JP5801182B2 - 散気システムの運転方法 - Google Patents
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Description
散気システムにおいては、被処理水中に空気を微細な気泡にして散気し、被処理水中に酸素を効率よく溶解させるための装置としてメンブレンパネル式散気装置が用いられている。
メンブレンパネル式散気装置7は、図12、図13に示すように、平板状を為す金属製又は合成樹脂製のベースプレート8の一面に、微細な気泡を発生させるための多数の微細気孔からなる散気孔7bが形成されたシート状の散気膜7aを張設して、散気部9を構成している。
メンブレンパネル式散気装置7は、空気供給管6を経て空気供給口10から散気膜7aとベースプレート8との間に空気が供給されると、散気膜7aが枕状に膨らみ、各散気孔7bを介して微細気泡を発生するようになっている。その気泡径が、発生直後において平均約1mmであり、従来の散気装置の気泡に比べ非常に小さいことから、気液接触面積が大きくなるため酸素移動効率が高くなり、送気量を削減できる。
圧損上昇予防操作は、送風機2による空気の供給停止とメンブレンパネル式散気装置7内の圧抜きによる散気膜7aの収縮によって、散気孔7bや散気膜7a表面の付着物7cを除去するものである。この操作は、メンブレンパネル式散気装置7の性能を長期にわたり安定的に維持するために必要である。
空気遮断弁12と圧抜き弁13とは、圧損上昇予防操作を行う系統ごとに設けられる。例えば、1池ごとに行う場合には各池への送気管に設ける。通常、空気遮断弁12は設置する送気管3に同口径のバタフライ弁を設けることで構成され、圧抜き弁13は25A〜50A程度のポール弁によって構成される。
圧力上昇予防制御(ブローダウン:散気膜7aの散気孔7bに付着した物質や散気膜7aの表面の付着物7cを除去する制御)は、メンブレンパネル式散気装置7の性能を長時間安定的に維持するために、以下の操作1〜操作3を行う。また、散気膜7aの散気口7bに付着した物質や散気膜7aの表面の付着物7cを除去する効果を高めるために、以下の操作1〜操作3を複数回繰り返し行っても良い。
空気遮断弁12を閉じ、散気膜7aが膨らんだ状態で送風機2からの給気を遮断する(図13(a))。
操作2:
圧抜き弁13を開き、メンブレンパネル式散気装置7内の空気を瞬時に抜いて散気膜7aを収縮させる。その後、メンブレンパネル式散気装置7内に水が逆流しないように、ある所定の時間内に圧抜き弁13を閉める(図13(b))。
空気遮断弁12を開き、メンブレンパネル式散気装置7への送風機2からの空気の供給を再開して散気膜7aを膨らませる(図13(c))。
その後、圧抜き弁13を閉じた状態で通常の曝気運転に戻る。
また、メンブレンパネル式散気装置7は、例えば、送風機2によって送られる暖かく湿度の高い空気(例えば、外気温度35℃、相対湿度約60%以上)が、処理槽5内の被処理水によって水温(例えば、25℃〜30℃)近くに冷やされた送気管3やヘッダ管4やメンブレンパネル式散気装置7の内面と接触して冷やされてメンブレンパネル式散気装置7内に凝縮水を生成し、メンブレンパネル式散気装置7内に凝縮水が溜まる。
また、図11に示す散気システム1では、各種運転工程において、空気遮断弁12を閉じている工程では送風機2の運転を停止することで、送風機2の締切運転を避けるか、又は、送風機2と空気遮断弁12との間の部分の送気管3に設ける放風弁(図示せず)を空気遮断弁12が閉じている工程の期間だけ開いて、送風機3から送気される空気を大気中に放出することで送風機2の締切運転を避けることができる。
また、メンブレンパネル式散気装置7内に溜まった凝縮水fwは、圧損上昇予防操作直後に送風機2からの供給される空気と共に散気膜7aの散気孔7bから排出されるため、圧損上昇予防操作直後では、散気膜7aの発泡状態の回復に時間が掛かるという問題があった。
第3の発明は、第1又は第2の発明の散気システムの運転方法において、前記空気遮断弁を閉じ、前記メンブレンパネル式散気装置の散気膜を収縮させる工程と、前記散気膜の収縮後に前記モイスチャードレン弁を閉じる工程と、前記空気遮断弁を開き、前記メンブレンパネル式散気装置の散気膜を膨らます工程とを複数回行うことを特徴とする。
図1〜図3は、本発明の一実施形態に係る散気システム30を示す。
本実施形態に係る散気システム30は、送風機(送風手段)31と、送風機31からの空気を空気遮断弁39を経由して送気する送気管32と、送気管32に接続され、下水処理場等の水処理設備に用いられる被処理水を収容する処理槽36内に配置されるヘッダ管33と、ヘッダ管33に空気供給管34を介して接続され、処理槽36内に配置されるメンブレンパネル式散気装置35とを備えている。
また、本実施形態に係る散気システム30は、図11に示す従来の散気システム1と同様に、各種運転工程において、空気遮断弁39を閉じている工程では送風機31の運転を停止することで、送風機31の締切運転を避けるか、又は、送風機31と空気遮断弁39との間の部分の送気管32に設ける放風弁(図示せず)を空気遮断弁39が閉じている工程の期間だけ開いて、送風機31から送気される空気を大気中に放出することで送風機31の締切運転を避けることができる。
この場合、ヘッダ管33は、ヘッダ管33内の凝縮水fwの水位より上部に空気供給管34の接続口33cを設ける。接続口33cは、ヘッダ管33の中心を通る水平線よりヘッダ管33の天壁33b側へ移動させた位置に設けると良い。例えば、ヘッダ管33の3時及び9時の位置より上方に設けると良い。
モイスチャードレン管40は、貯水部38内の底部38aまで挿入され、その先端部40aは、例えば、図3に示すように、ヘッダ管33内の凝縮水を確実に吸い上げるために、例えば、45°程度の傾斜面とされている。また、ヘッダ管33内の最高水位より上側に通気孔40bを設けている。通気孔40bは、ヘッダ管33内の空気を吸い込み誘引作用によってヘッダ管33内の凝縮水を確実に排出するために設けられている。
本実施形態に係る散気システム30は、圧損上昇予防制御運転(ブローダウン運転)を行うために、空気遮断弁39とモイスチャードレン弁41との運転を制御する制御装置42を備えている。
本実施形態に係る散気システム30は、24時間タイマー(図示せず)によって所定時間(例えば、毎朝8時)になると、圧損上昇予防制御運転(ブローダウン運転)を行うように設定されている。
この時点では、送風機31は、常時運転され、空気遮断弁39は、開いており、送風機31からの空気が送気管32を介してヘッダ管33及びメンブレンパネル式散気装置35に供給されている。また、モイスチャードレン弁41は閉じている。
次に、モイスチャードレン弁41が全開になると、制御装置42は、タイマーT1を作動させ、タイマーT1にセットされたモイスチャードレン時間(任意時間、例えば、0〜5分程度)を確保する(ステップS4)。
このモイスチャードレン時間中に、ヘッダ管33の貯水部38に溜まった凝縮水を送風機31からの空気圧でモイスチャードレン管40内を押し上げる作用と、モイスチャードレン管40に設けた通気孔40bから吹き込む空気による誘引作用とでモイスチャードレン管40から外部へ排出させる作用とが奏され、ヘッダ管33内の凝縮水が排出される。
次に、制御装置42は、空気遮断弁39が全閉になっているか否かを確認し、全閉にさせる(ステップS6)。これによって、メンブレンパネル式散気装置35の散気膜が図13(b)と同様に収縮させられる。
次に、タイマーT2がタイムアップすると、制御装置42は、モイスチャードレン弁41を閉じる指令を出力する(ステップS8)。
次に、制御装置42は、モイスチャードレン弁41が全閉になっているか否かを確認し、全閉にさせる(ステップS9)。これによって、モイスチャードレン弁41を開くことによって行われていた凝縮水の排出が終了する。
次に、制御装置42は、空気遮断弁39が全開になっているか否かを確認し、全開にさせる(ステップS11)。これによって、図13(c)に示すようにメンブレンパネル式散気装置35の散気膜が膨らんだ状態にされる。
次に、空気遮断弁39が全開になると、制御装置42は、タイマーT3を作動させる。タイマーT3にセットされた送気時間(任意時間、例えば、0〜10分程度)中に、送風機31からの空気をヘッダ管33を介してメンブレンパネル式散気装置35内に供給し、散気膜を膨らませる操作を継続する(ステップS12)。
次に、工程カウントがn回に達したら、制御装置42は、カウンタをリセットさせる(ステップS14)。
次に、制御装置42は、モイスチャードレン弁41を開く指令を出力する(ステップS15)。
次に、制御装置42は、モイスチャードレン弁41が全開になっているか否かを確認し、全開にさせる(ステップS16)。
次に、制御装置42は、モイスチャードレン弁41が全閉になっているか否かを確認し、全閉にさせる(ステップS19)。
次に、制御装置42は、ブローダウン運転を終了させる(ステップS20)。
圧損上昇予防制御運転(ブローダウン運転)が終了すると、制御装置42は、メンブレンパネル式散気装置35から散気する通常の曝気運転へ戻る指令を出力する。
この場合、ヘッダ管33は、ヘッダ管33内の凝縮水fwの水位より上部に空気供給管34の接続口33cを設ける。接続口33cは、ヘッダ管33の中心を通る水平線よりヘッダ管33の天壁33b側へ移動させた位置に設けると良い。例えば、ヘッダ管33の3時及び9時の位置より上方に設けると良い。
この場合も、ヘッダ管33は、ヘッダ管33内の凝縮水fwの水位より上部に空気供給管34の接続口33cを設ける。接続口33cは、ヘッダ管33の中心を通る水平線よりヘッダ管33の天壁33b側へ移動させた位置に設けると良い。例えば、ヘッダ管33の3時及び9時の位置より上方に設けると良い。
図7は、処理槽36を構成するエアレーションタンクの下部平面図である。
処理槽36内には、長手方向中央にヘッダ管33が配置されている。ヘッダ管33の両側には、図2に示すように、複数のメンブレンパネル式散気装置35がそれぞれ空気供給管34を介して対向配置されている。
ヘッダ管33の上流側には、図7〜図9に示すように、継手を介して送気管32が垂設されている。送気管32には、空気遮断弁39が取り付けられている。
ここで、図1の散気システム30が複数ある場合は、図8〜図10に示すように、送風機31と空気遮断弁39との間の部分の送気管32に設けた空気管45によって、各散気システム30が繋がっている。
このように構成された散気システムにおいても、図4に示すフローチャートに基づいてモイスチャードレン管40からの凝縮水の排出と、これと同じ工程で行われる圧損上昇予防制御運転(ブローダウン運転)とを、一つの散気システム毎に順次行われる。この場合、一つの散気システムの空気遮断弁39が閉じていても他の散気システムの空気遮断弁39は開いているため、送風機31から送気される空気は、他の散気システムへ送気される。このため、一つの散気システムの空気遮断弁39が閉じていても、送風機31の締切運転を避けることができる。
31 送風機(送風手段)
32 送気管
33 ヘッダ管
34 空気供給管
35 メンブレンパネル式散気装置
36 処理槽
37 空気供給口
38 貯水部
39 空気遮断弁
40 モイスチャードレン管
40a 先端部
40b 通気孔
41 モイスチャードレン弁
42 制御装置
Claims (3)
- 有機性排水と生物汚泥とを含む被処理水を入れた処理槽内に無数の散気孔を有する散気膜を備えるメンブレンパネル式散気装置を配置し、前記被処理水中に微細気泡を噴出させて浄化すると共に、前記メンブレンパネル式散気装置の圧損上昇予防制御運転を行って前記散気孔の目詰まりを予防する散気システムの運転方法において、
前記散気システムは、
送風機と、
前記送風機からの空気を送気する送気管と、
前記送気管に設けられ、前記圧損上昇予防制御運転時に前記送気管を遮断する空気遮断弁と、
前記送気管に接続され、前記送気管からの空気を空気供給管を介して前記メンブレンパネル式散気装置に供給するヘッダ管と、
前記ヘッダ管の下流側端部に取り付けられ、前記ヘッダ管内に生成される凝縮水を導くモイスチャードレン管と、
前記モイスチャードレン管の下流側端部に取り付けられ、前記圧損上昇予防制御運転時に前記モイスチャードレン管を開放し、前記凝縮水を排出するモイスチャードレン弁と
を備え、
前記空気供給管は、前記ヘッダ管の管底より前記処理槽の水面側へ配置されており、
前記メンブレンパネル式散気装置の圧損上昇予防制御運転に、
前記送風機の運転を継続し、前記空気遮断弁を開いた状態で、前記モイスチャードレン弁を開き、前記送風機からの空気圧で前記ヘッダ管の末端に溜まった凝縮水を前記モイスチャードレン管内を押し上げて排出する工程と、
前記空気遮断弁を閉じ、前記メンブレンパネル式散気装置の散気膜を収縮させる工程と、
前記散気膜の収縮後に前記モイスチャードレン弁を閉じる工程と、
前記空気遮断弁を開き、前記メンブレンパネル式散気装置の散気膜を膨らます工程と
を含むことを特徴とする散気システムの運転方法。 - 請求項1記載の散気システムの運転方法において、
前記送風機の運転を継続し、前記空気遮断弁を開いた状態で、前記モイスチャードレン弁を開き、前記送風機からの空気圧で前記ヘッダ管の末端に溜まった凝縮水を前記モイスチャードレン管内を押し上げて排出する工程は、
前記ヘッダ管の末端に溜まった凝縮水を前記送風機からの空気圧で前記モイスチャードレン管内を押し上げると共に、前記モイスチャードレン管の通気孔から吹き込む空気による誘引作用で排出する
ことを特徴とする散気システムの運転方法。 - 請求項1又は請求項2記載の散気システムの運転方法において、
前記空気遮断弁を閉じ、前記メンブレンパネル式散気装置の散気膜を収縮させる工程と、
前記散気膜の収縮後に前記モイスチャードレン弁を閉じる工程と、
前記空気遮断弁を開き、前記メンブレンパネル式散気装置の散気膜を膨らます工程と
を複数回行う
ことを特徴とする散気システムの運転方法。
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