以下の説明において、基板とは、半導体基板、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板などの各種基板をいう。
以下の説明においては、一方主面のみに回路パターン等が形成されている基板を例として用いる。ここで、回路パターン等が形成されている主面の側を「表面」と称し、その反対側の回路パターン等が形成されていない主面を「裏面」と称する。また、下方に向けられた基板の面を「下面」と称し、上方に向けられた基板の面を「上面」と称する。また、基板表面の回路パターンが形成されている領域、及び基板裏面であって基板表面の回路パターンが形成されている領域に相当する領域を「回路形成領域」と称する。尚、以下においては上面を表面として説明する。
以下の説明において、基板Wの「周縁部」とは図1に示す部分を指す。図1は基板Wの外周端部(いわゆる「エッジ」部分)の拡大図であり、図1における上方の面が基板の表面である。基板Wの周縁部981は、基板Wの表面であって回路パターン987が形成された領域及び基板Wの裏面であって回路パターン987が形成された領域に対応する領域である回路形成領域よりも外側(基板Wの中心とは反対の側であって、図1に示す点線C1の右側)の部分である。即ち、回路形成領域の外側に接する表面と裏面の主面周縁領域983、983と、主面周縁領域983の更に外側(基板Wの中心とは反対の側)の面である周端面985で構成され、例えば基板Wの端(図1の右端の面)から2ないし3mm(ミリメートル)の領域である。
尚、図1には主面周縁領域983の外側(基板Wの中心とは反対の側)にテーパー面を有する周端面985を示したが、周端面985の形状はこれに限らない。即ち、断面略半円形状や主面に略垂直に切り落としただけの形状等も含まれる。
以下、本発明の実施の形態を、半導体基板の処理に用いられる基板処理装置を例に採って図面を参照して説明する。尚、本発明は、半導体基板の処理に限らず、液晶表示器用のガラス基板などの各種の基板の処理にも適用することができる。また、本発明が適用できる基板処理装置は、洗浄処理、および乾燥処理を同じ装置内で連続して行うものだけに限らず、単一の処理のみを行う装置にも適用可能である。
<第一実施形態>
図2、図3および図4はこの発明にかかる基板処理装置9の概略構成を示す図である。図2は基板処理装置9の正面図であり、図3は図2の基板処理装置9のB1−B1線に沿った矢視断面図である。また、図4は図2の基板処理装置9を矢印B2側からみた側面図である。この装置は半導体基板等の基板W(以下、単に「基板W」と記載する)の周縁部981に付着しているパーティクル等の汚染物質(以下「パーティクル等」と記載する)を除去するための洗浄処理に用いられる枚葉式の基板処理装置である。
尚、各図には方向関係を明確にするため、Z軸を鉛直方向とし、XY平面を水平面とする座標系を適宜付している。また、各座標系において、矢印の先端が向く方向を+(プラス)方向とし、逆の方向を−(マイナス)方向とする。
基板処理装置9は、基板Wを例えば25枚収容したFOUP(Front Open Unified Pod)949を載置するオープナー94と、オープナー94上のFOUP949から未処理の基板Wを取り出し、また処理完了後の基板WをFOUP949内に収納するインデクサユニット93と、インデクサユニット93とセンターロボット96との間で基板Wの受け渡しを行うシャトル95と、基板Wをセンターロボット96でその内部に収容して洗浄を行う処理ユニット91と、処理ユニット91に供給される液体や気体の配管、開閉弁等を収容する流体ボックス92と、で構成される。
まず、これらの平面的な配置について図3を用いて説明する。基板処理装置9の一端(図3において左端)には複数の(本実施形態においては3台の)オープナー94が配置される。オープナー94の図3における右側(+Y側)に隣接してインデクサユニット93が配置される。インデクサユニット93のX方向における中央付近であって、インデクサユニットの図3における右側(+Y側)に隣接してシャトル95が配置され、シャトル95の図3における右側(+Y側)に、シャトル95と+Y方向に並ぶようにセンターロボット96が配置される。このように、インデクサユニット93と、シャトル95およびセンターロボット96は、直交する二本のラインの配置をなしている。
+Y方向に並ぶように配置されたシャトル95とセンターロボット96の図3における上側(−X側)と下側(+X側)には処理ユニット91と流体ボックス92が配置されている。即ち、シャトル95とセンターロボット96の図3における上側(−X側)または下側(+X側)に、インデクサユニット93の図3における右側(+Y側)に隣接して、流体ボックス92、処理ユニット91、処理ユニット91、流体ボックス92の順に配置されている。
尚、インデクサユニット93の+X側(図3における下側)の側面には後述する制御ユニット97の操作部971が設置されている(図2参照)。
次に、オープナー94について説明する。オープナー94はその上部にFOUP949を載置する載置面941と、FOUP949の正面(図2および図3におけるFOUP949の右側(+Y側)の面)に対向して配置され、FOUP949の正面にある蓋部(図示省略)を開閉する開閉機構943(図4参照)を有する。
基板処理装置9の外部から自動搬送車両等により搬入されたFOUP949は、オープナー94の載置面941上に載置され、開閉機構943により蓋部が解放される。これにより、後述するインデクサユニット93のインデクサロボット931が、FOUP949内の基板Wを搬出し、逆にFOUP949内に基板Wを搬入することが可能となる。
次に、インデクサユニット93について説明する。インデクサユニット93には、FOUP949から処理工程前の基板Wを一枚ずつ取り出すとともに、処理工程後の基板WをFOUP949に一枚ずつ収容し、更に基板Wをシャトル95と受け渡しする、Z軸方向に上下に配置された2組のハンド933を有するインデクサロボット931が備えられている。インデクサロボット931はX軸方向に水平移動自在であり、またZ軸方向に昇降移動自在であるとともに、Z軸周りに回転可能に構成されている。
次に、シャトル95について説明する。シャトル95には、基板Wの図3における上側(−X側)および下側(+X側)の周縁部981付近であって、インデクサロボット931のハンド933および後述するセンターロボット96のハンド961と干渉しない位置を保持するZ軸方向に上下に配置された2組のハンド951と、2組のハンド951をそれぞれ独立してY軸方向に水平移動する水平移動機構(図示せず)とを備える。
シャトル95はインデクサロボット931とセンターロボット96双方との間で基板Wを受け渡し可能に構成されている。即ち、図示しない水平移動機構によりハンド951が図3における左側(−Y側)に移動した場合インデクサロボット931のハンド951との間で基板Wの受け渡しが可能となり、また、ハンド951が図3における右側(+Y側)に移動した場合はセンターロボット96のハンド951との間で基板Wの受け渡しが可能となる。
次に、センターロボット96について説明する。センターロボット96には、基板Wを1枚ずつ保持し、シャトル95または処理ユニット91との間で基板Wの受け渡しを行うZ軸方向に上下に配置された2組のハンド961と、鉛直方向(Z軸方向)に延設され、ハンド961の鉛直方向の移動の軸となる昇降軸963と、ハンド961を昇降移動させる昇降機構965と、ハンド961をZ軸周りに回転させる回転機構967が備えられている。センターロボット96はZ軸方向に昇降軸963に沿って昇降移動自在であるとともに、回転機構967によってハンドがZ軸周りに回転可能に構成されている。
尚、処理ユニット91の後述する側壁であって、センターロボット96に対向する面には、センターロボット96のハンド961を伸ばして処理ユニット91内に基板Wを搬入し、または搬出するための開口が設けられている。また、センターロボット96が処理ユニット91と基板Wの受け渡しを行わない場合に上記開口を閉塞して処理ユニット91内部の雰囲気の清浄度を保持するためのシャッター911が設けられている。
尚、図2に示すように処理ユニット91と流体ボックス92は上下2段に積み上げる構成とされている。従って、本実施形態における基板処理装置9には処理ユニット91および流体ボックス92はそれぞれ8台備えられている。
次に、インデクサロボット931、シャトル95およびセンターロボット96による基板Wの搬送の手順について説明する。基板処理装置9の外部から自動搬送車両等により搬入されたFOUP949は、オープナー94の載置面941上に載置され、開閉機構943により蓋部が解放される。インデクサロボット931はFOUP949の所定の位置から下側のハンド933により基板Wを1枚取り出す。その後、インデクサロボット931はシャトル95の前(図3におけるインデクサユニット93のX軸方向中央付近)に移動する。同時にシャトル95は下側のハンド951をインデクサユニット93の側(図3における左側(−Y側))へ移動する。
シャトル95の前に移動したインデクサロボット931は下側のハンド933に保持した基板Wをシャトル95の下側のハンド951に移載する。その後、シャトル95は下側のハンド951をセンターロボット96の側(図3における右側(+Y側))に移動する。また、センターロボット96がシャトル95にハンド961を向ける位置に移動する。
その後、センターロボット96が下側のハンド961により、シャトル95の下側のハンド951に保持された基板Wを取り出し、8つある処理ユニット91のいずれかのシャッター911へハンド961を向けるように移動する。その後、シャッター911が解放され、センターロボット96が下側のハンド961を伸ばして処理ユニット91内に基板Wを搬入し、処理ユニット91内での基板Wの洗浄処理が開始される。
処理ユニット91内で処理が完了した基板Wは、センターロボット96の上側のハンド961で搬出され、その後は上記未処理の基板Wを搬送する場合とは逆にセンターロボット96の上側のハンド961、シャトル95の上側のハンド951、インデクサロボット931の上側のハンド933の順に移載され、最終的にFOUP949の所定の位置に収容される。
次に、処理ユニット91の構成について図5を用いて説明する。図5は処理ユニット91の構成を示す模式図である。ここで、本実施形態における8つの処理ユニット91はそれぞれ同じ構成であるため、図3における矢印B3の示す処理ユニット91(図2において左下側の処理ユニット91)を代表として以下説明する。
処理ユニット91は、凝固体を形成可能な凝固対象液が周縁部981に付着した基板Wを略水平に保持し、回転する基板保持手段11と、基板保持手段11をその内側に収容し、基板保持手段11及び基板Wからの飛散物等を受け止めて排気・排液する排液捕集手段21と、基板保持手段11に保持された基板Wの表面Wfに対向して配置され、基板表面Wfの上方の空間を外気から遮断する雰囲気遮断手段23と、を有する。
また、処理ユニット91は、基板Wの周縁部981の一部領域に凝固対象液を供給する凝固対象液供給手段31と、基板Wの周縁部981に付着した凝固対象液を凝固する凝固手段35と、凝固した凝固対象液を融解する融解手段41と、基板表面Wfおよび基板裏面Wbに向けてリンス液を供給するリンス手段45と、基板表面Wfおよび基板裏面Wbに向けて乾燥用気体を供給して基板表面Wfおよび基板裏面Wbを外気から遮断する乾燥用気体供給手段51と、後述する洗浄プログラムに基づいて基板処理装置9の各部の動作を制御する制御ユニット97と、を有する。
また、処理ユニット91は、中空の略角柱形状を有する側壁901と、側壁901に略水平に固設され、処理ユニット91内の空間を仕切る上側ベース部材902及び下側ベース部材903と、側壁901の内部であって上側ベース部材902の上方である上側空間905と、側壁901の内部であって、上側ベース部材902の下方であり、かつ下側ベース部材903の上方である処理空間904と、側壁901の内部であって下側ベース部材903の下方である下側空間906と、を有する。尚、本実施形態において側壁901は略角柱形状としたが、側壁の形状はそれに限定されず、略円柱形状やその他の形状としても良い。
尚、側壁901の内うちセンターロボット96に対向する側には、センターロボットが処理ユニット91内に基板Wを搬入し、または搬出可能な開口と、その開口を閉塞して処理ユニット91内部の雰囲気の清浄度を保持するためのシャッター911が設けられている。
上側ベース部材902は側壁901の上方(図5における上側)に略水平に固設され、処理ユニット91の内部の空間である上側空間905と処理空間904との間を仕切っている。上側ベース部材902の中央付近には、上側ベース部材902の下面から、処理ユニット91の上端に連通する雰囲気導入路907が設けられている。また、雰囲気導入路907の上端付近には、処理空間904へ清浄な雰囲気を供給するファンフィルタユニット908が設けられている。上側空間905内の雰囲気導入路907に設置されたファンフィルタユニット908は、処理ユニット91上方から雰囲気を取り込み、内蔵したHEPAフィルタ等により雰囲気中の微粒子等を捕集した上で、下方である処理空間904内へ清浄化された雰囲気を供給する。
下側ベース部材903は側壁901の中程(図5における下側)に略水平に固設され、処理ユニット91の内部の空間である処理空間904と下側空間906との間を仕切っている。下側ベース部材903には複数の排気口909が設けられており、各排気口909は図示しない排気系統に接続され、処理空間904内の雰囲気を外部に排出している。
ここで、処理空間904内は清浄な雰囲気が保たれており、基板Wの洗浄等が行われる空間である。また、上側空間905及び下側空間906は処理空間904内に設置される各部材を駆動するための駆動源等が配設される空間である。
ファンフィルタユニット908を通して処理空間904内に供給された雰囲気は、処理空間904の上方から下方へ向かう流れとなり、最終的に排気口909から処理空間904の外に排出される。これにより、後述する基板Wを処理する各工程において発生する微細な液体の微粒子等を、処理空間904の中を上から下に向かって流れる気流により下向きに移動させて排気口909から排出する。よって、これら微粒子が基板Wや処理空間904内の各部材に付着することを防止できる。
次に、基板保持手段11の構成について図5に加えて図6ないし図9を用いて説明する。図6は基板保持手段11の後述するスピンベース113の平面図である。図7は基板保持手段11の構成を説明するための縦断面図であり、図8は基板保持手段11の後述する動作変換機構119の構成を示す模式図である。また、図9は基板保持手段11の後述する動作変換機構119の配置を示す模式図である。
図5を用いて説明する。基板保持手段11のベースユニット111は下側ベース部材903の上に固設されており、ベースユニット111の上方に円板状のスピンベース113が回転可能に略水平に支持されている。スピンベース113の下面中心には中心軸117の上端がネジなどの締結部品によって固定されている。また、スピンベース113の周縁付近には、基板Wの周端面985を把持するための複数個の基板保持部材115、116が立設されている。基板保持部材115、116は、円形の基板Wを確実に保持するためにそれぞれ3個以上設けてあればよく、スピンベース113の周縁に沿って等角度間隔で配置されている。
次に、図6を用いて説明する。スピンベース113の上面の周縁付近には、略等角度間隔で複数本(本実施形態においては6本)の基板保持部材115、116が配置されている。これら基板保持部材115、116は、スピンベース113の周縁に沿って1つおきに交互に配置されている。また、基板保持部材115、116はそれぞれ3個が1つの群を構成し、1つの群を構成する基板保持部材115または116が連動して動作する。尚、基板保持部材115の群と基板保持部材116の群は互いに独立して動作する。
即ち、3個の基板保持部材115はそれぞれが連動して基板Wを保持し、又はその保持を解除するように動作する。また、3個の基板保持部材116はそれぞれが連動して基板Wを保持し、又はその保持を解除するように動作する。そして、3個の基板保持部材115と3個の基板保持部材116の2つの群はそれぞれ独立して基板Wを保持し、又はその保持を解除するように動作する。従って、基板Wを1つの群、例えば基板保持部材115の群で保持した後、一旦基板保持部材115、116の群の両方で基板Wを保持した後、基板保持部材115の群の保持を解除して基板保持部材116の群のみで基板Wを保持するいわゆる持ち替え動作を行うことができる。
基板保持部材115には、後述する回転軸上に固設された平面視において略楔形状の板状部743と、板状部743の上面に固設され、基板Wの裏面に当接して支持する支持部747と、同じく板状部743の上面に固設され、基板Wの周端面985を押圧して基板Wを略水平に保持する当接部745と、を備えている。
支持部747は、基板Wの下面であって基板Wの端から微小距離だけ内方に入り込んだ位置に対応する位置に設けられている。また、当接部745は後述する駆動機構の動作に基づく板状部743の回転に伴って基板Wの周端面985に当接して押圧し、又は基板Wの周端面985から離間した位置に移動可能なように設けられている。
基板保持部材116にも基板保持部材115と同様に板状部744、支持部748及び当接部746を備えており、支持部748と当接部746の位置関係も基板保持部材115と同様である。
以下の説明において、当接部745または当接部746、及びそれらの両方が基板Wの周端面985に当接して押圧し、基板Wを略水平に保持している状態(図6において基板保持部材115、116が破線で表されている状態)を「閉状態」、また、当接部745及び当接部746が基板Wの周端面985から離間している状態(図6において基板保持部材115、116が実線で表されている状態)を「開状態」と記載する。
尚、基板保持部材115、116のいずれか、またはそれらの両方が閉状態の場合、基板Wは基板支持部747、748から離間して保持されるよう構成されている。また、スピンベース113の中心には後述するリンス液を吐出する第一吐出口293を有するノズル291と、後述する乾燥用気体を吐出する第二吐出口294が設けられている。
次に、図7を用いてスピンベース113を回転させる機構、基板保持部材115、116を駆動する機構について説明する。スピンベース113は、上板123と下板125とをボルト等の締結部材により固定されて構成されており、上板123と下板125との間には基板保持部材115、116それぞれを駆動するための動作変換機構119および動作変換機構120を収容する空間が形成されている。上板123および下板125の中央部には、後述する下側第一供給管281および下側第二供給管283を挿通するための貫通孔127が設けられている。
下板125の下面中央には中心軸117の一方の端(図7における上端)がネジなどの締結部材により固定されている。中心軸の他方の端(図7における下端)は、ベースユニット111の内部であって下側ベース部材903の上に固設された中空モーター717の回転軸に固定されている。また、中空モーター717は制御ユニット97と電気的に接続されている。そして、制御ユニット97から基板保持手段11への動作指令により、中空モーター717が駆動すると中心軸117が回転し、更に中心軸117に固定されているスピンベース113が回転中心軸A1を中心に回転する。この、中空モーター717および中心軸117が、基板回転手段13を構成する。
尚、中心軸117は後述する下側第一供給管281および下側第二供給管283を挿通可能なように中空の円筒形状をなしている。そして、スピンベース113の上面から、スピンベース113の貫通孔127、中心軸117、中空モーター717の中空部分および下側ベース部材903を貫通して下側空間906に至る連通空間を形成している。
中空モーター717の周囲には、中空モーター717を包囲するようにケーシング713が配置されており、このケーシング713は更に筒状のカバー部材711に包囲されている。カバー部材711の上端はスピンベース113の下面近傍にまで及んでおり、カバー部材711の上端付近の内面にはシール機構795が配置されている。このシール機構795は、スピンベース113の下面に固定されたシール部材797に褶接するように構成されている。これにより、シール機構795と中心軸117の間に、スピンベース113とカバー部材711により区画され、外部の雰囲気から遮断された密閉空間が形成され、内部に収容されている機構部品等から発生するパーティクル等を外部に漏らさない構成とされている。
ケーシング713の上部にはケーシング上蓋部715が固設されている。また、このケーシング上蓋部715の上には基板保持部材115、116を駆動するための駆動源である上下駆動機構719と上下駆動機構720が互いに干渉しない位置に配設されている。尚、上下駆動機構719および上下駆動機構720は、モーター、ギア等の組み合わせによる機構、又はソレノイドやエアシリンダ等、公知の機構により構成することができる。
まず、基板保持部材115を駆動するための機構から説明する。基板保持部材115を駆動するための駆動源である上下駆動機構719から図7における上方に向けて中心軸117と略平行に上下駆動軸721が延設されている。上下駆動軸721の図7における上端近傍は、非回転上下部材723と結合している。この非回転上下部材723は、回転中心軸A1に略同心であって、中心軸117を取り囲む環状の部材である。
非回転上下部材723の内方には回転中心軸A1に略同心であって、中心軸117を取り囲む環状の部材である回転上下部材727が、回転中心軸A1に略同心であって、中心軸117を取り囲む環状のボールベアリング725を介して回転自在に結合されている。尚、回転上下部材727は中心軸117およびスピンベース113の回転に同期して回転するように構成されている。また、回転上下部材727の図7における上面には、後述する連動リング729と当接する面が形成されている。
尚、非回転上下部材723、ボールベアリング725および回転上下部材727は、回転中心軸A1に沿って鉛直上下方向に同期して上下可能に構成されている。
このように、中心軸117及びスピンベース113に同期して回転する回転上下部材727と、上下駆動軸721に固定されて回転しない非回転上下部材723がボールベアリング725によって回転自在に結合されているため、スピンベース113が回転していても非回転上下部材723、ボールベアリング725および回転上下部材727は円滑に上下方向に移動することができる。
回転上下部材727の図7における上面に、回転中心軸A1に略同心であって、中心軸117を取り囲む環状の部材である連動リング729の下面が当接している。連動リング729の上面には3つの基板保持部材115に対応する3つの昇降部材731が立設されている。昇降部材731はスピンベース113の下板125を貫通してスピンベース113の上板123と下板125との間の空間まで延設されている。また、昇降部材731には、スピンベース113の下板125の下面と連動リング729の上面との間に圧縮コイルばね733が巻装されており、昇降部材731および連動リング729は図7における下方向(連動リング729の下面を回転上下部材727の上面へ押し付ける方向)へ付勢されている。
次に、図8を用いて動作変換機構119について説明する。図8は動作変換機構119の構成を説明するための斜視図である。基板保持部材115は、前述のとおり、基板Wの裏面Wbに当接して支持する支持部747および基板Wの周端面985を押圧して基板Wを略水平に保持する当接部745が固設された平面視において略楔形状の板状部743が、鉛直方向を軸に回転可能な回転軸741の上端に固定されている。
尚、支持部747は回転軸741および板状部743の回転中心であって板状部743の上面に突設される。また、支持部747は、基板Wの裏面Wbであって基板Wの端から微小距離だけ内方に入り込んだ位置に対応する位置に設けられている。当接部745は回転軸741および板状部743の回転中心から離れた位置であって板状部743の上面に、基板Wの周端面985に対向するように立設されている。
回転軸741には、板状部743の下方において側方に突出したレバー749が固定されており、このレバー749の、回転軸741に固定された側とは反対の端部付近に鉛直上方に延びるピン755が立設されている。このレバー749に対しては、揺動板751が、ピン755が挿入され内部で移動可能とされる長穴753を介して係合されている。揺動板751の、レバー749とは反対の側(スピンベース113の中心の側)には、側面視略L字形状のクランク部材757の一端が結合されている。
クランク部材757の、揺動板751と結合している側と反対の側(スピンベース113の中心の側)の側面には略水平方向に延びる軸部759が固定されている。この軸部759の先端は、軸部759を回転自在に支持する軸受部材761によって支持されている。軸受部材761の側面には板状のレバー763が固定されており、軸部767を介してスピンベース113の中心の側にあるクランク部材765と結合されている。尚、軸部767は、スピンベース113の下板125の上面に固定された軸受部材769によって回転自在に支持されている。
クランク部材765の、軸部767が固定されている側と反対の側(スピンベース113の中心の側)には、昇降部材731の鉛直上方端部近傍に設けられた長穴735と係合する略水平方向に延びるピン771が固定されている。
この、レバー749、揺動板751、クランク部材757、軸受部材761からクランク部材765にいたるまで、昇降部材731、圧縮コイルばね733および連動リング729が、動作変換機構119を構成する。
次に、上記動作変換機構119を含めた基板保持部材115の動作について図7と図8を用いて説明する。上下駆動機構719は制御ユニット97と電気的に接続されている。そして、制御ユニット97から基板保持手段11への動作指令により、上下駆動機構719が駆動されると、上下駆動軸721を介して非回転上下部材723を上下させる。これに伴って、非回転上下部材723とボールベアリング725を介して回転自在に結合している回転上下部材727も併せて上下する。この上下運動が動作変換機構119を介して基板保持部材115の回転運動に変換される。
即ち、回転上下部材727が上昇すると、回転上下部材727の上面に当接している連動リング729も上昇し、連動リング729の上面に固設されている昇降部材731も上昇する。昇降部材731が上昇すると、長穴735を介して係合しているクランク部材765に、スピンベース113の中心の側から見て(図8における左下側から見て)時計回り(右回り)の回転が生じる。この回転が、軸部767、レバー763および軸受部材761を介してクランク部材757を、スピンベース113の中心の側から見て(図8における左下側から見て)右方向に略水平移動させる。
この動きが、揺動板751およびレバー749を介して回転軸741および板状部743を、スピンベース113の上方から見て(図8において上方から見て)反時計回り(左回り)に回転する。これにより、当接部745が基板Wの端面から離間する。この動作は前述した「開状態」に相当する。
「閉状態」に相当する動作は上記と逆の動作となる。即ち、回転上下部材727が下降し、連動リング729および昇降部材731も下降する。これにより、クランク部材765にスピンベース113の中心の側から見て(図8における左下側から見て)反時計回り(左回り)の回転が生じる。この回転が、軸部767、レバー763、軸受部材761、クランク部材757、揺動板751およびレバー749を介して伝達する。これにより、回転軸741および板状部743が、スピンベース113の上方から見て(図8において上方から見て)時計回り(右回り)に回転する。これにより、当接部745が基板Wの周端面985に当接して、基板Wを略水平に保持する。
尚、昇降部材731に巻装されている圧縮コイルばね733は、その弾性力が連動リング729を下降する方向に作用する。これにより、昇降部材731が固設された連動リング729を回転上下部材727に追従させて下降させると共に、基板Wを基板保持部材115の当接部745を介して圧縮コイルばね733の弾性力により挟持する。このように、圧縮コイルばね733により基板Wを弾性的に挟持する構成であるため、過大な力がかかることによる基板Wの破損が生じにくいという利点がある。
この、上下駆動機構719、上下駆動軸721、非回転上下部材723、ボールベアリング725、回転上下部材727及び動作変換機構119が、基板保持部材駆動機構737を構成する。
基板保持部材116も基板保持部材115と同様の構成を用いて動作を行う。即ち、制御ユニット97の動作指令により上下駆動機構720が駆動され、上下駆動軸722が上下する。上下駆動軸に連動して非回転上下部材724、ボールベアリング726、回転上下部材728が上下し、その上下方向の動きを動作変換機構120により基板保持部材116の回転運動に変換して、「閉状態」状態と「開状態」状態の切り替えを行う。
この、上下駆動機構720、上下駆動軸722、非回転上下部材724、ボールベアリング726、回転上下部材728及び動作変換機構120が、基板保持部材駆動機構738を構成する。
次に、図9を用いて動作変換機構119および動作変換機構120の配置を説明する。図9はスピンベース113の鉛直方向下方から見た図である。動作変換機構119および動作変換機構120はそれぞれ交互に当角度間隔で配設されており、3つの基板保持部材115が連動リング729により、また、3つの基板保持部材116が連動リング730により、それぞれ連動して動作するよう構成されている。
上記のとおり、基板保持部材115と基板保持部材116は、上下駆動機構719と上下駆動機構720によりそれぞれ独立して動作可能である。従って、基板Wを当接部745および当接部746の上空に離間した位置で略水平に保持したまま、例えば基板保持部材115の当接部745のみで基板Wを挟持し、その後基板保持部材116の当接部746のみで基板Wを挟持するというような、いわゆる「持ち替え動作」を行うことが可能である。
この、基板保持部材駆動機構737、基板保持部材駆動機構738、基板保持部材115及び基板保持部材116が基板保持機構114を構成する。
次に、排液捕集手段21および雰囲気遮断手段23の構成について図10を用いて説明する。図10は排液捕集手段21および雰囲気遮断手段23の構成を示す模式図である。
まず、排液捕集手段21について説明する。基板保持手段11の周囲であって下側ベース部材903の上側に略円環状のカップ210が、基板保持手段11に保持されている基板Wの周囲を包囲するように設けられている。カップ210は基板保持手段11及び基板Wから飛散する液体などを捕集することが可能なように回転中心軸A1に対して略回転対称な形状を有している。尚、図中、カップ210については説明のため断面形状を示している。
カップ210は互いに独立して昇降可能な内構成部材211、中構成部材213及び外構成部材215で構成される。図10に示すとおり、内構成部材211の上に中構成部材213及び外構成部材215が重ねられた構造を有する。内構成部材211、中構成部材213及び外構成部材215は、下側空間906に設けられた、モーター及びボールネジ等の公知の駆動機構で構成されたガード昇降機構217にそれぞれ接続されている。また、ガード昇降機構217は制御ユニット97と電気的に接続されている。そして、制御ユニット97から排液捕集手段21への動作指令によりガード昇降機構217が駆動されると、内構成部材211、中構成部材213及び外構成部材215がそれぞれ独立に、又は複数の部材が同期して回転中心軸A1に沿って上下方向に移動する。
内構成部材211には、内構成部材211、中構成部材213及び外構成部材215それぞれで捕集された液体をそれぞれ別の経路で排液処理系へ導くための収集溝が3つ設けられている。それぞれの収集溝は回転中心軸A1を中心とする略同心円状に設けられ、各収集溝には図示しない排液処理系へと接続する配管がそれぞれ管路接続されている。
カップ210は内構成部材211、中構成部材213及び外構成部材215のそれぞれの上下方向の位置を組合せて使用する。例えば、内構成部材211、中構成部材213及び外構成部材215の全てが下位置にあるホームポジション、内構成部材211及び中構成部材213が下位置であって外構成部材215のみ上位置にある外捕集位置、内構成部材211が下位置であって中構成部材213及び外構成部材215が上位置に有る中捕集位置及び内構成部材211、中構成部材213及び外構成部材215の全てが上位置にある内捕集位置である。
ホームポジションはセンターロボット96が基板Wを処理ユニット91内に搬入出する場合などにおいて取られる位置である。外捕集位置は外構成部材215で受け止めた液体を捕集して外側の収集溝に導く位置であり、中捕集位置は中構成部材213で受け止めた液体を中間の収集溝に導く位置であり、また、内捕集位置は内構成部材211で受け止めた液体を内側の収集溝に導く位置である。
このような構成の排液捕集手段21を用いることにより、処理に使用される液体に応じて内構成部材211、中構成部材213及び外構成部材215のそれぞれの位置を変更して分別捕集することが可能となり、それぞれの液体を分別し、対応する排液処理系に排出することで、液体の再利用や混合することが危険な複数の液体を分別して処理することが可能となる。
次に、雰囲気遮断手段23について説明する。雰囲気遮断手段23の基板対向部材である遮断部材231は、中心部に開口を有する円板状に形成されている。遮断部材231の下面は、基板Wの表面Wfと略平行に対向する基板対向面となっており、基板Wの直径と同等以上の大きさに形成されている。遮断部材231は、その内部が中空であって略円筒形状を有する支持軸233の下方に回転可能に略水平に支持される。
支持軸233の上端部は遮断部材231を回転する遮断部材回転機構235の下面に固設される。遮断部材回転機構235は、例えば中空モーター237及び中空軸239で構成される。中空軸239の一端(図10における上端)は中空モーター237の回転軸に連結されており、他端(図10における下端)は支持軸233の中を通して遮断部材231の上面に連結されている。また、遮断部材回転機構235は制御ユニット97と電気的に接続されている。そして、制御ユニット97から雰囲気遮断手段23への動作指令により遮断部材回転機構235が駆動されると、遮断部材231が支持軸233の中心を通る鉛直軸周りに回転される。遮断部材回転機構235は、基板保持手段11に保持された基板Wの回転に応じて基板Wと同じ回転方向でかつ略同じ回転速度で遮断部材231を回転させるように構成されている。
尚、遮断部材回転機構235の上面から遮断部材231の中心部の開口にいたるまで、後述する上側第一供給管及び上側第二供給管が挿通可能なように、中空モーター237及び中空軸239の内部空間を含む連通した中空部が形成されている。
遮断部材回転機構235の一側面(図10における左側面)にはアーム241の一端が接続され、アーム241の他端は上下軸243の図10における上端付近に接続されている。上下軸243は排液捕集手段21のカップ210の周方向外側であって、下側ベース部材903の上に固設された円筒形状のベース部材245に昇降可能に取り付けられる。上下軸243には、ベース部材245の中を通して、モーター及びボールネジ等の公知の駆動機構で構成された遮断部材昇降機構247が接続されている。尚、遮断部材昇降機構247は下側空間906に設けられている。また、遮断部材昇降機構247は制御ユニット97と電気的に接続されている。そして、制御ユニット97から雰囲気遮断手段23への動作指令により遮断部材昇降機構247が駆動されると、遮断部材231がスピンベース113に近接し、逆に離間する。
すなわち、制御ユニット97は、遮断部材昇降機構247の動作を制御して、処理ユニット91に対して基板Wを搬入出させる際には、遮断部材231を基板保持手段11の上方の離間位置に上昇させる一方、基板Wに対して後述するリンス処理や基板Wの乾燥等を行う際には、遮断部材231を基板保持手段11に保持された基板Wの表面Wfのごく近傍に設定された対向位置まで下降させる。
次に、凝固対象液供給手段31の構成について図11を用いて説明する。図11は凝固対象液供給手段31の構成を示す模式図である。基板Wの周縁部981に凝固対象液を供給するノズル311は、上側ベース部材902の下面に設置されたノズル駆動機構313に昇降及び旋回可能に支持されている。ノズル駆動機構313のベース部材315は、上側ベース部材902の下面であって雰囲気導入路907の外側に下方に伸びるように固設されている。
ベース部材315の下方には、旋回上下軸317が上下及び回転自在に保持されている。尚、ベース部材315は旋回上下軸317と、後述する上下駆動部321及び旋回駆動部319を接続するために中空の略円筒形状に構成される。旋回上下軸317の下面にはアーム323の一端が結合されており、アーム323の他端にノズル311が取り付けられている。
旋回上下軸317はベース部材315の中を通して、モーター及びボールネジ等の公知の駆動機構で構成された上下駆動部321及び、モーター及びギア等の公知の駆動機構で構成された旋回駆動部319に接続されている。また、上下駆動部321及び旋回駆動部319は制御ユニット97と電気的に接続されている。尚、上下駆動部321及び旋回駆動部319は上側空間905に配設される。
制御ユニット97から凝固対象液供給手段31への動作指令により上下駆動部321が駆動されると、旋回上下軸317が上下に移動し、アーム323に取り付けられているノズル311を上下に移動させる。また、制御ユニット97から凝固対象液供給手段31への動作指令により旋回駆動部319が駆動されると、旋回上下軸317が回転中心軸A2を中心に回転し、アーム323を旋回することで、アーム323に取り付けられたノズル311を揺動させる。
ノズル311は配管335を介して、第一DIW供給部333に管路接続されている。また、配管335には開閉弁337が介挿されており、開閉弁337は常時閉成とされている。また、開閉弁337は制御ユニット97と電気的に接続されている。そして、制御ユニット97から凝固対象液供給手段31への動作指令により開閉弁337が開成すると、第一DIW供給部333から例えば0.5℃(摂氏)に温度調整されたDIWが配管335を介してノズル311へ圧送される。この、配管335、開閉弁337及び第一DIW供給部333が、凝固対象DIW供給手段331を構成する。尚、第一DIW供給部333は、基板処理装置9の内部に設けられていても、外部に設けられていてもよい。
図12に第一DIW供給部333の構成を示す。第一DIW供給部333は、DIWを貯留するDIWタンク341、DIWタンク341からのDIWを圧送するポンプ343及びDIWの温度を調整する温度調整ユニット345で構成される。DIWタンク341に管路接続されたポンプ343はDIWを加圧して温度調整ユニット345に送出する。ポンプ343を介して温度調整ユニット345に供給されたDIWは、温度調整ユニット345において例えば0.5℃(摂氏)に温度調整され、配管335を介してノズル311に供給される。
ここで、温度調整ユニット345はペルチェ素子による温度調整装置や冷媒を用いた熱交換器など、公知の温度調整手段を用いることができる。また、第一DIW供給部333にDIWタンク341を設けず、工場ユーティリティー側から直接DIWを供給する構成とすることも可能である。尚、第一DIW供給部333のポンプ343は基板処理装置9が起動した時点から常時動作している。
次に、凝固手段35の構成について図13を用いて説明する。図13は凝固手段35の構成を示す模式図である。基板Wの周縁部981に凝固用気体を供給するノズル351は、上側ベース部材902の下面に設置されたノズル駆動機構353により、昇降及び旋回可能に支持されている。ノズル駆動機構353のベース部材355は、上側ベース部材902の下面であって雰囲気導入路907の外側、かつ図5に示すように凝固対象液供給手段31のベース部材315に隣接する位置に下方に伸びるように固設されている。
ベース部材355の下方には、旋回上下軸357が上下及び回転自在に保持されている。尚、ベース部材355は旋回上下軸357と、後述する上下駆動部361及び旋回駆動部359を接続するために中空の略円筒形状に構成される。旋回上下軸357はベース部材355に対して昇降可能及び回転可能に支持される。旋回上下軸357の下面にはアーム363の一端が結合されており、アーム363の他端にノズル351が取り付けられている。
旋回上下軸357はベース部材355の中を通して、モーター及びボールネジ等の公知の駆動機構で構成された上下駆動部361及び、モーター及びギア等の公知の駆動機構で構成された旋回駆動部359に接続されている。また、上下駆動部361及び旋回駆動部359は制御ユニット97と電気的に接続されている。尚、上下駆動部361及び旋回駆動部359は上側空間905に配設される。
制御ユニット97から凝固手段35への動作指令により上下駆動部361が駆動されると、旋回上下軸357が上下に移動し、アーム363に取り付けられているノズル351を上下に移動させる。また、制御ユニット97から凝固手段35への動作指令により旋回駆動部359が駆動されると、旋回上下軸357が中心軸A3を中心に回転し、アーム363を旋回することで、アーム363に取り付けられたノズル351を揺動させる。
ノズル351は配管375を介して凝固用窒素ガス供給部373と管路接続されている。また、凝固用窒素ガス供給部373は制御ユニット97に電気的に接続されている。この凝固用窒素ガス供給部373は、制御ユニット97からの動作指令により、例えば−(マイナス)80℃(摂氏)の窒素ガスを配管375を介してノズル351に供給する。この、配管375及び凝固用窒素ガス供給部373が、凝固用窒素ガス供給手段371を構成する。尚、凝固用窒素ガス供給部373は、基板処理装置9の内部に設けられていても、外部に設けられていてもよい。
図14に凝固用窒素ガス供給部373の構成を示す。凝固用窒素ガス供給部373は、液体窒素の冷熱を用いて窒素ガスを冷却するガス冷却ユニット611、液体窒素を貯蔵する液体窒素タンク613、液体窒素タンク613から液体窒素をガス冷却ユニット611へ供給するポンプ615、窒素ガスを貯蔵する窒素ガスタンク619、窒素ガスタンク619から窒素ガスをガス冷却ユニット611へ供給するポンプ621および窒素ガスタンク619からガス冷却ユニット611に供給される窒素ガスの流量を制御するマスフローコントローラ625で構成される。
ガス冷却ユニット611の容器627は内部に液体窒素を貯留する事ができるようタンク状になっており、液体窒素の温度(−(マイナス)195.8℃(摂氏))に耐えうる材料、例えば、ガラス、石英またはHDPE(高密度ポリエチレン:High Density Polyetylene)により形成されている。なお、容器627を断熱容器で覆う二重構造を採用してもよい。この場合、断熱容器は、外部の雰囲気と容器627との間での熱移動を抑制するために、断熱性の高い材料、例えば発泡性樹脂やPVC(ポリ塩化ビニル樹脂:Polyvinyl Chloride)などにより形成するのが好ましい。
容器627は配管617を介して液体窒素タンク613に管路接続されており、配管617にはポンプ615が介挿されている。また、ポンプ615は制御ユニット97と電気的に接続されている。また、容器627内には液面センサ(図示省略)が設けられ、制御ユニット97と電気的に接続されている。制御ユニット97は、液面センサが検出した値に基づいてポンプ615の動作を制御することにより、容器627内に貯留される液体窒素の量を一定に保持する。
また、容器627の内部には、ステンレス、銅などの金属管で形成されたコイル状の熱交換パイプ629がガス通送路として設けられ、容器627に貯留された液体窒素に浸漬されている。熱交換パイプ629の一方の端(図14において容器627の側壁上方から右に突出する側)は、配管623を介して窒素ガスタンク619に管路接続されており、配管623にはポンプ621が介挿され、ポンプ621と容器627の間にはマスフローコントローラ625が介挿されている。
マスフローコントローラ625は制御ユニット97と電気的に接続されている。また、熱交換パイプ629の他方の端(図14において容器627の上方に突出する側)は、配管375を介してノズル351に管路接続されている。尚、ポンプ621は基板処理装置9が起動した時点から常時動作している。
制御ユニット97から凝固手段35への動作指令によりマスフローコントローラ625が所定の流量となるように開放されると、窒素ガスタンク619から窒素ガスがガス冷却ユニット611内の熱交換パイプ629に供給され、窒素ガスが熱交換パイプ629内を通過する間、容器627内に貯留された液体窒素の冷熱により冷却される。熱交換パイプ629内を通過するうちに冷却された窒素ガスは配管375を介してノズル351へと供給される。
尚、熱交換パイプ629の他方の端(図14において容器627の上方に突出する側)と容器627の間に微小な空間が設けられており、容器627の内部の空間から排気管路631に至る連通した流通経路を形成している。容器627の内部に貯留された液体窒素は、熱交換パイプ629の中を流れる窒素ガスを冷却して気化し、気化した窒素ガスは、この流通経路を通り排気管路631を介して図示しない排気系統に排出される。
尚、本実施形態においては凝固用気体として窒素ガスを用いたが、凝固用気体としては窒素ガスに限らず、乾燥空気、オゾンガス、アルゴンガス等の他の気体を使用することも可能である。また、凝固用気体を冷却する手段としては、液体窒素に限らず、液体ヘリウム等の低温の液体を使用することが可能であり、またペルチェ素子を用いて電気的に冷却することも可能である。
また、凝固用窒素ガス供給部373に液体窒素タンク613及び窒素ガスタンク619を設けず、工場ユーティリティー側から液体窒素と窒素ガスを供給する構成とすることも可能である。尚、凝固用窒素ガス供給部373は、基板処理装置9の内部に設けられていても、外部に設けられていてもよい。
次に、融解手段41の構成について図15を用いて説明する。図15は融解手段41の構成を示す模式図である。基板Wの周縁部981に融解液を供給するノズル411は、上側ベース部材902の下面に設置されたノズル駆動機構413に昇降及び旋回可能に支持されている。ノズル駆動機構413のベース部材415は、上側ベース部材902の下面であって雰囲気導入路907の外側、かつ凝固対象液供給手段31のベース部材315および凝固手段35が設置されている側壁901の角部とは別の角部に下方に伸びるように固設されている(詳細な位置関係については後述する)。
ベース部材415の下方には、旋回上下軸417が上下及び回転自在に保持されている。尚、ベース部材415は旋回上下軸417と、後述する上下駆動部421及び旋回駆動部419を接続するために中空の略円筒形状に構成される。旋回上下軸417の下面にはアーム423の一端が結合されており、アーム423の他端にノズル411が取り付けられている。
旋回上下軸417はベース部材415の中を通して、モーター及びボールネジ等の公知の駆動機構で構成された上下駆動部421及び、モーター及びギア等の公知の駆動機構で構成された旋回駆動部419に接続されている。また、上下駆動部421及び旋回駆動部419は制御ユニット97と電気的に接続されている。尚、上下駆動部421及び旋回駆動部419は上側空間905に配設される。
制御ユニット97から融解手段41への動作指令により上下駆動部421が駆動されると、旋回上下軸417が上下に移動し、アーム423に取り付けられているノズル411を上下に移動させる。また、制御ユニット97から融解手段41への動作指令により旋回駆動部419が駆動されると、旋回上下軸417が回転中心軸A4を中心に回転し、アーム423を旋回することで、アーム423に取り付けられたノズル411を揺動させる。
ノズル411は配管435を介して、第二DIW供給部433に管路接続されている。また、配管435には開閉弁437が介挿されており、開閉弁437は常時閉成とされている。また、開閉弁437は制御ユニット97と電気的に接続されている。そして、制御ユニット97から融解手段41への動作指令により開閉弁437が開成すると、第二DIW供給部433から例えば40℃(摂氏)に温度調整されたDIWが配管435を介してノズル411へ圧送される。この、配管435、開閉弁437及び第二DIW供給部433が、融解用DIW供給手段431を構成する。尚、第二DIW供給部433は、基板処理装置9の内部に設けられていても、外部に設けられていてもよい。
図16に第二DIW供給部433の構成を示す。第二DIW供給部433は、DIWを貯留するDIWタンク441、DIWタンク441からのDIWを圧送するポンプ443及びDIWの温度を調整する温度調整ユニット445を有する。DIWタンク441に管路接続されたポンプ443はDIWを加圧して温度調整ユニット445に送出する。ポンプ443を介して温度調整ユニット445に供給されたDIWは、温度調整ユニット445において例えば40℃(摂氏)に温度調整され、配管435を介してノズル411に供給される。
ここで、温度調整ユニット445はペルチェ素子による温度調整装置や冷媒を用いた熱交換器など、公知の温度調整手段を用いることができる。また、第二DIW供給部433にDIWタンク441を設けず、工場ユーティリティー側から直接DIWを供給する構成とすることも可能である。尚、第二DIW供給部433のポンプ443は基板処理装置9が起動した時点から常時動作している。
図17に凝固対象液供給手段31、凝固手段35及び融解手段41の配置について示す。本実施形態では、凝固対象液供給手段31及び凝固手段35が側壁901の一の角部近傍にそれぞれ近接して配置され、融解手段41はその角部に隣接する他の角部に配置されている。
次に、リンス手段45および乾燥用気体供給手段51の構成について図18を用いて説明する。図18は、リンス手段45および乾燥用気体供給手段51の構成を示す模式図である。リンス手段45は基板表面Wfおよび基板裏面Wbに向けてリンス液を供給するものであり、乾燥用気体供給手段51は基板表面Wfおよび基板裏面Wbに向けて乾燥用気体を供給するものである。
まず、基板表面Wf側の管路構成について説明する。前述の雰囲気遮断手段23の遮断部材回転機構235の上面から、遮断部材231の中心部の開口まで連通する中空部の内部に上側第一供給管271が挿通されるとともに、当該上側第一供給管271に上側第二供給管273が挿通され、いわゆる二重管構造となっている。この上側第一供給管271及び上側第二供給管273の下方端部は遮断部材231の開口に延設されており、上側第二供給管273の先端にノズル275が設けられている。
次に、基板裏面Wb側の管路構成について説明する。前述の基板保持手段11のスピンベース113の上面から中心軸117を通って下側空間906に至る連通空間の内部に下側第一供給管281が挿通されるとともに、当該下側第一供給管281に下側第二供給管283が挿通され、いわゆる二重管構造となっている。この下側第一供給管281及び下側第二供給管283の上方端部はスピンベース113の開口に延設されており、下側第二供給管283の先端に第一吐出口293を有するノズル291が設けられている。
ノズル291の上部端面はフランジ状にスピンベース113の径方向と略平行に広がっており、スピンベース113に設けられた下側第一供給管281の開口を覆っている(図8参照)。このフランジ状に広がった部分の下面とスピンベース113の上面には間隙が設けられており、この間隙が下側第一供給管281から供給される後述する乾燥用窒素ガスを吐出する第二吐出口294に相当している。
次に、リンス手段45について説明する。リンス手段45はリンス液の供給源である第三DIW供給部453から基板表面Wfおよび基板裏面Wbにそれぞれリンス液を供給する。図示しないDIWタンク、温度調整ユニット及びポンプを有する第三DIW供給部453に主配管455の一端が管路接続されている。主配管455の他端は、上側分岐配管457および下側分岐配管461に分岐し、上側分岐配管457は上側第二供給管273に、下側分岐配管461は下側第二供給管283にそれぞれ管路接続している。また、第三DIW供給部453のポンプは基板処理装置9が起動した時点から常時動作している。
上側分岐配管457には開閉弁459が介挿されている。なお、開閉弁459は常時閉成されている。開閉弁459は制御ユニット97に電気的に接続されている。そして、制御ユニット97からリンス手段45への動作指令により開閉弁459が開成すると、第三DIW供給部453からリンス液としてのDIWが主配管455、上側分岐配管457および上側第二供給管273を通してノズル275から基板裏面Wbに供給される。
下側分岐配管461には開閉弁463が介挿されている。なお、開閉弁463は常時閉成されている。開閉弁463は制御ユニット97に電気的に接続されている。そして、制御ユニット97からリンス手段45への動作指令により開閉弁463が開成すると、第三DIW供給部453からリンス液としてのDIWが主配管455、下側分岐配管461と下側第二供給管283を通してノズル291から基板裏面Wbに供給される。
この、第三DIW供給部453、主配管455、上側分岐配管457、下側分岐配管461、開閉弁459、開閉弁463、上側第二供給管273、下側第二供給管283、ノズル275及びノズル291がリンス手段45を構成する。尚、第三DIW供給部453は、基板処理装置9の内部に設けられていても、外部に設けられていてもよい。
次に、乾燥用気体供給手段51について説明する。乾燥用気体供給手段51は乾燥用気体の供給源である乾燥用窒素ガス供給部513から基板表面Wf及び基板裏面Wbにそれぞれ乾燥用窒素ガスを供給する。図示しない窒素ガスタンク及びポンプを有する乾燥用窒素ガス供給部513に主配管515の一端が管路接続されている。主配管515の他端は、上側分岐配管517および下側分岐配管521に分岐し、上側分岐配管517は上側第一供給管271に、下側分岐配管は下側第一供給管281にそれぞれ管路接続している。また、乾燥用窒素ガス供給部513のポンプは基板処理装置9が起動した時点から常時動作している。
上側分岐配管517にはマスフローコントローラ519が介挿されている。マスフローコントローラ519は制御ユニット97と電気的に接続されている。そして、制御ユニット97から乾燥用気体供給手段51への動作指令によりマスフローコントローラ519が所定流量となるように開放されると、常温の窒素ガスが主配管515、上側分岐配管517と上側第一供給管271を介して基板表面Wfに供給される。
下側分岐配管521にはマスフローコントローラ523が介挿されている。マスフローコントローラ523は制御ユニット97と電気的に接続されている。そして、制御ユニット97から乾燥用気体供給手段51への動作指令によりマスフローコントローラ523が所定流量となるように開放されると、常温の窒素ガスが主配管515、下側分岐配管521と下側第一供給管281を介して基板表面Wfに供給される。
この、乾燥用窒素ガス供給部513、主配管515、上側分岐配管517、下側分岐配管521、マスフローコントローラ519、マスフローコントローラ523、上側第一供給管271及び下側第一供給管281が乾燥用気体供給手段51を構成する。尚、乾燥用窒素ガス供給部513は、基板処理装置9の内部に設けられていても、外部に設けられていてもよい。
制御ユニット97は、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAM及び制御用ソフトウェアやデータなどを記憶しておく磁気ディスクを有する。磁気ディスクには、基板Wに応じた洗浄条件が、洗浄プログラム(レシピとも呼ばれる)として予め格納されおり、CPUがその内容をRAMに読み出し、RAMに読み出された洗浄プログラムの内容に従ってCPUが基板処理装置9の各部を制御する。尚、制御ユニット97には洗浄プログラムの作成・変更や、複数の洗浄プログラムの中から所望のものを選択するために用いる操作部971(図2参照)が接続されている。
次に、上記のように構成された基板処理装置9における洗浄処理動作について図19及び図20を参照して説明する。図19は基板処理装置9の全体の動作を示すフローチャートであり、図20は基板周縁部981に対する洗浄処理の詳細を示すフローチャートである。尚、以下の説明において特に断らない限り、雰囲気遮断手段23は、遮断部材231が対向位置にある場合、基板保持手段11の基板回転手段13がスピンベース113を回転する方向に略同じ回転数で遮断部材231を回転するものとする。
まず、図19を用いて説明する。所定の基板Wに応じた洗浄プログラムが操作部971で選択され、実行指示される。その後、基板Wを処理ユニット91に搬入する準備として、制御ユニット97からの動作指令により以下の動作を行う。
すなわち、雰囲気遮断手段23が遮断部材231の回転を停止し、基板保持手段11がスピンベース113の回転を停止する。雰囲気遮断手段23が遮断部材231を離間位置へ移動すると共に、基板保持手段11がスピンベース113を基板Wの受け渡しに適した位置へ位置決めする。また、排液捕集手段21がカップ210をホームポジションに位置決めする。スピンベース113が基板Wの受け渡しに適した位置に位置決めされた後、基板保持手段11が基板保持部材115及び基板保持部材116を開状態とする。
また、凝固対象液供給手段31がノズル311を退避位置(ノズル311がカップ210の周方向外側に外れている位置)へ移動する。また、凝固手段35がノズル351を退避位置(ノズル351がカップ210の周方向外側に外れている位置)へ移動する。また、融解手段41がノズル411を退避位置(ノズル411がカップ210の周方向外側に外れている位置)へ移動する。更に、開閉弁337、437、459及び463が閉成する。また、マスフローコントローラ519、523及び625が流量0(ゼロ)に設定される。
基板Wを処理ユニット91に搬入する準備が完了した後、未処理の基板Wを処理ユニット91へ搬入する基板搬入工程が行われる。即ち、インデクサロボット931がオープナー94上のFOUP949の所定の位置にある基板Wを下側のハンド933で取り出し、シャトル95の下側のハンド951に載置する。その後、シャトル95の下側のハンド951がセンターロボット96の側に移動され、センターロボット96がシャトル95の下側のハンド951上の基板Wを、下側のハンド961で取り上げる。
その後、処理ユニット91のシャッター911が開かれ、センターロボット96が下側のハンド961を処理ユニット91の中に伸ばし、基板Wを基板保持手段11の基板保持部材115及び基板保持部材116の支持部747及び支持部748の上に載置する(ステップS01)。基板Wの処理ユニット91への搬入が終了すると、センターロボット96が下側のハンド961を縮めて処理ユニット91内の外に出すとともに、シャッター911が閉じられる。
未処理の基板Wが処理ユニット91内に搬入され、基板保持部材115の支持部747及び基板保持部材116の支持部748の上に載置されると、制御ユニット97から基板保持手段11への動作指令により、基板保持部材駆動機構737が基板保持部材115を、基板保持部材駆動機構738が基板保持部材116をそれぞれ閉状態とする。尚、本実施例では安定して基板Wを保持するため6本の基板保持部材115、116を同時に閉じることとしたが、3本の基板保持部材で安定して保持することが可能であれば基板保持部材115または基板保持部材116のいずれか一方のみ閉状態としてもよい。この、基板Wを基板保持部材115または基板保持部材116の両方あるいはいずれか一方で略水平に保持する工程が基板保持工程に該当する。
基板保持手段11に未処理の基板Wが保持されると、制御ユニット97から基板保持手段11への動作指令により、基板回転手段13がスピンベース113を例えば100rpmで回転開始させ、該回転数による回転が維持される。この、基板Wを回転する工程が基板回転工程に該当する。また、制御ユニット97から排液捕集手段21への動作指令により、カップ210が内捕集位置に位置決めされる。
また、制御ユニット97から凝固対象液供給手段31への動作指令により、ノズル駆動機構313がノズル311を基板表面Wfの主面周縁領域983の上空へ位置決めする。また、制御ユニット97から凝固手段35への動作指令により、ノズル駆動機構353がノズル351を基板表面Wfの主面周縁領域983の上空へ位置決めする。更に、制御ユニット97から融解手段41への動作指令により、ノズル駆動機構413がノズル411を基板表面Wfの主面周縁領域983の上空へ位置決めする。
即ち、図17に凝固対象液供給手段31、凝固手段35、融解手段41の各ノズルが基板周縁部981上空に配置された状態とする。各ノズルは、例えばシャッター911に最も近い基板表面Wfの主面周縁領域983上の点を起点として、図17中時計回りに凝固対象液供給手段31のノズル311、凝固手段35のノズル351、融解手段41のノズル411の順でそれぞれ離間して配置される。
尚、基板保持手段11が基板Wを回転する方向はスピンベース113を鉛直上方から見て矢印B4の方向(時計回り)とする。即ち、基板Wの主面周縁領域983のある一点が、基板Wの回転につれて、ノズル311、ノズル351、ノズル411の順にそれぞれのノズルの下を通過するよう構成されている。
図19に戻る。次に、基板保持部材116を開状態とする。即ち、制御ユニット97から基板保持手段11への動作指令により、基板保持部材駆動機構738が基板保持部材116を開状態とする(ステップS02)。尚、このステップでは基板保持部材115または基板保持部材116のいずれか一方のみで基板Wを保持するようにすればよいため、基板保持部材115を開状態としても良い。
次に、基板Wの周縁部981に対する洗浄処理が行われる(ステップS03)。洗浄処理の内容については図20を用いて説明する。
制御ユニット97から凝固対象液供給手段31への動作指令により、開閉弁337が開成する。これにより、第一DIW供給部333から例えば0.5℃(摂氏)に温度調整された凝固対象液としてのDIWが配管335を介して、例えば0.1l/min(リットル/分)の流量でノズル311から基板Wの周縁部981に供給される。
また、制御ユニット97から凝固手段35への動作指令により、凝固用窒素ガス供給部373から例えば−(マイナス)80℃(摂氏)に温度調整された窒素ガスが配管375を介して、例えば40l/min(リットル/分)の流量でノズル351から基板Wの周縁部981に供給される。
また、制御ユニット97から融解手段41への動作指令により、開閉弁437が開成する。これにより、第二DIW供給部433から例えば40℃(摂氏)に温度調整された融解液としてのDIWが配管435を介して、例えば0.1l/min(リットル/分)の流量でノズル411から基板Wの周縁部981に供給される。
凝固用窒素ガス供給部373とノズル351を管路接続する配管357の中にある窒素ガスは、配管357の外側の雰囲気等から吸熱して温度上昇するため、吐出開始直後の窒素ガスは所望の温度(本実施形態においては−(マイナス)80℃(摂氏))とならない可能性がある。従って、凝固手段35から基板Wの周縁部981への窒素ガスの供給は、凝固対象液供給手段31から基板Wの周縁部981への凝固対象液としてのDIWの供給と同時あるいはDIWの供給より前に窒素ガスの供給が開始されるのが好ましい。これにより、凝固対象液供給手段31からDIWが供給された基板Wの周縁部981の一部領域が基板Wの回転に伴って凝固手段35のノズル351の下に来る前に、温度上昇した窒素ガスを吐出してしまうことが可能となり、安定した温度で凝固工程を行うことが可能となる。
尚、融解手段41からの融解液としてのDIWの供給は、凝固工程により基板Wの周縁部981の一部領域に形成された、凝固対象液としてのDIWの凝固体がノズル411の下に来る前に開始されればよい。
凝固対象液供給手段31のノズル311から、基板Wの周縁部981であって基板表面Wf側の主面周縁領域983の一部領域に供給された凝固対象液としてのDIWは、周端面985を流れ落ちる。その後、基板裏面Wbの主面周縁領域983に回り込み、余剰分は重力に従い基板Wから離れて落下し、排液捕集手段21に捕集されて排液される。これにより、基板表面Wfの主面周縁領域983、基板Wの周端面985及び基板裏面Wbの主面周縁領域983が凝固対象液であるDIWの液膜に覆われる。
また、基板Wの周縁部981に供給された凝固対象液としてのDIWは、基板Wを保持している基板保持部材115に対しても供給される。これにより、基板保持部材115の当接部745と基板Wの周端面985との間隙にもDIWが侵入する。この、基板Wの周縁部981の一部領域に凝固対象液であるDIWを供給する工程が、本発明における「凝固対象液供給工程」に該当する。
なお、本実施形態では、後述する融解工程により温度が上昇した基板周縁部981を冷却し、後述する凝固工程でDIWの凝固に要する時間を短縮するため、凝固対象液としては0〜2℃(摂氏)程度に温度調整されたDIWを用いるのが好ましい。また、基板Wの周縁部981に対する洗浄処理が行われている間、継続して供給されることが好ましい。
凝固対象液供給手段のノズル311から凝固対象液であるDIWを供給され、DIWの液膜が形成された基板Wの周縁部981は、基板Wの回転に伴って凝固手段35のノズル351の下に移動する。凝固手段35のノズル351からは、基板Wの周縁部981であって基板表面Wf側の主面周縁領域983の一部領域に向けて、凝固用気体としての例えば−(マイナス)80℃(摂氏)の窒素ガスが供給される。これにより、基板Wの周縁部981、基板Wの周縁部981に付着しているDIW、及び基板保持部材115の当接部745と基板Wの周縁部981との間隙に侵入しているDIWが共に冷却されて凝固し、基板Wの周縁部981にDIWの凝固体が形成される。この、基板Wの周縁部981の一部領域に凝固用気体である窒素ガスを供給する工程が、本発明における「凝固工程」に該当する。
具体的に、窒素ガスが供給される一部領域は、例えば直径30mm前後の領域であり、この領域及びその近傍で凝固対象液であるDIWが凝固され、基板Wの回転に伴って、DIWが凝固された領域がノズル351の直下から基板Wの回転方向下流側に広がる。
基板Wの周縁部981、及び基板保持部材115の当接部745と基板Wの周縁部981との間隙に存在するDIWが凝固することにより、パーティクル等と基板Wとの間に入り込んだDIWの凝固体である氷の体積が増加(0℃(摂氏)の水が0度℃(摂氏)の氷になると、その体積はおよそ1.1倍に増加する)し、パーティクル等が微小距離だけ基板Wから離れる。その結果、基板Wとパーティクル等との間の付着力が低減され、さらにはパーティクル等が基板Wから脱離することとなり、後述する融解工程によりDIWの凝固体である氷が除去されることにより、パーティクル等も併せて除去される。
凝固手段35のノズル351から凝固用気体としての窒素ガスが供給され、凝固対象液としてのDIWが凝固された基板Wの周縁部981は、基板Wの回転に伴って融解手段41のノズル411の下に移動する。融解手段41のノズル411からは、基板Wの周縁部981であって基板表面Wfの主面周縁領域983の一部領域に、例えば40℃(摂氏)に温度調整された融解液としてのDIWが供給される。
これにより、基板Wの周縁部981に形成されているDIWの凝固体がDIWの凝固点(0℃(摂氏))以上の温度に昇温され融解される。融解された凝固対象液としてのDIWは、融解液としてのDIWとともに重力に従い基板Wから離れて落下し、排液捕集手段21に捕集されて排液される。この、基板Wの周縁部981の一部領域に融解液であるDIWを供給する工程が、本発明における「融解工程」に該当する。
尚、融解工程は、凝固工程によって形成されたDIWの凝固体が融解する前に行われることが好ましい。即ち、融解手段41のノズル411は、凝固手段35により形成された凝固体が、基板Wの回転に伴って移動し、基板Wの周辺の雰囲気により昇温されて融解する位置よりも凝固手段35のノズル351に近接した位置に配置されることが好ましい。本実施形態では、図17に示すように、凝固手段35のノズル351と融解手段41のノズル411が、基板Wが一回転する範囲内に配置され、凝固工程と融解工程を同時に行える形態とされている。
このような配置により、凝固工程により形成された凝固対象液であるDIWの凝固体が、融解手段41のノズル411から供給される融解液としてのDIWにより融解される。これにより、凝固対象液であるDIWの凝固体を融解しながらパーティクル等を押し流すことが可能となり、洗浄能力を向上することが可能となる。また、融解液としてのDIWにより融解される前にDIWの凝固体が融解することがないため、パーティクル等が基板Wの周縁部981に再付着することを防止することが可能となる。
本実施形態においては、上記のとおり、基板Wの周縁部981上空の離間した位置にノズル311、ノズル351及びノズル411が配置され、それぞれのノズルの下で「凝固対象液供給工程」、「凝固工程」及び「融解工程」が行われる(ステップS101)。即ち、基板Wの回転に伴って基板Wの周縁部981の一部領域が順次各工程の基板Wの回転方向である下流側へ上流側の工程から移動し、それぞれの工程における処理を施される。従って、基板Wの回転を継続することで、これら3つの工程を繰り返し実施することができる。
基板Wの周縁部981には、前述の通り基板表面Wf及び基板裏面Wbに比較して付着しているパーティクル等が多く、同じ部分を複数回洗浄する必要がある。そこで、「凝固対象液供給工程」、「凝固工程」及び「融解工程」が開始された後、所定時間が経過したかの判断が行われる(ステップS102)。尚、洗浄が行われた回数を確認できればよいため、洗浄処理が行われた時間の代わりに、基板Wが回転した回数を確認するようにしても良い。
所定時間が経過していないと判断された場合は、ステップS101に戻って「凝固対象液供給工程」、「凝固工程」及び「融解工程」が継続される。所定時間が経過したと判断された場合は、以下に示す基板Wの周縁部981全体に対してDIWの凝固体を融解する工程が行われる。
即ち、制御ユニット97から凝固対象液供給手段31への動作指令により、開閉弁337が閉成する。また、制御ユニット997から凝固手段35への動作指令により、凝固用窒素ガス供給部373からの凝固用窒素ガスの供給が停止される。
その後、更にスピンベース113が少なくとも1回転した時点で、制御ユニット97から融解手段41への動作指令により、開閉弁437が閉成する。これにより、基板Wの周縁部981に残留したDIWの凝固体が全て融解され、基板保持部材115を開状態とすることができる(ステップS103)。
図19に戻る。1回目の基板Wの周縁部981の洗浄が終了した後、基板保持部材115、116の群の持ち替え動作を行う。即ち、制御ユニット97から基板保持手段11への動作指令により、基板保持部材駆動機構738が基板保持部材116を閉状態として、基板Wを一旦6本の基板保持部材115、116の群で支持する。その後、制御ユニット97から基板保持手段11への動作指令により、基板保持部材駆動機構737が基板保持部材115を開状態とする(ステップS04)。
次に、再び基板Wの周縁部981の洗浄処理が行われる(ステップS05)。このステップは、基板保持部材116により基板Wを保持する以外は、上記のステップS03と同様の処理が行われる。即ち、「凝固対象液供給工程」、「凝固工程」及び「融解工程」が同時に実行され(ステップS101)、所定時間が経過したかが判断され(ステップS102)、周縁部981全体に対してDIWの凝固体が融解される(ステップS103)。
その後、制御ユニット97から凝固対象液供給手段31への動作指令により、ノズル駆動機構313がノズル311を退避位置(ノズル311がカップ210の周方向外側に外れている位置)へ移動する。また、制御ユニット97から凝固手段35への動作指令により、ノズル駆動機構353がノズル351を退避位置(ノズル351がカップ210の周方向外側に外れている位置)へ移動する。更に、制御ユニット97から融解手段41への動作指令により、ノズル駆動機構413がノズル411を退避位置(ノズル411がカップ210の周方向外側に外れている位置)へ移動する。
また、制御ユニット97から基板保持手段11への動作指令により、基板保持部材駆動機構737、738が基板保持部材115、116を閉状態とする(ステップS06)。
次に、リンス工程が行われる。制御ユニット97から雰囲気遮断手段23への動作指示により、遮断部材昇降機構247が遮断部材231を対向位置へ移動する。また、制御ユニット97から基板保持手段11への動作指令により、基板回転手段13がスピンベース113の回転数を例えば1000rpmまで加速し、該回転数による回転が維持される。尚、カップ210は内捕集位置のままとされる。遮断部材231が対向位置に位置決めされた後、制御ユニット97からリンス手段45への動作指示により、開閉弁459及び開閉弁463が開成する。
これにより、第三DIW供給部453からの例えば20℃(摂氏)に温度調整されたリンス液としてのDIWが、主配管455、上側分岐配管457、上側第二供給管273を介してノズル275から基板表面Wfへ、また、主配管455、下側分岐配管461、下側第二供給管283を介してノズル291から基板裏面Wbへ供給される(ステップS07)。基板表面Wf及び基板裏面Wbのそれぞれ中心付近に供給されたリンス液であるDIWは、基板Wの回転による遠心力により、基板周縁部981方向に流動し、最終的には基板周縁部981から基板W外へ飛散し、排液捕集手段21に捕集されて排液される。
尚、リンス液は、凝固対象液供給工程や融解工程で基板Wの周縁部981以外の部分へ飛散したDIWや、雰囲気の中に浮遊していたパーティクル等が基板Wに付着したものなどを除去する役割を果たす。この、基板表面Wf及び基板裏面Wbにリンス液を供給して飛散物等を除去する工程が、本発明における「リンス工程」に該当する。
尚、基板表面Wfについては凝固対象液供給手段31のノズル311または融解手段41のノズル411を基板表面Wfの中心付近に位置決めしてDIWを吐出する事によってもリンス処理を行うことが可能である。この場合、ノズル411の位置を基板表面Wfの中心付近上空から周縁部981上空まで移動させることにより、より効果的に飛散物等を除去することが可能となる。
尚、リンス工程においても基板保持部材115及び基板保持部材116の持ち替え動作を行って、当接部745及び当接部746が基板Wの周縁部981と当接している部分をリンス処理するようにしても良い。
リンス工程終了後、制御ユニット97からリンス手段45への動作指令により、開閉弁459及び開閉弁463が閉成する。
次に、基板Wを乾燥する乾燥工程が行われる。制御ユニット97から乾燥用気体供給手段51への動作指令により、マスフローコントローラ519とマスフローコントローラ523が所定流量となるように開放される。
これにより、乾燥用窒素ガス供給部513からの例えば常温の乾燥用窒素ガスが、主配管515、上側分岐配管517、上側第一供給管271を介して基板表面Wfへ、また、主配管515、下側分岐配管521、下側第一供給管281を介して基板裏面Wbへ供給される。乾燥用窒素ガスが、対向位置に位置決めされた遮断部材231の下面と基板表面Wfとの間の空間に充満し、また、スピンベース113の上面と基板裏面Wbとの間の空間に充満することにより、基板表面Wf及び基板裏面Wbと外気とが接触することを防止する。
基板Wが外気から遮断された後、制御ユニット97から基板保持手段11と雰囲気遮断手段23への動作指令により、スピンベース113と遮断部材231を例えば1500rpmで回転し、該回転数による回転が維持される。これにより、基板表面Wf上に残留するリンス液であるDIWに遠心力を作用させて除去し、基板表面Wfを乾燥させる(ステップS08)。
基板Wの乾燥完了後、制御ユニット97から乾燥用気体供給手段51への動作指令により、マスフローコントローラ519とマスフローコントローラ523が流量0(ゼロ)に設定される。また、制御ユニット97からの動作指令により基板回転手段13がスピンベース113の回転を停止する。また、制御ユニット97から雰囲気遮断手段23への動作指令により、遮断部材回転機構235が遮断部材231の回転を停止する。また、制御ユニット97から排液捕集手段21への動作指令により、カップ210がホームポジションに位置決めされる。スピンベース113の回転が停止した後、制御ユニット97からの動作指令により基板回転手段13がスピンベース113を基板Wの受け渡しに適した位置へ位置決めする。更に、制御ユニット97から雰囲気遮断手段23への動作指令により遮断部材昇降機構247が遮断部材231を離間位置へ移動する。
最後に、基板Wを処理ユニット91から搬出する基板搬出工程が行われる。基板保持手段11が基板Wの受け渡しに適した位置に位置決めされた後、制御ユニット97から基板保持手段11への動作指令により、基板保持部材駆動機構737が基板保持部材115を、基板保持部材駆動機構738が基板保持部材116をそれぞれ開状態とし、基板Wを各基板保持部材115、116の支持部747、748の上に載置する。
その後、シャッター911が開放され、センターロボット96が上側のハンド961を処理ユニット91の中に伸ばし、基板Wを処理ユニット91の外に搬出し、シャトル95の上側のハンド951に移載する。その後、シャトル95は上側のハンド951をインデクサユニット93の側に移動する。
そして、インデクサロボット931が上側のハンド933でシャトル95の上側のハンドに保持されている基板Wを取り出し、FOUP949の所定の位置に搬入し(ステップS09)、一連の処理が終了する。
以上のように、本実施形態では、基板Wの周縁部981に基板保持部材115、116を当接して保持しているため、基板Wの表面Wf及び裏面Wbに対してパーティクル等を転写することなく基板Wの周縁部981を洗浄することができる。また、周縁部981に凝固対象液であるDIWが付着した基板Wを基板保持部材115、116で保持するため、基板保持部材115、116と基板Wが当接する部分の近傍にもDIWが残留する。この状態でDIWを凝固し、その後融解することで、基板Wの表面Wfと裏面Wbの主面周縁領域983、および基板Wの周端面985を洗浄することが可能である。
また、2群の基板保持部材115、116で交互に基板Wの周縁部981を保持しながら洗浄を行うことで、基板Wと基板保持部材115または基板保持部材116が当接している部分についても洗浄をすることができ、基板Wの周縁部981全体を洗浄することができる。
また、基板Wの回転に伴って、「凝固対象液供給工程」、「凝固工程」及び「融解工程」が連続して行われるため、基板Wの周縁部981の洗浄のように、同じ箇所を複数回洗浄処理する必要がある場合に、それぞれの工程を別々に行う場合に比較して、処理に要する時間を短縮することが可能である。また、各処理工程は、一部領域で行われるので、各処理工程を近接させることでより短時間で洗浄処理を行うことができる。
また、回転する基板Wの周縁部981に凝固対象液であるDIWを供給することで、基板Wの周縁部981と、基板Wの周縁部981に当接して保持している基板保持部材115または基板保持部材116との間にもDIWを確実に供給することが可能となり、基板Wの周縁部981をより良好に洗浄することが可能となる。
<第二実施形態>
次に、この発明にかかる基板処理装置の第二実施形態を説明する。この第二実施形態が第一実施形態と大きく相違する点は、第一実施形態のように凝固対象液供給手段31を備えず、融解手段41から凝固対象液としてのDIWを供給し、基板Wの周縁部981のある一点で凝固対象液供給工程と融解工程を同時に行う点である。
尚、第二実施形態の構成は図2ないし図20に示す基板処理装置9及び処理ユニット91と基本的に同一であるため、以下の説明では同一符号を付して構成説明を省略する。
この第二実施形態においても第一実施形態と同様に基板Wを処理ユニット91へ搬入する基板搬入工程(S01)と、一方の基板保持部材、例えば基板保持部材106を開状態とする工程(S02)が行われる。
また、基板保持部材106を開状態とする工程に併せて、制御ユニット997から基板保持手段11への動作指令により、基板回転手段13がスピンベース113を例えば100rpmで回転開始させ、該回転数による回転が維持される。また、制御ユニット997から排液捕集手段21への動作指令により、カップ210が内捕集位置に位置決めされる。
また、制御ユニット997から融解手段41への動作指令により、開閉弁437が開成する。これにより、第二DIW供給部433から例えば10℃(摂氏)に温度調整された凝固対象液としてのDIWが配管435を介して、例えば0.1l/min(リットル/分)の流量でノズル411から基板Wの周縁部981に供給される。
また、制御ユニット997から凝固手段35への動作指令により、凝固用窒素ガス供給部373から例えば−(マイナス)80℃(摂氏)に温度調整された窒素ガスが配管375を介して、例えば40l/min(リットル/分)の流量でノズル351から基板Wの周縁部981に供給される。
ここで、融解手段のノズル411及び凝固手段35のノズル351は、第一実施形態と同様、基板表面Wfの主面周縁領域983の上空であってそれぞれ離間した位置に配置されている。従って、基板Wの周縁部981上のある一点は、基板Wの回転に伴ってノズル411及びノズル351それぞれの下を交互に通過することとなる。
融解手段41のノズル411から、基板Wの周縁部981であって基板表面Wf側の主面周縁領域983の一部領域に供給された凝固対象液としてのDIWは、周端面985を流れ落ち、基板裏面Wbの主面周縁領域983に回り込み、余剰分は重力に従い基板Wから離れて落下し、排液捕集手段21に捕集されて排液される。これにより、基板表面Wfの主面周縁領域983、基板Wの周端面985及び基板裏面Wbの主面周縁領域983が凝固対象液であるDIWの液膜に覆われる。
また、基板Wの周縁部981に供給された凝固対象液としてのDIWは、基板Wを保持している基板保持部材115に対しても供給される。これにより、基板保持部材115の当接部745と基板Wの周縁部981との間隙にもDIWが侵入する。
融解手段41のノズル411から凝固対象液であるDIWを供給され、DIWの液膜が形成された基板Wの周縁部981は、基板Wの回転に伴って凝固手段35のノズル351の下に移動する。凝固手段35のノズル351からは、基板Wの周縁部981であって基板表面Wf側の主面周縁領域983の一部領域に向けて、凝固用気体としての例えば−(マイナス)80℃(摂氏)の窒素ガスが供給される。これにより、基板Wの周縁部981、基板Wの周縁部981に付着しているDIW、及び基板保持部材115の当接部745と基板Wの周縁部981との間隙に侵入しているDIWが共に冷却されて凝固し、基板Wの周縁部981にDIWの凝固体が形成される。この、基板Wの周縁部981に凝固用気体である窒素ガスを供給する工程が、本発明における「凝固工程」に該当する。
本実施形態においては、上記のとおり、基板Wの周縁部981の上空であって離間した位置にノズル411及びノズル351が配置され、ノズル411の下で「凝固対象液供給工程」及び「融解工程」が、ノズル351の下で「凝固工程」が行われる。即ち、基板Wの回転に伴って基板Wの周縁部981の一部領域が順次各工程の下流側へ移動し、それぞれの工程における処理を施される。従って、基板Wの回転を継続することで、これら3つの工程を繰り返し実施することができる。
尚、凝固対象液供給工程及び融解工程は、凝固工程によって形成されたDIWの凝固体が融解する前に行われることが好ましい。即ち、融解手段41のノズル411は、凝固手段35により形成された凝固体が、基板Wの回転に伴って移動し、基板Wの周辺の雰囲気により昇温されて融解する位置よりも凝固手段35のノズル351に近接した位置に配置されることが好ましい。
このような配置により、凝固工程により形成された凝固対象液であるDIWの凝固体が、融解手段41のノズル411から供給される凝固対象液としてのDIWにより融解される。これにより、凝固対象液であるDIWの凝固体を融解しながらパーティクル等を押し流すことが可能となり、洗浄能力を向上することが可能となる。また、凝固対象液としてのDIWにより融解される前にDIWの凝固体が融解することがないため、パーティクル等が基板Wの周縁部981に再付着することを防止することが可能となる。
基板Wの周縁部981には、前述の通り基板表面Wf及び基板裏面Wbに比較して付着しているパーティクル等が多く、同じ部分を複数回洗浄する必要がある。そこで、「凝固対象液供給工程」、「凝固工程」及び「融解工程」が開始された後、所定時間が経過したかの判断が行われる(ステップS102)。尚、洗浄の回数を確認できればよいため、洗浄処理が行われた時間の代わりに、基板Wが回転した数を確認するようにしても良い。
所定時間が経過していないと判断された場合は、ステップS101に戻って「凝固対象液供給工程」、「凝固工程」及び「融解工程」が継続される。所定時間が経過したと判断された場合は、以下に示す基板Wの周縁部981全体に対してDIWの凝固体を融解する工程が行われる。
即ち、制御ユニット997から凝固手段35への動作指令により、凝固用窒素ガス供給部373からの凝固用窒素ガスの供給が停止される。
その後、更にスピンベース113が少なくとも1回転した時点で、制御ユニット97から融解手段41への動作指令により、開閉弁437が閉成する。これにより、基板Wの周縁部981に残留したDIWの凝固体が全て融解され、基板保持部材115を開状態とすることができる(ステップS103)。
その後、第一実施形態と同様、基板の持ち替え動作(ステップS04)が行われ、再度基板Wの周縁部981の洗浄処理が行われる(ステップS05)。洗浄処理の内容は基板保持部材116で基板Wを保持する以外はステップS03と同じである。
その後、基板保持部材115、116が双方とも閉状態とされ(ステップS06)、リンス工程(ステップS07)、乾燥工程(ステップS08)、基板搬出工程(ステップS09)が行われ、一連の処理が終了する。
以上のように、本実施形態では、基板Wの周縁部981に基板保持部材115、116を当接して保持しているため、基板Wの表面Wf及び裏面Wbに対してパーティクル等を転写することなく基板Wの周縁部981を洗浄することができる。また、周縁部981に凝固対象液であるDIWが付着した基板Wを基板保持部材115、116で保持するため、基板保持部材115、116と基板Wが当接する部分の近傍にもDIWが残留する。この状態でDIWを凝固し、その後融解することで、基板Wの表面Wfと裏面Wbの主面周縁領域983、および基板Wの周端面985を洗浄することが可能である。
また、2群の基板保持部材115、116で交互に基板Wの周縁部981を保持しながら洗浄を行うことで、基板Wと基板保持部材115または基板保持部材116が当接している部分についても洗浄をすることができ、基板Wの周縁部981全体を洗浄することができる。
また、基板Wの回転に伴って、「凝固対象液供給工程」、「凝固工程」及び「融解工程」が連続的に行われるため、基板Wの周縁部981の洗浄のように、同じ箇所を複数回洗浄処理する必要がある場合に、それぞれの工程を別々に行う場合に比較して、処理に要する時間を短縮することが可能である。
また、回転する基板Wの周縁部981に凝固対象液であるDIWを供給することで、基板Wの周縁部981と、基板Wの周縁部981に当接して保持している基板保持部材115または基板保持部材116との間にもDIWを確実に供給することが可能となり、基板Wの周縁部981をより良好に洗浄することが可能となる。
また、凝固対象液供給工程と融解工程を融解手段31から供給する凝固対象液であるDIWにより実施することにより、処理に要するDIWの量を節減することができ、また、供給手段を1つに統一することにより、装置構成をより簡易にすることができ、部材コストを低減することも可能である。
<その他>
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記各実施形態では、基板Wの周縁部981に凝固対象液としてDIWを供給しているが、凝固対象液としてはDIWに限定されるものではなく、純水、超純水や水素水、炭酸水等、更にはSC1等の液体であっても使用することができる。
また、上記各実施形態では、基板Wの周縁部981に融解液としてDIWを供給しているが、融解液としてはDIWに限定されるものではなく、純水、超純水や水素水、炭酸水等、更にはSC1等の液体であっても使用することができる。
また、上記各実施形態では、凝固対象液と融解液を同じDIWとしているが、それぞれ別の液とすることも可能である。
また、上記各実施形態では、融解手段41が凝固対象液であるDIWの凝固点より高い温度の融解液を供給しているが、融解手段41から供給するものは液体に限られない。即ち、凝固対象液であるDIWの凝固点より高い温度の気体、例えば窒素ガスやアルゴンガスなどを供給して融解してもよい。
また、上記各実施形態では、基板Wの周縁部981の洗浄のみ行うこととしたが、この基板Wの周縁部981を洗浄する工程の前または後に基板表面Wfまたは基板裏面Wbを洗浄する工程を設けても良い。
また、上記各実施形態では、基板Wの周縁部981に当接する基板保持部材を用いて基板Wを略水平に保持しているが、基板を保持する方法はこれに限らない。即ち、基板裏面Wbまたは基板表面Wfを真空吸着などで保持してもよいし、基板Wの上面に高速の気流を流して基板Wを浮上して保持するいわゆるベルヌーイ効果を使用した保持方法を用いても良い。
また、上記各実施形態では、基板Wの周縁部981に凝固対象液である0〜2℃(摂氏)程度に温度調整されたDIWを供給し、その後凝固容器体である窒素ガスにより凝固していたが、過冷却状態のDIWを供給することで凝固対象液を供給しながら凝固対象液を凝固することができ、凝固手段35を省略することも可能である。
また、上記各実施形態において、基板Wが搬入され、基板保持部材115または基板保持部材116のいずれかが開状態とされた後、基板Wの周縁部981の洗浄を開始する前(図19におけるステップS02とステップS03の間)に、凝固手段35から基板Wの終焉部981に向けて、凝固用気体としての窒素ガスを供給し、基板を1回転以上して基板全体を冷却する工程(予備冷却工程)を設けることも可能である。尚、この工程を行うにおいて、基板Wの周縁部981には、凝固対象液が付着していてもよいし、付着していなくても良い。
これにより、基板の周縁部だけでなくその内側の部分についても冷却されることになり、基板の温度が高い場合に生ずる以下の現象を防止することが可能となる。即ち、凝固工程により凝固された凝固対象液が、基板W自体の有する熱により温度上昇し、融解工程により融解液が供給される前に融解し、一旦基板の周縁部から脱離したパーティクル等が基板の周縁部に再付着することを防止することができる。
また、基板からの熱伝導に起因した基板の周縁部に存在する凝固対象液の温度上昇や、凝固後の凝固対象液の温度のばらつきを防止することができる。凝固後の凝固対象液の温度は洗浄性能に影響するため、凝固された凝固対象液の温度を平準化することにより、それぞれの基板に対する洗浄性能のばらつきを抑制することが可能となる。