JP5787205B2 - カラーフィルタおよび有機el表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、有機EL表示装置用のカラーフィルタに関する。また本発明は、当該カラーフィルタを備えた有機EL表示装置に関する。
従来、平面ディスプレイ等の分野において、陽極と陰極との間に有機発光層を挟持して構成された有機EL層を含む有機EL素子が提案されており、その応用研究が盛んに行われている。
有機EL素子を備えたディスプレイにおける課題として、高い輝度を確保しながら低消費電力を実現するという課題がある。このような課題を解決するため、ディスプレイを、赤色、緑色、青色に白色を加えた4色の副画素を有する画素群で構成すること、いわゆるペンタイル方式が提案されている(例えば特許文献1乃至4参照)。例えば、赤色、緑色、青色の着色層に加えて白色光をそのまま透過させる層を有するカラーフィルタを用いることが提案されている(例えば特許文献5参照)。このようなペンタイル方式を採用することにより、従来の赤色、緑色、青色の3色フィルタ方式のディスプレイと比較して、高い輝度を確保しながら低消費電力を実現することが可能となる。
その他にも、特許文献6においては、赤色、緑色、青色の発光層をそれぞれ形成し、各発光層から各色の光を取り出すとともに、各色の光を混合して白色光などその他の色を構成し、これによって輝度を向上させる方法が提案されている。しかしながら、この方法は、上記のペンタイル方式に比べて、輝度を向上させる効果が十分でないと考えられる。
ところで、有機EL素子の陽極または陰極の一方は、一般に金属電極からなっている。このため、有機EL素子を備えた有機EL表示装置においては、外光が陽極または陰極によって反射されることに起因して、コントラストが低下する問題や映り込みが生じる問題があった。
このような問題を解決するため、円偏光板を有機EL素子の観察者側に配置することにより、外光が反射されるのを防ぐ技術が提案されている(例えば特許文献7,8)。その他にも、カラーフィルタのブラックマトリクス層を観察者側の面に配置することにより、外光が反射されるのを防ぐ技術が提案されている(例えば特許文献9)。
また特許文献10においては、陰極および陽極が、有機発光層で発光した光を共振させる共振器構造の共振部となるよう構成された有機EL素子を備えたディスプレイが提案されている(いわゆるマイクロキャビティ構造)。これによって、放射される光の色純度を向上させることができ、また、外光の反射を抑制することも可能となる。
また特許文献11においては、赤色、緑色、青色のうちから選択された特定の色の光を吸収する着色層が、他の選択しなかった色の画素の光出力側あるいは外光入射側に配置されるとともに、各色画素領域に対応して光共振器が設けられ、光共振器が当該色の反射率が最小となるように構成されているディスプレイが提案されている。特許文献11においては、ディスプレイを上記のように構成することにより、輝度を低下させることなく、外光による特定の色の反射を抑制し、これによって全体としてのコントラストを向上させることが意図されている。
米国特許第6771028号明細書 米国特許出願公開第2002/0186214号明細書 米国特許出願公開第2004/0113875号明細書 米国特許出願公開第2004/0201558号明細書 特表2007−516564号公報 特開2010−043980号公報 特開2004−226842号公報 特開2010−243769号公報 特開2005−209651号公報 特許第4174989号公報 特許第3555759号公報
上述の特許文献7乃至9により提案されている従来の技術においては、外光の反射が防がれる一方で、有機EL素子から発光される光の透過が妨げられてしまうという問題がある。有機EL素子から発光される光の透過が妨げられる場合、所望の輝度を得るために有機EL素子の発光強度が高められることになる。このため、有機EL素子の素子寿命が短くなることが考えられる。
また、ペンタイル方式によるディスプレイにおいては、白色光を発光する画素が形成されることになる。このため、上述の特許文献10および11により提案される技術により、ペンタイル方式によるディスプレイにおける外光の反射を低減することはできない。
本発明は、このような課題を効果的に解決し得るカラーフィルタおよび有機EL表示装置を提供することを目的とする。
本発明による有機EL表示装置用の第1のカラーフィルタは、基材と、前記基材上に設けられたブラックマトリクス層と、前記ブラックマトリクス層間に設けられた複数色の着色層および透過率調整部と、を備え、前記透過率調整部は、少なくとも1色の着色材が分散された感光性樹脂からなることを特徴とするカラーフィルタである。
本発明による第1のカラーフィルタによれば、透過率調整部は、少なくとも1色の着色材が分散された感光性樹脂からなっている。このため、透過率調整部における着色材の比率を調整することにより、透過率調整部の透過率および反射率を適切に設定することができる。これによって、所望の透過率および反射率を有するカラーフィルタを提供することができる。
本発明による第1のカラーフィルタにおいて、前記複数色の着色層は、特定の波長域の光のみを選択的に透過させるものとなっており、前記透過率調整部は、可視光域の光を波長域に依らず略均一に透過させるものとなっていてもよい。
本発明による第1のカラーフィルタにおいて、前記透過率調整部は、黒色着色材が分散された感光性樹脂からなっていてもよい。
本発明による第1のカラーフィルタにおいて、前記透過率調整部は、複数色の着色材が分散された感光性樹脂からなっていてもよい。
本発明による第1のカラーフィルタにおいて、前記複数色の着色層は、赤色着色層、緑色着色層および青色着色層を含んでいてもよい。
本発明による第1のカラーフィルタにおいて、前記透過率調整部は、外光の反射を位置に応じて選択的に防止するようパターニングされていてもよい。
本発明による第1の有機EL表示装置は、有機EL素子用基板と、前記有機EL素子用基板上に設けられた有機EL層とを有する有機EL素子と、前記有機EL素子に対向するよう配置されたカラーフィルタと、を備え、前記有機EL素子の前記有機EL層は、陽極と、陰極と、陽極と陰極の間に設けられた有機発光層とを有し、前記カラーフィルタは、基材と、前記基材上に設けられたブラックマトリクス層と、前記ブラックマトリクス層間に設けられた複数色の着色層および透過率調整部と、を有し、前記透過率調整部は、少なくとも1色の着色材が分散された感光性樹脂からなることを特徴とする有機EL表示装置である。
本発明による第1の有機EL表示装置によれば、カラーフィルタの透過率調整部は、少なくとも1色の着色材が分散された感光性樹脂からなっている。このため、透過率調整部における着色材の比率を調整することにより、透過率調整部の透過率および反射率を適切に設定することができる。このことにより、所望の輝度を有し、かつ外光の反射が抑制された有機EL表示装置を提供することができる。
本発明による有機EL表示装置用の第2のカラーフィルタは、基材と、前記基材上に設けられたブラックマトリクス層と、前記ブラックマトリクス層間に設けられた複数色の着色層および透過率調整部と、を備え、前記透過率調整部は、前記ブラックマトリクス層と同一の材料から形成されており、前記透過率調整部の厚みは、前記ブラックマトリクス層の厚みよりも小さくなっていることを特徴とするカラーフィルタである。
本発明による第2のカラーフィルタによれば、透過率調整部は、前記ブラックマトリクス層と同一の材料から形成されており、前記透過率調整部の厚みは、前記ブラックマトリクス層の厚みよりも小さくなっている。このため、透過率調整部の厚みを調整することにより、透過率調整部の透過率および反射率を適切に設定することができる。これによって、所望の透過率および反射率を有するカラーフィルタを提供することができる。
本発明による第2の有機EL表示装置は、有機EL素子用基板と、前記有機EL素子用基板上に設けられた有機EL層とを有する有機EL素子と、前記有機EL素子に対向するよう配置されたカラーフィルタと、を備え、前記有機EL素子の前記有機EL層は、陽極と、陰極と、陽極と陰極の間に設けられた有機発光層とを有し、前記カラーフィルタは、基材と、前記基材上に設けられたブラックマトリクス層と、前記ブラックマトリクス層間に設けられた複数色の着色層および透過率調整部と、を有し、前記透過率調整部は、前記ブラックマトリクス層と同一の材料から形成されており、前記透過率調整部の厚みは、前記ブラックマトリクス層の厚みよりも小さくなっていることを特徴とする有機EL表示装置である。
本発明による第2の有機EL表示装置によれば、カラーフィルタの透過率調整部は、前記ブラックマトリクス層と同一の材料から形成されており、前記透過率調整部の厚みは、前記ブラックマトリクス層の厚みよりも小さくなっている。このため、透過率調整部の厚みを調整することにより、透過率調整部の透過率および反射率を適切に設定することができる。このことにより、所望の輝度を有し、かつ外光の反射が抑制された有機EL表示装置を提供することができる。
本発明によれば、カラーフィルタおよび有機EL表示装置における外光の反射を抑制することができる。
図1は、本発明の第1の実施の形態における有機EL表示装置を示す図。 図2Aは、図1の有機EL表示装置のカラーフィルタを矢印IIA−IIA方向から見た図。 図2Bは、図1の有機EL表示装置の有機EL素子を矢印IIB−IIB方向から見た図。 図3は、各着色層および透過率調整部における透過スペクトルを示す図。 図4Aは、本発明の第1の実施の形態において、有機EL素子からの光がカラーフィルタを透過して出射される様子を示す図。 図4Bは、本発明の第1の実施の形態において、外光が反射される様子を示す図。 図5Aは、第1の比較の形態において、有機EL素子からの光がカラーフィルタを透過して出射される様子を示す図。 図5Bは、第1の比較の形態において、外光が反射される様子を示す図。 図6Aは、第2の比較の形態において、有機EL素子からの光がカラーフィルタを透過して出射される様子を示す図。 図6Bは、第2の比較の形態において、外光が反射される様子を示す図。 図7は、透過率調整部における透過スペクトルのその他の例を示す図。 図8は、本発明の第2の実施の形態における有機EL表示装置を示す図。 図9は、図8の有機EL表示装置のカラーフィルタを矢印IX−IX方向から見た図。 図10は、本発明の第3の実施の形態における有機EL表示装置を示す図。 図11は、透過光の測定系を示す図。 図12は、反射光の測定系を示す図。 図13は、透過率調整部における黒色着色材の含有比率と、透過率調整部のY値との関係を示す図。 図14は、実施例1において、透過率調整部の透過率および反射率を示す図。 図15は、実施例2において、透過率調整部の透過率および反射率を示す図。 図16は、実施例3において、透過率調整部の透過率および反射率を示す図。
第1の実施の形態
以下、図1乃至図4Bを参照して、本発明の第1の実施の形態について説明する。まず図1乃至図2Bにより、本実施の形態における有機EL表示装置50全体について説明する。
有機EL表示装置
図1に示すように、有機EL表示装置50は、光を放射する有機EL素子40と、有機EL素子40に対向するよう配置されたカラーフィルタ10と、を備えている。有機EL素子40とカラーフィルタ10との間は、例えば樹脂接着材からなる封止材49により封止されている。図1に示す有機EL表示装置50において、カラーフィルタ10は、有機EL素子40からの光が放射される側、すなわち観察者側に配置されている。
有機EL素子
はじめに有機EL素子40について説明する。図1に示すように、有機EL素子40は、有機EL素子用基板47と、有機EL素子用基板47上に設けられ、光を放射する有機EL層44と、を有している。なお図示はしないが、有機EL素子用基板47上には、有機EL層44を駆動するためのトランジスタなどの駆動素子が形成されている。すなわち有機EL素子用基板47は、有機EL層44を駆動するための基板、いわゆるTFT基板となっている。
本実施の形態において、有機EL素子40の有機EL層44において発光した光は、有機EL素子用基板47が位置する側とは反対の側へ取り出される。すなわち、有機EL層44からの光は、TFT基板を構成する有機EL素子用基板47の上方から取り出される。このように本実施の形態における有機EL表示装置50は、いわゆるトップエミッション型の有機EL表示装置となっている。
有機EL素子用基板47は、有機EL層44を支持するとともに、外気を遮断することができるものであれば特に限定されるものではないが、安定性、耐久性等が良好なことから、ガラスや透明ポリマーであることが好ましい。
図1に示すように、有機EL層44は、陽極41と、陰極43と、陽極41と陰極43の間に設けられた有機発光層42とを有している。陽極41としては、効率良く正孔を注入できる材料であれば特に限定されるものではないが、例えば、アルミニウム、クロム、モリブデン、タングステン、銅、銀または金およびそれらの合金等を使用することが好ましい。一方、陰極43としては、電子を注入しやすく、かつ光透過性の良好な材料が用いられており、例えば酸化リチウム、炭酸セシウム等が用いられる。有機発光層42としては、所定の電圧を印加することにより発光する蛍光性有機物質を含有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、キノリノール錯体、オキサゾール錯体、各種レーザー色素、ポリパラフェニレンビニレン等が挙げられる。
なお、陽極41から注入された正孔を有機発光層42に効率的に輸送するため、陽極41と有機発光層42との間に正孔輸送層(図示せず)が設けられていてもよい。正孔輸送層の構成材料として、例えばテトラフェニルベンジジンが挙げられる。さらに、陽極41と正孔輸送層との間に正孔注入層(図示せず)が設けられていてもよい。また、有機発光層42と陰極43との間に、電子注入層(図示せず)や電子輸送層(図示せず)が設けられていてもよい。また、水分を遮蔽するバリア膜(図示せず)が有機EL層44上に設けられていてもよい。
カラーフィルタ
次に、カラーフィルタ10について説明する。図1に示すように、カラーフィルタ10は、観察者側の面11aおよび有機EL素子側の面11bを有する基材11と、基材11上に設けられたブラックマトリクス層12と、ブラックマトリクス層12間に設けられた複数色の着色層13,14,15および透過率調整部16と、を備えている。ブラックマトリクス層12、着色層13,14,15および透過率調整部16は、基材11の有機EL素子側の面11b上に設けられている。
なお図示はしないが、基材11の観察者側の面11a上に、外光の反射を抑制するための反射防止膜が設けられていてもよい。反射防止膜の具体的な形態が特に限られることはなく、所望の反射防止効果を発現することができる様々な膜が用いられ得る。このような反射防止膜を基材11の観察者側の面11a上に形成する方法が特に限られることはなく、反射防止フィルムを接着する方法や、反射防止用材料を塗布する方法などが適宜用いられる。
図2Aは、図1の有機EL表示装置50のカラーフィルタ10を矢印IIA−IIA方向から見た図であり、図2Bは、図1の有機EL表示装置50の有機EL素子40を矢印IIB−IIB方向から見た図である。図2Bに示すように、有機EL層44は、各々が有機EL素子40の単位画素に対応する複数の単位有機EL層44aからなっており、各単位有機EL層44aには駆動用配線48が接続されている。また図2Aに示すように、ブラックマトリクス層12はマトリックス状のパターンを有しており、ブラックマトリクス層12によって画定される複数の区画がそれぞれ、有機EL素子40の単位画素に対応している。また、ブラックマトリクス層12によって画定される複数の区画には、着色層13,14,15または透過率調整部16のいずれかが配置されている。
(ブラックマトリクス層)
ブラックマトリクス層12は、光を遮蔽する層となっている。ブラックマトリクス層12の材料としては、例えば、カーボンブラック、チタンブラック等の黒色着色材を含有する樹脂組成物等が挙げられる。この樹脂組成物に用いられる樹脂としては、例えば、アクリレート系、メタクリレート系、ポリ桂皮酸ビニル系、もしくは環化ゴム系等の反応性ビニル基を有する感光性樹脂が使用される。
(着色層)
複数色の着色層13,14,15はそれぞれ、特定の波長域の光のみを選択的に透過させる層となっている。例えば複数色の着色層13,14,15は、赤色の波長域の光を選択的に透過させる赤色着色層13と、緑色の波長域の光を選択的に透過させる緑色着色層14と、青色の波長域の光を選択的に透過させる青色着色層15と、からなっている。赤色着色層13、緑色着色層14および青色着色層15は、各色の顔料や染料等の着色材を感光性樹脂中に分散または溶解させることにより形成されている。
このうち赤色着色層13に用いられる着色材としては、例えば、ペリレン系顔料、レーキ顔料、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、アントラセン系顔料、イソインドリン系顔料等が挙げられる。これらの顔料は単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
緑色着色層14に用いられる着色材としては、例えば、ハロゲン多置換フタロシアニン系顔料もしくはハロゲン多置換銅フタロシアニン系顔料等のフタロシアニン系顔料、トリフェニルメタン系塩基性染料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料等が挙げられる。これらの顔料もしくは染料は単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
青色着色層15に用いられる着色材としては、例えば、銅フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、インダンスレン系顔料、インドフェノール系顔料、シアニン系顔料、ジオキサジン系顔料等が挙げられる。これらの顔料は単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
なお、複数色の着色層が上記の赤色着色層13、緑色着色層14および青色着色層15に限られることは無く、その他の色の着色層、例えば黄色着色層が含まれていてもよい。
図3は、各着色層13,14,15および透過率調整部における透過スペクトルS,S,SおよびSを示す図である。図3に示すように、赤色着色層13の透過スペクトルSは、赤色の波長域にピークを有するスペクトルとなっている。同様に、緑色着色層14および青色着色層15の透過スペクトルS,Sはそれぞれ、緑色および青色の波長域にピークを有するスペクトルとなっている。
(透過率調整部)
一方、透過率調整部16は、可視光域の光を波長域に依らず略均一に透過させる部分となっている。例えば透過率調整部16は、透過率調整部16に入射した白色光が4500〜12000Kの色温度を有する光として出射されるよう構成されている。このような特性を有する透過率調整部16をブラックマトリクス層12間に設けることにより、カラーフィルタ10に着色層13,14,15のみが設けられている場合に比べて、カラーフィルタ10全体としての透過率を向上させることができる。これによって、有機EL素子40の発光強度を過度に高めることなく有機EL表示装置50の輝度を増加させることができる。このことにより、有機EL素子40の素子寿命を長くすることができる。
次に、透過率調整部16の構成要素について説明する。本実施の形態において、透過率調整部16は、透光性を有する感光性樹脂中に黒色着色材を分散させることにより構成される着色材含有層17からなっている。
透光性を有する感光性樹脂のタイプが特に限られることはなく、ネガ型感光性樹脂およびポジ型感光性樹脂のいずれも用いることができる。
用いられるネガ型感光性樹脂が特に限定されることはなく、一般的に使用されるネガ型感光性樹脂を用いることができる。例えば、架橋型樹脂をベースとした化学増幅型感光性樹脂、具体的にはポリビニルフェノールに架橋剤を加え、さらに酸発生剤を加えた化学増幅型感光性樹脂等が挙げられる。また、アクリル系ネガ型感光性樹脂として、紫外線照射によりラジカル成分を発生する光重合開始剤と、分子内にアクリル基を有し、発生したラジカルにより重合反応を起こして硬化する成分と、その後の現像により未露光部が溶解可能となる官能基(例えば、アルカリ溶液による現像の場合は酸性基をもつ成分)とを含有するものを用いることができる。上記のアクリル基を有する成分のうち、比較的低分子量の多官能アクリル分子としては、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(DPPA)、テトラメチルペンタトリアクリレート(TMPTA)等が挙げられる。また、高分子量の多官能アクリル分子としては、スチレン‐アクリル酸‐ベンジルメタクリレート共重合体の一部のカルボン酸基部分にエポキシ基を介してアクリル基を導入したポリマーや、メタクリル酸メチル−スチレン−アクリル酸共重合体等が挙げられる。
また、用いられるポジ型感光性樹脂が特に限定されることはなく、一般的に使用されるポジ型感光性樹脂を用いることができる。具体的には、ノボラック樹脂をベース樹脂とした化学増幅型感光性樹脂等が挙げられる。
一方、黒色着色材は、着色材含有層17の透過率を調整するために感光性樹脂中に分散される材料である。このような黒色着色材としては、ブラックマトリクス層12の場合と同様にカーボンブラックやチタンブラック等が用いられる。
感光性樹脂中の黒色着色材の含有比率は、カラーフィルタ10における所望の透過率や透過スペクトルの形状に応じて適宜設定される。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
透過に関する作用
はじめに、有機EL素子40からの光がカラーフィルタ10を透過して出射される際の作用について、図4Aを参照して説明する。
図4Aには、有機EL層44の有機発光層42から白色光Loutが放射される様子が示されている。有機発光層42から放射された白色光Loutは、各着色層13,14,15および着色材含有層17に入射する。
着色層13,14,15に入射した光はそれぞれ、赤色光Lout(R),緑色光Lout(G),青色光Lout(B)となって着色層13,14,15から出射される。一方、着色材含有層17に入射した光は、輝度調整光Lout(A)となって着色材含有層17から出射される。
上述のように、着色材含有層17は、可視光域の光を波長域に依らず略均一に透過させる層となっている。このため輝度調整光Lout(A)により、カラーフィルタ10から出射する光の強度を可視光域のほぼ全域にわたって増加させることができ、これによって、有機EL表示装置50の輝度を増加させることができる。なお着色材含有層17の平均透過率は、好ましくは50〜70%の範囲内となっており、例えば60%となっている。ここで「平均透過率」とは、対象となる要素の透過スペクトルを可視光域全域にわたって平均することにより得られる値である。例えば着色材含有層17の平均透過率とは、図3に示すような着色材含有層17の透過スペクトルSを可視光域全域にわたって平均することにより得られる値である。実施例において後述する平均反射率についても同様である。
反射に関する作用
次に、カラーフィルタ10を透過した外光が、有機EL層44によって反射され、その後にカラーフィルタ10を再び透過して観察者に到達する際の作用について、図4Bを参照して説明する。
図4Bに示す例において、白色光からなる外光Linがカラーフィルタ10に入射される様子が示されている。カラーフィルタ10に入射した外光Linは、はじめに各着色層13,14,15および着色材含有層17に入射する。その後、各着色層13,14,15および着色材含有層17の透過スペクトルに応じてフィルタされた光が、有機EL層44へ向かって各着色層13,14,15および着色材含有層17から出射する。各着色層13,14,15および着色材含有層17から出射した光は、図4Bに示すように、有機EL層44の陽極41により反射されて再び各着色層13,14,15および着色材含有層17に入射する。再び各着色層13,14,15および着色材含有層17に入射した光は、各着色層13,14,15および着色材含有層17の透過スペクトルに応じてフィルタされた後、反射光Lref(R),反射光Lref(G),反射光Lref(B)および反射光Lref(A)となって着色層13,14,15および着色材含有層17から出射する。
反射光Lref(R),反射光Lref(G),反射光Lref(B)および反射光Lref(A)は、カラーフィルタ10に入射した外光Linが各着色層13,14,15および着色材含有層17をそれぞれ2回透過した後の光となっている。一般に、各着色層13,14,15の平均透過率は、着色材含有層17の平均透過率に比べて低くなっている。このため、反射光Lref(R),反射光Lref(G),反射光Lref(B)の強度は、反射光Lref(A)の強度に比べて無視できる程度の強度となっている。一方、着色材含有層17の平均透過率が例えば60%となっている場合、反射光Lref(A)の強度は、(0.6)×Lin=0.36Linとなっている。このように、着色材含有層17に入射した外光Linは、約1/3の強度にまで減衰させられた後に着色材含有層17から出射する。
なお以下の記載において、上述の外光Linのように着色材含有層17を2回透過した光の強度と、当該光が着色材含有層17を透過する前に有していた強度との比を、着色材含有層17の「反射率」と表現する。従って、上記の外光Linの例においては、着色材含有層17の反射率が36%になっているといえる。好ましくは、本実施の形態において、着色材含有層17の反射率が25〜50%の範囲内に設定されている。
本実施の形態によれば、カラーフィルタ10は、ブラックマトリクス層12間に設けられた複数色の着色層13,14,15および透過率調整部16を備えている。この透過率調整部16は、透光性を有する感光性樹脂中に黒色着色材を分散させることにより構成される着色材含有層17からなっている。本実施の形態によれば、このような透過率調整部16を設けることにより、カラーフィルタ10全体としての透過率を向上させながら、カラーフィルタ10に入射した外光が高い強度を有するままカラーフィルタ10から再び出射するのを抑制することができる。このことにより、有機EL表示装置50において、有機EL素子40の発光強度を過度に高めることなく所望の輝度を得ることができ、かつ外光に起因するコントラスト低下や映り込みを抑制することができる。
第1の比較の形態
次に、本実施の形態の効果を第1の比較の形態と比較して説明する。図5Aおよび図5Bに示す第1の比較の形態によるカラーフィルタ100は、透過率調整部101に着色材が含まれていない点が異なるのみであり、他の構成は、図1乃至図4Bに示す本実施の形態におけるカラーフィルタ10と略同一である。図5Aおよび図5Bに示す第1の比較の形態において、図1乃至図4Bに示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
第1の比較の形態において、カラーフィルタ100の透過率調整部101は、透光性を有する感光性樹脂のみからなるクリア層となっている。このような透過率調整部の平均透過率は例えば99%となっている。
第1の比較の形態において、透過率調整部101に入射した白色光Loutは、輝度調整光Lout’(A)となって透過率調整部101から出射する(図5A参照)。また、透過率調整部101に入射した外光Linは、有機EL層44の陽極41によって反射された後に反射光Lref’(A)となって透過率調整部101から出射する(図5A参照)。ここで、透過率調整部の平均透過率が99%となっている場合、反射光Lref’(A)の強度は、(0.99)×Lin=0.98Linとなっている。
第1の比較の形態によれば、透過率調整部101が着色材を含まないことにより、本実施の形態の場合に比べてカラーフィルタ100全体としての透過率を高くすることができる。しかしながら第1の比較の形態によれば、透過率調整部101に入射した外光が高い強度を有するまま透過率調整部101から再び出射することになる。このため、外光に起因するコントラスト低下や映り込みの問題が生じることが考えられる。
これに対して本実施の形態によれば、カラーフィルタ10全体としての透過率を向上させながら、透過率調整部16を通る外光の反射率を、第1の比較の形態の場合の約1/3に低減させることができる。従って、仮に反射光Lref(R),反射光Lref(G),反射光Lref(B)の強度が反射光Lref(A)の強度に比べて無視できる程度の大きさとなっている場合、本実施の形態におけるカラーフィルタ10全体としての外光の反射率を、第1の比較の形態によるカラーフィルタ100全体としての外光の反射率の約1/3に低減させることができる。
第2の比較の形態
次に、本実施の形態の効果を第2の比較の形態と比較して説明する。図6Aおよび図6Bに示す第1の比較の形態によるカラーフィルタ110は、基材11の観察者側の面11a上に円偏光板111が設けられている点が異なるのみであり、他の構成は、図5Aおよび図5Bに示す第1の比較の形態におけるカラーフィルタ100と略同一である。図6Aおよび図6Bに示す第2の比較の形態において、図1乃至図4Bに示す第1の実施の形態または図5Aおよび図5Bに示す第1の比較の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
第2の比較の形態において、円偏光板111は、偏光フィルムと位相差フィルムとを積層させることにより形成されている。位相差フィルムは、位相差が光の波長の1/4になるよう制御されている。この場合、カラーフィルタ110に入射した外光Linは、はじめに偏光フィルムによって直線偏光となり、次に、位相差フィルムによって円偏光となる。その後、有機EL層44の陽極41によって反射される際に円偏光状態が反転する。その後、反射された光が再び位相差フィルムを通過すると、この光は、カラーフィルタ110に入射した時に比べて90度傾いた直線偏光となる。従って、この直線偏光は、再び偏光フィルムに到達する際に吸収される。
第2の比較の形態によれば、上述のような特性を有する円偏光板111を設けることにより、反射光Lref”(R),反射光Lref”(G),反射光Lref”(B)および反射光Lref”(A)の強度を小さくすることができる(図6B参照)。しかしながら第2の比較の形態によれば、図6Aに示すように、有機EL層44の有機発光層42から放射される白色光Loutの強度も、円偏光板111を通る前後で1/2に減衰されてしまう(図6AのLout”(R),Lout”(G),Lout”(B)およびLout”(A)参照)。
これに対して本実施の形態によれば、カラーフィルタ10全体としての反射率を抑制しながら、カラーフィルタ10全体としての透過率を第2の比較の形態の場合の約2倍に向上させることができる。
なお本実施の形態において、透過率調整部16の特性が、透過率調整部16を透過した後の白色光の色温度により画定される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、透過率調整部16の特性がその透過スペクトルSによって画定されてもよい。例えば図3に示すように、可視光域における透過率調整部16の透過率の最大値をTmax、最小値をTminとする場合、Tmax/Tminの値が1.0〜1.6の範囲内となっていてもよい。すなわち本実施の形態において、透過率調整部16の「可視光域の光を波長域に依らず略均一に透過させる」という特性は、出射される光の色温度により画定されてもよく、若しくは、可視光域における透過率の最大値と最小値の比率により画定されてもよい。
また本実施の形態において、透過率調整部16を構成する着色材含有層17が、透光性を有する感光性樹脂中に黒色着色材を分散させることにより構成される例を示した。しかしながら、着色材含有層17の透過率を調整するために含有される着色材が黒色着色材に限られることはなく、その他の着色材を用いてもよい。例えば着色材含有層17に含有される着色材として、赤色着色層13に用いられる着色材、緑色着色層14に用いられる着色材、または青色着色層15に用いられる着色材が採用されてもよく、またはこれらの着色材が適宜組み合わされて採用されてもよい。図7に、透光性を有する感光性樹脂中に赤,緑および青色用着色材を分散させることにより構成される着色材含有層17の透過スペクトルSの例を示す。また、その他の色の着色層、例えば黄色着色層に用いられる着色材が採用されてもよい。さらに、これらの黒色以外の着色材に加えて、黒色着色材がさらに包含されていてもよい。いずれの場合においても、透過率調整部16が可視光域の光を波長域に依らず略均一に透過させるとともに所望の平均透過率を有するよう、各着色材の含有比率が適宜調整される。
第2の実施の形態
次に図8および図9を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。図7および図8に示す第2の実施の形態は、カラーフィルタの透過率調整部がブラックマトリクス層と同一の材料から形成されている点が異なるのみであり、他の構成は、図1乃至図4Bおよび図7に示す第1の実施の形態と略同一である。図8および図9に示す第2の実施の形態において、図1乃至図4Bおよび図7に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図8は、本発明の第2の実施の形態における有機EL表示装置50を示す図であり、図9は、図8の有機EL表示装置50のカラーフィルタ10を矢印IX−IX方向から見た図である。図8および図9に示すように、カラーフィルタ10の透過率調整部16は薄膜BK層18からなっている。
薄膜BK層18は、ブラックマトリクス層12と同一の材料から形成される層であり、例えばカーボンブラック、チタンブラック等の黒色着色材を含有する樹脂組成物から形成される層である。この薄膜BK層18の厚みは、ブラックマトリクス層12の厚みよりも小さくなっている。
一般にカラーフィルタ10のブラックマトリクス層12は、光の遮蔽率がほぼ100%となるのに必要十分な厚みを有するよう構成されている。このため、ブラックマトリクス層12と同一の材料から形成される薄膜BK層18においては、その厚みをブラックマトリクス層12の厚みよりも小さくするにつれて、薄膜BK層18が光を透過させるようになる。すなわち本実施の形態によれば、ブラックマトリクス層12と同一の材料から形成されながら、ある程度の光を透過させる性質を有する薄膜BK層18を構成することができる。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
カラーフィルタの製造方法
はじめに、本実施の形態によるカラーフィルタ10の製造方法について説明する。まず基材11を準備する。次に、基材11の有機EL素子側の面11b上に、ブラックマトリクス層12および薄膜BK層18の材料となる樹脂組成物層を設ける。その後、基材11のうちブラックマトリクス層12および薄膜BK層18が形成されるべき部分に上記樹脂組成物層が残るよう、樹脂組成物層をパターニングする。次に、ブラックマトリクス層12間に複数色の着色層13,14,15を形成する。このようにしてカラーフィルタ10が得られる。
樹脂組成物層のパターニング方法としては、好ましくは、ハーフトーンマスクを用いたフォトリソグラフィー法が用いられる。例えば上記樹脂組成物層としてネガ型感光性樹脂組成物層が用いられる場合、ブラックマトリクス層12に対応する部分における透過率が薄膜BK層18に対応する部分における透過率よりも大きくなっているハーフトーンマスクが用いられる。若しくは、上記樹脂組成物層としてポジ型感光性樹脂組成物層が用いられる場合、ブラックマトリクス層12に対応する部分における透過率が薄膜BK層18に対応する部分における透過率よりも小さくなっているハーフトーンマスクが用いられる。このようにして、薄膜BK層18に対応する部分に残る上記樹脂組成物層の厚みが、ブラックマトリクス層12に対応する部分に残る上記樹脂組成物層の厚みよりも小さくなるよう、上記樹脂組成物層のパターニングが実施される。
このように本実施の形態によれば、カラーフィルタ10の透過率調整部16は薄膜BK層18からなっており、また薄膜BK層18は、ブラックマトリクス層12と同一の材料から形成される層となっている。このため、ブラックマトリクス層12と同時に薄膜BK層18を形成することができる。このことにより、透過率調整部16を備えたカラーフィルタ10を製造するために必要となる工数を少なくすることができる。
透過および反射に関する作用
このようにして得られた透過率調整部16は、薄膜BK層18の厚みに応じて適宜調整される透過率を有している。これによって、上述の第1の実施の形態の場合と同様に、所望の透過率および反射率を有するカラーフィルタ10を提供することができる。
第3の実施の形態
次に図10を参照して、本発明の第3の実施の形態について説明する。ここで図10は、本発明の第3の実施の形態における有機EL表示装置を示す図である。
図10に示す第3の実施の形態は、有機EL素子がボトムエミッション型である点が異なるのみであり、他の構成は、図1乃至図4Bおよび図7に示す第1の実施の形態と略同一である。図10に示す第3の実施の形態において、図1乃至図4Bおよび図7に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
有機EL素子
図10に示すように、本実施の形態において、有機EL素子40Aの有機EL層44Aは、有機EL素子用基板47の面のうち観察者側とは反対側の面に配置されている。そして、有機EL層44Aから放射される光は、有機EL素子用基板47を透過してカラーフィルタ10に到達する。すなわち本実施の形態における有機EL表示装置50は、いわゆるボトムエミッション型の有機EL表示装置となっている。
有機EL層44Aは、陰極45と、陽極46と、陰極45と陽極46の間に設けられた有機発光層42とを有している。陽極46としては、酸化インジウムスズ化合物(ITO)などの透明電極が用いられる。一方、陰極45としては、電子を注入しやすく、かつ安定性に優れた材料が用いられており、例えばマグネシウム、銀、アルミニウム、銀とリチウムとの合金、マグネシウムと銀との合金、アルミニウムとリチウムとの合金等が用いられる。
本実施の形態においても、カラーフィルタ10を透過した外光が、有機EL層44Aの陰極45によって反射され、その後にカラーフィルタ10を再び透過して観察者に到達する。従って、カラーフィルタ10の透過率調整部16を設けることにより、カラーフィルタ10全体としての透過率を向上させながら、カラーフィルタ10に入射した外光が高い強度を有するままカラーフィルタ10から再び出射するのを抑制することが重要となる。
なお図10において、カラーフィルタ10の透過率調整部16が着色材含有層17からなる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図8乃至図11に示す第2の実施の形態の場合と同様に、透過率調整部16が薄膜BK層18またはBK部分19からなっていてもよい。
また上記各実施の形態において、ブラックマトリクス層12がマトリックス状のパターンを有する例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、ブラックマトリクス層12がその他のパターンを有していてもよい。例えばブラックマトリクス層12がストライプ状のパターンを有していてもよい。この場合、ブラックマトリクス層12間に設けられる着色層13,14,15および透過率調整部16もストライプ状に形成される。
また着色層13,14,15および透過率調整部16のパターンが上述のマトリックス状やストライプ状に限られることはなく、様々なパターンが採用され得る。例えば、カラーフィルタ10における外光の反射を位置や光波長に応じて選択的に防止するという観点から、着色層13,14,15および透過率調整部16のパターンが決定されてもよい。このように上記各実施の形態によれば、着色材を含む透過率調整部16を採用することにより、円偏光板によって有機EL表示装置の全面にわたって一律に反射が抑制されるような形態の場合と異なり、カラーフィルタ10における外光の反射を位置や光波長に応じて選択的に防止することが可能となる。
また上記各実施の形態において、有機EL層44の有機発光層42から白色光が放射される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、各単位有機EL層44aに対向して設けられたカラーフィルタ10の各着色層13,14,15および透過率調整部16に対応する色の光が、各単位有機EL層44aから放射されてもよい。すなわち、各単位有機EL層44aから放射される光の色が場所に応じて異なっていてもよい。この場合、透過率調整部16に入射される光は白色光となるよう、各単位有機EL層44aが構成される。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(予備評価)
はじめに基材11を準備し、次に基材11上に、透光性を有する感光性樹脂中に黒色着色材を分散させることにより構成される層を形成した。この層の材料としては、適切な溶媒と、黒色着色材を含む固形分とからなる感光性樹脂を用いた。この際、固形分に対する黒色着色材の含有比率が0.0,0.4,0.9,1.3,1.7または2.2%となっている層をそれぞれ形成した。なお、層全体に対する固形分の重量%は20重量%となっていた。
次に、形成した各層における透過率および反射率を測定した。透過率を特定するための構成を図11に示し、反射率を測定するための構成を図12に示す。
はじめに、透過率を測定するための構成について説明する。まず図11に示すように、観察者側ガラス基板51と、表示部側ガラス基板52と、観察者側ガラス基板51および表示部側ガラス基板52の間に設けられ、透過率を測定する対象となる被測定層53と、からなるサンプルを準備する。なお図11に示すように、干渉が生じるのを防ぐための干渉防止層54が適宜設けられていてもよい。この干渉防止層54は、例えばマッチングオイルによって形成される。
次に、観察者側ガラス基板51側からサンプルへ向けて光を照射し、そして、サンプルを透過して表示部側ガラス基板52側から取り出された光の輝度を測定した。そして、観察者側ガラス基板51側からサンプルへ向けて照射した光の輝度に対する、表示部側ガラス基板52側から取り出された光の輝度の比率に基づいて、被測定層53の透過率(%)を算出した。なお観察者側ガラス基板51側からサンプルへ向けて光を照射するための光源としては、有機EL素子からなる白色光源を用いた。
次に、反射率を測定するための構成について説明する。まず図12に示すように、観察者側ガラス基板51と、反射板55と、観察者側ガラス基板51および反射板55の間に設けられ、反射率を測定する対象となる被測定層53と、からなるサンプルを準備する。反射板55としては、クロムなどの高い反射率を有する材料を含む板が用いられており、反射板55の反射率はほぼ100%となっている。なお図12に示すように、干渉が生じるのを防ぐための干渉防止層54が適宜設けられていてもよい。この干渉防止層54は、例えばマッチングオイルによって形成される。
次に、観察者側ガラス基板51側からサンプルへ向けて光を照射し、そして、反射板55により反射されて観察者側ガラス基板51側に戻ってきた光の輝度を測定した。そして、観察者側ガラス基板51側からサンプルへ向けて照射した光の輝度に対する、観察者側ガラス基板51側に戻ってきた光の輝度の比率に基づいて、被測定層53の反射率(%)を算出した。なお観察者側ガラス基板51側からサンプルへ向けて光を照射するための光源としては、外光を想定して準備されたC光源を用いた。
透過率および反射率を測定した結果を図13に示す。なお測定器としては、オリンパス株式会社製のOSP−SP200を用いた。
(実施例1)
被測定層53として、透光性を有する感光性樹脂中に着色材を分散させることにより構成される着色材含有層17からなる透過率調整部16を準備した。着色材含有層17の材料としては、適切な溶媒と、着色材を含む固形分とからなる感光性樹脂を用いた。着色材含有層17全体に対する固形分の重量%は20.1%となっており、また固形分に対する着色材の比率は1.7%となっていた。着色材としては、黒色着色材(Carbon BK)を用いた。
上述の予備評価の場合と同様にして、可視光域における透過率調整部16の透過スペクトルおよび反射スペクトルを測定した。結果を図14に示す。併せて、透過光の輝度および色温度と、反射光の輝度とを測定した。
(実施例2)
被測定層53として、透光性を有する感光性樹脂中に複数色の着色材を分散させることにより構成される着色材含有層17からなる透過率調整部16を準備した。着色材含有層17の材料としては、適切な溶媒と、複数色の着色材を含む固形分とからなる感光性樹脂を用いた。着色材含有層17全体に対する固形分の重量%は20.1%となっており、また固形分に対する複数色の着色材の比率は2.5%となっていた。複数色の着色材における、各色の着色材の内訳は、R177(35%)、G36(23%)、B15:6(20%)、Y139(14%)、Y150(5%)、V23(4%)となっていた。なお本実施例においては、透過率調整部16の透過光の色温度が約6500Kとなることを目標として、複数色の着色材における各色の着色材の比率を選択した。
可視光域における透過率調整部16の透過スペクトルおよび反射スペクトルを測定した。結果を図15に示す。併せて、透過光の輝度および色温度と、反射光の輝度とを測定した。
(実施例3)
被測定層53として、透光性を有する感光性樹脂中に複数色の着色材を分散させることにより構成される着色材含有層17からなる透過率調整部16を準備した。着色材含有層17の材料としては、適切な溶媒と、複数色の着色材を含む固形分とからなる感光性樹脂を用いた。着色材含有層17全体に対する固形分の重量%は20.2%となっており、また固形分に対する複数色の着色材の比率は2.52%となっていた。複数色の着色材における、各色の着色材の内訳は、黒色着色材(Carbon BK)(67%)、B15:6(25%)、Y150(8%)となっていた。なお本実施例においても、上述の実施例2の場合と同様に、透過率調整部16の透過光の色温度が約6500Kとなることを目標として、複数色の着色材における各色の着色材の比率を選択した。
可視光域における透過率調整部16の透過スペクトルおよび反射スペクトルを測定した。結果を図16に示す。併せて、透過光の輝度および色温度と、反射光の輝度とを測定した。
(比較例1)
被測定層53として、感光性樹脂のみを含むクリア層からなる透過率調整部を準備した。
可視光域における透過率調整部の透過スペクトルおよび反射スペクトルを測定した。結果を、上述の実施例1および実施例2の結果と併せて図14および図15に示す。併せて、透過光の輝度および色温度と、反射光の輝度とを測定した。
(比較例2)
被測定層53として、比較例1の場合と同様にして、感光性樹脂のみを含むクリア層からなる透過率調整部を準備した。また、観察者側ガラス基板51上に円偏光板を設けた。
透過光の輝度および色温度と、反射光の輝度とを測定した。
実施例1および実施例2における透過率調整部16は、上述のように着色材を含んでいる。このため図14および図15に示すように、比較例1の場合に比べて反射率を低減させることができた。
実施例1乃至3および比較例1および2における透過光および反射光の輝度成分(LY値)の測定結果を表1に示す。また、実施例1乃至3および比較例1および2における透過光の色温度の測定結果も表1に示す。表1に示すように、実施例1乃至3の透過率調整部16によれば、透過光の輝度成分が低下するのを抑制しながら、反射光の輝度成分を低減させることができた。すなわち、実施例1乃至3の透過率調整部16によれば、パネルコントラストが低下するのを防ぐことができるといえる。また表1に示すように、実施例2および3の透過率調整部16によれば、透過光の色温度をほぼ目標通りとすることができた。このように実施例2および3によれば、複数色の着色材を用いることにより、透過光の色温度を所望の値に調整することができた。
Figure 0005787205
測定した透過スペクトルから、可視光域における透過率の最大値Tmax、最小値Tminを抽出して表2に示す。また、測定した透過スペクトルから、可視光域における透過率の平均値Taveを算出した結果を併せて表2に示す。さらに、可視光域における透過率の最大値Tmax、最小値Tminの差ΔT(ΔT=Tmax−Tmin)および比R(R=Tmax/Tmin)も併せて表2に示す。表2に示すように、実施例1乃至3の透過率調整部16によれば、Tmax/Tminの値を1.0〜1.6の範囲内とすることができた。すなわち実施例1乃至3の透過率調整部16によれば、可視光域の光を波長域に依らず略均一に透過させることができた。
Figure 0005787205
表2に示す透過率の場合と同様に、反射率についても、可視光域における反射率の最大値Rmax、最小値Rmin、反射率の平均値Raveおよび反射率の最大値Rmax、最小値Rminの差ΔR(ΔR=Rmax−Rmin)を抽出および算出した。結果を表3に示す。
Figure 0005787205
実施例1乃至3または比較例1および2による透過率調整部を用いて、基材と、基材上に設けられたブラックマトリクス層と、ブラックマトリクス層間に設けられた赤色着色層、緑色着色層、青色着色層および透過率調整部とを備えたカラーフィルタをそれぞれ構成した。なお比較例2の場合は、赤色着色層、緑色着色層、青色着色層に対応する部分にも円偏光板を配置した。
次に、各カラーフィルタについて、赤色着色層、緑色着色層、青色着色層および透過率調整部を透過した光を全て合わせての輝度(LY値)を測定した。結果、実施例1乃至3による透過率調整部を用いた場合の輝度はいずれも30%となっていた。一方、比較例1および2による透過率調整部を用いた場合の輝度は32%および24%となっていた。比較例2の場合は、円偏光板により透過率調整部だけでなく赤色着色層、緑色着色層、青色着色層に関しても透過光が減衰されており、このため、赤色着色層、緑色着色層、青色着色層および透過率調整部を透過した光を全て合わせての輝度が低くなったと考えられる。これに対して実施例1乃至3によれば、赤色着色層、緑色着色層、青色着色層の透過光を減衰させることなく透過率調整部での反射光の輝度を低減させることができる。このため実施例1乃至3によれば、赤色着色層、緑色着色層、青色着色層および透過率調整部を透過した光を全て合わせての輝度を所望のレベルで確保することができた。
10 カラーフィルタ
11 基材
11a 観察側の面
11b 有機EL素子側の面
12 ブラックマトリクス層
13 赤色着色層
14 緑色着色層
15 青色着色層
16 透過率調整部
17 着色材含有層
18 薄膜BK層
19 BK部分
40,40A 有機EL素子
41 陽極
42 有機発光層
43 陰極
44,44A 有機EL層
44a 単位有機EL層
45 陰極
46 陽極
47 有機EL素子用基板
48 駆動用配線
49 封止材
50 有機EL表示装置
51 観察者側ガラス基板
52 表示部側ガラス基板
53 被測定層
54 干渉防止層
55 反射板

Claims (3)

  1. 有機EL表示装置用のカラーフィルタにおいて、
    基材と、
    前記基材上に設けられたブラックマトリクス層と、
    前記ブラックマトリクス層間に設けられた複数色の着色層および透過率調整部と、を備え、
    前記透過率調整部は、前記ブラックマトリクス層と同一の材料から、前記ブラックマトリクス層と同一の平面上に形成されており、
    前記透過率調整部の厚みは、前記ブラックマトリクス層の厚みよりも小さくなっていることを特徴とするカラーフィルタ。
  2. 有機EL素子用基板と、前記有機EL素子用基板上に設けられた有機EL層とを有する有機EL素子と、
    前記有機EL素子に対向するよう配置されたカラーフィルタと、を備え、
    前記有機EL素子の前記有機EL層は、陽極と、陰極と、陽極と陰極の間に設けられた有機発光層とを有し、
    前記カラーフィルタは、基材と、前記基材上に設けられたブラックマトリクス層と、前記ブラックマトリクス層間に設けられた複数色の着色層および透過率調整部と、を有し、
    前記透過率調整部は、前記ブラックマトリクス層と同一の材料から、前記ブラックマトリクス層と同一の平面上に形成されており、
    前記透過率調整部の厚みは、前記ブラックマトリクス層の厚みよりも小さくなっていることを特徴とする有機EL表示装置。
  3. 有機EL表示装置用のカラーフィルタの製造方法において、
    前記カラーフィルタは、基材と、前記基材上に設けられたブラックマトリクス層と、前記ブラックマトリクス層間に設けられた複数色の着色層および透過率調整部と、を備え、
    前記製造方法は、
    前記基材を準備する工程と、
    前記基材上に、黒色着色材を含有する感光性樹脂組成物層を設ける工程と、
    前記基材のうち前記ブラックマトリクス層および前記透過率調整部が形成されるべき部分に前記感光性樹脂組成物層が残るよう、前記感光性樹脂組成物層をパターニングする工程と、
    前記ブラックマトリクス層間に前記複数色の着色層を形成する工程と、を備え、
    前記感光性樹脂組成物層をパターニングする工程は、前記透過率調整部が形成されるべき部分に残る前記感光性樹脂組成物層の厚みが、前記ブラックマトリクス層が形成されるべき部分に残る前記感光性樹脂組成物層の厚みよりも小さくなるよう、ハーフトーンマスクを用いて前記感光性樹脂組成物層を露光する工程を含む、カラーフィルタの製造方法。
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