JP7285159B2 - 回転検出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、回転部材の回転を検出する回転検出装置に関する。
大バルクハウゼンジャンプを発現する磁性素子が特許文献1及び特許文献2に記載されている。特許文献1に記載の磁性素子は、結晶質金属からなるワイヤ形状をしたものでウィーガンドワイヤとして知られる。特許文献2に記載の磁性素子は、非結晶質金属からなるワイヤ形状又はリボン形状をなしている。
大バルクハウゼンジャンプを発現する磁性素子を回転検出に用いた技術が特許文献3~6に記載されている。特許文献3においては、1つの磁石の単一磁極面の中心から放射線状に伸びる磁束線が、1つの磁性素子により検出される。特許文献4によれば、1つの磁性素子、1つの励磁器磁石、正転反転を識別する追加センサ要素(例えばホール素子)が設けられる。特許文献5によれば、磁性素子に巻かれたコイルに電流を流す励磁機能によって磁性素子の磁区方向を識別し、補正が行われる。特許文献6によれば、磁性素子とコイルとによる3つの磁気検出部と、1回転で2周期の交番磁界を印加するための4つの磁気発生部とが設けられる。
特開昭53-137641号公報 特開平5-195170号公報 特開2000-161989号公報 特許第4712390号公報 特開2012-225917号公報 特許第5511748号公報
従来技術によれば、回転方向の検出は可能であっても回転数を正確に検出できない場合がある。あるいは、回転方向及び回転数を検出できたとしても、部品点数が比較的多くなったり、識別に必要な要素(ホール素子、励磁機能)に電力を供給しなければいけないことから構造が複雑になるという問題がある。
本発明は、回転方向及び回転数の正確な検出が可能かつ比較的簡単な構造の回転検出装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る、回転部材の回転を検出する回転検出装置は、大バルクハウゼンジャンプを発現する細長の磁性素子と前記磁性素子に巻回されたコイルとを有する第1磁気センサ及び第2磁気センサを備える。前記回転部材には、異なる磁界強度を有する2つのみの磁界発生部が設けられ、前記回転部材が回転すると前記2つのみの磁界発生部により円が描かれ、前記2つのみの磁界発生部の単一磁極部からの磁界が前記第1磁気センサ及び第2磁気センサにより検出される。前記第1磁気センサ及び第2磁気センサが、前記円に同軸となる円の第1接線及び第2接線とそれぞれ平行になるように配置され、前記第1接線上の第1接点と前記第2接線上の第2接点とが前記回転部材の回転軸に関して略180度の位相角をなす。前記第1磁気センサ及び第2磁気センサがそれぞれ、前記第1接点及び第2接点と、前記円の径方向又は前記回転軸方向に対向している。
本発明によれば、回転方向及び回転数の正確な検出が可能かつ比較的簡単な構造の回転検出装置が提供される。
(A)第1実施形態に基づく回転検出装置の斜視図である。(B)第1実施形態に基づく回転検出装置の上面図である。 (A)回転部材が0度位置にあるときの上面図である。(B)回転部材が90度位置にあるときの上面図である。(C)回転部材が180度位置にあるときの上面図である。(D)回転部材が270度位置にあるときの上面図である。 右回転時の回転位置と磁界との関係を示す説明図である。 左回転時の回転位置と磁界との関係を示す説明図である。 図3と図4を重ね合わせた説明図である。 (A)第2実施形態に基づく回転検出装置の斜視図である。(B)第2実施形態に基づく回転検出装置の上面図である。 右回転時の回転位置と磁界との関係を示す説明図である。 左回転時の回転位置と磁界との関係を示す説明図である。 回転座標におけるパルス信号の位置を示す説明図である。 (A)第3実施形態に基づく回転検出装置の斜視図である。(B)第3実施形態に基づく回転検出装置の上面図である。 右回転時の回転位置と磁界との関係を示す説明図である。 左回転時の回転位置と磁界との関係を示す説明図である。 回転座標におけるパルス信号の位置を示す説明図である。 (A)第4実施形態に基づく回転検出装置の斜視図である。(B)第4実施形態に基づく回転検出装置の上面図である。 回転座標におけるパルス信号の位置、基準位置、領域を示す説明図である。 (A)第5実施形態に基づく回転検出装置の斜視図である。(B)第5実施形態に基づく回転検出装置の上面図である。 第5実施形態の変形例を示す説明図である。 第5実施形態の変形例を示す説明図である。 (A)第5実施形態の変形例を示す説明図である。(B)第5実施形態の変形例を示す説明図である。 (A)第6実施形態に基づく回転検出装置の斜視図である。(B)第6実施形態に基づく回転検出装置の上面図である。 第6実施形態の変形例を示す説明図である。 第6実施形態の変形例を示す説明図である。 第6実施形態の変形例を示す説明図である。 (A)第6実施形態の変形例を示す説明図である。(B)第6実施形態の変形例を示す説明図である。 磁気センサの他の実施形態を示す説明図である。
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施の形態によって限定されるものではない。本発明の発明者はまず、以下に説明する第1及び第2の実施形態について鋭意検討を行った。
[第1実施形態]
図1において、円板状の回転部材10は、回転部材10の中心を通り、かつ回転部材10の厚さ方向に延びる回転軸10aを基準として周方向に回転する。回転部材10の外周部には磁石40が設けられている。回転部材10が回転すると、磁石40により円11が描かれる。磁石40は、一例として、略円柱状であり、当該略円柱の軸方向に着磁されている。磁石40の軸方向すなわち着磁方向は、回転軸10aと平行である。磁石40は、N極が回転軸方向上方を向き、S極が回転軸方向下方を向いている。
回転部材10の回転軸方向上方には、磁気センサ20が配置されている。磁気センサ20は、回転部材10の回転を検出する回転検出装置内に設けられ、大バルクハウゼンジャンプを発現する細長の磁性素子21と、磁性素子21に巻回されたコイル22とを備えている。
磁性素子21は、例えばワイヤ形状、リボン状、成膜タイプとすることができるが、これらに限定されず、大バルクハウゼンジャンプを発現する磁性体であればよい。磁性素子21の長手方向を、磁気異方性の磁化容易方向とすることができる。磁性素子21は、芯部とその芯部を取り囲むように設けられた表皮部とを備えている。一例として、芯部は弱い磁界でも磁化方向の反転が起きるソフト層であり、表皮部は強い磁界を与えないと磁化方向が反転しないハード層である。コイル22には、磁性素子21に大バルクハウゼンジャンプが発現したときにパルス信号が誘発される。
なお、上述の回転検出装置は、コイル22に接続され、同コイルに生じた信号を処理する回路(不図示)をも備えている。
磁気センサ20は、円11上のある接点における接線20aと平行に、かつその接点の回転軸上方に配置されている。また、磁性素子21の長手方向中心は、上記接点から回転軸上方に間隔を置いて位置している。すなわち磁気センサ20は磁石が描く円11と同軸の円13上にある。
磁性素子21の長手方向に関して、図1(B)の紙面左方向をマイナス方向と呼び、紙面右方向をプラス方向と呼ぶ。ハード層とソフト層の磁化方向が同方向(例えば、マイナス方向)であるときに、その方向とは反対方向(例えば、プラス方向)の外部磁界強度が増加してソフト層の磁化方向が反転する磁界強度に達すると、ソフト層の磁化方向が反転する。このとき、大バルクハウゼンジャンプが発現し、当該磁性素子に巻かれたコイルにパルス信号が誘発される。ソフト層の磁化方向が反転するときの磁界強度を「動作磁界」と呼ぶ。
上述の外部磁界強度がさらに増加し、ハード層の磁化方向が反転する磁界強度に達すると、ハード層の磁化方向も反転する。ハード層の磁化方向が反転するときの磁界強度を「安定化磁界」と呼ぶ。
大バルクハウゼンジャンプが発現するためには、ハード層とソフト層の磁化方向が一致していることを前提として、ソフト層のみ磁化方向が反転することが必要である。ハード層とソフト層の磁化方向が単一磁区を形成していない不一致の状態で、ソフト層のみ磁化反転したとしても、パルス信号は生じないか、あるいは生じたとしても非常に小さく、上記回路が回転検出に用いることは困難である。
図2に、回転部材の回転に伴う磁石40と磁気センサ20との位置関係を示す。磁石40のN極面から漏洩する磁束線の方向を矢印41により示す。磁石40から漏洩する磁束線41は、磁石40の単一磁極面の中心より放射状に延びる。矢印41のグラデーションは磁束密度を表し、濃いほど磁束密度が大きいことを示す。同図(A)に、磁石40の中心と磁性素子21の中心とが回転軸方向に対向した状態を示す。この状態を0度位置と呼ぶ。回転部材10が、0度位置から紙面右回りに、90度回転した状態、180度回転した状態、及び270度回転した状態をそれぞれ、同図(B)、(C)及び(D)に示す。回転部材10の回転に応じて、磁性素子の長手方向に印加される磁界Haが変化する。
図3に、回転部材10が右回転したときの回転位置と、磁界Haとの関係を示す。磁界Hは上記プラス方向を正とする。両図において、Hは、ソフト層の磁化方向がマイナス方向からプラス方向へと反転する動作磁界であり、Hは、ハード層の磁化方向がマイナス方向からプラス方向へと反転する安定化磁界である。また、-Hは、ソフト層の磁化方向がプラス方向からマイナス方向へと反転する動作磁界であり、-Hは、ハード層の磁化方向がプラス方向からマイナス方向へと反転する安定化磁界である。
0度位置では、磁界強度の強い磁束線41が磁性素子21の中央部に印加される。磁性素子21を長手方向に関して半分に分けたときに、マイナス方向側の部分は、ソフト層もハード層も磁化方向がマイナス方向に揃っている。磁性素子21のプラス方向側の部分は、ソフト層もハード層も磁化方向がプラス方向に揃っている。
回転部材10が右回転して約50度位置となると、磁性素子21の全体がマイナス方向に磁化された状態となる。この状態を図3の符号Asで示す。
回転部材10がさらに右回転すると、図2(B)に示す90度位置を経て、図2(C)に示す180度位置となる。この180度位置では、磁性素子21に対しプラス方向及びマイナス方向の磁束線が印加されるが、磁界強度が非常に弱いため、磁性素子21は全体としてマイナス方向に磁化されたままである。
回転部材10がさらに右回転し、約240度位置となると、磁界Haが動作磁界Hに達し、ソフト層の磁化方向がマイナス方向からプラス方向へと反転する。このとき、大バルクハウゼンジャンプが発現し、コイル22に正パルス信号Aが誘発される。この正パルス信号は右回転であることを示す信号であることから、この正パルス信号を右回転信号とも呼ぶ。
回転部材10がさらに右回転し、約310度位置となると、磁界Haが安定化磁界Hに達する。このとき、ハード層の磁化方向がマイナス方向からプラス方向へと反転する。すなわち、磁性素子21は、全体としてプラス方向に磁化された状態となる。
回転部材10が約310度位置から、さらに右回転して0度位置となるまでは、磁性素子21には、(1)ハード層がプラス方向に磁化され、ソフト層がマイナス方向に磁化された部分と、(2)ソフト層もハード層もマイナス方向に磁化された部分とが混在する。
上記(1)の部分が生じるときに大バルクハウゼンジャンプが発現して負パルス信号A’が生じる。しかし、(1)の部分は磁性素子21の軸長の一部に過ぎないため、負パルス信号A’のノイズレベルは極端に小さい。負パルス信号A’は、閾値設定により検出対象から除外できるため、図3に示していない。
図4に、回転部材10が左回転したときの回転位置と磁界Haとの関係を示す。図3を参照しながら説明した右回転の場合とは逆の現象が左回転において起きる。左回転の際の回転角度を負の値で表す。すなわち、回転部材10は、図2(A)に示す0度位置から、図2(D)に示す-90度位置と、図2(C)に示す-180度位置と、図2(B)に示す-270度位置とを順に経て、最終的に0度位置へと左回転する。
まず、約-50度位置において磁性素子21全体がプラス方向に磁化された状態となる。この状態を符号Csで示す。約-240度位置において、磁界Haが-Hに達する。このとき、ソフト層のみ磁化方向がマイナス方向に反転し、大バルクハウゼンジャンプが発現する。そして、コイル22に負パルス信号Cが誘発される。この負パルス信号は左回転であることを示す信号であることから、この負パルス信号を左回転信号とも呼ぶ。この負パルス信号(左回転信号)Cは、右回転信号Aと大きさが等しい。
回転部材10がさらに左回転し、約-310度位置から0度位置の間において、正パルス信号C’が生じる。この正パルス信号C’は、右回転時における負パルス信号A’と大きさが等しい。正パルス信号C’も負パルス信号A’と同様、閾値設定により検出対象から除外できるため、図4に示していない。
図5に、回転部材10の回転位置と磁界Haとの関係を、右回転及び左回転の両方について示す。右回転時の約50度位置において、磁性素子21の全体がマイナス方向に磁化された状態(符号As)となり、約240度位置において大きな正パルス信号Aがコイル22に生じる。また、左回転時の約-50度位置において、磁性素子21の全体がプラス方向に磁化された状態(符号Cs)となり、約-240度位置において大きな負パルス信号Cがコイルに22に生じる。
図1に示した構成によれば、磁石の円運動でその漏洩磁界が磁性素子の延伸方向を通過する。よって磁性素子が大バルクハウゼン現象を発現し、コイルに生じる信号から、回転方向が右回転なのか左回転なのかを識別することができる。なお、これまでに示した角度の具体的な値は例であり、磁性素子の素性によって異なる。以下で説明する角度も同様であり、限定的なものではない。
図5に示しているように、回転部材が0度位置から約240度位置まで右回転すると右回転信号であるパルス信号Aが生じる。さらに右回転が進み、約310度位置となると、ソフト層もハード層もプラス方向に磁化される。その後、回転部材が左回転に転じた場合、約-240度位置で左回転信号であるパルス信号Cが出力される。
これに対し、右回転時に約240度位置でパルス信号Aが生じた直後に、左回転に転ずる場合もあり得る。この場合、約310度位置を経ていないことから、ソフト層とハード層の磁化方向が不一致である。この状態で左回転により-240度位置となってもパルス信号Cは生じないか、あるいは生じたとしても非常に小さい。
0度位置から右回転して約240度位置となり、その後、約240度位置から左回転して0度位置となった場合、実際の回転数は0であるが、回転検出装置においては回転数が1として検出される。すなわち回転数が正確に検出されない。これは、十分な大きさの右回転信号Aが生じるものの、十分な大きさの左回転信号Cが生じないためである。0度位置から右回転して約240度位置となり、その後、約240度位置から左回転して0度位置となる往復運動がn回生じた場合、実際の回転数は0であるが、回転検出装置においては回転数がnとして検出される。このように、図1に示した構成によれば、回転数を正確に検出することができない場合がある。
[第2実施形態]
図6に本実施形態を示す。図1の構成に加えて、磁気センサ30が設けられている。磁気センサ20を第1の磁気センサと呼び、磁気センサ30を第2の磁気センサと呼ぶ。第2の磁気センサ30は、第1の磁気センサ20と同様、大バルクハウゼンジャンプを発現する細長形状の磁性素子31と、磁性素子31に巻回されたコイル32とを備えている。以下において、接線20aを第1接線20aと呼び、その接点を第1接点と呼ぶ。
第2の磁気センサ30は、円13上の第2接点における第2接線30aと平行に、かつその接点の回転軸上方に配置されている。また、磁性素子31の長手方向中心は、第2接点から回転軸上方に間隔を置いて位置している。第1接点と第2接点とは回転軸10aに関して180度をなす。第1の磁気センサ20及び第2の磁気センサ30は、回転軸10aに垂直な同一平面上にある。
図7に、右回転時の回転位置と、磁界Ha及び磁性素子31の長手方向に印加される磁界Hbとの関係を示す。また、図8に、左回転時の回転位置と磁界Ha及びHbとの関係を示す。両図とも、実線は磁界Haの変化を示し、破線は磁界Hbの変化を示す。
回転部材10が右回転して約230度位置となると、磁性素子31の全体がマイナス方向に磁化された状態となる。この状態を図7の符号Bsで示す。回転部材10がさらに右回転して約60度位置となると、磁性素子31のソフト層の磁化方向が反転し、コイル32に正パルス信号(右回転信号)Bが生じる。
回転部材10が左回転して約-230度位置となると、磁性素子31の全体がプラス方向に磁化された状態となる。この状態を図8の符号Dsで示す。回転部材10がさらに左回転して約-60度位置となると、磁性素子31のソフト層の磁化方向が反転し、コイル32に負パルス信号(左回転信号)Dが生じる。
前述のとおり、2つの磁気センサ20及び30が回転軸に関して180度をなす位置に設けられている。そのため、回転部材が回転することにより両磁気センサに対し互いに位相が180度ずれた交番磁界が印加され、両磁気センサから出力されるパルス信号も180度、位相がずれたものになる。そのため、4種類の信号、すなわち、右回転信号A及びBと左回転信号C及びDとが得られ、回転方向を識別することができる。しかし、回転数を正確に検出できない場合がある。以下に説明する。
図9は、図7に示した右回転と図8に示した左回転とを重ね合わせて、回転座標に置き換えた図である。右回転時に約240度位置で信号Aが出力されてから、符号Rに示すようにさらに180度右回転して60度位置となれば、次の信号Bが出力される。
しかし、右回転時に約240度位置で信号Aが出力された直後に、図9の符号Lで示すように左回転となった場合は、約-240度位置に到達しても信号Cが出力されないか、あるいは出力されたとしても大きさが小さく、検出が困難である。右回転時に約-50度位置を経ていないためである。左回転がさらに進むと、約-60度位置で信号Dが生じる。結果的に、約240度位置で左回転となってから、左回転信号が出力されるまで、-180°-αとなる。絶対値の合計が360°+αとなる。αは、一例として120°である。すなわち特許文献4と同じ現象で回転数を正確に検出することができない。
ここで、「-180°-α」は図9の軌跡Lが描いている角度である。「360°+α」は図9の軌跡LとRが描いている角度の総和である。図9の例では、240度位置から軌跡Rに沿って180度分右回転を続けた場合に、次の信号Bが出力される。その一方で、240度位置から左回転に変わった場合には軌跡Lに沿って300度分左回転した場合に、次の信号Dが出力される。つまり、信号Bと信号Dとの間に180+300=480度の差がある。
多回転エンコーダの回転検出装置として回転量のカウント漏れが発生しないようにするためには、最終パルスからの検出範囲が360度未満である必要がある。しかし、上記の例では480度であるため、カウント漏れが発生する。
なお、最終パルスからの検出範囲がこの例のように360度を超えると、図9でいえばCsの位置(-50度位置)に、信号Aの位置(240度位置)から右回転で来ても左回転で来てもカウント数が変化せずカウント漏れとなる。例えば0°の位置を回転数の境界とすれば、本来、左回転では回転数を-1カウントしなければならない。
[第3実施形態]
これまでに説明した第1及び第2の実施形態を踏まえた第3実施形態を以下に説明する。図10に示すように、回転部材10の外周部には磁石40に加えて磁石50が設けられている。磁石40を第1の磁石40と呼び、磁石50を第2の磁石50と呼ぶ。第2の磁石50は、第1の磁石40と同様、回転軸方向に着磁され、回転軸上方がN極、回転軸下方がS極である。第1の磁石40と第2の磁石50とは回転軸10aに関して180度をなすように配置されている。第1の磁石40及び第2の磁石50の単一磁極面は、磁界強度が異なる磁界を発生させる。回転部材10が回転すると、第1の磁石40によって円11が描かれ、第2の磁石50によっても円11が描かれる。
第1磁石40と第2磁石50の異なる磁界強度について説明する。第1磁石40は、磁気センサ20、30に動作磁界以上の安定化磁界を印加できる強度をもつ磁石である。他方、第2磁石50の磁気センサ20、30への印加強度は、動作磁界以上かつ安定化磁界に至らない磁界強度を持つ磁石である。
図11に、右回転時の回転位置と磁界Ha及びHbとの関係を示す。また、図12に、左回転時の回転位置と磁界Ha及びHbとの関係を示す。両図とも、第1磁石40が第1磁気センサ20に印加する磁界Haを実線で示し、第1磁石40が第2磁気センサ30に印加する磁界Hbを破線で示す。また、第2磁石50が第1磁気センサ20に印加する磁界Haを一点鎖線で示し、第2磁石50が第2磁気センサ30に印加する磁界Hbを二点鎖線で示す。
図11において、右回転時に第1磁気センサ20に生じる正パルス信号を符号Aで示し、信号Aの出力の前提となる安定化磁界を符号Asで示す。さらに、第2磁気センサ30に生じる正パルス信号を符号Bで示し、信号Bの出力の前提となる安定化磁界を符号Bsで示す。
図12において、左回転時に第1磁気センサ20に生じる負パルス信号を符号Cで示し、信号Cの出力の前提となる安定化磁界を符号Csで示す。さらに、第2磁気センサ30に生じる負パルス信号を符号Dで示し、信号Dの出力の前提となる安定化磁界を符号Dsで示す。
図11に示すように、右回転時に、第1磁気センサ20は、第1磁石40によって、約50度位置で信号Aを出力させるための安定化磁界(符号As)に達する。その後、約160度位置において、磁石50による動作磁界の印加により信号Aが出力される。その後、約200度位置まで第2磁石50の磁界は第1磁気センサ20に影響し続けるが、磁界強度は小さい。さらに、その後、第1磁石40の磁界強度が第1磁気センサ20に影響してくる。
図11の符号Z1により示す回転位置において、磁石40から、信号Aが出力される動作磁界強度が磁気センサ20に印加されるが、既に磁石50によって信号は出力されている為、この位置では当然出力されない。同様に磁気センサ30においても、磁石40によって約230度位置で信号Bを出力させる安定化磁界(Bs)に達する。その後、約340度位置で、磁石50による動作磁界の印加により信号Bが出力される。
図13は、図11と図12を重ね合わせて、回転座標に置き換えた図である。信号Aが出力されてから、符号Rに示すように右回転し、次の信号Bが検出されるまでは+180度となる。信号Aが出力された直後に左回転したとき(図13の符号L)には、次の信号は信号Dである。安定化磁界Dsを経ていることから、この信号Dは評価できるパルス信号となる。結果的に左回転信号が出力されるまでは約-180°+αとなる。このように、判定できる位置の範囲は360度未満となり、回転数を正確に検出することができる。
改めて、右回転の場合を説明する。第1磁石40が磁気センサ30の真下にあり、第2磁石50が回転軸中心をはさんだ反対側にある状態を0度回転位置とする。磁気センサ20、30は無磁化状態とする。
右回転して50度回転位置になると、符号Asに示すように磁界Hbが安定化磁界に到達し、センサ30は正パルスAのセット状態(ハード層とソフト層が負方向に磁化された状態)になる。磁石50もセンサ20に対して磁界を及ぼすが、印加磁界が小さく安定化磁界に到達しない。そのため、センサ20は、セット状態にはならない。
右回転して約80度回転位置になると(符号Z2)、磁気センサ20においては、磁石40の接近により印加磁界Haが動作磁界に到達する。しかし、磁気センサ20はセット状態にはないため、正パルスBは出力されない。正パルスBが出力されないことにより、磁気センサ20からの出力パルスは1回転につき1回となる。その一方で、磁気センサ30は、磁石40が遠ざかってゆくため、徐々に印加磁界が減少していく。
右回転して160度回転位置になると、磁気センサ30は上述のとおり正パルスAのセット状態になっているため、磁石50の接近により正パルスAが出力される。磁気センサ20への磁石40の接近により、磁界Haが最大となる。
右回転して180度回転位置になると、磁気センサ20は、磁石40により安定化磁界以上の磁界強度を与えられた後の状態にある。磁気センサ20は、磁石40が真下に位置し、印加磁界Haはゼロである。右回転において、180度回転位置の前後で外部磁界が急激に反転するため、パルスは出力されない。磁気センサ30は、磁石50によって正パルスAを出力した後の状態であるため、未セット状態にあり、かつ印加磁界Hbもゼロの状態にある。
右回転して230度回転位置になると、符号Bsで示すように、センサ20は磁石40により安定化磁界に到達する。センサ20は、正パルスBのセット状態(ハード層とソフト層が負方向に磁化された状態)になる。磁石50もセンサ30に対して磁界を及ぼすが、印加磁界が小さく安定化磁界に到達しないため、センサ30はセット状態にはならない。
右回転して約260度回転位置になると(符号Z1)、磁気センサ30は磁石40の接近により印加磁界が動作磁界に到達する。しかし、磁気センサ30はセット状態にないため、正パルスAは出力されない。正パルスAが出力されないため、磁気センサ30からの出力パルスは1回転につき1回となる。その一方で、磁気センサ20は磁石40が遠ざかり、徐々に印加磁界が減少していく。
右回転して340度回転位置になると、磁気センサ20は上述のとおり正パルスBのセット状態にあるため、磁石50の接近により正パルスBが出力される。磁気センサ30は、磁石40の接近により、与える磁界が最大となる。
右回転して0度回転位置になると、磁気センサ30は磁石40により安定化磁界以上の磁界強度を与えられた後の状態にある。磁石40が真下に位置するため、印加磁界Hbはゼロの状態にある。右回転を続けても0度回転位置の前後で外部磁界が急激に反転するため、磁気センサ30からパルスが出力されない。他方、磁気センサ20は磁石50によって正パルスBを出力した後の状態にあるため、未セット状態かつ印加磁界ゼロの状態である。
続いて、左回転の場合を改めて説明する。これまでの右回転によって得られたセット状態は左回転では無効となる。
左回転して-50度回転位置になると、符号Csで示すように磁界Hbが安定化磁界に到達し、センサ30は、負パルスCのセット状態(ハード層とソフト層が正方向に磁化された状態)になる。磁石50もセンサ20に対して磁界を及ぼすが、印加磁界が小さく安定化磁界に到達しない。そのため、センサ20はセット状態にはならない。
左回転して約-80度回転位置になると、磁気センサ20は磁石40の接近により印加磁界Haが動作磁界に到達する。しかし、磁気センサ20はセット状態にないため、負パルスDは出力されない。ここでパルスが出力されないことにより、磁気センサ20からの出力パルスは1回転につき1回となる。その一方で、磁気センサ30は、磁石40が遠ざかることにより、徐々に印加磁界が減少していく。
左回転して-160度位置になると、磁気センサ30は負パルスCのセット状態にあるため、磁石50の接近により負パルスCが出力される。磁気センサ20は、磁石40の接近により、与えられる磁界が最大となる。
左回転して-180度位置になると、磁気センサ20は磁石40により安定化磁界以上の磁界強度を与えられた後の状態にある。磁気センサ20は、磁石40が真下に位置し、印加磁界Haがゼロの状態にある。左回転を続けても、-180度位置の前後で外部磁界が急激に反転するため、磁気センサ20からパルスは出力されない。磁気センサ30は、磁石50によって負パルスCを出力した後の状態にあるため、未セット状態かつ印加磁界ゼロの状態にある。
左回転して-230度回転位置になると、符号Dsで示すように磁界Haが安定化磁界に到達し、センサ20は負パルスDのセット状態(ハード層とソフト層が負方向に磁化された状態)になる。磁石50もセンサ30に磁界を及ぼすが、印加磁界が小さく安定化磁界に到達しない。そのため、センサ30はセット状態にはならない。
左回転して約-260度回転位置になると、磁気センサ30は、磁石40の接近により印加磁界Hbが動作磁界に到達する。しかし、磁気センサ30はセット状態にないため、負パルスCは出力されない。ここでパルスが出力されないことにより、磁気センサ30からの出力パルスは1回転につき1回となる。その一方で、磁気センサ20は磁石40が遠ざかり、徐々に印加磁界が減少していく。
左回転して-340度回転位置になると、磁気センサ20は、上述のとおり負パルスDのセット状態になっているため、磁石50の接近により負パルスDが出力される。磁気センサ30は、磁石40の接近により、与えられる磁界が最大となる。
左回転で0度回転位置になると、磁気センサ30は、磁石40により安定化磁界以上の磁界強度を与えられた後の状態にある。磁気センサ30は、磁石40が真下に位置し、印加磁界がゼロの状態にある。0度回転位置の前後で外部磁界が急激に反転するため、パルスは出力されない。磁気センサ20は、磁石50によって負パルスDを出力した後であるため、未セット状態かつ印加磁界ゼロの状態にある。
本実施形態では、磁石40と磁石50とで磁界強度に差を設けている。磁界強度の大きい磁石40は、安定化磁界の印加という機能を有する。他方、磁石50は、動作磁界の印加という機能を有する。このように機能を分けることによって、セット状態の発生場所とパルス出力の場所を異なる位置にすることができる。位置と役割をうまく配置することで、反転時のカウント漏れを防止することができる。
例えば図11及び12に示したように、右回転すると物理的に、D→As→Ds→A→C→Bsという順序である。ここで、AとBsとの間のCの位置で左回転に反転すると、C→A→Ds→As→Dとなり、必ず、“Dの前に”Dsが入る。その結果、Aパルス出力後からの反転でも最初のDパルス出力が保証される。
本実施形態では、以下のような順序である。括弧内の値はカウントされるパルス数変化を示す。
右回転 D→As→Ds→A(+1)→C→Bs→Cs→B(+1)→
左回転 B→Cs→Bs→C(-1)→A→Ds→As→D(-1)→
上記では、パルス発生位置(「+1」、「-1」の位置)の間に必ず、正転逆転両方のセットが存在するため、反転直後のパルスが出ないということが起きない。
なお、磁石(磁界発生部)は偶数個あればよい。
[第4実施形態]
第3実施形態においては、磁気センサ20,30と磁石40,50とは、回転軸方向に対向するが、第4実施形態においては、磁気センサ20,30と磁石40,50とは、法線方向に対向する。図14を参照しながら以下に説明する。
磁石40、50はいずれも、着磁方向が円11の径方向となるように配置され、径方向外側がN極であり、径方向内側がS極である。両磁石は、回転軸10aに関して180度をなす。
第1磁気センサ20は、第1接点P1と、第1接点P1を通る法線方向に対向している。また、第2磁気センサ30は、第2接点P2と、第2接点P2を通る法線方向に対向している。第1接点P1と第2接点P2とは回転軸10aに関して180度をなす。第1磁気センサ20は第1接点P1を通る接線と平行に配置され、第2磁気センサ30は第2接点P2を通る接線と平行に配置されている。この第4実施形態においても、第3実施形態における図11及び図12と同様の信号が得られる。
第3実施形態では、磁石と磁気センサとが回転軸方向に対向するため、法線方向(径方向)のサイズを小さくすることができる。第4実施形態では、磁石と磁気センサとが法線方向に対向するため、回転軸方向のサイズを小さくすることができる。両実施形態のいずれにおいても、比較的簡単な構造の回転検出装置が実現される。
なお、磁気センサ20、30は同一円上になくてもよく、磁石40、50は同一円上になくてもよい。実施形態3、4において図13に示すパルス信号の位置関係を逸脱せず、磁石40、50の回転運動と磁気センサ20、30の位置関係が守られる限り、磁気センサ20、30の配置は同一平面及び又は同一半径の円周上に限定されるものではなく、また磁石40、50の配置も同一平面及び又は同一半径の円周上に限定されない位置関係にある。磁気センサの中心線20a、30aと平行な接線を描く回転運動で磁石が通過できればよい。
また、磁石を円柱形状としたが、他の形状でもよい。また、説明を容易にするため、磁界強度が弱い磁石50を磁石40より小型の円柱状で図示したが、磁石の材質等と、磁石と磁気センサの距離とのいずれか又は両方を変えることで両磁石を同形状にもできる。
[第5実施形態]
第3及び第4の実施形態はともに、回転部材10の2か所の磁界発生部を個別の永久磁石40及び50で構成した。これに対し、第5実施形態においては、少なくとも2か所の磁界発生部を、回転部材の表面中央に設置された1つの磁石とヨークによって構成する。
図16に示すように、回転部材10の表面中央に磁石60が配置されている。磁石60は、略円柱状であり、その軸が回転軸と同軸であり、かつその軸方向に着磁されている。磁石60の回転軸方向上方にはヨーク70が配置されている。このヨーク70は、直方体状であり、その長さ方向が回転軸10aと垂直になるように配置されている。磁石60の中心とヨーク70の中心とはいずれも回転軸10a上に位置しているが、これに限定されるわけではない。
ヨーク70の長さ方向両端部70a及び70bは、回転部材10に設けられた2つの磁界発生部である。両磁界発生部は、回転軸10aに関して180度をなしている。回転部材10が回転すると、ヨーク70も回転し、該ヨークの両磁界発生部により円11が描かれる。
第1磁気センサ20及び第2磁気センサ30の位置関係は、第3実施形態における図10と同様である。第1磁気センサは円11の第1接点と回転軸方向に対向し、第2磁気センサは円11の第2接点と回転軸方向に対向している。
磁気センサと対峙する2か所に存在するヨーク70の長さ方向両端部表面は、磁石60から磁力が誘導されて単一極磁面となる。さらに2か所のヨーク70の長さ方向両端部の形状と磁気センサまでのギャップとのいずれか又は両方を変えることによって、磁気センサ20,30に異なる磁界強度を印加できる。
図16では、長さ方向両端部70a及び70bのうち、端部70aの回転軸方向の厚さが、端部70bの回転軸方向の厚さよりも大きい。つまり端部70aは端部70bよりも磁力が強い。
図17では、ヨーク70の長さ方向両端部70c及び70dにおいて、端部70cの幅が端部70dの幅よりも大きい。つまり、端部70cは端部70dよりも磁力が大きい。
このように、1つの磁石60とヨーク70とにより、第3及び第4の実施形態と同様な回転検出装置となる。本実施形態によれば、第3及び第4の実施形態よりも磁石の数が少なくて済むという利点がある。
あるいは、図18に示すように、ヨーク70と磁石60とが回転軸10aに垂直な同一平面上にあってもよい。ヨーク70の略中央に穴部71が設けられ、その穴部71を取り囲むようにリング状の磁石60が配置されている。リング状の磁石60の中心とヨーク70の穴部71の中心とはいずれも回転軸10a上にある。ヨーク70が回転すると、該ヨークの長さ方向両端部表面により円11が描かれる。このような回転軸貫通型すなわち中空タイプも可能である。
図19(A)に示すように、ヨーク70の長さ方向両端部を回転軸方向下方に折り曲げることにより、長さ方向両端部70e及び70fを構成してもよい。ヨーク70は、本体部と長さ方向両端部とにより全体として略U字状となる。そして、回転部材10が回転すると、ヨーク70も回転し、長さ方向両端部70e及び70fにより円が描かれる。両端部は、幅方向の寸法が異なるため、磁界強度も異なる。上記円の径方向外側に第1磁気センサ20及び第2磁気センサ30が配置される。すなわち、第1磁気センサ20は、対応する第1接点と法線方向に対向し、第2磁気センサ30は、対応する第2接点と法線方向に対向している。両磁気センサは回転軸10aに関して180度をなす。
図19(B)に示すように、ヨーク70の長さ方向両端部70g及び70hの回転軸からの距離を変えることができる。端部70gと回転軸との距離Lは、端部70hと回転軸との距離L’よりも大きい。
[第6実施形態]
本実施形態では、略直方体形状の磁石を、その長さ方向が回転軸に垂直となるように配置し、長さ方向両端部表面を2つの磁界発生部とする。図20に示すように、回転部材10の表面に略直方体形状の磁石60が配置されている。この磁石60は、長さ方向が回転軸10aと垂直になるように配置されている。磁石60の中心は回転軸10a上にある。この磁石60は、厚さ方向すなわち回転軸方向に着磁されている。
磁石60の長さ方向両端部60a及び60bが、2つの磁界発生部であり、回転軸10aに関し180度をなす。端部60aの回転軸方向の厚さは、端部60bの回転軸方向の厚さよりも小さい。回転部材10が回転すると、磁石60の長さ方向両端部60a及び60bにより、円11が描かれる。
第1磁気センサ20及び第2磁気センサ30の位置関係は、図10と同様である。第1磁気センサ20は対応する第1接点と回転軸方向に対向し、第2磁気センサ30は対応する第2接点と回転軸方向に対向している。磁気センサに磁界を印加させる長さ方向両端部表面60a及び60bはいずれも単一磁極面である。1つの磁石60により、第3及び第4の実施形態と同様の回転検出装置となる。本実施形態によれば、第5実施形態のヨークが不要であり、構成部品が少なくて済む。より簡単な構造となる利点がある。
図21に示すように、磁石60の長さ方向両端部60c及び60dについて、端部60cの幅が、端部60dの幅よりも大きくすることができる。すなわち、端部60cは端部60dよりも磁界強度が大きい。
図22に示すように、磁石60の略中央部に穴部61を設け、その穴部の中心を回転軸10a上に位置するようにすることもできる。この構造により、回転軸貫通型すなわち中空タイプも可能な構造となる。
図23に示すように、直方体状の磁石60の長さ方向の中心を回転軸10aからオフセットさせてもよい。オフセット量を符号OSにより示す。これにより、両磁界発生部と磁気センサとの距離に差が生まれる。この差が、磁性素子への印加磁界強度の差をもたらす。
図24(A)においては、磁石60の長さ方向両端部が回転軸下方に折り曲げられ、長さ方向両端部60e及び60fが形成されている。端部60eの幅は端部60fの幅よりも大きい。つまり、端部60eは端部60fよりも強度が大きい。磁石60は、本体部と長さ方向両端部とにより全体が略U字状である。回転部材10が回転すると、これら両端部表面により円11が描かれる。第1磁気センサ20は円11上の第1接点と法線方向に対向し、第2磁気センサ20は円11上の第2接点と法線方向に対向している。
図24(B)においては、回転軸10aから両端部60e及び60fまでの距離が異なる。端部60eから回転軸10aまでの距離Lは、端部60fから回転軸10aまでの距離L’よりも大きい。
[回転数、回転方向を判定する方法]
以下、第3及び第4の実施形態における回転数、回転方向を判定する方法について、理解を容易にするため、連続する信号を2つとして説明する。
判定する方法は、メモリを含む信号処理回路により行われる。この回路は、識別機能と参照機能と演算機能とを有する。まず、識別機能により2つの磁気センサからの信号を、A、B、C、Dの4つに識別する。次に、参照機能にて、回転数及び回転方向の計数を開始する初期状態で記憶された1つ前の(最後に検出された)履歴信号と、その後の回転に伴う信号を順次、メモリに書き込む。メモリに格納された過去と現在の連続する2つの信号を、予め設定した4種類のコード化したテーブルで検索し、一致したカウント値を返す。信号が入力される毎に検索を行い、その結果のカウント値を演算機能にて、順次加減算する。加減算された数値は、その時点での回転数と回転方向を表すことになる。然るに、連続しない1つの信号のカウント値は0とする。一例として図15に示すように、信号Bと信号Dとの間に規準位置を設定した場合、4種類のコード化したパターンを(コード:カウント)、(AB:0.5)(CB:0)(BC:0)(DC:-0.5)とすれば、回転方向及び回転数を正確にカウントできる。
[1回転内の位置と回転数を同期する方法]
回転検出装置をモータの多回転用として用いる場合、モータ駆動システムの停電中は、図15を参照しながら述べた方法で回転数を検出し、システム起動時に回転数カウンタの基準位置からの変位角度を判別する必要がある。この場合、信号A、B、C、Dは、図15においては、最後の検出信号が信号Aの場合は領域3又は4となる。同様に、最後の検出信号がBの場合は領域1又は2となり、最後の検出信号がCの場合は領域2又は3となり、最後の検出信号がDの場合は領域1又は4となってしまう。最後の検出信号がAまたはCの場合は基準位置をまたぐ範囲の検出ではないため、回転数を特定できる。しかし、最後の検出信号がBまたはDの場合は、基準位置をまたいだ範囲の検出となるため、基準位置の信号Bよりの位置にいるのか、信号Dよりの位置にいるのかは判定できない。つまり回転数を特定できない。そこで1回転アブソリュート型の位置センサを外付けすることで基準位置との関係を明らかにでき、回転数を確定することができる。
[回路の他の実施例]
回路には電源を供給する必要がある。各実施形態の回転検出装置は、磁性素子を使用している。そのため、その大バルクハウゼンジャンプによる出力信号は、既に知られているように起電力であり、回路の電源として活用できる。すなわち、回路に磁気センサの出力を整流器とコンデンサーにて処理する機能を追加することで、2つの磁気センサから回路に電力を供給することができる。よって、例えばモータの多回転エンコーダーのバッテリーレス化に応用可能となる。リードスイッチは、磁界を感知する無電源のセンサであり、位置センサにリードスイッチを利用すれば、メーター(流量、水道、風量、ガス)でもバッテリーを使用しなくてすむ。例えば自転車等の車輪の回転数等で1回転の位置同期が必要ない用途にも電源の供給をしなくて良い。この電力を利用しデータを無線で送ることも可能である。
[磁気センサの他の実施例]
図25に、第1磁気センサ20の他の実施例を示す。大バルクハウゼンジャンプを発現する磁性素子21にコイル22を巻き、さらに磁性素子の両端部に対し、軟磁性材料からなる部品23a及び23bを磁性素子21に装着する。図22では軟磁性材料の部品から磁性素子の両端が露出しているが、露出していなくもよい。軟磁性材料の部品23a及び23bは、材質、形状、位置に関して等価であることが好ましい。部品例として、一般的に市販されているEMS(電磁感受性、Electromagnetic Susceptibility)対策用のフェライトコアが利用可能である。第2磁気センサ30についても、磁性素子31にコイル32を巻き、磁性素子の両端部に軟磁性材料の部品33a、33bを装着する。この軟磁性部材により、磁性素子の端部の発生する反磁界が抑制され、出力信号(電力量)を大きくすることができる。換言すれば、磁性素子の線長も短くできることになり、磁気センサが小型となる。
説明を容易にするために、実施形態の対応箇所の符号を記載しているが、各構成は、符号によって示された対応箇所の構成に限定されるものではない。
これまでに説明した実施形態に関し、以下の付記を開示する。
[付記1]
回転部材の回転を検出する回転検出装置であって、
大バルクハウゼンジャンプを発現する細長の磁性素子と前記磁性素子に巻回されたコイルとを有する第1磁気センサ及び第2磁気センサを備え、
前記回転部材には、異なる磁界強度を有する2つのみの磁界発生部が設けられ、前記回転部材が回転すると前記2つのみの磁界発生部により円が描かれ、前記2つのみの磁界発生部の単一磁極部からの磁界が前記第1磁気センサ及び第2磁気センサにより検出され、
前記第1磁気センサ及び第2磁気センサが、前記円に同軸となる円の第1接線及び第2接線とそれぞれ平行になるように配置され、
前記第1接線上の第1接点と前記第2接線上の第2接点とが前記回転部材の回転軸に関して略180度の位相角をなし、
前記第1磁気センサ及び第2磁気センサがそれぞれ、前記第1接点及び第2接点と、法線方向又は前記回転軸方向に対向している、
回転検出装置。
[付記2]
前記2つのみの磁界発生部が、別個の永久磁石により構成されている、付記1に記載の回転検出装置。
[付記3]
前記2つのみの磁界発生部が、前記回転部材の中心に設けられた単一の磁石に接するように設けられた略直方体状のヨークの長さ方向両端部である、付記1に記載の回転検出装置。
[付記4]
前記2つのみの磁界発生部が、長さ方向が前記回転軸と垂直になるように設置された略直方体状の磁石の長さ方向両端部である、付記1に記載の回転検出装置。
[付記5]
前記第1磁気センサ及び前記第2磁気センサに接続され、前記回転部材の回転方向に応じた前記第1磁気センサ及び前記第2磁気センサからの計4種類の信号を受信し、前記信号に基づいて前記回転部材の回転数と回転方向とを決定する回路をさらに備える付記1~4のいずれか一項に記載の回転検出装置。
[付記6]
前記回路は前記信号を電力として動作する、付記5に記載の回転検出装置。
[付記7]
外付けの位置センサをさらに備え、
前記回路は、前記位置センサに接続され、前記位置センサの出力信号に基づいて前記回転部材の回転数と回転方向とを補正する、
付記5又は6に記載の回転検出装置。
[付記8]
前記第1磁気センサ及び前記第2磁気センサが、前記磁性素子の両端部に設けられた軟磁性部材をさらに備える、付記1~7のいずれか一項に記載の回転検出装置。
以上、本発明の実施の形態につき述べたが、本発明は既述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。
10 回転軸
11 磁石又は磁界発生源が描く円
12 接線
13 磁気センサが配置される円
20、30 磁気センサ
21、31 磁性素子
22、32 コイル
23a、23b、33a、33b 軟磁性部材
40、50、60 磁石
41 磁石磁束線
70 ヨーク

Claims (8)

  1. 回転部材の回転を検出する回転検出装置であって、
    大バルクハウゼンジャンプを発現する細長の磁性素子と前記磁性素子に巻回されたコイルとを有する第1磁気センサ及び第2磁気センサを備え、
    前記回転部材には、異なる磁界強度を有する2つのみの磁界発生部が設けられ、前記回転部材が回転すると前記2つのみの磁界発生部により円が描かれ、前記2つのみの磁界発生部の単一磁極部からの磁界が前記第1磁気センサ及び第2磁気センサにより検出され、
    前記第1磁気センサ及び第2磁気センサが、前記円に同軸となる円の第1接線及び第2接線とそれぞれ平行になるように配置され、
    前記第1接線上の第1接点と前記第2接線上の第2接点とが前記回転部材の回転軸に関して略180度の位相角をなし、
    前記第1磁気センサ及び第2磁気センサがそれぞれ、前記第1接点及び第2接点と、前記円の径方向又は前記回転軸方向に対向している、
    回転検出装置。
  2. 前記2つのみの磁界発生部が、別個の永久磁石により構成されている、請求項1に記載の回転検出装置。
  3. 前記2つのみの磁界発生部が、前記回転部材の中心に設けられた単一の磁石に接するように設けられた略直方体状のヨークの長さ方向両端部である、請求項1に記載の回転検出装置。
  4. 前記2つのみの磁界発生部が、長さ方向が前記回転軸と垂直になるように設置された略直方体状の磁石の長さ方向両端部である、請求項1に記載の回転検出装置。
  5. 前記第1磁気センサ及び前記第2磁気センサに接続され、前記回転部材の回転方向に応じた前記第1磁気センサ及び前記第2磁気センサからの計4種類の信号を受信し、前記信号に基づいて前記回転部材の回転数と回転方向とを決定する回路をさらに備える請求項1~4のいずれか一項に記載の回転検出装置。
  6. 前記回路は前記信号を電力として動作する、請求項5に記載の回転検出装置。
  7. 外付けの位置センサをさらに備え、
    前記回路は、前記位置センサに接続され、前記位置センサの出力信号に基づいて前記回転部材の回転数と回転方向とを補正する、
    請求項5又は6に記載の回転検出装置。
  8. 前記第1磁気センサ及び前記第2磁気センサが、前記磁性素子の両端部に設けられた軟磁性部材をさらに備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の回転検出装置。
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