JP5768757B2 - 機械構造用鋼 - Google Patents
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Description
・切削時に使用する工具の摩耗による交換までの期間が長いこと、すなわち工具寿命が長いこと、
・切削時に排出される切りくずが細かく分断されること、
・切削抵抗が低いこと、
・切削面や研削面の仕上がりが良好であること、
などを意味する。
ただし、上記の不等式におけるCaOは、酸化物系介在物の平均組成における質量%でのCaO濃度を意味し、また、Oは、質量%でのOの鋼中含有量を意味する。
C:0.15〜0.65%
Cは、鋼の強度にかかわる性質を支配する重要な元素であり、その含有量は、通常、機械的性質を考慮して決定される。Cの含有量が0.15%を下回ると機械構造部品としての機械的性質が得られず、一方、0.65%を超えると強度が上昇し工具寿命の低下が著しくなり、所望の被削性が得られない。したがって、Cの含有量を0.15〜0.65%とした。機械構造部品としての機械的性質や硬さ等の強度特性に加え、被削性を安定して得るためには、Cの含有量は0.20%以上であることが好ましく、また、0.50%以下であることが好ましい。
Siは、強度を高める元素であり、溶鋼中での脱酸効果もある。しかし、その含有量が0.10%未満ではその効果が期待できない。一方、Siを1.50%を超えて含有させると硬さが上昇し、特に軟質なフェライトに固溶しやすく剪断変形抵抗を高め被削性を低下させる。したがって、Siの含有量を0.10〜1.50%とした。良好な被削性を安定して得るためには、Siの含有量は0.15%以上とすることが好ましく、また、1.00%以下とすることが好ましい。
Mnは、被削性向上に大きな効果をもたらす硫化物系介在物を形成させるために重要な元素であり、溶鋼の脱酸効果もある。その上、被削性の向上を目的としてSを含有させる際に、鋼の熱間加工性の劣化を抑止する作用があるが、そのためには0.5%以上のMnを含有させる必要がある。しかし、Mnの含有量が2.0%を超えると切削抵抗が増す。したがって、Mnの含有量を0.5〜2.0%とした。なお、熱処理して用いる鋼の場合、Mnは焼入れ性に大きく寄与する元素であり、この目的のための含有量は上記範囲内で適宜選定すればよい。その際、Mnの含有量は0.7%以上であることがより好ましく、また、1.5%以下であることがより好ましい。
Pは、不純物として含有される元素である。また、Pは、固溶強化効果があり、焼入れ性を向上させる効果もある、しかしながら、Pの含有量が高くなると鋼の靱性を劣化させる。このため、Pの含有量は悪影響が顕著でない範囲として0.05%以下とした。上記の効果を発揮させる場合、Pの含有量は0.005%以上であることが好ましく、また、0.02%以下であることが好ましい。
Sは、被削性を向上させるために必要な元素で、Mnなどと結合して、硫化物系介在物の形で存在させる。Sの含有量が0.030%以下では被削性向上の効果は得られず、逆に含有量が多すぎると、粗大なMnSにより熱間加工性の低下、鋼の疲労強度や靱性の劣化をきたす。したがって、上限を設け、Sの含有量は0.030%を超えて0.15%以下とした。この範囲であれば良好な被削性と機械的性質が得られるが、さらに被削性と機械構造用鋼としての機械的性質を安定に確保するためには、Sの含有量は0.035%以上とすることが好ましく、また、0.10%以下とすることが好ましい。熱処理などを施し、さらに機械構造用鋼として適切な機械的特性と被削性を両立させるためには、Sの含有量は0.04%以上であることが好ましく、また、0.08%以下であることが好ましい。
Crは、鋼の強度を向上させる効果があり、機械構造用鋼の高強度化には有効である。高強度化のためには、0.02%以上のCrを含有させる必要があるが、2.0%を超えると上記の効果が飽和するばかりでなく逆に被削性を劣化させる。したがって、Crの含有量は0.02〜2.0%とした。強度を高めより被削性を安定させるためには、Crの含有量は0.05%以上とすることが好ましく、また、1.5%以下とすることが好ましい。
本発明では、Al添加による積極的な脱酸は行わない。しかし、微量のAlでも鋼中にAl2O3を生成し、鋼中に生じるAl2O3は硬いため、耐工具摩耗性を低下させる。よって、Al2O3が多くならないようにAl含有量は0.005%以下とした。Alの含有量は少なければ少ないほど好ましい。
Caは、O(酸素)およびSとの反応性が高く、溶鋼中で酸化物系介在物および硫化物系介在物を形成する。Caは、Al2O3と複合の酸化物系介在物を形成することで酸化物系介在物の融点を下げることができるので、切削時の工具表面で軟質化して、工具摩耗の進行を抑える効果を有する。上記の効果を得るには、0.0005%を超えるCa含有量が必要である。しかし、Caの含有量が0.0040%を超えると、粗大な酸化物系介在物の割合が増加し、この粗大な酸化物系介在物を起点として疲労特性が劣化する。したがって、Caの含有量は0.0005%を超えて0.0040%以下とした。疲労特性を劣化させることなくより被削性を安定させるためには、Caの含有量は0.0010%以上とすることが好ましく、また、0.0030%以下とすることが好ましい。
Mgは、O(酸素)およびSとの反応性が高く、溶鋼中で酸化物系介在物および硫化物系介在物を形成する。Mgは、上記のCaと同様の作用効果に加え、Al2O3と複合の酸化物系介在物を形成し、その組成をメリライトとすることで、酸化物系介在物の融点をさらに下げることができる。このため、切削時の工具表面で軟質化して、工具摩耗の進行を抑える効果を有する。上記の効果を得るには、0.0001%以上のMg含有量が必要である。しかし、Mgの含有量が0.0010%を超えると、メリライトである酸化物系介在物内に第二相が形成されて硬質化するため、却って被削性が低下する。したがって、Mgの含有量は0.0001〜0.0010%とした。なお、より軟質な酸化物系介在物を確保し被削性を安定させるためには、Mg含有量の上限は0.0006%とすることが好ましい。
N(窒素)は、鋼がTi、Nbを含有しない場合には、鋼中に固溶状態で存在し、この場合は固溶Nによる動的歪み時効の発現により、切削加工中の変形抵抗が増加して、切削抵抗が増大する。このため、N含有量が過剰になると、特にドリル加工の際に工具寿命が低下する。一方、鋼にTiやNbが含有される場合には、これらの元素とNおよびCが結合して、鋼中に炭窒化物を形成し、固溶Nが低減するとともに、この炭窒化物によって鋼のミクロ組織が微細化し機械的特性を安定化させる効果が得られるが、N含有量が過剰になると、硬質な窒化物を多量に形成し、耐工具摩耗性を低下させる。したがって、鋼がTi、Nbを含有するしないに拘わらず、Nの含有量を0.030%以下とした。
O(酸素)は、鋼中の酸化物系介在物の量に影響し、延いてはベラーグの形成に影響を及ぼす。ベラーグ形成に有効な酸化物系介在物の量を得るためには、0.0020%を超えるO含有量が必要である。しかし、Oの含有量が0.0060%を超えると、酸化物系介在物の量が多くなりすぎてベラーグ形成による被削性改善効果が飽和するし、鋼の清浄性も低下する。したがって、Oの含有量は0.0020%を超えて0.0060%以下とした。
Vは、微細な窒化物や炭窒化物として析出し、鋼の強度を向上させる元素であるので、必要に応じて含有させてもよい。しかし、Vの含有量が0.30%を超えると、上記の効果が飽和するばかりでなく、窒化物や炭化物が多く生成しすぎて鋼の被削性、特に耐工具摩耗性の劣化をきたす。したがって、含有させる場合のVの含有量は0.30%以下とした。
Tiは、鋼中に炭窒化物を形成し、鋼のミクロ組織の微細化による機械的特性の安定化に効果がある元素であるので、必要に応じて含有させてもよい。しかし、Tiの含有量が0.040%以上では、硬質な窒化物(TiN)が増量または粗大化するため、耐工具摩耗性を低下させる。したがって、含有させる場合のTiの含有量は0.040%未満とした。
Nbは、鋼中に炭窒化物を形成し、鋼のミクロ組織の微細化による機械的特性の安定化効果がある元素であるので、必要に応じて含有させてもよい。しかし、Nbの含有量が0.050%を超えると、硬質な窒化物(NbN)が増量または粗大化するため、耐工具摩耗性を低下させる。したがって、含有させる場合のNbの含有量は0.050%以下とした。
Moは、焼入れや表面硬化処理などの熱処理を行う場合に焼入れ性を向上させ、靱性を向上させる効果がある元素であるので、必要に応じて含有させてもよい。しかし、0.50%を超えるMoを含有させても上記の効果が飽和するし、コストも上昇する。したがって、含有させる場合のMoの含有量は0.50%以下とした。
本発明の機械構造用鋼において、酸化物系介在物の平均組成は、CaO:10.0〜50.0%、SiO2:20.0〜50.0%、Al2O3:20.0〜45.0%、MgO:1.0〜10.0%、MnO:0〜2.0%の範囲でなければならない。
本発明の機械構造用鋼は、CaO×O×104≧550でなければならない。ただし、上記の不等式におけるCaOは、酸化物系介在物の平均組成における質量%でのCaO濃度を意味し、また、Oは、質量%でのOの鋼中含有量を意味する。
〈1〉真空溶解炉で13.3KPa(100Torr)の雰囲気で電解鉄と炭素を完全に溶かした後、脱ガス処理を実施せず、炉内をArガスで置換して、53.3KPa(400Torr)の雰囲気にした。
〈1’〉真空溶解炉で13.3KPa(100Torr)の雰囲気で電解鉄と炭素を完全に溶かした後、脱ガス処理として、さらに133Paまで減圧し、その状態を15分保持した。その後、炉内をArガスで置換して53.3KPa(400Torr)の雰囲気にした。
〈1’〉真空溶解炉で13.3KPa(100Torr)の雰囲気で電解鉄と炭素を完全に溶かした後、脱ガス処理として、さらに133Paまで減圧し、その状態を15分保持した。その後、炉内をArガスで置換して53.3KPa(400Torr)の雰囲気にした。
Claims (4)
- 質量%で、C:0.15〜0.65%、Si:0.10〜1.50%、Mn:0.5〜2.0%、P:0.05%以下、S:0.030%を超えて0.15%以下、Cr:0.02〜2.0%、Al:0.005%以下、Ca:0.0005%を超えて0.0040%以下、Mg:0.0001〜0.0010%、N:0.030%以下およびO:0.0020%を超えて0.0060%以下を含有し、残部はFeおよび不純物からなり、酸化物系介在物の平均組成が、質量%で、CaO:10.0〜50.0%、SiO2:20.0〜50.0%、Al2O3:20.0〜45.0%、MgO:1.0〜10.0%、MnO:0〜2.0%の範囲であって、さらに、CaO×O×104≧550であることを特徴とする機械構造用鋼。
ただし、上記の不等式におけるCaOは、酸化物系介在物の平均組成における質量%でのCaO濃度を意味し、また、Oは、質量%でのOの鋼中含有量を意味する。 - Feの一部に代えて、質量%で、V:0.30%以下を含有することを特徴とする請求項1に記載の機械構造用鋼。
- Feの一部に代えて、質量%で、Ti:0.040%未満およびNb:0.050%以下の1種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の機械構造用鋼。
- Feの一部に代えて、質量%で、Mo:0.50%以下を含有することを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の機械構造用鋼。
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