JP6009851B2 - 1h−テトラゾール誘導体の製造方法 - Google Patents

1h−テトラゾール誘導体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、1H−テトラゾール誘導体の製造方法に関する。より詳細には、本発明は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のアジ化物とイミドイルハライド誘導体から、1H−テトラゾール誘導体を、水を含む溶媒中で安全かつ効率よく製造する方法に関する。
農園芸作物の病害に対して、多数の防除薬剤が提案されている。例えば、特許文献1には、有用植物体に対し優れた薬効を有するテトラゾイルオキシム誘導体が開示され、それを植物病害防除剤として使用することが提案されている。特許文献1に記載されているテトラゾイルオキシム誘導体の製造方法として、例えば、特許文献2には、下記一般式(P)で表される1−アルキル−5−ベンゾイル−1H−テトラゾール誘導体にヒドロキシルアミンを反応させて得られたテトラゾイルヒドロキシイミノ誘導体を原料として製造する方法が開示されている。一般式(P)中、A’は、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、メタンスルホニル基、トリフルオロメチル基、アリール基、シアノ基又はニトロ基であり;nは、0〜5のいずれかの整数であり;Y’は、置換基を有していてもよいアルキル基である。
Figure 0006009851
一般式(P)で表される1−アルキル−5−ベンゾイル−1H−テトラゾール誘導体の製造方法としては、テトラゾール環の置換基の位置制御が容易であるため、イミドイルハライド誘導体とアジ化ナトリウム等の金属アジ化物を直接反応させて、付加環化反応によりテトラゾール環を形成させる反応が好ましい。ここで、一般的に金属アジ化物を用いる反応は、アジ化水素の発生を伴う危険が大きいため、無水の状態で行われる。また、もう一方の原料化合物であるイミドイルクロライド誘導体も、一般的には水に不安定であり、水が存在する条件では加水分解の危険が高い。このため、従来、イミドイルハライド誘導体とアジ化ナトリウム等の金属アジ化物による付加環化反応は、アセトニトリルやDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)等の非プロトン性の極性溶媒を用いて行われてきた。
また、アジ化ナトリウムを用いた付加環化反応としては、特許文献3に、N−アリール−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライドとアジ化ナトリウムとを、アミン塩の存在下で、トルエン等の芳香族炭化水素溶媒中において反応させることにより、1−アリール−5−(トリフルオロメチル)−1H−テトラゾールを製造する方法が開示されている。その他、非特許文献1には、N−メチルベンジミドイルクロライド等のイミノ基が直接アリール基と結合したイミドイルクロライド誘導体とアジ化ナトリウムを、水とジクロロメタンの混合溶媒中において反応させることにより、1−フェニル−5−メチル−1H−テトラゾール等のテトラゾール環を有する化合物を製造する方法が開示されている。
国際公開第2003/016303号 国際公開第2010/103783号 特開2011−173907号公報
Artamonova et.al.,SYNTHESIS,1996,Issue 12,p.1428−1430.
アセトニトリルやDMFは比較的高価であり、工業生産の点からは、反応溶媒としては、水等のより安価なものを用いるほうが好ましい。
一方で特許文献3に記載の方法では、アセトニトリル等と比べてより安価なトルエン等の芳香族炭化水素を用いているが、アミン塩を反応に必須としている。また、非特許文献1ではジクロロメタンと水との混合溶媒を用いているが、塩素系溶媒中でアジ化ナトリウムを反応させると爆発性の高いジアジドメタンが生成する危険性が高く、工業的に好ましくない。
本発明は、比較的安価な水を溶媒として用いた場合であっても、アジ化ナトリウム等の金属アジ化物とイミドイルハライド誘導体から1H−テトラゾール誘導体を安全に製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、水と芳香族炭化水素系溶媒と相間移動触媒とを含む混合溶媒を用いた場合であっても、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のアジ化物とイミドイルハライド誘導体から1H−テトラゾール誘導体を安全に製造し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の1H−テトラゾール誘導体の製造方法等は下記[1]〜[4]である。
[1] 下記一般式(II)(一般式(II)中、Mはアルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子を表し、mは1又は2を表す。)で表されるアジ化物と、下記一般式(III−1)〜(III−8)(一般式(III−1)〜(III−8)中、R ’は炭素数1〜3の直鎖アルキレン基又は炭素数3の分枝鎖アルキレン基を表し、Xはハロゲン原子を表し、Y ’は炭素数1〜6の直鎖アルキル基、炭素数3〜6の分枝鎖アルキル基、又は炭素数3〜6の環状アルキル基を表す。)で表される化合物とを、水と芳香族炭化水素系溶媒と相間移動触媒とを含む混合溶媒中で反応させ、下記一般式(I)(一般式(I)中、Yは炭素数1〜6の直鎖アルキル基、炭素数3〜6の分枝鎖アルキル基、又は炭素数3〜6の環状アルキル基を表し、
Figure 0006009851
は下記一般式(I−1)〜(I−8)で表され、上記一般式(I−1)〜(I−8)中、R ’およびXは上記一般式(III−1)〜(III−8)中の定義と同義である)で表される化合物を製造し、前記相間移動触媒が、4級アンモニウム塩であることを特徴とする、1H−テトラゾール誘導体の製造方法。
[2] 前記芳香族炭化水素系溶媒が、トルエンである、前記[1]の1H−テトラゾール誘導体の製造方法。
[3] 前記相間移動触媒が、ベンジル−トリ−n−ブチルアンモニウムクロリドである、前記[1]又は[2]の1H−テトラゾール誘導体の製造方法。
[4] 前記混合溶媒中、水と芳香族炭化水素系溶媒の含有量(容量)比が、1:3〜1:5である、前記[1]〜[3]のいずれかの1H−テトラゾール誘導体の製造方法。
Figure 0006009851
本発明の1H−テトラゾール誘導体の製造方法は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のアジ化物とイミドイルハライド誘導体を原料とし、農薬をはじめとする各種薬剤の有効成分の合成原料として有用な1位と5位に置換基を有する1H−テトラゾール誘導体を、水を含む混合溶媒を用いるにも関わらず、安全に製造することができる。
本発明の1H−テトラゾール誘導体の製造方法(以下、「本発明の製造方法」ということがある。)は、下記一般式(II)で表されるアジ化物と、下記一般式(III)で表される化合物とを、水と芳香族炭化水素系溶媒と相間移動触媒とを含む混合溶媒中で反応させ、下記一般式(I)で表される化合物を製造することを特徴とする。
Figure 0006009851
(一般式(II)及び(I)中、Mはアルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子を表し、mは1又は2を表す。一般式(III)及び(I)中、Yは、アルキル基、無置換の若しくは置換基を有するアリール基、無置換の若しくは置換基を有するアリールアルキル基、置換基を有するシリル基、又は置換基を有するシリルアルキル基を表し、Xはハロゲン原子を表し、pは0又は1を表し、qは0又は1を表し、Rは、qが0の場合にアルキル基を表し、qが1の場合にアルキレン基を表し、Rは、無置換の若しくは置換基を有するアリール基を表す。但し、pが0の場合、qは1である。)
本発明の製造方法においては、一般式(III)で表されるイミドイルハライド誘導体のイミノ基に、一般式(II)で表されるアジ化物のアジド基を付加し環化させることにより、テトラゾール骨格を有する化合物に置換基を導入する合成方法に比べて、1位と5位に置換基が導入された1H−テトラゾール誘導体を選択的かつ効率よく製造することができる。
[一般式(II)で表されるアジ化物]
一般式(II)中、Mは、アルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子を表す。アルカリ金属原子としては、ナトリウム、カリウム、リチウム等が、アルカリ土類金属原子としては、マグネシウム、カルシウム等が挙げられる。これらの中でも、Mとしては、ナトリウム又はカリウムが好ましく、ナトリウムがより好ましい。
一般式(II)中、mは、1又は2の整数を表す。Mがアルカリ金属原子の場合、mは1であり、Mがアルカリ土類金属原子の場合、mは2である。
Figure 0006009851
[一般式(III)で表される化合物]
一般式(III)中、Yは、アルキル基、無置換の若しくは置換基を有するアリール基、無置換の若しくは置換基を有するアリールアルキル基、置換基を有するシリル基、又は置換基を有するシリルアルキル基を表し、Xは、ハロゲン原子を表し、pは0又は1を表し、qは0又は1を表し、Rは、qが0の場合にアルキル基を表し、qが1の場合にアルキレン基を表し、Rは、無置換の若しくは置換基を有するアリール基を表す。但し、pが0の場合、qは1である。
Figure 0006009851
一般式(III)で表される化合物は、イミノ基とアルキル基等を、カルボニル基を介して結合させたイミノ化合物である。イミノ基が直接アルキル基やアルキルアリール基と結合したアルキルニトリルやベンジルシアニド誘導体と比べて、イミノ基とアルキル基等を、カルボニル基を介して結合させたイミノ化合物を原料とすることにより、効率よく反応が進行する。
一般式(III)中、Yは、アルキル基、無置換の若しくは置換基を有するアリール基、無置換の若しくは置換基を有するアリールアルキル基、置換基を有するシリル基、又は置換基を有するシリルアルキル基を表す。
アルキル基としては、直鎖アルキル基であってもよく、分岐鎖アルキル基であってもよく、環状アルキル基であってもよい。当該アルキル基としては、炭素数1〜8の直鎖アルキル基、炭素数3〜8の分枝鎖アルキル基、又は炭素数3〜8の環状アルキル基であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−へキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
無置換の若しくは置換基を有するアリール基は、単環であってもよく、多環であってもよい。多環アリール基は、少なくとも一つの環が芳香環であれば、残りの環が飽和環、不飽和環又は芳香環のいずれであってもよい。一般式(III)中のYが置換基を有するアリール基の場合、当該置換基としては、化学的に許容されるものであれば特に限定されず、具体的には後記の(1)〜(85)に例示された置換基を挙げることができる。一般式(III)中のYとしては、アリール基のうち、炭素数6〜10のアリール基が好ましく、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、アズレニル基、インダニル基、又はテトラリニル基がより好ましく、フェニル基がさらに好ましい。
無置換の若しくは置換基を有するアリールアルキル基とは、アルキル基の少なくとも1の水素原子が、無置換の若しくは置換基を有するアリール基に置換されている基を意味する。アリール基に置換されているアルキル基は、直鎖アルキル基であってもよく、分岐鎖アルキル基であってもよく、環状アルキル基であってもよい。当該アルキル基としては、炭素数1〜8の直鎖アルキル基、炭素数3〜8の分枝鎖アルキル基、又は炭素数3〜8の環状アルキル基であることが好ましく、炭素数1〜8の直鎖アルキル基であることがより好ましい。また、アルキル基の置換基となるアリール基は、前記の無置換の若しくは置換基を有するアリール基と同様のものが挙げられる。一般式(III)中のYとしては、炭素数1〜8の直鎖アルキル基の1の水素原子が、無置換の若しくは置換基を有する炭素数6〜10のアリール基で置換された基であることが好ましく、炭素数1〜8の直鎖アルキル基の1の水素原子が無置換の若しくは置換基を有するフェニル基で置換された基であることがより好ましく、炭素数1〜8の直鎖アルキル基の1の水素原子が無置換のフェニル基で置換された基であることがさらに好ましく、ベンジル基がよりさらに好ましい。
置換基を有するシリル基は、シリル基の少なくとも1の水素原子が置換されている基である。当該置換基としては、化学的に許容されるものであれば特に限定されない。具体的には後記の(1)〜(85)に例示された置換基を挙げることができる。また、2又は3の水素原子が置換されている場合、置換基同士は互いに同一であっても、相異なっていてもよい。一般式(III)中のYとしては、1〜3の水素原子が同一又は相異なるアルキル基によって置換されたシリル基であることが好ましく、3つの水素原子が同一又は相異なるアルキル基によって置換されたシリル基であることがより好ましく、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、エチルジメチルシリル基、又はt−ブチルジメチルシリル基であることがさらに好ましく、トリメチルシリル基であることがよりさらに好ましい。
置換基を有するシリルアルキル基は、アルキル基の少なくとも1の水素原子が、置換基を有するシリル基に置換されている基である。シリル基に置換されているアルキル基は、直鎖アルキル基であってもよく、分岐鎖アルキル基であってもよく、環状アルキル基であってもよい。当該アルキル基としては、炭素数1〜8の直鎖アルキル基、炭素数3〜8の分枝鎖アルキル基、又は炭素数3〜8の環状アルキル基であることが好ましく、炭素数1〜8の直鎖アルキル基であることがより好ましい。また、アルキル基の置換基となるシリル基は、前記の置換基を有するシリル基と同様のものが挙げられる。一般式(III)中のYとしては、炭素数1〜8の直鎖アルキル基の1の水素原子が、置換基を有するシリル基で置換された基であることが好ましく、炭素数1〜8の直鎖アルキル基の1の水素原子が、1〜3の水素原子が同一又は相異なるアルキル基によって置換されたシリル基で置換された基であることがより好ましく、炭素数1〜3の直鎖アルキル基の1の水素原子が、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、エチルジメチルシリル基、又はt−ブチルジメチルシリル基で置換された基であることがさらに好ましく、トリメチルシリルメチル基であることがよりさらに好ましい。
一般式(III)中のYとしては、炭素数1〜8の直鎖アルキル基、炭素数3〜8の分枝鎖アルキル基、炭素数3〜8の環状アルキル基、無置換の若しくは置換基を有するフェニル基、又は無置換の若しくは置換基を有するベンジル基であることが好ましく、炭素数1〜6の直鎖アルキル基、炭素数3〜6の分枝鎖アルキル基、炭素数3〜6の環状アルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜3の直鎖アルキル基であることがさらに好ましく、メチル基が特に好ましい。
一般式(III)中、Xはハロゲン原子である。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。これらのうち、フッ素原子、塩素原子、又は臭素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
一般式(III)中、qが0の場合、Rはアルキル基である。当該アルキル基としては、前記のYで挙げられたものと同様のものが挙げられる。一般式(III)中のRとしては、炭素数1〜8の直鎖アルキル基、炭素数3〜8の分枝鎖アルキル基、又は炭素数3〜8の環状アルキル基であることが好ましい。
一般式(III)中、qが1の場合、Rはアルキレン基である。当該アルキレン基としては、直鎖アルキレン基であってもよく、分岐鎖アルキレン基であってもよく、環状アルキレン基であってもよい。当該アルキレン基としては、炭素数1〜8の直鎖アルキレン基、炭素数3〜8の分枝鎖アルキレン基、又は炭素数3〜8の環状アルキレン基であることが好ましく、炭素数1〜6の直鎖アルキレン基、炭素数3〜6の分枝鎖アルキレン基、又は炭素数3〜6の環状アルキレン基であることが好ましい。具体的には、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、i−プロピレン基、n−ブチレン基、i−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−へキシレン基、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基等が挙げられる。中でも、qが1の場合の一般式(III)中のRとしては、炭素数1〜3の直鎖アルキレン基、又は炭素数3の分枝鎖アルキレン基であることが好ましく、炭素数1〜3の直鎖アルキレン基であることがより好ましく、メチレン基がさらに好ましい。
一般式(III)で表される化合物としては、[―(R)p―(R)q]は電子吸引性が高い基であることが、反応収率を高められる点から好ましい。このため、一般式(III)中、pが1であり、かつqが0である化合物よりも、pが0又は1であり、かつqが1である化合物が好ましく、pが0であり、かつqが1である化合物がより好ましい。
一般式(III)中、Rは、無置換の若しくは置換基を有するアリール基を表し、qは、0又は1を表す。但し、pが0の場合、qは1である。当該アリール基としては、単環であってもよく、多環であってもよい。なお、多環アリール基は、少なくとも一つの環が芳香環であれば、残りの環が飽和環、不飽和環又は芳香環のいずれであってもよい。一般式(III)中のRが置換基を有するアリール基の場合、当該置換基としては、化学的に許容されるものであれば特に限定されず、具体的には後記の(1)〜(85)に例示された置換基を挙げることができる。
一般式(III)中のRとしては、炭素数6〜10のアリール基が好ましく、フェニル基がより好ましい。具体的には、Rとしては、下記一般式(s1)で表される基であることが特に好ましい。
Figure 0006009851
(一般式(s1)中、Aは、ハロゲン原子、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルキルスルホニル基、無置換の若しくは置換基を有するアリール基、シアノ基、又はニトロ基を表し、nは、0〜5のいずれかの整数を表す。nが2以上のとき、A同士は互いに同一であっても、相異なっていてもよい。*は、一般式(III)において、pが1の場合にはRに結合し、pが0の場合にはカルボニル基の炭素原子に結合する。)
一般式(s1)中、nは0〜5のいずれかの整数、好ましくは0〜3のいずれかの整数、より好ましくは0である。なお、nが2以上のとき、A同士は互いに同一であっても、相異なっていてもよい。
一般式(s1)中、Aは、ハロゲン原子、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルキルスルホニル基、無置換の若しくは置換基を有するアリール基、シアノ基、又はニトロ基を表す。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。アルキル基を構成する炭素の数は1〜8が好ましい。
ハロアルキル基としては、フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ジフルオロメチル基、ジクロロメチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、3,3,3,2,2−ペンタフルオロプロピル基、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル基等が挙げられる。
ハロアルキル基を構成する炭素の数は1〜8が好ましい。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ヘキシルオキシ基等が挙げられる。アルコキシ基を構成する炭素の数は1〜8が好ましい。
ハロアルコキシ基としては、2−クロロ−n−プロポキシ基、2,3−ジクロロブトキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。ハロアルコキシ基を構成する炭素の数は1〜8が好ましい。
アルキルスルホニル基としては、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、n−プロピルスルホニル基、i−プロピルスルホニル基、t-ブチルスルホニル基等が挙げられる。アルキルスルホニル基を構成する炭素の数は1〜8が好ましい。
アリール基は、単環又は多環のアリール基を意味する。なお、多環アリール基は、少なくとも一つの環が芳香環であれば、残りの環が飽和環、不飽和環又は芳香環のいずれであってもよい。アリール基のうち、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。
無置換のアリール基として具体的には、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、アズレニル基、インダニル基、テトラリニル基等が挙げられる。
置換基を有するアリール基における「置換基」は、化学的に許容されるものであれば特に限定されない。具体的には、下記に例示する置換基を挙げることができる。
(1)フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;(2)メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等のアルキル基;(3)シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;(4)メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基等のアルコキシ基;(5)ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−メチル−2−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基等のアルケニル基;
(6)2−シクロプロペニル基、2−シクロペンテニル基、3−シクロヘキセニル基、4−シクロオクテニル基等のシクロアルケニル基;(7)ビニルオキシ基、アリルオキシ基、1−プロペニルオキシ基、2−ブテニルオキシ基等のアルケニルオキシ基;(8)エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−メチル−2−プロピニル基、2−メチル−3−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基、1−メチル−2−ブチニル基、2−メチル−3−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、1,1−ジメチル−2−ブチニル基等のアルキニル基;(9)エチニルオキシ基、プロパルギルオキシ基等のアルキニルオキシ基;(10)フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等のアリール基;
(11)フェノキシ基、1−ナフトキシ基等のアリールオキシ基;(12)ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;(13)ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等のアラルキルオキシ基;(14)ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基、シクロヘキシルカルボニル基、フタロイル基等のアシル基;(15)メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;(16)カルボキシル基;(17)水酸基;(18)クロロメチル基、クロロエチル基、1,2−ジクロロ−n−プロピル基、1−フルオロ−n−ブチル基、パーフルオロ−n−ペンチル基等のハロアルキル基;(19)2−クロロ−n−プロポキシ基、2,3−ジクロロブトキシ基、トリフルオロメトキシ基等のハロアルコキシ基;(20)2−クロロ−1−プロペニル基、2−フルオロ−1−ブテニル基等のハロアルケニル基;(21)4,4−ジクロロ−1−ブチニル基、4−フルオロ−1−ペンチニル基、5−ブロモ−2−ペンチニル基等のハロアルキニル基;
(22)2−クロロ−1−プロペニルオキシ基、3−ブロモ−2−ブテニルオキシ基等のハロアルケニルオキシ基;(23)3−クロロ−プロパルギル基、3−ヨード−プロパルギル基等のハロアルキニル基;(24)3−クロロ−プロパルギルオキシ基、3−ヨード−プロパルギルオキシ基等のハロアルキニルオキシ基;(25)4−クロロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基等のハロアリール基;(26)4−フルオロフェノキシ基、4−クロロ−1−ナフトキシ基等のハロアリールオキシ基;(27)クロロアセチル基、トリフルオロアセチル基、トリクロロアセチル基、4−クロロベンゾイル基等のハロゲン置換アシル基;(28)メトキシメチル基、エトキシメチル基、1−エトキシエチル基、2−エトキシエチル基等のアルコキシアルキル基;(29)メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、1−エトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ基等のアルコキシアルコキシ基;(30)シアノ基;
(31)イソシアノ基;(32)ニトロ基;(33)イソシアナト基;(34)シアナト基;(35)アミノ基(NH基);(36)メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のアルキルアミノ基;(37)アニリノ基、ナフチルアミノ基、アントラニルアミノ基等のアリールアミノ基;(38)ベンジルアミノ基、フェネチルアミノ基等のアラルキルアミノ基;(39)メチルスルホニルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基、n−プロピルスルホニルアミノ基、i−プロピルスルホニルアミノ基、n−ブチルスルホニルアミノ基等のアルキルスルホニルアミノ基;(40)フェニルスルホニルアミノ基等のアリールスルホニルアミノ基;
(41)ピラジニルスルホニルアミノ基等のヘテロアリールスルホニルアミノ基;(42)ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、ブチリルアミノ基、i−プロピルカルボニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等のアシルアミノ基;(43)メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基等のアルコキシカルボニルアミノ基;(44)フルオロメチルスルホニルアミノ基、クロロメチルスルホニルアミノ基、ブロモメチルスルホニルアミノ基、ジフルオロメチルスルホニルアミノ基、ジクロロメチルスルホニルアミノ基、1,1−ジフルオロエチルスルホニルアミノ基、トリフルオロメチルスルホニルアミノ基、2,2,2−トリフルオロエチルスルホニルアミノ基、ペンタフルオロエチルスルホニルアミノ基等のハロアルキルスルホニルアミノ基;(45)ビス(メチルスルホニル)アミノ基、ビス(エチルスルホニル)アミノ基、(エチルスルホニル)(メチルスルホニル)アミノ基、ビス(n−プロピルスルホニル)アミノ基、ビス(i−プロピルスルホニル)アミノ基、ビス(n−ブチルスルホニル)アミノ基、ビス(t−ブチルスルホニル)アミノ基等のビス(アルキルスルホニル)アミノ基;
(46)ビス(フルオロメチルスルホニル)アミノ基、ビス(クロロメチルスルホニル)アミノ基、ビス(ブロモメチルスルホニル)アミノ基、ビス(ジクロロメチルスルホニル)アミノ基、ビス(1,1−ジフルオロエチルスルホニル)アミノ基、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミノ基、ビス(2,2,2−トリフルオロエチルスルホニル)アミノ基、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)アミノ基等のビス(ハロアルキルスルホニル)アミノ基;(47)ヒドラジノ基、N’−フェニルヒドラジノ基、N’−メトキシカルボニルヒドラジノ基、N’−アセチルヒドラジノ基、N’−メチルヒドラジノ基等の無置換の若しくは置換基を有するヒドラジノ基;(48)アミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、N−フェニル−N−メチルアミノカルボニル基等の無置換の若しくは置換基を有するアミノカルボニル基;(49)ヒドラジノカルボニル基、N’−メチルヒドラジノカルボニル基、N’−フェニルヒドラジノカルボニル基等の無置換の若しくは置換基を有するヒドラジノカルボニル基;(50)N−メチルイミノメチル基、1−N−フェニルイミノエチル基、N−ヒドロキシイミノメチル基、N−メトキシイミノメチル基等の無置換の若しくは置換基を有するイミノアルキル基;
(51)チオール基;(52)イソチオシアナト基;(53)チオシアナト基;(54)メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、i−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、i−ブチルチオ基、s−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基等のアルキルチオ基;(55)ビニルチオ基、アリルチオ基等のアルケニルチオ基;(56)エチニルチオ基、プロパルギルチオ基等のアルキニルチオ基;(57)フェニルチオ基、ナフチルチオ基等のアリールチオ基;(58)2−ピリジルチオ基、3−ピリダジルチオ基等のヘテロアリールチオ基;(59)ベンジルチオ基、フェネチルチオ基等のアラルキルチオ基;(60)2−ピリジルメチルチオ基、2−フリルメチルチオ基等のヘテロアリールアルキルチオ基;(61)メチルチオカルボニル基、エチルチオカルボニル基、n−プロピルチオカルボニル基、i−プロピルチオカルボニル基、n−ブチルチオカルボニル基、i−ブチルチオカルボニル基、s−ブチルチオカルボニル基、t−ブチルチオカルボニル基等のアルキルチオカルボニル基;
(62)メチルチオメチル基、1−メチルチオエチル基等のアルキルチオアルキル基;(63)フェニルチオメチル基、1−フェニルチオエチル基等のアリールチオアルキル基;(64)メチルチオメトキシ基、1−メチルチオエトキシ基等のアルキルチオアルコキシ基;(65)フェニルチオメトキシ基、1−フェニルチオエトキシ基等のアリールチオアルコキシ基;(66)メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、t−ブチルスルフィニル基等のアルキルスルフィニル基;(67)アリルスルフィニル基等のアルケニルスルフィニル基;(68)プロパルギルスルフィニル基等のアルキニルスルフィニル基;(69)フェニルスルフィニル基等のアリールスルフィニル基;(70)2−ピリジルスルフィニル基、3−ピリジルスルフィニル基等のヘテロアリールスルフィニル基;(71)ベンジルスルフィニル基、フェネチルスルフィニル基等のアラルキルスルフィニル基;(72)2−ピリジルメチルスルフィニル基、3−ピリジルメチルスルフィニル基等のヘテロアリールアルキルスルフィニル基;
(73)メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、t−ブチルスルホニル基等のアルキルスルホニル基;(74)アリルスルホニル基等のアルケニルスルホニル基;(75)プロパルギルスルホニル基等のアルキニルスルホニル基;(76)フェニルスルホニル基等のアリールスルホニル基;(77)2−ピリジルスルホニル基、3−ピリジルスルホニル基等のヘテロアリールスルホニル基;(78)ベンジルスルホニル基、フェネチルスルホニル基等のアラルキルスルホニル基;(79)2−ピリジルメチルスルホニル基、3−ピリジルメチルスルホニル基等のヘテロアリールアルキルスルホニル基;(80)フラン−2−イル基、フラン−3−イル基、チオフェン−2−イル基、チオフェン−3−イル基、ピロール−2−イル基、ピロール−3−イル基、オキサゾール−2−イル基、オキサゾール−4−イル基、オキサゾール−5−イル基、チアゾール−2−イル基、チアゾール−4−イル基、チアゾール−5−イル基、イソオキサゾール−3−イル基、イソオキサゾール−4−イル基、イソオキサゾール−5−イル基、イソチアゾール−3−イル基、イソチアゾール−4−イル基、イソチアゾール−5−イル基、イミダゾール−2−イル基、イミダソール−4−イル基、イミダゾール−5−イル基、ピラゾール−3−イル基、ピラゾール−4−イル基、ピラゾール−5−イル基、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル基、1,3,4−チアジアゾール−2−イル基、1,2,3−トリアゾール−4−イル基、1,2,4−トリアゾール−3−イル基、1,2,4−トリアゾール−5−イル基等の不飽和複素5員環基;
(81)ピリジン−2−イル基、ピリジン−3−イル基、ピリジン−4−イル基、5−クロロ−3−ピリジル基、3−トリフルオロメチル−2−ピリジル基、ピリダジン−3−イル基、ピリダジン−4−イル基、ピラジン−2−イル基、ピリミジン−5−イル基、1,3,5−トリアジン−2−イル基、1,2,4−トリアジン−3−イル基等の不飽和複素6員環基;(82)テトラヒドロフラン−2−イル基、テトラヒドロピラン−4−イル基、ピペリジン−3−イル基、ピロリジン−2−イル基、モルホリノ基、ピペリジノ基、N−メチルピペラジノ基、オキサゾリン−2−イル基等の飽和若しくは部分不飽和複素環基;(83)2−ピリジルオキシ基、3−イソオキサゾリルオキシ基等の複素環オキシ基;(84)2−ピリジルメチル基、3−ピリジルメチル等のヘテロアリールアルキル基;(85)2−ピリジルメトキシ基、3−ピリジルメトキシ等のヘテロアリールアルコキシ基。
これら(1)〜(85)に例示された置換基は、その中にさらに(1)〜(85)に例示された置換基を化学的に許容される範囲で有することができる。
置換基を有するアリール基として具体的には、4−フルオロフェニル基、4−クロロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3,4−メチレンジオキシフェニル基、4−トリフルオロメトキシフェニル基、4−メトキシ−1−ナフチル基等を挙げることができる。
一般式(s1)としては、これらの中でも、nが0〜3のいずれかの整数であり、かつAがハロゲン原子又はアルキル基であるものが好ましく、nが0〜3のいずれかの整数であり、かつAがハロゲン原子であるものがより好ましく、nが0である化合物がさらに好ましい。
一般式(III)で表される化合物としては、pが0又は1であり、Rが炭素数1〜3の直鎖アルキレン基又は炭素数3の分枝鎖アルキレン基であり、qが1であり、Rが一般式(s1)で表される基である化合物が好ましく、下記一般式(III−1)〜(III−8)で表される化合物であることがより好ましく、下記一般式(III−1)又は(III−5)で表される化合物であることがさらに好ましい。一般式(III−1)〜(III−8)中、R’は炭素数1〜3の直鎖アルキレン基又は炭素数3の分枝鎖アルキレン基を表し、Xはハロゲン原子を表し、Y’は炭素数1〜6のアルキル基(すなわち、炭素数1〜6の直鎖アルキル基、炭素数3〜6の分枝鎖アルキル基、炭素数3〜6の環状アルキル基)を表す。
Figure 0006009851
一般式(III)で表される化合物は、公知の化合物から公知の化学反応を利用して合成することができる。例えば、一般式(III)で表される化合物は、構造が対応するカルボン酸アミド化合物を、DMF等のハロゲン化剤と反応させることによって、得ることができる。
Figure 0006009851
[反応溶媒]
本発明の製造方法においては、一般式(II)で表されるアジ化物と一般式(III)で表される化合物とを、水と芳香族炭化水素系溶媒と相間移動触媒とを含む混合溶媒中で反応させる。水を含んでいるにも関わらず、アジ化物からのアジ化水素の発生や、一般式(III)で表されるイミドイルハライド誘導体の過度の加水分解が生じることなく、当該混合溶媒中では、安全に反応が進み、一般式(I)で表される化合物が製造される。また、反応溶媒として非極性有機溶媒である芳香族炭化水素系溶媒を用いているが、水も併用しているため、アミン塩が不要である。
本発明の製造方法において、反応溶媒に用いられる混合溶媒は、少なくとも水層と芳香族炭化水素系溶媒層の2相に分離している。混合溶媒の構成成分として用いられる芳香族炭化水素系溶媒としては、本反応に不活性であり、かつ水と相分離する芳香族炭化水素系溶媒であれば特に限定されない。芳香族炭化水素系溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、及びこれらの混合溶媒等が挙げられる。本発明の製造方法において用いられる芳香族炭化水素系溶媒としては、トルエンが好ましい。
当該混合溶媒における水と芳香族炭化水素系溶媒の含有量(容量)比は、当該混合溶媒が2相に分離する範囲であれば特に限定されるものではないが、アジ化水素の発生と一般式(III)で表される化合物の加水分解の両方を充分に抑制する点から、水よりも芳香族炭化水素系溶媒の含有量が多いことが好ましい。中でも、水と芳香族炭化水素系溶媒の含有量(容量)比が、1:3〜1:5であることが好ましく、1:4であることがより好ましい。
本発明の製造方法において、混合溶媒の構成成分として用いられる相間移動触媒としては、本反応に不活性なものであれば特に限定されるものではなく、公知物の中から、用いる芳香族炭化水素系溶媒の種類等を考慮して適宜選択して用いることができる。相間移動触媒としては、例えば、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラプロピルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド(TBAC)等のテトラアルキルアンモニウムクロリド;テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラプロピルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド等のテトラアルキルアンモニウムブロミド;ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、ベンジル−トリ−n−ブチルアンモニウムクロリド(BTBAC)、ベンジル−トリ−n−ブチルアンモニウムブロミド等のベンジルトリアルキルアンモニウムハライド等の4級アンモニウム塩が挙げられる。本発明の製造方法において用いられる相間移動触媒としては、BTBACが好ましい。
本発明の製造方法においては、混合溶媒中に相間移動触媒を含有するため、水層と芳香族炭化水素系溶媒層からなる2相系の混合溶媒中でも、付加環化反応が良好に進行し、充分な収率で一般式(I)で表される化合物を製造することができる。当該混合溶媒に含有させる相間移動触媒の量は、特に限定されるものではないが、反応系に添加する一般式(III)で表される化合物に対して、0.001倍モル量以上であることが好ましく、0.01倍モル量以上であることがより好ましく、0.05倍モル量以上であることがさらに好ましい。相間移動触媒の量が多い場合であっても特段の問題はなく、例えば、一般式(III)で表される化合物に対する相間移動触媒の量を0.1倍モル量とした場合でも、0.05倍モル量添加した場合と同様に良好な収率で、一般式(I)で表される化合物を製造することができる。
[その他の反応条件]
反応溶液は、一般式(II)で表されるアジ化物、一般式(III)で表される化合物、水、芳香族炭化水素系溶媒、及び相間移動触媒を混合して調製する。例えば、一般式(II)で表されるアジ化物を水に溶解させた溶液と、一般式(III)で表される化合物を芳香族炭化水素系溶媒に溶解させた溶液と、相間移動触媒を水又は芳香族炭化水素系溶媒に溶解させた溶液とをそれぞれ調製し、これらの溶液を混合することにより、反応溶液を調製することができる。この場合、相間移動触媒は、水又は芳香族炭化水素系溶媒に溶解せずに、そのまま直接反応溶液に添加してもよい。
反応溶液の調製に際し、一般式(II)で表されるアジ化物、一般式(III)で表される化合物、及び溶媒は、それぞれ全量を一度に添加して調製してもよく、複数回に分けて添加してもよい。本発明の製造方法においては、一般式(II)で表されるアジ化物、相間移動触媒、水、及び芳香族炭化水素系溶媒を混合した溶液に、一般式(III)で表される化合物を芳香族炭化水素系溶媒に溶解させた溶液を、少量ずつ時間をかけて添加することが好ましい。
仕込完了後(反応系に一般式(II)で表されるアジ化物及び一般式(III)で表される化合物が全量添加された後)の反応溶液中の一般式(II)で表されるアジ化物と一般式(III)で表される化合物の含有量比は、目的の反応が進行し得る比であれば特に限定されるものではない。本発明の製造方法においては、当該反応溶液中には、一般式(III)で表される化合物に対して一般式(II)で表されるアジ化物が充分量含まれていることが好ましい。例えば、一般式(III)で表される化合物に対し、一般式(II)で表されるアジ化物の含有量は、1.0倍モル量以上1.5倍モル量以下が好ましく、1.2倍モル量がより好ましい。
反応の温度は、用いる芳香族炭化水素系溶媒の種類、水と芳香族炭化水素系溶媒との混合比、用いる相間移動触媒の種類等を考慮して適宜設定することができる。反応の開始時から終了時までの温度は、一定に保ってもよく、変動させてもよい。本発明の製造方法においては、アジ化水素の発生と一般式(III)で表される化合物の加水分解の両方を充分に抑制し得る点から、反応温度は80℃以下であることが好ましく、50℃以下であることがより好ましく、20〜50℃であることがさらに好ましく、25〜40℃であることがよりさらに好ましい。反応時間は反応規模等にもよるが、通常、15分間〜24時間である。
反応により合成された一般式(I)で表される化合物は、水層よりも芳香族炭化水素系溶媒層に主に含まれる。一方で、一般式(II)で表されるアジ化物は、主に水層に含まれる。そこで、反応終了後、水層から芳香族炭化水素系溶媒層を分離回収した後、濃縮乾固することにより、高純度の一般式(I)で表される化合物を得ることができる。また、濃縮乾固前に、水層から分離回収された芳香族炭化水素系溶媒層にさらに水を加え、必要に応じて加温することにより、当該芳香族炭化水素系溶媒層に含まれていた相間移動触媒を水層に除去することも好ましい。
以下、実施例で本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
300mLの四つ口フラスコに、N−メチル−2−オキソ−2−アセタミド(KA)8.15g(0.05mol)、溶媒としてクロロホルム90g(KAに対して、1.2L/mol)、及び触媒としてDMF0.37g(KAに対して、10mol%(0.1倍モル量))を加えた。この溶液に、滴下ロートを用いて、塩化チオニル8.93g(KAに対して、150mol%)を滴下し、還流下6時間反応させた。反応終了確認のため、反応液の一部を分取し、過剰のアジ化ナトリウムとDMFに添加して分析用試料溶液を調製した。当該分析用試料溶液中のICから(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)(フェニル)メタノン(TZ)を合成した後、当該分析用試料溶液中のKAとTZをHPLC分析し、HPLCチャートにおける面積に基づいて定量した。TZのHPLC面積に対するKAのHPLC面積の比([KAのHPLC面積]/[TZのHPLC面積])が1%以下になったことを確認した。
反応終了後、室温まで冷却し、減圧下、クロロホルムと過剰の塩化チオニルを留去した。さらに過剰の塩化チオニルを留去させるために、トルエン50mLを加え、塩化チオニルを完全に留去した。この結果、濃縮物としてN−メチル−2−オキソ−2−フェニルアセチミドイルクロライド(IC)9.7g(粗収率:107mol%)が得られた。
Figure 0006009851
300mLの四つ口フラスコに、アジ化ナトリウム3.9g(KAに対して、120mol%)と水10gを加えて溶解させた。この中に、相間移動触媒としてBTBAC0.8g(KAに対して、5mol%)とトルエン10mLを加えた。当該四つ口フラスコに、前記で合成したIC全量をトルエン30mLに溶解させた溶液を、滴下ロートを用いて滴下した。発熱が観測されたが、内温は35±3℃に維持した。滴下終了後、室温(20〜30℃)にて2時間反応させた。その後、反応溶液から水層を分液し、残ったトルエン層にさらに水50mLを加え、50℃に昇温させることにより、BTBACを水層に除去した。その後、水層を分液して得られたトルエン層を乾燥濃縮することによって、粗TZ9.1g(粗収率:100%、純度:90%)を得ることができた(純分収率:KAに対して90%)。
Figure 0006009851
本発明の1H−テトラゾール誘導体の製造方法により、農薬、医薬等の有効成分として有用なテトラゾイルオキシム誘導体の合成原料として有用な1位と5位に置換基を有する1H−テトラゾール誘導体を、比較的安価な水を溶媒として用いるにも関わらず、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のアジ化物とイミドイルハライド誘導体から安全に製造できるため、本発明の1H−テトラゾール誘導体の製造方法は、農薬、医薬等の製造分野で利用可能である。

Claims (4)

  1. 下記一般式(II)
    Figure 0006009851
    (一般式(II)中、Mはアルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子を表し、mは1又は2を表す。)で表されるアジ化物と、下記一般式(III−1)〜(III−8)
    Figure 0006009851
    (一般式(III−1)〜(III−8)中、R ’は炭素数1〜3の直鎖アルキレン基又は炭素数3の分枝鎖アルキレン基を表し、Xはハロゲン原子を表し、Y ’は炭素数1〜6の直鎖アルキル基、炭素数3〜6の分枝鎖アルキル基、又は炭素数3〜6の環状アルキル基を表す。)で表される化合物とを、水と芳香族炭化水素系溶媒と相間移動触媒とを含む混合溶媒中で反応させ、下記一般式(I)
    Figure 0006009851
    (一般式(I)中、Yは炭素数1〜6の直鎖アルキル基、炭素数3〜6の分枝鎖アルキル基、又は炭素数3〜6の環状アルキル基を表し、
    Figure 0006009851
    は下記一般式(I−1)〜(I−8)
    Figure 0006009851
    で表され、上記一般式(I−1)〜(I−8)中、R ’およびXは上記一般式(III−1)〜(III−8)中の定義と同義である)で表される化合物を製造し、
    前記相間移動触媒が、4級アンモニウム塩であることを特徴とする、1H−テトラゾール誘導体の製造方法。
  2. 前記芳香族炭化水素系溶媒が、トルエンである、請求項1に記載の1H−テトラゾール誘導体の製造方法。
  3. 前記相間移動触媒が、ベンジル−トリ−n−ブチルアンモニウムクロリドである、請求項1又は2に記載の1H−テトラゾール誘導体の製造方法。
  4. 前記混合溶媒中、水と芳香族炭化水素系溶媒の含有量(容量)比が、1:3〜1:5である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の1H−テトラゾール誘導体の製造方法。
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