(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1に係る無線通信機の構成の一例を示すブロック図である。図1において示すように、無線通信機は、第1のアンテナ1、第2のアンテナ2、可変移相部(可変移相手段)3、合成部(合成手段)4、移相制御部(移相制御手段)5、および送受信部6を備えてなる構成である。また、図1において符号7は第1の高周波信号、符号8は第2の高周波信号、ならびに符号9は第3の高周波信号とする。
第1のアンテナ1で受信した高周波信号は可変移相部3に入力され、この可変移相部3から第1の高周波信号7として合成部4に入力される。また、第2のアンテナ2で受信した高周波信号は、第2の高周波信号8として、合成部4に入力される。そして、合成部4で第1の高周波信号7および第2の高周波信号8が加算合成されて、第3の高周波信号9として送受信部6に入力される。
送受信部6は、図2に示すように受信アンプ、ミキサ、復調回路などからなる受信回路と、局部発振器、変調回路、送信アンプなどからなる送信回路を含んでいる。図2は、実施の形態1に係る無線通信機の構成の一例を示すブロック図である。図2では、図1に示した無線通信機において、送受信部6の構成をより具体的に示す。
実施の形態1に係る無線通信機において通信に用いる無線周波数は950MHzである。高周波信号の変調方式は、FSKであり、データの伝送レートは100kbpsである。
第1および第2のアンテナは、ダイポールアンテナであり、アンテナ間距離は1/2波長となる15.8cmである。
また、第1および第2のアンテナ1,2は図3に示すように地面に対して垂直方向に立設されている。図3は、図1に示す無線通信機が備える第1および第2のアンテナの配置例を示す説明図である。つまり、実施の形態1に係る第1および第2のアンテナ1,2は、鉛直方向に立設された、連続的に位相を可変とする2素子ダイポールアレーアンテナ(連続位相可変2素子ダイポールアレー)として実現できる。また、可変移相部3は、例えば、移相器(ESL−1300)、合成部4は、結合器(ZX10−2−252+)として実現できる。
次に、図4から図7を参照して可変移相部3の構成について説明する。図4から図7は可変移相部3の具体回路例を示す。
図4では、コイル(L)と可変コンデンサ(C)を直列に接続した可変移相部3の構成を示している。図4は、図1に示す無線通信機が備える可変移相部3の構成例を示す図である。また、可変移相部3は、可変コンデンサの容量が中央値付近の時に、コイルと可変コンデンサの直列共振周波数が無線周波数付近となる様に選択されている。そして、コンデンサの容量を大きくすると回路のインピーダンスは誘導性となり、容量を小さくすると容量性となる。また、図5では、アンテナ側から可変移相部3を見たインピーダンスの変化をスミスチャート上にプロットしている。図5は、本実施の形態1に係る無線通信機に係るアンテナ側から可変移相部3を見たインピーダンスの変化例を示す図である。図5に示すスミスチャートから、可変コンデンサの容量を可変することにより移相の可変ができていることがわかる。本構成の可変移相部3は、上述したようにコイルと可変コンデンサだけで構成できるシンプルなものであり、合成部4も単純に第1のアンテナ側と第2のアンテナ側とを接続するだけの構成としている。なお、図4および図5におけるS11はSパラメータを示す。
可変移相部3は、より具体的には、例えば図6に示すように、4つの1/4波長伝送線路を用いた90°ハイブリッドの2つの端子に片端接地の可変コンデンサを接続した構成とすることができる。図6は、本実施の形態1に係る可変移相部3の回路構成例を示す図である。
90°ハイブリッドを用いることにより、移相量を変えたときのインピーダンスの変化を小さくすることができる。
90°ハイブリッド1段で最大180°の移相可変量を得ることができるが、図6では3段とし、1段当たり120°の可変量として、合計で最大360°の移相可変量を得ている。
また、図7では、図6の可変移相部3を構成する伝送線路を集中定数回路で置き換えた構成を示す。図7は、本実施の形態1に係る可変移相部3の回路構成例を示す図である。このように伝送線路を集中定数回路にとすることで、回路の小型化が可能となる。移相量の可変は可変容量ダイオードへの印加電圧を変えることにより行っている。
また、可変移相部は図8に示すように、高周波スイッチを備え、移相量を段階的に可変とする構成とすることもできる。図8は、移相量を段階的に可変する可変移相部3の構成例を示す図である。図8では図7とは異なり第1および第2のアンテナ1,2および合成部4も記載している。図8では合成部4をウィルキンソン結合器としている。ウィルキンソン結合器は2つの入力端子間のアイソレーションをとることができるので、第1と第2のアンテナ1,2間の相互結合を低減することができる。
図8に示す可変移相部3では、コイルとコンデンサによる集中定数型伝送線を高周波スイッチで切り替えることにより、45°刻みで8段階の可変移相量(0°、45°、90°、135°、180°、225°、270°、および315°)を実現している。なお、スイッチの切り替えは、移相制御部(移相制御手段)5からの制御指示に応じて行なわれる。
このように、可変移相部3は、移相可変をデジタル的(離散的)に行えることが特徴である。
尚、第1および第2のアンテナ1,2は、ダイポールアンテナの他に、モノポールアンテナ、逆Fアンテナ、ループアンテナなど、任意のアンテナに適用できる。ただし、ダイバシチアンテナとしての特性を確保するために、アンテナ間の相互結合を小さくすることに配慮が必要である。
また、第1のアンテナ1と第2のアンテナとの間におけるアンテナ間距離は1/2波長相当としたが、任意の距離を選んでよい。
また、第1および第2のアンテナ1,2は偏波面が互いに平行になる向きに配置したものを例示したが、直交する向きに配置してもよい。例えば、図9に示すように第1アンテナ1aと第2アンテナ1bとを同一面上で直交する向きに配置することにより、偏波ダイバシチの効果が得られ、受信レベル落込みの回避効果を更に増すことができる。図9に第1および第2のアンテナ1,2を互いに直交する向きとした配置の例を示す。図9は、図1に示す無線通信機が備える第1および第2のアンテナの配置例を示す説明図である。すなわち、図9に示すように、第1のアンテナ1の延伸方向と第2のアンテナ2の延伸方向とが互いに直交する向きに、これら第1のアンテナ1および第2のアンテナ2を配置させる。このように第1のアンテナ1と第2のアンテナ2とにおいて互いの延伸方向が直交する向きに配置することで直交した2つの偏波面を持つことができる。このように直交した2つの偏波面を持つことにより、受信側または送信側のアンテナの偏波面方向が異なっていても、可変移相部3の移相を可変することにより良好に受信できるようになる。
また、実施の形態1に係る無線通信機において通信に用いる無線周波数は950MHzであったがこれに限定されるものではなく、通信に用いる無線周波数は、任意の周波数が適用できる。
また、実施の形態1に係る無線通信機では、高周波信号の変調方式は、FSKであったがこれに限定されるものではなく、変調方式は任意の変調方式を適用することができるが、変調波の振幅に情報を持たない周波数変調に特に良好に適用できる。
また、可変移相部3の可変移相量を360°としたが、任意の可変移相量で構成することができ、例えば180°や90°でも効果を得ることができる。
また、アンテナの個数は2個としたが、一般のダイバシチアンテナと同様、3個ないしそれ以上の個数のアンテナを用いて構成できる。
また、本実施の形態1では、送信動作側の無線通信機において可変移相部3により移相量を変化させず、受信動作側の無線通信機において2つのアンテナを用いて可変移相部3により移相量を周期的またはランダムに可変とさせる構成である。しかしながらこの構成に限定されるものではなく、受信動作側の無線通信機において可変移相部3により移相量を変化させず、送信動作側の無線通信機において2つのアンテナを用いて可変移相部3により移相量を可変とさせても同様の効果を得ることができる。
また、送信動作側、受信動作側の両方の無線通信機において、可変移相部3によって移相量を同時に変化させながら通信を行っても同等以上の効果が得られる。
(パケットの受信処理1)
次に、図10を参照にして実施の形態1に係る無線通信機によるパケットの受信処理1に関する動作フローを説明する。図10は実施の形態1に係る無線通信機によるパケットの受信処理の一例を示すフローチャートである。
まず、パケットの受信処理1を説明する前に、この受信処理を主として実施する送受信部6の構成について図13を参照して説明する。図13は、実施の形態1に係る無線通信機の概略構成の一例を示すブロック図である。図13に示すように、送受信部6は、合成部4から入力された第3の高周波信号8に含まれるパケットを復調する復調部(復調手段)11と、復調部11により復調されたパケットのデータにおいて、誤りの有無を検出する誤り検出部(誤り検出手段)12とを備える。
このように、送受信部6が復調部11および誤り検出部12を備え、以下のようにパケットの受信処理1を実施する。
まず、移相制御部5が、可変移相部3の移相量を初期値に設定する(ステップS11、これ以降S11と称する)。第1および第2のアンテナ1,2でパケットを受信する。そして、受信したパケットを送受信部6が復調し、この復調後のデータを確認する(S12)。すなわち、パケットを乗せた特定周波数範囲の電波を第1および第2のアンテナ1,2で受信する。受信した電波を第1のアンテナ1は、第1の高周波信号7として、可変移相部3を介して合成部4に送る。一方、第2のアンテナ2は、受信した電波を第2の高周波信号8として、合成部4に送る。
合成部4では、これら第1の高周波信号7および第2の高周波信号8を合成し、第3の高周波信号9として送受信部6に送信する。送受信部6では、復調部11がこの第3の高周波信号9に含まれるパケットのデータを復調し、誤り検出部12が復調後のデータに基づきデータの誤りの有無を確認する。なお、送受信部6におけるデータの誤り検出は、CRC(巡回冗長検査)を利用する。しかしながら誤り検出方式はこれに限定されるものではなく、例えば、パリティチェック、またはハミングコードチェックなどを利用してもよい。
ここで、誤り検出部12は、受信したパケットにおいてデータの誤りがあると判定した場合(S13において「NO」)、移相制御部5にその旨、通知する。移相制御部5は、送受信部6からの通知に応じて、移相量を変化させるように可変移相部3を制御する。そして、可変移相部3の移相量を変化させる(S15)。このように、可変移相部3の移相量を変化させると、再度、ステップS12、S13の処理を実施する。
また、ステップS13において、送受信部6は、データの誤りがないと判定した場合(S13において「YES」)、エラーなく受信が完了した旨の通知を含む応答パケットを生成し、送信元にこの応答パケットを送信する(S14)。
以上のようにして、本実施の形態に係る無線通信機は、パケットの受信処理を行なうことができる。
このように、実施の形態1に係る無線通信機では、受信したパケットごとに送受信部6が備える誤り検出部14によりパケットのデータに誤りが生じているか否か確認する構成である。そして、誤りが生じていると判断したとき、移相制御部5が可変移相部3を制御して移相量を変化させる。
このため、フェージングなどに起因して、無線通信機が設置されている地点で受信レベルの大きな落ち込みが生じている場合であっても、可変移送部3により第1のアンテナで受信する高周波信号の移相を変化させることで、電界レベルの打ち消しなどを防ぎ、受信レベルの落ち込みを回避させることができる。また、誤り検出部12にて受信したパケットのデータに誤りが生じていない状態になるまで移相量を可変とする、換言すれば、誤りを含まないデータが受信できるまで、この移相量を変化させることができる。
(実施の形態2)
実施の形態1に係る無線通信機では、受信したパケットのデータに誤りがあるか否かに応じて、移相制御部5の制御指示の下、可変移相部3により移相量を変化させる構成であった。しかしながら、無線通信機は、この移相量を一定の周期にて変化させる構成とすることもできる。そこで、以下において、移相量を変化させる繰り返し周期を周期T1としたとき、T1が、1ビットのデータを伝送するのにかかる時間長T2よりも小さくなるように設定されている場合について実施の形態2として説明する。
図11は、本実施の形態2による無線通信機の送信パケットと可変移相部3の移相量および受信レベルの変化の様子を示す説明図である。つまり、移相制御部5から出力される制御信号によって可変移相部3により設定される移相量が変化する。そして、この移送量の変化のタイミングに応じて、受信レベルの変化周期が決まり、受信レベルの変化周期に応じて受信したパケットのデータにおいて誤りが発生する発生の仕方が異なる。そこで、実施形態2では、T1<T2の関係を充たすように設定されている。
なお、実施の形態2に係る無線通信機の構成は、送受信部6が誤り検出部12を備える必要がない点を除いては、図1または図13に示す実施の形態1に係る無線通信機の構成と同様である。そのため、実施の形態2に係る無線通信機が備える各構成要素については、その説明は省略する。
上述したように移相制御部5から出力される制御信号によって可変移相部3により設定される移相量が変化する。本実施の形態ではこの移送量を周期的に変化させている(図11参照)。そこで、この移相量変化の繰り返し周期を周期T1とし、1ビットのデータを伝送するのにかかる時間長(1ビット時間)をT2とする。本実施形態2では、伝送レートは100kbpsであり、よって、T2=10μ秒である。
またここで、上述したようにT1がT1<T2となる様に設定されており、図11に示す例では、T1=T2/3.5となっている。また、本実施の形態に係る無線通信機が設置された環境は、受信レベルと無線通信機の存在確率との関係が図32に示すレイリー分布に従うものとする(後述する実施の形態3,4も同様)。
図11を参照すると、T1周期よりも短い時間間隔で、第3の高周波信号9の電力レベル(受信レベル)は上下に変動している。この変動周期はT1より短い(数分の1から数十分の1)から受信データの1ビット時間長のT2より大幅に短い時間間隔の変動となる。ここで、図32に示すように、受信レベルが平均値レベル(または中央値レベル)から10dB以上低下する時間比率は全体の10%程度であり、90%以上は平均値レベル±10dBの範囲にある。そのため、受信レベルは平均化され、受信レベルの大きな落込みは生じず、安定した受信レベルを維持することが可能となる。
以上の様に、本構成では、可変移相部3をT1<T2となる短い周期で可変とする期間を周期的またはランダムに実施するだけで、受信レベルの局所的な落込みを回避した受信ができるところに特徴がある。すなわち、可変移相部3が、T1<T2となる短い期間T1で移相量を周期的に変化させ、あるいは、T2より短いランダムな期間T1で移相量を変化させることにより、受信レベルの局所的な落ち込みを回避し、送信パケットを構成する1ビット毎の確実な受信を実現している。
(パケットの受信処理2)
次に図12を参照にして実施形態2に係る無線通信機によるパケットの受信処理2に関する動作フローを説明する。図12は実施形態2に係る無線通信機によるパケットの受信処理の一例を示すフローチャートである。
まず、第1および第2のアンテナ1,2でパケットを受信する。そして、受信したパケットを送受信部6が復調する(S21)。すなわち、パケットを乗せた特定周波数範囲の電波を第1および第2のアンテナ1,2で受信する。受信した電波を第1のアンテナ1は、第1の高周波信号7として、可変移相部3を介して合成部4に送る。一方、第2のアンテナ2は、受信した電波を第2の高周波信号8として、合成部4に送る。合成部4では、これら第1の高周波信号7および第2の高周波信号8を合成し、第3の高周波信号9として送受信部6に送信する。送受信部6では、復調部11がこの第3の高周波信号を復調する。
なお、ステップS21においてパケットを受信している間、可変移相部3の移相量を連続的に所定の条件を充たす周期で変化するように移相制御部5が制御する。また、このときの可変移相部3の移相量の変化は、上述したように、受信した送信パケットの1ビット分の時間よりも短く、変動周期はT1<T2(=10μ秒)の関係を充たすように設定される。
このように、受信したパケット(送信パケット)を復調すると、送受信部6は、受信が完了した旨の通知を含む応答パケットを生成し、送信元にこの応答パケットを送信する(S22)。
以上のように移相量を、受信したパケットの1ビットのデータよりも短い周期で素早く変化させることにより、1ビットのデータを受信している間では、受信レベルの変動を平均化すると大きな落ち込みは生じず、安定した受信レベルを維持することができる。この結果、受信した送信パケットの各ビット単位のデータで受信レベルの低下に起因するビット誤りが発生することがない。
このため、実施の形態2に係る無線通信機では受信したパケットのデータに誤りが生じているか否かを調べるために誤り検出部12を備える必要がない。
なお、このような高速で移相量を変化させる構成は、受信したパケットの変調信号において、振幅方向に情報を含まない周波数変調などでは有効に利用できるが、振幅方向に情報を含む変調方式(位相変調など)では利用できない。
(実施の形態3)
次に、移相量を一定の周期にて変化させる構成において、移相量を変化させる繰り返し周期である周期T1を送信パケットの時間長であるT3よりも大きくなるように設定されている場合について実施の形態3として図14を参照して説明する。
ここで、実施の形態3に係る無線通信機は、図13に示した実施の形態1に係る無線通信機と同様の構成であるため、各部材についての説明は省略する。なお、実施の形態3では、送信元から無線通信機に対して同じ内容のデータを含む送信パケットが順次、送信されるように構成されている点で実施の形態1に係る無線通信機とは異なる。
実施の形態3では、実施の形態1と同様に受信データの誤りを検出する誤り検出部12を設けたため、受信データが正しく受信できたか否を確認することができる。
図14は、本実施の形態3による無線通信機が受信する送信パケットと可変移相部3による移相量の変化および受信レベルの変化の様子を示す説明図である。
上述したように移相制御部5から出力される制御信号によって可変移相部3の移相量が変化する。実施の形態3に係る無線通信機ではこの移相量変化の繰り返し周期をT1とし、送信パケットの時間長をT3とする。なお、本実施の形態3に係る無線通信機では、送信パケット長は128バイトであり、時間長T3=10.2m秒である。
ここで、実施の形態3に係る無線通信機ではT1がT3<T1となる様に設定されている。そのため、図14に示す例では、T1=4×T3となる。
また図14を参照すると、初送の送信パケットのデータ部分の中央付近を受信するタイミングで大きな受信レベルの落込みが発生し、受信したデータに誤りが発生している。この誤り発生は例えば、誤り検出部12が送信パケットの最後に設けられたCRC誤りチェックデータを受信することにより検出することができる。
実施形態3に係る無線通信機では、誤り検出部12により初送の送信パケットで受信データに誤りが検出されたときは、この送信パケットを破棄する。そして、送信側から再送される送信パケットを受信する。このとき、再送された送信パケットのデータに誤りが検出されなかったときには、このデータを正しいデータとして採用する。
次に、無線通信機においてT1をT3<T1の時間関係を満たすように設定することで得られる効果について説明する。
実施の形態3に係る無線通信機では、T1がT3より大きく設定されているため、可変移相部3により移相量を変化させたときの受信レベルの変動は比較的に緩やかなものとなる。そのため、複数の送信パケットを連続して受信する構成において、送信パケットを同じ移相量のタイミングで受信することがない。このため、同じ受信レベルの落込み状態で異なる送信パケットを受信する可能性が小さくなる。換言すれば、1パケットの受信期間内でみると受信レベルの変動は緩やかであり、且つ、受信レベルの大きな落ち込みは期間T1内で10%以下(図32参照)である。従って、1つのパケットの受信中に受信レベルの落ち込みが発生し、その受信パケット中に誤りビットが検出されたとしても、次のパケットの受信中に受信レベルの落ち込みが発生する可能性は小さくなる。例えば、図14に示すように、初送の送信パケットの受信時に大きな落込みが発生していても、再送の送信パケットでは同じ大きな落込みが発生する可能性は低い。
尚、初送、再送の送信パケットの両者のデータに誤りが検出された場合、更に再送された送信パケットを受信していくことによって、誤り無しの受信データを得る可能性が高くなっていく。
(パケットの受信処理3)
次に図15を参照にして実施の形態3に係る無線通信機によるパケットの受信処理3に関する動作フローを説明する。図15は実施形態3に係る無線通信機によるパケットの受信処理の一例を示すフローチャートである。
まず、移相制御部5が、可変移相部3の移相量を初期値に設定する(S31)。そして、第1および第2のアンテナ1,2でパケットを受信する。受信したパケットを送受信部6が復調する(S32)。すなわち、パケットを乗せた特定周波数範囲の電波を第1および第2のアンテナ1,2で受信する。受信した電波を第1のアンテナ1は、第1の高周波信号7として、可変移相部3を介して合成部4に送る。一方、第2のアンテナ2は、受信した電波を第2の高周波信号8として、合成部4に送る。合成部4では、これら第1の高周波信号7および第2の高周波信号8を合成し、第3の高周波信号9として送受信部6に送信する。送受信部6では、復調部11がこの第3の高周波信号9を復調し、誤り検出部12が復調後のデータに基づきデータの誤りの有無を確認する。送受信部6が備える誤り検出部12によるデータの誤り検出は、上記したようにCRC(巡回冗長検査)を利用する。しかしながら誤り検出方式はこれに限定されるものではなく、例えば、パリティチェック、またはハミングコードチェックなどを利用してもよい。
なお、無線通信機では、ステップS32においてパケットを受信している間、移相量の変化を連続的に所定の条件を充たす周期で繰り返すように移相制御部5が可変移相部3を制御する。また、このときの可変移相部3の移相量の変化を繰り返す周期は、上述したように、受信した送信パケットのパケット長よりも長く、変動周期はT3<T1(=10.2m秒)の関係を満たすように設定される。
ここで、送受信部6において、誤り検出部12が受信したパケットにおいてデータの誤りがあると判定した場合(S33において「NO」)、ステップS32に戻って、次に送信された初送の送信パケットと同じ内容の送信パケットを受信し、復調する。
ステップ33において受信した送信パケットにおいてデータの誤りがないと判定した場合(S33において「YES」)、送受信部6は、データに誤りが無い送信パケットを受信した旨の通知(エラー無し通知)を含む応答パケットを生成し、送信元にこの応答パケットを送信する(S34)。
以上のように移相量の変化を繰り返す周期を、送信パケットのパケット長よりも長くなるようにした場合、各送信パケットの受信期間中には、移相量に大きな変化が生じない。このため、ある移相量で受信した送信パケットでは、受信している間、継続して受信レベルが低下し誤りが発生する場合もあるが、次に別の送信パケットを受信するタイミングでは、移相量が変化し、良好な受信レベルの状態で送信パケットの受信を行なうことができる。この場合、良好な受信レベルでデータに誤りが含まれていない送信パケットを採用し、誤りが発生しているデータのパケットを破棄することで無線通信機は適正に送信パケットの受信を行なうことができる。
(実施の形態4)
次に、移相量を一定の周期にて変化させる構成において、移相量を変化させる繰り返し周期である周期T1を送信パケットの時間長であるT3よりも小さく、かつ受信したデータの1ビットの時間T2よりも大きくなるように設定されている場合について実施の形態5として図16〜18を参照して説明する。
図16は、本実施の形態4による無線通信機の構成の一例を示すブロック図である。図17は、実施の形態4に係る無線通信機において記録された誤り検出の判定結果を示すテーブル情報の一例を示す図である。また、図18は、本実施の形態4による無線通信機で受信する送信パケットと無線通信機が備える可変移相部3による移相量の変化および受信レベルの変化の様子を示す説明図である。
図16に示すように実施の形態4に係る無線通信機は、実施の形態1に係る無線通信機の構成(図13参照)においてさらに受信データ再構成(再構成手段)部13を備えた点で異なる。それ以外の構成要素については同じ符号をつけ、その説明は省略する。
本実施の形態4では、送受信部6が復調部11および受信データの誤りを検出する誤り検出部12に加えて受信データ再構成部13をさらに設けており、複数の送信パケットの受信データの部分データをつなぎ合わせて受信データを再構成することができる点で上述した実施の形態1から3とは異なる。以下において、実施の形態4に係る無線通信機について具体的に説明する。
上述したように、実施の形態4に係る無線通信機においても移相制御部5から出力される制御信号によって可変移相部3により第1の高周波信号の位相を変化させ、それにより移相量が変化するように構成されている。また、実施の形態4においてもこの移相量変化の繰り返し周期を周期T1、受信したデータの1ビットの時間長をT2、受信した送信パケットの時間長をT3とする。本実施の形態4では、T2=10μ秒、時間長T3=10.2m秒である。
ここで、実施の形態4に係る無線通信機ではT1がT2<T1<T3となる様に設定されている。図18に示す例では、T1=0.5×T3となっている。
送信側から送信パケットのデータ部分はBCH(32.16)誤り検出符号化が施されており、16ビットの部分データ毎に誤り検出を行うことができる。すなわち、送信パケットは、データ数(情報ビット数)が16で冗長ビットが16ビットになる。不図示のシフトレジスタ、mod2、および加算器を用いて生成多項式で割り切れるように冗長ビットが付加されている。
図18を参照すると、初送の送信パケットの受信時に複数個所で大きな受信レベル落込みが発生し、誤りが発生している。送信パケットの受信時に誤り検出部12は、16ビット毎に誤りの有無を検出し、誤り無しの部分データと誤った部分データを記録する。
次に、再送の送信パケットを受信する。このときも16ビット毎の部分データの誤り有無を記録する。このように、T1がT2<T1<T3となる様に設定されている構成では、受信したパケットそれぞれにおいてデータの一部に誤りが含む可能性が高い。
そこで、受信データ再構成部13が上記複数の送信パケットの各部分データの内、誤り検出部12で誤り無しと判定された部分データを選択し、順番につなぎ合わせて誤り無しの受信データ列を再構成する。より具体的には、復調部11により復調されたデータは不図示のメモリに記録される。データはメモリにおいて、各パケット番号とデータ番号とが対応付けられて記録されている。より具体的には、送信パケットごとにパケット番号が付されている(受信した順番にパケット1から6の番号が付されている)。また、各パケットのデータを16ビットごとに区切った各部分データにデータ番号が付されている(データの先頭から順に、16ビットごとにデータ番号が1から12まで付されている)。そして、各パケット番号とデータ番号とが対応付けられてメモリに記録されている。
さらにまた、誤り検出部12がメモリに記録されている各パケットのデータに対してそのデータ番号(データ16ビットごと)にBCH誤り検出を実施し、誤りの有無(図17の例では、○が誤りなし、×が誤りあり)を判定する。そして、その判定結果を図17に示すテーブル情報としてメモリに記録する。すなわち、図17では、送信パケットのパケット番号とその送信パケットのデータのデータ番号と、該データ番号に対応するデータに誤りがあるか否かを示す誤り情報との対応関係を示す。なお、図17では誤りなしの部分データ、および誤りありの部分データについてともにテーブル情報としてメモリに記録しているが、誤りなしの部分データについてのみメモリに記録する構成であってもよい。
受信データ再構成部13が、この誤り検出の判定結果(図17に示すテーブル情報)に基づき、複数のパケットで誤りの無いデータを組合せて再合成する。
次に、無線通信機においてT1をT2<T1<T3の時間関係を満たすように設定することで得られる効果について説明する。
T1の周期よりも短い時間間隔で、第3の高周波信号9の電力レベル(受信レベル)は上下に変動し、図18に示す受信レベル変動を生じる。この変動周期はT1より短く(数分の1から数十分の1)およそT2と同じオーダーの時間長の間、受信レベル落込みが継続する。そのため数ビット程度の誤りが発生する確率が高くなる。数ビットであればBCH誤り検出符号等により確実に誤りを検出できる。すなわち、無線通信機において、T2<T1<T3の関係を充たすように設定することで、受信した各パケットにおいて誤りを有するデータ(部分データ)を誤り検出符号等により確実に検出して、特定することができる。そのため、送信パケットに誤り検出符号を埋め込んでおくだけで、各パケットにおいて誤っていない部分データを特定し、特定したこれら部分データをつなぎ合せて正しいデータを復元することができる。
なお、各送信パケットにおいて受信レベルの大きな落込みが発生する時間は全体の時間T1に対して短い(例えば10%程度)ため、繰り返し送信された複数の送信パケットを受信したときに、複数の送信パケットにおいてデータの同じ部分データ位置に誤りが生じる確率は低い。
T1がT3より大きくなるように設定されると、長時間にわたってデータの誤りが継続することが想定されるため、この条件で設定されている場合、BCH誤り検出符号で正確に判断できない可能性があり、本実施の形態4に係る無線通信機の構成では、データの誤りを検出して訂正する操作を誤る可能性が出てくる。したがって、上述した実施の形態4のように構成される場合は、T2<T1<T3の関係を充たすように設定することが好ましい。
T1がT2より小さくなるように設定されている場合も、本実施の形態4に係る構成をとることは可能であるが、上記したように実施の形態2に係る構成を用いることもできる。ただし、実施の形態4に係る無線通信機の構成では、T1<T2より長い周期すなわちT2<T1であっても正しいデータを復元できる効果を得ることができる点で優位性がある。また、振幅方向に情報を含む変調方式(位相変調など)に適用できる点でも優位性がある。
(パケットの受信処理4)
次に図19を参照にして実施形態4に係る無線通信機によるパケットの受信処理に関する動作フローを説明する。図19は実施形態4に係る無線通信機によるパケットの受信処理の一例を示すフローチャートである。
まず、移相制御部5が、可変移相部3の移相量を初期値に設定する(S41)。そして、第1および第2のアンテナ1,2でパケットを受信する。受信したパケットを送受信部6の復調部11が復調する(S42)。すなわち、パケットを乗せた特定周波数範囲の電波を第1および第2のアンテナ1,2で受信する。受信した電波を第1のアンテナ1は、第1の高周波信号7として、可変移相部3を介して合成部4に送る。一方、第2のアンテナ2は、受信した電波を第2の高周波信号8として、合成部4に送る。合成部4では、これら第1の高周波信号7および第2の高周波信号8を合成し、第3の高周波信号9として送受信部6に送信する。送受信部6では、復調部11がこの第3の高周波信号を復調し、復調データを確認する。次に、誤り検出部12が復調後のデータに基づきデータの誤り箇所を検出する(S43)。
そして、誤り検出部12がデータの誤り箇所を検出すると、受信データ再構成部13が複数の送信パケットの各部分データのうち、誤り検出部12で誤り無しと判定された部分データを選択し、順番につなぎ合わせて誤り無しの受信データ列を再構成する(S44)。
送受信部6が備える誤り検出部12によるデータの誤り検出は、上記したようにBCH誤り検出符号を利用する。しかしながら誤り検出方式はこれに限定されるものではなく、例えば、パリティチェック、またはCRC(巡回冗長検査)を利用してもよい。
ステップS42からS44の処理は、再構成後のデータに誤りが無くなるまで繰り返される。即ち、同一内容のパケットの受信処理において、全てのデータ番号のデータについて少なくとも1回は誤り無しと判定されるまで繰り返される。
なお、無線通信機では、ステップS42からS44によりパケットを受信し、復調部11によるデータの復調、受信データ再構成部13によるデータの再構成が実施されている間、可変移相部3の移相量を連続的に所定の条件を充たす周期で変化するように移相制御部5が制御する。また、このときの可変移相部3の移相量の変化は、上述したように、受信した送信パケットのパケット長よりも短く、通信データの伝送レートの周期よりも長い、T2<T1<T3の関係を満たすように設定される。
ここで、再構成後におけるデータに誤りがないと判定した場合(S45において「YES」)、送受信部6は、データに誤りが無い旨の通知(データエラー無し通知)を含む応答パケットを生成し、送信元にこの応答パケットを送信する(S46)。
以上のように移相量を、送信パケットのパケット長よりも短く、かつ通信データの伝送レートの周期よりも長い周期で変化させることにより、送信パケットのデータにおいて発生する誤りは例えばBCH誤り検出符号により検出できる程度とすることができる。
(実施の形態5)
上述した実施の形態1、3、4については、誤り検出部12を備え、受信した送信パケットのデータに誤りが生じているか否か判定する構成であった。実施の形態5では、誤り検出部12に代えて受信信号(第3の高周波信号)の電力強度を受信レベルとして検出する受信レベル検出部(受信レベル検出手段)14を備え、この受信レベル検出部14の検出結果に基づき、データが誤っているか否か判断する無線通信機の構成について説明する。図20に示すように、実施の形態5に係る無線通信機は、特に実施の形態3に係る無線通信機と比較して、誤り検出部12を備えていない点で異なる。また、復調部11の前段(復調部11よりも合成部4側)に受信レベル検出部14を新たに備える点でも実施の形態3に係る無線通信機とは異なる。
図20は、本実施の形態5に係る無線通信機の構成の一例を示すブロック図である。図20において、符号14は受信レベル検出部である。また、図13に示す無線通信機が備える構成要素と同じ構成要素には同じ番号をつけた。
本実施の形態5に係る無線通信機では受信信号(第3の高周波信号)の電力レベルを検出する受信レベル検出部14を設けたため、受信時の受信レベルを検出することができる。
また、T1がT3<T1の関係を充たすように設定されている。受信レベル検出部14は、例えば、RSSI回路で構成することができる。
例えば、図14に示すような受信レベルの変化が生じた場合、実施の形態5に係る無線通信機は、初送の送信パケット受信時に大きな受信レベルの落込みが発生したことを受信レベル検出部14により検出することができる。このように受信レベルの大きな落込みが発生すると受信したデータに誤りが発生する可能性が高い。なお、受信レベルに大きな落込みが発生しているか否かは、受信感度、すなわち通信に必要な受信品質を確保するために必要な最低電波強度を基準に判断することができる。
そこで、実施の形態5に係る無線通信機は、初送の送信パケットを破棄して再送の送信パケットを受信する。
図14に示すように、再送の送信パケットの受信時には受信レベルの大きな落込みは発生していない。受信レベルの大きな落込みが無かったことを受信レベル検出部14で検出した場合には、このときの受信データを採用する。
(パケットの受信処理5)
次に図21を参照にして実施形態5に係る無線通信機によるパケット(送信パケット)の受信処理に関する動作フローを説明する。図21は実施形態5に係る無線通信機によるパケット(送信パケット)の受信処理の一例を示すフローチャートである。
まず、移相制御部5が、可変移相部3の移相量を初期値に設定する(S51)。そして、第1および第2のアンテナ1,2で送信パケットを受信する。受信した送信パケットを送受信部6が復調する。なお、送信パケットを受信し復調する際、受信レベル検出部14は、受信レベルを検出している(S52)。
すなわち、送信パケットを乗せた特定周波数範囲の電波を第1および第2のアンテナ1,2で受信する。受信した電波を第1のアンテナ1は、第1の高周波信号7として、可変移相部3を介して合成部4に送る。一方、第2のアンテナ2は、受信した電波を第2の高周波信号8として、合成部4に送る。
合成部4では、これら第1の高周波信号7および第2の高周波信号8を合成し、第3の高周波信号9として送受信部6に送信する。送受信部6では、受信レベル検出部14が第3の高周波信号の電力レベルから受信レベルを検出して、受信感度を基準にして受信レベルの大きな落ち込みの有無を判定しつつ、復調部11がこの第3の高周波信号9を復調する。
なお、実施の形態5に係る無線通信機では、ステップS52において送信パケットを受信している間、可変移相部3の移相量を連続的に所定の条件を充たす範囲で変化するように移相制御部5が制御する。また、このときの可変移相部3の移相量の変化は、上述したように、受信した送信パケットのパケット長よりも長く、変動周期はT3<T1(T3=10.2m秒)の関係を満たすように設定される。
ここで、送受信部6において、受信レベル検出部14が受信レベルの大きな落ち込みが発生したと判定した場合(ステップS53)、ステップS52の処理を繰り返す。つまり、受信レベルに大きな落ち込みが発生している場合、受信した送信パケットのデータに誤りが生じている可能性が高いため、次に送信されてきた送信パケットを受信して、そのデータを復調する。
ステップ53において、受信レベル検出部14が、受信レベルに大きな落ち込みが発生していないと判定した場合(S53において「YES」)、送受信部6は送信元に応答パケットを送信する(S54)。
以上のように、送信パケットを受信しながら、受信レベル検出部14により受信レベルの大きな落ち込みの有無を検出することで、現在、受信している送信パケットのデータに誤りが生じているか否かを間接的に容易に判定することができる。したがって、T1がT3<T1の関係を充たすように設定されている場合、実施形態5に係る無線通信機は、受信レベル検出部14により受信レベルに大きな落ち込みが発生していない、すなわち送信パケットのデータに誤りが生じていないと判定したパケットを受信するまでパケットの受信を繰り返すことができる。したがって、実施の形態5に係る無線通信機は、データに誤りが生じていないデータを取得することができる。
なお、実施の形態5に係る無線通信機では、受信レベル検出部14により受信レベルに大きな落ち込みが発生していないと判定されたパケットを受信するまでその受信を繰り替える構成であったが、これに限定されない。例えば、複数の同一内容のパケットを受信し、受信した各パケットと受信レベル検出部14によるそのパケットの受信レベルの検出結果とを対応付けて記録しておき、最も受信レベル(例えば、受信期間の平均受信レベル、あるいは、受信期間中の受信レベルの最大値又は最小値、など)が高いときに受信したパケットを選択する構成としてもよい。
(実施の形態6)
上述した実施の形態4は、誤り検出部12を備え、受信した送信パケットのデータを所定ビット数で区分した部分データそれぞれにおいて誤りが生じているか否か判定する構成であった。そして、その判定した結果を例えば図17に示すテーブル情報として不図示のメモリに記録する構成であった。また、メモリに記録したテーブル情報を参照して、誤りのない部分データを繋ぎ合わせて生成したデータを受信データとして採用する構成であった。
実施の形態6では、図22に示すように、実施の形態4の構成において、誤り検出部12に代えて受信信号(第3の高周波信号)の電力レベルを検出する受信レベル検出部14を備え、この受信レベル検出部14の検出結果に基づき、受信レベルが大きい部分データをつなぎ合わせて生成したデータを受信データとして採用する無線通信機の構成について説明する。
図22は、本実施の形態6による無線通信機の構成の一例を示すブロック図である。図22において、図16で示す無線通信機が備える構成要素と同じ構成要素には同じ番号をつけた。そして、その構成要素の説明は省略するものとする。
このように本実施の形態5に係る無線通信機では、復調部11および受信信号(第3の高周波信号)の電力レベルを検出する受信レベル検出部14に加えて、受信データ再構成部13を設けている。
本構成では、上記した実施の形態5と同様、データの誤り発生を直接的に誤り検出部12で検出するのではなく、受信レベル検出部14により受信レベルに大きな落ち込みが生じたか否か判定している。より具体的には、受信レベル検出部14は、送信パケットを構成するデータを所定ビット数で区分した部分データごとに、その部分データの受信時における受信レベルが受信感度レベル近くまたは受信感度レベル以下になったかどうかをモニターしている。そして、モニターした結果を、例えば、図17に示すようなテーブル情報と同じような形式でメモリに記録している。さらには、受信レベル検出部14は部分データの内、最も大きな受信レベルで受信した部分データがどれであるかをモニターしている。そして、最も大きな受信レベルの部分データを受信データ再構成部13でつなぎ合わせて再構成することにより、誤りのない受信データを得ることができる。
例えば、受信レベルが受信感度レベル近く、または受信感度レベル以下になったかどうかのモニターは、以下のように行なわれる。すなわち、受信したデータにエラーが発生しているとするレベルを例えばビットエラーレート(BER)=10−3となるレベルとする。また、このレベルとなる受信感度を−110dBmとすると、データを正常に受信できる受信レベルをこの−110dBmよりも5dBmだけ余裕を持たせて−105dBmとする。つまり、モニターする受信感動レベルを−105dBmとする。なお、ここで1dBmは1mWの電力を0dBとしたものである。そして、受信レベル検出部14は、検出した受信レベルが−105dBmを下回った部分を受信データ(ビット列)に誤りが発生しているものと考える。したがって、受信データ再構成部13は、受信した複数のパケットでそれぞれ対応する部分データのうち上記−105dBmを上回る受信レベルで受信した部分データを選択して、つなぎ合わせて再構成する。なお、実施の形態5のステップS52にて実行する受信レベルの落ち込みの有無の判定は、上述した受信レベルが受信感度レベル以下か否かの判定と同様の処理により行なうことができる。
(パケットの受信処理6)
次に図23を参照にして実施形態6に係る無線通信機によるパケット(送信パケット)の受信処理6に関する動作フローを説明する。図23は実施形態6に係る無線通信機によるパケットの受信処理の一例を示すフローチャートである。
まず、移相制御部5が、可変移相部3の移相量を初期値に設定する(S61)。そして、第1および第2のアンテナ1,2で送信パケットを受信する。受信した送信パケットを送受信部6が復調する。なお、送信パケットを受信し復調する際、受信レベル検出部14は、受信レベルが受信感度レベル近くまたは受信感度レベル以下になったかどうかを各送信パケットのデータを所定ビット数で区分した部分データについてモニターしながら受信レベルを検出している(S62)。
すなわち、実施の形態6に係る無線通信機は、送信パケットを乗せた特定周波数範囲の電波を第1および第2のアンテナ1,2で受信する。受信した電波を第1のアンテナ1は、第1の高周波信号7として、可変移相部3を介して合成部4に送る。一方、第2のアンテナ2は、受信した電波を第2の高周波信号8として、合成部4に送る。
合成部4では、これら第1の高周波信号7および第2の高周波信号8を合成し、第3の高周波信号9として送受信部6に送信する。
送受信部6では、受信レベル検出部14が受信レベルを検出して受信レベルの落ち込みが所定の受信感度レベル近くまたは以下になったかどうかを判定しつつ、復調部11がこの第3の高周波信号を復調する。
なお、無線通信機では、ステップS62において送信パケットを受信している間、可変移相部3の移相量を連続的に所定の条件を充たす範囲で変化するように移相制御部5が制御する。
また、実施の形態6に係る無線通信機では、所定回数(N回)分だけ同一の内容の送信パケットを受信し、この送信パケットのデータをメモリに蓄積するように構成されている。そこで、送受信部6がN回分の送信パケットのデータを受信したか否か判定し(S63)、N回分の送信パケットのデータを受信すると(S63において「YES」)、受信データ再構成部13がメモリに蓄積されたデータに基づき再構成を行なう。すなわち、受信データ再構成部13は、メモリに蓄積されたデータについて、受信時における受信レベルが大きい部分データを探索し、探索して得た部分データ同士を繋ぎ合わせて再構成を行なう(S64)。
このようにして、データの再構成を完了させると、送受信部6は、送信元に応答パケットを送信する(S65)。
以上のように、送信パケットを受信しながら、受信レベル検出部14により受信レベルの落ち込みが所定の受信感度レベル以下であるか否かモニターすることで、受信して得た各部分データに誤りがあるか否かを間接的に判定することができる。また、受信時の受信レベルが所定の受信感度レベル以下とならない最も良好な部分データを選択し、繋ぎ合わせることでエラーが生じていないデータを得ることができる。
(実施の形態7)
上述した実施の形態1では、受信した送信パケットのデータに誤りが生じているか否かに応じて、可変移相部3により移相量が変化させられる構成であった。また、実施の形態2〜6では、所定の条件を充たす範囲で移相量が変化させられるように設定される構成であった。ここでは、受信レベルが最も高くなる移相量に固定し、送信パケットを受信するように構成されている無線通信機を実施の形態7として図24を参照して説明する。
図24は、本実施の形態7による無線通信機の送信パケットと可変移相部3による移相量の変化および受信レベルの変化の様子を示す説明図である。
なお、実施の形態7に係る無線通信機の構成は前記した実施の形態5に係る無線通信機の構成(図20参照)と同様であるため、各構成要素の説明は省略する。
実施の形態7に係る無線通信機では、図24に示すように、送信パケットの受信開始より時間長T4の間、移相制御部5は可変移相部3の移相量を可変する(図24では移相量を単調に増加させた例を示している。このとき受信レベル検出部14で受信レベルをモニターする。そして最も受信レベルが大きかったときの可変移相部3の移相量を記録する。そして、移相制御部5は前記記録した移相量に可変移相部3の移相量を固定する。
T4以降の受信動作は、可変移相部3の移相量を固定した状態で継続する。
ここでT4は、受信する送信パケットの先頭にあるビット同期信号(ヘッダ情報)の時間長T5に対して、T4<T5の関係になるように設定されている。
これによりビット同期信号の受信が継続している間に最適な移相量を決定することができ、その後に続くフレーム同期信号以降の信号を最も大きな受信レベルで受信することができる。
(パケットの受信処理7)
次に図25を参照にして実施の形態7に係る無線通信機によるパケット(送信パケット)の受信処理7に関する動作フローを説明する。図25は実施形態7に係る無線通信機によるパケットの受信処理の一例を示すフローチャートである。
まず、第1および第2のアンテナ1,2で送信パケットのビット同期信号部分を受信する(S71)。この時、送信パケット(ビット同期信号部分)を受信しながら、移相制御部5が、可変移相部3を制御して移相量を変化させるとともに、受信レベル検出部14が受信レベルを検出する(S72)。このように、移相量を変化させ、移相量と受信レベルの関係を調べる。そして、移相制御部5は、最も受信レベルが大きかった移相量に固定する(S73)。このように、移相量が固定された状態で、第1および第2のアンテナ1,2で送信パケットにおいてビット同期信号部分に続くデータ部分の受信を継続する。そして、受信したデータ部分を送受信部6の復調部11が復調する(S74)。
すなわち、移相制御部5はステップS73で設定した移送量で可変移相部3による移相量を固定しておき、第1および第2のアンテナ1,2での送信パケットにおけるデータ部分の受信を継続する。
このようにステップS73で設定した移相量で送信パケットのデータ部分を継続して受信し、受信したデータ部分の復調を完了させると、送受信部6は、送信元に応答パケットを送信する(S75)。
以上のように、送信パケットのデータ部分を受信する前、すなわち、ビット同期信号の受信の最中に、移相制御部5が可変移相部3を制御して移相量を変化させ、受信レベル検出部14により最も受信レベルが高いと判定された移相量に固定する構成である。さらに、最も受信レベルが高い移相量でパケットのデータの受信を行なうように移相量を固定させる構成である。このため、本実施形態7に係る無線通信機では予め良好な受信状態に設定してパケットのデータ部分の受信を行うことができる。
(実施の形態8)
次に、実施の形態8に係る無線通信機について図26を参照して説明する。図26は、本実施の形態8に係る無線通信機の構成の一例を示すブロック図である。図26に示すように、実施の形態1に係る無線通信機の構成と比較して、さらにフィルタ15を備えている点で異なる。
すなわち、本実施の形態8に係る無線通信機は、移相制御部5の制御信号出力端子の信号を、フィルタ15を介して可変移相部3の制御信号入力端子に接続している点で他の実施の形態と構成が異なる。なお、フィルタ15を備える点以外では実施の形態1に係る無線通信機と同様の構成を有しており、フィルタ15以外の構成要素については実施の形態1に係る無線通信機と同様の符号を付し、その説明を省略するものとする。
ここで、図27を参照してフィルタ15について説明する。図27は実施の形態8に係る無線通信機が備えるフィルタ15付近の具体的な構成例を示す図である。
無線通信機では移相制御部5から可変移相部3に対して制御信号が出力される構成となっているが、実施の形態8に係る無線通信機ではこの制御信号の伝送路の途中にフィルタ15が備えられている。図27に示すように、移相制御部5はマイコンで構成され、制御信号出力端子はマイコンの出力端子が割り当てられている。ここで、マイコンから出力される制御信号は矩形波であり、この制御信号がフィルタ15に入力される。また、フィルタ15はCRフィルタで構成されており、マイコンから入力された制御信号は前記フィルタ15を介して可変移相部3の制御信号入力端子に入力される。フィルタ15から制御信号入力端子に出力される制御信号の電圧波形は、図27に示すように準三角波形となっている。
また、図27に示すように、可変移相部3は集中定数型の90°ハイブリッド回路に可変容量ダイオードを接続した構成であり、可変容量ダイオードの印加電圧を変えることにより可変移相部3の移相量を可変することができる。
ここで移相可変を時間に対してリニアに行うためには、三角波形の制御信号を入力する必要があるが、本実施の形態8に係る無線通信機の構成のようにフィルタ15を備えることで、マイコン出力の矩形波をこのフィルタ15に通すことにより、準三角波形の制御信号とすることができる。なお、本実施の形態8に係る無線通信機が備えるフィルタ15はCRフィルタなど非常に簡素な回路で構成できるというメリットがある。以上のように実施の形態8に係る無線通信機では、移相制御部5から出力された制御信号の電圧波形をフィルタ15により矩形波から準三角波に変更して可変移相部3に出力することができる。このため、可変移相部3は、時間に対してリニアに移相可変を行なうことができる。
(実施の形態9)
上記した実施の形態1から8では、移相制御部5からの制御指示の下、可変移相部3により第1のアンテナで受信した高周波信号の移相量を可変とすることで受信レベルの落ち込みを回避するように構成されていた。以下では、可変移相部3を備え移相量を可変とする構成ではなく、第1のアンテナ1から出力される高周波信号(第1の高周波信号7)、および第2のアンテナ2から出力される高周波信号(第2の高周波信号8)それぞれの電力の分配比を可変させる構成とすることで受信レベルの落ち込みを回避する。
すなわち、実施に形態9に係る無線通信機は、図28に示すように、図1に示した実施の形態1に係る無線通信機が備える可変移相部3および移相制御部5の代わりに分配比制御部22を備える。また、合成部4の代わりに、可変分配部(可変分配手段)21を備える。図28は、実施の形態9に係る無線通信機の概略構成の一例を示すブロック図である。なお、図1に示した無線通信機器と同様の構成部材については、同じ符号を付しその説明を省略するものとする。
より具体的には、本実施の形態9に係る無線通信機が備える可変分配部21は、図29に示す構成を有する。図29は、実施の形態9に係る無線通信機が備える可変分配部21の回路構成の一例を示す図である。すなわち、可変分配部21は、送受信部側端子23からの高周波信号の入力に対して第1のアンテナ1および第2のアンテナ2にそれぞれその入力を分配して出力することができる。逆に第1のアンテナ1および第2のアンテナ2それぞれからの高周波信号の入力を合成して、送受信部側端子23から送受信部6に出力することもできる。
送受信部側端子23を一端に有する回路の他端は第1のアンテナ1側と第2のアンテナ側2とのそれぞれに分岐しており、第1のアンテナ1側に分岐した回路には第1の可変コンデンサ31が、第2のアンテナ2側に分岐した回路には第2の可変コンデンサ32がそれぞれ備えられている。これら第1の可変コンデンサ31および第2の可変コンデンサ32それぞれの静電容量を変化させることにより、第1のアンテナ1側と第2のアンテナ2側との電力の分配比を変更させることができる。
また、第1のアンテナ側と第2のアンテナ側との分岐点にはコイル33が備えられており、インピーダンス整合の調整を行っている。このコイル33のインダクタンスは、10nHであり、一端が分岐点と接続され、他端は接地されている。
実施の形態9に係る無線通信機では、例えば、以下のように第1のアンテナ1および第2のアンテナ2それぞれで分配される電力を可変とする。例えば、第1の可変コンデンサ31および第2の可変コンデンサ32それぞれの静電容量が2pF〜6pFまで変化するものとすると、分配比制御部22からの制御指示に応じて第1の可変コンデンサ31の静電容量を6pFから2pFへと変更させる。
この時、第2の可変コンデンサ32の静電容量を6pFから2pFへと第1の可変コンデンサ31と連動させて変更させる。この時の第1の可変コンデンサ31の静電容量と回路を伝送する高周波信号の通過振幅(dB)との関係、ならびに第2の可変コンデンサ32の静電容量と回路を伝送する高周波信号の通過振幅(dB)との関係を図30に示す。図30は、実施の形態9に係る無線通信機が備える第1、第2の可変コンデンサ31,32それぞれの静電容量と回路における信号電圧の通過振幅との関係を示すグラフである。図30において、S21により第1の可変コンデンサ31の静電容量と通過振幅との関係を示す。また、S31により第2の可変コンデンサ32の静電容量と通過振幅との関係を示す。図30に示すように、一方の可変コンデンサの静電容量を大きくするとき、他方の可変コンデンサの静電容量を小さくするように連動させ、送受信部側端子23から見たインピーダンスを変化させない様に、すなわちインピーダンス不整合を生じないように動作させている。
つまり、図30に示すように第1の可変コンデンサ31の静電容量が6pFで、第2の可変コンデンサ32の静電容量が2pFの時、第1のアンテナ1および第2のアンテナ2それぞれに対して電力3:1となるように分配される。例えば、図30によると、第1の可変コンデンサ31の静電容量が6pFで、第2の可変コンデンサ32の静電容量が2pFの時、S21=−1.2dB、S31=−6dBとなる。ここで−1.2dB=電力0.76倍、−6dB=電力0.25倍を示すため0.76:0.25で、電力はほぼ3:1となる。次に、第1の可変コンデンサ31および第2の可変コンデンサ32の両者がそれぞれ静電容量を変更させ、共に3pFとなる時、第1のアンテナ1および第2のアンテナ2それぞれ対して電力が1:1となるように分配される。第1の可変コンデンサ31の静電容量が2pFで、第2の可変コンデンサ32の静電容量が6pFの時、第1のアンテナ1および第2のアンテナ2それぞれに対して分配される電力は1:3となる。すなわち、第1の可変コンデンサ31の静電容量が2pFで、第2の可変コンデンサ32の静電容量が6pFの時は、上述した第1の可変コンデンサ31の静電容量が6pFで、第2の可変コンデンサ32の静電容量が2pFの時と逆の関係となる。
このように、第1のアンテナ1と第2のアンテナ2とにおいて、電力の分配を変えることで、それぞれのアンテナで受信した高周波信号の足し合わせた結果を変え、フェージングにより電波が打ち消された状態となることを緩和させることができる。つまり、大きく受信レベルが落ち込むことを回避することができる。
なお、上記した実施の形態1から9では、無線通信機が受信側として動作をする場合を中心に説明してきたが、送信側として動作する場合も、第1のアンテナ1から出力される高周波信号の移相量を可変としたり、第1のアンテナ1および第2のアンテナ2それぞれに対する電力の分配比を可変としたりすることで、送信先の無線通信機において受信レベルが大きく落ち込み、パケットを正常に受信することができない状態を回避することができる。
以上のように、本発明に係る無線通信機は以下のように構成されているといえる。
すなわち、本発明の無線通信機は、第1のアンテナと、第2のアンテナと、前記第1のアンテナにより受信または送信する高周波信号の位相を変化させる可変移相手段と、前記第1のアンテナにより受信または送信する高周波信号の位相を変化させる量である移相量を可変とするように前記可変移相手段を制御する移相制御手段と、を備える。
よって本発明に係る無線通信機は、装置構成が大きくなることを防ぎ、局所的な受信電界レベルの落込みを回避できるという効果を奏する。
また、本発明に係る無線通信機は、前記移相制御手段が、前記可変移相手段を制御して一定の周期で繰り返すように前記移相量を変化させており、その周期をT1とし、前記高周波信号に含めて送受信するデータの1ビットを伝送するのにかかる時間長である1ビット時間長をT2としたとき、前記移相制御手段は、T1<T2の関係を充たすように可変移相手段を制御して高周波信号の移相量を変化させるように構成されていてもよい。
上記した構成によれば、本発明に係る無線通信機では、前記移相制御手段は、T1<T2の関係を充たすように可変移相手段を制御して移相量を変化させることができる。
ここで、前記第1のアンテナおよび第2のアンテナで受信した高周波信号の強度を示す受信レベルは、前記移相量の変化に伴い変化するため、移相量を繰り返して変化させる周期T1よりもさらに短い時間で変化することとなる。このため受信レベルが落ち込んだとしてもその継続時間は、前記データの1ビット時間長よりも十分に短いものとなり、復調後のデータにおいて誤りが発生することがない。
よって本発明に係る無線通信機では、T1<T2の関係を充たすように、移相量の変化を一定の周期で繰り替えし連続して行うだけで、受信レベルの局所的な落込みを回避することができる。
また、本発明に係る無線通信機は、前記第1のアンテナおよび第2のアンテナを介して同じ内容のパケットデータを繰り返し受信するようになっており、前記第1のアンテナにより受信した前記パケットデータを含む高周波信号と、前記第2のアンテナにより受信した前記パケットデータを含む高周波信号とを合成する合成手段と、前記合成手段によって合成された高周波信号を復調してパケットデータを生成する復調手段と、前記復調手段により生成したパケットデータに誤りを含むか否かを検出する誤り検出手段と、を備え、前記誤り検出手段が、パケットデータに誤りを検出した場合、この誤りを検出したパケットデータを破棄して、このパケットデータの次に前記復調手段により生成されたパケットデータに対して誤りの有無を検出するように構成されていてもよい。
上記した構成によると、合成手段と復調手段とを備えているため、第1のアンテナおよび第2のアンテナで受信した高周波信号を復調してパケットデータを生成することができる。さらにまた、誤り検出手段を備えるため生成したパケットデータに誤りが生じているか否か検出し、誤りが生じている場合は、次に送信されたパケットデータについて誤りの有無を確認することができる。
このように、パケットデータにおける誤り検出を誤りが生じていないパケットデータを得るまで行なうことができる。
なお、繰り返し受信する同じ内容のパケットデータは、予め所定の間隔で送信元から複数個連続して送信されたものであってもよいし、前記誤り検出手段によってパケットデータに誤りを検出した際に、本発明の無線通信機からパケットデータの送信元に対して再送を要求して得たものであってもよい。
また、本発明に係る無線通信機は、前記第1のアンテナおよび第2のアンテナを介して、複数の、同じ内容のパケットデータを受信するようになっており、前記第1のアンテナにより受信した前記パケットデータを含む高周波信号と、前記第2のアンテナにより受信した前記パケットデータを含む高周波信号とを合成する合成手段と、前記合成手段によって合成された高周波信号を復調してパケットデータを順次、生成する復調手段と、前記復調手段により生成したパケットデータを所定ビットごとに区分けした部分データについて誤りを含むか否かを検出し、各パケットデータにおいて誤りが無い部分データを記録する誤り検出手段と、複数のパケットデータでそれぞれ対応する部分データのうち、前記誤り検出手段によって記録された誤りが無い部分データを繋ぎ合わせてパケットデータを再構成する再構成手段と、を備えた構成であってもよい。
上記した構成によると、合成手段と復調手段とを備えているため、第1のアンテナおよび第2のアンテナで受信した高周波信号を復調してパケットデータを生成することができる。
さらにまた、誤り検出手段を備えるため生成したパケットデータを構成する各部分データごとに誤りが生じているか否か検出し、誤りが生じていない部分データについて記録することができる。
また、再構成手段を備えるため、記録された誤りが生じていない部分データを繋ぎ合わせてパケットデータを再構成して、誤りのないパケットデータを生成することができる。このため、複数、同じ内容のパケットデータが連続して送信される場合、受信した各パケットデータの一部に必ず誤りを含むような場合であっても、誤りのないパケットデータを得ることができる。
また、本発明に係る無線通信機は、前記第1のアンテナおよび第2のアンテナを介して、複数の、同じ内容のパケットデータを受信するようになっており、前記第1のアンテナにより受信した前記パケットデータを含む高周波信号と、前記第2のアンテナにより受信した前記パケットデータを含む高周波信号とを合成する合成手段と、前記合成手段によって合成された高周波信号を復調してパケットデータを順次、生成する復調手段と、前記復調手段により生成したパケットデータの受信時における、合成された前記高周波信号の電力強度によって示される受信レベルを検出する受信レベル検出手段と、を備え、前記受信レベル検出手段によって検出した受信レベルが一番大きかったときに受信したパケットデータを受信データとして選択するように構成されていてもよい。
上記した構成によると、合成手段と復調手段とを備えているため、第1のアンテナおよび第2のアンテナで受信した高周波信号を復調してパケットデータを生成することができる。
さらにまた、受信レベル検出手段を備えるため復調手段により生成したパケットデータの受信時における、受信レベルを検出することができる。このため、生成したパケットデータは受信レベルが良好な状態で受信したものか否か把握することができる。なお、受信レベルが低いときに受信したパケットデータには誤りが生じている可能性が高い。そこで、本発明に係る無線通信機は、受信レベルが一番大きいときに受信したパケットデータを受信データとして選択するため、復調したパケットデータの中では最も誤りが発生している可能性が小さいパケットデータを受信データとすることができる。
また、本発明に係る無線通信機は、前記第1のアンテナおよび第2のアンテナを介して、複数の、同じ内容のパケットデータを受信するようになっており、前記第1のアンテナにより受信した前記パケットデータを含む高周波信号と、前記第2のアンテナにより受信した前記パケットデータを含む高周波信号とを合成する合成手段と、前記合成手段によって合成された高周波信号を復調してパケットデータを順次、生成する復調手段と、前記復調手段により生成した各パケットデータを構成する所定ビットごとに区分けした部分データそれぞれの受信時に、合成された前記高周波信号の電力強度によって示される受信レベルを検出し、この部分データと検出した受信レベルとを対応づけて記録する受信レベル検出手段と、複数のパケットデータでそれぞれ対応する部分データのうち、前記受信レベル検出手段によって記録された受信レベルが最も高い部分データを繋ぎ合わせてパケットデータを再構成する再構成手段とを備えるように構成されていてもよい。
上記した構成によると、合成手段と復調手段とを備えているため、第1のアンテナおよび第2のアンテナで受信した高周波信号を復調してパケットデータを生成することができる。
さらにまた、受信レベル検出手段を備えるため復調手段により生成したパケットデータの前記部分データそれぞれの受信時における、受信レベルを検出することができる。このため、部分データについて受信レベルが良好な状態で受信したものか否か把握することができる。
また、再構成手段を備えているため、複数のパケットデータでそれぞれ対応する部分データのうち受信レベルが一番大きい部分データを選択して繋ぎ合わせパケットデータを再構成できる。
ここで、受信レベルが低いときに受信した部分データには誤りが生じている可能性が高い。そこで、本発明に係る無線通信機は、受信レベルが一番大きいときに受信した部分データを繋ぎ合わせてパケットデータを生成する、最も誤りが発生している可能性が小さい状態のパケットデータを受信データとすることができる。
また、本発明に係る無線通信機は、前記第1のアンテナにより受信した前記パケットデータを含む高周波信号と、前記第2のアンテナにより受信した前記パケットデータを含む高周波信号とを合成する合成手段と、前記合成手段によって合成された高周波信号を復調してパケットデータを生成する復調手段と、合成された前記高周波信号の電力強度によって示される受信レベルを検出する受信レベル検出手段と、を備え、前記復調手段により生成したパケットデータは、ヘッダ情報部分とデータ部分とから構成されており、前記移相制御手段は、前記バケットデータのヘッダ情報部分を受信している間、前記第1のアンテナにより受信した高周波信号の位相を変化させるように前記可変移相手段を制御するとともに、前記パケットデータのデータ部分を受信している間では、前記受信レベル検出手段による受信レベルの検出結果に基づき、前記ヘッダ情報部分を受信している間で最も受信レベルが高かった移相量に固定するように前記可変移相手段を制御するように構成されていてもよい。
上記した構成によると、合成手段と復調手段とを備えているため、第1のアンテナおよび第2のアンテナで受信した高周波信号を復調してパケットデータを生成することができる。
さらにまた、受信レベル検出手段を備えるため復調手段により生成したパケットデータのヘッダ情報部分の受信時における、受信レベルを検出することができる。また、ここで移相制御手段は、ヘッダ情報部分を、移相量を変化させて受信するように可変移相手段を制御しているため、ヘッダ情報部分の受信時における受信レベルは様々となる。さらに移相制御手段は、受信レベルが最も高かった移相量を選択し、その移相量に固定する。
このため、パケットデータにけるデータ部分を受信する際には最も受信レベルが高い状態でこのデータ部分を受信することができる。
また、本発明に係る無線通信機は、可変移相手段の制御信号入力端子へ入力される電圧に応じて前記可変移相手段の移相量が変化する構成であり、移相制御手段の制御信号出力端子から出力される周期的またはランダムに変化する電圧を前記制御信号入力端子へ入力するように構成されていてもよい。
また、本発明に係る無線通信機は、移相制御手段の制御信号は矩形波形であり、前記矩形波形の制御信号をフィルタを経由して可変移相手段の制御信号入力端子に入力するように構成されていてもよい。
上記した課題を解決するために、本発明に係る無線通信機は、第1のアンテナと、第2のアンテナと、前記第1のアンテナにより受信または送信する高周波信号の電力と前記第2のアンテナにより受信または送信する高周波信号の電力との分配比を可変させる分配比制御手段と、を備える。
よって本発明に係る無線通信機は、装置構成が大きくなることを防ぎ、局所的な受信電界レベルの落込みを回避できるという効果を奏する。
また、本発明に係る無線通信機は以下のように構成されていてもよい。
第1の発明である無線通信機は、第1のアンテナと、第2のアンテナと、可変移相手段と、合成手段と、移相制御手段と、送受信手段で構成され、前記第1のアンテナで受信した高周波信号を前記可変移相手段に入力して得られる第1の高周波信号と前記第2のアンテナで受信した第2の高周波信号を前記合成手段で合成して得られる第3の高周波信号を前記送受信手段に入力し、前記移相制御手段は受信動作時または送信動作時に前記可変移相手段の移相量を周期的またはランダムに繰り返し可変するものである。これによれば、マルチパス環境下のフェージングによる電界レベルの打ち消し合いが起こらない様に位相を可変するできるため、局所的な受信電界レベルの落込みを回避できる。
第2の発明である無線通信機は、第1の発明において、移相制御手段による可変移相手段の移相量の繰り返し可変周期T1および通信データの伝送レートの周期T2について、T1<T2としたものである。これによれば、受信レベルの落込みの継続時間が伝送レートの周期T2より十分に短いため、受信復調データにエラーは発生せず、すなわち送信側または受信側の無線通信機で可変移相を連続して行うだけで、受信レベルの局所的な落込みを回避した通信を実現することが出来る。
第3の発明である無線通信機は、第1の発明において、復調手段と誤り検出手段を更に備え、移相制御手段による可変移相手段の移相量の繰り返し可変周期T1および通信パケット長T3について、T3<T1であり、複数の繰り返し送信パケットを受信して前記復調手段で復調し、前記誤り検出手段は前記復調手段で復調された各送信パケットデータの誤りの有無を検出し前記誤りの無いパケットデータを受信データとするものである。これによれば、初送の送信パケットで復調データに誤りが発生しても、再送された送信パケットを受信することにより、局所的な受信レベル落込みを回避することが出来る。
第4の発明である無線通信機は、第1の発明において、復調手段と誤り検出手段と受信データ再構成手段を更に備え、移相制御手段による可変移相手段の移送量の繰り返し可変周期T1、通信データの伝送レートの周期T2、通信パケット長T3について、T2<T1<T3であり、複数の繰り返し送信パケットを受信して前記復調手段で復調し、前記誤り検出手段は前記復調手段で復調された各送信パケットの各部分データの誤りの有無を検出し、前記受信データ再構成手段は前記誤り検出手段が誤り無しと判定した各送信パケットの各部分データをそれぞれつなぎ合わせて送信パケットデータを再構成するものである。これによれば、初送の送信パケットで部分的に復調データの誤り箇所が発生しても、再送された送信パケットを受信して、誤り無しの部分をつなぎ合わせることにより正常なデータ列を受信することができ、局所的な受信レベル落込みを回避することができる。
第5の発明である無線通信機は、第1の発明において、復調手段と受信レベル検出手段を更に備え、移相制御手段による可変移相手段の移相量の繰り返し可変周期T1および通信パケット長T3について、T3<T1であり、複数の繰り返し送信パケットを受信して前記復調手段で復調し、前記受信した送信パケットの内、前記受信レベル検出手段で検出された受信レベルが最も大きかった送信パケットのパケットデータを受信データとするものである。これによれば、初送の送信パケット受信時に受信レベル低下が発生したことを検出でき、再送された送信パケットを受信したときに初送と再送より受信レベルが大きい方を選択することで、受信レベルの低下が発生していない送信パケットを受信することができ、局所的な受信レベル落込みによる受信データの誤りが生じることを回避できる。
第6の発明である無線通信機は、第1の発明において、復調手段と受信レベル検出手段と受信データ再構成手段を更に備え、移相制御手段による可変移相手段の移送量の繰り返し可変周期T1、通信データの伝送レートの周期T2、通信パケット長T3について、T2<T1<T3であり、
複数の繰り返し送信パケットを受信して前記復調手段で復調し、前記復調手段で復調された各送信パケットの各部分データについて、前記受信レベル検出手段で検出された受信レベルが最も高かった各部分データを選択して前記受信データ再構成手段が各部分データをそれぞれつなぎ合わせて送信パケットデータを再構成するものである。これによれば、初送の送信パケットの復調時に部分的に受信レベルの低下した箇所が発生しても、再送された送信パケットを受信して、受信レベルの低下していない部分箇所をつなぎ合わせることにより誤りの生じていないデータ列を受信することができ、局所的な受信レベル落込みを回避することができる。
第7の発明である無線通信機は、第1の発明において、受信レベル検出手段を更に備え、移相制御手段による可変移相手段の移相量の可変は送信パケットの受信開始タイミングから時間長T4までの間であり、受信する送信パケットの先頭にあるビット同期信号の時間長T5について、T4<T5の関係にあり、前記移相制御手段は前記時間長T4にわたって前記可変移相手段の移相量を周期的またはランダムに可変すると共に前記受信レベル検出手段が受信レベルを検出し、前記検出された受信レベルが最も大きい移相となる様に前記移相制御手段が前記可変移相手段の移相量を固定して前記時間長T4以降の受信を行うものである。これによれば、送信パケットの先頭を受信するタイミングで可変移相手段の最適な移相量を確定することができ、局所的な受信レベル落込みを回避することができる。
第8の発明である無線通信機は、第1の発明において、可変移相手段の制御信号入力端子へ入力される電圧に応じて前記可変移相手段の移相量が変化する構成であり、移相制御手段の制御信号出力端子から出力される周期的またはランダムに変化する電圧を前記制御信号入力端子へ入力するものである。これによれば、可変移相手段の移相量の可変を電圧を変化させるだけで実行でき、移送制御手段および可変移相手段の回路構成を簡素化できる。
第9の発明である無線通信機は、第8の発明において、移相制御手段の制御信号は矩形波形であり、前記矩形波形の制御信号をフィルタを経由して可変移相手段の制御信号入力端子に入力するものである。これによれば、移相制御手段の出力としてマイコン等の端子から出力される矩形波形を用いることができるので、移相制御手段の回路構成を更に簡素化できる。
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。