JP2021024195A - 積層フィルム及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】無機材料を使用しなくてもガスバリア性能を得ることができ、基材フィルムと積層膜との接着強度が十分に高い新たな積層フィルムを提供する。【解決手段】基材フィルムの少なくとも片面側にカチオン性ポリマー含有層(C)及びアニオン性ポリマー含有層(A)が積層してなる積層CAをn個(nは1以上の整数)積層してなる構成を有する積層膜CAnを有する積層フィルムであって、前記アニオン性ポリマー又は前記カチオン性ポリマー又はこれら両方が窒素元素(N)を有しており、積層膜CAn内において特定の窒素元素(N)濃度分布を有することを特徴とする積層フィルムである。【選択図】図1

Description

本発明は、ガスバリア性に優れた積層フィルム及びその製造方法に関する。
基材フィルムの高機能化手法の一つとして知られている交互積層(layer-by-layer、LbLと略記する場合がある。)法が、各分野、例えば光学分野(特許文献2)、ガスセンサー分野(特許文献3)などで知られている。
この交互積層法(LbL)は、G.Decherらによって1992年に発表された有機薄膜の形成方法であり(非特許文献1参照)、正電荷を有するポリマー電解質(ポリカチオン)の水溶液、及び、負電荷を有するポリマー電解質(ポリアニオン)の水溶液に基材フィルムを交互に浸漬することで、基材フィルム上に、静電引力により吸着したポリカチオン層とポリアニオン層が交互に積層して複合膜(「交互積層膜」と称する)を形成する方法である。
近年、ガスバリア性を有するフィルムにおいても、上記のような交互積層法(LbL)が鋭意検討されている。例えば、有機材料とクレーなどの無機材料とを組み合わせた交互積層膜を用いた検討事例が挙げられる。
特開2008−188513号公報 特表2017−526971号公報 特開2012−122814号公報
Thin Solid Films,210/211,p831(1992) アドバンスト マテリアル(Advanced Material)13巻52−54頁(2001年発行)
従来一般的に実施されていた交互積層法(LbL)は、正電荷を有するポリマー電解質(ポリカチオン)の水溶液、及び、負電荷を有するポリマー電解質(ポリアニオン)の水溶液に基材フィルムを交互に浸漬する必要があるため、製造工程が複雑であるという問題を抱えていた。
さらに、交互に浸漬する方法(「交互浸漬法」とも称する)の場合には、余分な量の電荷をかかえた物質などを洗い流すための洗浄(リンス)工程を設ける必要がある場合もあり(例えば特許文献1の段落[0035]など)、さらに製造工程を複雑化させる原因でもあった。
また、ガスバリアフィルム分野では、上述のように、有機材料とクレーなどの無機材料とを組み合わせた積層膜を用いる方法が一般的に採用されており、膜中のクレー含有量に応じて、ガスバリア性能が大きく左右される傾向があった。しかし、膜中のクレー含有量が多いと、得られるフィルムの透明性が低下するため、透明性を必要とされる用途へ適用することは困難であった。
そこで本発明では、クレーなどの無機材料を使用しなくても、無機材料を使用した場合と同程度或いはそれ以上のガスバリア性能を得ることができ、さらには、基材フィルムと、ガスバリア性能を有する積層膜との接着強度が十分に高く、製造面においては、交互浸漬法のように洗浄(リンス)工程を実施する必要がなく、より簡単に製造することができる、新たな積層フィルム及びその製造方法を提供せんとするものである。
本発明は、基材フィルムの少なくとも片面側に、カチオン性ポリマーを主成分樹脂として含有する層(C)(「カチオン性ポリマー含有層(C)」と称する)及びアニオン性ポリマーを主成分樹脂として含有する層(A)(「アニオン性ポリマー含有層(A)」と称する)が積層してなる積層CAをn個(nは1以上の整数)積層してなる構成を有する積層膜CAnを有する積層フィルムであって、
前記アニオン性ポリマー又は前記カチオン性ポリマー又はこれら両方が窒素元素(N)を有しており、
逐次アルゴン(Ar)エッチングとXPS(X線光電子分光法)とを用いて、積層膜CAn中の厚み方向における窒素元素(N)の濃度分布を測定し、得られた窒素元素(N)の濃度分布(縦軸:窒素元素(N)濃度(atm%)、横軸:エッチング時間(sec))において、総エッチング時間を均等に10分割して、第1点(エッチング時間0:積層膜表面)、第2点、・・第11点(エッチング終了:積層膜の境界面)と決めた際に少なくとも第1点〜第5点の範囲において、窒素元素(N)の濃度が、積層膜CAnの表面から基材フィルム方向に向かって漸減し、第1点の窒素元素(N)の濃度に対して第3点の窒素元素(N)の濃度が60〜90%であるか、若しくは、極大値を有し、第1点の窒素元素(N)の濃度に対して該極大値の窒素元素(N)の濃度が200〜500%であり、該極大値の後に、基材フィルム方向に向かって漸減していることを特徴とする積層フィルムを提案する。
本発明はまた、基材フィルムの表面にプラス電荷を付与する基材フィルム表面処理工程と、カチオン性ポリマーを含む塗布液を前記基材フィルムの表面に塗布し乾燥させた後、アニオン性ポリマーを含む塗布液をさらに塗布し乾燥させる連続塗布乾燥処理をn回(nは1以上の整数)行う連続塗布乾燥工程と、を備えた積層フィルムの製造方法を提案する。
本発明が提案する積層フィルムは、基材フィルムの少なくとも片面側に、カチオン性ポリマー含有層(C)とアニオン性ポリマー含有層(A)とが積層してなる積層膜CAnを有しており、且つ、当該積層膜CAnにおいては、積層膜CAn中の厚み方向における窒素元素(N)の濃度分布において、少なくとも半分よりも積層膜表面側において、窒素元素(N)の濃度が、積層膜CAnの表面から基材フィルム方向に向かって漸減し、第1点の窒素元素(N)の濃度に対して第3点の窒素元素(N)の濃度が60〜90%であるパターンを示すか、若しくは、極大値を有し、第1点の窒素元素(N)の濃度に対して該極大値の窒素元素(N)の濃度が200〜500%であり、該極大値の後に、基材フィルム方向に向かって漸減しているパターンを示すという特徴を有している。このような特徴を有していれば、クレーなどの無機材料を使用しなくても、無機材料を使用した場合と同程度或いはそれ以上のガスバリア性能を得ることができ、さらには、基材フィルムと、ガスバリア性能を有する積層膜CAnとの接着強度を十分に高く維持することができる。
また、本発明が提案する積層フィルムの製造方法によれば、交互浸漬法のように洗浄(リンス)工程を実施する必要がなく、より簡単に製造することができる。
本発明の積層フィルムの構成例を示した断面図である。 実施例1で得られた積層フィルムの積層膜CAnの窒素元素(N)濃度分布((縦軸:窒素元素(N)濃度(atm%)、横軸:エッチング時間(sec))を示したグラフであり、総エッチング時間を均等に10分割して、第1点(エッチング時間0:積層膜表面)、第2点、・・第11点(エッチング終了:積層膜の境界面)と決めた際に少なくとも第1点〜第5点の範囲において、窒素元素(N)濃度が極大値を有し、第1点の窒素元素(N)の濃度に対して該極大値の窒素元素(N)の濃度が200〜500%であり、該極大値の後に基材フィルム方向に向かって漸減しているパターン(Bタイプ)の一例である。 実施例2で得られた積層フィルムの積層膜CAnの窒素元素(N)濃度分布((縦軸:窒素元素(N)濃度(atm%)、横軸:エッチング時間(sec))を示したグラフであり、総エッチング時間を均等に10分割して、第1点(エッチング時間0:積層膜表面)、第2点、・・第11点(エッチング終了:積層膜の境界面)と決めた際に少なくとも第1点〜第5点の範囲において、窒素元素(N)の濃度が極大値を有し、第1点の窒素元素(N)の濃度に対して該極大値の窒素元素(N)の濃度が200〜500%であり、該極大値の後に基材フィルム方向に向かって漸減しているパターン(Bタイプ)の一例である。 実施例3で得られた積層フィルムの積層膜CAnの窒素元素(N)濃度分布((縦軸:窒素元素(N)濃度(atm%)、横軸:エッチング時間(sec))を示したグラフであり、総エッチング時間を均等に10分割して、第1点(エッチング時間0:積層膜表面)、第2点、・・第11点(エッチング終了:積層膜の境界面)と決めた際に少なくとも第1点〜第5点の範囲において、窒素元素(N)の濃度が、積層膜CAnの表面から基材フィルム方向に向かって漸減し、第1点の窒素元素(N)の濃度に対して第3点の窒素元素(N)の濃度が60〜90%であるパターン(Aタイプ)の一例である。 実施例4で得られた積層フィルムの積層膜CAnの窒素元素(N)濃度分布((縦軸:窒素元素(N)濃度(atm%)、横軸:エッチング時間(sec))を示したグラフであり、総エッチング時間を均等に10分割して、第1点(エッチング時間0:積層膜表面)、第2点、・・第11点(エッチング終了:積層膜の境界面)と決めた際に少なくとも第1点〜第5点の範囲において、窒素元素(N)の濃度が極大値を有し、第1点の窒素元素(N)の濃度に対して該極大値の窒素元素(N)の濃度が200〜500%であり、該極大値の後に基材フィルム方向に向かって漸減しているパターン(Bタイプ)の一例である。 実施例5で得られた積層フィルムの積層膜CAnの窒素元素(N)濃度分布((縦軸:窒素元素(N)濃度(atm%)、横軸:エッチング時間(sec))を示したグラフであり、総エッチング時間を均等に10分割して、第1点(エッチング時間0:積層膜表面)、第2点、・・第11点(エッチング終了:積層膜の境界面)と決めた際に少なくとも第1点〜第5点の範囲において、窒素元素(N)の濃度が、積層膜CAnの表面から基材フィルム方向に向かって漸減し、第1点の窒素元素(N)の濃度に対して第3点の窒素元素(N)の濃度が60〜90%であるパターン(Aタイプ)の一例である。 比較例1で得られた積層フィルムの積層膜CAnの窒素元素(N)濃度分布((縦軸:窒素元素(N)濃度(atm%)、横軸:エッチング時間(sec))を示したグラフであり、総エッチング時間を均等に10分割して、第1点(エッチング時間0:積層膜表面)、第2点、・・第11点(エッチング終了:積層膜の境界面)と決めた際に少なくとも第1点〜第5点の範囲において、窒素元素(N)の濃度が、積層膜CAnの表面から基材フィルム方向に向かって漸減しているが、第1点の窒素元素(N)の濃度に対して第3点の窒素元素(N)の濃度が60〜90%の範囲内ではないパターン(Cタイプ)の一例である。 比較例2で得られた積層フィルムの積層膜CAnの窒素元素(N)濃度分布((縦軸:窒素元素(N)濃度(atm%)、横軸:エッチング時間(sec))を示したグラフであり、総エッチング時間を均等に10分割して、第1点(エッチング時間0:積層膜表面)、第2点、・・第11点(エッチング終了:積層膜の境界面)と決めた際に少なくとも第1点〜第5点の範囲において、窒素元素(N)の濃度が、積層膜CAnの表面から基材フィルム方向に向かって漸減しているが、第1点の窒素元素(N)の濃度に対して第3点の窒素元素(N)の濃度が60〜90%の範囲内ではないパターン(Cタイプ)の一例である。 比較例3で得られた積層フィルムの積層膜CAnの窒素元素(N)濃度分布((縦軸:窒素元素(N)濃度(atm%)、横軸:エッチング時間(sec))を示したグラフであり、総エッチング時間を均等に10分割して、第1点(エッチング時間0:積層膜表面)、第2点、・・第11点(エッチング終了:積層膜の境界面)と決めた際に少なくとも第1点〜第5点の範囲において、窒素元素(N)の濃度が、積層膜CAnの表面から基材フィルム方向に向かって漸減しているが、第1点の窒素元素(N)の濃度に対して第3点の窒素元素(N)の濃度が60〜90%の範囲内ではないパターン(Cタイプ)の一例である。 比較例4で得られた積層フィルムの積層膜CAnの窒素元素(N)濃度分布((縦軸:窒素元素(N)濃度(atm%)、横軸:エッチング時間(sec))を示したグラフであり、総エッチング時間を均等に10分割して、第1点(エッチング時間0:積層膜表面)、第2点、・・第11点(エッチング終了:積層膜の境界面)と決めた際に少なくとも第1点〜第5点の範囲において、窒素元素(N)の濃度がほとんどなく、窒素元素(N)の濃度が、積層膜CAnの表面から基材フィルム方向に向かって漸減しておらず、且つ、極大値を有してもいないパターン(Dタイプ)の一例である。 本発明の積層フィルムの一例を製造するための製造設備の一例を示した概略図である。
次に、実施の形態例に基づいて本発明を説明する。但し、本発明が次に説明する実施形態に限定されるものではない。
<<本積層フィルム>>
本発明の実施形態の一例にかかる積層フィルム(「本積層フィルム」と称する)は、基材フィルム(「本基材フィルム」と称する)の少なくとも片面側に、カチオン性ポリマーを主成分樹脂として含有する層(C)(「カチオン性ポリマー含有層(C)」と称する)及びアニオン性ポリマーを主成分樹脂として含有する層(A)(「アニオン性ポリマー含有層(A)」と称する)が積層してなる積層CAをn個(nは1以上の整数)積層してなる構成を有する積層膜CAnを有する積層フィルムである。
<積層膜CAn>
積層膜CAnは、カチオン性ポリマー含有層(C)及びアニオン性ポリマー含有層(A)が積層してなる積層CAが、n個(nは1以上の整数)積層してなる構成を有する。
(カチオン性ポリマー含有層(C))
カチオン性ポリマー含有層(C)は、カチオン性ポリマーを主成分樹脂として含有する層であればよい。
ここで「主成分樹脂」とは、当該層を構成する樹脂成分のうち最も含有量(質量)の多い樹脂成分を言う。当該層は、主成分樹脂以外の樹脂成分を含むことを許容するものである。但し、主成分樹脂が、当該層を構成する樹脂成分の50質量%以上を含むことが好ましく、中でも70質量%以上、その中でも80質量%以上(100質量%を含む)ことが許容される。
カチオン性ポリマーは、正の電荷を有するイオン性ポリマーであればよい。
イオン性ポリマーとしては、荷電を有する官能基を主鎖または側鎖に持つ高分子を用いることができる。
カチオン性ポリマーとしては、4級アンモニウム基、アミノ基などの正荷電を帯びているか帯びることのできる官能基を有するポリマーを挙げることができる。例えばポリエチレンイミン(PEI)、ポリアリルアミン(PAlAm)、ポリビニルアミン(PVAm)、ポリビニルピリジン(PVP)、ポリリジン、キトサン、およびそれらの塩酸塩などの塩類、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA)などを用いることができる。これらの一種であってもよいし、これら二種類以上の組合せであってもよい。なお、ここで挙げたポリマーはいずれも、窒素を含有するものである。
中でも、単位体積におけるカチオン密度が高いため、より高バリア性に寄与するコート層内のイオン結合を多く生じさせることができるという観点から、ポリエチレンイミン(PEI)又はポリアリルアミン(PAlAm)又はこれらの組み合わせが好ましい。
なお、前記アニオン性ポリマー又は前記カチオン性ポリマー又はこれら両方が窒素元素(N)を有する必要がある。中でも、前記カチオン性ポリマーが、上記のように窒素元素を有し、アニオン性ポリマーは窒素元素を有さない方が、分子内でのアニオン性部位と窒素元素のカチオン化による分子イオン結合に起因する特性低下が生じないという観点から好ましい。
(アニオン性ポリマー含有層(A))
アニオン性ポリマー含有層(A)は、アニオン性ポリマーを主成分樹脂として含有する層であればよい。
ここで「主成分樹脂」とは、当該層を構成する樹脂成分のうち最も含有量(質量)の多い樹脂成分を言う。当該層は、主成分樹脂以外の樹脂成分を含むことを許容するものである。但し、主成分樹脂が、当該層を構成する樹脂成分の50質量%以上を含むことが好ましく、中でも70質量%以上、その中でも80質量%以上(100質量%を含む)ことが許容される。
アニオン性ポリマーは、負の電荷を有するイオン性ポリマーであればよい。
イオン性ポリマーとしては、荷電を有する官能基を主鎖または側鎖に持つ高分子を用いることができる。
アニオン性ポリマーとしては、スルホン酸、硫酸、カルボン酸など負電荷を帯びているか、若しくは、負電荷を帯びることのできる官能基を有するポリマーを挙げることができる。例えばポリスチレンスルホン酸(PSS)、ポリビニル硫酸(PVS)、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸、ポリアクリル酸(PAA)、ポリメタクリル酸(PMA)、ポリマレイン酸、ポリフマル酸、アルギン酸、およびそれらの共重合体、およびそれらの無機塩などが用いられる。これらの一種であってもよいし、これら二種類以上の組合せであってもよい。
中でも、比較的マイルドな酸なため取り扱いやすく、かつ単位体積におけるアニオン密度が高いため、より高バリア性に寄与するコート層内のイオン結合を多く生じさせることができるという観点から、ポリアクリル酸(PAA)又はポリ(アクリル酸‐マレイン酸)共重合体(PAA−PMA)又はこれらの組み合わせが好ましい。
なお、窒素を含有するアニオン性ポリマーとして、例えば、上記アニオン性ポリマーと、ポリアクリルアマイド、ポリビニルホルムアミド、ポリビニルピロリドンなどの、窒素を含有するノニオン性ポリマーとの共重合物などを挙げることができる。但し、これらに限定するものではない。
以上の中でも、良好なガスバリア性を得ることが出来る点で、カチオン性ポリマー含有層(C)の主成分樹脂がポリエチレンイミン(PEI)であり、アニオン性ポリマー含有層(A)の主成分樹脂がポリアクリル酸(PAA)である組み合わせが好ましい。
(積層順序)
基材フィルムの表面がプラス電荷を帯びている場合は、基材フィルムの表面から、アニオン性ポリマー含有層(A)及びカチオン性ポリマー含有層(C)の順に積層するのが好ましい。この場合、積層膜CAnの表面層はカチオン性ポリマー含有層(C)となる。
他方、基材フィルムの表面がマイナス電荷を帯びている場合は、基材フィルムの表面から、カチオン性ポリマー含有層(C)及びアニオン性ポリマー含有層(A)の順に積層するのが好ましい。この場合、積層膜CAnの表面層はアニオン性ポリマー含有層(A)となる。
但し、基材フィルムの表面はマイナス電荷を帯びていることが多く、また、基材フィルムの表面を、マイナス電荷を帯びるような表面処理をすることが多いから、基材フィルムの表面から、カチオン性ポリマー含有層(C)及びアニオン性ポリマー含有層(A)の順に積層することが多くなる。
(厚み)
カチオン性ポリマー含有層(C)とアニオン性ポリマー含有層(A)との厚み比率に関しては、得られるガスバリアコート層の酸素透過性およびコート密着性(ラミネート強度)の観点から、カチオン性ポリマー含有層(C)の厚みは、アニオン性ポリマー含有層(A)の厚みの5〜80%であるのが好ましく、中でも10%以上或いは70%以下、その中でも14%以上或いは50%以下であるのがさらに好ましい。
積層膜CAnの総厚み(乾燥後)は、生産性の観点から、1000nm以下であるのが好ましく、中でも500nm以下、その中でも300nm以下であるのがさらに好ましい。一方、ガスバリア性向上の観点からは、50nm以上であるのが好ましく、中でも100nm以上、その中でも150nm以上であるのがさらに好ましい。
(積層CAの積層個数)
積層膜CAnは、一つのカチオン性ポリマー含有層(C)と一つのアニオン性ポリマー含有層(A)との組合せからなる積層CAが、n個(nは1以上の整数)積層してなる構成を有している。
積層CAの積層数nに関しては、最低1以上であればよく、ガスバリア性向上の観点から、2以上であるのが好ましく、中でも4以上であるのがさらに好ましい。上限に関しては特に限定されるわけではない。生産性を考慮すると、12以下であるのが好ましく、中でも10以下、その中でも8以下であるのがさらに好ましい。
(窒素元素(N)の濃度分布)
本積層フィルムにおける積層膜CAnの窒素元素(N)の濃度分布において、少なくとも半分よりも積層膜表面側において、窒素元素(N)の濃度が、積層膜CAnの表面から基材フィルム方向に向かって漸減し、第1点の窒素元素(N)の濃度に対して第3点の窒素元素(N)の濃度が60〜90%であるパターンを示すか、若しくは、極大値を有し、第1点の窒素元素(N)の濃度に対して該極大値の窒素元素(N)の濃度が200〜500%であり、該極大値の後に漸減しているパターンを示すという特徴を有していれば、クレーなどの無機材料を使用しなくても、無機材料を使用した場合と同程度或いはそれ以上のガスバリア性能を得ることができ、さらには、基材フィルムと積層膜CAnとの接着強度を十分に高く維持することができることが分かった。
より具体的には、積層膜CAnに関し、逐次アルゴン(Ar)エッチングとXPS(X線光電子分光法)とを用いて、積層膜CAn中の厚み方向における窒素元素(N)の濃度分布を測定し、得られた窒素元素(N)の濃度分布(縦軸:窒素元素(N)濃度(atm%)、横軸:エッチング時間(sec))において、総エッチング時間を均等に10分割して、第1点(エッチング時間0:積層膜表面)、第2点、・・第11点(エッチング終了:積層膜の境界面)と決めた際に、少なくとも第1点〜第5点の範囲において、窒素元素(N)の濃度が、積層膜CAnの表面から基材フィルム方向に向かって漸減し、第1点の窒素元素(N)の濃度に対して第3点の窒素元素(N)の濃度が60〜90%であるパターンを示す(パターンA)か、若しくは、少なくとも第1点〜第5点の範囲において、その範囲に極大値を有し、第1点の窒素元素(N)の濃度に対して該極大値の窒素元素(N)の濃度が200〜500%であり、該極大値の後に、基材フィルム方向に向かって漸減しているパターンを示す(パターンB)ものであれば、クレーなどの無機材料を使用しなくても、無機材料を使用した場合と同程度或いはそれ以上のガスバリア性能を得ることができ、さらには、基材フィルムと積層膜CAnとの接着強度を十分に高く維持することができることが確認された。
ここで、「少なくとも第1点〜第5点の範囲において、窒素元素(N)の濃度が、積層膜CAnの表面から基材フィルム方向に向かって漸減している」とは、当該範囲では、一度も上昇せずに漸減している意味である。そして、第1点の窒素元素(N)の濃度(100%)に対して第3点の窒素元素(N)の濃度は60〜90%であるのが好ましく、中でも60%以上或いは80%以下、その中でも60%以上或いは75%以下であるのがさらに好ましい。また、この際、第2点の窒素元素(N)の濃度が第1点の窒素元素(N)の濃度の50%以上であるのが好ましい。
他方、「少なくとも第1点〜第5点の範囲において、窒素元素(N)の濃度が極大値を有し、第1点の窒素元素(N)の濃度(100%)に対して該極大値の窒素元素(N)の濃度は200〜500%であるのが好ましく、中でも250%以上或いは450%以下、その中でも250%以上或いは400%以下であるのがさらに好ましい。
ここで、「極大値」とは、第1点〜第11点における窒素元素(N)の濃度の最高値の意味である。
また、「該極大値の後に、基材フィルム方向に向かって漸減し」とは、基材フィルム方向に向かってその極大値から一度も上昇せずに漸減している意味である。その際、極大値を示す点での窒素元素(N)の濃度が、第1点から第11点までの窒素元素(N)の濃度の平均値の2倍以上であるのが好ましい。
このような窒素元素(N)の濃度の傾斜構造は、カチオン性ポリマー含有層(C)とアニオン性ポリマー含有層(A)の層厚み構成、乾燥条件、塗布液濃度などを適宜調整することで得ることができる。
(その他含有成分)
カチオン性ポリマー含有層(C)及びアニオン性ポリマー含有層(A)は、必要に応じて、本発明の主旨を損なわない範囲において、微粒子、架橋剤、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、発泡剤、染料等を含有してもよい。これらの添加剤は単独で用いてもよいし、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
次に、前記微粒子及び架橋剤について詳述する。
[微粒子]
滑り性やブロッキングの改良のため、粒子を含有してもよい。
微粒子としては、例えば、有機高分子微粒子を使用することができる。
有機高分子微粒子としては、ポリエチレン、アクリル系ポリマー、ポリスチレン、シリコンポリマー、フェノール樹脂、ポリアミド、天然高分子などが挙げられる。それらは液相から溶液噴霧法、脱溶媒法、水溶液反応法、エマルション法、懸濁重合法、分散重合法、アルコキシド加水分解法(ゾル−ゲル法)、水熱反応法、化学還元法、液中パルスレーザーアブレーション法などの製造方法で合成される。
高分子微粒子には、その原料のポリマーに上記極性基やイオン性を有するものを用いることで表面に電荷を持たせることができる。
微粒子の平均一次粒子径は、5〜100nmであるのが好ましく、中でも10nm以上或いは100nm以下、その中でも20nm以上或いは100nm以下であるのがさらに好ましい。
[架橋剤]
積層膜CAnの架橋度を高めて、そのカチオン系ポリマー含有層(C)とアニオン系ポリマー含有層(A)との層間密着性及び層自体の耐久性を高めるために、架橋剤を含有することもできる。
架橋剤としては、例えば、オキサゾリン化合物、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、メラミン化合物、カルボジイミド化合物、アルデヒド化合物などを使用することが好ましい。
<本基材フィルム>
本基材フィルムは、透明性を有し、且つ、保護フィルムとして必要十分な剛性を備えたフィルムであれば、材質及び構成を限定するものではない。
本基材フィルムは、単層構成であっても、多層構成であってもよい。
本基材フィルムが多層構成の場合、2層、3層構成以外にも本発明の要旨を越えない限り、4層またはそれ以上の多層であってもよい。
本基材フィルムが単層構成であっても、多層構成であっても、各層の主成分樹脂はポリエステルであるのが好ましい。
この際、「主成分樹脂」とは、本基材フィルムを構成する樹脂のうち最も含有割合の多い樹脂を意味し、例えば本基材フィルムを構成する樹脂のうち50質量%以上、特に70質量%以上、中でも80質量%以上(100質量%を含む)を占める樹脂である。
本基材フィルムの各層は、ポリエステルを主成分樹脂として含有すれば、ポリエステル以外の樹脂或いは樹脂以外の成分を含有していてもよい。
上記ポリエステルは、ホモポリエステルであっても、共重合ポリエステルであってもよい。
ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。
前記芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などを挙げることができる。
前記脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等を挙げることができる。
代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート等を例示することができる。
他方、共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、セバシン酸などの1種または2種以上を挙げることができ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の1種または2種以上を挙げることができる。
ポリエステルの具体例としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンナフタレート(PBN)が例示される。その他の樹脂として、ポリアリレート類、ポリエーテルスルフォン、ポリカーボネート、ポリエーテルケトン、ポリスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエステル系液晶ポリマー、トリアセチルセルロース、セルロース誘導体、ポリプロピレン、ポリアミド類、ポリイミド、ポリシクロオレフィン類等を例示することができる。この中でも、PET、PENが取扱い性の点で好ましい。
本基材フィルムは、フィルム表面に易滑性を付与する目的および各工程での傷発生防止を主たる目的として、粒子を含有してもよい。
当該粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではない。例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の無機粒子、アクリル樹脂、スチレン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の有機粒子等を挙げることができる。これらは1種単独で用いても、これらのうちの2種以上を組み合わせて用いてもよい。
さらに、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
上記粒子の形状は、特に限定されるわけではない。例えば球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれであってもよい。
また、上記粒子の硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
上記粒子の平均粒径は、5μm以下であるのが好ましく、中でも0.01μm以上或いは3μm以下、その中でも0.5μm以上或いは2.5μm以下であるのがさらに好ましい。5μmを超える場合には、本基材フィルムの表面粗度が粗くなりすぎて、後工程において各種の表面機能層を形成させる場合等に不具合が生じる場合がある。
粒子含有量は、本基材フィルムの5質量%以下であるのが好ましく、中でも0.0003質量%以上或いは3質量%以下、その中でも0.01質量%以上或いは2質量%以下であるのがさらに好ましい。粒子含有量をこのような範囲とすることで、フィルムの滑り性と透明性との両立が可能となるので好ましい。
本基材フィルムに粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用することができる。例えば、ポリエステルを製造する任意の段階において添加することができる。好ましくはエステル化もしくはエステル交換反応終了後、添加するのが良い。
本基材フィルムには、必要に応じて、従来公知の酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料、紫外線吸収剤等を添加することができる。
本基材フィルムの厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲であれば特に限定されるものではなく、6μm〜125μmであるのが好ましく、中でも9μm以上或いは100μm以下、その中でも12μm以上或いは75μm以下であるのがさらに好ましい。
本基材フィルムは、例えば樹脂組成物を溶融製膜方法や溶液製膜方法によりフィルム形状にすることにより形成することができる。多層構造の場合は、共押出してもよい。
また、一軸延伸又は二軸延伸したものであってもよく、剛性の点から、二軸延伸フィルムが好ましい。
(本基材フィルム表面への極性基導入方法)
本基材フィルム上に積層膜CAnを形成するためには、本基材フィルムの表面に極性基を有することが必要である。
極性基としては、水酸基、カルボシキル基、カルボニル基、スルホナート基、アミノ基、4級アンモニウム塩、イソシアネート基等が挙げられる。それらは分子内分極またはイオン化によって、局所的にプラスまたはマイナスの電荷を有するため、それと反対の電荷を有する物質を吸着させる。
本基材フィルムと積層膜CAnとの密着性向上の観点から、本基材フィルム表面はマイナスの電荷に帯電させるのが好ましい。
この際、本基材フィルム表面がマイナスの電荷に帯電する方法としては、本基材フィルムとして、表面水酸基を有するポリエチレンテレフタレート基材フィルムをそのまま用いるか、または、本基材フィルムの表面に、コロナ放電処理、グロー放電処理、プラズマ処理、紫外線照射、オゾン処理、アルカリや酸などによる化学的エッチング処理、シランカップリング処理などによって、極性を有する官能基を導入して、本基材フィルムの表面電荷をマイナスとするのが好ましい。
なお、本基材フィルム表面へプラスの電荷を効率よく導入する方法としては、例えば、水溶液中でイオン化し、プラスの電荷を有する強電解質ポリマーであるポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド又はポリエチレンイミンを吸着させることも可能である(非特許文献2参照)。
<本積層フィルムの製造方法>
本積層フィルムの製造方法の一例として、必要に応じて、本基材フィルムの表面にマイナス電荷を付与する表面処理(「基材フィルム表面処理工程」とも称する)を行った後、カチオン性ポリマーを含む塗布液をさらに塗布し乾燥させた後、アニオン性ポリマーを含む塗布液を前記基材フィルムの表面に塗布し乾燥させる一連の処理(「連続塗布乾燥処理」とも称する)をn回(nは1以上の整数)連続して行い(「連続塗布乾燥工程」と称する)、本積層フィルムを製造する方法を挙げることができる。但し、このような製造方法に限定するものではない。
このようにして本積層フィルムを製造すれば、従来工法では必須とされていた、過剰のイオン性物質を除去するためのリンス処理工程を不要とすることができ、それに伴い、さらなる生産性向上に寄与することができる。
また、このような製造方法であれば、特別な製造設備は必要なく、従来から汎用的に使用されている製造設備を用いることができる。
この製造方法においては、ロール状基材フィルムを巻出す工程と、前記基材フィルム表面処理工程と、前記連続塗布乾燥工程と、積層フィルムをロール状に巻き取る巻き取り工程とを、同一製造ラインにおいて実現することができる。
(カチオン性ポリマー又はアニオン性ポリマーを含む塗布液)
カチオン性ポリマー又はアニオン性ポリマーなどの有機高分子イオンは、多くのものが水溶性あるいは水とアルコール、アセトン等の水溶性有機溶媒との混合液に可溶であり、これらの媒体に可溶である。
良好な塗膜強度を得る観点から、カチオン性ポリマー又はアニオン性ポリマーを含む塗布液において、固形分濃度、すなわち各イオン性ポリマーの濃度は0.05質量%〜5.0質量%であるのが好ましく、中でも0.1質量%以上或いは3.0質量%以下、その中でも特に0.2質量%以上或いは2.0質量%以下であるのがさらに好ましい。
上記塗布液の塗布方法は、例えばリバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。その中でも、生産性の観点から、ダイレクトグラビアコートまたはリバースグラビアコートが好ましい。
積層膜CAnを形成する際の乾燥および硬化条件に関しては特に限定されるわけではなく、例えば、オフラインコーティングにより積層膜CAnを設ける場合、通常、80〜200℃で3〜40秒間、好ましくは100〜180℃で3〜40秒間を目安として熱処理を行うのがよい。また、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。
上記本積層フィルムの製造方法は、例えば、ロール状基材フィルムを巻出す工程と、前記基材フィルム表面処理工程と、前記連続塗布乾燥工程と、積層フィルムをロール状に巻き取る巻き取り工程とを、同一製造ラインに有する製造方法として実現することができる。但し、このような製造方法に限定するものではない。
このような製造方法を実現するためには特別な製造設備は必要なく、従来から汎用的に使用されている製造設備を用いることができる。例えば、図11に示すように、多色刷り(4色以上、好ましくは8色以上)の印刷機などの設備を使用することができる。但し、このような設備に限定するものではない。
この際、ロール状基材フィルムを巻出す工程では、例えば、フィルム表面に極性基を有する条体又は帯状の本基材フィルムを、巻き出しロールから巻き出して搬送するようにすればばよい。但し、このような方法に限定するものではない。
次に、前記連続塗布乾燥工程は、例えば、図11に示すように、カチオン性ポリマーを含む塗布液を塗布し、乾燥させた後、アニオン性ポリマーを含む塗布液を塗布し、乾燥させ、さらに、カチオン性ポリマーを含む塗布液を塗布し、乾燥させ、続いてアニオン性ポリマーを含む塗布液を塗布し、乾燥させる交互積層法をライン設備で実施するのが好ましい。
この際、本基材フィルムの表面電荷がマイナスであれば、先ず、カチオン性ポリマーを含む塗布液を塗布し、乾燥させるのが好ましく、逆に、本基材フィルムの表面電荷がプラスであれば、先ず、アニオン性ポリマーを含む塗布液を塗布し、乾燥させるのが好ましい。
そして、巻き取り工程では、例えば、巻取りロールでロール状に巻き取るようにすればよい。
<本積層フィルムの特性>
本積層フィルムは、次のような物性を得ることができる。
(ガスバリア性)
本積層フィルムは、23℃における酸素透過率(OTR)が5cc/m/day以下であるのが好ましく、中でも2cc/m/day以下、その中でも特に1cc/m/day以下であるのがさらに好ましい。
このように本積層フィルムは、積層膜CAnが有機系材料のみから構成される場合であっても、すなわち、従来のようにクレーなどの無機材料を併用しなくても、良好なガスバリア性を得ることができる。
(ラミネート強度)
本積層フィルムにおいては、本基材フィルムと積層膜CAnとの密着強度が300g/15mm以上であるのが好ましく、中でも500g/15mm以上、その中でも特に800g/15mm以上であるのがさらに好ましい。
このように本積層フィルムは、本基材フィルムと積層膜CAnとの接着強度を十分に高く維持することができる。
<用途>
本積層フィルムは、優れたガスバリア性を有しているから、例えば食品包装用、一般工業用、電子部品用などの用途に好適に用いることができる。
<<語句の説明>>
本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
本発明において、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
また、「X以上」(Xは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。但し、本発明は、以下の実施例により何ら限定されるものではない。
本発明の実施例で用いた測定法および評価方法は次のとおりである。
(1)積層膜CAnの膜厚測定方法
実施例・比較例で得た積層フィルム(サンプル)を、ミクロトーム法によって厚み方向に垂直に切削して切片を作成した。そして、得られた切片を、走査型電子顕微鏡(SEM)によって断面観察し、積層膜CAn(比較例3,4では単層膜)の最表面から基材表面までの距離、すなわち膜厚を計測した。
(2)積層膜CAn中のカチオン性ポリマー由来の窒素元素の厚み方向の濃度分布
実施例・比較例で得た積層フィルム(サンプル)について、積層膜CAn(比較例3,4では単層膜)最表面の各元素の存在量(炭素(C)、窒素(N)、酸素(O))の比を、XPS(X線光電子分光法)分析により計測した。
続いて、エッチングレートを0.2nm/secとして、積層膜CAn(比較例3,4では単層膜)の厚みの1/10の厚みに相当する秒数で、アルゴン(Ar)エッチング処理を実施した。そして、そのエッチング時間(言い換えれば、その深さ)での各元素の存在量の比を、前記同様にXPS分析によって計測した。以降、これを繰り返し、積層膜CAn(比較例3,4では単層膜)の全厚みに渡って、各元素の存在量の比を計測した。
得られたデータは、図2〜10に示すように、積層膜CAn中の厚み方向における窒素元素(N)濃度分布(縦軸:窒素元素(N)濃度(atm%)、横軸:エッチング時間(sec))を得た。
(3)ガスバリア性(OTR)
実施例・比較例で得た積層フィルム(サンプル)について、JIS K7126に準じて、酸素透過率測定装置(MOCON社製OX−TRAN2/22)を使用し、温度を23℃、湿度を0%RHの条件下で、酸素透過率(cc/m/day)を測定した。
次の基準で評価した。
〇(good):2.5(cc/m/day)未満
△(little good):2.5(cc/m/day)以上5(cc/m/day)未満
×(poor):5(cc/m/day)以上
(4)基材フィルムと積層膜CAnとのラミネート強度
厚さ60μmの無軸延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム(東洋紡績(株)製「P1146」)の表面に、ウレタン系接着剤(東洋モートン(株)製AD900とCAT−RT85を10:1.5の割合で配合したもの)を塗布、乾燥し、厚さ約3μmの接着剤層を形成した。この接着剤層上に、実施例・比較例で得た積層フィルム(サンプル)を、その積層膜CAn(比較例3,4では単層膜)が接するように重ねてラミネートとし、「基材フィルム/積層膜CAn/接着剤層/CPP」の積層構成からなるラミネート強度評価用サンプルを得た。
次に、当該ラミネート強度評価用サンプルを幅15mmの短冊状に切り出し、端部を一部剥離し、引っ張り試験機((株)オリエンテック製「STA−1150」)を用いて、純水に湿らせた綿棒を剥離部に接触させた状態のまま、室温にて、300mm/minの速度でCPPフィルムを180°剥離することにより、ラミネート強度(g/15mm)を測定した。
なお、ラミネート強度の値が大きいほど、塗膜層とその下層との密着性が良好であることを示す。
次の基準で評価した。
〇(good):500(g/15mm)以上
△(little good):200(g/15mm)以上500(g/15mm)未満
×(poor):200(g/15mm)未満
(5)総合評価
実施例および比較例で得られた各積層フィルム(サンプル)について、下記判定基準により、判定を行った。
(判定基準)
〇(good):ガスバリア性、ラミネート強度の各項目すべての評価が〇である。
△(little good):ガスバリア性、ラミネート強度の各項目の少なくとも一つの評価が△である。
×(poor):ガスバリア性、ラミネート強度の各項目の少なくとも一つの評価が×である。
<実施例・比較例>
実施例および比較例において使用した各種材料は、以下のようにして準備したものである。
(基材フィルムF1:ポリエチレンテレフタレートフィルム)
三菱ケミカル社製、製品名ダイアホイル、グレード:T600タイプ(厚さ25μm)
[実施例1]
事前にコロナ放電処理した基材フィルムF1の片側フィルム面に、下記のように調製したカチオン性ポリマーを含む塗布液(C1)を、塗布量(乾燥後)が0.014g/mになるように塗布した後、80℃で60秒乾燥し、続いて、下記のように調製したアニオン性ポリマーを含む塗布液(A1)を、塗布量(乾燥後)が0.028g/mになるように塗布した後、80℃で60秒乾燥して積層CAを形成した。続いて、このように積層CAを形成する逐次塗布を計2回実施することで、積層膜CAn(n=2)を基材フィルムF1の片面側に備えた積層フィルム(サンプル)を得た。
(カチオン性ポリマーを含む塗布液(C1))
ポリエチレンイミン(PEI)試薬(Sigma−Aldrich、質量平均分子量:25,000、固形分100wt%)を純水で0.2wt%となるように希釈した。
(アニオン性ポリマーを含む塗布液(A1))
ポリアクリル酸(PAA)試薬(Sigma−Aldrich、質量平均分子量:100,000、固形分35wt%水溶液)を純水で0.4wt%となるように希釈した。
[実施例2]
アニオン性ポリマーを含む塗布液を、下記のように調製した塗布液(A2)に変更すると共にその塗布量(乾燥後)を0.100g/mに変更した以外は、実施例1と同様にして、積層膜CAn(n=2)を基材フィルムF1の片面側に備えた積層フィルム(サンプル)を得た。
(アニオン性ポリマーを含む塗布液(A2))
ポリアクリル酸(PAA)試薬(Sigma−Aldrich、質量平均分子量:100,000、固形分35wt%水溶液)を純水で1.45wt%となるように希釈した。
[実施例3]
積層CAを形成する逐次塗布を計8回実施するようにした以外は、実施例1と同様にして、積層膜CAn(n=8)を基材フィルムF1の片面側に備えた積層フィルム(サンプル)を得た。
[実施例4]
カチオン性ポリマーを含む塗布液を、下記のよう調製した塗布液(C2)に変更し、アニオン性ポリマーを含む塗布液を、下記のように調製した塗布液(A3)に変更した以外は、実施例1と同様にして、積層膜CAn(n=2)を基材フィルムF1の片面側に備えた積層フィルム(サンプル)を得た。
(カチオン性ポリマーを含む塗布液(C2))
ポリアリルアミン(PAlAm)試薬(Sigma−Aldrich、質量平均分子量:65,000、固形分10wt%水溶液)を純水で0.2wt%となるように希釈した。
(アニオン性ポリマーを含む塗布液(A3))
ポリ(アクリル酸―マレイン酸)共重合体(PAA―PMA)試薬(Sigma−Aldrich、質量平均分子量:3,000、固形分50wt%水溶液)を純水で0.4wt%となるように希釈した。
[実施例5]
幅1.4m×長さ2000mの基材フィルムロールF1を巻出しワインダーに架け、濡れ性が48dyne/cm−1以上となるようにインラインコロナ放電処理し、塗布液(C1)を塗布した後、100℃で3秒乾燥し、続いて、塗布液(A1)を塗布して100℃で3秒乾燥する塗布・乾燥工程((100℃、3秒:乾燥炉長1.8mを35m/minで通過する速度に相当)を2回連続して実施した後、ロール状に巻き取る連続積層法を採用した以外、実施例1と同様にして、積層膜CAn(n=2)を基材フィルムF1の片面側に備えた積層フィルム(サンプル)を得た。
[比較例1]
アニオン性ポリマーを含む塗布液を、下記のように調製した塗布液(A4)に変更する共に、その塗布量(乾燥後)を0.014g/mに変更した以外、積層膜CAn(n=2)を基材フィルムF1の片面側に備えた積層フィルム(サンプル)を得た。
(アニオン性ポリマーを含む塗布液(A4))
ポリアクリル酸(PAA)試薬(Sigma−Aldrich、質量平均分子量:100,000、固形分35wt%水溶液)を純水で0.2wt%となるように希釈した。
[比較例2]
カチオン性ポリマーを含む塗布液を、下記のように調製して作成した塗布液(C3)に変更すると共に、その塗布量(乾燥後)を0.100g/mに変更した以外は、実施例2と同様にして、積層膜CAn(n=2)を基材フィルムF1の片面側に備えた積層フィルム(サンプル)を得た。
(カチオン性ポリマーを含む塗布液(C3))
ポリエチレンイミン(PEI)試薬(Sigma−Aldrich、質量平均分子量:25,000、固形分100wt%)を純水で1.45wt%となるように希釈した。
[比較例3]
事前にコロナ放電処理した基材フィルムF1上に、下記のように調製したカチオン性ポリマーを含む塗布液(C4)を、塗布量(乾燥後)が0.165g/mになるように塗布した後、80℃で60秒乾燥し、カチオン性ポリマーの単層膜を基材フィルムF1の片面側に設けた積層フィルム(サンプル)を得た。
(カチオン性ポリマーを含む塗布液(C4))
ポリエチレンイミン(PEI)試薬(Sigma−Aldrich、質量平均分子量:25,000、固形分100wt%)を純水で2.4wt%となるように希釈した。
[比較例4]
事前にコロナ放電処理した基材フィルムF1上に、下記のように調製したアニオン性ポリマーを含む塗布液(A5)を、塗布量(乾燥後)が0.165g/mになるように塗布した後、80℃で60秒乾燥し、アニオン性ポリマーの単層膜を基材フィルムF1の片面側に設けた積層フィルム(サンプル)を得た。
(アニオン性ポリマーを含む塗布液(A5))
ポリアクリル酸(PAA)試薬(Sigma−Aldrich、質量平均分子量:100,000、固形分35wt%水溶液)を純水で2.4wt%となるように希釈した。
<評価結果>
上記実施例および比較例で得られた、各積層フィルムの特性を下記表1、表2に示す。
Figure 2021024195
Figure 2021024195
<考察>
上記実施例及びこれまで発明者が行ってきた試験結果から、基材フィルムの少なくとも片面側に、アニオン性ポリマー含有層(A)とカチオン性ポリマー含有層(C)とが積層してなる積層膜CAnを形成する場合、カチオン性ポリマー含有層(C)とアニオン性ポリマー含有層(A)との密着強度を向上させることで、ガスバリア性能の向上効果に寄与することが分かった。
また、同じ材料系を用いた場合であっても、塗布条件が異なると、得られる積層膜CAnの積層状態にも差があり、フィルム性能(ガスバリア性、ラミネート強度)にも差が見られたことなどから、各層を形成する組成物を塗布、乾燥する過程において、各層の厚み、硬化反応の制御により、カチオン性ポリマー含有層とアニオン性ポリマー含有層との界面での積層状態を適度に制御できることも分かった。
そこで、積層膜CAn中の特定の元素(上記実施例の場合、カチオン性ポリマー由来の窒素元素)の厚み方向における分布状態に着目してみると、ガスバリア性能が高く、且つ、基材フィルムと積層膜CAnとの接着が高いものは、積層膜CAnにおける窒素元素(N)の濃度分布に所定のパターンを有していることが分かった。
すなわち、逐次アルゴン(Ar)エッチングとXPS(X線光電子分光法)とを用いて、積層膜CAn中の厚み方向における窒素元素(N)の濃度分布を測定し、得られた窒素元素(N)の濃度分布(縦軸:窒素元素(N)濃度(atm%)、横軸:エッチング時間(sec))において、ガスバリア性能が高く、且つ、基材フィルムと積層膜CAnとの接着強度が高いものは、次のAタイプ若しくはBタイプのパターンを有していることが分かった。
Aタイプは、実施例3及び5のように、窒素元素(N)の濃度分布図を、総エッチング時間を均等に10分割して、第1点(エッチング時間0:積層膜表面)、第2点、・・第11点(エッチング終了:積層膜の境界面)と決めた際、少なくとも第1点〜第5点の範囲において、窒素元素(N)の濃度が、積層膜CAnの表面から基材フィルム方向に向かって漸減し、第1点の窒素元素(N)の濃度に対して第3点の窒素元素(N)の濃度が60〜90%である傾斜構造を示すものである。
Bタイプは、実施例1、2、4のように、窒素元素(N)の濃度分布図の少なくとも第1点〜第5点の範囲において、極大値を有し、第1点の窒素元素(N)の濃度に対して該極大値の窒素元素(N)の濃度が200〜500%であり、該極大値の後に、基材フィルム方向に向かって漸減している傾斜構造を示すものである。
これに対し、比較例1、2,3は、窒素元素(N)の濃度分布図の少なくとも第1点〜第5点の範囲において、窒素元素(N)の濃度が、積層膜CAnの表面から基材フィルム方向に向かって漸減しているが、第1点の窒素元素(N)の濃度に対して第3点の窒素元素(N)の濃度が60〜90%の範囲外であった。
比較例1では、PEIの厚み比率が100%の場合、PEIとPAAの比率バランスが悪く、コート層内におけるイオン性相互作用が比較的少ないため、窒素元素濃度が急激に減少するプロファイルを示し、ガスバリア性も悪くなった、と推測することができる。但し、あくまでも推論である。
比較例2の場合も、比較例1と同様、単層あたりの厚みを増やし、コート層の層厚みを増やしても、コート層が厚くなる分、ガスバリア性はやや増すものの、コート密着性(ラミネート強度)が著しく下がったものと推測することができる。但し、あくまでも推論である。
比較例3の場合も、比較例1と同様、PEI単体であり、PAAとのイオン性相互作用が全くないので、XPSプロファイルも漸減にはならず、急激に下がる形状になります。
他方、比較例4の場合には、窒素元素(N)の濃度分布図の少なくとも第1点〜第5点の範囲において、極大値を有するものの、第1点の窒素元素(N)の濃度に対して該極大値の窒素元素(N)の濃度が200〜500%の範囲外であった。
比較例4では、窒素元素を含まないイオン性ポリマーを用いたため、窒素元素(N)の濃度分布図の少なくとも第1点〜第5点の範囲において、窒素元素(N)濃度がほとんどなく、層の厚み方向における窒素元素(N)濃度分布が、傾斜構造を示さないと推測することができる。但し、あくまでも推論である。
また、上記のような特異的な傾斜パターンは、単独成分を1回塗布した塗布膜では得ることができないことも分かった。
また、比較例3,4などから、基材フィルム上に単純に各層を積層して積層膜を設けるだけでは、所望するガスバリア性能を得るのが困難であることが分かった。
本発明の積層フィルムはガスバリア性、透明性および柔軟性良好であり、包装用(食品包装など)など、各種用途に好適に利用することができる。
1 巻出ロール
2 塗布部
3 乾燥部
4 乾燥ゾーン
5 巻取ロール

Claims (10)

  1. 基材フィルムの少なくとも片面側に、カチオン性ポリマーを主成分樹脂として含有する層(C)(「カチオン性ポリマー含有層(C)」と称する)及びアニオン性ポリマーを主成分樹脂として含有する層(A)(「アニオン性ポリマー含有層(A)」と称する)が積層してなる積層CAをn個(nは1以上の整数)積層してなる構成を有する積層膜CAnを有する積層フィルムであって、
    前記アニオン性ポリマー又は前記カチオン性ポリマー又はこれら両方が窒素元素(N)を有しており、
    逐次アルゴン(Ar)エッチングとXPS(X線光電子分光法)とを用いて、積層膜CAn中の厚み方向における窒素元素(N)の濃度分布を測定し、得られた窒素元素(N)の濃度分布(縦軸:窒素元素(N)濃度(atm%)、横軸:エッチング時間(sec))において、総エッチング時間を均等に10分割して、第1点(エッチング時間0:積層膜表面)、第2点、・・第11点(エッチング終了:積層膜の境界面)と決めた際、少なくとも第1点〜第5点の範囲において、窒素元素(N)の濃度が、積層膜CAnの表面から基材フィルム方向に向かって漸減し、第1点の窒素元素(N)の濃度に対して第3点の窒素元素(N)の濃度が60〜90%であるか、若しくは、極大値を有し、第1点の窒素元素(N)の濃度に対して該極大値の窒素元素(N)の濃度が200〜500%であり、該極大値の後に、基材フィルム方向に向かって漸減していることを特徴とする積層フィルム。
  2. 前記積層CA及び積層膜CAnでは、基材フィルム側から、カチオン性ポリマー含有層(C)及びアニオン性ポリマー含有層(A)の順に積層してなることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 23℃における酸素透過率(OTR)が5cc/m/day以下であり、基材フィルムと積層膜との密着強度が300g/15mm以上である、請求項1又は2に記載の積層フィルム。
  4. 前記積層膜CAnの総厚み(乾燥後)が500nm以下である、請求項1〜3の何れかに記載の積層フィルム。
  5. 前記カチオン性ポリマーは、ポリエチレンイミン(PEI)又はポリアリルアミン(PAlAm)又はこれらの組み合わせである、請求項1〜4の何れかに記載の積層フィルム。
  6. 前記アニオン性ポリマーは、ポリアクリル酸(PAA)又はポリ(アクリル酸‐マレイン酸)共重合体(PAA−PMA)又はこれらの組み合わせである、請求項1〜5の何れかに記載の積層フィルム。
  7. 前記基材フィルムがポリエステルフィルムである、請求項1〜6の何れかに記載の積層フィルム。
  8. 食品包装用であることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の積層フィルム。
  9. 基材フィルムの表面にプラス電荷を付与する基材フィルム表面処理工程と、カチオン性ポリマーを含む塗布液を前記基材フィルムの表面に塗布し乾燥させた後、アニオン性ポリマーを含む塗布液をさらに塗布し乾燥させる連続塗布乾燥処理をn回(nは1以上の整数)行う連続塗布乾燥工程と、を備えた積層フィルムの製造方法。
  10. ロール状基材フィルムを巻出す工程と、前記基材フィルム表面処理工程と、前記連続塗布乾燥工程と、積層フィルムをロール状に巻き取る巻き取り工程とを、同一製造ラインに有する請求項9に記載の積層フィルムの製造方法。
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