JP5793059B2 - 磁気センサ - Google Patents

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Description

本発明は、電流センサ等に用いられる高速応答性を備えた磁気センサに関する。
周知のように、ホールセンサは、磁束密度に比例して出力電圧が変化する。この特性を利用し、導体に流れる電流に比例して発生する磁束密度をホールセンサで検出することにより、導体に流れる電流量を測定するいわゆる電流センサなどに広く用いられていることはよく知られている。
一方、排出ガスの低減や燃費の向上を図るべく、内燃機関及び電動機(モータ)の双方を駆動源として用いるようにした、いわゆるハイブリッド自動車がよく知られている。このハイブリッド自動車には、一般に、車載バッテリから供給される直流電力を三相交流電力に変換するインバータ装置が設けられており、このインバータ装置で変換された三相交流電力が電力供給対象であるモータに供給される。また、このようなハイブリッド自動車では、インバータ装置内に設けられるIGBT(絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ)などのパワーモジュールとモータとを接続する給電用の導体、例えば、バスバーやケーブルなどに電流センサが取り付けられている。そして、この電流センサを通じてバスバーやケーブルなどを流れる電流が検出されるとともに、検出された電流に基づいてモータに供給される電力が制御される。モータを効率よく回転させるためには、モータの電流を高速に高精度で検出し、制御を行う必要性があり、電流センサには、数μs程度の応答性が求められている。
また、電流センサは、一般に特許文献1の図1に記載されているように、被検出電流が流れる導体と、その導体を囲み、空隙部を有する集磁用のコアと、コアの空隙部に配置されるホールセンサもしくはリニアホールICと、基板からなる。ここで、ハイブリッド自動車などのモータでは、数百アンペアの大電流が急激に変化するので、ホールセンサに印加される磁束密度も急激に変化する。その際、ホールセンサやリニアホールICのリードフレームに渦電流が発生し、無視できない大きさの磁気ノイズが、ホールセンサやリニアホールICに印加され、磁場に対する出力電圧の応答を遅らせるなどの影響を与えることはよく知られている。
ここで渦電流とは、印加された磁束密度の変化を打ち消す方向に金属内で電流がループを描いて流れる現象のことを言う。その渦電流により磁気ノイズが発生することは言うまでもない。
一方、渦電流の影響を抑えるために、ホールセンサと信号処理ICが、同一のSi基板上に形成されたモノリシックのリニアホールICでは、特許文献2の図4Eに記載されるようにリードフレームのダイパッドに溝(切り込み)を入れることがよく知られている。この際、リードフレームのダイパッドのホールセンサの真下の位置に溝を入れることによりホールセンサに印加される渦電流起因の磁束密度が極小になるようにしている。ここで、リードフレームのダイパッドとは、ホールセンサやICのダイが実装されるリードフレームを構成する金属片のことをいう。
さらに、近年は、電流センサを構成する部品点数を減少させ、電流センサを小型化するために、特許文献2に記載されているように、ホールセンサと、ホールセンサの信号処理部を備えたICを1つのパッケージに封入したリニアホールICが使用されつつある。この際に、ホールセンサの感度が高ければ高いほど高分解能で電流検出ができるので、感度の高い化合物半導体を導電層に用いたホールセンサが適していることはいうまでもない。
特開2006−214815号公報 特開2009−544149号公報
しかしながら、感度の高い化合物半導体のホールセンサを用いたリニアホールICにおいては、通常、化合物半導体のホールセンサのチップサイズが小さいため、ホールセンサの真下のリードフレームのダイパッドに溝を入れることは困難であり、ホールセンサに印加される渦電流起因の磁束密度の影響を十分に抑制することができなかった。
また、化合物半導体のホールセンサのチップサイズを大きくすることは、ダイボンド精度の悪化やセンサパッケージの巨大化、さらにはコストの上昇を引き起こすため現実的ではない。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、磁気を検出するホールセンサと、前記ホールセンサの駆動や信号処理を行うためのICをリードフレームのダイパッド上に別々にダイボンドにより配置し、かつ1つのパッケージ内に封入されている磁気センサにおいて、急激な磁束密度の変化によりリードフレームに発生する渦電流の影響を抑え、電流センサに必要な高速応答性を備えた磁気センサを提供することにある。
本発明は、このような目的を達成するためになされたもので、本発明の一態様に係る発明は、磁気を検出するホールセンサと、前記ホールセンサの駆動や信号処理を行うためのICとをリードフレームのダイパッド上に別々にダイボンドにより配置し、かつ1つのパッケージ内に封入されている磁気センサにおいて、前記リードフレームのダイパッドが互いに電気的に絶縁された2つ以上の複数の金属片から構成されていることを特徴とする。
また、本発明の他の態様に係る発明は、上記発明において、前記リードフレームのダイパッドを構成する2つ以上の金属片の空隙を跨ぐ様に、前記ICがリードフレームのダイパッド上にダイボンドされていることを特徴とする。
また、本発明の他の態様に係る発明は、上記発明において、前記リードフレームのダイパッドを構成する2つ以上の金属片のうち、いずれか一つが溝を備えていることを特徴とする。
また、本発明の他の態様に係る発明は、上記発明において、前記ホールセンサのチップがダイボンドされた、前記リードフレームのダイパッドを構成する1つの金属片の少なくとも1辺と、ホールセンサのチップの端との距離が0μm以上100μm以下であることを特徴とする。
また、本発明の他の態様に係る発明は、上記発明において、前記ホールセンサのチップ厚が145μm以上500μm以下であることを特徴とする。
本発明によれば、磁気を検出するホールセンサと、前記ホールセンサの駆動や信号処理を行うためのICをリードフレームのダイパッド上に別々にダイボンドにより配置し、かつ1つのパッケージ内に封入されている磁気センサにおいて、急激な磁束密度の変化によりリードフレームに発生する渦電流の影響を抑え、電流センサに必要な高速応答性を備えた磁気センサを提供することができる。
本発明に係るホールセンサとICとリードフレームを含む磁気センサ100の概略図である。 比較例1に示す従来技術に係るホールセンサとICとリードフレームを含む磁気センサ200の概略図である。 比較例2に示す従来技術に係るホールセンサとICとリードフレームを含む磁気センサ300の概略図である。 図4(a)は、実施例と比較例での出力波形のグラフであり、図4(b)は、実施例と比較例での出力波形の拡大グラフである。 本発明に係るホールセンサがダイボンドされている金属片の拡大図である。 比較例1に示す従来技術に係るホールセンサがダイボンドされている金属片の拡大図である。 比較例2に示す従来技術に係るホールセンサがダイボンドされている金属片の拡大図である。 各5Dh1の長さ(Yhの長さ)と、渦電流起因のホールセンサに印加される磁束密度の関係の計算結果である。 ホールセンサのチップ厚tと渦電流起因のホールセンサに印加される磁束密度の関係の計算結果である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明に係るホールセンサとICとリードフレームを含む磁気センサ100の概略図である。
図1において、本発明に係る磁気センサ100は、ホールセンサ101と、信号処理IC102と、リードフレームのダイパッドを構成する金属片間の空隙103と、ホールセンサがダイボンドされている金属片が備える溝104と、リードフレームのダイパッドを構成する複数の金属片105と、外部出力端子106と、パッケージ外形107とを備え、dは、リードフレームのダイパッドを構成する金属片間の空隙の幅、W1は、ホールセンサがダイボンドされている金属片が備える溝の幅、W2は、ホールセンサがダイボンドされていない金属片が備える溝の幅、L1は、ホールセンサがダイボンドされている金属片が備える溝の長さ、L2は、ホールセンサがダイボンドされていない金属片が備える溝の長さ、Xhは、ホールセンサ用のダイパッドの凸部の横の長さ、Xlは、リードフレームのダイパッドの横の長さ、Yhは、ホールセンサ用のダイパッドの凸部の縦の長さ、Ylは、リードフレームのダイパッドの縦の長さを示す。
図1で示すように、リードフレームのダイパッドを電気的に絶縁された2つ以上の複数の金属片から構成することにより、1個の金属片からダイパッドを構成した際よりも、磁場に垂直な各金属片の1つあたりの面積を縮小し、渦電流の発生の抑制を可能にしている。磁場に垂直な金属片の1つあたりの面積が小さいと渦電流が発生しにくくなることは、例えば、サイクロトロン運動する電子の回転半径を小さくするために、磁場を強くしなければならないことからも想像できる。小さい面積で同じ大きさの渦電流を流すためには、より大きな磁場変化が必要となることから、同じ大きさの磁場変化であれば、面積が小さいほうが渦電流の発生は抑えられる。
ここで、図1では、リードフレームのダイパッドを構成する電気的に絶縁された複数の金属片105は、2つの金属片から構成しているが、ダイパッドを構成する金属片の数が多ければ、多いほど各金属片の面積は小さくなり、より渦電流を抑制できることは言うまでもない。ただし、金属片の数が増えすぎると空隙の面積が大きくなりリードフレームの強度が落ちるので、適宜最適な金属片の数を決める必要がある。
また、信号処理IC102を、リードフレームのダイパッドを構成する金属片間の空隙103を跨ぐように配置することにより、渦電流の発生を抑制するとともに、信号処理IC102への磁気ノイズの影響を小さくし磁気ノイズによるICの誤動作を防止する。
さらに、リードフレームのダイパッドを構成する電気的に絶縁された複数の金属片105のいずれか1つが溝を備えることによってさらに渦電流の発生を抑制する。ここで、図1では、各金属片が1つずつ溝を備えているが、これらに限定するものでないことは言うまでもない。
ホールセンサ用のダイパッドの凸部の横の長さXhと縦の長さYhは、リードフレームのダイパッドの横の長さXlと縦の長さYhに対してそれぞれを十分短くし、ホールセンサ101とリードフレームのホールセンサ用のダイパッドの凸部の外周を極力近づける。これによりホールセンサ101に印加される渦電流起因の磁束密度が抑えられる。
ここで、図5に、本発明に係るホールセンサがダイボンドされている金属片の拡大図500を示す。図5の拡大図500には、ホールセンサ501と、ホールセンサがダイボンドされている金属片505とが、含まれ、5Dh1は、リードフレームのホールセンサ用のダイパッドの凸部のX1方向と平行な端と、それに対向するホールセンサのチップ端との距離、5Dh2は、リードフレームのホールセンサ用のダイパッドの凸部のXl方向と垂直な一方の端と、それに対向するホールセンサのチップ端との距離、5Dh3は、リードフレームのホールセンサ用のダイパッドの凸部のXl方向と垂直な他方の端と、それに対向するホールセンサのチップ端との距離を示す。ホールセンサ501のチップの端から、リードフレームのダイパッドを構成する1つの金属片の少なくとも1辺からの距離が、つまり、5Dh1、5Dh2、5Dh3のいずれかが、0μm以上100μm以下となるようにする。これにより、ホールセンサ501に印加される渦電流起因の磁束密度を小さくすることが可能となる。
さらに、ホールセンサ501のチップ厚を145μm以上とすることにより、リードフレームよりホールセンサを遠ざけ、ホールセンサ501に印加される渦電流起因の磁束密度を小さくすることが可能となる。この際、チップ厚は、300μm以上あれば渦電流の影響は十分小さくなるが、チップ厚が厚すぎると磁気センサのパッケージ厚みが厚くなってしまい、電流センサが備える空隙部を有する集磁用のコアの空隙部を拡げなければならなくなり、電流センサとしての感度や分解能を落としてしまうことから、ホールセンサ501のチップ厚は、500μm以下が望ましい。
一方、リードフレームのダイパッド505を構成する金属片は、銅、金、銀、チタン、タングステン、クロムなどを含む導電材料の金属材からなる。抵抗率の高い材料のほうが渦電流を抑制できることは言うまでもない。また、リードフレームのダイパッド505の厚みは薄いほうがリードフレームのシート抵抗が上がるため、渦電流を抑制できることは言うまでもない。
ここで、図1、2、3及び図5、6、7において、磁気センサを樹脂モールドする前の状態における、リードフレームのダイパッドを構成する複数または1つの金属片を、リードフレームに支持するために存在する一般に吊りピンと呼ばれる部位は、金属片に対して十分小さく渦電流には寄与しないので図中には記載はしていないが、適宜最適な位置に吊りピンを配置させることが必要であることは言うまでもない。
以上より、本発明により、磁気を検出するホールセンサと、前記ホールセンサの駆動や信号処理を行うためのICをリードフレーム上に別々にダイボンドにより配置し、かつ1つのパッケージ内に封入されている磁気センサにおいて、急激な磁束密度の変化によりリードフレームに発生する渦電流の影響を抑え、電流センサに必要な高速応答性を備えた磁気センサを提供することができる。
以下に、具体的な実施例について説明する。しかしながら、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
図1において、リードフレームのダイパッドを構成する金属片間の空隙の幅d=0.30mm、ホールセンサがダイボンドされている金属片が備える溝の幅W1=0.30mm、ホールセンサがダイボンドされていない金属片が備える溝の幅W2=0.30mm、ホールセンサがダイボンドされている金属片が備える溝の長さL1=0.64mm、ホールセンサがダイボンドされていない金属片が備える溝の長さL2=0.64mm、ホールセンサ用のダイパッドの凸部の横の長さXh=0.50mm、リードフレームのダイパッドの横の長さXl=3.60mm、ホールセンサ用のダイパッドの凸部の縦の長さYh=0.50mm、リードフレームのダイパッドの縦の長さYl=2.31mmである場合について考える。リードフレームのダイパッドを構成する金属片間の空隙は、リードフレームの縦の長さYlを2等分にする位置に配置する。また、リードフレームの厚みを0.3mmとし、リードフレームの材料の導電率は、90%IACSとした。さらに、ホールセンサは、図5において、5Dh1=0.24mm、5Dh2=0.10mm、5Dh3=0.10mmとなるようにダイパッド上に配置する。また、ホールセンサのチップ厚みは0.145mmとする。
上記の条件で、磁束密度が15mT/μsで75mTまで急激に立ち上がり、その後75mTで安定した際のホールセンサの出力電圧波形の計算結果を図4a、図4bに示す。
図4a、図4bを参照すれば、本発明における出力応答が理想波形に対して最も近く、磁束密度が75mTに収束してから出力電圧が収束するのに数μsしかかかっていないことが分かる。
この結果から分かるように、本発明により、磁気を検出するホールセンサと、前記ホールセンサの駆動や信号処理を行うためのICをリードフレームのダイパッド上に別々にダイボンドにより配置し、かつ1つのパッケージ内に封入されている磁気センサにおいて、急激な磁束密度の変化によりリードフレームに発生する渦電流の影響を抑え、電流センサに必要な高速応答性を備えた磁気センサを提供することができる。
[比較例1]
図2に、比較例1に示す従来技術に係るホールセンサとICとリードフレームを含む磁気センサ200の概略図を示す。図2において、磁気センサ200は、ホールセンサ201と、信号処理IC202と、リードフレームのダイパッド205と、外部出力端子206と、パッケージ外形207とを備え、2Xhは、ホールセンサ用のダイパッドの凸部の横の長さ、2Xlは、リードフレームのダイパッドの横の長さ、2Yhは、ホールセンサ用のダイパッドの凸部の縦の長さ、2Ylは、リードフレームのダイパッドの縦の長さを示す。
また、図6に、比較例1に示す従来技術に係るホールセンサがダイボンドされている金属片の拡大図600を示す。図6の拡大図600には、ホールセンサ601と、ホールセンサがダイボンドされている金属片605とが、含まれ、6Dh1は、リードフレームのホールセンサ用のダイパッドの凸部の2Xl方向と平行な端と、それに対向するホールセンサのチップ端との距離、6Dh2は、ホールセンサ用のダイパッドの凸部の2Xl方向と垂直な一方の端と、それに対向するホールセンサのチップ端との距離、6Dh3は、ホールセンサ用のダイパッドの凸部の2Xl方向と垂直な他方の端と、それに対向するホールセンサのチップ端との距離を示す。
図2において、ホールセンサ用のダイパッドの凸部の横の長さ2Xh=0.50mm、リードフレームのダイパッドの横の長さ2Xl=3.60mm、ホールセンサ用のダイパッドの凸部の縦の長さ2Yh=0.50mm、リードフレームのダイパッドの縦の長さ2Yl=2.31mmである場合について考える。また、リードフレームの厚みを0.3mmとし、リードフレームの材料の導電率は、90%IACSとした。さらに、ホールセンサは、図6において、6Dh1=0.24mm、6Dh2=0.10mm、6Dh3=0.10mmとなるようにダイパッド上に配置する。また、ホールセンサのチップ厚みは、0.145mmとする。
上記の条件で、磁束密度が15mT/μsで75mTまで急激に立ち上がり、その後75mTで安定した際のホールセンサの出力電圧波形の計算結果を図4a、図4bに示す。
比較例1に示したように、リードフレームのダイパッドが1つの金属片から構成されている場合は、ホールセンサが渦電流の影響を大きく受けるため、磁束密度が75mTに収束してから出力電圧が収束するのに約25μsかかっており、本発明の磁気センサに対し応答性が著しく劣ることが分かる。
[比較例2]
図3に、比較例2に示す従来技術に係るホールセンサとICとリードフレームを含む磁気センサ300の概略図を示す。図3において、磁気センサ300は、ホールセンサ301と、信号処理IC302と、ホールセンサがダイボンドされている金属片が備える溝304と、リードフレームのダイパッド305と、外部出力端子306と、パッケージ外形307とを備え、3W1は、ホールセンサがダイボンドされている金属片が備える溝の幅、3L1は、ホールセンサがダイボンドされている金属片が備える溝の長さ、3Xhは、ホールセンサ用のダイパッドの凸部の横の長さ、3Xlは、リードフレームのダイパッドの横の長さ、3Yhは、ホールセンサ用のダイパッドの凸部の縦の長さ、3Ylは、リードフレームのダイパッドの縦の長さを示す。
また、図7に比較例2に示す従来技術に係るホールセンサがダイボンドされている金属片の拡大図700を示す。図7の拡大図700には、ホールセンサ701と、ホールセンサがダイボンドされている金属片705とが含まれ、7Dh1は、ホールセンサ用のダイパッドの凸部の3Xl方向と平行な端と、それに対向するホールセンサのチップ端との距離、7Dh2は、ホールセンサ用のダイパッドの凸部の3Xl方向と垂直な一方の端と、それに対向するホールセンサのチップ端との距離、7Dh3は、ホールセンサ用のダイパッドの凸部の3Xl方向と垂直な他方の端と、それに対向するホールセンサのチップ端との距離を示す。
図3において、ホールセンサがダイボンドされている金属片が備える溝の幅3W1=0.30mm、ホールセンサがダイボンドされている金属片が備える溝の長さ3L1=1.89mm、ホールセンサ用のダイパッドの凸部の横の長さ3Xh=0.50mm、リードフレームのダイパッドの横の長さ3Xl=3.60mm、ホールセンサ用のダイパッドの凸部の縦の長さ3Yh=0.50mm、リードフレームのダイパッドの縦の長さ3Yl=2.31mmである場合について考える。また、リードフレームの厚みを0.3mmとし、リードフレームの材料の導電率は、90%IACSとした。さらに、ホールセンサは、図5において、7Dh1=0.24mm、7Dh2=0.10mm、7Dh3=0.10mmとなるようにダイパッド上に配置する。また、ホールセンサのチップ厚みは、0.145mmとする。
上記の条件で、磁束密度が15mT/μsで75mTまで急激に立ち上がり、その後75mTで安定した際のホールセンサの出力電圧波形の計算結果を図4a、図4bに示す。
比較例2に示したように、リードフレームのダイパッドが溝を備えた1つの金属片から構成されている場合においても、ホールセンサが渦電流の影響を受けるため、磁束密度が75mTに収束してから出力電圧が収束するのに、約15μsかかっており、本発明の磁気センサに対し、応答性が著しく劣ることが分かる。
[実施例2]
実施例1に示した磁気センサにおいて、図1におけるホールセンサ用のダイパッドの凸部の縦の長さYhのみを短くし、Dh1を小さくすることにより、誘導起電力起因のホールセンサ101に、印加される磁束密度がどのように変わるか計算を行った。より具体的には、5Dh1=0.00mm(Yh=0.26mm)、5Dh1=0.05mm(Yh=0.31mm)、5Dh1=0.10mm(Yh=0.36mm)、5Dh1=0.15mm(Yh=0.41mm)、5Dh1=0.20mm(Yh=0.46mm)の5つの場合において計算を行った。
図8に、各5Dh1の長さ(Yhの長さ)と、渦電流起因のホールセンサに印加される磁束密度の関係の計算結果を示す。この結果より、5Dh1の長さは、短いほうが渦電流起因のホールセンサに印加される磁束密度は小さくなることが分かる。
しかしながら、ダイボンドの位置ばらつきもあるので5Dh1は、30μm以上であることが好ましい。また、ダイボンドの位置精度を向上させるために、5Dh1は、100μm以下であることが望ましい。
[実施例3]
実施例1に示した磁気センサにおいて、ホールセンサ101のチップ厚みのみを変化させて誘導起電力起因のホールセンサ101に印加される磁束密度がどのように変わるか計算を行った。より具体的には、ホールセンサ101のチップ厚t=0.145mm、0.200mm、0.250mm、0.300mm、0.350mm、0.400mm、0.450mm、0.500mmの8つの場合において計算を行った。
図9に、ホールセンサのチップ厚tと渦電流起因のホールセンサに印加される磁束密度の関係の計算結果を示す。この結果より、ホールセンサ101のチップ厚が厚いほうが渦電流の影響を小さくできることが分かる。また、ホールセンサ101のチップ厚が0.300mm以上あれば、渦電流の影響はほとんど変わらないことが分かる。これらの結果より、本発明の効果は、ホールセンサのチップ厚tはt=0.145mmあれば十分にある事が分かるが、t=0.300mm以上にするとより効果が得られる事が分かる。
しかしながら、チップ厚が厚すぎると磁気センサのパッケージ厚みが厚くなってしまい、電流センサが備える空隙部を有する集磁用のコアの空隙部を拡げなければならなくなり、電流センサとしての感度や分解能を落としてしまうことから、ホールセンサ101のチップ厚は500μm以下が望ましい。
本発明は、電流センサ等に用いられる高速応答性を備えた磁気センサに関する。
101 ホールセンサ
102 信号処理IC
103 リードフレームのダイパッドを構成する金属片間の空隙
104 ホールセンサがダイボンドされている金属片が備える溝
105 リードフレームのダイパッドを構成する電気的に絶縁された複数の金属片
106 外部出力端子
107 パッケージ外形
d リードフレームのダイパッドを構成する金属片間の空隙の幅
W1 ホールセンサがダイボンドされている金属片が備える溝の幅
W2 ホールセンサがダイボンドされていない金属片が備える溝の幅
L1 ホールセンサがダイボンドされている金属片が備える溝の長さ
L2 ホールセンサがダイボンドされていない金属片が備える溝の長さ
Xh ホールセンサ用のダイパッドの凸部の横の長さ
Xl リードフレームのダイパッドの横の長さ
Yh ホールセンサ用のダイパッドの凸部の縦の長さ
Yl リードフレームのダイパッドの縦の長さ
201 ホールセンサ
202 信号処理IC
205 リードフレームのダイパッド
206 外部出力端子
207 パッケージ外形
2Xh ホールセンサ用のダイパッドの凸部の横の長さ
2Xl リードフレームのダイパッドの横の長さ
2Yh ホールセンサ用のダイパッドの凸部の縦の長さ
2Yl リードフレームのダイパッドの縦の長さ
301 ホールセンサ
302 信号処理IC
304 ホールセンサがダイボンドされている金属片が備える溝
305 リードフレームのダイパッド
306 外部出力端子
307 パッケージ外形
3W1 ホールセンサがダイボンドされている金属片が備える溝の幅
3L1 ホールセンサがダイボンドされている金属片が備える溝の長さ
3Xh ホールセンサ用のダイパッドの凸部の横の長さ
3Xl リードフレームのダイパッドの横の長さ
3Yh ホールセンサ用のダイパッドの凸部の縦の長さ
3Yl リードフレームのダイパッドの縦の長さ
501 ホールセンサ
505 ホールセンサがダイボンドされている金属片
5Dh1 ホールセンサ用のダイパッドの凸部のXl方向と平行な端と、それに対向するホールセンサのチップ端との距離
5Dh2 ホールセンサ用のダイパッドの凸部のXl方向と垂直な一方の端と、それに対向するホールセンサのチップ端との距離
5Dh3 ホールセンサ用のダイパッドの凸部のXl方向と垂直な他方の端と、それに対向するホールセンサのチップ端との距離
601 ホールセンサ
605 ホールセンサがダイボンドされている金属片
6Dh1 ホールセンサ用のダイパッドの凸部の2Xl方向と平行な端と、それに対向するホールセンサのチップ端との距離
6Dh2 ホールセンサ用のダイパッドの凸部の2Xl方向と垂直な一方の端と、それに対向するホールセンサのチップ端との距離
6Dh3 ホールセンサ用のダイパッドの凸部の2Xl方向と垂直な他方の端と、それに対向するホールセンサのチップ端との距離
701 ホールセンサ
705 ホールセンサがダイボンドされている金属片
7Dh1 ホールセンサ用のダイパッドの凸部の3Xl方向と平行な端と、それに対向するホールセンサのチップ端との距離
7Dh2 ホールセンサ用のダイパッドの凸部の3Xl方向と垂直な一方の端と、それに対向するホールセンサのチップ端との距離
7Dh3 ホールセンサ用のダイパッドの凸部の3Xl方向と垂直な他方の端と、それに対向するホールセンサのチップ端との距離

Claims (4)

  1. 磁気を検出するホールセンサと、
    前記ホールセンサの駆動や信号処理を行うためのICと
    をリードフレームのダイパッド上に別々にダイボンドにより配置し、かつ1つのパッケージ内に封入されている磁気センサにおいて、前記リードフレームのダイパッドが互いに電気的に絶縁された2つ以上の複数の金属片から構成されており、前記ホールセンサのチップがダイボンドされた、前記リードフレームのダイパッドを構成する1つの金属片の少なくとも1辺と、ホールセンサのチップの端との距離が0μm以上100μm以下であることを特徴とする磁気センサ。
  2. 前記リードフレームのダイパッドを構成する2つ以上の金属片の空隙を跨ぐ様に、前記ICがリードフレームのダイパッド上にダイボンドされていることを特徴とする請求項1に記載の磁気センサ。
  3. 前記リードフレームのダイパッドを構成する2つ以上の金属片のうち、いずれか1つが溝を備えていることを特徴とした請求項1または2に記載の磁気センサ。
  4. 前記ホールセンサのチップ厚が145μm以上500μm以下であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の磁気センサ。
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