JP5771884B2 - スピネル型構造のNiAl2O4をベースとしたコーティング - Google Patents

スピネル型構造のNiAl2O4をベースとしたコーティング Download PDF

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Description

本発明は請求項1の上位概念部に記載のコーティングに関する。
鋼および鋳鉄の切削加工分野で非常に広く応用されているCVD(chemical vapor deposition:化学蒸着)酸化物被膜層またはこれらCVD酸化物被膜層を含んだ被膜層系は知られている。従来では、酸化物被膜層は主として、約1000℃の温度にて工具に蒸着されるコランダム型構造の酸化アルミニウム(α−アルミナまたはα−Al)からなっている。蒸着温度(=担体温度または工具温度)がこのような高温であることによって、工具素材の選択は基本的にはすなわち、超硬合金たとえば炭化タングステンまたは、セラミック材料と金属母材とからなる複合材料(いわゆるサーメット)または、高温安定性セラミックたとえばSiCまたはSiN、に限定されることにする。ただし、多くの応用において、とくに超硬合金刃先交換式切削チップの場合、α−Alは直接には工具に蒸着されず、先ず、α−Alよりも硬質であるが、耐酸化性の点で劣るTiCN被膜層上に被着される。このような構造を有するこの被膜層系はとくに、ねずみ鋳鉄の連続切削加工の場合がそうであるように、厚い被膜層系(>15μm)が使用可能であれば利点をもつ。ただし、断続的な切断加工が行われる場合には、高温の蒸着温度と、被膜層材料と担体との温度に起因するミスマッチとによって被膜層に引張り応力が生ずる点が短所である。このことから、被膜層系に、部分的にはすでに工具としての使用前に、亀裂形成が生じることがある。
しかしながら、特に、靭性を有する材料の加工が問題となる場合には、比較的容易かつ安価な方法で厚い被膜層を形成するというCVD法の利点を得ることができない。この場合、非常に鋭利な工具切れ刃が形成されなければならず、コーティングによって、厚いCVD被膜層や不整な蒸着被膜層がそうであるように、工具切れ刃半径が大幅に増大してしまう。
さらにもう一つの短所は、工具の切れ刃に、阻止できない切れ刃摩耗を促進してしまう材料スミアリングが生じることである。このスミアリングは被膜層中のTiの反応性と関連していると推定される。つまり、Ti−Al−N被膜層は800℃〜900℃の温度時に表面が分解して、機械的強度の低い脆い表面層が生ずることが観察された。したがって、この材料系の被膜層の化学的耐性または耐酸化性はこれらの温度時には保証されなくなる。経験からすれば、この種のスミアリングは、酸化物被膜層が窒化物被膜層を被膜層表面に対して隔離すれば、劇的に減少する。ただし、これをCVD被膜層系で解決しようとすることは以下の理由から困難である。つまり、第一には、鋭利な切れ刃ジオメトリーを維持することができなくなるので、厚い被膜層を蒸着することができないからであり、第二に、CVD被膜層は通例TiCNとα−Alとから合成され、しかも、これら双方の材料は硬度と靭性の点で優れたAl−Ti−N被膜層に比較して劣っているからである。このことは、被膜層厚さが同等であれば、耐久寿命が低くなってしまうと推定される。そして最後に付け加えると、CVD被膜層系は引っ張り応力の作用下にあり、このことは、少なくとも断続的な切断加工に応用される場合、早期の被膜層破壊を導くことになる。
切削加工が困難な材料たとえばチタンおよびその合金(たとえばマグネシウムとの合金)ならびにニッケル系合金(一部はInconel[登録商標]なる商品名で知られている)の応用分野では、切れ刃半径の小さい、つまり鋭利な刃先ジオメトリーを有する工具(たとえば刃先交換式切削チップ)は現状の技術範囲である。それゆえ、コーティング後にも切れ刃の鋭利さを失わないようにするには、好ましくはPVD(PVD=physical vapor deposition:物理蒸着)法によって形成される薄膜被膜層が必要である。この場合にも、相応した担体保持によって刃先交換式切削チップのすくい面および逃げ面を異なる比率でコーティングすることを可能にするPVDコーティングの指向性が有利に作用することは当然である。この応用には、好ましくは、金属含有率の異なるAl−Ti−Nからなる被膜層が使用される。PVD法によって形成されたこのAl−Ti−N材料は、高い靭性と並び、優れた耐酸化性も具えている。このような摩耗低下被膜層でコーティングされた工具は今日、切削加工が困難な材料の応用分野において工具コーティングの最善の解決法と見なされている。
ただし、この種の応用に関する切削加工パラメーターは、軟鋼および鋳鉄の場合に使用されると著しく異なる。ニッケル系合金の一般的な切断加工速度は、鋼または鋳鉄の場合での毎分数百メートルとは異なり、50m/minおよびそれ以下である。その理由は、切削加工困難な材料に応用する場合に切れ刃にかかる極度の機械的・熱的負荷であるからである。それゆえ、特に熱伝導率の改善を顧慮した工具材料の改善が要望される。熱安定性を顧慮した工具コーティングの改善(高温時の耐酸化性、化学的安定性および機械的強度)は前述した問題の緩和に補助的に寄与することになろう。
したがって、現状技術の短所は、低い切削加工速度により制約される、切削加工困難な材料に対する切削加工時の低い生産効率である。
興味深いPVDコーティング法の一つはターゲットのスパッタリング(sputtering)である。その際、イオンは、ターゲット表面に向けて加速衝突させられ、ターゲットから微小な集塊をたたき出す。この可能性は、たとえば、国際公開公報第2008/148673号(特許文献1)に開示されている。この特許文献1には、1個以上のAlMe合金ターゲットからたたき出される(スパッタされる)スパッタリング法(HIPIMS)が紹介されており、その際、一実施形態において、蒸着された被膜層は2つの酸化物相または(Al1−xMeタイプの混合酸化物またはスピネル(Me)Al3+x(0>x≦1)を含んでいる。ただし、残念ながらこの特許文献1には、何らかの対策によって2つの酸化物相と混合酸化物との選択を行うことができるのかあるいは、被膜層タイプ(Al1−xMeまたはスピネル(Me)Al3+xの選択を的確に行うためにコーティング法はどのように実施されなければならないかは述べられていない。その実施例では(Al1−xMeタイプの酸化物すなわちα−Alの実施可能性を証しているが、その他の構造はいかにして達成可能であるかは不明のままである。とりわけ当業者には、スパッタリング法でターゲットからたたき出された任意の構造の集塊が被コーティング担体上にたとえば的確にスピネル(Me)Al3+xとして蒸着されるようにするには、どのような対策がとられなければならないかという問題が生ずる。
国際公開第第2008/148673号パンフレット
本発明の目的は、基本的にTi−Al−N(またはAl−Ti−N)の優れた硬度および靭性を化学反応ないし酸化に対する高度な熱安定性と一体化して実現する被膜層を提供すると共に、そのために、高温時にも卓越した機械的特性を有する被膜層材料を提供することである。
上記目的は請求項1に記載の特徴によって解決される。
好適な実施形態例は従属請求項に記載されている。
本発明によるコーティング、被膜層または被膜層系は、切削工具に蒸着されて、切削加工プロセス中の当該切削工具の摩耗、化学的摩耗および酸化摩耗の低減を目的の一つとしている。
好ましくは、上記の酸化物含有被膜層または被膜層系は、いわゆる「切削加工困難な材料」の切削加工に使用される工具たとえばチタン合金、高ニッケル含有合金鋼および、材料の硬度と化学的耐性を高める特殊合金を含む若干の種類のステンレス鋼に使用される。
上記の被膜層および被膜層系は触媒目的にも応用可能である。
上記被膜層を構成する固体材料は、酸化物ならびに窒化物のいずれの形であっても類似の結晶構造を有していることが有利であり、好ましくは立方晶構造で結晶し、酸化物は好ましくは少なくとも部分的にスピネル型立方晶構造で結晶するのが好適である。
本発明の好適実施形態の一つは、スピネル型構造を有する酸化物のほかに、さらに、使用されたアークターゲットの固体成分から形成されるその他の酸化物成分も組み込み可能なように上記被膜層が形成されることである。これらの酸化物は、できるかぎり、微結晶構造または非晶質構造を有し、特に高温時の被膜層の機械的特性の向上に寄与するものでなければならない。たとえば、それらの酸化物により、上記被膜層の破壊強さが向上されると共に、酸化物機能層と支持層および付着層ならびに担体(工具)間の膨張率の違いによって生じる機械応力の低減化が実現されなければならない。
本発明によれば、実質的に結晶構造で合成される多層被膜を形成することが可能である。
本発明による被膜層または被膜層系により、耐熱性材料たとえば超硬合金(cemented carbide)、複合材料(cermets)、ダイヤモンド、Sic(炭化ケイ素)、SiN(窒化ケイ素)からなるセラミック、c−BN(立方晶窒化ホウ素)あるいはまた耐熱性に劣る材料たとえばHSS(高速度鋼)またはその他の合金鋼からなる工具のほかに、アルミニウム製部材もコーティング可能でありかつ本発明の利点も得られる。
本発明によれば、上記課題は、スピネル型構造の少なくとも1つのNiAl被膜層を含む一連の被膜層によって解決される。好適な実施形態において、本発明による被膜層は、NiAlのほかに、X線非晶質、コランダム型構造、γ相、κ相またはθ相のグループからなる相のうち少なくともいずれかの相の酸化アルミニウムを含んでいる。さらに別の好適な実施形態において、本発明による被膜層は、スピネル型構造のNiAlならびに、好ましくはX線非晶質相で存在するNiO成分を含んでいる。
本発明のさらに別の特に好適な実施形態において、上記被膜層のXRD測定に際し、少なくとも2つの回折、ただし好ましくは、図11に挙げたNiAlの参照01−077−1877と基本的に一致し、基本的に担体に由来しない3つの回折も測定可能である。これは、好ましくは、2θ=37.0°に際する[311]面の回折、2θ=45.0°に際する[400]面の回折および2θ=59.6°に際する[511]面の回折である。本発明のとりわけ特に好適な実施形態において、20°≦2θ≦90°の角度範囲のX線スペクトルは、担体の回折のほかに、基本的に図11のNiAl参照01−077−1877の回折のみを示す。
さらに別の好適な実施形態において、スピネル型構造のNiAl層に加えてさらに金属酸化物および/または金属窒化物の層を含み、隣接する層間の金属成分比率が相異する多層被膜系が存在する。多層構造によって、靭性は向上する。これにより、もはや基本的に厚さ制限は存在しない。さらに、被膜層系に固有のエネルギーを高めることができ、これによって硬度の増強がもたらされる。本発明によれば、スピネル型構造のNiAlを含む多層被膜系はまた交互に、1以上の付加的な結晶質および非晶質の酸化物相、好ましくは高温変態相を含むこともできる。
本発明のさらに別の実施形態では、格子定数が一定のスピネル型構造のNiAlを含み、被膜層中に存在する非晶質相の割合が段階的および/または連続的に変化する一連の勾配被膜層が実現される。
本願発明者は、本発明による一連の被膜層はアーク蒸着によって経済的に形成可能であることを新しく確認した。アーク蒸着では、いわゆるドロップレットが発生する。これは、ターゲットに由来する、完全には酸化されていないかもしくは完全には窒化されていない金属成分または金属間化合物の塊である。本発明による一連の被膜層の形成(作製)は、このようなドロップレットのフィルタリングなしで済ますことができれば、特に経済的となる。それゆえ、このようなドロップレットを有する被膜層は、アーク蒸着によって形成された被膜層と同一視することができる。したがって、本発明の実施形態の1つでは、スピネル型構造のNiAlを含む一連の被膜層は、アーク蒸着に特有のドロップレットを有している。特に、アーク蒸着によって形成された、スピネル型構造または立方晶構造のNiAlを含み、ドロップレットの大半、好ましくは実質的にはすべてのドロップレットが50at%ニッケル以下の金属成分を有する一連の被膜層が得られる。
以下、図面を参照して、本発明を例示的に説明する。各図の内容は以下に示す通りである。
異なる酸素流量で作製された、ほぼ同一の回折を示す試料1215と1217とのXRDスペクトルの比較を示す図である。 約150nmの厚さのクロム付着層を有するNiAl被膜層を示す試料1216のSEM断面を示す図である。 異なる酸素流量にて、クロム付着層を付して作製された、またもほぼ同一の回折を示す試料1214と1216とのXRDスペクトルの比較を示す図であり、クロム付着層がNiAlのスピネル型構造に影響を及ぼすとの証左は存在しない。 異なる酸素流量にて、クロム付着層を付して作製された、またもほぼ同一の回折を示す試料1214と1216とのXRDスペクトルの比較を示す図であり、分解表示の優れた2θ目盛りは、付着相のクロムピークは担体のWC回折上にも、NiAlの回折上にもないことを示している。 算定された被膜層組成を有する試料1217のRBS(ラザフォード後方散乱)スペクトルを示す図である。 算定された被膜層組成を有する試料1216のRBSスペクトルを示す図である。 算定された被膜層組成を有する試料1215のRBSスペクトルを示す図である。 算定された被膜層組成を有する試料1214のRBSスペクトルを示す図である。 試料1217(NiAl)と合成Ni−Al−N被膜層(試料1231)とのXRDスペクトルの比較を示す図であり、酸化物および窒化物の回折はおおよそ同じ2θ位置にある。 試料1217(NiAl)と合成Ni−Al−N被膜層(試料1231)とのXRDスペクトルの比較を示す図であり、分解表示の優れた2θ目盛りにより、またも、酸化物および窒化物のピークは一致していることが示されている。 Al−Ti−N支持層と本発明によるNi−Al−O機能層とからなる被膜層系のSEM断面撮影像を示す図である。 図11の層間領域の拡大図である。 NiAl(参照01−077−1877)に関する参照データの図表である。 Cr(参照01−089−4055)に関する参照データの図表である。 材料特性値 試料1214のデータ表である。 材料特性値 試料1215のデータ表である。 材料特性値 試料1216のデータ表である。 材料特性値 試料1217のデータ表である。 NiAl材料を含む合成被膜層系の例を示す表であり、付着層として、たとえばCr、CrN、AlCrN、Ni−Al−N、Ni−Cr−N、TiN、ZrNまたはVNも考慮され、支持層として、たとえばTiCNも考慮されている。
本発明は、OC Oerlikon Balzers AG社のInnova型アーク蒸着装置にて行われた一連の実験を基礎としている。コーティングの担体としては、超硬合金(WCベース)および複合材料(サーメット)からなる刃先交換式切削チップが用いられた。アークソースにNi−Alターゲットが装着された。本例においては粉末冶金法で作製されたターゲットが用いられた。ただし、ターゲットのなかにはNiおよびAlの組み合わせも含まれ、その他の方法で作製されたターゲット、たとえば溶融冶金法で作製されたまたはプラズマ溶射で作製されたターゲットもこの方法に使用可能である。さらに、それぞれの付着層または支持層を作製するためあるいは当該固体を機能層への移行部または機能層自体に組み込むために、その他の材料を含むターゲットも用いられた。
酸化物作製のためのアーク蒸着の原理的方法は知られている。したがって、本願明細書では、アーク蒸着の基本原理に関しては大まかに述べるだけとする。
アーク蒸着においては、通例、真空チャンバ内で高電流密度低電圧アーク放電の形のプラズマが材料ソース(以下、ターゲットと称する)の上に発生する。このプロセスに際して、蒸発する材料は陰極として、電圧源の負極に置かれる。アークは、たとえば点弧装置によって着弧される。アークは、電流伝達が集中する1以上の陰極点で、陰極を溶融する。その際、基本的に電子が陰極から引き抜かれる。したがって、アークを維持するには、当該陰極表面に連続的にに電子補給が行われなければならない。アーク放電(または同じ意味でアークとも称される)は陰極表面を移動し、かくて、小さなターゲット表面領域が極めて迅速に加熱され、これによって、材料は局所的に蒸発する。
より詳細な説明については、同一出願人によって提出された特許出願たとえば国際公開公報第2006/099760号、国際公開公報第2006/099759号、国際公開公報第2008/009619号、国際公開公報第2006/099758号または国際公開公報第2008/043606号が参照される。
本発明による酸化物被膜層(機能層)の形成には、ニッケル含有率が10at%〜80at%、好ましくは20at%〜60at%の合成Ni−Alターゲットが使用された。
アーク蒸着中、機能層のための反応ガスとして、純酸素または酸素と窒素とからなる混合気(いずれもアルゴン添加有りでも無しでも可)が用いられた。付着層または支持層と機能層との間の移行部では、ほとんどの場合に、窒素または窒素と酸素とからなる混合気が、またも選択的なアルゴン添加下で、使用された。ガスの選択および添加は、合成される層に関していかなる化学的組成が意図されるかに基づいて定まり、たとえば、窒化物については純窒素が、酸化物については純酸素があるいは、酸窒化物については双方のガスからなる混合気が選択される。PVDコーティング分野の当業者には、その他のアーク蒸着反応ガスの添加も可能である旨知られており、たとえば、炭化物を作製するには炭素含有ガスの一例としてCが、炭窒化物を作製するにはCと窒素とからなる混合気が使用可能である。このような可能性は、とりわけ、付着層および/または支持層の場合に利用される。上述したコーティング系のためのガス流量はガス流量制御器によって制御される。加えて、チャンバ全圧と相関してガスを制御することも可能であり(圧力制御)、この可能性は若干の被膜層形成ケースでも利用された。一般的なチャンバ全圧は0.3Pa〜10Pa、一般的なガス流量は0〜2000sccmであった。
アーク電流は広い範囲で変化した。機能層を蒸着するために60A〜350Aの電流が用いられ、その際、DCならびにパルスアーク電流のいずれもが使用された。好ましいアーク電流の範囲は80A〜200Aである。
−20〜−300Vの担体バイアスをかけられた担体が200℃〜600℃の担体温度範囲でコーティングされた。とりわけ、酸化物被膜層のコーティング中、好ましくは、バイポーラパルス担体バイアスが用いられた。
本来のコーティング工程に先立って、当業者に公知の真空中で行われる予備処理、加熱工程およびエッチング工程、が実施され、すでに真空の外部で浄化された担体が真空中でのさらなる予備処理を施された。
これらの予備処理工程の実施後、本来の機能層蒸着前に行われる一連の層による担体のコーティングが行われる。これらの層は、通例、その後の被膜層またはその後の被膜層パッケージのための中間層または付着層(インターフェース)として機能する層である。この付着層のための一般に公知の材料はAl、Ti、Cr、Zr、Nbであり、これらは金属の形であっても窒化物の形であってもよい。一定の工具(担体)に関する若干のケースにおいて、付着を改善するために、これらの層は、本発明の実施形態の1つにおいて、Niおよび/またはCoを含有していてよい。これらの材料およびそれらの窒化物の組み合わせも多くのケースにおいて被膜層付着の改善を結果する。一例としてNi−Cr、Ni−Al、Al−Ni−Cr、Zrおよびそれらの窒化物を挙げるが、このような枚挙は制限的なものとして理解されてはならない。
中間層または付着層の被着後に、用途に応じ、その他の層を本来の機能層蒸着前に被着するのが好都合なことがある。これらの層は、たとえば、適合した機能層移行部をつくり出すのに好適である。ただし、これらはまた被膜層パッケージ全体の耐摩耗性を高めることもでき、したがって、それ自体機能的な意義を有することがある。当業者に公知のものとして、以下の元素つまりAl、Ti、Cr、ZrおよびNbからなる窒化物および炭窒化物、それらの元素のそれぞれ2つからなる窒化物および炭窒化物(たとえば、AlTiNまたはAlCrN)が判明している。これらの層がNiおよび/またはCoも含んでいれば、特に有利であることが判明した。
付着層および/または支持層のコーティングのために、上述した金属からなる金属元素ターゲットまたは、2つ以上の元素の混合物から、たとえば、粉末冶金法により、または、合金としてまたは、金属間化合物として、あるいはプラズマ溶射法により作製される合成ターゲットが用いられる。
最後に、付着層と支持層とでコーティングされた担体への本来の機能層のコーティングが行われる。その際、付着層または支持層から機能層への移行は連続的移行あるいは急激な移行として形成されてよい。連続的な移行は、たとえば、付着層または支持層のために必要とされたターゲットが同じく、なおしばらくの間、機能層のターゲットと共に継続使用され、こうして、移行部に混合層が形成されることによって達成可能である。混合層形成ないし段階的移行をつくり出すもう一つの可能性はガス流量を傾斜変化させることである。付着層または支持層のために窒化物層が蒸着された場合、機能層のターゲットは当初は窒素中で使用され、次いで、窒素は徐々にまたは急激にたとえば酸素によって置換され、窒化物から酸窒化物へ、続いて、純酸化物への移行が行われる。
機能層の第1の好ましい実施形態としてNi−Al−酸化物被膜層が蒸着される。コーティングのために、30at%のニッケルと70at%のAlとからなる混合物によるNi−Al混合ターゲットが用いられ、ターゲット材料の蒸発は純酸素雰囲気中で行われる。その際、酸素流量はすでに上述した範囲内で選択される。ターゲットはまたも、粉末冶金法により、または、合金として、または、金属間化合物として、あるいはプラズマ溶射法により作製されていてよい。本実験では、粉末冶金法によって作製されたターゲットが用いられた。ここで、ニッケルは磁性を有することを考慮する必要がある。これはターゲット上でのアークの望ましくない振る舞いを導くことがある。実際にはこのようなことはこれまでのところ観察されなかったが、それは酸素または窒素の添加によってアーク放電に安定化作用がもたらされるからである。特に重大なケースにおいては、アークのパルス駆動によってこのような安定化をさらに高めることができる。
この合成の結果として、驚くべきことに、X線スペクトルからは立方晶構造が示唆され、データベースを用いた比較において、疑いもなく、化合物NiAlに帰属させることになる酸化物被膜層が得られる。この結果は、特に、その他の酸化物のブラッグ回折が見出されず、なんらかのアルミニウム酸化物の回折もニッケル酸化物の回折も見出されなかったことからしても、極めて新規なことである。
この場合、当業者には、α−Alは約1000℃にて形成されるが、他方、NiAlは1300℃以上のより高い温度にて初めて有用な割合で生ずることが知られている。したがって、Alのコランダム相はNiAlのスピネル相よりも早く形成されると予測される。
この一連のNi−Al−酸化物被膜層が形成され、それらの解析が実施された。図1には、異なる酸素流量で形成されたNi−Al−酸化物被膜層のXRDスペクトルが示されている。散乱されたX線の強度については、担体とコーティングされた担体とを区別しやすくするために、対数表示が採用されている。無コーティングWC担体(刃先交換式切削チップ)のXRDスペクトルは明白なノイズのある線であることが認められる。これとの比較として、コーティングされた担体のXRDスペクトルが丸および三角印で表されている。試料1215の測定点は三角印で表示され、試料1217の測定値は丸印で表示されている。さらに、XRDデータバンクから、比較として、NiAlスペクトル(01−077−1877、図13)が上方からのバー(黒線)の形で図中に挿入された。この場合、バーの長さは参照試料のX線回折の相互相対強度を反映している。コーティングされた双方の担体のX線スペクトルのすべての回折は互いに対応させることができる。参照データには、被測定スペクトル中で支配的な(311)、(400)および(511)回折を問題なく対応させることができる。これらの支配的な回折に加えて、さらに、回折(331)および(422)ならびに、強度の低い(531)および(422)の存在も認められる。(220)、(440)および(444)回折については、担体回折とのオーバーラップが生ずる。したがって、XRD解析によれば、反応性アーク蒸着によって、立方晶構造(Fd−3m)またはスピネル型構造を有するNiAlからなる結晶層が合成可能なことが明らかである。この合成は本実施形態において550℃の担体温度にて行われた。この担体温度は熱平衡中のこの化合物の形成温度を著しく下回っている。
図1に示した被膜層は異なる反応ガス流量で合成され、ただし、付着層なしで直接WC担体に蒸着された。すでに上述したように、図1はいくつかの担体回折と被膜層回折とのオーバーラップを示している。そこで、被膜層がスピネル型構造で合成可能であったのは、担体のこうした「核形成支援」が生ずるからであるという想定をほぼ排除するために、双方のコーティングは、その他の点では同一のプロセスにて、ただし厚さ約150nmの付加的なクロム付着層を付して形成された。試料1214は再び300sccmの酸素流量にて、試料1216は再び800sccmの酸素流量にて形成された。図2には、試料1216の破断面のSEM撮影像が示されており、薄い付着層が認められる。これらの被膜層のXRD解析の結果は図3に示されている。クロムについては、XRDデータバンクから再び、Im−3m(体心立方)構造を有する参照スペクトル(01−089−4055、図14)が選択された。このスペクトルからは、予測された通り、スペクトル中のクロム付着層に由来する付加的なピークが説明される。参照データのクロムピークはグレーのバーとして表されている。Ni−Al−O被膜層が約2μmという僅かな厚さを有していれば、Crはより測定しやすくなる。Crの(211)ピークは担体ピークとのオーバーラップを示していない。(110)ピークは、図4で行われているように、2θ(シータ)の目盛りの分解表示が優れていれば、良好に分離することができる。このように分解表示が優れていれば、担体ピークと(110)Crピークおよび(400)NiAlピークとが明白に分離しているが認められる。ただし、Crの(200)ピークはまたも担体ピークとのオーバーラップを示している。図1および図3の比較が示しているように、1214〜1217のすべての試料につき、測定されたNiAlの被膜層ピークは実際に同じ2θ値で見出されることから、Ni−Al−O機能層の蒸着前における付着層の有無にかかわらず、NiAlが形成されることになり、したがって、核形成層は不要であると推論することができる。
300sccmおよび800sccmの酸素流量で形成された被膜層の化学的組成も解析された。この解析はEDX(エネルギー分散型X線)およびRBS(ラザフォード後方散乱)測定によって行われた。金属組成についてはEDXとRBS解析とに重大な相違は認められなかったため、ここでは、RBS測定のみを論ずることとするが、それはこの測定が酸素含有量に関する量的に優れた解明を可能にすると共に、質的にも被膜層表面近傍における金属のデプスプロファイルを与えるからである。
図5には、試料1217のRBSスペクトルが示されている。解析の結果、Ni0.58Al1.422.7という組成が明らかとなった。ニッケルを基準とする場合には、NiAl2.454.66となる。これは一見したところXRD解析と矛盾するように思われる。なぜなら、XRD解析では、スピネル型構造のピークは化学量論的NiAlに一義的に対応させることが可能であったからである。この事態は、NiAlのほかにさらに別の酸化物材料が形成されるとのことによって説明される。ターゲット組成に基づけば、当然、酸化アルミニウムが容易に考えられる。したがって、化学量論的スピネルが形成され、差が形成されると想定すれば、Al0.450.66または、基準を別にすれば、Al2.94が得られるが、これは許容誤差の範囲内で化学量論的酸化アルミニウムに一致している。予想通り、試料1216(図6)に関して同一の組成が得られるが、それはこれがまさしく、Cr付着層まで含めて、酸化物機能層のための同一蒸着プロセスで形成されたからである。
ただし、低い酸素流量にて作製された試料1215(図7)および1214(図8)については別の結果が得られる。双方の試料に関してはNi0.5Al1.52.7の組成が結果するが、これは、Niを基準にすれば、NiAl5.4の組成に等しい。これは、AlO1.4または、同じ意味であるが、Al2.8を付加的に含有する、したがって、またも層中に酸化アルミニウムを付加的に含有するNiAlからなる被膜層を示唆している。
これらの測定結果は以下の結論を裏付けている。第一に、NiAlスピネルのほかに、ターゲット中に付加的に存在する材料は酸化物に転換される。ただし、結晶構造を決定するのはスピネルであり、酸化アルミニウムはX線非晶質で存在している。つまり、晶子サイズは小さすぎてX線回折での回折には至らない。これらの層につき電子回折は実施されなかったとはいえ、このような解析は5nm前後もしくは高温相でそれ以下の晶子サイズを有する微結晶Al(α、θ、γ、κ)を示すと予想される。
第二の驚くべき結論は、合成層中の金属成分の比の依存性に関するものである。300sccmの酸素流量にて形成された層(試料1214および1215)についてはAl/Ni比3.0が(しかも表面近傍領域で)測定されたが、他方、800sccmの酸素流量にて形成された層(試料1216および1217)についてはAl/Ni比2.5が得られる。これは、層中のターゲット成分NiおよびAlの濃度は酸素流量を介して制御可能であることを意味している(金属成分のターゲット濃度が同じであれば!)。複数時間にわたるアーク運転後にターゲット表面が依然として「平衡」していなかった(つまり、粉末冶金法によって作製されたターゲットの表面がまだコンディショニングされていなかった)という可能性は、反応性アーク蒸着によるその他のコーティングプロセスから得られた経験によって排除することができる。SEMにて弾性後方散乱された電子によって撮影されたターゲット表面もこのことを示している。
上述した一連の実験から判断すれば、酸素はとりわけNiAlスピネルのために消費され、与えられた酸素の「残り」から酸化アルミニウムが形成される。酸素流量がさらに1200sccmに引き上げられたことにより、実際、ターゲットに一致する化学量論的な層形成が生じたが、これは本ケースにおいてNiAlであった。ターゲット成分の比が酸素流量を介し、層に関して、このような影響を及ぼすに至る理由は正確に解明することはできなかった。
ニッケル含有率の高い(たとえば50at%以上の)ターゲットについては、NiAlスピネルのほかに、酸化ニッケルが形成され、酸化アルミニウムは形成されないことが証明された。この場合にもまた、酸素流量によるAl/Ni比の影響が観察された。
これは、同じターゲット組成にて、酸素流量を制御することにより、ターゲット中に存在する金属成分の比がさまざまに異なる被膜層、とりわけ、そうした混合酸化物被膜層を形成可能となる点で、進歩性を有すると認められる。
上述された結果から、NiAl層の合成に際し、酸素流量を広い範囲で調整できることがいかに重要であるか明らかである。それゆえ、反応性アーク蒸着法は、原理的に被膜層合成にも使用可能であるとはいえ、方法上の制約から、プロセス安定性とはほぼ無関係に酸素流量を調整することができない反応性スパッタリング法に比較して、非常に大きな利点を与える。スパッタ運転では、酸素ガス中での作製時に、ターゲット汚染を回避する狭いプロセスウィンドウしか存在しないことは当業者には公知である。純酸素中での高い酸素流量ないし酸素分圧でのアークソースの運転は、ターゲット表面のコンディショニングプロセスにも影響を及ぼす。これは、粉末冶金法で作製される混合ターゲットの場合に、特に重要である。アークの発生後、ターゲット表面で成分元素が金属間化合物または混晶に転換されることを示唆するターゲット表面の顕著な変化が生ずることになる。それゆえ、このプロセスが被膜層合成にとって望ましいかまたは望ましくないかに応じて、担体への被膜層造成を回避するため、または被膜層造成に際してコンディショニング像(場合により核形成層)を達成するため、ターゲットの当初使用に際してターゲットカバーを与えてもしくは与えなくても運転が行われる。
NiAlスピネル型構造を有する酸化物被膜層の温度安定性は、それらが1100℃までの温度サイクルにさらされ、このような条件下でX線スペクトルの安定性が観察されることによって吟味された。その際、スピネルの結晶構造の変化を示唆するスペクトルの重大な変化はなんら生じなかった。1000℃以上の温度時に、WC超硬合金刃先交換式切削チップからの材料の拡散現象が生じたにすぎず、たとえば、Co結合剤の拡散がRBS解析に基づいて観察され得た。
担体または付着層もしくは支持層に対するNi−Al−酸化物被膜層の結合の品位は、コーティングされた工具または部材の性能にとって決定的な意義をもつ。経験上、類似した材料からなる層移行部は特に良好な結合をつくり出すことを基本とすることができる。ただし、結晶構造および格子定数の類似した材料は構造の異なる材料よりも緊密な付着を示すことも判明している。そのため、NiAl層を特に良好にWC担体に結合すべく、NiAl酸化物機能層に必要とされたのと同一のターゲットを用いてNi−Al−N層の形成が試みられた。したがって、Ni−Alターゲットが(流量制御もしくは圧力制御された)窒素ガス流中で用いられた。このようにして形成された被膜層につきX線スペクトルが取得された。図9は、試料1217のXRD測定と比較したこの被膜層のXRD測定結果を示している。図中には、さらにまたも、WC担体のX線スペクトルが挙げられており、バーはまたもNiAl参照スペクトルを示している。Ni−Al−N被膜層についてはデータバンク中に参照スペクトルを見出すことができなかったが、このことはこの化合物がこれまで合成も研究調査も行われていなかったことを示唆している。比較により、酸化物および窒化物の若干のピーク、つまり、(311)、(400)および(511)ピーク(酸化物参照)、はほぼ同じ位置にあることが判明する。これは、2θ軸が拡大された図10によってより鮮明に表されている。この測定結果は類似の結晶構造を示唆しており、かつ、結晶構造に大きな変化を招来することなく、窒素は酸素により、また逆に酸素は窒素により徐々に置換されること、つまり、Ni−Al−NはNiAlと同様に立方晶構造で存在していることを推定させるものである。したがって、一連の実験において、Ni−Al−NとNi−Al−Oの間にはなんらの付着問題も観察されず、付着の量定を目的として実施されたスクラッチテストも平均以上に優れた付着が示された。
ただし、材料が異なっていても、他方の材料が立方晶構造を有している場合には、先に蒸着された層に対するNi−Al−酸化物の優れた付着が観察された。これは、特に、Ti0.5Al0.5N、Ti0.4Al0.6NならびにTi0.34Al0.66Nに対する結合について観察されたが、このことは、材料が主として立方晶構造を有している限り、広い範囲の異なるTi/Al比にも当てはまると推定される。
図11には、一例として、Al−Ti−N支持層と本発明によるNi−Al−O機能層とからなる被膜層系のSEM断面撮影像が表されている。層間領域の拡大図(図12)は、窒化物と酸化の間の移行部を明らかにしており、層の形態に急激な変化が生じていないことを示している。これは良好な付着を示唆するものである。図11はまた、アーク蒸着の場合に特有の、特に多成分ターゲットを用いる場合に現れるサブミクロンレベルのドロップレットも示している。これらのドロップレットの核は、特に、多成分ターゲットの高融点成分の金属を含んでいる。撮影像のうちには、酸化物コーティングの開始前に生成され、卓越したプロセス制御時には大幅に減少させることのできる、より大きなスパッタも認められる。それらの数と大きさはさまざまな方法で低減させることができる(たとえば、ソースが閉じている際のコーティング前のターゲットコンディショニングにおけるソースカバーの利用によるあるいは窒化物コーティング中の「酸化物」ターゲットのカバーによる)。ただし、このようなスパッタはアーク蒸発に際し、担体が直接ソースに曝露され、コストのかかるフィルターが使用されない場合には、まったく回避不能である。
立方晶構造を有する支持層のその他の例は、TiN、CrN、TiCNおよびAlCrNであるが、ここで列挙されたものは制限的なものと見なされてはならない。特に好適なのは、図13にNiAl0につき挙げられているa=8.049という格子定数の複数倍または複数分の一に達する材料への適合化である。この場合、この格子定数は層を形成する元素の濃度を変化させることによって「微細適合化」可能であり、あるいは、一定の層厚さを経て「ミスマッチ」にて(すなわち、重ね合わされる層の格子定数に僅かな差を生じて)結合も可能であることは当業者にはよく知られている。その際、被膜層系に取り込まれた応力は部分的に多層設計を経て、層剥離が生じないように制御可能である。
それゆえ、被膜層の性能にとっては、プロセス制御によって多層構造による被膜層のシンプルかつ確実な形成が可能となると好都合である。反応性アーク蒸着により、極めて多様な方法で多層構造を作製することができる。第1の方法の基本は、装置内で異なる材料のターゲットを交互にまたは同時にずらして使用する点にある。さらに、反応ガスを変化させることが可能であり、その結果、たとえば酸素流量または窒素流量あるいはそれらの圧力を変化させることができる。この場合、特に有利なのは、さまざまな材料中にも、材料と反応ガスとの反応生成物中にも、等しく立方晶構造を形成する材料である。
さらにもう一つの興味深い多層作製方法の基本は、同一の金属成分(ここでは、Ni−Al)からなるが、それらの構成比が相異するターゲットを使用することである。このターゲットももちろん、交互にあるいはまた同時に、異なる反応ガスで使用可能である。これによって得られる結果は、同一材料系であるが、層内のターゲット成分比(Ni/Al比)が相異しかつ相応した反応ガス成分を有する多層被膜である。また、ターゲット成分の比が相異するほか、さらに異なる反応ガスによって作製され重ね合わされる多層構造設計も可能である。
同一のターゲットが酸素流量を変化させるだけで使用され、その作製に基本的に(無論それを行うこともできるが)担体回転も必要としない多層構造の作製は、新規性を有する。すでに上述したように、酸素流量と共にNi/Al比も変化するが、これによって多層構造が生まれる。
上記の方法で作製された一連の層に関して、それらの機械的特性についてテストされた。ここでは、すべてのテスト結果に立ち入って論ずることができないことは言うまでもない。例として、ここでもまた、最大検査力時のマルテンス硬さ(HM)、押込み弾性率(EIT/1−v )、塑性変形率(nplast)、最大検査力時の押込み硬さ(HIT)、ビッカース硬度(HV)が測定された試料1214〜1217の結果のみを示すこととする。これらの結果は図15〜18に示されている。これらの層は、300sccmの低い酸素流量で作製された試料については約3200、800sccmの高い酸素流量で作製された試料については約3000という優れたビッカース硬度を示している。押込み弾性率は他のPVD酸化物被膜層に比較して高く、これはAl−Tiベースの若干の窒化物に特有のものである。比較として、コランダム標準試料の硬度測定も実施されたが、それによれば、ビッカース硬度Hは2500〜2700であった。したがって、これらの硬度値は本発明によるスピネル層の硬度値以下となっている。
層材料、層設計および形成方法に関する可能性を明らかにするために、図19に示したさまざまな被膜層系が形成された。変異の可能性は大きく、考えられ得るすべての被膜層系が図19で示されているわけではない。ほぼすべての付着層はほぼすべての支持層材料と組み合わせることができる。ただし、異なる材料のターゲットの数ができるだけ少数に抑えられるように、つまり、すべての層が一つのターゲット材料で、または、少なくとも付着層および支持層が一つの材料で、または、支持層および機能層が一つのターゲット材料でコーティングされるよう被膜層系全体を設計するのが経済的に好適である。層厚さは、広範囲にわたって変化し得るため、図19のうちに個別に挙げることはなかった。さまざまな層に関する一般的な厚さ範囲は以下の通りである:
− 付着層: 0.05μm〜2μm
− 支持層: 1μm〜15μm
− 機能層: 1μm〜15μm
担体バイアスを経て層内の応力を変化させることができ、しかも、担体バイアスが高ければ、硬度測定時により大きな値をもたらす圧縮応力が生み出されるが、それは層厚さが10μm以上の場合に付着問題を招来し得ることも、同じく、詳細には触れられなかった。
一連の層の高い硬度と、これらの層が高温安定性スピネル型構造を形成するとの事実によって鼓舞され、切削加工困難な材料たとえばオーステナイト特殊鋼およびニッケル系合金、チタンおよびチタン合金での切削加工テストが行われた。一例として、ニッケル系合金(Ni−Cr−Mo)の切削加工にやや詳しく立ち入ることとする。平滑な表面を有する良好に研磨された刃先交換式切削チップで外周旋盤テスト[Aussenlaengsdrehtest]が実施され、無コーティングの刃先交換式切削チップと、メーカーによって標準コーティングされた(Al−Ti−Nベース)刃先交換式切削チップと、本発明による層でコーティングされた刃先交換式切削チップとの比較が行われた。ここで、一例として、NiAl機能層を有するTi0.34Al0.66Nからなる支持層を取り上げることにする。
逃げ面に付された3μmの層厚さ(2μm支持層、1μm機能層)のコーティングが比較され、コーティングされた刃先交換式切削チップの耐用寿命比較のための損壊基準として、それ以前に工具がすでに破損されていなかったという条件において、300nmの摩耗が選択された。刃先交換式切削チップは、v=30、60および90m/minの切断加工速度にて、送り0.2mm/U[rotation]および切断深度2mmにて使用された。冷却剤は使用された。結果からは、予測されたとおり、30m/minにつき、無コーティングのチップに比較してメーカーによりコーティングされたチップの耐用寿命が25%向上していることが示めされた。60m/minでは、無コーティングの工具の切れ刃は不安定となった。本発明による層の付された工具は、30m/minの場合、無コーティングの工具に比較して約50%の寿命向上を示し、60m/minの場合、コーティングされた工具に比較して20%の寿命向上を示した。90m/minの場合にも、メーカーによりコーティングされた工具に比較して、摩耗に際する本発明による被膜層による切れ刃の安定化を示唆する明らかに質的な差が確認された。この範囲においては、無コーティングの工具は完全に破損していた。
この硬質にしてかつ高温安定性を有するコーティングの工具コーティング以外のその他の応用の可能性についてもさらにテストが行われた。その際、これらの酸化物被膜層は低温でも形成可能であり、したがって、通常の鋼にも、温度感受性を有する鋼にもこの硬質かつ耐酸化性を有する被膜層を付することができることが好ましい結果をもたらした。たとえば、高温時に高い摩耗に曝されるエンジン分野の部材および部品たとえばピストン表面、ピストンリングおよび、ターボチャージャー分野の部品および排気分野のその他の部品にコーティングが施された。また、航空機製造のタービン分野における高温ガス腐食の防止、保護にも好適である。
この被膜層のもう一つの応用として触媒としての応用が期待される。たとえばゾルゲル技法で作製可能なNi−Al−Oセラミックについては、それが触媒効果を有しており、したがって、たとえば温室効果ガスを無害にすることが知られている。それゆえ、一般にニッケルは、ニッケルがアルミニウム上に被着され空気で加熱されることによって、酸化アルミニウム母材に組み込まれる。したがって、その比率を調整することのできる酸化アルミニウムを有する本発明によるNiAl層を使用することは触媒に有利である。これは、高温工程なしで、しかも1回のプロセス工程で双方の材料を作製可能なコーティング法を通じて初めて可能である。
本発明の好適な実施例:
上述したように、本発明は(反応性アーク蒸着により)、スピネル型構造の立方晶NiAlを(サブミクロンレベルのドロップレットと共に)含む一連の層の形成を可能にする。
この被膜層は、スピネル型構造の立方晶NiAlからなる層成分に加えてさらに、酸化アルミニウムの高温変態種の少なくともいずれか一つ(詳細にはα型、γ型、θ型、κ型構造の酸化アルミニウム)からなるその他の酸化アルミニウム成分を有することができる。
この被膜層は、スピネル層成分の立方晶NiAlのほか、さまざまな晶子サイズの立方晶Ni−O成分を含有するように合成される。好ましくは、この被膜層は基本的に、スピネル成分の立方晶NiAlのみからなっていてもよい。
この被膜層は高温安定性を特徴としており、つまり、スピネルに通例の、窒化物の場合ほど速やかにレベルの低下することのない、高い硬度を有することを特徴としている。本発明による被膜層の立方晶NiAlスピネル型構造は、1000℃以上の温度時にも維持される。
立方晶NiAl被膜層は、とりわけ、立方晶下地層とくにTiN、Ti−Al−NおよびTiCN、ZrN、Zr−Al−N、ZrCNとの組み合わせにより、安定した層移行を保証し、これが卓越した被膜層付着に寄与する。
Ni−Al−Oからなる本発明による被膜層のほかに、測定されたXRDスペクトルからしてスピネルに非常に類似した格子定数の立方晶構造を有するさらに別の新たなNi−A−N被膜層系が反応性アーク蒸着によって初めて合成された。この事実から、Ni−Al−N層とNi−Al−O層相互の「材料適合化された」結合ならびに「格子定数適合化された」結合のいずれも可能である。
Ni−Al−O被膜層と異質材料層との層結合は、それらが同じく、Ni−Al−Oスピネルの格子定数の基本的に整数部または整数倍の格子定数の、立方晶構造たとえばAl−Ti−Nを有していれば、特に良好に形成される。
本発明によるNi−Al−Oからなる被膜層は、Hv2300、好ましくはHv2500以上、より好ましくはHv2700以上の高い硬度を有する。Ni−Al−Oスピネル層の機械的強度は高温構造の酸化アルミニウムの組み入れによるまたはNi−Oの組み入れにより、特に靭性の点で、さらに改善可能である。
その際、NiAlのほかに層中に組み込まれた第2の酸化物は、好ましくは、非常に異なる晶子サイズ、好ましくはスピネルのそれよりも小さな晶子サイズ、より好ましくはX線非晶質構造を有する。
NiAlならびにNiOからなる被膜層は特に化学的に安定であることが判明したが、この場合、双方の酸化物は立方晶構造で存在している。
上述したように、窒化物から酸化物への移行は同一のターゲット材料で行うことができる。
これは酸素流量または酸素圧力を変化させることによる1つのターゲット材料による多層被膜の形成であり、驚くべきことに多層構造中のNi/Al比の変化を結果する。
本発明による方法は、窒素−酸素流量を変化させることにより、総じて立方晶構造のNi−Al含有多層被膜の形成を可能にする。
本発明による方法は特にスピネル型構造のNiAl層の形成を可能とし、その際、酸素流量を介して酸化アルミニウムと酸化ニッケルの割合を制御することができる。
〔ターゲット〕
本発明の方法によれば、ターゲットは、プラズマ溶射法による単相Ni−Alターゲットから出発して、その表面が複数の金属間化合物または以下の種類:AlNi、AlNi、AlNi、AlNi、AlNiの混晶を有するターゲットにまで及ぶ。その際に重要なのは、いかなるコンディショニングのターゲットが出発点とされるかである。特に、ターゲットをシャッターの背後でさまざまな酸素流量でコンディショニングすることができる。これは、たとえば、被膜層の不均一性を回避するためである。
本発明は、とりわけ、以下に応用、使用することで利点が得られる:
− 切削工具、なかでも特に好ましいのは、WCおよびサーメット、セラミック、ダイヤモンドおよびCr含有担体たとえばHSSへの摩耗防止層としての使用、および切削加工困難な材料分野に応用することができる。
− 担体と機能層との間に立方晶CrN層を支持層として設けることができる。
− 本発明による被膜層を高温防食層として内燃機関および排気系またはタービン羽根に使用することができる。
最後に、本発明による被膜層はコランダムよりも硬質であり、かつ、少なくとも多層被膜タイプでは、通例のPVD酸化物よりも弾性に富み、格子適合化が可能であり、たとえば、高温変態酸化アルミニウム構造中へのNiAl立方晶構造の組み入れを行うことができることを、ここで指摘しておく。
酸素または窒素あるいはその両方と少なくとも2つの金属材料との少なくとも1つの化合物を含み、該化合物は少なくとも部分的にスピネル型構造で存在していることを特徴とするコーティングが提示された。
上記コーティングは、上記化合物を有する成分の内部圧縮応力0.2GPa〜5GPaを有することができる。このようにして上記コーティングの安定性は高められる。
好ましくは、少なくとも上記2金属材料の一方はニッケルおよび/またはアルミニウムである。ニッケルおよびアルミニウムの場合、XRDスペクトルは、場合により、311、400回折および好ましくは511回折も示す。
上記化合物はNiAlであってよく、上記コーティングのその他の成分はX線非晶質相で存在していてよい。場合により、X線非晶質相で存在するその他の成分は、酸化アルミニウムまたは酸化ニッケルあるいはその両方を含んでいてよく、その際、場合により、酸化アルミニウムは好ましくはコランダム型構造またはγ相あるいはその両方で存在する。
このようなコーティングは互いに重なり合った多数の層を含んでいてよく、これら一連の層は基本的に同一の金属化学元素を、ただし異なる金属比率で、有することになる。特に、これら一連の層は、基本的に同一の化学元素を有するようにするとよい。
上記コーティングは、アーク蒸着に特有のドロップレットを有するように構成するとよい。
好ましくは、Al−Ti−N、Ti−C−N、Ti−N、Cr−Nまたはそれらの混合物のグループのいずれかに由来する立方晶支持層が含まれているとよい。
ターゲットとして、10at%〜80at%、好ましくは、20at%〜60at%のニッケルを有する合金ターゲットが使用され、反応ガスとして酸素または窒素あるいはその両方が使用されることを特徴とするアーク蒸着による担体コーティング法が開示された。この合金ターゲットはアルミニウムを有するように構成するとよい。
本発明によれば、好ましくは300sccm〜800sccmの酸素流量により、コーティング中にAl/Ni比を変化させることができる。
コーティングされる当該担体の表面は鋼とくにCr含有鋼たとえばHSSを含むことを特徴とする被コーティング担体とりわけ工具または部材が開示された。コーティングされた担体は刃先交換式切削チップに適用すると好都合である。

Claims (15)

  1. 合物NiAl 少なくとも部分的にスピネル型構造で含まれているコーティングであって、前記コーティングのうち、化合物NiAl 以外の成分X線非晶質相で存在していることを特徴とするコーティング。
  2. 前記化合物NiAl を有する前記コーティング成分の内部圧縮応力は0.2GPa〜5GPaであることを特徴とする請求項1に記載のコーティング。
  3. XRDスペクトルは311、400回折を示すことを特徴とする請求項に記載のコーティング。
  4. XRDスペクトルはさらに511回折を示すことを特徴とする請求項3に記載のコーティング。
  5. X線非晶質相で存在する前記化合物NiAl 以外の成分は酸化アルミニウムまたは酸化ニッケルあるいはその両方を含み、酸化アルミニウムはコランダム型構造またはγ相あるいはその両方で存在していることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のコーティング。
  6. 前記コーティングは互いに重なり合った多数の層から形成され、これら一連の層は同一の金属化学元素を異なる金属比率で有することを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のコーティング。
  7. 前記一連の層は同一の化学元素を有することを特徴とする請求項に記載のコーティング。
  8. 前記コーティングはアーク蒸着に特有のドロップレットを有することを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のコーティング。
  9. 前記コーティングはAl−Ti−N、Ti−C−N、Ti−N、Cr−N及びそれらの混合物からなるグループのいずれかに由来する立方晶支持層を含むことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のコーティング。
  10. 請求項7に記載のコーティングを形成するために、1成分としてアルミニウムを含有する合金ターゲット使用ることを特徴とするアーク蒸着による担体コーティング法。
  11. 00sccm〜800sccmの酸素流量により、請求項またはに記載のコーティングの形成中にAl/Ni比変化させることを特徴とする請求項10に記載のアーク蒸着による担体コーティング法。
  12. 工具または構成要素としてのコーティングされた担体であって、コーティングが施される当該担体の表面は鋼であって、請求項1〜のいずれか1項に記載のコーティングが形成されていることを特徴とするコーティングされた担体。
  13. 前記鋼はCrを含有していることを特徴とする請求項12に記載のコーティングされた担体。
  14. 前記鋼は高速度鋼であることを特徴とする請求項12または13に記載のコーティングされた担体。
  15. 請求項に記載のコーティングが形成された刃先交換式切削チップである、請求項12〜14のいずれか1項に記載のコーティングされた担体
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