JP5772695B2 - マンドレルおよびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、長尺中空体の製造に用いられるマンドレルおよび該マンドレルの製造方法に関し、特に、形成した長尺中空体からの引抜性に優れたマンドレルおよびその製造方法に関するものである。
産業用や自動車用の長尺中空体(例えば、チューブ、ホース、パイプ)の生産には、しばしば成形芯材としてマンドレルが使用される。マンドレルは、その素材によって金属マンドレル、ゴムマンドレルおよび樹脂マンドレルに大別される。中でも、樹脂マンドレルは、外径精度、耐久性および取り扱いの容易さなどの観点から、フレキシブルな長尺中空体の生産に広く利用されている。
マンドレルを使用したホースの製造は、1例として以下のような工程で行われる。
(a)マンドレル周囲にホースの内層材料を押出して第1の層を形成する工程、
(b)第1の層の外周に補強繊維を編組する工程、
(c)ホースの外層材料を押出して第2の層を形成する工程、
(d)第1の層および第2の層を加硫する工程、
(e)マンドレルを抜き取る工程、である。
上記のようなホースの製造においては、マンドレルを抜き取る工程が、特に時間と労力を必要とするため、生産効率(すなわち製造コスト)を大きく左右する工程となる。また、マンドレルを抜き取る際に、マンドレルとホースとの摩擦抵抗によりマンドレルの表面の一部やホースの内面の一部が剥離して、製品の品質が低下するという問題が生じやすかった。そこで、これらの問題を解決するために、マンドレルの引抜性(抜き取り易さ)を向上させる技術が種々提案されている。
例えば、特許文献1(特開2010-155408号公報)には、少なくとも外層が樹脂層からなり、内層に導電性部材を有するマンドレルの表面にコロナ放電を施した直後に離型剤を塗布することを特徴とするマンドレルの製造方法が開示されている。特許文献1によると、マンドレルの表面にコロナ放電を施した直後に離型剤を塗布することによって、離型剤がマンドレル表面になじんだ状態で保持されており、マンドレル表面の離型効果が比較的長時間維持され、マンドレルの引き抜き性が高度に維持されると報告されている。
また、特許文献2(特開2006-159795号公報)には、マンドレルの少なくとも外周側面を、所定の樹脂に帯電防止剤(永久帯電防止剤)を配合した樹脂組成物で形成したマンドレルが開示されている。具体的には、所定の樹脂として、ポリアミド、ポリエステルエラストマーおよびポリ(4-メチル-1-ペンテン)から選ばれる1種または2種以上が開示され、帯電防止剤の配合比率として、樹脂100重量部当たり帯電防止剤を5〜30重量部配合することが開示されている。特許文献2によると、表面に塗布された離型剤が凝集せず、均一に拡がって保持され、引抜性が高いマンドレル(引抜力が小さいマンドレル、引抜力=20〜30 N)を提供することができると報告されている。
特開2010−155408号公報 特開2006−159795号公報
最近では、自動車等の産業分野における価格競争の激化から、使用されるチューブ等の部品について、更なるコストダウンの要求が強くなっている。また、当該部品に対する小径化・軽量化の要求も強くなっている。チューブ等の部品において小径化・軽量化する場合、該部品および生産に用いるマンドレルの機械的強さが必然的に小さくなるため、該部品の製造歩留まりの観点から、マンドレルの引抜力を小さくすることは極めて重要な課題である。一方、マンドレルは、当該部品を生産するにあたって、通常複数回再利用されるが、基本的に消耗部材の一種である。そのため、マンドレルのコスト自体が当該部品の製造コストに与える影響は、決して小さくない。
上述した特許文献1や特許文献2では、マンドレルを製造する際にコロナ放電処理工程や離型剤の塗布工程を要するため、製造されるマンドレルのコストが増大しやすいという問題がある。すなわち、それら従来のマンドレルおよびその製造方法は、要求されるレベルを満たすことが困難になってきている。
従って、本発明の目的は、上記要求を満たすために、引抜性に優れたマンドレル(1例として、引抜力が20 N未満のマンドレル)を従来よりも低コストで提供することにある。
(I)本発明の一態様によると、金属芯線と前記金属芯線の外周に被覆された樹脂最外層とを有するマンドレルであって、前記樹脂最外層は、ポリメチルペンテンからなり、その結晶化度を示差走査熱量測定により評価したときに、融解熱ピークが35 J/g以上38.5 J/g未満であることを特徴とするマンドレルを提供する。
(II)本発明の他の態様によると、金属芯線と前記金属芯線の外周に被覆された樹脂最外層とを有するマンドレルであり、前記樹脂最外層が、ポリメチルペンテンからなり、その結晶化度を示差走査熱量測定により評価したときに、融解熱が35 J/g以上38.5 J/g未満であるマンドレルの製造方法であって、前記金属芯線の外周に270℃以上320℃以下の押出温度でポリメチルペンテンを押出被覆して前記樹脂最外層を形成する押出被覆工程と、前記押出被覆工程の直後に、前記樹脂最外層を室温空間で放冷する冷却工程とを含むことを特徴とするマンドレルの製造方法を提供する。
また、本発明は、上記の本発明に係るマンドレルおよびマンドレルの製造方法において、以下のような改良や変更を加えることができる。
(i)前記樹脂最外層の外径が0.5 mm以上3 mm以下である。
(ii)前記押出被覆工程の前記押出温度が270℃以上300℃未満である
本発明によれば、引抜性に優れたマンドレル(1例として、引抜力が20 N未満のマンドレル)を従来よりも低コストで提供することができる。
本発明に係るマンドレルの1例を示す斜視模式図である。 本発明の実施例2の樹脂最外層に対する示差走査熱量測定の1回目の昇温過程で得られるチャートの1例である。 マンドレル引抜試験の断面模式図である。 実施例2の樹脂最外層表面の走査型プローブ顕微鏡(SPM)観察像であり、(a)形状像、(b)位相像である。 比較例2の樹脂最外層表面のSPM観察像であり、(a)形状像(b)位相像である。
本発明者らは、引抜力の小さいマンドレルを得るために、マンドレルを構成する樹脂最外層の性状(特に表面微構造)と引抜力との関係を鋭意検討した。その結果、樹脂最外層の結晶化度がある特定の範囲にある場合に、マンドレルの引抜力が劇的に低下することを見出した。本発明は、当該知見に基づいて完成されたものである。
以下、本発明に係る実施形態を説明する。ただし、本発明は、ここで取り上げた実施の形態に限定されることはなく、要旨を変更しない範囲で適宜組み合わせや改良が可能である。
[マンドレル]
図1は、本発明に係るマンドレルの1例を示す斜視模式図である。本発明に係るマンドレル1は、金属芯線2と該金属芯線2の外周に被覆された樹脂最外層3とを有する。前述したように、長尺中空体4(例えば、チューブ)は、マンドレル1の周囲に所定の樹脂材料を押出成形した後に、マンドレル1を抜き取ることで製造される。
本発明は、樹脂最外層3の材料としてポリメチルペンテン(PMP)を用い、その結晶化度を示差走査熱量測定(DSC)により評価したときに、融解熱が35 J/g以上38.5 J/g未満であることを特徴とする。ポリメチルペンテンは、その表面張力が24 mN/mで、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の表面張力(20 mN/m)に次いで低い値を有し、良好な離型性を示す。また、PMPはPTFEよりも安価であるため、コストの面で有利である。融解熱が35 J/g以上38.5 J/g未満となるようにPMPの結晶化度を制御することにより、引抜力の小さいマンドレルを提供することができる。
ここで、本発明における樹脂最外層の結晶化度の評価について説明する。本発明では、結晶化度の評価として、入力補償型のDSC測定装置(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製、DSC Q200)を用い、大気中で昇温速度10℃/minで測定試料(質量10 mg)を昇温し、測定温度範囲40〜300℃の熱流を測定した。試料容器としてはアルミニウムパンを用い、参照試料は用いなかった。図2は、本発明の実施例2の樹脂最外層に対する示差走査熱量測定の1回目の昇温過程で得られるチャートの1例である。実施例2の仕様については後述する。図2に示したように、160℃と250℃とを結ぶ線をベースラインとしてピーク面積を求め、該面積から融解熱(J/g)を算出した。
図1に示したように、本発明に係るマンドレル1は、金属芯線2を有していることが好ましい。これにより、マンドレル1を小径化しても、引抜力に対するマンドレルの機械的強さを確保することができ、マンドレル抜取工程におけるマンドレルの破断を防ぐことができる。金属芯線2の材料に特段の限定はなく、樹脂最外層3を形成する押出温度で軟化せず低コストの材料であればよい。例えば、アルミニウム合金線、亜鉛めっき鉄線、錫めっき銅線などを好適に用いることができる。
図示していないが、金属芯線2と樹脂最外層3との密着性を向上させるために、金属芯線2と樹脂最外層3との間に中間層を配設してもよいし、金属芯線2の表面に凹凸構造を形成してもよい。
[マンドレルの製造方法]
本発明に係るマンドレル1を製造する方法は、金属芯線2の外周に270℃以上320℃以下の押出温度でポリメチルペンテンを押出被覆して樹脂最外層3を形成する押出被覆工程と、該押出被覆工程の直後に、樹脂最外層3を室温空間で放冷する冷却工程とを含むことを特徴とする。
上述したように、押出被覆工程におけるPMPの押出温度は、270℃以上320℃以下が好ましい。ポリメチルペンテン(融点:230〜240℃)は、270℃未満の温度では粘度が高過ぎるため押出被覆が困難である。一方、320℃を超えると樹脂が熱分解し始めるため、樹脂最外層の形状制御(すなわち、マンドレルの形状精度)の観点から好ましくない。上記範囲でも、275℃以上300℃未満が特に好ましい。
本発明のマンドレル製造方法は、上述した押出被覆工程の直後に、樹脂最外層を室温空間(例えば、20℃)で放冷する(空冷する)冷却工程を行うことが好ましい。押出被覆直後の樹脂最外層を適度な冷却速度で冷却することにより、軟化流動状態にあるPMPの形状制御とPMPの結晶化度制御とをバランスさせて両立することができる。
より具体的には、押出温度からPMPのビカット軟化点(約160℃)までの平均冷却速度が8℃/s以上40℃/s以下であることが好ましい。平均冷却速度が40℃/sより速いとPMPの結晶化度が低下する。一方、平均冷却速度が8℃/sより遅いと樹脂最外層の形状精度が低下すると共に、PMPの結晶化度が過大となる。PMPの結晶化度を適正範囲に制御することにより、マンドレルの引抜性を高めることができる(マンドレルの引抜力が小さくなる)。また、本発明に係るマンドレルの製造方法は、マンドレル表面を加工する付加的な工程を要しないことから、製造コストを低減することができる。なお、PMPの結晶化度とマンドレルの引抜性との関係については、後で考察・説明する。
以下、本発明を実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本実施例においては、室温空間で放冷することを「空冷」と称し、水中に投入・冷却することを「水冷」と称する。
(実施例1のマンドレルおよびチューブの作製)
金属芯線として錫めっき銅線(外径0.48 mm)を用い、単軸押出機(スクリュー径35 mm)を用いてポリメチルペンテン(三井化学株式会社製、TPX DX845、TPXは登録商標)を該錫めっき銅線の外周に押出被覆して、樹脂最外層を形成した(押出被覆工程)。押出温度(押出機のダイス温度)は295℃とした。押出成形したマンドレルを引取速度30 m/minで巻き取りながら、樹脂最外層を空冷した(冷却工程)。実施例1として、外径1.14 mm、長さ2000 mのマンドレルを作製した。
次に、上記で作製した実施例1のマンドレルの外周に、単軸押出機(スクリュー径35 mm)を用いてエチレンプロピレンゴム(JSR株式会社製、EP51)を押出被覆して、チューブを形成した。押出温度(押出機のダイス温度)は100〜110℃とし、引取速度25 m/minで押出成形した。その後、押出成形したチューブに対して蒸気架橋(温度200℃、圧力20 atm、時間3分間)行った。最後に、架橋したチューブからマンドレルを抜き取って、実施例1のチューブ(外径4.1 mm、内径1.14 mm、長さ1900 m)を作製した。
(実施例2のマンドレルおよびチューブの作製)
マンドレル製造における押出被覆工程の押出温度を285℃とし、金属芯線として錫めっき銅線(外径0.78 mm)を用いてマンドレルの外径を1.4 mmとし、チューブの外径を4.6 mm、内径を1.4 mmとした以外は実施例1と同様にして、実施例2のマンドレルおよびチューブを作製した。
(実施例3のマンドレルおよびチューブの作製)
マンドレル製造における押出被覆工程の押出温度を275℃とした以外は実施例1と同様にして、実施例3のマンドレルおよびチューブを作製した。
(実施例4のマンドレルおよびチューブの作製)
マンドレル製造における押出被覆工程の押出温度を320℃とした以外は実施例1と同様にして、実施例4のマンドレルおよびチューブを作製した。
(実施例5のマンドレルおよびチューブの作製)
マンドレル製造における押出被覆工程の押出温度を310℃とした以外は実施例2と同様にして、実施例5のマンドレルおよび中空チューブを作製した。
(比較例1のマンドレルおよびチューブの作製)
マンドレル製造における押出被覆工程の押出温度を320℃とし、冷却工程での冷却方法を水冷とした以外は実施例1と同様にして、比較例1のマンドレルおよびチューブを作製した。なお、水冷は、押出成形したマンドレルを引取速度30 m/minで巻き取りながら、水槽(水温約18℃)に一旦通すことによって行った。
(比較例2のマンドレルおよびチューブの作製)
マンドレル製造における押出被覆工程の押出温度を320℃とし、冷却工程を水冷とした以外は実施例2と同様にして、比較例2のマンドレルおよびチューブを作製した。
(比較例3のマンドレルおよびチューブの作製)
マンドレル製造における押出被覆工程の押出温度を310℃とし、冷却工程を温風冷却(100℃の温風槽内での冷却)とした以外は実施例1と同様にして、比較例3のマンドレルおよびチューブを作製した。なお、比較例3での平均冷却速度は、8℃/sよりも低かった。
(比較例4のマンドレルおよびチューブの作製)
マンドレル製造における押出被覆工程の押出温度を265℃とした以外は実施例1と同様にして、比較例4のマンドレルを作製しようとした。しかしながら、ポリメチルペンテンの粘度が十分に低くならず、押出被覆することができなかった。そのため、マンドレルの作製に至らなかった。
(試験・評価)
上記のようにして用意した実施例1〜5および比較例1〜3のマンドレルおよびチューブに対して、次のような試験・評価を行った。
(1)DSC測定(結晶化度評価)
マンドレルの樹脂最外層に対してDSC測定を行い、融解熱の大小によって結晶化度の高低を評価した。DSC測定は、前述したように次のような手順で行った。作製したマンドレルの樹脂最外層の一部を切り出して測定試料(試料質量10 mg)とした。入力補償型のDSC測定装置(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製、DSC Q200)を用い、大気中で昇温速度10℃/minで測定試料を昇温し、測定温度範囲40〜300℃の熱流を測定した。得られた熱流−温度チャートの160℃と250℃とを結ぶ線をベースラインとしてピーク面積を求め、該面積から融解熱(J/g)を算出した。
(2)マンドレルの扁平率測定(形状精度評価)
マンドレルに対して外径寸法の測定を行い、扁平率を算出して形状精度を評価した。具体的には、マンドレルの周方向に沿って外径寸法の測定を4箇所(約45°間隔)で行い、マンドレルの長手方向に沿って同様の外径寸法の測定を3箇所で行った。測定した外径寸法の最大値に対する最小値の割合を扁平率として算出した「扁平率(%)= (マンドレル外径の最小値)/(マンドレル外径の最大値) ×100」。なお、マンドレルに求められる形状精度としては、少なくとも90%以上の扁平率が必要とされている。
(3)引抜試験(引抜性評価)
マンドレルの引抜試験は次のような手順で行った。図3は、マンドレル引抜試験の断面模式図である。引抜試験装置には、非接触型標線間追尾装置付きのテンシロン万能材料試験機(株式会社オリエンテック製、RTC-1310)を用いた。図3に示したように、作製したマンドレル抜き取り前のチューブ4を所定の長さで切り出し、穴開き治具5にマンドレル1を通してチューブ4を押さえ、マンドレル1のみを引抜速度50 mm/minで引き抜いて、その引抜力(N)を測定した。測定回数を10回とし、平均値を算出した。
(4)走査型プローブ顕微鏡(SPM)観察(樹脂最外層の表面微構造観察)
走査型プローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製、SPA-300HV)を用いて、作製したマンドレルの樹脂最外層の表面微構造を観察し、マンドレル製造条件と表面微構造との関係を調査した。SPM観察像において、形状像から樹脂最外層(ポリメチルペンテン)の結晶粒の大きさと表面の凹凸を調査し、位相像から当該観察エリアの硬さ分布を調査した。観察条件は、振幅減衰率-0.15、観察エリア2μm×2μm、走査周波数1 Hzとした。
実施例1〜5の仕様および試験評価結果(マンドレルの外径、樹脂最外層の押出温度、樹脂最外層の冷却方法、樹脂最外層の融解熱、扁平率、マンドレルの引抜力、およびチューブの外径・内径)を表1に示す。また、比較例1〜4の仕様および試験評価結果を表2に示す。
Figure 0005772695
Figure 0005772695
表1および表2に示したように、実施例1〜5で作製したマンドレルは、融解熱が本発明で規定される範囲内(35 J/g以上38.5 J/g未満)にあり、比較例に比べてマンドレルの引抜性に優れている(引抜力=20 N未満)ことが確認された。特に、押出温度が270℃以上300℃未満である実施例1〜3は、マンドレルの引抜性が更に優れていることが確認された(引抜力=7 N未満)。また、従来と同等の形状精度を維持していた。
一方、冷却工程における冷却方法を「水冷」とした比較例1〜2で作製したマンドレルは、いずれも融解熱が本発明の規定よりも小さく(すなわち、樹脂最外層の結晶化度が小さく)、マンドレルの引抜性に劣っていた(引抜力=20 N以上)。冷却工程における平均冷却速度が低い比較例3で作製したマンドレルは、融解熱が本発明の規定よりも大きく(樹脂最外層の結晶化度が大きく)、マンドレルの引抜性に劣ると共に、形状精度が大きく劣化していた。なお、比較例4に関しては、前述したように押出温度が低いためにポリメチルペンテンの粘度が十分に低くならず、押出被覆することができなかった。
(樹脂最外層の結晶性とマンドレルの引抜性に関する考察)
図4は、実施例2の樹脂最外層表面の走査型プローブ顕微鏡(SPM)観察像であり、(a)形状像、(b)位相像である。図5は、比較例2の樹脂最外層表面のSPM観察像であり、(a)形状像(b)位相像である。形状像では、明暗で表面の高低を表す。明るい部分は表面の凸部を示し、暗い部分は表面の凹部を示す。また、位相像では、明暗で表面の硬軟を表す。暗い部分は表面が硬い部分を示し、明るい部分は表面が軟らかい部分を示す。
図4(a)および図5(a)の形状像から、実施例2のポリメチルペンテンの方が、比較例2のポリメチルペンテンよりも結晶粒が大きく、全体としてデコボコしていることが判る。比較例2では、一部でパーティクル状の凸部が観察されるが、全体としての平坦性が高い。また、図4(b)および図5(b)の位相像からは、実施例2のポリメチルペンテンの方が、比較例2のポリメチルペンテンよりも硬い部分が明らかに多いことが判る。
これらのSPM観察結果とDSC測定による融解熱とを考え合わせると、本発明に係る製造方法で製造した実施例2の方が、比較例2よりもポリメチルペンテンの結晶化度が高く、結晶粒がより大きく成長している(すなわち、結晶性が向上している)と言える。また、結晶性の向上は、硬さの向上につながる。一方、本発明の規定から外れる製造方法で製造した比較例2は、ポリメチルペンテンの結晶化度が低く、結晶粒も小さいため(すなわち、結晶性が低いため、非晶質領域が多いため)、表面平滑性が高く表面が柔らかいと見なすことができる。
さらに、これらの樹脂最外層の性状と引抜試験による引抜力とを考え合わせると、表面が硬く凹凸が大きい実施例2は、その上に形成されたチューブとの実効接触面積が小さくなることから、引抜力が低下(引抜性が向上)したものと考えられる。それとは反対に、表面が柔らかく凹凸が小さい比較例2は、その上に形成されたチューブとの実効接触面積が大きくなると共に引抜時に変形しやすいことから、引抜力が増大(引抜性が低下)したものと考えられる。
なお、比較例3では、ポリメチルペンテンの結晶化度が更に高く、結晶粒が過大に成長したため(表面凹凸が大きくなり過ぎたため)、その上に形成されたチューブとの間でアンカー効果が作用して引抜力が増大(引抜性が低下)したものと考えられる。
以上に示したように、本発明は引抜性に優れたマンドレルを従来よりも低コストで提供できることが実証された。
1…マンドレル、2…金属芯線、3…樹脂最外層、4…チューブ、
5…穴開き冶具。

Claims (4)

  1. 金属芯線と前記金属芯線の外周に被覆された樹脂最外層とを有するマンドレルであって、
    前記樹脂最外層は、ポリメチルペンテンからなり、その結晶化度を示差走査熱量測定により評価したときに、融解熱が35 J/g以上38.5 J/g未満であることを特徴とするマンドレル。
  2. 請求項1に記載のマンドレルにおいて、
    前記樹脂最外層の外径が0.5 mm以上3 mm以下であることを特徴とするマンドレル。
  3. 金属芯線と前記金属芯線の外周に被覆された樹脂最外層とを有するマンドレルであり、前記樹脂最外層が、ポリメチルペンテンからなり、その結晶化度を示差走査熱量測定により評価したときに、融解熱ピークが35 J/g以上38.5 J/g未満であるマンドレルの製造方法であって、
    前記金属芯線の外周に270℃以上320℃以下の押出温度でポリメチルペンテンを押出被覆して前記樹脂最外層を形成する押出被覆工程と、
    前記押出被覆工程の直後に、前記樹脂最外層を室温空間で放冷する冷却工程とを含むことを特徴とするマンドレルの製造方法。
  4. 金属芯線と前記金属芯線の外周に被覆された樹脂最外層とを有するマンドレルであり、前記樹脂最外層が、ポリメチルペンテンからなり、その結晶化度を示差走査熱量測定により評価したときに、融解熱ピークが35 J/g以上38.5 J/g未満であるマンドレルの製造方法であって、
    前記金属芯線の外周に270℃以上300℃未満の押出温度でポリメチルペンテンを押出被覆して前記樹脂最外層を形成する押出被覆工程と、
    前記押出被覆工程の直後に、前記樹脂最外層を室温空間で放冷する冷却工程とを含むことを特徴とするマンドレルの製造方法。
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