JP5798965B2 - ディスクブレーキ用中空ピストン及び成形ダイス - Google Patents

ディスクブレーキ用中空ピストン及び成形ダイス Download PDF

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Description

車両の制動に使用されるディスクブレーキ用中空ピストンと成形ダイスに関する。
ディスクブレーキ用中空ピストンは、従来から鍛造による成形が主流である。
バー材を切断後、据え込み加工し略円柱状ブランクを準備、焼きなまし・潤滑処理後、後方押出と称される押出方法にて略カップ形状に鍛造成形する。その後、一回目の切削工程で略カップ形状の開口側端面及びピストンブーツ組み付け用の外周溝を加工、二回目の切削工程で略カップ形状の外周面と底面とを繋ぐ角部にR形状とテーパ面を加工、最後に外周面を研削加工し完成となる。
このように、鍛造により荒形状に成形後、切削や研削により除去加工し完成品とする製造方法は、材料歩留まりが良く、生産性が高いので自動車部品の大量生産に適用されることが多い。
しかし近年では、更なる切削代低減や無切削化を図ることで製造コスト削減を目論むことが多く、成形品には完成品に近い形状が求められている。その中には鍛造を使用しない方法も検討されている。
特許文献1では、円形板材をスピニング加工して中空ピストンを成形し、安価に中空ピストンを製造する方法を提案している。
この提案は、作業工程がシンプルで良いが、従来使用してきた鍛造成形設備が使用できなくなり、新たなスピニング加工用設備が必要になる。
よって、設備投資が必要になるので製法転換が困難であり、従来の鍛造による成形が主流のままとなっていた。
従来の鍛造成形を用いたディスクブレーキ用中空ピストンの製造工程は、バー材を切断後、据え込み加工し略円柱状ブランクを準備、焼きなまし・潤滑処理後、後方押出と称される押出方法にて略カップ形状に鍛造成形、その後、一回目の切削工程で略カップ形状の開口側端面及びピストンブーツ組み付け用の外周溝を加工、二回目の切削工程で略カップ形状の外周面と底面とを繋ぐ角部にR形状とテーパ面を加工、最後に外周面を研削加工し完成となる。
この製造工程において切削工程を省略しようとした場合、後方押出にて略カップ形状に鍛造成形する際に、略カップ形状の外周面と底面とを繋ぐ角部にR形状とテーパ面も同時に成形することで、上記二回目の切削工程を省略することが容易に考えられる。
例えば、特許文献2の図3に示される後方押出が最も基本的な後方押出であるが、略カップ形状の外周面と底面とを繋ぐ角部にR形状も同時に成形しようとした場合、特許文献3の図2のようにダイス(金型2)にR形状(金型面2b)を設けている。
特開2002−70902号公報 特開2000−233255号公報 特開2004−358489号公報
上記従来技術のように、ダイスにこのR形状を形成した場合、Rの大きさにも因るが、成形時にこのR形状部に集中応力が掛かり、ダイスのR形状部に割れが発生しやすくなり、量産は困難なものとなっていた。
この場合、ダイスをR形状付近(特許文献3の図2の場合は2aと2bの境目付近に断面方向)で分割面を構成することが一般的な対処法であるが、この分割面に材料や成形用潤滑剤が噛み込みやすく、分割面に微量に入り込んだ材料や成形用潤滑剤が、成形を繰返すうちに分割面内部に蓄積されて分割面が開いてしまいダイスが破損しやすく、この方法も量産が困難である。
そこで、ダイスのR形状部に掛かる集中応力を低減する方法としてカウンターパンチ上面(特許文献3の図2の場合は3a)の位置をダイス底面よりも突出させる方法がある。この方法は、金型寿命が改善されるが、ダイスのR形状と底面とカウンターパンチとから構成される溝に入り込んだ材料が局部的にデットメタル(材料が流れない状態)となり、R形状部にマクレ込みの発生の懸念があるので切削工程による仕上げが必要だった。
また、鍛造成形において、略カップ形状の底部の厚さを厚くすることにより、R形状の付近の材料流れを全体的に減少することができるので、分割面に材料が噛み込むことがなく、量産可能と考えられるが、この場合、製品質量が増加してしまうため、材料歩留りが悪化しコスト効果が得られない。その上、車両重量が増加し走行性能が低下する懸念がある。
本発明は、上記の事情に鑑みなされたもので、略カップ形状に鍛造成形する際に、塑性流動を良好なものとすることで、無切削化を図り、切削工程を削減して、低コストを図るディスクブレーキ用中空ピストンを提供するものである。
本発明の後方押出で成形されるディスクブレーキ用の中空ピストンであって、筒部と、筒部の一端に形成された底部と、を有するカップ形状をしており、筒部の外周面と底部の底面を繋ぐ部分は、底面に接する曲率部と、その曲率部に接し、外周面と一定の角度で交差するテーパ面と、底面に円周上に配置された複数の突起と、底面中心の凹面と、で形成され、底面と曲率部とテーパ面は連続した塑性流動を有する構成とする。
また、ディスクブレーキ用の中空ピストンを後方押出で成形する成形ダイスであって、中空ピストンは、筒部と、筒部の一端に形成された底部と、を有するカップ形状をしており、筒部の外周面と底部の底面を繋ぐ部分は、底面に接する曲率部と、曲率部に接し、外周面と一定の角度で交差するテーパ面と、で形成され、外周面を成形する第1キャビティを有する上型と、上型と分離され、テーパ面と曲率形状と底面を成形する第2キャビティを有する下型と、を有し、上型の上型分割面における第1キャビティ径は、下型の下型分割面における第2キャビティ径よりも大きく設定され、上型と下型の分割部に段差が形成された構成とする。
本発明は、略カップ形状に鍛造成形する際に、塑性流動を良好なものとすることで、無切削化を図り、切削工程を削減して、低コストを図るディスクブレーキ用中空ピストンを提供することができる。
本発明のディスクブレーキの一断面例を示す図である。 本発明に係るディスクブレーキ用中空ピストンの成形ダイスで成形された中空ピストンの一断面例を示す図である。 図2に示す本発明の中空ピストンの製造工程を示す図である。 本発明のディスクブレーキ用中空ピストンの成形ダイスの金型構造の断面を示す図である。 本発明のディスクブレーキ用中空ピストンの成形ダイスの分割部を拡大した断面を示す図である。
以下、本発明を実施例に基づき説明する。
図1は、中空ピストンをディスクブレーキに使用した場合の断面図である。
図1において、キャリパ1は一方の脚部1Aにシリンダ2が形成され、他方の脚部1BはディスクDを跨ぐブリッジ部1Cを介してディスクDの反対側へと延びて形成されている。中空ピストン3はシリンダ2内に摺動可能に挿嵌され、その中空ピストン3は略カップ状に形成され、シリンダ2の底部13との間に液圧室4を構成している。液導入穴5はキャリパ1の脚部1A底部に穿設され、その液導入穴5はマスターシリンダ(図示せず)からの液圧を液圧室4内に導入し、この液圧で中空ピストン3をディスクDに向けて摺動させるようになっている。
摩擦パッド6、7は中空ピストン3とキャリパ1の脚部1Bとの間に位置して、ディスクDの両面側に配設され、その摩擦パッド6、7は中空ピストン3が液圧によって摺動するときにディスクDの両面に押圧され、そのディスクDに制動力を付与するようになっている。即ち、中空ピストン3によって摩擦パッド6がディスクDの一側面に押圧されると、その反力でキャリパ1全体が中空ピストン3とは逆方向に移動し、他方の脚部1Bが摩擦パッド7をディスクDの他側面へと押圧するようになる。
環状のブーツ取付溝8はシリンダ2の開口側内周面に形成され、環状のブーツ取付溝9は中空ピストン3の開口側外周に形成され、ピストンブーツ10はシリンダ2と中空ピストン3との間に設けられ、そのピストンブーツ10は可撓性の樹脂材料により蛇腹上に形成され、その両端側はブーツ取付溝8、9に組み付けられている。そして、そのピストンブーツ10はシリンダ2と中空ピストン3との間に外部の土砂や雨水等が侵入するのを防止するようになっている。
環状のシール取付溝11はシリンダ2の内周面に形成され、取付溝にはシール部材12が組み付けられる。このシール部材12は中空ピストン3の外周面と摺動可能となっており液圧室4の液体が外部に漏れるのを防止している。
次に図2により本発明の成形方法で得られる中空ピストン3を説明する。
図2は中空ピストン3の断面図であり、図2におけるPは矢視図、Qは拡大図である。
中空ピストン3は筒部31とその一端に形成される底部32により構成され略カップ形状をしている。
筒部31の外周面33は図1シリンダ2及びシール部材12と摺動するので、面精度が要求される。
開口側の外周にはブーツ取付溝9が環状に形成され、端面には図1の摩擦パッド6、7を押圧する押圧面34が形成される。
筒部31の内周空間35は軽量化の他に、ブレーキ制動時、摩擦パッドから伝達される熱が図1の液圧室4に伝わり辛くし、液の沸騰や劣化を防ぐ役割をしている。
図1のキャリパ1との組立においては、内周面36は特開平3−24331号公報のように治具が嵌合され、キャリパ1に自動で組み込まれるので外周面33と内周面36の同軸精度が必要とされる。
底部32の底面37には図2のP矢視図に示される位置に突起38が形成されている。これは、図1のシリンダの底部13に中空ピストン3の底面37が張り付かないように、常に液圧室4を確保するために設けられている。底面37の中心には凹部42が形成されている。外周面33と底面37を繋ぐ部分について図2Q拡大図で説明する。
外周面33と底面37を繋ぐ部分は底面37に接する曲率部であるR部39とそのR部39に接し外周面33と角度θで交差するテーパ面40で形成されている。本発明では、底面37と曲率部であるR部39とテーパ面40は連続した塑性流動を有している。この曲率部であるR部39及びテーパ面40は、特開平3−24331号公報に記載のように中空ピストン3が自動で組み込みされる時に、ピストンブーツ10、シリンダ2、シール部材12にキズを付けないように組み込むために必要な形状である。
本発明は、このR部39及びテーパ面40を鍛造にて成形し、無切削化を図り、切削工程の削減し、中空ピストン3の製造コスト削減を図ることを目的としている。
次に図3により、図2に示す中空ピストン3の製造工程を説明する。
最初のブランク工程50により、円柱状のブランク51を準備する。この円柱状のブランク51はバー材を所定の質量にプレス切断または鋸切断したものを据え込み加工して、次工程の後方押出用ダイスのキャビティ径より僅かに小さく成形したものである。また、次工程の後方押出に備えて、焼きなまし、潤滑処理を施したものである。
次工程は鍛造工程52により、後方押出して略カップ形状のピストン素材53を成形する工程である。金型構造は後で説明するが、後方押出とは、成形パンチの押圧方向の後方に向かって材料が押出されるので後方押出と呼ばれる。
この後方押出にて中空ピストン3の完成形状となる部位は、図2において内周面36と内周底面41、底面37、突起38、凹部42、R部39、テーパ面40である。
次工程は旋盤または単能盤による切削工程54で、軸方向を底面37で基準55にして外周面33をチャックして、開口側のブーツ取付溝9から押圧面34にかけて加工を行う(従来技術の場合、この切削加工後、軸方向は押圧面34を基準にして外周面33を再度チャックしなおして図2のR部39、テーパ面40の加工をしなければならない。)。
その後、センタレス研磨機で外周面33を研削工程56にて研削して仕上げて中空ピストン3の完成となる。
次に図4及び図5により本発明のディスクブレーキ用の中空ピストン3を成形するダイス61について説明する。
図4は本発明の後方押出用ダイスを設置した金型構造断面図であり、図5は本発明の後方押出用ダイスの分割部69を拡大したダイス61単体の断面図であり、分割部69が分り易いようにピストン素材53は除いてある。
図4の金型構造から説明する。
この断面図は後方押出直後の状態で、図3におけるブランク51がダイス61の第1キャビティ62に投入され、パンチ111が押圧方向112へブランク51を加圧、第1キャビティ62とパンチ111の成形面113から構成される隙間から材料がパンチ111の押圧方向112と反対方向、つまり後方へ流動した状態を示す。
詳しく説明すると、ダイス61は受圧台91に固定されている。このダイス61は、図2の中空ピストン3の外周面33を成形する図5の第1キャビティ62と、図2の中空ピストン3の底面37を成形する図5の第2キャビティ底面64と、図2の突起38を成形する凹部65と、図2のR部39を成形する図5のR面66と、図2のテーパ面40を成形する図5のテーパ面67とを一体で形成した第2キャビティ63を有する。
図4において、第2キャビティ底面64の凹部65の内周中心には、微小に突出してカウンターパンチ101が設置され図2の中空ピストン3の凹部42を成形する。このダイス61の底部内面68とカウンターパンチ外周102は勘嵌されて摺動可能になっており、成形完了後、ダイス61からピストン素材53を取出すために、排出方向103へカウンターパンチ101が移動し、ピストン素材53を排出する。
後方押出においては、成形品の排出機構にカウンターパンチを必ず設置しなければならない。本発明のように、第2キャビティ底面64の凹部65の内周中心に、微小に突出してカウンターパンチ101を設置した理由を説明する。
仮に、カウンターパンチ101の径を拡大し、凹部65をカウンターパンチ成形面104に形成したとすると、R面66とカウンターパンチ101との間に溝が形成される。この溝に材料が流れ込むと、その材料がデットメタル(材料が流れない状態)になり、カウンターパンチ成形面とR面を、溝を跨いで流れる材料との境界でマクレ込みが発生してしまうためである。
本発明のように、第2キャビティ底面64の凹部65の内周中心に、微小に突出してカウンターパンチ101を設置すれば、溝になる空間は形成されないので、上記のようなマクレ込みは発生しない。仮に発生したとしても、マクレ込みがR面66まで到達することもない。
カウンターパンチ101の突出量は、金型の弾性変形を考慮しなければならないので、金型材質により変化するが、実施例では、図2の中空ピストン3の凹部42の深さ0.1〜0.15で、マクレ込みのない成形が可能であった。この凹部の深さは、深くするほどパンチ111の成形端面114とカウンターパンチ101の成形面104が接近するので、成形荷重が極端に上昇し金型寿命が悪化するので、浅く設定することが望ましい。
図4と図5により本発明の後方押出用ダイスについて説明する。
ダイス61は、中空ピストン3の外周面33を成形する第1キャビティ62を有する上型70と、中空ピストン3の底面37を成形するキャビティ底面64と、底面37の突起38を成形する凹部65と、底面37と外周面33を繋ぐR部39を成形するR面66と、R部39に接するテーパ面40を成形するテーパ面67とを一体で形成した第2キャビティ63を有する下型71とが個別に製作される。
上型70は第1キャビティ62を形成する上金型72を補強するために第1補強部材74と第2補強部材75により2重に焼嵌めしている。
下型71は第2キャビティを形成する下金型73を補強するために第3補強部材76により1重に焼嵌めしている。
上記、焼嵌めによる補強は、例えばテーパ圧入による補強でも可能である。
上型70の第2補強部材75の下部内周77は、下型71を下型外周78と圧入で勘嵌されるように設定され、下型分割面79と上型分割面80を突き当てた状態で仮固定される。上記、圧入は締代が小さい焼嵌めでも構わない。
上型70の下部内周77開口側には円周溝81を形成しておき、一方、円周溝81に対面する下型71の位置に切欠き82を形成しておき、切欠き82と略同形状のリング状の結合部材83を切欠き82に埋設し、この結合部材83の端面84を、治具(図示せず)を使用してプレスにて押圧し、結合部材83の材料を円周溝81に塑性流動させて、下型71を上型70に固定する。このとき、分割部69には、結合部材83を押圧したときに伝達される圧縮応力が残留応力85として残るので、ピストン素材53成形時、分割部69の開きを防止できるしくみになっている。
ダイス61の分割部69について詳しく説明する。
ダイス61において、上型分割面80における第1キャビティ径D1は、下型分割面79における第2キャビティ径D2よりも大きく設定されており、分割部には段差δが形成されていることが特徴としている。
この段差δの目的を説明する。
このダイス61の第1キャビティ62に図3ブランク51が投入されパンチ111がブランク51を押圧し後方押出が始まる。後方押出始めは、第2キャビティ63とパンチ成形端面114の距離は離れているので、成形荷重は第1キャビティ62と第2キャビティ63内に分散される。よって、第2キャビティ63のR面66とテーパ面67は角肉部であるので、材料の充填も進まないし、材料の流れも少ない。
しかし、パンチ111の押圧が進み、底厚tが薄くなるにしたがい、パンチ111の押圧により伝達される成形荷重の殆どは第2キャビティ62で受けることになる。
同時に第2キャビティ62のR面66とテーパ面67にも材料の充填が進み、矢印で示す材料流れ86が発生する。
このとき、下型71は、軸方向に潰されると同時に、第2キャビティ径D2が拡大される。拡大した第2キャビティ径D2は、第1キャビティ径D1より小さく、段差δが僅かに確保されていれば、材料流れが堰き止められることは無い。
仮に、第2キャビティ径D2が第1キャビティ径D1より大きく、段差δがマイナスになった場合は、このテーパ面67表面を流れていた材料は第1キャビティ62の上型分割面80に堰き止められて内部隙間87に進入し、成形を繰返すうちに蓄積し、分割部69が開いてしまい成形不可能となる。また、成形したピストン素材53の外周面33にはカジリが発生する。
したがって、材料流れ86を正常に保つためには、予めこの段差δを設定することが必要である。
段差δは大きく設定しすぎるとピストン素材53の外周面33にその段差跡が残り、正常な材料流れを保てないが、実施例では、δ=0.06mm程度で正常な材料流れ86を得られたが、種々条件により変化するので実験的に求めることが望ましい。
次に、この段差δの形成方法であるが、通常、焼嵌めによる製作を考えた場合、上金型と下金型を同一の補強リングで焼嵌めにより補強した後、そのキャビティ内径を研削あるいは放電加工で仕上げることになるので、加工工具や電極の位置が分割面とずれたり、ダレ形状になったりして、分割面に微小段差の加工・仕上げは困難である。
しかし、上記に説明したように、第1キャビティ62を有する上型70と、第2キャビティ63を有する下型71とを個別に製作し寸法を管理、圧入と結合部材83による塑性結合を利用することによりダイス61とすることで、分割部69に段差δを形成することが可能となった。
次に、分割部69から内部隙間87へ進入する成形用潤滑材121をダイス61から排出する方法を説明する。
この成形用潤滑材121はブランク51に施されたボンデ処理が挙げられる。ボンデ処理後のブランク51の表面には粉状の固体潤滑剤が塗されている。
この固体潤滑剤は成形時、高圧化され液状になり分割部69から内部隙間87に進入するが、その後、固体に戻り分割隙間87に蓄積し分割部69が開いてしまう問題がある。
実施例では、ダイス61の内部隙間87から外周方向へ放射状に開けられた複数の空孔88(第1の空孔)と、下型71の第3補強部材76に円周上に軸方向に開けられた複数の空孔89(第2の空孔)を設け、その第2の空孔である空孔89から高圧の空気である高圧エア122を通すことにより、分割部69から内部隙間87へ進入する成形用潤滑材121を高圧エア122と共に外部に排出するようにしている。
また、この高圧エア122は、ダイス61の温度上昇を防止にも役立てられる。
以上により、本発明の後方押出用のダイス61にて成形されるディスクブレーキ用の中空ピストン3は、略カップ形状の外周面33と底面37とを繋ぐ角部にR部39とテーパ面40を後方押出と同時に成形することができるので、無切削化が可能で切削工程を削減し低コスト化が図れる。
また、本発明の後方押出用のダイス61にて成形されるディスクブレーキ用の中空ピストン3は、上記R部39には材料のマクレ込み等の発生がなく、材料の流れが連続しており、塑性流動が良好なので品質の安定化が図れる。
さらに、本発明の後方押出用のダイス61にて成形されるディスクブレーキ用の中空ピストン3は、塑性流動が良好なので、分割部69に材料の噛み込みがない上に、分割部69と内部隙間87に入り込んだ成形用潤滑材121は排出可能なので、内部隙間87に成形用潤滑材121の蓄積がないので、分割部69が開くことが無く型寿命も良好である。
1 キャリパ
2 シリンダ
3 中空ピストン
4 液圧室
5 液導入穴
6、7 摩擦パッド
9 ブーツ取付溝
10 ピストンブーツ
11 シール取付溝
12 シール部材
13、32 底部
31 筒部
33 外周面
34 押圧面
35 内周空間
36 内周面
37 底面
38 突起
39 R部
40 テーパ面
41 内周底面
42 凹部
51 ブランク
53 ピストン素材
61 ダイス
70 上型
71 下型
83 結合部材
91 受圧台
101 カウンターパンチ
102 カウンターパンチ外周
103 排出方向
104 カウンターパンチ成形面
111 パンチ
112 押圧方向
113 成形面
114 パンチ成形端面

Claims (6)

  1. ディスクブレーキ用の中空ピストンを後方押出で成形する成形ダイスであって、
    前記中空ピストンは、筒部と、前記筒部の一端に形成された底部と、を有するカップ形状をしており、前記筒部の外周面と前記底部の底面を繋ぐ部分は、前記底面に接する曲率部と、前記曲率部に接し、前記外周面と一定の角度で交差するテーパ面と、で形成され、
    前記外周面を成形する第1キャビティを有する上型と、前記上型と分離され、前記テーパ面と前記曲率形状と前記底面を成形する第2キャビティを有する下型と、を有し、
    前記上型の上型分割面における第1キャビティ径は、前記下型の下型分割面における第2キャビティ径よりも大きく設定され、
    前記上型と前記下型の分割部に段差が形成され、
    前記上型と前記下型は、前記段差を形成するための接触部をそれぞれ有し、
    前記接触部には、前記上型と前記下型との間に生じる残留応力が生じる成形ダイス。
  2. 請求項1記載の成形ダイスであって、
    前記上型分割面と前記下型分割面との間に設けられかつ成型用潤滑材を収納する空間が設けられる成形ダイス。
  3. 請求項1または2に記載の成形ダイスであって、
    前記上型と前記下型との間に固定されることにより前記残留応力を保持させる結合部材を備える成形ダイス。
  4. 請求項1記載の成形ダイスであって、
    前記中空ピストンの底面に複数の突起が形成され、
    前記複数の突起は、前記第2キャビティの第2キャビティ底面に設けた複数の凹部により形成され、
    前記第2キャビティは、前記複数の凹部とテーパ成形面と曲率成形面と前記底面が一体で形成された成形ダイス。
  5. 請求項1または請求項2記載の成形ダイスであって、
    前記上型と前記下型の分割隙間から外周方向へ放射状に開けられた第1の空孔と、前記下型の補強部材に軸方向に開けられた第2の空孔と、を有し、
    成形時に前記分割隙間から進入した成形用潤滑材を、前記第2の空孔に高圧の空気を通して、外部に排出可能にした成形ダイス。
  6. 請求項4記載の成形ダイスを使用したディスクブレーキ用の中空ピストンの成形方法であって、
    前記中空ピストンの前記凹部は、前記第2キャビティ底面に設けた前記凹部の内周中心に摺動可能に設置されたカウンターパンチにより成形された中空ピストンの成形方法。
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