JP5407657B2 - 定着用加圧ローラ、定着装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
ナー画像を定着させる加圧ローラとして用いられる、定着用加圧ローラ及びそれを有する
定着装置並びにその定着装置を有する画像形成装置に関する。
図8は、従来の定着装置の概略構成を示す断面図である。従来の定着装置9は、図8に示すように、加熱ローラ11、定着ローラ12、加熱ローラ11と定着ローラ12とによって張架された定着ベルト13、加熱ローラ11を発熱させるハロゲンヒータ等の熱源11a、定着ローラ12に定着ベルト13を介して対向、押圧する定着用加圧ローラ14等で構成される。そして、加熱ローラ11により加熱された定着ベルト13は、定着ローラ12及び定着用加圧ローラ14の押圧位置(ニップ部)Nで、回転駆動する定着ローラ12と加圧ローラとによって矢印方向に搬送される記録材P上の未定着トナー像T1を加熱、加圧して定着トナー像T2を形成している。この場合、定着ローラ12は、芯金12a上に弾性層12bを有し、定着用加圧ローラ14は、芯金14a上に弾性層14b及び表面の離型層14cを有しており、定着用加圧ローラ14が定着ローラ12に対して図示しない押圧手段によって押圧させて、ニップ部Nが形成されている。
このような更なる消費電力の低減するために、定着ローラや加圧ローラの熱容量を低減して、立ち上がり時間の短縮、及び、ジョブ(プリント)中の使用電力の低減を図ることが提案されている。(例えば、特許文献1及び2参照)これらの特許文献1及び2においては、定着ローラや加圧ローラの断熱化、低熱容量化のために、これらのローラの芯金上にセラミック多孔質体からなる断熱材料層を形成して芯金からの放熱を抑制する定着装置が提案されている。しかしながら、このようなセラミック多孔質体からなる断熱材料層では、十分な断熱効果が得られず、大きな消費電力の低減を図ることが困難となる問題がある。
一方、複写機、プリンタ等では、予め加圧ローラ及び定着部材を予熱することで、上記立ち上がり時間を短縮し、オンデマンドなジョブを提供するモードが設けられており、断熱材料を使用しない従来の加圧ローラでは、一般に、芯金の中央部内にハロゲンヒータを設置して対応している。ところが、上記特許文献3に記載された断熱材料として芯金の中空部を真空断熱層とした加圧ローラでは、芯金の中央部内にハロゲンヒータを配設することができない。そのため、特許文献3においては、加圧ローラの外周面に、ハロゲンヒータによって加熱される加熱ローラを当接させて、加圧ローラを加熱するようになっている。しかしながら、この方式では、定着装置(加圧ローラ)が静止した状態では、局所的な加熱となり、加圧ローラの外周面に温度ムラを生じることとなる。また、この温度ムラは加圧ローラを回転させることで回避することは可能となるが、ユーザー非使用時に加圧ローラを回転させ続けることは、本来の目的である省エネルギーの思想に矛盾するものとなる。
また、請求項2の発明は、請求項1記載の定着用加圧ローラにおいて、前記磁界発生装置は、前記第1芯金と軸方向に平行に配設されたコイルボビンと当該コイルボビンに巻回された誘導コイルを備えていることを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項1記載の定着用加圧ローラにおいて、前記磁界発生装置は、前記第1芯金の軸方向に平行に延設、巻回されて磁界を第1芯金の径方向に放射する誘導コイルであることを特徴とする。
また、請求項4の発明は、加熱手段と、当該加熱手段を押圧する定着用加圧ローラとを有し、前記加熱手段と前記定着用加圧ローラとの間を、表面に未定着トナー像を有する記録材を搬送させて、当該未定着トナー像を加熱、加圧して前記記録材上に定着させる定着装置において、前記定着用加圧ローラは、請求項1乃至3のいずれか1項記載の定着用加圧ローラであることを特徴とする。
また、請求項5の発明は、請求項4記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置としたものである。
図1は、本発明による一実施形態に係る画像形成装置としての4連タンデム方式のフルカラープリンタの概略構成を示す図である。このプリンタは、図1に示すように、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナー像をそれぞれ対応したドラム状の感光体1Y、1M、1C、1Bk(像担持体)の表面上に形成するための電子写真方式の4組の画像形成部10Y、10M、10C、10Bk(像形成手段)を備えている。
これら画像形成部10Y、10M、10C、10Bkの下方には、各画像形成部を通して用紙P(記録材)を搬送するための無端状の搬送ベルト7が支持ローラ8A、8Bに張架されている。そして、搬送ベルト7は、支持ローラ8A、8Bの一方が回転駆動されて矢印B方向に移送、回転されるようになっている。各画像形成部10Y、10M、10C、10Bkの感光体1Y、1M、1C、1Bkは、搬送ベルト7にそれぞれ転接配置され、用紙P(記録材)は搬送ベルト7の表面に静電的に吸着される。従って、搬送ベルト7の矢印B方向への移送と共に、用紙Pも各感光体1Y、1M、1C、1Bkと転接して、後述するように、各感光体1Y、1M、1C、1Bk上に形成されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像が用紙P上に積層して転写されるようになっている。
画像形成部10Yは、その略中央位置に搬送ベルト7に転接された感光体1Yを有する。感光体1Yの周囲には、感光体1Yの表面を所定の電位に一様に帯電させる帯電装置2Y、帯電された感光体1Y表面を色分解された画像信号に基づいて露光し、感光体表面上に静電潜像を形成する露光装置3Y、感光体表面上に形成された静電潜像にイエロートナーを供給して現像する現像装置4Y、現像したトナー像を、搬送ベルト7を介して搬送される用紙P上に転写する転写ローラ5Y(転写装置)、転写されずに感光体表面に残留した残留トナーを除去するクリーナ6Y、および図示しない感光体表面に残留した電荷を除去する除電ランプが、感光体1Yの回転方向に沿って順に配設されている。
搬送ベルト7の図中左側には、後に詳述する本発明の実施の形態に係る定着装置9が配設されている。搬送ベルト7によって搬送された用紙Pは、搬送ベルト7から連続して定着装置9を通って延びた搬送路を搬送され、定着装置9を通過する。定着装置9は、搬送された用紙P、すなわちその表面上に各色のトナー像が転写された状態の用紙を加熱および加圧する。そして、各色のトナー像を溶融して用紙に浸透させて定着させる(この図中では、加熱ヒータ、励磁コイルなどは省略)。また、定着装置9の搬送経路下流側に排紙ローラを介して排紙する。
本実施形態に係る定着装置は、図2に示すように、ハロゲンヒータ11aを内部に備えた加熱ローラ11と、加熱ローラ11と並行に配置された定着ローラ12と、加熱ローラ11と定着ローラ12とで張り渡され、これらの何れかのローラの回転により矢印A方向に回転する無端帯状の耐熱性の定着ベルト13と、定着ベルト13を介して定着ローラ12に圧接されるとともに定着ベルト13に対して順方向に回転する定着用加圧ローラ15とを備えている。そして、定着用加圧ローラ15は、定着ローラ12に対して図示しない押圧手段によって押圧してニップ部Nを形成している。従って、このニップ部Nで、未定着トナー像T1を有する用紙Pを加熱、加圧して搬送することによって、用紙P上に、定着トナー像T2が形成されることになる。
定着ローラ12は、図2に示すように、例えば、ステンレス、炭素鋼等の金属製の芯金12aと、耐熱性を有するシリコーンゴム等をソリッド状または発泡状にして芯金を被覆した弾性層12bとで構成することができる。そして、定着用加圧ローラ14からの押圧力で定着用加圧ローラ14と定着ローラ12の間に所定幅の接触部(ニップ部N)を形成する。外径は30〜40mm程度、弾性層12bの肉厚を3〜10mm程度、硬度を10〜50°(JIS−A)程度としている。
基材13aに求められる特性としては、ベルトを張架した際の機械的強度、柔軟性、定着温度での使用に耐え得る耐熱性が挙げられる。本発明においては、基材13aとしては、絶縁性の耐熱樹脂材料、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、フッ素樹脂等が適している。厚さは熱容量、強度の関係から30〜200μmが望ましい。弾性層13bは、光沢ムラのない均一な画像を得るために、ベルト表面に柔軟性を与える目的で形成され、ゴム硬度は5〜50°(JIS−A)、厚さは50〜500μmが望ましい。また、定着温度における耐熱性から、材質としてはシリコーンゴム、フロロシリコーンゴム等が用いられる。
離型層13cに使用される材料としては、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、四フッ化エチレン・パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)、および四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)などのフッ素樹脂、もしくはこれらの樹脂の混合物、耐熱性樹脂にこれらフッ素系樹脂を分散させたものが挙げられる。
また、必要に応じて、各層間にプライマー層を設けても良く、また、基材の内面に摺動時の耐久性を向上させる層を設けても良い。
定着用加圧ローラ15は、図2、図4、図5に示すように、図示しない軸受を備え、プリンタ本体の基板に回転可能に取り付けられて回転軸を構成する円筒状に形成された第1芯金15aと、前記第1芯金15a上に設けられた円筒状に形成された第2芯金15cと、を同軸に有している。また、第1芯金15aと第2芯金15cとの間に円筒状に形成された第1空隙部15bが設けられ、そして、第1空隙部15bが大気圧より低い圧力に保持されている。第1空隙部15bは、図4に示すように、第1芯金15aと第2芯金15cとの間における前記第2芯金15cの両端近傍に相当する部分にリング状に形成されたスペーサ15dを設け、これらのスペーサ15dの内周と外周をそれぞれ第1芯金15a及び第2芯金15cとに溶接等で接合することによって、密封状に形成されている。
第1空隙部15bの厚みは、好ましくは、3〜20mmである。第1空隙部15bの厚みを薄くすると、第1芯金15aの外径を大きくし肉厚を増すことができるので、定着用加圧ローラ15の強度を向上させることができる。第1空隙部15b内の圧力、即ち、前記「大気圧より低い圧力」(真空)は、好ましくは、10-2Pa以下の圧力である。前記空気抜きの穴は、シリコーンゴムやフッ素ゴムのような耐熱性の高い弾性材料からなる栓で封止される(即ち、塞がれる)。また、前記空気抜きの穴は、その開口部から空気を抜くと同時に、ガラスのような金属より低融点材料を該開口部溶着させることによっても、封止される。前記ガラスのような金属より低融点材料は、前記弾性材料を用いた栓と比較して、より強固な封止が可能となる。
このように、前記第1芯金15aの第1空隙部15b側の表面と前記第2芯金15cの前記第1空隙部15b側の表面とが鏡面に形成されていると、前記第2芯金15cから前記第1芯金15a側への輻射(放射)による伝熱をいっそう防止することができ、そのために、定着装置の立ち上がり時間をいっそう短くすると共に、定着装置の通紙時の温度低下を一層防止した定着用加圧ローラ15を提供することができる。
定着用加圧ローラ15の外径は、好ましくは、30〜40mmであり、そして、前記弾性層15eの厚み及び硬度は、好ましくは、0.3〜10mm及び20〜50°(Asker硬度)とされている。また、前記離型層15fの厚みは、好ましくは、10〜100μmである。本実施形態においては、定着用加圧ローラ15の硬度を定着ローラ12の硬度に比べて硬くすることによって、定着用加圧ローラ15が定着ローラ12(及び定着ベルト13)へ食い込む形となるので、この食い込みにより用紙Pはニップ部Nの出口において定着ベルト13の表面に沿うことができない曲率を持つこととなり、そのために、用紙Pの定着ベルト13表面からの離型性を向上させることができる。
[実施例1]
定着用加圧ローラ15は、図4に示すように、径方向内側から第1芯金15aと、第1空隙部15bを有して第2芯金15c、その上に弾性層15eと離型層15fが形成されている。第1芯金15aは、ステンレスSUS304の円筒管を用い、肉厚を0.8mmとしている。第1空隙部15bの厚みは5mmとし、気圧は、10-3Paとした。また、第1空隙部15bの厚みを5mmとしている。第2芯金15cとしては、肉厚0.8mmの磁性炭素鋼の円筒管を用いている。このような定着用加圧ローラ15を図2に示す定着装置に組み込み、図1に示すプリンタに装填した。
[実施例2]
実施例1において、第1芯金15a及び第2芯金15cを鏡面仕上げとし、この表面に酸化を防止するためにニッケルのような光沢を有する金属メッキを施している。以下同様にして定着装置を作製し、プリンタに装填した。
定着用加圧ローラとして、前述の図8に示す従来の定着装置の定着用加圧ローラ14と同一の構成、即ち、芯金14a、弾性層14b及び離型層14cを有する3層構成とした。芯金14aは1mm厚の炭素鋼を用い、その他の弾性層、離型層については実施例1および2と同様の構成としている。この定着用加圧ローラ14を定着装置に組み込み、この定着装置をプリンタに装填した。
これら3種の定着用加圧ローラについて評価結果を表1に示す。なお、立ち上がりは、定着用加圧ローラを同一の定着装置に組み込み、プリンタに搭載して電源ON後、定着ベルト13の表面が定着温度に達するまでの時間を測定し、その順位を示している。また、温度落ち込みは、立ち上がりに続き連続通紙を行ったときの定着ベルト13の表面温度を測定し、最低温度が高いものからの順位で示している。
(表1)
表1に示すとおり、本発明による各実施例の定着用加圧ローラを用いることで、立ち上がり、連続通紙時の温度落ち込みともに改善されることが分かる。
この第2実施形態に係る定着用加圧ローラ17においては、前述の第1実施形態に係る定着用加圧ローラ15とは、第2空隙部15g内に配設される磁界発生装置18の構成が相違する。即ち、図6に示すように、この第2実施形態に係る定着用加圧ローラ17においては、第2空隙部15g内に配設される磁界発生装置18としては、第1芯金15aとその軸方向に平行に延設されて両端で巻回された誘導コイル18aを配設し、磁界発生時に磁界Jが第1芯金15aの径方向に放射するようになっている。従って、発生する磁界Jを第2芯金15cに対して均一に印加することが可能となり、定着用加圧ローラ17を均一に加熱することが可能となって定着用加圧ローラ17の温度ムラの発生を抑制することができる。
なお、図6において、図5で示す第1実施形態に係る定着用加圧ローラ15と同一構成については、同一符号を付し、説明を省略した。
この第3実施形態に係る定着用加圧ローラ19においては、前述の第2実施形態に係る定着用加圧ローラ17とは、磁界発生装置20の配置位置が異なっている。即ち、図7に示すように、磁界発生装置20は、定着用加圧ローラ19の軸方向に平行に延設されて両端で巻回された誘導コイル20aを定着用加圧ローラ19の外周部に近接して配設されている。従って、大きい磁界を発生するために、或いは、定着用加圧ローラ19を小型化するために、第2空隙部15g内に配設することが困難となる場合に、磁界発生装置20の大きさに拠らず、任意の場所に配設することが可能となる利点を有する。
なお、上記実施形態に係る定着装置においては、加熱手段として定着ローラと加熱ローラに張架した定着ベルトを使用したが、定着ローラの中心部にハロゲンヒータ等の熱源を有して定着ローラのみで加熱する加熱手段であっても良い。
Claims (5)
- 回転軸を構成する第1芯金と、
当該第1芯金を覆う第2芯金と、を備え、
前記第1芯金と前記第2芯金との間に形成された円筒状の第1空隙部が大気圧より低い圧力に保持された定着用加圧ローラであって、
前記第2芯金が磁性体であり、前記第1芯金が非磁性体であり、
前記第1芯金の前記第1空隙部側の表面と前記第2芯金の前記第1空隙部側の表面とを鏡面に形成して、該鏡面に金属メッキを施し、
前記第1芯金は、中心部に第2空隙部を形成する円筒状に形成されており、当該第2空隙部内に、前記第2芯金を加熱する磁界発生装置を内蔵させて、
前記第2芯金に前記磁界発生装置から磁界が印加された時に、当該第2芯金が発熱するように構成したことを特徴とする定着用加圧ローラ。 - 請求項1記載の定着用加圧ローラにおいて、
前記磁界発生装置は、前記第1芯金と軸方向に平行に配設されたコイルボビンと当該コイルボビンに巻回された誘導コイルを備えていることを特徴とする定着用加圧ローラ。 - 請求項1記載の定着用加圧ローラにおいて、
前記磁界発生装置は、前記第1芯金の軸方向に平行に延設、巻回されて磁界を第1芯金の径方向に放射する誘導コイルであることを特徴とする定着用加圧ローラ。 - 加熱手段と、
当該加熱手段を押圧する定着用加圧ローラとを有し、
前記加熱手段と前記定着用加圧ローラとの間を、表面に未定着トナー像を有する記録材を搬送させて、当該未定着トナー像を加熱、加圧して前記記録材上に定着させる定着装置において、
前記定着用加圧ローラは、請求項1乃至3のいずれか1項記載の定着用加圧ローラであることを特徴とする定着装置。 - 請求項4記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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