JP5796452B2 - 電子制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車に取り付けられたセンサの状態の変化を検知し、検知結果に応じた制御を行う電子制御装置に関する。
自動車に搭載された電子制御装置(ECU:Electronic Control Unit)において、マイクロプロセッサが、各種のノイズに起因して異常動作をする場合がある。そのため、従来の車載ECUは、マイクロプロセッサの動作が正常であるか否かを監視し、動作が異常なマイクロプロセッサに対してリセット信号を出力する異常監視回路を備える。
異常監視回路は、マイクロプロセッサから周期的に出力されるカウンタクリア信号が、予め定められた周期で発生するか否かを監視する。カウンタクリア信号は、正常なマイクロプロセッサの処理によって周期的に生成されるパルス信号である。さらに、異常監視回路は、カウンタクリア信号が予め定められた周期で発生しなかった場合に、マイクロプロセッサに対してリセット信号を出力する。
一方、リセット信号が供給されたマイクロプロセッサは、リセット処理を実行する。このリセット処理の実行により、マイクロプロセッサは、故障した状態ではない場合には、正常に動作する状態へ復帰する。
また、車載ECUが備えるマイクロプロセッサは、通常、自らの動作モードを通常モードと通常モードでの消費電力よりも小さな消費電力で動作する省電力モードとに選択的に切り替える機能を備える。省電力モードは、例えば、通常モードに比べて低い動作クロックで動作するとともに、本来備える機能のうちの一部が制限された動作モードである。省電力モードにおいて制限される機能は、例えば、信号の入出力ポートへアクセスする機能などである。なお、通常モードは、省電力モードにおける動作速度よりも高速で動作可能な高速動作モードと言い換えることもできる。
車載ECUにおいて、マイクロプロセッサは、通常モードにおいて、自動車が停止状態であることを示す所定の待機条件が成立したか否かを監視し、待機条件が成立した場合に、自らの動作モードを通常モードから省電力モードへ切り替える。これにより、無駄な電力消費が低減され、バッテリーの持続時間が延長される。
また、車載ECUのマイクロプロセッサは、自動車が停止状態であるときにも、自動車に取り付けられたセンサの状態の変化を検知するセンサチェック処理を行い、センサの状態変化が検知された場合には、その検知結果に応じた制御処理を行う必要がある。
例えば、車載ECUのマイクロプロセッサは、自動車が停止状態であるときにも、スマートエントリーの携帯機に対するドアの施錠操作及び解錠操作を検出するセンサの状態変化を検知し、解錠操作が検知された場合には、ドアのロックを解錠する制御を行う必要がある。
上記の理由により、車載ECUのマイクロプロセッサは、所定の待機条件が成立している場合に、動作モードを省電力モードへ切り替えた後、予め定められた周期で動作モードを省電力モードから通常モードへ一時的に切り替える処理を実行する待機状態へ移行する。以下の説明において、待機状態のマイクロプロセッサが動作モードを周期的に切り替える処理のことを定期ウェイクアップ処理と称する。また、定期ウェイクアップ処理が実行される周期のことをウェイクアップ周期と称する。
より具体的には、マイクロプロセッサは、定期ウェイクアップ処理において、動作モードを省電力モードから通常モードへ切り替えるごとに、車載センサの状態の変化を検知するセンサチェック処理を実行する。さらに、マイクロプロセッサは、定期ウェイクアップ処理において、センサチェック処理によってセンサの状態変化が検知されない場合に、動作モードを通常モードから省電力モードへ戻す。
そして、車載ECUのマイクロプロセッサは、待機状態におけるセンサチェック処理によってセンサの状態変化が検知された場合に、動作モードを省電力モードから通常モードへ切り替える。これにより、マイクロプロセッサは、待機状態から稼働状態へ移行する。なお、稼働状態は、マイクロプロセッサの動作モードが、待機条件が成立するまで通常モードに保持される状態である。
以上に示されるように、車載ECUのマイクロプロセッサは、自動車が停止状態であるときに待機状態へ移行することにより、消費電力を抑制しつつセンサの状態監視を行う。
特許文献1には、従来の車載ECUの一例が示されている。特許文献1に示されるECUは、マイクロプロセッサ及びウォッチドックタイマ回路を内蔵するマイクロコンピュータと、マイクロプロセッサの暴走を監視する暴走監視回路とを備える。
特許文献1に示されるECUにおいて、暴走監視回路は、イグニッションスイッチがONの状態であるときに、マイクロプロセッサから定期的に出力されるべきパルス信号に基づいて、マイクロプロセッサの動作が正常であるか否かを監視する第1の異常監視回路である。
また、特許文献1に示されるECUにおいて、マイクロコンピュータが内蔵するウォッチドッグタイマ回路は、イグニッションスイッチがOFFの状態であるときに、マイクロプロセッサから定期的に出力されるべきパルス信号に基づいて、マイクロプロセッサの動作が正常であるか否かを監視する第2の異常監視回路である。
特開2008−152678号公報
しかしながら、特許文献1に示されるような従来のECUは、2つの異常監視回路を必要とするため、装置が大型化及び高コスト化を招くという問題点を有している。
また、ECUのマイクロプロセッサが、待機状態において、センサチェック処理と異常監視回路に対するカウンタクリア信号の出力処理とを非同期で個別に実行した場合、マイクロプロセッサの動作モードが通常モードへ切り替わる頻度が高くなる。この場合、待機状態におけるマイクロプロセッサの消費電力が大きくなる。
本発明は、自動車に搭載される電子制御装置において、待機状態における消費電力の低減と、装置の小型化及び低コスト化とを実現することを目的とする。
本発明に係る電子制御装置は、マイクロプロセッサとウォッチドッグタイマ回路とを備える。前記マイクロプロセッサは、動作モードを第一動作モードとその第一動作モードでの消費電力よりも小さな消費電力で動作する第二動作モードとに選択的に切り替え可能である。さらに、前記マイクロプロセッサは、所定の待機条件が成立した場合に、動作モードを前記第一動作モードに保持する稼働状態から、動作モードを前記第二動作モードへ切り替えた後、予め定められたウェイクアップ周期で動作モードを前記第二動作モードから前記第一動作モードへ一時的に切り替える定期ウェイクアップ処理を実行する待機状態へ移行する。また、前記ウォッチドックタイマ回路は、カウンタクリア信号が入力されたときから予め定められた監視時間が経過したときに前記マイクロプロセッサのリセット処理を行う回路である。本発明に係る電子制御装置において、前記稼働状態の前記マイクロプロセッサは、前記カウンタクリア信号を前記ウォッチドッグタイマ回路へ出力するクリア処理を前記監視時間よりも短い第一周期で実行するとともに、自動車に取り付けられたセンサの状態の変化を検知するセンサチェック処理を予め定められた第二周期で実行する。さらに、前記待機状態の前記マイクロプロセッサは、前記定期ウェイクアップ処理を前記監視時間よりも短い前記ウェイクアップ周期で実行し、さらに、動作モードが前記第一動作モードに切り替わるごとに、前記センサチェック処理及び前記クリア処理を併せて実行する。また、前記ウェイクアップ周期は、稼働状態における前記第一周期及び前記第二周期のいずれよりも長い。
また、本発明に係る電子制御装置において、前記マイクロプロセッサ及び前記ウォッチドッグタイマ回路が、1つのマイクロコンピュータに含まれていることが考えられる。
本発明に係る電子制御装置においては、1つのウォッチドッグタイマ回路が、稼働状態のマイクロプロセッサの異常監視と、待機状態のマイクロプロセッサの異常監視との両方を行う。従って、本発明に係る電子制御装置が採用されることにより、2つの異常監視回路を備える従来の電子制御装置が採用される場合よりも、装置の小型化及び低コスト化が可能となる。
さらに、本発明に係る電子制御装置において、マイクロプロセッサは、待機状態であるときに、定期ウェイクアップ処理を行う中で、センサチェック処理とカウンタクリア信号の出力処理とを同期して行う。従って、本発明に係る電子制御装置は、センサチェック処理とカウンタクリア信号の出力処理とを非同期で実行する従来の電子制御装置に比べ、待機状態のマイクロプロセッサの動作モードを通常モードへ切り替える頻度が低くなる。その結果、待機状態におけるマイクロプロセッサの消費電力が低減される。さらに、ウェイクアップ周期は、稼働状態における第一周期及び第二周期のいずれよりも長いため、待機状態におけるCPUの消費電力がより低減される。

また、本発明に係る電子制御装置において、マイクロプロセッサ及びウォッチドッグタイマ回路が、1つのマイクロコンピュータに含まれていれば、電子制御装置がさらに小型化され好適である。
本発明の実施形態に係る電子制御装置1の概略構成を示すブロック図である。 電子制御装置1のCPUが稼働状態のときに実行する処理の手順を示すフローチャートである。 電子制御装置1のCPUが待機状態のときに実行する処理の手順を示すフローチャートである。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であり、本発明の技術的範囲を限定する事例ではない。
<電子制御装置の構成>
まず、図1を参照しつつ、本発明の実施形態に係る電子制御装置1の構成について説明する。電子制御装置1は、自動車に搭載され、主として自動車における車体系の機器を制御するマイクロコンピュータである。図1に示されるように、電子制御装置1は、CPU(Central Processing Unit)10とウォッチドッグタイマ回路20とを備える。換言すれば、電子制御装置1において、CPU10及びウォッチドッグタイマ回路20は、1つのマイクロコンピュータに含まれている。なお、CPU10は、マイクロコンピュータにおいて演算処理を行うマイクロプロセッサである。
<CPU>
CPU10は、不図示のROM(Read Only Memory)などの記憶部に予め記憶されたプログラム11P〜15Pを主メモリ11に展開し、それらプログラム11P〜15Pを実行することにより、各種の処理を実行する。主メモリ11は、通常、RAM(Random Access Memory)である。
例えば、CPU10は、センサチェックプログラム13Pを実行することにより、自動車に取り付けられた各種のセンサ9の検出信号Sg1を、信号入力ポート12を通じて入力し、センサ9の状態の変化の有無をチェックする。
センサ9は、例えば、ドアのロック機構の状態を検出するリミットスイッチ、又はスマートエントリーの携帯機から出力される無線信号を検出する無線信号検出センサなどである。なお、図1において、センサ9及びセンサ9に繋がる信号線は仮想線(二点鎖線)で描かれている。
さらに、CPU10は、機器制御プログラム15Pを実行することにより、センサ9の状態の変化に対応した被制御機器8に対する制御信号Sg2を、信号出力ポート13を通じて出力する処理を実行する。
被制御機器8は、例えば、ドアのロック機構の施錠及び解錠を行うソレノイド、パーキングを確認するスイッチ又はシートベルトを確認するスイッチなどである。なお、図1において、被制御機器8及び被制御機器8に繋がる信号線は仮想線(二点鎖線)で描かれている。
また、CPU10は、カウンタクリアプログラム14Pを実行することにより、ウォッチドッグタイマ回路20に対してカウンタクリア信号Sg3を出力する処理を実行する。より具体的には、CPU10は、カウンタクリア信号Sg3を出力する場合、CPU10が備えるレジスタ14に記憶されるカウンタクリアフラグをONにセットする。レジスタ14のカウンタクリアフラグがONにセットされると、電子制御装置1が備えるクリア信号出力回路15が、ウォッチドッグタイマ回路20に対してカウンタクリア信号Sg3を出力する。
また、CPU10は、稼働制御プログラム11P及び待機制御プログラム12Pを実行することにより、その他のプログラム13P〜15Pを実行するタイミングを制御する。タイミング制御の詳細は後述する。
CPU10は、自らの動作モードを通常モードと通常モードでの消費電力よりも小さな消費電力で動作する省電力モードとに選択的に切り替える機能を備える。省電力モードは、通常モードに比べて低い動作クロックで動作するとともに、本来備える機能のうちの一部が制限された動作モードである。省電力モードにおいて制限される機能は、例えば、信号入力ポート12及び信号出力ポート13へアクセスする機能などである。
また、CPU10は、通常モードにおいて、自動車が停止状態であることを示す所定の待機条件が成立したか否かを監視し、待機条件が成立した場合に、自らの動作モードを通常モードから省電力モードへ切り替える。これにより、無駄な電力消費が低減され、自動車のバッテリーの持続時間が延長される。
また、CPU10は、自動車が停止状態であるときにも、センサ9の状態の変化を検知するセンサチェック処理を行い、センサの状態変化が検知された場合には、その検知結果に応じて被制御機器8を制御する処理を行う必要がある。
そこで、CPU10は、所定の待機条件が成立している場合に、動作モードを省電力モードへ切り替えた後、予め定められたウェイクアップ周期で動作モードを省電力モードから通常モードへ一時的に切り替える定期ウェイクアップ処理を実行する。以下の説明において、CPU10が定期ウェイクアップ処理を行う状態のことを待機状態と称する。また、CPU10が、待機条件が成立するまで動作モードを通常モードに保持する状態のことを稼働状態と称する。
CPU10は、自動車が停止状態であるときに待機状態へ移行することにより、消費電力を抑制しつつセンサ9の状態監視を行う。その詳細については後述する。
<ウォッチドッグタイマ回路>
ウォッチドッグタイマ回路20は、CPU10の処理によって生成されるカウンタクリア信号Sg3が入力されたときから予め定められたリセット監視時間が経過したときにCPU10のリセット処理を行う回路である。
図1に示されるように、ウォッチドッグタイマ回路20は、内部発振器21と、カウンタ回路22と、リセット信号出力回路23とを備える。内部発振器21は、CPU10が備える不図示の発振器とは別個に設けられた発振器である。
ウォッチドッグタイマ回路20のカウンタ回路22は、CPU10側からカウンタクリア信号Sg3が入力されたときに所定のカウンタ変数を予め定められた初期値に設定する。さらに、カウンタ回路22は、内部発振器21の出力パルスに同期してカウンタ変数の値であるカウント値を順次カウントアップもしくはカウントダウンする。さらに、カウンタ回路22は、カウント値が予め定められた到達値に達したときにタイムアップ信号をリセット信号出力回路23へ出力する。
カウンタクリア信号Sg3が入力されてからタイムアップ信号が出力されるまでの時間であるタイムアップ時間は、カウンタ変数の初期値及び到達値の差と内部発振器21の発振周期とにより定まる。
以下の説明において、ウォッチドッグタイマ回路20のタイムアップ時間のことを、リセット監視時間と称する。このリセット監視時間は、正常に動作しているときのCPU10によって予め設定される。リセット監視時間の設定は、例えば、ウォッチドッグタイマ回路20におけるカウンタ変数の初期値又は到達値を設定することにより行われる。
ウォッチドッグタイマ回路20は、リセット監視時間を計時する間に、パルス信号であるカウンタクリア信号Sg3がCPU10側から一度も入力されない場合に、CPU10に対してリセット信号Sg4を出力する。リセット信号Sg4は、CPU10のリセット信号入力ポート16に入力される。
<稼働状態の処理>
続いて、図2に示されるフローチャートを参照しつつ、稼働状態のCPU10が実行する処理の一例を説明する。以下の説明において、S11,S12,…,S22は、処理の手順の識別符号を表す。また、図2に示される処理は、センサ9が予め定められた稼働条件を満たす状態であるときに実行される。
稼働状態において、まず、CPU10は、予め定められた初期処理を実行する(S11)。ステップS11の初期処理は、例えば、後述する第一監視周期及び第二監視周期の計時を開始する処理、ウォッチドッグタイマ回路20のリセット監視時間を設定する処理、及びウォッチドッグタイマ回路20に対してカウンタクリア信号Sg3を出力する処理などを含む。ステップS11の処理は、CPU10が稼働制御プログラム11Pを実行することによって実現される。
続いて、CPU10は、センサ9の状態をチェックすることにより、予め定められた待機条件が成立する状態であるか否かの判別を行う(S12)。待機条件は、自動車が停止状態であることを示す条件である。また、ステップS12の処理は、CPU10がセンサチェックプログラム13Pを実行することによって実現される。
待機条件は、例えば以下に示される複数の要素条件の全てを満たすことである。即ち、第1の要素条件は、自動車の速度センサが車速ゼロを検出していることである。第2の要素条件は、通電モードを検出するイグニッションモード検出センサ及びアクセサリモード検出センサがOFF状態となっていることである。
そして、CPU10は、待機条件が成立しないと判別した場合、以下に示されるステップS13〜S20の処理を実行する状態へ移行する。
一方、CPU10は、待機条件が成立していると判別した場合、自らの動作モードを通常モードから省電力モードへ切り替え(S21)、その後、待機状態の処理を実行する状態へ移行する(S22)。待機状態の処理の詳細は後述する。
待機条件が成立していない場合、CPU10は、予め定められた第一監視周期が経過したか否かの判別(S13)と、予め定められた第二監視周期が経過したか否かの判別(S16)とを行う。ステップS13及びステップS16の処理は、CPU10が稼働制御プログラム11Pを実行することによって実現される。
第一監視周期は、稼働状態における、ウォッチドッグタイマ回路20に対するカウンタクリア信号Sg3の出力周期である。一方、第二監視周期は、稼働状態における、センサチェック処理の実行周期である。
稼働状態のCPU10は、ステップS13において第一監視周期が経過したと判別した場合、ステップS14及びステップS15の処理を実行し、そうでない場合、ステップS14及びステップS15の処理をスキップする。
ステップS14の処理は、ウォッチドッグタイマ回路20に対してカウンタクリア信号Sg3を出力するクリア処理である。また、ステップS15の処理は、第一監視周期の計時を初期化して再開する処理である。第一監視周期の計時は、予め定められた周期でカウンタ変数の値をカウントアップ又はカウントダウンすることにより実現される。
第一監視周期は、リセット監視時間(ウォッチドッグタイマ回路20のタイムアップ時間)よりも短い。従って、稼働状態のCPU10が、正常に動作することによって定期的にステップS14の処理を実行している限り、ウォッチドッグタイマ回路20によるCPU10のリセット処理(リセット信号Sg4の出力処理)は行われない。
一方、稼働状態のCPU10が暴走した場合、第一監視周期でのステップS14の処理が行われないため、ウォッチドッグタイマ回路20によるCPU10のリセット処理(リセット信号Sg4の出力処理)が実行される。これにより、CPU10は、故障した状態ではない場合には、正常に動作する状態へ復帰する。
なお、ステップS14の処理は、CPU10がカウンタクリアプログラム14Pを実行することによって実現される。また、ステップS15の処理は、CPU10が稼働制御プログラム11Pを実行することによって実現される。
また、稼働状態のCPU10は、ステップS16において第二監視周期が経過したと判別した場合、ステップS17〜S20の処理を実行し、そうでない場合、ステップS17〜S20の処理をスキップする。
ステップS17の処理は、センサ9の状態の変化を検知するセンサチェック処理である。また、ステップS18の処理は、センサ9の状態の変化があったか否かを判別する処理である。また、ステップS19の処理は、センサ9の状態変化の検知結果に対応する被制御機器8を制御する処理である。ステップS19の処理は、ステップS18においてセンサ9の状態変化が検知された場合に実行され、そうでない場合にはスキップされる。
例えば、ステップS18において、無線信号検出センサの状態変化により、スマートエントリーの携帯機に対するドアの施錠操作又は解錠操作が検知された場合、ステップS19において、CPU10は、ドアを施錠又は解錠するためのソレノイドの制御を行う。
なお、ステップS17及びS18の処理は、CPU10がセンサチェックプログラム13Pを実行することによって実現される。また、ステップS19の処理は、CPU10が機器制御プログラム15Pを実行することによって実現される。
また、稼働状態のCPU10は、ステップS16において第二監視周期が経過したと判別した場合、センサ9の状態の変化の有無にかかわらず、ステップS20の処理を実行する。ステップS20の処理は、CPU10が稼働制御プログラム11Pを実行することによって実現される。
ステップS20の処理は、第二監視周期の計時を初期化して再開する処理である。第二監視周期の計時は、予め定められた周期でカウンタ変数の値をカウントアップ又はカウントダウンすることにより実現される。
そして、稼働状態のCPU10は、待機条件が成立したか否かの判別(S12)を随時行いつつ、待機条件が成立するまで、以上に示されたステップS13〜S20の処理を繰り返す。
以上に示したように、稼働状態のCPU10は、カウンタクリア信号Sg3をウォッチドッグタイマ回路20へ出力するクリア処理(S14)を、リセット監視時間よりも短い第一監視周期で実行する。さらに、稼働状態のCPU10は、自動車に取り付けられたセンサ9の状態の変化を検知するセンサチェック処理(S17)を、予め定められた第二監視周期で実行する。
<待機状態の処理>
次に、図3に示されるフローチャートを参照しつつ、待機状態のCPU10が実行する処理の一例を説明する。以下の説明において、S31,S32,…,S41は、処理の手順の識別符号を表す。また、図3に示される処理は、センサ9が予め定められた待機条件を満たす状態であるとき、即ち、CPU10が、ステップS12において待機条件が成立している状態であると判別したときに実行される。
待機状態において、まず、CPU10は、予め定められた初期処理を実行する(S31)。ステップS31の初期処理は、例えば、後述するウェイクアップ周期の計時を開始する処理、ウォッチドッグタイマ回路20のリセット監視時間を設定する処理、及びウォッチドッグタイマ回路20に対してカウンタクリア信号Sg3を出力する処理などを含む。
続いて、待機状態のCPU10は、予め定められたウェイクアップ周期が経過したか否かの判別を随時行いつつ、ウェイクアップ周期が経過するまで待つ(S32)。ウェイクアップ周期は、待機状態のCPU10が、動作モードを省電力モードから一時的に通常モードへ切り替える周期である。
そして、待機状態のCPU10は、ステップS32においてウェイクアップ周期が経過したと判別した場合、ステップS33〜S41の処理を実行する状態へ移行する。
ステップS33の処理は、CPU10の動作モードを省電力モードから通常モードへ切り替える処理である。ステップS31〜S33の処理は、CPU10が待機制御プログラム12Pを実行することによって実現される。
動作モードが通常モードへ切り替えられた後、待機状態のCPU10は、ウォッチドッグタイマ回路20に対してカウンタクリア信号Sg3を出力するクリア処理を実行する(S34)。ステップS34の処理は、CPU10がカウンタクリアプログラム14Pを実行することによって実現される。
ウェイクアップ周期は、リセット監視時間(ウォッチドッグタイマ回路20のタイムアップ時間)よりも短い。従って、待機状態のCPU10が、正常に動作することによって定期的にステップS34の処理を実行している限り、ウォッチドッグタイマ回路20によるCPU10のリセット処理(リセット信号Sg4の出力処理)は行われない。
また、本実施形態におけるウェイクアップ周期は、稼働状態における第一監視周期及び第二監視周期のいずれよりも長い。この場合、CPU10が待機状態であるときのウォッチドッグタイマ回路20のリセット監視時間が、CPU10が稼働状態であるときのウォッチドッグタイマ回路20のリセット監視時間よりも長い時間に設定されていることが考えられる。
一方、待機状態のCPU10が暴走した場合、ウェイクアップ周期でのステップS34の処理が行われないため、ウォッチドッグタイマ回路20によるCPU10のリセット処理(リセット信号Sg4の出力処理)が実行される。これにより、CPU10は、故障した状態ではない場合には、正常に動作する状態へ復帰する。
さらに、待機状態のCPU10は、センサ9の状態の変化を検知するセンサチェック処理(S35)、及びセンサ9の状態の変化があったか否かを判別する処理(S36)を行う。ステップS35及びS36の処理は、CPU10がセンサチェックプログラム13Pを実行することによって実現される。
また、ステップS36においてセンサ9の状態変化が検知された場合、CPU10は、ステップS39〜S41の処理を実行する状態へ移行し、そうでない場合、CPU10は、ステップS37及びS38の処理を実行する状態へ移行する。
ステップS37の処理は、CPU10の動作モードを省電力モードへ戻す処理である。また、ステップS38の処理は、ウェイクアップ周期の計時を初期化して再開する処理である。ウェイクアップ周期の計時は、予め定められた周期でカウンタ変数の値をカウントアップ又はカウントダウンすることにより実現される。ステップS37,S38の処理は、CPU10が待機制御プログラム12Pを実行することによって実現される。
一方、ステップS36においてセンサ9の状態変化が検知された場合、CPU10は、センサ9の状態変化の検知結果に対応する被制御機器8を制御する処理を実行する(S39)。さらに、CPU10は、ステップS36におけるセンサ9の状態変化の検知結果に基づいて、予め定められた稼働条件が成立する状態であるか否かの判別を行う(S40)。
稼働条件は、自動車が停止状態でないことを示す条件である。また、ステップS39及びS40の処理は、CPU10がセンサチェックプログラム13Pを実行することによって実現される。
そして、待機状態のCPU10は、稼働条件が成立しないと判別した場合、前述したステップS37及びS38の処理を実行する状態へ移行する。
一方、待機状態のCPU10は、稼働条件が成立していると判別した場合、前述した稼働状態の処理(S11〜S22)を実行する状態へ移行する(S41)。そして、待機状態のCPU10は、稼働条件が成立するまで、ステップS32〜S40の処理を繰り返す。
以上に示したように、CPU10は、所定の待機条件が成立した場合に、動作モードを通常モードに保持する稼働状態(S11〜S20)から動作モードを省電力モードへ切り替える(S21)。その後、CPU10は、予め定められたウェイクアップ周期で動作モードを省電力モードから通常モードへ一時的に切り替える定期ウェイクアップ処理(S31〜S39)を実行する待機状態へ移行する(S22)。
また、待機状態のCPU10は、定期ウェイクアップ処理(S31〜S38)をリセット監視時間よりも短いウェイクアップ周期で実行する。さらに、待機状態のCPU10は、動作モードが通常モードに切り替わる(S33)ごとに、センサチェック処理(S35)及びクリア処理(S34)を併せて実行する。
<効果>
電子制御装置1においては、1つのウォッチドッグタイマ回路20が、稼働状態のCPU10の異常監視と、待機状態のCPU10の異常監視との両方を行う。従って、電子制御装置1が採用されることにより、2つの異常監視回路を備える従来の電子制御装置が採用される場合よりも、装置の小型化及び低コスト化が可能となる。
さらに、電子制御装置1において、CPU10は、待機状態であるときに、定期ウェイクアップ処理(S31〜S38)を行う中で、センサチェック処理(S35)とカウンタクリア信号Sg3の出力処理(S34)とを同期して行う。
従って、電子制御装置1は、センサチェック処理とカウンタクリア信号の出力処理とを非同期で実行する従来の電子制御装置に比べ、待機状態のCPU10の動作モードを通常モードへ切り替える頻度が低くなる。その結果、待機状態におけるCPU10の消費電力が低減される。
また、電子制御装置1において、CPU10及びウォッチドッグタイマ回路20が、1つのマイクロコンピュータに含まれている。そのため、電子制御装置1がさらに小型化され好適である。
また、電子制御装置1において、ウェイクアップ周期は、稼働状態における第一監視周期及び第二監視周期のいずれよりも長い。そのため、待機状態におけるCPU10の消費電力がより低減される。
<その他>
電子制御装置1において、稼働状態のCPU10が、ウォッチドッグタイマ回路20に対してカウンタクリア信号Sg3を出力するクリア処理(S14)と、センサ9の状態の変化を検知するセンサチェック処理(S17)とを同期して行うことも考えられる。この場合、第一監視周期及び第二監視周期は同じ周期である。
1 電子制御装置
8 被制御機器
9 センサ
10 CPU
11 主メモリ
12 信号入力ポート
13 信号出力ポート
14 レジスタ
15 クリア信号出力回路
16 リセット信号入力ポート
20 ウォッチドッグタイマ回路
21 内部発振器
22 カウンタ回路
23 リセット信号出力回路
11P 稼働制御プログラム
12P 待機制御プログラム
13P センサチェックプログラム
14P カウンタクリアプログラム
15P 機器制御プログラム
S11〜S22,S31〜S41 ステップ
SG1 検出信号
SG2 制御信号
SG3 カウンタクリア信号
SG4 リセット信号

Claims (2)

  1. 動作モードを第一動作モードと該第一動作モードでの消費電力よりも小さな消費電力で動作する第二動作モードとに選択的に切り替え可能であり、所定の待機条件が成立した場合に、動作モードを前記第一動作モードに保持する稼働状態から、動作モードを前記第二動作モードへ切り替えた後、予め定められたウェイクアップ周期で動作モードを前記第二動作モードから前記第一動作モードへ一時的に切り替える定期ウェイクアップ処理を実行する待機状態へ移行するマイクロプロセッサと、
    カウンタクリア信号が入力されたときから予め定められた監視時間が経過したときに前記マイクロプロセッサのリセット処理を行うウォッチドッグタイマ回路と、を備えた電子制御装置であって、
    前記稼働状態の前記マイクロプロセッサは、
    前記カウンタクリア信号を前記ウォッチドッグタイマ回路へ出力するクリア処理を前記監視時間よりも短い第一周期で実行するとともに、自動車に取り付けられたセンサの状態の変化を検知するセンサチェック処理を予め定められた第二周期で実行し、
    前記待機状態の前記マイクロプロセッサは、
    前記定期ウェイクアップ処理を前記監視時間よりも短い前記ウェイクアップ周期で実行し、さらに、動作モードが前記第一動作モードに切り替わるごとに、前記センサチェック処理及び前記クリア処理を併せて実行し、
    前記ウェイクアップ周期は、稼働状態における前記第一周期及び前記第二周期のいずれよりも長い、ことを特徴とする電子制御装置。
  2. 前記マイクロプロセッサ及び前記ウォッチドッグタイマ回路は、1つのマイクロコンピュータに含まれている、請求項1に記載の電子制御装置。
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