JP2021078470A - 貯蔵花粉及びその製造方法並びにトマトの生産方法 - Google Patents

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久弥 今森
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Abstract

【課題】トマトの不良果を低減させること。【解決手段】本発明に係る貯蔵花粉が含有するのは、少なくとも、トマトの花粉である。当該貯蔵花粉の花粉発芽率は、10%以上である。本発明に係る貯蔵花粉の製造方法を構成するのは、少なくとも、貯蔵である。貯蔵において、トマトの花粉が5℃以下の温度で貯蔵される。本発明に係るトマトの生産方法を構成するのは、少なくとも、着果処理である。着果処理において、トマトが着果される。トマトを着果する手段は、少なくとも、トマトの花粉を含む貯蔵花粉の授粉である。当該貯蔵花粉の花粉発芽率は、10%以上である。【選択図】図1

Description

本発明が関係するのは、貯蔵花粉及びその製造方法並びにトマトの生産方法である。
近年、市場で求められているのは、野菜を安定的に供給することである。野菜は、天候の影響を受けやすい。そのため、異常気象の多い近年においては、その供給が安定しにくくなっている。異常気象の中でも特に高温は、様々な野菜の安定生産に影響を与える要因となっている。
トマトを含むナス科野菜は、高温に晒されると、高温障害を起こすことが知られている。高温障害は、著しい収量の低下を招く。高温障害の具体的な症状は様々であり、着果不良、尻腐れ、着色不良、奇形等である。着果不良の原因は、花粉の稔性低下、花粉量の低下、柱頭の突出等である。
ナス科野菜の高温障害による収量低下を軽減するための技術は各種知られているが、特別な装置や、農薬を使用する方法が一般的である。例えば、特許文献1が開示するのは、ナス及びトマトの着果促進剤であり、その目的は、ナス及びトマトの着果促進であり、その手段は、2−メチル−4−クロロフェノキシ酪酸エチルの配合である。特許文献2が開示するのは、着果促進剤であり、その目的は、高温期の着果促進であり、その手段は、ポリアミンの配合である。特許文献3が開示するのは、着果・生育促進装置であり、その目的は、高温ストレスの軽減であり、その手段は、雄蕊の冷却である。
特開2002−029906号公報 特開2004−331507号公報 WO2007/058347号公報
本発明が解決しようとする課題は、トマトの不良果を低減させることである。植物ホルモンによる着果は、不良果が生じやすい。不良果は、廃棄される場合があり、安定的な供給を阻害する要因の1つである。また、植物ホルモンは、農薬であるため、使用量や使用回数に制約がある。
以上を踏まえて、本願発明者が鋭意検討して見出したのは、予め貯蔵しておいた花粉を授粉させることで、植物ホルモンで着果させた場合に比べ、不良果が低減することである。さらに、本願発明者が鋭意検討して見出したのは、花粉発芽率が不良果の低減効果に関係していること、及び、花粉発芽率は低温で乾燥及び/又は貯蔵することで維持されることである。この観点から、本発明を定義すると、以下のとおりである。
本発明に係る貯蔵花粉が含有するのは、少なくとも、トマトの花粉である。当該貯蔵花粉の花粉発芽率は、10%以上である。
本発明に係る貯蔵花粉の製造方法を構成するのは、少なくとも、貯蔵である。貯蔵において、トマトの花粉が5℃以下の温度で貯蔵される。
本発明に係るトマトの生産方法を構成するのは、少なくとも、着果処理である。着果処理において、トマトが着果される。トマトを着果する手段は、少なくとも、トマトの花粉を含む貯蔵花粉の授粉である。当該貯蔵花粉の花粉発芽率は、10%以上である。
本発明が可能にするのは、トマトの不良果を低減させることである。
本実施の形態に係る製造方法の流れ図 本実施の形態に係る生産方法の流れ図
<本実施の形態に係る貯蔵花粉>
本実施の形態に係る貯蔵花粉(以下、「本貯蔵花粉」という。)とは、貯蔵された花粉であり、少なくとも、トマトの花粉を含むものである。本貯蔵花粉の発芽率は、10%以上であり、好ましくは13%以上であり、より好ましくは25%以上である。本貯蔵花粉の流通温度帯は、好ましくは5℃以下であり、より好ましくは0℃以下であり、最も好ましくは、−20℃以下である。
<花粉>
「花粉」は、授粉に使用するため、発芽する状態の花粉を少なくとも含有する。発芽する状態の花粉の含有率は、好ましくは、10%以上であり、より好ましくは、13%以上であり、最も好ましくは、25%以上である。
<貯蔵>
本発明において、「貯蔵」とは、授粉のための貯え、及び、保管をいう。花粉が発芽する状態を長期間維持するため、貯蔵は、低温で行われる。好ましくは5℃以下であり、より好ましくは0℃以下であり、さらに好ましくは−20℃以下である。貯蔵は、容器に封入してから行われることが好ましい。さらに、1つの容器あたり、1mL以上の花粉が含まれていることが好ましい。容器を例示すると、袋、チューブ、瓶、ボトル等である。容器の素材を例示すると、紙、プラスチック、ガラス等である。
<花粉発芽率>
花粉発芽率とは、花粉が発芽する割合である。具体的な測定方法は、以下のとおりである。花粉発芽率測定用培地上に、約1mgの花粉をまき、室温(20℃〜30℃)下で約2時間放置した後、顕微鏡等を用いて、発芽の有無を観察する。観察した花粉の数[A]及び、観察した花粉のうちの発芽した花粉の数[B]を数え、以下の式にあてはめて算出する。観察する花粉の数は、100個以上であることが好ましい。花粉発芽率測定用培地は、公知のものであればよく特に限定されない。好ましくは、糖類、固化材を含むものであり、より好ましくは、ショ糖、アガロースを含むものである。また、花粉発芽率測定用培地は、糖類及び固化材以外で、花粉の発芽に影響を与える物質を含まないことが好ましい。
花粉発芽率(%)=B/A×100
<不良果>
不良果とは、トマトの果実であって、市場価格の低下や廃棄の対象となるものである。具体的な特徴は、納品先が求める品質等により異なる。例示すると、果実の大きさが極端に小さくなる「小果」、果実の大きさが不均一になる「奇形果」、果実の表面に傷やひび等が入る「傷果」等である。植物ホルモンによる着果において特に問題となるのが、小果及び奇形果である。トマトにおいて、小果と判断される基準を例示すると、果重が、出荷される果実の平均果重に対して30%以下である。トマトにおいて、奇形果と判断される基準を例示すると、果実を上部から見た際に、略円形に対して明らかな凹凸が2か所以上存在することである。
<小果率>
小果率とは、収穫したトマトにおいて、全果実数に占める小果の割合である。具体的には、収穫した全果実数[C]及び、収穫した全果実数のうちの小果の数[D]を数え、以下の式にあてはめて、算出する。
小果率(%)=D/C×100
<奇形果率>
奇形果率とは、収穫したトマトにおいて、全果実数に占める奇形果の割合である。具体的には、収穫した全果実数[C]及び、収穫した全果実数のうちの奇形果の数[E]を数え、以下の式にあてはめて、算出する。
奇形果率(%)=E/C×100
<本貯蔵花粉の製造方法の概要>
図1が示すのは、本貯蔵花粉の製造方法(以下、「本製造方法」という。)の流れである。本製造方法を構成するのは、主に、摘花(S11)、乾燥(S12)、収集(S13)、貯蔵(S14)である。
<摘花(S11)>
摘花工程では、トマトの花芽が摘花される。その目的は、花粉の収集である。摘花する手段は、特に限定されず、手動でも機械でもよい。摘花を行うタイミングは、花粉が活性を有しているタイミングである。好ましくは、開花から3日以内である。摘花は、花芽のみを摘んでもよく、花芽の付いた枝ごと摘んでもよい。また、摘花済みの花芽を使用する場合など、摘花工程は、適宜省略可能である。
<乾燥(S12)>
乾燥工程では、トマトの花芽及び/又は花粉が乾燥される。その目的は、花粉の貯蔵性向上である。乾燥工程では、花粉が失活しない範囲で、花芽及び/又は花粉に含まれる水分の一部又は全部が除かれる。乾燥する手段は、公知の方法であればよく、特に限定されない。例示すると、乾燥器、恒温恒湿器、デシケーター、乾燥材、シリカゲル等である。乾燥の温度は、花粉が失活しない温度である。好ましくは、35℃以下である。乾燥工程は、必ずしも摘花工程の後や収集工程の前にある必要はない。すなわち、乾燥工程は、摘花工程の前であってもよく、収集工程の後であってもよい。さらに、乾燥工程は、貯蔵工程と同時に行ってもよい。
<収集(S13)>
収集工程では、トマトの花粉が収集される。その目的は、授粉効率の向上である。花粉を収集する手段は、公知の方法であればよく、特に限定されない。例示すると、ふるい、メッシュ、電動ふるい、シフター等である。収集は、1回だけ行っても、2回以上行ってもよい。また、メッシュサイズ等で段階を分けて行ってもよい。さらに、花粉以外の組織(葯、花弁、がく、茎、葉等)を含んだ状態の花粉(以下、「粗花粉」という。)を収集してもよい。必要に応じて、粗花粉から花粉を精製する精製工程を行ってもよい。
<貯蔵(S14)>
貯蔵工程では、トマトの花粉が貯蔵される。その目的は、授粉である。貯蔵する手段は、公知の方法でよく、特に限定されない。貯蔵の温度は、花粉が失活しない温度である。好ましくは5℃以下であり、より好ましくは0℃以下であり、さらに好ましくは−20℃以下である。貯蔵の形態は、授粉の方法に応じで異なるが、容器に封入されていることが好ましい。容器を例示すると、袋、チューブ、瓶、ボトル等である。容器の素材を例示すると、紙、プラスチック、ガラス等である。
<本トマトの生産方法の概要>
図2が示すのは、本トマトの生産方法(以下、「本生産方法」という。)の流れである。本生産方法を構成するのは、主に、定植(S21)、栽培(S22)、着果処理(S23)、収穫(S24)である。
<定植(S21)>
定植工程では、トマトの苗が定植される。トマトの苗を得る手段は、特に限定されない。例示すると、苗の状態で流通しているものや、種子の状態で流通しているものを発芽させて得られるものである。種子を発芽させて苗を得る場合においては、必要に応じ、定植の前に播種を行ってもよい。さらに、トマトの栽培を行う場所に直接播種を行い、間引きして残ったものを苗としてもよい。直接播種を行う場合は、本明細書における「定植」の用語は、「播種」と読み替えるものとする。定植を行う時期は、定植後収穫までの期間においてトマトの栽培が可能となる時期である。好ましくは、2月〜6月であり、より好ましくは、3月〜5月である。
<栽培(S22)>
栽培工程では、トマトが栽培される。トマトの栽培を行う場所は、栽培が可能な場所である。例示すると、圃場、ビニールハウス、植物工場等である。栽培を行う手段は特に限定されない。例示すると、露地栽培、施設栽培、土耕栽培、水耕栽培等である。本工程が排除しないのは、植物の栽培において一般的に行われる作業の実施である。例示すると、水やり、施肥、農薬散布、病虫害の防除、葉かき、芽かき等である。
<着果処理(S23)>
着果処理工程では、トマトが着果処理される。着果処理の手段は、貯蔵花粉の授粉である。トマトを着果処理する目的は、着果に加え、不良果の低減である。貯蔵花粉の授粉は、トマトの柱頭に貯蔵花粉が付着するように行なわれる。授粉する手段は、公知の方法であればよく特に限定されない。例示すると、授粉機、梵天等である。必要に応じ、増量剤(石松子等)で増量及び/又は希釈したものを用いてもよい。着果処理が行われるタイミングは、高温障害が発生しているタイミングが好ましい。トマトの場合は、昼間(6時〜18時)の平均気温が30℃以上及び/又は夜間(18時〜6時)の平均気温が25℃以上となると、高温障害が発生しやすくなる。
<収穫(S24)>
収穫工程では、トマトの果実が収穫される。収穫する手段は、公知のものであればよく特に限定されない。収穫日は、トマトの品種等によって異なる。例示すると、定植日から60日以上経過した後である。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<乾燥条件が花粉発芽率に与える影響の把握>
ミニ系の生鮮トマト品種(C4)を栽培し、開花して3日以内の花芽を摘花し、摘花した花芽を乾燥させた。乾燥の温度及び時間は表1に示す。5℃の乾燥は、市販のフードコンテナ(シール容器ナチュラル、15L、アスベル社製)に花芽と花芽の重量の約11倍のシリカゲル(トヨタシリカゲル、豊田化工株式会社製)を入れて密閉し、5℃の冷蔵庫に入れて行った。25℃及び35℃の乾燥は、送風定温恒温器(DKN912、ヤマト科学社製)にて行った。乾燥前後の花粉発芽率を測定した。
<花粉発芽率の測定>
花粉発芽率の測定は、以下の方法で行った。花粉発芽率測定用培地は、アガロース(細菌培地用、和光純薬社製)1g、シュークロース(試薬特級、和光純薬社製)15g、を超純水100mlでメスアップして、溶解させた後、約10mlずつシャーレに分注したものとした。花粉発芽率測定用培地上に、花粉を約1mgまき、25℃の部屋に2時間放置した。放置後の花粉を培地ごとすくって、スライドガラスに乗せ、カバーガラスをかぶせて、金属顕微鏡(BX51、OLYNPUS社製)で観察した。100〜150個の花粉を観察し、花粉発芽率を算出した。
Figure 2021078470
表1が示すのは、各区分における乾燥前後の花粉発芽率である。この結果からわかるのは、以下のとおりである。乾燥時間が長くなるに従い、乾燥後の花粉発芽率は低下する。また、乾燥温度が高いほど、花粉発芽率は低下する。ただし、35℃の乾燥温度であっても、乾燥時間を短くすることで、花粉発芽率の低下は、抑えることが可能である。
<貯蔵条件が花粉発芽率に与える影響の把握>
ミニ系の生鮮トマト品種(C4)を栽培し、開花して3日以内の花芽を摘花し、ピンセットで葯筒を分解して、1.5mlのマイクロチューブに花粉を収集した。収集した花粉を表2に示す温度及び期間で貯蔵し、貯蔵前後の花粉発芽率を測定した。
Figure 2021078470
表2が示すのは、各区分における貯蔵前後の花粉発芽率である。この結果からわかるのは、以下のとおりである。貯蔵期間が長くなるに従い、貯蔵後の花粉発芽率は低下する。ただし、貯蔵温度が−20℃の場合、その低下の度合いは緩やかになる。また、貯蔵温度が高いほど、貯蔵後の花粉発芽率は低下する。ただし、5℃の貯蔵温度であっても、貯蔵期間を短くすることで、花粉発芽率の低下は、抑えることが可能である。
<乾燥及び貯蔵の条件が花粉発芽率に与える影響の把握>
ミニ系の生鮮トマト品種(C4)を栽培し、開花して3日以内の花芽を摘花し、摘花した花芽を乾燥させた。乾燥の温度及び時間は表3に示す。乾燥は前述と同様の方法で行った。乾燥後の花芽を、振動篩機(佐藤式振動篩機、500D−1S、晃栄産業株式会社製、メッシュの目開き25μm)でふるいにかけ、花粉を収集した。収集した花粉を−20℃の温度で、表3に示す期間貯蔵し、各区分の花粉について、乾燥・貯蔵前後の花粉発芽率を測定した。さらに、乾燥・貯蔵前後の花粉発芽率から、乾燥・貯蔵前後の発芽保持率を算出した。
<乾燥・貯蔵前後の発芽保持率>
乾燥・貯蔵前後の発芽保持率とは、乾燥・貯蔵後に保持された発芽率の割合である。具体的には、乾燥・貯蔵前の発芽率[F]及び、乾燥・貯蔵後の発芽率[G]から、以下の式にあてはめて、算出する。
乾燥・貯蔵前後の発芽保持率(%)=G/F×100
Figure 2021078470
表3が示すのは、各区分における乾燥・貯蔵前後の花粉発芽率及び乾燥・貯蔵前後の発芽保持率である。この結果からわかるのは、以下のとおりである。貯蔵期間が長くなるに従い、乾燥・貯蔵後の花粉発芽率は低下する。また、乾燥条件が25℃24時間の場合、5℃96時間の場合に比べ、その低下の度合いは緩やかになる。
<貯蔵花粉の試作>
ミニ系の生鮮トマト品種(C4)を栽培し、開花して3日以内の花芽を摘花し、摘花した花芽を25℃で24時間乾燥させた。乾燥は、市市販のフードコンテナ(シール容器ナチュラル、15L、アスベル社製)に花芽と花芽の重量の約11倍のシリカゲル(トヨタシリカゲル、豊田化工株式会社製)を入れて密閉し、25℃に設定した室内に保管して行った。乾燥後の花芽を、振動篩機(佐藤式振動篩機、500D−1S、晃栄産業株式会社製、メッシュの目開き25μm)でふるいにかけ、花粉を収集した。収集した花粉を−20℃の温度で、表4に示す期間貯蔵した。乾燥・貯蔵後の各区分の花粉について、花粉発芽率を測定した。また、花粉が表4に示す花粉希釈倍率となるように、花粉増量剤(ニュータイプ石松子、アグリ社製)で希釈し、理論上の花粉発芽率を算出した。理論上の花粉発芽率は、以下の式から算出した。
理論上の花粉発芽率(%)=乾燥・貯蔵後の花粉発芽率(%)×花粉希釈倍率(%)/100
Figure 2021078470
<着果処理>
栃木県にあるカゴメ株式会社の試験温室において、中玉系の生鮮用トマト(R5)を5月に定植し、栽培した。定植後69日目のトマトに、貯蔵花粉の授粉又は植物ホルモンの処理を行った。貯蔵花粉の授粉は、市販の花粉交配器(コロンブス、アグリ社製)を用いて、花芽に3〜6回吹き付けて行った。植物ホルモンの処理は、トマトトーン(石原産業株式会社製)を100倍に希釈し、ジベレリン、市販の霧吹きで約5ml吹き付けて行った。尚、着果処理を行ったトマトは、高温障害(柱頭の突出)が発生していた。
<収穫調査>
着果処理を行ってから、約8週間経過したトマトから果実を収穫し、小果率及び奇形果率の調査を行った。小果の判断基準は、30g以下とした。奇形果の判断基準は、果実を上部から見た際に、略円形に対して明らかな凹凸が2か所以上存在することとした。果実あたりの平均種子数は、収穫した果実に含まれる種子の数(個)を数え、その平均値を算出した。
Figure 2021078470
表5が示すのは、各区分の小果率、奇形果率及び果実あたりの平均種子数である。この結果からわかるのは、貯蔵花粉を用いて着果させることで、植物ホルモンを用いて着果させる場合と比べ、小果や奇形果が減ることである。具体的には、有効花粉率が51.1%の花粉を50%に希釈した場合(理論上の有効花粉率は25.6%)及び、有効花粉率が52.3%の花粉を25%に希釈した場合(理論上の有効花粉率は13.1%)、植物ホルモンに比べ、小果及び奇形果を低減することが可能である。他方、有効花粉率が26.0%の花粉を33%に希釈した場合(理論上の有効花粉率は8.6%)、植物ホルモンに比べ、奇形果を低減することは可能であるが、小果を低減する効果は確認されなかった。すなわち、理論上の花粉発芽率が10%以上であれば、植物ホルモンに比べ、不良果を低減することが可能である。
貯蔵花粉を用いて着果させることで、不良果が減る理由は、推察ではあるが、果実の中に種子ができることである。すなわち、種子ができることで、果実が肥大しやくなり、さらに均等に肥大することである。実際に、比較例に比べ実施例では、果実あたりの種子数が多くなっている。ただし、作用はこれに限定されない。
本発明が有用な分野は、トマトの生産である。

Claims (9)

  1. 貯蔵花粉であって、
    それが含有するのは、少なくとも、トマトの花粉であり、
    前記貯蔵花粉の花粉発芽率は、10%以上である。
  2. 請求項1の貯蔵花粉であって、
    その流通温度帯は、5℃以下である。
  3. 請求項1又は2の貯蔵花粉であって、
    その用途は、トマトの生産である。
  4. 貯蔵花粉の製造方法であって、それを構成するのは、少なくとも、次の工程である:
    貯蔵:ここで貯蔵されるのは、トマトの花粉であり、
    前記貯蔵の温度は、5℃以下である。
  5. 請求項4の製造方法であって、それをさらに構成するのは、次の工程である:
    乾燥:ここで乾燥されるのは、トマトの花芽及び/又はトマトの花粉である。
  6. 請求項5の製造方法であって、
    前記乾燥の温度は、35℃以下である。
  7. 請求項4乃至6の何れかの製造方法であって、
    前記貯蔵の期間は、60日以上である。
  8. トマトの生産方法であって、それを構成するのは、少なくとも、次の工程である:
    着果処理:ここで着果処理されるのは、トマトであり、
    その手段は、貯蔵花粉の授粉であり、
    前記貯蔵花粉が含有するのは、少なくとも、トマトの花粉であり、
    前記貯蔵花粉の花粉発芽率は、10%以上である。
  9. 請求項8の生産方法であって、
    前記貯蔵花粉の流通温度帯は、5℃以下である。
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