JP5789049B2 - アジド化合物の製造方法及び1h−テトラゾール誘導体の製造方法 - Google Patents

アジド化合物の製造方法及び1h−テトラゾール誘導体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、アジド化合物の製造方法、及び1H−テトラゾール誘導体の製造方法に関する。より詳細には、本発明は、爆発性等の危険性の低いアルカリ金属又はアルカリ土類金属のアジ化物を原料とし、フローリアクター内で反応させることにより、アジド化合物を合成する方法、並びに得られたアジド化合物から1H−テトラゾール誘導体を製造する方法に関する。
本願は、2012年6月12日に、日本に出願された特願2012−132812号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
農園芸作物の病害に対して、多数の防除薬剤が提案されている。例えば、特許文献1には、有用植物体に対し優れた薬効を有するテトラゾイルオキシム誘導体が開示され、それを植物病害防除剤として使用することが提案されている。特許文献1に記載されているテトラゾイルオキシム誘導体の製造方法として、例えば、特許文献2には、下記一般式(P)で表される1−アルキル−5−ベンゾイル−1H−テトラゾール誘導体にヒドロキシルアミンを反応させて得られたテトラゾイルヒドロキシイミノ誘導体を原料として製造する方法が開示されている。一般式(P)中、A’は、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、メタンスルホニル基、トリフルオロメチル基、アリール基、シアノ基又はニトロ基であり;nは、0〜5のいずれかの整数であり;Y’は、置換基を有していてもよいアルキル基である。
Figure 0005789049
一般式(P)で表される1−アルキル−5−ベンゾイル−1H−テトラゾール誘導体の製造方法としては、テトラゾール環の置換基の位置制御が容易であるため、ベンゾイルシアニドとアルキルアジドを直接反応させて、付加環化反応によりテトラゾール環を形成させる反応が好ましい。
前記反応の原料であるアルキルアジドは、一般的に、アジ化ナトリウムをアルキル化剤でアルキル化させることにより合成される。例えば非特許文献1には、アジ化ナトリウムをメチル化剤によりメチル化することによってメチルアジドを合成したことが報告されている。ここでアルキルアジドには、メチルアジド等のように、爆発性が高く、危険性の高い化合物が多い。このため、比較的安全なアジ化ナトリウムを原料として、より安全にかつ効率よくアルキルアジドを製造する方法が求められている。
その他、特許文献3には、メチルイソシアニド等のアルキルイソシアニドと、ベンゾイルクロリド等の酸ハロゲン化物とを反応させ、前記反応物とアジ化ナトリウムとを反応させることにより、一般式(P’)(一般式(P’)中、A’及びnは、一般式(P)と同じである。)で表される化合物が効率よく安全に合成できたことが報告されている。しかしながら、前記文献に記載の方法では、爆発性・毒性が懸念されているメチルイソシアニドを単離する必要がある。しかも、メチルイソシアニドは極悪臭物質であるため、前記方法の工業化は非常に困難である。
Figure 0005789049
また、非特許文献2には、ベンジルシアニドとアジ化ナトリウムを、フローリアクター内で反応させて少量ずつアジ化水素を発生させ、即時ニトリルと反応させてテトラゾール環化反応を行ったことが報告されている。但し、前記文献には、原料としてベンゾイルシアニドやメチルアジドを用いた反応は開示されていない。
国際公開第2003/016303号 国際公開第2010/103783号 国際公開第2011/110651号
Dimroth, O. and Wislicenus, W.,Chemische Berichte,1905,vol.38,p.1573. Gutmann et.al.,Angewandte Chemie International Edition,2010,vol.49(39),p.7101−7105.
本発明は、比較的安全なアルカリ金属又はアルカリ土類金属のアジ化物を原料として、フローリアクター内でアジド化合物を効率よく安全に製造する方法、及び得られたアジド化合物からさらに1H−テトラゾール誘導体を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、反応容器としてフローリアクターを用いることにより、工業上安全にかつ効率よく、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のアジ化物を原料としてアジド化合物を製造し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明のアジド化合物の製造方法、及び1H−テトラゾール誘導体の製造方法は、下記[1]〜[19]である。
[1] アルキル化剤又はシリル化剤と、下記一般式(II)(一般式(II)中、Mはアルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子を表し、mは1又は2を表す。)で表されるアジ化物とを、フローリアクター内で反応させ、下記一般式(I)(一般式(I)中、Yは、アルキル基、アリールアルキル基、置換基を有するシリル基、又は置換基を有するシリルアルキル基を表す。)で表されるアジド化合物を、溶液の状態で製造することを特徴とする、アジド化合物の製造方法。
Figure 0005789049
[2] 前記アルキル化剤又はシリル化剤が、下記一般式(III−A)〜(III−E)(一般式(III−A)〜(III−E)中、Yは、前記一般式(I)と同じであり、Xはハロゲン原子を表す。)のいずれかで表される化合物である、前記[1]のアジド化合物の製造方法。
Figure 0005789049
[3] 前記フローリアクターに、前記アルキル化剤又はシリル化剤を含む溶液と、前記(II)で表されるアジ化物を含む溶液とを、それぞれ別個に導入する、前記[1]又は[2]に記載のアジド化合物の製造方法。
[4] 前記一般式(II)で表されるアジ化物を含む溶液の溶媒が水を含み、前記アルキル化剤又はシリル化剤を含む溶液の溶媒が、前記一般式(I)で表されるアジド化合物が溶解可能であり、かつ水と相分離可能な有機溶媒である、前記[3]のアジド化合物の製造方法。
[5] 前記有機溶媒がトルエンである、前記[4]のアジド化合物の製造方法。
[6] 前記一般式(II)で表されるアジ化物を含む溶液が、さらに塩基を含む、前記[3]〜[5]のいずれかのアジド化合物の製造方法。
[7] 前記Yがアルキル基を表す、前記[1]〜[6]のいずれかのアジド化合物の製造方法。
[8] アルキル化剤又はシリル化剤と、下記一般式(II)(一般式(II)中、Mはアルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子を表し、mは1又は2を表す。)で表されるアジ化物とを、フローリアクター内中の第1のリアクター部内の溶液中で反応させ、下記一般式(I)(一般式(I)中、Yは、アルキル基、アリールアルキル基、置換基を有するシリル基、又は置換基を有するシリルアルキル基を表す。)で表されるアジド化合物を製造した後、前記アジド化合物を含む溶液と下記一般式(IV)(一般式(IV)中、Zは、−CO−、−SO−、又は−CR−(式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、又は無置換の若しくは置換基を有するアリール基を表す。
)を表し、pは0又は1を表し、qは0又は1を表し、rは0又は1を表し、Rは、qが0の場合にアルキル基又は水素原子を表し、qが1の場合にアルキレン基を表し、Rは、無置換の若しくは置換基を有するアリール基を表す。但し、pが0の場合、qは1であり、rが0の場合、qは1である。)で表されるシアニド化合物を含む溶液とを、前記フローリアクター中の第2のミキサー部内で混合して反応させ、下記一般式(V)(一般式(V)中、Y、Z、R、R、p、q、及びrは前記と同様である。)で表される化合物を製造することを特徴とする、1H−テトラゾール誘導体の製造方法。
Figure 0005789049
[9] 前記アルキル化剤又はシリル化剤が、前記一般式(III−A)〜(III−E)(一般式(III−A)〜(III−E)中、Yは、前記一般式(I)と同じであり、Xはハロゲン原子を表す。)のいずれかで表される化合物である、前記[8]の1H−テトラゾール誘導体の製造方法。
Figure 0005789049
[10] 前記フローリアクターに、前記アルキル化剤又はシリル化剤を含む溶液と、前記(II)で表されるアジ化物を含む溶液とを、それぞれ別個に導入し、両溶液を第1のミキサー部内で混合し、得られた混合液が前記第1のリアクター部へ導入される、前記[8]又は[9]のアジド化合物の製造方法。
[11] 前記一般式(II)で表されるアジ化物を含む溶液の溶媒が水を含み、前記アルキル化剤又はシリル化剤を含む溶液の溶媒が、前記一般式(I)で表されるアジド化合物が溶解可能であり、かつ水と相分離可能な有機溶媒である、前記[10]の1H−テトラゾール誘導体の製造方法。
[12] 前記有機溶媒がトルエンである、前記[11]の1H−テトラゾール誘導体の製造方法。
[13] 前記第1のリアクター部から排出された前記一般式(I)で表されるアジド化合物を含む溶液を、水層と有機溶媒層に分離し、前記有機溶媒層を回収して、前記一般式(IV)で表されるシアニド化合物を含む溶液と前記第2のミキサー部内で混合する、前記[11]又は[12]の1H−テトラゾール誘導体の製造方法。
[14] 前記一般式(II)で表されるアジ化物を含む溶液が、さらに塩基を含む、前記[10]〜[13]のいずれかのアジド化合物の製造方法。
[15] 前記Yがアルキル基を表す、前記[8]〜[14]のいずれかの1H−テトラゾール誘導体の製造方法。
[16] 前記Rが、下記一般式(s1)(一般式(s1)中、Aは、ハロゲン原子、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルキルスルホニル基、無置換の若しくは置換基を有するアリール基、シアノ基、又はニトロ基を表し、nは、0〜5のいずれかの整数を表す。nが2以上のとき、A同士は互いに同一であっても、相異なっていてもよい。*は、一般式(IV)において、pが1の場合にはRに結合し、pが0であり、かつrが1の場合にはZに結合し、p及びrが0の場合にはシアニド基の炭素原子に結合する。)で表される基である、前記[8]〜[15]のいずれかの1H−テトラゾール誘導体の製造方法。
Figure 0005789049
[17] 前記一般式(I)で表されるアジド化合物と前記一般式(IV)で表されるシアニド化合物との反応の反応温度が150〜250℃である、前記[8]〜[16]のいずれかの1H−テトラゾール誘導体の製造方法。
[18] 前記一般式(IV)で表されるシアニド化合物を含む溶液に混合する、前記一般式(I)で表されるアジド化合物を含む溶液が、前記一般式(IV)で表されるシアニド化合物に対し、前記一般式(I)で表されるアジド化合物を1.4倍モル量以上含有する、前記[8]〜[17]のいずれかの1H−テトラゾール誘導体の製造方法。
[19] 前記第2のミキサー部内で混合された溶液の溶媒が、トルエン又はN−メチルピロリドンである、前記[8]〜[18]のいずれかの1H−テトラゾール誘導体の製造方法。
本発明のアジド化合物の製造方法は、フローリアクターを用いることにより、アジド化合物を、溶液の状態(すなわち、溶媒に溶解した状態)で工業上安全に製造することができる。
また、本発明の1H−テトラゾール誘導体の製造方法は、本発明のアジド化合物の製造方法により製造されたアジド化合物を、フローリアクターの系外へ持ち出すことなく、そのままシアニド化合物と反応させることにより、1H−テトラゾール誘導体を製造する。
すなわち、本発明の1H−テトラゾール誘導体の製造方法は、爆発性等の危険性の低いアルカリ金属又はアルカリ土類金属のアジ化物を原料としてフローリアクター内で段階的に反応させる。これにより、農薬をはじめとする各種薬剤の有効成分の合成原料として有用な1位と5位に置換基を有する1H−テトラゾール誘導体を、工業上安全に、より短時間かつ高効率で製造することができる。
以下、本発明の好ましい例を説明するが、本発明はこれらの例に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
<アジド化合物の製造方法>
本発明のアジド化合物の製造方法は、アルキル化剤又はシリル化剤と、下記一般式(II)で表されるアジ化物とを、フローリアクター内で反応させ、下記一般式(I)で表されるアジド化合物を、溶液の状態で製造することを特徴とする。つまり、本発明のアジド化合物の製造方法により、製造されたアジド化合物を溶液として回収することができる。
Figure 0005789049
(一般式(II)中、Mはアルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子を表し、mは1又は2を表す。)
Figure 0005789049
(一般式(I)中、Yは、アルキル基、アリールアルキル基、置換基を有するシリル基、又は置換基を有するシリルアルキル基を表す。)
アジド化合物の中にはメチルアジドのように、アジ化物とアルキル化剤等との反応温度よりも沸点が低いものがある。そこで通常は、蒸留等のような操作によって気体状態のアジド化合物を反応系から回収する。この結果、アジド化合物は、非常に濃度の高い液体状態として回収されるため、爆発等の危険性が高くなる。これに対して、本発明のアジド化合物の製造方法では、フローリアクターを反応容器として用いるため、適当な圧力下で反応を行うことが可能であり、合成されたアジド化合物を溶媒に溶解させた状態で回収することができる。
[アルキル化剤又はシリル化剤]
本発明のアジド化合物の製造方法では、一般式(II)で表されるアジ化物のナトリウムイオンを、アルキル化剤又はシリル化剤によって、アルキル基、アリールアルキル基、置換基を有するシリル基、又は置換基を有するシリルアルキル基に置換する。これにより、一般式(I)で表されるアジド化合物を効率よく合成することができる。
本発明において用いられるアルキル化剤又はシリル化剤は、一般式(II)で表されるアジ化物のナトリウムイオンを、アルキル基、アリールアルキル基、置換基を有するシリル基、又は置換基を有するシリルアルキル基に置換することができる化合物であれば、特に限定されるものではなく、公知のアルキル化剤やシリル化剤の中から適宜選択して用いることができる。
本発明において用いられるアルキル化剤又はシリル化剤(以下、単に「置換基Y導入剤」ということがある。)としては、下記一般式(III−A)〜(III−E)のいずれかで表される化合物が好ましい。なお、これらの化合物は、公知の化合物から公知の化学反応を利用して合成することができる。
Figure 0005789049
(一般式(III−A)〜(III−E)中、Yは、一般式(I)と同じであり、Xはハロゲン原子を表す。)
一般式(III−A)〜(III−E)中、Yは、アルキル基、無置換の若しくは置換基を有するアリールアルキル基、置換基を有するシリル基、又は置換基を有するシリルアルキル基を表す。
アルキル基としては、直鎖アルキル基であってもよく、分岐鎖アルキル基であってもよく、環状アルキル基であってもよい。前記アルキル基としては、炭素数1〜8の直鎖アルキル基、炭素数3〜8の分枝鎖アルキル基、又は炭素数3〜8の環状アルキル基であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−へキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
無置換の若しくは置換基を有するアリールアルキル基とは、アルキル基の少なくとも1の水素原子が、無置換の若しくは置換基を有するアリール基に置換されている基を意味する。アリール基に置換されているアルキル基は、直鎖アルキル基であってもよく、分岐鎖アルキル基であってもよく、環状アルキル基であってもよい。前記アルキル基としては、炭素数1〜8の直鎖アルキル基、炭素数3〜8の分枝鎖アルキル基、又は炭素数3〜8の環状アルキル基であることが好ましく、炭素数1〜8の直鎖アルキル基であることがより好ましい。また、アルキル基の置換基となるアリール基は、単環であってもよく、多環であってもよい。多環アリール基は、少なくとも一つの環が芳香環であれば、残りの環が飽和環、不飽和環又は芳香環のいずれであってもよい。また、前記アリール基が置換基を有する場合、前記置換基としては、化学的に許容されるものであれば特に限定されず、具体的には後記の(1)〜(85)に例示された置換基を挙げることができる。一般式(III−A)〜(III−E)中のYとしては、炭素数1〜8の直鎖アルキル基の1の水素原子が、無置換の若しくは置換基を有する炭素数6〜10のアリール基で置換された基であることが好ましく、炭素数1〜8の直鎖アルキル基の1の水素原子が無置換の若しくは置換基を有するフェニル基で置換された基であることがより好ましく、炭素数1〜8の直鎖アルキル基の1の水素原子が無置換のフェニル基で置換された基であることがさらに好ましく、ベンジル基がよりさらに好ましい。
置換基を有するシリル基は、シリル基の少なくとも1の水素原子が置換されている基である。前記置換基としては、化学的に許容されるものであれば特に限定されない。具体的には後記の(1)〜(85)に例示された置換基を挙げることができる。また、2又は3の水素原子が置換されている場合、置換基同士は互いに同一であっても、相異なっていてもよい。一般式(III−A)〜(III−E)中のYとしては、1〜3の水素原子が同一又は相異なるアルキル基によって置換されたシリル基であることが好ましく、3つの水素原子が同一又は相異なるアルキル基によって置換されたシリル基であることがより好ましく、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、エチルジメチルシリル基、又はt−ブチルジメチルシリル基であることがさらに好ましく、トリメチルシリル基であることがよりさらに好ましい。
置換基を有するシリルアルキル基は、アルキル基の少なくとも1の水素原子が、置換基を有するシリル基に置換されている基である。シリル基に置換されているアルキル基は、直鎖アルキル基であってもよく、分岐鎖アルキル基であってもよく、環状アルキル基であってもよい。前記アルキル基としては、炭素数1〜8の直鎖アルキル基、炭素数3〜8の分枝鎖アルキル基、又は炭素数3〜8の環状アルキル基であることが好ましく、炭素数1〜8の直鎖アルキル基であることがより好ましい。また、アルキル基の置換基となるシリル基は、前記の置換基を有するシリル基と同様のものが挙げられる。一般式(III−A)〜(III−E)中のYとしては、炭素数1〜8の直鎖アルキル基の1の水素原子が、置換基を有するシリル基で置換された基であることが好ましく、炭素数1〜8の直鎖アルキル基の1の水素原子が、1〜3の水素原子が同一又は相異なるアルキル基によって置換されたシリル基で置換された基であることがより好ましく、炭素数1〜3の直鎖アルキル基の1の水素原子が、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、エチルジメチルシリル基、又はt−ブチルジメチルシリル基で置換された基であることがさらに好ましく、トリメチルシリルメチル基であることがよりさらに好ましい。
一般式(III−A)〜(III−E)で表される化合物としては、Yが、炭素数1〜8の直鎖アルキル基、炭素数3〜8の分枝鎖アルキル基、炭素数3〜8の環状アルキル基、又は無置換の若しくは置換基を有するベンジル基であるものが好ましく、Yが、炭素数1〜6の直鎖アルキル基、炭素数3〜6の分枝鎖アルキル基、炭素数3〜6の環状アルキル基であるものがより好ましく、Yが、炭素数1〜3の直鎖アルキル基であるものがさらに好ましい。中でも、一般式(III−A)〜(III−E)で表される化合物としては、Yがメチル基であるもの、すなわち、ハロメチル、硫酸ジメチル、炭酸ジメチル、メチルメシラート、又はメチルトシラートが特に好ましい。本発明のアジド化合物の製造方法では、反応をフローリアクター内で行うため、合成産物が、低沸点ゆえに一般的に爆発性や毒性があるといわれている炭素数6以下の低級アルキルアジドである場合でも、安全にかつ効率よく、溶液の状態でアジド化合物を製造することができる。
本発明のアジド化合物の製造方法において用いられる置換基Y導入剤としては、一般式(III−A)で表される化合物(ハロゲン化物)、一般式(III−B)で表される化合物(硫酸エステル)、一般式(III−C)で表される化合物(炭酸エステル)、一般式(III−D)で表される化合物(メシラート)又は一般式(III−E)で表される化合物(トシラート)のうち、いずれであってもよいが、一般式(III−A)で表される化合物又は一般式(III−B)で表される化合物であることが好ましい。
[一般式(II)で表されるアジ化物]
一般式(II)中、Mは、アルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子を表す。アルカリ金属原子としては、ナトリウム、カリウム、リチウム等が、アルカリ土類金属原子としては、マグネシウム、カルシウム等が挙げられる。これらの中でも、Mとしては、ナトリウム又はカリウムが好ましく、ナトリウムがより好ましい。
一般式(II)中、mは、1又は2の整数を表す。Mがアルカリ金属原子の場合、mは1であり、Mがアルカリ土類金属原子の場合、mは2である。
[フローリアクター]
本発明のアジド化合物の製造方法においては、一般式(II)で表されるアジ化物(以下、単に「アジ化物」ということがある。)と置換基Y導入剤の反応容器として、フローリアクターを用いる。このため、アジド化合物のような分解性の高い化合物が得られる反応においても、低温環境下で比較的安全に反応させることができる。さらに、大気圧〜10MPaの圧力下で反応を行うことにより、合成されたアジド化合物を、溶液の状態で回収することができる。
本発明のアジド化合物の製造方法において用いられるフローリアクターは、原料導入口と生成物排出口と、これらを連通する流路とを備える。前記原料導入口から原料を供給し、前記流路内における反応によって得られた生成物を前記生成物排出口から取り出す。前記流路は、必要に応じて、導入路と、ミキサー部とリアクター部(滞留部)の少なくとも一方とを備えていてもよい。フローリアクターがミキサー部を備える場合、流路のうち、原料導入口とミキサー部を連通する部分を導入路といい、ミキサー部がない場合、原料導入口とリアクター部を連通する流路部分を導入路という。また、原料導入口は、通常、原料が充填された容器に接続されている。生成物排出口には、必要に応じて、生成物を貯蔵するための容器を接続してもよい。
ミキサー部は、複数の液体を拡散により混合させる機能を有する部位であり、複数の原料導入口から供給された溶液は、ミキサー部で合流する。また、リアクター部は、複数の原料化合物(本発明のアジド化合物の製造方法においては、アジ化物と置換基Y導入剤)から生成物(本発明のアジド化合物の製造方法においては、一般式(I)で表されるアジド化合物)を合成する反応が行われる部位である。ミキサー部とリアクター部の両方を備える場合、原料導入口側にミキサー部を設ける。予め、全ての原料化合物を混合した反応溶液を1の原料導入口から供給する場合、ミキサー部はなくてもよい。また、生成物を合成する反応に要する時間が短く、ミキサー部を通過するまでに反応が完了し得る場合には、前記ミキサー部はリアクター部を兼ねるものとし、別個にリアクター部を設ける必要はない。
フローリアクターが複数の原料導入口及び導入路を備える場合、前記フローリアクターの流路の上流側は、導入路の数に応じて分岐された構成を有しており、さらに少なくとも1のミキサー部を備える。原料導入口及び導入路の数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。3以上の原料導入口及び導入路を有する場合、全ての導入路から供給された液体を1のミキサー部で合流させる構成であってもよく、2以上のミキサー部により、段階的に合流させてもよい。例えば、2の導入路から供給された液体を第1のミキサー部で合流させた後、前記ミキサー部から排出された混合液と残る導入路から導入された液体を第2のミキサー部で合流させることができる。
なお、原料の一部を、予めフローリアクターの流路内(例えば、ミキサー部)に仕込んでおき、残りの原料を1又は複数の原料導入口からそれぞれ供給してもよい。
前記フローリアクターの材質としては、特に制限はなく、耐熱性、耐圧性、耐溶剤性、及び加工容易性などの要求に応じて、適宜選択することができる。前記材質としては、例えば、ステンレス鋼、チタン、銅、ニッケル、アルミニウム、シリコン、及びテフロン(登録商標)、PFA(パーフロロアルコキシ樹脂)などのフッ素樹脂、TFAA(トリフルオロアセトアミド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン樹脂)などが挙げられる。
また、材質は、全流路において実質的に同一であってもよく、導入路、ミキサー部、リアクター部のそれぞれで異なっていてもよい。
流路の断面形状は特に限定されるものではなく、正方形、長方形を含む矩形、三角形、五角形等を含む多角形状、星形状、半円形状、楕円状を含む円状などであってもよい。流路の断面形状は一定である必要はない。なお、「流路の断面」とは、流路の反応溶液等の流れ方向に対して垂直方向の断面を意味し、「断面積」は前記断面の面積を意味する。
流路の断面積や流路長は、特に限定されず、反応溶液の粘度や流速、反応温度、反応時間等を考慮して適宜調製される。流路の断面積が小さすぎると、圧力損失が高くなり、原料を供給し、反応溶液を流すことが困難になる。逆に大きすぎると、熱交換効率が低下し、温度分布等が生じるようになりフローリアクターの特長が減じる。流路の断面積は、全流路において実質的に同一面積であってもよく、導入路、ミキサー部、リアクター部のそれぞれで断面積が異なっていてもよい。前記フローリアクターが複数の導入路を有する場合には、それぞれの導入路の断面積は互いに異なっていてもよく、同じであってもよい。
ミキサー部は、複数の液体を拡散により混合させる機能、及び、反応熱を除熱する機能を有する。
ミキサー部内における液体の混合方式としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、層流による混合、乱流による混合が挙げられる。
ミキサー部としては、複数の液体を混合可能な構造を備える限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、チーズ管、マイクロミキサー、分岐したチューブなどが挙げられる。ミキサー部の形状としては、導入路の数が2つである場合には、例えばT字型やY字型を用いることができ、導入路の数が3つである場合には、例えば十字型を用いることができる。
ミキサー部の断面積は、本発明の効果を損なわない限り特に制限はなく、混合方式等を考慮して適宜調整することができる。複数の液体を拡散により混合させる機能、及び、反応熱を除熱する機能のいずれも良好に発揮し得ることから、ミキサー部は、断面形状が円状である場合、内径が約10μm〜約5cmであることが好ましい。また、ミキサー部の断面積は、導入路等の他の部分と同じであってもよいが、混合効率の点から、導入路よりも大きいほうが好ましい。
ミキサー部の流路長は、特に制限はなく、混合方式、各導入路から供給される液の種類や量、リアクター部の有無等を考慮して適宜調整することができる。例えば、断面形状が円状である場合、内径が約10μm〜約5cmであり、流路長を10cm〜50mとすることができる。
ミキサー部の流路長は、複数の導入路から導入された液体が拡散により混合されるために充分な長さがあることが好ましいが、別途リアクター部を設ける場合には、流路長はより短くてもよい。一方で、別途リアクター部を設けず、ミキサー部を通過した時点で反応が完了し生成物が得られるようにする場合には、ミキサー部の流路長は、最適反応時間を考慮して適宜調整することが好ましい。
リアクター部は、流路の長さを調節し、反応を行うための必要な時間を精密に制御(滞留時間制御)するための部位である。フローリアクターにおいては、反応時間は、全ての原料が混合された反応溶液の流路内の滞留時間に相当する。前記滞留時間は流路長に比例するため、流路長を調節することにより、反応時間が調節される。
リアクター部の流路の断面積、内径、外径、流路長、材質などの構成は、所望する反応に応じて適宜選択することができる。例えば、リアクター部の材質としては、特に制限はなく、前記フローリアクターの材質として例示したものを、好適に利用することができる。
ミキサー部、導入路及びリアクター部は、必要に応じてそれぞれ互いに接続する接続手段を備える。前記接続手段における接続方式としては、特に制限はなく、公知のチューブ接続方式の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ねじ込み式、ユニオン式、突合わせ溶接式、差込み溶接式、ソケット溶接式、フランジ式、食込み式、フレア式、メカニカル式などが挙げられる。
導入路、ミキサー部、リアクター部以外の構成としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記構成としては、例えば、送液に使用するポンプ、温度調整手段、反応促進手段、センサー、圧力調整バルブ、製造された化合物を貯蔵するためのタンクなどが挙げられる。
前記ポンプとしては、特に制限はなく、工業的に使用され得るものから適宜選択することができる。中でも、送液時に脈動を生じないものが好ましく、例えば、プランジャーポンプ、ギアーポンプ、ロータリーポンプ、ダイヤフラムポンプなどが挙げられる。
前記温度調整手段としては、特に制限はなく、反応温度に応じて適宜選択することができる。例えば、恒温槽、循環サーキュレーター、熱交換器などが挙げられる。
[アジ化ナトリウムと置換基Y導入剤の反応条件]
フローリアクター内における、少なくともアジ化物と置換基Y導入剤の両方を含み、アジド化合物の合成反応が起こる反応溶液の反応溶媒は、アジ化物と置換基Y導入剤の両方が溶解し、かつ前記反応に不活性であれば、特に限定されるものではない。前記溶媒としては、例えば、水;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;アセトニトリル、プロピオンニトリル等のニトリル系溶媒;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセタミド、N−メチルピロリドン(NMP)等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;及びこれらの混合溶媒;等が挙げられる。
本発明のアジド化合物の製造方法においては、アジ化物の溶解性が良好であることから、水、又は水と有機溶媒の混合溶媒であることが好ましく、水と、一般式(I)で表されるアジド化合物が溶解可能である有機溶媒との混合溶媒であることがより好ましい。一般式(I)で表されるアジド化合物を一般式(II)で表される未反応のアジ化物から分離して回収する場合には、一般式(I)で表されるアジド化合物が溶解可能であり、かつ水と相分離可能な有機溶媒と水との混合溶媒を反応溶媒として用いることが好ましい。この場合には、合成により得られたアジド化合物は主に有機溶媒層に含まれ、一般式(II)で表される未反応のアジ化物や塩等の副生成物は主に水層に含まれる。このため、反応終了後の反応溶液から有機溶媒層を水層から分離して回収することにより、一般式(I)で表されるアジド化合物を効率よく回収することができる。一般式(I)で表されるアジド化合物が溶解可能である有機溶媒としては、例えば、炭化水素系溶媒が好ましく、芳香族炭化水素系溶媒がより好ましく、トルエン、ベンゼン、又はキシレンがさらに好ましく、トルエンが特に好ましい。
また、本発明のアジド化合物の製造方法においては、塩基の存在下で反応を行うことが好ましい。反応溶液中に塩基が存在していることにより、アジ化物からのアジ化水素の発生を抑制することができる。前記塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩基;トリエチルアミン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、ピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5等の有機塩基;等が挙げられる。これらの塩基は一種単独で、若しくは二種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物を用いることが好ましい。
また、反応溶媒として水と有機溶媒の混合溶媒を用いる場合には、反応溶液は、さらに相間移動触媒を含んでいてもよい。相間移動触媒とは、水に不溶の有機化合物と有機溶媒に不溶の試薬とを反応させるために使用される少量の試薬をいう。相間移動触媒としては、アジ化物と置換基Y導入剤の反応に不活性のものであれば特に限定されるものではなく、公知物の中から、反応溶液に用いる有機溶媒の種類や組み合わせ等を考慮して適宜選択して用いることができる。相間移動触媒としては、例えば、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラプロピルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド(TBAC)等のテトラアルキルアンモニウムクロリド;テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラプロピルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド等のテトラアルキルアンモニウムブロミド;ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、ベンジル−トリ−n−ブチルアンモニウムクロリド(BTBAC)、ベンジル−トリ−n−ブチルアンモニウムブロミド等のベンジルトリアルキルアンモニウムハライド等の4級アンモニウム塩が挙げられる。本発明のアジド化合物の製造方法においては、BTBACを相間移動触媒として用いることが好ましい。
フローリアクター内における、少なくともアジ化物と置換基Y導入剤の両方を含み、アジド化合物の合成反応が起こる反応溶液中におけるアジ化物と置換基Y導入剤の含有量比は、目的の反応が進行し得る比であれば特に限定されるものではないが、前記反応溶液中には、アジ化物に対して充分量の置換基Y導入剤が含まれていることが好ましい。
本発明のアジド化合物の製造方法においては、予めアジ化物と置換基Y導入剤を含む全ての原料を混合した反応溶液を調製し、これをフローリアクターに供給し、前記フローリアクターのリアクター部内において反応させ、アジド化合物を合成させてもよく、アジ化物を含む溶液と、置換基Y導入剤を含む溶液とをそれぞれ別の原料導入口から供給し、ミキサー部で合流させて反応溶液を調製してもよい。安全性の点からは、アジ化物を含む溶液と、置換基Y導入剤を含む溶液とを別個にフローリアクター内へ導入する方法が好ましい。
それぞれ独立してフローリアクターに供給されるアジ化物を含む溶液と置換基Y導入剤を含む溶液とは、同種の溶媒により調製された溶液であってもよく、種類の異なる溶媒によって調製されていてもよい。例えば、アジ化物を含む溶液の溶媒としては、水、又はアジ化物と反応しない有機溶媒と水との混合溶媒が好ましく、水がより好ましい。一方で、置換基Y導入剤を含む溶液の溶媒としては、水、有機溶媒、水と有機溶媒の混合溶媒のいずれであってもよいが、反応に不活性である有機溶媒が好ましい。また、塩基の存在下で反応を行う場合には、塩基は、アジ化物を含む溶液に添加しておくことが好ましい。中でも、アジ化物と塩基を含む水溶液と、置換基Y導入剤を有機溶媒で希釈した溶液とを別個に供給し、ミキサー部で合流させることが好ましい。前記態様においてさらに相間移動溶媒を用いる場合には、相間移動溶媒は、アジ化物を含む水溶液と置換基Y導入剤を含む溶液のいずれに添加してもよい。その他、予めミキサー部に塩基を含む溶液を収容しておき、アジ化物水溶液と置換基Y導入剤を有機溶媒で希釈した溶液とを、それぞれ別の原料導入口から供給し、ミキサー部で合流させて反応溶液を調製してもよい。
フローリアクター内の反応溶液(全ての原料が混合された後の溶液)の反応温度は、合成されたアジド化合物が分解する危険性を充分に抑えられる温度であれば特に限定されるものではないが、安全性の点から、比較的低温であるほうが好ましい。このため、本発明のアジド化合物の製造方法においては、反応温度は20〜200℃が好ましく、35〜80℃がより好ましい。
本発明のアジド化合物の製造方法においては、フローリアクター内で、前記一般式(I)で表されるアジド化合物が得られる。反応後の溶液に混入している微量のアジ化水素またはアジ化ナトリウムを除去するため、反応後に得られたアジド化合物を中性〜アルカリ性の水で洗浄してもよい。
本発明のアジド化合物の製造方法においては、フローリアクター内で、前記一般式(I)で表されるアジド化合物が得られる。得られたアジド化合物を他の化学反応の原料として用いる場合、前記フローリアクターから回収せずに、そのまま連続して反応を行うことができる。すなわち、本発明のアジド化合物の製造方法と、アジド化合物を原料とするその後の反応とを、1のフローリアクター(全体として、少なくとも1の原料導入口と生成物排出口とを有し、これらが連通する流路によって結合されている装置)で行うことができる。フローリアクター内では圧力調整が容易であるため、合成されたアジド化合物が低沸点の化合物であった場合でも、溶液の状態で次の反応工程に供することができる。合成されたアジド化合物を外部に取り出すことなくそのまま1のフローリアクター内で連続して反応を行うことにより、アジド化合物を用いた反応をより安全に実施することができる。
<1H−テトラゾール誘導体の製造方法>
本発明の1H−テトラゾール誘導体の製造方法は、1のフローリアクター内で、アジ化物と置換基Y導入剤からアジド化合物を合成した後、さらにシアニド化合物を反応させて1H−テトラゾール誘導体を製造する方法である。中間生成物であるアジド化合物を外部に取り出すことなく、流路が連通している1のフローリアクター内で連続して反応を行うため、工業的にも安全に目的の1H−テトラゾール誘導体を製造することができる。
具体的には、本発明の1H−テトラゾール誘導体の製造方法は、前記置換基Y導入剤と一般式(II)で表されるアジ化物とを、フローリアクター内中の第1のリアクター部内の溶液中で反応させ、前記一般式(I)で表されるアジド化合物を製造した後、前記アジド化合物を含む溶液と下記一般式(IV)で表されるシアニド化合物を含む溶液とを、前記フローリアクター中の第2のミキサー部内で混合して反応させ、下記一般式(V)で表される化合物を製造することを特徴とする。
Figure 0005789049
(一般式(IV)中、Zは、−CO−、−SO−、又は−CR−(式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、又は無置換の若しくは置換基を有するアリール基を表す。)を表し、pは0又は1を表し、qは0又は1を表し、rは0又は1を表し、Rは、qが0の場合にアルキル基又は水素原子を表し、qが1の場合にアルキレン基を表し、Rは、無置換の若しくは置換基を有するアリール基を表す。但し、pが0の場合、qは1であり、rが0の場合、qは1である。)
Figure 0005789049
(一般式(V)中、Y、Z、R、R、p、q、及びrは前記と同様である。)
本発明の1H−テトラゾール誘導体の製造方法のうち、アジド化合物を合成するまでの工程は、前記の本発明のアジド化合物の製造方法と同様にして実施される。次いで、得られたアジド化合物にシアニド化合物を合流させることにより、以下の反応を行う。
Figure 0005789049
本発明の1H−テトラゾール誘導体の製造方法においては、一般式(IV)で表されるシアニド化合物のシアニド基に、一般式(I)で表されるアジド化合物のアジド基を付加し環化させる。これにより、テトラゾール骨格を有する化合物に置換基を導入する合成方法に比べて、1位と5位に置換基が導入された1H−テトラゾール誘導体を選択的かつ効率よく製造することができる。また、アジド化合物とシアニド化合物とをフローリアクター内で反応させることにより、効率よくかつ短時間で目的の1H−テトラゾール誘導体を製造することができる。
[一般式(IV)で表されるシアニド化合物]
一般式(IV)中、Zは、−CO−、−SO−、又は−CR−を表し、pは0又は1を表し、qは0又は1を表し、rは0又は1を表し、Rは、qが0の場合にアルキル基又は水素原子を表し、qが1の場合にアルキレン基を表し、Rは、無置換の若しくは置換基を有するアリール基を表す。但し、pが0の場合、qは1であり、rが0の場合、qは1である。R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、又は無置換の若しくは置換基を有するアリール基を表す。
一般式(IV)中、Zは、−CO−(カルボニル基)、−SO−(スルホニル基)、又は−CR−(式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、又は無置換の若しくは置換基を有するアリール基を表す。)を表し、rは0又は1を表す。但し、rが0の場合、qは必ず1である。Z中のR又はRがアルキル基の場合、前記アルキル基としては、前記一般式(I)中のYで挙げられたアルキル基と同様のものが挙げられる。また、Z中のR又はRが無置換の若しくは置換基を有するアリール基の場合、前記アリール基としては、前記一般式(I)中のYで挙げられた無置換の若しくは置換基を有するアリール基と同様のものが挙げられる。
一般式(IV)中のZが−CR−である場合、具体的には、R及びRが共に水素原子であるメチレン基(−CH−)、R及びRのいずれか一方が水素原子であり、他方がアルキル基である基、R及びRのいずれか一方が水素原子であり、他方が無置換の若しくは置換基を有するアリール基である基、R及びRが互いに独立して、アルキル基、又は無置換の若しくは置換基を有するアリール基である基が挙げられる。一般式(IV)中のZとしては、具体的には、下記の2価基が挙げられる。
Figure 0005789049
一般式(IV)中のZとしては、−CR−よりも、−CO−又は−SO−が好ましい。シアノ基が直接アルキル基やアルキルアリール基と結合したアルキルニトリルやベンジルシアニド誘導体と比べて、シアノ基とアルキル基等をカルボニル基又はスルホニル基を介して結合させたシアニド誘導体を原料とすることにより、効率よく反応が進行する。
また、一般的に、シアノ基に隣接する基がカルボニル基であるシアニド誘導体のほうが、シアノ基に隣接する基がスルホニル基であるシアニド誘導体よりも反応性が低い傾向がある。本発明の1H−テトラゾール誘導体の製造方法では、反応をフローリアクター内で行うため、シアノ基に隣接する基がカルボニル基であるシアニド誘導体を原料とした場合であっても、充分に高い反応効率で、かつより短時間で1H−テトラゾール誘導体を製造することができる。
一般式(IV)中、qが0の場合、Rはアルキル基又は水素原子である。前記アルキル基としては、前記一般式(I)中のYで挙げられたものと同様のものが挙げられる。一般式(IV)中のRとしては、炭素数1〜8の直鎖アルキル基、炭素数3〜8の分枝鎖アルキル基、又は炭素数3〜8の環状アルキル基であることが好ましい。
一般式(IV)中、qが1の場合、Rはアルキレン基である。前記アルキレン基としては、直鎖アルキレン基であってもよく、分岐鎖アルキレン基であってもよく、環状アルキレン基であってもよい。前記アルキレン基としては、炭素数1〜8の直鎖アルキレン基、炭素数3〜8の分枝鎖アルキレン基、又は炭素数3〜8の環状アルキレン基であることが好ましく、炭素数1〜6の直鎖アルキレン基、炭素数3〜6の分枝鎖アルキレン基、又は炭素数3〜6の環状アルキレン基であることが好ましい。具体的には、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、i−プロピレン基、n−ブチレン基、i−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−へキシレン基、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基等が挙げられる。中でも、qが1の場合の一般式(IV)中のRとしては、炭素数1〜3の直鎖アルキレン基、又は炭素数3の分枝鎖アルキレン基であることが好ましく、炭素数1〜3の直鎖アルキレン基であることがより好ましく、メチレン基がさらに好ましい。
一般式(IV)で表されるシアニド化合物としては、[―(R)p―(R)q]は電子吸引性が高い基であることが、反応収率を高められる点から好ましい。このため、一般式(IV)で表される化合物のうち、rが0の化合物とrが1の化合物のいずれにおいても、pが1であり、かつqが0である化合物よりも、pが0又は1であり、かつqが1である化合物が好ましく、pが0であり、かつqが1である化合物がより好ましい。
一般式(IV)中、Rは、無置換の若しくは置換基を有するアリール基を表し、qは、0又は1を表す。但し、pが0の場合、qは1である。前記アリール基としては、単環であってもよく、多環であってもよい。なお、多環アリール基は、少なくとも一つの環が芳香環であれば、残りの環が飽和環、不飽和環又は芳香環のいずれであってもよい。一般式(IV)中のRが置換基を有するアリール基の場合、前記置換基としては、化学的に許容されるものであれば特に限定されず、具体的には後記の(1)〜(85)に例示された置換基を挙げることができる。
一般式(IV)中のRとしては、炭素数6〜10のアリール基が好ましく、フェニル基がより好ましい。具体的には、Rとしては、下記一般式(s1)で表される基であることが特に好ましい。
Figure 0005789049
(一般式(s1)中、Aは、ハロゲン原子、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルキルスルホニル基、無置換の若しくは置換基を有するアリール基、シアノ基、又はニトロ基を表し、nは、0〜5のいずれかの整数を表す。nが2以上のとき、A同士は互いに同一であっても、相異なっていてもよい。*は、一般式(IV)において、pが1の場合にはRに結合し、pが0であり、かつrが1の場合にはZに結合し、p及びrが0の場合にはシアニド基の炭素原子に結合する。)
一般式(s1)中、nは0〜5のいずれかの整数、好ましくは0〜3のいずれかの整数、より好ましくは0である。なお、nが2以上のとき、A同士は互いに同一であっても、相異なっていてもよい。
一般式(s1)中、Aは、ハロゲン原子、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルキルスルホニル基、無置換の若しくは置換基を有するアリール基、シアノ基、又はニトロ基を表す。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。アルキル基を構成する炭素の数は1〜8が好ましい。
ハロアルキル基としては、フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ジフルオロメチル基、ジクロロメチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、3,3,3,2,2−ペンタフルオロプロピル基、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル基等が挙げられる。
ハロアルキル基を構成する炭素の数は1〜8が好ましい。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ヘキシルオキシ基等が挙げられる。アルコキシ基を構成する炭素の数は1〜8が好ましい。
ハロアルコキシ基としては、2−クロロ−n−プロポキシ基、2,3−ジクロロブトキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。ハロアルコキシ基を構成する炭素の数は1〜8が好ましい。
アルキルスルホニル基としては、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、n−プロピルスルホニル基、i−プロピルスルホニル基、t-ブチルスルホニル基等が挙げられる。アルキルスルホニル基を構成する炭素の数は1〜8が好ましい。
アリール基は、単環又は多環のアリール基を意味する。なお、多環アリール基は、少なくとも一つの環が芳香環であれば、残りの環が飽和環、不飽和環又は芳香環のいずれであってもよい。アリール基のうち、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。
無置換のアリール基として具体的には、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、アズレニル基、インダニル基、テトラリニル基等が挙げられる。
置換基を有するアリール基における「置換基」は、化学的に許容されるものであれば特に限定されない。具体的には、下記に例示する置換基を挙げることができる。
(1)フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;(2)メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等のアルキル基;(3)シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;(4)メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基等のアルコキシ基;(5)ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−メチル−2−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基等のアルケニル基;
(6)2−シクロプロペニル基、2−シクロペンテニル基、3−シクロヘキセニル基、4−シクロオクテニル基等のシクロアルケニル基;(7)ビニルオキシ基、アリルオキシ基、1−プロペニルオキシ基、2−ブテニルオキシ基等のアルケニルオキシ基;(8)エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−メチル−2−プロピニル基、2−メチル−3−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基、1−メチル−2−ブチニル基、2−メチル−3−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、1,1−ジメチル−2−ブチニル基等のアルキニル基;(9)エチニルオキシ基、プロパルギルオキシ基等のアルキニルオキシ基;(10)フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等のアリール基;
(11)フェノキシ基、1−ナフトキシ基等のアリールオキシ基;(12)ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;(13)ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等のアラルキルオキシ基;(14)ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基、シクロヘキシルカルボニル基、フタロイル基等のアシル基;(15)メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;(16)カルボキシル基;(17)水酸基;(18)クロロメチル基、クロロエチル基、1,2−ジクロロ−n−プロピル基、1−フルオロ−n−ブチル基、パーフルオロ−n−ペンチル基等のハロアルキル基;(19)2−クロロ−n−プロポキシ基、2,3−ジクロロブトキシ基、トリフルオロメトキシ基等のハロアルコキシ基;(20)2−クロロ−1−プロペニル基、2−フルオロ−1−ブテニル基等のハロアルケニル基;(21)4,4−ジクロロ−1−ブチニル基、4−フルオロ−1−ペンチニル基、5−ブロモ−2−ペンチニル基等のハロアルキニル基;
(22)2−クロロ−1−プロペニルオキシ基、3−ブロモ−2−ブテニルオキシ基等のハロアルケニルオキシ基;(23)3−クロロ−プロパルギル基、3−ヨード−プロパルギル基等のハロアルキニル基;(24)3−クロロ−プロパルギルオキシ基、3−ヨード−プロパルギルオキシ基等のハロアルキニルオキシ基;(25)4−クロロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基等のハロアリール基;(26)4−フルオロフェノキシ基、4−クロロ−1−ナフトキシ基等のハロアリールオキシ基;(27)クロロアセチル基、トリフルオロアセチル基、トリクロロアセチル基、4−クロロベンゾイル基等のハロゲン置換アシル基;(28)メトキシメチル基、エトキシメチル基、1−エトキシエチル基、2−エトキシエチル基等のアルコキシアルキル基;(29)メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、1−エトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ基等のアルコキシアルコキシ基;(30)シアノ基;
(31)イソシアノ基;(32)ニトロ基;(33)イソシアナト基;(34)シアナト基;(35)アミノ基(NH基);(36)メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のアルキルアミノ基;(37)アニリノ基、ナフチルアミノ基、アントラニルアミノ基等のアリールアミノ基;(38)ベンジルアミノ基、フェネチルアミノ基等のアラルキルアミノ基;(39)メチルスルホニルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基、n−プロピルスルホニルアミノ基、i−プロピルスルホニルアミノ基、n−ブチルスルホニルアミノ基等のアルキルスルホニルアミノ基;(40)フェニルスルホニルアミノ基等のアリールスルホニルアミノ基;
(41)ピラジニルスルホニルアミノ基等のヘテロアリールスルホニルアミノ基;(42)ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、ブチリルアミノ基、i−プロピルカルボニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等のアシルアミノ基;(43)メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基等のアルコキシカルボニルアミノ基;(44)フルオロメチルスルホニルアミノ基、クロロメチルスルホニルアミノ基、ブロモメチルスルホニルアミノ基、ジフルオロメチルスルホニルアミノ基、ジクロロメチルスルホニルアミノ基、1,1−ジフルオロエチルスルホニルアミノ基、トリフルオロメチルスルホニルアミノ基、2,2,2−トリフルオロエチルスルホニルアミノ基、ペンタフルオロエチルスルホニルアミノ基等のハロアルキルスルホニルアミノ基;(45)ビス(メチルスルホニル)アミノ基、ビス(エチルスルホニル)アミノ基、(エチルスルホニル)(メチルスルホニル)アミノ基、ビス(n−プロピルスルホニル)アミノ基、ビス(i−プロピルスルホニル)アミノ基、ビス(n−ブチルスルホニル)アミノ基、ビス(t−ブチルスルホニル)アミノ基等のビス(アルキルスルホニル)アミノ基;
(46)ビス(フルオロメチルスルホニル)アミノ基、ビス(クロロメチルスルホニル)アミノ基、ビス(ブロモメチルスルホニル)アミノ基、ビス(ジクロロメチルスルホニル)アミノ基、ビス(1,1−ジフルオロエチルスルホニル)アミノ基、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミノ基、ビス(2,2,2−トリフルオロエチルスルホニル)アミノ基、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)アミノ基等のビス(ハロアルキルスルホニル)アミノ基;(47)ヒドラジノ基、N’−フェニルヒドラジノ基、N’−メトキシカルボニルヒドラジノ基、N’−アセチルヒドラジノ基、N’−メチルヒドラジノ基等の無置換の若しくは置換基を有するヒドラジノ基;(48)アミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、N−フェニル−N−メチルアミノカルボニル基等の無置換の若しくは置換基を有するアミノカルボニル基;(49)ヒドラジノカルボニル基、N’−メチルヒドラジノカルボニル基、N’−フェニルヒドラジノカルボニル基等の無置換の若しくは置換基を有するヒドラジノカルボニル基;(50)N−メチルイミノメチル基、1−N−フェニルイミノエチル基、N−ヒドロキシイミノメチル基、N−メトキシイミノメチル基等の無置換の若しくは置換基を有するイミノアルキル基;
(51)チオール基;(52)イソチオシアナト基;(53)チオシアナト基;(54)メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、i−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、i−ブチルチオ基、s−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基等のアルキルチオ基;(55)ビニルチオ基、アリルチオ基等のアルケニルチオ基;(56)エチニルチオ基、プロパルギルチオ基等のアルキニルチオ基;(57)フェニルチオ基、ナフチルチオ基等のアリールチオ基;(58)2−ピリジルチオ基、3−ピリダジルチオ基等のヘテロアリールチオ基;(59)ベンジルチオ基、フェネチルチオ基等のアラルキルチオ基;(60)2−ピリジルメチルチオ基、2−フリルメチルチオ基等のヘテロアリールアルキルチオ基;(61)メチルチオカルボニル基、エチルチオカルボニル基、n−プロピルチオカルボニル基、i−プロピルチオカルボニル基、n−ブチルチオカルボニル基、i−ブチルチオカルボニル基、s−ブチルチオカルボニル基、t−ブチルチオカルボニル基等のアルキルチオカルボニル基;
(62)メチルチオメチル基、1−メチルチオエチル基等のアルキルチオアルキル基;(63)フェニルチオメチル基、1−フェニルチオエチル基等のアリールチオアルキル基;(64)メチルチオメトキシ基、1−メチルチオエトキシ基等のアルキルチオアルコキシ基;(65)フェニルチオメトキシ基、1−フェニルチオエトキシ基等のアリールチオアルコキシ基;(66)メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、t−ブチルスルフィニル基等のアルキルスルフィニル基;(67)アリルスルフィニル基等のアルケニルスルフィニル基;(68)プロパルギルスルフィニル基等のアルキニルスルフィニル基;(69)フェニルスルフィニル基等のアリールスルフィニル基;(70)2−ピリジルスルフィニル基、3−ピリジルスルフィニル基等のヘテロアリールスルフィニル基;(71)ベンジルスルフィニル基、フェネチルスルフィニル基等のアラルキルスルフィニル基;(72)2−ピリジルメチルスルフィニル基、3−ピリジルメチルスルフィニル基等のヘテロアリールアルキルスルフィニル基;
(73)メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、t−ブチルスルホニル基等のアルキルスルホニル基;(74)アリルスルホニル基等のアルケニルスルホニル基;(75)プロパルギルスルホニル基等のアルキニルスルホニル基;(76)フェニルスルホニル基等のアリールスルホニル基;(77)2−ピリジルスルホニル基、3−ピリジルスルホニル基等のヘテロアリールスルホニル基;(78)ベンジルスルホニル基、フェネチルスルホニル基等のアラルキルスルホニル基;(79)2−ピリジルメチルスルホニル基、3−ピリジルメチルスルホニル基等のヘテロアリールアルキルスルホニル基;(80)フラン−2−イル基、フラン−3−イル基、チオフェン−2−イル基、チオフェン−3−イル基、ピロール−2−イル基、ピロール−3−イル基、オキサゾール−2−イル基、オキサゾール−4−イル基、オキサゾール−5−イル基、チアゾール−2−イル基、チアゾール−4−イル基、チアゾール−5−イル基、イソオキサゾール−3−イル基、イソオキサゾール−4−イル基、イソオキサゾール−5−イル基、イソチアゾール−3−イル基、イソチアゾール−4−イル基、イソチアゾール−5−イル基、イミダゾール−2−イル基、イミダソール−4−イル基、イミダゾール−5−イル基、ピラゾール−3−イル基、ピラゾール−4−イル基、ピラゾール−5−イル基、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル基、1,3,4−チアジアゾール−2−イル基、1,2,3−トリアゾール−4−イル基、1,2,4−トリアゾール−3−イル基、1,2,4−トリアゾール−5−イル基等の不飽和複素5員環基;
(81)ピリジン−2−イル基、ピリジン−3−イル基、ピリジン−4−イル基、5−クロロ−3−ピリジル基、3−トリフルオロメチル−2−ピリジル基、ピリダジン−3−イル基、ピリダジン−4−イル基、ピラジン−2−イル基、ピリミジン−5−イル基、1,3,5−トリアジン−2−イル基、1,2,4−トリアジン−3−イル基等の不飽和複素6員環基;(82)テトラヒドロフラン−2−イル基、テトラヒドロピラン−4−イル基、ピペリジン−3−イル基、ピロリジン−2−イル基、モルホリノ基、ピペリジノ基、N−メチルピペラジノ基、オキサゾリン−2−イル基等の飽和若しくは部分不飽和複素環基;(83)2−ピリジルオキシ基、3−イソオキサゾリルオキシ基等の複素環オキシ基;(84)2−ピリジルメチル基、3−ピリジルメチル等のヘテロアリールアルキル基;(85)2−ピリジルメトキシ基、3−ピリジルメトキシ等のヘテロアリールアルコキシ基。
これら(1)〜(85)に例示された置換基は、その中にさらに(1)〜(85)に例示された置換基を化学的に許容される範囲で有することができる。
置換基を有するアリール基として具体的には、4−フルオロフェニル基、4−クロロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3,4−メチレンジオキシフェニル基、4−トリフルオロメトキシフェニル基、4−メトキシ−1−ナフチル基、4−エトキシフェニル基、4−メチルフェニル基等を挙げることができる。
一般式(s1)としては、これらの中でも、nが0〜3のいずれかの整数であり、かつAがハロゲン原子、アルキル基、又はアルコキシ基であるものが好ましく、nが0〜3のいずれかの整数であり、かつAがハロゲン原子であるものがより好ましく、nが0である化合物がさらに好ましい。
一般式(IV)で表されるシアニド化合物としては、rが0又は1であり、pが0又は1であり、Rが炭素数1〜3の直鎖アルキレン基又は炭素数3の分枝鎖アルキレン基であり、qが1であり、Rが一般式(s1)で表される基である化合物が好ましく、下記一般式(IV−1)〜(IV−48)で表される化合物であることがより好ましく、下記一般式(IV−1)〜(IV−32)で表される化合物であることがさらに好ましく、下記一般式(IV−1)、(IV−9)、(IV−17)又は(IV−25)で表される化合物であることがさらに好ましく、下記一般式(IV−1)又は(IV−9)で表される化合物であることがよりさらに好ましい。一般式(IV−1)〜(IV−48)中、R’は炭素数1〜3の直鎖アルキレン基又は炭素数3の分枝鎖アルキレン基を表し、Xはハロゲン原子を表す。
Figure 0005789049
Figure 0005789049
Figure 0005789049
一般式(IV)で表されるシアニド化合物は、公知の化合物から公知の化学反応を利用して合成することができる。例えば、一般式(IV)で表されるシアニド化合物のうち、Zがカルボニル基であり、pが0であり、qが1であり、rが0又は1であり、Rが一般式(s1)で表される基である化合物(ベンゾイルシアニド誘導体)は、ベンゾイルハロリド誘導体とシアニド誘導体とを反応させることにより製造することができる。
[アジド化合物とシアニド化合物の反応条件]
フローリアクター内における反応のうち、一般式(I)で表されるアジド化合物(以下、単に「アジド化合物」ということがある。)と一般式(IV)で表されるシアニド化合物(以下、単に「シアニド化合物」ということがある。)とを反応させる際の反応溶液の溶媒は、シアニド化合物とアジド化合物の両方が溶解し、かつシアニド化合物のシアニド基へのアジド化合物の付加環化反応に不活性であり、沸点が反応温度よりも充分に高いものであれば、特に限定されるものではない。前記溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;アセトニトリル、プロピオンニトリル等のニトリル系溶媒;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセタミド、N−メチルピロリドン(NMP)等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;水;及びこれらの混合溶媒;等が挙げられる。また、これらの有機溶媒に、酢酸等の酸を添加したものであってもよい。本発明の1H−テトラゾール誘導体の製造方法においては、炭化水素系溶媒又はアミド系溶媒を用いることが好ましく、トルエン又はNMPを用いることがより好ましい。
フローリアクター内において、シアニド化合物とアジド化合物を反応させる際の反応溶液中のシアニド化合物とアジド化合物の含有量比は、目的の反応が進行し得る比であれば特に限定されるものではないが、反応溶液には、シアニド化合物に対して充分量のアジド化合物が含まれていることが好ましい。例えば、シアニド化合物に対し、アジド化合物の含有量は1.4倍モル量以上が好ましく、1.8倍モル量以上がより好ましく、2倍モル量以上がさらに好ましく、3倍モル量以上がよりさらに好ましく、4倍モル量以上が特に好ましい。
シアニド化合物とアジド化合物を反応させる際の反応温度は、アジド化合物が分解する危険性を充分に抑えられる温度であれば特に限定されるものではない。例えば、150〜250℃で行うことが好ましく、150〜220℃で行うことがより好ましい。
[フローリアクター]
本発明の1H−テトラゾール誘導体の製造方法において用いられるフローリアクターは、前記の本発明のアジド化合物の製造方法において用いられるフローリアクターのうち、アジド化合物の合成反応を行ったリアクター部(リアクター部が省略されている場合には、アジ化物を含む溶液と、置換基Y導入剤を含む溶液とを合流させるミキサー部)の下流に、シアニド化合物を含む溶液を合流させるミキサー部と、必要に応じてリアクター部を有する装置である。
具体的には、第1のミキサー部と、前記第1のミキサー部と少なくとも2の原料導入口とをそれぞれ連通させる導入路と、前記第1のミキサー部の下流にある第1のリアクター部と、前記第1のリアクター部とその下流にある第2のミキサー部とを連通させる流路と、前記第2のミキサー部と少なくとも1の原料導入口とをそれぞれ連通させる導入路と、前記第2のミキサー部と生成物排出口とを連通させる流路とを備えるフローリアクターを用いることができる。予め調製されたアジ化物と置換基Y導入剤を含む溶液をフローリアクターに導入する場合には、第1のミキサー部が省略されたフローリアクターを用いることができる。また、第2のミキサー部の下流(但し、生成物排出口の上流)には、必要に応じてリアクター部を設けてもよい。
フローリアクターに、置換基Y導入剤を含む溶液とアジ化物を含む溶液とをそれぞれ別個に導入する場合には、具体的には、以下のようにして反応を行う。まず、アジ化物を含む溶液と置換基Y導入剤を含む溶液とを、それぞれ別の原料導入口から供給し、第1のミキサー部で合流させた後、得られた混合液が第1のリアクター部へ導入される。前記第1のリアクター部内において(場合によっては、前記第1のミキサー部内においても)両化合物が反応し、アジド化合物が合成される。なお、第1のミキサー部内のみで充分に合成反応が進行する場合には、第1のミキサー部は第1のリアクター部を兼ねるものとし、第1のリアクター部を第1のミキサー部と別個に設けなくてもよい。第1のリアクター部(又は、第1のリアクター部を兼ねる第1のミキサー部)から排出されたアジド化合物を含む溶液は、第2のミキサー部に導入され、別の原料導入口から供給されたシアニド化合物を含む溶液と合流させて、1H−テトラゾール誘導体を合成する。第2のミキサー部(又は、その直下にあるリアクター部)から排出された1H−テトラゾール誘導体を含む溶液が、生成物排出口から回収される。
第1のリアクター部(又は、第1のリアクター部を兼ねる第1のミキサー部)と第2のミキサー部との間には、水層と有機溶媒層とを分液する分液部を設けてもよい。例えば、アジド化合物の合成反応の反応溶媒が水と有機溶媒の混合溶媒であった場合、第2のミキサー部に導入する前に、合成されたアジド化合物を含む溶液を水層と有機溶媒層に分離し、前記有機溶媒層を回収して第2のミキサー部に導入し、シアニド化合物を含む溶液と合流させることができる。
以下、実施例で本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
アジ化ナトリウムと硫酸ジメチルを、フローリアクター内で反応させ、メチルアジドを合成した。
<フローリアクター>
一方の端がT字型ミキサー(PEEK材質)に連結し、他方の端はコンデンサーに連結させた、背圧弁を持つSUS配管{2mm(内径)×2.8m(流路長)、1mL/minのとき、滞留時間は約9分間である。}を40℃の水浴に浸し、これをフローリアクターとして用いた。前記T字型ミキサーのうち、SUS配管と連結していない残りの2つの開口部には、それぞれ50mL容のガラスシリンジ(シリンジA、シリンジB)を連結し、これらのガラスシリンジはそれぞれシリンジポンプにセットした。
<溶液の調製>
アジ化ナトリウム19.56g(0.30mol)、28質量%の水酸化ナトリウム水溶液25.77g(最終濃度:0.72mol/L)、及び50質量%のBTBAC水溶液9.42g(最終濃度:0.06mol/L)を、水214.4gで溶解し、アジ化ナトリウム溶液を調製した。得られたアジ化ナトリウム溶液のアジ化ナトリウム濃度は7.27質量%(1.2mol/L)であった。
これとは別に、硫酸ジメチル56.83gを、トルエン53.72gで希釈し、硫酸ジメチル溶液を調製した。得られた硫酸ジメチル溶液の硫酸ジメチル濃度は、53.17質量%(4.5mol/L)であった。
<反応>
シリンジAにアジ化ナトリウム溶液を35.32g充填し、シリンジBに硫酸ジメチル溶液を24.35g充填した。次に、シリンジAからの送液量とシリンジBからの送液量との比率(容量比)が7:3となり、かつ合計流量が1mL/分となるように、各シリンジから送液した。最終的には、SUS配管内に、シリンジAから34.51gのアジ化ナトリウム溶液(アジ化ナトリウムの仕込量:38.46mmol)が導入され、シリンジBから14.2gの硫酸ジメチル溶液(硫酸ジメチルの仕込量:59.7mmol、アジ化ナトリウムに対して1.55倍モル量)が導入された。その後、コンデンサーにより冷却された反応溶液を回収した。
回収された反応溶液を、水層と有機溶媒層(トルエン層)とに分液し、それぞれに含まれるメチルアジドとアジ化ナトリウムの量を、HPLCにより分析した。各層中のメチルアジドとアジ化ナトリウムのアジ化ナトリウムの仕込み量に対する収率(mol%)を表1に示す。この結果、有機溶媒層と水層の両方にメチルアジドが含まれており、40℃という低温条件下で、特段の防爆装置を要することなく、安全にメチルアジドが合成できた。また、未反応のアジ化ナトリウムは全量が水層に含まれていたが、合成産物であるメチルアジドは、その9割近くが有機溶媒層に移行していた。
Figure 0005789049
[実施例2]
アジ化ナトリウムと硫酸ジメチルを、フローリアクター内で反応させ、メチルアジドを合成した。
<フローリアクター>
一方の端がT字型ミキサー(PEEK材質)に連結し、他方の端はコンデンサーに連結させた、背圧弁を持つSUS配管{1mm(内径)×19.2m(流路長)、1.6mL/minのとき、滞留時間は約9分間である。}を80℃のオイルバスに浸し、これをフローリアクターとして用いた。前記T字型ミキサーのうち、リアクター部と連結していない残りの2つの開口部には、それぞれHPLCポンプA及びBをSUS配管にて連結した。
<溶液の調製>
50mLメスフラスコに、アジ化ナトリウム3.9g(0.06mol)、及び28質量%の水酸化ナトリウム水溶液10.29g(アジ化ナトリウム基準で120mol%相当)を量り込み、水で50mLに調製し、アジ化ナトリウム溶液を調製した。得られたアジ化ナトリウム溶液のアジ化ナトリウム濃度は、1.2mol/Lであった。
これとは別に、100mLメスフラスコに、硫酸ジメチル30.27g(400mol%相当)を量り込み、トルエンで100mLに調製し、硫酸ジメチル溶液を調製した。得られた硫酸ジメチル溶液の硫酸ジメチル濃度は、2.4mol/Lであり、その半分を送液した。
<反応>
HPLCポンプA吸引口にアジ化ナトリウム溶液をセットし、HPLCポンプB吸引口に硫酸ジメチル溶液をセットした。HPLCポンプAとBの送液量が各々0.8mL/min(合計流量1.6mL/min)となるように60分送液した。最終的には、SUS配管内に、HPLCポンプAから50mLのアジ化ナトリウム溶液(アジ化ナトリウムの仕込量:0.06mol)が導入され、HPLCポンプBから50mLの硫酸ジメチル溶液(硫酸ジメチルの仕込量:0.12mol、アジ化ナトリウムに対して2.0倍モル量)が導入された。その後、洗浄液としてポンプAは水、ポンプBはトルエンに切り替え、さらに60分送液し、コンデンサーにより冷却された反応溶液を回収した。
回収された反応溶液を、水層と有機溶媒層(トルエン層)とに分液し、それぞれに含まれるメチルアジドとアジ化ナトリウムの量を、HPLCにより分析した。各層中のメチルアジドとアジ化ナトリウムのアジ化ナトリウムの仕込み量に対する収率(mol%)を表2に示す。この結果、有機溶媒層と水層の両方にメチルアジドが含まれていた。収率は74.8mol%へ向上し、80℃の条件下でも、特段の防爆装置を要することなく、安全かつ高収率でメチルアジドが合成できた。また、未反応のアジ化ナトリウムは全量が水層に含まれていたが、合成産物であるメチルアジドは、その8割近くが有機溶媒層に移行していた。
Figure 0005789049
本発明は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のアジ化物を原料として、フローリアクター内でアジド化合物を効率よく安全に製造する方法を提供することができる。
本発明のアジド化合物の製造方法及び1H−テトラゾール誘導体の製造方法により、農薬、医薬等の有効成分として有用なテトラゾイルオキシム誘導体の合成原料として有用な、アジド化合物及び1位と5位に置換基を有する1H−テトラゾール誘導体を効率よく安全に製造できるため、本発明のアジド化合物の製造方法及び1H−テトラゾール誘導体の製造方法は、農薬、医薬等の製造分野で利用可能である。

Claims (19)

  1. アルキル化剤又はシリル化剤と、下記一般式(II)
    Figure 0005789049
    (一般式(II)中、Mはアルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子を表し、mは1又は2を表す。)で表されるアジ化物とを、フローリアクター内で反応させ、下記一般式(I)
    Figure 0005789049
    (一般式(I)中、Yは、アルキル基、アリールアルキル基、置換基を有するシリル基、又は置換基を有するシリルアルキル基を表す。)で表されるアジド化合物を、溶液の状態で製造することを特徴とする、アジド化合物の製造方法。
  2. 前記アルキル化剤又はシリル化剤が、下記一般式(III−A)〜(III−E)
    Figure 0005789049
    (一般式(III−A)〜(III−E)中、Yは、前記一般式(I)と同じであり、Xはハロゲン原子を表す。)のいずれかで表される化合物である、請求項1に記載のアジド化合物の製造方法。
  3. 前記フローリアクターに、前記アルキル化剤又はシリル化剤を含む溶液と、前記(II)で表されるアジ化物を含む溶液とを、それぞれ別個に導入する、請求項1又は2に記載のアジド化合物の製造方法。
  4. 前記一般式(II)で表されるアジ化物を含む溶液の溶媒が水を含み、前記アルキル化剤又はシリル化剤を含む溶液の溶媒が、前記一般式(I)で表されるアジド化合物が溶解可能であり、かつ水と相分離可能な有機溶媒である、請求項3に記載のアジド化合物の製造方法。
  5. 前記有機溶媒がトルエンである、請求項4に記載のアジド化合物の製造方法。
  6. 前記一般式(II)で表されるアジ化物を含む溶液が、さらに塩基を含む、請求項3〜5のいずれか一項に記載のアジド化合物の製造方法。
  7. 前記Yがアルキル基を表す、請求項1〜6のいずれか一項に記載のアジド化合物の製造方法。
  8. アルキル化剤又はシリル化剤と、下記一般式(II)
    Figure 0005789049
    (一般式(II)中、Mはアルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子を表し、mは1又は2を表す。)で表されるアジ化物とを、フローリアクター中の第1のリアクター部内の溶液中で反応させ、下記一般式(I)
    Figure 0005789049
    (一般式(I)中、Yは、アルキル基、アリールアルキル基、置換基を有するシリル基、又は置換基を有するシリルアルキル基を表す。)で表されるアジド化合物を製造した後、前記アジド化合物を含む溶液と下記一般式(IV)
    Figure 0005789049
    (一般式(IV)中、Zは、−CO−、−SO−、又は−CR−(式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、又は無置換の若しくは置換基を有するアリール基を表す。)を表し、pは0又は1を表し、qは0又は1を表し、rは0又は1を表し、Rは、qが0の場合にアルキル基又は水素原子を表し、qが1の場合にアルキレン基を表し、Rは、無置換の若しくは置換基を有するアリール基を表す。但し、pが0の場合、qは1であり、rが0の場合、qは1である。)で表されるシアニド化合物を含む溶液とを、前記フローリアクター中の第2のミキサー部内で混合して反応させ、下記一般式(V)
    Figure 0005789049
    (一般式(V)中、Y、Z、R、R、p、q、及びrは前記と同様である。)で表される化合物を製造することを特徴とする、1H−テトラゾール誘導体の製造方法。
  9. 前記アルキル化剤又はシリル化剤が、下記一般式(III−A)〜(III−E)
    Figure 0005789049
    (一般式(III−A)〜(III−E)中、Yは、前記一般式(I)と同じであり、Xはハロゲン原子を表す。)のいずれかで表される化合物である、請求項8に記載の1H−テトラゾール誘導体の製造方法。
  10. 前記フローリアクターに、前記アルキル化剤又はシリル化剤を含む溶液と、前記(II)で表されるアジ化物を含む溶液とを、それぞれ別個に導入し、両溶液を第1のミキサー部内で混合し、得られた混合液が前記第1のリアクター部へ導入される、請求項8又は9に記載のアジド化合物の製造方法。
  11. 前記一般式(II)で表されるアジ化物を含む溶液の溶媒が水を含み、前記アルキル化剤又はシリル化剤を含む溶液の溶媒が、前記一般式(I)で表されるアジド化合物が溶解可能であり、かつ水と相分離可能な有機溶媒である、請求項10に記載の1H−テトラゾール誘導体の製造方法。
  12. 前記有機溶媒がトルエンである、請求項11に記載の1H−テトラゾール誘導体の製造方法。
  13. 前記第1のリアクター部から排出された前記一般式(I)で表されるアジド化合物を含む溶液を、水層と有機溶媒層に分離し、前記有機溶媒層を回収して、前記一般式(IV)で表されるシアニド化合物を含む溶液と前記第2のミキサー部内で混合する、請求項11又は12に記載の1H−テトラゾール誘導体の製造方法。
  14. 前記一般式(II)で表されるアジ化物を含む溶液が、さらに塩基を含む、請求項10〜13のいずれか一項に記載のアジド化合物の製造方法。
  15. 前記Yがアルキル基を表す、請求項8〜14のいずれか一項に記載の1H−テトラゾール誘導体の製造方法。
  16. 前記Rが、下記一般式(s1)
    Figure 0005789049
    (一般式(s1)中、Aは、ハロゲン原子、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルキルスルホニル基、無置換の若しくは置換基を有するアリール基、シアノ基、又はニトロ基を表し、nは、0〜5のいずれかの整数を表す。nが2以上のとき、A同士は互いに同一であっても、相異なっていてもよい。*は、一般式(IV)において、pが1の場合にはRに結合し、pが0であり、かつrが1の場合にはZに結合し、p及びrが0の場合にはシアニド基の炭素原子に結合する。)で表される基である、請求項8〜15のいずれか一項に記載の1H−テトラゾール誘導体の製造方法。
  17. 前記一般式(I)で表されるアジド化合物と前記一般式(IV)で表されるシアニド化合物との反応の反応温度が150〜250℃である、請求項8〜16のいずれか一項に記載の1H−テトラゾール誘導体の製造方法。
  18. 前記一般式(IV)で表されるシアニド化合物を含む溶液に混合する、前記一般式(I)で表されるアジド化合物を含む溶液が、前記一般式(IV)で表されるシアニド化合物に対し、前記一般式(I)で表されるアジド化合物を1.4倍モル量以上含有する、請求項8〜17のいずれか一項に記載の1H−テトラゾール誘導体の製造方法。
  19. 前記第2のミキサー部内で混合された溶液の溶媒が、トルエン又はN−メチルピロリドンである、請求項8〜18のいずれか一項に記載の1H−テトラゾール誘導体の製造方法。
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