JP5793295B2 - 半導体装置 - Google Patents
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Description
なお、端子板に発熱体を直接固定する半導体装置には、ヒートシンクと端子板との間に絶縁性を有する板材やモールド樹脂を介在させる等して、ヒートシンクを端子板や発熱体に対して電気的に絶縁させたものが多いが、例えばヒートシンクを発熱体に電気接続することで、ヒートシンクが外部接続用の端子として役割を果たすものもある。
また、ヒートシンクを発熱体に電気接続する半導体装置では、例えば発熱源である発熱体の放熱性をさらに向上させるために、ヒートシンクと端子板との間に発熱体を挟みこむことも考えられる。しかしながら、ヒートシンクは端子板と同じ材料からなることが多いため、半導体装置が加熱冷却された際には、発熱体に大きな応力がかかってしまう、という問題がある。
本発明の構成によって発熱体にかかる応力を緩和できる理由としては、搭載板が端子板よりも薄く形成されていることで、半導体装置の加熱冷却に基づいて搭載板がその端面に沿う方向に伸縮しようとする力が、端子板がその端面に沿う方向に伸縮しようとする力よりも小さくなっていることが考えられる。また、搭載板を端子板と別個に形成していることで、端子板が伸縮しようとする力が、端子板と重ならない搭載板の延出板部、及び、これに接合される発熱体に伝わり難くなっていることが考えられる。
また、本発明に係る半導体装置では、延出板部の複数の接合領域部分が半導体装置の加熱冷却に対して個別で伸縮するようになるが、区画スリットが形成されていない場合と比較して、延出板部の伸縮量が小さくなるため、発熱体にかかる応力をさらに低減することができる。
また、前記積層板部と前記端子板とをかしめ接合するかしめ部は、前記積層板部及び前記端子板に複数形成されているとより好ましい。
なお、前記かしめ部は、搭載板及び端子板のいずれか一方に形成される突起部と、他方に形成されて前記突起部を挿通する挿通孔とによって構成されるものであり、かしめ接合は、前述した突起部を挿通孔に挿通させた上で突起部の先端部分を潰すことにより、搭載板と端子板とを接合することを意味している。
特に、前記かしめ部が複数形成されていれば、端子板に対する搭載板の向きも容易かつ高精度に設定できるため、半導体装置の品質向上及び製造効率の向上をさらに図ることができる。
このような構成であっても、前述したように、発熱体が端子板よりも薄い搭載板に接合されているため、発熱体の熱や半導体装置外部からの熱などに基づいて半導体装置が加熱冷却されても、従来と比較して、発熱体にかかる応力を緩和することが可能である。
そして、上記構成では、発熱体がヒートシンクに直接接合されていることで、発熱体の熱を効率よくヒートシンクに逃がすことができる。
この構成では、積層板部と延出板部とが同一の平板をなす場合と比較して、半導体装置の加熱冷却に基づく端子板の伸縮が、延出板部に対してさらに伝わり難くなる、すなわち、発熱体を搭載する延出板部の伸縮をより小さく抑えることができるため、発熱体にかかる応力をさらに低減することができる。
そして、前記折曲部を有する前記半導体装置においては、前記延出板部に、複数の前記発熱体が互いに間隔をあけて接合され、前記延出板部のうち前記発熱体の接合領域の間に前記折曲部が形成されているとよい。
これらの構成では、搭載板をモールド樹脂内に埋設することで、折曲部がモールド樹脂に係合して延出板部の伸縮を抑制できるため、発熱体にかかる応力をさらに低減することが可能となる。
この構成では、隔離スリットが形成されていない構成と比較して、半導体装置の加熱冷却に基づく端子板の伸縮が積層板部側から延出板部に対してさらに伝わり難くなるため、発熱体にかかる応力をさらに低減することができる。
この構成では、半導体装置の加熱冷却に基づく搭載板の伸縮量が、端子板と比較してさらに小さくなるため、発熱体にかかる応力をさらに低減することができる。
また、半導体装置の製造に用いる端子板の汎用性向上を図り、半導体装置の製造コスト削減を図ることができる。
以下、図1,2を参照して本発明の第一実施形態について説明する。
図1,2に示すように、この実施形態に係る半導体装置1は、厚板状のヒートシンク2、複数の端子板3,4、搭載板5及び複数の半導体チップ(発熱体)6をモールド樹脂7で封止して大略構成されている。
本実施形態の半導体チップ6は、大電流トランジスタ等のように通電により発熱するものであり、平面視矩形の板状に形成されて、上面及び下面の両方に電極パッドを有している。
このヒートシンク2は、少なくとも銅(Cu)、タングステン、モリブデン等のように導電性を有し、かつ、放熱性の高い材料によって形成されていればよいが、例えばこれに加えてNiメッキを施したものでもよい。
また、各端子板3,4の一端部31,41と他端部32,42との間には、折り曲げ加工を施すことで一端部31,41を他端部32,42よりも端子板3,4の板厚方向にずらして低く位置させる段差板部33,43が形成されている。なお、この段差板部33,43は、一端部31,41と共にモールド樹脂7内に埋設されるインナーリード部をなしている。
そして、本実施形態では、一対の端子板3,4の一端部31,41同士が互いに間隔をあけて向かい合うように、一対の端子板3,4がその長手方向に配列されている。また、一対の端子板3,4がその幅方向に間隔をあけて二組配列されている。
そして、第一端子板3に接合された搭載板5は、その延出板部52が第一端子板3側から第二端子板4の一端部41に向けて延びるように配されている。なお、延出板部52の延出方向先端は、第二端子板4の一端部41に対して間隔をあけて配されている。
以上のように構成される本実施形態の半導体装置1では、例えば、通電によって半導体チップ6において生じた熱を、ヒートシンク2に伝え、ヒートシンク2の下面2bから外部に効率よく放熱することが可能である。
さらに、本実施形態の半導体装置1では、半導体チップ6がヒートシンク2に直接接合されているため、半導体チップ6において生じた熱を効率よくヒートシンク2に逃がすことができる。
また、この半導体装置1によれば、第一端子板3の一端部31と搭載板5の積層板部51とがかしめ接合されているため、第一端子板3に対する搭載板5の位置決め精度が向上し、半導体装置1の品質向上を図ることができる。さらに、第一端子板3に対する搭載板5の位置決めが容易となることで、半導体装置1の製造効率を向上させることもできる。
次に、本発明の第二実施形態について図3を参照して説明する。なお、ここでは、第一実施形態との相違点のみについて説明し、第一実施形態の半導体装置と同一の構成要素については同一符号を付す等して、その説明を省略する。
図3に示すように、第二実施形態に係る半導体装置を構成する搭載板5は、延出板部52のうち半導体チップ6を接合する下面(端面)周縁に折曲部56を形成して構成されている。この折曲部56は、延出板部52のうち半導体チップ6の接合領域の部分(平板部分)に対して折り曲げられることで、この平板部分の厚さ方向に延びている。
なお、図示例では、折曲部56が延出板部52の平板部分の上面から突出するように形成されているが、例えばヒートシンク2に接触しない範囲で、延出板部52の平板部分の下面から突出するように形成されてもよい。また、図示例では、折曲部56が、延出板部52の延出方向先端に形成されているが、例えば延出方向に沿う延出板部52の側部に形成されてもよい。
次に、本発明の第三実施形態について図4を参照して説明する。なお、ここでは、第一実施形態との相違点のみについて説明し、第一実施形態の半導体装置と同一の構成要素については同一符号を付す等して、その説明を省略する。
図4に示すように、第三実施形態に係る半導体装置を構成する搭載板5は、延出板部52のうち二つの半導体チップ6を接合する領域の間に折曲部57を形成して構成されている。この折曲部57は、延出板部52のうち半導体チップ6の接合領域をなす平板部分に対して折り曲げられることで、この平板部分の厚さ方向に延びる断面視U字状に形成されている。
なお、図示例では、折曲部57が、いずれも延出板部52の平板部分の上面から突出するように形成されているが、例えばヒートシンク2に接触しない範囲で、延出板部52の平板部分の下面から突出するように形成されてもよい。
次に、本発明の第四実施形態について図5を参照して説明する。なお、ここでは、第一実施形態との相違点のみについて説明し、第一実施形態の半導体装置と同一の構成要素については同一符号を付す等して、その説明を省略する。
図5に示すように、第四実施形態に係る半導体装置をなす搭載板5は、延出板部52のうち半導体チップ6の接合領域と積層板部51との間に、搭載板5の厚さ方向に貫通する隔離スリット58を形成して構成されている。この隔離スリット58は、半導体チップ6の接合領域と積層板部51との間における延出板部52の幅寸法が、他の部分における延出板部52の幅寸法よりも小さくなるように形成されている。
なお、図示例では、隔離スリット58が、平面視した延出板部52の両側部の一方から他方に向けて延びるように一つだけ形成されているが、例えば両側部から窪むように一対形成されてもよい。また、図示例では、隔離スリット58は、平面視した延出板部52の幅方向に延びているが、少なくとも半導体チップ6の接合領域及び積層板部51の配列方向に交差するように延びていればよい。
次に、本発明の第五実施形態について図6を参照して説明する。なお、ここでは、第一〜第三実施形態との相違点のみについて説明し、第一実施形態の半導体装置と同一の構成要素については同一符号を付す等して、その説明を省略する。
図6に示すように、第五実施形態に係る半導体装置をなす搭載板5は、延出板部52のうち互いに隣り合う二つの半導体チップ6の接合領域の間に、搭載板5の厚さ方向に貫通する区画スリット59を形成して構成されている。この区画スリット59は、二つの半導体チップ6の接合領域の間における延出板部52の幅寸法が、他の部分における延出板部52の幅寸法よりも小さくなるように形成されている。
なお、図示例では、区画スリット59が、平面視した延出板部52の両側部の一方から他方に向けて延びるように一つだけ形成されているが、例えば両側部から窪むように一対形成されてもよい。また、図示例では、延出板部52に形成される区画スリット59が、平面視した延出板部52の幅方向に延びているが、少なくとも二つの半導体チップ6の接合領域の配列方向に交差するように延びていればよい。
例えば、上述した全ての実施形態では、第一端子板3の一端部31と搭載板5の積層板部51とを接合するかしめ部8が、一つだけ形成されているが、例えば図7に示すように、複数形成されていてもよい。この構成では、第一端子板3に搭載板5を接合する際、第一端子板3に対する搭載板5の向きも容易かつ高精度に設定できるため、半導体装置の品質向上及び製造効率向上をさらに図ることができる。
また、搭載板5の積層板部51は、第一端子板3の一端部31の上面にかしめ接合されるとしたが、例えば図8に示すように、一端部31の下面にかしめ接合されてもよい。この場合、かしめ部8をなす第一端子板3の突起部35は、一端部31の下面から突出するように形成されていればよい。
さらに、上述した全ての実施形態では、半導体チップ6を接合するための突出部21が、ヒートシンク2の上面2aに一体に形成されているが、例えば図11に示すように、ヒートシンク2と別個に形成されてその上面2aに固定されていてもよい。この場合、突出部21やこれをヒートシンク2に接合するための接合剤等は、ヒートシンク2と同様に、導電性を有し、かつ、放熱性の高い材料からなることが好ましい。
さらに、半導体チップ6は、搭載板5の延出板部52の下面に接合されることに限らず、例えば延出板部52の上面(端面)に接合されてもよい。この場合、ヒートシンク2と搭載板5や端子板3,4との間には、電気的な絶縁性を有するモールド樹脂7を介在させてもよいが、例えばモールド樹脂7とは別個の絶縁性板材を挟み込んでもよい。
さらに、搭載板5は、段差折曲部53を有して形成されることに限らず、少なくとも搭載板5を接合する端子板3,4よりも薄い板厚に設定されていれば、例えば図8に示すように段差折曲部53の無い平坦な板状に形成されても構わない。
さらに、端子板3,4と搭載板5とは、かしめによって接合されるとしたが、半田による接合等任意の接合手法によって接合されて構わない。
また、端子板3,4の形状は、上記実施形態のものに限らず、少なくとも端子板3,4のうち搭載板5に接合する部分が平板状に形成されていればよい。すなわち、端子板3,4は、例えば段差板部33,43のない平坦な板状に形成されていてもよい。
また、上述した全ての実施形態の半導体装置は、発熱体として半導体チップ6を備えるとしたが、搭載板5に接合されることで第一端子板3や第二端子板4に電気接続されるものであれば、発熱体として他の電子部品・電気部品を備えていてもよい。
2 ヒートシンク
3 第一端子板
35 突起部
4 第二端子板
45 突起部
5 搭載板
51,51A,51B 積層板部
52 延出板部
53 段差折曲部
55 挿通孔
56 折曲部
57 折曲部
58 隔離スリット
59 区画スリット
6 半導体チップ(発熱体)
7 モールド樹脂
8 かしめ部
Claims (9)
- 導電性の端子板と、該端子板よりも薄い板状に形成されると共に、前記端子板の厚さ方向に面するいずれか一方の端面に接合される導電性の搭載板と、該搭載板に接合されることで前記搭載板を介して前記端子板に電気接続される発熱体とを備え、
前記搭載板は、前記端子板の一方の端面に重ねて接合される積層板部と、前記一方の端面の周縁から外側に延びる延出板部とを有し、
前記発熱体は、前記延出板部の厚さ方向に面する両端面のいずれか一方に接合され、
前記延出板部に、複数の前記発熱体が互いに間隔をあけて接合され、
前記延出板部のうち互いに隣り合う前記発熱体の接合領域の間に、前記搭載板の厚さ方向に貫通する区画スリットが、互いに隣り合う前記接合領域の配列方向に交差する方向に延びるように形成されていることを特徴とする半導体装置。 - 前記積層板部と前記端子板とが、かしめによって接合されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
- 前記積層板部と前記端子板とをかしめ接合するかしめ部が、前記積層板部及び前記端子板に複数形成されていることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
- 前記搭載板と共に前記発熱体を挟み込むように前記発熱体に接合された厚板状のヒートシンクを備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の半導体装置。
- 前記搭載板が、前記積層板部と前記延出板部との間に形成されて、前記積層板部と前記延出板部とを前記搭載板の厚さ方向にずらして位置させる段差折曲部を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の半導体装置。
- 前記延出板部のうち前記発熱体の接合領域に隣り合う領域に、当該接合領域の部分に対して折り曲げられて当該接合領域部分の厚さ方向に延びる折曲部が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の半導体装置。
- 前記延出板部に、複数の前記発熱体が互いに間隔をあけて接合され、
前記延出板部のうち前記発熱体の接合領域の間に前記折曲部が形成されていることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。 - 前記延出板部のうち前記発熱体の接合領域と前記積層板部との間に、前記搭載板の厚さ方向に貫通する隔離スリットが、前記接合領域及び前記積層板部の配列方向に交差する方向に延びるように形成されていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の半導体装置。
- 前記搭載板が、前記端子板の熱膨張率よりも低い材料からなることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の半導体装置。
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