JP5771246B2 - オーバープリントニス、それを用いた積層体およびptp包装体 - Google Patents
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Description
このようなPTP包装体には、製品の管理等のため、種々の情報を含んだバーコードが蓋体の表面に設けられている。
しかし、金属基材からなるPTP包装体の蓋体にバーコードを直接設ける場合、バーコードリーダーによるバーコードの読み取りが困難になることが知られている。
詳しくは、図2aで示すように、基材Bに対して少し傾斜させた光Lをバーコードリーダーより照射したとき、基材Bに直接照射された光Lは基材Bで拡散反射され、一部がバーコードリーダーに戻り、バーコードPに照射された光Lは吸収される。そして、バーコードリーダーへと反射された光量を検知することにより、基材B上のバーコードの正確な形状を認識して、情報を入手する。一方、図2bに示すように、金属基材Bに直接バーコードPを設ける場合、金属基材に照射された光Lは金属表面で鏡面反射されるため、バーコードリーダーには光は戻ってこない。そのため、バーコードの形状が認識できない。
このように金属表面の鏡面反射が、バーコードの読み取りを困難とする一つの原因として知られている。
このように蓋体表面に形成された凹凸による光の乱反射が、バーコードの読み取りを困難とする他の原因として知られている。
また、特許文献2には、アルミニウム箔と、その上に直接設けられたバーコード印刷層と、それら全体を覆う樹脂ビーズが分散されたオーバーコート層とからなる積層体が開示されている。この積層体は、樹脂ビーズによってバーコードリーダーより照射された光を再帰反射させ、バーコードリーダーに光を戻すものである。
他方、凹凸による光の乱反射による原因に対する技術として、特許文献3には、金属基材からなる蓋体と、PTPシートからなる容器とをダイス目を形成しないで接着する方法が開示されている。
また特許文献2の積層体は、金属基材の鏡面反射の課題を解決するが、積層体にエンボス加工(ダイス目)を設けたり、外力等によって凹み等が形成されたりした場合、樹脂ビーズが凹部分に嵌ることにより凹部分と平坦部分との境界で反射率に極端な変化が生じ、正確な検知ができないことがある。凹部分がバーコードのバー部分とスペース部分を挟んで形成された場合は、その現象が顕著に現れる。
さらに特許文献3のようにダイス目を形成しない積層体を形成するためには、特別な装置が必要となる。必ずしも従来の装置で実現できるものではなかった。
近年、PTP包装体全体のさらなる軽量化、小面積化および低価格化が求められている。本発明は金属基材の表面に直接印刷されたバーコードの上に塗布されるオーバープリントニスおよびそれを用いた積層体、PTP包装体を提供することを目的とする。
本発明のオーバープリントニスとしては、白色を呈するものが好ましい。しかし、顔料に白以外の着色顔料を添加し、透光性を有する程度に着色させてもよい。このような白以外の着色顔料としては、白以外の有機着色顔料を用いるのが好ましい。
本発明の積層体は金属箔からなる基材と、その基材の表面に直接印刷されるバーコードと、そのバーコードを覆うようにして基材の表面に塗布される本発明のオーバープリントニスとからなることを特徴としている。
本発明のPTP包装体は、本発明の積層体からなる蓋材と、その積層体の裏面に設けられる容器とを備え、前記蓋材にエンボスの加工を施すと同時に蓋材と容器とを固定したことを特徴としている。特に、格子エンボス加工を施すのが好ましい。
詳しくは、本発明のオーバープリントニスによって形成されるOPコートは、顔料に白色無機顔料の酸化チタンが含まれているため、バーコードリーダーからの照射光の一部を拡散反射し、一方、顔料に白色無機顔料の酸化チタンの白さを抑えるタルク又はシリカが含まれているため、照射光の一部を透過する。さらに、本発明のオーバープリントニスによって形成されるOPコートは、照射光の一部を透過させるが、金属基材の鏡面反射を抑える程度に顔料が金属基材上に分散される。
つまり、OPコートに覆われたバーコードへ向かう照射光は、一部の光がOPコートを透過してバーコードで吸収され、他の光がOPコートに拡散反射され、その拡散された光の一部がバーコードリーダーに戻る。一方、OPコートに覆われたバーコード以外へ向かう照射光は、OPコートを透過し、金属基材の表面に到達した一部の光は、金属基材の表面で鏡面反射されるが、再度OPコートを透過するときに拡散反射され、OPコートに拡散されバーコードリーダーに戻る光と合わさる。そのため、実質的に金属基材の鏡面反射
が抑えられる。結果として、OPコートに覆われたバーコードへ向かう方が反射光の光量が小さくなる。
そのため、それぞれ照射する部位(バーコードまたはそれ以外)によって反射光の測定値が明確に区別され、バーコードの形状の読み取りが正確にできる。特に、タルクは金属基材(特に、アルミニウム)上において配向する傾向があり、金属基材の鏡面反射を抑える特性が強くて好ましい。
そして、白色無機顔料として酸化チタンを用いているため、オーバープリントニス内に分散させやすく安定した色を出すことができ、生産が容易である。
また、樹脂成分と顔料の重量比率が60:40〜90:10であるため、照射光の拡散反射および照射光の透過の相反する現象を双方とも充分に起こさせることができる。
さらに、前記タルクおよび/またはシリカと、白色無機顔料の酸化チタンとの重量比率が5:5〜1:9であるため、白色無機顔料の酸化チタンの白さを抑え、かつ、金属基材の鏡面反射を抑え、バーコードのより正確な読み取りができる。
本発明のオーバープリントニスであって、顔料に白以外の着色顔料を添加し、着色させた場合でも、白色無機顔料の酸化チタンを含んでいるため、バーコードリーダーからの照射光の一部を拡散反射し、かつ、透光性を維持しているため、照射光の一部を透過し、バーコートの形状の読み取りができる。また、着色させることにより、製品等の装飾に応じた美観性の高いものとすることができる。
本発明のPTP包装体は、本発明の積層体からなる蓋材と、その積層体の裏面に設けられる容器とを備えているため、バーコードの認識が正確で取り扱いやすい製品となる。また、蓋材に様々な着色等のデザインを設ける場合でも、従来のものより蓋材の層構造を少なくすることができる。その結果、使用する印刷色を減らし、生産コストを抑えることができる。さらに、前記蓋材に格子エンボス(又はダイス)が設けられていてもバーコードリーダーによるバーコードの読み取りを正確に行うことができる。
金属基材21は、光を鏡面反射する金属からなる基材である。特に、アルミニウム箔が好ましく用いられる。なお、アルミニウム箔を用いる場合、光沢のあるツヤ面にOPコートを設け、くすんだ面のケシ面にシールコートを設けることがシール強度を安定させるためには一般的である。そのため、ツヤ面にOPコートを設けてもOPコートの効果は見られる。また、ケシ面にOPコートを設けることにより、バーコードリーダーによりバーコードの境界線をより明瞭に読み取らせることもできる。
格子エンボス11aは、蓋材11を容器12と熱封緘するときに形成され、エンボス加工を施しながら熱封緘することにより両者の接着強度を高めることができる。
オーバープリントニスは、溶剤と、透明な樹脂成分、顔料とを備えたものであり、他に滑剤、分散剤等の添加剤を含み、透光性を有する液体である。
溶剤としては、トルエン、メチルエチルケトン(以下、MEK)、イソプロピルアルコール(IPA)、酢酸エチル等が挙げられる。
耐熱性、アルミニウムとの密着性等を考慮すると樹脂成分としては、硝化綿、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。
白色無機顔料の酸化チタン(ルチル型、アナターゼ型)はオーバープリントニス内にて分散させやすいため、安定した色を出すことができる。
またOPコートを白色以外に着色させるため、透光性を有する程度に他の着色顔料を添加してもよい。着色顔料は、顔料全体の0.5〜3.0質量%、特に、0.9〜2.0質量%とするのが好ましい。0.5質量%より小さいと着色の効果が無く3.0質量%より大きいと照射光の透過が阻害され、バーコードの読み取りができなくなる。このような着色顔料としては、天然鉱物、酸化鉄等の着色無機顔料、アゾ化合物、縮合環化合物等の着色有機顔料が挙げられる。特に、着色有機顔料は、それ自体が透光性を有しているため、バーコードの読み取りの阻害になりにくく好ましい。
情報印刷層25も着色インクを塗布し、乾燥させたものである。商品のデザインに応じて様々な色が用いられる。
を用いてバーコードを検証した。その結果を表3(白色)、表4(着色)に示す。
コード表示ガイドライン」から納品時にグレードC(1.5)以上が推奨されているが、これに拘らず取引各社で評価方法や基準を定めることができる。
※2:EDGEとは、バーコードの境界線の明瞭性を示す。境界が読み取れなかったときはF判定で表される。EDGE欄の数値は、バーコード検証機がバーコードの境界線の任意の10の点において、F判定の回数を示すものである。
※3:DEFとは、バーコードのバー、スペース内の反射率変化をいい、A〜D判定およびF判定で表される。DEF欄の数値は、バーコード検証機がバーコードのスペース内の
任意の10の点において、その反射率変化を測定し、F判定の回数を示すものである。
※4:シール前、シール後とは、蓋材に容器を接着して蓋材にエンボス加工を施す前後のものである。
さらに、表3の結果から酸化チタン/タルクの比率が6:4〜8:2の実施例の積層体の多くは、シール後の総合グレードが1.0より大きい結果となった(「実2(積3)」、「実4(積5)」、「実6(積7)」、「実7(積8)」、「実9(積10)」、「実13(積14)」、「実14(積15)」、「実17(積18)」、「実19(積20)」、「実21〜23(積22〜24)」は、1.0より大きい、「実3(積4)」、「実8、(積9)」、「実18(積19)」は、1.0より小さい)。
一方、酸化チタン/タルクの比率が5:5の実施例(1、10、15)、および、酸化チタン/タルクの比率が9:1の実施例(12、16、20)の積層体(積1、2、11、16、13、17、21)は、シール後の総合グレードが1.0より小さい結果となった(「実5(積6)は、1.0より大きい)。
つまり、酸化チタン/タルクの比率が6:4〜8:2の実施例の積層体は、好ましい検証値が得られる傾向が見られた。
実施例からなる白色のオーバープリントニスを用いた積層体は、シール後のEDGE及びDEFの検査でも、比較例よりも良い結果が得られた。
11 蓋材
11a 格子エンボス
12 容器
12a ポケット
12b 鍔部
21 金属基材
21a 表面
21b 裏面
22 オーバープリントコート(OPコート)
23 シールコート
25 情報印刷層
Claims (6)
- 金属基材の表面に直接印刷されるバーコードの上に塗布される樹脂成分を主成分とし、塗布した後、エンボスの加工を施すためのオーバープリントニスであって、
タルクおよび/またはシリカと、白色無機顔料の酸化チタンとからなる顔料が配合され、透光性を有し、
前記樹脂成分と顔料の重量比率が60:40〜90:10であり、
前記タルクおよび/またはシリカと、白色無機顔料の酸化チタンの重量比率が5:5〜1:9である、
オーバープリントニス。
(ただし、透明または半透明なビーズを含むオーバープリントニスを除く。) - 白色を呈する、請求項1記載のオーバープリントニス。
- 前記顔料が白以外の着色顔料を含んでおり、
着色された、請求項1記載のオーバープリントニス。 - 前記白以外の着色顔料が、白以外の有機着色顔料である、
請求項3記載のオーバープリントニス。 - 金属箔からなる基材と、その基材の表面に直接印刷されるバーコードと、請求項1ないし4いずれか記載のオーバープリントニスを、バーコードを覆うようにして基材の表面に塗布することによって形成されるオーバープリントコートとからなる積層体。
- 請求項5記載の積層体からなる蓋材と、その積層体の裏面に設けられる容器とを備え、前
記蓋材にエンボスの加工を施すと同時に蓋材と容器とを固定した、PTP包装体。
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