JP5786462B2 - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
図7に示すように、上記の加熱回転体(発熱ベルト31)の軸方向の両端部には、受電層として、抵抗発熱体層312の上に集電極315が形成されており、集電極315を介して給電部材より給電を受けることにより、抵抗発熱体層312を流れる電流の電流密度の均一化が図られている。又、同図の符号311、313は、それぞれ第1及び第2絶縁層を、符号314は、離型層をそれぞれ示す。
そして、一旦受電層の破損が発生すると、その後、受電層が周回して当該破損部分が給電部材に近接した位置に来る度にスパークが発生し、受電層の破損が徐々に進行するとともに、スパークにより発生する熱が、受電層の下層の抵抗発熱体層に伝わり、スパークが発生した位置に対応する位置の抵抗発熱体層が熱膨張し、受電層の破損部分を下から突き上げるため、ついには、受電層が破壊されてしまうという不具合が生じる。
又、前記定着装置は、前記加熱回転体に内包され、前記加熱回転体の外周面を介して前記加圧回転体を押し付ける押圧部材を備え、前記押圧部材の軸方向の長さは、前記両端部の前記各受電層が前記露出領域において対応する前記給電部材と接触する接触位置間の軸方向の長さより長くなっていることとすることができる。さらに、前記各受電層は、前記加熱回転体の全周において、前記抵抗発熱体と接触していることとすることができる。又、前記加熱回転体は、ベルト形状であることとすることができる。さらに、前記加熱回転体おいて、前記抵抗発熱体層は、前記抵抗発熱体層の強度を補強する補強層で被覆されていることとすることができる。
又、前記各受電層は、前記加熱回転体の全周にわたって形成されたリング形状を有することとすることができる。
[1]プリンターの構成
先ず、本実施の形態に係るプリンター1の構成について説明する。図1は、本実施の形態に係るプリンター1の構成を示す図である。同図に示すように、このプリンター1は、画像プロセス部3、給紙部4、定着装置5、制御部60を備えている。
以下、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各再現色をY、M、C、Kと表し、各再現色に関連する構成要素の番号にこのY、M、C、Kを添字として付加する。
作像部3Y、3M、3C、3Kの構成は、いずれも同様の構成であるため、以下、主として作像部3Yの構成について説明する。作像部3Yは、感光体ドラム31Yと、その周囲に配設された帯電器32Y、現像器33Y、1次転写ローラー34Y、および感光体ドラム31Yを清掃するためのクリーナー35Yなどを有しており、感光体ドラム31Y上にY色のトナー像を作像する。
繰り出しローラー42、タイミングローラー44等の各ローラーは、搬送モータ(不図示)を動力源とし、歯車ギヤやベルトなどの動力伝達機構(不図示)を介して回転駆動される。この搬送モータとしては、例えば、高精度の回転速度の制御が可能なステッピングモータが使用される。
[2]定着装置の構成
図2は、定着装置5の構成を示す斜視図である。同図に示すように、定着装置5は、加熱回転体51と、定着ローラー52と、加圧ローラー53と、を有する。加熱回転体51は、無端状のベルトであり、その両端部に電極として機能する受電層511、512が設けられ、両受電層上には給電部材501、502がそれぞれ当接され、電源部500から給電部材501、502を介して両受電層に給電が行われる。給電部材としては、例えば、給電ブラシや給電ローラーを用いることができる。給電部材からの給電により、両受電層間に電流が流れて、加熱回転体51がジュール発熱する。
ここで、「画像領域301」は、記録シート上の画像が通紙される範囲に対応する加熱回転体51上のベルト幅方向の領域を示す。なお、図2に示す画像領域についても同様である。
耐熱性樹脂としては、ポリイミド樹脂、ポリエチレンスルフィド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアラミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリイミドアミド樹脂、ポリエステル-イミド樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリ-p-キシリレノン樹脂、ポリベンズイミダゾール樹脂などを用いることができる。抵抗発熱体層513に用いる耐熱性樹脂として、耐熱性、絶縁性及び機械的強度等に優れた特性を示すポリイミド樹脂を用いるのが望ましい。
補強層514は、抵抗発熱体層513の強度を補強するための層であり、例えば、ポリイミド樹脂を用いることができる。補強層514の厚さは、任意であるが、5〜100μm程度が望ましい。弾性層515は、記録シート上のトナー像に均一かつ柔軟に熱を伝えるための層である。弾性層515を設けることにより、トナー像が押しつぶされたり、トナー像が不均一に溶融されたりするのを防止し、画像ノイズの発生を防止することができる。弾性層515の材料としては、耐熱性と弾性とを有するゴム材や樹脂材を用いる。例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の耐熱性エラストマーを材料として用いることができる。
ここで、「非画像領域302a、302b」は、記録シート上の画像が通紙されない範囲に対応する加熱回転体51上のベルト幅方向の領域を示す。図2に示す非画像領域についても同様である。
厚い方が剛性が高く、破壊に対して抵抗力が高いが、加圧部材により形成される定着ニップ部において変形し難くなるため、柔軟性とのバランスを考慮すると、10〜100μm、更には30〜70μm程度が望ましい。
付勢部材としては、例えば、圧縮ばねを用いることができる。付勢部材5011、5021の押圧力により、給電部材が露出領域において受電層に圧接される。
定着ローラー52と加圧ローラー53は、芯金522、532の軸方向両端部521、531が図示しないフレームの軸受部に回転自在に軸支される。加圧ローラー53は、駆動モータ(不図示)からの駆動力が伝達されることにより矢印B方向に回転駆動される。この加圧ローラー53の回転に伴って加熱回転体51と定着ローラー52が矢印A方向に従動回転する。
芯金532は、加圧ローラー53を支持する部材であり、耐熱性と強度を有する材料から構成される。芯金532の材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス等を用いることができる。弾性層533は、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の弾性体で、厚さ1〜20mmの範囲内の耐熱性の高い材料で構成される。離型層534は、離型層516と同様に、加圧ローラー53と記録シートとの離型性を高めるための層であり、離型層516と同様の材料及び厚さで構成することができる。
本実施の形態に係る加熱回転体51は、以下に示す(1)〜(10)の工程を経て製造される。
(1)受電層511、512の形成工程
受電層形成用の金属(例えば、ニッケル、ステンレス、アルミニウム)を加工して30〜70μmの厚さのリング形状の受電層(受電層511、512)を形成する。加工法としては、例えば、電鋳加工、へら絞り加工、プレス絞り加工等を用いることができる。又、受電層形成用の金属シートを用いて、レーザ溶接によりリング形状の受電層を形成することとしてもよい。
(2)円筒状金型への受電層511、512のセット工程
円筒状の金型の表面に離型剤を塗布して型離れを良くした後、(1)で形成したリング形状の受電層511、512をそれぞれ、軸方向に所定の間隔(画像領域のベルト幅方向の長さに相当する間隔)をあけて円筒状の金型に嵌めこむことにより、受電層511、512をそれぞれ円筒状金型にセットする。
(3)抵抗発熱体層513の前駆体の塗布工程
ポリイミド前駆体溶液中に導電性材料を混合することにより、抵抗発熱体層513の前駆体溶液を調製し、円筒状金型にセットされた受電層511、512の露出領域に相当する領域をマスクした状態で、調整した前駆体溶液を円筒状金型の外周面に塗布する。
(4)抵抗発熱体層513の成形工程
塗布された抵抗発熱体層513の前駆体溶液をポリイミド前駆体が半硬化状態になるように加熱して抵抗発熱体層513を成形する。例えば、約100℃のオーブンで1時間程度加熱することにより、ポリイミド前駆体を半硬化状態にすることができる。
(5)補強層514の前駆体の塗布工程
ポリイミド前駆体溶液を補強層514の前駆体として、成形された抵抗発熱体層513の外面に塗布する。
(6)補強層514の成形工程
塗布された補強層514の前駆体を、(4)と同様にポリイミド前駆体が半硬化状態になるように加熱して補強層514を成形する。
(7)ポリイミド前駆体のイミド化工程
成形された抵抗発熱体層513及び補強層514中のポリイミド前駆体を加熱し、ポリイミド前駆体のイミド化を完了させる。ポリイミド前駆体の加熱は、例えば、約350℃で1時間程度加熱することにより、行う。これにより、両層のイミド化がほぼ同時に完了し、抵抗発熱体層513と補強層514との間の接着性を高めることができる。
(8)弾性層515の前駆体の塗布工程
補強層514の外面にプライマーを塗布して乾燥した後、さらに、シリコーンゴム前駆体溶液を塗布する。プライマーとしては、例えば、モメンティブ・パーフォーマンス・マテリアルズ社製の「XP81−405」を用いることができる。
(9)弾性層515の成形工程
塗布されたシリコーンゴム前駆体溶液を加熱して一次加硫を行い、弾性層515を成形する。一次加硫は、シリコーンゴム前駆体溶液を、例えば、約150℃のオーブンで10分程度加熱することにより行われる。
(10)離型層516による弾性層515被覆工程
弾性層515との接着性をよくするために離型層516の内面にシリコーンゴム前駆体の付加型液状シリコーンゴムを塗布した後、当該離型層516で弾性層515を被覆する。付加型シリコーンゴムとしては、例えば、モメンティブ・パーフォーマンス・マテリアルズ社製の「XE15−B7354−40K×2S」を用いることができる。又、離型層516としては、例えば、PFAチューブを用いることができる。
(11)接着工程
弾性層515及び離型層516に塗布されたシリコーンゴム前駆体を加熱して二次加硫を行い、両層を接着する。二次加硫は、シリコーンゴム前駆体を例えば、約200℃のオーブンで4時間程度加熱することにより行われる。これにより、加熱回転体51が形成される。
(12)マスク除去工程
円筒状金型にセットされた受電層511、512のマスクを除去し、円筒状金型上に形成された加熱回転体51を金型からはずす。
図4(a)は、符号5で示す塗布液の塗布完了時の状態を示し、図4(b)は、塗布液5の塗布を行っている途中の状態を示す。両図に示すように、符号1で示す円筒状金型は、符号2、3で示す支持部材により鉛直に支持された状態で、符号4で示す塗布機構により円筒状金型1の外周面が均一に塗装される。塗布機構4は、上部ヘッド41と下部ヘッド42から構成され、両者の間には、塗布液5を吐出するための吐出路43が形成されている。なお、図4(b)では、各符号の付与を省略している。
[3]変形例
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明が上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例を実施することができる。
(2)本実施の形態では、加熱回転体51において、重複領域における受電層511、512の抵抗発熱体層513との接触面の断面形状を平らにしているが、図6に示す各受電層(受電層511B、512B)のように、当該断面形状をテーパー形状とすることとしてもよい。具体的には、加熱回転体の製造方法において、リング形状の受電層を円筒状金型にセットした後、重複領域に相当する領域において、エッチング処理を行い、当該断面形状をテーパー形状とすることとしてもよい。これにより、本実施の形態の加熱回転体51の場合に比べ、各受電層と抵抗発熱体層513との境界部における応力集中を緩和することができる。
又、加熱回転体51に補強層514を形成することなく、抵抗発熱体層513の上に、弾性層515、離型層516をこの順に形成することとしてもよい。
3 画像プロセス部
3Y〜3K 作像部
4 給紙部
5 定着装置
10 露光部
11 中間転写ベルト
12 駆動ローラー
13 従動ローラー
14 クリーナー
31Y 感光体ドラム
32Y 帯電器
33Y 現像器
34Y 1次転写ローラー
41 給紙カセット
42 繰り出しローラー
43 搬送路
44 タイミングローラー
45 2次転写ローラー
46 2次転写位置
51 加熱回転体
52 定着ローラー
53 加圧ローラー
60 制御部
71 排出ローラー
72 排紙トレイ
500 電源
501、502 給電ブラシ
511、512 受電層
513 抵抗発熱体層
514 補強層
515 弾性層
516 離型層
5011、5021 付勢部材
Claims (9)
- 通電により発熱する抵抗発熱体層を有する加熱回転体の外周面に、加圧回転体を圧接して定着ニップを形成し、未定着画像の形成された記録シートを当該定着ニップに通紙して熱定着する定着装置であって、
前記抵抗発熱体層と、前記記録シートの通紙方向と直交する方向において当該抵抗発熱体層の両端部に受電層を有する前記加熱回転体と、
前記各受電層を介して前記抵抗発熱体層に給電する第1及び第2の給電部材を備え、
前記各受電層は、単層で外部に露出された露出領域と前記抵抗発熱体層と重複する重複領域とから成り、前記露出領域において対応する給電部材と接触しており、
前記各受電層の表面には、前記重複領域において孔が設けられ、
前記抵抗発熱体層は、前記重複領域において、前記孔の内周面を覆うように前記各受電層と重複している
ことを特徴とする定着装置。 - 前記第1及び第2の給電部材は、定着装置内で固定され、
前記各受電層は回転しながら前記露出領域において対応する給電部材と接触している
ことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。 - 前記各受電層は、前記重複領域の断面形状がテーパー形状である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の定着装置。 - 前記加熱回転体に内包され、前記加熱回転体の外周面を介して前記加圧回転体を押し付ける押圧部材を備え、
前記押圧部材の軸方向の長さは、前記両端部の前記各受電層が前記露出領域において対応する前記給電部材と接触する接触位置間の軸方向の長さより長くなっている
ことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の定着装置。 - 前記各受電層は、前記加熱回転体の全周において、前記抵抗発熱体と接触している
ことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の定着装置。 - 前記加熱回転体は、ベルト形状である
ことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の定着装置。 - 前記加熱回転体おいて、前記抵抗発熱体層は、前記抵抗発熱体層の強度を補強する補強層で被覆されている
ことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の定着装置。 - 前記各受電層は、前記加熱回転体の全周にわたって形成されたリング形状を有する
ことを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の定着装置。 - 請求項1〜8の何れかに記載の定着装置を備える画像形成装置。
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