JP5789530B2 - Led用保護膜形成用キット、led用保護膜形成用組成物、led用保護膜を有する半導体発光デバイスおよび該半導体デバイスの製造方法 - Google Patents

Led用保護膜形成用キット、led用保護膜形成用組成物、led用保護膜を有する半導体発光デバイスおよび該半導体デバイスの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、LED用保護膜形成用キット、LED用保護膜形成用組成物、LED用保護膜を有する半導体発光デバイスおよび該半導体デバイスの製造方法に関する。
従来、発光ダイオード(Light Emitting Diode:以下、LEDと称することがある)を光源として用いた半導体発光デバイスにおける電極として、電気伝導性及び反射率の優れた金属電極、特に銀メッキ電極を用いることが知られている。また、近年耐久性に優れるという観点より、半導体発光デバイスにおける封止樹脂としてシリコーン系樹脂を用いることが知られている。シリコーン系樹脂の欠点としてガス透過性が非常に高いことが挙げられる。
上記銀メッキ電極は、空気中に微量に含まれる硫黄化合物により硫化して、変色および/または黒色化し、LEDの光量低下という故障を招く問題がある。
そこで、このような問題を解決することを目的として、金属電極上にシラン化合物とビニルアルコールを構成単位として含有するポリマーにより保護膜を形成させ、金属電極の黒色化を防止することができる半導体発光デバイスが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、テトラアルコキシシラン化合物とアルキル基が置換したアルコキシシラン化合物を併用することが知られている(例えば、特許文献2、3参照)。
しかしながら、これらの方法では、高温保管時の透明性と酸素、水蒸気、空気中の硫黄化合物等のガスバリア性の両立が十分でなく、逆に困難であった。しかも、高温保管時の透明性を確保しようと無機成分を増加させると、LEDパッケージ内の均一なコーティングが困難であり、コーティング後の乾燥時に、クラックが発生しやすく、配光特性の変化やガスバリア性の欠損等の性能劣化につながっていた。また、必ずしも耐光性に十分でなく、紫外線照射により透過率が低下するという問題もあった。
特開2010−7013号公報 特開2008−274272号公報 特開2010−209151号公報
本発明は、前記諸問題を検討し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、コーティング膜のクラックの発生なく、高温保管時の透明性と、酸素、水蒸気、空気中の硫黄化合物等のガスバリア性を両立し、かつ耐光性に優れたLED用保護膜、該保護膜を形成するためのキットや組成物、これを用いて形成された保護膜を有する半導体発光デバイスおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、透明性、なかでも両立が厳しい高温保管時での透明性と、酸素、水蒸気、空気中の硫黄化合物等のガスバリア性の両立をクラックの発生なく達成することが重要と考え、これを中心課題として、各種のシラン化合物と各種のポリマーの組合せを検討した結果、特に各種ポリマーの中でもビニルアルコールから得られる繰り返し単位を有するポリマーと少なくとも2種の構造の異なるシラン化合物の組み合わせ、なかでもそれらの使用量によってクラック発生を抑制しつつ、透明性とガスバリア性が好ましい方向に向かう傾向があることを見出し、この知見をさらに検討することで、これらの関係性を特定したことにより、高温保管時の透明性と、酸素、水蒸気、空気中の硫黄化合物等のガスバリア性の両立の可能性を見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、本発明者らによる上記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。
<1>少なくともビニルアルコールから得られる繰り返し単位を有するポリマーを含有するA液と、
シラン化合物、または該シラン化合物とその加水分解物および縮合物との混合物を含有するB液とを有し、該A液および該B液を混合して使用するLED用保護膜形成用キットであって、
該シラン化合物が、下記一般式(1)で表されるシラン化合物の少なくとも1種、および下記一般式(2)で表されるシラン化合物の少なくとも1種、からなり、
該ビニルアルコールから得られる繰り返し単位を有するポリマーの使用量(質量a)、該一般式(1)で表されるシラン化合物または該一般式(1)で表されるシラン化合物とその加水分解物および縮合物との混合物の使用量(質量b1)、ならびに該一般式(2)で表されるシラン化合物または該一般式(2)で表されるシラン化合物とその加水分解物および縮合物との混合物の使用量(質量b2)が下記式(A)および式(B)の関係をともに満たす、LED用保護膜形成用キット。
一般式(1) Si(OR
一般式(2) (RSi(OR4−n
(一般式(1)中、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。一般式(2)中、R無置換のアルキル基を表し、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。nは1または2を表す。ここで、4個のRは互いに同一でも異なってもよく、nが2の場合、2個のRは互いに同一でも異なってもよい。また複数のRは互いに同一でも異なってもよい。)
式(A) 0.45 ≦ b1/(b1+b2) ≦ 0.95
式(B) 0.15 ≦ a/(a+b1+b2) ≦ 0.60
<2>前記式(A)の範囲が、0.45〜0.85である、<1>に記載のLED用保護膜形成用キット。
<3>前記式(B)の範囲が、0.175〜0.60である、<1>または<2>に記載のLED用保護膜形成用キット。
<4>前記Rが、メチルである、<1>〜<3>のいずれか1項に記載のLED用保護膜形成用キット。
<5>前記<1>〜<4>のいずれか1項に記載のLED用保護膜形成用キットによって形成されてなるLED用保護膜を有する、半導体発光デバイス。
<6>前記<1>〜<4>のいずれか1項に記載のLED用保護膜形成用キットによってLED用保護膜を形成する工程を含む、半導体発光デバイスの製造方法。
<7>少なくともビニルアルコールから得られる繰り返し単位を有するポリマーと、シラン化合物または該シラン化合物とその加水分解物および縮合物との混合物とを含有するLED用保護膜形成用組成物であって、
該シラン化合物が、少なくとも下記一般式(1)で表されるシラン化合物の少なくとも1種、および下記一般式(2)で表されるシラン化合物の少なくとも1種、からなり、
該ビニルアルコールから得られる繰り返し単位を有するポリマーの使用量(質量a)、該一般式(1)で表されるシラン化合物または該一般式(1)で表されるシラン化合物とその加水分解物および縮合物との混合物の使用量(質量b1)、ならびに該一般式(2)で表されるシラン化合物または該一般式(2)で表されるシラン化合物とその加水分解物および縮合物との混合物の使用量(質量b2)が下記式(A)および式(B)の関係をともに満たす、LED用保護膜形成用組成物。
一般式(1) Si(OR
一般式(2) (RSi(OR4−n
(一般式(1)中、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。一般式(2)中、R無置換のアルキル基を表し、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。nは1または2を表す。ここで、4個のRは互いに同一でも異なってもよく、nが2の場合、2個のRは互いに同一でも異なってもよい。また複数のRは互いに同一でも異なってもよい。)
式(A) 0.45 ≦ b1/(b1+b2) ≦ 0.95
式(B) 0.15 ≦ a/(a+b1+b2) ≦ 0.60
<8>前記式(A)の範囲が、0.45〜0.85である、<7>に記載のLED用保護膜形成用組成物。
<9>前記式(B)の範囲が、0.175〜0.60である、<7>または<8>に記載のLED用保護膜形成用組成物。
<10>前記Rが、メチルである、<7>〜<9>のいずれか1項に記載のLED用保護膜形成用組成物。
<11>前記<7>〜<10>のいずれか1項に記載のLED用保護膜形成用組成物によって形成されてなるLED用保護膜を有する、半導体発光デバイス。
<12>前記<7>〜<10>のいずれか1項に記載のLED用保護膜形成用組成物によってLED用保護膜を形成する工程を含む、半導体発光デバイスの製造方法。
本発明により、コーティング膜のクラックの発生なく、高温保管時の透明性と、酸素、水蒸気、空気中の硫黄化合物等のガスバリア性を両立し、かつ耐光性に優れたLED用保護膜、該保護膜を形成するためのキットや組成物、これを用いて形成された保護膜を有する半導体発光デバイスおよびその製造方法を提供することができる。
図1は、コーティング前のLED素子の一例を模式的に示す断面図である。 図2は、コーティング液封入時のLED素子の一例を模式的に示す断面図である。 図3は、コーティング後のLED素子の一例を模式的に示す断面図である。
本発明は、形成されるLED用保護膜に、少なくとも2種のシラン化合物または該シラン化合物とそれらの加水分解物および縮合物との混合物、とビニルアルコールから得られる繰り返し単位を有するポリマーを特定の割合で含有するものであり、このLED用保護膜を形成するキットもしくは組成物を使用する。
最初に、シラン化合物、または該シラン化合物とその加水分解物および縮合物との混合物を説明する。
<シラン化合物、または該シラン化合物とその加水分解物および縮合物との混合物>
本発明で使用するシラン化合物、または該シラン化合物とその加水分解物および縮合物との混合物は、LED用保護膜を構成する化合物であり、後述するビニルアルコールから得られる繰り返し単位を有するポリマーとのゾル−ゲル反応により硬化させてLED用保護膜を形成させる際に用いられる化合物である。
上記シラン化合物、または該シラン化合物とその加水分解物および縮合物との混合物は、本発明においては、下記一般式(1)で表されるシラン化合物、または下記一般式(1)で表されるシラン化合物とその加水分解物および縮合物との混合物の少なくとも1種と、下記一般式(2)で表されるシラン化合物、または下記一般式(2)で表されるシラン化合物とその加水分解物および縮合物との混合物を組み合わせて使用する。
ここで、一般式(1)または(2)で表されるシラン化合物は、これらが加水分解(部分加水分解や完全加水分解を含む)したり、各一般式で表される化合物自身やこれらの加水分解物が2分子以上で縮合物に変化したりする。そのため、このことを意味するために、本発明では、シラン化合物、または該シラン化合物とその加水分解物および縮合物との混合物と表現する。
一般式(1) Si(OR
一般式(2) (RSi(OR4−n
一般式(1)中、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。一般式(2)中、Rは水素原子または有機基を表し、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。nは1または2を表す。ここで、4個のRは互いに同一でも異なってもよく、nが2の場合、2個のRは互いに同一でも異なってもよい。また複数のRは互いに同一でも異なってもよい。ただし、Rが有機基である場合、n個のRがいずれも一般式(1)のORであることはない。
すなわち、一般式(1)で表される化合物と一般式(2)で表される化合物とは異なった化合物である。
最初に、一般式(1)で表されるシラン化合物、または該シラン化合物とその加水分解物および縮合物との混合物を説明する。
一般式(1)において、Rにおけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐のアルキル基で、炭素数は1〜3が好ましく、1または2がより好ましい。Rにおけるアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、5−ペンチルが挙げられる。Rは、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましく、メチル、エチルがさらに好ましく、エチルが最も好ましい。
ここで、4個のRは互いに同じでも異なっていてもよいが、4個とも炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、4個とも同じアルキル基がさらに好ましい。
一般式(1)で表されるシラン化合物は、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ(n−プロポキシ)シラン、テトライソプロピルシラン、テトラ(n−ブトキシ)シラン、テトラ(n−ペンチルオキシ)シラン、メトキシトリエトキシシラン、テトラヒドロキシシラン、ヒドロキシトリエトキシシラン、ジヒドロキシジエトキシシラン、ヒドロキシトリ(t−ブトキシ)シラン、ヒドロキシトリ(t−ペントキシ)シラン等が挙げられる。これらの化合物の多くは、例えば東京化成工業(株)社、シグマ−アルドリッチ社等で市販されているものを入手して使用することができる。
一般式(1)で表されるシラン化合物の加水分解物とは、一般式(1)で表されるシラン化合物が加水分解して、少なくとも1つのORがOHとなったシラノール化合物であり、縮合物とは、一般式(1)で表されるシラン化合物もしくはその加水分解物が2分子以上で脱水縮合し、Si−O−Si結合を形成したものである。
一般式(1)で表されるシラン化合物の縮合物の場合、例えば、下記一般式(1A)で表される。
Figure 0005789530
一般式(1A)中、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表し、R1a〜R1eは各々独立に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、−[Si(OR1f−O]m−Rを表す。ここで、R1fは、R1a〜R1eと同義であり、mは1以上の整数を表す。
次に、一般式(2)で表されるシラン化合物、または該シラン化合物とその加水分解物および縮合物との混合物を説明する。
一般式(2)で表されるシラン化合物において、R無置換のアルキル基を表す。
は、炭素数1〜12(より好ましくは炭素数1〜8)の直鎖もしくは分岐のアルキル基が好ましく、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−オクチル、t−オクチルが挙げられる。
はメチルが最も好ましい。
は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表し、該アルキル基は置換基を有してもよい。該置換基としては、Rの有機基が有してもよい置換基が挙げられる。
は、一般式(1)におけるRにおける好ましい基が好ましく、なかでもメチル、エチルが好ましく、特にエチルが好ましい。
nは1または2を表すが、このましくは1である。
ここで、nが2の場合、2個のRは互いに同一でも異なってもよいが、好ましくは同じ基で有る。また複数のRは互いに同一でも異なってもよいが、好ましくはこれらが同じ基である。
一般式(2)で表されるシラン化合物は、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ(n−プロポキ)シシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリ(n−ブトキシ)シラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ(n−プロポキシ)シラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
これらの化合物は、信越工業化学(株)社、東レ・ダウコーニング(株)社、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社、東京化成工業(株)社等でシランカップリング剤として市販されており、容易に入手できる。
一般式(2)で表されるシラン化合物の加水分解物とは、一般式(2)で表されるシラン化合物が加水分解して、少なくとも1つのORがOHとなったシラノール化合物であり、縮合物とは、一般式(2)で表されるシラン化合物もしくはその加水分解物が2分子以上で脱水縮合し、Si−O−Si結合を形成したものである。
例えば、nが1の場合、下記一般式(2A)、nが2以上の場合、下記一般式(2B)で表される。
Figure 0005789530
一般式(2A)、(2B)中、R無置換のアルキル基を表し、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表し、R3a〜R3cおよびR3eは各々独立に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、−[Si(R)(OR3d)−O]x−Rを表す。ここで、R3dは、R3a〜R3cおよびR3eと同義であり、xは1以上の整数を表す。lは1以上の整数を表す。
本発明で使用する一般式(1)で表されるシラン化合物、または一般式(1)で表されるシラン化合物とその加水分解物および縮合物との混合物、一般式(2)で表されるシラン化合物、または一般式(2)で表されるシラン化合物とその加水分解物および縮合物との混合物の分子量もしくは質量平均分子量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、硬化時間、可使時間が適切な長さとなり、硬化性及び相溶性に優れるという観点から、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算で、160〜100,000が好ましく、200〜2,000がより好ましい。
<ビニルアルコールから得られる繰り返し単位を有するポリマー>
本発明においては、前記のシラン化合物、または該シラン化合物とその加水分解物および縮合物との混合物とともに、ビニルアルコールから得られる繰り返し単位を有するポリマーを少なくとも1種使用する。
該ビニルアルコールから得られる繰り返し単位を有するポリマーは、前記LED用保護膜を構成する樹脂であり、前記シラン化合物、または前記シラン化合物とその加水分解物および縮合物との混合物とのゾル−ゲル反応により硬化させてLED用保護膜を形成させる際に用いられる樹脂である。
本発明で使用するビニルアルコールから得られる繰り返し単位を有するポリマーとしては、少なくともビニルアルコールから得られる繰り返し単位を有すれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
本発明においては、ビニルアルコールの単独重合体であるポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールと他の不飽和炭素−炭素二重結合を有する化合物との共重合体であっても構わない。他の不飽和炭素−炭素二重結合を有する化合物としては、例えば、エチレン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸アミド、スチレン、ブタジエン等が挙げられ、例えば、エチレン・ビニルアルコール共重合体、メチルメタアクリルレート・ビニルアルコール共重合体、アクリルアミド・ビニルアルコール共重合体等の変性ポリビニルアルコールが挙げられる。ここで、ビニルアルコールから得られる繰り返し単位を有するポリマーは、少なくともポリビニルアルコールから得られる繰り返し単位を50モル%以上有するポリマーが好ましく、70モル%以上有するポリマーがより好ましい。
ポリビニルアルコールのケン化度は、数十%(部分ケン化)であってもよく、99%以上(完全ケン化)であってもよく、任意のケン化度のものが使用できる。
上記ポリマーのうち、本発明においては、ポリビニルアルコールやエチレン・ビニルアルコール共重合体が好ましく、中でもポリビニルアルコールが、ガスバリア性に優れる点で好ましい。
ビニルアルコールから得られる繰り返し単位を有するポリマーとしては、適宜合成したものを使用してもよく、例えば、酢酸ビニルモノマーを重合し、得られたポリ酢酸ビニルをケン化する方法等が挙げられる。また、市販品を使用してもよく、例えば、ポバール(クラレ社製)、エバール(クラレ社製)、ゴーセノール(日本合成化学工業社製)、ソアノール(日本合成化学工業社製)等が挙げられる。
<<シラン化合物または該シラン化合物とその加水分解物および縮合物との混合物、ビニルアルコールから得られる繰り返し単位を有するポリマーの使用量>>
本発明においては、前記一般式(1)で表されるシラン化合物、または前記一般式(1)のシラン化合物とその加水分解物および縮合物との混合物を使用するものである。前記一般式(1)のシラン化合物として1種または2種以上を使用することができる。また同様に、前記一般式(2)で表されるシラン化合物、または前記一般式(2)で表されるシラン化合物とその加水分解物および縮合物との混合物を使用するものである。前記一般式(2)のシラン化合物として1種または2種以上を使用することができる。また、ビニルアルコールから得られる繰り返し単位を有するポリマーは1種または2種以上を使用することができ、他のポリマーと併用しても構わないが、ビニルアルコールから得られる繰り返し単位を有するポリマーのみ使用することが好ましい。
本発明においては、少なくともLED用保護膜には、前記ビニルアルコールから得られる繰り返し単位を有するポリマー、前記一般式(1)で表されるシラン化合物、または前記一般式(1)で表されるシラン化合物とその加水分解物および縮合物との混合物、および前記一般式(2)で表されるシラン化合物、または前記一般式(2)で表されるシラン化合物とその加水分解物および縮合物との混合物を、固形分質量において、下記式(A)と(B)の関係を同時に満足する量で含有する。ここで、固形分とは、シラン化合物、または該シラン化合物とその加水分解物および縮合物との混合物においても、ビニルアルコールから得られるポリマーにおいても、そのものの質量(混合物の場合は総質量)であって、溶媒等で希釈された状態での質量ではない。このため、本発明においては、シラン化合物やビニルアルコールから得られるポリマーが、例えば、常温で液体であっても、上記の意味で使用するものである。
式(A) 0.45 ≦ b1/(b1+b2) ≦ 0.95
式(B) 0.15 ≦ a/(a+b1+b2) ≦ 0.60
上記式において、質量aは上記ビニルアルコールから得られる繰り返し単位を有するポリマーの使用量(2種以上の場合は、これらの合計質量)、質量b1は上記一般式(1)で表されるシラン化合物または該シラン化合物とその加水分解物および縮合物との混合物の使用量(2種以上の場合は、これらの合計質量)、質量b2は上記一般式(2)で表されるシラン化合物または該シラン化合物とその加水分解物および縮合物との混合物の使用量(2種以上の場合は、これらの合計質量)をそれぞれ表す。
上記式を満足させることで、特に、高温保管時の透明性と、酸素、水蒸気、空気中の硫黄化合物等のガスバリア性が両立でき、コーティング膜のクラックの発生が抑制され、しかも耐光性を効果的に抑制することができる。
本発明において、上記式(A)の関係において、b1/(b1+b2)は、0.45以上0.85以下が好ましく、0.50以上0.90以下がより好ましく、0.60以上0.90以下がさらに好ましく、0.70以上0.85以下が最も好ましい。また、上記式(B)の関係において、a/(a+b1+b2)は、0.175以上0.60以下である場合が好ましく、0.20以上0.60以下または0.175以上0.30以下がより好ましく、0.20以上0.30以下がさらに好ましい。これらの関係において、これらの式(A)と式(B)の好ましい範囲の組合せの各組合せが好ましい。中でも、b1/(b1+b2)が0.45以上0.85以下でかつa/(a+b1+b2)が0.175以上0.60以下が好ましく、b1/(b1+b2)が0.70以上0.85以下でかつa/(a+b1+b2)が0.175以上0.30以下である場合がより好ましく、このような各組み合わせにおいて、b1/(b1+b2)が0.70以上0.85以下でかつa/(a+b1+b2)が、0.20以上0.30以下である場合が特に好ましい。
(LED用保護膜形成用キット)
前述のLED用保護膜は、A液とB液を混合して使用するLED用保護膜形成用キットで形成することができる。
すなわち、本発明の一形態は、LED用保護膜形成用キットであり、少なくともビニルアルコールから得られる繰り返し単位を有するポリマーを含有するA液と、前記一般式(1)で表されるシラン化合物、または前記一般式(1)で表されるシラン化合物とその加水分解物および縮合物との混合物と、前記一般式(2)で表されるシラン化合物、または前記一般式(2)で表されるシラン化合物とその加水分解物および縮合物との混合物を含有するB液とを有し、これらを混合してLED用保護膜を形成するキットである。
上記LED用保護膜形成用キットにおいて、B液における上記シラン化合物、または該シラン化合物と該シラン化合物とその加水分解物および縮合物との混合物の含有量としては、前記式(A)の関係を満たせば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、上記一般式(1)で表されるシラン化合物、または上記一般式(1)で表されるシラン化合物とその加水分解物および縮合物との混合物と、上記一般式(2)で表されるシラン化合物、または上記一般式(2)で表されるシラン化合物とその加水分解物および縮合物との混合物との合計含有量が、1質量%〜90質量%が好ましく、10質量%〜80質量%がより好ましく、20質量%〜70質量%が特に好ましい。この含有量が、1質量%未満であると、硬化時においてLEDの保護に十分な膜厚が確保できないことがあり、90質量%を超えると、前記A液との相溶性が欠如することがある。一方、上記含有量が上記の好ましい範囲であると、前記A液との相溶性が良く、LED用保護膜が適切な厚みとなる点で有利である。
一方、前記ビニルアルコールから得られる繰り返し単位を有するポリマーの前記A液における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、少なくとも、前記B液と混合して、LED用保護膜を形成するために使用する混合液とする際、この混合液中に含有する前記ビニルアルコールから得られる繰り返し単位を有するポリマーは、前記式(B)の関係を満足する必要がある。
この式(B)を満足できるならば、前記A液に含有するビニルアルコールから得られる繰り返し単位を有するポリマーの含有量はどのような含有量でも構わない。
本発明においては、前記A液中のビニルアルコールから得られる繰り返し単位を有するポリマーの含有量は0.000001質量%〜30質量%が好ましく、0.00001質量%〜3質量%がより好ましく、0.0001質量%〜1質量%が特に好ましい。この含有量が、0.000001質量%未満であると、硬化時においてLEDの保護に十分な膜厚が確保できないことがあり、30質量%を超えると、溶液の粘度が高く溶液としての取り扱いが困難となることがある。一方、この含有量が上記の好ましい範囲であると、溶液としての取り扱いの容易さ、LED用保護膜の適切な厚みとなる点で有利である。
本発明においては、上記A液中に含有するビニルアルコールから得られる繰り返し単位を有するポリマーの含有量は、上記含有量であると同時に、作業効率の点からも、前記B液における前記一般式(1)、(2)で表されるシラン化合物、またはこれらのシラン化合物とそれらの加水分解物および縮合物との混合物の総含有量と同じ含有量、すなわち同じ固形分含有量、または同じ固形分濃度、であることが好ましい。
前記B液、上記A液はそれぞれ、前記のシラン化合物、または該シラン化合物とその加水分解物および縮合物との混合物、ならびに、前記のビニルアルコールから得られる繰り返し単位を有するポリマーを含有するが、これら以外に、溶媒を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含む。また、硬化反応を促進させるために触媒を含有してもよい。
<溶媒>
溶媒は、前記LED用保護膜を作製する際のゾル−ゲル反応の溶媒として用いる。
また、溶媒は、ゾル液中の各成分を均一に混合させ、LED用保護膜中に含まれる組成物の固形分調整をすると同時に、種々の塗布方法に適用できるようにし、組成物の分散安定性及び保存安定性を向上させる。
溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール等の第1級アルコール、イソプロパノール(IPA)、イソブタノール、sec−ブチルアルコール等の第2級アルコール、tert−ブチルアルコール(t−ブタノール)、tert−アミルアルコール等の第3級アルコール、メトキシメタノール、メトキシエタノール、エトキシメタノール、2−エトキシエタノール等の各種アルコール系溶媒;トルエン、キシレン、2−フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、フェノール等の芳香族溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;アセチルアセトン(2,4−ペンタンジオン)、2,4−ヘキサンジオン等のβジケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル系溶媒;アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチル等のケトエステル系溶媒;クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素等のハロアルカン溶媒;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、水等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの溶媒のなかでも、アルコール系溶媒が好ましい。また、ビニルアルコールから得られる繰り返し単位を有するポリマーが既に溶媒を含有している場合(例えば、溶媒希釈された市販品)、この溶媒を使用することも好ましい。
本発明においては、加水分解を促進するために水、例えば純水、を使用することが好ましく、少なくとも上記A液とB液を混合した混合液中に、10〜80質量%含有するのが好ましい。またこれを達成するのに、上記A液および/またはB液中に、10〜80質量%含有するのが好ましく、上記有機溶媒と併用することが好ましい。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機フィラー、無機蛍光体等が好適に挙げられ、また、老化防止剤、ラジカル禁止剤、紫外線吸収剤、接着性改良剤、難燃剤、界面活性剤、保存安定性改良剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、増粘剤、可塑剤、カップリング剤、酸化防止剤、防腐剤、熱安定剤、導電性付与剤、帯電防止剤、放射線遮断剤、核剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、金属不活性化剤、物性調整剤等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
無機フィラーとしては、光学特性を低下させない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルミナ、水酸化アルミニウム、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカ、疎水性超微粉シリカ、平板状雲母、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
無機蛍光体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、LEDに広く利用されている、イットリウム、アルミニウム、ガーネット等のYAG系蛍光体;ZnS系蛍光体;YS系蛍光体;赤色発光蛍光体;青色発光蛍光体;緑色発光蛍光体;CdSe、InP等のナノ粒子で形成される量子ドット系蛍光体等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
<硬化触媒>
本発明においては、必ずしも必須ではないが、硬化反応を促進するため、この触媒を含有してもよい。硬化触媒としては酸触媒が好ましく、LED用保護膜を作製する際のゾル−ゲル反応時における加水分解及び脱水縮合反応における触媒である。
このような酸触媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、無機酸や有機の酸を使用することができる。有機の酸としては、脂肪族の酸、芳香族の酸のいずれでも構わない。ここで、本発明において使用するビニルアルコールから得られる繰り返し単位を有するポリマーは、通常ポリビニルアルコールがポリ酢酸ビニルを加水分解することで得られるものであり、このときに生じる酢酸が混入したポリビニルアルコールを使用することで、硬化触媒としての使用を兼ねてもよい。
酸触媒としては、例えば、塩酸、臭化水素、ヨウ化水素、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、燐酸、亜燐酸等の無機酸;カルボン酸類(蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、コハク酸、シクロヘキサンカルボン酸、オクタン酸、マレイン酸、2−クロロプロピオン酸、シアノ酢酸、トリフルオロ酢酸、パーフルオロオクタン酸、安息香酸、ペンタフルオロ安息香酸、フタル酸等)、スルホン酸類(メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸等)、燐酸・ホスホン酸類(燐酸ジメチルエステル、フェニルホスホン酸等)、ルイス酸類(三フッ化ホウ素エーテラート、スカンジウムトリフレート、アルキルチタン酸、アルミン酸等)、ヘテロポリ酸(燐モリブデン酸、燐タングステン酸等)等の有機酸;等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、塩酸、酢酸が、入手の容易さ、揮発して前記LED用保護膜中に残存しない点で好ましい。
酸触媒としては、市販品を使用してもよく、例えば、酢酸(和光純薬工業社製)、塩酸(和光純薬工業社製)などが挙げられる。
前記酸触媒を使用する場合、その含有量としては、本発明で使用するシラン化合物または該シラン化合物とその加水分解物および縮合物との混合物の総量に対し、0.0001モル当量以上0.005モル当量以下が好ましい。なお、酸を多量に、例えば、0.005モル当量を超えると、前記LED用保護膜の黄変、白濁等が生じやすくなり透明性に劣ることがある。このため、酸触媒を使用する場合は、できるだけ少ない量が好ましく、これによって、シラン化合物の加水分解が進み、架橋密度に優れた前記LED用保護膜を形成するとともに、高温時の黄変が生じにくく、白濁も生じにくい透明性に優れた保護膜を形成できる点で有利である。
<LED用保護膜形成キットの使用形態>
本発明のLED用保護膜形成キットの使用形態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、LED用保護膜形成キットのA液とB液を、混合機により混合することが好ましく、例えば48時間以内に使用(塗布)することが好ましい。
(LED用保護膜形成用組成物)
前述のLED用保護膜は、本発明の別の形態として、少なくともビニルアルコールから得られる繰り返し単位を有するポリマーと、前記一般式(1)で表されるシラン化合物、または前記一般式(1)で表されるシラン化合物とその加水分解物および縮合物との混合物と、前記一般式(2)で表されるシラン化合物、または前記一般式(2)で表されるシラン化合物とその加水分解物および縮合物との混合物とを含有する組成物により形成することができる。
具体的には、前記LED用保護膜形成用キットのように、前記A液とB液を混合することで得ることもできるし、A液とB液の混合でなく、最初から個々の成分を加えて、組成物とすることもできる。また、酸触媒のみを組成物を使用する直前に、組成物中に混合して、LED用保護膜を形成することもできる。
個々の含有する成分は、LED用保護膜形成用キットで記載された成分、その成分の含有量が適用される。
(LED用保護膜)
本発明において、LED用保護膜は、前記LED用保護膜形成用キットまたは前記LED用保護膜形成用組成物を用いて形成される。
LED用保護膜は、上記LED用保護膜形成用キットを混合して得られた混合物、または上記LED用保護膜形成用組成物から得られた脱水縮合物を、目的とする形状の型に入れて成形した後に、これを加熱乃至乾燥することで得られる。また、上記脱水縮合物を目的とする部位に塗布した状態で加熱乃至乾燥することにより、目的とする部位に直接形成することもできる。
LED用保護膜の形成部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、図1〜図3に示すように、金属電極兼リフレクタ5上に、上記LED用保護膜形成用キットによりA液とB液を混合した混合液、または上記LED用保護膜形成用組成物を塗布してLED用保護膜を形成することができる。
<<LED用保護膜を製造する際の保護膜の硬化の原理>>
LED用保護膜を製造する際の保護膜の硬化について説明する。
本発明で使用するシラン化合物を反応、例えば酸触媒存在下で反応させると、例えば、シリル原子に結合したアルコキシ基が加水分解により脱アルコールされて水酸基となる。次いで、この生じた水酸基と、前記ビニルアルコールから得られる繰り返し単位を有するポリマーの水酸基もしくは水酸基以外の水素結合形成が可能な基を有する場合はこの基(例えば、アミノ基のような塩基性の基、カルボニル基を部分構造に有する場合はこのカルボニル基の酸素原子、部分構造にエーテル結合を有する場合は、この酸素原子等)、との間に水素結合が形成されることにより、または、生じた水酸基と、ビニルアルコールから得られる繰り返し単位を有するポリマーの水酸基とが脱水縮合することにより、または、シリル原子に結合したアルコキシ基と、ビニルアルコールから得られる繰り返し単位を有するポリマーの水酸基とが直接、アルコキシ交換することで、安定なシロキサン結合が形成される。こうして3次元的に縮合された保護膜(硬化物)が形成される。
なお、上記反応に共存する溶媒や脱水縮合反応等の縮合反応により生成したアルコールや水等は、硬化、または硬化縮合物を目的とする形状の型に入れた後の加熱乃至乾燥工程等で、気化して除去されると考えられるが、必ずしも溶媒や水が気化しない場合についても、流動性を有する脱水縮合物が流動性を失うということがあるものの、本発明における組成物や保護膜に含まれる。
形成されるLED用保護膜の平均膜厚は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1μm以上10μm以下が好ましく、0.3μm以上5μm以下がより好ましい。平均膜厚が、0.1μm未満であると、保護膜の段差被覆性が劣り、バリア性が発揮されないことがあり、10μmを超えると、クラックが生じやすくなったり、高温時の着色により透明性が失われることがある。このため、平均膜厚が、上記の好ましい範囲にすることにより、保護膜の被覆性、クラックレス及び透明性の点で有利となる。
<<LED用保護膜の製造方法>>
LED用保護膜は、前記のLED保護膜で述べたようにして製造することができるが、さらに詳細には、以下の通りである。
−LED用保護膜を形成する工程−
LED用保護膜を形成する工程は、前記LED用保護膜形成キットで得られた混合物や前記LED用保護膜形成用組成物により得られた脱水縮合物を用いて目的とする部位に封入乃至塗布するコーティング手段と、このコーティングされた脱水縮合物を硬化する硬化手段とを有することが好ましい。なお、A液とB液の混合等の混合は、例えば、ミキサー(株式会社シンキー製 あわとり練太郎)、スターラーと攪拌子を用いて行うことができる。
−−コーティング手段−−
コーティング手段は、上記脱水縮合物を用いて目的とする部位に封入乃至塗布する手段である。
このコーティング方法は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、この脱水縮合物を適応させる発光素子(LED)の形状に応じて塗布および/または注入などを行って溶液を封入して塗布する方法(図2参照)や、脱水縮合物を封止材の表面に塗布する方法等があり、その手法としては、例えば、圧力注入法、インクジェット法等があり、具体的には、スプレーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、スピンコート法等により塗布することができる。
脱水縮合物を封入する方法は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、注射針、マイクロピペット等により封入する方法等が挙げられる。
脱水縮合物の塗布乃至封入量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、目的とする平均膜厚となるように添加する量が好ましい。
−−硬化手段−−
硬化手段は、コーティングされた脱水縮合物を硬化する手段であり、硬化する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、風乾による硬化方法、加熱による硬化方法等が挙げられる。
風乾による硬化方法は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、室温放置、乾燥機等により風乾する方法等が挙げられる。
加熱による硬化方法は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、50℃以上100℃未満の領域で加熱する第1加熱と、100℃以上180℃以下の領域で加熱する第2加熱を行うことが好ましい。
1)第1加熱
第1加熱は、前記LED用保護膜形成キットで得られた混合物や前記LED用保護膜形成用組成物を、50℃以上100℃未満の領域での加熱であり、加水分解により生成されたアルコールを気化し、残留溶媒、溶存水蒸気による発泡を防ぐための加熱である。なお、第1加熱により、前記脱水縮合反応を一部進めてもよい。
第1加熱における加熱温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50℃以上100℃未満が好ましく、60℃以上95℃未満がより好ましく、70℃以上95℃未満が特に好ましい。加熱温度が、50℃未満であると、溶媒等が十分蒸発せず、硬化が不十分になることがあり、100℃以上であると、前記金属電極保護膜の形状が悪くなりやすく、気泡を生みやすい。また、加熱に要する熱エネルギーが大きく、省エネの観点から好ましくなく、コストアップを招くことがある。このため、加熱温度が上記の特に好ましい範囲であると、溶媒を十分蒸発させる点で有利である。
第1加熱における加熱時間は、塗布乃至注入した脱水縮合物の厚みなどにより一概には決まらないが、10分間〜24時間が好ましく、30分間〜12時間がより好ましく、1時間〜6時間が特に好ましい。この加熱時間が、10分間未満であると、溶媒等が十分蒸発せず、硬度、耐熱性が得られないことがあり、24時間を超えると、加熱に要する熱エネルギーが大きくなり、省エネの観点で好ましくなく、コストアップを招くことがある。このため、加熱時間が上記の特に好ましい範囲であると、溶媒を十分蒸発させる点で有利である。
2)第2加熱
第2加熱は、100℃以上180℃以下の領域で加熱する工程であり、脱水縮合物を硬化させるための工程である。第1加熱において低温で硬化させた後、第2加熱において高温で追硬化することによって、膜中の残存水分を蒸発させるとともに、得られるLED用保護膜中に内部応力が発生しにくく、クラックや剥離が低減される。
第2加熱における加熱温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100℃以上180℃以下が好ましく、110℃以上150℃以下がより好ましく、120℃以上140℃以下が特に好ましい。この加熱温度が、100℃未満であると、溶媒の蒸発が不十分になることがあり、180℃を超えると、硬化する際に、前記LED用保護膜形成キットで得られた混合物や前記LED用保護膜形成用組成物と共に加熱される部材(例えば、LEDチップ等)が熱により劣化する恐れがあることがある。このため、加熱温度が上記の特に好ましい範囲であると、得られるLED用保護膜中に内部応力が発生しにくく、クラックや剥離を防ぐことができる点で有利である。
第2加熱における加熱時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10分間〜24時間が好ましく、30分間〜12時間がより好ましく、1時間〜6時間が特に好ましい。この加熱時間が、10分間未満であると、硬化ムラが生じることがあり、24時間を超えると、LED用保護膜がもろくなることがある。このため、加熱時間が上記の特に好ましい範囲であると、得られるLED用保護膜中に内部応力が発生しにくく、クラックや剥離を防ぐことができる点で有利である。
(半導体発光デバイス)
本発明の半導体発光デバイスは、金属電極と、該金属電極に電気的に接続された半導体チップと、該金属電極および該半導体チップの少なくとも一部を保護する前記LED用保護膜とを有し、更に必要に応じて封止材等の部材を有する。
<金属電極>
金属電極としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、銀メッキ電極(銀でメッキされた電極)が、金よりコストが低く、電気伝導性、反射率の優れる点で好ましい。この金属電極としては、図1〜図3で示す金属電極兼リフレクタ5のような形態を有してもよい。
<半導体チップ>
半導体チップとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、紫外から赤外域までどのような波長の光を発するものを用いてもよく、例えば、窒化ガリウム系の半導体チップなどが挙げられる。この半導体チップとしては、市販品を用いることができ、例えば、サファイおよび窒化ガリウム(GaN)系の青色LEDチップ(Genelite製)等が挙げられる。半導体チップの形態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、図1〜図3で、LEDチップ3として示すように、LEDパッケージ2に、シリコーン系のダイボンディングペースト3で固定され、金製のワイヤーボンド1で接続された半導体チップ4のような形態を有してもよい。
半導体チップとしては、上記金属電極とともに、パッケージ内に実装されているものを使用することができる。このパッケージとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、材質が、セラミックス製のもの、形状が、円形の凹み部を有するもの等が挙げられ、更にパッケージの内側にヒートシンクがはめ込まれていてもよい。パッケージとしては、市販品を用いることができ、例えば、KD−LA6F70、KD−V93B95−B(京セラ株式会社製)等が挙げられる。
<封止材>
封止材としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂等が挙げられるが、この封止材と前記LED用保護膜との界面における接着性の良好の観点から、末端シラノール基ポリジメチルシロキサン(PDMS)とテトラエトキシシラン(TEOS)とからなる封止材が好ましい。
(半導体発光デバイスの製造方法)
本発明の半導体発光デバイスは、前記LED用保護膜を形成する工程を含み、更に必要に応じて他の工程を行うことで製造できる。なお、LED用保護膜を形成する工程は、半導体発光デバイスを個片化(ダイシング)する前に行ってもよく、基板に実装した後に個別に行ってもよい。
LED用保護膜を形成する工程以外の工程としては、例えば、前述のような、前記LED用保護膜形成キットで得られた混合物や前記LED用保護膜形成用組成物を封入および/または風乾後に封止材(封止樹脂)を成形する工程に加えて、前記加熱工程の後に得られた半導体発光デバイスに対し必要に応じて各種の後処理をする工程等が挙げられる。この後処理する工程としては、例えば、前記透明封止樹脂(封止材)部との密着性の改善のための表面処理する工程、反射防止膜の作製する工程、光取り出し効率向上のための微細凹凸面の作製する工程等が挙げられる。
次に、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
実施例1
ビニルアルコールの繰り返し単位を有するポリマーの使用比率の効果を以下の実験1〜10により調べた。
<LED用保護膜の形成>
以下に示す実験では、下記のようにA液およびB液をそれぞれ調整してLED用保護膜作製用キットを作製した。A液には、ビニルアルコールの繰り返し単位を有するポリマーを加えて調製し、B液には、前述の一般式(1)で表されるシラン化合物、一般式(2)で表されるシラン化合物を加えて調製し、これらのA液とB液を混合して評価用ベースフイルムおよび評価用LEDパッケージサンプルにコートした後、加熱硬化して、LED用保護膜が形成された評価用ベースフイルムサンプルおよび評価用LEDパッケージサンプル(評価用半導体発光デバイスサンプル)を作製した。
ここで、LED用保護膜中に含有する一般式(1)で表されるシラン化合物、一般式(2)で表されるシラン化合物の繰り返し単位を有するポリマーの合計固形分質量が同量となるようにA液とB液を混合してLED用保護膜を形成した。
−A液の調製−
大気環境下25℃に、固形分濃度が2.5質量%となるように、純水/2−プロパノール(質量比0.6/1)をガラスバイアル瓶に添加し、回転子を用いて攪拌(300rpm)させながら、下記表1に示すビニルアルコールの繰り返し単位を有するポリマー溶液(固形分含有量で7質量%)をスポイトにてガラスバイアル瓶に添加し、回転子を用いて1時間攪拌(300rpm)してA液を調製した。
なお、上記ビニルアルコールの繰り返し単位を有するポリマー溶液(固形分含有量で7質量%)は、以下の手順で調製した。まず、ビニルアルコールの繰り返し単位を有するポリマー(PVA−124C(クラレ株式会社製))7.28gを秤量し、ガラスバイアル瓶に添加した。続いて、2−プロパノールを32.92gおよび純水を63.71g添加し、80℃のウォーターバスで加熱しながら2時間攪拌することにより調製した。
−B液の調製−
大気環境下25℃にて下記表1に示す一般式(1)で表されるシラン化合物および一般式(2)で表されるシラン化合物を表1に記載の使用量の比率関係になる質量部をガラスバイアル瓶に添加し、さらに純水/2−プロパノール(質量比65/35)により、固形分濃度が28質量%となるように添加し、回転子を用いて1時間攪拌(300rpm)することでB液を調製した。
−A液とB液との混合−
前記B液に対して前記A液を添加し、回転子を用いて2時間攪拌(300rpm)して評価用ガラス及び評価用ベースフイルムのコーティング材料を作製した。
また、評価用LEDパッケージのコーティング材料は、一般式(1)で表されるシラン化合物、一般式(2)で表されるシラン化合物およびビニルアルコールの繰り返し単位を有するポリマーとのゾルゲル反応および脱水縮合反応が理論的に完全に起こった際に、乾燥時コーティング膜厚が4μm程度となるようにA液とB液の混合液に、純水/2−プロパノール(質量比65/35)を添加した後、回転子を用いて2時間攪拌(300rpm)することにより得た。
−評価用ベースフイルムサンプルの作製−
表面に酸素プラズマ処理(O:70sccm、80W、60sec、100Pa)を施したシクロオレフィンポリマーのベースフイルム(商品名「ゼオノアフィルム」、日本ゼオン社製)に、下記表1に記載の一般式(1)で表されるシラン化合物、一般式(2)で表されるシラン化合物およびビニルアルコールの繰り返し単位を有するポリマーの使用量が表1に記載の関係になるような、A液とB液の混合液を、ワイヤレスバー(D−bar、OSG社製)を用いて膜厚が乾燥状態で0.7μmとなるように塗布した。塗布後のベースフイルムをオーブンに入れ、120℃で30分間加熱することにより、LED用保護膜が形成された評価用ベースフイルムサンプルを作製した。
−評価用LEDパッケージサンプルの作製−
発光素子を実装するためのLEDパッケージとして市販の銀メッキ電極LEDパッケージ(KD−LA9R48、京セラ社製)を用い、発光素子として市販の610μm角青色LEDチップ(B2424CCD0、ジェネライツ社製)を用いた。発光素子とパッケージとをシリコーン系ダイボンド材で固定した後、金製のボンディングワイヤで接続した(図1参照)。
発光素子が実装されたLEDパッケージの凹み部に、評価用LEDパッケージのA液とB液を混合して得られた表1に記載の使用化合物および使用量のコーティング材料を、1,000μL用マイクロピペットチップの先端部を用いて、LEDパッケージを水平方向から見た時に液面がパッケージ上面と同じ高さとなるように適量滴下(ポッティング)した(図2参照)。その後室温にて30分間放置し、評価用LEDパッケージのコーティング材料によりコーティングされたLEDパッケージをオーブンに入れ85℃で2時間加熱した後、150℃で4時間加熱することにより、LED用保護膜が形成された評価用LEDパッケージサンプル(評価用半導体発光デバイスサンプル)を作製した(図3参照)。
なお、下記表1において、TEOSはテトラエトキシシラン、MeTEOSはメチルトリトキシシランであり、PVAはポリビニルアルコールのPVA−124C(クラレ株式会社製)である。
Figure 0005789530
(評価)
実験1〜10で作製した評価用ベースフイルムサンプル、および評価用LEDパッケージサンプル(評価用半導体発光デバイスサンプル)について、ガスバリア性、高温時透明性、クラック性および耐候性を評価すべく、下記の方法で、酸素透過率(ガスバリア性)、硫黄試験相対発光量(ガスバリア性とクラック)、加熱試験後相対発光量(高温時透明性)、クラック発生素子数(クラック発生率)、紫外線暴露後透過率(耐候性)を評価した。
<酸素透過率>
上記各評価用ベースフイルムサンプルを用いて、各塗布膜を酸素透過率測定装置(登録商標「OX−TRAN」 MOCON社製)にて、25℃、相対湿度約0%における酸素透過率を測定し、以下のランクで評価した。ここで評価A、Bが合格レベルである。
[評価]
A:10cc/m・day・atm未満
B:10cc/m・day・atm以上100cc/m・day・atm未満
C:100cc/m・day・atm以上もしくは測定不可(装置オーバーフロー)
なお、上記Cランクはクラックによる測定不可も含む。
<硫黄試験相対発光量>
実装時の硫黄バリア性を評価するため、各評価用LEDパッケージサンプルを、初期発光量測定の後、硫黄粉末6gを封入したオーブン(DK340S(容積20L)、ヤマト科学社製)を用いて、80℃にて15時間加熱し、硫黄バリア性の評価を行った。発光量評価には、浜松ホトニクス社製外部量子効率測定装置C9920−12を用い、加熱後の各サンプルの全光束を測定した。なお、各サンプルにおける初期全光束を100%として規格化し、硫黄暴露後の各サンプルにおける発光量を算出した。ここで、評価A、Bが合格レベルである。
[評価]
A:80%以上
B:60%以上80%未満
C:60%未満
<加熱試験後相対発光量>
高温時での透明性を評価するため、各評価用LEDパッケージサンプルを、初期発光量測定の後、150℃オーブンにて500時間加熱し、耐熱性の評価を行った。評価には上記外部量子効率測定装置を用い、加熱後の各サンプルの全光束を測定した。なお各サンプルにおける初期全光束を100%として規格化し、加熱後の各サンプルにおける発光量を算出した。ここで、評価A、Bが合格レベルである。
[評価]
A:80%以上
B:40%以上80%未満
C:40%未満
<クラック発生素子数>
封止前の各評価用LEDパッケージにA液とB液を混合したコーティング液を封入し、加熱乾燥後の外観を光学顕微鏡で目視検査を行った。ここで、評価AおよびBが合格レベルである。
[評価]
A:50個中クラック数0個
B:50個中クラック数10個未満
C:50個中クラック数10個以上
<UV照射後透過率>
評価用LEDパッケージサンプルを、初期発光量測定の後、メタルハライド照射装置(MV−3000 スガ試験機製)にて500時間紫外可視光を照射(0.40kW/m)し、耐候性の評価を行った。評価には上記外部量子効率測定装置を用い、加熱後の各サンプルの全光束を測定した。なお各サンプルにおける初期全光束を100%として規格化し、照射後の各サンプルにおける発光量を算出した。ここで、評価AおよびBが合格レベルである。
[評価]
A:80%以上
B:60%以上80%未満
C:60%未満
得られた結果を下記表2にまとめて示した。
Figure 0005789530
表1、2から明らかなように、実験1、2と実験3との比較から、式(B)が0.15未満であると、加熱試験後相対発光量とUV暴露後透過率は優れるものの、酸素透過率、硫黄試験相対発光量、クラック素子発生数の結果がいずれも悪く、また、実験10のように、式(B)が0.60を超えると、加熱試験後相対発光量とUV暴露後透過率での結果が悪く、これ以外での評価に優れており、高温時透明性とガスバリア性を両立させることができていない。これに対し、式(A)の関係を満たし、LED用保護膜中のポリビニルアルコール、一般式(1)で表されるシラン化合物および一般式(2)で表されるシラン化合物の総固形分質量に対してポリビニルアルコールの固形分量を0.15〜0.60とする式(B)の関係を満たす実験3〜9は、酸素透過率、硫黄試験相対発光量、加熱試験後相対発光量、クラック発生素子数およびUV暴露後透過率ともに合格レベルに達し、高温時透明性とガスバリア性を両立している。
実施例2
メチルトリトキシシランの使用比率の効果を以下の実験11〜16により調べた。
実施例1と同様にして、下記表3の組合せで、A液、B液を調製し、各化合物が下記表3の比率で含有するLED用保護膜を形成し、実施例1と同様な方法で評価を行った。
なお、下記表3において、TEOSはテトラエトキシシラン、MeTEOSはメチルトリトキシシランであり、PVAはポリビニルアルコールのPVA−124C(クラレ株式会社製)である。
得られた結果を下記表4にまとめて示す。
Figure 0005789530
Figure 0005789530
表3、4から明らかなように、実験11、16と実験12〜15の比較から、式(B)の関係を満たし、A液中、すなわちLED用保護膜中、一般式(1)で表されるシラン化合物および一般式(2)で表されるシラン化合物の総固形分質量に対して、一般式(1)で表されるテトラアルコキシシラン化合物の固形分量を0.60〜0.95とする式(A)の関係を満たすことで、酸素透過率、硫黄試験相対発光量、加熱試験後相対発光量、クラック発生素子数およびUV暴露後透過率ともに合格レベルに達し、高温時透明性とガスバリア性とが両立できていることがわかる。これに対し、実験11から、式(A)が0.95を超えると、加熱試験後相対発光量とUV暴露後透過率の結果は優れるものの、酸素透過率を含めた他の評価での結果が悪く、逆に、実験16から、式(A)が0.45未満であるとクラック発生素子数、UV暴露後透過率の結果は優れるものの、酸素透過率を含めた他の試験での結果が悪く、高温時透明性とガスバリア性とが両立できていることがわかる。
実施例3
一般式(2)で表されるシラン化合物がメチルトリトキシシラン以外のシラン化合物の場合、一般式(2)で表されるシラン化合物を使用しない場合の効果を以下の実験17〜23により調べた。
実施例1と同様にして、下記表5の組合せで、A液、B液を調製し、各化合物が下記表5の比率で含有するLED用保護膜を形成し、実施例1と同様な方法で評価を行った。
なお、実験20〜23では、形成されたLED用保護膜に含有する、一般式(1)で表されるシラン化合物とビニルアルコールの繰り返し単位を有するポリマーの合計の固形分量を実験1〜19を1質量部とした場合、表5に記載のように、0.833質量、0.9833質量、0.7328質量とした。
なお、下記表5において、TEOSはテトラエトキシシラン、TMOSはテトラメトキシシラン、DMDEはジメチルジエトキシシラン、GPTMSはγ−グリシドプロピルトリメトキシシランであり、PVAはポリビニルアルコールのPVA−124C(クラレ株式会社製)であり、EVOHは、ポリエチレンビニルアルコールのソアノールD2908(日本合成化学社製)である。
得られた結果を下記表6にまとめて示す。
Figure 0005789530
Figure 0005789530
表5、6から明らかなように、実験12〜15により、一般式(2)で表されるシラン化合物のメチルトリトキシシラン(MeTEOS)を、ジメチルジエトキシシラン(DMDE)に変更しても、各評価項目はいずれも合格レベルであった。
これに対し、式(A)の関係を満たすが式(B)の関係を満たさない実験20は、硫黄試験相対発光量およびUV暴露後透過率がともに、本発明におけるレベルを達成することができなかった。
また、実験21〜23から明らかなように、特開2010−7013号公報で開示されているように、テトラアルコキシシラン化合物を単独で使用した場合、実験21、23のように、式(B)の関係を満たしたとしても本発明における評価項目のいずれかが目標レベルに達しないことがわかる。
以上、実施例1〜3から明らかなように、式(A)と式(B)の関係を同時に満足することにより、本発明の目的とする、酸素透過率、硫黄試験相対発光量、加熱試験後相対発光量、クラック発生素子数およびUV暴露後透過率ともに合格レベルに達し、本発明のLED用保護膜形成用キットもしくはLED用保護膜形成用組成物により、優れたLED用保護膜を形成することができることがわかる。
すなわち、高温保管時の透明性と、酸素、水蒸気、空気中の硫黄化合物等のガスバリア性を両立し、コーティング膜のクラックの発生を抑制し、かつ耐光性に優れたLED用保護膜を有する半導体発光デバイスを得ることができることがわかる。
1 ワイヤーボンド
2 LEDパッケージ
3 ダイボンディングペースト
4 LEDチップ
5 電極兼リフレクタ(銀メッキ)

Claims (12)

  1. 少なくともビニルアルコールから得られる繰り返し単位を有するポリマーを含有するA液と、
    シラン化合物、または該シラン化合物とその加水分解物および縮合物との混合物を含有するB液とを有し、該A液および該B液を混合して使用するLED用保護膜形成用キットであって、
    該シラン化合物が、下記一般式(1)で表されるシラン化合物の少なくとも1種、および下記一般式(2)で表されるシラン化合物の少なくとも1種、からなり、
    該ビニルアルコールから得られる繰り返し単位を有するポリマーの使用量(質量a)、該一般式(1)で表されるシラン化合物または該一般式(1)で表されるシラン化合物とその加水分解物および縮合物との混合物の使用量(質量b1)、ならびに該一般式(2)で表されるシラン化合物または該一般式(2)で表されるシラン化合物とその加水分解物および縮合物との混合物の使用量(質量b2)が下記式(A)および式(B)の関係をともに満たす、LED用保護膜形成用キット。
    一般式(1) Si(OR
    一般式(2) (RSi(OR4−n
    (一般式(1)中、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。一般式(2)中、R無置換のアルキル基を表し、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。nは1または2を表す。ここで、4個のRは互いに同一でも異なってもよく、nが2の場合、2個のRは互いに同一でも異なってもよい。また複数のRは互いに同一でも異なってもよい。)
    式(A) 0.45 ≦ b1/(b1+b2) ≦ 0.95
    式(B) 0.15 ≦ a/(a+b1+b2) ≦ 0.60
  2. 前記式(A)の範囲が、0.45〜0.85である、請求項1に記載のLED用保護膜形成用キット。
  3. 前記式(B)の範囲が、0.175〜0.60である、請求項1または2に記載のLED用保護膜形成用キット。
  4. 前記Rが、メチルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のLED用保護膜形成用キット。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のLED用保護膜形成用キットによって形成されてなるLED用保護膜を有する、半導体発光デバイス。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のLED用保護膜形成用キットによってLED用保護膜を形成する工程を含む、半導体発光デバイスの製造方法。
  7. 少なくともビニルアルコールから得られる繰り返し単位を有するポリマーと、シラン化合物または該シラン化合物とその加水分解物および縮合物との混合物とを含有するLED用保護膜形成用組成物であって、
    該シラン化合物が、少なくとも下記一般式(1)で表されるシラン化合物の少なくとも1種、および下記一般式(2)で表されるシラン化合物の少なくとも1種、からなり、
    該ビニルアルコールから得られる繰り返し単位を有するポリマーの使用量(質量a)、該一般式(1)で表されるシラン化合物または該一般式(1)で表されるシラン化合物とその加水分解物および縮合物との混合物の使用量(質量b1)、ならびに該一般式(2)で表されるシラン化合物または該一般式(2)で表されるシラン化合物とその加水分解物および縮合物との混合物の使用量(質量b2)が下記式(A)および式(B)の関係をともに満たす、LED用保護膜形成用組成物。
    一般式(1) Si(OR
    一般式(2) (RSi(OR4−n
    (一般式(1)中、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。一般式(2)中、R無置換のアルキル基を表し、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。nは1または2を表す。ここで、4個のRは互いに同一でも異なってもよく、nが2の場合、2個のRは互いに同一でも異なってもよい。また複数のRは互いに同一でも異なってもよい。)
    式(A) 0.45 ≦ b1/(b1+b2) ≦ 0.95
    式(B) 0.15 ≦ a/(a+b1+b2) ≦ 0.60
  8. 前記式(A)の範囲が、0.45〜0.85である、請求項7に記載のLED用保護膜形成用組成物。
  9. 前記式(B)の範囲が、0.175〜0.60である、請求項7または8に記載のLED用保護膜形成用組成物。
  10. 前記Rが、メチルである、請求項7〜9のいずれか1項に記載のLED用保護膜形成用組成物。
  11. 請求項7〜10のいずれか1項に記載のLED用保護膜形成用組成物によって形成されてなるLED用保護膜を有する、半導体発光デバイス。
  12. 請求項7〜10のいずれか1項に記載のLED用保護膜形成用組成物によってLED用保護膜を形成する工程を含む、半導体発光デバイスの製造方法。
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