以下、図面を参照して実施の形態を詳細に説明する。
第1の実施形態
図1に示すように、棒材供給機1は、加工装置としての旋盤2の隣に配置される。棒材供給機1は、ベース3aに支持された本体3bと、本体3bと組み合わされた上蓋3cと、本体3bの下に配置された制御装置としての制御ボックス4と、本体3bの前部に操作盤6を含む。制御ボックス4は、制御プログラムを格納するROMと、制御プログラムを実行するCPU等を搭載した基板を有する。
図1、2に示すように、旋盤2は棒材B1が通過可能な筒状の主軸7を含む。旋盤2は、主軸7の一端に棒材B1を把持するチャック8を含む。チャック8は主軸7と共に直線移動すると共に主軸線A1を中心に回転可能である。旋盤2は、棒材B1の先端を加工するバイト等の刃物を有する。なお、主軸7は、直線移動しない固定式でもよい。
図2に示すように、棒材供給機1は、棒材B1をストックする材料棚10を含む。同供給機1は、材料棚10から棒材B1を受け取り、旋盤2に搬送する搬送装置20を含む。材料棚10、搬送装置20は、制御ボックス4によって制御される。
図3に示すように、材料棚10は、棒材B1が並列に配置された凹所11aを有する傾斜したストッカー11を含む。材料棚10は、棒材B1を下から持ち上げるように回転軸13を支点に回転自在のL形の取出しレバー12を含む。材料棚10は、取出しレバー12を駆動するシリンダ14を含む。このシリンダ14は本体3bに揺動自在に支持される。そして、シリンダ14を作動して時計方向に取出しレバー12を回転して、同レバー12の先端12aで先頭の棒材B1を持ち上げ、凹所11aから取出す。この棒材B1はストッカー11の斜面11bに沿って搬送装置20へ向かって移動する。
搬送装置20は、フィードロッド構造21を有する。図4に示すように、フィードロッド構造21は、第1のフィードロッド21Aと、第1のフィードロッド21Aの先端に接続した第2のフィードロッド21Bを有する。第2のフィードロッド21Bは、棒材B1の後端を把持可能なフィンガーチャック21aと、スピンドル21gを介在してフィンガーチャック21aを回転自在に支持する軸受け21bと、軸受21bが固定されたスリーブ21hと、スリーブ21hに固定された押し棒21cを有する。
フィードロッド構造21は、第2のフィードロッド21Bの軸受21b、スリーブ21hおよび押し棒21cの一部を収容する中空のフィードロッド受け21dと、フィードロッド受け21dに固定された作動板21eと、作動板21eに回動可能に取り付けられると共にチェーン金具25aとロックするツメ21jと、ツメ21jの基端のバネ吊りボルト21mと作動板21eとに取り付けられたバネ21kを有する。
フィードロッド受け21は、後述する第1及び第2の回転ブッシュ64、68の内径に合った外径を有する。また、フィードロッド21Bはフィードロッド受け21dの中でスムースに移動することができる。
図2、3に示すように、搬送装置20は、フィードロッド構造21を駆動する送出モータ22を含む。搬送装置20は、第1のフィードロッド21Aに連結板21fによって固定されたスライダ23を含む(図6参照)。搬送装置20は、主軸線A1に沿って配置されると共にスライダ23と係合するスライダガイド24とを有する。図4(B)に示すように、スライダ23は、連結板23aと、連結板23aに固定された一次ロット23bを有する(図5参照)。搬送装置20は、スライダ23、作動板21eと連結したドライブチェーン25と、ドライブチェーン25が掛けられた駆動スプロケット26及び先端スプロケット27と(図2参照)、作動板21eが当たるエンド板201と、ドライブチェーン25をガイドするチェーンガイド202と、棒材B1を保持するためのクランプ装置203(図14参照)を含む。そして、送出モータ22を作動して、駆動スプロケット26を回転させる。回転する駆動スプロケット26は、先端スプロケット27を経由してドライブチェーン25を走行させ、スライダ23および作動板21eを前進又は後進させる。
図3に示すように、搬送装置20は、ベース29に取り付けられた取付ステー28と、取付ステー28に支持されると共にフィードロッド構造21を案内するサポート装置30を有する。取付ステー28及びサポート装置30は主軸線A1に沿って所定の間隔で配置される。
サポート装置30は、防振ゴム41を介在して取付ステー28によって支持される下サポートステー31を有する。サポート装置30は、下サポートステー31に支点軸32を用いて回転自在に連結した上サポートアーム33を有する。サポート装置30は、上サポートアーム33を駆動するシリンダを有する(図示省略)。
サポート装置30は、下連結レール35によって下サポートステー31と連結したU形の下サポートガイド36を有する。サポート装置30は、上連結レール37によって上サポートアーム33と連結した上サポートガイド38を有する。サポート装置30は、下サポートガイド36の内側に位置決めされたブッシュとしてのサポートケース39を有する。サポート装置30は、下サポートガイド36とサポートケース39との間に配置されたU形の防振ゴム43を有する。
図3に示すように、搬送装置20は、フィードロッド構造21の振動を防止する振動減衰機構40を有する。振動減衰機構40は、取付ステー28と下サポートステー31との間に配置された防振ゴム41を有する。振動減衰機構40は、主軸線A1に沿って所定の間隔で配置され、フィードロッド構造21の頂部と隙間を介在して配置されたウレタンゴム製の防振パッド42を含む。この防振パッド42は、ネジによって上サポートガイド38の内側に固定される。防振パッド42は、サポートケース39の内面と共にフィードロッド構造21のサイズに合った空間を形成し、フィードロッド構造21の上方への動きを阻止する。防振パッド42は断面矩形の他、フィードロッド構造21の径と合わせた断面半円形でもよい。振動減衰機構40は、サポートケース39と下サポートガイド36の間に配置された弾性体としてのU形の防振ゴム43を含む。防振ゴム43は、部分的な磨耗に対応するために、独立して交換可能である。
図2に示すように、棒材供給機1の先端は、搬送装置20と加工機2の間に配置されると共に旋盤2と対向する棒材振れ止め装置50を有する。棒材振れ止め装置50は、棒材B1を保持して回転する棒材B1の振れを止めることによって、回転する棒材B1からフィードロッド構造21へ振動が伝わることを阻止する。また、棒材振れ止め装置50は、フィードロッド構造21を固定して、フィードロッド構造21の回転振れを防止する。棒材振れ止め装置50はフィードロッド構造固定システムを構成する。
図11に示すように、棒材振れ止め装置50は、ベース29に取り付けられた振れ止め取付ベース51と、振れ止め取付ベース51に固定された振れ止めベース52と、振れ止めベース52に固定された棒材保持機構60と、棒材保持機構60を揺動可能支持するリンク機構70と、リンク機構70の動作を止めるストッパ機構80と、棒材保持機構60に潤滑剤としてのオイルを供給する潤滑剤供給機構としてのオイル供給機構90を有する。
棒材保持機構60は、主軸線A1に沿って直列に配置された第1の棒材支持機構61A、第2の棒材支持機構61Bを有する。
第1の棒材支持機構61Aは、環状の第1のベアリングケース62と、第1のベアリングケース62の内周面に固定されたベアリングとしての一対のボールベアリング63、63と、ボールベアリング63、63に固定された第1のサポート部材としての環状の第1の回転ブッシュ64と、第1の回転ブッシュ64及びボールベアリング63、63の間に配置された緩衝材としての衝撃吸収用のOリング65−65を有する。第1のベアリングケース62の周縁には、蓋53が配置される。
第2の棒材支持機構61Bは、第1のベアリングケース62と主軸線A1上で同軸に配置された環状の第2のベアリングケース66と、第2のベアリングケース66の内周面に固定されたベアリングとしての一対のボールベアリング67、67と、ボールベアリング67、67に固定された第2のサポート部材としての環状の第2の回転ブッシュ68と、第2の回転ブッシュ68及びボールベアリング67、67の間に配置された緩衝材としての衝撃吸収用のOリング69−69を有する。第2のベアリングケース66の周縁には蓋54が配置される。
ここで、第1のベアリングケース62は、上下方向に配置された第1及び第2のベアリングケース支点軸62a、62bと、第1のベアリング支点軸62aと反対側に配置された第3のベアリングケース支点軸62cを有する。第1及び第3のベアリングケース支点軸62a、62cは第1のベアリングケース62の上下方向の中心、すなわち、主軸線A1に一致するように位置決めされる。第2のベアリングケース支点軸62bは、第1のベアリングケース62の底部に固定され、横方向に延びる。第2のベアリングケース支点軸62bは、主軸線A1方向の位置において第1及び第3のベアリングケース支点軸62a、62cと一致する。第3のベアリングケース支点軸62c、第1のベアリングケース支点軸62aは、第1のベアリングケース62の両側で支持されるので、両持ち構造になり、振動の増幅を抑止する。
第2のベアリングケース66も、同様に、第1のベアリングケース支点軸66a、第2のベアリングケース支点軸66b、第3のベアリングケース支点軸66cを有する。第2のベアリングケース66の第1及び第2のベアリングケース支点軸66a、66b間の距離は、第1のベアリンクケース62の第1及び第2のベアリングケース支点軸62a、62b間の距離と等しく設定される。また、第1及び第2のベアリングケース62、66の第1のベアリングケース支点軸62a、66a同士の距離は、第1の及び第2のベアリングケース62、66の第2のベアリングケース支点軸62b、66b同士の距離と等しく設定される。
第1及び第2の回転ブッシュ64、68は、例えば、ウレタン等の弾性材を用いる。円形の第1及び第2の回転ブッシュ64、68は円弧の内周面を有する。
リンク機構70は、第1及び第2のベアリングケース62、66の第1のベアリングケース支点軸62a、66aに回転可能に連結された第1のリンク71を有する。リンク機構70は、第1及び第2のベアリングケース62、66の第2のベアリングケース支点軸62b、66bに回転可能に連結された第2のリンク72を有する。リンク機構70は、主軸線A1に対して第1のリンク71の反対側に配置されると共に第1及び第2のベアリングケース62、66の第3のベアリングケース支点軸62c、66cに回転可能に連結される第3のリンク73を有する。第1及び第2のリンク71、72並びに第1及び第2のベアリングケース62、66は平行リンクを構成する。また、第1及び第3のリンク71、73並びに第1及び第2のベアリングケース62、66でも平行リンクは構成される。
第1のリンク71は、第1及び第2のベアリングケース62、66の第1のベアリングケース支点軸62a、62bの間の中心位置に位置決めされ、振れ止めベース52に回転可能に取り付けられた第1のリンク支点軸71aを有する。第1のリンク71は第1のリンク支点軸71aから第1及び第2のベアリングケース62、66のそれぞれの第1のベアリングケース支点軸62a、66aまで等しい腕長さを有する。
第2のリンク72は第1のリンク71と上下に且つ平行に配置される。第2のリンク72は、第1及び第2のベアリングケース62、66の第1のベアリングケース支点軸62a、66aの間の中心位置に位置決めされ、振れ止めベース52に回転可能に支持された第2のリンク支点軸72aを有する。第2のリンク支点軸72aは主軸線A1方向の位置について第1のリンク支点軸71aと一致する。第2のリンク72は第2のリンク支点軸72aから第1及び第2のベアリングケース62、66のそれぞれの第2のベアリングケース支点軸62b、66bまで等しい腕長さを有する。
第3のリンク73は、第1のリンク71および主軸線A1と同一水平面に配置され、また、第1及び第2のリンク71、72と平行に配置される。第3のリンク73は、第1及び第2のベアリングケース62、66の第3のベアリングケース支点軸62c、66c間の中心位置に位置決めされ、振れ止めベース52に回転可能に取り付けられた第3のリンク支点軸73aを有する。第3のリンク支点軸73aは主軸線A1方向の位置及び上下方向の位置について第1のリンク支点軸71aと一致する。第3のリンク73は第3のリンク支点軸73aから第1及び第2のベアリングケース62、66の第3のベアリングケース支点軸62c、66cのそれぞれまで等しい腕長さを有する。
第3のリンク73は、振れ止めベース52に揺動可能に取り付けられたアクチュエータとしてのエアシリンダ81によって作動される。エアシリンダ81は、上下方向に前進・後退可能なピストンロッド81aを有する(図10(B)参照)。このピストンロッド81aの先端は第3のリンク73の先端とシリンダ連結ナックル84によって連結される。なお、ピストンロッド81aは、第1のリンク71又は第2のリンク72に連結してもよい。
図10に示すように、ストッパ機構80は、エアシリンダ81に取り付けられたストッパ取付板82と、ストッパ取付板82に螺子止めされると共に前進・後退可能なストッパねじ83と、エアシリンダ81と第3のリンク73とを連結されたシリンダ連結ナックル84を有する。
図12に示すように、オイル供給機構90は、ベアリング65、65、69、69同士の間並びに第1及び第2のベアリングケース62、66並びに第1及び第2の回転ブッシュ64、68の間に形成された潤滑剤溜まりとしてのオイル溜まり空間91、92と、第1及び第2の回転ブッシュ64、68を貫通すると共にオイル溜まり空間91、92と第1及び第2の回転ブッシュ64、68の内側の空間とを連通するオイル供給孔93、94と、第1及び第2のベアリングケース62、66を貫通すると共にオイル溜まり空間91、92と連通するケース供給孔に挿入された継ぎ手95、96と、継ぎ手95、96と連結したオイル供給配管97、98を有する。このオイル供給配管97、98はオイルを供給するオイルポンプ99に連結されている(図2参照)。
次に、棒材B1を例にとって棒材振れ止め装置50の動作を説明する。
図10(A)、図12(A)に示すように、棒材B1は第1及び第2のベアリングケース62、66内に挿入されている。次に、図10(B)に示すように、エアシリンダ81を作動させてピストンロッド81aを前進させる。ピストンロッド81aは、シリンダ連結ナックル84で第3のリンク73の端を持ち上げる。さらに、ピストンロッド81aを前進させると、シリンダ連結ナックル84がストッパねじ83に当たり、ピストンロッド81aの前進を止める。これにより、第3のリンク73は、第3のリンク支点軸73aを中心に反時計方向に回転する。図11(B)に示すように、第1のリンク71、第2のリンク72は、第3のリンク73に連動して、互いに平行な姿勢を保った状態で、それぞれ、第1のリンク支持軸71a、第2のリンク支持軸72aを中心に反時計方向に回転する。第1及び第2のリンク71、72に連動して第1及び第2のベアリングケース62、66は互いに平行な姿勢を保ち、第1のベアリングケース62は下降し、第2のベアリングケース66は上昇する。つまり、第1及び第2のベアリングケース62、66は互いに逆方向に平行移動する。この結果、図12(B)に示すように、第1の回転ブッシュ64の頂部は上から棒材B1に近づく。第2の回転ブッシュ68の底部は下から棒材B1に近づく。そして、第1の回転ブッシュ64の頂部及び第2の回転ブッシュ68の底部は棒材B1を上下から挟むように配置される。ここで、第1の回転ブッシュ64の頂部及び第2の回転ブッシュ68の底部は棒材B1に当たってもよい。また、第1の回転ブッシュ64の頂部及び棒材B1、並びに、第2の回転ブッシュ68の底部及び棒材B1は、それらの間に隙間を有してもよい。
なお、ストッパねじ83を螺子回してストッパねじ83の回転量を調整することにより、ストッパねじ83の先端を軸方向に移動させてもよい。これにより、棒材径に応じて第3のリンク73を規制し、棒材径による部品交換を不用とすることができる。
次に、棒材供給機1の使用方法を説明する。
図1において、操作盤6を操作して棒材供給機1を始動させる。
図3において、上サポートアーム33を下サポートステー31に対して反時計方向に回転させ、上サポートガイド38を下サポートガイド36から離す。これにより、サポートケース39の上部を開放する。
次に、シリンダ14を作動させて、取出しレバー12を時計方向へ回転させる。取出しレバーの先端12aは、先頭の棒材B1を持ち上げ、凹所11aから取り出す。取出された棒材B1はストッカー11の斜面11bを下り、サポートケース39内に落ちる。
図2において、送出モータ22を作動して駆動スプロケット26を回転させ、ドライブチェーン25でスライダ23をスライダガイド24に沿って旋盤2へ向けて移動させる。
図14に示すように、スライダ23の一次ロット23bは棒材B1の後端を押し、棒材B1を旋盤2の主軸7へ向けて前進させる(図14(A)参照)。スライダ23の一次ロット23bが棒材B1をさらに押し、棒材B1を主軸7の中に進入させる(図14(B)参照)。棒材B1をさらに前進させ1次導入前進端位置(棒材B1の後端がフィンガーチャックのすぐ前となる位置)に到達したら、送出モータ22を逆作動させてスライダ23を後退させ、一次ロット23bを原点位置まで後退させる(図14(C)参照)。
フィードロッド構造21を復帰させ、棒材振れ止め装置50およびクランプ装置203を閉じて棒材B1を保持する(図14(D)参照)。フィンガーチャック21aが棒材B1の後端を把持するための長さ分フィードロッド構造21を前進させて、フィンガーチャック21aで棒材B1の後端を把持する。
再度、フィードロッド構造21を棒材B1と共に主軸線A1上で旋盤2へ向かって移動させ、旋盤2のチャック8の前に棒材B1の前端を配置させ、主軸7のチャック8を閉じて棒材B1を把持させる(図14(E))。
旋盤2を作動させて棒材B1と共に主軸7を回転させる。棒材B1の先端は刃物で切削加工され、加工後の製品は突切りバイトで切断される。棒材B1から製品の加工を繰り返すに従って、フィードロッド構造21を前進させて棒材B1を主軸7のチャック8の前に送り出す。
図15に示すように、フィードロッド構造21が振れ止め装置50に近づいたら、振れ止め装置50を開き、棒材B1を解放する(図15(A))。フィードロッド構造21のフィードロッド受け21dが振れ止め装置50を通過したら、振れ止め装置50を閉じて、フィードロッド受け21dを固定する(図15(B)、図13参照)。これにより、棒材B1の加工の間、フィードロッド21Bの回転振れを防止する。
棒材B1が加工されさらに短くなると、スライダ23を主軸7へ向けて移動させる。このとき、図8(A)に示すように、作動板21eが先端スプロケット27に達すると、ツメ21jはチェーン金具25aから外れ、フィードロッド受け21dの前進は止まる。フィードロッド構造21の押し棒21cおよびフィンガーチャック21aはフィードロッド受け21dから離脱し、主軸7のチャック8へ向けて前進する(図15(C)、図13参照)。
さらに、棒材B1の加工を継続する。棒材B1が十分に短くなると、スライダ23を逆方向に移動させて、押し棒21cおよびフィンガーチャック21aを主軸7から後退させる。押し棒21cおよび軸受21bはフィードロッド受け21dに再度収容される(図15(D))。このとき、図8(B)に示すように、ドライブチェーン25は反対方向に走行し、チェーン金具25aはツメ21jに当たる。ツメ21jは回転軸を中心に反時計方向に回転し、これに伴い、バネ21kは伸びる。チェーン金具25aは、ツメ21jとロックすることなく、ツメ21jを通過する。
棒振れ止め装置50を開き、フィードロッド受け21dを解放する(図15(E))。
スライダ23を移動させて、フィードロッド構造21を原位置まで後退させる(図15(F))。最後に、フィンガーチャック21aを開き棒材B1の残材を取り除く。
次に、図14〜19を参照して、棒材供給機1の制御方法を説明する。
図17に示すように、制御ボックス4は、シリンダ14を作動させて、棒材B1を材料棚10から取り出しサポート装置30に配置させる(ステップS11、図14(A))。制御ボックス4は送出モータ22を作動させて旋盤2の主軸7へ向けてスライダ23を移動させる。これにより、スライダ23の一次ロット23bも前進する(ステップS12)。一次ロット23bは棒材B1の後端を押し、旋盤2の主軸7へ向けて棒材B1を前進させる(ステップS13)。一次ロット23bは前進端まで棒材B1の後端をさらに押す(ステップS14、図14(B))。
制御ボックス4は、送出モータ22を作動させてスライダ23を後進させ、一次ロット23bを原点まで後退させる(ステップS15、図14(C))。制御ボックス4は、フィードロッド構造21を復帰させる(ステップS16、図14(D))。制御ボックス4は、クランプ装置203に棒材B1をクランプさせる(ステップS17、図14(D))。制御ボックス4は、フィンガーチャック21aに棒材B1の後端を挿入させる(ステップS18)。制御ボックス4は、クランプ装置203を開き(ステップS19)、フィードロッド構造21を前進させる(ステップS20)。制御ボックス4は、棒材B1が主軸7のチャック8を通過したかを確認する(ステップS21)。制御ボックス4は、旋盤2のストッパまで棒材B1を送り出す(ステップS22)。
ここで、図16(B)に示すように、棒材振れ止め装置50が棒材B1の長さの範囲L1にある場合(ステップS23のYES)、制御ボックス4は振れ止め装置50を閉じる(ステップS24、図14(E))。一方、振れ止め装置50が棒材B1の長さの範囲L1にない場合(ステップS23のNO)、制御ボックス4は振れ止め装置50を開く(ステップS25)。
次に、図18に示す左側のフローチャートのように、主軸7のチャック8の開閉時に棒材振れ止め装置50を制御する。すなわち、制御ボックス4は旋盤2の主軸7のチャック8が閉じた信号を旋盤2から受け取る(ステップS31)。図16(B)に示すように、棒材振れ止め装置50が棒材B1の長さの範囲L1にある場合(ステップS32のYES)、制御ボックス4は棒材振れ止め装置50を閉じ、棒材B1をホールドする(ステップS33)。棒材振れ止め装置50が棒材B1の長さの範囲L1にない場合(ステップS32のNO)、ステップS34へ進む。
ステップS34において、旋盤2を作動させて棒材B1を加工する。制御ボックス4は旋盤2から主軸7のチャック8が開いた信号を受け取る(ステップS35)。制御ボックス4は、フィードロッド構造21を前進させて、棒材B1をさらに送り出す(ステップS36)。
図16(B)に示すように、棒材振れ止め装置50が棒材B1の長さの範囲L1にある場合(ステップS37のYES)、制御ボックス4は棒材振れ止め装置50を開く(ステップS38)。一方、棒材振れ止め装置50に棒材B1の長さの範囲L1にない場合(ステップS37のNO)、処理はステップS39へ移行する。
ステップS39において、棒材B1の送り出しを終了しない場合(ステップS39のNO)、制御ボックス4は棒材B1の送りが終了するのを待つ。一方、棒材B1の送り出しが終了した場合(ステップS39のYES)、ステップS40へ移行する。ステップS40において、棒材B1の長さが短くなり、これ以上加工できない場合(ステップS40のYES)、処理は、図19に示すステップS46へ移行する。一方、棒材B1が加工できる長さである場合(ステップS40のNO)、処理はステップS31へ戻る。
次に、図18に示す右側のフローチャートのように、主軸7のチャック8の開閉に関係せずに、フィードロッド構造21の位置によって、棒材振れ止め装置50を開閉する制御について説明する。
図16(C)に示すように、振れ止め装置50がフィードロッド構造21のフィンガーチャック21aの長さの範囲L2にある場合(ステップS41のYES)、制御ボックス4は、フィンガーチャック21aと干渉しないように棒材振れ止め装置50を開く(ステップS42)。一方、振れ止め装置50がフィンガーチャック21aの範囲L2にない場合(ステップS41のYES)、処理はステップS43へ移行する。
図16(D)に示すように、振れ止め装置50がフィードロッド受け21dの長さの範囲L3にある場合(ステップS43のYES)、制御ボックス4は振れ止め装置50を閉じて、フィードロッド構造21をロックして固定させる(ステップS44、図15(B))。振れ止め装置50がフィードロッド受け21dの範囲L3にない場合(ステップS43のNO)、処理はステップS45へ移行する。
ステップS45において、棒材B1の長さが短くなり、これ以上加工できない場合(ステップS45のYES)、処理はステップS46へ移行する。棒材B1が加工可能な長さを有する場合(ステップS45のNO)、処理はステップS41へ戻る。
図19に示すステップS46において、制御ボックス4はフィードロッド21Bを後退させる。フィードロッド21Bが棒材振れ止め装置50のロック解除位置に達した場合(ステップS47のYES)、制御ボックス4は棒材振れ止め装置50を開き、フィードロッド受け21dのロックを解除する(ステップS48、図15(E))。フィードロッド21Bが振れ止め装置50のロック解除位置に達しないとき(ステップS47のNO)、処理はステップS49へ移行する。
棒材B1が着脱位置に達したとき(ステップS49のYES)、処理はステップS50へ移行する。棒材B1が着脱位置に達しないとき(ステップS49のNO)、処理はステップS46へ戻る。
ステップS50において、残材B1はクランプ装置203によってクランプされる。残材B1をフィンガーチャック21aから引き抜く。フィードロッド構造21は原位置へ戻す。クランプ装置203を開いて、残材B1を排出する(図15(F))。最後に、排出した残材B1を確認する。
以上の実施形態によれば、主軸移動型旋盤に取り付けた場合、棒材振れ止め装置50によってフィードロッド受け21dをロックし、固定すれば、フィードロッド構造21が後退するまで、そのロックを解除する必要がない。そのため、フィードロッド受け21dをロックした状態で、棒材B1を加工できるので、フィードロッド21Bの垂れ下がりを防止し、より安定した加工を行うことができる。主軸固定型旋盤においても同じ効果を得ることができる。
なお、以上の実施形態は発明の趣旨を変更しない範囲で変更、修正可能である。例えば、棒材振れ止め装置50は、回転ブッシュ、Oリングの質量、材料の硬さを変更することで、棒材の材料径、及び、回転数による振動の変化に対応できる。これにより、騒音の防止、及び、回転ブッシュの磨耗対策に効果を発揮する。
また、図9(A)に示すようなフィードロッド構造21Pを用いてもよい。このフィードロッド21Pでは、スリーブ21h2はフィードロッド受け21d2の外側に配置される。フィードロッド受け21d2は押し棒21c2を囲み、押し棒21c2と一致した長さを有する。そして、図9(B)に示すように、棒材保持機構61A、61Bがフィードロッド受け21d2を保持した後、押し棒21c2をフィードロッド受け21d2から前進させる。
第2の実施形態
本実施形態は、第1の実施形態の棒材振れ止め装置50の代わりに、他の棒材振れ止め装置50Aを用いる。
図20に示すように、棒材振れ止め装置50Aは、主軸線A1上の棒材B1を把持する、例えば、四個のコロ状の転動ローラー102a、102b、102c、102dを有する。第1および第2のサポート部材としての転動ローラー102a、102b、102c、102dはゴム、合成樹脂等の比較的軟質な材料で作られる。これらの転動ローラー102a、102b、102c、102dは主軸線A1を取り囲むように配置される。各転動ローラー102a、102b、102c、102dの支軸103a、103b、103c、103dは主軸線A1に平行に配置される。各転動ローラー102a、102b、102c、102dは各支軸103a、103b、103c、103d上で回転自在である。各支軸103a、103b、103c、103dは主軸線A1に垂直な方向に延びる4個の支持板104a、104b、104c、104dに夫々支持される。各支持板104a、104b、104c、104dは主軸線A1に平行に伸びる保持軸105a、105b、105c、105dに回転可能に支持される。各支持板104a、104b、104c、104d同士はリンク106、107、108、109及びピン110により連結される。各保持軸105a、105b、105c、105dは主軸線A1上に棒材B1及フィードロッド構造21の通る中心穴121aを有する支持板121に固定される。支持板120は主軸線A1上に横置きされる筒体の先端に固定される。また、支持板121には流体圧シリンダであるエアシリンダ124が取り付けられ、そのピストンロッド124aが一つのリンク106に連結される。エアシリンダ124にはボルトからなるストッパ126が固定され、ピストンロッド124aとリンク106との連結部124bをストッパ軸126が貫通する。
ピストンロッド124aが突出すると、連結部124bがストッパ126に当たることにより停止し、リンク106、107、108、109により相互に連結された全支持板104a、104b、104c、104dが夫々保持軸105a、105b、105c、105dを支点にして所定角度回動し、各支持板104a、104b、104c、104dに支持された転動ローラー102a、102b、102c、102dが支持板121及び筒体の中心穴21aを貫通する棒材B1の回りに接触して棒材B1を主軸線A1上に保持する。棒材B1が主軸7の回転と共に主軸線A1上で回転すると各転動ローラー102a、102b、102c、102dは連れ回りしつつ棒材B1の振れ回りを防止する。なお、転動ローラー102a、102b、102c、102dが棒材B1を把持する力の大きさはストッパ126の位置を加減することにより調節可能である。
また、ピストンロッド124aが引っ込むと、リンク106、107、108、109により相互に連結された全支持板104a、104b、104c、104dが夫々保持軸105a、105b、105c、105dを支点にしてもとの位置へと回動する。各支持板104a、104b、104c、104dに支持された転動ローラー102a、102b、102c、102dが棒材B1の回りから離れ棒材B1を解放する。
なお、転動ローラーは2個以上で構成してもよい。
第3の実施形態
本実施形態は、第1の実施形態の棒材振れ止め装置50の代わりに、他の棒材振れ止め装置50Bを用いる。
図21に示すように、棒材振れ止め装置50Bは、棒材B3と平行に配置された二本シャフト213、214と、シャフト213、214に夫々連結されたブラケット216、217を有する。エアシリンダの往復動により、シャフト213、214が互いに反対方向に往復角運動し、また、ブラケット216、217も同様に運動する。
ブラケット216、217には、棒材B3に干渉しないよう切欠222が設けられている。上下のブラケット216、217には、プーリ223a、223b、224a、224bが切欠222を挟むように軸支されている。プーリ223a、223b、224a、224bの回転軸は、棒材B3の中心軸と平行にブラケット216、217に固着される。プーリ223a、223b、224a、224bはベアリングを介して夫々の回転軸に取り付けられる。
ブラケット216の2個のプーリ223a、223bに、第1のサポート部材としての無端ベルト227が掛け回される。ブラケット217の2個のプーリ224a、224bに、第2のサポート部材としての無端ベルト228が掛け回される。無端ベルト227、228は棒材B3を挟持可能となっている。
無端ベルト227、228は、伸縮性無端ベルトであり、心体を上下からゴム層で挟んだ構成となっている。
また、上下のブラケット216、217には、無端ベルト227、228で棒材B3を挟んだ時に上下の無端ベルト227、228の間隔が適度なものとなるようにブラケット216、217を停止させるためのストッパ232、233が設けられている。
次に、棒材振止め装置50Bの動作を説明する。
上下のブラケット216、217が夫々上下に回動して開いた状態にある時、図示しない棚から長尺の棒材B3が切欠222、222の間に送り込まれる。
エアシリンダが作動して、二本のシャフト213、214を反対方向に回動させる。ブラケット216、217は閉じ、無端ベルト227、228が棒材B3を上下から挟持する。
この状態で、棒材B3は旋盤によって回転され、無端ベルト227、228は摩擦力により共回りする。六角棒の棒材B3Aは、無端ベルト227、228に振動を生じさせるが、その振動は無端ベルト227、228の伸縮により吸収される。従って、棒材B3の振れ回りが防止され、棒材Aの適正な加工が可能となる。
なお、プーリは2個以上で構成してもよい。
第4の実施形態
本実施形態は、第1の実施形態の棒材振れ止め装置50の代わりに、他の棒材振れ止め装置50Cを用いる。
図22に示すように、振れ止め装置50Cは、シリンダ取付板361に固定された開閉シリンダ362と、シリンダ取付板361に固定された第1の支点軸363を中心に開閉シリンダ362によって回転可能に支持された第1の開閉レバー364と、ジョイント軸366を用いて第1の開閉レバー364に回転可能に支持された第2の開閉レバー367を含む。
振れ止め装置50Cは、第2の開閉レバー367にそれぞれ取付けられ、ガイドバー352を中心に相対回転可能なローラー部材としての上下ローラーホルダー368、369と、ローラー軸を用いて上下ローラーホルダー368、369に回転可能に支持された上下ローラー群372、373を含む。
開閉シリンダ362は、シリンダ支点軸362aを用いてシリンダ取付板361に回転可能に支持され、スライド可能に挿入されたシリンダーロッド362bを有する。このシリンダーロッド362bの先端は第1の開閉レバー364の一端と連結する。シリンダーロッド362bは開閉シリンダ362に対して前進又は後退可能である。
第2の開閉レバー367は、ジョイント軸366で第1の開閉レバー364に連結され、所定の角度で開いた上下アーム367A、367Bを含む。上下アーム367A、367Bはそれぞれ上下ローラーホルダー368、369に連結され、ジョイント軸366を中心に互いに反対方向に回転可能である。
上ローラー群372は、上ローラーホルダー368の前後にそれぞれ取付けられた第1及び第2の上ローラー372A、372Bを含む。第1の上ローラー372Aは径方向内側に寄って位置決めされる。第2の上ローラー372Bは径方向外側に寄って位置決めされる。第1及び第2の上ローラー372A、372Bは、径方向において部分的に重なる。第1及び第2の上ローラー372A、372Bはそれらの間の凹部で棒材B1を上から押さえる。
下ローラー群373は、下ローラーホルダー369の前後にそれぞれ取付けられた第1及び第2の下ローラー373A、373Bを含む。第1の下ローラー373Aは径方向内側に寄り、第1の上ローラー372Aと同じ側に位置決めされる。第2の下ローラー373Bは径方向外側に寄り、第2の上ローラー372Bと同じ側に位置決めされる。第1及び第2の下ローラー373A、373Bは、径方向において部分的に重なる。第1及び第2の下ローラー373A、373Bはそれらの間の凹所で棒材B1を支持する。
次に、振れ止め装置50Cを閉じる動作を説明する。
開閉シリンダ62を作動してシリンダーロッド62bを前進させ、第1の開閉レバー64を時計方向に回転させる。第一の開閉レバー64は第2の開閉レバー67の上アーム67Aを時計方向に回転させる一方、下アーム67Bを反時計方向に回転させる。上アーム67Aはガイドバー52を中心に上ローラーホルダー68を時計方向に回転させる。下アーム67Bはガイドバー52を中心に下ローラーホルダー69を反時計方向に回転させる。これにより、上下ローラーホルダー68、69の成す角度は小さくなり、上下ローラー群72、73は互いに近づく。上下ローラー群72、73は、その間に棒材B1を挟み込み、保持する。