以下、図面を参照して本発明の画像形成装置の各実施形態に係るMFPについて説明する。なおMFPは、画像形成装置の一例である。
各実施形態に係るMFPは、自装置によって消費される電力を内蔵の(或いは着脱可能な)電力測定部で測定し、電力測定部で測定された消費電力に基づき、所定の機能の実行に係る消費電力量を算出する。そして算出した消費電力量をユーザインタフェースとして機能する操作部で表示する。また、電力測定部自体も測定動作を行う際に電力を消費するので、この電力測定部への電力供給を開始(ON)/停止(OFF)制御することで、測定が不要な状況に適応することができる。
なお、各実施形態に係るMFPでは、例えば、操作部又はファクシミリ受信部を常時待機状態にして、処理すべきデータの入力が可能な状態にしておくことが望ましい。又、本発明の実施形態としては画像出力(印刷)動作に比較的大きな電力を要するMFPが好適であるが、これに限定されることなく、本発明を適用する機器の種類は特に限定されない。なお、MFPとは、コピー、スキャナ、プリンタ、ファクシミリ等のそれぞれの機能を全部又は複数、複合的に有する画像形成装置を指す。
図1は、以下に説明する第1乃至第3の実施形態のそれぞれに係るMFP100,100A及び100B(以下総称して単にMFPと称することがある)に共通するハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図1において、コントローラ110は本MFP100,100A及び100Bの各々の全体を制御し、コントローラ110の制御下でエンジン130、HDD(Hard Disk Drive)123、FCU(Facsimile Control Unit)125、操作部127、電源部150及び電力測定部160がそれぞれ動作する。
コントローラ110は、CPU(Central Processing Unit)111と、NAND型フラッシュメモリ116、NV(不揮発性)RAM(Random Access Memory)115、NOR型フラッシュメモリ117、DRAM(Dynamic Random Access Memory)114の各メモリを有する。このような構成を有するコントローラ110はコンピュータとして機能し、フラッシュメモリ等に記憶された制御プログラム、制御データ等によってこのコンピュータが駆動され、制御部としての機能を実現する。ここで、コントローラ110は機器(MFP100,100A及び100Bの各々)の構成情報をNVRAM115等に記憶し、管理する。
なお、CPU111の制御下にあるASIC(Application Specific Integrated Circuit)(2)112は、電源部150、電力測定部160,操作部127,FCU125、各種メモリ(NOR117,NAND116,NVRAM115)及びI/O(Input/Output、すなわちデータの入出力)を制御する。また同ASIC(1)113は、圧縮/伸張等の各種画像処理及びHDD123(不揮発メモリでもよい)を制御する。また、コントローラ110は、ASIC(2)112を介して外部PC(Personal Computer)等の外部機器とLAN(Local Area Network)で接続するためのLAN I/F(インタフェース)118を有する。
エンジン130は、原稿を読み取り電子化した画像データを得る画像読取部131と、紙などに画像データを印字する画像出力部135と、画像データに対する複数の処理(加工・補正・編集・特性検知・変換等)を施す画像処理部133と、これらの各部の動作を制御するCPU137とを有する。
FCU125は、FAX機能を実現するための手段として、FAX信号の送受信に係るデータ処理部及び通信インタフェースを有する。
操作部127は、ユーザインタフェースとして機能し、ユーザが処理等を指示して行う入力操作を受け付ける操作入力部127a、指示に従い設定される機器の動作条件、動作によって変化する機器のステータス等表示する表示部127bを有する。また、操作部127の操作入力部127aはユーザからのデータ入力を取得するデータ入力手段及びユーザからの動作指示を取得する指示入力手段として機能する。又操作部127の表示部127bは、後述する電力測定部160が測定した消費電力に基づいて算出された消費電力量を表示する表示手段として機能する。なお、各実施形態では、操作部127は常時作動状態にあるものとする。
電源部150は、商用AC電源からプラグ等の接続手段170を介して給電され、後述する電力測定部160を経て供給される電力をMFP100,100A及び100Bの各々の各種動作部に用いる電力として,ACのまま或いはDCに変換して供給する。
電力測定部160は、自装置の消費電力を測定する電力測定手段であり、供給される電力をプラグ等の接続手段170の直後で測定することで、MFP100,100A及び100Bの各々内で消費される全ての電力を測定する。そして測定された消費電力(或いは消費電力量)をコントローラ110へ出力する。
各実施形態では、電力測定部160自体も測定動作を行う際に電力を消費する。従ってコントローラ110によって電力測定部160への電力供給をON/OFF(開始及び停止)することができるものとする。そして電力測定を行なわない場合には電力測定部160への電力供給を停止して、消費電力を低減する。なお、電力測定部160への電力供給のON/OFFの詳細については図15と共に後述する。
上述の構成を有するMFP100,100A及び100Bの各々では、コントローラ110による制御下、スキャナ機能、コピー機能、プリンタ機能、ファクシミリ受信機能及びファクシミリ送信機能が実行される。
スキャナ機能によれば、画像読取部131により原稿が読み取られて画像データが得られ、得られた画像データが画像処理部133,ASIC(1)113を経由してHDD123に格納される。
コピー機能によれば、画像読取部131によって原稿から得られた画像データが画像処理部133、ASIC(1)113を経由してHDD123に一旦格納される。そしてHDD123に格納された画像データがASIC(1)113、画像処理部133を経由して画像出力部135によって出力(印刷)される。
プリンタ機能によれば、HDD123に格納された画像データ、あるいはLAN I/F118を介し外部機器等から得られた画像データが以下のように処理される。すなわちASIC(1)113あるいはASIC(2)112、CPU111及びASIC(1)113、並びに画像処理部133を経由して画像出力部135によって出力(印刷)される。
ファクシミリ受信機能によれば、FCU125によって外部から受信された画像データがASIC(2)112、CPU111及びASIC(1)113、並びに画像処理部133を経由して画像出力部135によって出力(印刷)される。
ファクシミリ送信機能によれば、画像読取部131で得られた原稿の画像データが画像処理部133並びにASIC(1)113、CPU111及びASIC(2)112を経由してFCU125によって外部に送信される。
コントローラ110は、例えばCPU111がプログラムを実行することにより、所定の機能の実行に係る消費電力量を推定する消費電力量推定手段として機能する。所定の機能としては、MFP100,100A及び100Bの各々の機能としてのコピー機能、スキャナ機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能(ファクシミリ受信機能及びファクシミリ送信機能)等の機能のうちの少なくとも複数の機能とすることができる。コントローラ110は又、例えばCPU111がプログラムを実行することにより、電力測定部160が測定した消費電力に基づき、上記機能の実行に係る消費電力量を算出する消費電力量算出手段としても機能する。
ここで上記機能の実行に係る消費電力量とは例えば、当該機能の実行の開始から終了までの間にMFPが消費した電力を時間について積分した値(時間積分値、単位:Wh)とすることができる。すなわち上記機能の実行に係る消費電力量とは例えば、当該機能の実行の開始から終了までの間に電力測定部160が測定した消費電力の時間積分値とすることができる。例えば、消費電力量算出手段としてのコントローラ110が当該機能の実行の開始から終了までの間、電力測定部160からリアルタイムに出力される消費電力の値を積分して得た時間積分値が当該機能の実行に係る消費電力量である。或いは、電力測定部160として消費電力量の値を算出するものを用いてもよい。この場合には、MFPの当該機能の実行の開始から終了までの間の、電力測定部160から出力される消費電力量の増分が、当該機能の実行に係る消費電力量となる。
なお、例えば上記各機能の実行を制御するアプリケーション(ソフトウェア)の機能として、当該機能の実行の開始と終了のそれぞれのタイミングで信号が出力されるものとする。そして消費電力量算出手段としてのコントローラ110が、当該出力される信号を受信して当該機能の実行の開始と終了のそれぞれのタイミングを得、その間に受信した電力測定部160の出力値に基づいて上記機能の実行に係る消費電力量を求めればよい。
或いは更に他の方法として、電力測定部160が、当該機能の実行の開始と終了のそれぞれのタイミングで出力される上記信号を受信してその間の消費電力量を算出するようにしてもよい。この場合には電力測定部160自身が消費電力量算出手段としても機能する。
コントローラ110は更に、例えばCPU111がプログラムを実行することにより、電力測定部160への給電をONする測定モードとOFFする非測定モードとのいずれかを選択する測定モード選択手段としても機能する。コントローラ110は更に、例えばCPU111がプログラムを実行することにより、測定モード選択手段の有効又は無効を選択する手段としても機能する。コントローラ110は更に、電力測定部160への電力供給のON/OFFを制御する測定制御手段としても機能する。また、NAND型フラッシュメモリ116は、所定の機能毎の消費電力量の目標範囲を記憶する記憶手段として機能し、当該目標範囲は、予め目標値テーブルとして予めNAND型フラッシュメモリ116に記憶される。
図1を参照して説明したMFPの構成では、電力供給が開始されると、電源部150は、まずコントローラ110に給電し、その後、コントローラ110のASIC(2)112からの指示によりエンジン130への給電を開始する。
以下、コントローラ110の電源投入時における処理手順の一例について、図2に示すフロー図に従って説明する。
まず、例えばユーザがMFPのプラグ等の接続手段170を商用電源等の電源(コンセント)に接続して手動のスイッチ(不図示)を入れる。その結果電源部150がコントローラ110への電力供給を開始する(ステップS101)。
次いで、コントローラ110のASIC(2)112からの指示により、NOR型フラッシュメモリ117に格納されたプログラムがCPU111によって実行され、そのプログラムに基づいてコントローラ110が処理を開始する(ステップS102)。
続いて、ASIC(2)112からの指示により、電源部150がエンジン130への電力供給を開始する(ステップS103)。これにより、MFPは印刷等の処理の実行が可能な通常動作状態に立ち上がる。
その後、ASIC(2)112は、ステップS101において開始された電力供給に対する電力供給停止(OFF)の要求の有無を確認し(ステップS104)、電力供給停止の要求がある場合には(ステップS104−YES)、電力供給停止の処理を実行して(ステップS107)、動作を終了する。電力供給停止の処理とは、例えば電源部150がコントローラ110のASIC(2)の指示によってエンジン130への電力供給を停止し、更にコントローラ110への電力供給を停止する処理である。
他方、電力供給停止の要求がない場合には(ステップS104−NO)、ASIC(2)112は印刷等のジョブの処理要求があるか否かを確認する(ステップS105)。
ここで、ジョブの処理要求がない場合には(ステップS105−NO)、ステップS104の電力供給停止の要求の確認に戻る。又、ジョブの処理要求がある場合には(ステップS105−YES)、要求されたジョブの処理に必要なアプリケーション(ソフトウェア)を実行して(ステップS106)、ステップS104の電力供給停止の要求の確認に戻る。
当該MFP(図1)が行う特徴的な動作は以下の通りである。すなわち、電力測定部160で測定された消費電力に基づいて消費電力量算出手段が算出した消費電力量をユーザインタフェースとして機能する操作部127の表示部127bで表示する。又、電力測定部160への電力供給のON/OFFを制御し、電力測定部160の作動/不作動を選択する。
以下に示す各実施形態では、NAND型フラッシュメモリ116に記憶された目標値テーブルに記述されている所定の機能毎の消費電力量の目標値を参照する。そして、電力測定部160が測定した消費電力に基づいて消費電力量算出手段が算出した消費電力量が、対応する所定の機能の消費電力量の目標範囲外である場合、電力測定部160に対する電力供給を行う。又、電力測定部160が測定した消費電力に基づいて消費電力量算出手段が算出した消費電力量を操作部127の表示部127bに表示する。
また、電力測定部160が測定した消費電力に基づいて消費電力量算出手段が算出した消費電力量が、対応する所定の機能の消費電力量の目標範囲内である場合、電力測定部160への電力供給を停止して電力消費を低減する。なお、電力測定部160への電力供給を停止した後は消費電力を実測することができないので、消費電力量を推定するものとする。そしてその推定値が、対応する所定の機能の消費電力量の目標範囲外となった場合、電力測定部160の電力供給を開始する。
以上の処理・動作を、以下、「消費電力量算出・表示」と称する。
以上の動作により、現時点での実測に基づいて算出された消費電力量又は推定された消費電力量が、対応する消費電力量の目標範囲外のとき、電力測定部160への電力供給を開始する。そして電力測定部160が測定した消費電力に基づいて消費電力量算出手段が算出した消費電力量を操作部127の表示部127bに表示する。このことによりユーザの注意を喚起する。他方、現時点での実測に基づいて算出された消費電力量又は推定された消費電力量が、対応する消費電力量の目標範囲内のときは、電力測定部160への電力供給を停止して消費電力を低減することができる。
図3は、第1の実施形態に係るMFP100における消費電力量算出・表示シーケンスの処理手順の一例を示すフロー図である。又図11は、本実施形態のMFP100における機能ブロックの部分的な構成例を示すブロック図である。なお部分的とは、MFP100における機能ブロックのうち、図3のフロー図に示される動作に係る部分を示すという意味である。
ここで図3のフローと上述の図2のフローとの関係は以下の通りである。図3のフローは、コントローラ110のASIC(2)112の動作として行われる。従って図2の電源投入時のフローによってコントローラ110に電力が供給されて(ステップS101)から電力供給が停止される(ステップS107)までの間、以下の動作が繰り返される。すなわち、図3中、電力供給が開始されて測定モードの初期設定がなされた(ステップS201、S202)後、電力供給が停止される(ステップS212−YES,S213)までのフロー(ステップS203ないしS212及びS214ないしS217)が繰り返される。
図3のフローによると、コントローラ110のASIC(2)112は、電力供給が開始されて動作が可能な状態になると、このフローに従う制御を開始する(ステップS201)。先ず、電力測定部160(以下、「電力測定Md(モジュール)」という)による消費電力の測定動作を行うか否か(測定モードがONか否か)の初期設定を行なう(ステップS202)。この初期設定は、例えば、予めNVRAM115等に記憶されている初期設定値を参照し、その初期設定値を現在の測定モードの設定値として一時記憶装置であるDRAM114等に記憶させることにより行なう。又このステップS202の動作は図11に示す機能ブロックとしての測定モード選択部112aとして機能するコントローラ110のASIC(2)112が実行する。
次に、上記の如くDRAM114等に記憶した現在の測定モードの設定値から「測定モードがONか否か」を確認する(ステップS203)。「測定モードがON」であれば(ステップS203−YES)、ASIC(2)112は、電力測定Md160への電力供給ON/OFFを確認する(ステップS204)。ステップS203の動作は、機能ブロックとしての測定モードON/OFF判定部112bとして機能するコントローラ110のASIC(2)112が実行する。又ステップS204の動作は、機能ブロックとしての電力測定Md電源ON/OFF判定部112cとして機能するコントローラ110のASIC(2)112が実行する。
「測定モードがON」の場合には電力測定Md160を作動させて電力の測定を行う。従ってステップS204での確認の結果「電力供給ON(電力測定Md160へ電力供給中)」であれば(ステップS204−YES)、電力測定Md160は既に作動状態にあるので特に何もしない。他方、「電力供給OFF(電力供給停止中)」であれば(ステップS204−NO)、電力測定Md160を作動させるために電力測定Md160への電力供給を開始する(ステップS205)。ステップS205の動作は、機能ブロックとしての電力測定Md電源ON/OFF判定部112cとして機能するコントローラ110のASIC(2)112が実行する。
「ステップS204 YES」の場合又はS205の後、既に作動中又は電力供給を受けて作動する電力測定Md160はMFP100の消費電力を測定する。又、消費電力量算出手段として機能するASIC(2)112が、上記の如く、電力測定Md160が測定した消費電力に基づき、現時点で実行される所定の機能の実行の開始から終了までの間の消費電力量を算出する(ステップS206)。当該所定の機能のことを以降、当該消費電力量の算出の基となった所定の機能と称する場合がある。ステップS206の算出動作は、機能ブロックとしての消費電力量算出部112d1として機能するコントローラ110のASIC(2)112が実行する。なお、消費電力量は上記の如く「電力×時間」の積分値(或いは積算値)として算出される。ここで所定の機能とは、上記の如く、コピー機能、スキャナ機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能等を指す。
他方、ステップS203で「測定モードがOFF」であれば(ステップS203−NO)、電力測定Md160への電力供給ON/OFFを確認する(ステップS207)。「電力供給OFF(電力測定Md160への電力供給が停止中)」であれば(ステップS207−YES)、電力測定Md160は既に不作動状態にあるので特に何もしない。他方、「電力供給ON(電力測定Md160へ電力供給中)」であれば(ステップS207−NO)、電力測定Md160を不作動にするために電力測定Md160への電力供給を停止する(ステップS208)。ステップS207,S208の動作は、機能ブロックとしての電力測定Md電源ON/OFF判定部112cとして機能するコントローラ110のASIC(2)112が実行する。これらステップS203ないしS205、S207、及びS208により、コントローラ110のASIC(2)112は、測定制御手段として機能する。
「ステップS207 YES」の場合又はS208の後、電力測定Md160はこの場合不作動で電力測定を行わない。したがってコントローラ110のASIC(2)112は、現時点で実行される所定の機能の実行の開始から終了までの間の消費電力量を推定する(ステップS209)。当該所定の機能のことを、当該消費電力量の推定の基となった所定の機能と称する場合がある。所定の機能とは、上記の如く、コピー機能、スキャナ機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能等を指す。ステップS209の算出動作は、機能ブロックとしての消費電力量推定部112d2として機能するコントローラ110のASIC(2)112が実行する。
消費電力量の推定値を求める方法として、例えばコピー機能、スキャナ機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能等の実行時のMFP100の消費電力量を予め実験的に求めておき、求めた値に基づいて推定する方法を用いることができる。この場合、推定の基となる消費電力量を実験的に求めたときの条件と、ステップS209における推定に係る所定の機能の実行の条件が異なると誤差を生じる。このため、実測値に近い推定値を得るためには、補正が必要になる。なお上記所定の機能の実行の条件として、例えば当該機能の実行に係る用紙の処理枚数、用紙のサイズ、スキャン(画像入力)及び/又は印刷(画像出力)の際の解像度及び用紙の方向(縦か横か)等を含めることができる。
従って例えば実験時に用紙1枚につき、所定の用紙サイズ、所定の解像度、所定の用紙の方向で各所定の機能を実行した際のMFP100の消費電力量の測定値をそれぞれ基準値として求めておく。そしてステップS209で推定値を得る際、このようにして求めた所定の機能毎の基準値から、現時点で実行される所定の機能の基準値を得る。そして当該基準値に現時点で実行される所定の機能の実行に係る処理枚数を乗ずる。そして得られた値を、現時点で実行される所定の機能の実行に係る用紙サイズ、解像度、用紙の方向等に応じて適宜補正することにより、現時点で実行される所定の機能の実行内容に応じた推定値(消費電力量)を得ることができる。なお現時点で実行される所定の機能の実行に係る情報(処理枚数、用紙サイズ、解像度、用紙の方向等)は、例えば当該機能に係るアプリケーション(ソフトウェア)の機能によって得ることができる。
なお図4とともに後述するMFP100の動作モードとは、所定の機能であるコピー機能、スキャナ機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能等のそれぞれに対応する。MFP100がコピー機能を実行する際にはMFP100はコピー動作モードにあり、プリンタ機能を実行する際にはMFP100はプリンタ動作モードにあることになる。同様に、MFP100がスキャナ機能を実行する際にはMFP100はスキャナ動作モードにあり、ファクシミリ機能を実行する際にはMFP100はファクシミリ動作モードにあることになる。
次に、ステップS206又はステップS209で得られた消費電力量をNVRAM115に記憶させた後(ステップS210)、その消費電力量をユーザインタフェースである操作部127の表示部127bに表示する(ステップS211)。ステップS210の動作はNVRAM Read/Write部112gとして機能するコントローラ110のASIC(2)112が実行する。又ステップS211の動作は操作部制御部112iとして機能するコントローラ110のASIC(2)112が実行する。なおステップS210で消費電力量を表示部127bに表示する際、同時に以下のような表示を行っても良い。すなわち、当該消費電力量が現時点で測定された消費電力に基づいて算出された(ステップS206)ものか、或いは過去の実験値に基づいて推定された(ステップS209)ものかを表示しても良い。その結果効果的にユーザの注意を喚起することができる。
続いて、ステップS201において開始された電力供給に対する電力供給停止の要求の有無を確認する(ステップS212)。この動作は「電源:ON/OFF判定部112e」として機能するコントローラ110のASIC(2)112が実行する。電力供給停止の要求がある場合には(ステップS212−YES)、電力供給停止の処理を実行して(ステップS213)、図3の動作を終了する。ステップS213の動作も電源:ON/OFF判定部112eとして機能するコントローラ110のASIC(2)112が実行する。
他方、電力供給停止の要求がない場合には(ステップS212−NO)、まず、NVRAM115を参照してステップS210で書き込んだ消費電力量を読み出す(ステップS214)。ステップS214の動作はNVRAM Read/Write部112gとして機能するコントローラ110のASIC(2)112が実行する。次に、ステップS214で読み出した消費電力量に係る所定の機能を特定する(動作モードの特定)(ステップS215)。更に、NAND型フラッシュメモリ116の目標値テーブルを参照する(ステップS216)。
ステップS214で読み出した消費電力量に係る所定の機能とは、ステップS214で読み出した消費電力量がステップS206で算出されたものであった場合には、当該消費電力量の算出の基となった所定の機能である。ステップS214で読み出した消費電力量がステップS209で推定されたものであった場合には、当該消費電力量の推定の基となった所定の機能である。
又、ステップS210で消費電力量をNVRAM115に書き込む際、同時に当該消費電力量の算出又は推定の基となった所定の機能を当該消費電力量に関連付けてNVRAM115に書き込んでおくことにより、ステップS215にて当該消費電力量に係る所定の機能を特定することができる。ステップS215の動作は動作モード判定部112fとして機能するコントローラ110のASIC(2)112が実行する。又ステップS216の動作はNAND(テーブル)Read部112hとして機能するコントローラ110のASIC(2)112が実行する。
続いて、特定した所定の機能(動作モード)と目標値テーブルとから、当該所定の機能の消費電力量値の目標範囲を特定し、特定した目標範囲とNVRAM115から読み出した消費電力量とを比較する。そして比較結果に応じて測定モードのON/OFF、即ち、電力測定Md160による消費電力の実測を行なうか否かを判定する。そして判定の結果に従って、DRAM114等に記憶した現在の測定モードの設定値の設定を行なう(ステップS217)。この動作は測定モード選択部112aとして機能するコントローラ110のASIC(2)112が実行する。ステップS217における判定及び測定モードの設定値の設定の詳細については図4と共に後述する。これらのステップS214ないしS217により、コントローラ110のASIC(2)112は、電力測定Md160への給電を行う(ON)測定モードと行わない(OFF)非測定モードとのいずれかを選択する測定モード選択手段として機能する。
ステップS217の処理を行った後は、ステップS203に戻って、測定モードの確認と電力測定Md160のON・OFFを行なう。
図4は、ステップS217における判定で使用される目標値テーブルの例を示す図である。
図4の例では、各テーブル上欄に動作モード(すなわち所定の機能)を示し、中欄に動作モード毎(所定の機能毎)に予め求められた消費電力量の基準設計値を示す。図4(A),(B),(C)にそれぞれ示すように、動作モード(所定の機能)は上記の如く、それぞれ「コピー」(コピー動作モード)、「プリンタ」(プリンタ動作モード)、「スキャナ」(スキャナ動作モード)及び「ファクシミリ」(ファクシミリ動作モード)である。図示の如く、図4(A),(B),(C)の各々の場合において、コピー動作モード(コピー機能)、プリンタ動作モード(プリンタ機能)、スキャナ動作モード(スキャナ機能)、ファクシミリ動作モード(ファクシミリ機能)に対するそれぞれの基準設計値はA[Wh]、B[Wh]、C[Wh],D[Wh]である。ここで基準設計値とは、MFP100が用紙1枚につき、上記所定の用紙サイズ、所定の解像度、所定の用紙の方向で各所定の機能を実行する際のMFP100の消費電力量の設計値を示すものとする。
そして図4の各テーブルの中欄の基準設計値に基づく消費電力量の目標範囲を下欄に示す。ここで、下欄に記載した「測定値」は、電力測定Md160に給電がなされているとき(ステップS203−YES)は、ステップS206において消費電力量算出手段として機能するASIC(2)112が算出した消費電力量である。他方電力測定Md160に給電がなされていないとき(ステップS203−NO)は、ステップS209において消費電力量推定手段として機能するASIC(2)112が推定した消費電力量である。これらの消費電力量を総称して「算出又は推定した消費電力量」と称する場合がある。
ここで図4(A)のテーブル下欄には「測定値=設計値」と記載されている。この場合の「設計値」は、テーブル中欄の基準設計値に対し、少なくとも算出又は推定した消費電力量の算出又は推定の基となった所定の機能の実行に係る処理枚数を乗じて得た値とする。しかしながらこの例に限定されることなく、更に当該所定の機能の実行に係る諸条件(用紙サイズ、解像度、用紙の方向)で適宜補正してもよい。図4(A)の例を採用する場合、上記「測定値=設計値」の記載に応じ、算出又は推定した消費電力量が設計値と等しいときには測定モードをOFFに設定する。他方算出又は推定した消費電力量が設計値と等しくないときには測定モードをONに設定して電力測定Md160により消費電力を実測する。
例えば、当該所定の機能の実行に係る条件が上記所定の用紙サイズ、所定の解像度、所定の用紙の方向とそれぞれ一致する場合、算出又は推定した消費電力量が設計値に合致する(測定値=設計値)可能性がある。他方、当該所定の機能の実行に係る条件が上記所定の用紙サイズ、所定の解像度、所定の用紙の方向と一致しない場合、算出又は推定した消費電力量が設計値に合致しない(測定値≠設計値)可能性が高い。或いは、MFP100の環境(温度、湿度等)変化、経年変化等の条件によって算出又は推定した消費電力量が設計値に合致しない(測定値≠設計値)場合も考えられる。
図4(A)の場合上記構成により、算出又は推定した消費電力量が設計値どおり(すなわち目標範囲内)の場合には測定モードをOFFにし、電力測定Md160を不作動状態にして消費電力を実測せずに電力測定Md160による電力の消費を削減する。他方、算出又は推定した消費電力量が設計値どおりでない(目標範囲外)場合には測定モードをONにし、電力測定Md160を作動状態にして消費電力を実測して正確な消費電力量をユーザに示す。
次に図4(B)のテーブル下欄には「測定値<設計値」と記載されている。図4(B)の例を採用する場合、「測定値<設計値」の記載に応じ、測定値が設計値未満のとき(目標範囲内)には測定モードをOFFに設定する。他方測定値が設計値以上のとき(目標範囲外)には測定モードをONに設定して電力測定Md160により消費電力を実測する。
例えば、当該所定の機能の実行に係る条件が上記所定の用紙サイズ、所定の解像度、所定の用紙の方向と一致しない場合、測定値が設計値以上(測定値≧設計値)となる場合(目標範囲外)と設計値未満(測定値<設計値)となる場合(目標範囲内)とが考えられる。或いは上記の如く、MFP100の環境(温度、湿度等)変化、経年変化等の条件によって測定値が設計値以上(測定値≧設計値)となる場合(目標範囲外)も考えられる。
図4(B)の場合には上記の構成により、算出又は推定した消費電力量が設計値未満(測定値<設計値)となった場合(目標範囲内)には測定モードをOFFにし、電力測定Md160を不作動状態にして消費電力を実測せずに電力測定Md160による電力の消費を削減する。他方、算出又は推定した消費電力量が設計値以上となった場合(目標範囲外)には測定モードをONにし、電力測定Md160を作動状態にして消費電力を実測し、正確な消費電力量をユーザに示す。
次に図4(C)のテーブル下欄には「|測定値−設計値|≦0.2Wh」と記載されている。すなわち、測定値と設計値との差の絶対値が0.2Wh以下であるときは測定モードをOFFに設定する。他方当該差の絶対値が0.2Whを超えているときは測定モードをONに設定する。以下、測定値と設計値との差(差分)の絶対値である、許容範囲としての閾値(図4(C)の例では0.2Wh)を「差分閾値」と称する。
例えば、当該所定の機能の実行に係る条件が上記所定の用紙サイズ、所定の解像度、所定の用紙の方向とそれぞれ一致する場合、測定値が設計値にほぼ合致する(|測定値−設計値|≦0.2Wh)可能性がある。他方、当該所定の機能の実行に係る条件が上記所定の用紙サイズ、所定の解像度、所定の用紙の方向と一致しない場合、測定値の設計値との差が大きくなり、「|測定値−設計値|>0.2Wh」となる可能性が高い。或いは、MFP100の環境(温度、湿度等)変化、経年変化等の条件によって測定値の設計値との差が大きくなり「|測定値−設計値|>0.2Wh」となる場合も考えられる。
図4(C)の場合には上記構成により、算出又は推定した消費電力量が設計値に近くその差が所定の値未満の場合(目標範囲内)には測定モードをOFFにし、電力測定Md160を不作動状態にして消費電力を実測せずに電力測定Md160による電力の消費を削減する。他方、算出又は推定した消費電力量が設計値から離れてその差が所定の値を超えた場合(目標範囲外)には測定モードをONにし、電力測定Md160を作動状態にして消費電力を実測し、正確な消費電力量をユーザに示す。
このように本実施形態によれば、算出又は推定した消費電力量が設計値の「目標範囲外」の場合、電力測定Md160を作動状態にして正確な消費電力量をユーザに示しユーザの注意を喚起する。他方、算出又は推定した消費電力量が設計値の「目標範囲内」の場合には電力測定Md160を不作動状態にして電力の消費を削減する。
上記の説明では、ステップS217で算出又は推定した消費電力量を設計値と比較する際の設計値は当該消費電力量の算出又は推定の基となった所定の機能の実行に係る処理枚数を基準設計値に乗じたものとすると述べた。しかしながらこの例に限定されることはない。すなわちステップS217で算出又は推定した消費電力量を設計値と比較する際の設計値を基準設計値と同値にしてもよい。図4と共に上記したように基準設計値は処理枚数が1枚の場合の消費電力量である。従って算出又は推定した消費電力量の算出又は推定の基となった所定の機能の実行に係る処理枚数が複数枚であれば、設計値を基準設計値と同値にした場合には、図4(A),(B),(C)のいずれの場合も「目標範囲外」になる可能性が高いと考えられる。その場合測定モードがONとされ電力測定Md160が作動状態となって消費電力が実測されて正確な消費電力量がユーザに示される。他方、算出又は推定した消費電力量の算出又は推定の基となった所定の機能の実行に係る処理枚数が1枚であれば、図4(A),(B),(C)のいずれの場合も「目標範囲内」になる可能性がある。その場合測定モードがOFFとされ、電力測定Md160が不作動状態となって電力の消費を削減することができる。
次に、本発明の第2の実施形態に係るMFP100Aについて説明する。
上述した第1の実施形態における消費電力量算出・表示シーケンスでは消費電力の目標範囲は予め定められた内容としてNAND型フラッシュメモリ116に記憶されている。例えばMFPの設置環境下での消費電力量の測定値のばらつきが大きく電力測定Md160をONにする頻度が不必要に高くなってしまうような場合を想定する。このような場合であっても、目標範囲を変更してその頻度を下げることができない。
そこで、第2の実施形態では、図4(C)に示した目標値テーブルの差分閾値(図4(C)の例では0.2Wh)を、操作部127の操作入力部127aを介してユーザが変更できるようにしている。次に、第2の実施形態を説明する。
第2の実施形態は、測定モードの初期設定後に、操作部127の操作入力部127aによる差分閾値の設定を可能とし、かつ、測定モードのON/OFF判定を行った後にも、差分閾値の変更を可能としている。
これにより、電力測定Md160をONにする頻度を調整して、電力測定Md160による電力消費が不必要に大きくなることを防止することができる。
図5は、本実施形態に係るMFP100Aにおける、消費電力量算出・表示シーケンスの処理手順の例を示すフロー図である。又図12は、本実施形態のMFP100Aにおける機能ブロックの部分的な構成例を示すブロック図である。
図5のフロー図では、測定モードの初期設定(ステップS302)の後に、差分閾値の設定の要否を判定する(ステップS303)。この判定は、例えば、操作部127の表示部127bに差分閾値の設定要否の入力をユーザに促す画面を表示し、これに対しユーザが行う操作部127の操作入力部127aへの入力内容に基づいて行うことができる。このステップS303の動作は図12に示す差分閾値設定要否判定部112k及び操作部制御部112iとして機能するコントローラ110のASIC(2)112が実行する。
コントローラ110のASIC(2)112は、差分閾値の設定が必要なときは(ステップS303−YES)、差分閾値の設定画面を表示部127bに表示して操作入力部127aによりユーザが入力する差分閾値を取得する(ステップS304)。そして取得した差分閾値でNAND型フラッシュメモリ116が記憶する目標値テーブルを書き換え(ステップS305)、ステップS306の処理に移る。ステップS304の動作は差分閾値設定要否判定部112k及び操作部制御部112iとして機能するコントローラ110のASIC(2)112が実行する。又ステップS305の動作は機能ブロックとしてのNAND(テーブル)Read/Write部112h1として機能するコントローラ110のASIC(2)112が実行する。一方、差分閾値の設定が不要なときは(ステップS303−NO)、コントローラ110のASIC(2)112は、差分閾値の設定画面を表示部127bに表示しないで、直接ステップS306の処理に移る。
また、コントローラ110のASIC(2)112は、測定モードON/OFFの判定及び設定(ステップS320)の後にも、ステップS303に戻って再び差分閾値の設定要否を判定する。 なお、上記のステップS303ないしS305以外のステップS301、S302、S306ないしS320については、図3のステップS201、S202,S203ないしS217とそれぞれ同様であるため、重複する説明を省略する。又、図12に示される機能ブロック112aないし112i及び112kのうち、112aないし112g及び112iは第1の実施形態のMFP100における機能ブロック112aないし112g及び112iとそれぞれ同様の構成及び機能を有する。
図6は、差分閾値の設定のため操作部127の表示部127bに表示する画面の例である。
図6(A)は、ステップS303で表示部127bに表示する、差分閾値の設定要否問合せ画面の一例である。この画面には、「消費電力測定ON/OFF判定閾値設定」と表示したボタンが表示される。ここで例えば、操作部127としてタッチパネル型のLCD(液晶表示装置)を採用した場合を想定する。この場合、コントローラ110のASIC(2)112は、ユーザが所定時間内に「消費電力測定ON/OFF判定閾値設定」のボタンを押したときは、差分閾値の設定が必要であると判断し(ステップS303−YES)、ボタンが押されないまま所定時間が経過したときは、差分閾値の設定は不要(ステップS303−NO)と判断することができる。
図6(B)は、ステップS304で操作部127の表示部127bに表示される差分閾値の設定画面の例である。この画面は、図6(A)において「消費電力測定ON/OFF判定閾値設定」ボタンが所定時間内に押され、コントローラ110のASIC(2)112が差分閾値の設定が必要と判断した(ステップS303−YES)ときにステップS304で表示される。ユーザはこの画面に表示された数字キーにより差分閾値の新たな設定値Xを入力し、「決定」ボタンにより、入力した差分閾値の新たな設定値Xを確定することができる。
このような構成によって本実施形態では、図4(C)の目標値テーブルの下欄に記載された目標範囲を規定する差分閾値(図4(C)の例の場合0.2Wh)を、ユーザによる設定動作によって変更可能とする。例えばMFP100Aの設置環境下での消費電力量の算出値のばらつきが大きく電力測定Md160をONにする頻度が不必要に高くなるような場合、ユーザは操作部127を介して差分閾値を変更して目標範囲を変更することができる。
すなわち、例えばMFP100Aの設置環境下での消費電力量の算出値のばらつきが大きいと測定値(消費電力量)が目標範囲外(|測定値−設計値|>0.2Wh)になる頻度が高くなる。その結果ステップS320の測定モードON/OFF判定の結果が「測定モードON」となる頻度が高まり電力測定Md160に電力を供給する頻度が高まる。このような場合ユーザはステップS304で表示部127bに表示される差分閾値の設定画面(図6(B)参照)上で新たな差分閾値として現在の0.2Whより大きい値XWhを設定すればよい。
その結果、上記の如くMFP100Aの設置環境下での消費電力量の算出値のばらつきが大きい場合であっても、測定値(消費電力量)が目標範囲外(|測定値−設計値|>XWh)となる頻度を下げることができる。その結果、ステップS320の測定モードON/OFF判定の結果が「測定モードON」となる頻度を下げ、電力測定Md160に電力を供給する頻度を下げることができる。その結果電力測定Md160による電力消費を減らすことができる。特にユーザは上記差分閾値の新たな設定値Xを任意に決定することができる。このため、設定値Xを調整することによって、電力消費低減効果と、正確な消費電力量の表示を行ってユーザの注意を喚起する効果との間のトレードオフを任意に調整することができる。
次に、本発明の第3の実施形態に係るMFP100Bについて説明する。
上述した第1の実施形態では、常に測定モードのON/OFF判定・設定が行なわれ(図3のステップS217)、測定モードのON/OFFが自動で切り換えられる。従って測定モードを常時ON又はOFFにしておくことはできない。
そこで、本実施形態では、操作部127を介して、測定モードON/OFF判定/設定の機能(自動判定機能)のON/OFF(有効/無効)を選択可能として、測定モードの常時ON又は常時OFFの設定を行ない得るようにしている。
次に、第3の実施形態について説明する。本実施形態のMFP100Bでは、「測定モードがONか否か」の判定(図7中、ステップS404)を行なう前にステップS403、S403A,S403Bを行う。ステップS403では、測定モードON/OFF判定・設定の機能(自動判定機能)のON/OFF(有効/無効)を、ユーザが操作部127を介して選択する。選択結果はDRAM114等に記憶する。次にステップS403Aで選択結果を確認する。選択結果が「自動判定機能ON(有効)」(YES)であればステップS404に進む。他方選択結果が「自動判定機能OFF(無効)」(NO)であればステップS403Bに進む。ステップS403Bでは図8(B)に示す測定モードON/OFFの設定画面を操作部127の表示部127bに表示し、これに対するユーザによる入力内容(測定モードがONか否か)を取得し、DRAM114等に記憶する。これにより、例えば自動判定機能をOFF(無効)にして測定モードを常時ONとし、電力測定Md160を常時作動させて継続的に消費電力量を測定させることができる。その結果、現時点での消費電力の実測値に基づいた電力消費量の時間推移を見たりすることができる。逆に測定モードを常時OFFにして電力測定Md160を常時不作動とすることも可能である。その場合、電力測定Md160による電力消費を削減し、MFP100B全体の消費電力量を低く抑えることができる。
図7は、本実施形態に係るMFP100Bにおける、消費電力量算出・表示シーケンスの処理手順の例を示すフロー図である。又図13は、本実施形態のMFP100Bにおける機能ブロックの部分的な構成例を示すブロック図である。
図7のフロー図では、測定モードONか否かの判定(ステップS404)の前に、操作部127の表示部127bに自動判定機能の要否の入力をユーザに促す画面を表示する。そしてこれに対するユーザの入力を操作部127の操作入力部127aにより取得し、更に必要に応じて測定モードの設定画面を表示し、それに対するユーザの入力を取得してDRAM114等に記憶する(ステップS403、S403A,S403B)。このステップS403、S403A,S403Bの動作は図13に示す測定モードON/OFF自動判定ON/OFF部112m、測定モード選択部112a及び操作部制御部112iとして機能するコントローラ110のASIC(2)112が実行する。
また、操作部127に消費電力量を表示して(ステップS412)、電力供給停止の要求が無いことを確認した後に(ステップS413−NO)、自動判定機能がONになっているか否かを判定する(ステップS415)。自動判定機能がONのときは(ステップS415−YES)、ステップS416ないしS420による測定モードON/OFF判定・設定の処理を行った後、ステップS403に戻って、再び自動判定機能ON/OFFの選択を行なう。ステップS415の動作は測定モードON/OFF自動判定ON/OFF部112mとして機能するコントローラ110のASIC(2)112が実行する。
一方、自動判定機能がOFFのときは(ステップS415−NO)、そのまま直接ステップS403に戻って自動判定機能ON/OFFの選択を行なう。このステップS415により、コントローラ110のASIC(2)112は、測定モード選択手段の有効又は無効を選択する手段として機能する。
なお、上述のステップS403、S403A,S403B及びS415以外の、ステップS401、S402、S404ないしS414、及びS416ないしS419については、図3のステップS201、S202,S203ないしS213,及びS214ないしS217とそれぞれ同様であり、ここでの重複する説明を省略する。又、図13に示される機能ブロック112aないし112i及び112mのうち、112aないし112iは第1の実施形態のMFP100における機能ブロック112aないし112iとそれぞれ同様の構成及び機能を有する。
図8(A)は、ステップS403において操作部127の表示部127bに表示する、測定モードON/OFFの自動判定機能の要否に関する入力画面の例である。この画面には、「*モードを選択してください!」というメッセージと共に、「1.要」及び「2.否」の2つのボタンが表示されており、ユーザがどちらかのボタンに触れることにより、自動判定機能のON/OFFを選択できる。
図8(B)は、ステップS403Bにおいて操作部127の表示部127bに表示する、測定モードON/OFFの設定画面の例である。この画面には、「*ON/OFFを設定してください!」というメッセージと共に、「1.ON」及び「2.OFF」の2つのボタンが表示されており、ユーザがどちらかのボタンに触れることにより、測定モードのON/OFFを選択できる。
このように第3の実施形態によれば、ユーザが任意に測定モードON/OFFの自動判定機能のON/OFFを設定できる。従ってユーザのその時々の希望に応じ、測定モードON/OFFの自動判定機能を常時ONとすることができる。その結果、消費電力量の値(推定値又は現時点の実測値に基づく算出値)によらず、MFP100Bの現時点の消費電力の実測値に基づいた消費電力量の表示を常時行わせることができる。或いは測定モードON/OFFの自動判定機能を常時OFFとすることもできる。その結果、消費電力量の値(推定値又は現時点の実測値に基づく算出値)によらず、電力測定Md160を常時不作動状態として電力測定Md160による電力消費を削減し、MFP100Bの消費電力を効果的に減少させることができる。
次に、本発明の第4の実施形態に係る画像形成装置について説明する。
この実施形態では、上記第1〜第3の実施形態に係るMFP(図1)において、プラグ等の接続手段170を介して電源部150まで商用AC電源を引き入れる部分(AC電源接続部)を、交換可能な部品とした。
ここでAC電源接続部とは図9に示す如く、プラグ等の接続手段170とMFP100Cとの間の接続に係る、MFP100C側の接続部分をいい、具体的にはMFP100Cが有する差し込み口(R1)を含む部分である。又この場合、図9に示す如く、プラグ等の接続手段170は、外部の電源コンセントに差し込むプラグP1、上記MFP100C側の差し込み口R1に差し込むプラグ(図示を省略)及び両プラグ間を接続する電線W1を含む。
上記のAC電源接続部として、第4の実施形態では、電力測定Mdを備えたものと備えないものの2種類(AC電源接続部162,162')を用意する。そして用意した2種類のAC電源接続部162,162'の中から実際に適用するAC電源接続部を選択して装着できるようにする。その結果、ユーザの要求や、機器(MFP100C)の使用状態によっては電力測定Mdを用いてもコストパフォーマンスがさほど得られないような状況に応じることができる。
図9は、本実施形態に係るMFP100Cの構成を示すブロック図である。
図9に示すMFP100Cは、図1のMFPにおいて、電力測定Md有り/電力測定Md無しの2種類のAC電源接続部162,162'を交換部品としている。
なお、図9に示すMFP100Cは、AC電源接続部162,162'を適用する構成を要素とする以外、機器を構成する他の要素は図1のMFPと同一であり、双方の図面において、同一の要素には、同一の符号を付している。よって、同一の要素についての説明は、図1をもとに行ったMFPについての説明と同じである。又、「電力測定Md有り」のAC電源接続部162は、図1のMFPにおける電力測定Md160と同一の構成を有するものとする。又「電力測定Md無し」のAC電源接続部162'は、差し込み口R1から電源部150へ直接電力を供給する回路を有する構成とする。
図10は、本実施形態に係るMFP100Cにおける消費電力量算出・表示シーケンスの処理手順の例を示すフロー図である。又図14は、本実施形態のMFP100Cにおける機能ブロックの部分的な構成例を示すブロック図である。
図10に示すフローは、電力測定Md有り/電力測定Md無しの2種類のAC電源接続部162,162'を交換部品とするMFP100Cに適用可能なフローを図3のフローをもとに作ったものである。図10のフローは、図3のフローに対し2種類のAC電源接続部162,162'のいずれが装着されても処理を実行できるようにするためにステップS502及びS519を付加した点が異なる。すなわち、ステップS501,S503ないしS518は、図3のステップS201,S202ないしS217とそれぞれ同様であり、ここでの重複する説明を省略する。又、図14に示される機能ブロック112aないし112i及び112nのうち、112aないし112iは第1の実施形態のMFP100における機能ブロック112aないし112iとそれぞれ同様の構成及び機能を有する。
図10のフローによると、コントローラ110のASIC(2)112は、電力供給が開始されて動作が可能な状態になると、このフローに従う制御を開始し(ステップS501)、先ず、電力測定Mdの有無を確認する(ステップS502)。つまり、電力測定Md有り/電力測定Md無しの2種類のAC電源接続部162,162'のいずれかが使用されることを前提に、どちらが装着されているかを調べる。ステップS502の動作は、図14に示される電力測定Md有/無判定部112nとして機能するコントローラ110のASIC(2)112が実行する。
ステップS502で現在装着されているAC電源接続部を調べる方法の例を以下に述べる。コントローラ110のASIC(2)112が機器(MFP100C)の構成情報をNVRAM115等に記憶して管理し、管理されている構成情報から現在装着されているAC電源接続部がいずれであるかを知る方法を用いることができる。あるいはAC電源接続部162,162'の各々はMFP100Cに装着されると、ASIC(2)112に対し自己が電力測定Mdを有するか否かを示すMd有無信号を出力する方法を用いても良い。この方法では、ASIC(2)112はMd有無信号により、現在MFP100Cに装着されているAC電源接続部が電力測定Mdを有するか否かを判定する。
ステップS502で電力測定Md160の有無を確認し、電力測定Mdが有れば(ステップS502−YES)、すなわちAC電源接続部162が装着されていれば消費電力量算出・表示シーケンス(ステップS503ないしS518)を実行する。なお、ここで実行する消費電力量算出・表示シーケンスは、図3に示す同シーケンス(ステップS202ないしS217)と同一処理内容のシーケンスである。
他方、ステップS502で電力測定Mdの有無を確認した結果、電力測定Mdが無ければ(ステップS502−NO)、すなわちAC電源接続部162'が装着されていれば、ステップS519に移行する。すなわちこの場合、消費電力量算出・表示シーケンス(ステップS503ないしS518)を実行することはない。従ってこのシーケンス(ステップS503ないしS518)を飛ばして、電力供給停止の要求があるか否かを確認するステップS519に移行する。
ステップS519で電力供給停止の要求がある場合には(ステップS519−YES)、電力供給停止の処理を実行して(ステップS514)、動作を終了する。他方、電力供給停止の要求がない場合には(ステップS519−NO)、ステップS502に戻る。ステップS519の動作は機能ブロックとしての電源:ON/OFF判定部112eとして機能するコントローラ110のASIC(2)112が実行する。
本実施形態によれば、ユーザが必要に応じて電力測定Mdを有するAC電源接続装置162をMFP100Cに装着し、電力測定Mdを使用して自装置によって消費される電力を測定し電力量を求めることができる。他方、特に自装置によって消費される電力を測定し電力量を求める必要がなければ、電力測定Mdを有さないAC電源接続装置162'をMFP100Cの装着することにより、無駄な電力消費を防止することができる。
したがって、ユーザの選択肢を増やし、装置の使い勝手又は利便性の向上、さらには消費電力の抑制を図ることができる。
なお、上記第1ないし第4の実施形態のそれぞれの特徴を適宜組み合わせた実施形態を実現することも可能である。例えば、差分閾値をユーザが設定する機能、測定モードON/OFF自動判定の要否をユーザが設定する機能、及び電力測定Mdの有無をユーザが設定する機能のうちの何れか2以上を第1の実施形態において設けることが可能である。
次に図15とともに、上記第1ないし第3の実施形態の各々における電源測定Md160の構成例について説明する。
図15の例の場合、電源測定Md160は、内部電源部161,抵抗166,電圧検出回路163,電流検出回路164,AD変換&消費電力算出部165を有する。
内部電源部161はプラグ等の接続手段170によって供給されるAC電力をDC電力に変換してAD変換&消費電力算出部165に供給する機能を有する。内部電源部161は又、ASIC(2)112から出力される電源制御信号に応じてAD変換&消費電力算出部165に対するDC電力の供給を停止しあるいは開始する機能を有する。
ここで電源測定Md160への電力供給の停止(電力供給OFF)とは、実際にはAD変換&消費電力算出部165に対するDC電力供給の停止を意味するものとする。同様に、電源測定Md160への電力供給(電力供給ON)とは、実際にはAD変換&消費電力算出部165に対するDC電力の供給を意味するものとする。
内部電源部161はON/OFF通知信号をASIC(2)112に対し出力する。ON/OFF通知信号は、AD変換&消費電力算出部165へのDC電力供給の停止中は電源測定Md160への電力供給の停止中(電力供給OFF)を示す。又AD変換&消費電力算出部165へのDC電力供給中は電源測定Md160への電力供給中(電力供給ON)を示す。
電圧検出回路163はプラグ等の接続手段170によって供給されるAC電圧を検出して検出結果をAD変換&消費電力算出部165に出力する。また電流検出回路164は抵抗166の両端から得られる電圧値に基づき、プラグ等の接続手段170によって供給されるAC電流を検出して検出結果をAD変換&消費電力算出部165に出力する。
AD変換&消費電力算出部165は電圧検出回路163及び電流検出回路164から得られるそれぞれの信号をデジタル信号に変換する。そして、それぞれのデジタル信号に基づいて、電力測定Md160を介してMFP内の各部(エンジン130及びコントローラ110を含む)に供給される電力(すなわち消費電力)を算出する。そして算出した消費電力の情報をリアルタイムでASIC(2)112に出力する。又上記の如く電力測定部160として消費電力量の値を算出するものを用意する場合には、AD変換&消費電力算出部165はさらに以下の機能を有する。すなわち上記算出した消費電力に基づいて消費電力量を算出し、算出した消費電力量の情報をリアルタイムでASIC(2)112に出力する機能を有する。
なお、以上の実施形態では、画像形成装置はMFPとして説明したが、本発明はこれに限ることはなく、広く一般の画像形成装置に適用可能である。
上記それぞれの実施形態は、図3,図5,図7,図10のフローチャート及び図11,図12,図13,図l4のブロック図とともに上述したそれぞれのMFPの動作をコントローラ110のCPU111の制御下でASIC(2)112が実行する構成とすることができる。又、当該動作のうちの少なくとも主な部分をASIC(2)112のハードウェアのみが実行する構成とすることもできる。又、当該動作のうち少なくとも主な部分をNOR型フラッシュメモリ117に格納されたプログラムに従ってCPU111が実行する構成とすることもできる。又、当該動作をASIC(2)112のハードウェアとプログラムに従って動作するCPU111とが協働して実行する構成とすることもできる。