以下の説明において、基板とは、半導体基板、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板などの各種基板をいう。
また、以下の説明において、一方主面のみに回路パターン等が形成されている基板を例として用いる。ここで、回路パターン等が形成されている主面の側を「表面」と称し、その反対側の回路パターン等が形成されていない主面を「裏面」と称する。また、下方に向けられた基板の面を「下面」と称し、上方に向けられた基板の面を「上面」と称する。尚、以下においては上面を表面として説明する。
また、以下の説明において、「過冷却」とは、物質の相変化において、変化するべき温度以下でもその状態が変化しないでいる状態を指す。即ち、以下の説明においては過冷却の液体を使用するので、液体が凝固点(転移点)を過ぎて冷却されても凝固せず、液相を保持する状態を示す。例えば、水であれば摂氏零度以下でもなお凍結しない状態を指す。
以下、本発明の実施の形態を、半導体基板の処理に用いられる基板処理装置を例に採って図面を参照して説明する。尚、本発明は、半導体基板の処理に限らず、液晶表示器用のガラス基板などの各種の基板の処理にも適用することができる。また、本発明が適用できる基板処理装置は、洗浄処理、および乾燥処理を同じ装置内で連続して行うものだけに限らず、単一の処理のみを行う装置にも適用可能である。
<第一実施形態>
図3、図4および図5はこの発明にかかる基板処理装置9の概略構成を示す図である。図3は基板処理装置9の正面図であり、図4は図3の基板処理装置9のB1−B1線に沿った矢視断面図である。また、図5は図3の基板処理装置9を矢印B2側からみた側面図である。この装置は半導体基板等の基板W(以下、単に「基板W」と記載する)に付着しているパーティクル等の汚染物質(以下「パーティクル等」と記載する)を除去するための洗浄処理に用いられる枚葉式の基板処理装置である。
尚、各図には方向関係を明確にするため、Z軸を鉛直方向とし、XY平面を水平面とする座標系を適宜付している。また、各座標系において、矢印の先端が向く方向を+(プラス)方向とし、逆の方向を−(マイナス)方向とする。
基板処理装置9は、基板Wを例えば25枚収容したFOUP(Front Open Unified Pod)949を載置するオープナー94と、オープナー94上のFOUP949から未処理の基板Wを取り出し、また処理完了後の基板WをFOUP949内に収納するインデクサユニット93と、インデクサユニット93とセンターロボット96との間で基板Wの受け渡しを行うシャトル95と、基板Wをセンターロボット96でその内部に収容して洗浄を行う処理ユニット91と、処理ユニット91に供給される液体や気体の配管、開閉弁等を収容する流体ボックス92と、で構成される。
まず、これらの平面的な配置について図4を用いて説明する。基板処理装置9の一端(図4において左端)には複数の(本実施形態においては3台の)オープナー94が配置される。オープナー94の図4における右側(+Y側)に隣接してインデクサユニット93が配置される。インデクサユニット93のX方向における中央付近であって、インデクサユニットの図4における右側(+Y側)に隣接してシャトル95が配置され、シャトル95の図4における右側(+Y側)に、シャトル95と+Y方向に並ぶようにセンターロボット96が配置される。このように、インデクサユニット93と、シャトル95およびセンターロボット96は、直交する二本のラインの配置をなしている。
+Y方向に並ぶように配置されたシャトル95とセンターロボット96の図4における上側(−X側)と下側(+X側)には処理ユニット91と流体ボックス92が配置されている。即ち、シャトル95とセンターロボット96の図4における上側(−X側)または下側(+X側)に、インデクサユニット93の図4における右側(+Y側)に隣接して、流体ボックス92、処理ユニット91、処理ユニット91、流体ボックス92の順に配置されている。
尚、インデクサユニット93の+X側(図4における下側)の側面には後述する制御ユニット97の操作部971が設置されている(図3参照)。
次に、オープナー94について説明する。オープナー94はその上部にFOUP949を載置する載置面941と、FOUP949の正面(図3および図4におけるFOUP949の右側(+Y側)の面)に対向して配置され、FOUP949の正面にある蓋部(図示省略)を開閉する開閉機構943(図5参照)を有する。
基板処理装置9の外部から自動搬送車両等により搬入されたFOUP949は、オープナー94の載置面941上に載置され、開閉機構943により蓋部が解放される。これにより、後述するインデクサユニット93のインデクサロボット931が、FOUP949内の基板Wを搬出し、逆にFOUP949内に基板Wを搬入することが可能となる。
次に、インデクサユニット93について説明する。インデクサユニット93には、FOUP949から処理工程前の基板Wを一枚ずつ取り出すとともに、処理工程後の基板WをFOUP949に一枚ずつ収容し、更に基板Wをシャトル95と受け渡しする、Z軸方向に上下に配置された2組のハンド933を有するインデクサロボット931が備えられている。インデクサロボット931はX軸方向に水平移動自在であり、またZ軸方向に昇降移動自在であるとともに、Z軸周りに回転可能に構成されている。
次に、シャトル95について説明する。シャトル95には、基板Wの図4における上側(−X側)および下側(+X側)の周縁部付近であって、インデクサロボット931のハンド933および後述するセンターロボット96のハンド961と干渉しない位置を保持するZ軸方向に上下に配置された2組のハンド951と、2組のハンド951をそれぞれ独立してY軸方向に水平移動する水平移動機構(図示せず)とを備える。
シャトル95はインデクサロボット931とセンターロボット96双方との間で基板Wを受け渡し可能に構成されている。即ち、図示しない水平移動機構によりハンド951が図4における左側(−Y側)に移動した場合インデクサロボット931のハンド951との間で基板Wの受け渡しが可能となり、また、ハンド951が図4における右側(+Y側)に移動した場合はセンターロボット96のハンド951との間で基板Wの受け渡しが可能となる。
次に、センターロボット96について説明する。センターロボット96には、基板Wを1枚ずつ保持し、シャトル95または処理ユニット91との間で基板Wの受け渡しを行うZ軸方向に上下に配置された2組のハンド961と、鉛直方向(Z軸方向)に延設され、ハンド961の鉛直方向の移動の軸となる昇降軸963と、ハンド961を昇降移動させる昇降機構965と、ハンド961をZ軸周りに回転させる回転機構967が備えられている。センターロボット96はZ軸方向に昇降軸963に沿って昇降移動自在であるとともに、回転機構967によってハンドがZ軸周りに回転可能に構成されている。
尚、処理ユニット91の後述する側壁であって、センターロボット96に対向する面には、センターロボット96のハンド961を伸ばして処理ユニット91内に基板Wを搬入し、または搬出するための開口が設けられている。また、センターロボット96が処理ユニット91と基板Wの受け渡しを行わない場合に上記開口を閉塞して処理ユニット91内部の雰囲気の清浄度を保持するためのシャッター911が設けられている。
尚、図3に示すように処理ユニット91と流体ボックス92は上下2段に積み上げる構成とされている。従って、本実施形態における基板処理装置9には処理ユニット91および流体ボックス92はそれぞれ8台備えられている。
次に、インデクサロボット931、シャトル95およびセンターロボット96による基板Wの搬送の手順について説明する。基板処理装置9の外部から自動搬送車両等により搬入されたFOUP949は、オープナー94の載置面941上に載置され、開閉機構943により蓋部が解放される。インデクサロボット931はFOUP949の所定の位置から下側のハンド933により基板Wを1枚取り出す。その後、インデクサロボット931はシャトル95の前(図4におけるインデクサユニット93のX軸方向中央付近)に移動する。同時にシャトル95は下側のハンド951をインデクサユニット93の側(図4における左側(−Y側))へ移動する。
シャトル95の前に移動したインデクサロボット931は下側のハンド933に保持した基板Wをシャトル95の下側のハンド951に移載する。その後、シャトル95は下側のハンド951をセンターロボット96の側(図4における右側(+Y側))に移動する。また、センターロボット96がシャトル95にハンド961を向ける位置に移動する。
その後、センターロボット96が下側のハンド961により、シャトル95の下側のハンド951に保持された基板Wを取り出し、8つある処理ユニット91のいずれかのシャッター911へハンド961を向けるように移動する。その後、シャッター911が解放され、センターロボット96が下側のハンド961を伸ばして処理ユニット91内に基板Wを搬入し、処理ユニット91内での基板Wの洗浄処理が開始される。
処理ユニット91内で処理が完了した基板Wは、センターロボット96の上側のハンド961で搬出され、その後は上記未処理の基板Wを搬送する場合とは逆にセンターロボット96の上側のハンド961、シャトル95の上側のハンド951、インデクサロボット931の上側のハンド933の順に移載され、最終的にFOUP949の所定の位置に収容される。
次に、処理ユニット91の構成について図6を用いて説明する。図6は処理ユニット91の構成を示す模式図である。ここで、本実施形態における8つの処理ユニット91はそれぞれ同じ構成であるため、図4における矢印B3の示す処理ユニット91(図3において左下側の処理ユニット91)を代表として以下説明する。
処理ユニット91は、基板Wを略水平に保持し、回転する基板保持手段11と、基板保持手段11をその内側に収容し、基板保持手段11及び基板Wからの飛散物等を受け止めて排気・排液する排液捕集手段21と、基板保持手段11に保持された基板Wの表面Wfに対向して配置され、基板表面Wfの上方の空間を外気から遮断する雰囲気遮断手段23と、を有する。
また、処理ユニット91は、凝固体を形成可能な凝固対象液を過冷却状態にして基板Wに供給し、基板W上に凝固対象液の凝固体を形成する凝固体形成手段31と、基板W上の凝固対象液の凝固体に、凝固対象液の凝固点より低い凝固点を有し、かつ凝固対象液の凝固点より低い温度の冷却液を供給して冷却する表面冷却手段35と、凝固した凝固対象液を融解する融解手段41と、基板表面Wfおよび基板裏面Wbに向けてリンス液を供給するリンス手段45と、基板裏面Wbに凝固対象液の凝固点より低い温度の冷媒を吐出して基板Wを冷却する裏面冷却手段47と、基板表面Wfおよび基板裏面Wbに向けて乾燥用気体を供給して基板表面Wfおよび基板裏面Wbを外気から遮断する乾燥用気体供給手段51と、後述する洗浄プログラムに基づいて基板処理装置9の各部の動作を制御する制御ユニット97と、を有する。
尚、本実施形態においては、凝固対象液、融解液及びリンス液として脱イオン水(De Ionized Water:以下「DIW」と記載する)を、表面及び裏面の冷却用の冷媒としてHFEを、それぞれ用いる。また、本実施形態においては乾燥用気体として窒素ガスを用いる。
ここで、HFEとはハイドロフルオロエーテル(Hydrofluoroether)を主たる成分とする液体をいう。「HFE」として例えば住友スリーエム株式会社製の商品名ノベック(登録商標)シリーズのHFEを用いることができる。具体的には、HFEとして、例えば化学式:C4F9OCH3、化学式:C4F9OC2H5、化学式:C6F13OCH3、化学式:C3HF6−CH(CH3)O−C3HF6、化学式:C2HF4OCH3(凝固点:−(マイナス)38℃(摂氏)以下)などを用いることができる。これらのHFEは希釈されていても良い。
また、処理ユニット91は、中空の略角柱形状を有する側壁901と、側壁901に略水平に固設され、処理ユニット91内の空間を仕切る上側ベース部材902及び下側ベース部材903と、側壁901の内部であって上側ベース部材902の上方である上側空間905と、側壁901の内部であって、上側ベース部材902の下方であり、かつ下側ベース部材903の上方である処理空間904と、側壁901の内部であって下側ベース部材903の下方である下側空間906と、を有する。尚、本実施形態において側壁901は略角柱形状としたが、側壁の形状はそれに限定されず、略円柱形状やその他の形状としても良い。
尚、側壁901のうちセンターロボット96に対向する側には、センターロボットが処理ユニット91内に基板Wを搬入し、または搬出可能な開口と、その開口を閉塞して処理ユニット91内部の雰囲気の清浄度を保持するためのシャッター911が設けられている。
上側ベース部材902は側壁901の上方(図6における上側)に略水平に固設され、処理ユニット91の内部の空間である上側空間905と処理空間904との間を仕切っている。上側ベース部材902の中央付近には、上側ベース部材902の下面から、処理ユニット91の上端に連通する雰囲気導入路907が設けられている。また、雰囲気導入路907の上端付近には、処理空間904へ清浄な雰囲気を供給するファンフィルタユニット908が設けられている。上側空間905内の雰囲気導入路907に設置されたファンフィルタユニット908は、処理ユニット91上方から雰囲気を取り込み、内蔵したHEPAフィルタ等により雰囲気中の微粒子等を捕集した上で、下方である処理空間904内へ清浄化された雰囲気を供給する。
下側ベース部材903は側壁901の中程(図6における下側)に略水平に固設され、処理ユニット91の内部の空間である処理空間904と下側空間906との間を仕切っている。下側ベース部材903には複数の排気口909が設けられており、各排気口909は図示しない排気系統に接続され、処理空間904内の雰囲気を外部に排出している。
ここで、処理空間904内は清浄な雰囲気が保たれており、基板Wの洗浄等が行われる空間である。また、上側空間905及び下側空間906は処理空間904内に設置される各部材を駆動するための駆動源等が配設される空間である。
ファンフィルタユニット908を通して処理空間904内に供給された雰囲気は、処理空間904の上方から下方へ向かう流れとなり、最終的に排気口909から処理空間904の外に排出される。これにより、後述する基板Wを処理する各工程において発生する微細な液体の微粒子等を、処理空間904の中を上から下に向かって流れる気流により下向きに移動させて排気口909から排出する。よって、これら微粒子が基板Wや処理空間904内の各部材に付着することを防止できる。
次に、基板保持手段11、排液捕集手段21および雰囲気遮断手段23の構成について図7を用いて説明する。図7は基板保持手段11、排液捕集手段21および雰囲気遮断手段23の構成を示す模式図である。
まず、基板保持手段11について説明する。基板保持手段11のベースユニット111は下側ベース部材903の上に固設されており、ベースユニット111の上方に、中心部に開口を有する円板状のスピンベース113が回転可能に略水平に支持されている。スピンベース113の下面中心には中心軸117の上端がネジなどの締結部品によって固定されている。また、スピンベース113の周縁付近には、基板Wの周縁部を把持するための複数個の基板保持部材115が立設されている。基板保持部材115は、円形の基板Wを確実に保持するために3個以上設けてあればよく、スピンベース113の周縁に沿って等角度間隔で配置されている。各基板保持部材115のそれぞれは、基板Wの周縁部を下方から支持する基板支持部と、基板支持部に支持された基板Wの外周端面を押圧して基板Wを保持する基板保持部とを備えている。
各基板保持部材115は公知のリンク機構や褶動部材等を介して基板保持部材駆動機構119内のエアシリンダに連結されている。尚、基板保持部材駆動機構119はスピンベース113の下側であってベースユニット111の内部に設置される。また、基板保持部材駆動機構119は制御ユニット97と電気的に接続されている。そして、制御ユニット97から基板保持手段11への動作指令により、基板保持部材駆動機構119のエアシリンダが伸縮することで、各基板保持部材115は、その基板保持部が基板Wの外周端面を押圧する「閉状態」と、その基板保持部が基板Wの外周端面から離れる「開状態」との間を切り替え可能に構成されている。尚、基板保持部材115の駆動源としてエアシリンダ以外に、モーターやソレノイド等の公知の駆動源を用いることも可能である。
そして、スピンベース113に対して基板Wが受渡しされる際には、各基板保持部材115を開状態とし、基板Wに対して洗浄処理等を行う際には、各基板保持部材115を閉状態とする。各基板保持部材115を閉状態とすると、各基板保持部材115は基板Wの周縁部を把持して、基板Wがスピンベース113から所定間隔を隔てて略水平姿勢に保持されることとなる。これにより、基板Wは、その表面Wfを上方に向け、裏面Wbを下方に向けた状態で保持される。なお、この実施形態では、基板Wの表面Wfに微細パターンが形成されており、表面Wfがパターン形成面となっている。
また、基板保持手段11の中心軸117には、モーターを含む基板回転機構121の回転軸が連結されている。尚、基板回転機構121は下側ベース部材903の上であってベースユニット111の内部に設置される。また、基板回転機構121は制御ユニット97と電気的に接続されている。そして、制御ユニット97から基板保持手段11への動作指令により、基板回転機構121が駆動されると、中心軸117に固定されたスピンベース113が回転中心軸A1を中心に回転する。
尚、スピンベース113の上面から中心軸117を通して下側空間906に至るまで、後述する下側第一供給管及び下側第二供給管が挿通可能なように、連通した中空部が形成されている。
次に、排液捕集手段21について説明する。基板保持手段11の周囲であって下側ベース部材903の上側に略円環状のカップ210が、基板保持手段11に保持されている基板Wの周囲を包囲するように設けられている。カップ210は基板保持手段11及び基板Wから飛散する液体などを捕集することが可能なように回転中心軸A1に対して略回転対称な形状を有している。尚、図中、カップ210については説明のため断面形状を示している。
カップ210は互いに独立して昇降可能な内構成部材211、中構成部材213及び外構成部材215で構成される。図7に示すとおり、内構成部材211の上に中構成部材213及び外構成部材215が重ねられた構造を有する。内構成部材211、中構成部材213及び外構成部材215は、下側空間906に設けられた、モーター及びボールネジ等の公知の駆動機構で構成されたガード昇降機構217にそれぞれ接続されている。また、ガード昇降機構217は制御ユニット97と電気的に接続されている。そして、制御ユニット97から排液捕集手段21への動作指令によりガード昇降機構217が駆動されると、内構成部材211、中構成部材213及び外構成部材215がそれぞれ独立に、又は複数の部材が同期して回転中心軸A1に沿って上下方向に移動する。
内構成部材211には、内構成部材211、中構成部材213及び外構成部材215それぞれで捕集された液体をそれぞれ別の経路で排液処理系へ導くための収集溝が3つ設けられている。それぞれの収集溝は回転中心軸A1を中心とする略同心円状に設けられ、各収集溝には図示しない排液処理系へと接続する配管がそれぞれ管路接続されている。
カップ210は内構成部材211、中構成部材213及び外構成部材215のそれぞれの上下方向の位置を組合せて使用する。例えば、内構成部材211、中構成部材213及び外構成部材215の全てが下位置にあるホームポジション、内構成部材211及び中構成部材213が下位置であって外構成部材215のみ上位置にある外捕集位置、内構成部材211が下位置であって中構成部材213及び外構成部材215が上位置に有る中捕集位置、及び内構成部材211、中構成部材213及び外構成部材215の全てが上位置にある内捕集位置である。
ホームポジションはセンターロボット96が基板Wを処理ユニット91内に搬入出する場合などにおいて取られる位置である。外捕集位置は外構成部材215で受け止めた液体を捕集して外側の収集溝に導く位置であり、中捕集位置は中構成部材213で受け止めた液体を中間の収集溝に導く位置であり、また、内捕集位置は内構成部材211で受け止めた液体を内側の収集溝に導く位置である。
このような構成の排液捕集手段21を用いることにより、処理に使用される液体に応じて内構成部材211、中構成部材213及び外構成部材215のそれぞれの位置を変更して分別捕集することが可能となり、それぞれの液体を分別し、対応する排液処理系に排出することで、液体の再利用や混合することが危険な複数の液体を分別して処理することが可能となる。
次に、雰囲気遮断手段23について説明する。雰囲気遮断手段23の基板対向部材である遮断部材231は、中心部に開口を有する円板状に形成されている。遮断部材231の下面は、基板Wの表面Wfと略平行に対向する基板対向面となっており、基板Wの直径と同等以上の大きさに形成されている。遮断部材231は、その内部が中空であって略円筒形状を有する支持軸233の下方に回転可能に略水平に支持される。
支持軸233の上端部は遮断部材231を回転する遮断部材回転機構235の下面に固設される。遮断部材回転機構235は、例えば中空モーター237及び中空軸239で構成される。中空軸239の一端(図7における上端)は中空モーター237の回転軸に連結されており、他端(図7における下端)は支持軸233の中を通して遮断部材231の上面に連結されている。また、遮断部材回転機構235は制御ユニット97と電気的に接続されている。そして、制御ユニット97から雰囲気遮断手段23への動作指令により遮断部材回転機構235が駆動されると、遮断部材231が支持軸233の中心を通る鉛直軸周りに回転される。遮断部材回転機構235は、基板保持手段11に保持された基板Wの回転に応じて基板Wと同じ回転方向でかつ略同じ回転速度で遮断部材231を回転させるように構成されている。
尚、遮断部材回転機構235の上面から遮断部材231の中心部の開口にいたるまで、後述する上側第一供給管及び上側第二供給管が挿通可能なように、中空モーター237及び中空軸239の内部空間を含む連通した中空部が形成されている。
遮断部材回転機構235の一側面(図7における左側面)にはアーム241の一端が接続され、アーム241の他端は上下軸243の図7における上端付近に接続されている。上下軸243は排液捕集手段21のカップ210の周方向外側であって、下側ベース部材903の上に固設された円筒形状のベース部材245に昇降可能に取り付けられる。上下軸243には、ベース部材245の中を通して、モーター及びボールネジ等の公知の駆動機構で構成された遮断部材昇降機構247が接続されている。
尚、遮断部材昇降機構247は下側空間906に設けられている。また、遮断部材昇降機構247は制御ユニット97と電気的に接続されている。そして、制御ユニット97から雰囲気遮断手段23への動作指令により遮断部材昇降機構247が駆動されると、遮断部材231がスピンベース113に近接し、逆に離間する。
すなわち、制御ユニット97は、遮断部材昇降機構247の動作を制御して、処理ユニット91に対して基板Wを搬入出させる際には、遮断部材231を基板保持手段11の上方の離間位置に上昇させる一方、基板Wに対して後述するリンス処理や基板Wの乾燥等を行う際には、遮断部材231を基板保持手段11に保持された基板Wの表面Wfのごく近傍に設定された対向位置まで下降させる。
次に、凝固体形成手段31の構成について図8を用いて説明する。図8は凝固体形成手段31の構成を示す模式図である。基板Wに凝固対象液を供給するノズル311は、上側ベース部材902の下面に設置されたノズル駆動機構313に昇降及び旋回可能に支持されている。ノズル駆動機構313のベース部材315は、上側ベース部材902の下面であって雰囲気導入路907の外側に下方に伸びるように固設されている。
ベース部材315の下方には、旋回上下軸317が上下及び回転自在に支持されている。尚、ベース部材315は旋回上下軸317と、後述する上下駆動部321及び旋回駆動部319を接続するために中空の略円筒形状に構成される。旋回上下軸317の下面にはアーム323の一端が結合されており、アーム323の他端にノズル311が取り付けられている。
旋回上下軸317はベース部材315の中を通して、モーター及びボールネジ等の公知の駆動機構で構成された上下駆動部321及び、モーター及びギア等の公知の駆動機構で構成された旋回駆動部319に接続されている。また、上下駆動部321及び旋回駆動部319は制御ユニット97と電気的に接続されている。尚、上下駆動部321及び旋回駆動部319は上側空間905に配設される。
制御ユニット97から凝固体形成手段31への動作指令により上下駆動部321が駆動されると、旋回上下軸317が上下に移動し、アーム323に取り付けられているノズル311を上下に移動させる。また、制御ユニット97から凝固体形成手段31への動作指令により旋回駆動部319が駆動されると、旋回上下軸317が回転中心軸A2を中心に回転し、アーム323を旋回することで、アーム323に取り付けられたノズル311を揺動させる。
ノズル311は配管335を介して、第一DIW供給部333に管路接続されている。また、配管335には開閉弁337が介挿されており、開閉弁337は常時閉成とされている。また、開閉弁337は制御ユニット97と電気的に接続されている。そして、制御ユニット97から凝固体形成手段31への動作指令により開閉弁337が開成すると、第一DIW供給部333から過冷却状態のDIWが配管335を介してノズル311へ圧送される。尚、第一DIW供給部333は、基板処理装置9の内部に設けられていても、外部に設けられていてもよい。
図9に第一DIW供給部333の構成を示す。第一DIW供給部333は、DIWを貯留するDIWタンク341、DIWタンク341からのDIWを圧送するポンプ343及びDIWを冷却する冷却ユニット344で構成される。DIWタンク341に管路接続されたポンプ343はDIWを加圧して冷却ユニット344に送出する。ポンプ343を介して冷却ユニット344に供給されたDIWは、冷却ユニット344において過冷却状態とされ、配管335を介してノズル311に供給される。
本実施形態では、冷却ユニット344として、気体冷媒を用いた冷凍サイクルによる冷却装置を用いる。即ち、HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)、HFC(ハイドロフルオロカーボン)、二酸化炭素、アンモニアなどの気体が圧縮機346で圧縮され、配管349を介して凝縮器347に圧送される。圧縮機346で加圧された冷媒は凝縮器347で冷却され高圧の液体となり配管349を介してキャピラリチューブ348に送られて減圧される。キャピラリチューブ348で減圧された液体は、配管349を介して蒸発器345に送られる。
蒸発器345は、配管335の周りに配管349が螺旋状に巻回された構造となっている。配管335の周りに巻回された配管349の中で冷媒が気化することにより気化熱を生じ、配管335の中の凝固対象液から熱を奪って冷却する。蒸発器345で気化した冷媒は、配管349を介して再び圧縮機346に戻り、上記のサイクルが繰り返し行われる。
尚、本実施形態では、冷却ユニット344として冷凍サイクルを用いた冷却装置を使用したが、凝固対象液を冷却する手段はこれに限られない。即ち、冷却ユニット344としてペルチェ素子により電気的に冷却する装置や、冷却された冷媒に直接配管335を浸漬して冷却する方法など、公知の冷却手段を用いることができる。また、第一DIW供給部333にDIWタンク341を設けず、工場ユーティリティー側から直接DIWを供給する構成とすることも可能である。尚、第一DIW供給部333のポンプ343は基板処理装置9が起動した時点から常時動作している。
次に、表面冷却手段35の構成について図10を用いて説明する。図10は表面冷却手段35の構成を示す模式図である。基板Wに液体冷媒を供給するノズル351は、上側ベース部材902の下面に設置されたノズル駆動機構353により、昇降及び旋回可能に支持されている。ノズル駆動機構353のベース部材355は、上側ベース部材902の下面であって雰囲気導入路907の外側に下方に伸びるように固設されている。
ベース部材355の下方には、旋回上下軸357が上下及び回転自在に支持されている。尚、ベース部材355は旋回上下軸357と、後述する上下駆動部361及び旋回駆動部359を接続するために中空の略円筒形状に構成される。旋回上下軸357はベース部材355に対して昇降可能及び回転可能に支持される。旋回上下軸357の下面にはアーム363の一端が結合されており、アーム363の他端にノズル351が取り付けられている。
旋回上下軸357はベース部材355の中を通して、モーター及びボールネジ等の公知の駆動機構で構成された上下駆動部361及び、モーター及びギア等の公知の駆動機構で構成された旋回駆動部359に接続されている。また、上下駆動部361及び旋回駆動部359は制御ユニット97と電気的に接続されている。尚、上下駆動部361及び旋回駆動部359は上側空間905に配設される。
制御ユニット97から表面冷却手段35への動作指令により上下駆動部361が駆動されると、旋回上下軸357が上下に移動し、アーム363に取り付けられているノズル351を上下に移動させる。また、制御ユニット97から表面冷却手段35への動作指令により旋回駆動部359が駆動されると、旋回上下軸357が中心軸A3を中心に回転し、アーム363を旋回することで、アーム363に取り付けられたノズル351を揺動させる。
ノズル351は配管375を介して、HFE供給部373に管路接続されている。また、配管375には開閉弁377が介挿されており、開閉弁377は常時閉成とされている。また、開閉弁377は制御ユニット97と電気的に接続されている。そして、制御ユニット97から表面冷却手段35への動作指令により開閉弁377が開成すると、HFE供給部373から低温のHFEが配管375を介してノズル351へ圧送される。尚、HFE供給部373は、基板処理装置9の内部に設けられていても、外部に設けられていてもよい。
図11にHFE供給部373の構成を示す。HFE供給部373は、HFEを貯留するHFEタンク381、HFEタンク381からのHFEを圧送するポンプ383及びHFEの温度を調整する温度調整ユニット385で構成される。HFEタンク381に管路接続されたポンプ383はHFEを加圧して温度調整ユニット385に送出する。ポンプ383を介して温度調整ユニット385に供給されたHFEは、温度調整ユニット385において冷却され、配管375を介してノズル351に供給される。
ここで、温度調整ユニット385はペルチェ素子による温度調整装置や冷媒を用いた熱交換器など、公知の温度調整手段を用いることができる。また、HFE供給部373にHFEタンク381を設けず、工場ユーティリティー側から直接HFEを供給する構成とすることも可能である。尚、HFE供給部373のポンプ383は基板処理装置9が起動した時点から常時動作している。
次に、融解手段41の構成について図12を用いて説明する。図12は融解手段41の構成を示す模式図である。基板Wに融解液を供給するノズル411は、上側ベース部材902の下面に設置されたノズル駆動機構413に昇降及び旋回可能に支持されている。ノズル駆動機構413のベース部材415は、上側ベース部材902の下面であって雰囲気導入路907の外側に下方に伸びるように固設されている。
ベース部材415の下方には、旋回上下軸417が上下及び回転自在に支持されている。尚、ベース部材415は旋回上下軸417と、後述する上下駆動部421及び旋回駆動部419を接続するために中空の略円筒形状に構成される。旋回上下軸417の下面にはアーム423の一端が結合されており、アーム423の他端にノズル411が取り付けられている。
旋回上下軸417はベース部材415の中を通して、モーター及びボールネジ等の公知の駆動機構で構成された上下駆動部421及び、モーター及びギア等の公知の駆動機構で構成された旋回駆動部419に接続されている。また、上下駆動部421及び旋回駆動部419は制御ユニット97と電気的に接続されている。尚、上下駆動部421及び旋回駆動部419は上側空間905に配設される。
制御ユニット97から融解手段41への動作指令により上下駆動部421が駆動されると、旋回上下軸417が上下に移動し、アーム423に取り付けられているノズル411を上下に移動させる。また、制御ユニット97から融解手段41への動作指令により旋回駆動部419が駆動されると、旋回上下軸417が回転中心軸A4を中心に回転し、アーム423を旋回することで、アーム423に取り付けられたノズル411を揺動させる。
ノズル411は配管435を介して、第二DIW供給部433に管路接続されている。また、配管435には開閉弁437が介挿されており、開閉弁437は常時閉成とされている。また、開閉弁437は制御ユニット97と電気的に接続されている。そして、制御ユニット97から融解手段41への動作指令により開閉弁437が開成すると、第二DIW供給部433からDIWが配管435を介してノズル411へ圧送される。尚、第二DIW供給部433は、基板処理装置9の内部に設けられていても、外部に設けられていてもよい。
図13に第二DIW供給部433の構成を示す。第二DIW供給部433は、DIWを貯留するDIWタンク441、DIWタンク441からのDIWを圧送するポンプ443及びDIWの温度を調整する温度調整ユニット445を有する。DIWタンク441に管路接続されたポンプ443はDIWを加圧して温度調整ユニット445に送出する。ポンプ443を介して温度調整ユニット445に供給されたDIWは、温度調整ユニット445において温度調整され、配管435を介してノズル411に供給される。
ここで、温度調整ユニット445はペルチェ素子による温度調整装置や冷媒を用いた熱交換器など、公知の温度調整手段を用いることができる。また、第二DIW供給部433にDIWタンク441を設けず、工場ユーティリティー側から直接DIWを供給する構成とすることも可能である。尚、第二DIW供給部433のポンプ443は基板処理装置9が起動した時点から常時動作している。
次に、リンス手段45、裏面冷却手段47および乾燥用気体供給手段51の構成について図14を用いて説明する。図14は、リンス手段45、裏面冷却手段47および乾燥用気体供給手段51の構成を示す模式図である。リンス手段45は基板表面Wfおよび基板裏面Wbに向けてリンス液を供給するものであり、裏面冷却手段47は基板裏面Wbに向けて冷媒を供給するためのものであり、乾燥用気体供給手段51は基板表面Wfおよび基板裏面Wbに向けて乾燥用気体を供給するものである。
まず、基板表面Wf側の管路構成について説明する。前述の雰囲気遮断手段23の遮断部材回転機構235の上面から、遮断部材231の中心部の開口まで連通する中空部の内部に上側第一供給管271が挿通されるとともに、当該上側第一供給管271に上側第二供給管273が挿通され、いわゆる二重管構造となっている。この上側第一供給管271及び上側第二供給管273の下方端部は遮断部材231の開口に延設されており、上側第二供給管273の先端にノズル275が設けられている。
次に、基板裏面Wb側の管路構成について説明する。前述の基板保持手段11のスピンベース113の上面から中心軸117を通って下側空間906に至る連通空間の内部に下側第一供給管281が挿通されるとともに、当該下側第一供給管281に下側第二供給管283が挿通され、いわゆる二重管構造となっている。この下側第一供給管281及び下側第二供給管283の上方端部はスピンベース113の開口に延設されており、下側第二供給管283の先端にノズル291が設けられている。
次に、リンス手段45について説明する。リンス手段45はリンス液の供給源である第三DIW供給部453から基板表面Wfおよび基板裏面Wbにそれぞれリンス液を供給する。図示しないDIWタンク、温度調整ユニット及びポンプを有する第三DIW供給部453に主配管455の一端が管路接続されている。主配管455の他端は、上側分岐配管457および下側分岐配管461に分岐し、上側分岐配管457は上側第二供給管273に、下側分岐配管461は下側第二供給管283にそれぞれ管路接続している。また、第三DIW供給部453のポンプは基板処理装置9が起動した時点から常時動作している。
上側分岐配管457には開閉弁459が介挿されている。なお、開閉弁459は常時閉成されている。また、開閉弁459は制御ユニット97に電気的に接続されている。そして、制御ユニット97からリンス手段45への動作指令により開閉弁459が開成すると、第三DIW供給部453からDIWが主配管455、上側分岐配管457および上側第二供給管273を通してノズル275から基板表面Wfに供給される。
下側分岐配管461には開閉弁463が介挿されている。なお、開閉弁463は常時閉成されている。また、開閉弁463は制御ユニット97に電気的に接続されている。そして、制御ユニット97からリンス手段45への動作指令により開閉弁463が開成すると、第三DIW供給部453からDIWが主配管455、下側分岐配管461と下側第二供給管283を通してノズル291から基板裏面Wbに供給される。
この、第三DIW供給部453、主配管455、上側分岐配管457、下側分岐配管461、開閉弁459、開閉弁463、上側第二供給管273、下側第二供給管283、ノズル275及びノズル291がリンス手段45を構成する。尚、第三DIW供給部453は、基板処理装置9の内部に設けられていても、外部に設けられていてもよい。
次に、裏面冷却手段47について説明する。裏面冷却手段は、HFE供給部373から基板裏面Wbに冷却液であるHFEを供給する。HFE供給部373に一方の端を管路接続された配管475は、他方の端を、開閉弁463と下側第二供給管283との間の下側分岐配管461に合流するよう管路接続されている。
配管475には開閉弁477が介挿されている。なお、開閉弁477は常時閉成されている。また、開閉弁477は制御ユニット97に電気的に接続されている。そして、制御ユニット97から裏面冷却手段47への動作指令により開閉弁477が開成すると、HFE供給部373からHFEが配管475、下側分岐配管461と下側第二供給管283を通してノズル291から基板裏面Wbに供給される。
次に、乾燥用気体供給手段51について説明する。乾燥用気体供給手段51は乾燥用気体の供給源である乾燥用窒素ガス供給部513から基板表面Wf及び基板裏面Wbにそれぞれ乾燥用窒素ガスを供給する。図示しない窒素ガスタンク及びポンプを有する乾燥用窒素ガス供給部513に主配管515の一端が管路接続されている。主配管515の他端は、上側分岐配管517および下側分岐配管521に分岐し、上側分岐配管517は上側第一供給管271に、下側分岐配管は下側第一供給管281にそれぞれ管路接続している。また、乾燥用窒素ガス供給部513のポンプは基板処理装置9が起動した時点から常時動作している。
上側分岐配管517にはマスフローコントローラ519が介挿されている。マスフローコントローラ519は制御ユニット97と電気的に接続されている。そして、制御ユニット97から乾燥用気体供給手段51への動作指令によりマスフローコントローラ519が所定流量となるように開放されると、常温の窒素ガスが主配管515、上側分岐配管517と上側第一供給管271を介して基板表面Wfに供給される。
下側分岐配管521にはマスフローコントローラ523が介挿されている。マスフローコントローラ523は制御ユニット97と電気的に接続されている。そして、制御ユニット97から乾燥用気体供給手段51への動作指令によりマスフローコントローラ523が所定流量となるように開放されると、常温の窒素ガスが主配管515、下側分岐配管521と下側第一供給管281を介して基板裏面Wbに供給される。
この、乾燥用窒素ガス供給部513、主配管515、上側分岐配管517、下側分岐配管521、マスフローコントローラ519、マスフローコントローラ523、上側第一供給管271及び下側第一供給管281が乾燥用気体供給手段51を構成する。尚、乾燥用窒素ガス供給部513は、基板処理装置9の内部に設けられていても、外部に設けられていてもよい。
制御ユニット97は、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAM及び制御用ソフトウェアやデータなどを記憶しておく磁気ディスクを有する。磁気ディスクには、基板Wに応じた洗浄条件が、洗浄プログラム(レシピとも呼ばれる)として予め格納されおり、CPUがその内容をRAMに読み出し、RAMに読み出された洗浄プログラムの内容に従ってCPUが基板処理装置9の各部を制御する。尚、制御ユニット97には洗浄プログラムの作成・変更や、複数の洗浄プログラムの中から所望のものを選択するために用いる操作部971(図3参照)が接続されている。
次に、上記のように構成された基板処理装置9における洗浄処理動作について図15を参照して説明する。図15は基板処理装置9の全体の動作を示すフローチャートである。尚、以下の説明において特に断らない限り、雰囲気遮断手段23は、遮断部材231が対向位置にある場合、基板保持手段11の基板回転手段13がスピンベース113を回転する方向に略同じ回転数で遮断部材231を回転するものとする。
まず、所定の基板Wに応じた洗浄プログラムが操作部971で選択され、実行指示される。その後、基板Wを処理ユニット91に搬入する準備として、制御ユニット97からの動作指令により以下の動作を行う。
すなわち、雰囲気遮断手段23が遮断部材231の回転を停止し、基板保持手段11がスピンベース113の回転を停止する。雰囲気遮断手段23が遮断部材231を離間位置へ移動すると共に、基板保持手段11がスピンベース113を基板Wの受け渡しに適した位置へ位置決めする。また、排液捕集手段21がカップ210をホームポジションに位置決めする。スピンベース113が基板Wの受け渡しに適した位置に位置決めされた後、基板保持手段11が基板保持部材115を開状態とする。
また、凝固体形成手段31がノズル311を退避位置(ノズル311がカップ210の周方向外側に外れている位置)へ移動する。また、表面冷却手段35がノズル351を退避位置(ノズル351がカップ210の周方向外側に外れている位置)へ移動する。また、融解手段41がノズル411を退避位置(ノズル411がカップ210の周方向外側に外れている位置)へ移動する。更に、開閉弁337、377、437、459、463及び477が閉成する。また、マスフローコントローラ519及び523が流量0(ゼロ)に設定される。
基板Wを処理ユニット91に搬入する準備が完了した後、未処理の基板Wを処理ユニット91へ搬入する基板搬入工程が行われる(ステップS101)。即ち、インデクサロボット931がオープナー94上のFOUP949の所定の位置にある基板Wを下側のハンド933で取り出し、シャトル95の下側のハンド951に載置する。その後、シャトル95の下側のハンド951がセンターロボット96の側に移動され、センターロボット96がシャトル95の下側のハンド951上の基板Wを、下側のハンド961で取り上げる。
その後、処理ユニット91のシャッター911が開かれ、センターロボット96が下側のハンド961を処理ユニット91の中に伸ばし、基板Wを基板保持手段11の基板保持部材115の基板支持部の上に載置する。基板Wの処理ユニット91への搬入が終了すると、センターロボット96が下側のハンド961を縮めて処理ユニット91内の外に出すとともに、シャッター911が閉じられる。
未処理の基板Wが処理ユニット91内に搬入され、基板保持部材115の基板支持部の上に載置されると、制御ユニット97から基板保持手段11への動作指令により、基板保持部材駆動機構119が基板保持部材115を閉状態とする。
次に、基板表面Wfに対して、凝固対象液の凝固体を形成する凝固体形成工程(ステップS102)が行われる。まず、制御ユニット97から基板保持手段11への動作指令により、基板回転機構121がスピンベース113の回転数を変更し、凝固体形成工程の間維持する。また、制御ユニット97から排液捕集手段21への動作指令により、カップ210が内捕集位置に位置決めされる。尚、雰囲気遮断手段23の遮断部材231は離間位置のままとされる。
凝固体形成工程における基板Wの回転数は、基板表面Wfに供給された凝固対象液としてのDIWが安定して凝固体を形成可能なように50〜300rpmとすることが好ましい。以下では、凝固体形成工程における基板Wの回転数を80rpmとして説明する。
また、制御ユニット97から凝固体形成手段31への動作指令により、ノズル駆動機構313がノズル311を基板表面Wfの中心付近上空へ位置決めする。ノズル311の位置決めが完了した後、制御ユニット97から凝固体形成手段31への動作指令により、開閉弁337が開成する。これにより、第一DIW供給部333から凝固対象液が配管335を介してノズル311から基板表面Wfの中心付近に供給される。
尚、凝固対象液としてのDIWは、過冷却状態のまま基板表面Wfに供給されて凝固体を形成可能で、かつ、基板表面Wfに供給されるまでの管路内で凝固しないよう、−(マイナス)5℃(摂氏)〜0℃(摂氏)に温度調整されていることが好ましい。以下では、凝固対象液の温度を−(マイナス)5℃(摂氏)であるとして説明する。
液体を構成する分子が結晶化過程(第一種相転移)に移行するためには、核となる微小な相(液体の場合は種結晶等)が必要となるが、過冷却においては微小相の発達が不十分で、そのままでは相転移が行われない。これに対し、過冷却状態にある液体に何らかの物理的刺激(振動など)を加えると、液体内の温度分布にゆらぎが生じ、局所的に低温となって種結晶が生成され、その種結晶を核として急速に結晶化する(接種凍結)。例えば、過冷却状態の水が瓶に入っていれば叩いただけで急速に凍結し、別の容器に移し替えようとすると注がれながら凍っていくので柱状の氷が形成されたりする現象が接種凍結に該当する。
本実施形態の場合は、ノズル311から吐出された凝固対象液が基板表面Wfに着液する衝撃で凝固し、基板表面Wfに凝固対象液の凝固体を形成する。なお、凝固対象液が基板表面Wf上で凝固体を形成するようにさえ構成されていれば、過冷却状態の凝固対象液が結晶化し始めるのは基板表面Wf上に限らず、基板Wに到達するまでの過程で結晶化し始めてもよい。ノズル311が基板表面Wfの中心付近上空で静止したままの状態では、ノズル311直下付近に凝固対象液である凝固対象液の凝固体が集中することとなる。従って、凝固体形成工程においては、回転する基板Wの上空で、ノズル311を移動しながら凝固対象液を吐出することが好ましい。
即ち、ノズル311から凝固対象液の吐出を開始した後、制御ユニット97から凝固体形成手段31への動作指令により、ノズル駆動機構313がノズル311を基板表面Wfの中心付近上空から周縁付近上空へ移動させる。このように回転する基板W上空をノズル311が中心付近上空から周縁付近上空まで移動しながら凝固対象液を吐出することで、基板表面Wf全面に凝固対象液を吐出することが可能となり、その結果、基板表面Wf全面に凝固対象液の凝固体を形成することができる。
また、凝固対象液の凝固体がノズル311の直下近傍に集中して形成されることから、ノズル311から基板表面Wfに供給される凝固対象液の量を変更することで基板表面Wfのそれぞれの部分に形成される凝固対象液である凝固対象液の凝固体の厚さを変更することが可能となる。
即ち、前述のとおり、凝固対象液を吐出しながらノズル311を基板表面Wfの中心付近上空から外縁付近上空まで移動する間に、ノズル311の移動速度は一定としてノズル311から吐出される凝固対象液の量を変更する、あるいはノズル311から吐出される凝固対象液の量は一定としてノズル311の移動速度を変更する事により凝固対象液の凝固体の厚さを変更することが可能となる。このように、基板表面Wf上に形成する凝固対象液の凝固体の厚さを変更することにより、前述のとおり洗浄能力を変化させることができる(図2参照)。
基板の周縁近傍は、前述の基板冷却工程において基板裏面Wbに向けて冷却液を吐出するノズル291から距離があり、また中心部近傍に比べて冷却すべき面積も大きいため基板Wの中心近傍に比べて冷却効率が低い。加えて、基板Wの周縁近傍は処理ユニット91内部を上から下に流れ落ちる雰囲気の影響を受けて温度上昇しやすい。このため、基板Wの中心部近傍に比較して周縁部近傍のほうが基板表面Wf上に形成された凝固対象液の凝固体の温度が上昇しやすく、洗浄能力が低下するおそれがある(図1参照)。
このため、基板Wの外縁部近傍の凝固対象液の凝固体の厚さを中心部近傍より厚くすることで洗浄能力の低下を防止することが好ましい。尚、凝固対象液の凝固体の厚みが大きいほうが熱容量も大きくなって温度上昇しにくくなるため、雰囲気などからの吸熱による温度上昇も抑えることが可能となり、この点においても洗浄能力の低下を防止することができる。
凝固対象液であるDIWは、凝固して氷となることにより体積が増加する(0℃(摂氏)の水が0度℃(摂氏)の氷になると、その体積はおよそ1.1倍に増加する)。従って、基板表面Wfとパーティクル等との間に侵入したDIWが凝固して膨張することにより、パーティクル等が基板表面Wfから微小距離だけ離間する。その結果、基板表面Wfとパーティクル等との間の付着力が低減され、さらにはパーティクル等が基板Wから脱離することとなる。また、基板表面Wfと平行な方向にも膨張することにより、基板に固着しているパーティクル等を剥離する。これにより、後述する除去工程によりDIWの凝固体である氷が除去されるとともに、パーティクル等も併せて除去される。
基板表面Wfの全面にわたって凝固対象液の凝固体が形成された後、制御ユニット97から凝固体形成手段31への動作指令により、開閉弁337が閉成する。また、制御ユニット97から凝固体形成手段31への動作指令により、ノズル駆動機構313がノズル311を退避位置(ノズル311がカップ210の周方向外側に外れている位置)へ位置決めする。
次に、基板表面Wfに対して、冷却液を供給する凝固体冷却工程(ステップS103)が行われる。まず、制御ユニット97から基板保持手段11への動作指令により、基板回転機構121がスピンベース113の回転数を変更し、凝固体冷却工程の間維持する。また、制御ユニット97から排液捕集手段21への動作指令により、カップ210が中捕集位置に位置決めされる。尚、雰囲気遮断手段23の遮断部材231は離間位置のままとされる。
凝固体冷却工程における基板Wの回転数は、基板表面Wfに供給された冷却液が基板表面Wfの全面に拡散可能なように300〜900rpmとすることが好ましい。以下では、凝固体冷却工程における基板Wの回転数を400rpmとして説明する。
また、制御ユニット97から表面冷却手段35への動作指令により、ノズル駆動機構353がノズル351を基板表面Wfの中心上空へ位置決めする。ノズル351の位置決めが完了した後、制御ユニット97から表面冷却手段35への動作指令により、開閉弁377が開成する。これにより、HFE供給部373から冷却液が配管375を介してノズル351から基板表面Wfの中心付近に供給される。
尚、冷却液としてのHFEは、基板表面Wf上の凝固対象液の凝固体の温度を低下させて洗浄能力を向上するため、−(マイナス)40℃(摂氏)〜−(マイナス)10℃(摂氏)に温度調整されていることが好ましい。以下では、冷却液としてのHFEの温度を−(マイナス)20℃(摂氏)であるとして説明する。
基板表面Wfの中心付近に供給された冷却液は、基板Wが回転することにより生ずる遠心力により、基板Wの中心から基板Wの周縁部に向かって流動し、基板表面Wf全面に拡散する。これにより、基板表面Wf上に形成された凝固対象液の凝固体全ての温度を低下させることが可能となる。
尚、凝固体冷却工程において基板表面Wfに供給された冷却液は、基板Wの回転により生ずる遠心力により基板表面Wfの中心から基板表面Wfの周縁部に向かって流動し、基板外へ飛散して排液捕集手段21により捕集されて排液される。捕集された冷却液には、基板上に残留した液体の凝固対象液も含まれているが、冷却液であるHFEは凝固対象液であるDIWに対して不溶性であるため、冷却液のみ分離して回収し、再利用することもできる。この点は、前述した基板冷却工程に使用した冷却液も同様である。
また、本実施形態においては、ノズル351を基板表面Wfの中心付近上空に静止して冷却液を供給するが、基板表面Wfへの冷却方法はこれに限らない。即ち、ノズル351から基板表面Wfへの冷却液の供給を開始した後、制御ユニット97から表面冷却手段35への動作指令により、ノズル駆動機構353がノズル351を基板表面Wfの中心上空から基板表面Wfの中心付近上空から周縁付近上空へ移動させる。これにより、基板表面Wfの全面に均等に冷却液を供給することが可能となる。
尚、前述のとおり基板Wの周縁部付近の温度は中心付近に比較して上昇しやすいため、ノズル351を基板表面Wfの中心付近上空から周縁付近上空まで移動させた後、所定時間周縁部付近上空で停止させて冷却液の吐出を継続することで、基板Wの周縁部付近をより強く冷却することができる。これにより、洗浄能力の均一化を図ることができる。
基板表面Wfの全面に冷却液が拡散した後、制御ユニット97から表面冷却手段35への動作指令により、開閉弁377が閉成する。また、制御ユニット97から表面冷却手段35への動作指令により、ノズル駆動機構353がノズル351を退避位置(ノズル351がカップ210の周方向外側に外れている位置)へ位置決めする。
次に、基板表面Wf上に形成された凝固対象液であるDIWの凝固体を融解する融解工程(ステップS104)が行われる。まず、制御ユニット97から基板保持手段11への動作指令により、基板回転機構121がスピンベース113の回転数を変更し、融解工程の間維持する。また、制御ユニット97から排液捕集手段21への動作指令により、カップ210が内捕集位置に位置決めされる。尚、雰囲気遮断手段23の遮断部材231は離間位置のままとされる。
融解工程における基板Wの回転数は、基板表面Wfに供給された融解液としてのDIWが基板表面Wfの全面に拡散可能であり、かつ基板表面Wfを拡散する流れにより、基板表面Wf上に残留する冷却液、及び基板表面Wfから脱離したパーティクル等を押し流すことが可能なように1500〜2500rpmとすることが好ましい。以下では、融解工程における基板Wの回転数を2000rpmとして説明する。
また、制御ユニット97から融解手段41への動作指令により、ノズル駆動機構413がノズル411を基板表面Wfの中心付近の上空へ位置決めする。ノズル411の位置決めが完了した後、制御ユニット97から融解手段41への動作指令により、開閉弁437が開成する。これにより、第二DIW供給部433から融解液が配管435を介してノズル411から基板表面Wfの中心付近に供給される。
基板表面Wfに供給された融解液としてのDIWは、基板Wの表面Wfに形成された凝固対象液の凝固体を融解する時間を短縮し、融解し切れなかった凝固対象液の凝固体が融解液であるDIW中に浮遊してパターンに衝突してダメージを与えることを防止するため、50℃(摂氏)から90℃(摂氏)の温度に調節されることが好ましい。以下では、融解液として80℃(摂氏)のDIWが供給されるとして説明する。
基板表面Wfの中心付近に供給された融解液は、基板Wの回転に伴う遠心力により、基板表面Wfの中心から基板表面Wfの周縁部に向かって流動し、基板表面Wf全面に拡散し、基板外へ飛散して排液捕集手段21により捕集されて排液される。基板表面Wf上に拡散した融解液は、基板表面Wf上に形成された凝固対象液の凝固体を急速に解凍するとともに、基板表面Wfから脱離したパーティクル等をその流れにより押し流して基板Wの外に排出する。また、基板表面Wf上に残留する冷却液もその流れにより押し流して基板Wの外に排出する。
基板表面Wf上の凝固対象液の凝固体が融解された後、制御ユニット97から融解手段41への動作指令により、開閉弁437が閉成する。また、制御ユニット97から融解手段41への動作指令により、ノズル駆動機構413がノズル411を退避位置(ノズル411がカップ210の周方向外側に外れている位置)へ位置決めする。
次に、リンス工程(ステップS105)が行われる。制御ユニット97から雰囲気遮断手段23への動作指示により、遮断部材昇降機構247が遮断部材231を対向位置へ移動する。また、制御ユニット97から基板保持手段11への動作指令により、基板回転手段13がスピンベース113の回転数を変更し、リンス工程の間維持する。尚、カップ210は内捕集位置のままとされる。
リンス工程における基板Wの回転数は、基板表面Wfおよび基板裏面Wbに供給されたリンス液が基板表面Wfおよび基板裏面Wbの全面に拡散可能なように300〜1000rpmとすることが好ましい。以下では、リンス工程における基板Wの回転数を800rpmとして説明する。
遮断部材231が対向位置に位置決めされた後、制御ユニット97からリンス手段45への動作指示により、開閉弁459及び開閉弁463が開成する。
これにより、第三DIW供給部453からリンス液が、主配管455、上側分岐配管457、上側第二供給管273を介してノズル275から基板表面Wfへ、また、主配管455、下側分岐配管461、下側第二供給管283を介してノズル291から基板裏面Wbへ供給される。基板表面Wf及び基板裏面Wbのそれぞれ中心付近に供給されたリンス液は、基板Wの回転による遠心力により、基板周縁方向に流動し、最終的には基板周縁部から基板W外へ飛散し、排液捕集手段21に捕集されて排液される。
尚、リンス液は、先行する各工程において基板Wの裏面Wbへ飛散したDIW等や、雰囲気の中に浮遊していたパーティクル等が基板Wに付着したものなどを除去する役割をも果たす。
リンス工程終了後、制御ユニット97からリンス手段45への動作指令により、開閉弁459及び開閉弁463が閉成する。
次に、基板Wを乾燥する乾燥工程(ステップS106)が行われる。制御ユニット97から乾燥用気体供給手段51への動作指令により、マスフローコントローラ519及び523が所定流量となるように開放される。尚、雰囲気遮断手段23の遮断部材231は対向位置のままとされ、カップ210は内捕集位置のままとされる。
これにより、乾燥用窒素ガス供給部513からの常温の乾燥用窒素ガスが、主配管515、上側分岐配管517、上側第一供給管271を介して基板表面Wfへ、また、主配管515、下側分岐配管521、下側第一供給管281を介して基板裏面Wbへ供給される。乾燥用窒素ガスが、対向位置に位置決めされた遮断部材231の下面と基板表面Wfとの間の空間に充満し、また、スピンベース113の上面と基板裏面Wbとの間の空間に充満することにより、基板表面Wf及び基板裏面Wbと外気とが接触することを防止する。
基板Wが外気から遮断された後、制御ユニット97から基板保持手段11への動作指令により、基板回転機構121がスピンベース113の回転数を変更し、乾燥工程の間維持する。乾燥工程における基板Wの回転数は、基板表面Wfおよび基板裏面Wbに残留したリンス液を遠心力により基板Wの外に振り切ることが可能なように1500〜3000rpmとすることが好ましい。以下では、乾燥工程における基板Wの回転数を2000rpmとして説明する。
基板Wの乾燥完了後、制御ユニット97から乾燥用気体供給手段51への動作指令により、マスフローコントローラ519及び523が流量0(ゼロ)に設定される。また、制御ユニット97からの動作指令により基板回転機構121がスピンベース113の回転を停止する。また、制御ユニット97から雰囲気遮断手段23への動作指令により、遮断部材回転機構235が遮断部材231の回転を停止する。
また、制御ユニット97から排液捕集手段21への動作指令により、カップ210がホームポジションに位置決めされる。スピンベース113の回転が停止した後、制御ユニット97からの動作指令により基板回転機構121がスピンベース113を基板Wの受け渡しに適した位置へ位置決めする。更に、制御ユニット97から雰囲気遮断手段23への動作指令により遮断部材昇降機構247が遮断部材231を離間位置へ移動する。
最後に、基板Wを処理ユニット91から搬出する基板搬出工程(ステップS107)が行われる。基板保持手段11が基板Wの受け渡しに適した位置に位置決めされた後、制御ユニット97から基板保持手段11への動作指令により、基板保持部材駆動機構119が基板保持部材115を開状態とし、基板Wを各基板保持部材115の基板支持部の上に載置する。
その後、シャッター911が開放され、センターロボット96が上側のハンド961を処理ユニット91の中に伸ばし、基板Wを処理ユニット91の外に搬出し、シャトル95の上側のハンド951に移載する。その後、シャトル95は上側のハンド951をインデクサユニット93の側に移動する。
そして、インデクサロボット931が上側のハンド933でシャトル95の上側のハンドに保持されている基板Wを取り出し、FOUP949の所定の位置に搬入し、一連の処理が終了する。
以上のように、本実施形態では、基板表面Wfに過冷却状態の凝固対象液を吐出して、凝固対象液が基板表面Wfに着液する衝撃を利用して凝固させている。従って、従来技術のように基板表面Wf上の凝固対象液の液膜を凝固させるための冷却手段、即ち、窒素ガスを液体窒素で冷却して供給する装置等が不要であり、これら装置を追加することによる装置全体の大型化やコスト上昇、及び、液体窒素等を用いることによるランニングコストの増大を防止することができる。
また、基板表面Wf上の凝固対象液の液膜を凝固させるために、熱の伝達効率が低い気体の冷媒を用いず、凝固対象液自体を過冷却状態として基板表面Wf上に供給することのみで凝固対象液の凝固体を形成しているため、凝固体形成に要する時間の短縮が可能である。
また、基板表面Wf上に形成された凝固対象液の凝固体の温度を低下させるために、凝固対象液の凝固体に液体の冷却液を直接吐出して冷却している。液体は気体に対して熱の伝達効率が高いため、短時間に凝固対象液の凝固体の温度を低下させることができ、処理に要する時間を短縮することが可能である。
また、基板表面Wfに過冷却状態の凝固対象液を吐出して凝固体を形成しているため、その後冷却液を基板表面Wf上に吐出しても基板表面Wf上の凝固対象液は凝固しており排除されることがない。従って、冷却液を供給することにより基板表面Wf上の凝固対象液の凝固体の厚さを変動させることがなく、洗浄能力を正確に制御することが可能である。
<第二実施形態>
次に、この発明にかかる基板処理装置の第二実施形態を説明する。この第二実施形態が第一実施形態と大きく相違する点は、凝固体形成工程の前に、基板Wを冷却する基板冷却工程を行う点である。
尚、第二実施形態の構成は図3ないし図14に示す基板処理装置9及び処理ユニット91と基本的に同一であるため、以下の説明では同一符号を付して構成説明を省略する。
この第二実施形態においても第一実施形態と同様に基板Wを処理ユニット91へ搬入する基板搬入工程(S201)が行われる。
次に、基板裏面Wbに対して、基板Wを冷却する基板冷却工程(ステップS202)が行われる。まず、制御ユニット996から基板保持手段11への動作指令により、基板回転機構121がスピンベース113の回転を開始させ、基板冷却工程の間維持する。また、制御ユニット996から排液捕集手段21への動作指令により、カップ210が中捕集位置に位置決めされる。尚、雰囲気遮断手段23の遮断部材231は離間位置のままとされる。
基板冷却工程における基板Wの回転数は、基板裏面Wbに供給された冷却液が、基板裏面Wb全面に拡散可能なように300〜900rpmとすることが好ましい。以下では、基板冷却工程における基板Wの回転数を400rpmとして説明する。
また、制御ユニット996から裏面冷却手段47への動作指令により、開閉弁477が開成する。これにより、HFE供給部373から冷却液が配管475、下側分岐配管461、下側第二供給管283を介してノズル291から基板裏面Wbへ供給される。
尚、冷却液としてのHFEは、後述する凝固体形成工程において基板Wに着液した凝固対象液が速やかに凝固するよう、−(マイナス)40℃(摂氏)〜−(マイナス)10℃(摂氏)に温度調整されていることが好ましい。以下では、冷却液の温度を−(マイナス)20℃(摂氏)であるとして説明する。
基板裏面Wbの中心付近に供給された冷却液は、基板Wが回転することにより生ずる遠心力により、基板裏面Wbの中心付近から基板裏面Wbの周縁部に向かって拡散する。これにより、冷却液が基板裏面Wb全体に広がって基板裏面Wbの全面が冷却液に接液し、基板Wが冷却液の冷熱により冷却される。
続いて、第一実施形態と同様に、基板表面Wfに過冷却状態の凝固対象液を供給して凝固対象液の凝固体を形成する凝固体形成工程が行われる(ステップS203)。
本実施形態においても、第一実施形態と同様、ノズル311から吐出された凝固対象液が基板表面Wfに着液する衝撃で凝固する。また、これに加えて凝固対象液の凝固点以下に冷却された基板Wに凝固対象液が接触することにより急速に冷却される事によっても凝固する。
また、予め基板Wを冷却液により冷却することで、後述する凝固体形成工程において基板表面Wfに供給された凝固対象液が、基板Wの有する熱によって温度上昇されることなく、基板表面Wfに着液した時点で速やかに凝固する。
更に、凝固対象液が凝固すると凝固熱が生じ、周辺の凝固対象液の温度を上昇させて全体として凝固に要する時間を遅延させる要因となるが、本実施形態においては、発生した凝固熱は冷却された基板Wに吸収されるため、周辺の凝固対象液の温度を上昇することがなく、速やかに凝固体が形成される。
基板表面Wfの全面にわたって凝固対象液の凝固体が形成された後、制御ユニット996から凝固体形成手段31への動作指令により、開閉弁337が閉成する。また、制御ユニット996から凝固体形成手段31への動作指令により、ノズル駆動機構313がノズル311を退避位置(ノズル311がカップ210の周方向外側に外れている位置)へ位置決めする。また、制御ユニット996から裏面冷却手段47への動作指令により、開閉弁477が閉成する。
尚、裏面冷却手段47からの冷却液の吐出は、基板Wを冷却して凝固対象液の凝固体の形成に要する時間を短縮出来ればよいため、凝固体形成工程終了まで行わなくてもよい。即ち、凝固体形成工程の開始時に停止してもよいし、凝固体形成工程の途中で停止してもよい。また、後述する凝固体冷却工程の終了時まで吐出してもよい。
その後、第一実施形態と同様、凝固体冷却工程(ステップS204)、融解工程(ステップS205)、リンス工程(ステップS206)、乾燥工程(ステップS207)および基板搬出工程(ステップS108)が行われ、一連の処理が終了する。
以上のように、本実施形態では、基板表面Wfに過冷却状態の凝固対象液を吐出して、凝固対象液が基板表面Wfに着液する衝撃および冷却された基板Wの冷熱により急速に冷却される刺激を利用して凝固させている。従って、従来技術のように基板表面Wf上の凝固対象液の液膜を凝固させるための冷却手段、即ち、窒素ガスを液体窒素で冷却して供給する装置等が不要であり、これら装置を追加することによる装置全体の大型化やコスト上昇、及び、液体窒素等を用いることによるランニングコストの増大を防止することができる。
また、基板表面Wf上の凝固対象液の液膜を凝固させるために、熱の伝達効率が低い気体の冷媒を用いず、凝固対象液自体を過冷却状態として基板表面Wf上に供給することのみで凝固対象液の凝固体を形成しているため、凝固体形成に要する時間の短縮が可能である。
また、予め基板Wを冷却液により冷却することで、後述する凝固体形成工程において基板表面Wfに供給された凝固対象液が、基板Wの有する熱によって温度上昇されることなく、基板表面Wfに着液した時点で速やかに凝固する。
更に、凝固対象液が凝固すると凝固熱が生じ、周辺の凝固対象液の温度を上昇させて全体としての凝固に要する時間を遅延させる要因となるが、本実施形態においては、発生した凝固熱は冷却された基板Wに吸収され、周辺の凝固対象液の温度を上昇することがなく、速やかに凝固体が形成される。
また、基板表面Wf上に形成された凝固対象液の凝固体の温度を低下させるために、凝固対象液の凝固体に液体の冷却液を直接吐出して冷却している。液体は気体に対して熱の伝達効率が高いため、短時間に凝固対象液の凝固体の温度を低下させることができ、処理に要する時間を短縮することが可能である。
また、基板表面Wfに過冷却状態の凝固対象液を吐出して凝固体を形成しているため、その後冷却液を基板表面Wf上に吐出しても基板表面Wf上の凝固対象液は凝固しており排除されることがない。従って、冷却液を供給することにより基板表面Wf上の凝固対象液の凝固体の厚さを変動させることがなく、洗浄能力を正確に制御することが可能である。
また、上記実施形態では、凝固対象液を吐出する前に冷却液を基板Wの裏面Wbから吐出して基板を冷却していたが、基板を冷却する方法はこれに限らない。即ち、凝固対象液を供給する前に、冷却液を基板表面Wfに供給して基板Wを冷却してもよい。また、凝固体形成工程において、基板表面Wfに対し凝固対象液の吐出を開始した後、ノズル311を旋回移動させる前に一定の時間基板表面Wfの中心近傍に凝固対象液の吐出を行い、基板W全体を冷却してもよい。
<第三実施形態>
次に、この発明にかかる基板処理装置の第三実施形態を説明する。この第三実施形態が第二実施形態と大きく相違する点は、基板冷却工程を凝固体形成工程の間継続し、冷却液に振動を付与する点である。
尚、第三実施形態の構成は図3ないし図14および図16に示す基板処理装置9及び処理ユニット91と基本的に同一であるため、以下の説明では同一符号を付して構成説明を省略する。
この第三実施形態においても第二実施形態と同様に基板Wを処理ユニット91へ搬入する基板搬入工程(S201)が行われる。
次に、基板裏面Wbに対して、基板Wを冷却する基板冷却工程(ステップS202)が行われる。まず、制御ユニット997から基板保持手段11への動作指令により、基板回転機構121がスピンベース113の回転を開始させ、基板冷却工程の間維持する。また、制御ユニット997から排液捕集手段21への動作指令により、カップ210が中捕集位置に位置決めされる。尚、雰囲気遮断手段23の遮断部材231は離間位置のままとされる。
基板冷却工程における基板Wの回転数は、基板裏面Wbに供給された冷却液が、基板裏面Wb全面に拡散可能なように300〜900rpmとすることが好ましい。以下では、基板冷却工程における基板Wの回転数を400rpmとして説明する。
また、制御ユニット997から裏面冷却手段47への動作指令により、開閉弁477が開成する。これにより、HFE供給部373から冷却液が配管475、下側分岐配管461、下側第二供給管283を介してノズル291から基板裏面Wbへ供給される。
尚、冷却液としてのHFEは、後述する凝固体形成工程において基板Wに着液した凝固対象液が速やかに凝固するよう、−(マイナス)40℃(摂氏)〜−(マイナス)10℃(摂氏)に温度調整されていることが好ましい。以下では、冷却液の温度を−(マイナス)20℃(摂氏)であるとして説明する。
また、下側分岐配管461には超音波発振器が介挿されており、冷却液を介して基板Wを振動させるようになっている。尚、超音波発振器の動作は開閉弁477に同期している。即ち、開閉弁477が開成した時点で超音波の発振を開始し、開閉弁477が閉成した時点で超音波の発振を停止する。
基板裏面Wbの中心付近に供給された冷却液は、基板Wが回転することにより生ずる遠心力により、基板裏面Wbの中心付近から基板裏面Wbの周縁部に向かって拡散する。これにより、冷却液が基板裏面Wb全体に広がって基板裏面Wbの全面が冷却液に接液し、基板Wが冷却液の冷熱により冷却される。また、冷却液に付与された超音波振動は基板Wにも伝達され、基板Wを振動させる。
続いて、第二実施形態と同様に、基板表面Wfに過冷却状態の凝固対象液を供給して凝固対象液の凝固体を形成する凝固体形成工程が行われる(ステップS203)。
本実施形態においても、第二実施形態と同様、ノズル311から吐出された凝固対象液が基板表面Wfに着液する衝撃で凝固する。また、これに加えて凝固対象液の凝固点以下に冷却された基板Wに凝固対象液が接触することにより急速に冷却される事によっても凝固する。
更に、基板裏面Wbに供給される冷却液には超音波が付与されており、基板Wを超音波振動させている。この超音波振動も凝固対象液に対する外的刺激となり、凝固対象液の凝固を促進する。
また、予め基板Wを冷却液により冷却することで、後述する凝固体形成工程において基板表面Wfに供給された凝固対象液が、基板Wの有する熱によって温度上昇されることなく、基板表面Wfに着液した時点で速やかに凝固する。
更に、凝固対象液が凝固すると凝固熱が生じ、周辺の凝固対象液の温度を上昇させて全体としての凝固に要する時間を遅延させる要因となるが、本実施形態においては、発生した凝固熱は冷却された基板Wに吸収され、周辺の凝固対象液の温度を上昇することがなく、速やかに凝固体が形成される。
基板表面Wfの全面にわたって凝固対象液の凝固体が形成された後、制御ユニット997から凝固体形成手段31への動作指令により、開閉弁337が閉成する。また、制御ユニット997から凝固体形成手段31への動作指令により、ノズル駆動機構313がノズル311を退避位置(ノズル311がカップ210の周方向外側に外れている位置)へ位置決めする。また、制御ユニット997から裏面冷却手段47への動作指令により、開閉弁477が閉成する。
その後、第二実施形態と同様、凝固体冷却工程(ステップS204)、融解工程(ステップS205)、リンス工程(ステップS206)、乾燥工程(ステップS207)および基板搬出工程(ステップS108)が行われ、一連の処理が終了する。
以上のように、本実施形態では、基板表面Wfに過冷却状態の凝固対象液を吐出して、凝固対象液が基板表面Wfに着液する衝撃および冷却された基板Wの冷熱により急速に冷却される刺激、更に基板に付与される超音波振動を利用して凝固させている。従って、従来技術のように基板表面Wf上の凝固対象液の液膜を凝固させるための冷却手段、即ち、窒素ガスを液体窒素で冷却して供給する装置等が不要であり、これら装置を追加することによる装置全体の大型化やコスト上昇、及び、液体窒素等を用いることによるランニングコストの増大を防止することができる。
また、基板表面Wf上の凝固対象液の液膜を凝固させるために、熱の伝達効率が低い気体の冷媒を用いず、凝固対象液自体を過冷却状態として基板表面Wf上に供給することのみで凝固対象液の凝固体を形成しているため、凝固体形成に要する時間の短縮が可能である。
また、予め基板Wを冷却液により冷却することで、後述する凝固体形成工程において基板表面Wfに供給された凝固対象液が、基板Wの有する熱によって温度上昇されることなく、基板表面Wfに着液した時点で速やかに凝固する。
更に、凝固対象液が凝固すると凝固熱が生じ、周辺の凝固対象液の温度を上昇させて全体としての凝固に要する時間を遅延させる要因となるが、本実施形態においては、発生した凝固熱は冷却された基板Wに吸収されるため、周辺の凝固対象液の温度を上昇することがないため、速やかに凝固体が形成される。
また、基板表面Wf上に形成された凝固対象液の凝固体の温度を低下させるために、凝固対象液の凝固体に液体の冷却液を直接吐出して冷却している。液体は気体に対して熱の伝達効率が高いため、短時間に凝固対象液の凝固体の温度を低下させることができ、処理に要する時間を短縮することが可能である。
また、基板表面Wfに過冷却状態の凝固対象液を吐出して凝固体を形成しているため、その後冷却液を基板表面Wf上に吐出しても基板表面Wf上の凝固対象液は凝固しており排除されることがない。従って、冷却液を供給することにより基板表面Wf上の凝固対象液の凝固体の厚さを変動させることがなく、洗浄能力を正確に制御することが可能である。
また、裏面冷却手段47から供給される冷却液に振動を付与する手段については上記の超音波発振器に限定されるものではない。例えば、開閉弁477を短い間隔で開閉させる、HFE供給部373のポンプ383をベローズポンプにするなどして細かく脈動させる、あるいは下側分岐配管461に流量調整弁を介挿してその流量を変動させる等の手段によって冷却液に振動を与えても良い。
<その他>
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、凝固体形成工程として他の方法を採用することもできる。即ち、凝固体形成工程において基板表面Wfに凝固対象液が着液する衝撃を利用せず他の外的刺激により凝固することも可能である。
例えば、凝固体形成工程においてノズル311を基板表面に近接させて凝固対象液を供給することにより、基板表面Wfに凝固対象液が着液する衝撃を与えることなく基板表面Wf上に凝固対象液の液膜を形成し、その後、ノズル311を上昇させて液滴を滴下する、基板裏面Wbに冷却液を吐出して急激に冷却する、基板裏面Wbに超音波を付与した冷却液を吐出する、基板保持手段11を振動させるなどにより外的な刺激を与えて凝固させることも可能である。
また、上記各実施形態では、基板Wに凝固対象液としてDIWを供給しているが、凝固対象液としてはDIWに限定されるものではなく、純水、超純水や水素水、炭酸水等、更にはSC1等の液体であっても使用することができる。
また、上記各実施形態では、基板Wに融解液としてDIWを供給しているが、融解液としてはDIWに限定されるものではなく、純水、超純水や水素水、炭酸水等、更にはSC1等の液体であっても使用することができる。
また、上記各実施形態では、凝固対象液と融解液を同じDIWとしているが、それぞれ別の液とすることも可能である。
また、上記各実施形態では、冷却液としてHFEを使用しているが、凝固対象液の凝固点より低い凝固点を有している液体であれば他の液体を使用することも可能である。例えばo-キシレン(1,2−ジメチルベンゼン)(化学式:C8H10。凝固点:−(マイナス)25.2℃(摂氏))、m-キシレン(1,3―ジメチルベンゼン)(化学式:C8H10。凝固点:−(マイナス)48.9℃(摂氏))、トリクロロメタン(化学式:CHCl3。凝固点:−(マイナス)63.5℃(摂氏))、テトラクロロエチレン(化学式:CCl2=CCl。凝固点:−(マイナス)22.2℃(摂氏))、ヘキサン(化学式:C6H14。凝固点:−(マイナス)100度℃(摂氏))、ヘプタン(化学式:C7H16。凝固点:−(マイナス)91℃(摂氏))、イソプロピルアルコール(化学式:C3H8O)、エチルアルコール(化学式:C2H5OH。凝固点:−(マイナス)114℃(摂氏))、メチルアルコール(化学式:CH3OH。凝固点:−(マイナス)98℃(摂氏))、オクタン(化学式:C8H18。凝固点:−(マイナス)56.8℃(摂氏))などである。尚、これらの液は希釈されていてもよい。
また、これらの液体のうち、イソプロピルアルコールやエチルアルコール等は凝固対象液であるDIWに可溶性であり、凝固体冷却工程において回収された液体は凝固対象液と冷却液が混合した溶液となる。しかし、凝固対象液に冷却液が混合することにより、その溶液は凝固対象液の凝固点より低い凝固点を有する(例えばDIWにイソプロピルアルコールが混合した場合、イソプロピルアルコールの濃度により凝固点は変動するが、大半の濃度において−(マイナス)20℃(摂氏)以下の凝固点を有する)。従って、HFEのように冷却液のみを分離して回収するのではなく、混合した溶液を回収して再利用することもできる。
また、上記各実施形態では凝固体冷却工程として液体であるHFEを使用したが、凝固体を冷却する手段はこれに限らない。すなわち、凝固体が形成された基板に対し、窒素ガス、オゾンガス、アルゴンガス等の気体を凝固対象液の凝固点より低い温度に冷却して供給することで凝固体を冷却することも可能である。
例えば、凝固体冷却工程においてノズル351から冷却された気体を基板表面Wfに吐出し、ノズル駆動機構353により基板W上空を旋回移動させることにより基板表面Wf全面に供給することができる。この場合、すでに基板W上で凝固対象液は凝固しているため、冷却用の気体の流量を大きくして冷却能力を大きくしても、基板上の凝固対象液を吹き寄せて凝固対象液の凝固体の厚さを不均一にしたり、凝固対象液を基板表面Wfから排除して凝固対象液の凝固体が形成されなくなるようなことがない。
また、凝固体形成手段31において、第一DIW供給部333のDIWタンク341、あるいはDIWタンク341からノズル311に至る配管経路において、凝固対象液に磁場環境、電場環境や超音波を付与することでより低温の過冷却水を安定して基板表面Wfに供給することも可能である。
また、上記各実施形態では、表面冷却手段35及び裏面冷却手段47に対し、冷却液として同じHFEを1つのHFE供給部373から供給しているが、それぞれ別の供給源から冷却液を供給することも可能である。この場合、それぞれ別の液を使用することもでき、また、別の温度の冷却液をそれぞれ供給することも可能となる。