以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能を有する構成要素については、原則として同一の符号で表し、これらの構成要素についての重複説明は、適宜省略する。
<1.第1実施形態>
以下、第1実施形態について説明する。
(1−1.回転検出装置の構成)
まず、図1、図2A、及び図2Bを参照しつつ、本実施形態に係る回転検出装置の構成の一例について説明する。図1は、回転検出装置の構成の一例を表す斜視図である。図2Aは、回転検出装置の構成の一例を表す平面図である。図2Bは、回転検出装置の構成の一例を表す側面図である。なお、図1及び図2A中では、回転検出装置の構造の説明の便宜上、回転検出装置のハウジング及び基板の図示を省略している。また、図2B中では、回転検出装置の構造の説明の便宜上、回転検出装置のハウジングを透視して図示している。
図1、図2A、及び図2Bに示すように、回転検出装置1は、被検出対象(図示せず)の回転状態(例えば回転数や回転方向等)を検出する装置である。この回転検出装置1は、例えば有蓋円筒状のハウジング2と、シャフト3とを有する。
(1−1−1.シャフト及び磁石)
シャフト3は、ハウジング2に対し軸心AXを回転軸として回転可能に支持されている。このシャフト3の軸心AX方向一方側の端部は、ハウジング2内に配置され、軸心AX方向他方側の端部は、例えばハウジング2の外部において被検出対象に接続される。
ここで、回転検出装置1の構造の説明の便宜上、上下等の方向を次のように定め、適宜使用する。すなわち、軸心AX方向一方側、つまりZ軸正の方向を「上」と定め、逆の軸心AX方向他方側、つまりZ軸負の方向を「下」と定める。但し、上下等の方向は回転検出装置1の設置態様により変動するものであり、回転検出装置1の各構成の位置関係を限定するものではない。
シャフト3の外周には、その周方向に4つの永久磁石である磁石4a,4b,4c,4d(以下適宜「磁石4」と総称する。)が例えば接着又はホルダ(図示せず)等により固定されている。つまり、シャフト3は、磁石支持体の一例に相当し、軸心AX方向は、回転軸方向の一例に相当する。従って、磁石4a〜4dは、シャフト3の回転に連動して軸心AX周りに回転する。この際、磁石4a,4b,4c,4dは、各々の回転軌跡円R1,R2,R3,R4(以下適宜「回転軌跡円R」と総称する。)の中心が軸心AX上となり、且つ各々の回転軌跡円R1,R2,R3,R4の半径(円周)が互いに等しくなるように、軸心AX周りに回転する。そして、磁石4a〜4dは、各々の回転軌跡円Rの半径方向(以下適宜、単に「半径方向」という。)に磁化されており、半径方向外側の磁極が回転軌跡円Rの円周方向(以下適宜、単に「円周方向」という。)に交互になるように、配置されている。例えば、磁石4a,4b,4c,4dは、各々の半径方向外側の磁極がN極、S極、N極、S極となるように、配置されている。なお、図1では磁石4aの半径方向外側の磁極のみ図示しており、磁石4b,4dの磁極の図示を省略している。また、図2A及び図3A〜図3Cでは、磁石4a〜4dの磁極の図示を省略している。
本実施形態では、シャフト3は、その下端部が円柱状に形成され、それ以外の部分が四角柱状に形成されている。そして、磁石4a〜4dは、平板状磁石であり、シャフト3の四角柱状の部分の外周に対し円周方向に例えば等間隔(90°間隔)で離間するように、当該外周を形成する4つの側面の各々に固定されている。
なお、磁石の数は、4つに限定されるものではなく、他の個数としてもよい。その場合には、磁界検出部5及び磁性部材6,7の個数や配置等についても適宜変更すればよい。また、磁石4を永久磁石でない磁石(電磁石等)としてもよい。また、シャフトや磁石の形状は、上記に限定されるものではない。例えば、四角柱状の貫通孔が形成された磁石(多極磁石)をシャフト3の四角柱状の部分の外周に固定してもよい。また例えば、シャフト全体を円柱状に形成し、リング磁石(多極磁石)や複数の円弧状の磁石を円柱状のシャフトの外周に固定してもよい。また、磁石支持体としては、シャフト3に限定されるものではなく、シャフト以外の部材(例えばシャフトに連結されるハブ等)であってもよい。
また、ハウジング2には、基板8と、3つの磁界検出部5a,5b,5c(以下適宜「磁界検出部5」と総称する。)と、3つの第1磁性部材6a,6b,6c(以下適宜「第1磁性部材6」と総称する。)と、3つの第2磁性部材7a,7b,7c(以下適宜「第2磁性部材7」と総称する。)とが収納されている。
(1−1−2.基板)
基板8は、例えばシャフト3が貫通する貫通孔81が形成された円環状に形成され、ハウジング2の下端部に固定されている。
なお、基板8の形状・固定位置は、上記に限定されるものではない。例えば、ハウジング2の下端部以外の位置に基板8を固定してもよい。また例えば、ハウジング2に固定された部材に基板8を固定してもよい。
(1−1−3.磁界検出部)
磁界検出部5a〜5cは、大バルクハウゼン効果を生じる磁性素子51と、磁性素子51に巻回されたコイル52とを備える。
これら磁界検出部5a〜5cは、各々の長さ方向(詳細には磁性素子51の長さ方向)が回転軌跡円Rの接線方向に平行となり、且つ半径方向において磁石4a〜4bと(第1磁性部材6及び第2磁性部材7を介して)対向可能に、基板8を介してハウジング2に固定されている。具体的には、磁界検出部5a〜5cは、磁性素子51の長さ方向一端部と軸心AXとの間の最短距離と、磁性素子51の長さ方向他端部と軸心AXとの間の最短距離とが、等しくなるように、配置されている。より具体的には、磁界検出部5a〜5cは、各々の磁性素子51の長さ方向中央部と軸心AXとの最短距離が互いに等しくなり、且つ円周方向に例えば等間隔(120°間隔)で離間するように、シャフト3の周囲に配置されている。すなわち、磁界検出部5a〜5cは、シャフト3の周囲に軸心AX方向から見て略三角形状となるように配置されている。
そして、磁界検出部5a〜5cは、磁石4a〜4dによる磁界を検出可能である。
なお、磁界検出部5a〜5cの配置形状は、軸心AX方向から見て三角形状に限定されるものではなく、他の形状であってもよい。また、磁界検出部5の数は、3つに限定されるものではなく、他の個数としてもよい。その場合には、磁石4の個数や配置等についても適宜変更すればよい。
(1−1−3−1.大バルクハウゼン効果及び磁性素子の例)
ここで、「大バルクハウゼン効果」とは、磁性素子51の磁化方向が、付与される外部磁界の強度がある強度を超えた時点で急激に反転する現象であり、大バルクハウゼンジャンプとも呼ばれる。
磁性素子51としては、大バルクハウゼン効果が生じる磁性素子であれば特に限定されるものではなく、例えばワイヤ状の磁性素子(例えば複合磁気ワイヤ、ウィーガントワイヤ、アモルファスワイヤ等)、棒状の磁性素子、板状の磁性素子等が使用可能である。但し、説明の便宜上、以下では、磁性素子51が複合磁気ワイヤである場合について説明する。
(1−1−3−2.複合磁気ワイヤの磁気特性)
複合磁気ワイヤは、その外周部は比較的小さな外部磁界の付与により磁化方向が変化するが、その中心部は比較的大きな外部磁界を付与しなければ磁化方向が変化しないという磁気特性を有する、一軸異方性の複合磁性体である。
すなわち、複合磁気ワイヤの長さ方向と平行な一方向に、複合磁気ワイヤの中心部の磁化方向を反転させるのに十分な比較的大きな外部磁界を付与すると、複合磁気ワイヤの中心部の磁化方向と外周部の磁化方向とが同じ方向に揃う。その後、上記一方向と反対の他方向に、複合磁気ワイヤの外周部の磁化方向のみを反転させることができる程度の比較的小さな外部磁界を付与すると、複合磁気ワイヤの中心部の磁化方向は変化せず、外周部の磁化方向のみが反転する。この結果、複合磁気ワイヤは、その中心部と外周部とで磁化方向が異なる状態となり、この状態は外部磁界を取り除いても維持される。
ここで例えば、中心部が上記一方向に磁化され、外周部が上記他方向に磁化された状態の複合磁気ワイヤに、上記一方向に外部磁界を付与する。この際、外部磁界の強度を始めは小さくし、その後徐々に増加させる。すると、外部磁界の強度がある強度を超えたときに、大バルクハウゼン効果が生じ、複合磁気ワイヤの外周部の磁化方向が上記他方向から上記一方向へ急激に反転する。そして、複合磁気ワイヤの磁化方向の急激な反転により生じる起電力によって、例えば正の方向に鋭く立ち上がるパルス信号が、複合磁気ワイヤに巻回されたコイルから出力される。
また例えば、中心部及び外周部がいずれも上記一方向に磁化された状態の複合磁気ワイヤに、上記他方向に外部磁界を付与する。この際も、外部磁界の強度を始めは小さくし、その後徐々に増加させる。すると、外部磁界の強度がある程度を越えたときに、大バルクハウゼン効果が生じ、複合磁気ワイヤの外周部の磁化方向が上記一方向から上記他方向へ急激に反転する。そして、複合磁気ワイヤの磁化方向の急激な反転により生じる起電力によって、例えば負の方向に鋭く立ち上がるパルス信号が、複合磁気ワイヤに巻回されたコイルから出力される。
(1−1−3−3.磁界検出部の動作の概略)
上記のような複合磁気ワイヤを磁性素子51として使用する磁界検出部5a〜5cでは、磁性素子51に外部磁界が付与され、磁性素子51の外周部の磁化方向が反転した場合に、コイル52からパルス信号が出力される。
回転検出装置1では、磁性素子51に付与される外部磁界に相当する磁界は、上記4つの磁石4a〜4dのうち、円周方向に隣り合う2つの磁石4,4による磁界、つまり磁石4a,4bによる磁界、磁石4b,4cによる磁界、磁石4c,4dによる磁界、磁石4d,4aによる磁界である。これら4つの磁界は、磁性素子51の中心部及び外周部の双方の磁化方向を変化させることができるような大きな磁界ではなく、磁性素子51の外周部の磁化方向のみを変化させることができる程度の磁界である。
すなわち、被検出対象の回転に連動してシャフト3と共に磁石4a〜4dが回転すると、磁界検出部5a〜5cの磁性素子51に付与される磁界(磁界の向き)が変化する。これにより、磁界検出部5a〜5cでは、磁性素子51の外周部の磁化方向が反転し、コイル52からパルス信号が出力される。
また、回転検出装置1では、上述のように、磁石4a〜4dは、円周方向に90°間隔で配置され、磁界検出部5a〜5cは、円周方向に120°間隔で配置されている。従って、シャフト3が回転する間に、磁界検出部5a〜5cの各々のコイル52からパルス信号が出力されるタイミングが重複することがない。そして、磁界検出部5a〜5cの各々のコイル52から異なるタイミングで出力されるパルス信号を用いて所定の処理を行うことで、被検出対象の回転状態を検出可能である。
(1−1−4.第1磁性部材及び第2磁性部材)
磁性部材6a〜6c,7a〜7cは、半径方向において磁石4a〜4d及び磁界検出部5a〜5cと対向可能に、基板8に固定されている。つまり、磁性部材6a〜6c,7a〜7cは、基板8を介してハウジング2に固定されている。これら磁性部材6a〜6c,7a〜7cは、互いに離間して配置されている。
第1磁性部材6a〜6cは、磁界検出部5a〜5cの各々と離間し、磁界検出部5a〜5cの各々の長さ方向一方側の磁石4a〜4dに対向する部分等を覆うように、配置されている。また、第2磁性部材7a〜7cは、磁界検出部5a〜5c各々と離間し、磁界検出部5a〜5cの各々の長さ方向他方側の磁石4a〜4dに対向する部分等を覆うように、配置されている。
すなわち、磁性部材6a〜6c,7a〜7cは、同一の1つの磁界検出部5に対応する磁性部材6,7を1組として、3組の磁性部材6,7に区分される。つまり、磁性部材6a〜6c,7a〜7cは、磁界検出部5aに対応する1組の磁性部材6a,7aと、磁界検出部5bに対応する1組の磁性部材6b,7bと、磁界検出部5cに対応する1組の磁性部材6c,7cとに区分される。そして、磁性部材6a,7a、磁性部材6b,7b、及び磁性部材6c,7cは、対応する磁界検出部5の長さ方向中央部において間隙を介して配置されている。また、磁性部材6a,7a、磁性部材6b,7b、及び磁性部材6c,7cは、軸心AXと、対応する磁界検出部5の長さ方向中央部と軸心AX上の最短距離となる点とを通る線から構成される面を対称面とした、面対称となっている。
磁性部材6a,7aは、磁石4a〜4dにより磁界検出部5aに付与される磁界を誘導し、所定の磁路を形成可能である。また、磁性部材6b,7bは、磁石4a〜4dにより磁界検出部5bに付与される磁界を誘導し、所定の磁路を形成可能である。また、磁性部材6c,7cは、磁石4a〜4dにより磁界検出部5cに付与される磁界を誘導し、所定の磁路を形成可能である。
本実施形態では、第1磁性部材6a〜6cは、第1側板部61と、第2側板部62とを有する。また、第2磁性部材7a〜7cは、第1側板部71と、第2側板部72とを有する。第1磁性部材6は、例えば1枚の平板を打ち抜き加工等により所望の形状に成形し、プレス加工等により折り曲げることで、第1側板部61及び第2側板部62が形成されている。なお、第2磁性部材7についても同様である。
第1側板部61,71は、軸心AX方向と平行に立設されている。また、第1側板部61,71は、各々の一端が、対応する磁界検出部5の長さ方向中央部近傍に位置し、半径方向において磁石4a〜4dと対向可能に延設されている。具体的には、第1側板部61,71は、回転軌跡円Rよりも半径の大きな同心円の円周方向に沿って延設され、軸心AX方向から見て当該同心円の円周の一部に沿った円弧状に形成されている。従って、磁性部材6a,7a、磁性部材6b,7b、及び磁性部材6c,7cの各々の第1側板部61,71は、軸心AX方向から見て略円形状となっている。
第2側板部62,72は、軸心AX方向と平行に立設されている。また、第2側板部62,72は、各々の一端が第1側板部61,71の各々の他端に接続され、各々の他端が、対応する磁界検出部5の長さ方向端部よりも長さ方向において外方に突出するように延設されている。具体的には、第2側板部62,72は、各々の他端側に向けて先細りの形状に形成されている。より具体的には、第2側板部62,72は、円周方向に隣り合う2つの磁界検出部5,5のうち、一方の磁界検出部5に対応する第1磁性部材6aの第2側板部62と、他方の磁界検出部5に対応する第2磁性部材7aの第2側板部72とが、平行となるように、延設されている。
なお、例えば磁性部材6,7の磁界誘導機能(後述)を用いなくとも磁性素子51の磁化方向の予測困難な変化を防止できるような場合には、第1磁性部材6及び第2磁性部材7は必ずしも設けなくともよい。
また、第1磁性部材6の成形方法は、上記に限定されるものではない。例えば、別々の板材からなる第1側板部61及び第2側板部62を溶接等により接続することで、第1磁性部材6を成形してもよい。また例えば、鋳造により第1磁性部材6を一体的に成形してもよい。なお、第2磁性部材7についても同様である。また、第1磁性部材は、上記で説明した第1磁性部材6a〜6cの形状等に限定されるものではなく、磁界検出部5の長さ方向一方側の少なくとも磁石4a〜4dに対向する部分を覆う磁性部材であれば、他の形状等としてもよい。同様に、第2磁性部材は、上記で説明した第2磁性部材7a〜7cの形状等に限定されるものではなく、磁界検出部5の長さ方向他方側の少なくとも磁石4a〜4dに対向する部分を覆う磁性部材であれば、他の形状等としてもよい。
(1−1−5.磁石、磁性部材、磁界検出部の位置関係)
以上のように、本実施形態では、ハウジング2の内周部に、外周に磁石4a〜4dが固定されたシャフト3が配置されている。そして、シャフト3(磁石4a〜4d)の周囲に、磁界検出部5a〜5cが配置されている。また、半径方向においてシャフト3(磁石4a〜4d)と磁界検出部5a〜5cの間に、磁性部材6a〜6c,7a〜7cが配置されている。つまり、磁石4a〜4d、磁性部材6a〜6c,7a〜7c、磁界検出部5a〜5cは、半径方向の内側から外側に向けて、磁石4a〜4d、磁性部材6a〜6c,7a〜7c、磁界検出部5a〜5cの順に配置されている。
なお、上記で説明した回転検出装置1の構成は、あくまで一例であり、上記以外の構成であってもよい。
(1−2.磁性部材の磁界誘導機能及び磁界検出部の動作)
次に、図3A、図3B、及び図3Cを参照しつつ、磁性部材6,7の磁界誘導機能及び磁界検出部5の動作の一例について説明する。ここでは、磁性部材6a〜6c,7a〜7c及び磁界検出部5a〜5cのうち、1組の磁性部材6a,7aの磁界誘導機能及び磁界検出部5aの動作の一例を代表に説明するが、他の組の磁性部材6a,7aの磁界誘導機能及び他の磁界検出部5b,5cの動作についてもほぼ同様である。図3Aは、磁石4aが第1磁性部材6aに対向し、磁石4dが第2磁性部材7aに対向する際の、磁性部材6a,7aの磁界誘導態様及び磁界検出部5aの動作の一例を説明するための平面図である。図3Bは、磁石4aが磁性部材6a,7a間の間隙に対向する際の、磁性部材6a,7aの磁界誘導態様及び磁界検出部5aの動作の一例を説明するための平面図である。図3Cは、磁石4bが第1磁性部材6aに対向し、磁石4aが第2磁性部材7aに対向する際の、磁性部材6a,7aの磁界誘導態様及び磁界検出部5aの動作の一例を説明するための平面図である。なお、図3A〜図3C中では、磁束の一例を太線矢印により概念的に図示している。
図3Aに示すように、磁石4aが第1磁性部材6aに対向し、磁石4dが第2磁性部材7aに対向した場合には、磁石4aから磁石4dに向かう磁束の大部分は、磁石4aから第1磁性部材6aに進入する。
磁石4aから第1磁性部材6aに進入した磁束の大部分は、第1磁性部材6aの第1側板部61中を第2磁性部材7a側に向けて進行する。この際、磁性部材6a,7aは、間隙を介して離間しているので、当該第1側板部61中を第2磁性部材7a側に向けて進行した磁束は、磁界検出部5aの半径方向内側において、磁界検出部5aの長さ方向中央部よりもやや一方側の部分に進入する。この磁束は、磁界検出部5a中をその長さ方向他方側へ向けて進行し、長さ方向中央部を通過して、該中央部よりもやや他方側の部分に到達する。この磁束は、磁界検出部5aの半径方向内側において、磁界検出部5aから離脱して第2磁性部材7aに進入する。この磁束は、第2磁性部材7aの第1側板部71中を磁石4dに向けて進行し、やがて磁石4dに到達する。
また、磁石4aから第1磁性部材6aに進入した磁束の一部は、第1磁性部材6aの第2側板部62中をその他端側に向けて進行する。この磁束の一部は、磁界検出部5aの長さ方向一端側の部分に進入する。この磁束は、磁界検出部5a中をその長さ方向他方側に向けて進行し、長さ方向中央部を通過して、長さ方向他端側の部分に到達する。この磁束は、磁界検出部5aから離脱して第2磁性部材7aに進入する。この磁束は、第2磁性部材7aの第2側板部72中を磁石4dに向けて進行し、やがて第1側板部71を介して磁石4dに到達する。
以上のように、磁石4aが第1磁性部材6aに対向し、磁石4dが第2磁性部材7aに対向した場合には、磁石4aから磁石4dに向かう磁束の大部分が磁性部材6a,7aにより誘導される。これにより、例えば図3A中の太実線矢印で示すような磁界検出部5aの長さ方向中央部近傍を通過する磁路(磁界)が形成される。この結果、磁石4aから磁石4dに向かう磁束の大部分が、磁界検出部5aの長さ方向中央部に付与されるので、磁界検出部5aの長さ方向中央部の磁束密度が、その長さ方向一端部や他端部の磁束密度と比較して高くなる。
また、例えば図3A中の太破線矢印で示すような磁界検出部5aの長さ方向一端側から他端側に向かう磁界も形成される。この磁界は、磁界検出部5aの磁性素子51の長さ方向中央部だけでなく、その長さ方向一端部や他端部にも付与される。しかし、磁石4aから磁石4dに向かう磁束の大部分が図3A中の太実線矢印で示す磁路を通過するので、図3A中の太破線矢印で示す磁界の強度は、図3A中の太実線矢印で示す磁界の強度よりも小さい。従って、図3A中の太破線矢印で示す磁界が磁界検出部5aに付与されることで、磁界検出部5aの長さ方向中央部の磁界密度が、その長さ方向一端部や他端部の磁束密度よりも高い状態が保持されたまま、磁界検出部5aの磁束密度が全体的に増加する。
以上のような磁界が磁界検出部5aに付与されることで、磁界検出部5aの磁性素子51は、図3A中のブロック矢印が示す方向、つまり磁性素子51の長さ方向一端部から他端部に向く方向に磁化される。従って、磁界検出部5aの磁性素子51の先の磁化方向が、磁性素子51の長さ方向他端部から一端部に向く方向であった場合には、磁性素子51の外周部の磁化方向が反転し、磁界検出部5aのコイル52から例えば正の方向のパルス信号が出力される。
続いて、図3Bに示すように、シャフト3が例えば反時計回りに回転し、磁石4aが磁性部材6a,7a間の間隙に対向した場合には、磁石4aから磁石4bに向かう磁束の大部分は、磁石4aから第1磁性部材6aに進入する。磁石4aから第1磁性部材6aに進入した磁束の大部分は、第1磁性部材6aの第1側板部61中を磁石4b側に向けて進行し、やがて第1磁性部材6aの第2側板部62に進入して、当該第2側板部62中をその他端側に向けて進行する。この際、第1磁性部材6aと、当該第1磁性部材6aと円周方向に隣り合う第2磁性部材7bとは、離間しているので、第1磁性部材6a中を進行した磁束の大部分は、第2磁性部材7bに進入しない。しかし、第1磁性部材6a中を進行した磁束の一部は、第1磁性部材6aの第2側板部62の他端部から離脱して第2磁性部材7bの第2側板部72の他端部に進入し、例えば図3B中の太破線矢印で示すような磁路が形成される。これにより、磁束が外方に放射(散乱)されるのを抑制できる。なお、第2磁性部材7bの第2側板部72の他端部に進入した磁束の大部分は、第2磁性部材7bの第2側板部72中を磁石4bに向けて進行し、やがて第1側板部71を介して磁石4bに到達するので、磁界検出部5bに付与されることもほぼない。
また、磁石4aが磁性部材6a,7a間の間隙に対向した場合には、磁石4aから磁石4dに向かう磁束の大部分は、磁石4aから第2磁性部材7aに進入する。磁石4aから第2磁性部材7aに進入した磁束の大部分は、第2磁性部材7aの第1側板部71中を磁石4d側に向けて進行し、やがて第2磁性部材7aの第2側板部72に進入して、当該第2側板部72中をその他端側に向けて進行する。この際、第2磁性部材7aと、当該第2磁性部材7aと円周方向に隣り合う第1磁性部材6cとは、離間しているので、第2磁性部材7a中を進行した磁束の大部分は、第1磁性部材6cに進入しない。しかし、第2磁性部材7a中を進行した磁束の一部は、第2磁性部材7aの第2側板部72の他端部から離脱して第1磁性部材6cの第2側板部62の他端部に進入し、例えば図3B中の太破線矢印で示すような磁路が形成される。これにより、磁束が外方に放射(散乱)されるのを抑制できる。なお、第1磁性部材6cの第1側板部62の他端部に進入した磁束の大部分は、第1磁性部材6cの第2側板部62中を磁石4dに向けて進行し、やがて第1側板部61を介して磁石4dに到達するので、磁界検出部5cに付与されることもほぼない。
また、磁石4aが磁性部材6a,7a間の間隙に対向した場合には、第1磁性部材6aを進行する磁束と、第2磁性部材7aを進行する磁束とが、軸心AXと、磁界検出部5aの長さ方向中央部と軸心AX上の最短距離となる点とを通る線から構成される面を対称面とした、面対称となる。このため、磁界検出部5aの周囲で、且つ磁性部材6a,7aにより覆われた空間では、磁石4aから磁石4bに向かう磁界と磁石4aから磁石4dに向かう磁界とが互いに打ち消し合い、磁界がほぼ0となる。
以上のように、磁石4aが磁性部材6a,7a間の間隙に対向した場合には、磁石4aから磁石4b,4dに向かう磁界が、磁性部材6a,7aにより、磁界検出部5aを避けるように誘導される。この結果、磁石4aから磁石4b,4dに向かう磁束の大部分は、磁界検出部5aに進入しない。従って、磁界検出部5aの磁性素子51の外周部の磁化方向は変化しない。つまり、図3B中のブロック矢印が示す方向は、図3A中のブロック矢印が示す方向と同じであり、これは磁界検出部5aの磁性素子51の磁化方向が変化していないことを意味する。よって、この場合には、磁界検出部5aのコイル52からは、パルス信号が出力されない。
続いて、図3Cに示すように、シャフト3が例えば反時計回りに更に回転し、磁石4bが第1磁性部材6aに対向し、磁石4aが第2磁性部材7aに対向した場合には、磁石4aから磁石4bに向かう磁束が磁性部材6a,7aにより誘導され、図3Aを参照しつつ説明した磁界の向きと反対の向きの磁界が形成される。すなわち、例えば図3C中の太実線矢印で示すような磁界検出部5aの長さ方向中央部近傍を通過する磁路(磁界)が形成される。この結果、磁石4aから磁石4bに向かう磁束の大部分が、磁界検出部5aの長さ方向中央部に付与されるので、磁界検出部5aの長さ方向中央部の磁束密度が、その長さ方向一端部や他端部の磁束密度と比較して高くなる。また、例えば図3C中の太破線矢印で示すような磁界検出部5aの長さ方向他端側から一端側に向かう磁界も形成される。この磁界は、磁界検出部5aの磁性素子51の長さ方向中央部だけでなく、その長さ方向一端部や他端部にも付与される。しかし、磁石4aから磁石4bに向かう磁束の大部分が図3C中の太実線矢印で示す磁路を通過するので、図3C中の太破線矢印で示す磁界の強度は、図3C中の太実線矢印で示す磁界の強度よりも小さい。従って、図3C中の太破線矢印で示す磁界が磁界検出部5aに付与されることで、磁界検出部5aの長さ方向中央部の磁界密度が、その長さ方向一端部や他端部の磁束密度よりも高い状態が保持されたまま、磁界検出部5aの磁束密度が全体的に増加する。
以上のような磁界が磁界検出部5aに付与されることで、磁界検出部5aの磁性素子51の外周部は、図3C中のブロック矢印が示す方向、つまり磁性素子51の長さ方向他端部から一端部に向く方向に磁化される。従って、磁界検出部5aの磁性素子51の外周部の先の磁化方向が、磁性素子51の長さ方向一端部から他端部に向く方向であった場合には、磁性素子51の外周部の磁化方向が反転し、磁界検出部5aのコイル52から例えば負の方向のパルス信号が出力される。
なお、上記で説明した磁性部材6,7の磁界誘導機能及び磁界検出部5の動作は、あくまで一例であり、上記以外の態様であってもよい。
(1−3.本実施形態による効果の例)
以上説明した本実施形態では、磁界検出部5a〜5cが、各々の長さ方向が回転軌跡円Rの接線方向に平行となり、且つ半径方向において磁石4a〜4dと対向可能に、ハウジング2に固定されている。このように磁界検出部5a〜5cの長さ方向が回転軌跡円Rの接線方向に平行となるように配置されることにより、例えば磁界検出部5a〜5cの長さ方向が軸心AX方向と平行となるように配置される場合に比べて、回転検出装置1の軸心AX方向の寸法を低減できる。また、磁界検出部5a〜5cが半径方向において磁石4a〜4dと対向可能に配置されることにより、例えば磁界検出部5a〜5cが磁石4a〜4dと軸心AX方向において対向可能に配置される場合に比べて、回転検出装置1の軸心AX方向の寸法を低減できる。したがって、回転検出装置1の軸方向寸法を低減できる。
また、本実施形態において、磁界検出部5の長さ方向一方側を覆う第1磁性部材6と、磁界検出部5の長さ方向他方側を覆う第2磁性部材7とを、対応する磁界検出部5の長さ方向中央部において間隙を介して配置した場合には、これら磁性部材6,7の磁界誘導機能により、磁性素子51の磁化方向の予測困難な変化を防止して被検出対象の検出精度を高めることができる。
また、本実施形態において、磁石4a〜4d、磁性部材6a〜6c,7a〜7c、磁界検出部5a〜5cを、半径方向の内側から外側に向けて、磁石4a〜4d、磁性部材6a〜6c,7a〜7c、磁界検出部5a〜5cの順に配置した場合には、次のような効果を得る。つまり、上記構成により、磁石支持体としてシャフト3を用いることが可能となるので、磁石支持構造を簡素化できる。また、回転するシャフト3を中心に配置し、その外周側に磁性部材6a〜6c,7a〜7c及び磁界検出部5a〜5cを配置することで、周辺部品への磁束の影響を低減できる。
また、本実施形態において、磁性部材6a〜6c,7a〜7cが、一端が磁界検出部5a〜5cの長さ方向中央部近傍に位置し半径方向において磁石4a〜4dと対向可能に延設される第1側板部61,71と、一端が第1側板部61,71に接続され他端が磁界検出部5a〜5cの長さ方向端部よりも長さ方向において外方に突出するように延設される第2側板部62,72とを有する場合には、次のような効果を得る。つまり、第1側板部61,71が磁石4a〜4dと対向することにより、磁性部材6a〜6c,7a〜7cが磁界検出部5a〜5cに付与する磁界を強くできると共に、磁性部材6,7間の間隙により磁界検出部5a〜5cの長さ方向中央部に対して比較的強い磁界を付与することができる。また、第2側板部62,72が長さ方向において磁界検出部5a〜5cの長さ方向端部よりも外方に突出することにより、磁界検出部5a〜5cの長さ方向全体に対して上記強い磁界と同じ方向の比較的弱い磁界を付与することができる。したがって、磁性素子51において所望のタイミングでバルクハウゼン効果を発生させる安定性を高めることができる。
また、本実施形態において、第2側板部62,72が各々の他端側に向けて先細りの形状である場合には、次のような効果を得る。つまり、上記構成により、第1側板部61,71から第2側板部62,72側に進行する磁束の量を低減させ、磁界検出部5a〜5cの長さ方向両端部に付与される磁界が長さ方向中央部よりも大きくなるのを防止できる。したがって、磁性素子51に付与される磁束密度の分布を最適な分布にすることが可能となり、磁性素子51において所望のタイミングでバルクハウゼン効果を発生させる安定性をより高めることができる。
(1−4.変形例等)
以上、第1実施形態について詳細に説明した。しかし、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲は、ここで説明した第1実施形態に限定されるものではない。第1実施形態の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、技術的思想の範囲内において、様々な変更や修正、組み合わせなどを行うことに想到できることは明らかである。従って、これらの変更や修正、組み合わせなどが行われた後の技術も、当然に技術的思想の範囲に属するものである。以下、そのような変形例等について順を追って説明する。
(1−4−1.磁性部材の構成の他の例〔その1〕)
本変形例は、第1磁性部材及び第2磁性部材が、第1側板部及び第2側板部に加えて、磁界検出部5の長さ方向端部を覆う第3側板部と、磁界検出部5の半径方向外側を覆う第4側板部とを備える場合の例である。
(1−4−1−1.回転検出装置の構成)
以下、図4A、図4B、及び図4Cを参照しつつ、本変形例に係る回転検出装置1Aの構成の一例について説明する。なお、図4A〜図4C中では、ハウジング2及び基板8の図示を省略している。
図4A〜図4Cに示すように、回転検出装置1Aにおいて、上記実施形態に係る回転検出装置1と異なる構成は、第1磁性部材及び第2磁性部材等であり、シャフト3、磁石4a〜4d、磁界検出部5a〜5c等は、上記実施形態と同様である。
本変形例に係る第1磁性部材6Aa,6Ab,6Ac(以下適宜「第1磁性部材6A」と総称する。)は、磁界検出部5a〜5cの各々の長さ方向一方側の磁石4a〜4dに対向する部分等を覆うように、前述の基板8を介してハウジング2に固定されている。また、第2磁性部材7Aa,7Ab,7Ac(以下適宜「第2磁性部材7A」と総称する。)は、磁界検出部5a〜5cの各々の長さ方向他方側の磁石4a〜4dに対向する部分等を覆うように、前述の基板8を介してハウジング2に固定されている。そして、磁性部材6Aa,7Aa、磁性部材6Ab,7Ab、及び磁性部材6Ac,7Acは、対応する磁界検出部5の長さ方向中央部において間隙を介して配置され、軸心AXと、対応する磁界検出部5の長さ方向中央部と軸心AX上の最短距離となる点とを通る線から構成される面を対称面とした、面対称となっている。
本変形例では、第1磁性部材6Aa〜6Acは、上記実施形態と同様の第1側板部61と、第2側板部62Aと、第3側板部63と、第4側板部64とを有する。また、第2磁性部材7Aa〜7Acは、上記実施形態と同様の第1側板部71と、第2側板部72Aと、第3側板部73と、第4側板部74とを有する。第1磁性部材6Aは、例えば1枚の平板を打ち抜き加工等により所望の形状に成形し、プレス加工等により折り曲げることで、第1側板部61、第2側板部62A、第3側板部63、及び第4側板部64が形成されている。なお、第2磁性部材7Aについても同様である。
第2側板部62A,72Aは、前述の第2側板部62,72と基本的に同様であるが、第2側板部62,72の各々よりも延設方向の寸法が小さく、また各々の他端側に向けて先細りの形状となっていない点等が異なる。
第3側板部63,73は、軸心AX方向と平行に立設されている。また、第3側板部63,73は、各々の一端が第2側板部62A,72Aの各々の他端に接続され、対応する磁界検出部5の長さ方向端部よりも長さ方向外方において当該磁界検出部5の幅方向に沿って延設されている。
第4側板部64,74は、軸心AX方向と平行に立設されている。また、第4側板部64,74は、各々の一端が第3側板部63,73の各々の他端に接続され、対応する磁界検出部5の半径方向外側において当該磁界検出部5の長さ方向に沿って延設されている。
なお、上記で説明した磁性部材6A,7Aの形状等は、あくまで一例であり、上記以外の形状等であってもよい。また、第1磁性部材6Aの成形方法は、上記に限定されるものではない。例えば、別々の板材からなる第1側板部61、第2側板部62A、第3側板部63、及び第4側板部64を溶接等により接続することで、第1磁性部材6Aを成形してもよい。また例えば、鋳造により第1磁性部材6Aを一体的に成形してもよい。なお、第2磁性部材7Aについても同様である。また、上記では、第1磁性部材6Aを、第3側板部63及び第4側板部64の両方を有する構成としたが、第3側板部63のみを有する構成としてもよい。なお、第2磁性部材7Aについても同様である。
(1−4−1−2.磁性部材の磁界誘導機能及び磁界検出部の動作)
次に、図5を参照しつつ、磁性部材6A,7Aの磁界誘導機能及び磁界検出部5の動作の一例について説明する。ここでも、上記実施形態と同様、1組の磁性部材6Aa,7Aaの磁界誘導機能及び磁界検出部5aの動作の一例を代表に説明するが、他の組の磁性部材6Aa,7Aaの磁界誘導機能及び他の磁界検出部5b,5cの動作についてもほぼ同様である。
図5に示すように、磁石4aが第1磁性部材6Aaに対向し、磁石4dが第2磁性部材7Aaに対向した場合における、第1磁性部材6Aaの第1側板部61及び第2側板部62Aや第2磁性部材7Aaの第1側板部71及び第2側板部72Aの磁界誘導機能は、上記図3Aを参照しつつ説明した、第1磁性部材6aの第1側板部61及び第2側板部62や第2磁性部材7aの第1側板部71及び第2側板部72の磁界誘導機能とほぼ同様である。従って、ここでは、主に、第1磁性部材6Aaの第3側板部63及び第4側板部64や、第2磁性部材7Aaの第3側板部73及び第4側板部74の磁界誘導機能の一例について説明する。
すなわち、磁石4aから第1磁性部材6Aaに進入した磁束の一部は、第1磁性部材6Aaの第3側板部63中を第4側板部64に向けて進行する。この磁束の一部は、磁界検出部5aの長さ方向一端側の部分に進入する。この磁束は、磁界検出部5a中をその長さ方向他方側に向けて進行し、長さ方向中央部を通過して、長さ方向他端側の部分に到達する。この磁束は、磁界検出部5aから離脱して第2磁性部材7Aaに進入する。この磁束は、第2磁性部材7Aaの第3側板部73、第2側板部72A、及び第1側板部71中を順次進行し、やがて磁石4dに到達する。
また、磁性部材6Aa,7Aaは、間隙を介して離間しているので、第1磁性部材6Aaの第4側板部64中をその他端側に向けて進行した磁束の大部分は、磁界検出部5aの半径方向外側において、磁界検出部5aの長さ方向中央部よりもやや一方側の部分に進入する。この磁束は、磁界検出部5a中をその長さ方向他方側へ向けて進行し、長さ方向中央部を通過して、該中央部よりもやや他方側の部分に到達する。この磁束は、磁界検出部5aの半径方向外側において、磁界検出部5aから離脱して第2磁性部材7Aaに進入する。この磁束は、第2磁性部材7Aaの第4側板部74、第3側板部73、第2側板部72A、及び第1側板部71中を順次進行し、やがて磁石4dに到達する。
以上のように、磁石4aが第1磁性部材6Aaに対向し、磁石4dが第2磁性部材7Aaに対向した場合には、磁石4aから磁石4dに向かう磁束の大部分が磁性部材6Aa,7Aaにより誘導される。これにより、例えば図5中の太実線矢印で示すような磁界検出部5aの長さ方向中央部近傍を通過する比較的強い磁路(磁界)が形成される。また、例えば図5中の太破線矢印で示すような磁界検出部5aの長さ方向一端側から他端側に向かう比較的弱い磁界も形成される。
以上のような磁界が磁界検出部5aに付与されることで、磁界検出部5aの磁性素子51の外周部は、図5中のブロック矢印が示す方向に磁化される。従って、磁性素子51の先の磁化方向がブロック矢印と反対方向であった場合には、磁性素子51の磁化方向が反転し、磁界検出部5aのコイル52から例えば正の方向のパルス信号が出力される。
なお、上記で説明した磁性部材6A,7Aの磁界誘導機能及び磁界検出部5の動作は、あくまで一例であり、上記以外の態様であってもよい。
(1−4−1−3.本変形例による効果の例)
以上説明した本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。更に、本変形例では、磁性部材6A,7Aが第3側板部63,73及び第4側板部64,74を有することにより、磁界検出部5に付与する磁界をより強くすることができ、磁気的な安定性及び効率を向上できる。また、磁性部材6A,7Aが第3側板部63,73を有することにより、磁界検出部5の長さ方向の寸法公差や位置公差の影響を低減でき、第4側板部64,74を有することにより、磁界検出部5の半径方向の寸法公差や位置公差の影響を低減できる。さらに、磁性部材6A,7Aが第3側板部63,73及び第4側板部64,74を有することにより、半径方向外部からの外乱磁場の影響を低減できる。
(1−4−2.磁性部材の構成の他の例〔その2〕)
本変形例は、第1磁性部材及び第2磁性部材が、第1側板部及び第2側板部に加えて、磁界検出部5の上側を覆う第1平板部を備える場合の例である。
(1−4−2−1.回転検出装置の構成)
以下、図6A、図6B、及び図6Cを参照しつつ、本変形例に係る回転検出装置1Bの構成の一例について説明する。なお、図6A中では、回転検出装置1の構造の説明の便宜上、磁界検出部5aに対応する1組の第1磁性部材及び第2磁性部材の図示を省略している。また、図6A〜図6C中では、ハウジング2及び基板8の図示を省略している。
図6A〜図6Cに示すように、回転検出装置1Bにおいて、上記実施形態に係る回転検出装置1と異なる構成は、第1磁性部材及び第2磁性部材等であり、シャフト3、磁石4a〜4d、磁界検出部5a〜5c等は、上記実施形態と同様である。
本変形例に係る第1磁性部材6Ba,6Bb,6Bc(以下適宜「第1磁性部材6B」と総称する。)は、磁界検出部5a〜5cの各々の長さ方向一方側の磁石4a〜4dに対向する部分等を覆うように、前述の基板8を介してハウジング2に固定されている。また、第2磁性部材7Ba,7Bb,7Bc(以下適宜「第2磁性部材7B」と総称する。)は、磁界検出部5a〜5cの各々の長さ方向他方側の磁石4a〜4dに対向する部分等を覆うように、前述の基板8を介してハウジング2に固定されている。そして、磁性部材6Ba,7Ba、磁性部材6Bb,7Bb、及び磁性部材6Bc,7Bcは、対応する磁界検出部5の長さ方向中央部において間隙を介して配置され、軸心AXと、対応する磁界検出部5の長さ方向中央部と軸心AX上の最短距離となる点とを通る線から構成される面を対称面とした、面対称となっている。
本変形例では、第1磁性部材6Ba〜6Bcは、第1側板部61Bと、第2側板部62Bと、第1平板部65とを有する。また、第2磁性部材7Ba〜7Bcは、第1側板部71Bと、第2側板部72Bと、第1平板部75とを有する。第1磁性部材6Bは、例えば1枚の平板を打ち抜き加工等により所望の形状に成形し、プレス加工等により折り曲げることで、第1側板部61B、第2側板部62B、及び第1平板部65が形成されている。このため、例えば、第1側板部61Bは、第2側板部62B及び第1平板部65の各々と連接しているが、第2側板部62Bと第1平板部65とは、連接しておらず折り重ねることで接続(微小な隙間が空いている場合を含む)されている。なお、第2磁性部材7Bについても同様である。
第1側板部61B,72Bは、前述の第1側板部61,72と基本的に同様であるが、回転軌跡円Rよりも半径の大きな同心円の接線方向に沿って延設され、軸心AX方向から見て直線状に形成されている点等が異なる。従って、磁性部材6Ba,7Ba、磁性部材6Bb,7Bb、及び磁性部材6Bc,7Bcの各々の第1側板部61B,72Bは、軸心AX方向から見て略六角形状となっている。
第2側板部62B,72Bは、前述の第2側板部62,72と基本的に同様であるが、各々の他端側に向けて先細りの形状となっていない点等が異なる。
第1平板部65,75は、第1側板部61B,71Bの各々及び第2側板部62B,72Bの各々に接続され、対応する磁界検出部5の上側を覆うように、軸心AX方向と垂直に延設されている。
なお、上記で説明した磁性部材6B,7Bの形状等は、あくまで一例であり、上記以外の形状等であってもよい。また、第1磁性部材6Bの成形方法は、上記に限定されるものではない。例えば、別々の板材からなる第1側板部61B、第2側板部62B、及び第1平板部65を溶接等により接続することで、第1磁性部材6Bを成形してもよい。また例えば、鋳造により第1磁性部材6Bを一体的に成形してもよい。なお、第2磁性部材7Bについても同様である。
(1−4−2−2.磁性部材の磁界誘導機能及び磁界検出部の動作)
次に、図7A及び図7Bを参照しつつ、磁性部材6B,7Bの磁界誘導機能及び磁界検出部5の動作の一例について説明する。
図7A及び図7Bに示すように、磁石4aが第1磁性部材6Baに対向し、磁石4dが第2磁性部材7Baに対向した場合における、第1磁性部材6Baの第1側板部61B及び第2側板部62Bや、第2磁性部材7Baの第1側板部71B及び第2側板部72Bの磁界誘導機能は、上記図3Aを参照しつつ説明した内容とほぼ同様である。従って、ここでは、主に、第1磁性部材6Baの第1平板部65や第2磁性部材7Baの第1平板部75の磁界誘導機能の一例について説明する。
すなわち、磁石4aから第1磁性部材6Baに進入した磁束の一部は、第1側板部61Bに連接された第1平板部65にも進入する。この磁束の大部分は、当該第1平板部65中を第2磁性部材7Ba側に向けて進行する。この際、磁性部材6Ba,7Baは、間隙を介して離間しているので、当該第1平板部65中を第2磁性部材7Ba側に向けて進行した磁束は、磁界検出部5aの上側において、磁界検出部5aの長さ方向中央部よりもやや一方側の部分に進入する。この磁束は、磁界検出部5a中をその長さ方向他方側へ向けて進行し、長さ方向中央部を通過して、該中央部よりもやや他方側の部分に到達する。この磁束は、磁界検出部5aの上側において、磁界検出部5aから離脱して第2磁性部材7Baに進入する。この磁束は、第2磁性部材7Baの第1平板部75中を磁石4dに向けて進行し、やがて第1側板部71Bを介して磁石4dに到達する。
また、第1磁性部材6Baの第1平板部65に進入した磁束の一部は、当該第1平板部65中を第2磁性部材7Ba側と反対側に向けて進行する。この磁束は、磁界検出部5aの上側において、磁界検出部5aの長さ方向一端側の部分に進入する。この磁束は、磁界検出部5a中をその長さ方向他方側に向けて進行し、長さ方向中央部を通過して、長さ方向他端側の部分に到達する。この磁束は、磁界検出部5aから離脱して第2磁性部材7Baに進入する。この磁束は、第2磁性部材7Baの第1平板部75中を磁石4dに向けて進行し、やがて第1側板部71Bを介して磁石4dに到達する。
以上のように、磁石4aが第1磁性部材6Baに対向し、磁石4dが第2磁性部材7Baに対向した場合には、磁石4aから磁石4dに向かう磁束の大部分が磁性部材6Ba,7Baにより誘導される。これにより、例えば図7A及び図7B中の太実線矢印で示すような磁界検出部5aの長さ方向中央部近傍を通過する比較的強い磁路(磁界)が形成される。また、例えば図7A及び図7B中の太破線矢印で示すような磁界検出部5aの長さ方向一端側から他端側に向かう比較的弱い磁界も形成される。
以上のような磁界が磁界検出部5aに付与されることで、磁界検出部5aの磁性素子51の外周部は、図7A及び図7B中のブロック矢印が示す方向に磁化される。従って、磁性素子51の先の磁化方向がブロック矢印と反対方向であった場合には、磁性素子51の磁化方向が反転し、磁界検出部5aのコイル52から例えば正の方向のパルス信号が出力される。
なお、上記で説明した磁性部材6B,7Bの磁界誘導機能及び磁界検出部5の動作は、あくまで一例であり、上記以外の態様であってもよい。
(1−4−2−3.本変形例による効果の例)
以上説明した本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。更に、本変形例では、磁性部材6B,7Bが第1平板部65,75を有することにより、磁界検出部5に付与する磁界をより強くすることができ、磁気的な安定性及び効率を向上できる。さらに、上部からの外乱磁場の影響を低減できる。
また、本変形例では、磁性部材6B,7Bの各々の第1側板部61B,71Bが略六角形状に配置されている。これにより、第1側板部61B,71Bと回転軌跡円Rとの距離は、第1側板部61B,71Bの中央部分で最も近く、第1側板部61B,71B同士の間隙部分に近づくほど遠くなる。これにより、例えば前述の実施形態のように第1側板部が円形状に配置される場合に比べて、磁石4a〜4dと第1側板部61B,71Bとの間に作用する磁気吸引力に起因するシャフト3のコギングトルクを低減できる。
(1−4−3.磁性部材の構成の他の例〔その3〕)
本変形例は、第1磁性部材及び第2磁性部材が、第1側板部及び第2側板部に加えて、磁界検出部5の上側を覆う第1平板部と、磁界検出部5の下側を覆う第2平板部とを備える場合の例である。
(1−4−3−1.回転検出装置の構成)
以下、図8A、図8B、及び図8Cを参照しつつ、本変形例に係る回転検出装置1Cの構成の一例について説明する。なお、図8A中では、回転検出装置1の構造の説明の便宜上、磁界検出部5aに対応する1組の第1磁性部材及び第2磁性部材の図示を省略している。また、図8A〜図8C中では、ハウジング2及び基板の図示を省略している。
図8A〜図8Cに示すように、回転検出装置1Cにおいて、上記実施形態に係る回転検出装置1と異なる構成は、第1磁性部材及び第2磁性部材等であり、シャフト3、磁石4a〜4d、磁界検出部5a〜5c等は、上記実施形態と同様である。
本変形例に係る第1磁性部材6Ca,6Cb,6Cc(以下適宜「第1磁性部材6C」と総称する。)は、磁界検出部5a〜5cの各々の長さ方向一方側の磁石4a〜4dに対向する部分等を覆うように、ハウジング2に固定されている。また、第2磁性部材7Ca,7Cb,7Cc(以下適宜「第2磁性部材7C」と総称する。)は、磁界検出部5a〜5cの各々の長さ方向他方側の磁石4a〜4dに対向する部分等を覆うように、ハウジング2に固定されている。そして、磁性部材6Ca,7Ca、磁性部材6Cb,7Cb、及び磁性部材6Cc,7Ccは、対応する磁界検出部5の長さ方向中央部において間隙を介して配置され、軸心AXと、対応する磁界検出部5の長さ方向中央部と軸心AX上の最短距離となる点とを通る線から構成される面を対称面とした、面対称となっている。
なお、本変形例では、例えば、磁界検出部5a〜5cや磁性部材6Ca〜6Cc,7Ca〜7Ccの半径方向外側に、例えば円環状の基板(図示せず)が配置される。あるいは、基板を設置するのではなく、回転検出装置1の各構成をモールドするモールド樹脂内に回路用のプレス部品を一体成形してもよい。
本変形例では、第1磁性部材6Ca〜6Ccは、上記回転検出装置1Bと同様の第1側板部61B、第2側板部62B、及び第1平板部65と、第2平板部67とを有する。また、第2磁性部材7Ba〜7Bcは、上記回転検出装置1Bと同様の第1側板部71B、第2側板部72B、及び第1平板部75と、第2平板部77とを有する。第1磁性部材6Cは、例えば1枚の平板を打ち抜き加工等により所望の形状に成形し、プレス加工等により折り曲げることで、第1側板部61B、第2側板部62B、第1平板部65、及び第2平板部67が形成されている。このため、例えば、第1側板部61Bは、第2側板部62B、第1平板部65、及び第2平板部67の各々と連接しているが、第2側板部62Bと第1平板部65、及び、第2側板部62Bと第2平板部67は、連接しておらず折り重ねることで接続(微小な隙間が空いている場合を含む)されている。なお、第2磁性部材7Cについても同様である。
第2平板部67,77は、第1側板部61B,71Bの各々及び第2側板部62B,72Bの各々に接続され、対応する磁界検出部5の下側を覆うように、軸心AX方向と垂直に延設されている。
なお、上記で説明した磁性部材6C,7Cの形状等は、あくまで一例であり、上記以外の形状等であってもよい。また、第1磁性部材6Cの成形方法は、上記に限定されるものではない。例えば、別々の板材からなる第1側板部61B、第2側板部62B、第1平板部65、及び第2平板部67を溶接等により接続することで、第1磁性部材6Cを成形してもよい。また例えば、鋳造により第1磁性部材6Cを一体的に成形してもよい。なお、第2磁性部材7Cについても同様である。
(1−4−3−2.磁性部材の磁界誘導機能及び磁界検出部の動作)
次に、図9A及び図9Bを参照しつつ、磁性部材6C,7Cの磁界誘導機能及び磁界検出部5の動作の一例について説明する。
図9A及び図9Bに示すように、磁石4aが第1磁性部材6Caに対向し、磁石4dが第2磁性部材7Caに対向した場合における、第1磁性部材6Caの第1側板部61B、第2側板部62B、及び第1平板部65や、第2磁性部材7Caの第1側板部71B、第2側板部72B、及び第1平板部75の磁界誘導機能は、上記図7A及び図7Bを参照しつつ説明した内容とほぼ同様である。従って、ここでは、主に、第1磁性部材6Caの第2側板部67や第2磁性部材7Caの第2側板部77の磁界誘導機能の一例について説明する。
すなわち、磁石4aから第1磁性部材6Caに進入した磁束の一部は、第1側板部61Bに連接された第2平板部67にも進入する。この磁束の大部分は、当該第2平板部67中を第2磁性部材7Ca側に向けて進行する。この際、磁性部材6Ca,7Caは、間隙を介して離間しているので、当該第2平板部67中を第2磁性部材7Ca側に向けて進行した磁束は、磁界検出部5aの下側において、磁界検出部5aの長さ方向中央部よりもやや一方側の部分に進入する。この磁束は、磁界検出部5a中をその長さ方向他方側へ向けて進行し、長さ方向中央部を通過して、該中央部よりもやや他方側の部分に到達する。この磁束は、磁界検出部5aの下側において、磁界検出部5aから離脱して第2磁性部材7Caに進入する。この磁束は、第2磁性部材7Caの第2平板部77中を磁石4dに向けて進行し、やがて第1側板部71Bを介して磁石4dに到達する。
また、第1磁性部材6Caの第2平板部67に進入した磁束の一部は、当該第2平板部67中を第2磁性部材7Ca側と反対側に向けて進行する。この磁束は、磁界検出部5aの下側において、磁界検出部5aの長さ方向一端側の部分に進入する。この磁束は、磁界検出部5a中をその長さ方向他方側へ向けて進行し、長さ方向中央部を通過して、長さ方向他端側の部分に到達する。この磁束は、磁界検出部5aから離脱して第2磁性部材7Caに進入する。この磁束は、第2磁性部材7Caの第2平板部77中を磁石4dに向けて進行し、やがて第1側板部71Bを介して磁石4dに到達する。
以上のように、磁石4aが第1磁性部材6Caに対向し、磁石4dが第2磁性部材7Caに対向した場合には、磁石4aから磁石4dに向かう磁束の大部分が磁性部材6Ca,7Caにより誘導される。これにより、例えば図9A及び図9B中の太実線矢印で示すような磁界検出部5aの長さ方向中央部近傍を通過する比較的強い磁路(磁界)が形成される。また、例えば図9A及び図9B中の太破線矢印で示すような磁界検出部5aの長さ方向一端側から他端側に向かう比較的弱い磁界も形成される。
以上のような磁界が磁界検出部5aに付与されることで、磁界検出部5aの磁性素子51の外周部は、図9A及び図9B中のブロック矢印が示す方向に磁化される。従って、磁性素子51の先の磁化方向がブロック矢印と反対方向であった場合には、磁性素子51の磁化方向が反転し、磁界検出部5aのコイル52から例えば正の方向のパルス信号が出力される。
なお、上記で説明した磁性部材6C,7Cの磁界誘導機能及び磁界検出部5の動作は、あくまで一例であり、上記以外の態様であってもよい。
(1−4−3−3.本変形例による効果の例)
以上説明した本変形例においても、上記(1−4−2)の変形例と同様の効果を得ることができる。更に、本変形例では、磁性部材6C,7Cが第1平板部65,75及び第2平板部67,77の両方を有することにより、どちらか一方を有する場合よりも、磁界検出部5に付与する磁界を更に強くすることができ、磁気的な安定性及び効率を更に向上できる。また、磁界検出部5の軸心AX方向の寸法公差や位置公差の影響を低減できる。更に、上部及び下部の両方からの外乱磁場の影響を低減できる。
(1−4−4.磁性部材の構成の他の例〔その4〕)
本変形例は、第1磁性部材及び第2磁性部材が、第1側板部及び第2側板部に加えて、磁界検出部5の上側を覆う第1平板部と、磁界検出部5の半径方向外側を覆う第4側板部とを備える場合の例である。
(1−4−4−1.回転検出装置の構成)
以下、図10A、図10B、及び図10Cを参照しつつ、本変形例に係る回転検出装置1Dの構成の一例について説明する。なお、図10A中では、回転検出装置1の構造の説明の便宜上、磁界検出部5aに対応する1組の第1磁性部材及び第2磁性部材の図示を省略している。また、図10A〜図10C中では、ハウジング2及び基板8の図示を省略している。
図10A〜図10Cに示すように、回転検出装置1Dにおいて、上記実施形態に係る回転検出装置1と異なる構成は、第1磁性部材及び第2磁性部材等であり、シャフト3、磁石4a〜4d、磁界検出部5a〜5c等は、上記実施形態と同様である。
本変形例に係る第1磁性部材6Da,6Db,6Dc(以下適宜「第1磁性部材6D」と総称する。)は、磁界検出部5a〜5cの各々の長さ方向一方側の磁石4a〜4dに対向する部分等を覆うように、ハウジング2に固定されている。また、第2磁性部材7Da,7Db,7Dc(以下適宜「第2磁性部材7D」と総称する。)は、磁界検出部5a〜5cの各々の長さ方向他方側の磁石4a〜4dに対向する部分等を覆うように、ハウジング2に固定されている。そして、磁性部材6Da,7Da、磁性部材6Db,7Db、及び磁性部材6Dc,7Dcは、対応する磁界検出部5の長さ方向中央部において間隙を介して配置され、軸心AXと、対応する磁界検出部5の長さ方向中央部と軸心AX上の最短距離となる点とを通る線から構成される面を対称面とした、面対称となっている。
本変形例では、第1磁性部材6Da〜6Dcは、上記回転検出装置1Bと同様の第1側板部61B、第2側板部62B、及び第1平板部65と、第4側板部64Dとを有する。また、第2磁性部材7Da〜7Dcは、上記回転検出装置1Bと同様の第1側板部71B、第2側板部72B、及び第1平板部75と、第4側板部74Dとを有する。第1磁性部材6Dは、例えば1枚の平板を打ち抜き加工等により所望の形状に成形し、プレス加工等により折り曲げることで、第1側板部61B、第2側板部62B、第1平板部65、及び第4側板部64Dが形成されている。このため、例えば、第1側板部61Bは、第2側板部62B及び第1平板部65の各々と連接し、第1平板部65は第4側板部64Dと連接しているが、第2側板部62Bと第1平板部65とは、連接しておらず折り重ねることで接続(微小な隙間が空いている場合を含む)されている。なお、第2磁性部材7Dについても同様である。
第4側板部64D,74Dは、前述の第4側板部64,74と基本的に同様であり、第1平板部65,75に接続され、対応する磁界検出部5の半径方向外側において当該磁界検出部5の長さ方向に沿って延設されている。
なお、上記で説明した磁性部材6D,7Dの形状等は、あくまで一例であり、上記以外の形状等であってもよい。また、第1磁性部材6Dの成形方法は、上記に限定されるものではない。例えば、別々の板材からなる第1側板部61B、第2側板部62B、第1平板部65、及び第4側板部64Dを溶接等により接続することで、第1磁性部材6Dを成形してもよい。また例えば、鋳造により第1磁性部材6Dを一体的に成形してもよい。なお、第2磁性部材7Dについても同様である。
(1−4−4−2.磁性部材の磁界誘導機能及び磁界検出部の動作)
次に、図11A及び図11Bを参照しつつ、磁性部材6D,7Dの磁界誘導機能及び磁界検出部5の動作の一例について説明する。
図11A及び図11Bに示すように、磁石4aが第1磁性部材6Daに対向し、磁石4dが第2磁性部材7Daに対向した場合における、第1磁性部材6Daの第1側板部61B、第2側板部62B、及び第1平板部65や、第2磁性部材7Daの第1側板部71B、第2側板部72B、及び第1平板部75の磁界誘導機能は、上記図7A及び図7Bを参照しつつ説明した内容とほぼ同様である。従って、ここでは、主に、第1磁性部材6Daの第4側板部64Dや第2磁性部材7Daの第4側板部74Dの磁界誘導機能の一例について説明する。
すなわち、磁石4aから第1磁性部材6Daの第1側板部61B及び第1平板部65を進行した磁束の一部は、第1平板部65に連接された第4側板部64Dに進入し、当該第4側板部64D中を第2磁性部材7Da側に向けて進行する。この際、磁性部材6Da,7Daは、間隙を介して離間しているので、当該第4側板部64D中を第2磁性部材7Da側に向けて進行した磁束の大部分は、磁界検出部5aの半径方向外側において、磁界検出部5aの長さ方向中央部よりもやや一方側の部分に進入する。この磁束は、磁界検出部5a中をその長さ方向他方側へ向けて進行し、長さ方向中央部を通過して、該中央部よりもやや他方側の部分に到達する。この磁束は、磁界検出部5aの半径方向外側において、磁界検出部5aから離脱して第2磁性部材7Daに進入する。この磁束は、第2磁性部材7Daの第4側板部74D中を進行し、やがて第1平板部75や第1側板部71Bを介して磁石4dに到達する。
また、第1磁性部材6Daの第4側板部64Dに進入した磁束の一部は、磁界検出部5aの半径方向外側において、磁界検出部5aの長さ方向一端側の部分に進入する。この磁束は、磁界検出部5a中をその長さ方向他方側へ向けて進行し、長さ方向中央部を通過して、長さ方向他端側の部分に到達する。この磁束は、磁界検出部5aから離脱して第2磁性部材7Daに進入する。この磁束は、第2磁性部材7Daの第4側板部74D中を進行し、やがて第1平板部75や第1側板部71Bを介して磁石4dに到達する。
以上のように、磁石4aが第1磁性部材6Daに対向し、磁石4dが第2磁性部材7Daに対向した場合には、磁石4aから磁石4dに向かう磁束の大部分が磁性部材6Da,7Daにより誘導される。これにより、例えば図11A及び図11B中の太実線矢印で示すような磁界検出部5aの長さ方向中央部近傍を通過する比較的強い磁路(磁界)が形成される。また、例えば図11A及び図11B中の太破線矢印で示すような磁界検出部5aの長さ方向一端側から他端側に向かう比較的弱い磁界も形成される。
以上のような磁界が磁界検出部5aに付与されることで、磁界検出部5aの磁性素子51の外周部は、図11A及び図11B中のブロック矢印が示す方向に磁化される。従って、磁性素子51の先の磁化方向がブロック矢印と反対方向であった場合には、磁性素子51の磁化方向が反転し、磁界検出部5aのコイル52から例えば正の方向のパルス信号が出力される。
なお、上記で説明した磁性部材6D,7Dの磁界誘導機能及び磁界検出部5の動作は、あくまで一例であり、上記以外の態様であってもよい。
(1−4−4−3.本変形例による効果の例)
以上説明した本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。更に、本変形例では、磁性部材6D,7Dが第4側板部64D,74Dを有することにより、磁界検出部5に付与する磁界をより強くすることができ、磁気的な安定性及び効率を向上できる。また、磁界検出部5の半径方向の寸法公差や位置公差の影響を低減できると共に、半径方向外部からの外乱磁場の影響を低減できる。
また、本変形例では、磁性部材6D,7Dが第1平板部65,75を有することにより、磁界検出部5に付与する磁界をより強くすることができ、磁気的な安定性及び効率を向上できる。さらに、上部からの外乱磁場の影響を低減できる。
(1−4−5.磁石を磁界検出部及び磁性部材の外周側に配置する場合)
上記実施形態では、磁石4が内周側、つまり、半径方向の内側から外側に向けて、磁石4、第1及び第2磁性部材6,7、磁界検出部5の順に配置されていた。しかし、磁石、第1及び第2磁性部材、磁界検出部の位置関係は、上記に限定されるものではない。例えば、磁石4を外周側、つまり、半径方向の内側から外側に向けて、磁界検出部5、第1及び第2磁性部材6,7、磁石4の順に配置してもよい。
(1−4−5−1.回転検出装置の構成)
以下、図12A及び図12Bを参照しつつ、本変形例に係る回転検出装置1Eの構成の一例について説明する。なお、図12A及び図12B中では、ハウジング2、シャフト3、及び基板8の図示を省略している。
図12A及び図12Bに示すように、回転検出装置1Eは、円筒部材30を有する。円筒部材30は、ハウジング2に対し軸心AXを回転軸として回転可能に支持されている。具体的には、円筒部材30は、シャフト3に連結され、シャフト3の回転に連動して軸心AX周りに回転する。この円筒部材30の内周には、その周方向に前述の磁石4a〜4dが例えば接着等により固定されている。つまり、本変形例では、円筒部材30は、磁石支持体の一例に相当し、軸心AX方向は、回転軸方向の一例に相当する。
従って、磁石4a〜4dは、円筒部材30の回転に連動して軸心AX周りに回転する。この際、磁石4a〜4dは、各々の回転軌跡円R1〜R4の中心が軸心AX上となり、且つ各々の回転軌跡円R1〜R4の半径(円周)が互いに等しくなるように、軸心AX周りに回転する。そして、磁石4a〜4dは、半径方向に磁化されており、各々の半径方向内側の磁極が円周方向に交互になるように、配置されている。例えば、磁石4a〜4dは、各々の半径方向内側の磁極がN極、S極、N極、S極となるように、配置されている。そして、磁石4a〜4dは、円周方向に例えば等間隔(90°間隔)で離間して配置されている。なお、図12Aでは磁石4cの半径方向内側の磁極のみ図示しており、磁石4b,4dの磁極の図示を省略している。また、図12Bでは、磁石4a〜4dの磁極の図示を省略している。
なお、円筒部材30は、シャフト3に連結されず被検出対象に直接連結されてもよい。また、図12に示す例では円筒部材30の磁石固定箇所を平板状としているが、円筒部材30の全体を円筒形状とし、円弧状の磁石4を固定してもよい。
本変形例に係る第1磁性部材6Ea,6Eb,6Ec(以下適宜「第1磁性部材6E」と総称する。)は、磁界検出部5a〜5cの半径方向外側において各々の長さ方向一方側の磁石4a〜4dに対向する部分等を覆うように、前述の基板8を介してハウジング2に固定されている。また、第2磁性部材7Ea,7Eb,7Ec(以下適宜「第2磁性部材7E」と総称する。)は、磁界検出部5a〜5cの半径方向外側において各々の長さ方向他方側の磁石4a〜4dに対向する部分等を覆うように、前述の基板8を介してハウジング2に固定されている。
そして、磁性部材6Ea,7Ea、磁性部材6Eb,7Eb、及び磁性部材6Ec,7Ecは、対応する磁界検出部5の長さ方向中央部において間隙を介して配置され、軸心AXと、対応する磁界検出部5の長さ方向中央部と軸心AX上の最短距離となる点とを通る線から構成される面を対称面とした、面対称となっている。
以上のように、本変形例では、円筒部材30の内周に、磁石4a〜4dが固定されている。そして、円筒部材30の内周側に、磁界検出部5a〜5cが配置されている。また、半径方向において磁石4a〜4dと磁界検出部5a〜5cの間に、磁性部材6Ea〜6Ec,7Ea〜7Ecが配置されている。つまり、半径方向の内側から外側に向けて、磁界検出部5a〜5c、磁性部材6Ea〜6Ec,7Ea〜7Ec、磁石4a〜4dの順に配置されている。
なお、上記で説明した回転検出装置1Eの構成は、あくまで一例であり、上記以外の構成であってもよい。
(1−4−5−2.磁性部材の磁界誘導機能及び磁界検出部の動作)
次に、図13を参照しつつ、磁性部材6E,7Eの磁界誘導機能及び磁界検出部5の動作の一例について説明する。
図13に示すように、磁石4aが第1磁性部材6Eaに対向し、磁石4dが第2磁性部材7Eaに対向した場合には、磁石4aから磁石4dに向かう磁束の大部分は、磁石4aから第1磁性部材6Eaに進入する。
磁石4aから第1磁性部材6Eaに進入した磁束の大部分は、第1磁性部材6Ea中を第2磁性部材7Ea側に向けて進行する。この際、磁性部材6Ea,7Eaは、間隙を介して離間しているので、第1磁性部材6Ea中を第2磁性部材7Ea側に向けて進行した磁束は、磁界検出部5aの半径方向外側において、磁界検出部5aの長さ方向中央部よりもやや一方側の部分に進入する。この磁束は、磁界検出部5a中をその長さ方向他方側へ向けて進行し、長さ方向中央部を通過して、該中央部よりもやや他方側の部分に到達する。この磁束は、磁界検出部5aの半径方向外側において、磁界検出部5aから離脱して第2磁性部材7Eaに進入する。この磁束は、第2磁性部材7Ea中を磁石4dに向けて進行し、やがて磁石4dに到達する。
また、磁石4aから第1磁性部材6Eaに進入した磁束の一部は、第1磁性部材6Ea中を第2磁性部材7Eaと反対側に向けて進行する。この磁束の一部は、磁界検出部5aの長さ方向一端側の部分に進入する。この磁束は、磁界検出部5a中をその長さ方向他方側に向けて進行し、長さ方向中央部を通過して、長さ方向他端側の部分に到達する。この磁束は、磁界検出部5aから離脱して第2磁性部材7Eaに進入する。この磁束は、第2磁性部材7Ea中を磁石4dに向けて進行し、やがて磁石4dに到達する。
以上のように、磁石4aが第1磁性部材6Eaに対向し、磁石4dが第2磁性部材7Eaに対向した場合には、磁石4aから磁石4dに向かう磁束の大部分が磁性部材6Ea,7Eaにより誘導される。これにより、例えば図13中の太実線矢印で示すような磁界検出部5aの長さ方向中央部近傍を通過する比較的強い磁路(磁界)が形成される。また、例えば図13の太破線矢印で示すような磁界検出部5aの長さ方向一端側から他端側に向かう比較的弱い磁界も形成される。
以上のような磁界が磁界検出部5aに付与されることで、磁界検出部5aの磁性素子51の外周部は、図13中のブロック矢印が示す方向に磁化される。従って、磁性素子51の先の磁化方向がブロック矢印と反対方向であった場合には、磁性素子51の磁化方向が反転し、磁界検出部5aのコイル52から例えば正の方向のパルス信号が出力される。
なお、上記で説明した磁性部材6E,7Eの磁界誘導機能及び磁界検出部5の動作は、あくまで一例であり、上記以外の態様であってもよい。
(1−4−5−3.本変形例による効果の例)
以上説明した本変形例においても、上記実施形態と同様に、回転検出装置1Eの軸方向寸法を低減できる。また、磁性部材6E,7Eの磁界誘導機能により、磁性素子51の磁化方向の予測困難な変化を防止して被検出対象の検出精度を高めることができる。
(1−4−6.リング磁石を固定する場合)
上記実施形態や各変形例では、磁石として、平板状磁石である磁石4a〜4bを用いていたが、リング磁石を用いてもよい。ここでは、前述の回転検出装置1,1A〜1Eのうち、回転検出装置1Bの磁石4a〜4eをリング磁石に変更する場合を代表に説明するが、他の回転検出装置1,1A,1C〜1Eの磁石4a〜4eをリング磁石に変更することも可能である。
以下、図14A及び図14Bを参照しつつ、本変形例に係る回転検出装置1Fの構成の一例について説明する。図14Aは、前述の図6Bに対応する図であり、図14Bは、外周にリング磁石が固定されたシャフトの一例を表す斜視図である。
図14A及び図14Bに示すように、回転検出装置1Fにおいて、前述の回転検出装置1Bと異なる構成は、シャフト及び磁石であり、磁界検出部5a〜5c、磁性部材6Ba〜6Bc,7Ba〜7Bc等は、前述の回転検出装置1Bと同様である。
すなわち、回転検出装置1Fは、前述のシャフト3に代えてシャフト3Fを有し、前述の磁石4a〜4dに代えてリング磁石4Fを有する。
シャフト3Fは、前述のハウジング2に対し軸心AXを回転軸として回転可能に支持され、その軸心AX方向全域に亘って円柱状に形成されている。このシャフト3Fの外周には、リング磁石4F(磁石の一例に相当)が例えばホルダにより固定されている。つまり、本変形例では、シャフト3Fは、磁石支持体の一例に相当し、軸心AX方向は、回転軸方向の一例に相当する。
リング磁石4Fは、半径方向に磁化されており、半径方向外側の磁極が円周方向に交互になるように設けられた4つの磁極部4Fa,4Fb,4Fc,4Fdを備える。例えば、磁極部4Fa,4Fb,4Fc,4Fdは、各々の半径方向外側の磁極がN極、S極、N極、S極となるように、配置されている。つまり、図14B中に示す「N」「S」の記載は、各磁極部の半径方向外側の磁極に対応する。なお、図14Aでは、磁極部4Fa〜4Fdの磁極の図示を省略している。
なお、リング磁石4Fを、複数の円弧状の磁石としてシャフト3Fの外周に固定してもよい。
本変形例では、リング磁石4Fを用いることにより、平板状磁石を用いる場合に比べて、磁界をより強くすることができ、磁気的な安定性及び効率を向上できる。また、遠心力に対する強度が高まると共に、シャフト3Fへの保持構造も簡素化できる。
(1−4−7.周囲をシールド部材で覆う場合)
上記実施形態や各変形例のうち、磁界検出部5a〜5cの半径方向外側が第1及び第2磁性部材で覆われていない例(例えば回転検出装置1,1B,1C,1F等)等では、磁界検出部5a〜5bの周囲を磁性材料で構成されたシールド部材により覆ってもよい。ここでは、前述の回転検出装置1,1A〜1Fのうち、回転検出装置1Fの磁界検出部5a〜5c等の周囲をシールド部材により覆う場合を代表に説明するが、他の回転検出装置の周囲をシールド部材により覆うことも可能である。
以下、図15を参照しつつ、本変形例に係る回転検出装置1Gの構成の一例について説明する。
図15に示すように、回転検出装置1Gにおいて、前述の回転検出装置1Fと異なる点は、シールド部材が配置された点であり、その他は、前述の回転検出装置1Fと同様である。
すなわち、回転検出装置1Gには、例えば円筒状のシールド部材10が配置されている。シールド部材10は、磁性材料で構成され、磁界検出部5a〜5c等の周囲を覆うように、前述のハウジング2に固定されている。
このように磁界検出部5a〜5cの周囲にシールド部材10を配置することにより、半径方向外部からの外乱磁場の影響を低減できる。
以上、第1実施形態及びその変形例について説明した。これら第1実施形態及びその変形例に係る回転検出装置1,1A〜1Gは様々な態様で使用でき、被検出対象を含め使用態様は特に限定されるものではない。例えば、被検出対象をモータとし、回転検出装置1,1A〜1Gを当該モータに組み付けて使用することができる。しかし、回転検出装置1,1A〜1Gは、被検出対象をモータ以外の回転装置としてもよいし、被検出対象に組み付けられなくてもよい。
以下、回転検出装置1,1A〜1Gの使用態様の一例として、被検出対象をモータとし、回転検出装置1,1A〜1Gを当該モータに組み付けて使用する場合の実施形態について説明する。
<2.第2実施形態>
以下、回転検出装置1,1A〜1Gの使用態様の一例である第2実施形態について説明する。ここでは、回転検出装置1,1A〜1Gのうち、回転検出装置1をモータに組み付けて使用する場合を代表に説明するが、他の回転検出装置1A〜1Gをモータに組み付けて使用することも可能である。
(2−1.モータの構成)
以下、図16を参照しつつ、本実施形態に係るモータの構成の一例について説明する。なお、図16中では、モータの構造の説明の便宜上、回転検出装置1の構成を側面から見た状態で示し、それ以外の構成を断面的に示すと共に、ハウジングを透視して図示している。
図16に示すように、モータM1は、モータシャフトSHと、モータ電磁部200と、前述の回転検出装置1を備えたエンコーダ100とを有する。
モータシャフトSHの端部には、回転検出装置1のシャフト3が同一軸心となるように連結されている。
モータ電磁部200は、モータシャフトSHをその軸心AX周りに回転させることで、回転力を出力する。本明細書中では、モータ電磁部200の回転力出力側を「負荷側」といい、その反対側を「反負荷側」ということにする。
ここで、モータM1の構造の説明の便宜上、以下では、上下等の方向を次のように定めて適宜使用する。すなわち、図16において、反負荷側方向、つまりZ軸正の方向を「上」と定め、逆の負荷側方向、つまりZ軸負の方向を「下」と定める。但し、上下等の方向は、モータM1の設置態様により変動するものであり、モータM1の各構成の位置関係を限定するものではない。
モータ電磁部200の構成は、モータシャフトSHを回転させることが可能な構成であれば特に限定されるものではないが、例えば次のように構成される。
すなわち、モータ電磁部200は、固定子201と、固定子201の内周側に配置された回転子202とを有する。つまり、モータ電磁部200は、固定子201の内周側に回転子202を配置した、いわゆる「インナーロータ型」として構成される。
回転子202は、軸受206,207により回転可能に支持されたモータシャフトSHと同一軸心となるように、モータシャフトSHの外周に固定されている。
固定子201は、フレーム203の内周に固定され、回転子202の外周と径方向に磁気的空隙を介して対向するように、軸受206,207の外輪が嵌合されたブラケット204,205により支持されている。
上記構成のモータ電磁部200は、回転子202が固定子201に対し軸心AX周りに回転することで、モータシャフトSHを軸心AX周りに回転させることが可能である。
なお、上記で説明したモータ電磁部200の構成は、あくまで一例であり、上記以外の構成であってもよい。例えば、モータ電磁部200は、インナーロータ型として構成される場合に限定されるものではなく、固定子の外周側に回転子を配置した、いわゆる「アウターロータ型」として構成されてもよい。
エンコーダ100は、モータ電磁部200の例えば上側に隣接して配置されている。このエンコーダ100の構成は、少なくとも回転検出装置1によりモータ電磁部200の回転状態(例えば回転方向や回転数等)を検出可能な構成であれば特に限定されるものではないが、例えば次のように構成される。
すなわち、エンコーダ100は、回転検出装置1と、ディスク101と、エンコーダ基板103と、光学モジュール104と、制御部(図示せず)とを有する。そして、エンコーダ100は、その各構成が前述のハウジング2により覆われ、前述のシャフト3がハウジング2に対し軸心AX周りに回転可能に上記モータシャフトSHの上端部に連結され、ハウジング2が上記ブラケット204の上面に例えばボルト等により固定されている。
回転検出装置1(詳細構造は、前述の図1、図2A、及び図2B参照)は、前述の基板8が下側に配置された状態で、基板8がハウジング2に固定されている。
ディスク101は、その回転中心が軸心AXと一致するように、シャフト3の上端部にハブ102を介して連結されている。つまり、ディスク101は、シャフト3の回転に連動して軸心AX周りに回転する。このディスク101の上面には、その円周方向に沿って複数の反射スリット(図示せず)が配列されたトラック(図示せず)が1つ以上形成されている。反射スリットは、後述の光源105から出射された光を反射する。トラックにおける反射スリットの配列パターンとしては、例えば、反射スリットが所定のピッチで規則的に繰り返される「インクリメンタルパターン」や、反射スリットの位置や割合等がディスク101の1回転内で一義に定まる「シリアルアブソリュートパターン」等が挙げられ、特に限定されるものではない。
エンコーダ基板103は、ディスク101と離反しつつその上側に配置され、支持部材(図示せず)を介してハウジング2に固定されている。このエンコーダ基板103上の一部の電子機器は、基板8上の一部の電子機器と例えばケーブルにより接続されている。
光学モジュール104は、ディスク101と平行となり、且つ上記トラックの一部と対向可能に、エンコーダ基板103の下面に取り付けられている。この光学モジュール104の下面には、光源105が設けられると共に、ディスク101の円周方向に沿って複数の受光素子が配列された受光アレイ(図示せず)が1つ以上設けられている。光源105は、例えばLED等で構成され、対向する位置を通過する上記トラックの一部に光を出射する。受光素子は、例えばフォトダイオードで構成され、光源105から出射され対向する位置を通過する上記トラックの反射スリットで反射された光を受光し、受光信号を出力する。
制御部は、各受光素子から出力された受光信号に基づいて、モータ電磁部200の回転状態(例えば回転方向や回転数等)を検出可能である。
なお、上記で説明したモータM1の構成は、あくまで一例であり、上記以外の構成であってもよい。例えば、ディスク101は、ハブ102を介してシャフト3に連結されていたが、ハブ102を介さずにシャフト3に直接連結されてもよい。また、エンコーダ100は、いわゆる「反射型」の光学検出機構を備えていたが、これに代えて、いわゆる「透過型」の光学検出機構を備えてもよい。また、エンコーダ100は、モータ電磁部200の上側に隣接して配置されていたが、モータ電磁部200の上側に例えば電磁ブレーキ等の他の構成を配置し、モータ電磁部200の上側に当該他の構成を介して配置されてもよい。
(2−2.本実施形態による効果の例)
以上説明した本実施形態のモータM1は、上記第1実施形態に係る回転検出装置1を備えるので、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。従って、回転検出装置1を備えたモータM1の軸方向寸法を低減できる。また、前述したように回転検出装置1の磁性部材6a〜6c,7a〜7cの磁界誘導機能により磁性素子51の磁化方向の予測困難な変化を防止して、モータ電磁部200の回転の検出精度を高めることができる。
なお、上記では、上記第1実施形態に係る回転検出装置1を備えたモータM1を例に挙げて説明したので、モータM1は第1実施形態と同様の効果を得ることができた。しかし、モータM1が他の回転検出装置1A〜1Gを備える場合には、当該他の回転検出装置1A〜1Gに係る上記第1実施形態の変形例と同様の効果を得ることができる。
<3.第3実施形態>
次に、回転検出装置1,1A〜1Gの使用態様の別の例である第3実施形態について説明する。ここでは、回転検出装置1,1A〜1Gのうち、回転検出装置1Bをモータに組み付けて使用する場合を代表に説明するが、他の回転検出装置1,1A,1C〜1Gをモータに組み付けて使用することも可能である。
(3−1.モータの構成)
以下、図17を参照しつつ、本実施形態に係るモータの構成の一例について説明する。
図17に示すように、モータM2において、上記第2実施形態に係るモータM1と異なる点は、エンコーダの構成であり、その他は、上記第2実施形態に係るモータM1と同様である。
ここで、モータM2の構造の説明の便宜上、以下では、上下等の方向を次のように定めて適宜使用する。すなわち、図17において、反負荷側方向、つまりZ軸正の方向を「上」と定め、逆の負荷側方向、つまりZ軸負の方向を「下」と定める。但し、上下等の方向は、モータM2の設置態様により変動するものであり、モータM2の各構成の位置関係を限定するものではない。なお、ここで定めた上下等の方向は、回転検出装置1Bに係る上記第1実施形態の変形例(前述の図6A〜図6C参照)で定めた上下等の方向と反対となる。
モータM2のエンコーダ100Aは、モータ電磁部200の例えば上側に隣接して配置されている。このエンコーダ100Aの構成は、少なくとも回転検出装置1Bによりモータ電磁部200の回転状態(例えば回転方向や回転数等)を検出可能な構成であれば特に限定されるものではないが、例えば次のように構成される。
すなわち、エンコーダ100Aは、回転検出装置1Bと、前述のディスク101と、エンコーダ基板103Aと、前述の光学モジュール104と、前述の制御部とを有する。そして、エンコーダ100Aは、前述のエンコーダ100と同様、その各構成がハウジング2により覆われ、シャフト3がハウジング2に対し回転可能にモータシャフトSHの上端部に連結され、ハウジング2がブラケット204の上面に固定されている。
回転検出装置1B(詳細構造は、前述の図6A〜図6C参照)は、前述の基板8が上側に配置され、前述の磁性部材6Ba〜6Bc,7Ba〜7Bcの第1平板部65,75が下側に配置された状態で、基板8が支持部材(図示せず)を介してハウジング2に固定され、第1平板部65,75がハウジング2に固定されている。
ディスク101は、本実施形態では、前述のトラックが形成された面が下面となるように、シャフト3の上端部にハブ102Aを介して連結されている。
エンコーダ基板103Aは、貫通孔1031を有する。そして、エンコーダ基板103Aは、ディスク101と離反しつつその下側に配置されるように、貫通孔1031にシャフト3を貫通させ、支持部材(図示せず)を介してハウジング2に固定されている。つまり、エンコーダ基板103Aは、回転検出装置1Bの基板8の直上に配置されている。このエンコーダ基板103A上の一部の電子機器は、基板8上の一部の電子機器と例えばケーブルやコネクタにより接続されている。
光学モジュール104は、本実施形態では、上記トラックの一部と対向可能に、エンコーダ基板103Aの上面に取り付けられている。つまり、本実施形態では、光学モジュール104の上面に、前述の光源105や受光アレイが設けられている。
なお、上記で説明したモータM2の構成は、あくまで一例であり、上記以外の構成であってもよい。例えば、ディスク101は、ハブ102Aを介してシャフト3に連結されていたが、ハブ102Aを介さずにシャフト3に直接連結されてもよい。また、エンコーダ100Aは、いわゆる「反射型」の光学検出機構を備えていたが、これに代えて、いわゆる「透過型」の光学検出機構を備えてもよい。また、エンコーダ100Aは、モータ電磁部200の上側に隣接して配置されていたが、モータ電磁部200の上側に例えば電磁ブレーキ等の他の構成を配置し、モータ電磁部200の上側に当該他の構成を介して配置されてもよい。
(3−2.本実施形態による効果の例)
以上説明した本実施形態のモータM2は、上記第1実施形態の2番目の変形例に係る回転検出装置1Bを備えるので、当該2番目の変形例と同様の効果を得ることができる。従って、回転検出装置1Bを備えたモータM2の軸方向寸法を低減できる。また、前述したように回転検出装置1Bの磁性部材6Ba〜6Bc,7Ba〜7Bcの磁界誘導機能により磁性素子51の磁化方向の予測困難な変化を防止して、モータ電磁部200の回転の検出精度を高めることができる。
また、本実施形態では、磁性部材6Ba〜6Bc,7Ba〜7Bcの第1平板部65,75が下側(モータ電磁部200側)に配置されるように回転検出装置1Bを設置している。これにより、モータ電磁部200からの磁場の影響を低減することが可能となり、モータ電磁部200の回転の検出精度を高めることができる。そして、上記構成は、回転検出装置1Bとモータ電磁部200との間に電磁ブレーキが配置される場合には、当該電磁ブレーキからの磁場の影響をも低減することが可能であるので、特に有効である。
また、本実施形態では、エンコーダ基板103Aと回転検出装置1Bの基板8とを近接して配置することできる。これにより、基板間の接続構成(ケーブルやコネクタ等)を簡素化できると共に、接続距離の短縮により基板間で送受信される信号にのるノイズを低減でき、エンコーダ100Aの信頼性を向上できる。
なお、上記では、上記第1実施形態の2番目の変形例に係る回転検出装置1Bを備えたモータM2を例に挙げて説明したので、モータM2は上記第1実施形態の2番目の変形例と同様の効果を得ることができた。しかし、モータM2が他の回転検出装置1,1A,1C〜1Gを備える場合には、当該他の回転検出装置1,1A,1C〜1Gに係る上記第1実施形態やその変形例と同様の効果を得ることができる。
なお、以上の説明において、「垂直」「平行」「中央」等の記載がある場合には、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「垂直」「平行」「中央」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に垂直」「実質的に平行」「実質的に中央」という意味である。
また、以上の説明において、外観上の寸法や大きさが「同一」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。