JP5770246B2 - 高圧水電解装置 - Google Patents

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Description

本発明は、水を電気分解し、酸素と前記酸素よりも高圧な水素とを発生させる高圧水電解装置に関する。
例えば、燃料電池を発電させるための燃料ガスとして、水素ガスが使用されている。一般的に、水素ガスを製造する際に、水電解装置が採用されている。この水電解装置は、水を電気分解して水素(及び酸素)を発生させるため、固体高分子電解質膜を用いている。固体高分子電解質膜の両面には、電極触媒層が設けられて電解質膜・電極構造体が構成されるとともに、前記電解質膜・電極構造体の両側には、それぞれ給電体を配設してユニットが構成されている。
そこで、複数のユニットが積層された状態で、積層方向両端に電圧が付与されるとともに、アノード給電体に水が供給される。このため、電解質膜・電極構造体のアノード側では、水が電気分解されて水素イオン(プロトン)が生成され、この水素イオンが固体高分子電解質膜を透過してカソード側に移動し、電子と結合して水素が製造される。一方、アノード側では、水素と共に生成された酸素が、余剰の水を伴ってユニットから排出される。
この水電解装置では、水の電気分解により酸素と該酸素よりも高圧な水素を製造する高圧水電解装置が採用されている。その際、アノード側とカソード側との差圧により、固体高分子電解質膜がアノード給電体に圧接し、前記固体高分子電解質膜に損傷等のダメージが生じるという問題がある。
そこで、例えば、特許文献1に開示されている電解装置が知られている。この電解装置は、電解質膜と給電体との間には、多数の貫通孔が形成された保護シート部材が介装されるとともに、前記貫通孔は、前記電解質膜に向かって縮径するテーパ形状を有している。従って、簡単な構成で、電解質膜が損傷することを可及的に阻止し、且つ水供給性及びガス離脱性の向上を図ることができる、としている。
特開2010−189708号公報
ところで、上記の高圧水電解装置では、システム停止時にカソード側(高圧水素側)を脱圧(減圧)する場合、電解質膜の内部に溶存する高圧水素が膨張し、ブリスタ(水膨れ)が惹起されるおそれがある。このため、電解質膜の耐久性が低下するという問題がある。
本発明は、この種の問題を解決するものであり、簡単な構成で、脱圧時に、電解質膜に溶存する高圧水素を容易且つ確実に排出させることができ、前記電解質膜の耐久性を向上させることが可能な高圧水電解装置を提供することを目的とする。
本発明に係る高圧水電解装置は、一方の面にアノード触媒部が設けられ、他方の面にカソード触媒部が設けられる電解質膜を有している。アノード触媒部には、アノード給電体が積積される一方、カソード触媒部には、カソード給電体が積層されている。そして、アノード給電体には、アノードセパレータが積層されるとともに、カソード給電体には、カソードセパレータが積層されている。電解質膜とアノード給電体との間には、保護シート部材が介装されている。
カソードセパレータ内には、カソード触媒部及びカソード給電体を収容するとともに、水の電気分解によりアノード側で生成される酸素よりも高圧な水素が生成されるカソード室が形成されている。電解質膜とカソードセパレータとの間には、カソード室の外方に位置してシール部材が配設されている。
この高圧水電解装置では、保護シート部材は、シール受け部としてシール部材に積層方向に対向する枠部と、前記枠部の内側に設けられ、複数の貫通孔が形成される貫通孔形成部とを有している。貫通孔形成部は、アノード触媒部に積層方向に対向する範囲の内側から外側に亘って貫通孔を有している。
また、この高圧水電解装置では、貫通孔形成部は、アノード触媒部に積層方向に対向する範囲に設けられる触媒範囲部と、前記触媒範囲部の外方で且つ少なくともカソード室に前記積層方向に対向する範囲に設けられる周辺部とを有することが好ましい。その際、触媒範囲部に形成される貫通孔の配置密度は、周辺部に形成される貫通孔の配置密度よりも大きいことが好ましい。
さらに、この高圧水電解装置では、貫通孔形成部は、アノード触媒部に積層方向に対向する範囲に設けられる触媒範囲部と、前記触媒範囲部の外方で且つ少なくともカソード室に前記積層方向に対向する範囲に設けられる周辺部とを有することが好ましい。その際、触媒範囲部に形成される貫通孔の開口径は、周辺部に形成される貫通孔の開口径よりも大きいことが好ましい。
本発明によれば、保護シート部材は、複数の貫通孔が形成される貫通孔形成部を有するとともに、前記貫通孔形成部は、アノード触媒部に対向する範囲の内側から外側に亘って前記貫通孔を有している。このため、カソード室が脱圧される際には、電解質膜に溶存する高圧水素は、貫通孔を通ってアノード側に容易且つ円滑に移動することができる。
従って、電解質膜にブリスタが発生することがなく、簡単な構成で、脱圧時に、前記電解質膜に溶存する高圧水素を容易且つ確実に排出することができ、前記電解質膜の耐久性を向上させることが可能になる。しかも、ブリスタが回避されるため、脱圧速度を上げることができる。これにより、脱圧時間を短縮することが可能になり、運転効率が良好に向上する。
本発明の第1の実施形態に係る高圧水電解装置の斜視説明図である。 前記高圧水電解装置を構成する単位セルの分解斜視説明図である。 前記単位セルの、図2中、III−III線断面図である。 前記単位セルを構成するアノード側の分解斜視説明図である。 前記単位セルの要部断面説明図である。 水素圧力と固体高分子電解質膜の溶存水素量との関係説明図である。 比較例である単位セルの要部断面説明図である。 本発明の第2の実施形態に係る高圧水電解装置を構成する単位セルの要部断面説明図である。 本発明の第3の実施形態に係る高圧水電解装置を構成する単位セルの要部断面説明図である。
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係る高圧水電解装置(差圧式高圧水電解装置)10は、複数の単位セル12が鉛直方向(矢印A方向)又は水平方向(矢印B方向)に積層された積層体14を備える。
積層体14の積層方向一端(上端)には、ターミナルプレート16a、絶縁プレート18a及びエンドプレート20aが上方に向かって、順次、配設される。積層体14の積層方向他端(下端)には、同様にターミナルプレート16b、絶縁プレート18b及びエンドプレート20bが下方に向かって、順次、配設される。
高圧水電解装置10は、例えば、矢印A方向に延在する4本のタイロッド22を介して円盤形状のエンドプレート20a、20b間を一体的に締め付け保持する。なお、高圧水電解装置10は、エンドプレート20a、20bを端板として含む箱状ケーシング(図示せず)により一体的に保持される構成を採用してもよい。また、高圧水電解装置10は、全体として略円柱体形状を有しているが、立方体形状等の種々の形状に設定可能である。
ターミナルプレート16a、16bの側部には、端子部24a、24bが外方に突出して設けられる。端子部24a、24bは、配線26a、26bを介して電解電源28に電気的に接続される。
図2及び図3に示すように、単位セル12は、略円盤状の電解質膜・電極構造体32と、前記電解質膜・電極構造体32を挟持するアノードセパレータ34及びカソードセパレータ36とを備える。
図2に示すように、単位セル12の外周縁部には、セパレータ面方向外方に向かって互いに反対方向に突出する第1突出部37a及び第2突出部37bが形成される。第1突出部37aには、積層方向(矢印A方向)に互いに連通して、水(純水)を供給するための水供給連通孔38aが設けられる。第2突出部37bには、積層方向に互いに連通して、反応により生成された酸素及び未反応の水(混合流体)を排出するための水排出連通孔38bが設けられる。
単位セル12の中央部には、電解領域の略中央を貫通して積層方向に互いに連通し、反応により生成された高圧な水素(生成された酸素よりも高圧な水素)(例えば、1MPa〜70MPa)を排出するための高圧水素連通孔38cが設けられる(図2及び図3参照)。なお、高圧水素連通孔38cは、単位セル12の中央部に限定されるものではなく、端部位置に設けてもよい。
アノードセパレータ34及びカソードセパレータ36は、略円盤状を有するとともに、例えば、カーボン部材等で構成される。アノードセパレータ34及びカソードセパレータ36は、その他、鋼板、ステンレス鋼板、チタン板、アルミニウム板、めっき処理鋼板、あるいはその金属表面に防食用の表面処理を施した金属板をプレス成形して、あるいは切削加工した後に防食用の表面処理を施して構成してもよい。
電解質膜・電極構造体32は、略リング形状を有する固体高分子電解質膜(電解質膜)40を備える。固体高分子電解質膜40は、リング形状を有する電解用のアノード給電体42及びカソード給電体44により挟持される。固体高分子電解質膜40は、例えば、炭化水素(HC)系の膜又はフッ素系の膜により構成される。
固体高分子電解質膜40は、略中央部に高圧水素連通孔38cが形成される。固体高分子電解質膜40の一方の面には、リング形状を有するアノード電極触媒層(アノード触媒部)42aが設けられる。固体高分子電解質膜40の他方の面には、リング形状を有するカソード電極触媒層(カソード触媒部)44aが形成される。アノード電極触媒層42aは、例えば、Ru(ルテニウム)系触媒を使用するとともに、カソード電極触媒層44aは、例えば、白金触媒を使用する。
アノード給電体42及びカソード給電体44は、例えば、球状アトマイズチタン粉末の焼結体(多孔質導電体)により構成される。アノード給電体42及びカソード給電体44は、研削加工後にエッチング処理される平滑表面部を設けるとともに、空隙率が10%〜48%、より好ましくは、20%〜40%の範囲内に設定される。アノード給電体42の外周縁部には、枠部42eが設けられる。枠部42eは、アノード給電体42の外周部を緻密に構成することにより一体に設けることができる。
アノードセパレータ34の電解質膜・電極構造体32に向かう面34aには、図3及び図4に示すように、リング状の凹部を形成することにより、アノード室46が形成される。アノード室46には、水供給連通孔38aに連通する供給通路48aと、水排出連通孔38bに連通する排出通路48bとが連通する。
アノード給電体42のアノード室46の底面に向かう面には、水流路部材50が配設される。水流路部材50には、供給通路48a及び排出通路48bに連通する水流路50aが設けられる。水流路50aは、図2中、互いに並列して水平方向に延在する複数本の溝部により構成される。
アノード室46には、アノード給電体42と、前記アノード給電体42と固体高分子電解質膜40との間に介装されるリング状の保護シート部材52とが配置される。保護シート部材52の詳細な説明は、後述する。
図2及び図3に示すように、カソードセパレータ36の固体高分子電解質膜40に向かう面36aには、略リング状に切り欠いてカソード室54が形成される。カソード室54には、カソード給電体44及び前記カソード給電体44を固体高分子電解質膜40に押圧させる荷重付与機構56が配置される。
荷重付与機構56は、皿ばね58を備えるとともに、前記皿ばね58は、皿ばねホルダ60を介してカソード給電体44に荷重を付与する。皿ばねホルダ60には、カソード給電体44に対向する面に高圧水素流路62が形成される。高圧水素流路62は、複数本の溝部を有し、カソード室54から水素排出通路48cを介して高圧水素連通孔38cに連通する。
図2〜図4に示すように、アノードセパレータ34の第1突出部37aには、水供給連通孔38aを周回して第1シール溝64aが形成される。アノードセパレータ34の第2突出部37bには、水排出連通孔38bを周回して第2シール溝64bが形成される。第1シール溝64aには、第1シール部材66aが配置される一方、第2シール溝64bには、第2シール部材66bが配置される。
面34aには、アノード室46の内側を周回して第3シール溝64cが形成され、前記第3シール溝64cには、第3シール部材66cが配置される。面34aには、アノード室46の外側を周回して第4シール溝64dが形成され、前記第4シール溝64dには、第4シール部材66dが配置される。
図2及び図3に示すように、カソードセパレータ36の第1突出部37aには、水供給連通孔38aを周回して第5シール溝64eが形成される。カソードセパレータ36の第2突出部37bには、水排出連通孔38bを周回して第6シール溝64fが形成される。第5シール溝64eには、第5シール部材66eが配置される一方、第6シール溝64fには、第6シール部材66fが配置される。カソードセパレータ36の面36aには、カソード室54の外方に位置して第7シール溝64gが形成される。第7シール溝64gには、第7シール部材(本実施形態のシール部材)66gが配置される。
第1シール部材66a〜第7シール部材66gには、例えば、EPDM、NBR、フッ素ゴム、シリコーンゴム、フロロシリコーンゴム、ブチルゴム、天然ゴム、スチレンゴム、クロロプレーン又はアクリルゴム等のシール材、クッション材、あるいはパッキン材等の弾性を有するシール部材が用いられる。
保護シート部材52は、内周位置がアノード給電体42及びカソード給電体44の内周位置よりも内方に配置されるとともに、外周位置が第7シール溝64gの外周位置近傍まで延在する。図5に示すように、保護シート部材52は、シール受け部として第7シール部材66gに対向する枠部68と、前記枠部68の内側に設けられ、複数の貫通孔70、70aが形成される貫通孔形成部72とを有する。貫通孔形成部72は、アノード電極触媒層42aに積層方向(矢印A方向)に対向する範囲の内側から外側に亘って貫通孔70、70aを有する。
第1の実施形態では、貫通孔形成部72は、アノード電極触媒層42aに積層方向に対向する範囲に設けられる触媒範囲部72aと、前記触媒範囲部72aの外方で且つ少なくともカソード室54に前記積層方向に対向する範囲に設けられる周辺部72bとを有する。周辺部72bは、第7シール部材66gが収容される第7シール溝64gに一部が跨って設けられ、最外周の貫通孔70aは、前記第7シール溝64g内に積層方向に対向する位置に設定される。
触媒範囲部72aに形成される複数の貫通孔70の配置密度は、周辺部72bに形成される複数の貫通孔70aの配置密度よりも大きい。さらに、触媒範囲部72aに形成される貫通孔70の開口径は、周辺部72bに形成される貫通孔70aの開口径よりも大きい。
図1に示すように、エンドプレート20aには、水供給連通孔38a、水排出連通孔38b及び高圧水素連通孔38cに連通する配管74a、74b及び74cが接続される。配管74cには、図示しないが、背圧弁(又は電磁弁)が設けられており、高圧水素連通孔38cに生成される水素の圧力を高圧に維持することができる。
このように構成される高圧水電解装置10の動作について、以下に説明する。
図1に示すように、配管74aから高圧水電解装置10の水供給連通孔38aに水が供給されるとともに、ターミナルプレート16a、16bの端子部24a、24bに電気的に接続されている電解電源28を介して電圧が付与される。このため、図3に示すように、各単位セル12では、水供給連通孔38aからアノードセパレータ34の水流路50aに水が供給され、この水がアノード給電体42内に沿って移動する。
従って、水は、アノード電極触媒層42aで電気により分解され、水素イオン、電子及び酸素が生成される。この陽極反応により生成された水素イオンは、固体高分子電解質膜40を透過してカソード電極触媒層44a側に移動し、電子と結合して水素が得られる。
このため、カソード給電体44の内部の水素流路に沿って水素が流動し、前記水素は、水供給連通孔38aよりも高圧に維持された状態で、高圧水素連通孔38cを流れて高圧水電解装置10の外部に取り出し可能となる。一方、反応により生成した酸素と未反応の水とは、水排出連通孔38bに沿って高圧水電解装置10の外部に排出される。
この場合、第1の実施形態では、図3及び図5に示すように、保護シート部材52は、複数の貫通孔70、70aが形成される貫通孔形成部72を有している。そして、貫通孔形成部72は、アノード電極触媒層42aに積層方向に対向する範囲の内側から外側に亘って貫通孔70aを有している。このため、高圧水素(例えば、1MPa〜70MPa)の製造が停止されてカソード室54が脱圧される際には、固体高分子電解質膜40に溶存する高圧水素は、貫通孔70aを通ってアノード室46側に容易且つ円滑に移動することができる。
図6に示すように、固体高分子電解質膜40では、水素圧力が増加するのに伴って、溶存する水素量が増加する。従って、図7に示すように、保護シート部材1にアノード電極触媒層42aに対向する範囲内にのみ貫通孔2が形成されていると、固体高分子電解質膜40が前記保護シート部材1に密着してしまう。これにより、カソード側の脱圧(減圧)時に、固体高分子電解質膜40に溶存する水素は、この固体高分子電解質膜40から脱け難くなる。
これに対して、第1の実施形態では、アノード電極触媒層42aに対向する範囲の外側にも貫通孔70aが設けられており、前記貫通孔70aを介して固体高分子電解質膜40内の溶存水素が円滑に離脱することができる。このため、固体高分子電解質膜40にブリスタが発生することを確実に阻止することが可能になる。
従って、簡単な構成で、脱圧時に、固体高分子電解質膜40に溶存する高圧水素を容易且つ円滑に排出することができ、前記固体高分子電解質膜40の耐久性を向上させることが可能になる。しかも、ブリスタが回避されるため、脱圧速度を上げることができる。これにより、高圧水電解装置10の脱圧時間を短縮することが可能になり、運転効率が良好に向上するという効果が得られる。
さらにまた、第1の実施形態では、貫通孔70は、固体高分子電解質膜40の差圧保持性及び電解性能から開口径が設定されている。一方、貫通孔70aは、水素ガスの抜け性から得られる最小開口率、すなわち、開口径及び間隔が設定されている。
具体的には、触媒範囲部72aに形成される複数の貫通孔70の配置密度は、周辺部72bに形成される複数の貫通孔70aの配置密度よりも大きく設定されている。さらに、触媒範囲部72aに形成される貫通孔70の開口径は、周辺部72bに形成される貫通孔70aの開口径よりも大きく設定されている。このため、所望のガス抜け性を維持するとともに、固体高分子電解質膜40の損傷を可及的に抑制することができるという効果が得られる。
図8は、本発明の第2の実施形態に係る高圧水電解装置80を構成する単位セル82の要部断面説明図を示す。なお、第1の実施形態に係る高圧水電解装置10と同一の構成要素には、同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。また、以下に説明する第3の実施形態においても同様に、その詳細な説明は省略する。
単位セル82は、アノード給電体42と固体高分子電解質膜40との間に介装されるリング状の保護シート部材84を備える。保護シート部材84では、周辺部72bに複数の貫通孔70bが設けられるとともに、前記貫通孔70bの開口径は、触媒範囲部72aに形成される貫通孔70の開口径と同一に設定される。触媒範囲部72aに形成される複数の貫通孔70の配置密度は、周辺部72bに形成される複数の貫通孔70bの配置密度よりも大きく設定される。
このように構成される第2の実施形態では、貫通孔70bの配置密度が貫通孔70の配置密度よりも小さく設定されるため、固体高分子電解質膜40が前記貫通孔70bにより撓むことを抑制することができる。従って、固体高分子電解質膜40の損傷を有効に抑制することが可能になるとともに、溶存水素が円滑に離脱するという効果が得られる。
図9は、本発明の第3の実施形態に係る高圧水電解装置90を構成する単位セル92の要部断面説明図を示す。
単位セル92は、アノード給電体42と固体高分子電解質膜40との間に介装されるリング状の保護シート部材94を備える。保護シート部材94では、周辺部72bに複数の貫通孔70cが設けられるとともに、前記貫通孔70cの開口径は、触媒範囲部72aに形成される貫通孔70の開口径よりも小さく設定される。触媒範囲部72aに形成される複数の貫通孔70の配置密度は、周辺部72bに形成される複数の貫通孔70cの配置密度と同一に設定される。
このように構成される第3の実施形態では、貫通孔70cの開口径が貫通孔70の開口径よりも小さく設定されるため、固体高分子電解質膜40が前記貫通孔70cにより撓むことを抑制することができる。従って、固体高分子電解質膜40の損傷を有効に抑制することが可能になるとともに、溶存水素が円滑に離脱するという効果が得られる。
10、80、90…高圧水電解装置 12、82、92…単位セル
14…積層体 28…電解電源
32…電解質膜・電極構造体 34…アノードセパレータ
36…カソードセパレータ 38a…水供給連通孔
38b…水排出連通孔 38c…高圧水素連通孔
40…固体高分子電解質膜 42…アノード給電体
42a…アノード電極触媒層 42e、68…枠部
44…カソード給電体 44a…カソード電極触媒層
46…アノード室 50a…水流路
52、84、94…保護シート部材 54…カソード室
56…荷重付与機構 62…高圧水素流路
66a〜66g…シール部材 70、70a〜70c…貫通孔
72…貫通孔形成部 72a…触媒範囲部
72b…周辺部

Claims (3)

  1. 一方の面にアノード触媒部が設けられ、他方の面にカソード触媒部が設けられる電解質膜と、
    前記アノード触媒部に積層されるアノード給電体及び前記カソード触媒部に積層されるカソード給電体と、
    前記アノード給電体に積層されるアノードセパレータ及び前記カソード給電体に積層されるカソードセパレータと、
    前記電解質膜と前記アノード給電体との間に介装される保護シート部材と、
    前記カソードセパレータ内に形成され、前記カソード触媒部及び前記カソード給電体を収容するとともに、水の電気分解によりアノード側で生成される酸素よりも高圧な水素が生成されるカソード室と、
    前記カソード室の外方に位置し、前記電解質膜と前記カソードセパレータとの間に配置されるシール部材と、
    を備える高圧水電解装置であって、
    前記保護シート部材は、シール受け部として前記シール部材に積層方向に対向する枠部と、
    前記枠部の内側に設けられ、複数の貫通孔が形成される貫通孔形成部と、
    を有するとともに、
    前記貫通孔形成部は、前記アノード触媒部に前記積層方向に対向する範囲の内側から外側に亘って前記貫通孔を有することを特徴とする高圧水電解装置。
  2. 請求項1記載の高圧水電解装置において、前記貫通孔形成部は、前記アノード触媒部に前記積層方向に対向する範囲に設けられる触媒範囲部と、
    前記触媒範囲部の外方で且つ少なくとも前記カソード室に前記積層方向に対向する範囲に設けられる周辺部と、
    を有し、
    前記触媒範囲部に形成される前記貫通孔の配置密度は、前記周辺部に形成される前記貫通孔の配置密度よりも大きいことを特徴とする高圧水電解装置。
  3. 請求項1記載の高圧水電解装置において、前記貫通孔形成部は、前記アノード触媒部に前記積層方向に対向する範囲に設けられる触媒範囲部と、
    前記触媒範囲部の外方で且つ少なくとも前記カソード室に前記積層方向に対向する範囲に設けられる周辺部と、
    を有し、
    前記触媒範囲部に形成される前記貫通孔の開口径は、前記周辺部に形成される前記貫通孔の開口径よりも大きいことを特徴とする高圧水電解装置。
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