JP5459197B2 - 機械構造用合金鋼鋼材 - Google Patents

機械構造用合金鋼鋼材 Download PDF

Info

Publication number
JP5459197B2
JP5459197B2 JP2010278851A JP2010278851A JP5459197B2 JP 5459197 B2 JP5459197 B2 JP 5459197B2 JP 2010278851 A JP2010278851 A JP 2010278851A JP 2010278851 A JP2010278851 A JP 2010278851A JP 5459197 B2 JP5459197 B2 JP 5459197B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ferrite
less
chip
steel
content
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2010278851A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2012126953A (ja
Inventor
宏二 渡里
秀樹 今高
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2010278851A priority Critical patent/JP5459197B2/ja
Publication of JP2012126953A publication Critical patent/JP2012126953A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5459197B2 publication Critical patent/JP5459197B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、機械構造用合金鋼鋼材に関し、詳しくは、切削加工における被削性、なかでも切りくず処理性に優れた、機械構造用合金鋼鋼材に関する。
より詳しくは、本発明は、例えば産業機械、自動車などに用いるギヤ、シャフトなど、その製造工程で切削加工が施される部品を製造する際の切りくず処理性に優れた、機械構造用合金鋼鋼材に関する。
産業機械、自動車などの部品のなかで、例えばギヤなどの素材としては、JISに規定されたクロム鋼であるSCr420、クロムモリブデン鋼であるSCM420などに代表される機械構造用合金鋼鋼材が広く用いられている。また、これらの鋼材の規定諸成分量を多少変更した鋼材も使用されている。
これらの鋼材は、多くの場合、次の工程で部品に加工される。
圧延によって棒鋼に加工し、次いで、焼準、焼鈍などの熱処理により硬さ、組織などを調整し、さらに鍛造などによって製品形状に近い状態に塑性加工を行った後、切削工程により所定の形状に加工する。
その後、必要とされる特性に応じて浸炭などの表面処理を施し、仕上げのために研削加工などを実施して最終部品とする。
上記の工程のうち切削工程における生産能率向上のためには、「被削性」の向上が強く望まれる。
一般に「被削性が優れる」とは、
・切削時に使用する工具の摩耗が少なく、工具の寿命が長いこと、
・切削時に排出される切りくずが細かく分断されており、切りくず処理性に優れること、
・加工の際に工具に作用する力である切削抵抗が低いこと、
・切削面および研削面の仕上がりが良好であること、
などを意味する。
上記の「被削性」は、切削条件、工具材質、形状など切削方法の適正化で対応されることが多いが、鋼材そのものの特性に支配される場合もある。
切削工程において作業の無人化あるいは自動化が進むと、上記の特性のうち、特に切りくず処理性の向上が重要となる。
切りくず処理性が低いと、例えば、長く繋がった切りくずが生じ、その切りくずが工具および加工中の製品に絡まり、製品の表面にキズをつけることによって、製品の仕上げ精度が低下して歩留まりが低くなる、といった極めて重要な問題が生じるからである。
一般に、鋼材の切りくず処理性は、Pbを含有させることにより向上することがよく知られている。しかしながら、Pbの含有は、鋼材価格が上昇するし、環境汚染を招くという問題もある。
そこで、Pbを含有させずに鋼材の切りくず処理性を改善する技術の研究が進められてきた。
その代表的なものは、硫化物系介在物であるMnSの活用による被削性改善技術であり、その技術に関して多くの検討がなされ、実用化されているものもある。
しかし、機械構造用合金鋼鋼材に関しては、その生産上の特徴から冷間鍛造を実施する場合があり、その際、MnSが鍛造時の割れの起点になることがある。また、ギヤなどの部品は、耐ピッチング性に代表される疲労特性に優れることが必要であるが、MnSは疲労破壊の起点となる場合がある。そのため、Sの多量の含有は避ける場合が多い。
このように、機械構造用合金鋼鋼材においては、介在物を積極的に活用することはせずに切りくず処理性を改善することが強く望まれている。
MnSの活用によるものも含め、機械構造用合金鋼鋼材の被削性を改善する技術が、例えば、特許文献1〜3に提案されている。
具体的には、特許文献1に、C:0.03〜0.25%、Si:0.50%以下、Mn:0.55〜3.00%、Cr:0.30〜1.50%、S:0.035%以下、P:0.015%以下、Al:0.015〜0.06%およびN:0.004%超え0.03%以下を含有し、さらに必要に応じて、Cu、Ni、Mo、V、Ti、Nb、B、Ca、ZrおよびTeのうちの1種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、Ceq=C+(1/20)Si+(1/20)Mn+(1/20)Cr+(1/25)Mo+(33/100)V(%)で表わされるCeqが0.50%以下で、かつ〔表面硬化処理後の表面C(%)〕×Cr(%)≦1.2であることを特徴とする「肌焼鋼」が開示されている。
特許文献2には、化学成分組成が、質量%で、C:0.3%以下、Si:0.3%以下、Mn:1.5%以下、P:0.02%以下、S:0.02%以下、Al:0.06%以下およびN:0.03%以下に加えて、Cr:3%以下、Mo:1.5%以下およびV:1.5%以下のうちの1種以上を含有し、さらに必要に応じて、Ti、Nb、Cu、Ni、Ca、Zr、PbおよびBのうちの1種以上を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物であり、(フェライト+パーライト)の面積率が75%以上であり、かつフェライトの平均粒径が40μm以下およびパーライトの平均粒径が30μm以下であることを特徴とする「冷間鍛造用肌焼鋼」が開示されている。
特許文献3には、質量%で、C:0.10〜0.35%、Si:0.03〜0.35%、Mn:0.20〜2.0%、S:0.003〜0.30%、Al:0.010〜0.05%およびN:0.010〜0.025%を含有し、さらに必要に応じて、Cr、Mo、Nb、Pb、Bi、Te、CaおよびSeのうちの1種以上を含有し、残部Feおよび不可避不純物よりなる鋼において、840〜930℃に加熱し、730〜650℃の温度区間を徐冷温度域として15〜50℃/hの冷却速度で冷却することを特徴とするフェライトおよびパーライトの2相組織からなり「冷間加工性および結晶粒度特性に優れた肌焼鋼の製造方法」が開示されている。
特開平7−179990号公報 特開平11−12684号公報 特開2002−146438号公報
特許文献1で開示されている鋼は、ハイス工具によるホブ加工時の工具摩耗量という点では被削性に優れているとされている。しかし、ホブ加工の機構そのものが断続切削という、切りくずが長くならない加工、すなわち切りくず処理性が重要視されない加工である。また、C、Si、SおよびCrの含有量が適切でない。したがって、特許文献1で開示されている鋼は、切りくず処理性について改善されているものではない。
特許文献2に開示されている鋼は、冷間鍛造後に浸炭処理を行うことを前提としたものである。このため、セメンタイトの球状化を目的とした処理(例えば、「焼鈍」などの処理で、以下「球状化処理」という。)の迅速化が達成できて冷間鍛造性に優れるものの、切りくず処理性に劣る。
特許文献3に開示された方法で製造された鋼は、冷間加工後に浸炭処理を行うことを前提としているものであり、浸炭時の混粒発生はしにくいものの、切削加工中の切りくず処理性の低下を必ずしも抑制できるものではない。
上述のように、従来提案されている機械構造用合金鋼鋼材はいずれも、良好な被削性、特に切りくず処理性を確保できるものではなかった。
また、上記の各特許文献に開示されている鋼は、いずれも、被削性の改善手法が介在物の活用であり、機械構造用合金鋼に代表される肌焼鋼の切りくず処理性を本質的に改善するものではなかった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたもので、被削性、なかでも、切りくず処理性に優れ安定した被削性を確保できる機械構造用合金鋼鋼材を提供することを目的とする。
機械構造用合金鋼鋼材の被削性について、特に切りくず処理性の改善については、合金成分および組織形態からの検討はあまりなされていない。
そこで本発明者らは、機械構造用合金鋼鋼材について、その切りくず処理性を改善するため、鋼材の機械的特性、合金成分およびミクロ組織と被削性との関係を詳細に調査した。
その結果、下記(i)〜(vi)の知見を得た。
(i)切削加工前の球状化処理の条件が同じ場合、図1に示すように、Siの含有量を増加させると切りくずが分断しやすくなって切りくず処理性が改善する。なお、図1の(a)および(b)は、いずれも基本の成分系が、質量%で、0.2%C−0.8%Mn−1.25%Crである鋼材について、Siの含有量をそれぞれ、0.08%および0.5%に変えて切削加工した場合の切りくず形態を示す図である。
(ii)Siの含有量が増えると応力歪み曲線から得られる降伏強さと最大強さの比(いわゆる「降伏比」)が小さくなる。なお、上記は、切りくず形態と鋼材の機械的特性との関係を理解するために、切りくず生成時の変形がせん断的であることに着目し、図2に示す形状の円筒ねじり試験片を用いたねじり試験を実施し、鋼材の変形特性を検討した結果判明した事項である。
(iii)上記(ii)は、切削加工中の切りくず形成の際に連続して起こるせん断歪みが低い応力で発生する結果、被切削加工材である鋼材の硬さが同等、あるいは高くなる場合においても切削抵抗が減少することを意味する。
(iv)一般に切削抵抗が減少するときは、切りくずの厚さが薄くなる傾向にあり、これは、切りくず生成時のせん断角が大きくなっていることを意味する。したがって、切削抵抗が低い場合に、切りくず厚さがほぼ一定となる理想的な切りくず(いわゆる「流れ型切りくず」)の形成が促進され、切削時の切りくずの制御が容易となり、所望の分断しやすい切りくず形状が得られる。
(v)鋼材の組織が、フェライトおよび球状化セメンタイトからなり、フェライトの粒内に含まれる球状化セメンタイトの個数が特定の値以下であって、かつ、該特定の値以下の球状化セメンタイトを含むフェライトの面積率が特定の範囲にあれば、切りくずが分断しやすくなって切りくず処理性が向上する。
(vi)上記(v)に記載の鋼材組織を得るためには、球状化処理前の鋼材の組織をフェライトとパーライトの混合組織(以下、「フェライト・パーライト組織」という。)とすればよい。
本発明者らは、上記の知見を踏まえてさらに、Sの含有量を極力抑え、上述のねじり試験における降伏比を下げることにより、切りくず処理性を向上させることを目的に、Si以外の合金元素の含有量およびミクロ組織の影響を詳細に調査した。
その結果、各種合金元素の含有量およびミクロ組織が切りくず処理性に及ぼす影響が明確になった。
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は、下記(1)〜(4)に示す機械構造用合金鋼鋼材にある。
(1)質量%で、
C:0.15〜0.25%、
Si:0.30〜0.70%、
Mn:0.7〜1.3%、
S:0.002〜0.012%、
Cr:1.20〜1.70%、
Al:0.005〜0.035%および、
N:0.010〜0.025%
を含有し、残部はFeおよび不純物からなり、不純物中のPおよびOがそれぞれ、
P:0.020%以下、
O:0.0020%以下
であり、
組織が、フェライトおよび球状化セメンタイトからなり、該フェライトのうちで球状化セメンタイトを含まないフェライトが、組織の面積の30〜60%を占める、
ことを特徴とする、機械構造用合金鋼鋼材。
(2)Feの一部に代えて、質量%で、
Mo:0.14%以下、
Ni:0.10%以下および、
Cu:0.20%以下
のうちの1種以上を含有することを特徴とする、上記(1)に記載の機械構造用合金鋼鋼材。
(3)Feの一部に代えて、質量%で、
Nb:0.050%以下
を含有することを特徴とする、上記(1)または(2)に記載の機械構造用合金鋼鋼材。
(4)Feの一部に代えて、質量%で、
Ca:0.0030%以下
を含有することを特徴とする、上記(1)から(3)までのいずれかに記載の機械構造用合金鋼鋼材。
残部としての「Feおよび不純物」における「不純物」とは、鉄鋼材料を工業的に製造する際に、原料としての鉱石、スクラップ、または製造環境などから混入するものを指す。
本発明において、「球状化セメンタイト」とは、走査型電子顕微鏡(以下、「SEM」という。)による倍率1000倍での観察で、明確にセメンタイトと判断でき、かつ長径が10μm以下であるセメンタイトのことを指す。
フェライトとセメンタイトが層状で構成されるパーライト組織に対し、そのセメンタイトが球状化処理等によって単に分断され、層状の形態が明瞭でなく崩れているものも、上記の長径を満たせば、本発明でいう「球状化セメンタイト」とみなす。
また、仮に明確に層状に並んでいるものが存在していても、同様に上記長径を満たせば、その層の数に関係なくこれらも全て「球状化セメンタイト」とみなす。
「球状化セメンタイトを含まないフェライト」とは、該フェライトの粒内に含まれる上記規定の球状化セメンタイトが、20個以下であるものを指す。
図3に示すように、フェライトの粒界に沿って存在している球状化セメンタイトは「フェライト粒内の球状化セメンタイト」ではないので、「フェライトの粒内に含まれる球状化セメンタイト」としてはカウントしない。
なお、図3は、倍率を1000倍として、SEMによって、球状化処理後のミクロ組織を観察した結果の一例を示すものである。図中の[a]、[b]および[c]はそれぞれ、「球状化セメンタイトを含まないフェライト」、「球状化セメンタイトを含むフェライト」および、フェライトの粒界に沿って存在している「フェライト中に含まれない球状化セメンタイト」を示す。
本発明の機械構造用合金鋼鋼材は、MnSなどの介在物を積極的に活用しないにもかかわらず被削性に優れている。特に、機械構造用合金鋼鋼材の対象部品に代表されるギヤなどの切削加工を必要とする部品の素材としてこの鋼材を使用することにより、その部品の製造コストを大幅に低下させることができる。
Siの含有量を増加させると切りくずが分断しやすくなって切りくず処理性が改善することを説明する図である。なお、図1の(a)および(b)は、いずれも基本の成分系が、質量%で、0.2%C−0.8%Mn−1.25%Crである鋼材について、Siの含有量をそれぞれ、0.08%および0.5%に変えて切削加工した場合の図である。 実施例で用いた円筒ねじり試験片の形状を示す図である。 倍率を1000倍として、SEMによって、球状化処理後のミクロ組織を観察した結果の一例を示す図である。図中の[a]、[b]および[c]はそれぞれ、「球状化セメンタイトを含まないフェライト」、「球状化セメンタイトを含むフェライト」および、フェライトの粒界に沿って存在している「フェライト中に含まれない球状化セメンタイト」を示す。 所望の鋼材組織を得るための「球状化処理」のヒートパターンの一例を示す図である。なお、実施例においては、この図4に示すヒートパターンで球状化処理を実施した。
以下、本発明の各要件について詳しく説明する。なお、各元素の含有量の「%」は「質量%」を意味する。
(A)鋼材の化学組成:
C:0.15〜0.25%
Cは、機械構造部品の強度確保のために必須の元素であり、0.15%以上の含有量が必要である。しかしながら、Cの含有量が多すぎると硬さが大きくなって被削性の低下を招き、特に、その含有量が0.25%を超えると、硬さの上昇とともに、フェライト量が減少することで切りくずの形成を不安定化し、切りくず処理性の低下を招く。したがって、Cの含有量を0.15〜0.25%とした。Cの含有量は0.17%以上であることが好ましく、また、0.23%以下であることが好ましい。
Si:0.30〜0.70%
Siは、本発明において重要な元素の一つであり、被削性における切りくず処理性を向上させる作用を有する。Siは、含有量とともに硬さは増加させるが、せん断強度特性における降伏比の上昇を防ぐ効果がある。これは、切りくず形成について、切削加工中に連続して起こるせん断歪みが低い応力で発生する結果、被切削加工材である鋼材の硬さが同等、あるいは高くなる場合においても切削抵抗が減少することを意味し、切削抵抗の減少によって、切りくず厚さの変動が抑制されることになるので、理想的な形態の切りくずが得られる。この効果を得るには、0.30%以上のSiを含有する必要がある。しかしながら、Siの含有量が0.70%を超えると、硬さが大きくなりすぎ、却って切りくずが折れにくくなり、また切削抵抗の上昇や工具摩耗量の増加など他の被削性低下要因となる。したがって、Siの含有量を0.30〜0.70%とした。Si含有量の上限は0.55%とすることが好ましい。
Mn:0.7〜1.3%
Mnは、焼入れ性を向上させて強度を調整する作用を有する。これらの効果を得るには、0.7%以上のMn含有量が必要である。しかしながら、Mnの含有量が1.3%を超えると、焼入れ性が高まって、フェライト量の減少、延いてはベイナイト組織の形成をきたす。このため、球状化セメンタイトを含まないフェライトの、組織の面積に占める割合が減少して切りくずの形成が不安定になり、切りくず処理性の低下を招く。したがって、Mnの含有量を0.7〜1.3%とした。Mnの含有量は0.8%以上であることが好ましく、また、1.2%以下であることが好ましい。
S:0.002〜0.012%
Sは、Mnと結合してMnSを形成し、被削性を向上させる作用があるので0.002%以上含有させる。しかしながら、Sの含有量が0.012%を超えると、冷間鍛造性および械構造部品に要求される耐疲労特性(例えば曲げ疲労強度、ピッチング強度など)が低下し、さらに製品歩留まりも低下する。したがって、Sの含有量を0.012%とした。なお、Sの含有量は0.008%未満とすることが好ましい。
Cr:1.20〜1.70%
Crは、焼入れ性を向上させて強度を調整する作用を有する。こうした効果を得るには、1.20%以上のCrを含有する必要がある。しかしながら、Crの含有量が1.70%を超えると、焼入れ性が高まって、フェライト量の減少、延いてはベイナイト組織の形成をきたす。このため、球状化セメンタイトを含まないフェライトの、組織の面積に占める割合が減少して切りくずの形成が不安定になり、切りくず処理性の低下を招く。したがって、Crの含有量を1.20〜1.70%とした。Crの含有量は1.25%以上であることが好ましく、また、1.60%以下であることが好ましい。
Al:0.005〜0.035%
Alは、脱酸作用を有する。また、Alには、Nと結合してAlNを形成し、結晶粒を微細化して鋼を強化する作用もある。しかしながら、Alの含有量が0.005%未満では、前記の効果を得難い。一方、Alの含有量が0.035%を超えると、硬質で粗大なAlが形成される。この硬質で粗大なAlが砥粒の様な機能を有し、工具表面を削り取る、いわゆる「アブレシブな作用」を有するため、工具摩耗が増大して工具寿命の低下を招く。したがって、Alの含有量を0.005〜0.035%とした。なお、Al含有量の好ましい下限は0.015%であり、また、好ましい上限は0.025%である。
N:0.010〜0.025%
Nは、窒化物を形成することにより結晶粒を微細化させ、曲げ疲労強度を向上させる効果を有する。この効果を得るには、Nを0.010%以上含有する必要がある。しかしながら、Nの含有量が過剰になると、粗大な窒化物を形成して靱性の低下を招き、特に、その含有量が0.025%を超えると、靱性の低下が著しくなる。したがって、Nの含有量を0.010〜0.025%とした。なお、Nは0.015%を超えて含有することが好ましく、また、その含有量の上限は0.020%とすることが好ましい。
本発明の機械構造用合金鋼鋼材の一つは、上記元素のほか、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有するものである。
既に述べたように、「Feおよび不純物」における「不純物」とは、鉄鋼材料を工業的に製造する際に、原料としての鉱石、スクラップ、または製造環境などから混入するものを指す。
なお、本発明においては、不純物中のPおよびO(酸素)は、その含有量をそれぞれ、P:0.020%以下、O:0.0020%以下に制限する必要がある。
以下、このことについて説明する。
P:0.020%以下
Pは、鋼に含有される不純物であり、結晶粒界に偏析して鋼を脆化させる。特に、その含有量が0.020%を超えると、脆化の程度が著しくなる。したがって、本発明においては、不純物中のPの含有量を0.020%以下とした。なお、不純物中のPの含有量は0.010%以下とすることが好ましい。
O:0.0020%以下
O(酸素)は、鋼中のSi、Alなどと結合して、酸化物を生成する。酸化物のうちでも、特に、Alは硬質であるため、被削性を低下させる。したがって、本発明においては、不純物中のOの含有量を0.0020%以下とした。
本発明の機械構造用合金鋼鋼材の化学組成の他の一つは、Feの一部に代えて、Mo、Ni、Cu、Nb、およびCaのうちから選択される1種以上の元素を含有するものである。
以下、任意元素である上記Mo、Ni、Cu、NbおよびCaの作用効果と、含有量の限定理由について説明する。
Mo:0.14%以下
Moは、焼入れ性を向上させ、これによって強度を調整する作用を有するので、上記の効果を得るためにMoを含有させてもよい。しかしながら、Moの含有量が多くなって0.14%を超えると、焼入れ性の向上が過剰になって、フェライト量の減少、延いてはベイナイト組織の形成をきたす。このため、球状化セメンタイトを含まないフェライトの、組織の面積に占める割合が減少して切りくずの形成が不安定になり、切りくず処理性の低下を招く。したがって、含有させる場合のMoの量に上限を設け、0.14%以下とした。
一方、前記したMoの効果を安定して得るためには、含有させる場合のMoの量は0.05%以上であることが好ましい。
Ni:0.10%以下
Niは、焼入れ性を向上させ、これによって強度を調整する作用を有するので、上記の効果を得るためにNiを含有させてもよい。しかしながら、Niの含有量が多くなって0.10%を超えると、焼入れ性の向上が過剰になって、フェライト量の減少、延いてはベイナイト組織の形成をきたす。このため、球状化セメンタイトを含まないフェライトの、組織の面積に占める割合が減少して切りくずの形成が不安定になり、切りくず処理性の低下を招く。したがって、含有させる場合のNiの量に上限を設け、0.10%以下とした。
一方、前記したNiの効果を安定して得るためには、含有させる場合のNiの量は0.02%以上であることが好ましい。
Cu:0.20%以下
Cuは、焼入れ性、なかでも浸炭時の焼入れ性を高める作用を有するので、上記の効果を得るためにCuを含有させてもよい。しかしながら、Cuは高価な元素であるとともに、含有量が多くなると熱間加工性の低下を招き、特に、0.20%を超えると、熱間加工性の低下が著しくなる。また、Cuの含有量が多くなって0.20%を超えると、焼入れ性の向上が過剰になって、フェライト量の減少、延いてはベイナイト組織の形成をきたす。このため、球状化セメンタイトを含まないフェライトの、組織の面積に占める割合が減少して切りくずの形成が不安定になり、切りくず処理性の低下を招くことにもなる。したがって、含有させる場合のCuの量に上限を設け、0.20%以下とした。含有させる場合のCuの量は、0.08%以下であることが好ましい。
一方、前記したCuの効果を安定して得るためには、含有させる場合のCuの量は0.02%以上であることが好ましい。
上記のMo、NiおよびCuは、そのうちのいずれか1種のみ、または、2種以上の複合で含有させることができる。これらの元素の合計含有量は0.44%であってもよいが、0.32%以下であることが好ましい。
Nb:0.050%以下
Nbは、CおよびNと結合して微細な炭化物、窒化物、炭窒化物を形成し、熱間鍛造、焼ならしなどの加熱時に、それらのピンニング作用により、オーステナイト結晶粒の成長を抑制することで、製品の結晶粒を微細化し、機械構造部品に要求される耐疲労特性、特に曲げ疲労強度を向上させる効果を有する。このため、上記の効果を得るためにNbを含有させてもよい。しかしながら、Nbの含有量が過剰になると熱間延性の低下を招き、特に、その含有量が0.050%を超えると、熱間延性の低下が著しくなって、熱間圧延および熱間鍛造の際に表面キズが発生しやすくなる。さらに、微細化による降伏強さの上昇で降伏比が上昇し、その結果切りくず処理性が低下する。したがって、含有させる場合のNbの量に上限を設け、0.050%以下とした。含有させる場合のNbの量は、0.040%以下であることが好ましい。
一方、前記したNbの効果を安定して得るためには、含有させる場合のNbの量は0.005%以上であることが好ましく、0.020%以上であれば一層好ましい。
Ca:0.0030%以下
Caは、鋼中のMnSに固溶することでMnSを球状化し、冷鍛性および疲労強度を改善する作用を有するので、上記の効果を得るためにCaを含有してもよい。しかしながら、Caの過度の添加はコストの上昇につながり、特に、Caの含有量が0.0030%を超えると、上記効果が飽和するのでコストが嵩むばかりか、切りくず処理性が損なわれる場合がある。したがって、含有させる場合のCaの量に上限を設け、0.0030%以下とした。含有させる場合のCaの量は、0.0025%以下であることが好ましい。
一方、前記したCaの効果を安定して得るためには、含有させる場合のCaの量は0.0010%以上であることが好ましい。
(B)鋼材の組織:
本発明の機械構造用合金鋼鋼材は、その組織が、フェライトおよび球状化セメンタイトからなり、該フェライトのうちで球状化セメンタイトを含まないフェライトが、組織の面積の30〜60%を占めるものでなければならない。
組織にフェライトおよび球状化セメンタイト以外の相が混在すると、所望の硬さが得られず、硬さが大きくなることで切削抵抗の上昇および工具寿命の低下を招く場合がある。そのため、機械構造用合金鋼鋼材における組織は、フェライトおよび球状化セメンタイトからなるものでなければならない。
フェライトのうちで、球状化セメンタイトを含まないフェライトが組織に占める面積割合(以下、「球状化セメンタイトを含まないフェライトの面積割合」ともいう。)は、切りくず処理性を安定して確保する上で重要な因子である。
すなわち、フェライトおよび球状化セメンタイトからなる組織であっても、上記球状化セメンタイトを含まないフェライトの面積割合が30%より少ない場合、切りくずの形成を不安定化し、切りくず処理性の低下を招く。また、強度が増して切削抵抗が上がりすぎて工具摩耗が増加するなど、他の被削性の低下も招くことがある。
一方、上記球状化セメンタイトを含まないフェライトの面積割合が60%を超えると、強度が低下し鋼材としては延性が増加するため、切削中に工具への凝着が進みやすくなる。このことは、工具との摩擦力が増加し、工具すくい面上での切りくずの排出を困難にし、却って切りくず処理性を低下させる場合があることを意味する。
以上のことから、フェライトのうちで球状化セメンタイトを含まないフェライトが、組織の面積の30〜60%を占めることと規定した。上記の面積割合は、35%以上であることが好ましく、また、50%以下であることが好ましい。
前述したとおり、「球状化セメンタイト」とは、SEMの倍率1000倍での観察で、明らかにセメンタイトと判断でき、かつ長径が10μm以下であるセメンタイトのことを指す。
また、「球状化セメンタイトを含まないフェライト」とは、該フェライトの粒内に含まれる上記規定の球状化セメンタイトが、20個以下であるものを指す。
フェライトの粒界に沿って存在している球状化セメンタイトは「フェライト粒内の球状化セメンタイト」ではないので、「フェライトの粒内に含まれる球状化セメンタイト」としてカウントしないことも既に述べたとおりである。
(C)鋼材の製造法の例:
上記(A)項で述べた化学組成を有する鋼材の場合に、上述した組織、つまり、フェライトおよび球状化セメンタイトからなり、該フェライトのうちで球状化セメンタイトを含まないフェライトが、組織の面積の30〜60%を占める組織を得るためには、例えば、次の(a)に述べる熱処理を行った後、(b)に述べる球状化処理を行うことが推奨される。
(a)球状化処理前の熱処理:
球状化処理後に、(B)項で規定の鋼材組織を得るためには、球状化処理前の鋼材の組織をフェライト・パーライト組織とすればよく、例えば、加熱温度と冷却速度を調整した次の熱処理を行えばよい。
すなわち、加熱温度が860〜950℃の範囲で、保持時間が30分以上である熱処理を施して、球状化処理前の鋼材の組織をフェライト・パーライト組織にする。
保持時間は、生産性の観点から2時間までにすることが望ましい。
なお、加熱温度が850℃より低いと、組織(オーステナイト粒)が細かくなりすぎてフェライト・パーライト組織中のフェライトの割合が過剰になって、一方、加熱温度が950℃より高いと、組織が粗大になって、フェライトの割合が減少し、延いては焼入れ性が高まってベイナイトが生成することもあって、いずれの場合にも、工具寿命の低下をきたすことがある。
上記の温度域で保持した後は、連続冷却すればよいが、その際の冷却は、鋼材の表面温度で800℃から500℃までを6分以上かけて冷却することが好ましい。
上記温度範囲の冷却時間が6分より短いと、オーステナイトからの変態時間が短くなってフェライト・パーライト組織中のフェライトの割合が減少し、延いては焼入れ性が高まってベイナイトが生成し、硬さが上昇することで工具寿命が低下することがある。上記の冷却時間は8分以上とすることがより一層好ましい。生産性の観点から、上記の冷却時間は30分までにすることが望ましい。
なお、500℃を下回る温度域の冷却は、強制空冷、大気中放冷、ミスト冷却など、適宜の手段を用いて実施すればよい。
(b)球状化処理:
上記(a)項で述べた熱処理を行った後の球状化処理は、球状化セメンタイトの形成を促進させるために、加熱温度を連続的に、または段階的に下げる条件で行うことが好ましい。
具体的には、例えば図4に示すように、755℃で3時間加熱した後、20℃/時間の冷却速度で735℃まで冷却し、この温度で2時間保持した後、30℃/時間の冷却速度で室温まで冷却する。
755℃に加熱する際の加熱速度は、球状化処理後の鋼材組織に影響を及ぼさないため、適宜の条件で加熱してよい。
なお、図4には、755℃から735℃での保持終了までの間、冷却工程も含め6時間かけて処理する場合を示したが、755℃で3時間加熱した後、735℃まで連続して3時間かけて徐々に冷却し、その後、さらに30℃/時間の冷却速度で室温まで冷却することでもよい。
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明する。
表1に示す化学組成の鋼A1〜A9および鋼B1〜B13を150kg真空溶解炉で溶製し、インゴット鋳造により鋼塊を製造した。
上記の鋼のうち、鋼A1〜A9は、化学組成が本発明で規定する範囲内にある鋼である。一方、鋼B1〜B13は、化学組成が本発明で規定する条件から外れた鋼である。
これらの鋼の鋼塊を1250℃に加熱してから1000℃以上で仕上げる熱間鍛造を行い、直径65mmの丸棒を作製した。なお、熱間鍛造後は大気中で放冷した。
上記のようにして得た各鋼の丸棒に、組織を調整するために、900℃に加熱して1時間保持した後、丸棒の表面温度で800℃から500℃までを10分かけて冷却する熱処理を行った。
鋼A6については、上記の熱処理に加えて、800℃および1000℃に加熱して1時間保持した後、丸棒の表面温度で800℃から500℃までを10分かけて冷却する熱処理ならびに、900℃に加熱して1時間保持した後、丸棒の表面温度で800℃から500℃までを5分かけて冷却する熱処理も行った。
なお、上述したいずれの場合についても、500℃を下回る温度域の冷却は、大気中での放冷とした。
次いで、上記の各熱処理を行った丸棒に、図4に示すヒートパターンで球状化処理を施した。
このようにして得られた丸棒の表面から16mmの位置(丸棒の半径の約1/2の位置のため、以下、「R/2部」と記載する。)を中心にして、長手方向に平行に採取した試験片の断面(10mm×10mm)を鏡面研磨し、SEMにより1000倍の倍率で一試料当たり6視野の観察を行い、「相」を同定した。
上記「相」の同定を行った結果、いずれの試験番号についても、フェライトと球状化セメンタイトのみからなることが判明したので、次に、球状化セメンタイトを含まないフェライトの面積率を計測した。
具体的には、計測法は、球状化セメンタイトを含まないフェライトとそれ以外の組織形態を画像解析により2値化処理し、球状化セメンタイトを含まないフェライトに色分けられた領域の面積を全面積で除した値を、球状化セメンタイトを含まないフェライトの面積率とした。
上記の組織観察した試験片を、再度鏡面研磨し、JIS Z 2244(2009)に記載の「ビッカース硬さ試験−試験方法」に準拠して、R/2部でのビッカース硬さ(以下、「HV硬さ」という。)を、試験力を980Nとして測定し、その値を算術平均して球状化処理材のHV硬さを評価した。
さらに、上述のようにして作製した直径65mmの球状化処理材のR/2部から、丸棒の長手方向に平行に、図2に示す形状の円筒ねじり試験片を採取し、室温、大気中、120rpmの条件で、ねじり試験を実施した。
図2中の試験片両端面の仕上げ記号「▽」は、JIS B 0601(1982)の解説表1に記載されていた表面粗さを示す「三角記号」である。なお、図2に示す試験片において、三角記号のない表面は全て、該解説にある「▽▽▽ G」とした。なお、上記の三角記号に付記した「G」はJIS B 0122(1978)に規定の「研削」を示す加工方法の略号であることを意味する。
なお、上記の条件でねじり試験を行い、破断までの応力−歪み曲線から、降伏強さと最大強さを読み取りその比を降伏比として評価した。ここでは、試験片中央の円筒状の平行部において、外径12mmに対して肉厚1mmは十分薄いものと仮定し、この厚みの径方向における歪み分布を均一と見なすことにより、得られた強度特性が単純せん断変形によるものと解釈することができる。
さらに、次に示すようにして被削性を調査した。
すなわち、前述のようにして作製した直径65mmの球状化処理材を、直径62mmにピーリングした後、長さ400mmに切断した円柱状試験片を用いて、旋削加工による被削性試験を実施した。
なお、旋削加工は、P20種の超硬工具を使用して、20倍に希釈した水溶性エマルジョンによる湿式加工(供給量:20リットル/min)とし、
・切削速度:180m/min、
・送り:0.20mm/rev、
・切り込み量:0.8mm、
の条件で実施した。
なお、工具には、切りくずを強制的に分断させる、いわゆる「チップブレーカ」の機能が付与されていない状態のものを使用した。
切りくずの評価は、次に示す方法で実施した。
工具は未使用の状態から切削を開始し、加工時間5秒までの間で得られた切りくずについて、短いものから順に10個を選択し、無負荷で放置した状態のらせん状の切りくずの両端の最短長さをその切りくず長さとして計測し、10個の切りくず長さの算術平均値を、その試験番号における切りくず長さとした。
なお、分断される頻度が少なく、切りくずの個数が10個未満であったものについては、採取した切りくず全ての長さの算術平均値を、その試験番号における切りくず長さと定義し、一度も分断されずにつながったものについては、評価不能とした。
上記の切りくず長さの目標は50mm以下とした。
表2に、球状化処理前の熱処理条件と上記の各種試験結果をまとめて示す。表2においては、フェライトを「F」、球状化セメンタイトを「SC」と表記した。
表2から、本発明で規定する条件を満たす試験番号1〜6および試験番号10〜12の本発明例の場合、ねじり試験における降伏比が0.50以下となり、切りくず長さも最大で試験番号12の45.2mmであって、50mm以下という目標を達成してよく分断されており、良好な切りくず処理性を有することが明らかである。
これに対して、比較例の試験番号7〜9および試験番号13〜25の場合、切りくず処理性に劣っている。
すなわち、比較例の試験番号7〜9の場合、用いた鋼A6の化学組成は本発明で規定する範囲内にあるものの、鋼材の組織が本発明で規定する条件から外れるため、ねじり試験における降伏比が0.53〜0.60と大きく、切りくず長さが63.4〜84.0mmで50mm以下という目標を達成できておらず、切りくず処理性に劣っている。
比較例の試験番号13〜25の場合、用いた鋼B1〜B13の化学組成が本発明で規定する条件から外れるため、鋼材の組織が本発明で規定する条件を満たす、満たさないに拘わらず、切りくず長さが57.6〜105.6mmであって50mm以下という目標を達成できておらず、切りくず処理性に劣っている。
本発明の機械構造用合金鋼鋼材は、MnSなどの介在物を積極的に活用しないにもかかわらず被削性に優れている。特に、機械構造用合金鋼鋼材の対象部品に代表されるギヤなどの切削加工を必要とする部品の素材としてこの鋼材を使用することにより、その部品の製造コストを大幅に低下させることができる。




Claims (4)

  1. 質量%で、
    C:0.15〜0.25%、
    Si:0.30〜0.70%、
    Mn:0.7〜1.3%、
    S:0.002〜0.012%、
    Cr:1.20〜1.70%、
    Al:0.005〜0.035%および、
    N:0.010〜0.025%
    を含有し、残部はFeおよび不純物からなり、不純物中のPおよびOがそれぞれ、
    P:0.020%以下、
    O:0.0020%以下
    であり、
    組織が、フェライトおよび球状化セメンタイトからなり、該フェライトのうちで球状化セメンタイトを含まないフェライトが、組織の面積の30〜60%を占める、
    ことを特徴とする、機械構造用合金鋼鋼材。
  2. Feの一部に代えて、質量%で、
    Mo:0.14%以下、
    Ni:0.10%以下および、
    Cu:0.20%以下
    のうちの1種以上を含有することを特徴とする、請求項1に記載の機械構造用合金鋼鋼材。
  3. Feの一部に代えて、質量%で、
    Nb:0.050%以下
    を含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の機械構造用合金鋼鋼材。
  4. Feの一部に代えて、質量%で、
    Ca:0.0030%以下
    を含有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれかに記載の機械構造用合金鋼鋼材。




JP2010278851A 2010-12-15 2010-12-15 機械構造用合金鋼鋼材 Active JP5459197B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010278851A JP5459197B2 (ja) 2010-12-15 2010-12-15 機械構造用合金鋼鋼材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010278851A JP5459197B2 (ja) 2010-12-15 2010-12-15 機械構造用合金鋼鋼材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2012126953A JP2012126953A (ja) 2012-07-05
JP5459197B2 true JP5459197B2 (ja) 2014-04-02

Family

ID=46644314

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010278851A Active JP5459197B2 (ja) 2010-12-15 2010-12-15 機械構造用合金鋼鋼材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5459197B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5949287B2 (ja) * 2012-08-01 2016-07-06 新日鐵住金株式会社 冷間鍛造用鋼材
JP7471068B2 (ja) * 2019-09-30 2024-04-19 山陽特殊製鋼株式会社 肌焼鋼の球状化焼なまし方法
JP7323850B2 (ja) * 2020-06-26 2023-08-09 日本製鉄株式会社 鋼材及び浸炭鋼部品
CN114134411B (zh) * 2021-10-12 2022-07-29 江阴兴澄特种钢铁有限公司 一种耐低温高强度滚珠丝杠用球化退火钢及其制造方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1112684A (ja) * 1997-06-19 1999-01-19 Kobe Steel Ltd 冷間鍛造用肌焼鋼
JP4888277B2 (ja) * 2007-08-24 2012-02-29 住友金属工業株式会社 熱間圧延棒鋼または線材
JP5370073B2 (ja) * 2009-10-26 2013-12-18 新日鐵住金株式会社 機械構造用合金鋼鋼材

Also Published As

Publication number Publication date
JP2012126953A (ja) 2012-07-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100726252B1 (ko) 강제의 기계구조용 부품, 그 소재, 및 그 제조방법
JP5231101B2 (ja) 疲労限度比と被削性に優れた機械構造用鋼
CN108291285B (zh) 钢、渗碳钢部件及渗碳钢部件的制造方法
JP2001294972A (ja) 軸受用鋼材
JP5152441B2 (ja) 機械構造用鋼部品およびその製造方法
WO2018016505A1 (ja) 高周波焼入れ用鋼
WO2018016506A1 (ja) 高周波焼入れ用鋼
JP2012246527A (ja) 高疲労強度、高靭性機械構造用鋼部品およびその製造方法
KR20020014803A (ko) 재질 이방성이 작고 강도, 인성 및 피삭성이 우수한비조질 강 및 그의 제조 방법
JP5801529B2 (ja) 曲げ疲労強度が高く、繰り返し応力による変形量の小さい熱間鍛造用非調質鋼およびその部品の製造方法
JP2002275584A (ja) 被削性に優れた軸受要素部品用鋼材
JP5459197B2 (ja) 機械構造用合金鋼鋼材
JP6614238B2 (ja) 製品部材の製造方法及び製品部材
JP6642237B2 (ja) 冷間鍛造用鋼およびその製造方法
JP5370073B2 (ja) 機械構造用合金鋼鋼材
JP5152440B2 (ja) 機械構造用鋼部品およびその製造方法
JP5472063B2 (ja) 冷間鍛造用快削鋼
JP6606978B2 (ja) 製品部材の製造方法及び製品部材
JP2018035423A (ja) 浸炭用鋼、浸炭鋼部品及び浸炭鋼部品の製造方法
JP2005336553A (ja) 熱間工具鋼
WO2022153790A1 (ja) マルテンサイト系ステンレス鋼材及びその製造方法
JP3903966B2 (ja) 切り屑処理性に優れた肌焼鋼
JP2009108357A (ja) マルテンサイト型熱間鍛造用非調質鋼及び熱間鍛造非調質鋼部品
JP2018035420A (ja) 浸炭用鋼、浸炭鋼部品及び浸炭鋼部品の製造方法
JP6801717B2 (ja) 冷間鍛造用鋼及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120903

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121011

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20121011

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20131211

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131217

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131230

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5459197

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350