JP5771454B2 - ナス科植物の高温障害抑制剤 - Google Patents

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Description

本発明はナス科植物の高温時における着果不良又は果実の肥大不良等の高温障害の抑制剤に関する。
トマトに代表されるナス科植物は、高温での栽培による生育停滞や、花粉稔性の低下による着果不良、果実の肥大不良といった高温障害が起こることが知られており、それを防ぐため、十分な換気や日中特に高温になる時間帯には遮光を行うなどの対策が採られている。
しかしながら、このような抑制栽培ではやや若苗を定植する必要があり、根群発達の促進のために適度な潅水を行って対応しても、果実負担によって草勢が急激に低下しやすくなるというような問題がある。
そのような状況下、トマトの高温時の着果不良又は果実の肥大不良を解決する方法として、着果促進剤である4−CPA(パラクロロフェノキシ酢酸)で処理する方法、さらに、4−CPAとジベレリン生合成阻害剤とを併用する方法(非特許文献1)、等が開発された。
しかしながら、上記の4−CPAの単独使用では効果が不十分であり、ジベレリン生合成阻害剤との併用では2剤の化学的特性を勘案した施用量の制限や管理、作物の収量を安定して増加させるにあたり施用条件の厳密な設定が難しいといった問題があり、さらに使用しやすく効果の高い高温障害抑制剤が求められている。
一方、5−アミノレブリン酸、その誘導体又はそれらの塩は、光合成活性の向上、CO2吸収能力向上呼吸抑制作用、クロロフィル含量向上作用、さらに優れた成長促進作用を示し、その結果発根促進、倒伏防止、収量向上、耐寒性向上、鮮度保持、緑色向上、緑色保持、健苗育成、器官の成長促進、分けつ数の増加、生育に要する期間の短縮、薬害軽減や挿し木等における活着向上効果に優れている(特許文献1)ことが知られている。また、30ppm以上の高濃度の5−アミノレブリン酸塩酸塩処理は夏期のホウレンソウ等の葉菜類の生育停滞という高温障害を抑制することが知られているものの(非特許文献2)、それより低濃度における5−アミノレブリン酸塩酸塩処理がナス科植物の高温障害に与える効果は知られていない。また、バラ科であるイチゴの高温時の着果率、奇形果への影響が調べられているが、着果不良抑制、奇形果低減といった効果は確認されていない(非特許文献3)。
特開平4−338305号公報
平成14年度 東北農業研究成果 生育調節物質を用いたトマトの高温による着果不良の低減(http://tohoku.naro.affrc.go.jp/seika/jyouhou/H14/to049.html) 農業生産管理学会誌 (2000) Vol:7(別1) P.9-10 園芸学会雑誌 別冊2009 Vol:75 No.1 P.353
従って、本発明の目的は、ナス科植物の高温障害抑制剤を提供することを目的とする。
本発明者は、かかる現状に鑑み鋭意研究を行ったところ、イチゴでは効果が見られなかった5−アミノレブリン酸、その誘導体又はその塩が、意外にもナス科植物の高温障害を抑制することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)
21NCH2COCH2CH2COR3 (1)
[式中、R1及びR2は各々独立に、水素原子、アルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリール基又はアラルキル基を示し;R3はヒドロキシ基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基又はアミノ基を示す。]
で表される5−アミノレブリン酸、その誘導体又はそれらの塩を有効成分とする、ナス科植物の高温障害抑制剤を提供するものである。
本発明によれば、ナス科植物の、高温での栽培による生育停滞や、花粉稔性の低下による着果不良、果実の肥大不良といった高温障害を抑制することができる。
ナス科植物の着果不良又は果実肥大不良抑制効果は、5−アミノレブリン酸の効果として既に知られている成長促進、果実肥大、着果促進とは異なり、高温障害による着果不良又は果実肥大不良を抑制する効果である。例を挙げると、これはすなわち、トマトであれば本来1花房当たり最大着果数が7とした場合、高温の為に着果数が2〜3つに減少し、また、高温による生育阻害の為に肥大が行われなくなるという現象に対し、5−アミノレブリン酸を処理することにより、高温による着果数の減少、肥大不良を抑えられることを意味する。
適正温度で栽培されたトマトに対する5−アミノレブリン酸の効果を示す図である。 昼間栽培温度と1果平均重量の関係を示す図である。
本発明の高温障害抑制剤の有効成分は、5−アミノレブリン酸、その誘導体(前記一般式(1))又はそれらの塩である。
一般式(1)中、R1及びR2で示されるアルキル基としては、炭素数1〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜18のアルキル基、特に炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基等が挙げられる。
1及びR2で示されるアシル基としては、炭素数1〜24、好ましくは炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖のアルカノイル基、アルケニルカルボニル基、アロイル基又はアリールオキシカルボニル基が好ましく、特に炭素数1〜6のアルカノイル基が好ましい。当該アシル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、n−ペンタノイル基、n−ヘキサノイル基、n−ノナノイル基、ベンジルオキシカルボニル基等が挙げられる。
1及びR2で示されるアルコキシカルボニル基としては、総炭素数2〜13のアルコキシカルボニル基が好ましく、特に炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基が好ましい。当該アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基等が挙げられる。
1及びR2で示されるアリール基としては、炭素数6〜16のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
1及びR2で示されるアラルキル基としては、炭素数6〜16のアリール基と上記炭素数1〜6のアルキル基とからなる基が好ましく、例えば、ベンジル基等が挙げられる。
3で示されるアルコキシ基としては、炭素数1〜24の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜16のアルコキシ基、特に炭素数1〜12のアルコキシ基が好ましい。当該アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基等が挙げられる。
3で示されるアシルオキシ基としては、炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖のアルカノイルオキシ基が好ましく、特に炭素数1〜6のアルカノイルオキシ基が好ましい。当該アシルオキシ基としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基等が挙げられる。
3で示されるアルコキシカルボニルオキシ基としては、総炭素数2〜13のアルコキシカルボニルオキシ基が好ましく、特に総炭素数2〜7のアルコキシカルボニルオキシ基が好ましい。当該アルコキシカルボニルオキシ基としては、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、n−プロポキシカルボニルオキシ基、イソプロポキシカルボニルオキシ基等が挙げられる。
3で示されるアリールオキシ基としては、炭素数6〜16のアリールオキシ基が好ましく、例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等が挙げられる。アラルキルオキシ基としては、前記アラルキル基を有するものが好ましく、例えば、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
一般式(1)中、R1及びR2としては水素原子が好ましい。R3としてはヒドロキシ基、アルコキシ基又はアラルキルオキシ基が好ましく、より好ましくはヒドロキシ基又は炭素数1〜12、特に炭素数1〜6のアルコキシ基、特にメトキシ基又はヘキシルオキシ基が好ましい。
5−アミノレブリン酸誘導体としては、5−アミノレブリン酸メチルエステル、5−アミノレブリン酸エチルエステル、5−アミノレブリン酸プロピルエステル、5−アミノレブリン酸ブチルエステル、5−アミノレブリン酸ペンチルエステル、5−アミノレブリン酸ヘキシルエステル等が挙げられ、特に5−アミノレブリン酸メチルエステル又は5−アミノレブリン酸ヘキシルエステルが好ましい。
5−アミノレブリン酸又はその誘導体の塩としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、リン酸塩、メチルリン酸、エチルリン酸、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、硝酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、トルエンスルホン酸塩、コハク酸塩、シュウ酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、グリコール酸塩、メタンスルホン酸塩、酪酸塩、吉草酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩等の酸付加塩、及びナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等の金属塩、アンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩等が挙げられる。
以上詳述した5−アミノレブリン酸、その誘導体又はそれらの塩は、水和物又は溶媒和物を形成していてもよく、またいずれかを単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
5−アミノレブリン酸、その誘導体又はそれらの塩は、化学合成、微生物による生産、酵素による生産のいずれの方法によっても製造することができ、具体的には、特開昭48−92328号公報、特開昭62−111954号公報、特開平2−76841号公報、特開平6−172281号公報、特開平7−188133号公報、特開平11−42083号公報等に記載の方法に準じて製造することができる。上記のようにして製造された5−アミノレブリン酸類、それらの精製前の化学反応溶液や発酵液は、有害な物質を含まない限り、分離精製することなくそのまま用いることができる。また、有害な物質を含む場合は、その有害物質を適宜、有害とされないレベルまで除去した後、用いることができる。また市販品なども使用することができる。
本発明の高温障害抑制剤の適用対象となるナス科植物としては、ナス、トマト、トウガラシ、ピーマン、ジャガイモ、タバコ、ホオズキ、ペチュニア等が挙げられ、このうち最も好ましいものはトマトである。
本発明の高温障害抑制剤は、5−アミノレブリン酸、その誘導体又はそれらの塩が含まれていればよいが、これら以外に、必要により植物生長調節剤、糖類、含窒素化合物、酸類、アルコール類、ビタミン類、ミネラル、微量要素、金属塩、キレート剤、防腐剤、防黴剤等を配合することができる。
ここで用いられる植物生長調節剤としては、例えば、エピブラシノライド等のブラシノライド類、塩化コリン、硝酸コリン等のコリン剤、インドール酪酸、インドール酢酸、エチクロゼート剤、1−ナフチルアセトアミド剤、イソプロチオラン剤、ニコチン酸アミド剤、ヒドロキシイソキサゾール剤、過酸化カルシウム剤、ベンジルアミノプリン剤、メタスルホカンブ剤、オキシエチレンドコサノール剤、エテホン剤、クロキシホナック剤、ジベレリン、ストレプトマイシン剤、ダミノジット剤、ベンジルアミノプリン剤、4−CPA剤、アンシミドール剤、イナペンフィド剤、ウニコナゾール剤、クロルメコート剤、ジケグラック剤、メフルイジド剤、炭酸カルシウム剤、ピペロニルブトキシド剤等を挙げることができる。
糖類としては、例えばグルコース、シュクロース、キシリトール、ソルビトール、ガラクトース、キシロース、マンノース、アラビノース、マジュロース、リボース、ラムノース、フラクトース、マルトース、ラクトース、マルトトリオースなどが挙げられる。
含窒素化合物としては、例えばアミノ酸(アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、チロシン、グリシン、アルギニン、アラニン、トリプトファン、メチオニン、バリン、プロリン、ロイシン、リジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、イソロイシン等)、尿素、アンモニアなどが挙げられる。
酸類としては、例えば有機酸(ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、シュウ酸、フタル酸、安息香酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、マロン酸、リンゴ酸、コハク酸、グリコール酸、マレイン酸、カプロン酸、カプリル酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ピルビン酸、α−ケトグルタル酸、レブリン酸等)、亜硫酸、硫酸、硝酸、亜リン酸、リン酸、ポリリン酸などが挙げられる。
アルコール類としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、グリセロールなどが挙げられる。
ビタミン類としては、例えばニコチン酸アミド、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンB5、ビタミンC、ビタミンB13、ビタミンB1、ビタミンB3、ビタミンB2、ビタミンK3、ビタミンA、ビタミンD2、ビタミンD3、ビタミンK1、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、σ−トコフェロール、p−ヒドロキシ安息香酸、ビオチン、葉酸、ニコチン酸、パントテン酸、α―リポニック酸等を挙げることができる。
微量要素としては、例えばホウ素、マンガン、亜鉛、銅、鉄、モリブデン、塩素などが挙げられる。
金属塩としては、例えばカルシウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩などが挙げられる。
本発明のナス科植物の高温障害抑制剤は、植物の根、茎葉又は周囲の土壌、水に投与することにより使用される。投与時の形態は、固体であってもよく、水溶液であってもよい。具体的には、茎葉処理用(茎葉処理剤)として使用してもよいし、土壌処理用(土壌処理剤)として使用してもよい。また、植物を植えつけたり、挿し木等する前に吸収させたりしてもよい。さらに、水耕栽培時に水中に添加しておいてもよい。
本発明の高温障害抑制剤の有効成分である、5−アミノレブリン酸、その誘導体又はそれらの塩のナス科植物への投与量は、5−アミノレブリン酸基準で、10アール当たり0.1〜10000mg、特に好ましくは1〜2000mg、更に好ましくは1〜1000mgとするのが好ましい。
また、高温障害抑制剤の使用時の濃度は、茎葉処理、土壌処理を行う場合、5−アミノレブリン酸基準で0.03〜100ppmが好ましく、より好ましくは0.1〜20ppm、さらに好ましくは0.1〜10ppmである。水耕栽培等で用いる場合は0.0003〜10ppmが好ましく、さらに好ましくは0.001〜1ppmである。
茎葉処理剤として使用する場合は、展着剤の種類及び使用量については、特に制限されない。
ナス科植物の高温障害抑制剤の植物への処理時期としては、対象となる植物の幼苗期、生育期、開花期、結実期のすべての時期で有効であり、特に限定されないが、各段の花が開花する前が好ましい。
植物の生育中に5−アミノレブリン酸の処理を行う回数には制限がなく、3〜14日毎に数回処理を行うことができる。よって、植物によって生育期間が異なるため、生育が長期になる植物では、多数回処理を行うことができる。
ナス科植物の高温障害は、品種や栽培環境によっても異なるが、具体的には、成育ステージ、植物体内の水分状態、温度、高温下の期間、湿度、光などその他の要因も複雑に絡みあうものの、標準的な栽培を行った場合、日中30℃以上である場合に発生することが多い。本発明の高温障害抑制剤は、日中の気温が30〜42℃である状態が6時間以上になる日が3日以上となるような栽培条件で生じる高温障害を効果的に抑制する。特に、高温障害が着果不良の場合の高温障害抑制剤を用いる高温条件としては、日中34〜42℃が好ましく、さらに好ましくは34〜38℃である。また、高温障害が果実の肥大不良の場合の高温障害抑制剤を用いる高温条件としては、日中30〜42℃が好ましく、さらに好ましくは32〜38℃である。
次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、これらは単に例示の目的で掲げられるものであって、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
〔比較例1〕適正温度で栽培されたトマトに対する5−アミノレブリン酸の効果
4月に本葉4〜7枚の大玉トマト(品種:桃太郎)苗を6号ポットに定植し、定植1ヶ月後から1週間に1回、計12回、5−アミノレブリン酸200mg/10a、1ppmの濃度で茎葉処理するポットと無処理のポットの2条件で栽培した。栽培は屋外で8月前半まで行った。気温は平均26℃、最高気温は35℃であったが、日中の6時間以上において気温が30℃以上になった日はなかった。具体的には、30℃以上になった日数と時間は、1時間以上2時間未満が4日、2時間以上4時間未満が4日、4時間以上6時間未満が11日であり、それ以外の日は、1時間以上において30℃以上になった日はなかった。また、4段目の花が開花する前に成長点を切除し、3段目までの収穫量を評価した。それぞれの条件において3ポット栽培した。結果を図1に示す。
適正温度で栽培された場合、トマトの着果不良又は果実肥大不良は認められなかった。この時、無処理区に対する処理区の総重量増加率は7.3%であり、ストレスを改善した時のような数十%もの増加ではなかった。
〔実施例1〕高温時のナス科植物の着果不良および果実肥大不良抑制
6月に本葉6〜7葉の大玉トマト(品種:桃太郎)苗を6号ポットに定植し、定植3日後から毎週に5−アミノレブリン酸(ALA)塩酸塩を400mg/10a、1ppmで計9回茎葉処理したポットと無処理のポットの2条件で栽培した。それぞれの条件において、3回目の処理3日後から、栽培温度を日中(12時間)33、35、37℃の3つの栽培条件でそれぞれ栽培を行った。このとき、夜間(12時間)の栽培温度は30℃とした。ポット定植から9、35、50日後に、液体肥料ハイポニカをそれぞれN−P−K=2.0−1.2−3.4kg/10a施肥した。また、二段目の花が開花する前に成長点を切除した。一段目の最初の着果が始まってから約30日後にそれぞれのポットの一段目における着果数、肥大果新鮮重量を測定した。結果を表1及び図2に示す。
Figure 0005771454
高温で栽培された場合、トマトの着果不良が認められた。表1、図2に示した通り、ALA塩酸塩をトマトに与えることで、高温時におけるトマトの着果不良および果実の肥大不良が抑制された。着果不良は35℃、37℃において確認された。果実の肥大不良は33℃、35℃、37℃において確認された。特に33℃、35℃においてALA塩酸塩を与えたものと与えていないものとの総重量の差が大きかった。33℃、35℃、37℃おけるALA処理のトマト肥大果重量と、無処理のトマト肥大果総重量の比はそれぞれ4.5倍、3.3倍、1.7倍であった。比較例1で示したように、適正温度で栽培した場合、ALA処理と無処理との比は1.07であるが、高温時の栽培ではストレスを低減するために総重量比で1.7以上の大きな重量増加がみられた。無処理区において生長が著しく劣るために、ALA処理による植物の生長との比が大きくなる効果は、生長促進効果とは異なり、高温による着果障害を抑制する効果である。
[比較例2]
3cm×3cmのセルに黒土を入れ、リーフレタスを播種し、温室で育苗した。播種2週間後にALA塩酸塩を0、1、30、100ppmの濃度で、200L/10a茎葉散布した。ALA処理3日後に、45℃、10時間インキュベータで高温処理し、その後、温室内で栽培を続けた。高温処理から2週間後に新鮮重量を測定した。
Figure 0005771454
リーフレタスでは30ppm以上のALA塩酸塩により、レタスの高温障害を抑える効果があるが、1ppmでは高温障害を抑える効果は無かった。以上のことから、1ppmのALA塩酸塩茎葉処理は、高温によるトマトの着果不良は改善するが、リーフレタスの高温障害を低減する効果は無い。

Claims (4)

  1. 一般式(1)
    21NCH2COCH2CH2COR3 (1)
    [式中、R1及びR2 は水素原子を示し;R3はヒドロキシ基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を示す。]
    で表される5−アミノレブリン酸もしくはその誘導体、又はそれらの塩を有効成分とする、ナス科植物の高温障害抑制剤。
  2. 高温障害が生じる栽培時の条件が、日中の気温が30〜42℃である状態が6時間以上になる日が3日以上である、請求項1記載の高温障害抑制剤。
  3. 高温障害が着果不良又は果実の肥大不良である請求項1又は2記載の高温障害抑制剤。
  4. ナス科植物がトマトである請求項1〜3の何れか1項記載の高温障害抑制剤。
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