以下、本発明の実施の形態に係る画像形成装置について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を示す側面図である。
画像形成装置1は、原稿読取部2、画像形成部11、用紙搬送部12、用紙供給部13、および大容量給紙カセット(LCC)14を備えており、画像データによって示される画像を用紙に画像形成する。画像形成装置1は、原稿読取部2によって原稿画像を読み取って画像データを生成するか、外部の端末装置等から画像データを受信する。取得した画像データに種々の画像処理を施してから、画像形成部11で画像データによって示される画像を用紙に画像形成する。
原稿読取部2は、画像形成部11の上部に設けられ、下側の読取光学部41と、上側の原稿搬送部42とを備えている。
読取光学部41は、上側に原稿載置台44および原稿読取ガラス51を備え、内部に光源51および固体撮像素子48を備えている。原稿載置台44および原稿読取ガラス51は、透明ガラスで形成されている。原稿載置台44または原稿読取ガラス51上の原稿は、表面が光源51によって照明され、反射光が反射ミラーおよびレンズ等を介して固体撮像素子48に導かれる。固体撮像素子48は、受光した反射光に基づいて、画像データを生成する。
原稿搬送部42は、原稿読取ガラス51の上に自動で原稿を搬送する。また、原稿搬送部42は、画像形成部11と原稿搬送部42とを連結する軸回りに回動自在に構成され、原稿載置台44の上を開放することにより原稿を手置きで置くことができるようになっている。
画像形成部11は、搬送経路33に沿って感光体ドラム21および定着装置27を備え、感光体ドラム21の周囲に帯電装置22、レーザ露光装置23、現像装置24、転写ローラ25、およびクリーニング装置26が配置されている。
感光体ドラム21は、表面に光感光層を有しており、矢印方向に回転する。感光体ドラム21の表面は、クリーニング装置26によってクリーニングされた後、帯電装置22によって所定の電位に均一に帯電される。レーザ露光装置23は、レーザダイオードおよび反射ミラーを備えたレーザスキャニング部(LSU)であって、レーザビームによって感光体ドラム21の表面を走査して、入力された画像データに応じた静電潜像を感光体ドラム21の表面に書き込む。現像装置24は、感光体ドラム21の表面に書き込まれた静電潜像をトナーによって現像し、感光体ドラム21の表面にトナー像を形成する。
転写ローラ25は、感光体ドラム21に圧接されて、感光体ドラム21との間にニップ域を形成し、感光体ドラム21と共に回転する。感光体ドラム21および転写ローラ25は、搬送経路33を通じて搬送されて来た用紙をニップ域に挟み込んで搬送し、感光体ドラム21の表面のトナー像を用紙に転写する。トナー像が転写された用紙は、搬送経路33を通じて定着装置27に搬送される。
定着装置27は、用紙が通過する際、用紙をローラなどで挟んで加熱および加圧し、用紙に転写されたトナー像を定着させる。その後、用紙は、排紙ローラ36を経由して排出され、排紙トレイ37に積載される。
用紙搬送部12は、複数の搬送ローラ31、レジストローラ32、搬送経路33、迂回経路34、分岐爪35、排紙ローラ36、および排紙トレイ37を備えている。
用紙供給部13は、複数の給紙カセット38を備えている。給紙カセット38は、用紙を1枚ずつ引き出して送り出すためのピックアップローラ39等を備えており、用紙を搬送経路33へ送り出す。
大容量給紙カセット14は、給紙装置71を備えている。給紙装置71は、複数の用紙を積載収容し、用紙を1枚ずつ引き出して搬送経路33に送り出す。給紙装置71については、後述する図2を参照して詳細を説明する。
画像形成装置1において、用紙は、搬送ローラ33によって搬送経路33を通じて搬送され、転写ローラ25や定着装置27を経由して、排紙トレイ37へ排出される。搬送経路33では、感光体ドラム21の手前に設けられたレジストローラ32によって、用紙を一旦停止させた後、感光体ドラム21の表面のトナー像に転写タイミングを合わせて、用紙を搬送する。
また、用紙の表面に画像形成をした後、裏面に画像形成を行う場合は、分岐爪35の位置を切り替えて、用紙を排紙ローラ36から迂回経路34へ逆方向に搬送する。迂回経路34では、用紙の表裏を反転させてからレジストローラ32へ再度導き、表面と同様にして用紙の裏面に画像形成を行い、用紙を排紙トレイ37に排出する。
次に、本発明の実施の形態に係る給紙装置について、図面を参照して説明する。
図2は、本発明の実施の形態に係る給紙装置の平面図である。
本発明の実施の形態に係る給紙装置71は、複数の用紙が積載され、用紙の積載方向S(後述する図3参照)に沿って昇降する用紙積載台74と、用紙積載台74に積載された用紙を空気の吸引によって吸着して搬送する用紙搬送部材(例えば、用紙搬送ベルト81)と、用紙積載台74に積載された用紙を分離する空気の流れを発生させる分離ファン88と、用紙積載台74に積載された用紙を吸引する空気の流れを発生させる吸引ファン84と、吸引ファン84から排気された空気を分離ファン88に導く中継ダクト87とを備える。中継ダクト87は、吸引ファン84の排気口84bから分離ファン88の吸気口88aまでを結ぶ直線状に形成されている。
この構成によると、吸引ファン84と分離ファン88とを接続することによって、一方のファンで不足した空気を他方のファンで補うことで、それぞれのファンが用紙を吸引する力と用紙を分離する力とを相互に強めあう構成とすることができる。つまり、吸引ファン84においては、用紙を吸引する力だけでなく、用紙を分離する力に作用し、分離ファン88においては、用紙を分離する力だけでなく、用紙を吸引する力に作用する。また、中継ダクト87を直線状に形成することによって、壁面などの障害物がない構造とし、空気が中継ダクト87を通る際の損失を低減することができる。さらに、ファンの数を低減することで、給紙装置の省電力化、省スペース化を図ることができる。
また、給紙装置71は、吸引ファン84の吸気口84aに接続され用紙を吸引する空気の流路を形成する吸引ダクト85と、分離ファン88の排気口88bに接続され用紙を分離する空気の流路を形成する分離ダクト86とを備える。
図2に示すように、給紙装置71は、外側枠体72、底板73、用紙積載台74、および外側枠体72の一端上側に配置された用紙引き出し部75で構成されている。また、用紙引き出し部75は、4つの用紙搬送ベルト81、各用紙搬送ベルト81が張架された1組のローラ82、83、吸引ダクト85、吸引ファン84、中継ダクト87、分離ファン88、および分離ダクト86で構成されている。以下では、まず、外側枠体72、底板73、および用紙積載台74について図2および図3を参照して説明し、用紙引き出し部75については後述する。
図3は、用紙引き出し部を取り外した状態で、外側枠体、底板、および用紙積載台を示す斜視図である。
用紙積載台74は、用紙の搬送方向Hに長く形成された開口溝部74aが設けられている。開口溝部74aには、用紙後端ガイド76が開口溝部74aを通じて上方に突出させて配置されている。なお、用紙積載台74に積載された用紙の搬送方向Hの端部を先端と呼び、搬送方向Hとは逆方向の端部を後端と呼ぶことがある。また、搬送方向Hを前方と呼び、搬送方向Hとは逆方向を後方と呼ぶことがある。さらに、用紙積載台74に積載された用紙の先端に沿う方向を長手方向Nとする。
用紙後端ガイド76は、用紙積載台74に積載された用紙の後端に対向するガイド柱部76aと、ガイド柱部76aに支持されたガイド頭部76bとを備えている。用紙後端ガイド76は、底板73上を開口溝部74aに沿って用紙の搬送方向Hに往復移動するように支持されており、任意の位置で位置決めされる。用紙後端ガイド76を前方に移動させることで、ガイド柱部76aが用紙の後端に接し、用紙積載台74を上昇させることで、用紙の上面がガイド頭部76bに接する。
用紙積載台74の長手方向Nにおける両側には、積載台凹部74bが形成されており、積載台凹部74bのそれぞれにアシストダクト77が配置されている。アシストダクト77は、積載台凹部74b内を長手方向Nに沿って往復移動するように外側枠体72に支持されており、2つのアシストダクト77が互いに接近するように、または互いに離間するように連動して移動し、任意の位置で位置決めされる。
外側枠体72は、平面視において用紙積載台74に積載された用紙を囲むように配置され、長手方向Nにおける両側に2つずつ設けられた枠体開口部72aと、用紙の先端が接する当接板72bとを備えている。それぞれ枠体開口部72aからは、用紙積載台74に形成された突出片74cが外側枠体72の外側に突出している。当接板72bには、分離ダクト86の第1分離口86b(後述する図5および図7参照)に面する部分に切り欠け部72cが形成されている。
アシストダクト77は、用紙積載台74に積載された用紙の側端に対向する面にアシスト開口部77aが設けられた中空体であって、内部に通気経路を有している。2つのアシストダクト77の外側には、それぞれアシストファン79が設けられており、アシストファン79によって吸引された空気は、アシストダクト77の通気経路に送り込まれ、アシスト開口部77aから外側枠体72の内側に吹き出される。
外側枠体72の外側には、長手方向Nにおける外側枠体72の両端にそれぞれ巻取りプーリ90が設けられている。巻取りプーリ90には、それぞれ2本のワイヤー93が接続され、ワイヤー93は、巻取りプーリ90が設けられた側に対応する突出片74cに接続されている。また、ワイヤー93は、複数の従動プーリ94に掛けて引き回されて巻取りプーリ90に接続されている。つまり、4つの突出片74cには、それぞれ1本ずつワイヤー93が接続されている。2つの巻取りプーリ90は、回転自在に支持された共通の軸91の両端に固定されており、軸91に接続されたパルスモータ92によって、軸91が回転駆動することで巻取りプーリ90が正逆回転し、ワイヤー93が巻取りプーリ90に巻き取られたり、繰り出されたりする。ワイヤー93を巻き取ったり繰り出したりすることで、用紙積載台74が積載方向Sに昇降する。また、パルスモータ92の回転方向および回転角度を制御することによって、用紙積載台74の高さを調節することができる。
次に、図4ないし図7を参照して、用紙引き出し部の構成を詳しく説明する。
図4は、用紙引き出し部を斜め上前方から見た状態を示す斜視図であって、図5は、用紙引き出し部を斜め上後方から見た状態を示す斜視図であって、図6は、用紙引き出し部を斜め下後方から見た状態を示す斜視図であって、図7は、図2の矢符B−Bでの用紙引き出し部を主体に見た拡大断面図である。
吸引ダクト85は、中空体であって、図4に示すように、長手方向Nに長い空気の流路を有しており、長手方向Nの端部に設けられた吸引連結部85aを介して吸引ファン84に連結されている。また、吸引ダクト85は、用紙積載台74に積載された用紙の上面に対向して長手方向Nに沿って配置されており、用紙の上面と対向する面(吸引ダクト85の下面85g)に、内部の流路まで貫通する複数の用紙吸引口85e(詳しくは、図7参照)が形成されている。吸引ダクト85は、搬送方向Hでの両端部(図4に示す前端部85cおよび後端部85d)に、それぞれローラ連結部85hが突出して形成されており、ローラ連結部85hにはローラ82およびローラ83を支持するローラ回転軸82aおよびローラ回転軸83aが接続されている。
ローラ82は、ローラ回転軸82aに支持され、ローラ83は、ローラ回転軸83aに支持されており、ローラ回転軸82aおよびローラ回転軸83aは図示しない駆動手段に接続されている。
用紙搬送ベルト81は、ローラ82およびローラ83に張架されており、図示は省略しているが、吸引ダクト85の上面85bからはわずかに離間し、吸引ダクト85の下面85gには接するように配置されている。駆動手段によって一方のローラ82が回転すると、他方のローラ83が従動回転し、用紙搬送ベルト81が周回移動する。なお、本実施の形態において、用紙搬送部材は、用紙搬送ベルト81に相当する。用紙搬送ベルト81には、多数の通気孔81aが形成されており、空気が通気孔81aから吸引ダクト85を通じて吸引ファン84に吸引される。
図4ないし図6の矢印Fに示すように、吸引ファン84によって、用紙吸引口85eから吸引連結部85aを通じて吸引ファン84の吸気口84aへ空気が吸引される。そして、図7の矢印Fに示すように、通気孔81aを介して用紙積載台74に積載された用紙の上面を吸引し、用紙の上面が用紙搬送ベルト81に吸着され、用紙搬送ベルト81の周回移動に伴って、用紙が搬送方向Hに搬送される。
なお、吸引ファン84および分離ファン88の詳細な構造については、図8Aおよび図8Bを参照して後述する。
分離ダクト86は、中空体であって、図4に示すように、長手方向Nに長い空気の流路を有しており、長手方向Nの端部に設けられた分離連結部86a(図2を併せて参照)を介して分離ファン88に連結されている。図7に示すように、分離ダクト86は、用紙積載台74に積載された用紙の先端に対向して配置され、用紙の先端と対向する面(分離ダクト86の内壁面86d)に、内部の流路まで貫通する第1分離口86bが形成されている。内壁面86dは、外側枠体72の当接板72bの外側面に重ねて設けられ、第1分離口86bは、切り欠け部72cを介して外側枠体72の内側に臨んでいる。また、分離ダクト86は、用紙搬送ベルト81に面して開口された第2分離口86eが形成されている。
図4および図5の矢印Kに示すように、分離ファン88の排気口88bから分離連結部86aを通じて第1分離口86bおよび第2分離口86eへ空気が送り込まれ、第1分離口86bおよび第2分離口86eから外側枠体72の内側へ空気が吹き出される。そして、図7の矢印Kに示すように、第1分離口86bから吹き出された空気は、用紙積載台74に積載された用紙の先端へ送り込まれ、積載された用紙のうち上から数枚をばらつかせる。ここで、上述したアシストダクト77(図3参照)から送り込まれた空気によって、用紙積載台74に積載された用紙を浮き上がらせて用紙搬送ベルト81に近づけることで、用紙を容易に吸引できるようにする。第2分離口86eから吹き出された空気は、用紙積載台74から浮き上がった複数の用紙の間に送り込まれ、複数の用紙をそれぞれ1枚ずつに分離する。分離された用紙のうち、1番上の用紙が用紙搬送ベルト81に吸着され、残りの用紙は、用紙積載台74に積載される。
中継ダクト87は、中空体であって、図4に示すように、搬送方向Hに沿って延伸された流路を有しており、一方の端部が吸引ファン84の排気口84bに連結され、他方の端部が分離ファン88の吸気口88aに連結されている。つまり、吸引ファン84から吹き出された空気は、中継ダクト87を通じて分離ファン88に送り込まれる。なお、中継ダクト87が有する流路については、図8Aを参照して後述する。
中継ダクト87と分離ダクト86とは、所定の角度を持って連結され、連結された部分に分離ファン88が配置されている。この構成によると、分離ファン88を介して空気が流れる方向を変更し、分離ファン88からの空気の流れに沿って分離ダクト86を設けることによって、壁面などの障害による損失を小さくし効率的に用紙を分離することができる。
具体的には、上述した所定の角度は、80度〜100度であって、好ましい角度は90度である。つまり、中継ダクト87と分離ダクト86とは、直角に連結されている。この構成によると、直角に連結することによって、分離ファン88の吸気口88aに対して垂直に空気が送り込まれるので、分離ファン88が効率よく空気を取り込むことができる。
また、分離ダクト86から排気された空気の一部は、吸引ダクト85から吸引される。この構成によると、分離ダクト86から排気された空気の一部を吸引ダクト85から吸引することで、分離ダクト86と吸引ダクト85との間に空気の流路が形成される。したがって、給紙装置71を流れる空気を循環させることで、空気の損失を低減し、効率よく動作させることができる。
吸引ダクト85の吸引連結部85aと反対側の端部(吸引先端部85f)は、分離ダクト86の分離連結部86aと反対側の端部(分離先端部86c)と接続されている。また、図4ないし図6では、中継ダクト87は、吸引ダクト85および分離ダクト86と分離して形成されているが、本発明はこれに限定されず、吸引ダクト85、分離ダクト86、および中継ダクト87を一体化してもよい。つまり、吸引ダクト85、分離ダクト86、および中継ダクト87に対応する流路がそれぞれ独立して形成されていれば、中継ダクト87の外壁等を厚くして中継ダクト87、吸引連結部85a、および分離連結部86aを一体化してもよい。
次に、吸引ファンおよび分離ファンについて、図8A、図8B、および図12を参照して説明する。
図8Aは、吸引ファンおよび分離ファンを抜き出して示す正面図であり、図8Bは、図8Aの矢符Aから見た吸引ファンおよび分離ファンの側面図であって、図12は、図9の矢符C−Cでの断面図である。
吸引ファン84は、遠心ファンなどであって、例えば、シロッコファンであり、吸気口84aから吸い込んだ空気を加圧して排気口84bから排出する。吸引ファン84は、複数の羽根84c、ファンケーシング84d、およびダクト部84eを備えている。なお、本実施の形態では、分離ファン88は、吸引ファン84と同様の構造とされているので、説明を省略する。
複数の羽根84cは、図示しない駆動手段によって回転し、生じた遠心力で半径方向の外方に空気を送り出す。吸気口84aの中心に軸受部84fが配置され、軸受部84fの周囲に放射状に羽根84cが配置されている。複数の羽根84cは、例えば、回転軸84hに接続された円板84jに立設されている。軸受部84fは、内部に駆動手段に接続された回転軸84hが配置され、回転軸84hを中心にして円板84jが回転して羽根84cが回転移動する。
ファンケーシング84dは、内部に複数の羽根84cが収容された円柱状の空間を備え、略円筒形状に形成されており、略円形状の主面84gに吸気口84aが設けられている。ファンケーシング84dの主面84gの幅(筐体縦幅FW1)は、例えば、120mmである。ファンケーシング84dの側面は、一部開口しており、開口した部分とダクト部84eとが連結されている。ファンケーシング84dの側面の幅(側面幅FW3)は、例えば、33mmである。吸気口84aは、正面視において円形状とされ、吸気口84aの直径(開口径FWh)は、例えば、80mmである。
また、上述した軸受部84fは、主面84gに向かって突出したカップ状に形成されており、軸受部84fの直径(回転軸幅FWp)は、例えば、58mmである。なお、以下では説明のため、正面視における軸受部84fから吸気口84aまでの幅を有効開口幅FWyと呼ぶことがある。つまり、軸受部84fと吸気口84aとの間(有効開口幅FWy)に空気を送り込むことで、吸引ファン84の内部に空気を取り込むことができる。一方、軸受部84fに当たった空気は、吸引ファン84の内部に入らず戻ってしまう。以下では、吸引ファン84が空気を吸引できる領域を吸引領域と呼び、吸引領域は有効開口幅FWyに相当する。本実施の形態では、羽根84cと軸受部84fとの間に隙間が設けられているが、羽根84cと軸受部84fとの間隔は、適宜調整すればよく、正面視において、羽根84cの一部が有効開口幅FWy内に配置されていればよい。
ダクト部84eは、空気の流れ方向に直交する断面が矩形状の中空の管であって、ファンケーシング84dと一体に形成されている。ダクト部84eの一方の端部は、ファンケーシング84dの側面に連結され、ダクト部84eの他方の端部は、ダクト部84eの内部の流路を流れた空気を外部へ排出する排気口84bを形成する。正面視における排気口84bからファンケーシング84dの反対側の端部までの幅(筐体横幅FW2)は、例えば、120mmである。また、上述したように、側面視において、排気口84bは、矩形状に形成されており、排気口84bの回転軸方向での開口幅(排気横幅VW1)は、例えば、26mmであり、排気口84bの回転軸に直交する方向での開口幅(排気縦幅VW2)は、例えば、51mmである。つまり、排気口84bは、排気縦幅VW2が排気横幅VW1より大きく形成されている。
吸引ファン84と分離ファン88とは同じ構造であって、分離ファン88の吸気口88a、排気口88b、羽根88c、ファンケーシング88d、ダクト部88e、軸受部88f、主面88g、回転軸88h、および円板88jは、それぞれ吸引ファン84の吸気口84a、排気口84b、羽根84c、ファンケーシング84d、ダクト部84e、軸受部84f、主面84g、回転軸84h、および円板84jに相当する。
上述したように、吸引ファン84と分離ファン88とで同じファンを用いることによって、ファンによる騒音の静音化が容易になる。つまり、それぞれのファンの回転数や周期が近似していれば、騒音の周波数が近い値となるので、対処する周波数帯域が狭くても静音化できる。
上述したように、吸引ファン84および分離ファン88の幅は、ファンケーシング84dおよびダクト部84eの幅(筐体縦幅FW1、筐体横幅FW2、および側面幅FW3)によって決定され、本実施の形態では、側面幅FW3が最小幅であり、回転軸方向が吸引ファン84および分離ファン88の最小幅方向である。
分離ファン88の風圧は、吸引ファン84の風圧より大きく設定されているのが望ましい。この構成によると、分離ファン88の風圧を大きくすることによって、中継ダクト87を経由する際に生じる損失を補うことができる。つまり、流路が長くなることで、僅かながら風圧が低下することは避けられないため、ファンの出力に差をつけることで一定の風圧を確保する。具体的には、吸引ファン84の風圧は、200Paであって、分離ファン88の風圧は、380Paである。
図8Aに示す破線は、正面視において、分離ファン88の主面88gに投影した中継ダクト87の流路(ダクト領域DR)を示す。ダクト領域DRは、矩形状に形成されており、長手方向N(図面では横方向)での幅が26mmであり、積載方向S(図面では縦方向)での幅が51mmである。つまり、吸引ファン84の排気口84bと同じ形状とされている。なお、ダクト領域DRは、吸引ファン84の排気口84bと同じか、より大きく形成されていることが望ましい。
ダクト領域DRは、羽根88cに面する位置に配置されており、有効開口幅FWyの一部と重なる面積が最大となるように配置されていることが望ましい。つまり、ダクト領域DRと有効開口幅FWyの一部とが重なる面積が最大となるとき、吸引ファン84の排気口84bは、吸引領域と重なる面積が最大となる位置に配置される。この構成によると、吸引ファン84から送られた空気をできるだけ多く分離ファン88の内部に取り入れる構造とすることで、分離ファン88から排気される空気を増やすことができる。つまり、吸引領域に対向して開口している面積を増やすことで、分離ファンの中に直接送り込まれる空気を増やすことができる。なお、吸引ファン84の排気口84bと吸引領域とが重なる面積とは、分離ファン88の主面88gを正面視した際に、排気口84bと有効開口幅FWyとが重なる部分を示す。
上述したように中継ダクト87は、分離ファン88の羽根88cに面して開口している。この構成によると、中継ダクト87から送られた空気が分離ファン88の羽根88cに直接当たるため、分離ファン88へ効率よく空気を送り込むことができる。
分離ファン88の吸気口88aが形成された面(主面88g)を平面視したとき、吸引領域は円環状とされ、吸引ファン84の排気口84bは矩形状とされている。分離ファン88に投影された吸引ファン84の排気口84bのうちいずれか一辺は、吸引領域の外円の接線と一致するが望ましい。この構成によると、吸引ファン84の排気口84bの位置を特定することで、吸引領域と重なる面積が最大となる構造を容易に設計することができる。
本実施の形態では、吸引ファン84の排気口84bの長辺が、分離ファン88の排気口88bから長手方向N(図8Aでは横方向)の距離が最大となる位置(分離ファン88の排気口88bの右端)に配置されているが、例えば、分離ファン88の排気口88bから長手方向Nの距離が最小となる位置(分離ファン88の排気口88bの左端)に配置してもよい。また、吸引ファン84の排気口84bの長辺は、長手方向Nに対して垂直に配置されているが、分離ファン88の排気口88bの接線と一致させてあれば、長手方向Nに対して傾斜していてもよい。
なお、分離ファン88の吸気口88aと中継ダクト87の開口部との形状が異なる場合は、分離ファン88と中継ダクト87とを連結する部分だけ、吸気口88aに合わせて開口部を広げるなどして、中継ダクト87から送られた空気が外部に漏れないようにすればよい。また、吸引ファン84と吸引ダクト85との連結部(吸引連結部85a)でも同様にすればよい。さらに、中継ダクト87は、主面88gを覆うように形成され、中継ダクト87の開口部から排気された空気が、吸気口88aの一部の領域であって、排気口84bと対向する領域にだけ排気される構造としてもよい。
次に、用紙引き出し部の大きさについて、図面を参照して説明する。
図9は、用紙引き出し部を抜き出して示す平面図であって、図10は、図2に示す給紙装置の側面図である。
吸引ダクト85(但し、吸引連結部85aは除く)は、長手方向Nでの幅KDnが、455mmであって、搬送方向Hでの幅KDhが、50mmであって、積載方向Sでの幅KDs(図5参照)が、25mmである。つまり、吸引ダクト85は、長手方向Nに長く形成されており、吸引ダクト85の長手方向Nは、長手方向Nと一致する。
分離ダクト86(但し、分離連結部86aおよび分離先端部86cは除く)は、長手方向Nでの幅BDnが、395mmであって、搬送方向Hでの幅BDhが、33mmであって、積載方向Sでの幅BDsが、65mmである。つまり、分離ダクト86は、長手方向Nに長く形成されており、分離ダクト86の長手方向Nは、長手方向Nと一致する。また、分離ダクト86の搬送方向Hでの幅BDhが最小幅であり、搬送方向Hが分離ダクト86の最小幅方向である。
吸引ファン84は、長手方向Nに垂直な面に吸気口84aが設けられ、搬送方向Hに垂直な面に排気口84bが設けられている。つまり、吸引ファン84の回転軸は、長手方向Nに設けられているので、吸引ファン84の最小幅方向は、長手方向Nと一致する。
分離ファン88は、搬送方向Hに垂直な面に吸気口88aが設けられ、長手方向Nに垂直な面に排気口88bが設けられている。つまり、分離ファン88の回転軸は、搬送方向Hに設けられているので、分離ファン88の最小幅方向は、搬送方向Hと一致する。
上述したように、用紙積載台74に積載された用紙の先端に沿う方向を長手方向Nとするとき、吸引ファン84は、吸引ダクト85の長手方向Nと吸引ファン84の最小幅方向とが一致するように配置されている。分離ダクト86は、吸引ダクト85の長手方向Nと分離ダクトの長手方向Nとが平行に配置され、かつ、搬送方向Hと分離ダクト86の最小幅方向とが一致するように配置されている。分離ファン88は、分離ダクト86の最小幅方向と分離ファン88の最小幅方向とが平行に配置されている。
この構成によると、吸引ファン84の最小幅方向を吸引ダクト85の長手方向に一致させることで、ダクトとファンとで構成された用紙引き出し部75の長手方向Nにおける幅を短くすることができる。また、分離ダクト86および分離ファン88の最小幅方向を搬送方向Hに一致させることで、用紙引き出し部75での搬送方向Hにおける幅を短くすることができる。つまり、長手方向Nおよび搬送方向Hの幅をできるだけ小さくすることによって、給紙装置71のコンパクト化を図ることができる。
分離ファン88は、長手方向Nに対して垂直な面に排気口88bが設けられ、分離ファン88の排気口88bは、搬送方向Hでの幅(排気横幅VW1)より積載方向Sでの幅(排気縦幅VW2)が大きく形成されている。この構成によると、分離ファン88の排気口88bを積載方向Sに広げることで、流路の断面積を確保することができる。つまり、分離ファン88および分離ダクト86は、最小幅方向を搬送方向Hに一致させているので、搬送方向Hにおける幅を大きくすることができないが、積載方向Sでは、用紙積載台74を設けるために所定の領域が確保されているので、容易に幅を大きくすることができる。
吸引ファン84は、搬送方向Hに対して垂直な面に排気口84bが設けられ、吸引ファン84の排気口84bは、長手方向Nでの幅(排気横幅VW1)より積載方向Sでの幅(排気縦幅VW2)が大きく形成されている。この構成によると、吸引ファン84の排気口84bを積載方向Sに広げることで、流路の断面積を確保することができる。つまり、吸引ファン84は、最小幅方向を吸引ダクト85の長手方向Nに一致させているので、長手方向Nにおける幅を大きくすることができないが、積載方向Sでは、用紙積載台74を設けるために所定の領域が確保されているので、容易に幅を大きくすることができる。
図9に示すように、吸引ダクト85、中継ダクト87、および分離ダクト86は、平面視において、U字形状に配置されている。したがって、中継ダクト87を基点として、吸引ダクト85および分離ダクト86は、同じ方向に延伸されているので、給紙装置71が占める領域を低減することができ、省スペース化を図ることができる。また、吸引ダクト85と分離ダクト86とが近接した構造を容易に設計することができ、分離ダクト86から吸引ダクト85へ容易に空気を循環させることができる。
次に、給紙装置の給紙動作について、図2および図11を参照して説明する。
図11は、本発明の実施の形態に係る給紙装置を簡略化して示す断面図である。
まず、用紙を用紙積載台74に積載して位置決めをする。用紙を用紙積載台74に積載する際には、用紙後端ガイド76を後方に移動させて、用紙後端ガイド76と当接板72bとの間を広く開ける。さらに、アシストダクト77を相互に離間する方向に移動させて、2つのアシストガイド77の間を広く開ける。ここで、用紙を用紙積載台74に積載し、用紙後端ガイド76を前方に移動させ、ガイド柱部76aによって用紙の後端を搬送方向Hへ押す。ガイド柱部76aに押された用紙は、用紙積載台74の上を滑って移動し、先端が当接板72bに接する。つまり、用紙の先端および後端を当接板72bとガイド柱部76aとの間に挟みこんで、用紙の位置決めをする。また、アシストダクト77を相互に接近する方向へ移動させて、用紙の長手方向Nにおける両端を2つのアシストダクト77の間に挟みこんで、用紙の位置決めをする。
次に、巻取りプーリ90(図3参照)を回転させて、用紙積載台74を上昇させ、用紙を所定の高さに位置決めする。例えば、一番上の用紙がガイド頭部76bに接するまで用紙積載台74を上昇させる。
そして、アシストダクト77に空気を送り込み、アシストダクト77から用紙積載台74に積載された用紙の両側面上層に空気を吹き付けて、用紙を浮き上がらせる。また、吸引ファン84および分離ファン88から分離ダクト86へ空気を送り込み、第1分離口86bから用紙の先端に空気を吹き付けて、用紙をばらつかせる。ここで、第2分離口86eから吹き付けられた空気は、浮き上がった用紙を分離する。
この状態で、吸引ダクト85から吸引ファン84および分離ファン88へ空気を吸引して、通気孔81aおよび用紙吸引口85eを通じて空気を吸い込み、用紙搬送ベルト81に1枚の用紙を吸着させる。これに併せて、ローラ82およびローラ83を回転させて、用紙搬送ベルト81を周回移動させると、1枚の用紙が搬送方向Hに引き出されて画像形成装置1の搬送ローラ31へ搬送される。引き続いて、用紙搬送ベルト81に次の1枚の用紙が吸着されて搬送される。以降同様にして、用紙が1枚ずつ給紙装置71から画像形成装置1へ搬送されていく。
上述したように、画像形成装置1は、給紙装置71を備えている。この構成によると、本発明に係る給紙装置71を備えることで、本発明に係る給紙装置71と同様の作用効果を奏する。
なお、今回開示した実施の形態は全ての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。従って、本発明の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。