以下、本発明の実施形態につき、図面を参照しながら説明する。各図において、同一の部分または対応する部分には、同一符号を付してある。
まず、本発明の一実施形態に係る製管装置100の構造を、図1〜図7を参照しながら説明する。
製管装置100は、たとえば、既設管Pの内面にライニングを施すライニング工法の一工程で使用される。製管装置100は、既設管P内でストリップ1を螺旋状に巻回して、ジョイナ2で接合することにより、管状体を製作する。
ストリップ1は、図1に示すように、長尺で所定の幅を有している。ストリップ1は、硬質塩化ビニルなどの合成樹脂で形成されている。図3(a)に示すように、ストリップ1の裏面には、T型脚部1aが所定の間隔で複数形成されている。ストリップ1の両側縁の裏面側には、L型脚部1bが形成されている。ストリップ1の両側縁の表面側には、凹凸型の嵌合部1cが形成されている。T型脚部1a、L型脚部1b、および嵌合部1cは、ストリップ1の全長に渡って延びるように形成されている。
ジョイナ2は、図1に示すように、長尺で、ストリップ1より小さい所定の幅を有している。ジョイナ2は、硬質塩化ビニルなどの合成樹脂で形成されている。図3(b)に示すように、ジョイナ2の両側縁の裏面側には、凹凸型の嵌合部2cとリブ2bが形成されている。嵌合部2cの凹部には、シール材2aが設けられている。嵌合部2cとリブ2bは、ジョイナ2の全長に渡って延びるように形成されている。
ストリップ1を螺旋状に巻回して、ストリップ1の隣り合う巻回側縁の嵌合部1cに、図3(c)に示すように、ジョイナ2の嵌合部2cを嵌合することにより、ストリップ1の隣り合う巻回側縁は接合される。ストリップ1は、本発明の「長尺の帯状体」の一例である。ジョイナ2は、本発明の「接合条片」の一例である。
図1および図2に示すように、製管装置100のボディ10には、操作ユニット3、走行ユニット5、および旋回ユニット4が備わっている。操作ユニット3には、レバーやボタンやノブなどの操作部材が設けられている。作業者は、操作ユニット3の操作部材を操作して、製管装置100を運転する。
走行ユニット5には、駆動源、伝達機構、および車輪15などが設けられている。走行ユニット5の駆動源は、たとえば、減速機付の電動モータやエアーモータから成る(図示省略)。走行ユニット5の伝達機構は、チェーン装置と減速機などから成る(図示省略)。
走行ユニット5は、駆動源の動力を伝達機構により車輪15の車軸に伝達して、車輪15を回転させることにより、製管装置100を既設管Pの管軸方向へ走行させる。図1では、右側が製管装置100の前進方向であり、左側が製管装置100の後退方向である。
旋回ユニット4には、駆動源18、伝達機構17、回転管6、回転軸7a、7b、及びアーム11〜14などが設けられている。旋回ユニット4の駆動源18は、たとえば、減速機付の電動モータやエアーモータから成る。なお、駆動源は、走行ユニット5と旋回ユニット4とで、別々に設けてもよいし、1つだけ設けて共用してもよい。
旋回ユニット4の伝達機構17は、ギヤ装置またはチェーン装置と減速機などから成る。回転管6の前端部には、エアー供給用スイベル16が連結されている。また、回転管6の前方には、回転軸7aが連結されている。回転軸7aの前方には、接続ユニット9を介して回転軸7bが接続されている。回転軸7a、7bは、ボディ10の前方へ突出している。回転管6と回転軸7a、7bの中心は、既設管Pの管軸と一致している。
アーム11は、接続ユニット9を貫通していて、回転軸7a、7bと連結されている。アーム11〜14は、回転軸7a、7bに軸方向へ所定の間隔をおいて連結されている。また、アーム11〜14は、図2に示すように、回転軸7a、7bの周方向へ所定の角度間隔で、かつ、回転軸7a、7bの径方向へ突出するように配置されている。図2は、製管装置100を前方(図1の右側)から見た状態を示している。
旋回ユニット4は、駆動源18の動力を伝達機構17により回転管6に伝達して、回転管6を軸周りに回転させることにより、回転軸7a、7bを軸周りに回転させて、アーム11〜14を既設管Pの管軸周りに旋回させる。図2では、時計回り方向が旋回の前進方向であり、反時計回り方向が旋回の後退方向である。
図1に示すように、ボディ10の最も近くにあるアーム11の先端には、嵌合ユニット20が連結されている。図2に示すように、嵌合ユニット20の側方近傍には、位置決めユニット30が連結されている。図1に示すように、アーム11の次にボディ10の近くにあるアーム12の先端には、送りユニット40が連結されている。アーム12より前方にあるアーム13、14の先端には、それぞれ案内ユニット50が連結されている。
製管装置100は、走行ユニット5により走行しながら、旋回ユニット4によりアーム11〜14を旋回させることにより、各ユニット20、30、40、50を既設管P内で螺旋状に管軸方向へ進行させる。
アーム14に連結された案内ユニット50は、アーム13に連結された案内ユニット50より前方(図1で右側)で、かつ、アーム13の旋回前方(図2で時計回り側)に設けられている。
各案内ユニット50には、図2に示すように、ストリップ1を表面側と裏面側から挟み込む表裏1対のローラ51が設けられている。また、案内ユニット50には、図1に示すように、ストリップ1を幅方向の両側から挟み込む前後1対のローラ52が2対設けられている。
2つの案内ユニット50は、既設管P内で螺旋状に管軸方向へ進行(図1で右方へ前進)しながら、外部から既設管P内に送り込まれたストリップ1を、順にローラ51、52間に通して、送りユニット40へ案内する。
送りユニット40は、アーム13に連結された案内ユニット50より後方(図1で左側)で、かつ、アーム13の旋回後方(図2で反時計回り側)に設けられている。
送りユニット40には、図2に示すように、ストリップ1を表面側と裏面側から挟み込む表裏1対のローラ41が3対設けられている。また、送りユニット40には、図1に示すように、ストリップ1を幅方向の両側から挟み込む前後1対のローラ42が2対設けられている。さらに、送りユニット40には、電動モータなどの駆動源43と、ギヤなどの伝達機構44とが設けられている。
3対あるローラ41のうち、1対のローラ41には、駆動源43の動力が伝達機構44により伝達される。これにより、1対のローラ41は、相反する方向へ回転する。
送りユニット40は、既設管P内で螺旋状に管軸方向へ進行(図1で右方へ前進)しながら、案内ユニット50から案内されたストリップ1をローラ41、42間に通して、既設管Pの内面へ送る。その際、1対のローラ41が、駆動源43の動力で相反する方向へ回転することにより、ストリップ1を挟み込んで、既設管Pの内面へ所定の角度で送り出す。
すなわち、送りユニット40は、ストリップ1を既設管Pの内面に送りながら螺旋状に巻回する。送りユニット40は、本発明の「送り手段」の一例である。
嵌合ユニット20は、送りユニット40より後方(図1で左側)で、かつ、アーム12の旋回後方(図2で反時計回り側)に設けられている。
嵌合ユニット20には、図4に示すように、押圧ローラ21が設けられている。押圧ローラ21の回転軸22は、既設管Pの管軸方向と平行に設けられている。押圧ローラ21は、アーム11に設けられた、シリンダなどの付勢手段23により、既設管Pの内面側へ所定の圧力で付勢されている。
嵌合ユニット20は、既設管P内で螺旋状に管軸方向へ進行(図1で右方へ前進)しながら、送りユニット40により螺旋状に巻回されたストリップ1の巻回側縁1d(図3)の嵌合部1cに、外部から既設管P内に送り込まれたジョイナ2の嵌合部2cを嵌合する。
詳しくは、押圧ローラ21が、ストリップ1の巻回側縁1dの近傍の表面と、ジョイナ2の表面とを転動して、ストリップ1の嵌合部1cにジョイナ2の嵌合部2cを嵌合して行く。ジョイナ2は、図1で製管装置100の後方(左側)から供給管8を通して、嵌合ユニット20の近傍に送り込まれる。嵌合ユニット20は、本発明の「嵌合手段」の一例である。
位置決めユニット30は、図2に示すように、送りユニット40と嵌合ユニット20の間に設けられている。位置決めユニット30と送りユニット40と嵌合ユニット20とは、接近状態で配置されている。詳しくは、回転軸7a、7bを基準(中心)として、送りユニット40と位置決めユニット30との角度間隔、および、嵌合ユニット20と位置決めユニット30との角度間隔は、鋭角(90°未満)になっている。また、送りユニット40と嵌合ユニット20と位置決めユニット30は、螺旋状のストリップ1の管軸方向における同一巻回位置に来るように配置されている(図1)。
位置決めユニット30は、嵌合ユニット20の進行方向のすぐ前方に、リンク機構60により連結されている。リンク機構60は、図4に示すように、ブラケット61、梁62、63、およびコイルばね64などから構成されている。
ブラケット61は、嵌合ユニット20に連結されている。梁62の一端は、ブラケット61に所定角度だけ回動可能に連結されている。梁62の他端は、梁63に回転可能に連結されている。梁63の下端には、位置決めユニット30の前部が回転可能に連結されている。梁62と梁63の上端には、コイルばね64の両端がそれぞれ引っ掛けられている。ブラケット61と梁62の連結部65a、梁62と梁63の連結部65b、および梁63と位置決めユニット30の連結部65cは、可動性の連結部である。
リンク機構60は、嵌合ユニット20の螺旋状の進行力を、位置決めユニット30に伝達する。これにより、位置決めユニット30が、嵌合ユニット20に伴って、既設管P内で螺旋状に管軸方向へ進行する。その際、コイルばね64が、位置決めユニット30を既設管Pの内面に付勢する。また、リンク機構60が可動して、既設管Pやストリップ1から位置決めユニット30にかかる反力を吸収する。
リンク機構60は、本発明の「連結手段」の一例である。コイルばね64は、本発明の「付勢部材」の一例である。
位置決めユニット30のベース31は、図4〜図6に示すように、進行方向(図4で既設管Pの周方向、図5および図6で上下方向)に対して、先細り形状でかつ円弧形状に形成されている。ベース31の前部31aと後部31bは、図6に示すように、所定の角度に反り上がっている。ベース31の左右の端部には、図5および図7に示すように、係合部32と押さえ部36とが設けられている。
係合部32は、図7に示すように、溝33を挟む1対の突起から成る。溝33は、位置決めユニット30の進行方向(紙面と垂直な方向)と平行に延びている。溝33内には、ローラ34、35が設けられている。ローラ34、35の回転軸は、位置決めユニット30の進行方向に対して垂直に設けられている。
押さえ部36は、係合部32の上方に設けられている。押さえ部36は、シャフト37とベアリング38とから構成されている。シャフト37は、位置決めユニット30の進行方向に対して垂直に設けられている。
位置決めユニット30は、既設管P内で螺旋状に管軸方向へ進行(図1で右方へ前進)しながら、送りユニット40により螺旋状に巻回されたストリップ1を、嵌合ユニット20の前方で幅方向に寄せる。
詳しくは、位置決めユニット30は、図7に示すように、ストリップ1の巻回側縁1dの間を通過して行く。その際、係合部32が、ストリップ1の隣り合う巻回側縁1dの近傍の裏面側に設けられた凹部1eに係合する。また、ベース31が既設管Pの内面に当接する。そして、ストリップ1との接触部分にある第1ローラ34が、ストリップ1の裏面を転動する。また、既設管Pの内面との接触部分にある第2ローラ35が、既設管Pの内面を転動する。
また、押さえ部36が、ストリップ1の隣り合う巻回側縁1dの近傍を表面側から、既設管Pの内面側へ押さえる。その際、ストリップ1との接触部分にあるベアリング38が、ストリップ1の表面を転動する。
上記により、送りユニット40により螺旋状に巻回されたストリップ1は、嵌合ユニット20の前方で、位置決めユニット30の押さえ部36により、隣り合う巻回側縁1dの両方を既設管Pの内面側へ押さえられる。同時に、ストリップ1は、係合部32により、隣り合う巻回側縁1dをストリップ1の幅方向(図7で左右方向)へ寄せられて、所定の間隔Xに位置決めされた状態となる。
具体的には、ストリップ1の隣り合う巻回側縁1dのうち、少なくとも送りユニット40から送り出された直後の巻回側縁1dの方が、もう一方の巻回側縁1dに対して近づく方向や離れる方向へ寄って、当該隣り合う巻回側縁1dの間に所定の間隔Xが形成される。
上記所定の間隔Xは、ストリップ1の隣り合う巻回側縁1dの嵌合部1cに、ジョイナ2の嵌合部2cを嵌合可能な間隔に設定されている。すなわち、図3(c)および図7に示すように、ストリップ1の隣り合う巻回側縁1dの嵌合部1cの間隔を、ジョイナ2の嵌合部2cの間隔Zと同等にしたときの、ストリップ1の隣り合う巻回側縁1dの間隔が、所定の間隔Xである。
位置決めユニット30は、本発明の「位置決め手段」の一例である。係合部32のローラ34、35と押さえ部36のベアリング38とは、本発明の「回転体」の一例である。
次に、製管装置100により行う製管工法を説明する。
先ず、準備段階として、既設管P内を清掃した後、既設管P内の上部に、図2に示すように、スペーサ19を取り付ける。そして、既設管P内に製管装置100を設置する。次に、図1に示すように、ストリップ1を、製管装置100の前方(図1で右側)から送り込んで、案内ユニット50のローラ51、52間および送りユニット40のローラ41、42間へ通す。また、ジョイナ2を、製管装置100の後方(図1で左側)から送り込んで、供給管8内を通して、位置決めユニット30と嵌合ユニット20の間に送る(図2)。
製管工法では、製管装置100を駆動して、ストリップ1とジョイナ2を供給しながら、各ユニット20、30、40、50を既設管P内で螺旋状に管軸方向へ前進させて行く。すると、案内ユニット50により案内されたストリップ1が、送りユニット40により既設管Pの内面へ送られながら、螺旋状に巻回される。
そして、図4および図7に示すように、嵌合ユニット20の進行方向のすぐ前方で、位置決めユニット30により、ストリップ1の隣り合う巻回側縁1dが、既設管Pの内面側へ押さえられつつ、所定の間隔Xに位置決めされる。
上記のように、位置決めユニット30でストリップ1の隣り合う巻回側縁1dが位置決めされた状態で、当該隣り合う巻回側縁1dの嵌合部1cにジョイナ2の嵌合部2cが嵌合ユニット20により即座に嵌合される。これにより、図3(c)に示すように、ストリップ1の隣り合う巻回側縁1dがジョイナ2により接合されて、図1に示すように、既設管P内にストリップ1とジョイナ2から成る管状体200が製作される。
もし途中で、位置決めユニット30が、ストリップ1や既設管Pの内面やスペーサ19などに詰まったり引っ掛かったりして、進まなくなった場合は、各ユニット20、30、40、50の螺旋状の前進を停止し、送りユニット40の1対のローラ41の駆動を停止する。そして、アーム12などを逆方向に旋回させて、嵌合ユニット20と位置決めユニット30を後退させる。これにより、ストリップ1や既設管Pの段差やスペーサ19に対する、位置決めユニット30の詰まりや引っ掛かりが外れる。この後、位置決めユニット30をストリップ1の隣り合う巻回側縁1dの間に正しく係合し、各ユニット20、30、40、50の螺旋状の前進と、送りユニット40の1対のローラ41の駆動とを再開する。
そして、既設管P内の施工範囲に渡って、ストリップ1とジョイナ2から成る管状体200が製作されると、既設管Pの内面がライニングされた状態となる。ライニング工法では、この後、製管装置100を既設管P外へ撤去し、スペーサ19と既設管Pとの間に注入ホースを通して、既設管Pとストリップ1およびジョイナ2から成る管状体200との間に充填材を注入する。そして、充填材が硬化して、既設管Pとストリップ1およびジョイナ2から成る管状体200とが一体化すると、既設管Pが更正された状態となる。
上記実施形態によると、製管装置100は、送りユニット40によりストリップ1を既設管P内で螺旋状に巻回して、嵌合ユニット20の前方で、位置決めユニット30によりストリップ1の隣り合う巻回側縁1dを、既設管Pの内面側へ押さえつつ所定の間隔Xに位置決めする。このため、ストリップ1の隣り合う巻回側縁1dの両方を、既設管Pの内面に対して確実に寄せ、かつ、ストリップ1の隣り合う巻回側縁1dの少なくとも一方を、他方に対して所定の間隔Xになるまで確実に寄せることができる。
また、このようにストリップ1の隣り合う巻回側縁1dを位置決めした状態で、当該隣り合う巻回側縁1dの嵌合部1cにジョイナ2の嵌合部2cを嵌合ユニット20により嵌合する。このため、ストリップ1の隣り合う巻回側縁1dと既設管Pの内面との間隔、当該隣り合う巻回側縁1dの間隔、およびその嵌合部1cの間隔が、それぞれ離れず、所定の間隔に保持された状態で、当該嵌合部1cにジョイナ2の嵌合部2cを嵌合ユニット20で着実に嵌合することができる。
よって、製管装置100により、長尺のストリップ1の隣り合う巻回側縁1dを確実に接合することが可能となる。また、既設管Pの内面に沿った大きさの管状体200を既設管P内に作製して、既設管Pの内面と管状体200との間隔を小さくすることが可能となる。
また、上記実施形態では、位置決めユニット30で位置決めする、ストリップ1の隣り合う巻回側縁1dの所定の間隔Xを、その嵌合部1cにジョイナ2の嵌合部2cを嵌合可能な間隔にしている。このため、嵌合ユニット20により、ストリップ1の隣り合う巻回側縁1dの嵌合部1cに、ジョイナ2の嵌合部2cをより着実に嵌合することができる。
また、上記実施形態では、位置決めユニット30をストリップ1の隣り合う巻回側縁1dの間へ通過させている。このため、ストリップ1の隣り合う巻回側縁1dを所定の間隔Xに位置決めしつつ、ストリップ1の幅方向に対する位置決めユニット30の大きさを小さくすることができる。
また、上記実施形態では、位置決めユニット30のベース31を、先細り形状にしている。このため、ストリップ1の隣り合う巻回側縁1dと位置決めユニット30との抵抗を小さくして、当該隣り合う巻回側縁1dの間に位置決めユニット30を進行させ易くすることができる。
また、上記実施形態では、位置決めユニット30のベース31の前部31aと後部31bを反り上がらせている。このため、ベース31の前部31aや後部31bがストリップ1や既設管Pの内面に引っ掛かるのを防止することができる。
また、上記実施形態では、嵌合ユニット20と位置決めユニット30とを、螺旋状のストリップ1の管軸方向における同一巻回位置に来るように配置している。このため、位置決めユニット30でストリップ1の隣り合う巻回側縁1dを位置決めした直後に、この隣り合う巻回側縁1dの嵌合部1cにジョイナ2の嵌合部2cを嵌合ユニット20により嵌合することができる。またこの際、ストリップ1の隣り合う巻回側縁1dと既設管Pの内面との間隔、当該隣り合う巻回側縁1dの間隔、およびその嵌合部1cの間隔が、それぞれ離れるのを確実に防止することができる。
また、上記実施形態では、位置決めユニット30に設けた係合部32を、ストリップ1の隣り合う巻回側縁1d近傍の裏面側に設けられた凹部1eに係合させている。このため、ストリップ1の隣り合う巻回側縁1dを近づく方向と離れる方向に自在に寄せて、当該隣り合う巻回側縁1dの間に所定の間隔Xを確保することができる。
また、上記実施形態では、位置決めユニット30に設けた押さえ部36で、ストリップ1の隣り合う巻回側縁1d近傍を表面側から押さえている。このため、ストリップ1の隣り合う巻回側縁1dを既設管Pの内面側へ押さえて、既設管Pの内面から離れないように保持することができる。また、ストリップ1と既設管Pの内面との間隔を小さくすることができる。
また、上記実施形態では、位置決めユニット30のストリップ1との接触部分と、既設管Pの内面との接触部分とに、回転体としてローラ34、35やベアリング38を設けている。このため、位置決めユニット30が進行したときに、ローラ34、35がストリップ1の裏面や既設管Pの内面に接して転動する。また、ベアリング38がストリップ1の表面に接して転動する。これにより、位置決めユニット30とストリップ1や既設管Pの内面との間の抵抗力を小さくして、位置決めユニット30を進行させ易くすることができる。
また、上記実施形態では、嵌合ユニット20の進行方向の前方に、位置決めユニット30をリンク機構60により連結している。このため、嵌合ユニット20の進行力を、リンク機構60で位置決めユニット30に伝達して、位置決めユニット30と嵌合ユニット20とを同期させて動作させることができる。また、既設管Pの内面の近傍にある嵌合ユニット20の進行力を、リンク機構60で既設管Pの内面に沿うように位置決めユニット30に伝達して、位置決めユニット30を進行させ易くすることができる。
また、上記実施形態では、リンク機構60が可動性の連結部65a〜65cを含んでいる。このため、嵌合ユニット20の進行力と、位置決めユニット30がストリップ1や既設管Pの内面から受ける反力とに応じて、リンク機構60が作動して、これらの力をある程度吸収することができる。そして、位置決めユニット30がストリップ1や既設管Pの内面に引っ掛かって、位置決めユニット30や嵌合ユニット20が動けなくなるのを抑制することができる。
さらに、上記実施形態では、リンク機構60のコイルばね64で位置決めユニット30を既設管Pの内面に付勢している。このため、位置決めユニット30を既設管Pの内面に沿って進行させて、ストリップ1と既設管Pの内面との間隔をより小さくすることができる。
次に、本発明の他の実施形態を説明する。
図8〜図10に示す、他の実施形態に係る位置決めユニット30’は、押さえ部36のベアリング38を進行方向に複数設けている。位置決めユニット30’は、嵌合ユニット20の進行方向のすぐ前方に、リンク機構60’により連結されている。リンク機構60’は、ブラケット66、70、梁67、68、コイルばね64、およびワイヤ72などから構成されている。
図10に示すように、ブラケット66は、ブラケット70を介して嵌合ユニット20に連結されている。1対の梁67は、位置決めユニット30’の幅方向に所定の間隔をおいて配置されている。1対の梁67の一端は、図8などに示すように、ブラケット66に回動可能に連結されている。1対の梁67とブラケット66の連結位置は、アーム11の長手方向へ調整することができる。
1対の梁67の他端は、図10に示すように、シャフト71を介して梁68と回転可能に連結されている。シャフト71の両端部には、ベアリング69が取り付けられている。梁68の下端には、位置決めユニット30’の前部が、上下へ回動可能でかつ幅方向へ揺動可能に連結されている。ブラケット66と梁67の連結部73a、梁67と梁68の連結部73b、および梁68と位置決めユニット30’の連結部73cは、可動性の連結部である。
図8に示すように、嵌合ユニット20に固定されたブラケット66の下端と、位置決めユニット30’の後部との間には、ワイヤ72がシャックル74を介して架かっている。また、ブラケット66の下端と、1対の梁67の下端には、1対のコイルばね64の両端がそれぞれ引っ掛けられている。
製管工法において、リンク機構60’は、嵌合ユニット20の螺旋状の進行力を、位置決めユニット30’に伝達して、位置決めユニット30’を螺旋状に管軸方向へ進行させる。その際、コイルばね64が、梁67、68および位置決めユニット30’を既設管Pの内面に付勢する。また、梁67の他端に設けられたベアリング69とストリップ1の表面または既設管Pの内面とが接触して、ベアリング69が転動する。また、リンク機構60’が可動して、既設管Pやストリップ1から位置決めユニット30’にかかる反力を吸収する。
また、通常、図8および図10に示すように、ワイヤ72が弛んで、位置決めユニット30’の前進を妨げることはない。位置決めユニット30’を後退させる場合には、アーム11を逆方向に旋回させると、嵌合ユニット20が後退することにより、図9に示すように、ワイヤ72が張って、位置決めユニット30’の後部を引っ張る。
リンク機構60’は、本発明の「連結手段」の一例である。ベアリング69は、本発明の「回転体」の一例である。ワイヤ72は、本発明の「弛張体」の一例である。
上記実施形態によると、リンク機構60’がストリップ1に接触しても、該接触部分にあるベアリング69が転動する。このため、リンク機構60’がストリップ1に引っ掛かって動けなくなったり、ストリップ1を損傷したりするのを防止することができる。
また、上記実施形態では、嵌合ユニット20と位置決めユニット30’との間にワイヤ72を架けている。このため、嵌合ユニット20と位置決めユニット30’との間隔を、ワイヤ72が張ったときの間隔以下に制限することができる。また、嵌合ユニット20を後退させたときに、位置決めユニット30’をワイヤ72で引っ張って、容易に後退させることができる。
図11および図12に示す、他の実施形態に係る位置決めユニット30”は、ベース31の中央に設けられたリブ39に、進行方向へ拡がる長孔39aが形成されている。長孔39aは、ベアリング69と押さえ部36とが干渉しないように、山型に傾斜されている。山型の長孔39aにすることで、位置決めユニット30”の進行方向の大きさを小さくすることができる。
これ以外に、たとえば図13に示すように、直線型の長孔39bをリブ39に形成してもよい。長孔39bは、ベアリング69と押さえ部36とが干渉しない位置に形成されている。また、長孔39bの径は、施工対象の既設管Pの径に応じて、大きくしてもよい。
図11に示すように、位置決めユニット30”は、嵌合ユニット20の進行方向のすぐ前方に、リンク機構60”により連結されている。このリンク機構60”
では、図8〜図10に示したリンク機構60’から、梁68とワイヤ72が省略されている。リンク機構60”は、本発明の「連結手段」の一例である。
位置決めユニット30”の長孔39aには、シャフト71が貫通している。1対の梁67の他端は、シャフト71を介して、位置決めユニット30”に前後へ移動可能に連結されている。梁67と位置決めユニット30”との連結部73dは、可動性の連結部である。
嵌合ユニット20が前進するときは、該前進力によりリンク機構60”が押されて、図11に示すように、シャフト71が位置決めユニット30”の長孔39aの前縁に係合する。これにより、嵌合ユニット20の前進力が位置決めユニット30”の前部に伝達され、位置決めユニット30”が前進する。また、嵌合ユニット20が後退するときは、該後退力によりリンク機構60”が引っ張られて、図12に示すように、シャフト71が位置決めユニット30”の長孔39aの後縁に係合する。これにより、嵌合ユニット20の後退力が位置決めユニット30”の後部に伝達され、位置決めユニット30”が後退する。
上記実施形態によると、リンク機構60”により位置決めユニット30”を、既設管Pの内面から離れることなく、前方と後方へ移動させ易くすることができる。
本発明は、上述した以外にも種々の実施形態を採用することができる。たとえば、上記実施形態では、位置決めユニット30によりストリップ1の隣り合う巻回側縁1dを離間させるような、所定の間隔Xに位置決めした例を示したが、本発明はこれに限定するものではない。これ以外に、たとえば、幅の狭いジョイナを用いた場合などには、位置決めユニットによりストリップの隣り合う巻回側縁を接触させるような、所定の間隔に位置決めするようにしてもよい。
然るに、図1〜図7に示した実施形態では、幅広のジョイナ2を用いたため、ストリップ1の隣り合う巻回側縁1dを離間させて、その嵌合部1cの間隔を広くする必要がある場合に、特に有利である。つまり、位置決めユニット30でストリップ1の隣り合う巻回側縁1dを所定の間隔Xをおいて位置決めした状態で、その嵌合部1cにジョイナ2の嵌合部2cを着実に嵌合することができる点で、有効性が高い。
また、上記実施形態では、位置決めユニット30、30’、30”のストリップ1との接触部分と、既設管Pの内面との接触部分と、リンク機構60’、60”の既設管Pの内面との接触部分とに、ローラ34、35またはベアリング38、69から成る回転体を設けた例を挙げたが、本発明はこれに限定するものではない。これ以外に、たとえば、ころなどの円柱体や鋼球などの球体のようなものを、回転体として用いてもよい。
また、上記各接触部分に設ける回転体の数は単一でも複数でもよい。また、位置決めユニット30、30’、30”では、ストリップ1に対して、厚み方向からの接触部分だけに限らず、幅方向からの隣り合う巻回側縁1dへの接触部分にも、回転体を設けるようにしてもよい。さらに、上記各接触部分に、回転体以外に、低摩擦部材を設けたり低摩擦加工を施したりして、ストリップや管内面との滑りを良くしてもよい。
また、上記実施形態では、リンク機構60、60’、60”に付勢部材としてコイルばね64を設けた例を挙げたが、本発明はこれに限定するものではない。これ以外に、たとえば、板ばね、ねじりばね、ゴム、またはシリンダなどを、付勢部材として用いてもよい。
また、上記実施形態では、嵌合ユニット20と位置決めユニット30’の間に架かる弛張体としてワイヤ72を用いた例を挙げたが、本発明はこれに限定するものではない。これ以外に、たとえば、鎖、ロープ、ひも、テープ、布切れ、または薄板などのような、弛んだり張ったりするものを、弛張体として用いてもよい。
また、上記実施形態では、嵌合ユニット20と位置決めユニット30、30’、30”とを連結する連結手段として、リンク機構60、60’、60”を用いた例を挙げたが、本発明はこれに限定するものではない。これ以外に、たとえば、図14に示すような、梁状の連結部材80を、連結手段として用いてもよい。連結部材80の前端は、位置決めユニット30に連結されている。連結部材80の後端は、嵌合ユニット20に連結されている。すなわち、連結部材80は、嵌合ユニット20の進行方向の前方に、位置決めユニット30を連結する。
さらに、上記実施形態では、既設管Pを更生するためのライニング工法の一工程に本発明を適用した例を挙げたが、これ以外の用途に対しても、本発明の製管工法および製管装置を適用することは可能である。