JP5799298B2 - ラケットガット用ポリエステルモノフィラメント - Google Patents

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Description

本発明は、これまでのラケットガット用ポリエステルモノフィラメントに無い、高反発性と摩擦耐久に優れた特性を持ち、低熱収縮特性も兼ね備えていることから被覆加工性も良く、さらには樹脂組成比率の変更により反発性コントロールをも実現したラケットガット用ポリエステルモノフィラメントとその製造方法に関するものである。
従来、テニスやバドミントン等のラケット用ガットには、反発性、制球性、耐衝撃性などに優れる牛や羊の腸等から作られた天然ガットが使われてきた。しかし、天然ガットは、耐水性に劣るため使用寿命が短いばかりか、原材料の入手が困難になり高価な素材となってきたため、一部のプロプレーヤーや一般上級プレーヤー向け商品となってきている。
また、大半のプレーヤーは天然ガットに比べ低価格のポリアミド製ガットを使用しているが、ポリアミド製ガットは気温や湿度など環境変化に対して伸びや強力、弾性率などが変化するため、競技者に対して安定したボールコントロール性を与え難いという問題があった。
一方、近年ポリアミド製ガットの弱点を補いつつ低価格で供給できるポリエステル素材のガットが注目されている。
ポリエステル製ガットは、剛直な特性から特に打ち出しの強いハードヒッターに人気があるものの、反発性、耐久性が必ずしも十分とはいえない。耐久性の問題点を具体的に挙げると、ボールやシャトルを打つときには主に、ガットの縦糸と横糸が交差した一点に強い圧縮応力と摩擦力がかかる。このような応力に弱いポリエステルガットはフィブリル化しやすく、ガットの切断トラブルが短期間で発生する問題を抱えている。
摩耗耐久性をより向上させる手法としては、ガットの表面にフッ素樹脂等のコーティング剤を塗布して表面滑りを良くしたもの(例えば、特許文献1参照)が提案されているが、この場合の改良効果は一時的なもので持続性に乏しい。また、PETとPET共重合体を混合し、延伸倍率下350〜550℃の空気温度中で短時間熱処理することでフィブリル化を抑制したもの(例えば、特許文献2参照)が提案されているが、この場合にはモノフィラメントの表内層の結晶構造に差が発生するため、繊維軸方向に不安定で経時で緩みやすく、制球性などガットに求められる基本性能が損なわれ好ましくない。
その他、芯鞘複合構造として、鞘層にポリエーテルエーテルケトンなどの剛直性素材を配置したモノフィラメント(例えば、特許文献3参照)が提案されているが、このモノフィラメントは目標とする効果が得られているとは言えるものの、製造設備や特殊な素材を使用するため高額となり、一般プレーヤーには向いていないものであった。
特開2003−180882号公報 特許2826055号公報 特開平7−275404号公報
本発明の目的は、これまでのラケットガット用ポリエステルモノフィラメントに無い、高反発性と摩擦耐久性に優れた特性を持ち、低熱収縮特性も兼ね備えていることから被覆加工性も良く、さらには樹脂組成比率の変更により反発性を変化させることが可能で、幅広いプレイスタイルに対応することを実現したラケットガット用ポリエステルモノフィラメントを提供することにある。
上記目的を達成するために本発明によれば、ポリエチレンナフタレート成分25〜75重量%およびポリエチレンテレフタレート成分25〜75重量%からなるポリエステル樹脂組成物からなるポリエステルモノフィラメントであって、以下(A)〜(C)の要件を満足することを特徴とするラケットガット用ポリエステルモノフィラメントが提供される。
(A)JIS L1013に準拠して測定したヤング率が12000〜27000N/mm
(B)140℃における乾熱収縮率が5.0%以下、
(C)JIS L−1095に準じて測定した屈曲摩耗試験において、モノフィラメントが切断するまでの往復摩耗回数が3500回以上。
また、上記ラケットガット用ポリエステルモノフィラメントの製造方法は、ポリエチレンナフタレート成分25〜75重量%およびポリエチレンテレフタレート成分25〜75重量%からなるポリエステル樹脂組成物を溶融紡糸・延伸するに際し、0℃の比熱が0.5cal/g・℃以上の液体を熱媒体として140〜175℃の範囲の温度で5〜10倍の延伸を行い、次いで延伸後のモノフィラメントに220〜270℃の温度範囲の乾熱浴中で0.80〜0.98倍の弛緩熱処理を施すことを特徴とする。
本発明によれば、以下に説明する通り、ラケット用ガットに要求される高反発、摩耗耐久性を持ち、低熱収縮特性も兼ね備えていることから被覆加工性も良く、さらには樹脂組成比率の変更により反発性を変化させることが可能で、幅広いプレイスタイルに対応することを実現したラケットガット用ポリエステルモノフィラメントを得ることができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明のラケットガット用ポリエステルモノフィラメントは、ポリエチレンナフタレート成分25〜75重量%およびポリエチレンテレフタレート成分25〜75重量%からなるポリエステル混合樹脂組成物からなるポリエステルモノフィラメントである。
ここで、ポリエチレンナフタレートとは、エチレン−2,6−ナフタレート単位を主たる繰返し単位とするポリエステルであり、前記ポリエチレンテレフタレートとは、エチレンテレフタレート単位を主たる繰返し単位とするポリエステルである。
上記のポリエチレンナフタレートの2,6−ナフタレンジカルボン酸成分の一部を、例えば、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、スルホン酸金属塩置換イソフタル酸などで置き換えたものであってもよい。また、上記のエチレングリコール成分の一部を、例えばプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、ポリアルキレングリコールなどで置き換えたものであってもよい。さらに、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメリット酸、トリメシン酸、硼酸などの鎖分岐剤を少量併用することもできる。
一方、本発明のポリエステル樹脂組成物を構成するポリエチレンテレフタレートとは、ジカルボン酸成分の90モル%以上がテレフタル酸からなり、またグリコール成分の90モル%以上がエチレングリコールからなるものが好適である。
また、ポリエチレンテレフタレートは、上記のテレフタル酸成分の一部を例えば、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、スルホン酸金属塩置換イソフタル酸などで置き換えたものであってもよい。また、上記のエチレングリコール成分の一部を、例えばプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、ポリアルキレングリコールなどで置き換えたものであってもよい。さらに、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメリット酸、トリメシン酸、硼酸などの鎖分岐剤を少量併用することもできる。
本発明においては、ポリエチレンナフタレート成分25〜75重量%およびポリエチレンテレフタレート成分25〜75重量%の範囲とし、かつ、ポリエステル樹脂組成物を溶融紡糸するに際し、前記ポリエステル樹脂組成物を溶融紡糸機に供給し、溶融混練後に口金から吐出される未延伸糸を0℃の比熱が0.5cal/g・℃以上の液体を熱媒体とし140〜175℃の範囲の温度で5〜10倍の延伸を行い、さらに220〜270℃の温度範囲の乾熱浴中で0.80〜0.98倍の弛緩熱処理を施した製造方法を採用することを特徴とする。
ポリエチレンナフタレートが25重量%未満、すなわちポリエチレンテレフタレート75重量%を越える場合は、ヤング率の低下により反発力不足なラケットガットとなり、ボールやシャトルを打ち出すのに適さない特性となる。また、140℃の乾熱収縮率が5%を超えて、熱寸法安定性にかけるため被覆加工などに適さなくなるため好ましくない。
一方、ポリエチレンナフタレートの割合が75重量%を越え、ポリエチレンテレフタレートが25重量%未満となる場合は、モノフィラメントの反発が強すぎて、ボールコントロール性能が著しく低下するため、ラケットガット用としては適さない特性となる。
反発性についてはプレーヤーのスタイルにより扱い易い範囲が異なるが、本発明のラケットガット用モノフィラメントではポリエチレンナフタレートの成分量によりコントロールが可能である。例えば、ハードヒッターの場合はポリエチレンナフタレート成分量を60〜75重量%の範囲とすることで高反発のラケットガット用モノフィラメントとなり好ましい、逆にコントロール重視のスピン系プレーヤーではポリエチレンナフタレートの成分量を25〜40%の範囲とすると反発力を抑えたしなやかなラケットガット用モノフィラメントとなるため好ましい。以上2例の中間成分量がスタンダードプレーヤーに向いたポリエチレンナフタレートの成分量の目安となる。
本発明においては、上記樹脂組成物の混合率と特定の製造条件の採用により、高反発性と摩擦耐久に優れた特性を持ち、さらには熱による収縮率が低く被覆加工にも適した特性を持つこれまでに無いラケットガット用ポリエステルモノフィラメントを得ることができる。
以下、製造条件と品質特性との関係について説明する。
未延伸糸の延伸のための熱源としては、水を加熱した温水または水蒸気、さらに高沸点熱媒であるポリエチレングリコール、グリセリン、シリコーンなどが代表例として挙げられる。本発明のラケットガット用ポリエステルモノフィラメントは、0℃の比熱が0.5cal/g・℃以上の液体を熱媒とし、140〜175℃の範囲の温度で5〜10倍の延伸することを前提とする。以上の熱延伸の条件を満たすためには高沸点熱媒が必須となり、ポリエチレングリコールが好適に使用される。液体以外の熱源、例えば熱風循環炉や遠赤外線ヒーター炉などを用いて延伸を行った場合は、モノフィラメントに対する熱量が不足して延伸点といわれるネッキング位置が不安定となり、安定した品質を得ることができないため好ましくない。
また、0℃の比熱が0.5cal/g・℃以上の液体を熱媒とし、上記延伸倍率範囲内、すなわち5倍から10倍の範囲であっても、熱媒温度が140℃未満では、モノフィラメントの適正な延伸温度を逸脱しているため、モノフィラメントが破断するなどのトラブルが発生するなど工業的に好ましくない不具合が招かれることになる。
一方、熱媒体が175℃を越える場合は、モノフィラメントの延伸特性が極めて活性化し、延伸点の位置が不安定で熱媒以外の場所に延伸点が発現して、安定した延伸状態を維持することが困難になるため工業的に好ましくない。
延伸倍率が10倍を越える製造条件では、熱媒の温度に関係なく本発明のポリエステルモノフィラメントの延伸可能な変形領域を逸脱しており、モノフィラメントが破断するトラブルの発生、また、破断トラブルが無くても無理な延伸歪の残存により、繊維軸方向の品質が極めて不安定になるため、均一な弾性性能が求められるラケット用ガット用途には好ましくない。さらに延伸倍率が5倍未満の場合は、反発力の指標となるヤング率を十分に向上することができず、ラケットガット用モノフィラメントとしての性能が不足することになる。
延伸工程に続いて通過する熱セット工程は、220〜270℃の温度範囲の乾熱浴中で0.80〜0.98倍の弛緩熱処理を施すことが必須となる。熱処理温度が220℃未満では、弛緩処理に必要な熱量が不足により収縮率が高くなり、本発明の特徴である低収縮モノフィラメントを得ることができない。弛緩倍率が0.98倍を越えた場合も同様である。
一方、熱処理温度が270℃を越えると、ポリエステルの融点に近いため、モノフィラメントが溶断する可能性が高く、製造には適さない領域となる。
さらに、弛緩倍率を0.80倍未満とすると柔軟な傾向が強まり、低ヤング率で弾性の低いモノフィラメントなるためラケットガット用として好ましくない。
一方、弛緩熱処理工程に乾熱浴以外の熱源、例えば延伸工程で使用するポリエチレングリココールなどの熱媒を使用した場合は、熱処理温度や倍率条件をいかに変更しても、本発明の特徴の一つである、高ヤング率と低収縮率の両立が達成できない。
本発明のポリエステルモノフィラメントは、JIS L−1095に準じて測定した屈曲摩耗試験において、モノフィラメントが切断するまでの往復摩耗回数が3500回以上であることが好ましい。さらに、4000回以上であれば連続使用耐久性に優れた、非常に高性能なラケットガット用ポリエステルモノフィラメントが得られる。
一方、切断までに要する往復摩耗回数が3500回を下回る場合は、ラケットガット用として使用するとラケットの縦糸と横糸の交差する部分がボールを打つ際に、繊維軸に直交してかかる応力と同時に発生する縦糸と横糸間の摩擦に対しての耐久性が低下して切断し易くなり、頻繁に張替えなければならなくなるという問題が発生する。
また、本発明のポリエステルモノフィラメントは、JIS L1013に準じて測定したヤング率が12000〜27000N/mmであることが好ましく、反発性のバランスの良い15000N〜25000/mmがより好ましい。なお、ヤング率が上記の範囲未満では、ラケットガット用モノフィラメントとしては反発性が不足し、超えた範囲では衝撃耐久性が不足する。
本発明のポリエステルモノフィラメントは、その用途や特性を満足させるため、繊維軸方向に垂直な断面の形状を円形、楕円形、扁平、正多角形および不定形な形状を含む多角形と、いかなる形状をも取り得るものである。なお、ここでいう扁平とは楕円もしくは長方形のことを意味するが、数学的に定義される正確な楕円、長方形以外に概ね楕円、長方形またはこれに類似した形状を含み、正多角形とは数学的に定義される正多角形以外に、概ねこれに類似した形状を含むものである。
また、本発明のポリエステルモノフィラメントの直径は、その使用用途に合わせ適宜選択することができるが、ラケットガット用としては通常、丸断面であれば直径0.05〜2.0mmの範囲のものが好適に使用されている
本発明の特長は、ポリエチレンナフタレートの含有量範囲と溶融紡糸における延伸、熱セット条件を規定することにあり、これによりこれまでに無い、剛直で折り曲げ耐久性に優れ、さらに熱加工などによる寸法変化が極めて低いラケットガット用として優れた性能を具備したポリエステルモノフィラメントを得ることができる。具体的には、樹脂組成をポリエチレンナフタレート成分25〜75重量%およびポリエチレンテレフタレート成分25〜75重量%の範囲とすること、かつ、ポリエステル樹脂組成物を溶融紡糸するに際し、前記ポリエステル樹脂組成物を溶融紡糸機に供給し、溶融混練後に口金から吐出される未延伸糸を0℃の比熱が0.5cal/g・℃以上の液体を熱媒体とし140〜175℃の範囲の温度で5〜10倍の延伸を行い、さらに220〜270℃の温度範囲の乾熱浴中で0.80〜0.98倍の弛緩熱処理を施した製造方法を採用することである。
以下、本発明のラケットガット用ポリエステルモノフィラメントについて、実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に何ら限定されるものではない。
また、上記および下記に記載の本発明のポリエステルモノフィラメントにおける、ポリエステルの、ヤング率、屈曲摩耗試験、製糸性、ラケット用ガットの耐久性などの評価は以下の方法により測定、評価したものである。
(1)ヤング率(N/mm
JIS2008 L1013 8.10に準じて測定した初期引張抵抗度からヤング率を算出した。
(2)屈曲摩耗試験
JIS L−1095に準じ、固定された直径1.0mmの摩擦子(硬質銅線(SWP−A))の上に接触させたポリエステルモノフィラメントを、ポリエステルモノフィラメントが摩擦子の左右各55°の角度で屈曲するように設けられた2個のフリーローラー(2個のローラー間の距離100mm)の下に掛け、さらに別の1個のフリーローラーの上を介してポリエステルモノフィラメントの一端に0.196cN/dtexの荷重をかけてセットし、速度120往復/分かつ往復ストローク25mmでポリエステルモノフィラメントを摩擦子に往復接触させて同一試料につき各10本のポリエステルモノフィラメントについて破断するまでの回数を測定し、その平均値を屈曲摩耗回数とした。なお、屈曲摩耗回数が大きいほど耐摩耗性に優れていることを示す
(3)乾熱収縮率
ポリエステルモノフィラメントを50cmの長さにカットし、140℃に温調されている熱風循環乾燥機中にフリーの状態で30分間熱処理した後に寸法を測定し、収縮した長さを収縮率としてパーセントで表した。
(4)製糸性(操業性)
24時間の連続紡糸を行ない、延伸、弛緩処理工程での安定性について以下の基準で判定した。
○(良好)…製糸中の糸切れや弛緩不良などが全くない、
×(不良)…製糸不能状態になる、または製糸中に糸切れが発生する。
(5)ラケット用ガットの耐久性評価
本発明のラケット用ガットを実際にテニス用ラケットに50ポンドの張力で張設した。
そして、テニス用ラケットのフェースに、時速100km、打ちだし間隔15回/分、打ち出し距離50cm、かつ打ち出し角度40°の条件でテニスボールを衝突させ、ガットが切断するまでのテニスボールの打ち出し回数で耐久性を評価した。(単位:回)
[実施例1〜3、比較例1〜2]
ポリエチレンナフタレート(以下、PENという)成分として、東洋紡績社製PN−640、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETいう)成分として、東レ社製T701Tの2種類の乾燥チップを用いて、最終的なポリエステル樹脂組成物の組成比が、PEN成分:PET成分=50:50の割合となるように混合したポリエステル樹脂組成物を準備した。
次いで、上記ポリエステル樹脂組成物をエクストルダー紡糸機供給口へ供給し、紡糸機温度295℃にて混練溶融し、溶融ポリエステル樹脂組成物を紡糸ノズルから押し出した後、ただちに温度70℃の温水中で冷却固化させた未延伸糸を得た。
引き続き、上記未延伸糸を150℃のポリエチレングリコール(以下、PEGという)液浴中にて、6.5倍に延伸した後に水洗工程にてモノフィラメント表面に付着しているPEGを洗い落とし、続いて245℃の熱風循環式乾熱炉内(以下、乾熱炉という)にて0.95倍で弛緩熱処理を行ない、直径1.25mmの丸断面ラケットガット用ポリエステルモノフィラメントを得た。モノフィラメント特性とガットとして使用した際の性能評価結果を表1に示す。
得られた前記ラケットガット用ポリエステルモノフィラメントは、高ヤング率特性による高い反発特性と、繊維軸に直行する摩耗耐久性に優れることによって、テニスボールを衝突させる実用評価においても高い耐久性を兼ね備えたラケットガット用ポリエステルモノフィラメントであり、さらには工業的に安定した生産性を実現している。
実施例2〜3および比較例1〜2は、最終的なポリエステル樹脂組成物の組成比を変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステルモノフィラメントを得た。
実施例2〜3は、PEN成分の増減により、ヤング率、屈曲疲労性が変化するがラケットガット用ポリエステルモノフィラメントとしての反発性、耐久性等の特性が十分な性能を持っていることを示している。また、ポリエチレンナフタレート成分の増加によりヤング率が向上し、反発性能が向上することから、強いボールが打ちたいハードヒッターは実施例3が適している。さらに、コントロール性重視のスピン系プレーヤーは適度な反発と摩耗特性に優れる実施例2が適している。いずれもラケットガットとしての実用評価においても切断しにくい、長期使用できる良好な結果を得た。
一方、比較例1はPEN成分量が十分ではなく、ヤング率が著しく低下するため反発不足となり、ガット用ポリエステルモノフィラメントとしては適さない。
また、比較例2では、PEN成分が逆に多すぎるため、ヤング率が非常に高い剛直なモノフィラメントとなってしまい、反発力が強すぎてボールコントロールが困難なラケット用ガットとしては適さない特性を示し、さらには屈曲摩耗特性が著しく低下するため、ガットが破断しやすい傾向を持つ、耐久性が不足するモノフィラメントとなりラケットガット用としては好適でない。
[実施例4、比較例3〜4]
延伸温度を表2のように変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステルモノフィラメントの製造を行った。比較例3〜4は熱媒温度が延伸のために適性ではなく、破断トラブルなどが発生しモノフィラメントを得ることができなかった。
[実施例5、比較例5〜6]
延伸倍率を表2のように変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステルモノフィラメントの製造を行った。比較例5では延伸倍率が不足するため目標とするヤング率が得られない。また、比較例6ではモノフィラメントの変形領域を越える延伸倍率条件であり、破断トラブルが発生し、モノフィラメントを得ることができなかった。
[実施例6〜7、比較例7〜8]
弛緩熱処理温度を表2のように変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステルモノフィラメントの製造を行った。比較例7では弛緩熱処理温度の不足により収縮率が高くなり熱安定性能が不足、さらには屈曲摩耗回数が大幅に低下したモノフィラメントとなった。比較例8では弛緩熱処理中にモノフィラメントが溶融破断するトラブルが発生し、モノフィラメントを得ることが出来なかった。
[実施例8、比較例9〜10]
弛緩熱処理倍率を表2のように変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステルモノフィラメントの製造を行った。比較例9では弛緩熱処理時のモノフィラメント張力が不足したため、たるんで破断するトラブルが発生し、モノフィラメントを得ることができなかった。比較例10では弛緩倍率が高すぎるため弛緩処理の不足により収縮率が高い、熱安定性能が不足するモノフィラメントとなった。
Figure 0005799298
Figure 0005799298
表1、表2に示す結果から明らかのように、本発明のラケットガット用ポリエステルモノフィラメントは、想定される他の製造方法(比較例1〜10)により得られたラケットガット用ポリエステルモノフィラメントに比べていずれも反発性、耐久性、さらには製造安定性に優れている。
本発明のラケットガット用ポリエステルモノフィラメントは、これまでのラケットガット用ポリエステルモノフィラメントに無い、高反発性と摩擦耐久に優れた特性を持ち、低熱収縮特性も兼ね備えていることから、被覆加工性も良く、さらには樹脂組成比率の変更により反発性を変化させることが可能で、幅広いプレイスタイルに対応することを実現したものである。
したがって、従来のラケットガット用ポリエステルモノフィラメントとして利用されてきたものと比較して長期間安定した性能を維持することができ、直径を変更することなく反発力をコントロールできるという今までに無い特性を持つラケットガット用ポリエステルモノフィラメントであり、産業上の利用価値は極めて高い。

Claims (1)

  1. ポリエチレンナフタレート成分25〜75重量%およびポリエチレンテレフタレート成分25〜75重量%からなるポリエステル樹脂組成物からなるポリエステルモノフィラメントであって、前記ポリエステル樹脂組成物を溶融紡糸・延伸するに際し、0℃の比熱が0.5cal/g・℃以上の液体を熱媒体として140〜175℃の範囲の温度で5〜10倍の延伸を行い、次いで延伸後のモノフィラメントに220〜270℃の温度範囲の乾熱浴中で0.80〜0.98倍の弛緩熱処理を施して得られ、以下(A)〜(C)の要件を満足することを特徴とするラケットガット用ポリエステルモノフィラメント。
    (A)JIS L1013に準拠して測定したヤング率が12000〜27000N/mm
    (B)140℃における乾熱収縮率が5.0%以下、
    (C)JIS L−1095に準じて測定した屈曲摩耗試験において、モノフィラメントが切断するまでの往復摩耗回数が3500回以上
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