JP5796538B2 - 電磁弁装置および液圧ブレーキシステム - Google Patents

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本発明は、開弁状態と閉弁状態とが切り換え可能な電磁弁とその電磁弁の状態を制御するコントローラとを含んで構成される電磁弁装置に関し、その電磁弁装置を含んで構成される液圧ブレーキシステムに関する。
下記特許文献1には、複数の電磁弁を含んで構成される電子制御式の液圧ブレーキシステムが記載されている。それら複数の電磁弁の中には、正常時において常時通電されて、システムの電子制御を可能とするとともに、システムへ通電不能な失陥が生じた場合に非通電状態とされることで、機械的にブレーキを作動させるためのものが存在する。液圧ブレーキシステムの他にも、電磁弁とその電磁弁の状態を制御するコントローラとを含んで構成される電磁弁装置が搭載される種々のシステムが存在する。
特開2011−156998号公報
電磁弁は、弁座と、その弁座に対して着座・離座可能なプランジャと、そのプランジャを付勢する付勢部材と、プランジャを移動させるための磁界を形成するコイルとを含んで構成される。その付勢部材が弁座に接近させる方向に付勢する構成の電磁弁、つまり、常閉の電磁弁である場合には、例えば、高圧側の液圧が高くなり、プランジャに大きな力が作用すると、プランジャが開弁してしまうという問題がある。また、それに対処するために、付勢部材の弾性力を大きくしておくと、コイルへの通電によって開弁する場合に、大きな電磁力が必要となり、消費電力の増加、コイルの発熱等が問題となる。また、先にも述べたように、液圧ブレーキシステムには、複数の電磁弁が用いられており、その一部のものに失陥が生じた場合には、システム自体を正常に作動させることができない。そのため、上記の電磁弁装置の抱える問題は、液圧ブレーキシステムの問題でもあると言える。したがって、そのような問題に対処することにより、電磁弁装置の実用性を向上させ、電磁弁装置を含んで構成される液圧ブレーキシステムの実用性を向上させ得ると考えられる。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、実用性の高い電磁弁装置および実用性の高い液圧ブレーキシステムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の電磁弁装置は、(A)弁座と、その弁座に対して着座・離座可能なプランジャと、そのプランジャを弁座に着座させる方向に自身の弾性力によって付勢する付勢部材と、プランジャを弁座から離座させる方向に付勢するための磁界を形成する第1コイルと、プランジャを弁座に着座させる方向に付勢するための磁界を形成する第2コイルとを有する電磁弁と、(B)第1コイルと第2コイルとに個別に通電可能とされ、それら第1コイルおよび第2コイルへの通電によって電磁弁の状態を制御するコントローラとを備え、(I)第1コイルに通電せず、第2コイルに通電して、その第2コイルへの通電に依拠してプランジャを弁座に着座させる通電閉弁状態と、(II)第1コイルと第2コイルとの両者に通電せず、その第2コイルへの通電に依拠せずにプランジャを前記弁座に着座させる非通電閉弁状態とを選択的に実現するように構成されたことを特徴とする。
また、本発明の液圧ブレーキシステムは、(A)運転者によって操作されるブレーキ操作部材と、(B)車輪に対応して設けられ、自身に供給される作動液の液圧によって作動して車輪に制動力を付与するブレーキ装置と、(C)高圧源を有してその高圧源の作動液の液圧をブレーキ操作部材になされた操作に基づいた大きさの制御圧に調圧する調圧装置と、(D)(a)ブレーキ装置に供給する作動液を加圧するための加圧ピストンと、(b)ブレーキ操作部材に加えられた操作力によって作動液が加圧され、加圧ピストンを前向きに押す力を発生させるための操作入力室と、(c)調圧装置からの調圧された作動液が流入し、加圧ピストンを前向きに押す力を発生させるための制御圧入力室と、(d)操作入力室と対向して設けられ、内部の作動液の液圧によって加圧ピストンを後向きに押す力を発生させるための対向室とを備え、ブレーキ装置に加圧された作動液を供給するシリンダ装置と、(E)操作入力室と対向室とを連通する連通路と、(F)上記の電磁弁装置とを備え、その電磁弁装置が有する電磁弁が、連通路に設けられて(i)プランジャを弁座から離座させて連通路を開通させ、操作入力室の加圧ピストンを前向きに押す力を対向室の加圧ピストンを後向きに押す力によって打ち消すことで、制御圧入力室の加圧ピストンを前向きに押す力に依存した大きさの制動力を発生させる制御圧依存制動状態と、(ii)プランジャを弁座に着座させて連通路を遮断し、対向室が低圧源に接続されることで、制御圧入力室の加圧ピストンを前向きに押す力と、操作入力室の加圧ピストンを前向きに押す力との両者に依存した大きさの制動力を発生させる制御圧・操作力依存制動状態とを切り換えるものとされる。
本発明の電磁弁装置は、電磁弁が有するプランジャに対して、弁座から離座させる向きの力を作用させるだけでなく、弁座に着座させる向きの力をも作用させることが可能である。換言すれば、本項に記載の電磁弁装置は、付勢部材の弾性力と第2コイルの電磁力とを共同させて、閉弁状態を実現することが可能であり、確実に閉弁状態を維持することが可能である。また、付勢部材の弾性力と第2コイルの電磁力とを共同させることが可能であるため、その弾性力を従来の電磁弁装置の弾性力より小さくすることができ、開弁させるべくプランジャを作動させる際の電磁力を小さくすることができる。したがって、本発明の電磁弁装置によれば、消費電力を抑制するとともに、発熱を抑制することが可能である。そのような利点を有することで、本発明の電磁弁装置およびその電磁弁装置を備える液圧ブレーキシステムは、実用性の高いものとなる。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から何某かの構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
なお、以下の各項において、(1)項,(3)項,(4)項を合わせたものが請求項1に相当し、請求項1に(5)項の技術的特徴を付加したものが請求項2に、請求項2に(6)項の技術的特徴を付加したものが請求項3に、請求項1ないし請求項3のいずれか1つに(7)項の技術的特徴を付加したものが請求項4に、それぞれ相当する。
(1)(a)弁座と、(b)その弁座に対して着座・離座可能なプランジャと、(c)そのプランジャを前記弁座に着座させる方向に自身の弾性力によって付勢する付勢部材と、(d)前記プランジャを前記弁座から離座させる方向に付勢するための磁界を形成する第1コイルと、(e)前記プランジャを前記弁座に着座させる方向に付勢するための磁界を形成する第2コイルとを有する電磁弁と、
前記第1コイルと前記第2コイルとに個別に通電可能とされ、それら第1コイルおよび第2コイルへの通電によって前記電磁弁の状態を制御するコントローラと
を備えた電磁弁装置。
本項に記載の電磁弁装置は、常閉の電磁弁を含んで構成されるものを前提としている。その常閉の電磁弁が、2つのコイルを有することを特徴とし、さらに、それら2つのコイルの各々が、通電されることによって互いに逆向きの電磁力を発生させることを特徴としている。つまり、本項に記載の電磁弁装置は、電磁弁が有するプランジャに対して、弁座から離座させる向きの力を作用させるだけでなく、弁座に着座させる向きの力をも作用させることが可能である。換言すれば、本項に記載の電磁弁装置は、付勢部材の弾性力に抗してプランジャを移動させる、つまり、開弁状態を実現するだけでなく、付勢部材の弾性力と第2コイルの電磁力とを共同させて、プランジャを着座させる、つまり、閉弁状態を実現することが可能である。付勢部材の弾性力と第2コイルの電磁力とを共同させて閉弁状態を実現可能であるため、後に詳しく説明するように、プランジャに作用する液圧が高い場合であっても、その第2コイルの電磁力を利用して、確実に閉弁状態を維持することが可能である。
また、換言すれば、プランジャを着座させる力が、付勢部材の弾性力に加えて、第2コイルの電磁力をも利用できるため、本項に記載の電磁弁装置は、付勢部材の弾性力のみでプランジャを着座させる構成の従来の電磁弁装置に比較して、付勢部材の弾性力を小さくすることができる。つまり、本項に記載の電磁弁装置は、開弁状態とする際に、その小さな弾性力に抗してプランジャを移動させる力,その移動させた位置で保持する力が、従来の電磁弁装置に比較して、小さくて済む。したがって、本項に記載の電磁弁装置によれば、開弁状態を実現するために第1コイルに通電する電流を小さくすることができ、電力消費を抑えること、コイルの発熱を抑えることが可能である。本項に記載の電磁弁装置は、常時通電して開弁状態を実現する構成の電磁弁装置に、特に有効である。
(2)前記コントローラが、
前記第2コイルに通電せず、前記第1コイルに通電して、前記付勢部材の弾性力に抗して前記プランジャを前記弁座から離座させた開弁状態を実現するように構成された(1)項に記載の電磁弁装置。
本項に記載の態様は、開弁状態を実現する際に通電するコイルを明確化した態様であり、開弁状態を実現する際には、第2コイルには通電しないようになっている。
(3)前記コントローラが、
前記第1コイルに通電せず、前記第2コイルに通電して、その第2コイルへの通電に依拠して前記プランジャを前記弁座に着座させる通電閉弁状態を実現するように構成された(1)項または(2)に記載の電磁弁装置。
先にも述べたように、当該電磁弁装置が有する電磁弁は、常閉のものを前提としているため、第1コイルおよび第2コイルへ通電していない状態であれば、閉弁状態となる。しかしながら、電磁弁の高圧側の液圧が高くなり、プランジャの先端に作用する力が大きくなると、その力が付勢部材の弾性力より大きくなって電磁弁が開弁してしまう虞がある。本項に記載の態様は、付勢部材の弾性力と第2コイルの電磁力とを共同させて、閉弁状態を実現するため、閉弁状態を確実に維持することが可能である。
(4)前記コントローラが、
前記通電閉弁状態と、前記第1コイルと前記第2コイルとの両者に通電せず、その第2コイルへの通電に依拠せずに前記プランジャを前記弁座に着座させる非通電閉弁状態とを選択的に実現するように構成された(3)項に記載の電磁弁装置。
本項に記載の態様によれば、必要な場合にのみ第2コイルへ通電して、閉弁状態を維持することが可能であり、消費電力を抑制することが可能である。本項の態様は、付勢部材の弾性力のみでは閉弁状態を維持できない状況下において、通電閉弁状態を実現するように構成することができる。その弾性力のみでは閉弁状態を維持できない状況下にあるか否かは、例えば、プランジャに作用する液圧の高さや、その液圧の高さを指標するものを用いて判定することができる。つまり、本項の態様は、後に詳しく説明するように、プランジャに作用する液圧の高さに基づいて、通電閉弁状態と非通電閉弁状態とのいずれかを実現する構成とすることが可能である。
(5)前記コントローラが、
前記プランジャに作用する高圧側の液圧の高さに基づいて、前記非通電閉弁状態と前記通電閉弁状態とのいずれかを実現するように構成された(4)項に記載の電磁弁装置。
(6)前記コントローラが、
前記プランジャに作用する高圧側の液圧が設定圧以下である場合に、前記非通電閉弁状態を実現し、前記プランジャに作用する高圧側の液圧が前記設定圧を超える場合に、前記通電閉弁状態を実現するように構成された(5)項に記載の電磁弁装置。
上記2つの項に記載の態様は、非通電閉弁状態と通電閉弁状態とを切り換える指標を限定した態様である。それらの態様によれば、前述のように、プランジャに作用する液圧の高さに基づいて、第2コイルへの通電を、必要な場合にのみ行って、閉弁状態を維持することが可能であり、消費電力を抑制することが可能である。
(7)運転者によって操作されるブレーキ操作部材と、
車輪に対応して設けられ、自身に供給される作動液の液圧によって作動して車輪に制動力を付与するブレーキ装置と、
高圧源を有してその高圧源の作動液の液圧を前記ブレーキ操作部材になされた操作に基づいた大きさの制御圧に調圧する調圧装置と、
(a)前記ブレーキ装置に供給する作動液を加圧するための加圧ピストンと、(b)前記ブレーキ操作部材に加えられた操作力によって作動液が加圧され、前記加圧ピストンを前向きに押す力を発生させるための操作入力室と、(c)前記調圧装置からの調圧された作動液が流入し、前記加圧ピストンを前向きに押す力を発生させるための制御圧入力室と、(d)前記操作入力室と対向して設けられ、内部の作動液の液圧によって前記加圧ピストンを後向きに押す力を発生させるための対向室とを備え、前記ブレーキ装置に加圧された作動液を供給するシリンダ装置と、
前記操作入力室と前記対向室とを連通する連通路と、
(1)項ないし(6)項のいずれか1つに記載の電磁弁装置と
を備えた液圧ブレーキシステムであって、
前記電磁弁装置が有する前記電磁弁が、
前記連通路に設けられ、前記プランジャが前記弁座から離座して前記連通路を開通させた状態と、前記プランジャが前記弁座に着座して前記連通路を遮断した状態とを切り換えるものであり、(i)前記連通路を開通して、前記操作入力室の前記加圧ピストンを前向きに押す力を前記対向室の前記加圧ピストンを後向きに押す力によって打ち消すことで、前記制御圧入力室の前記加圧ピストンを前向きに押す力に依存した大きさの制動力を発生させる制御圧依存制動状態と、(ii)前記連通路を遮断し、前記対向室が低圧源に接続されることで、前記制御圧入力室の前記加圧ピストンを前向きに押す力と、前記操作入力室の前記加圧ピストンを前向きに押す力との両者に依存した大きさの制動力を発生させる制御圧・操作力依存制動状態とを切り換えるものとされた液圧ブレーキシステム。
本項に記載の態様は、当該電磁弁装置を液圧ブレーキシステムに採用した態様である。液圧ブレーキシステムにおいては、通常時に、上記の制御圧依存制動状態が実現され、急ブレーキ等の早期に大きなブレーキ力が必要な場合に、上記の制御圧・操作力依存制動状態が実現される。つまり、連通切換弁が常閉弁である場合、通常時において、開弁状態となるように、コイルに通電される。先にも述べたように、当該電磁弁装置は、コイルの発熱を抑えるとともに消費電力を抑制できるため、上記のような常時通電される電磁弁には、特に有効である。
なお、本項に記載態様は、例えば、加圧ピストンにおける操作入力室の受圧面積と、対向室の受圧面積とを等しくすることで、操作入力室の加圧ピストンを前向きに押す力を対向室の加圧ピストンを後向きに押す力によって打ち消すことができ、上記制御圧依存制動状態を実現することができる。
請求可能発明の実施例である電磁弁装置を含んで構成される車両用液圧ブレーキシステムの概略図である。 図1に示す連通切換弁の正面断面図である。 図1に示すブレーキ電子制御ユニットの機能を示すブロック図であり、請求可能発明の実施例である電磁弁装置が有するコントローラの構成を示す図である。 図3に示すコントローラによって電磁弁の状態を変更した一例を示すタイムチャートである。 図3に示すブレーキ電子制御ユニットにおいて実行される連通弁通電制御プログラムを表すフローチャートである。
以下、請求可能発明を実施するための形態としての実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。また、〔発明の態様〕の各項の説明に記載されている技術的事項を利用して、下記の実施例の変形例を構成することも可能である。
<車両用液圧ブレーキシステムの構成>
図1に、請求可能発明の実施例である電磁弁装置を搭載した車両用液圧ブレーキシステム10を、模式的に示す。その車両用液圧ブレーキシステム10は、ブレーキ操作部材としてのブレーキペダル12と、前後左右の車輪14にそれぞれ設けられた4つのブレーキ装置16と、それら4つのブレーキ装置16に供給する作動液を加圧するマスタシリンダ装置18と、ブレーキ装置16とマスタシリンダ装置18との間に設けられてマスタシリンダ装置18によって加圧された液圧を調整するアンチロック装置20とを備えている。また、マスタシリンダ装置14は、高圧源として作動液の圧力を高圧にするための高圧源装置22と、低圧源として作動液を大気圧下で貯留するリザーバ24とを備えている。
4つのブレーキ装置16は、詳しい説明は省略するが、それぞれ、車輪14とともに回転するブレーキ回転体としてのディスクロータに、非回転体に保持された摩擦材としてのブレーキパッドをブレーキシリンダの液圧によって押し付けて、車輪14に制動力を付与するディスクブレーキである。
アンチロック装置20は、ブレーキ装置16の液圧を増圧および保持するための保持弁と、ブレーキ装置16の液圧を減圧するための減圧弁との各々を、4つの車輪14に対応して4つずつ有している。そのアンチロック装置20は、例えば、車輪14がロックした場合に、保持弁によって、マスタシリンダ装置18からブレーキ装置16への作動液の流れを遮断するとともに、減圧弁によって、ブレーキ装置16からリザーバ24への作動液の流れを許容して、車輪のロックを解除するように構成される。
高圧源装置22は、高圧発生装置30と増減圧装置32とを含んで構成され、高圧発生装置30によって作動液の液圧を高圧とし、その高圧とされた作動液を増減圧装置32によって調圧してマスタシリンダ装置18に供給するものである。高圧発生装置30は、リザーバ24から作動液を汲み上げるポンプ40と、そのポンプ40を駆動するポンプモータ42と、ポンプ40から吐出された作動液を加圧された状態で蓄えるアキュムレータ44とを含んで構成される。ポンプモータ42は、アキュムレータ44に蓄えられている作動液の圧力が、高圧源液圧センサ[Ph]46の検出値に基づいて、予め定められた範囲内にあるように制御される。
増減圧装置32は、高圧発生装置30によって定められた範囲内に高められた作動液の液圧を調圧するレギュレータ50を主体とするものである。そのレギュレータ50は、自身に供給される作動液の液圧(パイロット圧)に応じて機械的に作動するパイロット式の圧力制御弁であり、そのパイロット圧に応じて高圧発生装置30の液圧を調圧し、その調圧した作動液をマスタシリンダ装置18に供給するものである。また、増減圧装置32は、増圧用リニア弁52および減圧用リニア弁54を含んで構成される。通常、レギュレータ50は、それら増圧用リニア弁52および減圧用リニア弁54によって調整された作動液の液圧をパイロット圧として利用し、高圧発生装置30の液圧を調圧するようになっている。
マスタシリンダ装置18は、上記の高圧源装置22から供給される作動液の液圧と、ブレーキペダル12に加えられた踏力との少なくとも一方に依拠して、自身が有する2つの加圧室R1,R2の液圧を加圧する。なお、加圧室R1は、2つの前輪14FL,FRに設けられたブレーキ装置16FL,FRに接続され、加圧室R2は、2つの後輪14RL,RRに設けられたブレーキ装置16RL,RRに接続される。マスタシリンダ装置18は、ハウジング60と、そのハウジング60内に摺動可能な3つのピストン62,64,66とを含んで構成される。3つのピストンについて詳しく説明すれば、運転者によりブレーキペダル12に加えられた踏力を入力する入力ピストン62と、第1加圧室R1を加圧するための第1加圧ピストン64と、第2加圧室R2を加圧するための第2加圧ピストン66である。ちなみに、図1は、ブレーキペダル12が操作されていない状態、つまり、マスタシリンダ装置18が作動していない状態を示している。
マスタシリンダ装置18は、ハウジング60内に、上記第1加圧室R1,第2加圧室R2の他にも、いくつかの液室が区画形成されている。なお、第1加圧室R1は、ハウジング60の前端と第1加圧ピストン64とによって区画形成され、第2加圧室R2は、第1加圧ピストン64と第2加圧ピストン66との間に区画形成されている。そして、入力ピストン62と第2加圧ピストン66との間には、ブレーキペダル12の操作に伴う入力ピストン62の移動によって加圧される操作入力室R3が区画形成されている。また、第2加圧ピストン66には、中間部に鍔部70が設けられており、その鍔部70の前方側と後方側との各々に、液室R4,R5が形成されている。鍔部70の後方側の液室R4は、その鍔部70の後方側の面とハウジング60とによって区画形成され、高圧源装置22のレギュレータ50によって調圧された作動液が流入する制御圧入力室である。一方、鍔部70の前方側の液室R5は、その鍔部70の前方側の面,第2加圧ピストン66の前方側外周面,ハウジング60によって区画形成され、操作入力室R3に連通可能な連通室である。なお、第2加圧ピストン66の後端面の面積と、鍔部70の前方側の面の面積とが等しくされている。つまり、操作入力室R3と連通室R5とが連通している場合には、第2加圧ピストン66の後端面に作用する第2加圧ピストン66を前方に移動させる向きの力と、鍔部70の前方側の面に作用する第2加圧ピストン66を後方に移動させる向きの力とが釣り合うようになっている。
操作入力室R3と連通室R5とを連通する連通路78には、常閉の電磁弁80が設けられている。その電磁弁80は、非通電状態において操作入力室R3から連通室R5への作動液の流れを禁止し、通電状態において操作入力室R3から連通室R5への作動液の流れを許容するものである。そのような構成により、電磁弁80が非通電状態、つまり、電磁弁80が閉弁状態においては、第2加圧ピストン66は、操作入力室R3の液圧に応じた力と、制御圧入力室R4の液圧に依拠した力との両者によって動作させられる。つまり、ブレーキペダル12の操作に依拠した力と、高圧源装置22に依拠した力との両者が作用するのである。一方、電磁弁80が通電状態、つまり、電磁弁80が開弁状態においては、操作入力室R3の液圧に応じた力は、連通室R5の液圧に応じた力と打ち消し合い、第2加圧ピストン66は、制御圧入力室R4の液圧に依拠した力のみによって動作させられることになる。以下の説明において、電磁弁80を、連通切換弁80と呼ぶ場合がある。
また、上記の連通路78における連通切換弁80の下流側から分岐して、リザーバ24に連通する低圧路88が設けられている。その低圧路88には、非通電状態おいて開弁状態となる常開の電磁弁90が設けられている。つまり、その電磁弁90は、非通電状態において、連通室R5からリザーバ24への作動液の流れを許容し、通電状態において、連通室R5からリザーバ24への作動液の流れを禁止する。また、その低圧路88における電磁弁90の上流側には、ストロークシミュレータ92が設けられている。つまり、連通切換弁80が開弁状態であり、かつ、電磁弁90が閉弁状態である場合に、ブレーキペダル12の操作に対する反力を付与するようになっている。以下の説明において、電磁弁90を、シミュレータ制御弁90と呼ぶこととする。
次に、連通切換弁80の構造について、図2を参照しつつ説明する。その連通切換弁80は、中空形状のハウジング100と、そのハウジング100内に自身の軸線方向に移動可能に設けられたプランジャ102とを備えている。そのハウジング100は、それの下端部が、有蓋円筒状の弁部材104により形成されており、その弁部材104が、ハウジング100内を第1液室106と第2液室108とに区画している。その弁部材104には、軸線方向に貫通し、第1液室106と第2液室108とを連通する連通穴110が設けられている。
そして、ハウジング102の第2液室108は、下方に開口しており、高圧側の作動液路に接続されている。つまり、第2液室108は、操作入力室R3と連通している。一方、ハウジング100の第1液室106は、低圧側の作動液路に接続されている。つまり、第1液室106は、連通室R5と連通するとともに、シミュレータ制御弁90を介してリザーバ24と連通可能となっている。
プランジャ102は、上記のハウジング100の第1液室106内に収容されており、その第1液室16内において軸線方向に移動可能とされている。そのプランジャ102は、下端側がロッド状のものであり、その先端(下端)が、弁部材104に形成された連通穴110に向かい合うようにされている。つまり、そのプランジャ102の下端が、弁体として機能し、ハウジング100の連通穴110を形成する部分が、弁座として機能する。そして、プランジャ102の下端が、その弁座に着座することで、連通穴110が塞がれる。プランジャ102は、ハウジング100の上端との間に配設されたコイルスプリング120によって、そのハウジング100の上端から離れる方向に向かって付勢されている。つまり、付勢部材としてのコイルスプリング120は、プランジャ102を弁座に接近させる方向に付勢し、連通穴110をプランジャ102によって塞ぐようになっている。
また、連通切換弁80は、プランジャ102を動作させるための電磁力を発生させる2つのコイル130,132(図3参照)を備えている。詳しい図示は省略するが、それら2つのコイル130,132は、2本の導線を合わせた状態で螺旋状に巻かれ、一体的に形成されている。そして、それら2つのコイル130,132は、ハウジング100の上部外周面に固定されたコイルケース134内に収容されている。そして、それら2つのコイル130,132の各々は、通電された場合に、互いに逆向きに電流が流れるように接続されている。したがって、第1コイル130は、プランジャ102がコイルスプリング120によって付勢される方向とは逆方向の電磁力、つまり、プランジャ102を弁座から離間させる方向の電磁力FC1を発生させ、第2コイル132は、プランジャ102がコイルスプリング120によって付勢される方向と同じ方向の電磁力、つまり、プランジャ102を弁座に接近させる方向の電磁力FC2を発生させる。
当該液圧ブレーキシステムでは、図1に示すように、ブレーキ電子制御ユニット160(以下、「ECU160」と呼ぶ場合がある。)が設けられている。ECU160は、アンチロック装置20が有する複数の電磁弁,連通切換弁80,シミュレータ制御弁90,および高圧発生装置30が有するポンプモータ42の作動を制御する制御装置であり、各ブレーキ装置16に供給する作動液の液圧を制御するものである。ECU160は、CPU,ROM,RAM等を備えたコンピュータ162と、ポンプモータ42に対応する駆動回路164と、各種電磁弁52,54,80,90等のそれぞれに対応する複数の駆動回路166,168,170,172,174とを有している(図3参照)。それら複数の駆動回路164等には、バッテリ176が接続されており、そのバッテリ176から電力が供給される。
さらに、複数の駆動回路166等には、コンピュータ162が接続されており、コンピュータ162が、それら複数の駆動回路164等に各制御信号を送信する。詳しくは、コンピュータ162は、ポンプモータ42の駆動回路164にモータ駆動信号を送信し、増圧用リニア弁52,減圧用リニア弁54の駆動回路166,168には、各リニア弁52,54の有するソレノイドが発生させる電磁力を制御するための電流制御信号を送信する。さらに、連通切換弁80,シミュレータ制御弁90のそれぞれの駆動回路170,172に各種電磁弁を開閉するための制御信号を送信する。なお、連通切換弁80は、2つのコイル130,132を有しているため、それら2つのコイル130,132の各々に対応して2つの駆動回路170a,170bが設けられている。また、アンチロック装置20が有する複数の電磁弁の複数の駆動回路174には、各種電磁弁の開閉時間を制御するための電流制御信号を送信する。このように、コンピュータ162が各駆動回路164等に各制御信号を送信することで、ポンプモータ42、各種電磁弁52等の作動を制御する。なお、コンピュータ162には、上記高圧源液圧センサ46とともに、連通路78における連通切換弁80と操作入力室R3との間に設けられた操作入力圧センサ[PS]180、低圧路88におけるシミュレータ制御弁90と連通切換弁80との間に設けられた反力圧センサ[PR]182、ブレーキペダル12の操作量を検出するストロークセンサ[St]192等が接続されており、それらセンサによる検出値は、後に説明する制御において利用される。
<車両用液圧ブレーキシステムの作動>
以上のように構成された液圧ブレーキシステム10の作動について簡単に説明する。まず、液圧ブレーキシステム10は、通常、ブレーキペダル12になされた操作に応じて制動力を発生させるべく、高圧源装置22の制御によって、ブレーキ装置16の液圧が制御される。具体的には、まず、ECU160は、連通切換弁80を開弁状態とするともに、シミュレータ制御弁90を閉弁状態として、ブレーキペダル12に加えられた踏力が打ち消されるようにする。そして、その状態で、増圧用リニア弁52および減圧用リニア弁54を制御することで、増減圧装置32から出力される液圧、つまり、制御圧入力室R4の液圧を制御するのである。それにより、第2加圧ピストン66および第1加圧ピストン64を前方に移動させ、第1加圧室R1および第2加圧室R2が加圧され、その加圧された作動液がブレーキ装置16に供給されるのである。
ただし、急ブレーキの場合、つまり、ブレーキペダル12の操作速度が設定値を超えた場合には、高圧源装置22の液圧に依拠した力の入力だけでなく、ブレーキペダル12に加えられた踏力も入力され、大きな制動力を発生させるようになっている。具体的には、ECU160は、連通切換弁80を閉弁状態とするともに、シミュレータ制御弁90を開弁状態とするのである。それにより、制御圧入力室R4が高圧源装置22によって加圧されるだけなく、ブレーキペダル12に加えられた踏力によって操作入力室R1も加圧され、第2加圧ピストン66には、ブレーキペダル12の操作に依拠した力と、高圧源装置22に依拠した力との両者が作用することになる。つまり、第1加圧室R1および第2加圧室R2が急激に加圧され、ブレーキ装置16の液圧が急激に上昇し、大きな制動力を発生させるのである。
次に、バッテリ172からブレーキシステム10が電力供給を受けることができない失陥が生じた場合を考える。その場合には、各種電磁弁に電力を供給できないため、連通切換弁80が閉弁状態とされるとともに、シミュレータ制御弁90が開弁状態とされる。また、増圧用リニア弁52および減圧用リニア弁54は、ともに閉弁状態となり、作動液の液圧を調整することができなくなる。さらに、ポンプモータ42を駆動することができないため、ポンプ40によって作動液を汲み上げることができない。つまり、アキュムレータ44には、それ以上、作動液を蓄えさせることができないのである。なお、この場合には、レギュレータ50は、第2加圧室R2からブレーキ装置16に供給される作動液の液圧をパイロット圧として利用して、高圧発生装置30の液圧を調圧するようになっている。
したがって、上記のような失陥が生じた場合には、アキュムレータ44に作動液が蓄えられている間は、ブレーキペダル12の操作に依拠した力と、高圧源装置22に依拠した力との両者を利用して、制動力を発生させることが可能である。そして、アキュムレータ44に蓄えられていた作動液が無くなった場合には、ブレーキペダル12の操作に依拠した力のみで、制動力を発生させることとなる。
<電磁弁装置の制御>
当該車両用液圧ブレーキシステム10が有する連通切換弁80は、上述したように、2つのコイルを備えており、その連通切換弁80への通電方法に特徴を有している。そのため、以下に、その連通切換弁80の制御方法について、詳しく説明する。
まず、車両のイグニッションスイッチがON状態とされると、ECU160は、連通切換弁80に通電して開弁状態とするとともに、シミュレータ制御弁90に通電して閉弁状態とする。連通切換弁80について詳しく言えば、第2コイル132に通電せず、第1コイル130に通電して開弁状態とするのである。なお、開弁状態を実現する際には、プランジャを移動させるのに必要な電流である移動電流を通電し、プランジャが移動した後に、プランジャを移動させた位置で保持するために必要な電流であり、移動電流より小さな保持電流を通電するようになっている。
先にも述べたように、急ブレーキの場合には、ECU160は、連通切換弁80を閉弁状態とするともに、シミュレータ制御弁90を非通電として開弁状態とする。連通切換弁80について、詳しく説明する。連通切換弁80は、第2コイル132に通電されることで、プランジャ102を弁座に接近させる方向の電磁力FC2を発生させることが可能に構成されている。つまり、連通切換弁80は、第1コイル130と第2コイル132との両者に通電せず、コイルスプリング120の弾性力FSのみによってプランジャ102を弁座に着座させる非通電閉弁状態を実現可能なのに加えて、第1コイル130に通電せず、第2コイル132に通電して、コイルスプリング120の弾性力FSと第2コイル132が発生させる電磁力FC2との両者によってプランジャ102を弁座に着座させる通電閉弁状態を実現可能とされている。
なお、非通電閉弁状態と通電閉弁状態とは、プランジャ102に作用する高圧側の液圧の高さ、つまり、操作入力圧センサ180により検出された操作入力圧PSに基づいて、変更されるようになっている。具体的に言えば、ECU160は、操作入力圧PSが、設定値P0以下である場合に、非通電閉弁状態を実現し、設定値P0を超えた場合に、通電閉弁状態を実現するようになってる。図4には、操作入力圧PS,第1コイル130の通電電流,第2コイル132の通電電流のタイムチャートを示している。なお、設定値P0は、コイルスプリング120の弾性力FSと釣り合う大きさの液圧より僅かに小さな値に設定されている。つまり、液圧に依拠してプランジャ102に作用する力FFが、コイルスプリング120の弾性力FSを超える前に、第2コイル132への通電が開始され、プランジャ102を着座させる方向の電磁力FC2が発生させられる。したがって、連通切換弁80は、高圧側の液圧が高くなっても、確実に閉弁状態を維持することが可能である。
なお、ブレーキシステム10において、正常にシステム10を正常に作動させることができない場合、先に述べたように、連通切換弁80は閉弁状態とされる。ただし、連通切換弁80には通電可能な失陥が生じた場合には、ECU160は、上記の通電閉弁状態を実現するようになっている。それにより、ブレーキ操作がなされて、操作入力室R3の液圧が高くなった場合であっても、確実に閉弁状態を維持することが可能である。
<電磁弁装置の特徴>
連通切換弁80は、コイルスプリング120の弾性力が、コイルが1つしかない従来の電磁弁における弾性力に比較して、小さくされている。そのような構成により、閉弁状態から開弁状態に切り換える際、コイルスプリング120の弾性力が従来のものに比較して小さいため、プランジャ120を離座させる方向の電磁力FC1も小さくされている。したがって、プランジャ102を作動させるための電流、つまり、先に述べた移動電流および保持電流を、従来の電磁弁における電流より小さくすることができ、消費電力を抑えることができるとともに、第1コイル130の発熱を抑えることができるのである。
<制御プログラム>
上述のような電磁弁の制御は、図5にフローチャートを示す連通切換弁状態制御プログラムが、イグニッションスイッチがON状態とされている間、設定された時間間隔をおいてECU160により繰り返し実行されることによって行われる。以下に、その制御のフローを、図に示すフローチャートを参照しつつ、簡単に説明する。
図5にフローチャートを示す連通切換弁状態制御プログラムでは、まず、ステップ1(以下、ステップを「S」と略す)において、ブレーキシステム10において連通切換弁80に通電可能な失陥が生じているか否かが判定され、そのような失陥が生じている場合には、S12において、通電閉弁状態が実現される。そのような失陥が生じていない場合には、S2において、ストロークセンサ192の検出値からブレーキペダル12の操作量Stが取得されるとともに、ブレーキペダル12の操作速度Vstが演算される。次に、S3において、急ブレーキフラグFのフラグ値が確認される。その急ブレーキフラグFは、開弁状態を実現する場合に、フラグ値が0とされ、閉弁状態を実現する場合に、フラグ値が1とされるものである。急ブレーキフラグFの初期値は0であるため、S4,S5はスキップされる。その場合、S6において、ブレーキ操作速度Vstが設定速度V0を超えているか否かが判定される。ブレーキ操作速度Vstが設定値V0以下である場合には、S7において、第2コイル132に通電せず、第1コイル130に通電して、開弁状態が実現される。
S6において、ブレーキ操作速度Vstが設定値V0を超えている場合には、S8において、急ブレーキフラグFのフラグ値が1とされ、S9以下において、閉弁状態を実現するための処理が実行される。詳しくは、まず、S9において、操作入力圧センサ180によって検出された操作入力圧PSを取得し、S10において、その操作入力圧PSが設定圧P0を超えているか否かの判定が行われる。操作入力圧PSが設定圧P0以下である場合には、S11において、第1コイル130および第2コイル132の両者に通電せずにプランジャ102を着座させた状態である非通電閉弁状態が実現される。また、操作入力圧PSが設定圧P0を超えた場合には、S12において、第1コイル130に通電せずに第2コイル132に通電して、プランジャ102を着座させた状態である通電閉弁状態が実現される。以上で、1回の連通切換弁状態制御プログラムの実行が終了する。
なお、開弁状態から閉弁状態に切り換えられた場合、次のプログラム実行時には、S3の判定において、急ブレーキフラグのフラグ値が1であるため、S4以下が実行される。そのS4においては、閉弁状態から開弁状態に戻すための条件として、急ブレーキ操作が終了したか否かの判定が行われる。具体的には、ブレーキペダル12の操作量Stが0となったか否かの判定が行われる。ブレーキ操作量が0でない場合には、ブレーキ操作が継続しているため、S9以下の閉弁状態を実現するための処理が実行される。一方、ブレーキ操作量が0である場合には、ブレーキ操作が終了したため、S5において、急ブレーキフラグFのフラグ値が0とされ、S6以下の処理が実行される。
<電磁弁装置の機能構成>
上述したような制御を実行するECU160のコンピュータ162は、前述した各種の処理を実行する各種の機能部を有していると考えることができる。詳しく言えば、図3に示すように、コンピュータ162は、連通切換弁状態制御プログラムのS3の処理を実行して開弁状態を実現する開弁状態実現部200と、連通切換弁状態制御プログラムのS4以下の処理を実行して閉弁状態を実現する閉弁状態実現部202とを有している。その閉弁状態実現部202は、連通切換弁状態制御プログラムのS6の処理を実行して非通電閉弁状態を実現する非通電閉弁状態実現部210と、連通切換弁状態制御プログラムのS7の処理を実行して通電閉弁状態を実現する通電閉弁状態実現部212とを有している。
以上のような構成から、液圧ブレーキシステム10は、互いに逆向きの電磁力を発生させる2つのコイル130,132を有する連通切換弁80とその連通切換弁80の状態を制御するコントローラ220とを備えた電磁弁装置230を含んで構成されている。その電磁弁装置230が有するコントローラ220は、連通切換弁80の2つのコイル130,132への通電を制御することで、開弁状態,非通電閉弁状態,通電閉弁状態を切り換えるものであり、上述した開弁状態実現部200、閉弁状態実現部202、連通切換弁80の2つのコイル130,132に対応する2つの駆動回路170a,170bを含んで構成されているのである。
10:車両用液圧ブレーキシステム 80:連通切換弁〔電磁弁〕 90:シミュレータ制御弁〔電磁弁〕 102:プランジャ 104:弁部材〔弁座〕 120:コイルスプリング〔付勢部材〕 130:第1コイル 132:第2コイル 160:ブレーキ電子制御ユニット[ECU] 162:コンピュータ 164〜174:駆動回路 176:バッテリ 200:開弁状態実現部 202:閉弁状態実現部 210:非通電閉弁状態実現部 212:通電閉弁状態実現部 220:コントローラ 230:電磁弁装置 R3:操作入力室 R4:制御圧入力室 R5:連通室〔対向室〕

Claims (4)

  1. (a)弁座と、(b)その弁座に対して着座・離座可能なプランジャと、(c)そのプランジャを前記弁座に着座させる方向に自身の弾性力によって付勢する付勢部材と、(d)前記プランジャを前記弁座から離座させる方向に付勢するための磁界を形成する第1コイルと、(e)前記プランジャを前記弁座に着座させる方向に付勢するための磁界を形成する第2コイルとを有する電磁弁と、
    前記第1コイルと前記第2コイルとに個別に通電可能とされ、それら第1コイルおよび第2コイルへの通電によって前記電磁弁の状態を制御するコントローラと
    を備えた電磁弁装置であって、
    前記コントローラが、
    (I)前記第1コイルに通電せず、前記第2コイルに通電して、その第2コイルへの通電に依拠して前記プランジャを前記弁座に着座させる通電閉弁状態と、(II)前記第1コイルと前記第2コイルとの両者に通電せず、その第2コイルへの通電に依拠せずに前記プランジャを前記弁座に着座させる非通電閉弁状態とを選択的に実現するように構成された電磁弁装置
  2. 前記コントローラが、
    前記プランジャに作用する高圧側の液圧の高さに基づいて、前記非通電閉弁状態と前記通電閉弁状態とのいずれかを実現するように構成された請求項1に記載の電磁弁装置。
  3. 前記コントローラが、
    前記プランジャに作用する高圧側の液圧が設定圧以下である場合に、前記非通電閉弁状態を実現し、前記プランジャに作用する高圧側の液圧が前記設定圧を超える場合に、前記通電閉弁状態を実現するように構成された請求項2に記載の電磁弁装置。
  4. 運転者によって操作されるブレーキ操作部材と、
    車輪に対応して設けられ、自身に供給される作動液の液圧によって作動して車輪に制動力を付与するブレーキ装置と、
    高圧源を有してその高圧源の作動液の液圧を前記ブレーキ操作部材になされた操作に基づいた大きさの制御圧に調圧する調圧装置と、
    (a)前記ブレーキ装置に供給する作動液を加圧するための加圧ピストンと、(b)前記ブレーキ操作部材に加えられた操作力によって作動液が加圧され、前記加圧ピストンを前向きに押す力を発生させるための操作入力室と、(c)前記調圧装置からの調圧された作動液が流入し、前記加圧ピストンを前向きに押す力を発生させるための制御圧入力室と、(d)前記操作入力室と対向して設けられ、内部の作動液の液圧によって前記加圧ピストンを後向きに押す力を発生させるための対向室とを備え、前記ブレーキ装置に加圧された作動液を供給するシリンダ装置と、
    前記操作入力室と前記対向室とを連通する連通路と、
    請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の電磁弁装置と
    を備えた液圧ブレーキシステムであって、
    前記電磁弁装置が有する前記電磁弁が、
    前記連通路に設けられ、前記プランジャが前記弁座から離座して前記連通路を開通させた状態と、前記プランジャが前記弁座に着座して前記連通路を遮断した状態とを切り換えるものであり、(i)前記連通路を開通して、前記操作入力室の前記加圧ピストンを前向きに押す力を前記対向室の前記加圧ピストンを後向きに押す力によって打ち消すことで、前記制御圧入力室の前記加圧ピストンを前向きに押す力に依存した大きさの制動力を発生させる制御圧依存制動状態と、(ii)前記連通路を遮断し、前記対向室が低圧源に接続されることで、前記制御圧入力室の前記加圧ピストンを前向きに押す力と、前記操作入力室の前記加圧ピストンを前向きに押す力との両者に依存した大きさの制動力を発生させる制御圧・操作力依存制動状態とを切り換えるものとされた液圧ブレーキシステム。
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