JP5783444B2 - 液状シクロヘキサントリカルボン酸無水物の保存方法 - Google Patents
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シクロヘキサントリカルボン酸無水物は無色透明性などに優れることから光半導体の封止材用樹脂などの各種用途へ使用が期待されるが、従来のシクロヘキサントリカルボン酸無水物は固体状であるために取り扱い難く、その用途が限定されている。
1. 式(1)で表されるtrans, trans−1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸−1,2−無水物を含有する、常温で液状のシクロヘキサントリカルボン酸無水物の保存方法であって、保存温度が100〜150℃であることを特徴とするシクロヘキサントリカルボン酸無水物の保存方法。
1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸の製造方法としては、ベンゼントリカルボン酸を直接水素化する方法、ベンゼントリカルボン酸エステルを水素化する方法、ベンゼントリカルボン酸アルカリ金属塩を水素化する方法等があるが、何れの方法で得られた1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸でも本発明の常温で液状のシクロヘキサントリカルボン酸無水物の原料として使用することができる。
なお、無水酢酸等の無水化試薬を用いて製造される1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸−1,2−無水物は、特許文献1に記載されているように、次式(2)で表される融点(mp)154〜156℃の固体状のcis, cis−1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸−1,2−無水物である。
加熱溶融時の温度は、原料のシクロヘキサントリカルボン酸および/またはシクロヘキサントリカルボン酸無水物が溶融する温度であればよいが、低温では無水化反応および異性化反応の速度が小さく、高温では脱炭酸反応等の副反応が生成しやすくなることから、180℃から300℃で加熱溶融が行われ、好ましくは190℃から280℃である。
加熱溶融時間は温度により異なるが、生産効率の面から24時間以内が好ましく、0.1〜10時間が更に好ましい。
加熱溶融方法は、回分式、連続式の何れでもよい。加熱溶融時の温度や加熱溶融時間を変えることにより、任意の粘度を有する常温で液状のシクロヘキサントリカルボン酸無水物を製造することができる。
蒸留方式は回分式、連続式のいずれでも良いが、目的物の分解および高沸成分の生成を抑制する為、熱履歴が少ない方法が好ましい。また、単蒸留でも良いが、段数を付けても構わない。
蒸留圧力は15mmHg(2kPa)以下が好ましく、10mmHg(1.3kPa)以下が更に好ましい。前記圧力とすることにより目的物の分解および高沸成分の生成を抑制することができる。
trans, trans−1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸−1,2−無水物は、後述の実施例に示すように、HPLCにより分取することができ、NMR解析により立体構造を同定することができる。
尚、trans, trans−1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸−1,2−無水物は、上記混合物からカラム吸着、蒸留、抽出等の精製法により分離することができる。
すなわち、前記常温で液状のシクロヘキサントリカルボン酸無水物は、LED、半導体レーザー等の発光素子、光導電素子、ホトダイオード、太陽電池、ホトトランジスタ、ホトサイリスタ等の受光素子、ホトカプラー、ホトインタラプター等の光結合素子で代表される光電変換素子の絶縁封止材料、液晶等の接着剤、光造形用の樹脂、更にプラスティック、ガラス、金属等の表面コーティング剤、装飾材料等の透明性を要求される用途にも用いることができる。
尚、本実施例等ではHPLCおよびNMRを使用して生成物の分析、分取および同定を行った。測定条件は以下の通りである。
装置 :agilent製 HP1100(B)
カラム :YMC−Pack CN 120Å S−5μm
4.6mm×150mm
移動相:ノルマルヘキサン/テトラヒドロフラン=90/10
カラム温度:40℃
流量 :1.0ml/min
試料溶液 :約7000ppmアセトニトリル溶液
注入量 :5μl
装置 :島津製 LC−6A
カラム :CAPCELL PAK CN 120Å 5μm
20mm×250mm
移動相 :ノルマルヘキサン/テトラヒドロフラン=95/5
カラム温度:室温
流量 :10ml/min
試料溶液 :8mg/mlアセトニトリル溶液
注入量 :1ml
分取領域 :カット1:Rt=17分〜19分
カット2:Rt=19分30秒〜24分
(Rtはリテンションタイムを示す)
2次元NMR解析により平面構造を決定し、デカップリング法(「有機化合物のスペクトルによる同定法R.M.silverstein B.C.Bassler 東京化学同人」参照)でプロトン間の結合定数(J値)を決定することによって、アクシャルとエクアトリアルプロトンを決定し立体構造を推定した。
装置 :日本電子製 JNM−ALPHA−400 (400MHz)
溶媒 :カット1:重アセトン、重DMSO(デカップリング1H−NMR)
カット2:重アセトン
プローブ :TH5 (5mmφ)
手法:1次元NMR:1H−NMR、13C−NMR、DEPT135、デカップリング1H−NMR
2次元NMR:HHCOSY、HMQC、HMBC、NOESY
500mlブリキ製ローヤル缶に液状シクロヘキサントリカルボン酸無水物を500g仕込み、容器空間をアルゴンガス置換後、密閉した。この密閉容器を、熱風乾燥機内で15缶ずつ所定の温度にて保存した。
所定の温度にて保存1週間毎に、1缶ずつ開封し、容器内を目視で観察し、液状シクロヘキサントリカルボン酸無水物中の結晶析出の有無を判定した。
保存安定性は、2週間以内で結晶が析出したものを××、4週間以内で結晶が析出したものを×、3ヶ月以上結晶が析出しなかったものを○として評価した。
温度計、攪拌機、コンデンサ、温度制御装置を備えた四つ口フラスコに、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸100部を仕込み、窒素ガス流通下250℃で3時間加熱溶融を行い、常温で淡黄色透明液状の1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸−1,2−無水物を得た。原料の1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸基準の無水化率は95%、得られた液状1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸−1,2−無水物の60℃における粘度は14.6Pa・sであった。
得られた液状無水物についてHPLC分析を行ったところ、2つのピーク(Rt=7.5分、及び8.7分)が検出された。次いで、該液状無水物についてHPLC分取を行い、前記2つのピークに相当するカット1とカット2を得た。それぞれについてNMR測定を行った結果、カット1は式(3)に示される平面構造を有し、次式(1)に示されるtrans, trans−1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸−1,2−無水物であると同定され(表1、2参照)、カット2は式(4)に示される平面構造を有し、次式(2)に示されるcis, cis−1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸−1,2−無水物であると同定された(表3、4参照)。
尚、前記液状無水物(カット1とカット2)中のtrans, trans−1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸−1,2−無水物は63.2質量%、cis, cis−1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸−1,2−無水物は36.8質量%であった。
製造例1で得られた液状シクロヘキサントリカルボン酸無水物を、500mlブリキ製ローヤル缶に500g仕込み、容器空間をアルゴンガス置換後、密閉した。この密閉容器を、熱風乾燥機内で100℃にて保存した。結晶が析出するまでの保存可能期間を調査した結果を表5に示す。保存後の液を分析したところ、シクロヘキサントリカルボン酸無水物の純度低下は見られなかった。
製造例1で得られた液状シクロヘキサントリカルボン酸無水物を、500mlブリキ製ローヤル缶に500g仕込み、容器空間をアルゴンガス置換後、密閉した。この密閉容器を、熱風乾燥機内で120℃にて保存した。結晶が析出するまでの保存可能期間を調査した結果を表5に示す。保存後の液を分析したところ、シクロヘキサントリカルボン酸無水物の純度低下は見られなかった。
製造例1で得られた液状シクロヘキサントリカルボン酸無水物を、500mlブリキ製ローヤル缶に500g仕込み、容器空間をアルゴンガス置換後、密閉した。この密閉容器を、熱風乾燥機内で150℃にて保存した。結晶が析出するまでの保存可能期間を調査した結果を表5に示す。保存後の液を分析したところ、シクロヘキサントリカルボン酸無水物の純度低下は見られなかった。
製造例1で得られた液状シクロヘキサントリカルボン酸無水物を、500mlブリキ製ローヤル缶に500g仕込み、容器空間をアルゴンガス置換後、密閉した。この密閉容器を、熱風乾燥機内で80℃にて保存した。結晶が析出するまでの保存可能期間を調査した結果を表5に示す。
製造例1で得られた液状シクロヘキサントリカルボン酸無水物を、500mlブリキ製ローヤル缶に500g仕込み、容器空間をアルゴンガス置換後、密閉した。この密閉容器を、熱風乾燥機内で60℃にて保存した。結晶が析出するまでの保存可能期間を調査した結果を表5に示す。
製造例1で得られた液状シクロヘキサントリカルボン酸無水物を、500mlブリキ製ローヤル缶に500g仕込み、容器空間をアルゴンガス置換後、密閉した。この密閉容器を、熱風乾燥機内で170℃にて保存を試みたが、内容物の分解が発生したため中止した。
Claims (2)
- 式(1)で表されるtrans, trans−1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸−1,2−無水物を含有する、常温で液状のシクロヘキサントリカルボン酸無水物の保存方法であって、保存温度が100〜150℃であることを特徴とするシクロヘキサントリカルボン酸無水物の保存方法。
- 前記保存温度が100〜120℃である請求項1に記載のシクロヘキサントリカルボン酸無水物の保存方法。
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