JP5790120B2 - 製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Description
しかし、この提案では、感熱記録材料の製造時に給気エアー及び排気エアーの絶対湿度を精度良く測定し、給気エアー流量及び排気エアー流量を精度良くコントロールすることは困難である。
また、特許文献7では、溶剤系であるため高温での溶剤濃度の測定ができないので、高温空気を抽出し、混合器で空気を混合し、常温にしてから溶剤濃度をセンサーで測定する方法が提案されている。
しかし、この提案では、高温空気を別の空気と混合することなく、給気エアー及び排気エアーそのものを測定することができない。また、給気エアー及び排気エアーを常温まで冷やすと露点以下となり、結露が生じて温湿度計を故障させてしまうという問題がある。
<1> 連続走行するウェブ上に材料塗布液を塗布する塗布工程と、
塗布された材料塗布液中の水分を、乾燥手段を用いて蒸発させる乾燥工程と、を少なくとも含み、
前記乾燥手段への給気及び前記乾燥手段からの排気におけるエアーの絶対湿度を、前記塗布された材料塗布液中の水分を蒸発させる乾燥ボックスの直近の給気ダクト及び排気ダクトからエアーを抽出し、該抽出したエアーを冷却して温湿度計で測定し、該測定したエアーの絶対湿度により、給排気流量を調整して前記乾燥ボックス内のエアーの絶対湿度を制御することを特徴とする製造方法である。
<2> 給気ダクト及び排気ダクトからチューブを介し、エアーポンプを用いてエアーを抽出し、該エアーポンプから抽出したエアーの絶対湿度を測定する前記<1>に記載の製造方法である。
<3> 給気及び排気からの抽出エアーの冷却温度が、(給気及び排気の抽出エアーの露点+2℃)以上(給気及び排気の抽出エアーの露点+10℃)以下である前記<1>から<2>のいずれかに記載の製造方法である。
<4> 冷却温度の制御を温水で行う前記<3>に記載の製造方法である。
<5> 冷却温度の制御を熱風で行う前記<3>に記載の製造方法である。
<6> 連続走行するウェブ上に材料塗布液を塗布する塗布手段と、
塗布された材料塗布液中の水分を蒸発させる乾燥手段と、を少なくとも有し、
前記乾燥手段への給気及び前記乾燥手段からの排気におけるエアーの絶対湿度を、前記塗布された材料塗布液中の水分を蒸発させる乾燥ボックスの直近の給気ダクト及び排気ダクトからエアーを抽出し、該抽出したエアーを冷却して温湿度計で測定し、該測定した絶対湿度により、給排気流量を調整して前記乾燥ボックス内のエアーの絶対湿度を制御することを特徴とする製造装置である。
<7> 給気ダクト及び排気ダクトからチューブを介し、エアーポンプを用いてエアーを抽出し、該エアーポンプから抽出したエアーの絶対湿度を測定する前記<6>に記載の製造装置である。
<8> 給気及び排気からの抽出エアーの冷却温度が、(給気及び排気の抽出エアーの露点+2℃)以上(給気及び排気の抽出エアーの露点+10℃)以下である前記<6>から<7>のいずれかに記載の製造装置である。
<9> 冷却温度の制御手段として恒温水槽を有する前記<8>に記載の製造装置である。
<10> 冷却温度の制御手段として恒温槽を有する前記<8>に記載の製造装置である。
本発明の製造方法は、連続走行するウェブ上に材料塗布液を塗布する塗布工程と、塗布された材料塗布液中の水分を、乾燥手段を用いて蒸発させる乾燥工程と、を少なくとも含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
以下、本発明の製造方法及び製造装置について詳細に説明する。
前記塗布工程は、連続走行するウェブ上に材料塗布液を塗布する工程であり、塗布手段により実施される。
前記無機材料としては、例えば、ガラス、石英、シリコン、酸化シリコン、酸化アルミニウム、SiO2、金属などが挙げられる。
前記有機材料としては、例えば、上質紙、アート紙、コート紙、合成紙等の紙;三酢酸セルロース等のセルロース誘導体;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン等からなる高分子フィルムなどが挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、上質紙、アート紙、コート紙、高分子フィルムが特に好ましい。
前記ウェブの厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50μm〜2,000μmが好ましく、100μm〜1,000μmがより好ましい。
前記ウェブを連続走行させる手段としては、例えば搬送ロールなどが挙げられる。
前記材料塗布液を塗布する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ブレード塗布方法、ワイヤーバー塗布方法、ロッドバー塗布方法、カーテン塗布方法などが挙げられる。
前記乾燥工程は、塗布された材料塗布液中の水分を蒸発させる工程であり、乾燥手段により実施される。
これらの中でも、熱風をノズルからウェブに吹き付ける方法が特に好ましい。
前記熱風をノズルからウェブに吹き付ける方法としては、ジェットノズル方式などが挙げられる。
前記乾燥工程では、乾燥効率を高くするため、ドライヤーをいくつかのゾーンで連続して設け、ドライヤーゾーン毎に温度コントロールすることが好ましい。特に、感熱記録材料のように塗布された塗布膜の温度が高くなると発色してしまう場合は、初期温度を高くし、後半温度を発色させない塗膜温度で維持するように設計することが好ましい。
即ち、前記乾燥工程の乾燥手段への給気及び乾燥手段からの排気におけるエアーの絶対湿度を、その乾燥ボックスの直近の給気ダクト及び排気ダクトの一部にエアー抽出口を取り付け、その抽出口からチューブを介して、エアーポンプでエアーを給排気させる。
一方、エアーポンプからの排気側にもチューブを取り付け、該チューブを冷却し、該チューブ出口部の温湿度計で排気エアーの絶対湿度を測定する。そして、給気エアー及び排気エアーの絶対湿度(排気エアー絶対湿度は、乾燥ボックス内の雰囲気の絶対湿度にほぼ等しい)の結果から、限界の排気エアー絶対湿度になるように、給気エアー及び排気エアーの流量を制御し、塗布液中の水分を蒸発させる乾燥ボックス内のエアーの絶対湿度を制御する。
これにより、温湿度計による絶対湿度の測定精度が良くなり、給排気エアー流量精度が良くなり、給排気エアー流量のバランスにより乾燥不良を防止できる。また、給気エアー温度を必要な乾燥温度に温めるエネルギーを最小限に抑えられ、熱エネルギーの削減及びCO2排出量の削減ができる。
ここで、限界の排気エアー絶対湿度は、乾燥後に材料製品の必要な出口最終水分になるための限界の乾燥ボックス内の雰囲気の絶対湿度であり、これは、乾燥ボックスの長さ、乾燥温度、塗布速度で変化する。
前記冷却温度が、(給気及び排気の抽出エアーの露点+2℃)未満であると、エアーが結露を起こし易く、結露した場合に温湿度計を破損してしまい、給排気エアー流量バランスを制御できなくなり、乾燥不良を起こし、乾燥が不十分になるため、そのウェブに塗布された塗膜が乾ききれず、乾燥工程後の搬送ロールに巻き付き、生産が停止したり、製品を巻き取った時にそのウェブの表面と裏面に別のウェブの面が張り付いて製品として生産できなくなってしまう。このようなことが起こると、製造装置をストップ、及び、スタートを繰り返すことで、エネルギー使用量を増加させ、CO2排出量を増加させてしまう。一方、前記冷却温度が、(給気及び排気の抽出エアーの露点+10℃)を超えると、温湿度計による絶対湿度測定の精度が悪くなり、給排気エアー流量バランスが制御できなくなり、乾燥不良を起こし、乾燥が不十分になるため、ウェブに塗布された塗膜が乾ききれず、乾燥工程後の搬送ロールに巻き付き、生産が停止したり、製品を巻き取った時にそのウェブの表面と裏面に別のウェブの面が張り付いて製品として生産できなくなってしまう。更に、このようなことが起こることで、製造装置をストップ及びスタートを繰り返すことで、エネルギー使用量を増加させ、CO2排出量を増加させてしまう。
ウェブ2としては、例えば、紙、合成紙、フィルムなどが挙げられる。
塗布手段3としては、例えば、ブレード塗布方法、ワイヤーバー塗布方法、ロッドバー塗布方法、カーテン塗布方法などが挙げられる。
乾燥手段5は、乾燥ボックス7と、熱風噴出しノズル13とを有し、ダクト8を介して循環ファン14と連結されている。この乾燥手段5は、場合によっては2つ以上連続して設けてもよく、各乾燥ボックス7内の温度コントロールをしている。
外気エアーを給気エアーファン11により給気エアーとし、該給気エアーを蒸気、温水、ガス燃焼等の熱交換器10により、必要な温度に温めて、乾燥ボックス7内の熱風吹き出しノズル13から熱風をウェブ2上に吹き出し、乾燥を行う。一方、乾燥ボックス7内の蒸発水分を含んだエアーを排気エアーファン12により排気するように構成されている。
次に、その後、乾燥手段5を通過させて乾燥を行う。この時に、図5に示すように、給気エアー及び排気エアーをそれぞれの乾燥ボックス直近のダクトからチューブ18を介してエアーポンプ15で抽出し、冷却手段16としての恒温水槽22にチューブ18を沈め冷却し、冷却したエアーの絶対湿度を温湿度計17で測定する。
なお、図4中1はウェブ巻き出し原反、4は搬送ロール、6はウェブ巻き取り材料製品、9はエアークリーンフィルター、15はエアーポンプ、18はチューブ、19は流量計、20は温度センサー、21は水分計をそれぞれ表す。
なお、給気及び排気からの抽出エアーを冷却する方法としては、図6に示すように恒温槽23を使用して制御する方法を採用することもできる。なお、図6中15はエアーポンプ、17は温湿度計、18はチューブをそれぞれ表す。
本発明の製造方法及び製造装置は、例えば、感熱記録材料、ハロゲン化銀写真感光材料、磁気記録材料、感圧記録材料、粘着ラベル、アート紙、コート紙、インクジェット記録シートなどの作製に好適に用いられる。
年間を通して、外気絶対湿度の高い夏場(2010年9月7日)において、図4に示す乾燥手段5を2つ並べて配置し、乾燥手段5を連続に2つ有する製造装置を使用し、紙の上に下塗り層が塗布されているウェブ(塗工幅2,000mm)に塗工速度300m/minでロッドバー塗布により、塗布量12g/m2となるように、下記組成の感熱記録層塗工液を塗布した(塗布工程)。
次に、図4に示す塗布後のウェブを2つの連続した乾燥手段5を通過させて乾燥させた(乾燥工程)。その時の乾燥条件などを下記表1及び表2に示す。
次いで、図5に示すように、給気エアー及び排気エアーをそれぞれの乾燥ボックス直近のダクト(給気エアーにおいては、外気エアーと排気エアーの一部が混合し、熱交換器で温められた循環ファン後のエアーダクト)からチューブ18(シンフレックスチューブ:ナイロンN1チューブ、耐熱温度120℃)を介してエアーポンプ15で抽出し、恒温水槽22(卓上型低温恒温水槽CB−15、株式会社井内盛栄堂製)にチューブ18を沈め冷却し、該冷却したエアーの絶対湿度を温湿度計17(HM−70、ヴァイサラ株式会社製)で測定した。結果を表1及び表2に示す。
測定結果から、インバーター制御している給気ファン、及び排気ファンの周波数を変更し、給気エアー流量及び排気エアー流量を夏場の外気絶対湿度が高い時期の乾燥ボックス内の雰囲気の絶対湿度(排気エアー絶対湿度)になるようにコントロールし、感熱記録材料の製造を行った。その時の感熱記録材料の水分量を乾燥ボックス後(出口から1m後)に水分計(赤外線成分計、IRMV、株式会社チノー製)で測定した。また、給気エアー流量及び排気エアー流量を流量計(ピトー管式流量計、MP−2000、東亞工業株式会社製)で測定し、また、外気温湿度も測定し、その時の使用蒸気量を渦流量計(渦流量計、VXW1、株式会社オーバル製)で確認した。また、作製した感熱記録材料の塗工状態を、以下のようにして評価した。これらの結果を表1及び表2に示す。
乾燥後塗布面と接触する搬送ロール表面の塗布液の付着の有無で塗工状態を評価した。
・3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン・・・4質量部
・4−イソプロポキシ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン・・・12質量部
・シリカ・・・6質量部
・ポリビニルアルコールの10質量%水溶液・・・16質量部
・水・・・41質量部
感熱記録層塗工液の粘度は、150mPa・s(25℃)、静的表面張力は38mN/m(25℃)であった。
なお、感熱記録層塗工液の粘度は、25℃で、B型粘度計(東京計器株式会社製、BL型)No.2ローター、回転数60rpmで測定した。また、静的表面張力は、25℃で、FACE自動表面張力計CBVP−A3型(協和界面科学株式会社製)で測定した。
実施例1において、給気エアー及び排気エアーを冷却する冷却手段を、図6に示すような恒温槽23(DN−43、ヤマト科学株式会社製)に代えた以外は、実施例1と同様にして、感熱記録材料の製造及び測定を行った。温湿度計の測定誤差、乾燥条件、及び塗工状態の結果を表1及び表2に示す。
実施例1において、給排気エアーの絶対湿度を給気及び排気ダクト内で冷却せずに測定した以外は、実施例1と同様にして、感熱記録材料の製造及び測定を行った。温湿度計の測定誤差、乾燥条件、及び塗工状態の結果を表1及び表2に示す。
比較例1と同様の乾燥条件で、給排気エアーの絶対湿度を実施例1と同様に冷却して測定した以外は、比較例1と同様にして、感熱記録材料の製造及び測定を行った。温湿度計の測定誤差、乾燥条件、及び塗工状態の結果を表1及び表2に示す。
*絶対湿度誤差は、以下のとおり測定誤差の上下限相対湿度時の絶対湿度差より求めた。
絶対湿度誤差=(上下限相対湿度の絶対湿度−絶対湿度測定値)/絶対湿度測定値
*「ドライヤー1z上」及び「ドライヤー1z下」は、乾燥手段を2つ連続して有する製造装置における1番目(下流側)の乾燥手段のドライヤーの上下を表す(図4参照)。
*「ドライヤー2z上」及び「ドライヤー2z下」は、乾燥手段が2つ連続して有する製造装置における2番目(上流側)の乾燥手段のドライヤーの上下を表す。
2 ウェブ
3 塗布手段
4 搬送ロール
5 乾燥手段
6 ウェブ巻き取り材料製品
7 乾燥ボックス
8 ダクト
9 エアークリーンフィルター
10 熱交換器
11 給気エアーファン
12 排気エアーファン
13 熱風噴出しノズル
14 循環ファン
15 エアーポンプ
16 冷却手段
17 温湿度計
18 チューブ
19 流量計
20 温度センサー
21 水分計
22 恒温水槽
23 恒温槽
Claims (10)
- 連続走行するウェブ上に材料塗布液を塗布する塗布工程と、
塗布された材料塗布液中の水分を、乾燥手段を用いて蒸発させる乾燥工程と、を少なくとも含み、
前記乾燥手段への給気及び前記乾燥手段からの排気におけるエアーの絶対湿度を、前記塗布された材料塗布液中の水分を蒸発させる乾燥ボックスの直近の給気ダクト及び排気ダクトからエアーを抽出し、該抽出したエアーを冷却して温湿度計で測定し、該測定したエアーの絶対湿度により、給排気流量を調整して前記乾燥ボックス内のエアーの絶対湿度を制御することを特徴とする製造方法。 - 給気ダクト及び排気ダクトからチューブを介し、エアーポンプを用いてエアーを抽出し、該エアーポンプから抽出したエアーの絶対湿度を測定する請求項1に記載の製造方法。
- 給気及び排気からの抽出エアーの冷却温度が、(給気及び排気の抽出エアーの露点+2℃)以上、(給気及び排気の抽出エアーの露点+10℃)以下である請求項1から2のいずれかに記載の製造方法。
- 冷却温度の制御を温水で行う請求項3に記載の製造方法。
- 冷却温度の制御を熱風で行う請求項3に記載の製造方法。
- 連続走行するウェブ上に材料塗布液を塗布する塗布手段と、
塗布された材料塗布液中の水分を蒸発させる乾燥手段と、を少なくとも有し、
前記乾燥手段への給気及び前記乾燥手段からの排気におけるエアーの絶対湿度を、前記塗布された材料塗布液中の水分を蒸発させる乾燥ボックスの直近の給気ダクト及び排気ダクトからエアーを抽出し、該抽出したエアーを冷却して温湿度計で測定し、該測定した絶対湿度により、給排気流量を調整して前記乾燥ボックス内のエアーの絶対湿度を制御することを特徴とする製造装置。 - 給気ダクト及び排気ダクトからチューブを介し、エアーポンプを用いてエアーを抽出し、該エアーポンプから抽出したエアーの絶対湿度を測定する請求項6に記載の製造装置。
- 給気及び排気からの抽出エアーの冷却温度が、(給気及び排気の抽出エアーの露点+2℃)以上、(給気及び排気の抽出エアーの露点+10℃)以下である請求項6から7のいずれかに記載の製造装置。
- 冷却温度の制御手段として恒温水槽を有する請求項8に記載の製造装置。
- 冷却温度の制御手段として恒温槽を有する請求項8に記載の製造装置。
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