JP5774901B2 - 樹脂押出用ダイ - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂押出用ダイに関し、詳しくは、熱可塑性樹脂の押出成形に用いられる押出機の樹脂押出用ダイであって、ダイの押出しノズル先端に堆積する樹脂劣化物、所謂「目ヤニ」の発生の少ない樹脂押出用ダイに関する。
射出成形や押出成形等の各種成形に使用される原料樹脂ペレットは、熱可塑性樹脂に各種樹脂添加剤や充填材等を配合し、押出機や混練機にて溶融混練し、その先端部に設けたダイの吐出ノズルからストランドとして押出し、水中に導入して冷却後、カッティングしてペレットとすることにより、製造される。
このような押出成形を長時間連続して行う場合、ダイの吐出ノズル口近傍に樹脂や添加剤成分などの一部が付着し、時間が経つにつれ成長する過程で、分子量低下、架橋、酸化、変色などの劣化を来し、異物となる。この異物は、一般に「目ヤ」と呼ばれ、適度に成長した段階で吐出ノズル先端部近傍から剥離(離脱)し、例えばストランドに付着して送られ、製品(ペレット等)中に混入することがあり、ペレット自体の品質を低下させ、またこれを用いた成形品の物性、品質および外観を悪化させてしまうことになる。
そのため、押出成形においては、目ヤニを除去する作業、すなわち、押出しノズル先端に堆積したメヤニをスクレーパー等で掻き取る、ノズルを洗浄する等の作業を都度あるいは一定間隔にて実施する必要があった。
また、ガラス繊維、無機充填材等を樹脂に添加して成形に供すると目ヤニの生成が多くなる傾向があり、樹脂組成物を目ヤニの発生の少ない処方に変更することも考えられているが、成形品に要求される強度等の性能を満たしながら、かつ、目ヤニの生成の少ない技術を完成するのは簡単ではない。
ダイ構造等の改良による目ヤニの付着防止も検討されている。例えば、特許文献1には、ダイを超音波によってn波長共振させ、共振の腹部がダイの押出口の位置と一致するようにして成形を行う押出成形方法が開示されている。この技術によれば、超音波振動をダイに効果的に作用させることにより振動を効率よく伝達し、かつ共振の腹部を利用して、成形材料、特に流動性の悪い材料のダイ内における流動性を良好とすることができ、メ目ヤニの原因となる流動性の悪い材料のノズル内における流動性を改善して、ノズルへの付着を防止することができる。しかしながら、この方法では、適用可能なノズル形状に制約があり、また印加する超音波振動の腹(周波数の凸部)と節(周波数の合流部)位置の調整が必要となる。
さらに、特許文献2では、ダイに、傾斜角度が75度以下のテーパー状の先端方向に細くなる外形の突起ノズルを設け、突起ノズル先端部からエアを、押出された樹脂に吹き付けるダイ装置が提案されている。しかしながら、このようなダイ構造では、押出された直後の未だ柔らかく、切れやすいストランドに強いエアを吹きつけることになるため、ストランドが不安定になりやすく、安定操業には問題がある。
また、特許文献2におけるノズルの樹脂吐出孔はストレートな流路であるため、目ヤニの生成自体を抑制する作用は持たず、目ヤニを効果的に低減することが難しく、また、エアが角度をもって突起ノズル先端に当たるので、突起ノズル先端に付着した褐色に変色してしまった目ヤニもストランド表面に付着しやすくなる。変色した目ヤニが付着したストランドは水で冷却され、ペレタイザーでカッティングされ、製品ペレットになるが、この製品ペレット中に変色した目ヤニが混入し易くなる。
上述したような従来技術では、目ヤニの生成の抑制、ダイ先端に付着した目ヤニの除去を完全に行うことは困難であり、なるべく目ヤニを生成させず、目ヤニが生成した場合には、生成初期で目ヤニが褐色(黒色)に変色する前に除去出来る押出ダイが望まれていた。
特開平2−141222号公報 特許第3908504号公報
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、目ヤニの生成をある程度抑制することが出来、生成してしまった目ヤニは劣化して変色する前に除去することが出来る、目ヤニの発生の少ない樹脂押出用ダイを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を達成すべく、鋭意検討を重ねた結果、吐出ノズルの樹脂吐出孔をノズル先端に向かって拡径する逆テーパー状の拡径開孔とすることにより、ノズル内面と樹脂との摩擦抵抗を減少させて目ヤニの生成をある程度抑制すると共に、略筒状の外形をなす吐出ノズルの先端部周囲に、気体噴出装置を設け、樹脂の押出し軸心方向と略平行方向に気体を噴出すことによりストランドを安定させると共に、目ヤニを劣化前に除去(無害化)し、過去には達成できなかったレベルで、目ヤニの発生の少ない樹脂押出用ダイを得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、押出機から供給される溶融樹脂をストランド状に押し出すための樹脂押出用ダイであって、
ダイの先端に突出して設けられた溶融樹脂吐出ノズルと、
吐出ノズルの先端部の周囲に間隙を形成して覆うように設けられ、その間隙から気体噴出方向がストランドの押出し方向と略平行である気体を噴出する気体噴出装置とからなり、
溶融樹脂吐出ノズルは略筒状の外形をなし、吐出ノズルの先端部肉厚が2mm以下であり、吐出ノズルの樹脂吐出孔はノズル先端に向かって拡径する逆テーパー状の拡径開孔とされ、逆テーパーの傾斜角度がノズルの中心線に対し2°〜50°であることを特徴とする樹脂押出用ダイが提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第1発明において、吐出ノズルの先端部は気体噴出置の外表面から0.1mm以上突き出ていることを特徴とする樹脂押出用ダイが提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第1または2の発明において、噴出気体が80℃〜300℃の高温気体であることを特徴とする樹脂押出用ダイが提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第1〜のいずれかの発明において、噴出気体が蒸気であることを特徴とする樹脂押出用ダイが提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第1〜のいずれかの発明において、噴出気体が高温空気であることを特徴とする樹脂押出用ダイが提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第1〜のいずれかの発明において、吐出ノズルの筒状部の外表面は樹脂の押出し方向と略平行とされていることを特徴とする樹脂押出用ダイが提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第1〜のいずれかの発明において、気体の噴出速度が、2〜200m/秒であることを特徴とする樹脂押出用ダイが提供される。
さらに、本発明の第の発明によれば、第1〜のいずれかの発明において、前記吐出ノズルからストランド状に押出成形し、該ストランドを冷却媒体中に設置されたガイドローラーによってガイドしつつ冷却するにあたり、当該樹脂ストランドを引き取り速度Vs(m/min)で引き取るとともに、
前記ガイドローラーの前記樹脂ストランドの接する外周面の移動速度をVr(m/min)とした場合に、0.7≧Vr/Vs≧−0.2の関係を満たすように、前記引き取り速度及び前記移動速度並びに前記ガイドローラーの回転方向を決定することを特徴とする樹脂押出用ダイが提供される。
本発明の樹脂押出用ダイによれば、目ヤニの発生の少ない樹脂押出用ダイを提供することができる。
目ヤニが発生する原因は、幾つか考えられる。その一つは押出ダイの内部流路の内面と、内面に擦れて移動する樹脂材料との摩擦により、樹脂自体の一部および/または表面近傍の添加剤や充填剤等の不均一成分が剥れて、樹脂がダイ先端から離脱する際にダイの縁(先端部)に付着するものと推定される。
本発明では吐出ノズルを逆テーパー状とすることで、樹脂流路が狭い部分から逆テーパー部分となって樹脂流路の横断面積が押出し方向に斬増すると、流路が拡大する関係上、ダイの内部流路内面と溶融樹脂材料とのズレによる抵抗が減少し、溶融樹脂の流動速度の内外の差が少なくなり、結果として、溶融樹脂が吐出ノズルの先端から押出される際の、ノズル端と溶融樹脂表面と擦れることによる抵抗力が少なくなり、目ヤニの発生が少なくなるものと考えられる。
もう一つはノズル出口での樹脂中の各種内部応力(剪断応力、第1法線応力、第2法線応力)の急激な変化である。ノズル出口では急激な内部応力が発生する。この応力変化に即応できない不均一成分が樹脂外にはじきだされることが考えられる。ノズル先端の形状を拡径開孔とすることにより内部応力の変化を低減することができ、それにより不均一成分の析出が低減されると考えられる。
本発明のダイに於いては、ノズル先端を逆テーパー状の拡径開孔とし、ノズルの外周部を筒形とし、気体をストランドの押出し方向と略平行方向に吹き付けることにより、ノズル先端部に生成、付着した目ヤニを効果的に吹き飛ばし、ストランドへの付着を減らすことができる。また、逆テーパーの拡径開孔とすることにより、樹脂はノズル出口で拡張され、出口での剪断が低減する。これにより目ヤニの発生量そのものを低減することが可能となる。この効果は剪断の低減だけではないと考えられる。出口を拡張することにより、樹脂内部に発生する応力(第1法線応力:樹脂の流れ方向収縮力、第2法線応力:樹脂の流れ垂直方向拡張力)そのものを低減でき、目ヤニ発生を抑制していると考えられる。
本発明の樹脂押出用ダイを示す縦断面図である。 本発明のダイの他の例の縦断面図である。 本発明の冷却槽とガイドローラーの概略説明図である。
本発明の樹脂押出ダイは、押出機から供給される溶融樹脂をストランド状に押し出すための樹脂押出用ダイであって、
ダイの先端に突出して設けられた溶融樹脂吐出ノズルと、
吐出ノズルの先端部の周囲に間隙を形成して覆うように設けられ、その間隙から気体を噴出する気体噴出装置とからなり、
溶融樹脂吐出ノズルは略筒状の外形をなし、吐出ノズルの樹脂吐出孔はノズル先端に向かって拡径する逆テーパー状の拡径開孔とされていることを特徴とする。
以下、本発明について、図面も参照しながら、具体的例示物を示して詳細に説明するが、本発明は当該例示物等に限定して解釈されるものではない。
図示していないが、一般的な原料系を説明すると、原料となる樹脂は、各種添加剤とともに原料貯蔵タンク等に貯蔵され、そこからフィーダー(定量供給機)等によって、押出機の後端近傍に設置されたホッパーシュートに供給される。ホッパーシュートの下部は押出機の供給口に接続されており、樹脂はホッパーシュートを介して押出機に順次供給され、押出機内で溶融混練され、押出機先端部に設けたダイの吐出ノズルからストランドとして押出される。通常はこのストランドをペレタイザーに導入しカッターにより切断し、ペレットとする。このペレットは各種成形に用いられる。
図1は、本発明の樹脂押出用ダイの一例を示す縦断面図である。
本発明の押出用ダイ1は、図示しない押出機の先端部に接続され、溶融樹脂11が供給される内部の流路12を構成するダイヘッド2と口金3を有する。口金3はダイヘッド2に対して締付手段(ボルト等)で固定され、また、口金3の外周部には口金3の先端部分に気体を供給する、気体供給カバー8が設けられている。
押出用ダイ1は、ヒーター4により、原料樹脂の融点以上に加熱保持されており、供給された溶融樹脂11は、ダイの先端に突出して設けられた吐出ノズル5から矢印方向に押出されて、吐出ノズル5の開口形状に対応する横断面形状のストランド13となる。
本発明の押出用ダイにおいては、吐出ノズル5は略筒状の外形をなし、吐出ノズル5の樹脂吐出孔6はノズル先端に向かって拡径する逆テーパー(16)状の拡径開孔とされている。吐出ノズル5は図では一個のみ示されているが、通常は同様のものが横方向に複数本個、例えば20〜30個程度併設されており、何十本ものストランドが平行して押出される構造とされている。
溶融樹脂11はダイヘッド2の内部流路12から口金3に向かって流動していくが、溶融樹脂11のダイヘッド2の内部流路12の内表面に接する部分と溶融樹脂の流心部とでは当然流速が異なる。内部流路12の内表面に接する部分は摩擦抵抗により流心部より速度が遅くなる。
溶融樹脂の内部流路12の内表面に接する部分は当該内表面と接触状態で擦られながら移動するので、樹脂中の添加剤、低分子量物、充填材(ガラス繊維、無機充填材等)高分子量物等が樹脂表面からこそぎ落とされた状態となり、内部流路12の表面に添って樹脂吐出口6の先端に送られ、樹脂吐出6の先端付近に付着、堆積して、熱劣化を起こし、メ目ヤニと呼ばれる褐色劣化物が生成される。
ダイヘッド2中には溶融樹脂の圧力均一化のためマニホールド18(溶融樹脂溜り)が設けられている。マニホールド18は、並列に並んだ複数の吐出ノズル5に押出し樹脂圧を均一に振り分けることを目的に設けられるが、マニホールド18の型としては、コートハンガータイプ、フィッシュテールタイプ、ストレートタイプ(T型)、マルチタイプ(多層型)、スクリュータイプ等任意のタイプが用いられる。
マニホールド18で圧力が均一化された溶融樹脂は口金2に導かれ、吐出ノズル5からストランドとして押出される。
マニホールド(18)から口金(2)の細い流路に導入された溶融樹脂(11)は当然、流速が増すが、流路の中心部と周縁部との流速にも差が生じ、樹脂流路12が狭くなる部分で、流路中心部と周縁部の流速の差は最大となる。
溶融樹脂の粘度が高い(流れ難い)程、また剪断速度が大きい程、また流れに狭窄部があり、縮流する程、後術するバラス効果も大きくなる傾向がある。
バラス効果(スエル効果)とは、溶融樹脂がノズルから押出される際に、出現する挙動で、押出された溶融樹脂の径がノズルの径よりも太くなる現象のことである。このバラス効果は、樹脂の粘度が高い程、剪断速度が大きい程、また縮流があることにより大きくなる傾向にある。
本発明においては、吐出ノズル(5)の先端部の樹脂流路を逆テーパー状、すなわち、ノズルの先端に向かって流路が徐徐に広くなっていくように形成されている。
このようなノズル構造とすることにより、溶融樹脂は以下の様な特殊な流動挙動を示し、結果として目ヤニの発生が抑えられる。
図1において、溶融樹脂11中に示した曲線14は概略的に溶融樹脂11の、流路中心部の樹脂と流路周縁部の樹脂との流速の差を表したものであるが、溶融樹脂11が樹脂流路の最も狭い部分15から逆テーパー状部16に至ると、流路が拡大する関係上、口金3の流路内表面と溶融樹脂11との抵抗が減少し、溶融樹脂11の流動速度の内外の差が少なくなる。
結果として、溶融樹脂11が吐出ノズル5の先端6から押出される際の、ノズル端と溶融樹脂表面との摩擦力(抵抗力)が少なくなり、目ヤニの発生を少なくすることが可能となる。
また、本発明の押出用ダイにおいては、吐出ノズル5の先端部には、その周囲に間隙(スリット)7を形成して覆うように前記カバー8が設けられ、カバー8は、間隙7から気体を噴出する気体噴出装置9を備えている。
気体噴射装置9から噴射される気体は、図示するようにストランド13の押出し軸方向と略平行方向に噴射される。噴射方向をこのような方向とすることにより、ストランドを噴射気体の流れで支持し、ストランドの暴れる(上下に揺れる)ことを防ぐことができる。従来、噴射気体をストランドの押出し軸方向と交差する方向に吹きだし、ダイから押出された直後で、まだ柔らかいストランド表面に噴射気体を強く吹きつけることが行われているが、却ってストランドの暴れを助長する傾向があり、場合によってはストランドが切断されることもあるので、好ましいとは云い難い。
また、本発明ダイの場合、ノズル先端部に堆積してくるメヤニは、小さいうちに、この噴射気体で吹き飛ばされたり、劣化して褐色となる前にストランド表面に付着させてしまえるので、大きな目ヤニ(褐色、黒色の劣化物等)が樹脂ペレットに混入することも少なくなる。
吐出ノズル5の吐出孔6の出口の直径は、押出し圧、所望するペレットの寸法にもよるが、通常2〜5mm程度である。
吐出ノズル5の先端部は、気体が噴射される間隙7の出口でカバー8の外表面から、吐出ノズル5の先端部が0.1mm以上突き出していることが好ましい。またこの突き出し距離(量)は10mm以下が好ましい。0.1mmより小さいとノズルから出てきたストランドが振動したり、押出し量の変動によって、ストランドが遊動したりした場合等、状況によってはストランドがカバー8に接触・融着したりしてストランドの切断に至った場合等にはストランドの引き取りが難しくなる。10mm以上突き出ているとノズル先端までの距離が遠くなりすぎるため噴射気体の速度が遅くなり過ぎて目ヤニを吹き飛ばす目ヤニ除去効果は低減する。
また、吐出ノズル5がカバー8の外表面より引っ込んでいると、噴出される気体の方向が内側(ストランド側)に向くことになり、気体がストランドの表面に強く吹きつけられて、ストランドの遊動を誘い、ストランドの切断の原因となる場合もあり、この点からも好ましくない。
噴出させる気体としては、空気、窒素ガス(不活性ガス)、水蒸気など、特に限定されるものではないが、樹脂の種類によっては劣化を引き起こす等、適さない場合がある。
また、噴出気体の温度は、80〜300℃、特に100〜270℃の高温気体であることが好ましい。気体の温度が低すぎるとノズルや目ヤニが冷却され、樹脂(ストランド)や目ヤニが固化し、ノズル内で閉塞を起こしたり、目ヤニがダイの先端に固着し易くなるので、吹き飛ばし除去が難しくなる場合がある。噴出気体の温度が高すぎると樹脂が焼けたり熱変性(劣化、変質等)したりし易くなる。
気体は、具体的には空気(エアー)または水蒸気(スチーム)が好ましく、スチームを用いた場合には洗浄効果により目ヤニがより良く取り除ける。
樹脂の種類によっては、吸湿して樹脂物性を低下させたり、悪影響のある場合もあるので、そのような場合には通常は高温に加熱した空気が用いられるが、特殊な場合には不活性ガス等を用いることも考えられる。
さらに、気体の噴出速度は2〜200m/秒、特に5〜150m/秒であることがこのましい。噴出速度が小さすぎると目ヤニ除去(堆積防止)効果は少なくなり、噴出速度が大きすぎると噴出気体がストランドを揺らしストランド13が不安定になる場合がある。
また、気体の噴出は、通常は連続的に吹きつけるが、間欠的に(強弱をつけて)吹きつけてもよい。
吐出ノズル5の先端部の肉厚は、2mm以下、特に1mm以下であることが好ましい。肉厚が厚いと噴出された気体がストランド13の表面と離れすぎた位置を通過することになり、ストランドを支持する効果が出にくい。また、目ヤニ除去効果も少なくなる。
また、吐出ノズル5の逆テーパー部16の角度はノズルの中心線(すなわち、押出し方向軸心に対する角度)に対して2°〜50°であることが好ましい。このような角度で吐出孔6がノズル先端に向かって拡径することにより、ノズル内面と溶融樹脂との摩擦抵抗を適切に調整し、目ヤニの発生を抑制することができる。但し、このテーパー角度は樹脂の物性によって適宜選択されるべきであり、例えば、バラス効果(スエル効果とも云う)の大きい樹脂の場合には10°〜50°程度、バラス効果の小さい(あまり膨らまない)樹脂の場合には2°〜20°程度の角度とされることが好ましい。
吐出ノズル5は略筒状の形状をなすが、その外表面は、樹脂の押出方向(軸方向)と略平行とされていることが好ましい。このようにすることで、気体の噴出し方向をストランドの押出し軸心方向と略平行方向とすることができる。
次に、図2を用いて、他の口金(ノズル)の例について説明する。
この口金3は図1に示したノズルと同様、吐出ノズル5の先端部の樹脂流路を逆テーパー状部16としてある。
この逆テーパー状部16の働きは、図1で説明した働きと同様であるが、逆テーパー状部(16)の手前の構造に特徴がある。
すなわち、図2に示したこの逆テーパー状部16の手前に、流路の径が急峻に狭くなる流路狭窄部17が設けられていることが特徴的構造となる。
このような、流路狭窄部17によって溶融樹脂を急激に絞ることにより樹脂流に極端な変形を与え、樹脂流の中心部と外周部の流速に差を形成し、膨張率(バラス効果率)を大きくして、逆テーパー状部16の逆テーパー面に樹脂が安定して密着するようにしてある。
流路狭窄部17の構造はその断面図に明らかであるが、具体的寸法は樹脂の種類、分子量、分子量分布、溶融粘度、成形温度等の物性や条件により押出しのし易さ、し難さがあるので、一概に決定することは出来ない。大まかな寸法、比率等は以下の通りである。
流路狭窄部17の手前の流路の径(A)は通常、数mmの径のペレットを得る場合は2〜7mm程度とされる。
また、吐出ノズル5の先端部の内径(B)は流路径(A)と略同程度の径であることが、スムーズな押出しを行う上で好ましいが、バラス効果の大きい(大きく膨らむ)樹脂の場合は流路径(A)より先端部内径より0.1〜5mm程度大きくするのが、安定成形の上から好ましい。逆に、バラス効果の小さい樹脂を押出す場合には膨張率が小さいので、先端部内径(B)を流路径(A)よりも0.1〜2mm程度小さく設定するのが安定的な押出しに役立つ。
流路狭窄部17の径(C)はあまり絞りすぎると押出し効率が悪くなるので、流路径(A)よりも0.1〜3mm程度小さく設定するのが好ましい。
流路狭窄部17の位置としては、比較的急激に径を縮め、次いで、比較的緩やかに径を拡大するのが安定した、スムーズな押出しの上から好ましく、図2に示した縮径距離(D)よりも拡径距離(E)の方が長いことが好ましい。
勿論、バラス効果の大きな樹脂を用いる場合には、流路狭窄部17に至る樹脂流路(狭窄部17の手前)を緩やかに縮径するテーパー状とし、すなわち、縮径距離(D)を長く設定し、樹脂を緩やかに絞り込む構造とすることも、可能である。いずれにしても、押出す樹脂の溶融物性によって変わる。
流路狭窄部17の長さ(図示F)としては特に設ける必要は無いが、ノズルの製作上設けた方が便利であれば、0.1〜3mm程度設けても良い。
本発明での使用に適した熱可塑性樹脂として、結晶性熱可塑性樹脂や非晶性熱可塑性樹脂を挙げることができ、具体的には、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ポリアミド6、ポリアミド66、メタキシリレンジアミン系ポリアミド(MXD6)等のポリアミド系樹脂(PA系樹脂);ポリオキシメチレン(ポリアセタール、POM)樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂等のポリエステル系樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AS樹脂といったスチレン系樹脂;メタクリル系樹脂;ポリカーボネート樹脂(PC樹脂);変性ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;ポリアリレート樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリアミドイミド樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルケトン樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂;ポリエステルカーボネート樹脂;液晶ポリマーを例示することができる。
さらには、上記樹脂をポリマーアロイ化した熱可塑性樹脂材料も使用できる。ポリマーアロイ材料としては、上記した中から少なくとも2種類の熱可塑性樹脂をブレンドしたもの、又は、少なくとも2種類の熱可塑性樹脂を化学的に結合させたブロック共重合体若しくはグラフト共重合体から成る。
本発明の押出ダイは、以上の中でも、ポリアミド系樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂等の押出成形に用いて好適である。
また、熱可塑性樹脂には、各種の添加剤、充填材等を含有していてもよい。
添加剤として、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、帯電防止剤、難燃剤、防かび剤、滑剤、有機発泡剤、透明核剤、染顔料、耐衝撃強化剤、可塑剤等を挙げることができる。
また、充填材の例として、ガラス繊維、ガラスビーズ等のガラス系フィラー、炭素繊維、チタン酸カリウム、タルク、マイカ、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、アラミド繊維、スチール繊維等を好ましく挙げることができる。
本発明の押出機ダイから押出されたストランドは、その後、引き取りローラーによって引き取られ、冷却槽に溜められた水中を搬送されるようにして、水中に導入して冷却される。冷却されたストランドは、引き取りローラーによりペレタイザーに送られ、カッティングされて、ペレットとされる。
本発明によれば、目ヤニの生成は抑えられるが、完全に防止できるわけではない。従って、目ヤニがストランドの表面に付着してはこばれることもあるが、このような場合、冷却槽のガイドローラーを特殊な構造とすることにより目ヤニを更に低減できる。
図3は、冷却槽とガイドローラーの概略説明図であり、具体的には、図3(a)に示すように、ガイドローラー22A,22Bの少なくとも一方を、ストランド13の走行(搬送)方向とは逆方向に回転させるか、ストランド13の走行速度(引取り速度)よりも遅い周速度でストランド13の走行方向と同じ方向に回転させることである(あるいは、回転させない状態で保持してもよい)。
ガイドローラー22A,22Bは通常、ストランドの走行方向と交差する方向に回転軸221を有する円筒形状を有する。そして、複数本が平行して押し出されるストランド13が所望の搬送経路で搬送されるように、複数本のストランド13を円筒面(外周面)で支持する。
ガイドローラー22A,22Bの円筒面には図3(b)に示すように周方向に環状(リング状)の溝222が複数設けられる。溝222は走行するストランド13を受け入れて支持し、接近した位置にあるストランド13同士が接触し融着することを防ぐ。
溝222の幅はストランド13の太さより若干広めで、溝222の底部は弧状とされていることが安定した支持を行うために好ましい。また、通常溝222の深さ224はストランド13の径にもよるが、2mm〜10mmである。更に、溝222のピッチ223(隣り合う溝222の間隔)は、通常、ストランド13の間隔(ダイの吐出ノズル12の間隔)に合わせる。ストランド13の径にもよるがピッチは5mmから20mmである。溝222の数は押し出されるストランドの数以上であれば良い。
ガイドローラー22A,22Bは冷却槽20のストランド走行位置に1本あるいは複数本設けられる。複数本の場合はガイドローラー22A,22B間にストランドが掛け渡されて冷却槽20中を走行し冷却される。
ガイドローラー22A,22Bはストランドの走行方向と逆方向または走行方向と同じ方向に回転可能に支持されてもよいし、回転不能に支持されてもよい。ストランド13の走行(搬送)速度に対してガイドローラー22A,22Bの溝222の移動(回転)速度が相対的に遅くなるようにガイドローラー22A,22Bを支持(もしくは駆動)することにより、溝222のストランド13と接する面でストランド13の表面を擦り、ストランド13の表面に付着した目ヤニを除去することができる。なお、ガイドローラー22が搬送経路の複数箇所に設けられている場合には、その少なくとも一つを上述のように支持もしくは駆動することにより、ストランド13の表面を擦るようにすればよい。
ガイドローラー22A,22Bをストランドの走行方向と逆方向に回転させるにはガイドローラー22A,22Bに駆動装置を設ければ良い。この場合、ストランド13と溝222の表面(ストランド13と接する面)との抵抗(摩擦)が大きすぎるとストランド13の走行が不安定になる場合が有るので、ストランド13の走行が安定する範囲で回転速度(一定時間あたりの回転量)を定める。
ガイドローラー22A,22Bを走行方向と同じ方向に回転させる場合には駆動装置を設けなくてもよい。ガイドローラー22A,22Bを回転させるのにある程度の抵抗(少なくとも、走行するストランド13の摩擦力によりストランド13と等速度で回転することがない程度の抵抗)を与えれば良い。これにより、ガイドローラー22A,22Bはストランド13の走行に追従して回転するが、与えられた抵抗によりストランド13の走行速度より遅く(周速度が遅く)回転し、溝222の表面でストランドの表面を擦ることが可能になる。駆動装置を設けることも可能であるが、逆回転の場合と異なり、回転に抵抗を与える構成の方が簡便である。
このように、ストランド13は冷却媒体21中を走行しながらガイドローラー22A,22Bの表面と接触し、ストランド13の走行速度とガイドローラー22A,22Bの回転速度(周速度)との差によってストランド13の表面が溝222の表面で擦られ、ストランド13の表面に付着する目ヤニが除去される。
この効果は、ストランド13の走行速度と同じ周速度でガイドローラー22A,22Bを回転させた場合には得られないものである。ストランド13の走行速度とガイドローラー22A,22Bの周速度を略同速度とした場合には、ストランド13の表面を擦ることが出来ないだけでなく、むしろ溝222の表面によって目ヤニをストランドに張り付けたり、埋め込んだりすることになることも考えられる。
具体的なガイドローラー22A,22Bの回転(周)速度Vrは、ストランドの速度Vsに対して0.7≧Vr/Vs≧−0.2の関係であることが好ましい。上限はより好ましくは0.5≧Vr/Vsであり、下限はより好ましくはVr/Vs≧0である。Vsはストランド13の引き取り速度とすることができ、Vrは(ガイドローラー22A,22Bの半径−溝深さ)×2π×一分間の回転数で求まる。Vr/Vsが正の場合、ガイドローラー22A,22Bがストランド走行方向と同方向に回転する場合であり、負の場合はガイドローラー22A,22Bがストランド走行方向と逆方向に回転する場合である。
ガイドローラー22A,22Bは冷却槽中に1本あるいは複数本設けられるが、複数本の場合は全てのガイドローラー22A,22Bを上述のような回転とする必要はなく、冷却媒体21中にあり、吐出ノズル12(ダイス)に最も近いガイドローラー(図3(a)では22A)を上記のように作動させるのが目ヤニ除去に効果的である。
ストランド13は引取りローラー23を経てペレタイザー26に送られ、切断、ペレットとされる。
得られたペレットは、任意の形状に成形して成形体として用いることができる。
成形体の形状、模様、色彩、寸法などに制限はなく、その成形体の用途に応じて任意に設定すればよい。
成形体の製造方法は、特に限定されず、樹脂組成物について一般に採用されている成形法を任意に採用できる。その例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、インフレーション成形、ブロー成形、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法などが挙げられる。また、ホットランナー方式を使用した成形法を用いることも出来る。
本発明の押出用ダイを用いて得られた樹脂ペレットは、目ヤニが極めて少なく、高品質である特長を生かして、各種の成形体の成形用原料として有用である。
以下、実施例を示して本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定して解釈されるものではない。
[実施例1]
以下の原料組成の樹脂組成物A:
ポリフェニレンエーテル:PX100L
(三菱エンジニアリングプラスチックス社製)40質量%
ポリスチレン:A&MポリスチレンHT478
(エー・&・エム スチレン社製)40質量%
ガラス繊維:CS03JA404(旭ファイバーガラス(株)製)20質量%
を二軸押出機(東芝機械(株)製TEM37BS)で吐出量50kg/hr、スクリュー回転数600rpm、バレル設定温度280℃で1時間押出した。図1に示すような構造のダイ(ノズル5穴)から溶融した樹脂を(樹脂温度322℃)押し出して、ストランドとした。
突出ノズル5は、外径6.0mmの円筒状で、逆テーパー部16の角度は押出しノズルの中心軸の方向に対し11度、吐出孔6の出口開口部の肉厚は0.5mm、内径は3.5mmである。また、吐出孔6の外周には、0.5mmの幅の間隙7を介して、カバー8を装着した。カバー8と吐出孔6との間の間隙部(スリット)7は、ストランド13の押出方向と略平行になるように、また吐出孔6の先端部はカバー8の外側表面から1.0mm突き出るように構成されている。温度160℃のエアーを10m/秒の噴出速度で噴出させた。
ダイスから出たストランドを図3(a)に示したような搬送、造粒構成を用い、引き取り速度(Vs)=35m/minで引き取った。二本のガイドローラーの直径は40mmで溝深さは7.5mm、溝のピッチは9mmのものを使用した。冷却媒体には水を用い、冷却槽20内で最初にストランドと接するガイドローラー22Aとして、回転速度を制御可能なガイドローラーを設け、周速度(Vr)=21m/minとなるように回転させた(Vr/Vs=0.6)。なお、上述の通り、正の周速度は、ガイドローラー22Aの回転方向がストランドの搬送方向と同方向であることを意味する、すなわち、ストランドの進行方向と同方向で、周速度が若干遅く設定されているので、ローラーの表面でストランドの表面を優しく擦り、付着初期で剥がしやすい目ヤニを擦り取るものである。勿論、図3(a)におけるガイドローラー22Aのようにストランドの進行方向とは逆の方向に回転させ目ヤニを強く擦り取ることも可能である。
なお、ガイドローラー22Aを回転させるのに、駆動部に住友重機械工業(株)製の小型ギアモーターCNHM02−4085−AV−11を使用し、同じく住友重機械工業(株)製のインバーターHF3202−A20を使用して回転速度を制御した。
その後、切断してペレットを製造した。
上記の運転を1時間継続したところ、発生する目ヤニは劣化(着色)する前に除去でき、連続して良好なペレットを製造することができた。1時間の押出しが終わって5個のノズルの先端に付着していた目ヤニを採取し重量を測定すると3mgであった。得られたペレット50kgを確認したが、目ヤニが付着したペレットは無かった。結果を表1に示す。
[実施例2]
吐出ノズル5を、外径5.4mmの円筒状で、逆テーパー部16の角度が押出しノズルの中心軸の方向に対し11度、吐出孔6の出口開口部の肉厚が0.2mm、内径3.5mmの吐出ノズルに取り替え、実施例1と同様にしてペレットを製造した。
評価結果を表1に示す。
[実施例3]
吐出ノズル5を、外径7.4mmの円筒状で、逆テーパー部16の角度が押出しノズルの中心軸の方向に対し11度、吐出孔6の出口開口部の肉厚が1.2mm、内径3.5mmの吐出ノズルに取り替え、実施例1と同様にしてペレットを製造した。
評価結果を表1に示す。
[実施例4]
また吐出孔6の先端部はカバー8の外側表面から2.0mm突き出るようにした点を除き、実施例1と同様にしてペレットを製造した。
評価結果を表1に示す。
[実施例5]
また吐出孔6の先端部はカバー8の外側表面から4.0mm突き出るようにした点を除き、実施例1と同様にしてペレットを製造した。
評価結果を表1に示す。
[実施例6]
エアーの代わりに126℃の水蒸気を使用した点を除き実施例1と同様にしてペレットを製造した。評価結果を表1に示す。
[実施例7]
エアーの噴出速度を5m/秒とした点を除き実施例1と同様にしてペレットを製造した。評価結果を表1に示す。
[実施例8]
吐出ノズル5を、外径6mmの円筒状で、逆テーパー部16の角度が押出しノズルの中心軸の方向に対し15度、吐出孔6の出口開口部の肉厚が0.5mm、内径3.5mmの吐出ノズルに取り替え、実施例1と同様にしてペレットを製造した。
評価結果を表1に示す。
[実施例9]
吐出ノズル5を、外径6mmの円筒状で、逆テーパー部16の角度が押出しノズルの中心軸の方向に対し8度、吐出孔6の出口開口部の肉厚が0.5mm、内径3.5mmの吐出ノズルに取り替え、実施例1と同様にしてペレットを製造した。
評価結果を表1に示す。
[実施例10]
以下の組成の樹脂組成物B:
ポリブチレンテレフタレート:5020(固有粘度1.20dl/g)
(三菱エンジニアリングプラスチックス社製)35質量%、
ポリブチレンテレフタレート:5008(固有粘度0.85dl/g)
(三菱エンジニアリングプラスチックス社製)35質量%、
ガラス繊維:ECS03T−187(日本電気硝子(株)製)30質量%
を使用した点を除き実施例1と同様にしてペレットを製造した。評価結果を表1に示す。
ダイ中の樹脂温度は292℃であった。
[実施例11]
以下の組成の樹脂組成物C:
ポリブチレンテレフタレート:5007(固有粘度0.70dl/g)
(三菱エンジニアリングプラスチックス社製)70質量%、
ガラス繊維:ECS03T−187(日本電気硝子(株)製)30質量%
を使用した点を除き実施例1と同様にしてペレットを製造した。結果を表1に示す。この組成ではバラス効果は不十分であり、ストランドの径がほとんど膨張せず、ノズルの逆テーパー部分に樹脂が接触せず、溶融ストランドの表面とノズルの逆テーパー部分の表面との間に隙間が発生した。樹脂が剥離する境界部分に目ヤニが発生し、その逆テーパーの部分に目ヤニの付着が見られた。
上記した実施例1〜11の結果を下記表1に示す。
Figure 0005774901
[実施例12]
長時間の目ヤニ発生状況を確認するために、実施例11の方法で3時間の押出しを行いペレットを製造した。結果を表2に示す。3時間後にノズル先端に付着した目ヤニ量は26mgであった。3時間の間に押出されたペレット150kgの中には2個の目ヤニ付着ペレットがあった。
[実施例13]
ガイドローラー22Aの回転をとめた以外は実施例12と同様に押出しを行った。結果を表2に示す。
[実施例14]
ガイドローラー22Aの周速度(Vr)=35m/minとした以外は実施例12と同様に押出しを行った。結果を表2に示す。
[実施例15]
ノズル出口のスエル(バラス効果)を大きくするため、逆テーパーの部分を溶融樹脂が密着状態で通過するように吐出ノズルを狭窄aの形状とした。すなわち、ノズル5の構造を図2に示したように、流路の径が急峻に狭くなる流路狭窄部を設けたノズル構造とし、実施例12と同様に3時間の押出しを行った。突出ノズル5の各部寸法は以下の通りである。符号は図2に示した符号である。
A=6.0mm、B=5.0mm、C=3.5mm、D=1.0mm、
E=3.86mm、F=0mm、G=0.5mm、H=1.0mm、
逆テーパーの角度は11°とした。結果を表2に示す。
[実施例16]
吐出ノズルを、下記表2に記載の狭窄bの形状とした以外は、実施例12と同様に押出しを行った。
[実施例17]
吐出ノズルを、下記表2に記載の狭窄cの形状とした以外は、実施例12と同様に押出しを行った。
Figure 0005774901
上記実施例12〜17の結果を下記表3に示す。
Figure 0005774901
[比較例1]
突出ノズル5を、外径6mmの円筒状で、ノズル外側部に押出し方向に向かって縮径するテーパー部(中心軸に対し25度の角度、先端肉厚0.5mmを形成したノズルであって、内径3.5mmのストレート孔を形成したものとした。他は実施例1と同様にしてペレットを製造した。評価結果を表4に示す。5本のノズルの先端の目ヤニ量は11mgであり、50kgのペレットの中には1粒の変色した目ヤニが付着したペレットが発見された。
[比較例2]
樹脂組成物としてBを使用した点を除き比較例1と同様にしてペレットを製造した。評価結果を表4に示す。
[比較例3]
突出ノズル5を、外径6mmの円筒状で、ノズル外側部に押出し方向に向かって縮径するテーパー部(中心軸に対し45度の角度、先端肉厚0.5mmを形成したノズルであって、内径3.5mmのストレート孔を形成したものとした。他は実施例1と同様にしてペレットを製造した。評価結果を表4に示す。
Figure 0005774901
本発明樹脂押出ダイを使用して製造された樹脂ペレットは、高品質の樹脂材料であるので、広く各種用途において高品質の成形品を成形することができ、産業上の利用性は非常に高い。
1 樹脂押出ダイ
2 ダイヘッド
3 口金
5 吐出ノズル
6 吐出孔
7 間隙
8 カバー
9 気体噴出装置
11 溶融樹脂
12 流路
16 逆テーパー部

Claims (8)

  1. 押出機から供給される溶融樹脂をストランド状に押し出すための樹脂押出用ダイであって、
    ダイの先端に突出して設けられた溶融樹脂吐出ノズルと、
    吐出ノズルの先端部の周囲に間隙を形成して覆うように設けられ、その間隙から気体噴出方向がストランドの押出し方向と略平行である気体を噴出する気体噴出装置とからなり、
    溶融樹脂吐出ノズルは略筒状の外形をなし、吐出ノズルの先端部肉厚が2mm以下であり、吐出ノズルの樹脂吐出孔はノズル先端に向かって拡径する逆テーパー状の拡径開孔とされ、逆テーパーの傾斜角度がノズルの中心線に対し2°〜50°であることを特徴とする樹脂押出用ダイ。
  2. 吐出ノズルの先端部は気体噴出置の外表面から0.1mm以上突き出ていることを特徴とする請求項1記載の樹脂押出用ダイ。
  3. 噴出気体が80℃〜300℃の高温気体であることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂押出用ダイ。
  4. 噴出気体が蒸気であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の樹脂押出用ダイ。
  5. 噴出気体が高温空気であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の樹脂押出用ダイ。
  6. 吐出ノズルの筒状部の外表面は樹脂の押出し方向と略平行とされていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の樹脂押出用ダイ。
  7. 気体の噴出速度が、2〜200m/秒であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の樹脂押出用ダイ。
  8. 前記吐出ノズルからストランド状に押出成形し、該ストランドを冷却媒体中に設置されたガイドローラーによってガイドしつつ冷却するにあたり、当該樹脂ストランドを引き取り速度Vs(m/min)で引き取るとともに、
    前記ガイドローラーの前記樹脂ストランドの接する外周面の移動速度をVr(m/min)とした場合に、0.7≧Vr/Vs≧−0.2の関係を満たすように、前記引き取り速度及び前記移動速度並びに前記ガイドローラーの回転方向を決定することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の樹脂押出用ダイ。
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