JP5776855B2 - 電力遮断手段の故障診断装置 - Google Patents
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Description
本発明は、電力遮断手段の故障を診断する装置に関する。
従来、電池と負荷との間に設けられた電力遮断手段がオン状態で固着する故障を診断する装置として、電力遮断手段をオフにする指令を出し、かつ、負荷の放電処理を行った後に、負荷側の電圧が所定電圧より高ければ、電力遮断手段のオン固着故障が発生していると判定する装置が知られている(JP2001−327001A参照)。
しかしながら、JP2001−327001Aに記載の装置では、二次電池と負荷との間に設けられた電力遮断手段のオン固着故障を診断することはできるが、以下の理由により、燃料電池と負荷との間に設けられた電力遮断手段のオン固着故障を正確に診断することができないという問題がある。すなわち、特許文献1に記載の方法でオン固着故障診断を行う場合、燃料電池の発電停止制御を行ってから電力遮断手段をオフにする指令を出し、かつ、負荷の放電処理を行った後に、負荷側の電圧が所定電圧より高いか判断することになる。電力遮断手段にオン固着故障が発生していると、発電を停止している燃料電池から負荷に電流が流れることによって燃料電池の電圧が低下するので、検出される負荷側の電圧が所定電圧以下になる場合があり、この場合には、オン固着故障が発生しているにも関わらず、故障が発生していないと誤診断されることになる。
本発明は、燃料電池と負荷装置との間に設けられた電力遮断手段のオン固着故障の有無を診断することを目的とする。
本発明による電力遮断手段の故障診断装置は、燃料電池と負荷装置との間に設けられた電力遮断手段のオン固着故障の有無を診断する装置である。この装置において、アノードガスおよびカソードガスの供給が停止され、かつ、燃料電池電圧が0より高い状態で電力遮断手段をオフにし、電力遮断手段のオフ前に負荷装置に溜まった電荷を、電力遮断手段のオフ後に、負荷装置の電圧が燃料電池電圧より低くなるまで放電させる。そして、電力遮断手段をオフにする指令が出された後に、燃料電池から負荷装置に流れる電流が検出された場合に、電力遮断手段のオン固着故障が発生していると判断する。
燃料電池は、電解質膜をアノード電極(燃料極)とカソード電極(酸化剤極)とによって挟み、アノード電極に水素を含有するアノードガス(燃料ガス)、カソード電極に酸素を含有するカソードガス(酸化剤ガス)を供給することによって発電する。アノード電極及びカソード電極の両電極において進行する電極反応は以下の通りである。
アノード電極 : 2H2 →4H+ +4e− …(1)
カソード電極 : 4H+ +4e− +O2 →2H2O …(2)
アノード電極 : 2H2 →4H+ +4e− …(1)
カソード電極 : 4H+ +4e− +O2 →2H2O …(2)
この(1)、(2)の電極反応によって燃料電池は1ボルト程度の起電力を生じる。
このような燃料電池を自動車両動力源として使用する場合には、要求される電力が大きいため、数百枚の燃料電池を積層した燃料電池スタックとして使用する。そして、燃料電池スタックにアノードガス及びカソードガスを供給する燃料電池システムを構成して、車両駆動用の電力を取り出す。
図1は、一実施の形態における電力遮断手段の故障診断装置が適用される回路構成の一例を示す図である。燃料電池スタック1と、負荷装置2との間には、リレー3a、3bが設けられている。リレー3aは燃料電池スタック1の正極側に接続され、リレー3bは燃料電池スタック1の負極側に接続されている。負荷装置2は、例えば、燃料電池自動車に搭載される二次電池との昇降圧を行うDCDCコンバータや、電動モータインバータである。
リレー3a、3bは、自身のオン/オフにより、燃料電池スタック1と負荷装置2との間を接続/遮断する。リレー3a、3bのオン/オフは、コントローラ4によって制御される。
ダイオード5は、負荷装置2とリレー3aとの間に、燃料電池スタック1から負荷装置2の方向にのみ電流が流れるように設けられている。すなわち、ダイオード5のアノードが燃料電池スタック1側に、カソードが負荷装置2側に接続されている。
電流センサ6は、燃料電池スタック1から負荷装置2に流れる電流を検出する。
電圧センサ7は、負荷装置2の両端電圧を検出する。
コントローラ4は、燃料電池スタック1を含む燃料電池システムの制御およびリレー3a、3bのオン固着故障診断を行う。
まず始めに、燃料電池システムの停止制御について説明する。燃料電池システムの停止要求があると、コントローラ4は、所定の停止シーケンス処理を実施して燃料電池システムを停止させる。停止シーケンス処理は、燃料電池システムの停止要求があった場合に、燃料電池スタック1の出力電圧を所定の制限電圧まで低下させる停止VLC(Voltage Limit Control)処理、燃料電池スタック1での発電を停止させる発電停止処理、強電系への電力供給を遮断する強電停止処理、弱電系への電力供給を遮断する弱電停止処理を順番に行って、燃料電池システムを完全に停止させる処理である。
停止VLC処理は、カソードガスの供給を停止した後に、アノードガスのみを供給して発電を実施することで燃料電池スタック1内のカソードガスを消費し、燃料電池スタック1の出力電圧を制限電圧まで低下させる処理である。これにより、燃料電池スタック1の出力電圧が高い状態のまま燃料電池システムが停止されたことによって生じる燃料電池の触媒の劣化を防止することができる。
燃料電池システムの停止時には、リレー3a、3bをオフにして、燃料電池スタック1と負荷装置2との間を遮断するとともに、リレー3a、3bのオフ後に、負荷装置2に溜まった電荷を放電させて、負荷装置2の電圧を燃料電池スタック1の電圧より低くさせる。負荷装置2に溜まった電荷とは、リレー3a、3bのオフ前に、例えば、コンデンサに溜まった電荷のことである。負荷装置2の放電処理の詳細については後述する。
図2は、リレー3a、3bにオン固着故障が発生していない場合において、燃料電池システムの停止時の燃料電池スタック1の電圧、負荷装置2の電圧、電流センサ6で検出される電流、及び、リレー3a、3bのオン/オフ状態をそれぞれ示すタイムチャートである。
時刻t1では、リレー3a、3bをオフにするために、負荷装置2の電圧が燃料電池スタック1の電圧より高くなるようにしている。すなわち、負荷装置2の電圧が燃料電池スタック1の電圧より低い状態では、リレー3a、3bを介して燃料電池スタック1から負荷装置2に電流が流れるため、この状態でリレー3a、3bをオフにすると、アークが発生し、リレー3a、3bが溶着する可能性がある。これを防ぐために、リレー3a、3bをオフする前に、負荷装置2の電圧が燃料電池スタック1の電圧より高くなるように制御する。
時刻t2では、リレー3a、3bをオフにする。この時、燃料電池スタック1の電圧は、0よりも高い。その後、時刻t3にて、リレー3a、3bをオフする前に負荷装置2に溜まった電荷を放電する。これにより、負荷装置2の電圧は低下していき、時刻t4以後は、負荷装置2の電圧が燃料電池スタック1の電圧よりも低くなる。負荷装置2の電圧が燃料電池スタック1の電圧より低くなっても、リレー3a、3bがオフとなっているため、燃料電池スタック1から負荷装置2に電流は流れないので、電流センサ6では電流が検出されない。
図3は、リレー3a、3bにオン固着故障が発生している場合において、燃料電池システムの停止時の燃料電池スタック1の電圧、負荷装置2の電圧、電流センサ6で検出される電流、及び、リレー3a、3bのオン/オフ状態をそれぞれ示すタイムチャートである。
時刻t1において、リレー3a、3bをオフにするために、負荷装置2の電圧が燃料電池スタック1の電圧より高くなるように制御する。続いて、時刻t2では、リレー3a、3bをオフにする指令を出す。図3に示す制御例では、コントローラ4がリレー3a、3bをオフにする指令を出したが、リレー3a、3bがともにオン状態で固着するオン固着故障が発生しているため、オン状態のままとなっている。
時刻t3にて、リレー3a、3bをオフする前に負荷装置2に溜まった電荷を放電する。これにより、負荷装置2の電圧は低下していき、時刻t4において、負荷装置2の電圧と燃料電池スタック1の電圧とが等しくなる。
負荷装置2の電圧が燃料電池スタック1の電圧と等しくなるまで低下すると、リレー3a、3bがオンとなっていることから、燃料電池スタック1から負荷装置2へ電流が流れる。すなわち、電流センサ6で少なくとも0より大きい電流値が検出される。
本実施形態では、アノードガスおよびカソードガスの供給が停止され、かつ、燃料電池スタック1の電圧が0より高い状態でリレー3a、3bをオフにする指令を出し、リレー3a、3bをオフする。そしてリレー3a、3bのオフ後に、負荷装置3の電圧が燃料電池スタック1の電圧より低くなるまで負荷装置2に溜まった電荷を放電させる処理を行い、リレー3a、3bをオフにする指令が出される。その後に電流センサ6によって電流が検出されると、リレー3a、3bのオン固着故障が発生していると判断する。この時、電流センサ6によって所定値以上の電流が所定時間より長く検出された場合にリレー3a、3bのオン固着故障が発生していると判断すれば、ノイズの影響を除外して、より精度良くオン固着故障の有無を判断することができる。
なお、燃料電池スタック1の発電を停止させる発電停止処理が行われているため、燃料電池スタック1から負荷装置2に電流が流れることによって、燃料電池スタック1の電圧は低下していき、これに伴い、負荷装置2の電圧も低下していく。
図4は、リレー3a、3bのオン固着故障診断のフローチャートである。ステップS10から始まる処理は、コントローラ4によって、例えば、10ms毎に行われる。
ステップS10では、リレー3a、3bをオフにする指令を出したか否かを判定する。リレー3a、3bをオフにする指令を出したと判定するとステップS20に進み、指令を出していないと判定するとステップS70に進む。ステップS70では、時間計測用のカウンタAのカウント値を0に初期化する。
ステップS20では、負荷装置2に溜まっている電荷を放電する指令を出したか否かを判定する。負荷装置2に溜まっている電荷を放電する指令を出したと判定するとステップS30に進み、指令を出していないと判定するとステップS70に進む。
ステップS30では、電流センサ6で検出される電流値が所定値より大きいか否かを判定する。電流検出値が所定値より大きいと判定するとステップS40に進み、所定値未満であると判定するとステップS70に進む。
ステップS40では、電流センサ6で検出される電流値が所定値より大きいと判定されている時間を測定するために、時間計測用のカウント値をカウンタAに加算する。
ステップS50では、カウンタAのカウント値が所定時間TAを超えたか否かを判定する。カウンタAのカウント値が所定時間TAを超えたと判定するとステップS60に進み、所定時間TAを超えていないと判定すると、処理を抜ける。
ステップS60では、リレー3a、3bにオン固着故障が発生していると判断する。
ステップS60では、リレー3a、3bにオン固着故障が発生していると判断する。
負荷装置2の放電処理では、始めに小さい放電量(放電電流量)で放電を開始し、その後リレー3a、3bのオン固着故障が発生していなければ、放電時間を短く(燃料電池システムの停止時間を短く)するために、放電量を大きくする。
また、リレー3a、3bのオン固着故障を検出した場合には、リレー3a、3bのオン固着故障が発生していない場合に比べて、負荷装置2の放電量を小さくする。本実施形態では、リレー3a、3bのオン固着故障を検出すると、負荷装置2の放電を停止する。リレー3a、3bのオン固着故障を検出した後も負荷装置2の放電量を変更せずに放電を継続して行うと、燃料電池スタック1の発電は停止してアノードガス、カソードガスが少ない状況で燃料電池スタック1の電流が取り出されることになるため、燃料電池スタック1を劣化させる懸念がある。しかし、リレー3a、3bのオン固着故障を検出した場合に負荷装置2の放電量を小さくすることにより、アノードガス、カソードガスが少ない状況での燃料電池スタック1からの電流取り出しを制限することができるので、燃料電池スタック1の劣化を抑制することができる。
図5は、負荷装置2の放電処理制御を示すフローチャートである。ステップS100から始まる処理は、コントローラ4によって、例えば、10ms毎に行われる。
ステップS100では、リレー3a、3bをオフにする指令を出したか否かを判定する。リレー3a、3bをオフにする指令を出したと判定するとステップS110に進み、指令を出していないと判定するとステップS200に進む。ステップS200では、カウンタBのカウント値を0に初期化する。
ステップS110では、負荷装置2の放電処理が終了しているか否かを判定する。負荷装置2の放電処理が終了していると判定するとステップS180に進み、終了していないと判定するとステップS120に進む。
ステップS120では、リレー3a、3bのオン固着故障が発生していると判断されたか否かを判定する。リレー3a、3bのオン固着故障の有無は、図4に示すフローチャートの処理によって判断する。リレー3a、3bのオン固着故障が発生していると判断された場合にはステップS180に進み、オン固着故障が発生していると判断されていない場合にはステップS130に進む。
ステップS130では、カウンタBのカウント値が所定時間TBを超えたか否かを判定する。カウンタBは、リレー3a、3bのオン固着故障診断が行われて、リレー3a、3bのオン固着故障が発生していないことを確認するためのカウンタである。従って、所定時間TBは、図4のフローチャートのステップS50の判定で用いられる所定時間TAよりも長い時間とする。カウンタBのカウント値が所定時間TBを超えたと判定するとステップS160に進み、所定時間TBを超えていないと判定するとステップS140に進む。
ステップS140では、放電電流IAの大きさで負荷装置2の放電を行う指令を出す。カウンタBのカウント値が所定時間TBを超えていないこの段階では、リレー3a、3bのオン固着診断が完了していないため、比較的小さい放電電流IAで負荷装置2の放電を行うようにする。
ステップS150では、所定時間TBを経過したか否かを判定するために、時間計測用のカウント値をカウンタBに加算する。
一方、ステップS160では、リレー3a、3bのオン固着故障診断が行われて、リレー3a、3bのオン固着故障が発生していないことを確認済みのため、放電電流IAよりも大きい放電電流IBの大きさで負荷装置2の放電を行う指令を出す。
ステップS170では、電圧センサ7で検出される負荷装置2の電圧が所定電圧より低いか否かを判定する。負荷装置2の電圧が所定電圧以上であると判定すると、放電処理を継続して行う。一方、負荷装置2の電圧が所定電圧より低いと判定すると、ステップS180に進む。
ステップS180では、負荷装置2の放電処理を終了する。
ステップS190では、負荷装置2の放電電流を0とする指令を出す。
以上、一実施の形態における電力遮断手段の故障診断装置によれば、燃料電池スタック1と負荷装置2との間に設けられ、自身のオン/オフにより、燃料電池スタック1と負荷装置2との間を接続/遮断するリレー3a、3bのオン固着故障の有無を診断する。この電力遮断手段の故障診断装置では、アノードガスおよびカソードガスの供給が停止され、かつ、燃料電池スタック1の電圧が0より高い状態でリレー3a、3bをオフにし、リレー3a、3bのオフ前に負荷装置2に溜まった電荷を、リレー3a、3bのオフ後に、負荷装置2の電圧が燃料電池スタック1の電圧より低くなるまで放電させる。そして、リレー3a、3bをオフにする指令が出された後に、燃料電池スタック1から負荷装置2に流れる電流が検出された場合に、リレー3a、3bがオン状態で固着する故障が発生していると判断する。二次電池を用いたシステムでは、リレーのオン固着故障が生じていれば、リレーをオフにする指令を出し、かつ、負荷装置の放電処理を行った後に、大容量の二次電池から負荷装置に電流が流れることによって、負荷側の電圧が所定電圧より高くなるため、負荷側の電圧が所定電圧より高ければ、リレーのオン固着故障が発生していると判定することができる。しかしながら、燃料電池を用いたシステムでは、発電を停止している燃料電池スタック1から負荷装置に電流が流れることによって燃料電池スタック1の電圧が低下するので、負荷装置2の電圧が所定電圧以下になる場合があり、負荷装置2の電圧に基づいて故障診断を行う方法では、オン固着故障が発生しているにも関わらず、故障が発生していないと誤診断されることになる。一方、リレーのオン固着故障が発生している場合には、オン固着故障が発生していない場合には流れない電流、すなわち、燃料電池スタック1から負荷装置2に電流が流れるため、この電流を検出することによって、リレー3a、3bのオン固着故障の発生の有無を確実に診断することができる。
また、一実施の形態における電力遮断手段の故障診断装置では、リレー3a、3bのオン固着故障が発生していると判断された場合は、オン固着故障が発生していない場合に比べて、負荷装置2に溜まった電荷を放電させる際の放電電流を小さくするので、アノードガス、カソードガスが少ない状況での燃料電池スタック1からの電流取り出しを制限することができ、燃料電池スタック1の劣化を抑制することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
本願は、2012年9月28日に日本国特許庁に出願された特願2012−216255に基づく優先権を主張し、この出願の全ての内容は参照により本明細書に組み込まれる。
Claims (1)
- アノードガスおよびカソードガスを供給して発電を行う燃料電池と、
前記燃料電池と接続される負荷装置と、
前記燃料電池から前記負荷装置に流れる電流を検出する電流検出手段と、
前記燃料電池と前記負荷装置との間に設けられ、自身のオン/オフにより、前記燃料電池と前記負荷装置との間を接続/遮断する電力遮断手段と、
前記アノードガスおよびカソードガスの供給が停止され、かつ、燃料電池電圧が0より高い状態で前記電力遮断手段をオフにする制御手段と、
前記電力遮断手段のオフ前に前記負荷装置に溜まった電荷を、前記電力遮断手段のオフ後に、前記負荷装置の電圧が燃料電池電圧より低くなるまで放電させる放電手段と、
前記電力遮断手段をオフにする指令が出された後に前記電流検出手段によって電流が検出された場合に、前記電力遮断手段がオン状態で固着する故障が発生していると判断する故障判断手段と、
を備え、
前記放電手段は、前記電力遮断手段がオン状態で固着する故障が発生していると判断された場合は、前記電力遮断手段の故障が発生していない場合に比べて、前記負荷装置に溜まった電荷を放電させる際の放電電流を小さくする、
電力遮断手段の故障診断装置。
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