出パルスA−が磁気センサ61から回路ユニット68に出力される。そして、判定回路82はこの検出パルスをパルス番号「4」の検出パルスとして受け取り、判定回路82および計数回路83は計数値を1増加させる処理を行い、さらに判定回路82は履歴メモリ84を更新する処理を行う(ステップS1ないしS3)。
この結果、計数値は「+4」となる。図10の上段と下段を比較するとわかる通り、いずれも最終的な計数値は「+4」である。これは判定回路82により検出パルスの欠落が補正されたことを意味する。
このように、判定回路82によれば、パルス番号「3」の検出パルスの欠落後に可動部43が2回反転した場合でも、パルス番号「3」の検出パルスの欠落が生じる直前に受け取ったパルス番号「2」の検出パルスと、パルス番号「3」の検出パルスの欠落が生じた直後に受け取ったパルス番号「6」の検出パルスとに基づいてパルス番号「3」の検出パルスの欠落を検出し、次に、パルス番号「3」の検出パルスの欠落が生じる直前に受け取ったパルス番号「2」の検出パルスと、パルス番号「3」の検出パルスの欠落が生じた直後に受け取ったパルス番号「6」の検出パルスと、当該パルス番号「6」の検出パルスを受け取った直後に受け取ったパルス番号「3」の検出パルスとから、パルス番号「3」の検出パルスの欠落前後の可動部43の位置の推移を認識し、これにより当該検出パルスの欠落を補い、計数値を、当該検出パルスの欠落が生じなかった場合と同じ計数値となるように修正することができる。
(回転数最終補正処理)
上述した計数処理では、可動部43が反転した場合、反転直前に出力された検出パルスと反転直後に出力された検出パルスに基づいて可動部43が反転したことを検出すると共に、可動部43の所定単位量の回転およびその方向を正しく認識する。したがって、上述した計数処理は、可動部43が反転した場合には、反転直前に検出パルスが出力されてから、反転直後に検出パルスが出力されるまでの間、可動部43の回転量および回転方向を一時的に正しく認識することができない。それゆえ、反転直前の検出パルスが出力されてから、反転直後の検出パルスがまだ出力されていないタイミングにおいて、回転軸32の回転数を確定しなければならないときには、計数処理とは別の処理が必要となる。
また、上述した計数処理では、検出パルスに欠落が生じた場合、欠落直前に出力された検出パルスと欠落直後に連続出力された2つの検出パルスに基づいて検出パルスに欠落が生じたことを検出すると共に、可動部43の所定単位量の回転およびその方向を正しく認識する。したがって、上述した計数処理は、検出パルスに欠落が生じた場合には、欠落直前に検出パルスが出力されてから、欠落直後に2つ目の検出パルスが出力されるまでの間、可動部43の回転量および回転方向を一時的に正しく認識することができない。それゆえ、欠落直前の検出パルスが出力されてから、欠落直後の2つ目の検出パルスがまだ出力されていないタイミングにおいて、回転軸32の回転数を確定しなければならないときには、計数処理とは別の処理が必要となる。
そこで、本実施形態では、回転数最終補正処理を採用している。なお、本実施形態において、この回転数最終補正処理は、回転検出装置31に接続された外部の装置(以下、これを「回転数最終補正装置」という。)が行う。もっとも、回転数最終補正処理を回転検出装置31が行うように構成することもできる。
回転数最終補正装置は、回転軸32の回転数を確定すべき要求が外部から発せられたときに回転数最終補正処理を開始し、回転数最終補正処理において、可動部43の反転直前に出力された検出パルスまたは検出パルスの欠落直前に出力された検出パルスと、回転軸32の絶対角度とに基づき、必要に応じて回転軸32の回転数を補正し、回転軸32の正しい回転数を確定する。
具体的に説明すると、回転数最終補正処理装置は、例えば回転検出装置31のコネクタ69にケーブル70を介して接続されており、回転検出装置31から、各検出パルス、計数値および検出パルスの欠落の有無を示す情報(以下、これを「欠落有無情報」という。)を常時取得している。また、回転数最終補正装置は、回転検出装置31から出力される各検出パルスに対応する回転軸32の基準絶対角度を記憶している。各検出パルスに対応する回転軸32の基準絶対角度は、例えば、検出パルスA+なら0度、検出パルスB+なら30度、検出パルスC+なら60度というように、回転検出装置31の構造に従って予め定められている。
回転数最終補正処理装置は、回転数最終補正処理を開始する時点を基準に、回転検出装置31から最後に出力された検出パルス(以下、これを「最後の検出パルス」という。)を特定する。また、回転数最終補正処理装置は、欠落有無情報が、当該最後の検出パルスが出力された時点において検出パルスに欠落が生じていることを示しているか否かを認識する。さらに、回転数最終補正処理装置は、回転数最終補正処理を開始する時点における回転軸32の実際の絶対角度を認識する。なお、回転軸32の実際の絶対角度は、回転軸32にアブソリュート・エンコーダ等を取り付けることにより測定することができる。なお、可動部32にアブソリュート・エンコーダ等を取り付けることにより回転軸32の実際の絶対角度を測定してもよい。
欠落有無情報が、上記最後の検出パルスが出力された時点において検出パルスに欠落が生じていることを示していない場合には、回転数最終補正装置は、当該最後の検出パルスに対応する可動部43の基準絶対角度を特定し、当該基準絶対角度と、回転数最終補正処理を開始する時点における回転軸32の実際の絶対角度とを比較し、この比較結果に基づいて回転軸32の回転数を必要に応じて補正し、回転軸32の正しい回転数を認識する。
欠落有無情報が、上記最後の検出パルスが出力された時点において検出パルスに欠落が生じていることを示している場合には、回転数最終補正装置は、当該最後の検出パルスの直前に回転検出装置31から出力された検出パルスに対応する可動部43の基準絶対角度を特定し、当該基準絶対角度と、回転数最終補正処理を開始する時点における回転軸32の実際の絶対角度とを比較し、この比較結果に基づいて回転軸32の回転数を必要に応じて補正し、回転軸32の正しい回転数を認識する。
以上説明した通り、本発明の第1の実施形態による回転検出装置31によれば、回転軸32の回転数の正確な計数を最も小規模な構成で実現することができ、回転検出装置31の低コスト化を図ることができると共に、計数結果についての信頼性を高めることができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図11および図12は、本発明の運動検出装置の第2の実施形態である回転検出装置を示している。なお、図11および図12において、本発明の第1の実施形態による回転検出装置31と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図11において、本発明の第2の実施形態による回転検出装置101は、本発明の第1の実施形態による回転検出装置31と同様に、可動部43の外周部に周方向に2組の磁石51、52、53、54が配置され、可動部43の外周部の近傍に、可動部43が回転運動したときの可動部43の軌跡に沿うように3つの磁気センサ61、62、63が配置され、磁石51、52、53、54および磁気センサ61、62、63の配置関係が上記第1の配置条件を充足するように設定されている。さらに、回転検出装置101は、図12に示すように、磁石51、52、53、54および磁気センサ61、62、63の配置関係が下記の第3の配置条件を充足するように設定されている。
第3の配置条件: 可動部43の左回転方向における右回転反応点R1からR2までの間隔Raが、可動部43の右回転方向における磁界検出部61から62までの間隔Da、可動部43の右回転方向における磁界検出部62から63までの間隔Db、および可動部43の右回転方向における磁界検出部63から61までの間隔Dcのいずれよりも小さく、可動部43の左回転方向における右回転反応点R2からR3までの間隔Rbが、可動部43の右回転方向における磁界検出部61から63までの間隔Ddよりも大きく、可動部43の左回転方向における右回転反応点R3からR4までの間隔Rcが、可動部43の右回転方向における磁界検出部61から62までの間隔Da、可動部43の右回転方向における磁界検出部62から63までの間隔Db、および可動部43の右回転方向における磁界検出部63から61までの間隔Dcのいずれよりも小さく、可動部43の左回転方向における右回転反応点R4からR1までの間隔Rdが、可動部43の右回転方向における磁界検出部61から63までの間隔Ddよりも大きく、可動部43の左回転方向における左回転反応点L1からL2までの間隔Laが、可動部43の右回転方向における磁界検出部61から62までの間隔Da、可動部43の右回転方向における磁界検出部62から63までの間隔Db、および可動部43の右回転方向における磁界検出部63から61までの間隔Dcのいずれよりも小さく、可動部43の左回転方向における左回転反応点L2からL3までの間隔Lbが、可動部43の右回転方向における磁界検出部61から63までの間隔Ddよりも大きく、可動部43の左回転方向における左回転反応点L3からL4までの間隔Lcが、可動部43の右回転方向における磁界検出部61から62までの間隔Da、可動部43の右回転方向における磁界検出部62から63までの間隔Db、および可動部43の右回転方向における磁界検出部63から61までの間隔Dcのいずれよりも小さく、可動部43の左回転方向における左回転反応点L4からL1までの間隔Ldが、可動部43の右回転方向における磁界検出部61から63までの間隔Ddよりも大きい。
具体的には、図12中の間隔Ra、Rc、La、Lcはそれぞれ30度であり、間隔Rb、Rd、Lb、Ldはそれぞれ150度であり、間隔Da、Dbはそれぞれ50度であり、間隔Dcは130度であり、間隔Ddは100度である。したがって、回転検出装置101における磁石51、52、53、54と磁気センサ61、62、63との配置関係は上記第1の配置条件および上記第3の配置条件を充足している。
回転検出装置101において、可動部43が反転することなく右方向に1回転する間、磁気センサ61、62、63からの検出パルスの出力パターンは例えば次のようになる。
A+、A−、B+、B−、C+、C−、A+、A−、B+、B−、C+、C−
また、可動部43が反転することなく左方向に1回転する間、磁気センサ61、62、63からの検出パルスの出力パターンは例えば次のようになる。
C−、C+、B−、B+、A−、A+、C−、C+、B−、B+、A−、A+
このように、可動部43が一定の方向に1回転する場合、磁気センサ61、62、63からの検出パルスの出力パターンは、それぞれの異なる6つの検出パルスが一定の順序で並んだ配列が2回現れるといったパターンとなる。このパターンは、2組の磁石(磁石51、52、53、54)および3つの磁気センサ(磁気センサ61、62、63)を備え、2組の磁石および3つの磁気センサの配置関係が上記第1の配置条件および上記第3の配置条件を充足する場合に形成される。
また、検出パルスA+、A−、B+、B−、C+、C−にパルス番号「1」、「2」、「3」、「4」、「5」、「6」をそれぞれ割り当てることにより、図7に示す計数処理を回転検出装置101に適用することができる。
このような構成を有する本発明の第2の実施形態による回転検出装置101によっても、本発明の第1の実施形態による回転検出装置31と同様の作用効果を得ることができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図13および図14は、本発明の運動検出装置の第3の実施形態である回転検出装置を示している。なお、図13および図14において、本発明の第1の実施形態による回転検出装置31と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図13において、本発明の第3の実施形態による回転検出装置201は、本発明の第1の実施形態による回転検出装置31と同様に、可動部43の外周部に周方向に2組の磁石51、52、53、54が配置され、可動部43の外周部の近傍に、可動部43が回転運動したときの可動部43の軌跡に沿うように3つの磁気センサ61、62、63が配置され、磁石51、52、53、54および磁気センサ61、62、63の配置関係が上記第1の配置条件を充足するように設定されている。さらに、回転検出装置201は、図14に示すように、磁石51、52、53、54および磁気センサ61、62、63の配置関係が下記の第4の配置条件を充足するように設定されている。
第4の配置条件: 可動部43の左回転方向における右回転反応点R1からR2までの間隔Raが、可動部43の右回転方向における磁界検出部61から63までの間隔Ddよりも大きく、可動部43の左回転方向における右回転反応点R2からR3までの間隔Rbが、可動部43の右回転方向における磁界検出部61から62までの間隔Da、可動部43の右回転方向における磁界検出部62から63までの間隔Db、および可動部43の右回転方向における磁界検出部63から61までの間隔Dcのいずれよりも小さく、可動部43の左回転方向における右回転反応点R3からR4までの間隔Rcが、可動部43の右回転方向における磁界検出部61から63までの間隔Ddよりも大きく、可動部43の左回転方向における右回転反応点R4からR1までの間隔Rdが、可動部43の右回転方向における磁界検出部61から62までの間隔Da、可動部43の右回転方向における磁界検出部62から63までの間隔Db、および可動部43の右回転方向における磁界検出部63から61までの間隔Dcのいずれよりも小さく、可動部43の左回転方向における左回転反応点L1からL2までの間隔Laが、可動部43の右回転方向における磁界検出部61から63までの間隔Ddよりも大きく、可動部43の左回転方向における左回転反応点L2からL3までの間隔Lbが、可動部43の右回転方向における磁界検出部61から62までの間隔Da、可動部43の右回転方向における磁界検出部62から63までの間隔Db、および可動部43の右回転方向における磁界検出部63から61までの間隔Dcのいずれよりも小さく、可動部43の左回転方向における左回転反応点L3からL4までの間隔Lcが、可動部43の右回転方向における磁界検出部61から63までの間隔Ddよりも大きく、可動部43の左回転方向における左回転反応点L4からL1までの間隔Ldが、可動部43の右回転方向における磁界検出部61から62までの間隔Da、可動部43の右回転方向における磁界検出部62から63までの間隔Db、および可動部43の右回転方向における磁界検出部63から61までの間隔Dcのいずれよりも小さい。
具体的には、図14中の間隔Ra、Rc、La、Lcはそれぞれ150度であり、間隔Rb、Rd、Lb、Ldはそれぞれ30度であり、間隔Da、Dbはそれぞれ50度であり、間隔Dcは130度であり、間隔Ddは100度である。したがって、回転検出装置201における磁石51、52、53、54と磁気センサ61、62、63との配置関係は上記第1の配置条件および上記第4の配置条件を充足している。
回転検出装置201において、可動部43が反転することなく右方向に1回転する間、磁気センサ61、62、63からの検出パルスの出力パターンは例えば次のようになる。
A+、B−、B+、C−、C+、A−、A+、B−、B+、C−、C+、A−
また、可動部43が反転することなく左方向に1回転する間、磁気センサ61、62、63からの検出パルスの出力パターンは例えば次のようになる。
A−、C+、C−,B+、B−、A+、A−、C+、C−,B+、B−、A+
このように、可動部43が一定の方向に1回転する場合、磁気センサ61、62、63からの検出パルスの出力パターンは、それぞれの異なる6つの検出パルスが一定の順序で並んだ配列が2回現れるといったパターンとなる。このパターンは、2組の磁石(磁石51、52、53、54)および3つの磁気センサ(磁気センサ61、62、63)を備え、2組の磁石および3つの磁気センサの配置関係が上記第1の配置条件および上記第4の配置条件を充足する場合に形成される。
また、検出パルスA+、B−、B+、C−、C+、A−にパルス番号「1」、「2」、「3」、「4」、「5」、「6」をそれぞれ割り当てることにより、図7に示す計数処理を回転検出装置201に適用することができる。
このような構成を有する本発明の第3の実施形態による回転検出装置201によっても、本発明の第1の実施形態による回転検出装置31と同様の作用効果を得ることができる。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。図15および図16は、本発明の運動検出装置の第4の実施形態である回転検出装置を示している。なお、図15および図16において、本発明の第1の実施形態による回転検出装置31と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図15において、本発明の第4の実施形態による回転検出装置301は、本発明の第1の実施形態による回転検出装置31と同様に、可動部43の外周部に周方向に2組の磁石51、52、53、54が配置され、可動部43の外周部の近傍に、可動部43が回転運動したときの可動部43の軌跡に沿うように3つの磁気センサ61、62、63が配置され、磁石51、52、53、54および磁気センサ61、62、63の配置関係が上記第1の配置条件を充足するように設定されている。さらに、回転検出装置301は、図16に示すように、磁石51、52、53、54および磁気センサ61、62、63の配置関係が下記の第5の配置条件を充足するように設定されている。
第5の配置条件: 可動部43の左回転方向における右回転反応点R1からR2までの間隔Ra、可動部43の左回転方向における右回転反応点R2からR3までの間隔Rb、可動部43の左回転方向における右回転反応点R3からR4までの間隔Rc、および可動部43の左回転方向における右回転反応点R4からR1までの間隔Rdのいずれもが、可動部43の右回転方向における磁界検出部61から62までの間隔Da、可動部43の右回転方向における磁界検出部62から63までの間隔Db、および可動部43の右回転方向における磁界検出部63から61までの間隔Dcのいずれよりも小さく、可動部43の左回転方向における左回転反応点L1からL2までの間隔La、可動部43の左回転方向における左回転反応点L2からL3までの間隔Lb、可動部43の左回転方向における左回転反応点L3からL4までの間隔Lc、および可動部43の左回転方向における左回転反応点L4からL1までの間隔Ldのいずれもが、可動部43の右回転方向における磁界検出部61から62までの間隔Da、可動部43の右回転方向における磁界検出部62から63までの間隔Db、および可動部43の右回転方向における磁界検出部63から61までの間隔Dcのいずれよりも小さい。
具体的には、図16中の間隔Ra、Rb、Rc、Rd、La、Lb、Lc、Ldはそれぞれ90度であり、間隔Da、Db、Dcはそれぞれ120度である。したがって、回転検出装置301における磁石51、52、53、54と磁気センサ61、62、63との配置関係は上記第1の配置条件および上記第5の配置条件を充足している。
回転検出装置301において、可動部43が反転することなく右方向に1回転する間、磁気センサ61、62、63からの検出パルスの出力パターンは例えば次のようになる。
A+、B−,C+、A−、B+、C−、A+、B−,C+、A−、B+、C−
また、可動部43が反転することなく左方向に1回転する間、磁気センサ61、62、63からの検出パルスの出力パターンは例えば次のようになる。
C−、B+、A−、C+、B−、A+、C−、B+、A−、C+、B−、A+
このように、可動部43が一定の方向に1回転する場合、磁気センサ61、62、63からの検出パルスの出力パターンは、それぞれの異なる6つの検出パルスが一定の順序で並んだ配列が2回現れるといったパターンとなる。このパターンは、2組の磁石(磁石51、52、53、54)および3つの磁気センサ(磁気センサ61、62、63)を備え、2組の磁石および3つの磁気センサの配置関係が上記第1の配置条件および上記第5の配置条件を充足する場合に形成される。
また、検出パルスA+、B−,C+、A−、B+、C−にパルス番号「1」、「2」、「3」、「4」、「5」、「6」をそれぞれ割り当てることにより、図7に示す計数処理を回転検出装置301に適用することができる。
このような構成を有する本発明の第4の実施形態による回転検出装置301によっても、本発明の第1の実施形態による回転検出装置31と同様の作用効果を得ることができる。
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。図17および図18は、本発明の運動検出装置の第5の実施形態である回転検出装置を示している。なお、図17および図18において、本発明の第1の実施形態による回転検出装置31と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図17において、本発明の第5の実施形態による回転検出装置401は、本発明の第1の実施形態による回転検出装置31と同様に、可動部43の外周部に周方向に2組の磁石51、52、53、54が配置され、可動部43の外周部の近傍に、可動部43が回転運動したときの可動部43の軌跡に沿うように3つの磁気センサ61、62、63が配置され、磁石51、52、53、54および磁気センサ61、62、63の配置関係が上記第1の配置条件を充足するように設定されている。さらに、回転検出装置401は、図18に示すように、磁石51、52、53、54および磁気センサ61、62、63の配置関係が下記の第6の配置条件を充足するように設定されている。
第6の配置条件: 可動部43の左回転方向における右回転反応点R1から左回転反応点L4までの間隔Kが、可動部43の右回転方向における磁界検出部61から62までの間隔Da、可動部43の右回転方向における磁界検出部62から63までの間隔Db、および可動部43の右回転方向における磁界検出部63から61までの間隔Dcのいずれよりも小さい。
具体的には、図18中の間隔Kは105度であり、間隔Da、Db、Dcはそれぞれ120度である。したがって、回転検出装置401における磁石51、52、53、54と磁気センサ61、62、63との配置関係は上記第1の配置条件および上記第6の配置条件を充足している。
回転検出装置401において、可動部43が反転することなく右方向に1回転する間、磁気センサ61、62、63からの検出パルスの出力パターンは例えば次のようになる。
A+、A−、A+、A−、B+、B−、B+、B−、C+、C−、C+、C−
また、可動部43が反転することなく左方向に1回転する間、磁気センサ61、62、63からの検出パルスの出力パターンは例えば次のようになる。
C−、C+、C−、C+、B−、B+、B−、B+、A−、A+、A−、A+
このように、可動部43が一定の方向に1回転する場合、磁気センサ61、62、63からの検出パルスの出力パターンは、正および負の1組の第1の種類の検出パルスが2回連続して出力され、正および負の1組の第2の種類の検出パルスが2回連続して出力され、正および負の1組の第3の種類の検出パルスが2回連続して出力されるといったパターンとなる。このパターンは、2組の磁石(磁石51、52、53、54)および3つの磁気センサ(磁気センサ61、62、63)を備え、2組の磁石および3つの磁気センサの配置関係が上記第1の配置条件および上記第6の配置条件を充足する場合に形成される。
また、回転検出装置401には、次のような計数処理を適用する。すなわち、検出パルスA+、A−を種類Gaの1組の検出パルスとし、検出パルスB+、B−を種類Gbの1組の検出パルスとし、検出パルスC+、C−を種類Gcの1組の検出パルスとすると、検出パルスの種類がGaからGbに、GbからGcに、GcからGaにそれぞれ変わるときに計数値を1増加させ、検出パルスの種類がGaからGcに、GcからGbに、GbからGaにそれぞれ変わるときに計数値を1減少させる。このような計数処理を回転検出装置401に適用することにより、上記現象(1)、(2)および(3)が起こった場合でも、回転軸32の回転数の正確な計数を実現することができる。
(変形例)
図19は、本発明の実施形態による回転検出装置における磁石の構成についての変形例を示している。図19に示す回転検出装置501では、3つの磁気センサ521、522、523の配置については図3に示す磁気センサ61、62、63と同じであるが、4つの磁石511、512、513、514が、可動部502の外周部に、周方向に隙間なく連続的に配置されている。このような構成でも、互いに隣り合う2つの磁石の境界が周方向に90度の間隔をもって配置されている場合には、4つの右回転反応点、および4つの左回転反応点もそれぞれ90度の間隔をもって配置されるので、上述した第1の配置条件および第2の配置条件を充足する。
図20は、本発明の実施形態による回転検出装置における磁石と磁気センサとの配置についての変形例を示している。図20に示す回転検出装置601では、4つの磁石611、612、613、614が基板602に固定され、3つの磁気センサ621、622、623が可動部603に固定されており、4つの磁石611、612、613、614が不動であり、3つの磁気センサ621、622、623が可動部603の回転に伴って移動する。このような構成を有する回転検出装置601であっても、図3に示す回転検出装置31とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
図21は、本発明の実施形態による回転検出装置における磁石の構成についての他の変形例を示している。すなわち、図21と図2とを比較するとわかる通り、図21に示す回転検出装置701においては、3つの磁気センサ702に磁界を付与するための4つの磁界発生部のそれぞれが2つの磁石703、704から構成されている。磁石703、704は、可動部705が回転したときに、一方の磁石703が各磁気センサ702の一端側を通過するように配置され、他方の磁石704が各磁気センサ702の他端側を通過するように配置されている。これら2つの磁石703、704は可動部705の回転軸線と平行な方向において互いに向かい合っており、これら2つの磁石703、704により、各複合磁気ワイヤ706の長手方向と平行な方向の磁界が形成される。このような構成でも、図2に示す回転検出装置31とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
図22は、本発明の実施形態による回転検出装置における磁石および磁気センサの取付についての変形例を示している。すなわち、図22と図2とを比較するとわかる通り、図2に示す回転検出装置31では、可動部43の回転により、磁石51、52、53、54のうちのいずれかと磁気センサ61、62、63のうちのいずれかとが互いに向き合うとき、両者が可動部43の径方向において向き合う。一方、図22に示す回転検出装置801においては、可動部802の回転により、4つの磁石803のうちのいずれかと3つの磁気センサ804のうちのいずれかとが互いに向き合うとき、両者が可動部802の回転軸線と平行な方向において向き合う。このような構成を有する回転検出装置801でも、図2に示す回転検出装置31とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
図23は、本発明を適用した周回運動検出装置を示している。図23に示す周回運動検出装置901において、矢示M方向に周回運動する可動部902に4つの磁石911、912、913、914が例えば等間隔に配置され、3つの磁気センサ921、922、923が可動部902の外側に配置されている。そして、磁石911、912、913、914および磁気センサ921、922、923の配置は上述した第1の配置条件および第2の配置条件を充足するように設定されている。このような構成を有する周回運動検出装置901によれば、図1に示す回転検出装置31と同様の作用効果を得ることができる。
なお、上述した実施形態において、各磁気センサ61、62、63の磁性素子は複合磁気ワイヤ64に限らず、同様の挙動を示す他の種々な磁性素子を用いることができる。例えば、特開平4−218905号公報に開示されているような薄膜状の磁性体を磁性素子として用いることもできる。上述した各変形例についても同様である。
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う運動検出装置もまた本発明の技術思想に含まれる。