JP5800327B2 - 脱共役タンパク質発現誘導剤 - Google Patents

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本発明は、緑藻綱オオヒゲマワリ目のデュナリエラ属に属する微細藻の藻体であって、黄橙色を呈する藻体、又は該藻体から得られる抽出物を有効成分として含有する脱共役タ
ンパク質発現誘導剤に関する。
従来、緑藻綱オオヒゲマワリ目のデュナリエラ属に属する微細藻の藻体であって、黄橙色を呈する藻体から得られる抽出物には、脂肪細胞をアポトーシスによる消失に誘導させる作用やピロリ菌に対する抗菌作用があることが知られている(特許文献1及び特許文献2参照)。
特開2007−210917号公報 特開2007−217384号公報
本発明は、本研究者らによる鋭意研究の結果、緑藻綱オオヒゲマワリ目のデュナリエラ属に属する微細藻の藻体であって、黄橙色を呈する藻体、又は該藻体から得られる抽出物が、脱共役タンパク質発現誘導作用を発揮することを新たに見出したことに基づいてなされたものである。本発明の目的は、脱共役タンパク質発現誘導剤を提供することにある。
上記の目的を達成するために請求項1に記載の脱共役タンパク質発現誘導剤は、脱共役タンパク質2の発現を促進する脱共役タンパク質2発現誘導剤、又は脱共役タンパク質3の発現を促進する脱共役タンパク質3発現誘導剤として用いられる脱共役タンパク質発現誘導剤において、緑藻綱オオヒゲマワリ目のデュナリエラ属に属する微細藻の藻体であって、カロテノイドを含有する黄橙色を呈する藻体、又は該藻体から得られる抽出物を有効成分として含有することを特徴とする。
本発明の脱共役タンパク質発現誘導剤によれば、脱共役タンパク質の発現を効果的に誘導することができる。
マウスの各組織におけるUCP2の発現量を示すグラフ。 マウスの各組織におけるUCP3の発現量を示すグラフ。
[第1実施形態]
以下、本発明の脱共役タンパク質発現誘導剤について説明する。
まず、脱共役タンパク質(以下、「UCP」と記載する。)について説明する。UCP
は、脂肪組織、骨格筋、肝臓、脳、精巣等の細胞のミトコンドリアに存在する膜タンパク質であり、生体内の酸化的リン酸化において電子伝達で得られたエネルギーがATP合成反応に共役することを阻害するとともに、ATP合成に共役される化学エネルギーを熱エネルギーに変換するプロトンチャンネルタンパク質として機能する。また、UCPにはUCP1、UCP2、UCP3、UCP4、UCP5等の複数のサブタイプが存在することが知られている。たとえば、UCP2は主に白色脂肪において発現し、UCP3は主に骨格筋において発現することが知られている。
上述したUCPの性質から、UCPの発現量を増加させる、又はUCPを活性化させることができれば、ATP合成に共役される化学エネルギーの熱エネルギーへの変換効率が向上して生体のエネルギー代謝が亢進されると考えられる。さらに、こうした作用によって生体の適正体温への調整も可能となると考えられる。しかしながら、これまでにUCPを制御する薬剤はほとんど知られておらず、その開発が求められている。
第1実施形態の脱共役タンパク質発現誘導剤は、緑藻綱(Chlorophyceae)オオヒゲマワリ目(Volvocales)のデュナリエラ属(Dunaliella)に属する微細藻の藻体であって、黄橙色を呈する藻体、又は該藻体から得られる抽出物を含有する。
緑藻綱オオヒゲマワリ目のデュナリエラ属に属する微細藻の藻体としては、例えばデュナリエラ・サリーナ(Dunaliella salina)、及びデュナリエラ・バーダウィル(Dunaliella bardawil)が挙げられる。緑藻綱オオヒゲマワリ目のデュナリエラ属に属する微細藻の藻体は、通常の生育条件では、光合成色素(クロロフィルa,b)を体内に蓄積するため、外観が緑色を呈するが、生育条件によっては、外観が黄橙色を呈することが知られている。本実施形態の脱共役タンパク質発現誘導剤は、緑藻綱オオヒゲマワリ目のデュナリエラ属に属する微細藻の藻体のうち、外観が黄橙色を呈する藻体が用いられる。なお、上記外観が黄橙色を呈する藻体は、特定の条件(例えば、高塩濃度)で生育することで、β−カロテン等のカロテノイドを生合成するとともに同カロテノイドを細胞内に蓄積して黄橙色を呈する。以下では、「緑藻綱オオヒゲマワリ目のデュナリエラ属に属する微細藻の藻体であって、カロテノイドを蓄積して黄橙色を呈する藻体」について、「上記微細藻の藻体」と記載する。
上記微細藻の藻体は、天然に自生する藻体であってもよいし、人工的に培養した藻体であってもよい。なお、安定供給が可能である点や品質保持が容易である点から、人工的に培養した藻体を用いることが工業的に好適である。人工培養により上記微細藻の藻体を得る方法としては、公知の方法、例えば上記特許文献1に開示される方法が挙げられる。具体的には、上記微細藻の藻体の細胞を培地に摂取し、好気的条件下(炭酸ガス0〜10%供給)、蛍光灯や太陽光等を光源として照度を3000〜150000luxに設定し、連続光照射(24時間明)から、8時間(明)/16時間(暗)にて培養を行なうことにより、上記微細藻の藻体を得ることができる。なお、培養温度は15〜40℃とすることが好ましく、25〜35℃とすることがより好ましい。
本実施形態の脱共役タンパク質発現誘導剤は、上記微細藻の藻体を配合したものであってもよいし、上記微細藻の藻体を抽出原料とする抽出物を配合したものであってもよい。上記微細藻の藻体を配合する場合には、同藻体は、採取したままの状態、採取後に破砕処理した状態、採取後に乾燥処理した状態、並びに採取後に破砕処理及び乾燥処理した状態のいずれの状態で配合してもよい。
次に上記微細藻の藻体を抽出原料とする抽出物について説明する。抽出原料となる上記微細藻の藻体は、採取したままの状態、採取後に破砕処理した状態、採取後に乾燥処理し
た状態、又は採取後に破砕処理及び乾燥処理した状態として、抽出操作を行なうことができる。なお、抽出操作の効率化の観点から、上記微細藻の藻体を破砕したものを抽出原料として用いることが好ましい。
抽出操作に用いる抽出溶媒としては、水及び親水性有機溶媒のうちの少なくとも一種を用いることができる。水を用いる場合、温水抽出、熱水抽出、蒸気抽出のいずれの方法を用いても良い。なお、抽出溶媒として水を用いる場合の抽出温度は0〜30℃であることが好ましく、0〜15℃であることがより好ましい。また、抽出時間は10〜120分間であることが好ましく、20〜40分間であることがより好ましい。
親水性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール等の低級アルコール類、アセトン、及び酢酸エチルが挙げられる。また、抽出溶媒は、水及び各種親水性有機溶媒のうちの単独種を用いてもよいし、複数種を混合した混合溶媒を用いてもよい。なお、抽出溶媒中に、水及び親水性有機溶媒以外の溶媒が少量含有されていてもよいし、その他の添加剤、例えば、有機塩、無機塩、緩衝剤、及び乳化剤等が溶解されていてもよい。
抽出操作としては、抽出溶媒中に抽出原料を所定時間浸漬させる。その際、抽出溶媒中における抽出原料の濃度は特に限定されないが、5〜50質量%とすることが好ましく、5〜15質量%とすることがより好ましい。抽出原料の濃度を5%未満とした場合には、得られた抽出液中の有効成分濃度が低くなり、濃縮処理や有効成分の回収処理が煩雑となる。一方、抽出原料の濃度が50%を超える場合には、有効成分の回収率が低くなるおそれがある。こうした抽出操作においては、抽出効率を高めるべく、必要に応じて攪拌処理、加圧処理、及び超音波処理等の処理をさらに行ってもよい。また、抽出操作は同一の抽出原料に対して一回のみ行なってもよいし、複数回繰り返して行なってもよい。
そして、抽出操作の後に固液分離操作が行われることで、抽出液と抽出原料の残渣とを分離する。固液分離処理の方法としては、例えば、ろ過や遠心分離等の公知の分離法を利用することができる。なお、固液分離処理して得られた抽出液を、そのままの状態で上記抽出物として用いてもよいし、さらに濃縮・乾固処理して得られる処理物を上記抽出物として用いてもよい。
以上のようにして得られた上記微細藻の藻体、又は該藻体から得られる抽出物を有効成分として含有する脱共役タンパク質発現誘導剤は、生体に投与することにより、生体内におけるUCPの発現量を増加させる。上で述べたとおり、UCPには複数のサブタイプが存在するが、本実施形態の脱共役タンパク質発現誘導剤はいずれのUCPの発現誘導にも有効であり、特に白色脂肪におけるUCP2の発現量、及び骨格筋におけるUCP3の発現量を効果的に増加させる。また、UCPの発現量を増加させることにより、生体のエネルギー代謝が亢進されて、生体の体温上昇作用(温まり感)や手足等の冷えの改善作用を得ることができる。
本実施形態の脱共役タンパク質発現誘導剤は、UCPの発現誘導作用、体温上昇作用、及び冷えの改善作用の発揮を目的とする製品に適用して使用することができる。脱共役タンパク質発現誘導剤含有製品としては、例えば、のど飴、のどスプレー等の医薬用部外品及び医薬品等の医療用剤や、健康飲料、健康食品等の飲食品が挙げられる。
本実施形態の脱共役タンパク質発現誘導剤を医薬品や医薬部外品に適用して使用する場合には、服用(経口摂取)により投与する場合の他、血管内投与、経皮投与、粘膜投与等のあらゆる投与方法、皮膚や物品等へ塗布する方法を採用することが可能である。剤形としては、特に限定されないが、例えば、散剤、粉剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、丸剤、坐剤、液剤、注射剤、塗布剤等が挙げられる。また、本発明の目的を損なわない範囲にお
いて、添加剤としての賦形剤、基剤、乳化剤、溶剤、安定剤等を配合してもよい。
本実施形態の脱共役タンパク質発現誘導剤を飲食品に適用して使用する場合には、種々の食品素材又は飲料品素材に添加することによって、例えば、粉末状、錠剤状、顆粒状、液状(ドリンク剤等)、カプセル状、シロップ、キャンディー等の形状に加工して健康食品製剤、栄養補助食品等として使用することができる。また、本発明の目的を損なわない範囲において、基材、賦形剤、添加剤、副素材、増量剤等を適宜添加してもよい。
次に本実施形態における作用効果について、以下に記載する。
(1)本実施形態の脱共役タンパク質発現誘導剤は、緑藻綱オオヒゲマワリ目のデュナリエラ属に属する微細藻の藻体であって、黄橙色を呈する藻体、又は該藻体から得られる抽出物を有効成分として含有している。これにより、生体内におけるUCPの発現量、特に白色脂肪におけるUCP2の発現量、及び骨格筋におけるUCP3の発現量を増加させることができる。
(2)また、UCPの発現量が増加することにより、生体のエネルギー代謝が亢進されて生体の体温を上昇させることができる。そのため、本実施形態の脱共役タンパク質発現誘導剤は、体温上昇剤や冷え改善剤としても用いることができる。
(3)本実施形態の脱共役タンパク質発現誘導剤に含有される、緑藻綱オオヒゲマワリ目のデュナリエラ属に属する微細藻の藻体であって、黄橙色を呈する藻体、又は該藻体の抽出物は天然成分であるため、副作用が少なく、生体に対してより安全に適用することができる。それにより、医薬品、飲食品に容易に適用することができる。
[第2実施形態]
以下、本発明の冷え改善剤について説明する。
第2実施形態の冷え改善剤は、緑藻綱(Chlorophyceae)オオヒゲマワリ目(Volvocales)のデュナリエラ属(Dunaliella)に属する微細藻の藻体であって、黄橙色を呈する藻体、又は該藻体から得られる抽出物を含有する。第2実施形態の冷え改善剤に含有される上記微細藻の藻体、及び該藻体から得られる抽出物は、第1実施形態の脱共役タンパク質発現誘導剤に含有されるものと同様であるため、ここでは記載を省略する。
上記微細藻の藻体、又は該藻体から得られる抽出物を有効成分として含有する冷え改善剤は、生体に投与することにより、身体の冷え、特に手足の冷えを改善する。本実施形態の冷え改善剤は、冷えの改善作用の発揮を目的とする製品に適用して使用することができる。冷え改善剤含有製品としては、例えば、のど飴、のどスプレー等の医薬用部外品及び医薬品等の医療用剤や、健康飲料、健康食品等の飲食品が挙げられる。
本実施形態の冷え改善剤を医薬品や医薬部外品に適用して使用する場合には、服用(経口摂取)により投与する場合の他、血管内投与、経皮投与、粘膜投与等のあらゆる投与方法、皮膚や物品等へ塗布する方法を採用することが可能である。剤形としては、特に限定されないが、例えば、散剤、粉剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、丸剤、坐剤、液剤、注射剤、塗布剤等が挙げられる。また、本発明の目的を損なわない範囲において、添加剤としての賦形剤、基剤、乳化剤、溶剤、安定剤等を配合してもよい。
本実施形態の冷え改善剤を飲食品に適用して使用する場合には、種々の食品素材又は飲料品素材に添加することによって、例えば、粉末状、錠剤状、顆粒状、液状(ドリンク剤等)、カプセル状、シロップ、キャンディー等の形状に加工して健康食品製剤、栄養補助食品等として使用することができる。また、本発明の目的を損なわない範囲において、基
材、賦形剤、添加剤、副素材、増量剤等を適宜添加してもよい。
次に本実施形態における作用効果について、以下に記載する。
(4)本実施形態の冷え改善剤は、緑藻綱オオヒゲマワリ目のデュナリエラ属に属する微細藻の藻体であって、黄橙色を呈する藻体、又は該藻体から得られる抽出物を有効成分として含有している。これにより、身体の冷え、特に手足の冷えを効果的に改善することができる。
(5)本実施形態の冷え改善剤に含有される、緑藻綱オオヒゲマワリ目のデュナリエラ属に属する微細藻の藻体であって、黄橙色を呈する藻体、又は該藻体の抽出物は天然成分であるため、副作用が少なく、生体に対してより安全に適用することができる。それにより、医薬品や飲食品に容易に適用することができる。
なお、上記各実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 第1実施形態の脱共役タンパク質発現誘導剤、及び第2実施形態の冷え改善剤を、例えば馬、牛、鳥等のヒト以外の動物に使用してもよい。
次に、各試験例を挙げて上記実施形態をさらに具体的に説明する。
緑藻綱オオヒゲマワリ目のデュナリエラ属に属する微細藻の藻体の培養]
本試験では、緑藻綱オオヒゲマワリ目のデュナリエラ属に属する微細藻の藻体として、デュナリエラ・サリーナ(Dunaliella salina)を用いた。
新鮮なろ過海水999mlに対して、NaCl(87g)、KNO(76mg)、KHPO(8.7mg)及びNaHCO(4.2g)を添加した溶液に、微量元素混合水溶液(200mg/l CuCl・2HO、100mg/l ZnCl、200mg/l CoCl・6HO、600mg/l MnCl・4HO、400mg/l FeCl・6HO、1.2g/l (NH)6Mo24・4HO、2.2g/l EDTA2Na・2HO)1mlを添加することにより培地を調整した。次いで、上記培地に対して、細胞数が1×10cells/mlとなるようにデュナリエラ・サリーナを接種し、デュナリエラ・サリーナの培養を10日間行なった。なお、培養は200リットル容のアクリル製円筒培養リアクターを用い、5%の炭酸ガスを含有する空気の通気下、かつ蛍光灯照射下(3500lux)、23℃にて行なった。培養後、培養液を連続遠心分離機(15000回転)にて分離処理し、得られたペースト状の藻体を凍結乾燥して藻体乾燥粉末(20g)を得た。
[UCP発現誘導作用に関する試験]
3週齢の雄マウス(自然発症アポE欠損高脂血症(SHL)マウス)20匹を投与群(10匹)と対照群(10匹)とに郡別し、それぞれ2ヶ月間飼育した。投与群のマウスには、飼料として、1%コレステロール負荷マウス用市販粉末飼料に、藻体乾燥粉末を2%添加したものを与えた。なお、この藻体乾燥粉末を含む飼料は、使用時まで−20℃で保存することにより、藻体乾燥粉末中に含まれる成分の失活を抑制している。また、対照群のマウスには、1%コレステロール負荷マウス用市販粉末飼料に、内在するカロテノイドを失活させた藻体乾燥粉末を2%添加したものを与えた。内在するカロテノイドを失活させた藻体乾燥粉末は、藻体乾燥粉末を室温にて24時間の空気暴露処理及び蛍光灯照射処理することにより作製している。なお、同処理後の藻体乾燥粉末は、内在するカロテノイドが失活して黄橙色から緑色となることから、カロテノイドを含まない緑色を呈する藻体と同じものとみなすことができる。また、同処理を行うことにより、処理前の藻体乾燥粉末に含まれる他のタンパク質、脂質、炭水化物等の基本的な成分はほとんど変化しないものと考えられる。
各試料は週に3回交換し、自由摂取とさせた。2ヶ月後、投与群及び対照群のマウスから各組織(白色脂肪、褐色脂肪、肝臓、骨格筋)を摘出し、各組織におけるUCP2及びUCP3の発現量を以下の方法により測定した。
摘出した組織をホモジネートし、公知の方法によりRNAを抽出した後、逆転写酵素(reverse transcriptase)を用いてRNAからDNAを作成した。次いで、UCP2遺伝子及びUCP3遺伝子に特異的なプライマーを用いて定量的PCRを行うとともに、各組織におけるUCP2遺伝子及びUCP3遺伝子の発現量を測定した。なお、UCP2遺伝子及びUCP3遺伝子の発現量の測定は、シクロフィリン(Cyclophilin)を内部標準として用い、シクロフィリンの発現量に対する相対的な発現量にて評価を行なった。図1及び2はその結果を示すグラフである。
図1及び2のグラフから、上記微細藻の藻体を摂取した場合、白色脂肪においてUCP2の発現量が有意に増加するとともに、骨格筋においてUCP3が有意に増加することが確認された。この結果から、上記微細藻の藻体を摂取することにより、特定の組織におけるUCPの発現が促進されることがわかった。したがって、上記微細藻の藻体は、UCP発現誘導剤として有効に用いることができる。なお、上記微細藻の藻体の冷え改善作用は、UCPの発現量が増加して、生体のエネルギー代謝が亢進されたことに基づく作用であると考えられる。
また、データは示していないが、飼料として、マウスに1%コレステロール負荷マウス用市販粉末飼料のみ、又は1%コレステロール負荷マウス用市販粉末飼料にカロテノイドを添加したものを用いて同様の試験を行なったところ、各細胞における各UCPの発現量は、対照群の発現量と略同程度であった。これらの結果から、本発明の脱共役タンパク質発現誘導剤の脱共役タンパク質発現誘導作用は、単なるカロテノイド成分由来の作用ではなく、上記微細藻の藻体に含まれる何らかの成分又はその成分と内在するカロテノイドとの協働により発揮されるものであると考えられる。
[冷え改善作用に関する試験]
日常的に冷えを感じやすい(手足の冷え性を自覚している)21〜72歳の女性20名を被験者として、本発明の冷え改善剤を摂取させ、その冷え改善効果に関する有効性を評価した。試験は、本発明の冷え改善剤と偽薬を用いた単盲検法を採用し、偽薬を対照とした2期クロスオーバー試験とした。
試験薬は、藻体乾燥粉末350mgを充填したハードカプセル(実施例)と、乳糖350mgを充填したハードカプセル(偽薬)を用いた。試験日程を順に、第1摂取期間7日間、第1試験日、摂取休止期間2日(第1試験日を含む)、第2摂取期間7日間、第2試験日に設定し、被験者には第1摂取期間及び第2摂取期間の毎日、1日2カプセルの実施例又は偽薬を摂取させた。なお、被験者には試験期間中を通して、それまでの食生活及び運動等の日常生活を変えないように指導している。
第1試験日及び第2試験日には、各被験者に、23℃に設定した部屋で60分間座ってもらい、60分経過後の手足の冷えについて、普段と比較して「緩和された」、「変わらない」、「ひどくなった」の3項目で評価してもらった。その結果を表1及び2に示す。
表1及び2に示すように、偽薬を摂取した場合に「(手足の冷えが)緩和された」と評価した被験者の割合は0%(0人/20人)であるのに対して、実施例を摂取した場合に「(手足の冷えが)緩和された」と評価した被験者の割合は80%(16人/20人)であった。この結果から、上記微細藻の藻体(実施例)を摂取することにより、冷えが緩和されることがわかった。したがって、上記微細藻の藻体は、冷え改善剤として有効に用いることができる。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について記載する。
(イ) 緑藻綱オオヒゲマワリ目のデュナリエラ属に属する微細藻の藻体であって、カロテノイドが蓄積された黄橙色を呈する藻体、又は該藻体から得られる抽出物を有効成分として含有することを特徴とする脱共役タンパク質発現誘導剤。
(ロ) 緑藻綱オオヒゲマワリ目のデュナリエラ属に属する微細藻の藻体であって、黄橙色を呈する藻体、又は該藻体から得られる抽出物を有効成分として含有することを特徴とする脱共役タンパク質発現誘導剤(ただし、脂肪細胞縮小剤及び抗ピロリ菌組成物として用いる場合を除く)。
(ハ)緑藻綱オオヒゲマワリ目のデュナリエラ属に属する微細藻の藻体であって、黄橙色を呈する藻体、又は該藻体から得られる抽出物を有効成分として含有することを特徴とする冷え改善剤。
(ニ)緑藻綱オオヒゲマワリ目のデュナリエラ属に属する微細藻の藻体であって、カロテノイドが蓄積された黄橙色を呈する藻体、又は該藻体から得られる抽出物を有効成分と
して含有することを特徴とする冷え改善剤。

Claims (1)

  1. 脱共役タンパク質2の発現を促進する脱共役タンパク質2発現誘導剤、又は脱共役タンパク質3の発現を促進する脱共役タンパク質3発現誘導剤として用いられる脱共役タンパク質発現誘導剤において、
    緑藻綱オオヒゲマワリ目のデュナリエラ属に属する微細藻の藻体であって、カロテノイドを含有する黄橙色を呈する藻体、又は該藻体から得られる抽出物を有効成分として含有することを特徴とする脱共役タンパク質発現誘導剤。
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