本発明に係る画像処理装置の第1の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
第1の実施形態に係る画像処理装置は、各種動作部の中の所定動作部への電源の供給をON/OFF制御することで省エネ(省電力)動作を可能とするとともに、画像処理装置によって消費される電力を内蔵の電力測定部で測定可能とし、電力測定部で測定された消費電力をユーザインタフェースとして機能する操作部で表示する。また、電力測定部自体も測定動作を行う際に電力を消費するが、電力測定部への電力供給のON/OFF制御をも可能とし、電力の測定が不要な状況に応じて電力測定部への電力供給を停止することができる。
なお、実施の対象となる画像処理装置は、例えば、ユーザインタフェースもしくはファクシミリ受信部を常時待機状態にし、処理すべきデータ(画像データ等)の入力を可能な状態にしておくことが望ましい。また実施の対象となる画像処理装置として、画像出力動作に大きな電力を用いる、以下に例示するMFP(MultiFunction Peripheral、すなわち複合機であって、コピー、スキャナ、プリンタ、ファクシミリ等を複合機能として有する画像処理装置)等の画像処理装置が好適であるが、上記の如くの構成を有する画像処理装置であれば、適用する機器の種類は限定されない。
[画像処理装置(MFP)の構成]
上記の特徴を持つ本発明の実施例による画像処理装置(MFP)の構成について以下に説明する。
図1は、第1の実施形態に係るMFPのハードウェア構成を示す概略図である。
同図において、コントローラ110は、MFP100全体を制御し、コントローラ110の制御下でエンジン130、HDD(Hard Disk Drive)123、FCU(Facsimile Control Unit)125、操作部127、電源部150及び電力測定部160が動作する。
コントローラ110は、CPU(Central Processing Unit)111と、NAND型フラッシュメモリ116、NV(Non-Volatile、すなわち不揮発性)RAM(Random Access Memory)115、NOR型フラッシュメモリ117、DRAM(Dynamic Random Access Memory)114の各メモリとを含むコンピュータを有する。そしてフラッシュメモリ等に記憶させた制御プログラム、制御データ等によってこのコンピュータを駆動し、制御部としての機能を実現する。
なお、CPU111の制御下にあるASIC(Application Specific Integrated Circuit)(2)112は、電源部150、電力測定部160,操作部127,FCU125、各種メモリ(NOR117,NAND116,NVRAM115)及びI/O(Input/Output、すなわちデータの入出力)を制御する機能を持つ。また同ASIC(1)113は、圧縮/伸張等の各種画像処理及びHDD123(不揮発メモリでもよい)を制御する機能を持つ。また、コントローラ110は、ASIC(2)112を介して外部PC(Personal Computer)等の外部機器とLAN(Local Area Network)で接続するためのLAN I/F(インタフェース)118を有する。
エンジン130は、原稿を読み取り電子化した画像データを得る画像読取部131と、紙などに画像データを印字する画像出力部135と、画像データに対する複数の処理(加工・補正・編集・特性検知・変換等)を施す画像処理部133と、これらの各部の動作を制御するCPU137とを有する。
FCU125は、FAX機能を実現するための手段として、FAX信号の送受信に係るデータ処理部及び通信インターフェース(いずれも図示を省略)を有する。
操作部127は、ユーザインタフェース(すなわちユーザインタフェース部の一例)として機能し、ユーザが処理等を指示する入力操作を受け付け、指示に従い設定される機器の動作条件、動作によって変化する機器のステータス等をユーザに知らせる操作表示画面(127A、図5参照)を有する。第1の実施形態では、操作部127は、常時作動状態にある。
電源部150は、商用AC(Alternating Current、すなわち交流)電源からプラグ等の接続手段170を介して給電され、後述する電力測定部160を経て供給される電力をMFP100の各種動作部に用いる電力として,ACのまま或いはDCに変換して供給する。電源部150の動作は、コントローラ110によって制御され、供給先の動作部が求める種類の電力を供給する。この電源部150は、省エネ動作を行う省エネ動作モードに移行する動作を行う。すなわち、全ての動作部を作動可能な状態に電力供給を行う通常動作状態(すなわち通常動作モード、以下同様)において、予め定められた移行条件を満たす場合に、所定の動作部への電力供給を停止し省エネ動作モードに移行する。その後、復帰条件を満たす場合に、停止していた電力供給を開始する電力供給のON/OFF制御を行う。なおこのような省エネ動作モードへの移行及び通常動作モードへの復帰の動作の流れにつき、図13とともに後述する。第1の実施形態においては、省エネ動作の対象にする動作部をエンジン130として、エンジン130への電力供給のON/OFFを行う一方、コントローラ110に対しては、常時作動状態とするので電力供給のON/OFFを行わない。ただ、コントローラ110の回路構成によっては、操作部127やFCU125のみを作動状態としてコントローラ全部を作動状態にしない方法で対応することも可能である。
電力測定部160は、給電される電源の電力をプラグ等の接続手段170の直後で測定することで、MFP100内で消費される全ての電力を測定し、測定された消費電力をコントローラ110へ出力する。
第1の実施形態では、電力測定部160自体も測定動作を行う際に電源を消費するので、この電力測定部160を不作動とし電源の負荷とすることなく電源部150からエンジン130及びコントローラ110に対し給電することが可能である。つまり、コントローラ110によって電力測定部160への電力供給を停止する制御を可能とし、測定が不要な状況であれば、電力測定部160への電力供給を停止する制御を行うことにより、無駄に電力を消費することなく、状況に適応できる。
上述の構成を有するMFP100では、コントローラ110による制御下、スキャナ機能、コピー機能、プリンタ機能、ファクシミリ受信機能及びファクシミリ送信機能が実行される。
スキャナ機能によれば、画像読取部131により原稿が読み取られて画像データが得られ、得られた画像データが画像処理部133,ASIC(1)113を経由してHDD123に格納される。
コピー機能によれば、画像読取部131によって原稿から得られた画像データが画像処理部133、ASIC(1)113を経由してHDD123に一旦格納され、HDD123に格納された画像データがASIC(1)113、画像処理部133を経由して画像出力部135によって出力(印刷)される。
プリンタ機能によれば、HDD123に格納された画像データ、あるいはLAN I/F118を介し外部機器から得られた画像データがASIC(1)113あるいはASIC(2)112、CPU111及びASIC(1)113、並びに画像処理部133を経由して画像出力部135によって出力(印刷)される。
ファクシミリ受信機能によれば、FCU125によって受信された画像データがASIC(2)112、CPU111及びASIC(1)113、並びに画像処理部133を経由して画像出力部135によって出力(印刷)される。
ファクシミリ送信機能によれば、画像読取部131で得られた原稿の画像データが画像処理部133並びにASIC(1)113、CPU111及びASIC(2)112を経由してFCU125によって送信される。
[電源ON時のコントローラの処理]
上記で図1を参照して説明したMFP100の構成では、電源部150は、コントローラ110のASIC(2)112によって制御され、この例ではエンジン130に対する電力供給がON/OFF制御され、省エネ動作の対象とされている。
MPF100では、電源ON時にはジョブ(印刷ジョブ等、以下同様)等の処理要求を受け付け、その処理ができる状態に立ち上げることが必要である。そこで、先ず、この電源ON時にコントローラ110が行う処理について、説明する。
図2は、コントローラ110が電源ON時に実行する処理のフローを示す図である。
図2のフローによると、プラグ等の接続手段170を商用電源等の電源に接続し、例えば、手動のスイッチ(すなわち電源キー129,図5参照)を押下することによって、電源部150がコントローラ110への電力供給を開始する(ステップS101)。なお電力供給の開始を「電源ON」とも称する。
次いで、コントローラ110のASIC(2)112の動作により、NOR型フラッシュメモリ117に格納されたプログラムが起動して、プログラムにもとづいて実行されるフローに従い処理を開始する(ステップS102)。
処理を開始すると、ASIC(2)112が行う電力供給のON制御の指示に応じて、電源部150はエンジン130への電力供給を開始する(ステップS103)。このときジョブ等の処理要求を受け付け、処理を実行できる通常動作状態となる。
この後、ASIC(2)112は、電源OFFの要求の有無を確認する(ステップS104)。なお電源OFFの要求は、例えばユーザが操作部127の操作表示画面127A上の電源キー129を押下することにより生ずる。電源OFFの要求がある場合には(ステップS104−YES)、電源OFFの処理を実行する(ステップS107)。電源OFFの処理を実行後、この処理フローを終了する。ここで電源OFFの処理とは、電源部150からコントローラ110及びエンジン130等への電力供給を停止する処理をいう(以下も同様)。
他方、電源OFFの要求がない場合には(ステップS104−NO)、ASIC(2)112は、ジョブ等の処理要求の有無を確認する(ステップS105)。ジョブ等の処理要求は、例えば印刷ジョブの処理要求についてはユーザが操作部127の操作表示画面127A上のスタートキー(128,図5参照)を押下することにより生ずる。
ここで、ジョブ等の処理要求がない場合には(ステップS105−NO)、ステップS104の電源OFFの要求の確認に戻り、ジョブ等の処理要求待ち状態を継続する一方で、ジョブ等の処理要求がある場合には(ステップS105−YES)、ジョブ等の処理要求に応じ、その処理に必要なアプリケーションを用いて処理を実行する(ステップS106)。
ジョブ等の処理を実行した後、ステップS104の電源OFFの要求の確認に戻り、ジョブ等の処理要求待ち状態を継続する。
[消費電力算出・表示(1)のフロー]
第1の実施形態のMFP100(図1)が行う特徴的な動作は、電力測定部160で測定された消費電力をユーザインタフェースとして機能する操作部127で表示すること、及び電力測定部160への電力供給のON/OFFを制御し、電力測定の作動/不作動を選択することにある。
第1の実施形態は、通常動作状態において、電力測定部160を作動させ、測定した消費電力を操作部127で表示する一方で、省エネ動作状態(すなわち省エネ動作モード、以下同様)において、電力測定部160を不作動とし、このときの消費電力は実測できないので推定により算出する(第1の実施形態の処理・動作を以下、「消費電力算出・表示(1)」という場合がある)。
図3は、第1の実施形態の省エネ/通常の各動作モードにおける消費電力算出・表示シーケンスに係るフローを示す図である。
なお、図3のフローと上述の図2のフローとの関係は以下の通りである。図3のフローは、コントローラ110の動作として行われるので、図2の電源ON時のフローでコントローラ110に電力が供給されてから電源OFFになるまでの間、図3の電源ON後の電源OFFまでのフロー(ステップS202〜S211)が繰り返される。
図3のフローによると、コントローラ110は、電源ONにより動作が可能な状態になると、このフローに従う制御を開始し(ステップS201)、先ず、省エネ動作モードであるか否かを確認する(ステップS202)。なお、コントローラ110が別途、通常動作モードと省エネ動作モードとの間の移行条件を監視しており、その監視結果をもとに動作モードを設定しているので、設定されている動作モードを参照することにより、この時点が省エネ動作モードであるか否かを知ることができる。
ここで、省エネ動作モードではなく、つまり通常動作モードであれば(ステップS202−NO)、ASIC(2)112は、電力測定部160(以下、「電力測定Md(モジュール)」という)への電力供給ON/OFFを確認する(ステップS203)。より具体的には、電力供給MdからASIC(2)112に対し、電力測定Mdへの電力供給ON/OFFを示すON/OFF通知信号が送られる(後述する図14参照)。ASIC(2)112はON/OFF通知信号により電力測定Mdへの電力供給ON/OFFを確認(判定)する。なお、電力測定Mdへの電力供給ON/OFFの意味につき、図14と共に後述する(以下同様)。
通常動作モードの場合、電力測定Mdを作動させて測定を行うので、この確認の結果、電力供給ONであれば(ステップS203−YES)、作動状態にあるので何もしないが、電力供給OFFであれば(ステップS203−NO)、作動させるために電力測定Mdへの電力供給をONにする(ステップS204)。
この後、電力供給を受けて作動する電力測定Mdは、測定動作を行い、通常動作状態にあるMFP100の消費電力をリアルタイムに測定する(ステップS205)。
また、電力測定Mdは、測定結果として得られる消費電力をリアルタイムにASIC(2)112へ出力する(ステップS206)。
他方、ステップS202で省エネ動作モードであれば(ステップS202−YES)、ASIC(2)112は、この場合にも通常動作モードの場合(ステップS203)と同様の方法で電力測定Mdへの電力供給ON/OFFを確認(判定)する(ステップS207)。
省エネ動作モードの場合、消費電力の大きいエンジン130へは電力が供給されていないし、電力を供給する動作部が第1の実施形態の場合にコントローラ110等であり、例えば、実験的に求めた消費電力で実測した場合に近い消費電力を推定できるので、電力測定Mdを不作動とする。
このため、ASIC(2)112は、電力測定Mdへの電力供給の確認の結果、電力供給OFFであれば(ステップS207−YES)、不作動状態にあるので何もしないが、電力供給ONであれば(ステップS207−NO)、不作動とするために電力測定Mdへの電力供給をOFFにする(ステップS208)。
この後、電力測定Mdは、不作動で電力測定を行わないので、ASIC(2)112は、予めNVRAM115に書き込んである、省エネ動作状態にあるMFP100の消費電力をNVRAM115から推定値として読み出す(ステップS209)。すなわち、予め省エネ動作時のMFP100の消費電力を実験的に求め、求めた消費電力の値をNVRAM115に書き込んでおき、推定値として使用するのである。
なお、予めNVRAM115に書き込んでおいた消費電力の値を推定値として使用する場合、予め消費電力を実験的に求めたときのMFP100の条件と現在の条件とが異なると誤差を生じる。そこで実測値に近い推定値を得るため、予め消費電力を実験的に求める際に様々な条件で消費電力を求めておき、求めた消費電力をそれぞれNVRAM115に書き込んでおくことが望ましい。そしてステップS209でNVRAM115から推定値として消費電力を読み出す際、現在のMFP100の条件に合致する、あるいは最も近い条件で実験的に求めた消費電力の値を読み出すようにすることが望ましい。あるいはステップS209でNVRAM115から推定値として消費電力を読み出して使用する際、現在のMFP100の条件に応じて、予め実験的に求めてNVRAM115に書き込んでおいた消費電力の値を適宜補正するようにしてもよい。
次に、ASIC(2)112は、ステップS206またはステップS209で得られた消費電力をユーザインタフェースとしての操作部127(例えば後述する図5に示される表示欄126)に表示する処理を行う(ステップS210)。
ASIC(2)112は、消費電力を操作部127に表示した後、電源OFFの要求の有無を確認し(ステップS211)、電源OFFの要求がある場合には(ステップS211−YES)、電源OFFの処理を実行する(ステップS212)。電源OFFの処理を実行後、この処理フローを終了する。
他方、電源OFFの要求がない場合には(ステップS211−NO)、ASIC(2)112は、省エネ動作モードの動作状態であるか否かを確認するステップS202に戻り、このステップ以降のフローに従い制御動作を繰り返す。
このように、消費電力算出・表示(1)のフロー(図3)に従って制御を行うことにより、省電力動作状態(すなわち省エネ動作モード、以下同様)における消費電力の増加を最小限に抑え省電力効果を高めることができ、省電力動作における消費電力をユーザが知ることが可能となる。また、通常動作モードにおける正確な消費電力を知ることが可能となって、ユーザは各々の動作モードにおける消費電力を把握することで、省電力の意識を高めることができる。
[消費電力算出・表示(2)のフロー]
以下に本発明の第2の実施形態の説明を行う。なお第2の実施形態は、以下に説明する構成を除き、上述した第1の実施形態と同様の構成を有する。第1の実施形態と同様の構成部分についての重複する説明を適宜省略する。
上記した消費電力算出・表示(1)の第1の実施形態では、省エネ動作モードでは、電力測定Mdが利用できない。
そこで、省エネ/通常の各動作モードに関係なく、ユーザインタフェースを通して、電力測定Mdを作動させるか否か、即ち、消費電力を求めるのに電力測定Mdの測定結果を利用するか否かを設定可能として、選択されたどちらかの処理で求めた消費電力を表示する動作を実施する第2の実施形態(第2の実施形態の処理・動作を以下、「消費電力算出・表示(2)」という)を以下に例示する。
以下に示す第2の実施形態では、電力測定Mdを作動させ、測定した消費電力を利用する(以下「消費電力測定モードON」または「測定モードON」という)か、電力測定Mdを不作動とする(以下「消費電力測定モードOFF」または「測定モードOFF」という)かのいずれかを選ぶユーザによる設定に従った動作を行う。したがって消費電力測定モードONとしたときには、省エネ動作モードの消費電力についても電力測定Mdの測定結果を用いた正確な消費電力を得ることができる。また、消費電力測定モードOFFとしたときには、消費電力は実測できないので、図3の例同様、推定値を使用する。
図4は、第2の実施形態の測定モードON/OFFを選択して行う消費電力算出・表示シーケンスに係るフローを示す図である。
なお、図4のフローは、上述の電源ON時のフロー(図2)でコントローラ110に電力が供給されてから電源OFFになるまでの間、電源ON後の電源OFFまでのフロー(ステップS302〜S312)が繰り返される。
図4のフローによると、コントローラ110は、電源ONにより動作が可能な状態になると、このフローに従う制御を開始し(ステップS301)、先ず、ユーザインタフェースとして機能する操作部127にユーザが測定モードのON/OFFを選択するための入力画面を表示し、ユーザによる選択操作を受け付ける(ステップS302)。
この入力画面の1例を図5に示す。同図に示すように、操作部127が有する操作表示画面127A上に消費電力測定モード選択用の表示窓121を設け、そこにユーザが選択するON/OFFの入力ボタン122,123をそれぞれ表示する。この操作表示画面127Aとして、例えば、タッチパネル型のLCD(液晶表示装置)を採用すれば、ユーザは入力ボタン122,123のどちらかに触れることで、測定モードのON/OFFを選択できる。図5において、(A)はON入力ボタン122への選択操作が行われ、(B)はOFF入力ボタン123への選択操作が行われた場合を示しており、それぞれ選択したボタンの表示状態を変化させることで入力操作が行われたことを認識することができる。
なお図5に示される如く、操作表示画面127Aには、一例として、ハードウェアとしての電源キー129及びスタートキー128が含まれる。電源キー129は、MFP100の電源ON/OFFを操作するキーであり、スタートキー128は例えばコピー機能による原稿の印刷を開始するキーである。これらの操作キー129,128以外の構成(上記消費電力測定モード選択用の表示窓121を含む)は全て操作表示画面127Aにソフトウェアによって表示される内容である。一例として、左からカラー印刷、モノクロ印刷のいずれかを選択するボタン(図中、「カラー」、「モノクロ」)、原稿の種類を選択するボタン(図中、「原稿種類」)、印刷用紙を選択するボタン(図中、「トレイ1 A4縦」、「トレイ2 A4横」、「トレイ3 A3」)、集約印刷を選択するボタン(図中、「集約」)、変倍印刷を選択するボタン(図中、「変倍」)、ステープルによる製本処理を選択するボタン(図中、「ステープル」)、ユーザにより設定された内容を表示する表示窓(図中、「設定情報」)等を含む。
また、この操作表示画面127Aには、消費電力を表示する表示欄126が設けられる。
さらに、図5の操作表示画面127Aはコピー機能用の画面であり、ユーザは操作部127が有する図示せぬ切替スイッチを操作することにより、他の機能用の操作表示画面、すなわちスキャナ機能用の操作表示画面、ファクシミリ送信機能用の操作表示画面等を適宜表示させることができる。
次いで、ASIC(2)112は、ユーザの操作によって選択された測定モードのON/OFFを確認する(ステップS303)。
ここで、測定モードON、つまり電力測定Mdを使用するモードであれば(ステップS303−YES)、ASIC(2)112は、電力測定Mdへの電力供給ON/OFFを確認する(ステップS304)。
この確認の結果、電力供給ONであれば(ステップS304−YES)、作動状態にあるので何もしないが、電力供給OFFであれば(ステップS304−NO)、ASIC(2)112は、作動させるために電力測定Mdへの電力供給をONにする(ステップS305)。
この後、電力供給を受けて作動する電力測定Mdは、測定動作を行い、MFP100の消費電力を測定する(ステップS306)。なお、このとき通常/省エネのどちらの動作モードであっても消費電力の測定を行う。
また、電力測定Mdは、測定結果として得られる消費電力をASIC(2)112へ出力する(ステップS307)。
他方、ステップS303で測定モードOFF、つまり電力測定Mdを使用しないモードであれば(ステップS303−NO)、ASIC(2)112は、この場合にも測定モードONのときと同様に、電力測定Mdへの電力供給ON/OFFを確認する(ステップS308)。
電力測定Mdへの電力供給の確認の結果、電力供給OFFであれば(ステップS308−YES)、不作動状態にあるので何もしないが、電力供給ONであれば(ステップS308−NO)、ASIC(2)112は、不作動とするために電力測定Mdへの電力供給をOFFにする(ステップS309)。
この後、電力測定Mdは、不作動で電力測定を行わないので、予めNVRAM115に書き込んである、通常動作モードあるいは省エネ動作モードにあるMFP100の消費電力をNVRAM115から推定値として読み出す(ステップS310)。すなわち、予め通常動作モード時及び省エネ動作モード時のそれぞれのMFP100の消費電力を実験的に求め、求めた値をそれぞれNVRAM115に書き込んでおき、推定値として使用するのである。この場合、MFP100が通常動作モードであれば、MFP100が通常動作モード時に実験的に求めたMFP100の消費電力をNVRAM115から推定値として読み出して使用し、MFP100が省エネ動作モードであれば、MFP100が省エネ動作モード時に実験的に求めたMFP100の消費電力をNVRAM115から推定値として読み出して使用することになる。
なお、予めNVRAM115に書き込んでおいた消費電力の値を推定値として使用する場合、予め消費電力を実験的に求めたときのMFP100の条件と現在の条件とが異なると誤差を生じる。そこで実測値に近い推定値を得るため、予め消費電力を実験的に求める際に様々な条件で消費電力を求めておき、求めた消費電力をそれぞれNVRAM115に書き込んでおくことが望ましい。そしてステップS310でNVRAM115から推定値として消費電力を読み出す際、現在のMFP100の条件に合致する、あるいは最も近い条件で実験的に求めた消費電力の値を選択して読み出すようにすることが望ましい。特に通常動作モードにおいては誤差が大きくなりやすく、使用状況等の分析にもとづいて様々な条件で消費電力を実験的に求め、求めた消費電力をそれぞれNVRAM115に書き込んでおくことが望ましい。あるいはステップS310でNVRAM115から推定値として消費電力を読み出して使用する際、現在のMFP100の条件に応じて、予め実験的に求めてNVRAM115に書き込んでおいた消費電力の値を適宜補正するようにしてもよい。この場合、特に通常動作モードにおいては誤差が大きくなりやすく、使用状況等の分析にもとづく補正を行うことが望ましい。
次に、ASIC(2)112は、ステップS307またはステップS310で得られた消費電力をユーザインタフェースとしての操作部127(例えば図5に示される表示欄126)に表示する処理を行う(ステップS311)。なお、この表示を行う際、ステップS310で得られた消費電力が推定値であることをコメントする方法を用いてもよい。
消費電力を操作部127に表示した後、ASIC(2)112は、電源OFFの要求の有無を確認し(ステップS312)、電源OFFの要求がある場合には(ステップS312−YES)、電源OFFの処理を実行する(ステップS313)。ASIC(2)112は、電源OFFの処理を実行後、この処理フローを終了する。
他方、電源OFFの要求がない場合には(ステップS312−NO)、ASIC(2)112は、ユーザが測定モードのON/OFFを選択するための入力画面を表示するステップS302に戻り、このステップ以降のフローに従い制御動作を繰り返す。
このように、消費電力算出・表示(2)のフロー(図4)に従って制御を行うことにより、通常/省エネのどちらの動作モードでも、正確な消費電力を知ることが可能なモード(すなわち測定モードONのモード)と、消費電力の増加を最小限に抑え省電力効果の高い状態で消費電力を知るモード(すなわち測定モードOFFのモード)と、のいずれかを選択した形態でユーザが消費電力を把握することで、省電力の意識を高めることができる。
[平均消費電力の算出]
以下に本発明の第3の実施形態の説明を行う。なお第3の実施形態は、以下に説明する構成を除き、上述した第1の実施形態と同様の構成を有する。第1の実施形態と同様の構成部分については適宜重複する説明を省略する。
上記した消費電力算出・表示(1)の第1の実施形態では、MFP100の消費電力としてユーザに知らせるために表示する値は、電力測定Mdの測定値をもとにする場合、測定時あるいはサンプリング時のリアルタイムの消費電力を示す。よって、測定結果をそのまま表示すると、MFP100の動作状態によって測定値がばらつく場合が想定される。また、偶発的な原因で異常値が測定されたときの測定結果が表示されると、当該測定結果は、MFP100が異常なく作動しているときの消費電力を把握するための表示値としては、必ずしも適当ではない場合があり得る。
そこで、第3の実施形態では、電力測定Mdの測定値をもとにする場合には、測定結果について平均化処理を付加的に行うことにより、平均消費電力を求め、この値をユーザインタフェースとしての操作部127に表示する消費電力の値として使用することができる。
図6は、第3の実施形態における平均消費電力の算出処理を付加的に行う場合の消費電力算出・表示シーケンスに係るフローを示す図である。
なお、図6のフローは、上述の電源ON時のフロー(図2)でコントローラ110に電力が供給されてから電源OFFになるまでの間、電源ON後の電源OFFまでのフロー(ステップS402〜S411)が繰り返される。
図6に示すフロー中、ステップS401,S402,S403,S404は、それぞれ図3のフロー中、ステップS201,S202,S203,S204に対応する。また、図6に示すフロー中、ステップS407,S408,S409は、それぞれ図3のフロー中、ステップS207,S208,S209に対応する。また、図6に示すフロー中、ステップS410,S411,S412はそれぞれ図3のフロー中、ステップS210,S211,S212に対応する。図6のフロー中、これら図3のフローのステップとそれぞれ対応するステップでは、図3のフローにおける対応するステップと同一内容の処理を行うため、重複する説明を適宜省略する。
この場合、電力測定Mdは積算電力量計の機能を有する。またASIC(2)112は定期的(例えば毎週月曜日の朝8時)に電力測定Mdが取得して出力するその時点でのMFP100の積算電力量をNVRAM115に上書き保存するものとする。またASIC(2)112は、上記の如く定期的にMFP100の積算電力量をNVRAM115に上書き保存した時点から現時点までの、MFP100の通常動作モードでの累積動作時間を計測してNVRAM115に上書き保存するものとする。
この場合、ステップS405で電力測定Mdは、現時点でのMFP100の積算電力量を取得し、ステップS406でASIC(2)112に出力する。ステップS406AでASIC(2)112は上記の如くNVRAM115に定期的に上書き保存してあるMFP100の積算電力量をNVRAM115から読み出す。次にASIC(2)112はステップS406Bで、ステップS406で電力測定Mdが出力した現時点でのMFP100の積算電力量からステップS406AでNVRAM115から読み出した定期的に上書き保存してあった積算電力量を差し引き、その差分値を得る。そして上記の如く計測してNVRAM115に上書き保存してあった、積算電力量を上書き保存した時点から現時点までの通常動作モードでの累積動作時間をNVRAM115から読み出す。そして上記積算電力量の差分値を上記累積動作時間で除算することにより、定期的に積算電力量を上書き保存した時点から現時点までの通常動作モードでの平均消費電力を求める。よってASIC(2)112が平均消費電力算出手段の一例である。
次にステップS410で、ASIC(2)112は、このようにして求めた平均消費電力の値を操作部127に(例えば図5に示される表示欄126)表示する。
なお、このような平均消費電力の算出処理を付加的に行うことは、上記した消費電力算出・表示(2)の第2の実施形態(図4、参照)にも同様に適用できる。その場合、例えば、図4のステップS306,S307を、図6のステップS405,S406,S406A,S406Bで置き換えればよい。
[消費電力測定モードON/OFFの自動設定]
以下に本発明の第4の実施形態の説明を行う。なお第4の実施形態は、以下に説明する構成を除き、上述した第1の実施形態と同様の構成を有する。第1の実施形態と同様の構成部分については適宜重複する説明を省略する。
上記した消費電力算出・表示(2)の第2の実施形態では、測定モードON/OFFを選択して行う消費電力算出・表示シーケンスを図4のフローを参照して示した。図4のフローでは測定モードON/OFFの選択がユーザによる設定操作に従って行われるが、第4の実施形態では、測定モードON/OFFの選択の自動設定を行えるようにする。
測定モードON/OFFの選択の自動設定を行えるようにする場合の自動設定の手法は以下の通りである。すなわち、上記した平均消費電力が予め定められた所定範囲の値であるか否かにより電力測定Mdを使用するか否か、つまり測定モードON/OFFを判定する。この場合、平均消費電力が所定値を超えなかったときには測定モードONとし、平均消費電力が所定値を超えたときには測定モードOFFとする設定を自動的に行う。
図7は、このように、消費電力測定モードON/OFFの自動設定を可能とした消費電力算出・表示シーケンスに係るフローを示す図である。
なお、図7のフローは、上述の電源ON時のフロー(図2)でコントローラ110に電力が供給されてから電源OFFになるまでの間、電源ON後の電源OFFまでのフロー(ステップS503〜S513)が繰り返される。
図7に示すフロー中、ステップS501,S503,S504、S505は、それぞれ図4のフロー中、ステップS301,S303,S304、S305に対応する。また、図7に示すフロー中、ステップS508,S509,S510は、それぞれ図4のフロー中、ステップS308,S309,S310に対応する。また、図7に示すフロー中、ステップS513、S516はそれぞれ図4のフロー中、ステップS312,S313に対応する。また、図7に示すフロー中、ステップS506,S507,S507A,S507Bはそれぞれ図6のフロー中、ステップS405,S406,S406A,S406Bに対応する。図7のフロー中、これら図4のフローのステップとそれぞれ対応するステップでは、図4のフローにおける対応するステップと同一内容の処理を行うため、重複する説明を適宜省略する。同様に図7のフロー中、これら図6のフローのステップとそれぞれ対応するステップでは、図6のフローにおける対応するステップと同一内容の処理を行うため、重複する説明を適宜省略する。
すなわち図7のフローでは、図4のフローにおけるステップS302の「操作部に測定モードON/OFF選択ボタンを表示、選択操作の受付」ステップに置き換え、消費電力測定モードON/OFFの自動設定に必要なステップとして、ステップS502、S514及びS515(後述)を行う。また、この外に、図4のフローにおけるステップS306の消費電力測定ステップ及びステップS307の消費電力測定結果をASIC(2)112へ出力するステップの各ステップの代わりに、平均消費電力を算出するステップS506,S507,S507A,S507Bを設ける。なお、後者の平均消費電力を算出する処理等に関するステップは、上述の[平均消費電力の算出]で説明したとおりであるから、上述の説明を参照することとし、ここでの記載を省略する。
図7のフローによると、ASIC(2)112は、電源ONにより動作が可能な状態になると、このフローに従う制御を開始し(ステップS501)、先ず、ON/OFFが選択される消費電力測定モードの設定の初期化を行う(ステップS502)。第4の実施形態では、消費電力測定モードの設定を測定モードONに初期化する。
次いで、選択が可能な測定モードのON/OFFの設定を確認する(ステップS503)。
ここで、測定モードON、つまり電力測定Mdを使用するモードであれば(ステップS503−YES)、ASIC(2)112は、電力測定Mdへの電力供給ONを確認するステップS504以降のフローに従ってMFP100の平均消費電力の算出を経て、ステップS512の操作部127(例えば図5に示される表示欄126)に平均消費電力を表示する処理までを行う。なおステップS507Cでは、ASIC(2)112は、ステップS506、S507,S507A,S507Bによって求めた平均消費電力の値をNVRAM115に上書き保存する。また、ステップS503で測定モードOFFであるとき(ステップS503−NO)、ASIC(2)112は、電力測定Mdへの電力供給OFFを確認するステップS508以降のフローに従ってMFP100の消費電力の推定値の取得を経て、ステップS512の操作部127に消費電力(推定値)を表示する処理までを行う。
図7のステップS512で操作部127に平均消費電力あるいは消費電力の推定値の表示を行った後、電源OFFの要求の有無を確認し(ステップS513)、電源OFFの要求がある場合には(ステップS513−YES)、電源OFFの処理を実行する(ステップS516)。電源OFFの処理を実行後、この処理フローを終了する。
他方、電源OFFの要求がない場合には(ステップS513−NO)、コントローラ110は、先にステップS507CでNVRAM115へ書き込んでおいた平均消費電力を参照して、現時点での平均消費電力を取得する(ステップS514)。
次いで、取得した平均消費電力をもとに選択が可能な消費電力測定モードON/OFFのどちらを設定するかを判定し、判定に従い設定を行う(ステップS515)。よってASIC(2)112が電力測定要否判定手段の一例である。
ここで行う測定モードON/OFFの判定は、平均消費電力が予め定められた所定範囲の値であるか否かによる。図8は、この判定に用いるテーブルの1例を示すものである。このテーブルは、平均消費電力が所定値(XXW)を超えなかったときに測定モードONを設定し、平均消費電力が所定値を超えたときには測定モードOFFを設定することを定めている。よって、ステップS514で取得した平均消費電力と所定値(XXW)を比較して、上記のテーブルに従い測定モードON/OFFのいずれであるかを判定し、先に設定された測定モードを今回の判定結果に従って設定し直す。
次に、設定された測定モードがON/OFFどちらであるかを確認するステップS503に戻り、このステップ以降のフローに従い制御動作を繰り返す。
このように、図7の消費電力算出・表示フローに従って制御を行うことにより、意図した消費電力算出・表示を行う際、消費電力測定モードON/OFFを自動設定して実施することができ、使用状況に適応する動作をユーザの手間を掛けずに行え、パフォーマンスの向上を図ることができる。
[省エネ移行時間の設定変更]
以下に本発明の第5の実施形態の説明を行う。なお第5の実施形態は、以下に説明する構成を除き、上述した第1の実施形態と同様の構成を有する。第1の実施形態と同様の構成部分については適宜重複する説明を省略する。
第5の実施形態は、上記の各実施形態における消費電力算出・表示を行う際、省エネ動作モードの動作を行うことを前提としており、通常動作モードから省エネ動作モードへの移行は、上記でも述べたように、通常動作が可能な状態において、予め定められた移行条件(「省エネ移行条件」とも称する)を満たす場合に、所定の動作部への電力供給をOFFし省エネ動作を行う。なお通常動作モードから省エネ動作モードへの移行を単に「省エネ移行」と称する場合がある。
上記省エネ移行条件は、第5の実施形態においては、通常動作が可能な状態にあって、機器のステータスに変化が無い時間が所定時間を超えて継続することとし、この時間(以下、「省エネ移行時間」という)を超えると、省エネ動作モードに移行する。なお、機器のステータスの変化とは、MFPの場合、例えば、ユーザによる操作部127への入力操作、読み取るべき原稿のセット、ユーザの到来等であり、広義にはジョブ等のジョブの処理を実行するきっかけとなる変化である。
省エネ移行時間を固定値とすると、使用状態によっては、いつも設定した固定値の時間で省エネ移行をすることになり、省エネ移行を早めることで省エネ効果が高くなるケースや、また、逆に省エネ移行を遅くすることで省エネ効果が高くなるケースが起きる。よって、省エネ移行時間を変更することにより省エネ効果を高めることが可能である。
通常動作状態の平均消費電力と省エネ移行時間との関係は、定性的には、平均消費電力が高いほど省エネ移行時間を短くする、という関係にすることで省エネ効果を高めることができる。
そこで、第5の実施形態では、上記の関係を満たすように、第3あるいは第4の実施形態において通常動作状態の平均消費電力を求めたときに、得られる値を上記した平均消費電力と省エネ移行時間との関係に基づいて、省エネ移行時間に反映させて、省エネ効果を高める。したがって第3あるいは第4の実施形態において、以下に説明する図9のフローによる処理を付加的に実行することができる。
図9は、平均消費電力から省エネ移行時間を変更する処理のシーケンスに係るフローを示す図である。
なお、図9のフローは、上述の電源ON時のフロー(図2)でコントローラ110に電力が供給されてから電源OFFになるまでの間、電源ON後の電源OFFまでのフロー(ステップS602〜S606)が繰り返される。
図9に示すフローは、基本的には、通常動作状態の平均消費電力が求められるとき、その都度行うようにし、例えば、図7のフロー(第4の実施形態)におけるステップS507Cのように、平均消費電力をNVRAM115へ書き込む処理が行われることにより、利用できるデータが新しく生成されるときに合わせて行うとよい。したがって第3の実施形態において図9のフローを適用する場合、ステップS406Bで算出した平均消費電力をNVRAM115へ書き込む処理を付加的に実行する。
図9のフローによると、ASIC(2)112は、電源ONにより動作が可能な状態になり、先行する消費電力算出・表示処理で平均消費電力が求められていることを条件に、このフローに従う制御を開始し(ステップS601)、先ず、求められた平均消費電力を書き込んだNVRAM115を参照して、現時点の平均消費電力を取得する(ステップS602)。
次いで、ASIC(2)112は、取得した平均消費電力をもとに、これまで設定されていた省エネ移行時間を変更する必要があるか否かを判定する(ステップS603)。よってASIC(2)112が移行時間変更要否判定手段の一例である。
この判定は、取得した平均消費電力が、予め電力の値により区分した所定範囲のどの範囲に属するかを判断し、それぞれの範囲に対応して定められた省エネ移行時間を求め、求めた省エネ移行時間がこれまで設定されていた値と異なるか否かにより、省エネ移行時間の変更要否を判定する。図10は、この判定に用いるテーブル(「平均消費電力−省エネ移行時間テーブル」と称する)の1例を示す。このテーブルは、平均消費電力が所定値(XXW)を超えないときと超えるときとに区分し、それぞれ対応して省エネ移行時間(この例では、前者が5分、後者が1分である)を定めている。なお、上記の平均消費電力−省エネ移行時間テーブルは、予め機器ごとに適応性を考慮して決め、例えば、NAND型フラッシュメモリ116に格納しておく。
よって、ステップS602で取得した平均消費電力と所定値(XXW)を比較して、どの区分に属するかを判断し、判断結果に従い上記平均消費電力−省エネ移行時間テーブルを参照することにより現時点に適応する省エネ移行時間を求める。さらに、求めた省エネ移行時間とこれまで設定されていた省エネ移行時間とを比べ、その異同を判断することで省エネ移行時間の変更要否を判定する。
次に、ステップS603の判定結果に従って省エネ移行時間の設定をし直さなければならない場合、ASIC(2)112はその処理を行うので、判定された省エネ移行時間の変更要否を確認する(ステップS604)。
ここで、省エネ移行時間の変更が不要であれば(ステップS604−NO)、何もしないが、省エネ移行時間の変更が必要であれば(ステップS604−YES)、ASIC(2)112は、先に設定された省エネ移行時間をステップS603で今回行った判定の際に得た省エネ移行時間に設定をし直す。
省エネ移行時間の変更に係る処理をした後、ASIC(2)112は、電源OFFの要求の有無を確認し(ステップS606)、電源OFFの要求がある場合には(ステップS606−YES)、この処理フローを終了する。
他方、電源OFFの要求がない場合には(ステップS606−NO)、ASIC(2)112は、再び省エネ移行時間の変更に係る処理を行うための平均消費電力を書き込んだNVRAM115を参照するステップS602に戻り、このステップ以降のフローに従い制御動作を繰り返す。
[AC電源接続部]
以下に本発明の第6の実施形態の説明を行う。なお第6の実施形態は、以下に説明する構成を除き、上述した第1の実施形態と同様の構成を有する。第1の実施形態と同様の構成部分については適宜重複する説明を省略する。
第6の実施形態は、第1の実施形態のMFP100(図1)のAC電源接続部として交換可能な部品を用いた実施形態である。ここでAC電源接続部とは電源接続部の一例であり、プラグ等の接続手段170とMFP100との間の接続に係る、MFP100側の接続部分をいい、具体的にはMFP100が有する差し込み口(R1)を含む部分である。すなわちこの場合、図11に示す如く、プラグ等の接続手段170は、外部の電源コンセントに差し込むプラグP1、上記MFP100側の差し込み口R1に差し込むプラグ(図示を省略)及び両プラグ間を接続する電線W1と、を含む。
上記のAC電源接続部として、第6の実施形態では、電力測定Mdを備えたものと備えないものの2種類を用意し、用意された2種類のAC電源接続部の中から実際に適用するAC電源接続部を選択して装着できるようにし、ユーザの要求や、機器の使用状態によってはコストパフォーマンスがさほど得られない状況等に応じることができるようにすることを意図するものである。
図11は、第6の実施形態に係るMFP100'の構成を示す概略図である。
図11に示すMFP100'は、図1のMFP100において、電力測定Md有り/電力測定Md無しの2種類のAC電源接続部162,162'を交換部品とする第6の実施形態の構成を示す概略図である。
なお、図11に示すMFP100'は、AC電源接続部162,162'を適用する点を除き、機器を構成する他の要素は図1のMFP100と同一であり、双方の図面において、同一の要素には、同一の符号を振っている。よって、同一の要素についての説明は、図1をもとに行ったMFP100についての説明を参照することとし、ここでは記載を省略する。
図12は、図11の第6の実施形態の画像処理装置における消費電力算出・表示シーケンスに係るフローを示す図である。
なお、図12のフローは、上述の電源ON時のフロー(図2)でコントローラ110に電力が供給されてから電源OFFになるまでの間、電源ON後の電源OFFまでのフロー(ステップS702〜S712)が繰り返される。
図12に示すフローは、電力測定Md有り/電力測定Md無しの2種類のAC電源接続部162,162'を交換部品とするMFP100'に適用可能なフローを図3のフローをもとに作ったものであり、2種類のAC電源接続部162,162'のいずれが装着されても処理を実行できるようにするためにステップS702を付加した点が異なるが、それ以外は、図3のフローと同一処理内容のシーケンスよりなる。ここで図12に示すフロー中、ステップS701,S703,S704,S705,S706,S707,S708,S709,S710,S711,S712,S713は、それぞれ図3のフロー中、ステップS201,S202,S203,S204、S205,S206,S207,S208,S209,S210,S211,S212に対応する。
図12のフローによると、コントローラ110は、電源ONにより動作が可能な状態になると、このフローに従う制御を開始し(ステップS701)、先ず、電力測定Mdの有無を確認する(ステップS702)。つまり、電力測定Md有り/電力測定Md無しの2種類のAC電源接続部162,162'のいずれかが使用されることを前提に,どちらが装着されているかを調べる。この使用AC電源接続部を調べる方法は、コントローラ110が機器の構成情報をNVRAM115等に記憶し、管理し、そこで管理されている構成情報から装着されているAC電源接続部がいずれであるかを知ることができる。あるいはAC電源接続部162,162'の各々はMFP100'に装着されると、ASIC(2)112に対し、自己が電力測定Mdを有するか否かを示すMd有無信号を出力し、ASIC(2)112はMd有無信号により、現在MFP100'に装着されているAC電源接続部が電力測定Mdを有するか否かを判定するようにしても良い。
ステップS702で電力測定Mdの有無を確認した結果、電力測定Mdが有れば(ステップS702−YES)、消費電力算出・表示シーケンスを実行する。なお、ここで実行する消費電力算出・表示シーケンスは、図3に示す同シーケンスと同一処理内容のシーケンスであるから、上記を参照することとして、記載を省略する。
他方、ステップS702で電力測定Mdの有無を確認した結果、電力測定Mdが無ければ(ステップS702−NO)、消費電力算出・表示シーケンスを実行しないので、このシーケンスを飛ばして、電源OFFの要求があるか否かを確認するステップS712に移行する。
ステップS712以降のシーケンスは、図3のフローと基本的に変わらないが、電源OFFの要求が無いときに(ステップS712−NO)、処理シーケンスを繰り返すために戻す先は、電力測定Mdの有無を確認するステップS702となる。
なお、図12では、図3のフローをもとにした例を示したが、図3以外の消費電力算出・表示シーケンスを有するフロー、即ち図4、図6及び図7のフローをもとに、2種類のAC電源接続部162,162'のいずれが装着されても処理を実行できるようにするためのシーケンスを上記と同様に付加したフローを作ることによって、それぞれの消費電力算出・表示シーケンスにおいても実施することができる。
例えば図4のフローの場合、ステップS301とS302との間にステップS702を挿入し、ステップS702の判定結果がYESの場合ステップS302に進み、ステップS702の判定結果がNOの場合ステップS312に進み、ステップS312の判定結果がNOの場合の戻り先をステップS702とすることができる。
同様に図6のフローの場合、ステップS401とS402との間にステップS702を挿入し、ステップS702の判定結果がYESの場合ステップS402に進み、ステップS702の判定結果がNOの場合ステップS411に進み、ステップS411の判定結果がNOの場合の戻り先をステップS702とすることができる。
また図7のフローの場合、ステップS501とS502との間にステップS702を挿入し、ステップS702の判定結果がYESの場合ステップS502に進む。そしてこの場合、ステップS513と同様の動作を行うステップS513'を別途に設け、ステップS702の判定結果がNOの場合別途に設けたステップS513'に進み、ステップS513'の判定結果がYESの場合ステップS516に進むこととし、ステップS513'の判定結果がNOの場合の戻り先をステップS702とすることができる。
[省エネ移行及び通常動作モードへの復帰のフロー]
次に図13とともに、省エネ移行及び省エネ移行後に再び通常動作モードへ復帰する動作の流れについて説明する。
図13のフローは、上記第1〜第5の実施形態の各々の実施形態において適用することができ、上述の電源ON時のフロー(図2)でコントローラ110に電力が供給されてから電源OFFになるまでの間、電源ON後のフロー(ステップS2〜S9)が実行される。
図13のフローによると、コントローラ110が電源ONにより動作が可能になると、ステップS2でASIC(2)112は電源キー129(図5参照)が押下されたか否かを判定する。電源キーが押下されれば(ステップS2−YES),ステップS4でASIC(2)112は省エネ移行を行う。すなわち電源部150に指示を出し、エンジン130への電力の供給を停止させる。
次にステップS5でASIC(2)112は画像読取部131(図1参照)に原稿がセットされたか否かを判定する。ここで原稿をセットするとは、例えば画像読取部131が有するADF(Automatic Document Feeder)(図示せず)に原稿をセットすることを意味する。ここでADFはコンタクトガラス(図示せず)上に設けられ、ユーザが複数枚の原稿をADFにセットするだけで原稿が一枚ずつ自動的に上記コンタクトガラス(図示せず)上へ搬送され、複数枚の原稿が一枚ずつ自動的に画像読取部131に読み取られることを可能にする装置である。また画像読取部131はコンタクトガラス上にセットされた原稿に対しコンタクトガラスを通して光を照射し、その反射光を受光することにより原稿の画像を読み取る。また画像読取部131はADFに原稿がセットされたことを検知するセンサを有し、当該センサの出力信号により、ASIC(2)112は画像読取部131に原稿がセットされたか否かを判定する。
画像読取部131に原稿がセットされなければ(ステップS5−NO)、ステップS6に進みASIC(2)112は画像読取部131のADF(図示せず)が開閉されたか否かを判定する。ここでユーザはADFを開くことによってコンタクトガラスを露出させ、直接原稿をコンタクトガラス上にセットすることができる。画像読取部131はADFが開かれたことを検知するセンサを有し、ASIC(2)112は当該センサの出力信号により、ADFが開閉されたか否かを判定する。ここでADFが開閉されたとは、ADFを開く操作及び閉じる操作のうちのいずれかがなされたことをいう。
ADFが開閉されなければ(すなわちADFを開く操作がなされず、かつ閉じる操作もなされなければ)(ステップS6−NO)、ステップS7に進み、ASIC(2)112はネットワーク応答があったか否かを判定する。ここでネットワーク応答とは、LAN I/F118経由で外部からジョブの実行を要求する信号等が受信されたことをいう。
ネットワーク応答がなければ(ステップS7−NO)、ステップS8に進み、ASIC(2)112は電源キー119が押下されたか否かを判定する。
電源キー119が押下されなければ(ステップS8−NO)、ASIC(2)112はステップS5に戻る。
他方、原稿がセットされた場合(ステップS5−YES)、ADFが開閉された(すなわちADFを開く操作あるいは閉じる操作がなされた)場合(ステップS6−YES)、ネットワーク応答があった場合(ステップS7−YES)、あるいは電源キー119が押下された場合(ステップS8−YES)、ASIC(2)112はステップS9に進む。
ステップS9でASIC(2)112は通常動作モードに復帰する処理を行う。すなわち電源部150に指示を出し、エンジン130への電力の供給を開始させる。その後ステップS2に戻る。
また、ステップS2にて電源キー119が押下された場合、ASIC(2)112はステップS3に進む。
ステップS3でASIC(2)112は、省エネ移行条件が満たされたことを検出するとステップS4に進む。ここで省エネ移行条件とは上記の如く、通常動作が可能な状態(すなわち通常動作モード)にあって、機器のステータスに変化が無い時間が省エネ移行時間を超えて継続することとする。また機器のステータスの変化とは上記の如く、例えば、ユーザによる操作部127への入力操作、読み取るべき原稿のセット、ユーザの到来等であり、広義にはジョブ等の処理を実行するきっかけとなる変化である。あるいは原稿がセットされず(ステップS5−NO)、ADFが開閉されず(ステップS6−NO)、ネットワーク応答がなく(ステップS7−NO)、かつ電源キー119が押下されない(ステップS8−NO)状態が省エネ移行時間を超えて継続した場合に省エネ移行条件が満たされたものと判断して省エネ移行を行う(ステップS3−YES→ステップS4)ようにすることも可能である。
また省エネ移行時間は上記の如くNAND型フラッシュメモリ116に格納された平均消費電力−省エネ移行時間テーブル内(図10参照)に登録される。あるいは省エネ移行時間は別途NVRAM115に登録されるようにしてもよい。
なお、図2,図3,図4,図6,図7,図9,図12、図13のそれぞれのフローチャートとともに上述した動作の流れにおけるコントローラ110のASIC(2)112による制御動作は、ASIC(2)112が有するハードウェアの論理回路によって実現することが可能である。あるいは当該制御動作をNOR型フラッシュメモリ117に格納されたプログラムをCPU111に実行させることにより実現することも可能である。あるいは当該制御動作のうち、適宜部分的にASIC(2)112が有するハードウェアの論理回路で実現し、他の部分はNOR型フラッシュメモリ117に格納されたプログラムをCPU111に実行させることにより実現することも可能である。
[電源測定Mdの構成例]
次に図14とともに、上記第1〜第6実施形態の各々における電源測定Mdの構成例について説明する。
図14の例の場合、電源測定Md(電力測定部160)は、内部電源部161,抵抗166,電圧検出回路163,電流検出回路164,AD変換&消費電力算出部165を有する。
内部電源部161はプラグ等の接続手段170によって供給されるAC電力をDC電力に変換してAD変換&消費電力算出部165に供給する機能を有し、ASIC(2)112から出力される電源制御信号に応じてAD変換&消費電力算出部165に対するDC電力の供給を停止しあるいは開始する機能を有する。ここで電源測定Mdへの電力供給が停止されること、あるいは停止された状態であること(すなわち電力測定Mdへの電力供給OFF)の意味は、AD変換&消費電力算出部165に対するDC電力の供給が停止されること、あるいは停止された状態であることである。同様に、電源測定Mdへの電力供給が開始されること、あるいは開始された状態であること(すなわち電力測定Mdへの電力供給ON)の意味は、AD変換&消費電力算出部165に対するDC電力の供給が開始されること、あるいは開始された状態であることである。また内部電源部161はON/OFF通知信号をASIC(2)112に対し出力する。ON/OFF通知信号は、AD変換&消費電力算出部165に対するDC電力の供給を停止している状態では、電源測定Mdへの電源供給が停止されていること(すなわち電力供給OFF)を示し、AD変換&消費電力算出部165に対するDC電力の供給を行っている状態では、電源測定Mdへの電源供給が行われていること(すなわち電力供給ON)を示す。
電圧検出回路163はプラグ等の接続手段170によって供給されるAC電圧を検出して検出結果をAD変換&消費電力算出部165に出力する。また電流検出回路164は抵抗166の両端から得られる電圧値に基づき、プラグ等の接続手段170によって供給されるAC電流を検出して検出結果をAD変換&消費電力算出部165に出力する。
AD変換&消費電力算出部165は電圧検出回路163及び電流検出回路164から得られるそれぞれの信号をデジタル信号に変換し、得られたそれぞれのデジタル信号に基づいて、電力測定Mdを介してMFP100内の各部(エンジン130及びコントローラ110を含む)に供給される電力(すなわち消費電力)を算出し、算出した消費電力の情報をリアルタイムでASIC(2)112に出力する。また平均消費電力を算出する機能を有する第3及び第4の実施形態では、AD変換&消費電力算出部165はさらに、上記算出した消費電力に基づいて積算電力量を算出し、算出した積算電力量の情報をリアルタイムでASIC(2)112に出力する機能を有する。