以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の給紙装置の一実施形態を適用した画像形成装置を示す断面図である。この画像形成装置1は、その構成を大別すると、原稿読取り装置2、印刷部11、用紙搬送部12、用紙供給部13、及び大容量給紙カセット(LCC)14からなる。
印刷部11においては、クリーニング装置26により感光体ドラム21表面の残留トナーを除去及び回収した後、帯電装置22により感光体ドラム21の表面を所定の電位に均一に帯電させ、レーザ露光装置23により感光体ドラム21表面を露光して、その表面に静電潜像を形成し、現像装置24により感光体ドラム21表面の静電潜像を現像して、感光体ドラム21表面にトナー像を形成する。
転写ローラ25は、感光体ドラム21に圧接されて、感光体ドラム21との間にニップ域を形成しており、用紙搬送経路33を通じて搬送されて来た記録用紙をそのニップ域に挟み込んで搬送しつつ、感光体ドラム21表面のトナー像を記録用紙上に転写する。そして、定着装置27の加熱ローラ28と加圧ローラ29間に記録用紙を挟み込んで加熱及び加圧し、記録用紙上のトナー像を定着させる。
一方、用紙供給部13は、複数の給紙カセット38を備えている。各給紙カセット38は、記録用紙を一枚ずつ引出して送り出すためのそれぞれのピックアップローラ39等を備えており、引出した記録用紙を用紙搬送部12の用紙搬送経路33へと送り出す。
また、大容量給紙カセット(LCC)14は、記録用紙を多量に収納可能であり、記録用紙を一枚ずつ引出して用紙搬送部12の用紙搬送経路33に送り出す。
この記録用紙は、用紙搬送経路33を通じて搬送され、転写ローラ25や定着装置27を経由し、用紙排紙ローラ36を介して用紙排紙トレイ37に排出される。この用紙搬送経路33には、記録用紙を一旦停止させて、記録用紙の先端を揃えた後、感光体ドラム21と転写ローラ25間のニップ域でのトナー像の転写タイミングに合わせて記録用紙の搬送を開始するレジストローラ32、記録用紙の搬送を促す搬送ローラ31、用紙排紙ローラ36等が配置されている。
また、記録用紙の表面だけではなく、裏面の印字を行う場合は、分岐爪35の位置を切換えて、記録用紙を用紙排紙ローラ36から反転経路34へと逆方向に搬送し、記録用紙の表裏を反転させて、記録用紙をレジストローラ32へと再度導き、記録用紙の表面と同様に、記録用紙の裏面に画像を記録して定着し、記録用紙を用紙排紙トレイ37に排出する。
次に、画像形成装置1の本体上部に搭載された原稿読取り装置2を説明する。この原稿読取り装置2において、原稿搬送部42は、その奥一辺をヒンジ(図示せず)により第1読取り部41の奥一辺に枢支されており、その手前部分を上下させることにより原稿搬送部42を開いて、第1読取り部41のプラテンガラス44上に原稿用紙を載置することができる。
第1読取り部41において、第1走査ユニット45は、副走査方向に移動しながら、プラテンガラス44上の原稿用紙表面を光源51によって照明し、その反射光を第1反射ミラー52により反射して第2走査ユニット46へと導く。第2走査ユニット46は、第1走査ユニット45に追従して移動しつつ、原稿用紙からの反射光を第2及び第3反射ミラー53、54により反射する。この反射光は、結像レンズ47によりCCD48(Charge Coupled Device)に集光されて、CCD48により原稿用紙の画像が読取られる。
また、原稿搬送部42により搬送されている原稿用紙表面の画像を読取る場合は、図1に示すように第1走査ユニット45を原稿読取りガラス55下方の読取り位置に移動し、第1走査ユニット45の位置に応じて第2走査ユニット46を位置決めする。この状態で、ピックアップローラ56により原稿トレイ57上の原稿用紙を引出して、原稿用紙を原稿搬送経路58を通じて搬送し、第1走査ユニット45の光源51により原稿用紙表面を原稿読取りガラス55を介して照明し、原稿用紙からの反射光を第1及び第2走査ユニット45、46の各反射ミラーにより結像レンズ47へと導き、CCD48により原稿用紙の画像を読取り、原稿用紙を原稿排紙ローラ61から原稿排紙トレイ62へと排出する。
また、原稿搬送部42に内蔵の第2読取り部43(密着印刷画像センサ(Contact Image Sensor(CIS))は、第2読取り部(CIS)43の下を通過して原稿排紙トレイ62へと排出される原稿用紙裏面を照明し、原稿用紙裏面からの反射光を受光して、原稿用紙裏面の画像を読取る。
このようにCCD48及びCIS43により読取られた原稿用紙の画像は、画像形成装置1のレーザ露光装置23に入力され、画像形成装置1において画像が記録用紙に記録され、この記録用紙が複写原稿として出力される。
次に、大容量給紙カセット14に内蔵されている本実施形態の給紙装置71の構成を詳しく説明する。この給紙装置71は、多量の記録用紙を積載収容し、記録用紙を一枚ずつ引出して用紙搬送経路33(図1に示す)に送り出すものである。
図2は、本実施形態の給紙装置71の外観を手前側斜め上から見て示す斜視図である。この給紙装置71は、引出し筐体71aを有しており、この引出し筐体71aの内部に給紙装置71の主要部を設けてなる。引出し筐体71aは、例えばローラとレール(図示せず)を組み合わせた周知の機構により大容量給紙カセット14の本体内部で矢印方向Ma、Mbに往復移動自在に支持されており、大容量給紙カセット14の本体内側の収容空間に対する給紙装置71の出し入れが可能になっている。給紙装置71が大容量給紙カセット14の本体内側の収容空間から引出された状態で、用紙束が給紙装置71に補充されてセットされる。また、給紙装置71が大容量給紙カセット14の本体内側の収容空間に押し入れられた状態で、給紙装置71により用紙束の用紙が順次引出されて画像形成装置1の用紙搬送経路33へと搬送供給される。
図3、図4は、本実施形態の給紙装置71を示す平面図及び正面図である。図3、図4に示すように給紙装置71は、外側枠体72、底板73、外側枠体72の内側に配置された用紙積載台74、及び外側枠体72の一端上側に配置された用紙引出し部75等を備えている。
用紙積載台74は、多量の記録用紙(用紙束)が積載されるものであって、外側枠体72の内側に昇降可能に設けられている。用紙積載台74には、記録用紙の引出し方向(用紙搬送方向)Eに長い開口部74aが形成されている。用紙後端ガイド76は、底板73上で記録用紙の引出し方向Eに沿って往復移動可能に支持され、用紙積載台74の開口部74aを通じて上方に突出している。尚、記録用紙の引出し方向(用紙搬送方向)Eを前方、引出し方向Eとは逆方向を後方とする。
この用紙積載台74の両側には、それぞれの凹所74bが形成されており、各凹所74bにそれぞれのアシストダクト77、78が配置されている。各アシストダクト77、78は、外側枠体72の両側で引出し方向Eと直交する方向に往復移動可能に支持されており、互に接近するように又は互に離間するように連動して移動される。
用紙引出し部75は、4本の無端状の用紙搬送ベルト81、各用紙搬送ベルト81を架け渡す1組のローラ82、83、吸排気ファン84、吸気ダクト85、及び排気ダクト86等を備えている。各用紙搬送ベルト81には、多数の通気孔81aが形成されており、空気が各用紙搬送ベルト81の各通気孔81aから吸気ダクト85を通じて吸排気ファン84へと吸引される。また、吸排気ファン84から排気された空気は、排気ダクト86を通じて導かれ、排気ダクト86から外側枠体72の内側へと引出し方向Eとは逆方向(後方)に吹出される。
図5は、用紙引出し部75を取外した状態で、外側枠体72、底板73、及び用紙積載台74等を斜め後方から見て示す斜視図である。図5に示すように用紙積載台74の両側には、突出片74cが2つずつ形成されており、各突出片74cが外側枠体72の両側の開口部72aから突出している。外側枠体72の片側では、2本のワイヤー87が用紙積載台74の片側の各突出片74cに接続され、各ワイヤー87が複数の従動プーリ88に掛けられて引き回され巻取りプーリ89に接続されている。また、主枠体72の他の片側でも、他の2本のワイヤー87が用紙積載台74の他の片側の各突出片74cに接続され、他の各ワイヤー87が他の複数の従動プーリ88に掛けられて引き回され他の巻取りプーリ89に接続されている。各巻取りプーリ89は、回転自在に支持された共通の軸91の両端に固定されており、パルスモータ92により軸91が回転駆動されて、各巻取りプーリ89が回転し、各ワイヤー87が各巻取りプーリ89に巻取られたり各巻取りプーリ89から繰り出されたりする。
パルスモータ92により軸91が回転駆動されて、各巻取りプーリ89が時計回り方向に回転されると、各ワイヤー87が各巻取りプーリ89に巻取られて、用紙積載台74が上昇し、また各巻取りプーリ89が反時計回り方向に回転されると、各ワイヤー87が各巻取りプーリ89から繰り出されて、用紙積載台74が下降する。また、パルスモータ92により回転駆動される巻取りプーリ89の回転角度と用紙積載台74の高さが対応関係にある。従って、パルスモータ92の回転方向及び回転角度を制御することにより、用紙積載台74の高さを調節設定することができる。
また、図5に示すように各アシストダクト77、78の外側には、それぞれのアシストファン79、80が設けられている。各アシストダクト77、78は、中空体であって、その内部に通気経路を有しており、各アシストファン79、80により吸引された空気がそれぞれのアシストダクト77、78の通気経路に送り込まれ、この空気が各アシストダクト77、78の吹出し口77a、78aから外側枠体72の内側に吹出される。
更に、図2、図3、図5に示すように用紙後端ガイド76の上部には、当接部材101が矢印回転方向Qa、Qbに往復回転自在に支持されており、位置切換え部102により当接部材101が往復回転される。位置切換え部102は、給紙装置71が大容量給紙カセット14の本体内側の収容空間から引出されると、給紙装置71の引出し動作に連動して当接部材101を略垂直になるまで矢印回転方向Qaに回転させて退避させる。この状態では、用紙束を当接部材101に引っ掛けることなく用紙積載台74上に補充してセットすることができる。また、位置切換え部102は、給紙装置71が大容量給紙カセット14の本体内側の収容空間に押し入れられると、給紙装置71の押入れ動作に連動して当接部材101を略水平になるまで矢印回転方向Qbに回転させて倒す。この状態で、用紙積載台74が上昇されて、当接部材101が用紙束上面の後端部に当接すると、当接部材101により用紙束の記録用紙後端部の浮き上がりが防止される。
図6は、給紙装置71が引出されたときの当接部材101及び位置切換え部102の状態を示す斜視図であり、図7は、給紙装置71が押し入れられたときの当接部材101及び位置切換え部102の状態を示す斜視図である。
図6、図7に示すように当接部材101は、記録用紙の引出し方向Eに向く用紙後端ガイド76の前側壁上側に設けられている。この当接部材101は、回転自在に支持された軸部101a、柱部101b、2つのコロ101e、軸部101aの周りに固定された扇状の遮蔽片101f、及び軸部101aと当接部材101を矢印回転方向Qbに付勢するねじりバネ103等を有している。
また、軸部101aの下方には、光学センサ104が配置されて用紙後端ガイド76の前側壁に固定されている。光学センサ104は、発光素子と受光素子を隙間を開けて対向配置したものであり、当接部材101と共に回転する遮蔽片101fが発光素子と受光素子の間にあるときに遮蔽片101fを検出する。
位置切換え部102は、回転部材105、ロッド106、コイルバネ107等からなるものであって、給紙装置71の出し入れの動作に連動して用紙束の上面に対して当接部材101を離間退避させたり当接させたりする。
ここで、図6に示すように給紙装置71が引出された状態では、コイルバネ107の付勢力によりロッド106が矢印方向Maに移動し、回転部材105が回転して起き上がり、回転部材105のアーム部105cが当接部材101の柱部101bに当接して、当接部材101が略垂直に起って離間退避位置に退避する。また、軸部101aの遮蔽片101fが引出し方向(前方)Eに向いて突出し光学センサ104から離れる。
また、図7に示すように給紙装置71が押し入れられた状態では、給紙装置71全体が大容量給紙カセット14の本体内側の収容空間に収納され、ロッド106の一端が大容量給紙カセット14の本体フレーム14aに当接して、ロッド106が矢印方向Mbに移動し、ロッド106が回転部材105を押して、回転部材105がコイルバネ107の付勢力に抗して回転して傾斜する。そして、回転部材105のアーム部105cが当接部材101の柱部101bの位置から移動して外れ、ねじりバネ103により当接部材101が矢印回転方向Qbに付勢されて、当接部材101が矢印回転方向Qbに回転して水平よりも下方の待機位置まで倒れる。また、軸部101aの遮蔽片101fは、矢印回転方向Qbに回転して光学センサ104の発光素子と受光素子の間を通過する。
この後、用紙積載台74が上昇されて、用紙束上面の後端部が当接部材101を押し上げて、当接部材101が水平よりも僅かに斜め上方の吸引位置(用紙束の最上層の記録用紙が吸引される高さ)まで持ち上げられる。また、軸部101aの遮蔽片101fは、矢印回転方向Qaに回転して光学センサ104の発光素子と受光素子の間に侵入し、光学センサ104により検出される。
図8(a)、(b)、(c)は、当接部材101の離間退避位置、待機位置、及び吸引位置と、当接部材101の遮蔽片101fと、光学センサ104との位置関係を示している。
給紙装置71が引出されたときには、図8(a)に示すように当接部材101が略垂直に起って離間退避位置にあり、軸部101aの遮蔽片101fが引出し方向(前方)Eに向いて突出して光学センサ104の発光素子104aと受光素子104bの間から外れている。このため、光学センサ104により遮蔽片101fが検出されることはない。
また、給紙装置71が押し入れられた直後には、図8(b)に示すように当接部材101が水平よりも下方に倒れて待機位置にあり、軸部101aの遮蔽片101fが光学センサ104の発光素子104aと受光素子104bの間から外れている。このため、光学センサ104により遮蔽片101fが検出されることはない。
更に、用紙束上面の後端部が当接部材101を押し上げたときには、図8(c)に示すように当接部材101が水平よりも僅かに斜め上方に持ち上げられて吸引位置にあり、軸部101aの遮蔽片101fが光学センサ104の発光素子104aと受光素子104bの間にある。このため、光学センサ104により遮蔽片101fが検出される。
従って、光学センサ104の検出出力に基づいて、当接部材101が吸引位置、離間退避位置、又は待機位置にあることを判定することができる。
次に、用紙引出し部75の構成を詳しく説明する。図9は、用紙引出し部75を斜め上前方から見て示す斜視図である。また、図10は用紙引出し部75を斜め上後方から見て示す斜視図であり、図11は用紙引出し部75を斜め下後方から見て示す斜視図である。
図9、図10、図11に示すように用紙引出し部75は、4本の無端状の用紙搬送ベルト81、各用紙搬送ベルト81を架け渡す1組のローラ82、83、吸排気ファン84、吸気ダクト85、及び排気ダクト86等を備えている。
吸気ダクト85は、中空体であって、その内部に引出し方向(用紙搬送方向)Eと直交する方向に長い空気吸引経路を有しており、その一側端部85aが吸排気ファン84に接続され、矢印Fに示すように吸気ダクト85の空気吸引経路から一側端部85aを通じて吸排気ファン84の吸気口(図示せず)へと空気が吸引される。
また、吸気ダクト85の下面85gには、用紙搬送ベルト81毎に、用紙搬送ベルト81の複数の通気孔81aに重なる各空気吸引孔94(図12に示す)を設けている。各空気吸引孔94は、吸気ダクト85の空気吸引経路につながっている。吸排気ファン84により吸気ダクト85内の空気が吸引されると、外部の空気が吸気ダクト85の下面85gの各空気吸引孔94及び各用紙搬送ベルト81の各通気孔81aへと流入する。
更に、吸気ダクト85の前端部85c及び後端部85dには、それぞれの凹所85hが形成されており、これらの凹所85hにそれぞれのローラ82、83が配置されて回転可能に軸支され、前方のローラ82の軸に搬送モータ93の出力軸が接続されている。各用紙搬送ベルト81は、各ローラ82、83間に架け渡されている。搬送モータ93により前方のローラ82が矢印方向Dに回転駆動され、後方のローラ83が従動回転し、各用紙搬送ベルト81が矢印方向Dに周回移動する。
排気ダクト86も、中空体であって、引出し方向Eとは直交する方向に長い通気経路を有しており、その一側端部86aが吸排気ファン84に接続され、矢印Kで示すように吸排気ファン84の排気口(図示せず)から排気ダクト86の一側端部86aを通じて排気ダクト86の通気経路へと空気が送り込まれる。
また、排気ダクト86の内壁面86dには、排気ダクト86の通気経路に通じる複数の排気口96が形成されている。この排気ダクト86の内壁面86dが外側枠体72の当接板72b(図5に示す)の外側面に重ねて設けられ、排気ダクト86の各排気口96が外側枠体72の当接板72bの切欠部72cを介して外側枠体72の内側に向く。吸排気ファン84から排気ダクト86へと空気が送り込まれると、この空気が各排気口96から外側枠体72の内側の方向(後方)に吹出される。
また、排気ダクト86の内側には、ヒータ98が設けられており、このヒータ98により排気ダクト86の内側の空気が加熱され、この加熱された空気が各排気口96から吹出される。
ここで、図12の概略的な側面図に示すように用紙積載台74が上昇されて、用紙束上面の後端部が当接部材101を押し上げ、当接部材101が吸引位置Bpにあるときには、用紙束上面も吸引位置Bpにあり、排気ダクト86の各排気口96が用紙束の最上層の記録用紙の引出し方向Eに向く先端及び先端周辺に対向し、各排気口96からの空気が最上層の記録用紙の先端及び先端周辺に吹付けられる。また、各アシストダクト77、78の排気口77a、78aが用紙積載台74上の用紙束の最上層の記録用紙の両端及び両端周辺に向いており、各排気口77a、78aからの空気が最上層の記録用紙の両端及び両端周辺に吹付けられる。
次に、給紙装置71の制御系の構成を説明する。図13は、給紙装置71の制御系を概略的に示すブロック図である。図13において、制御部111は、画像形成装置1及び給紙装置71等を統合的に制御するものであって、CPU、RAM、ROM、各種のインターフェース等からなる。入力操作部112は、例えば複数の操作キー、液晶表示装置、及び液晶表示装置の画面に重ねられたタッチパネル等を備え、画像形成装置1の操作ガイダンス等を液晶表示装置の画面に表示したり、各操作キー等の操作により入力指示されたデータ等を制御部111に出力したりする。メモリ113は、例えばハードディスク装置(HDD)であり、種々のデータやプログラムを記憶する。画像処理部114は、画像データに対して各種の画像処理を施す。
開閉検出部115は、大容量給紙カセット14の本体内側の収容空間に対する給紙装置71の出し入れ状態を検出して、その検出結果を制御部111に出力する。
このような構成において、例えば制御部111は、原稿読取り装置2で原稿の画像を読取らせ、原稿の画像を示す画像データをメモリ113に記憶させて、画像処理部114でメモリ113内の画像データを処理させ、印刷部11でメモリ113内の画像データによって示される原稿の画像を記録用紙に記録させる。
また、入力操作部112の操作により用紙供給部13からの給紙が指示されると、これに応答して制御部111は、用紙供給部13を制御して、用紙供給部13から印刷部11へと記録用紙を給紙させ、この記録用紙に原稿の画像を記録させる。
あるいは、入力操作部112の操作により大容量給紙カセット14からの給紙が指示されると、制御部111は、大容量給紙カセット14の給紙装置71を制御して、給紙装置71から印刷部11へと記録用紙を給紙させ、この記録用紙に原稿の画像を記録させる。
また、給紙装置71に用紙束を補充するために、大容量給紙カセット14の本体内側の収容空間に対して給紙装置71を出し入れしたときには、次のような制御が行われて、当接部材101の離間退避位置、待機位置、及び吸引位置が逐次設定される。
まず、大容量給紙カセット14の本体内側の収容空間から給紙装置71が引出されると、開閉検出部115により給紙装置71の引出し状態が検出される。制御部111は、開閉検出部115により給紙装置71の引出し状態が検出されると、パルスモータ92の回転駆動を開始し、用紙積載台74を下限位置まで下降させて行く。また、給紙装置71の引出し動作に連動して、図8(a)に示すように当接部材101が離間退避位置まで移動し、光学センサ104により遮蔽片101fが検出されない。
先に述べたように給紙装置71が引出されると同時に当接部材101が略垂直に起って離間退避位置に移動するので、用紙束の高さが許容高さになるまで用紙束を充分に補充することができる。
そして、用紙積載台74への用紙束の補充作業が行われた後、大容量給紙カセット14の本体内側の収容空間に給紙装置71が押し入れられると、開閉検出部115により給紙装置71の押入れ状態が検出される。制御部111は、開閉検出部115により給紙装置71の押入れ状態が検出されると、パルスモータ92を逆方向に回転させ、用紙積載台74を上昇させて行く。
給紙装置71が押入れられた直後は、図8(b)に示すように当接部材101が水平よりも下方に倒れて待機位置まで移動して、光学センサ104により遮蔽片101fが検出されない。この状態で、用紙積載台74が上昇され、用紙束の上面が上昇されて行くと、用紙束上面の後端部が当接部材101に当接して当接部材101を押し上げる。この当接部材101の押し上げに伴い、図8(c)に示すように当接部材101が吸引位置まで移動し、光学センサ104により遮蔽片101fが検出される。制御部111は、遮蔽片101fを検出した光学センサ104の検出出力に応答してパルスモータ92を停止させ、用紙束の最上層の記録用紙を当接部材101の吸引位置に位置決めする。これにより、図12の概略的な側面図に示すように用紙束の最上層の記録用紙が各用紙搬送ベルト81の表面への吸着に最適な吸引位置Bpに位置決めされる。また、当接部材101が用紙束上面の後端部に当接し、用紙束の記録用紙の浮き上がりが防止され、用紙束の最上層の記録用紙が吸引位置Bpに安定的にかつ正確に位置決めされ、光学センサ104により用紙束の上面の高さ位置が正確に検出される。
このように給紙装置71の出し入れの動作だけで、用紙束の上面に対して当接部材101を離間退避させたり当接させたりすることができ、用紙束の補充作業を短時間で行うことができる。
次に、本実施形態の給紙装置71における用紙積載台74上の用紙束の加温制御及び用紙束からの給紙制御について説明する。
ここで、吸湿により用紙束の各記録用紙同士の密着性が高くなると、用紙束の最上層の記録用紙と次の記録用紙とが密着したまま各用紙搬送ベルト81の表面に吸着されて、記録用紙の重送が発生することがある。このため、周知のように用紙束を加温して、用紙束の湿度を低下させ、用紙束の各記録用紙同士の密着性を低下させるのが望ましい。しかしながら、従来のように用紙束の端面に対して加熱された空気を直接吹き続けると、用紙束の温度ムラが大きくなり、温度が殆ど上昇しない部分では各記録用紙同士の密着性が低下せず、記録用紙の重送を効果的に防止することがでない。また、記録用紙に表面抵抗のムラが生じて、これが記録用紙に対するトナー像の転写ムラの原因となって、画像品質が低下する。
そこで、本実施形態の給紙装置71では、用紙束の補充作業に引き続いて、次のような用紙積載台74の昇降制御を行いつつ、排気ダクト86の内側のヒータ98により加熱された空気を各排気口96から吹出し、加熱された空気を用紙束の周囲に対流させて、用紙積載台74上の用紙束全体を加温し、各記録用紙同士の密着性を効果的に低下させ、記録用紙の重送やトナー像の転写ムラを防止している。
また、給紙装置71から記録用紙を給紙するときには、排気ダクト86の各排気口96からの加熱された空気及び各アシストダクト77、78の排気口77a、78aからの空気を用紙積載台74上の用紙束の上層に吹付け、用紙束の各記録用紙間に空気を侵入させて、各記録用紙をばらつかせ、各用紙搬送ベルト81の表面に用紙束の最上層の記録用紙だけを逐次吸着させて搬送し、記録用紙の重送を防止している。
さて、先に述べたように用紙束が補充されて、給紙装置71が押し入れられると、用紙積載台74が上昇され、用紙束上面の後端部が当接部材101に当接して当接部材101を押し上げ、図8(c)に示すように当接部材101が吸引位置まで移動し、光学センサ104により遮蔽片101fが検出され、パルスモータ92が停止されて、図12に示すように用紙束の最上層の記録用紙が当接部材101の吸引位置Bpに位置決めされる。
この直後、引き続いて制御部111は、パルスモータ92を一定の回転方向に規定回転角度だけ回転させて、図14に示すように吸引位置Bpよりも一定距離だけ低い控え低位置Lpまで用紙束上面を下降させる。
用紙束上面は、その控え低位置Lpに下降すると、排気ダクト86の各排気口96よりも下方に位置決めされる。例えば、控え低位置Lpは、各排気口96の最も低い内周縁96aが用紙束上面と同じ高さかあるいは用紙束上面よりも高くなる位置である。
この状態で、制御部111は、ヒータ98に電流を流して、ヒータ98を発熱させつつ、吸排気ファン84を駆動して、吸排気ファン84から排気ダクト86へと空気を送り込み、ヒータ98により排気ダクト86の内側の空気を加熱させて、この加熱された空気を各排気口96から吹出させる。
用紙束上面が各排気口96よりも下方に位置決めされているため、各排気口96からの加熱された空気は、引出し方向Eに向く用紙束の先端面に当たることなく、矢印Uに示すように用紙束の上面の上方を吹き抜けて行き、用紙束の周囲を対流する。給紙装置71の引出し筐体71aの内側においては、加熱された空気が隅々まで対流して、加熱された空気により用紙束全体が加温され、用紙束全体の湿度が低下して行く。
こうして用紙束全体が加温され、用紙束全体の湿度が低下した状態で、入力操作部112の操作により大容量給紙カセット14からの給紙が指示されると、これに応答して制御部111は、パルスモータ92を回転させて、用紙積載台74を上昇させて行く。そして、用紙束上面の後端部が当接部材101を押し上げて、図8(c)に示すように当接部材101が吸引位置まで移動し、光学センサ104により遮蔽片101fが検出されると、これに応答して制御部111は、パルスモータ92を停止させ、用紙束の最上層の記録用紙を当接部材101の吸引位置に位置決めする。これにより、図12に示すように用紙束の最上層の記録用紙が各用紙搬送ベルト81の表面への吸着に最適な吸引位置Bpに位置決めされ、また排気ダクト86の各排気口96が用紙束の最上層の記録用紙の引出し方向Eに向く先端及び先端周辺に対向する。更に、各アシストダクト77、78の排気口77a、78aが用紙積載台74上の用紙束の最上層の記録用紙の両端及び両端周辺に対向する。
このときヒータ98の発熱や吸排気ファン84の駆動が継続されており、加熱された空気が各排気口96から用紙束の最上層の記録用紙の先端及び先端周辺へと吹出され、この加熱された空気が最上層の記録用紙と次の記録用紙との隙間に侵入して該各記録用紙の後端へと吹抜け、該各記録用紙全体が更に加温されて除湿されつつ、該各記録用紙が効果的にばらつく。
また、制御部111は、各アシストファン79、80を起動して、各アシストファン79、80から各アシストダクト77、78へと空気を送り込ませる。この空気は、各アシストダクト77、78の排気口77a、78aから用紙積載台74上の用紙束の最上層の記録用紙の両端及び両端周辺に吹付けられて、最上層の記録用紙と次の記録用紙との隙間に侵入して該各記録用紙をばらつかせる。
このように各排気口96からの加熱された空気により最上層の記録用紙全体と次の記録用紙全体が更に加温されて除湿されつつ、各記録用紙が効果的にばらつき、各アシストダクト77、78の排気口77a、78aからの空気によっても各記録用紙が効果的にばらつく。
この状態で、制御部111は、吸排気ファン84を起動し、空気を吸気ダクト85から吸排気ファン84へと吸い込ませて、空気を各用紙搬送ベルト81の各通気孔81a及び吸気ダクト85の下面85gの空気吸引口94を通じて吸引し、各用紙搬送ベルト81の表面に最上層の記録用紙を吸着させる。このとき、空気の吹付けにより用紙束の最上層付近の各記録用紙がばらついているため、最上層の記録用紙だけが吸引される。また、用紙束の最上層の記録用紙が当接部材101に当接する吸引位置Bpに位置決めされているため、最上層の記録用紙が各用紙搬送ベルト81の表面に速やかに吸着される。すなわち、吸引位置Bpは、最上層の記録用紙を各用紙搬送ベルト81の表面に吸着するのに最適な位置である。
また、制御部111は、搬送モータ93を起動し、搬送モータ93により各ローラ82、83を回転させて、各用紙搬送ベルト81を周回移動させ、各用紙搬送ベルト81により最上層の記録用紙を引出し方向Eに引出させて、記録用紙を画像形成装置1の搬送ローラ31を通じて用紙搬送経路33へと搬送させる。
こうして記録用紙を搬送ローラ31まで搬送した後に、吸排気ファン84による空気の吸引及び搬送モータ93による各ローラ82、83の回転を一時的に停止させ、各用紙搬送ベルト81からの記録用紙の引出しを完了すると、吸排気ファン84による空気の吸引及び搬送モータ93による各ローラ82、83の回転を再開し、各用紙搬送ベルト81の表面に最上層の記録用紙を吸着して、各用紙搬送ベルト81により記録用紙を引出し方向Eに引出して搬送ローラ31へと搬送し、以降同様に各用紙搬送ベルト81の表面に最上層の記録用紙を繰り返し吸着して、各用紙搬送ベルト81により記録用紙を引出し方向Eに引出して搬送して行く。
こうして用紙束からの記録用紙の引出しが繰返されると、用紙束の高さが低くなる。このとき、当接部材101が吸引位置Bpよりも下降して、光学センサ104により遮蔽片101fが検出されなくなる。これに応答して制御部111は、パルスモータ92の回転を再開し、用紙積載台74を上昇させ、当接部材101及び用紙束上面を吸引位置Bpまで上昇させ、光学センサ104により遮蔽片101fが再び検出されると、パルスモータ92を停止させ、用紙束の最上層の記録用紙を各用紙搬送ベルト81の表面への吸着に最適な吸引位置Bpに位置決めする。このような用紙積載台74の上昇を繰返すことにより、用紙束の最上層の記録用紙を吸引位置Bpに常に位置決めすることができる。
次に、大容量給紙カセット14からの給紙が終了すると、制御部111は、パルスモータ92を回転させて、図14に示すように吸引位置Bpよりも一定距離だけ低い控え低位置Lpまで用紙束上面を下降させる。これにより、各排気口96からの加熱された空気が、引出し方向Eに向く用紙束の先端面に当たることなく、矢印Uに示すように用紙束の上面の上方を吹き抜けて行き、用紙束の周囲を対流する。これにより、用紙束全体が再び加温されて、用紙束全体の低湿度が維持される。
以降同様に、入力操作部112の操作により大容量給紙カセット14からの給紙が指示されると、用紙積載台74を上昇させて、用紙束の最上層の記録用紙を当接部材101の吸引位置Bpに位置決めし、大容量給紙カセット14からの給紙が終了すると、吸引位置Bpよりも一定距離だけ低い控え低位置Lpまで用紙束上面を下降させて、加熱された空気を用紙束の周囲に対流させて、用紙束全体を加温して、用紙束全体の低湿度を維持する。
このように本実施形態の給紙装置71では、給紙動作が行われていないときに、吸引位置Bpよりも一定距離だけ低い控え低位置Lpまで用紙束上面を下降させ、加熱された空気を用紙束の上面の上方に吹出して用紙束の周囲に対流させているので、用紙束全体を加温して、用紙束全体の湿度を低下させることができる。このため、用紙束の各記録用紙間の密着性がムラ無く低下し、記録用紙を1枚ずつ確実に吸着して引出すことができ、記録用紙の重送を良好に防止することができる。また、記録用紙に表面抵抗のムラが生じることはなく、そのような表面抵抗のムラにより記録用紙の表面電荷量にムラが生じることもなく、記録用紙に対するトナー像の転写ムラが生じることもない。特に、記録用紙として表面に光沢を有する光沢紙を用いる場合は、吸湿により各記録用紙同士の密着性が高くなり易く、記録用紙の重送の発生頻度が高くなるため、そのような本実施形態の適用効果が著しい。光沢紙は、例えば、写真印刷などに用いられる表面がなめらかで光沢(つや)を有する記録用紙であり、広く一般に市販されている。
尚、上記実施形態では、加熱された空気を引出し方向Eとは逆方向に吹出しているが、加熱された空気を引出し方向Eや引出し方向Eと直交する方向に吹出して、空気を用紙束の上面の上方に通しても構わない。
また、給紙装置71に光沢紙を収容したときに、入力操作部112の操作により光沢紙の収容を入力指示し、この入力指示に応答してヒータ98をオンにして、光沢紙が収容されたときにだけ、用紙束を加熱してもよい。あるいは、入力操作部112の操作により光沢紙及び普通紙のいずれが収容されたかを入力指示し、この入力指示に応じてヒータ98に流れる電流量を制御して、用紙束の温度を変更しても構わない。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと解される。