JP2007210917A - 脂肪細胞縮小化剤、医薬品及び飲食品 - Google Patents

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Tetsuro Sugiura
哲朗 杉浦
Yoshio Kumon
義雄 公文
Hiroyuki Uketa
浩之 受田
Hiroyuki Takenaka
裕行 竹中
Yuji Yamaguchi
裕司 山口
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Abstract

【課題】副作用が少なくて安全であると考えられる天然物を用い、内臓脂肪等の脂肪細胞を縮小化させると共に、脂肪組織量を減少させること。
【解決手段】緑藻網オオヒゲマワリ目のデュナリエラ属に属する微細藻のうち黄橙色の藻体または該藻体から得られる抽出物を含有する脂肪細胞縮小化剤にすることで、副作用が少なく安全な天然物を用い、内臓脂肪等の脂肪細胞を縮小化させると共に、脂肪組織量を減少させることができるようになる。
【選択図】なし

Description

本発明は、例えば、皮下脂肪及び内臓脂肪等における脂肪細胞を縮小化(小型化)させることで、脂肪細胞の縮小化を伴うと共に、脂肪細胞をアポトーシスによる消失に誘導して脂肪細胞数を減少させる、抗肥満作用を有する脂肪細胞縮小化剤と、該脂肪細胞縮小化剤を含有する医薬品及び飲食品に関するものである。
近年、日本人の食生活は従来の菜食中心から著しく変化しており、特に脂質の過剰摂取など食習慣の欧米化に加えて、車社会の到来等による運動不足も相まって、現代の文明病とも言われている肥満症を引き起こす原因になっている。
この肥満とは、飽食が過剰な負荷をかけることによって生ずる病態である。そして、肥満はメタボリックシンドロームの基盤を形成していることより、高血圧症、高脂血症、糖尿病などの種々の疾病、ひいては動脈硬化症の出現等と密接に関連している。
そのため、肥満は人類史上極めて短いここ約50年の間に発生した国民病であり、肥満の解消は、国民の健康上の観点からみても急務を要するものとなってきている。
そこで、肥満の治療法としては、食事療法、運動療法、薬物療法が考えられる。これら食事療法と運動療法とは、肥満の基礎療法をなすものであり、これら療法を組み合わせて肥満の治療に用いられる。
しかし、これら食事療法と運動療法とを実施してその効果を得るためには、長期間にわたる実施の持続が求められるため、個人の努力に依存しているものであり、体重減少(肥満解消)を完遂することは実際難しいものである。
一方、前記薬物療法では、例えば、マジンドールなどを用い、視床下部などの中枢に作用させ食欲を抑制して肥満解消に誘導することがあるが、このマジンドールなどを用いた薬物療法は、副作用出現の点からも慎重にあるべきであると考えられる。
そこで、副作用が少なくて安全であると考えられる天然物を用いて薬物療法を行う技術としては、例えば、褐藻類、緑藻類または紅藻類からなる海藻の抽出液を濾過・精製して得られる消化酵素活性阻害物質がある(特許文献1参照)。
この特許文献1の公知技術においては、海藻に属する緑藻類等の抽出液を濾過・精製して得た消化酵素活性阻害物質であり、α−アミラーゼやリパーゼといった消化酵素の活性を阻害することで、食物として摂取されたでんぷん質や脂肪の分解を妨げ、エネルギー源として消化、吸収されるのを防いで抗肥満作用を得るというものである。
また、緑藻類のヒトエグサ科ヒトエグサ属、アオサ科アオサ属、アオノリ属、ハネモ科ハネモ属、イワヅタ科イワヅタ属、ミル科ミル属、褐藻類または紅藻類に属する海藻抽出物の一種又は二種以上を含有するスリミング剤がある(特許文献2参照)。
この特許文献2の公知技術においては、海藻に属する緑藻類等の抽出物を含有するスリミング剤であり、人体脂肪の分解、燃焼を促進させることにより、抗肥満作用を得るというものである。
これら特許文献1、2の公知技術は、いずれも海藻を用いて抗肥満作用を得るということで共通した思想を有しているものである。
ところで、これら特許文献1、2における緑藻類は、海藻に属するものであるが、名称は同じ緑藻類であるが、微細藻に属する緑藻類も存在する。これら海藻の緑藻類と、微細藻の緑藻類とは、単に緑藻類という名称からは同じものであるかのように考えられて誤解されがちだが、そもそも海藻と微細藻とは、全く異なる生体であることから、その性質も全く異なるものである。つまり、海藻の緑藻類と、微細藻の緑藻類とは、全く異なるものなのである。
更に、この緑藻網のうち、例えば、オオヒゲマワリ目のデュナリエラ属に属する微細藻においては、一般的に知られている緑色の藻体の微細藻の他、黄橙色の藻体の微細藻も存在していることが知られている。この黄橙色の藻体は、デュナリエラの微細藻が生育する際に、β−カロテンが生合成される条件であると、藻体が黄橙色の微細藻になることが知られているが、この黄橙色の藻体の微細藻は、緑色の藻体の微細藻と比較して、藻体中にβ−カロテンを含有しているということばかりでなく、前記β−カロテン以外で緑色の藻体には含まれていない他の成分をも含有している可能性があることが期待されている。
特開平5−284937号公報 特開2000−72642号公報
ところで、肥満は「体脂肪が過剰に蓄積した状態」と定義されるが、脂肪組織の増大と脂肪細胞の増大に特徴づけられ、アディポサトカインなどの生理活性が高い内臓脂肪の蓄積が皮下脂肪のそれより問題となりやすい。
そのため、肥満の治療(減量)には、内臓脂肪を中心とした脂肪組織の減少、即ち、脂肪細胞の大きさの縮小と、脂肪細胞の数の減少とが重要なポイントになる。この両者は、独立したものではなく、エネルギー代謝と密接に関係しており、脂肪エネルギー消費の結果であると理解されている。
つまり、肥満治療を行うことにより、脂肪細胞を小型化させると共に、大型脂肪細胞をアポトーシスにより消失させて、脂肪組織量を減少させることが理想的な脂肪組織の組織学的変化と考えられる。
このように、脂肪細胞を縮小させる作用のある医薬品としては、例えば、PPARγ(Peroxisome Proliferator−activated Receptor gamma)のリガンドに代表されるもので、現在のところ糖尿病治療薬のpioglitazoneがある。
しかし、前記糖尿病治療薬の服薬者においては、服薬後にむしろ皮下脂肪が増加する傾向にあるなどの問題が生じることがあり、肥満の治療薬として考えた場合には、有効な作用を必ずしも得られるというものではない。また、一般食品においては、脂肪細胞を縮小させる作用を有するものは報告されていない。
従って、従来の薬物療法により肥満を治療する方法においては、副作用が少なくて安全であると考えられる天然物を用い、内臓脂肪等の脂肪細胞を縮小化させると共に、脂肪組織量を減少させるということに解決しなければならない課題を有している。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、緑藻網(Chlorophyceae)オオヒゲマワリ目(Volvocales)のデュナリエラ属(Dunaliella)に属する微細藻のうち黄橙色の藻体またはその抽出物が、皮下脂肪及び内臓脂肪等における脂肪細胞を縮小化(小型化)させる作用を有し、これを摂取することで脂肪細胞を縮小化させることができると共に、脂肪細胞をアポトーシスによる消失に誘導することができて、脂肪細胞数(脂肪組織量)を減少させることができ、肥満を解消・抑制することできるようになるという抗肥満作用を有することを見出し、本発明の完成に至った。
そこで、本発明に係る脂肪細胞縮小化剤においては、上記した従来例の課題を解決する具体的手段として、緑藻網オオヒゲマワリ目のデュナリエラ属に属する微細藻のうち黄橙色の藻体または該藻体から得られる抽出物を含有することを最も主要な特徴とするものであり、更に、前記脂肪細胞縮小化剤を含有する医薬品と飲食品とを提供するものである。
本発明に係る脂肪細胞縮小化剤は、緑藻網オオヒゲマワリ目のデュナリエラ属に属する微細藻のうち黄橙色の藻体または該藻体から得られる抽出物を含有しているため、副作用が少なく安全であり、また、皮下脂肪及び内臓脂肪等における脂肪細胞を縮小化(小型化)に誘導させる作用を有し、これを摂取することで脂肪細胞を縮小化させることができると共に、脂肪細胞をアポトーシスによる消失に誘導することができて、脂肪細胞数(脂肪組織量)を減少させることができ、肥満を解消・抑制することできるようになり、そのため、医薬品または飲食品に脂肪細胞縮小化剤を含有させれば、これら医薬品及び飲食品が脂肪細胞縮小化剤と同様の作用を有するようになるのである。従って、これら医薬品及び飲食品を摂取すれば、副作用が少なくて安全な肥満の薬物療法が可能になって、更に、高血圧症、高脂血症、糖尿病などの種々の疾病や、動脈硬化症等においても、改善・治療できることが期待できるようになるという優れた効果を奏する。
次に、本発明を具体的な実施の形態に基づいて詳しく説明する。
本発明に係る脂肪細胞縮小化剤は、緑藻網(Chlorophyceae)オオヒゲマワリ目(Volvocales)のデュナリエラ属(Dunaliella)に属する微細藻のうち黄橙色の藻体または該藻体から得られる抽出物を含有しているものである。このデュナリエラ属に属する微細藻としては、例えば、Dunaliella salinaD.salina)またはD.bardawil等を例示することができる。なお、この明細書において、デュナリエラの微細藻または藻体と記載した場合には、特に言及をしない限りは、緑藻網オオヒゲマワリ目のデュナリエラ属に属する微細藻のうち黄橙色の藻体(微細藻)を示すものである。
前記デュナリエラの微細藻は、天然由来のものまたは培養によるもののいずれを用いても良いが、安定供給と品質保持の観点から、培養により増殖させて使用することが望ましい。また、前記微細藻は、生の藻体、乾燥した藻体または乾燥した粉体等のいずれであっても良い。
微細藻は光合成を行なって自らのエネルギーとしているため、培養は光照射下に藻類培養用の培地を用い、通常の培養方法により行なうことができる。具体的な培養条件を述べれば下記のとおりである。
D.salinaを培養する方法としては、培地は一般的な好塩性緑藻類を培養する際に用いられるものであれば格別な制限はなく、例えば、Dunaliella salina growth medium等の培地を用いることができる。
即ち、新鮮なろ過海水999mlに対してNaCl 87g、KNO 76mg、KHPO 8.7mg及びNaHCO 4.2gを添加した溶液に、CuCl・2HO 200mg/l、Zn Cl 100mg/l、CoCl・6HO 200mg/l、MnCl・4HO 600mg/l、FeCl・6HO 400mg/l、(NH)6Mo24・4HO 1.2g/l及びEDTA2Na・2HO 2.2g/lからなる微量元素混合溶液1mlを添加することにより培地を調製した。
培養は、D.salinaの細胞数が1−2×10 cells/mlとなるように培地に接種し、2リットル容のガラス扁平フラスコを用いて行なった。培養期間は7−14日間が適当であり、培養は空気を適当な通気手段により導入する好気的条件下(炭酸ガス供給は0%〜10%)にかつ蛍光灯や太陽光を光源として照度を3000 lux〜150000 luxに設定し、連続光照射(24時間明)から8時間明/16時間暗にて行なうのが望ましい。培養温度は15−40℃であり、30℃付近が望ましい。
培養した微細藻(藻体)を常法により収集した後、例えば、遠心分離等によりデュナリエラ藻体と培養液とを分離し、得られたペーストを凍結乾燥して、デュナリエラ藻体乾燥粉末を得ることができる。
本発明においては、このようにして得られたデュナリエラの生藻体、乾燥藻体または乾燥粉体等の微細藻をそのまま用いても良いが、例えば、水またはアルコール等の溶液を用いて微細藻から抽出した抽出物等を用いても良い。
このようなデュナリエラの微細藻から抽出物を抽出する方法としては、常法により抽出することができるが、例えば、容器内にデュナリエラの微細藻と蒸留水とを収納して懸濁させ、必要により攪拌や超音波処理をしながら、時間は約10〜120分間、好ましくは約20〜40分間、温度は約0〜30℃、好ましくは約0〜15℃にしてデュナリエラの抽出物を抽出する。
このデュナリエラの微細藻から抽出物を抽出する際の蒸留水中におけるデュナリエラの微細藻の濃度としては、例えば、約5重量%〜50重量%程度の濃度であれば良く、約5重量%〜15重量%程度の濃度にすることが好ましい。この理由としては、抽出時のデュナリエラの藻体(粉末を含む)の濃度は特に臨界的ではないが、濃度が高すぎるとデュナリエラ水抽出物の回収率が悪くなり、また濃度が低過ぎると抽出液中の有効成分(水溶性抗酸化物質)の濃度が低くなり、抽出液からの有効成分の回収のためのコストが高くなるからである。
この抽出液からデュナリエラの抽出物を得る方法としては、常法により得ることができるが、例えば、前記抽出液を遠心分離後、その上澄み液をとり、該上澄み液をフィルターを用いて濾過することによりデュナリエラの藻体と抽出液とを分離した後、これを凍結乾燥して前記抽出液からデュナリエラの抽出物を得るものである。また、前記フィルターにより濾過して分離された抽出液を濃縮して濃縮液にし、該濃縮液を乾燥させて乾燥したデュナリエラの抽出物を得るようにしても良い。このような濃縮・乾燥する方法としては、常法により行うことができるが、例えば、減圧濃縮や、凍結乾燥や、噴霧乾燥等の方法により行なうことができる。
また、本発明においては、デュナリエラの生藻体、乾燥藻体または乾燥粉体等からなる微細藻またはその抽出物を含有させて抗肥満作用を有する脂肪細胞縮小化剤とし、更に、該脂肪細胞縮小化剤を医薬品または飲食品等に含有させて使用するものである。
医薬品としての適用方法は、経口投与を採用するのが良い。そして、この経口投与に適した医薬用無毒性担体と混合することにより、肝要の医薬品製剤の形態で投与することができる。
このような医薬品の製剤としては、例えば、錠剤、顆粒剤、散剤またはカプセル剤などが挙げられ、これらの製剤は製剤上の常套手段により調整することができる。前記医薬用無毒性担体としては、例えば、グルコース、乳糖、ショ糖、澱粉、マンニトール、デキストリン、脂肪酸グリセリド、ポリエチレングリコール、ギドロキシエチルデンプン、エチレングリコール、リン酸カルシウム、アルギン酸、微結晶性セルロース、ステアリン酸マグネシウム、アミノ酸、ゼラチン及び水などが挙げられる。また、必要に応じて、安定化剤、乳化剤または結合剤などの慣用の添加物を適宜添加することもできる。
飲食品としての適用方法は、脂肪細胞縮小化剤を含有した飲食品をそのまま供する、または脂肪細胞縮小化剤に種々の栄養成分を加えて、もしくは脂肪細胞縮小化剤を飲食品中に含有せしめて、肥満の改善及び予防に有用な保健用食品または飲食品素材として飲食させることができる。
このような飲食品としては、例えば、上記の適当な助剤を添加した後、慣用の手段を用いて、飲食用に適した形態、例えば、顆粒状、粒上、錠剤、カプセル、ペーストなどに成形して食用に供しても良く、また種々の食品、例えば、ハム、ソーセージなどの食肉加工食品、かまぼこ、ちくわなどの水産加工食品、パン、菓子、バター、粉乳、発酵乳製品に添加して使用したり、水、果汁、牛乳、清涼飲料水などの飲料に添加して使用しても良い。要するに、脂肪細胞縮小化剤を含有した飲食品として適用することは勿論であるが、例えば、健康食品や食品添加物等として適用させても良いのである。
本発明に係る脂肪細胞縮小化剤を医薬品または飲食品に含有させる場合には、広い用量範囲にわたって有効である。医薬品または飲食品に含有される脂肪細胞縮小化剤の含有量は、摂取者の年齢、体重、症状、投与形態などによって決定されるが、一般に、1日当たり、体重1kgに対して、約0.01mg〜3000mg、好ましくは、10mg〜1500mgの範囲である。
次に、具体的な実施例を用いて説明するが、本発明は以下の実施例になんら限定されるものではない。
D.salinaの培養]
この実施例1において、D.salinaの培養としては、上記 Dunaliella salina growth mediumを用いて、D.salinaの細胞数が約1×10 cells/mlとなるように培地に接種し、2リットル容のガラス扁平フラスコを用いて行なった。23℃で、炭酸ガス5%を含有する空気を通気し、蛍光灯(3500lux)にて連続照射し、10日間培養した。培養した藻体を遠心分離機(3000回転10分間)にて分離し、得られたペーストを凍結乾燥して、デュナリエラ藻体乾燥粉末を得た。
[実施例1の試験飼料の作製]
この実施例1においては、1%コレステロール負荷マウス用市販粉末餌料に、前記培養により得られた養デュナリエラ藻体乾燥粉末を2%添加した後、これらを混合して実施例1の餌料を作製した。すなわち、前記粉末飼料98gにデュナリエラ粉末2gを添加し、よく混合して作製したもの(脂肪細胞縮小化剤)である。この作製した飼料は、使用時まで−20℃の冷凍庫にて保存した。
[対照飼料の作製]
前記実施例1と比較するための対照飼料として、前記実施例1と同様のデュナリエラ藻体乾燥粉末を室温で、空気暴露、蛍光灯照射を24時間処理したデュナリエラを対照餌料として使用し、前記実施例1と同様にして2%含有餌料を作製し、使用時まで−20℃の冷凍庫にて保存した。
なお、この対照飼料の作製において、黄橙色の藻体を前述のように室温で、空気暴露、蛍光灯照射を24時間処理することにより、黄橙色の藻体に含まれていたβ−カロテンが失活し、その藻体の色は黄橙色から緑色になり、緑色の藻体を用いることとほぼ同意になることから、このように黄橙色の藻体に前述の処理をして緑色の藻体になったものを対照として使用した。この際、処理前の黄橙色の藻体に含まれるたんぱく質、脂質、炭水化物等の基本的な栄養成分は、前述の処理をしたとしても、ほとんど変化しないものと考えられる。
[試験]
以下の試験においては、3週令雄マウス[自然発症アポE欠損高脂血症(SHL)マウス]を各10匹ずつとし、餌料は自由摂取させて6ヶ月間飼育した。餌料は週に3回交換し、体重は毎週一回測定した。試験終了時に剖検し、血液中のコレステロール等の脂質値を測定した。また、腹腔内脂肪の代表として睾丸周囲脂肪量を測定した。皮下脂肪量も組織学的検査を実施した。肝臓、腎臓、脾臓、心臓は組織学的検査を実施した。
[結果(体重)]
以下、この試験の結果を示す。この試験における実施例1及び対照の餌料を与えたそれぞれのマウスの体重増加を図1に示した。この図1から明らかなように、試験開始後2週間目から黄色腫(自然)発症までの約2ヶ月、実施例1の試験餌料群は対照餌料群よりも有意に低値の体重を示した。その後、これら二群の体重の平均値において、有意差は消失したものの同様に推移した。このことから、本発明の実施例1の試験飼料(脂肪細胞縮小化剤)を与えることにより、体重増加を抑制できることが確認できた。
[血液中コレステロール]
試験終了時の実施例1及び対照の餌料を与えたそれぞれのマウスの両群における血液中コレステロール値に有意差は認められなかった。
[腹腔内脂肪量]
実施例1の試験餌料群は、対照餌料群よりも有意に低値の腹腔内脂肪量を示した。図2に、(a)実施例1の試験餌料群と、(b)対照餌料群との腹部を切開した写真を示し、図3に、実施例1の試験餌料群と、対照餌料群とにおける精巣周囲の脂肪量を測定した結果のグラフを示してある。この図2の(a)及び(b)写真、並びに図3から、本発明の実施例1の試験飼料(脂肪細胞縮小化剤)を与えることにより、腹腔内脂肪(内臓脂肪を含む)の増加を抑制し、脂肪細胞を縮小化(小型化)できることが確認できた。
[皮下脂肪の組織学的検査]
この皮下脂肪の組織学的検査においては、実施例1の試験餌料群は、対照餌料群に比して有意に脂肪組織量が減少し、さらに脂肪細胞径及び体積が減少していた。図4に、(a)実施例1の試験餌料群と、(b)対照餌料群との皮下脂肪組織の顕微鏡写真を示し、図5に、実施例1の試験餌料群と、対照餌料群とにおける脂肪細胞の短径と長径との平均値を示してある。この図4の(a)及び(b)写真、並びに図5から、本発明の実施例1の試験飼料(脂肪細胞縮小化剤)を与えることにより、脂肪細胞を縮小化(小型化)に誘導し、この脂肪細胞の縮小化を伴うことにより、更に脂肪組織量が減少されることが確認できた。この脂肪組織量の減少は、脂肪細胞がアポトーシスによる消失に誘導されたことにより、脂肪細胞数が減少したものと推察される。
[肝臓、腎臓、脾臓、心臓の組織学的検査]
これら肝臓、腎臓、脾臓、心臓について、組織学的に検査したが、両群に有意な違いは認められなかった。
以上の試験結果より、本発明に係るデュナリエラの黄橙色の藻体またはその抽出物を含有する脂肪細胞縮小化剤を摂取することにより、皮下脂肪及び内臓脂肪等における脂肪細胞を縮小化(小型化)に誘導させることができ、更にこの脂肪細胞の縮小化を伴うことによって、脂肪細胞をアポトーシスによる消失に誘導して脂肪細胞数(脂肪組織量)を減少させることができるという、肥満が解消・抑制する作用、即ち抗肥満作用を得ることができる。そして、この脂肪細胞縮小化剤を医薬品または飲食品等に含有させれば、これら医薬品及び飲食品等は、脂肪細胞縮小化剤の作用を有するようになるのである。
本発明の脂肪細胞縮小化剤を摂取することにより、脂肪細胞が縮小化されると共に、脂肪細胞がアポトーシスによって消失する原理としては、その詳細は未だ不明であり確認中であるが、この脂肪細胞縮小化剤が脂肪酸のベータ酸化を亢進させることで、脂肪細胞のアポトーシスを誘導している可能性が考えられる。
また、脂肪細胞縮小化剤には、天然物である緑藻網オオヒゲマワリ目のデュナリエラ属に属する微細藻のうち黄橙色の藻体または該藻体から得られる抽出物を用いていることから、これを摂取したとしても副作用が少なくて安全なのである。更に、脂肪細胞縮小化剤並びにこれを含む医薬品及び飲食品等を摂取することにより、肥満が関連する高血圧症、高脂血症、糖尿病などの種々の疾病や、動脈硬化症等が改善されることが期待できるのである。
このように、従来、脂肪細胞を縮小化させる作用を有するものとしては、前記糖尿病治療薬のpioglitazoneだけであったが、本発明に係る脂肪細胞縮小化剤、医薬品及び飲食品を用いることで、副作用が少なく安全に肥満治療を行うことができるようになるのである。
因みに、試験例としては特に標記しないが、前記マウスを用いた試験と同様にして、所定の粉末飼料にβ−カロテンのみを混合した飼料を別途の対照マウスに摂取させたが、このβ−カロテン含有飼料を摂取したマウスには、脂肪細胞の縮小化や、脂肪細胞数の減少という現象は確認されなかった。
そのため、本発明に係る脂肪細胞縮小化剤の作用は、β−カロテンによるものではないと考えられる。この脂肪細胞縮小化剤を摂取することによって得られる脂肪細胞の縮小化や、脂肪細胞数が減少する作用は、緑藻網オオヒゲマワリ目のデュナリエラ属に属する微細藻のうち黄橙色の藻体に含まれるいずれの成分であるかは、現在のところ確認はされていないが、デュナリエラの黄橙色の藻体またはその抽出物を摂取しさえすれば、脂肪細胞が縮小化し、脂肪細胞数が減少することが確認されていることから、デュナリエラの黄橙色の藻体に含まれるβ−カロテン以外の他の成分で、前記黄橙色の藻体を室温で、空気暴露、蛍光灯照射を24時間処理した際に、β−カロテンと同様に失活した成分が主として作用しているものと推察される。また、該成分と共に、β−カロテンを含むデュナリエラの藻体に含有される他の成分の作用を伴って、これらの相乗効果が得られたということも考えられるものである。
本発明に係る実施例1の飼料と、対照の餌料とを与えた試験におけるそれぞれのマウスの体重増加の変化を示したグラフである。 (a)は、実施例1の試験餌料群の腹部を切開した写真であり、(b)は、対照餌料群の腹部を切開した写真である。 実施例1の試験餌料群と、対照餌料群とにおける精巣周囲の脂肪量を測定した結果を示したグラフである。 (a)は、実施例1の試験餌料群の皮下脂肪組織の顕微鏡写真であり、(b)は、対照餌料群の皮下脂肪組織の顕微鏡写真である。 実施例1の試験餌料群と、対照餌料群とにおける脂肪細胞の短径と長径との平均値を示したグラフである。

Claims (3)

  1. 緑藻網オオヒゲマワリ目のデュナリエラ属に属する微細藻のうち黄橙色の藻体または該藻体から得られる抽出物を含有すること
    を特徴とする脂肪細胞縮小化剤。
  2. 請求項1に記載の脂肪細胞縮小化剤を含有すること
    を特徴とする医薬品。
  3. 請求項1に記載の脂肪細胞縮小化剤を含有すること
    を特徴とする飲食品。
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