以下、図面を参照して、本発明による遊技機の実施形態について説明する。なお、実施形態の説明における前後左右とは、遊技盤に向かって見た方向(遊技者から見た方向)を指すものとする。
(第1の実施の形態)
〔遊技機の構成〕
図1は、本発明の第1の実施の形態の遊技機1の斜視図である。
遊技機1は、島設備に固定される本体枠2にヒンジ3を介して右側部が開閉回動自在に取り付けられる開閉枠4を備える。開閉枠4は、前面枠5及びガラス枠6によって構成される。
前面枠5には、遊技盤30(図2参照)が配設されるとともに、遊技盤30の前面を覆うカバーガラス6aを備えたガラス枠6が取り付けられる。前面枠5及びガラス枠6は、それぞれ個別に開放することが可能となっている。例えば、ガラス枠6のみを開放して遊技盤30の遊技領域31(図2参照)にアクセスすることができる。また、前面枠5をガラス枠6が開放されていない状態で開放することによって、遊技盤30の裏側に配置された遊技制御装置600(図4参照)等にアクセスすることができる。
ガラス枠6のカバーガラス6aの周囲には、装飾部材7が配設されている。装飾部材7の内部にはLED等によって構成された枠装飾装置21(図5参照)が収容されており、枠装飾装置21を制御することによって装飾部材7における発光状態を調整することができる。
ガラス枠6の上部には照明ユニット8が配設され、照明ユニット8の左右両側には可動式照明9が配設される。照明ユニット8は、内部にLED等の照明部材を収容しており、遊技状態に応じて発光演出を行う。可動式照明9は、LED等の照明部材と、照明部材を駆動する照明駆動モータ等から構成される枠演出装置22(図5参照)とを備える。可動式照明9の枠演出装置22は、遊技状態に応じて照明部材を駆動、例えば回転駆動するように制御される。なお、照明ユニット8及び可動式照明9の内部に配設される照明部材も、枠装飾装置21(図5参照)の一部を構成している。
遊技機1は、効果音や警報音、報知音等を発する上スピーカー10a及び下スピーカー10bを備える。上スピーカー10aはガラス枠6の上両側部に配置され、下スピーカー10bは上皿ユニット11を構成する上皿11aの下方に配置される。
左側部に配設される可動式照明9の右上方には、遊技機1における異常を報知するための遊技状態報知LED12が設けられている。遊技機1において異常が発生した場合には、遊技状態報知LED12が点灯又は点滅するとともに、上スピーカー10a及び下スピーカー10bから異常を報知するための報知音が出力される。
遊技機1で発生する異常には、遊技機1の故障及び不正行為の実施等が含まれる。不正行為には、例えば、発射された遊技球の軌道を磁石によって不正に操作する行為や遊技機1を振動させる行為等が含まれる。これらの不正行為は、磁気センサスイッチ23(図4参照)によって磁気を検出したり、振動センサスイッチ24(図4参照)によって振動を検出したりすることで検知される。
また、不正に開閉枠4を開放する行為も不正行為に含まれる。前面枠5の開閉状態は前面枠開放検出スイッチ25(図4参照)によって検出され、ガラス枠6の開閉状態はガラス枠開放検出スイッチ26(図4参照)によって検出される。
ガラス枠6の下部には、上皿11aを含む上皿ユニット11が備えられる。上皿11aに貯留された遊技球は、前面枠5の下部に設けられる球発射装置(図示省略)に供給される。
ガラス枠6の下方位置において前面枠5に固定される固定パネル13には、下皿14と、球発射装置を駆動するための操作部15とが備えられる。遊技者が操作部15を回動操作することによって、球発射装置は上皿11aから供給された遊技球を遊技盤30の遊技領域31(図2参照)に発射する。下皿14には、当該下皿14に貯留された遊技球を外部へ排出するための球抜き機構16が設けられる。
上皿ユニット11には、遊技者からの操作入力を受け付けるための演出ボタン17が上皿11aの手前側に配設されている。遊技者が演出ボタン17を操作することによって、変動表示装置(表示装置)35(図2参照)での変動表示ゲームにおいて遊技者の操作を介入させた演出を行うことができ、また通常遊技状態においては演出パターン(演出態様)を変更することができる。変動表示ゲームには、特図変動表示ゲームと普図変動表示ゲームが含まれるが、本明細書では単に変動表示ゲームとした場合には特図変動表示ゲームを指すものとする。
なお、通常遊技状態とは、特定の遊技状態が発生していない遊技状態である。特定の遊技状態とは、例えば変動表示ゲームの結果が大当りになる確率が高い確変状態、変動表示ゲームの単位時間当たりの実行数を向上させることが可能な時短状態、大当り遊技状態(特別遊技状態)等である。
ガラス枠6の装飾部材7の下部には、遊技者が遊技球を借りる場合に操作する球貸ボタン18と、カードユニット(図示省略)からプリペイドカード等を排出させるために操作される排出ボタン19とが配設される。また、球貸ボタン18及び排出ボタン19の間には、プリペイドカード等の残高を表示する残高表示部20が設けられる。
続いて、図を参照して、遊技機1に配設される遊技盤30について説明する。図2は、本発明の第1の実施の形態の遊技機1に備えられる遊技盤30の正面図である。
遊技盤30は、合板やプラスチック等からなる矩形状の遊技盤本体32の表面に、区画部材としてのガイドレール33を設けることで、略円形状の遊技領域31を区画形成している。
遊技領域31には、開口部34aを有するセンターケース34が配設される。遊技盤30にはセンターケース34の外周に沿った形状の開口部が形成され、センターケース34はその開口部に遊技盤30の前方から嵌装される。
遊技盤30の裏面には、変動表示装置35を備える制御ベースユニットが配設される。変動表示装置35は、複数の識別情報を変動表示する変動表示ゲームを表示可能な表示部35aを有する。制御ベースは、内部に空間を有する箱型の部材であり、制御ベースユニットは、センターケース34との間で遊技盤30を挟むようにして、遊技盤30の裏面に取り付けられる。
また、制御ベース内には、ベース部材56によって固定される演出動作ユニット(演出装置)53が備えられている(図3参照)。演出動作ユニット53には、表示部35aの手前側を上下方向に移動可能な第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62(図3参照)が配設される。
センターケース34の開口部34aは変動表示装置35の表示部35aに対応して設けられており、変動表示装置35の表示部35aはセンターケース34の開口部34aに臨むように配設される。変動表示装置35の表示部35aは任意の画像を表示可能な液晶表示器であり、表示画面上には複数の識別情報(特別図柄)や変動表示ゲームを演出するキャラクタ等、遊技の進行に基づく画像が表示される。なお、変動表示装置35の表示部35aは、液晶表示器に限らず、EL、CRT等であってもよい。変動表示装置35は、表示部35aに複数の変動表示領域(例えば、左側、中央、右側の3つの表示領域)を有しており、各表示領域の各々で独立した画像を表示可能に構成されている。
センターケース34の左側方の遊技領域31には、遊技球が通過した場合に普通図柄(普図)変動表示ゲームの始動条件を成立させる普図始動ゲート36が配設される。
センターケース34の下方の遊技領域31には、遊技球の入賞に基づき特別図柄(特図)変動表示ゲームの始動条件を付与可能な始動入賞口37が配設される。始動入賞口37は、遊技球が入賞した場合に第1特図変動表示ゲームの始動条件を成立させる第1始動入賞口37aと、遊技球が入賞した場合に第2特図変動表示ゲームの始動条件を成立させる第2始動入賞口37bとを備える。なお、以下の説明において、第1特図変動表示ゲームと第2特図変動表示ゲームを区別しない場合は、単に特図変動表示ゲーム(又は単に変動表示ゲーム)と称する。
第2始動入賞口37bは、第1始動入賞口37aの直下方に配設されており、左右一対の開閉部材(普通電動役物)37cを備えている。開閉部材37cは、通常状態においては、遊技球の直径程度の間隔を空けた閉状態(遊技者にとって不利な状態)を保持している。普図変動表示ゲームの結果が所定の停止表示態様となった場合(普図変動表示ゲームが当りとなった場合)には、駆動装置としての普電ソレノイド27(図4参照)によって、先端が開くように開閉部材37cが回動され、第2始動入賞口37bに遊技球が流入しやすい入賞容易状態(遊技者にとって有利な状態)となる。開閉部材37cは、遊技制御装置600(図4)によって制御される。
遊技制御装置600は、入賞容易状態の発生頻度を高めたり、入賞容易状態の発生時間を長くしたりすることで、特定遊技状態としての時短状態(普電サポート状態)を発生させる。例えば、通常状態では、普図変動表示ゲームの当選確率を1/251、開放時間を0.1秒としているのに対し、時短状態では、普図変動表示ゲームの当選確率を250/251、開放時間を1.7秒、さらに開放回数を3回としている。
始動入賞口37の左側方の遊技領域31には遊技球が入賞した場合に賞球を払い出す条件だけが成立する一般入賞口40が三つ配設され、始動入賞口37の右側方の遊技領域31には遊技球が入賞した場合に賞球を払い出す条件だけが成立する一般入賞口40が一つ配設される。
始動入賞口37の下方の遊技領域31には、変動入賞装置41が設けられる。変動入賞装置41は、大入賞口と、大入賞口ソレノイド28(図4参照)によって上端側が手前側に倒れる方向に回動して大入賞口を開放可能とするアタッカ形式の開閉扉41aと、を備える。変動入賞装置41は、特図変動表示ゲーム(第1特図変動表示ゲーム及び第2特図変動表示ゲーム)の結果が大当りになると、大入賞口を閉じた状態(遊技者にとって不利な閉塞状態)から開放状態(遊技者にとって有利な状態)に変換し、大入賞口内への遊技球の流入を容易にさせることで、遊技者に賞球を付与するように構成されている。
なお、遊技領域31には、上記した始動入賞口等のほかに、遊技球の流下方向を変える風車38や障害釘(図示省略)等の流下方向変換部材や、入賞せずに流下した遊技球を回収するアウト口42が配設される。
遊技盤30(遊技盤本体32)の右下部には、特図変動表示ゲーム(第1特図変動表示ゲーム及び第2特図変動表示ゲーム)における特図の変動表示、特図入賞記憶数(第1特図変動表示ゲーム及び第2特図変動表示ゲームの始動記憶数)、普図変動表示ゲームにおける普図の変動表示、普図変動表示ゲームの始動記憶数としての普図入賞記憶数、及び大当たりの決定ラウンド数等を表示する一括表示装置50が配設される。
さらに詳しく説明すると、一括表示装置50は、7セグメント型の表示器(LEDランプ)等で構成された変動表示ゲーム用の第1特図変動表示部(特図1表示器)及び第2特図変動表示部(特図2表示器)と、普図変動表示ゲーム用の変動表示部(普図表示器)と、同じくLEDランプで構成された各変動表示ゲームの始動記憶数報知用の記憶表示部(特図1保留表示器、特図2保留表示器、普図保留表示器)を備える。
また、一括表示装置50には、大当りが発生すると点灯して大当り発生を報知する第1遊技状態表示部(第1遊技状態表示器)、時短状態が発生すると点灯して時短状態発生を報知する第2遊技状態表示部(第2遊技状態表示器)、遊技機1の電源投入時に大当りの確率状態が高確率状態となっているエラーを表示するエラー表示器、大当り時のラウンド数(変動入賞装置41の開閉回数)を表示するラウンド表示部が設けられている。
特図1表示器又は特図2表示器における特図変動表示ゲームは、変動表示ゲームの実行中、すなわち、変動表示装置35において飾り特図変動表示ゲームを行っている間は、7セグメント型の表示器のセグメントを点滅させることによって、特別識別情報(特図、特別図柄)を所定時間ごとに切り替える変動表示を行う。
そして、特別識別情報の変動表示の開始時点で決定されている変動時間が経過すると、変動表示ゲームの結果に対応する特別識別情報で変動表示を停止して、特図1表示器又は特図2表示器における特図変動表示ゲームを終了する。
普図表示器は、変動中はランプを点滅させて変動中であることを表示する。そして、ゲームの結果が「はずれ」のときは、例えばランプを消灯状態にし、ゲームの結果が「当り」のときはランプを点灯状態にしてゲーム結果を表示する。
特図1保留表示器は、特図1表示器の変動開始条件となる第1始動入賞口37aへの入賞によって発生した始動記憶のうち未消化の始動記憶数(=保留数)を表示する。具体的には、保留数が「0」のときは4つのランプを全て消灯状態にし、保留数が「1」のときはランプ1のみを点灯状態にする。また、保留数が「2」のときはランプ1と2を点灯状態にし、保留数が「3」のときはランプ1と2と3を点灯状態にし、保留数が「4」のときは4つのランプ1〜4をすべて点灯状態にする。
特図2保留表示器は、特図2表示器の変動開始条件となる第2始動入賞口37bへの入賞によって発生した始動記憶のうち未消化の始動記憶数(=保留数)を、特図1保留表示器と同様にして表示する。
普図保留表示器は、普図表示器の変動開始条件となる普図始動記憶数(=普図保留数)を表示する。例えばLEDランプが2つ設けられる場合は、普図保留数が「0」のときはランプ1と2を消灯状態にし、普図保留数が「1」のときはランプ1のみを点灯状態にする。また、普図保留数が「2」のときはランプ1と2を点灯状態にし、普図保留数が「3」のときはランプ1を点滅、ランプ2を点灯状態にし、普図保留数が「4」のときはランプ1と2を点滅状態にする。
第1遊技状態表示器は、例えば通常の遊技状態の場合にはランプを消灯状態にし、大当りが発生している場合にはランプを点灯状態にする。第2遊技状態表示器は、例えば通常の遊技状態の場合にはランプを消灯状態にし、時短状態が発生している場合にはランプを点灯状態にする。
エラー表示器は、例えば遊技機1の電源投入時に大当りの確率状態が低確率状態の場合にはランプを消灯状態にし、遊技機1の電源投入時に大当りの確率状態が高確率状態の場合にはランプを点灯状態にする。
ラウンド表示部は、例えば、通常の遊技状態の場合にはランプを消灯状態にし、大当りが発生した場合にはその大当りのラウンド数に対応するランプ(2ラウンドor15ラウンド)を点灯状態にする。なお、ラウンド表示部は7セグメント型の表示器で構成してもよい。
遊技機1では、球発射装置(図示省略)によって打ち出された遊技球は、ガイドレール33の内周壁に沿って区画された発射球案内通路43を通って遊技領域31内に発射され、方向変換部材(図示省略)によって落下方向を変えながら遊技領域31を流下する。発射球案内通路43はガイドレール33と内レール44とによって形成されており、発射球案内通路43の出口に位置する内レール44の端部には弁体46が設けられる。弁体46の下端は内レール44に固定され、弁体46は発射球案内通路43の出口を塞ぐように配設される。弁体46は、金属板からなる板ばね部材であり、発射球案内通路43から遊技領域31に発射される遊技球の通過を許容する一方、遊技領域31側から発射球案内通路43への遊技球の逆流を禁止する。
遊技領域31内を流下した遊技球は、第1始動入賞口37a、第2始動入賞口37b一般入賞口40、又は変動入賞装置41の大入賞口41aに入賞するか、遊技領域31の最下部に設けられたアウト口42から遊技機1の外部に排出される。なお、第1始動入賞口37a、第2始動入賞口37b、一般入賞口40、又は大入賞口41aに遊技球が入賞すると、入賞した入賞口の種類に応じた数の遊技球が賞球として遊技者に払い出される。
第1始動入賞口37aに遊技球が入賞すると、第1始動入賞口37aに入賞した遊技球は、第1始動口スイッチ601(図4参照)によって検出され、所定上限数(例えば、4個)を限度に記憶される。このとき、大当り乱数値や大当り図柄乱数値、並びに各変動パターン乱数値が抽出され、抽出された乱数値は、遊技制御装置600(図4参照)内の特図記憶領域(RAMの一部)に特図始動入賞記憶として所定回数分(例えば、最大で4回)を限度に記憶される。そして、この特図始動入賞記憶の記憶数は、一括表示装置50の特図1保留表示器及び変動表示装置35にて表示される。ここで、遊技制御装置600は、始動入賞領域への遊技球の入賞に基づき、変動表示ゲームの実行に関連する乱数を抽出し該変動表示ゲームの実行権利となる始動記憶として所定数を上限に記憶する始動入賞記憶手段として機能する。
そして、一括表示装置50の特図1表示器で第1特図変動表示ゲームが実行されるとともに、第1特図変動表示ゲームに対応する飾り特図変動表示ゲームが変動表示装置35で実行される。変動表示装置35では、三つの数字等(記号、キャラクタ図柄など)で構成される識別情報が順に変動表示する飾り特図変動表示ゲームが開始され、飾り特図変動表示ゲームに関する画像が表示部35aに表示される。
飾り特図変動表示ゲームは、例えば前述した数字等で構成される飾り特別図柄(識別情報)が左(第一特別図柄)、右(第二特別図柄)、中(第三特別図柄)の順に変動表示を開始して、所定時間後に変動している図柄を順次停止させて、特図変動表示ゲームの結果を表示することで行われる。また、変動表示装置35では、特図入賞記憶の記憶数に対応する飾り特別図柄による飾り特図変動表示ゲームを行うとともに、興趣向上のためにキャラクタの出現など多様な演出表示が行われる。
第1始動入賞口37aへの遊技球の入賞が所定タイミングでなされた場合には、第1特図変動表示ゲームの結果が特別結果(大当り)となり、飾り特図変動表示ゲームでは三つの表示図柄が揃った状態で停止する。この場合には、変動入賞装置41の開閉扉41aが開いて、大当り遊技状態(特別遊技状態)となる。
大当り遊技状態中では、変動入賞装置41の大入賞口は、所定時間経過するまで又は所定数の遊技球が大入賞口に入賞するまで、遊技球を受け入れない閉状態(遊技者に不利な状態)から遊技球を受け入れやすい開状態(遊技者に有利な状態)となる。大入賞口に遊技球が入賞することによって、遊技者には多くの遊技球を獲得可能な遊技価値が付与される。大入賞口に所定個数の遊技球が入賞するか、大入賞口の開放から所定時間が経過するかの何れかの条件が達成されるまで大入賞口を開放することを1ラウンドとし、第1特図変動表示ゲームが大当りとなった場合にはラウンド数は例えば2回に設定される。また、遊技制御装置600は、特図変動表示ゲームの結果に基づいて特別遊技状態を生成する特別遊技状態制御手段をなしている。
大当り遊技状態後に遊技状態が時短状態(普電サポート状態)に移行すると、特図変動表示ゲーム(第1特図変動表示ゲーム又は第2特図変動表示ゲーム)が所定回数行われるまで継続される。
普図始動ゲート36を遊技球が通過すると、ゲートスイッチ603(図4参照)によって検出され、一括表示装置50で普図変動表示ゲームが開始される。ゲートスイッチ603は、例えば、非接触型のスイッチである。普図始動ゲート36に遊技球が所定のタイミングで通過すると、普図変動表示ゲームの結果が当りとなる。この場合には、普電ソレノイド27(図4参照)によって開閉部材37cが開かれ、第2始動入賞口37bへの遊技球の入賞可能性が高められる。
また、普図変動表示ゲームを開始できない状態、例えば、既に普図変動表示ゲームが行われ、その普図変動表示ゲームが終了していない場合や、普図変動表示ゲームの結果が当りとなって第2始動入賞口37bが開放状態に変換されている場合に、普図始動ゲート36を遊技球が通過すると、普図始動記憶数の上限数未満ならば、普図始動記憶数が加算(+1)されて普図始動記憶が1つ記憶される。普図始動記憶の数は、一括表示装置50の普図保留表示器に表示される。
また、普図始動記憶には、普図変動表示ゲームの当りはずれを決定するための当り判定用乱数値が記憶されるようになっていて、この当り判定用乱数値が判定値と一致した場合に、当該普図変動表示ゲームが当りとなって特定の結果態様(特定結果)が導出されることとなる。
普図変動表示ゲームは、一括表示装置50に設けられた変動表示部(普図表示器)で実行されるようになっている。普図表示器は、普通識別情報(普図、普通図柄)として点灯状態の場合に当りを示し、消灯状態の場合にはずれを示すLEDから構成され、このLEDを点滅表示することで普通識別情報の変動表示を行い、所定の変動表示時間の経過後、LEDを点灯又は消灯することで結果を表示するようになっている。なお、普通識別情報として例えば数字、記号、キャラクタ図柄などを用い、これを所定時間変動表示させた後、停止表示させることにより行うように構成してもよい。
第2始動入賞口37bに遊技球が入賞すると、第2始動入賞口37bに入賞した遊技球は、第2始動口スイッチ602(図4参照)によって検出され、所定上限数(例えば、4個)を限度に記憶される。このとき、第1始動入賞口37aに入賞した場合と同様に、各種乱数値が抽出され、抽出された乱数値は、遊技制御装置600の特図記憶領域に特図始動入賞記憶として第1始動入賞口37aに入賞した場合とは区別して記憶される。そして、特図始動入賞記憶の記憶数は、一括表示装置50の特図2保留表示器及び変動表示装置35にて表示される。
そして、一括表示装置50で第2特図変動表示ゲームが実行されるとともに、第2特図変動表示ゲームに対応する飾り特図変動表示ゲームが変動表示装置35で実行される。変動表示装置35では、三つの数字等で構成される識別情報が順に変動表示する飾り特図変動表示ゲームが開始され、飾り特図変動表示ゲームに関する画像が表示部35aに表示される。飾り特図変動表示ゲームについては第1特図変動表示ゲームの場合と同様である。
第2始動入賞口37bへの遊技球の入賞が所定タイミングでなされた場合には、第2特図変動表示ゲームの結果が特別結果(大当り)となり、飾り特図変動表示ゲームでは三つの表示図柄が揃った状態で停止する。この場合には、変動入賞装置41の開閉扉41aが開いて、大当り遊技状態(特別遊技状態)となる。変動入賞装置41の大入賞口は、所定時間経過するまで又は所定数の遊技球が大入賞口に入賞するまで、遊技球を受け入れない閉状態(遊技者に不利な状態)から遊技球を受け入れやすい開状態(遊技者に有利な状態)となる。第2特図変動表示ゲームが大当りとなった場合には、ラウンド数は例えば15回に設定される。
なお、第1特図変動表示ゲームと第2特図変動表示ゲームとを別々の表示装置や別々の表示領域で実行するようにしてもよいし、同一の表示装置や表示領域で実行するようにしてもよい。
また、一括表示装置50において実行される第1特図変動表示ゲームと第2特図変動表示ゲームは、同時に実行されないように構成する。同様に、変動表示装置35における飾り特図変動表示ゲームについても、第1特図変動表示ゲーム及び第2特図変動表示ゲームに対応する飾り特図変動表示ゲームが同時に実行されないように構成する。
さらに、第2特図変動表示ゲームは、第1特図変動表示ゲームよりも優先して実行されるようになっている。すなわち、第1特図変動表示ゲームと第2特図変動表示ゲームの始動記憶があり、特図変動表示ゲームの実行が可能な状態になった場合は、第2特図変動表示ゲームが実行される。
図3は、本発明の第1の実施の形態の演出動作ユニット53の平面図であり、(a)は第1可動演出部材61が上限に位置する場合、(b)は第1可動演出部材61が下限に位置する場合である。
演出動作ユニット53は、一対の移動機構57によって第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62を移動させて、所定の演出動作を行うものである。移動機構57は、ベース部材56の左右両側部のそれぞれに配設され、それぞれの移動機構57は同じ構成を有するため、同じ構成には同じ符号を付して説明する。
移動機構57は、上下方向に延在して配設され第1可動演出部材61のベース板61aが連結された上部ラック部材65(第1バー部材)と、上下方向に延在して配設され第2可動演出部材62のベース板62aが連結された下部ラック部材66(第2バー部材)と、駆動源としてのモータ67と、モータ67の駆動力を基に駆動し、上部ラック部材65を軸方向に移動させると共に、上部ラック部材65の移動に同期して下部ラック部材66を軸方向に移動させる駆動機構68とを備える。
第1可動演出部材61のベース板61aは、その両端部が一対の上部ラック部材65の上部側に連結される。このように、ベース板61aは、一対の上部ラック部材65に亘って配設され、一対の上部ラック部材65が上下方向に移動するのに伴って上下方向に移動する。
また、第2可動演出部材62のベース板62aは、その両端部が連結部材70を介して一対の下部ラック部材66の下部側に連結される。このように、ベース板62aは、一対の下部ラック部材66に亘って配設され、一対の下部ラック部材66が上下方向に移動するのに伴って上下方向に移動する。
ベース部材56は略矩形の開口部を有する枠状の部材である。ベース部材56の左右両側部には、上下方向に延在し、裏面が開放された箱型の凹室72が形成される。凹室72の内部には、上部ラック部材65及び下部ラック部材66の上下方向への移動を案内するラックガイドが収装される。
ベース部材56における上部ラック部材65の上方には、上部ラック部材65の上限である初期位置を検出するためのコの字形状の光電センサ76(初期位置検出手段)が配設される。上部ラック部材65の上端部には、上部ラック部材65が初期位置である場合に、光電センサ76の凹部に挿入され光電センサ76の発射光を遮光する遮光板が一体に形成される。このように、光電センサ76と遮光板とによって、上部ラック部材65の初期位置が検出される。
ベース部材56には、上部ラック部材65における本体部65aのみを覆う上部ラック支持部材75が締結される。したがって、上部ラック部材65は、凹室72の前面と上部ラック支持部材75との間に支持されて上下方向に移動する。上部ラック支持部材75は、上下方向に間隔を空けて一対配設され、上部ラック部材65は、上限近傍に位置する場合には上側に配設された上部ラック支持部材75aに支持され、下限に位置する場合には下側に配設された上部ラック支持部材75bに支持される。
下部ラック部材66は、本体部と、上下方向に沿って形成された歯部を有するラックバーとが一体に形成されたものである。下部ラック部材66は、ラックバーがラックガイドのガイド壁内に摺動自在に挿入された状態でベース部材56の凹室72内に収容される。
続いて、第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62による演出動作について説明する。以下に示す演出動作は、遊技機に搭載される演出制御装置700によって行われ、演出制御装置700は演出装置制御手段をなす。
通常状態では、図3(a)に示すように、上部ラック部材65が上限、下部ラック部材66が下限に位置する。これにより、図1に示すように、第1可動演出部材61は、センターケース34の上部に配設された装飾部材の後方に隠れた状態となり、第2可動演出部材62は、装飾部材の後方に隠れた状態となる。このように、通常状態では、第1可動演出部材61と第2可動演出部材62は、センターケース34の上下に分割されて隠れた状態で配設される。
特図変動表示ゲームが進行し、変動表示装置35の表示部35aの表示図柄がリーチ状態を形成した場合には、第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62による以下の演出動作が行われる。
モータ67が正転方向に駆動すると、駆動機構68の作用によって、一対の上部ラック部材65は下方へと移動するのに対して、一対の下部ラック部材66は上方へと移動する。これにより、センターケース34の上下に分割された状態で配設されていた第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62は、互いに近づく方向に移動し、変動表示装置35の表示部35aの手前側に出現する。
モータ67は予め定められた所定時間だけ正転方向に駆動して停止する。これにより、上部ラック部材65が下限、下部ラック部材66が上限に到達して停止する(図3(b)に示す状態)。この上部ラック部材65及び下部ラック部材66の移動によって、変動表示装置35の表示部35aの手前側で第1可動演出部材61と第2可動演出部材62とが一体となる演出が行われる。このとき、第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62は、表示部35aの表示図柄等の表示内容と関連した演出動作をし、さらなる演出効果を発揮する。
次に、図4及び図5を参照して、遊技機1に備えられる遊技制御装置600及び演出制御装置700について説明する。
図4は、本発明の第1の実施の形態の遊技機1の遊技制御装置600を中心とする制御系を示すブロック構成図である。図5は、本発明の第1の実施の形態の遊技機1の演出制御装置700を中心とする制御系を示すブロック構成図である。
図4に示す遊技制御装置600は、遊技機1における遊技を統括的に制御する主制御装置(主基板)である。遊技制御装置600には、電源装置800、払出制御装置640、及び演出制御装置700が接続される。遊技制御装置600は、払出制御装置640や演出制御装置700に制御信号(コマンド)を送信し、各種処理の実行を指示する。さらに、遊技制御装置600には、各種スイッチや制御対象のソレノイド等が接続される。
遊技制御装置600は、各種演算処理を行うCPU部610と、各種信号の入力を受け付ける入力部620と、各種信号や制御信号を出力する出力部630とを備える。CPU部610、入力部620、及び出力部630は、互いにデータバス680によって接続される。
入力部620は、スイッチベース等に設けられた各種スイッチから出力される信号や払出制御装置640から出力される信号を受け付ける。この入力部620は、近接インターフェース(I/F)621及び入力ポート622、623を備える。
入力ポート622、623は、近接I/F621を介して入力される信号を受け付けたり、外部から入力される信号を直接受け付けたりする。入力ポート622、623に入力した情報は、データバス680を介してCPU部610等に提供される。
近接I/F621は、各種スイッチから出力された信号を受け付け、それら入力信号を変換して入力ポート622に出力するインターフェースである。近接I/F621には、第1始動口スイッチ601、第2始動口スイッチ602、ゲートスイッチ603、入賞口スイッチ604a〜604n、及びカウントスイッチ605a、605bが接続される。
第1始動口スイッチ601は、遊技球が第1始動入賞口37aに入賞したことを検出するスイッチである。第2始動口スイッチ602は、遊技球が第2始動入賞口37bに入賞したことを検出するスイッチである。ゲートスイッチ603は、遊技球が普図始動ゲート36を通過したことを検出するスイッチである。入賞口スイッチ604a〜604nは、遊技球が一般入賞口40に入賞したことを検出するスイッチである。
第1始動口スイッチ601及び第2始動口スイッチ602の検出信号は、入力ポート622に出力されるとともに、CPU部610の反転回路612を介して遊技用マイコン611に出力される。これは、遊技用マイコン611の信号入力端子がロウレベルを有効レベルとして検知するように設計されているためである。
カウントスイッチ605a、605bは、遊技球が大入賞口に入賞したことを検出するスイッチである。カウントスイッチ605a、605bによって遊技球の入賞が検出されると、入賞した遊技球の数がカウントされ、カウントされた遊技球の数が遊技制御装置600に備えられたメモリに記憶される。カウントスイッチ605aは大入賞口の左端部に配設され、カウントスイッチ605bは大入賞口の右端部に配設される。カウントスイッチ605a、605bを大入賞口の両端部に設けることで、大入賞口に入賞した遊技球の検出漏れを防ぎ、大入賞口に所定個数以上の遊技球が入賞するのを防止する。
近接I/F621への入力信号の電圧は通常時には所定範囲内となっているため、近接I/F621によれば、各種スイッチからの信号の電圧値に基づいて各種スイッチにおけるリード線の断線、ショート、電圧値異常等を検出できる。このような異常を検出すると、近接I/F621は、異常検知出力端子から異常を示す信号を出力する。
また、入力ポート622には磁気センサスイッチ23及び振動センサスイッチ24からの信号が直接入力され、入力ポート623には前面枠開放検出スイッチ(SW)25及びガラス枠開放検出スイッチ(SW)26からの信号が直接入力される。入力ポート623には、払出制御装置640からの各種信号も入力される。
磁気センサスイッチ23は、発射された遊技球の軌道を磁石によって操作する不正行為を検出するために磁力を検出する。振動センサスイッチ24は、遊技機1を振動させる不正行為を検出するために遊技機1の振動を検出する。
前面枠開放検出SW25は、前面枠5が開放されたことを検出する。前面枠開放検出SW25は、前面枠5が本体枠2から開放されるとオンに設定され、前面枠5が本体枠2に閉止されるとオフに設定される。
ガラス枠開放検出SW26は、ガラス枠6が開放されたことを検出する。ガラス枠開放検出SW26は、ガラス枠6が前面枠5から開放されるとオンに設定され、ガラス枠6が前面枠5に閉止されるとオフに設定される。
遊技制御装置600のCPU部610は、遊技用マイコン611と、反転回路612と、水晶発振器613とを備える。
遊技用マイコン611は、CPU611a、ROM611b、及びRAM611cを有しており、入力部620を介して入力された信号に基づいてROM611bに記憶されたプログラムを実行して大当り抽選等の各種処理を実行する。遊技用マイコン611は、出力部630を介して、遊技状態報知LED12や一括表示装置50等から構成される一括表示装置、普電ソレノイド27、大入賞口ソレノイド28、演出制御装置700、及び払出制御装置640に制御信号を送信し、遊技機1を統括的に制御する。遊技用マイコン611は、チップセレクトで、信号を入力又は出力するポートを選択している。
ROM611bは、不揮発性の記憶媒体であり、遊技制御のためのプログラムやデータ等を記憶する。ROM611bは、例えば、特図変動表示ゲームの実行時間、演出内容、リーチ状態の発生の有無などを規定する変動パターンを決定するための変動パターン振り分け情報を記憶している。
変動パターン振り分け情報とは、始動記憶として記憶されている変動パターン乱数1〜3をCPU611aが参照して変動パターンを決定するための振り分け情報である。また、変動パターン振り分け情報には、結果がはずれとなる場合に選択されるはずれ変動パターン振り分け情報、結果が15R当りや2R当りとなる場合に選択される大当り変動パターン振り分け情報等が含まれる。例えば、特図変動表示ゲームがリーチなしの変動パターンに係る変動パターン振り分け情報、特図変動表示ゲームにてノーマル(N)リーチを実行する変動パターンに係る変動パターン振り分け情報、特図変動表示ゲームにてスペシャル(SP)1リーチを実行する変動パターンに係る変動パターン振り分け情報、特図変動表示ゲームにてスペシャル(SP)2リーチを実行する変動パターンに係る変動パターン振り分け情報、大当りとなる特図変動表示ゲームにてプレミアムリーチを実行する変動パターンに係る変動パターン振り分け情報等がある。さらに、これらのパターン振り分け情報には、後半変動パターン振り分け情報、前半変動パターン振り分け情報が含まれている。
また、リーチ(リーチ状態)とは、表示状態が変化可能な表示装置を有し、該表示装置が時期を異ならせて複数の表示結果を導出表示し、該複数の表示結果が予め定められた特別結果態様となった場合に、遊技状態が遊技者にとって有利な遊技状態(特別遊技状態)となる遊技機1において、複数の表示結果の一部がまだ導出表示されていない段階で、既に導出表示されている表示結果が特別結果態様となる条件を満たしている表示状態(例えば、最後に停止する識別情報を除く複数の識別情報が特別遊技状態となる特別結果を発生可能な識別情報で停止し、最後に停止する識別情報が変動表示している状態)をいう。また、別の表現をすれば、リーチ状態とは、表示装置の変動表示制御が進行して表示結果が導出表示される前段階にまで達した時点でも、特別結果態様となる表示条件からはずれていない表示態様をいう。そして、例えば、特別結果態様が揃った状態を維持しながら複数の変動表示領域による変動表示を行う状態(いわゆる全回転リーチ)もリーチ状態に含まれる。また、リーチ状態とは、表示装置の表示制御が進行して表示結果が導出表示される前段階にまで達した時点での表示状態であって、表示結果が導出表示される以前に決定されている複数の変動表示領域の表示結果の少なくとも一部が特別結果態様となる条件を満たしている場合の表示状態をいう。
よって、例えば、特図変動表示ゲームに対応して表示装置に表示される飾り特図変動表示ゲームが、変動表示装置35における左、中、右の変動表示領域の各々で所定時間複数の識別情報を変動表示した後、左、右、中の順で変動表示を停止して結果態様を表示するものである場合、左、右の変動表示領域で、特別結果態様となる条件を満たした状態(例えば、同一の識別情報)で変動表示が停止した状態がリーチ状態となる。またこの他に、すべての変動表示領域の変動表示を一旦停止した時点で、左、中、右のうち何れか二つの変動表示領域で特別結果態様となる条件を満たした状態(例えば、同一の識別情報となった状態、ただし特別結果態様は除く)をリーチ状態とし、このリーチ状態から残りの一つの変動表示領域を変動表示するようにしてもよい。
また、リーチ状態には複数のリーチ演出が含まれ、特別結果態様が導出される可能性が異なる(信頼度が異なる)リーチ演出として、ノーマルリーチ、スペシャル1リーチ、スペシャル2リーチ、プレミアムリーチ等が設定されている。なお、信頼度は、リーチなし<ノーマルリーチ<スペシャル1リーチ<スペシャル2リーチ<プレミアムリーチの順に高くなるようになっている。また、リーチ状態は、少なくとも特図変動表示ゲームで特別結果態様が導出される場合(大当りとなる場合)における変動表示態様に含まれるようになっている。すなわち、特図変動表示ゲームで特別結果態様が導出されないと判定される場合(はずれとなる場合)における変動表示態様が含まれることもある。
RAM611cは、揮発性の記憶媒体であり、遊技制御に必要な情報(例えば、乱数値など)を一時的に記憶するワークエリアとして利用される。ROM611b又はRAM611cとして、EEPROMのような電気的に書換え可能な不揮発性メモリを用いてもよい。
反転回路612は、近接I/F621を介して入力された信号(第1始動口スイッチ601及び第2始動口スイッチ602からの信号)の論理値を反転させて遊技用マイコン611に出力する。
水晶発振器613は、タイマ割込み、システムクロック信号、大当り抽選等を行うためのハード乱数の動作クロック源として構成されている。
遊技制御装置600の出力部630は、ポート631a〜631eと、バッファ632a、632bと、ドライバ633a〜633dと、フォトカプラ634とを備える。
ポート631a〜631eは、データバス680を介して入力された信号を受け付ける。
バッファ632a、632bは、データバス680やポート631a、631bを介して入力された信号を一時的に保持する。
ドライバ633a〜633dは、ポート631c〜631eを介して入力される信号から各種駆動信号を生成して各装置に出力する。
フォトカプラ634は、外部の検査装置670に接続可能に構成されており、入出力される各種信号からノイズを除去して各種信号の波形を整形する。フォトカプラ634と検査装置670との間は、シリアル通信によって情報が送受信される。
払出制御装置640には、ポート631aを介してパラレル通信によってCPU部610から出力された情報が送信される。払出制御装置640に対しては片方向通信を担保する必要がないため、ポート631aから払出制御装置640の払出制御基板に制御信号が直接送信される。
また、払出制御装置640は、発射制御装置690に発射許可信号を出力する。発射制御装置690は、発射許可信号が入力されている場合にのみ遊技球を遊技領域31に発射することが可能となっている。
さらに、払出制御装置640は、遊技制御装置600からの賞球指令信号に基づいて払出ユニット(図示省略)から賞球を排出させたり、カードユニット(図示省略)からの貸球要求信号に基づいて払出ユニットから貸球を排出させたりする。払出制御装置640は、球切れや故障等の障害が発生した場合に、払出異常ステータス信号やシュート球切れスイッチ信号、オーバーフロースイッチ信号を遊技制御装置600に出力する。
払出異常ステータス信号は、遊技球の払い出しが正常に行われていない場合に出力される信号である。シュート球切れスイッチ信号は、払い出し前において遊技球が不足している場合に出力される信号である。オーバーフロースイッチ信号は、下皿14(図1参照)に所定量以上の遊技球が貯留されている場合に出力される信号である。
演出制御装置700には、出力部630のポート631aからのデータストローブ信号(SSTB)及びポート631bからの8bitのデータ信号がバッファ632aを介して入力する。データストローブ信号(SSTB)は、データの有効又は無効を示す1bitの信号である。バッファ632aからの8+1bitの信号(サブコマンド)は、パラレル通信で出力される。バッファ632aは、演出制御装置700から遊技制御装置600に信号を送信できないようにして片方向通信を担保するために設けられている。演出制御装置700に送信されるサブコマンドには、変動開始コマンド、客待ちデモコマンド、ファンファーレコマンド、確率情報コマンド、及びエラー指定コマンド等の演出制御指令信号が含まれる。
大入賞口ソレノイド28及び普電ソレノイド27には、ポート631c及びドライバ633aを介して、CPU部610から出力された信号が入力する。大入賞口ソレノイド28は変動入賞装置41の開閉扉41a(図2参照)を回動させ、普電ソレノイド27は第2始動入賞口37bの開閉部材37cを回動させる。
一括表示装置50は、遊技状態報知LED12及び状態表示器等から構成されている。状態表示器のLEDのアノード端子はセグメント線を介してドライバ633cに接続し、このドライバ633cとポート631dとが接続している。状態表示器のLEDのカソード端子はデジット線を介してドライバ633bと接続し、このドライバ633bとポート631cとが接続している。状態表示器のLEDのアノード端子にはドライバ633cからのオン/オフ駆動信号が入力され、一括表示装置50のLEDのカソード端子からはドライバ633bにオン/オフ駆動信号が出力される。
外部情報端子660は、特図変動表示ゲームの開始を示すスタート信号や大当り遊技状態の発生を示す特賞信号等の遊技データを情報収集端末装置に出力するための端子である。遊技データは、ポート631e及びドライバ633dを介して外部情報端子660に出力される。
遊技制御装置600は、中継基板650を介して、外部の試射試験装置に接続可能に構成されている。試射試験装置は、所定機関において遊技機1の型式試験を行うための装置である。試射試験装置には、第1始動口スイッチ601、第2始動口スイッチ602、ゲートスイッチ603、入賞口スイッチ604a〜604n、及びカウントスイッチ605a、605bからの信号や、大入賞口ソレノイド28及び普電ソレノイド27に出力される信号等、試射試験に必要な信号が入力する。
遊技制御装置600は、入力部620に設けられるシュミット回路624を介して、電源装置800に接続している。シュミット回路624は、電源の立ち上がり時や電源遮断時において遊技機1の動作が不安定になることを防ぐために、入力信号の揺らぎ(ノイズ)を除去する回路である。シュミット回路624には、電源装置800からの停電監視信号や初期化スイッチ信号、リセット信号が入力される。
電源装置800は、24Vの交流電源からDC32Vの直流電圧を生成するAC−DCコンバータや、DC32Vの電圧からDC12V、DC5V等のより低いレベルの直流電圧を生成するDC−DCコンバータを有する通常電源部810と、遊技用マイコン611の内部のRAM611cに対して停電時に電源電圧を供給するバックアップ電源部820と、停電監視回路や初期化スイッチを有しており、遊技制御装置600に停電の発生、回復を知らせる停電監視信号や初期化スイッチ信号、リセット信号等の制御信号を出力する制御信号生成部830と、を備える。
遊技制御装置600及び該遊技制御装置600によって駆動されるソレノイドやモータなどの電子部品には、電源装置800で生成されたDC32V,DC12V,DC5Vなど所定のレベルの直流電圧が供給される。
本実施の形態では、電源装置800は、遊技制御装置600と別個に構成されているが、バックアップ電源部820及び制御信号生成部830は、別個の基板上あるいは遊技制御装置600と一体、すなわち、主基板上に設けるように構成してもよい。遊技盤30及び遊技制御装置600は機種変更の際に交換の対象となるので、実施例のように、電源装置800若しくは主基板とは別の基板にバックアップ電源部820及び制御信号生成部830を設けることにより、交換の対象から外しコストダウンを図ることができる。
バックアップ電源部820は、遊技用マイコン611のRAM611cに記憶された遊技データをバックアップするための電源である。バックアップ電源部820は、電解コンデンサのような大容量のコンデンサ1つで構成することができる。
また、バックアップ電源は、遊技制御装置600の遊技用マイコン611(特に内蔵RAM)に供給され、停電中あるいは電源遮断後もRAM611cに記憶されたデータが保持されるようになっている。遊技制御装置600は、停電復旧後、RAM611cに保持された遊技データに基づいて、停電前の遊技状態に復旧させる。なお、バックアップ電源部820は、遊技データを2〜3日以上保持させることが可能となっている。
制御信号生成部830は、DC12V及びDC5Vを生成するスイッチングレギュレータの入力電圧(保証DC32V)を監視する。検出電圧がDC17.2V〜DC20.0Vのときに停電と判定し、制御信号生成部830から停電監視信号が出力される。停電監視信号は、シュミット回路624を経由して、入力部620の入力ポート623に入力する。停電監視信号の出力後には、停電監視回路はリセット信号を出力する。リセット信号は、シュミット回路624を経由して、遊技用マイコン611及び出力部630の各ポート631a〜631eに入力する。遊技制御装置600は、停電監視信号を受け付けると所定の停電処理を行い、リセット信号を受け付けた後にCPU部610の動作を停止させる。
制御信号生成部830は初期化スイッチ(図示省略)を備えており、電源投入時に初期化スイッチがON状態となっている場合に、制御信号生成部830から初期化スイッチ信号が出力される。初期化スイッチ信号は、シュミット回路624を介して、入力部620の入力ポート623に入力する。初期化スイッチ信号は、遊技用マイコン611のRAM611c及び払出制御装置640のRAMに記憶されている情報を強制的に初期化する信号である。
図5に示す演出制御装置700は、遊技制御装置600の遊技用マイコン611と同様にアミューズメントチップ(IC)からなる主制御用マイコン(1stCPU)710と、主制御用マイコン710の制御下で映像制御等を行う映像制御用マイコン(2ndCPU)720と、映像制御用マイコン720からのコマンドやデータに従って変動表示装置35(図2参照)への映像表示のための画像処理を行うVDP(Video Display Processor)730と、各種メロディや効果音等を上スピーカー10a及び下スピーカー10bから再生させる音源LSI705とを備える。
主制御用マイコン710と映像制御用マイコン720には、各CPUが実行するプログラムを格納したPROM(Programmable Read Only Memory)702、703がそれぞれ接続される。
VDP730には、キャラクタ画像や映像データが記憶された画像ROM704が接続される。
音源LSI705には、音声データ等が記憶された音声ROM706が接続される。
主制御用マイコン710は、遊技制御装置600の遊技用マイコン611から送信されたコマンドを解析し、映像制御用マイコン720に出力映像の内容を指示したり、音源LSI705に再生音の内容を指示したりする。また、主制御用マイコン710は、遊技制御装置600からの制御コマンドに基づいて、LED等の点灯制御、各種モータの駆動制御、演出時間の管理等の処理も実行する。
主制御用マイコン710及び映像制御用マイコン720の作業領域を提供するRAM711、721は、それぞれのチップ内部に設けられている。なお、作業領域を提供するRAM711、721はチップの外部に設けるようにしてもよい。
主制御用マイコン710と映像制御用マイコン720との間、主制御用マイコン710と音源LSI705との間は、それぞれシリアル方式でデータの送受信が行われるように構成されている。これに対して、主制御用マイコン710とVDP730との間は、パラレル方式でデータの送受信が行われるように構成されている。パラレル方式でデータを送受信することで、シリアル方式の場合よりも短時間のうちにコマンドやデータを送信することができる。
VDP730には、画像ROM704から読み出されたキャラクタ等の画像データを展開したり加工したりするのに使用されるVRAM(ビデオRAM)731、画像を拡大、縮小処理するためのスケーラ732、及びLVDS(小振幅信号伝送)方式で変動表示装置35へ送信する映像信号を生成する信号変換回路733が設けられる。
VDP730から主制御用マイコン710へは、変動表示装置35の映像と、前面枠5や遊技盤30に設けられるLED等の点灯とを同期させるために垂直同期信号VSYNCが出力される。また、VDP730から映像制御用マイコン720へは、VRAM731への描画の終了等処理状況を知らせるため割込み信号INT0〜n及び映像制御用マイコン720からのコマンドやデータの受信待ちの状態にあることを知らせるためのウェイト信号WAITが出力される。
映像制御用マイコン720から主制御用マイコン710へは、映像制御用マイコン720が正常に動作していることを知らせるとともにコマンドの送信タイミングを与える同期信号SYNCが出力される。
主制御用マイコン710と音源LSI705との間においては、ハンドシェイク方式でコマンドやデータの送受信を行うために、呼び掛け信号CTSと応答信号RTSが交換される。
なお、映像制御用マイコン720には、主制御用マイコン710よりも高速処理が可能なCPUが使用されている。主制御用マイコン710とは別に映像制御用マイコン720を設けて処理を分担させることによって、主制御用マイコン710のみでは実現困難な大画面で動きの速い映像を変動表示装置35に表示させることが可能となるとともに、映像制御用マイコン720と同等な処理能力を有するCPUを2個使用する場合に比べてコストの上昇を抑制することができる。
演出制御装置700は、遊技制御装置600から送信されるコマンドを受信するためのインタフェースチップ(コマンドI/F)701を備えている。演出制御装置700は、コマンドI/F701を介して、遊技制御装置600から送信された変動開始コマンド、客待ちデモコマンド、ファンファーレコマンド、確率情報コマンド、及びエラー指定コマンド等を演出制御指令信号として受信する。遊技制御装置600の遊技用マイコン611はDC5Vで動作し、演出制御装置700の主制御用マイコン710はDC3.3Vで動作するため、コマンドI/F701には信号のレベル変換の機能が設けられている。
演出制御装置700には、センターケース34や遊技盤30に設けられるLED等を含む盤装飾装置760を制御する盤装飾LED制御回路741、前面枠5等に設けられるLED等を含む枠装飾装置21を制御する枠装飾LED制御回路742、変動表示装置35における演出表示と協働して演出効果を高める電動役物や演出装置等を含む盤演出装置770を駆動制御する盤演出モータ/SOL(ソレノイド)制御回路743、可動式照明9の照明駆動モータ等を含む枠演出装置22を駆動制御する枠演出モータ制御回路744が設けられている。これらの制御回路(741〜744)は、アドレス/データバス740を介して主制御用マイコン710に接続されている。なお、図3に示した演出動作ユニット53は、盤演出装置770に含まれる。
また、演出制御装置700には、演出ボタン17(図1参照)が操作されたことを検知する演出ボタンSW(スイッチ)751や各種駆動モータが駆動されたことを検知する演出モータSW(スイッチ)752a〜752nのオン/オフ状態を検出して主制御用マイコン710へ検出信号を送信するスイッチ(SW)入力回路750、上スピーカー10a及び下スピーカー10bを駆動するオーディオパワーアンプ等からなるアンプ回路707、708が設けられている。
電源装置800の通常電源部810は、演出制御装置700及び当該演出制御装置700によって制御される電子部品に対して所定レベルの直流電圧を供給するために、複数種類の電圧を生成可能に構成されている。具体的には、駆動モータやソレノイドを駆動するためのDC32V、液晶パネル等からなる変動表示装置35を駆動するためのDC12V、コマンドI/F701の電源電圧となるDC5Vの他に、上スピーカー10a及び下スピーカー10bを駆動するためのDC18Vや、これらの直流電圧の基準としたり電源モニタランプを点灯させたりするのに使用するNDC24Vの電圧を生成することが可能となっている。
電源装置800の制御信号生成部830により生成されたリセット信号RSTは、主制御用マイコン710、映像制御用マイコン720、VDP730、音源LSI705、各種制御回路(741〜744、707、708)に供給され、これらをリセット状態にする。電源装置800は、映像制御用マイコン720の有する汎用ポートを利用して、VDP730に対するリセット信号を生成して供給する機能を有している。これにより、映像制御用マイコン720とVDP730の動作の連携性を向上させることができる。
〔表示装置(3D表示)〕
本発明の第1の実施の形態では、変動表示装置35の表示部35aは、2次元画像(2D画像)だけでなく、3次元画像(3D画像)を表示可能に構成されている。以下、図6を参照しながら立体画像を表示する原理について説明する。
図6は、本発明の第1の実施の形態における3D表示を行うためのパララックスバリア方式の原理を説明する図である。
表示部35aは液晶パネル351を有しており、この液晶パネル351には左画像Lと右画像Rとが交互に配置されるように構成されている。左画像Lとは遊技者の左目に対応する画像であり、右画像Rとは遊技者の右目に対応する画像である。なお、液晶パネル351の裏面側にはバックライト部が配置され、表示部35aを後方から照らしている。
液晶パネル351の前面側にはパララックスバリア部352が配置され、パララックスバリア部352はバリア353とスリット354を交互に有しており、バリア353は閉鎖部分であって画像を見ることができず、スリット354は開口部分であって画像を見ることができるものである。そして、スリット354は等間隔に形成されている。したがって、スリット354とスリット354との間がバリア353となって画像の一部を遮るようになり、遊技者の目を所定の位置に位置させることにより、右目には右目用の画像Rだけが見え、左目には左目用の画像Lだけが見えることになる。このとき、「両眼視差法」の原理により2つの画像を左右の目に見せることで、人工的に立体感が生み出される。すなわち、物を見たときに感じる奥行きや遠近感など、いわゆる立体感が左右の目で異なる画像を見ることによって得られることになる(図6(b))。
以上のように、パララックスバリア方式を採用することによって、本実施形態では専用メガネを使わずに、しかも低コストで立体画像を実現できる。なお、二次元の画像、すなわち平面画像を見せる場合には、左右の目に同じ画像を表示すればよく、このようにすることで、表示部35aに平面画像が映すことができる。なお、裸眼で立体画像を表示することができれば、パララックスバリア方式以外の方式、例えば、レンチキュラ方式を利用してもよい。
以上が、本発明の第1の実施の形態における遊技機1の構成である。続いて、遊技制御装置600による制御について具体的な処理を説明する。
〔メイン処理(遊技制御装置)〕
まず、メイン処理について説明する。図7は、本発明の第1の実施の形態のメイン処理の前半部のフローチャートである。図8は、本発明の第1の実施の形態のメイン処理の後半部のフローチャートである。
メイン処理は、遊技機1の電源投入時に実行が開始される。例えば、遊技場で営業を開始するために遊技機の電源を投入する場合や停電から復帰した場合に実行される。
遊技制御装置600は、メイン処理が実行されると、まず、割込みを禁止する(ステップA1001)。次いで、割込みが発生した場合に実行されるジャンプ先を示すベクタアドレスを設定する割込みベクタ設定処理を実行する(ステップA1002)。さらに、割込みが発生したときにレジスタ等の値を退避する領域の先頭アドレスであるスタックポインタを設定する(ステップA1003)。さらに、割込み処理のモードを設定する(ステップA1004)。
次に、遊技制御装置600は、払出制御装置(払出基板)640のプログラムが正常に起動するまで待機する(ステップA1005)。例えば、4ミリ秒間待機する。このように制御することによって、電源投入の際に、払出制御装置640の起動が完了する前に、遊技制御装置600が先に起動してコマンドを当該払出制御装置640に送信してしまうことによって、送信されたコマンドを払出制御装置640が取りこぼすことを回避することができる。
その後、遊技制御装置600は、RAMやEEPROM等の読出し書込み可能なRWM(リードライトメモリ)に対するアクセスを許可する(ステップA1006)。さらに、全出力ポートをオフ(出力が無い状態)に設定する(ステップA1007)。また、遊技用マイコン611に予め搭載されているシリアルポートを使用しない状態に設定する(ステップA1008)。本実施形態では、払出制御装置640や演出制御装置700とパラレル通信を行っているため、シリアルポートを使用しないためである。
続いて、遊技制御装置600は、電源装置800内の初期化スイッチ信号がオンに設定されているか否か判定する(ステップA1009)。初期化スイッチ信号は、遊技機1に電源が投入された場合に、初期化された状態で遊技を開始するか否かを設定するための信号である。
例えば、閉店時などに確変状態のまま電源が切断され、翌日の開店時に電源が投入された場合には、初期化された状態で遊技が開始されるように、初期化スイッチ信号がオンに設定される。一方、停電発生後に再度電源が投入された場合には、遊技を可能な限り停電前の遊技状態に近い状態で再開するために、遊技機が初期化されないように、初期化スイッチ信号がオフに設定される。
遊技制御装置600は、初期化スイッチ信号がオフに設定されている場合には(ステップA1009の結果が「N」)、RWM内の停電検査領域のデータが正常であるか否かをチェックする(ステップA1010〜ステップA1013)。さらに詳しく説明すると、停電検査領域には、停電検査領域1及び停電検査領域2が含まれている。そして、停電検査領域1には停電検査領域チェックデータ1、停電検査領域2には停電検査領域チェックデータ2が記憶される。ステップA1010及びステップA1011の処理では停電検査領域1に記憶された停電検査領域チェックデータ1が正常であるか否かをチェックする。同様に、ステップA1012及びステップA1013の処理では停電検査領域2に記憶された停電検査領域チェックデータ2が正常であるか否かをチェックする。
遊技制御装置600は、RWM内の停電検査領域の停電検査領域チェックデータが正常であると判定された場合には(ステップA1013の結果が「Y」)、チェックサムと呼ばれる検証用データを算出するチェックサム算出処理を実行する(ステップA1014)。
そして、遊技制御装置600は、チェックサム算出処理で算出されたチェックサムの値と、電源切断時に算出されたチェックサムの値とを比較し(ステップA1015)、これらの値が一致するか否かを判定する(ステップA1016)。
一方、遊技制御装置600は、初期化スイッチ信号がオンに設定されている場合(ステップA1009の結果が「Y」)、停電検査領域の値が正常でない場合(ステップA1011又はステップA1013の結果が「N」)、電源切断時のチェックサムの値とステップA1014の処理で算出されたチェックサムの値とが一致しない場合には(ステップA1016の結果が「N」)、図8のステップA1039からステップA1043までの初期化処理を実行する。初期化処理の詳細については後述する。
遊技制御装置600は、算出されたチェックサムの値と電源切断時のチェックサムの値とが一致する場合には(ステップA1016の結果が「Y」)、停電処理が正常に実行されたため、停電前の状態に復旧させるための処理を実行する(図8のステップA1017〜ステップA1023)。まず、停電時の情報が正常に記憶されていたか否かを判定するための情報が記憶されていた、RWM(リードライトメモリ:実施例ではRAM)内の領域をクリア(初期化)する。具体的には、すべての停電検査領域をクリアし(ステップA1017)、チェックサムが記憶されていた領域をクリアする(ステップA1018)。さらに、エラー関連の情報、及び不正行為を監視するための情報を記憶する領域をリセットする(ステップA1019)。
次に、遊技制御装置600は、RWM内の遊技状態を記憶する領域から停電発生時の遊技状態が高確率状態であったか否かを判定する(ステップA1020)。高確率でないと判定された場合には(ステップA1020の結果が「N」)、ステップA1023以降の処理を実行する。
また、遊技制御装置600は、停電発生時の遊技状態が高確率状態であったと判定された場合には(ステップA1020の結果が「Y」)、高確率報知フラグをオンに設定して高確率報知フラグ領域にセーブ(保存)する(ステップA1021)。続いて、一括表示装置50に設けられる高確率報知LED(第3遊技状態表示器58)をオン(点灯)に設定する(ステップA1022)。
さらに、遊技制御装置600は、特図ゲーム処理番号に対応する停電復旧時のコマンドを演出制御装置700に送信する(ステップA1023)。特図ゲーム処理番号は、特図ゲームの状態を示す番号であり、停電発生時にRWMの所定の領域に記憶されている。このように、特図ゲーム処理番号に対応する停電復旧時のコマンドを演出制御装置700に送信することによって、可能な限り停電発生前に近い状態で遊技を再開することができるのである。
ここで、初期化処理を実行する場合について説明する。前述のように、初期化処理は、正常に電源が切断された遊技機を起動する場合や停電発生前の状態に復帰できない場合に実行される。
遊技制御装置600は、初期化処理において、まず、アクセス禁止領域よりも前の全作業領域をクリアする(ステップA1039)。さらに、アクセス禁止領域よりも後の全スタック領域をクリアする(ステップA1040)。そして、初期化された領域に電源投入時用の初期値をセーブ(保存)する(ステップA1041)。
続いて、遊技制御装置600は、RWMクリアに関する外部情報を出力する期間に対応する時間値を設定する(ステップA1042)。そして、初期化処理の最後に電源投入時のコマンドを演出制御装置700に送信し(ステップA1043)、ステップA1024以降の処理を実行する。
遊技制御装置600は、ステップA1023B又はステップA1043の処理が終了すると、遊技用マイコン611(クロックジェネレータ)内のタイマ割込み信号及び乱数更新トリガ信号(CTC)を発生するCTC(Counter/Timer Circuit)回路を起動させる(ステップA1024)。
なお、CTC回路は、遊技用マイコン611内のクロックジェネレータに設けられている。クロックジェネレータは、水晶発振器613からの発振信号(原クロック信号)を分周する分周回路と、前述したCTC回路とを備えている。タイマ割込み信号は、分周された信号に基づいてCPU611aに所定周期(例えば、4ミリ秒)のタイマ割込みを発生させるための信号である。乱数更新トリガ信号(CTC)は、分周された信号に基づいて乱数生成回路に供給され、乱数生成回路が乱数を更新するトリガとなる。
遊技制御装置600は、CTC回路を起動すると、乱数生成回路の起動設定を行う(ステップA1025)。具体的には、CPU611aが乱数生成回路内の所定のレジスタ(CTC更新許可レジスタ)に乱数生成回路を起動させるためのコード(指定値)を設定するなどの処理を実行する。さらに、電源投入時の乱数生成回路内の所定のレジスタ(ソフト乱数レジスタ1〜n)の値を、対応する各種初期値乱数の初期値(スタート値)としてRWMの所定領域にセーブする(ステップA1026)。その後、遊技制御装置600は、割込みを許可する(ステップA1027)。
なお、本実施形態のCPU611a内の乱数生成回路では、電源投入毎にソフト乱数レジスタの初期値が変更されるように構成されており、ソフト乱数レジスタの初期値に基づいて各種初期値乱数の初期値(スタート値)を設定することによって、ソフトウェアで生成される乱数の規則性を崩すことが可能となり、遊技者による不正な乱数の取得を困難にすることができる。各種初期値乱数には、例えば、大当り図柄を決定する乱数(大当り図柄乱数1、大当り図柄乱数2)、普図変動表示ゲームの当りを決定する乱数(当り乱数)が含まれる。
続いて、遊技制御装置600は、各種初期値乱数の値を更新して乱数の規則性を崩すための初期値乱数更新処理を実行する(ステップA1028)。また、本実施形態では、大当り乱数は乱数生成回路において生成される乱数を使用して生成するように構成されている。すなわち、大当り乱数はハードウェアで生成されるハード乱数であり、大当り図柄乱数、当り乱数、変動パターン乱数はソフトウェアで生成されるソフト乱数である。なお、各種乱数の発生源は前述の態様に限定されるわけではなく、大当り乱数がソフトウェア乱数であってもよいし、大当り図柄乱数、当り乱数、変動パターン乱数がハードウェア乱数であってもよい。
さらに、初期値乱数更新処理が実行された後、遊技制御装置600は、電源装置800から入力され、ポート及びデータバスを介して読み込まれる停電監視信号をチェックする回数を設定する(ステップA1029)。チェック回数には、通常、2以上の値が設定される。停電監視信号をチェックすることによって停電が発生したか否かを判定することができる。遊技制御装置600は、停電監視信号がオンであるか否かを判定する(ステップA1030)。停電監視信号がオンでない場合、すなわち、停電していない場合には(ステップA1030の結果が「N」)、ステップA1028の初期値乱数更新処理を再び実行し、ステップA1028からステップA1030までの処理を繰り返し実行する(ループ処理)。
また、初期値乱数更新処理(ステップA1028)の前に割り込みを許可(ステップA1027)することによって、初期値乱数更新処理中にタイマ割込みが発生した場合に、割込み処理を優先して実行することが可能となる。したがって、初期値乱数更新処理の実行が完了するまでタイマ割込み処理を実行できないために、割込み処理に含まれる各種処理を実行する時間が不足してしまうことを回避できる。
なお、初期値乱数更新処理(ステップA1028)は、メイン処理の他に、タイマ割込み処理で初期値乱数更新処理を実行してもよい。ただし、タイマ割込み処理で初期値乱数更新処理を実行する場合には、両方の処理で初期値乱数更新処理が実行されることを回避するため、メイン処理における初期値乱数更新処理の実行時に割込みを禁止し、初期値乱数を更新後に割込みを解除する必要がある。しかし、本実施形態のようにタイマ割込み処理で初期値乱数更新処理を実行せず、メイン処理でのみ初期値乱数更新処理を実行すれば、初期値乱数更新処理の前に割込みを解除しても問題が生じることはなく、さらに、メイン処理が簡素化されるという利点がある。
一方、遊技制御装置600は、停電監視信号がオンに設定されている場合には(ステップA1030の結果が「Y」)、停電監視信号がオンに設定されていることを連続して検出した回数がステップA1029の処理で設定したチェック回数に到達したか否かを判定する(ステップA1031)。停電監視信号がオンに設定されていることを連続して検出した回数がチェック回数に到達していない場合には(ステップA1031の結果が「N」)、再度、停電監視信号がオンであるか否かを判定する(ステップA1030)。すなわち、停電監視信号がオンである場合にはチェック回数分だけ停電監視信号がオンであるか否かを判定する。
遊技制御装置600は、停電監視信号がオンに設定されていることを連続して検出した回数がチェック回数に到達した場合には(ステップA1031の結果が「Y」)、停電が発生したものと見なして停電発生時の処理を実行する(ステップA1032〜ステップA1038)。
遊技制御装置600は、割込みを禁止し(ステップA1032)、全出力ポートをオフに設定する(ステップA1033)。その後、停電復旧検査領域1に停電復旧検査領域チェックデータ1をセーブし(ステップA1034)、さらに、停電復旧検査領域2に停電復旧検査領域チェックデータ2をセーブする(ステップA1035)。
さらに、遊技制御装置600は、RWMの電源遮断時のチェックサムを算出するチェックサム算出処理を実行し(ステップA1036)、算出されたチェックサムの値をRWMのチェックサム領域にセーブ(保存)する(ステップA1037)。最後に、RWMの内容が変更されないように、RWMへのアクセスを禁止し(ステップA1038)、遊技機1の電源が遮断されるまで待機する。このように、停電復旧検査領域にチェック用のデータをセーブするとともに、電源遮断時のチェックサムを算出して記憶させることで、電源の遮断の前にRWMに記憶されていた情報が正しくバックアップされているか否かを電源再投入時に判定することが可能となる。
〔タイマ割込み処理(遊技制御装置)〕
次に、タイマ割込み処理について説明する。図9は、本発明の第1の実施の形態のタイマ割込み処理の手順を示すフローチャートである。
タイマ割込み処理は、クロックジェネレータ内のCTC回路によって生成される周期的(例えば、1ミリ秒周期)なタイマ割込信号がCPU611aに入力されることによって開始される。
タイマ割込み処理が開始されると、遊技制御装置600は、まず、所定のレジスタに保持されている値をRWMに移すことによってレジスタを退避させる(ステップA1101)。なお、本実施形態では遊技用マイコンとしてZ80系のマイコンを使用している。Z80系のマイコンには、表レジスタと裏レジスタが備えられており、表レジスタに保持されている値を裏レジスタに退避させることでステップA1101の処理を実装することが可能である。
次に、遊技制御装置600は、入力部620を介して入力される各種センサやスイッチなどからの入力信号を取り込み、各入力ポートの状態を読み込む入力処理を実行する(ステップA1102)。各種センサには、第1始動口スイッチ601、第2始動口スイッチ602、普図のゲートスイッチ603、カウントスイッチ605a、605bなどが含まれる。また、入力処理では、入力信号にチャタリング除去等を行って入力情報を確定させる。
さらに、遊技制御装置600は、各種処理でセットされた遊技制御に関する出力データを、演出制御装置700及び払出制御装置640に送信するための出力処理を実行する(ステップA1103)。出力データは、ソレノイド等のアクチュエータの駆動制御などを行うための情報であり、制御対象となるソレノイドには、例えば、大入賞口ソレノイド28、普電ソレノイド27が含まれる。また、出力処理では、遊技機における遊技データを収集する情報収集端末装置(図示せず)に遊技データを出力する処理も含まれる。
次に、遊技制御装置600は、各種処理で送信バッファにセットされたコマンドを演出制御装置700や払出制御装置640等に送信(出力)するコマンド送信処理を実行する(ステップA1104)。具体的には、特図変動表示ゲームにおける識別情報の変動パターンを指定する変動パターン指定コマンド、及び停電から復旧した場合に演出制御装置700に停電復旧処理を実行させる停電復旧コマンドを演出制御装置700に送信したり、払出装置から払い出す賞球数を指定する賞球コマンドを払出制御装置640に送信したりする。
さらに、遊技制御装置600は、大当り図柄乱数1及び大当り図柄乱数2を更新する乱数更新処理1を実行し(ステップA1105)、続いて特図変動表示ゲームにおける変動パターンを決定するための変動パターン乱数を更新する乱数更新処理2を実行する(ステップA1106)。乱数更新処理1及び乱数更新処理2では、各種乱数にランダム性を付与するために、各種乱数に対応するカウンタ(大当り乱数カウンタ、当り乱数カウンタ、演出決定用乱数カウンタなど)の値を1ずつ加算する。
その後、遊技制御装置600は、各種入賞口スイッチなどを監視したり、枠の不正な開放などのエラーを監視したりする入賞口スイッチ/エラー監視処理が実行される(ステップA1107)。各種入賞口スイッチには、例えば、第1始動口スイッチ601、第2始動口スイッチ602、ゲートスイッチ603、入賞口スイッチ604a〜604n、カウントスイッチ605a、605bが含まれる。入賞口スイッチ/エラー監視処理では、これらのスイッチから正常な信号が入力されているか否かを監視したりする。エラーの監視としては、前面枠5やガラス枠6が不正に開放されていないかなどを対象としている。
さらに、遊技制御装置600は、特図変動表示ゲームに関する処理を行う特図ゲーム処理を実行する(ステップA1108)。なお、特図ゲーム処理の詳細については、図10にて後述する。続いて、普図変動表示ゲームに関する処理を行う普図ゲーム処理を実行する(ステップA1109)。
次に、遊技制御装置600は、特図変動ゲームの表示や遊技に関する各種情報を表示するセグメントLEDの表示内容を制御するセグメントLED編集処理を実行する(ステップA1110)。具体的には、特図変動表示ゲーム及び普図変動表示ゲームの結果をセグメントLED(例えば、一括表示装置50)に出力するためのパラメータを編集する。
遊技制御装置600は、磁気センサスイッチ23や振動センサスイッチ24からの検出信号をチェックし、異常があるか否かを判定する磁石エラー監視処理を実行する(ステップA1111)。異常の発生を検出した場合には、スピーカー10から報知音を出力したり、遊技状態報知LED12を点灯させたりするなどして外部に報知する。
次に、遊技制御装置600は、外部情報端子660から出力する各種信号を編集する外部情報編集処理を実行する(ステップA1112)。
そして、遊技制御装置600は、割込み要求をクリアして割込みの終了を宣言する(ステップA1113)。その後、ステップA1101の処理で一時退避されていたレジスタを復帰させ(ステップA1114)、禁止設定されていた外部機器による割込み及びタイマ割込みを許可し(ステップA1115)、タイマ割込み処理を終了し、メイン処理に復帰する。
〔特図ゲーム処理〕
次に、前述したタイマ割込み処理における特図ゲーム処理(ステップA1108)の詳細について説明する。図10は、本発明の第1の実施の形態の特図ゲーム処理の手順を示すフローチャートである。
特図ゲーム処理では、第1始動口スイッチ601及び第2始動口スイッチ602による入力信号の監視、特図変動表示ゲームに関する処理全体の制御、特図(識別図柄、識別情報)の表示の設定を行う。
特図ゲーム処理が開始されると、遊技制御装置600は、まず、第1始動口スイッチ601及び第2始動口スイッチ602の入賞を監視する始動スイッチ監視処理を実行する(ステップA1201)。
始動口スイッチ監視処理では、第1始動入賞口37a、第2始動入賞口37bに遊技球の入賞があると、各種乱数(大当り乱数など)の抽出を行い、当該入賞に基づく特図変動表示ゲームの開始前の段階で入賞に基づく遊技結果を事前に判定する遊技結果事前判定を行う。
次に、遊技制御装置600は、カウントスイッチ監視処理を実行する(ステップA1202)。カウントスイッチ監視処理では、変動入賞装置41内に設けられたカウントスイッチ605a、605bによって当該変動入賞装置41に入賞した遊技球を検出し、入賞した遊技球の数を監視する。
次に、遊技制御装置600は、特図ゲーム処理タイマが既にタイムアップしているか、又は、特図ゲーム処理タイマを更新(−1)した結果、当該特図ゲーム処理タイマがタイムアップしたか否かをチェックする(ステップA1203)。なお、特図ゲーム処理タイマは、初期値として、実行される特図変動表示ゲームの変動時間がセットされ、ステップA1203の処理で当該特図ゲーム処理タイマの値を1減じる。特図ゲーム処理タイマの値が0になると、タイムアップしたと判断される。
遊技制御装置600は、特図ゲーム処理タイマがタイムアップしていない場合には(ステップA1204の結果が「N」)、ステップA1216以降の処理を実行する。
一方、遊技制御装置600は、特図ゲーム処理タイマがタイムアップした場合には(ステップA1204の結果が「Y」)、特図ゲーム処理番号に対応する処理に分岐させるために参照する特図ゲームシーケンス分岐テーブルをレジスタに設定する(ステップA1205)。さらに、当該テーブルに基づいて特図ゲーム処理番号に対応する処理の分岐先アドレスを取得する(ステップA1206)。そして、分岐処理終了後のリターンアドレスをスタック領域に退避させ(ステップA1207)、ゲーム処理番号に応じて処理を分岐させる(ステップA1208)。
遊技制御装置600は、ゲーム処理番号が「0」の場合には(ステップA1208の結果が「0」)、特図普段処理を実行する(ステップA1209)。特図普段処理は、特図変動表示ゲームの変動開始を監視し、特図変動表示ゲームの変動開始の設定や演出の設定、特図変動中処理を実行するために必要な情報の設定等を行う。
遊技制御装置600は、ゲーム処理番号が「1」の場合には(ステップA1208の結果が「1」)、特図変動中処理を実行する(ステップA1210)。特図変動中処理は、特図変動表示ゲームにおける識別情報の停止表示時間の設定や、特図表示中処理を行うために必要な情報の設定等を行う。
遊技制御装置600は、ゲーム処理番号が「2」の場合には(ステップA1208の結果が「2」)、特図表示中処理を実行する(ステップA1211)。特図表示中処理は、特図変動表示ゲームの結果が大当りであれば、大当りの種類に応じたファンファーレコマンドの設定や、各大当りの大入賞口開放パターンに応じたファンファーレ時間を設定したり、ファンファーレ/インターバル中処理を行うために必要な情報の設定等を行ったりする。
遊技制御装置600は、ゲーム処理番号が「3」の場合には(ステップA1208の結果が「3」)、ファンファーレ/インターバル中処理を実行する(ステップA1212)。ファンファーレ/インターバル中処理は、大入賞口の開放時間の設定や開放回数の更新、大入賞口開放中処理を行うために必要な情報の設定等を行う。
遊技制御装置600は、ゲーム処理番号が「4」の場合には(ステップA1208の結果が「4」)、大入賞口開放中処理を実行する(ステップA1213)。大入賞口開放中処理は、大当りラウンドが最終ラウンドでなければインターバルコマンドを設定する一方で最終ラウンドであれば大当り終了画面のコマンドを設定したり、大入賞口残存球処理を行うために必要な情報を設定したりする。
遊技制御装置600は、ゲーム処理番号が「5」の場合には(ステップA1208の結果が「5」)、大入賞口残存球処理を実行する(ステップA1214)。大入賞口残存球処理は、大当りラウンドが最終ラウンドの場合に大入賞口内にある残存球が排出されるための時間を設定したり、大当り終了処理を行うために必要な情報の設定等を行ったりする。
大入賞口残存球処理では、特別図柄の処理タイマの更新とファンファーレ/インターバル中処理、又は大当り終了処理を行うために必要な情報を設定する。また、大入賞口の最大開放時間が経過したか、又は大入賞口に遊技球が規定数(所定数)だけ入賞したかを判定し、いずれかの条件が成立した場合に開閉扉41aを閉鎖する。これが所定ラウンド数繰り返し実行された後、特図ゲーム処理番号を6に設定する。
遊技制御装置600は、ゲーム処理番号が「6」の場合には(ステップA1208の結果が「6」)、大当り終了処理を実行する(ステップA1215)。大当り終了処理は、ステップA1209の特図普段処理を行うために必要な情報を設定したり、大当り終了後の遊技状態(確変状態、時短状態)を設定したりする。
その後、遊技制御装置600は、一括表示装置50(特図1表示器)における図柄の変動を制御するためのテーブルを準備する(ステップA1216)。続いて、一括表示装置50(特図1表示器)に係る図柄変動制御処理を実行する(ステップA1217)。
さらに、遊技制御装置600は、一括表示装置50(特図2表示器)における図柄の変動を制御するためのテーブルを準備する(ステップA1218)。続いて、一括表示装置50(特図2表示器)に係る図柄変動制御処理を実行する(ステップA1219)。
以上が、遊技制御装置600による制御である。続いて、演出制御装置700による制御について具体的な処理を説明する。
〔1stCPUメイン処理(演出制御装置)〕
次に、演出制御装置700によって実行されるメイン処理の詳細を説明する。図11は、本発明の第1の実施の形態の演出制御装置700の主制御用マイコン(1stCPU)710によって実行されるメイン処理の手順を示すフローチャートである。メイン処理は、遊技機1に電源が投入されると実行される。
主制御用マイコン(1stCPU)710は、メイン処理の実行が開始されると、まず、割込みを禁止する(ステップB1001)。次に作業領域であるRAM711を0クリアする(ステップB1002)。そしてCPU初期化処理を実行する(ステップB1003)。その後、各種処理の実行に必要な初期値をRAM711に設定し(ステップB1004)、乱数初期化処理を実行する(ステップB1005)。続いて所定のタイミング(例えば、1ミリ秒)で割込みを発生させるための各種割込みタイマを起動させる(ステップB1006)。そして割込みを許可する(ステップB1007)。割込みが許可されると、遊技制御装置600から送信されたコマンドを受信するコマンド受信割込み処理が実行可能な状態となる。
ここで、主制御用マイコン(1stCPU)710は、WDT(ウォッチドックタイマ)をクリアする(ステップB1008)。WDTは、上述したCPU初期化処理(ステップB1003)で起動され、CPUが正常に動作しているかどうかを監視する。WDTが一定周期を経過してもクリアされない場合は、WDTがタイムアップしてCPUがリセットされる。
そして、主制御用マイコン710は、遊技者による演出ボタン17の操作信号を検出したり、検出した信号に応じた処理を実行したりする(ステップB1009)。また遊技制御装置600から受信した遊技制御コマンドを解析する遊技制御コマンド解析処理を実行する(ステップB1010)。
次に、主制御用マイコン710は、テストモード処理を実行する(ステップB1011)。テストモード処理は、工場出荷時の検査の際に検査用のコマンドを受信してLEDの点灯等を検査する。したがって、テストモード処理は、工場出荷時にCPUを検査するときに実行される。
続いて、主制御用マイコン710は、遊技制御コマンド解析処理(ステップB1010)において解析された制御コマンドに基づき、変動表示装置35に表示させるシーン(表示内容)を制御するシーン制御処理を実行する(ステップB1012)。シーン制御処理では、画面の表示内容を統括的に制御する。そして、大当りの期待度の高い変動表示ゲームが実行されることなどを事前に報知する先読み予告制御処理も含まれる。
さらに、主制御用マイコン710は、遊技機1における異常の発生を監視する遊技機エラー監視処理を実行する(ステップB1013)。演出制御装置700に関わる異常の他に、遊技制御装置600からエラー報知を指示するコマンドを受信した場合などに、警報音の報知など所定の処理を実行する。
そして、主制御用マイコン710は、映像制御用マイコン(2ndCPU)720に送信するコマンドを編集する演出コマンド編集処理を実行する(ステップB1014)。
また、主制御用マイコン710は、スピーカー10から出力される音を制御するサウンド制御処理を実行する(ステップB1015)。また、LED等の装飾装置(盤装飾装置10d、枠装飾装置21)を制御する装飾制御処理を実行し(ステップB1016)、さらにモータ及びソレノイドで駆動される電動役物や可動式照明などの演出装置(盤演出装置10f、枠演出装置22)を制御するモータ/SOL制御処理を実行する(ステップB1017)。
最後に、主制御用マイコン710は、演出乱数などの乱数を更新するための乱数更新処理を実行して(ステップB1018)、ステップB1008の処理に戻る。以降、ステップB1008からステップB1018までの処理を繰り返す。
〔1stシーン制御処理〕
次に、前述した1stメイン処理における1stシーン制御処理(ステップB1012)の詳細について説明する。図12は、本発明の第1の実施の形態の1stシーン制御処理の手順を示すフローチャートである。
主制御用マイコン710は、まず、遊技機1がテスト中モードであるか否かを判定する(ステップB1101)。テスト中モードの場合には(ステップB1101の結果が「Y」)、1stシーン制御処理を終了する。
主制御用マイコン710は、遊技機1がテスト中モードでない場合には(ステップB1101の結果が「N」)、遊技制御装置600から送信されたシーン変更コマンドを受信しているか否かを判定する(ステップB1102)。シーン変更コマンドを受信していない場合には(ステップB1102の結果が「N」)、ステップB1107以降の処理を実行する。
主制御用マイコン710は、シーン変更コマンドを受信している場合には(ステップB1102の結果が「Y」)、更新する(現在の)遊技状態を取得する(ステップB1103)。さらに、有効なコマンドを受信しているか否かを判定する(ステップB1104)。具体的には、変更先のシーンが現在の遊技状態と整合するか否かなどを判定する。主制御用マイコン710は、有効なコマンドを受信していない場合には(ステップB1104の結果が「N」)、ステップB1107以降の処理を実行する。
主制御用マイコン710は、有効なコマンドを受信した場合には(ステップB1104の結果が「Y」)、受信したコマンドをメモリにセーブする(ステップB1105)。さらに、演出リクエストフラグをセットする(ステップB1106)。演出リクエストフラグは、シーンを変更するタイミングであることを示すフラグであり、後述する変動中処理(ステップB1111)で、演出リクエストフラグが設定されているか否かに応じた処理が実行される。
続いて、主制御用マイコン710は、受信したコマンドの識別子に応じた処理を実行する(ステップB1107)。
主制御用マイコン710は、受信したコマンドが「電源投入コマンド」の場合には、電源投入処理を実行する(ステップB1108)。電源投入処理では、遊技機1の電源が投入された際に表示される画面の制御を行う。
主制御用マイコン710は、受信したコマンドが「停電復旧コマンド」の場合には、停電復旧処理を実行する(ステップB1109)。停電復旧処理では、遊技機1が停電から復旧した際に表示される画面の制御を行う。なお、停電前に客待ち処理が実行されていた場合には特別な処理を実行しない。
主制御用マイコン710は、受信したコマンドが「客待ちデモコマンド」の場合には、客待ち処理を実行する(ステップB1110)。客待ち処理では、変動表示ゲームが最後に実行されてから所定時間経過した場合に表示される画面の制御を行う。
主制御用マイコン710は、受信したコマンドが「変動パターンコマンド」の場合には、変動中処理を実行する(ステップB1111)。変動中処理では、設定された変動パターンに応じたシーンを表示するために必要な情報を取得し、設定された変動パターンに対応した演出制御を行う。変動中処理の詳細については、図13にて後述する。
主制御用マイコン710は、受信したコマンドが「図柄停止コマンド」の場合には、図柄停止処理を実行する(ステップB1112)。図柄停止処理では、図柄の変動表示を指定された図柄で停止させる。
主制御用マイコン710は、受信したコマンドが「ファンファーレコマンド」の場合には、ファンファーレ処理を実行する(ステップB1113)。ファンファーレ処理では、発生した大当りに対応するファンファーレを出力する。
主制御用マイコン710は、受信したコマンドが「大入開放n回目コマンド」の場合には、ラウンド中処理を実行する(ステップB1114)。ラウンド中処理では、特別遊技状態における各ラウンド中の演出制御を行う。
主制御用マイコン710は、受信したコマンドが「インターバルコマンド」の場合には、インターバル処理を実行する(ステップB1115)。インターバル処理では、特別遊技状態における各ラウンド間の演出制御を行う。
主制御用マイコン710は、受信したコマンドが「エンディングコマンド」の場合には、エンディング処理を実行する(ステップB1116)。エンディング処理では、特別遊技状態が終了した際の演出制御を行う。
続いて、主制御用マイコン710は、各コマンドに基づく処理の実行が完了すると、図柄コマンド受信処理を実行する(ステップB1117)。図柄コマンドには、停止図柄を指定する情報が含まれる。
さらに、主制御用マイコン710は、保留数コマンド受信処理を実行する(ステップB1118)。保留数コマンドは、特図変動表示ゲームを実行するための更新された保留数を通知するコマンドである。そして、保留数コマンド受信処理は、受信した保留数に基づいて、保留表示などを更新する。
次に、主制御用マイコン710は、先読みコマンド受信処理を実行する(ステップB1119)。先読みコマンド受信処理は、先読みコマンド(事前演出図柄コマンド、事前演出変動コマンド)を受信し、受信したコマンドに基づいて保留表示演出等を設定する処理である。なお、先読みコマンドと事前判定コマンドは同じコマンドを示している。
次に、主制御用マイコン710は、確率情報コマンド受信処理を実行する(ステップB1120)。確率情報コマンド受信処理は、受信した確率情報コマンドに基づいて、内部確率等の遊技状態を設定する処理である。確率情報コマンドには、例えば、高確/時短コマンド、低確/時短コマンド、低確/サポなしコマンドなどが含まれる。
続いて、前述した1stシーン制御処理における変動中処理(ステップB1111)の詳細について説明する。図13は、本発明の第1の実施の形態の変動中処理の手順を示すフローチャートである。
主制御用マイコン710は、まず、演出リクエストフラグが設定されているか否かを判定する(ステップB1201)。演出リクエストフラグが設定されている場合には(ステップB1201の結果が「Y」)、各種情報を設定する。
具体的には、主制御用マイコン710は、まず、PB(プッシュボタン)情報をクリアする(ステップB1202)。PB(プッシュボタン)情報とは、演出ボタン17による入力情報である。
続いて、主制御用マイコン710は、可動体リクエストをセットする(ステップB1203)。すなわち、演出内容にあわせて可動式照明や電動役物の動作態様を設定する。
さらに、主制御用マイコン710は、変動パターン情報設定処理を実行する(ステップB1204)。変動パターン情報設定処理では、特図変動表示ゲームの停止図柄を設定したり、変動パターンコマンドに基づいて変動時間や予告演出を設定したりする。
さらに、変動パターン情報設定処理では、変動パターンなどの情報に基づいて、3D演出の出現頻度を制御しながら3D演出を実行するか否かを決定する。例えば、大当りが発生する場合には、はずれの場合よりも3D演出が実行されやすくなるように演出内容を設定する。なお、変動パターン情報設定処理では、3D演出を実行する場合でも具体的な演出内容は決定しない。
続いて、主制御用マイコン710は、3D演出設定処理を実行する(ステップB1205)。3D演出設定処理は、立体画像を出力する演出を実行する。3D演出設定処理の詳細については、図14にて後述する。
次に、主制御用マイコン710は、乱数シード初期化処理を実行する(ステップB1206)。乱数シード初期化処理は、演出内容を決定するためなどに使用する乱数のシードを初期化する処理である。
さらに、主制御用マイコン710は、設定された変動パターンに対応するシーンシーケンステーブルを設定する(ステップB1207)。
さらに、主制御用マイコン710は、変動回数を管理する変動回数管理処理を実行する(ステップB1208)。さらに、演出リクエストフラグをクリアする(ステップB1209)。
一方、主制御用マイコン710は、演出リクエストフラグが設定されていない場合には(ステップB1201の結果が「N」)、更新タイマによって表示演出状態を変更するか否かを判定する。具体的には、まず、更新タイマが0、すなわち、タイムアップしたか否かを判定する(ステップB1210)。
主制御用マイコン710は、更新タイマがタイムアップした場合には(ステップB1212の結果が「Y」)、シーンシーケンステーブルに設定された次のシーンデータを設定する(ステップB1211)。
続いて、前述した変動中処理における3D演出設定処理(ステップB1205)の詳細について説明する。図14は、本発明の第1の実施の形態の3D演出設定処理の手順を示すフローチャートである。
主制御用マイコン710は、まず、開始される変動パターンにおいて、3Dステップアップ予告(3DSU予告)が実行されるか否かを確認する(ステップB1301)。3Dステップアップ予告とは、変動表示ゲームの演出において、信頼度に応じて段階的に立体深度(表示部35aの表示面からの離間距離)が変化する演出が実行される。
そして、主制御用マイコン710は、3Dステップアップ予告が実行されるか否かを判定する(ステップB1302)。3Dステップアップ予告を実行しない場合には(ステップB1302の結果が「N」)、本処理を終了する。
一方、主制御用マイコン710は、3Dステップアップ予告を実行する場合には(ステップB1302の結果が「Y」)、各種変動情報を確認し(ステップB1303)、大当り変動か否かを判定する(ステップB1304)。大当り変動の場合には(ステップB1304の結果が「Y」)、大当り時の3DSU予告態様選択テーブルを設定する(ステップB1305)。一方、大当り変動でない場合(ステップB1304の結果が「Y」)、すなわち、はずれの場合には、はずれ時の3DSU予告態様選択テーブルを設定する(ステップB1306)。なお、3DSU予告態様選択テーブルの具体例については、図17にて後述する。
次に、主制御用マイコン710は、選択されたテーブルに基づいて、3Dステップアップ予告の態様を選択する(ステップB1307)。そして、選択された態様の3Dステップアップ予告を設定し(ステップB1308)、本処理を終了する。
そして、3D演出設定処理によって設定された3Dステップアップ予告の態様に基づいて演出制御装置700が平面画像を立体画像に切り替える。したがって、主制御用マイコン710は、表示部35aに出力される画像を平面画像から立体画像に切り替える画像切替制御手段をなしている。また、ステップB1307において、3DSU予告態様選択テーブルに設定された立体深度の異なる画像切替パターンを選択していることから、主制御用マイコン710は、画像切替パターン選択手段及び立体画像選択手段をなしている。
続いて、図15から図19を参照しながら、本発明の第1の実施の形態の3Dステップアップ予告の内容について説明する。
図15は、本発明の第1の実施の形態の3Dステップアップ予告の各ステップを説明する図である。
第1の実施の形態の3Dステップアップ予告の各ステップには、平面画像、立体深度の異なる3種類の立体画像1〜3、可動役物(演出装置)による演出が含まれる。
平面画像は、通常の演出と同様の二次元画像が出力される。このとき、キャラクタの背景色は白色となっている。平面画像による演出は、他の演出と比較して大当りが発生する期待度が一番小さくなっている。
立体画像は、立体深度ごとに3種類設定されており、立体深度が深いほど大当りの期待度が大きくなるように設定されている。また、キャラクタの背景色は、立体深度ごとに異なる色が設定されており、立体画像1では「青色」、立体画像2(第1立体画像)では「黄色」、立体画像3(第2立体画像)では「赤色」となっている。なお、キャラクタの背景色は、キャラクタから発せられるオーラのようなものであってもよい。
このように、立体深度と背景色とを関連付けて表示することによって、遊技者が立体深度を認識しにくい場合であっても色を目安に演出の信頼度を理解することが可能となる。
可動役物による演出では、演出動作ユニット53において、第1可動演出部材61が下限、第2可動演出部材62が上限に移動することによって、これらの可動演出部材が合体する。そして、合体時には、可動演出部材に備えられた装飾部の前面に描かれているキャラクタが完成し、変動表示装置35の前面にキャラクタが表示される。このとき、キャラクタの背景色は、黄色又は赤色となっており、可動役物による演出が実行される前に表示された立体画像に応じて決定される。キャラクタの背景色は、対応する色の発光源を備えるようにすればよく、発光源は可動演出部材に備えられていてもよいし、別の位置から対応する光を照射するようにしてもよい。
なお、可動演出部材を透明(又は半透明)な部材で構成し、変動表示装置35に入力されたキャラクタを視認できるように構成してもよい。
3次元ステップアップ演出では、最初に平面画像が出力され、期待度に応じて、各立体画像が順次表示される。そして、期待度が高い場合には、可動役物による演出が実行されるように構成される。3Dステップアップ予告の態様の選択パターンについて、図16を参照しながら説明する。
図16は、本発明の第1の実施の形態の3Dステップアップ予告態様の選択パターンの詳細を説明する図である。前述のように、3Dステップアップ予告は、大当りの期待度の低い演出(平面画像)から期待度の高い演出(立体画像、可動役物)にステップアップする。
本発明の第1の実施の形態では、図16に示すように、選択パターン1から5までの5種類のパターンが定義されている。なお、図16に示す選択パターンにおける進行順序では、背景色の遷移を示している。各選択パターンでは、最初に、背景色が白である平面画像が表示され、その後、段階的に立体画像が表示されたり、可動役物が動作したりする。
選択パターン1では、図18(A)に示すように、背景色が白色の平面画像が表示された後、立体深度の最も浅い背景色が青色の立体画像1が表示されるように構成されている。選択パターン1では、立体画像1が表示された後には演出が進行しないため、演出の進行速度は遅くなっている。なお、選択パターン1のように進行速度の遅い演出が実行される場合には、演出ボタン17を連続的に操作することによって立体深度を深くするようにしてもよい。
選択パターン2(第1切替パターン)では、図19(A)に示すように、選択パターン1と同様に、背景色が青色の立体画像1が表示された後、立体深度が中程度の背景色が黄色の立体画像2(第1立体画像)が表示される。選択パターン2においても、立体画像2が表示された後には演出が進行せず、可動役物も動作しないため、演出の進行速度は遅い設定となっている。
選択パターン3(第3切替パターン)では、図19(B)に示すように、選択パターン2と同様に、背景色が黄色の立体画像2が表示された後、演出装置(可動役物)が動作する。このとき、可動役物に表示されるキャラクタの背景色は直前に表示されていた立体画像2と同じ黄色となる。選択パターン3は、演出装置が作動するため、演出の進行速度が速い設定となっている。
選択パターン4(第2切替パターン)では、図18(B)に示すように、選択パターン2と同様に、背景色が黄色の立体画像2が表示された後、立体深度が深い背景色が赤色の立体画像3(第2立体画像)が表示される。その後、演出装置(可動役物)が動作する。このとき、可動役物に表示されるキャラクタの背景色は直前に表示されていた立体画像3と同じ赤色となる。選択パターン4は、演出装置が作動するため、演出の進行速度が速い設定となっている。
このように、選択パターン4では、最初に平面画像が表示されてから、段階的に立体深度が深くなるように制御され、最後のステップで可動役物によって手前にキャラクタが表示されるように構成されている。また、ステップ数が多くなるほど演出の進行速度が速くなるため、遊技者は演出の前半においても演出の切り替えタイミングによって実行中の変動表示ゲームの期待度を把握することができる。なお、ステップ数が少ない場合でも演出の進行速度を速く制御するいわゆるガセパターンを設けるようにしてもよい。
さらに、選択パターン5では、立体画像2が表示されるまで、段階的に変化した後、演出が終了せずに、再び平面画像が表示されるまで段階的に変化するように構成されている。選択パターン5は、変動表示ゲームの結果が大当りの場合にのみ選択されるプレミアパターンであるため、他の選択パターンとは異なる特別な態様で演出が実行される。なお、立体画像2の後に立体画像3を表示したり、可動役物を作動させてから再び平面画像や立体画像が表示されるようにしてもよい。また、立体画像2と立体画像3とを交互に表示し、最後に可動役物を表示させるようにしてもよい。
なお、演出の進行速度が高い選択パターンが設定されている場合には、演出ボタン17を操作することによって、さらに、演出の進行速度を進めるようにしてもよい。したがって、3Dステップアップ予告実行時に演出ボタン17を操作することによって、表示されたキャラクタの立体深度の進行を早くすることができる。
図17は、本発明の第1の実施の形態の3Dステップアップ予告の態様を選択するテーブルの一例を示す図であり、(A)は変動表示ゲームの結果がはずれの場合、(B)は変動表示ゲームの結果が大当りの場合である。
なお、図17に示す3Dステップアップ予告の態様を選択するためのテーブルは、3Dステップアップ予告を実行する場合に設定される。したがって、3Dステップアップ予告が実行されない場合、すなわち、平面画像のみで演出が実行される場合には、図17に示すテーブルは使用されないようになっている。
(A)に示すように、変動表示ゲームの結果がはずれの場合には、期待度の低い選択パターン1が選択される確率が70%の確率で選択されるように高くなるように設定されている。また、選択パターン5は、大当りの場合にのみ実行される演出であるため、はずれの場合には実行されない。
一方、(B)に示すように、変動表示ゲームの結果が大当りの場合には、期待度の高い選択パターン2以降のパターンが選択されやすくなるように設定されている。
最後に、選択パターン2及び選択パターン3による演出制御を、各パターンのタイムチャートを参照しながら説明する。図20は、本発明の第1の実施の形態の選択パターン2及び選択パターン3による演出制御のタイムチャートである。なお、図20では変動時間が同じになるように設定されている。
前述のように、選択パターン2及び選択パターン3のいずれかが選択された場合であっても、演出が開始されると、まず、平面画像が表示される(時刻t1)。その後、いずれのパターンであっても時刻t2において立体画像1が表示される。
図17に示したように、選択パターン2では進行速度が遅く設定されているため、時刻t3の時点では、立体画像1が表示されたままの状態となっている。その後、時刻t4から時刻t7まで継続して立体画像2が表示され、演出が終了する。
一方、選択パターン3では進行速度が早く設定されており、時刻t3の時点で立体画像2が表示される。その後、時刻t5で立体画像2の表示が終了し、このタイミングで可動役物による演出が実行される。このとき、表示部35aにはキャラクタが表示されていない状態となっているが、可動役物による演出が実行中であっても表示したままであってもよいし、可動演出部材の移動が完了するまで表示を継続するようにしてもよい。そして、可動役物による演出が継続し、時刻t6まで可動役物に描かれたキャラクタが継続して表示される。
以上のように、変動時間が同じであっても、演出の進行速度、すなわち、立体画像が表示されている時間が選択パターンによって相違する。例えば、図の矢印に示すように、選択パターン2では、立体画像1が表示されている時間が時刻t2から時刻t4までの間となるが、選択パターン3では、時刻t2から時刻t3までの間となり、選択パターン3のほうが短い時間となる。したがって、遊技者は演出の前半における画像の切り替えタイミングによって実行中の変動表示ゲームの期待度を把握することが可能となり、興趣を高めることができる。
〔第1の実施の形態の効果〕
本発明の第1の実施の形態によれば、変動表示装置35に表示される画像として立体画像が表示される場合に、段階的に立体画像の立体深度を変化させてから可動役物を当該立体画像の前方に移動させるため、立体画像が実物に変化したような印象を与えることが可能となり、インパクトの強い予告演出を実現することができる。
また、立体深度が深くなるほど変動表示ゲームで大当りとなる期待度が高くなり、さらに、可動役物が動作した場合にはさらに期待度が高まるため、一連の演出態様の変化によって興趣を高めることができる。
また、立体画像の立体深度が深くなった後にキャラクタが描かれた演出装置が作動するので、立体画像が実物に変化したような印象をより一層強めることができる。
さらに、本発明の第1の実施の形態によれば、立体深度と背景色などの表示態様が対応しているため、立体深度を感じにくい遊技者であっても、立体深度の変化を表示態様から認識することが可能となり、大当りへの期待感を確実に高めることができる。
また、段階が進んだ立体画像の表示態様に対して、可動役物において関連する発光態様に制御することによって、演出装置の動作及び発光が一連の演出の進行結果であることを認識しやすくすることができ、より大当りへの期待感を高めることができる。
さらに、本発明の第1の実施の形態によれば、可動役物(演出装置)による演出パターンが複数実行可能となっているため、意外性に富んだ演出を実行することが可能となり、興趣を高めることができる。
〔第1の実施の形態の変形例〕
第1の実施の形態では、変動表示装置35に表示される背景色は同じ領域であったが、立体深度に応じて背景色の表示領域が異なる変形例について説明する。
図21は、本発明の第1の実施の形態の変形例の3Dステップアップ予告の各ステップを説明する図である。
第1の実施の形態の変形例の3Dステップアップ予告の各ステップは、第1の実施の形態と同様に、平面画像、立体深度の異なる3種類の立体画像1〜3、可動役物による演出が含まれる。しかし、第1の実施の形態と異なり、背景色が表示される領域が、期待度に高いほど広くなるように設定されている。なお、背景色は同じである。
また、可動役物に表示されるキャラクタ及び背景色が表示される領域は、直前に表示された立体画像の大きさと同じになるようにすることによって、違和感なく演出を実行することができる。このとき、可動役物のキャラクタを表示する領域を立体画像2の大きさから立体画像3の大きさに変換可能に構成する。可動役物そのものの大きさを変換可能に構成してもよいし、キャラクタの背景の表示領域を変換可能に構成してもよい。例えば、可動役物の大きさを立体画像3と同じ大きさとし、可動役物の後方から背景色にあわせて発光させる構成として、発光する領域を立体画像に合わせた領域に設定するようにしてもよい。
図22は、本発明の第1の実施の形態の変形例の選択パターン4の各ステップにおける演出を説明する図である。
この場合における演出は、第1の実施の形態と同様のステップで進行するが、期待度が大きくなるにつれてキャラクタの背景部が拡大されていく。これにより、可動役物が作動することに対する期待感が増し、興趣を高めることができる。
〔第1の実施の形態の変形例の効果〕
以上のように、本発明の第1の実施の形態の変形例によれば、立体深度を感じにくい遊技者であっても、立体深度の変化を表示の大きさによって認識することが可能となるため、大当りへの期待感を確実に高めることができる。
さらに、本発明の第1の実施の形態の変形例によれば、装飾部の状態を、段階が進んだ立体画像の大きさに対応する状態に制御することで、可動役物(演出装置)の動作が一連の演出の進行結果であることを認識しやすくすることができる。
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、所定のステップにおいて、立体画像の代わりに可動役物による演出が実行されるように構成されていたが、第2の実施の形態では、立体画像と可動役物とが協調して演出を実行するように構成されている。なお、以下では、前述した第1の実施の形態と相違する点を中心に説明し、第1の実施の形態と同一の構成には同じ符号を付して説明を省略する。
〔第1例〕
第2の実施の形態の第1例では、変動表示装置35の表示部35aに、キャラクタ及びこのキャラクタが装備する兜が表示される。また、可動役物は、兜の形状をしており、第1の実施の形態と同様に、信頼度の高い選択パターンの場合に動作するように定義されている。以下、図23から図25を参照しながら説明する。
図23は、本発明の第2の実施の形態の第1例の3Dステップアップ予告の各ステップを説明する図である。
第2の実施の形態では、第1の実施の形態の背景色の代わりに各ステップに対応した色の兜が表示され、兜を装備したキャラクタが表示される。立体画像では、キャラクタ及び兜が立体的に表示される。
第2の実施の形態の第1例における演出装置(可動役物)には、図24に示すように、第1可動演出部材61に兜の上部、第2可動演出部材62に兜の下部に対応する装飾部が備えられる。そして、表示部35aにキャラクタが表示されている状態で第1可動演出部材61が下方、第2可動演出部材62が上方に移動する。このとき、図25に示すように、立体表示されたキャラクタの立体深度が、兜を構成する装飾部と表示部35aとの離間距離と一致するように設定される。このようにすることによって、立体画像であるキャラクタと役物とが一体化したかのように遊技者に感じさせることができる。
〔第2例〕
第2例では、第1可動演出部材61と第2可動演出部材62の間をキャラクタが通り抜ける演出が実行される。図26は、本発明の第2の実施の形態の第2例における予告演出の画面遷移を示す図である。
図26では、画面(A)及び(B)に示すように、変動開始後、キャラクタが登場し、上下の役物の間を通り抜け、「大当り」に到達すると、変動表示ゲームの結果が大当りとなる演出を示している。このとき、キャラクタは立体表示されており、立体表示されたキャラクタの立体深度が、兜を構成する装飾部と表示部35aとの離間距離と一致するように設定され、あたかも可動役物の間を通り抜けているかのように表示される。
画面(C1)は、役物の間を通り抜ける前にキャラクタが役物に挟まれた様子を示しており、画面(D1)に示すようにキャラクタがつぶされてしまう演出が実行される。このとき、変動表示ゲームの結果ははずれとなる。
一方、画面(C2)は、役物の間を通り抜けることに成功し、「大当り」にキャラクタが到達した様子を示しており、その後、画面(D2)に示すように変動表示ゲームが大当りとなる演出が実行される。
〔第3例〕
第3例では、第1可動演出部材61と第2可動演出部材62の間にキャラクタが配置され、キャラクタが可動役物に挟まれないように動く演出が実行される。図27は、本発明の第2の実施の形態の第3例における予告演出の画面遷移を示す図である。
図27では、リーチが発生すると、画面(A)に示すようにキャラクタが登場し、画面(B)(C)に示すように、上下の役物に体当たりする演出が実行される。このとき、演出ボタン17を連打することによって、体当たり回数を増やすことができるようにしてもよい。
そして、画面(D)に示すように、識別図柄の変動停止時に当り図柄が表示されるように可動役物を移動させれば変動表示ゲームの結果が大当りとなる。
以上のように、本発明の第2の実施の形態では、可動役物と立体画像とが一体化された演出を実行することによって、インパクトの強い演出を実行することができ、遊技の興趣を一層高めることができる。
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態では、立体画像及び可動役物によって先読み予告演出を実行する。以下、図28から図34を参照しながら先読み予告を実行する構成について説明する。
〔特図保留情報判定処理〕
特図保留情報判定処理は、各始動記憶に基づく特図変動表示ゲームの開始タイミングより前に当該始動記憶に対応した結果関連情報(遊技結果情報)を判定するための先読み処理である。図28は、本発明の第3の実施の形態の特図保留情報判定処理の手順を示すフローチャートである。特図保留情報判定処理は、始動口スイッチ監視処理(図10のステップA1201)において実行される特図始動口スイッチ共通処理で実行される。
遊技制御装置600は、まず、先読み演出(予告)の実行条件を満たしているか否かをチェックし(ステップA1501)、先読み演出の実行条件を満たしているか否かを判定する(ステップA1502)。先読み演出の実行条件は、例えば、遊技球が第1始動入賞口37aに入賞した場合には、普電サポートなし、かつ、特別遊技状態でないことである。また、遊技球が第2始動入賞口37bに入賞した場合には常に先読み演出の実行条件を満たす。なお、先読み禁止コマンドを送信する条件、すなわち、停電復帰後、変動表示ゲームの実行回数が8回未満の場合にも先読み演出の実行条件を満たさないと判定してもよい。
遊技制御装置600は、先読み演出の実行条件を満たしている場合には(ステップA1502の結果が「Y」)、保留中の始動記憶が大当りであるか否かを判定する大当り判定処理を実行する(ステップA1503)。大当り判定処理は、保留中の始動記憶に含まれる大当り乱数値が大当り判定値と一致するか否かを判定することによって、当該始動記憶にかかる変動表示ゲームの結果が大当りであるか否かを判定する。
一方、遊技制御装置600は、先読み演出の実行条件を満たしていない場合には(ステップA1502の結果が「N」)、特図保留情報判定処理を終了する。すなわち、第1始動入賞口37aに入賞し、かつ、普電サポート中又は大当り中の場合には、当該始動記憶に対応した結果関連情報(遊技結果情報)を判定する先読み処理を実行しないように構成される。なお、先読み禁止コマンドを送信する条件、すなわち、停電復帰後、変動表示ゲームの実行回数が8回未満の場合にも先読み処理を実行しないようにしてもよい。
その後、遊技制御装置600は、ステップA1503の大当り判定処理の判定結果が大当りであるか否かを判定する(ステップA1504)。大当り判定処理の判定結果が大当りでない場合には(ステップA1504の結果が「N」)、演出内容を選択するためのテーブルとしてはずれ情報テーブルを設定する(ステップA1507)。そして、ステップA1508以降の処理を実行する。
一方、大当り判定処理の判定結果が大当りの場合には(ステップA1504の結果が「Y」)、遊技制御装置600は、入賞した始動口に対応する大当り図柄乱数チェックテーブルを大当り時の識別図柄を特定するためのテーブルとして設定する(ステップA1505)。大当り図柄乱数チェックテーブルには、大当りか否かの振り分け率を表す乱数の判定値や当該判定値に対応する大当り情報テーブルのアドレスが定義されている。
さらに、遊技制御装置600は、ステップA1505の処理で設定された大当り図柄乱数チェックテーブルから大当り図柄乱数をチェックし、対応する大当り情報テーブルを取得し、設定する(ステップA1506)。大当り情報テーブルには、図柄情報や始動口入賞演出図柄コマンドが定義されている。
続いて、遊技制御装置600は、ステップA1506の処理で設定した大当り情報テーブル又はステップA1507の処理で設定したはずれ情報テーブルから図柄情報を取得し、当該図柄情報をRWMの作業用の図柄情報領域にセーブする(ステップA1508)。
そして、遊技制御装置600は、設定した情報テーブルから始動口入賞演出図柄コマンドを取得し、当該始動口入賞演出図柄コマンドをRWMの入賞演出図柄コマンド領域にセーブする(ステップA1509)。
次に、遊技制御装置600は、監視対象の始動口スイッチに対応する始動口入賞フラグを準備し(ステップA1510)、始動口入賞演出コマンドを設定する対象のテーブルを準備する(ステップA1511)。
その後、遊技制御装置600は、監視対象の始動口に関して設定された特図情報を設定するための特図情報設定処理を実行する(ステップA1512)。続いて、特図変動表示ゲームにおける変動態様のうち、後半変動パターンを設定する後半変動パターン設定処理を実行した後(ステップA1513)、特図変動表示ゲームの前半変動パターンを設定する変動パターン設定処理を実行する(ステップA1514)。
後半変動パターン設定処理(ステップA1513)及び変動パターン設定処理(ステップA1514)は、識別情報の変動態様を示す複数の変動パターンから一つの変動パターンを選択する処理であり、特図変動表示ゲームはこれらの処理によって選択された変動パターンに基づいて実行される。
そして、遊技制御装置600は、前半変動番号に対応する変動(始動口入賞演出)コマンド(MODE)を算出して準備し(ステップA1515)、後半変動番号の値を変動コマンド(ACTION)として準備し(ステップA1516)、コマンド設定処理を実行する(ステップA1517)。続いて、入賞演出図柄コマンド領域から始動口入賞演出図柄コマンドをロードして準備し(ステップA1518)、コマンド設定処理を実行する(ステップA1519)。その後、特図保留情報判定処理を終了する。
すなわち、ステップA1515及びステップA1516の処理で始動口入賞演出コマンドを準備し、さらに、ステップA1518の処理で始動口入賞演出図柄コマンドを準備して、始動記憶に対応する判定結果(先読み結果)を、対応する始動記憶に基づく特図変動表示ゲームの開始タイミングより前に演出制御装置700に対して通知することが可能になっている。演出制御装置700は、変動表示装置35に表示されている保留表示の表示態様を変化させるなどして、その特図変動表示ゲームの開始タイミングより前に遊技者に特図変動表示ゲームの結果を報知する。ここで、遊技制御装置600は事前判定手段として機能し、演出制御装置700は事前報知手段として機能する。
〔先読みコマンド受信処理〕
次に、遊技制御装置600から演出制御装置700に送信される先読みコマンド(事前判定コマンド、始動入賞口演出図柄コマンド、始動入賞口演出コマンド)を受信した場合の処理について説明する。図29は、本発明の第3の実施の形態の先読みコマンド受信処理の手順を示すフローチャートである。先読みコマンド受信処理は、1stシーン制御処理のステップB1119において実行される処理である。
演出制御装置700の主制御用マイコン710は、まず、事前判定コマンドの受信待ちの始動記憶があるか否かを確認し(ステップB1401)、該当する始動記憶があるか否かを判定する(ステップB1402)。該当する始動記憶がない場合には(ステップB1402の結果が「N」)、本処理を終了する。
主制御用マイコン710は、該当する始動記憶がある場合には(ステップB1402の結果が「Y」)、当該始動記憶に対応する事前判定コマンドを受信したか否かを判定する(ステップB1403)。事前判定コマンドを受信していない場合には(ステップB1403の結果が「N」)、本処理を終了する。
主制御用マイコン710は、該当する始動記憶に対応する事前判定コマンドを受信した場合には(ステップB1403の結果が「Y」)、当該事前判定コマンドの内容を、対応する始動記憶領域にセーブする(ステップB1404)。
さらに、主制御用マイコン710は、始動口入賞演出図柄コマンドから当該始動記憶の図柄情報を取得する(ステップB1405)。そして、当該始動記憶の図柄情報に基づいて、変動表示ゲームの結果がはずれであるか否かを判定する(ステップB1406)。
主制御用マイコン710は、変動表示ゲームの結果がはずれの場合には(ステップB1406の結果が「Y」)、さらに、普電サポート中であるか否かを判定する(ステップB1407)。普電サポート中の場合には(ステップB1407の結果が「Y」)、先読み演出を選択するためのテーブルとして、事前演出振り分けテーブル3をセットする(ステップB1408)。一方、普電サポート中でない場合には(ステップB1407の結果が「N」)、事前演出振り分けテーブル1をセットする(ステップB1409)。
また、主制御用マイコン710は、変動表示ゲームの結果がはずれでない場合、すなわち、大当りの場合には(ステップB1406の結果が「N」)、普電サポート中であるか否かを判定する(ステップB1410)。普電サポート中の場合には(ステップB1410の結果が「Y」)、先読み演出を選択するためのテーブルとして、事前演出振り分けテーブル4をセットする(ステップB1411)。一方、普電サポート中でない場合には(ステップB1410の結果が「N」)、事前演出振り分けテーブル2をセットする(ステップB1412)。
ここで、事前演出の態様及び事前演出の振り分けについて説明する。図30は、本発明の第3の実施の形態の先読み演出(事前演出)の態様を説明するための図である。図31は、本発明の第3の実施の形態の先読み演出(事前演出)を選択するための事前演出振り分けテーブルの一例を示す図である。
図30に示すように、本発明の第3の実施の形態では、事前演出態様として、始動記憶表示が青又は赤に表示される。始動記憶表示が青の場合よりも赤の場合のほうが期待度が高くなるように設定されている。
また、事前演出態様には、平面表示と立体表示があり、平面表示よりも立体表示のほうが期待度が高くなるように設定されている。また、始動記憶表示が立体表示される場合には、可動役物が動作し、役物と立体画像とが一体化した先読み予告演出(アイテム表示予告)が実行される。詳細については、図32にて説明する。
また、図31を参照すると、(A)は変動表示ゲームの結果がはずれの場合の事前演出振り分けテーブルであり、(B)は変動表示ゲームの結果が大当りの場合の事前演出振り分けテーブルである。
図31に示すように、変動表示ゲームの結果が大当りの場合のほうが期待度の高い事前演出が実行されやすくなるように設定されている。また、発生するリーチの系統(リーチ系統情報)の期待度に応じて事前演出の期待度が高くなるように設定されている。さらに、興趣を高めるために、変動表示ゲームの結果がはずれの場合であっても事前演出が実行されるように構成されている。
なお、図31には、普電サポートなしの場合の事前振り分けテーブルを示しているが、普電サポートありの場合に同じ事前振り分けテーブルを使用してもよいし、普電サポートありの場合には期待度の高い事前演出が実行されるように定義された事前振り分けテーブルを使用するようにしてもよい。
ここで、先読みコマンド受信処理の説明に戻る。主制御用マイコン710は、事前振り分けテーブルをセットすると、始動口入賞演出コマンドから当該始動記憶のリーチ系統情報を取得する(ステップB1413)。
さらに、主制御用マイコン710は、セットされた事前振り分けテーブル及びリーチ系統情報に基づいて、事前演出態様を選択する(ステップB1414)。最後に、事前演出を行う対象の始動記憶表示に、選択された事前演出態様を設定する(ステップB1415)。
続いて、図32を参照しながら事前演出(先読み演出)の具体例について説明する。図32は、本発明の第3の実施の形態の画面遷移の一例を示す図である。
可動役物81は、リング状に形成されており、変動表示装置35に表示部35aの下辺に沿って左右に移動可能に構成されている。可動役物81の内径は、始動記憶表示82を視認可能な大きさとなっている。
また、事前演出は、段階的に期待度が高い表示となるように変化させてもよい。図32では、(A)では、事前演出態様が「青1」の事前演出が実行されている。そして、(B)に示すように、次の始動記憶が消化された段階で事前演出態様が「赤1」に変化している。
さらに、(C)に示すように、事前演出が実行されている対象の始動記憶に対応する変動表示ゲームの開始直前になると、事前演出態様が「赤2」に変化する。事前演出態様が「赤2」となる事前演出では、可動役物81が対応する始動記憶の前方の位置まで移動し、停止する。そして、始動記憶表示82が可動役物81の位置まで突出しているように立体表示される。これにより、始動記憶表示82と可動役物81とが組み合わさって、始動記憶の報知として一の表示情報を形成するインパクトの強い事前演出態様が実行されることになる。
そして、事前演出の対象となっている始動記憶に基づく変動表示ゲームが開始されると、「激熱」といった表示がなされるなど、期待度が高い演出が実行される。
〔第3の実施の形態の変形例〕
第3の実施の形態では、可動役物と立体画像とを組み合わせた先読み予告について説明したが、第3の実施の形態の変形例として、当該先読み予告の実行中にアイテム表示予告を実行すると判定された場合について説明する。なお、本実施形態におけるアイテム表示予告とは、可動役物81を表示部35aのうち、始動記憶表示82が表示される領域とは異なる領域の前方に移動させ、当該領域に所定のアイテムの表示を行い、可動役物81によって当該アイテムの表示を際立たせる予告である。そして、表示されるアイテムの種類によって、大当りなどに対する期待感を異ならせるようにしている。
図33は、本発明の第3の実施の形態の変形例の変動中処理の手順を示すフローチャートである。第1の実施の形態の変動中処理において、3D演出設定処理(ステップB1221)が実行された後、可動役物を制御する処理(ステップB1221〜B1226)が実行される。以下、可動役物を制御する処理について説明する。
演出制御装置700の主制御用マイコン710は、3D演出設定処理が終了すると、設定された変動パターンを確認する(ステップB1221)。そして、アイテム表示予告を実行するか否かを判定する(ステップB1222)。アイテム表示予告を実行しない場合には(ステップB1222の結果が「N」)、変動パターンに対応するその他の表示予告を設定する(ステップB1225)。
一方、主制御用マイコン710は、アイテム表示予告を実行する場合には(ステップB1222の結果が「Y」)、さらに、役物が作動する事前演出が実行中であるか否かを判定する(ステップB1224)。役物が作動する事前演出が実行中である場合には(ステップB1224の結果が「Y」)、役物の作動が競合してしまうため、その他の表示予告を設定する(ステップB1225)。
主制御用マイコン710は、アイテム表示予告を実行し、かつ、役物が作動する事前演出が実行中でない場合には(ステップB1224の結果が「N」)、アイテム表示予告を実行する(ステップB1226)。
続いて、アイテム表示予告の具体的な実行制御について説明する。図34は、本発明の第3の実施の形態の変形例のアイテム表示予告の実行制御において、役物が作動する事前演出が実行中である場合の一例を示す画面遷移図である。
画面(A)は、可動役物と立体画像が一体となった先読み予告(役物が作動する事前演出)が実行されている状態を示している。このとき、開始する飾り変動表示ゲームにおいて、アイテム表示予告が実行されると判定された場合に(ステップB1222の結果が「Y」)、すでに役物が作動する事前演出が実行中であるため(ステップB1224の結果が「Y」)、画面(B)に示すように、通常のアイテム表示予告ではない演出が実行される(ステップB1225)。具体的には、通常のアイテム表示予告と同様の表示が行なわれるが、可動役物81が対応する位置に移動しない予告である。
その後、画面(C)に示すように、表示されたアイテム表示予告が非表示となり、画面(D)に示すように、遊技が継続される。なお、役物が作動する事前演出が実行されている始動記憶に対応する変動表示ゲームを中断し、アイテム表示予告を実行するようにしてもよい。
〔第3の実施の形態の効果〕
以上のように、本発明の第3の実施の形態によれば、可動役物と立体画像を組み合わせた先読み表示を行うことが可能となり、変動表示ゲームの演出だけでなく、先読み予告においても可動役物と立体画像とが一体化した演出を実行できるため、遊技者の期待感を高めるとともに、遊技の興趣を高めることができる。
なお、今回開示した実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではない。また、本発明の範囲は前述した発明の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び内容の範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。