JP5766106B2 - 撥水性燃料電池用セパレータおよびその製造方法 - Google Patents

撥水性燃料電池用セパレータおよびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5766106B2
JP5766106B2 JP2011269451A JP2011269451A JP5766106B2 JP 5766106 B2 JP5766106 B2 JP 5766106B2 JP 2011269451 A JP2011269451 A JP 2011269451A JP 2011269451 A JP2011269451 A JP 2011269451A JP 5766106 B2 JP5766106 B2 JP 5766106B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
fuel cell
thermoplastic resin
cell separator
fluororesin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2011269451A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013120737A (ja
Inventor
隆 野上
隆 野上
細野 則義
則義 細野
岡田 晃
晃 岡田
勝 米山
勝 米山
貴司 権田
貴司 権田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shin Etsu Polymer Co Ltd
Original Assignee
Shin Etsu Polymer Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shin Etsu Polymer Co Ltd filed Critical Shin Etsu Polymer Co Ltd
Priority to JP2011269451A priority Critical patent/JP5766106B2/ja
Publication of JP2013120737A publication Critical patent/JP2013120737A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5766106B2 publication Critical patent/JP5766106B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Landscapes

  • Fuel Cell (AREA)

Description

本発明は、固体高分子型燃料電池に使用される燃料電池用セパレータに関する。
燃料電池は、水素と酸素の化学反応で生じるエネルギーを電力として取り出す装置で、発電効率が高く、また従来の発電方式と比較して窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)の排出量が少ない極めてクリーンな発電システムであり(排出物のほとんどが水である)、使用されている電解質の種類により、固体高分子型燃料電池、リン酸型燃料電池、アルカリ型燃料電池、溶融炭酸塩型燃料電池あるいは固体酸化物型燃料電池等に分類することができる。
燃料電池の1種である固体高分子型燃料電池は、電解質が固体、作動温度が低温(常温〜100℃)で取り扱いやすく、高出力、小型・軽量化が容易である等の特性を有するため、家庭用電源あるいは自動車・自転車用電源として提案され、またすでに実用化されている。
固体高分子型燃料電池は、燃料電池用セパレータ、電極(ガス拡散層と触媒の2層構造)及び高分子電解質膜より構成されている。
燃料電池用セパレータは、通常、板状で水素(燃料ガス)と酸素あるいは酸素を含む空気(酸化剤ガス)を高分子電解質膜に供給したり、発電時に生成した生成水を外部へ排出するための流路(または溝)が形成されている。
燃料電池用セパレータには、例えば燃料ガスと酸化剤ガスとを完全に分離した状態で電極に供給するための高いガスバリアー性、発電効率を高くするための高導電性、優れた機械的強度、長期耐久性の確保のための耐腐食性あるいは溶出特性および生成水を外部へ排出させるための高い撥水性等の特性が要求される。
燃料電池用セパレータに要求される特性の中で撥水性は、特に重要な特性である。燃料電池用セパレータは、発電時に生成した生成水を流路より速やかに排出しなければならない。発電時に生成した生成水が、流路内に溜まり、流路が塞がれてしまうと高分子電解質膜への燃料ガスと酸化剤ガスの供給が低下するため、燃料電池の発電効率が低下したり、発電不能となってしまう問題が生じる。また、生成水が0℃以下の温度で凍結することにより燃料電池用セパレータが破損してしまうおそれがある。
発電時に生成した生成水を流路より速やかに排出させる方法として、燃料電池用セパレータ表面に撥水性を付与させる方法が提案され、実施されてきた。燃料電池用セパレータ表面に撥水性を付与させる方法としては、例えば、セパレータのガス流路溝に、シランカップリング剤を用いた撥水層を形成する方法(例えば、特許文献1参照)、セパレータ表面にセパレータ表面にC−F結合を有する撥水性のフッ素含有カーボン層を形成させる方法(例えば、特許文献2参照)、表面に溝を有する固体高分子型燃料電池用セパレータの溝内面に樹脂層を形成させる方法(例えば、特許文献3参照)が開示されている。
特開平11−339827号公報 特開2003−123780号公報 特開2005−197162号公報
特許文献1の方法は、一旦、セパレータの流路溝をプラズマ処理して活性水素を含む水酸基を付与し、次いでフッ化炭素基を含むアルコキシシラン界面活性剤を塗布し、焼成し撥水層を形成する方法である。この方法による撥水層の形成は、プラズマ処理工程と焼成工程を必要とするため、撥水層の形成工程が煩雑なものとなり、得られるセパレータが高価なものとなってしまう。また、高温高湿環境で使用した場合、加水分解により撥水層が剥離してしまうため耐久性に問題がある。
特許文献2の方法は、燃料電池用セパレータにブラスト処理を行ってそのガス流路面に凹凸を形成した後、フッ素含有ガスのプラズマ照射を施すことでフッ素含有カーボン層を形成した後、ガス流路面以外のフッ素含有カーボン層を除去する方法である。この方法は、セパレータ製造工程が煩雑なものとなり、得られるセパレータが高価なものとなってしまう。
特許文献3の方法は、固体高分子型燃料電池用セパレータの溝内面に、ポリスルフォン/THF(テトラヒドロフラン)溶液や、ポリエーテルケトン/THF溶液や、耐酸性を有するエンジニアリングプラスチック等を塗布する方法である。この方法は、高温高湿環境下で使用した場合、樹脂層の剥離が剥離してしまうため耐久性に問題がある。また、セパレータ表面に樹脂層を形成されるため、導電性が低下する問題が生じる。
そこで、本発明は上記問題点に鑑みなされたものであって、燃料電池用セパレータとして必要な導電性と機械的強度には何ら影響を与えることなく、高い撥水性を長期間に渡って維持し、簡素な製造工程で製造可能な水の排出性能に優れる燃料電池用セパレータを提供することを目的とする。
このような課題を解決するために、本発明の第1の特徴は、トレリナ(登録商標)の化学構造を有するPPS樹脂と、PTFE樹脂、PFA樹脂及びFEP樹脂のうちの1種のフッ素樹脂とを含む熱可塑性樹脂組成物と、人造黒鉛及び鱗状黒鉛のうちの1種の黒鉛と、を少なくとも含み、その熱可塑性樹脂組成物のPPS樹脂とフッ素樹脂の組成質量比率はPPS樹脂/フッ素樹脂=95/5〜75/25であり、黒鉛の含有量は、熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して300〜900質量部であって、曲げ強度が40MPa以上、体積抵抗値が10mΩ・cm以下、水の接触角が80°以上である燃料電池用セパレータであることを要旨とする。
本発明の第1の特徴において、曲げ強度が40MPa未満であると、燃料電池用セパレータは強度不足になって破損したり、ひび(クラック)の発生するおそれがある。体積抵抗値が10mΩ・cmを超えると、燃料電池の内部抵抗が増大するおそれがある。水の接触角が80°未満であると、発電時に生成した生成水が、燃料電池用セパレータ表面に付着して、排水性能が低下するおそれがある。
本発明の第2の特徴は、トレリナ(登録商標)の化学構造を有するPPS樹脂と、PTFE樹脂、PFA樹脂及びFEP樹脂のうちの1種のフッ素樹脂とを含む熱可塑性樹脂組成物と、人造黒鉛及び鱗状黒鉛のうちの1種の黒鉛と、を少なくとも含む成形材料を、その熱可塑性樹脂組成物のPPS樹脂とフッ素樹脂の組成質量比率をPPS樹脂/フッ素樹脂=95/5〜75/25とし、黒鉛の含有量を、熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して300〜900質量部として調製する工程と、PPS樹脂の融点又は前記フッ素樹脂の融点の高い方の温度以上で、400℃以下の温度に加熱した金型に、成形材料を充填する工程と、金型を加圧して、黒鉛の間に熱可塑性樹脂組成物を流入させる工程と、金型を加圧冷却して、前記成形材料を脱型する工程と、を含む、曲げ強度が40MPa以上、体積抵抗値が10mΩ・cm以下、水の接触角が80°以上である燃料電池用セパレータの製造方法であることを要旨とする。
本発明の第2の特徴において、黒鉛の平均粒子径は、0.5〜500μmであることが好ましい。
金型の加熱温度が400℃を超えると、フッ素樹脂が激しく分解するため好ましくない。
熱可塑性樹脂組成物は、融点が200℃以上の結晶性熱可塑性樹脂又はガラス転移点が200℃以上の非晶性熱可塑性樹脂を、さらに含むことが好ましい。
燃料電池用セパレータは、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、又は炭素繊維のいずれかの炭素系導電材料をさらに含むことが好ましい。
燃料電池用セパレータは、結晶核剤、耐衝撃改良剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、耐電防止剤、耐熱向上剤、無機充填剤、及び有機充填剤を含む添加剤のうちの1種又は2種以上をさらに含むことが好ましい。
本発明によれば、燃料電池用セパレータとして必要な導電性と機械的強度には何ら影響を与えることなく、高い撥水性を長期間に渡って維持し、簡素な製造工程で製造可能な水の排出性能に優れる燃料電池用セパレータを提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という。)について詳細に説明する。
本発明の実施形態の燃料電池用セパレータは、ポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS樹脂)とフッ素樹脂とを含む熱可塑性樹脂組成物と、黒鉛と、を少なくとも含み、曲げ強度が40MPa以上、体積抵抗値が10mΩ・cm以下、水の接触角が80°以上である。
黒鉛含有量は、PPS樹脂とフッ素樹脂とを含む熱可塑性樹脂組成物100質量部に対し、250〜1000質量部が好ましい。熱可塑性樹脂組成物におけるPPS樹脂とフッ素樹脂の組成質量比率は、PPS樹脂/フッ素樹脂=99/1〜70/30が好ましい。
PPS樹脂は、機械的強度が高く、融点が280℃で耐熱性に優れ、化学的に安定でしかも安価なため最適である。PPS樹脂は、繰返し単位−(Ar−S−)− で構成された重合体である。アリーレン基としては、例えば、p−フェニレン基、m−フェニレン基、o−フェニレン基、置換フェニレン基、p,p'−ジフェニレンスルホン基、p,p'−ビフェニレン基、p,p'−ジフェニレンエーテル基、p,p'−ジフェニレンカルボニル基、ナフタレン基などが使用できる。このなかで、p−フェニレンスルフィド基を70モル%以上、好ましくは80モル%以上含むものが、耐熱性、成形性、機械的特性等の物性上の点から好適である。PPS樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で、1種単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良く、他の共重合可能な化合物とのブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体あるいは各種の置換基等の導入された変性体も使用することができる。また、PPS樹脂は、部分的に分岐又は架橋構造を形成させたPPS樹脂も好ましく使用でき、また、比較的低分子量のPPS樹脂を酸素存在下、高温で加熱して架橋反応を行い溶融粘度を上昇させ、成形加工性を改良したPPS樹脂も使用可能である。また、本発明に用いられるPPS樹脂は変性PPS樹脂であってもよい。
更に本発明において使用するPPS樹脂は、成形加工性の点から上記した2種類以上のPPS樹脂を併用しても構わない。具体的なPPS樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えばトレリナ(東レ社製:商品名)、フォートロン(ポリプラスチックス社製:商品名)、DIC.PPS(DIC社製:商品名)等が挙げられる。PPS樹脂のMFR(荷重:49N、温度:316℃)は、5g/10min.以上150g/10min.以下である。
フッ素樹脂としては、通常、融点未満の温度では固体状が好ましい。例えば、フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(四フッ化エチレン樹脂、融点:327℃、水に対する接触角:110°、以下、PTFE樹脂と略)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(四フッ化エチレン-パーフルオロアルコキシエチレン共重合体樹脂、融点:302〜310℃、水に対する接触角:115°、以下、PFA樹脂と略)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(四フッ化エチレン-六フッ化プロピレン共重合体樹脂、融点270℃、水に対する接触角:114°、以下、FEP樹脂と略)、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体(四フッ化エチレン-エチレン共重合体樹脂、融点:260℃、水に対する接触角:96°)、ポリビニリデンフルオライド(フッ化ビニリデン樹脂、融点:173〜175℃、水に対する接触角:82°)、ポリクロロトリフルオロエチレン(三フッ化塩化エチレン樹脂、融点:210〜212℃、水に対する接触角:84°)等を挙げることができる。フッ素樹脂の融点と水に対する接触角は、ダイキン工業(株)ホームページ参照。これらフッ素樹脂の中では、融点が270℃と耐熱性に優れ、水との接触角が110°以上と撥水性が高く、入手しやすさあるいは取り扱いやすさの点からPTFE樹脂、PFA樹脂あるいはFEP樹脂が好ましい。PTFE樹脂、PFA樹脂あるいはFEP樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で1種単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
本発明の燃料電池用セパレータには本発明の効果を損なわない範囲で他の熱可塑性樹脂を添加することができる。熱可塑性樹脂としては、融点が200℃以上の結晶性熱可塑性樹脂あるいはガラス転移点が200℃以上の非晶性熱可塑性樹脂が挙げることができる。
熱可塑性樹脂の具体例としては例えば、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK樹脂)、ポリエーテルケトン樹脂(PEK樹脂)あるいはポリエーテルケトンエーテルケトンケトン樹脂(PEKEKK樹脂)等のポリアリーレンケトン樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂(PI樹脂)あるいはポリエーテルイミド樹脂(PEI樹脂)等の熱可塑性イミド系樹脂、ポリスルホン樹脂(PSU樹脂)、ポリエーテルスルホン樹脂(PES樹脂)、ポリアミド46樹脂、ポリアミド4T樹脂あるいはポリアミド9T樹脂等のポリアミド樹脂あるいは液晶ポリマー等の樹脂を挙げることができる。
黒鉛は、加工性、機械的強度と導電性に優れ、化学的に安定で安価であるため導電性材料としては最適である。黒鉛には、鱗片状黒鉛、塊状黒鉛及び土状黒鉛等からなる天然黒鉛、鱗片状黒鉛を濃硫酸等で化学的処理した後に加熱して得られる膨張黒鉛、膨張黒鉛を高温で加熱処理することで得られる膨張化黒鉛、人造黒鉛等が該当する。この黒鉛の中では、不純物や溶出性が少なく、高い純度で優れた導電性が得られる人造黒鉛が最適である。黒鉛は、1種単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
黒鉛は、粒子径の異なる2種類以上を併用することができ、この併用する場合には、高充填化が可能になるので、高導電性の燃料電池用セパレータを得ることができる。
黒鉛は、本発明の効果を損なわない範囲で、例えばシランカップリング剤(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルエトキシシラン、イミダゾールシラン等)、チタネート系カップリング剤〔イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、テトラオクチルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル・アミノエチル)チタネート等〕、アルミネート系カップリング剤(アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等)等からなる各種のカップリング剤で処理を施しても構わない。
本発明の燃料電池用セパレータは本発明の効果を損わない範囲で導電性材料を添加することができる。導電性材料としては、炭素系材料あるいは金属系材料を挙げることができるが、金属系材料は燃料電池作動中に腐食する問題が生じるため、炭素系材料が好ましい。炭素系材料としては、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、炭素繊維等が挙げられる。
成形用材料には、PPS樹脂、フッ素樹脂、黒鉛の他、所定の添加剤を選択的に添加することができる。この所定の添加剤としては、結晶核剤、耐衝撃改良剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤、耐熱向上剤、無機充填剤、有機充填剤等が挙げられる。
本発明の実施形態における燃料電池用セパレータは、PPS樹脂とフッ素樹脂とを含む熱可塑性樹脂組成物と、黒鉛と、を含む成形用材料を調製した後、圧縮成形、射出成形、トランスファー成形、射出圧縮成形等の公知の成形方法により製造することができるが、これらの製造方法に限定するわけでない。
成形用材料は、PPS樹脂とフッ素樹脂とを含む熱可塑性樹脂組成物と、黒鉛とから調製される。PPS樹脂とフッ素樹脂の組成質量比率はPPS樹脂/フッ素=99/1〜70/30、好ましくは95/5〜75/25が好適である。フッ素樹脂の組成質量比率が質量%未満の場合は、撥水性を付与することが困難であり、30質量%を超える場合には、機械的強度の低下を招くからである。

PPS樹脂とフッ素樹脂とを含む熱可塑性樹脂組成物と黒鉛とから調製された成形用材料は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、黒鉛が250質量部以上1000質量部以下、好ましくは300質量部以上900質量部以下である。黒鉛の添加量が250質量部未満の場合は、燃料電池用セパレータとして必要な導電性が得られない。黒鉛の添加量が1000質量部を超える場合は、燃料電池用セパレータとして必要な機械的強度が得られない。
成形用材料の調製方法は、(A)まず、最初にPPS樹脂とフッ素樹脂から樹脂組成物を作製した後、この樹脂組成物に黒鉛を添加し、成形用材料を調製する方法、(B)PPS樹脂とフッ素樹脂および黒鉛を同時に混合し、成形用材料を調製する方法等の方法が挙げられるが、これら方法に限定されない。(A)と(B)の方法は、(A)の方法の方が、PPS樹脂、フッ素樹脂および黒鉛が均一に分散するため、撥水性のバラツキが小さく好ましい。以下、(A)の方法に関して、説明する。
(A)の方法には、PPS樹脂とフッ素樹脂をこれら樹脂の融点未満の温度で混合した後、更にPPS樹脂とフッ素樹脂の融点未満の温度で黒鉛を添加し、混合し調製する方法(A−1)とフッ素樹脂とPPS樹脂を融点未満の温度で混合し、この混合物をフッ素樹脂とPPS樹脂の融点以上の温度で溶融混練し、粉砕し、フッ素樹脂とPPS樹脂の融点未満の温度で黒鉛を添加し、調製する方法(A−2)がある。
(A−1)の方法は、PPS樹脂とフッ素樹脂をこれら樹脂の融点未満の温度で混合した後、更にPPS樹脂とフッ素樹脂との融点未満の温度で黒鉛を添加し、混合し調製する方法である。
PPS樹脂、フッ素樹脂及び黒鉛の形状は、粉体状、顆粒状、塊状、フレーク状、繊維状、あるいはペレット状を特に問うものではないが、機械的強度の異方性が少なく、成形性に優れる粉体状が最適である。
PPS樹脂、フッ素樹脂および黒鉛の平均粒子径は、0.5〜500μm、好ましくは5〜300μm、より好ましくは10〜200μmの範囲が好適である。これは、0.5μm未満の場合には、作業時にPPS樹脂、フッ素樹脂および黒鉛が舞い上がって作業環境が悪化したり、黒鉛に過剰密着し燃料電池用セパレータの導電性が低下するという理由に基づく。また、成形材料の溶融流動性が低下するので、薄肉の燃料電池用セパレータを成形することが困難になるという理由に基づく。これに対し、導電性材料の平均粒子径が500μmを超える場合には、導電性粒子間の隙間が大きくなるので高充填化が困難となり、所定の樹脂との接触面積が低下して機械的強度が低下するからである。
成形用材料を調製は、ナウターミキサー、タンブラーミキサー、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型混合機等の公知の攪拌機あるいはボールミル等を使用しておこなうことができる。
(A−2)の方法は、まずPPS樹脂とフッ素樹脂とをこれら樹脂の融点未満の温度で混合した後、これら樹脂の融点以上の温度で溶融混練した後、粉砕し、これら樹脂の融点未満温度で黒鉛を添加し混合し、調製する方法である。PPS樹脂とフッ素樹脂のこれら樹脂の融点未満の温度での混合は、ナウターミキサー、タンブラーミキサー、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型混合機等の公知の攪拌機あるいはボールミル等を使用して行うことができる。
PPS樹脂及び黒鉛の形状は、粉体状、顆粒状、塊状、フレーク状、繊維状、あるいはペレット状を特に問うものではない。
PPS樹脂とフッ素樹脂との溶融混練は、加圧ニーダー、フラッシングニーダー、ケーエックスニーダー等の各種ニーダー、単軸押出機、二軸押出機、三軸押出機、四軸押出機等の各種押出機、バンバリーミキサー、プラネタリーミキサー等の公知の溶融混練機で行うことができる。
PPS樹脂とフッ素樹脂との熱可塑性樹脂組成物を調製する場合の溶融混練機の温度は、PPS樹脂の融点あるいはフッ素樹脂の融点のどちらか高い方の融点以上400℃以下、好ましくはPPS樹脂の融点あるいはフッ素樹脂の融点のどちらか高い方の融点+20℃以上380℃以下である。PPS樹脂の融点あるいはフッ素樹脂の融点のどちらか高い方の融点未満の場合は、PPS樹脂とフッ素樹脂とを溶融混練することができない。400℃を越えるとフッ素樹脂が激しく分解するため好ましくない。
PPS樹脂とフッ素樹脂との溶融混練物は、塊状、棒状、糸状、シート状で得られ、裁断あるいは粉砕され、粉体状に加工され、熱可塑性樹脂組成物が調製される。
ここで、溶融混練前にPPS樹脂とフッ素樹脂とを融点未満の温度でナウターミキサー、タンブラーミキサー、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型混合機等の公知の攪拌機あるいはボールミル等を使用して混合した方が、PPS樹脂とフッ素樹脂の均一分散性に優れる成形用材料が調製されるため好ましい。
熱可塑性樹脂組成物の粉砕は、例えばせん断粉砕法、衝撃粉砕法、衝突粉砕法、冷凍粉砕法、溶液粉砕法等公知の方法により粉砕することができる。具体的な粉砕に際しては、ハンマーミル、カッターミル、フェザーミル、フレーククラッシャー、ピンミル、インパクトミル、ビクトリミル、ボールミル、ジェットミル等の粉砕機、解砕機、裁断機等を用いることができる。
粉砕後の熱可塑性樹脂組成物は、篩網、振動篩、振動スクリーン、超音波篩、ミクロセパレータ、ミクロンセパレータ、ターボクラシフィア等の公知の分級機で分級しても構わない。
PPS樹脂とフッ素樹脂とを含む熱可塑性組成物に黒鉛を添加して調製した成形用材料の調製方法は、(a)熱可塑性樹脂組成物と黒鉛とを熱可塑性樹脂の融点未満の温度で混合し、調製する方法。(b)熱可塑性樹脂と黒鉛とを熱可塑性樹脂の融点以上の温度で溶融混練する方法が挙げられる。
(b)の調製方法は、熱可塑性樹脂と黒鉛を熱可塑性樹脂の融点以上温度で溶融混練するため、熱可塑性樹脂が黒鉛の周辺に過剰に密着するため導電性が低下するため(a)の調製方法の方が好ましい。
成形用材料の最適形状は、燃料電池用セパレータの成形法により異なる。例えば、圧縮成形法では、機械的強度と導電性の異方性が少なくすることができ、また燃料電池セパレータ内での機械的強度と導電性の局部的なバラツキを小さくすることができ、さらに加工性に優れるため粉体が好ましい。
PPS樹脂とフッ素樹脂とを含む熱可塑性樹脂組成物と黒鉛の平均粒子径は、0.5〜500μm、好ましくは5〜300μm、より好ましくは10〜200μmの範囲が好適である。これは、0.5μm未満の場合には、作業時に熱可塑性樹脂組成物および黒鉛が舞い上がって作業環境が悪化するという理由に基づく。また、成形材料の溶融流動性が低下するので、薄肉の燃料電池用セパレータを成形することが困難になるという理由に基づく。これに対し、平均粒子径が500μmを超える場合には、所定の樹脂と黒鉛の接触面積が低下して機械的強度が低下するからである。
燃料電池用セパレータの製造方法は、圧縮成形法、射出成形法、圧縮射出成形法、トランスファー成形法等のいずれの成形法でも良いが、機械的強度と黒鉛の異方性が少なく、寸法精度の向上を図ることができるため圧縮成形法が好ましい。また、圧縮成形によれば熱可塑性樹脂組成物量を多く、黒鉛量を削減することができるので、少ない黒鉛で良好な導電性を得ることができる。圧縮成形法による燃料電池用セパレータの成形方法を以下に記載する。
成形用材料を調製したら、この成形材料を予備成形することなく、所定量を金型に充填して、スクレバー等で均一に成形用材料をならして上型と下型を型締めして、金型を加熱加圧して燃料電池用セパレータを圧縮成形する。
成形用材料の金型への充填に際しては、金型の温度をPPS樹脂とフッ素樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物の融点未満の温度にしておくことが好ましい。より好ましくは常温である。また、金型の加熱加圧に際しては、成形用材料の充填された金型を圧縮成形機の所定温度まで加熱した一対の熱板にセットして加熱加圧する。金型温度は、PPS樹脂あるいはフッ素樹脂の融点のどちらか高い方の融点以上400℃以下、好ましく330℃以上380℃以下、更に好ましくは330℃以上360℃以下である。PPS樹脂の融点あるいはフッ素樹脂の融点のどちらか高い方の融点未満の場合は、PPS樹脂とフッ素樹脂とを溶融混練することができない。400℃を越えるとフッ素樹脂が激しく分解するため好ましくない。
金型の加熱加圧時間としては、複数の黒鉛の間に熱可塑性樹脂組成物が流入するのに要する時間であれば良い。すなわち、金型温度は、PPS樹脂あるいはフッ素樹脂の融点のどちらか高い方の融点以上の温度に達するのに有する時間であれば良い。具体的には、PPS樹脂あるいはフッ素樹脂の融点のどちらか高い方の融点以上、加圧圧力39.2MPa(燃料電池用セパレータの投影面積に対して)の条件で5〜100秒である。
そしてその後、金型を加圧冷却して燃料電池用セパレータを脱型すれば、燃料電池用セパレータを製造することができる。金型を加圧冷却する方法としては、(イ)金型を取り出して冷却された別の成形機の一対の熱板間にセットし、加圧冷却する方法、(ロ)金型を成形機の一対の熱板間にセットしたままで加圧冷却する方法等が挙げられる。金型の冷却温度はPPS樹脂あるいはフッ素樹脂の融点のどちらか低い方の融点未満、好ましくは金型の冷却温度はPPS樹脂あるいはフッ素樹脂の融点のどちらか低い方の融点未満かつ100℃以下、更に好ましくは金型の冷却温度はPPS樹脂あるいはフッ素樹脂の融点のどちらか低い方の融点未満かつ200℃以下である。これは係る温度まで金型を冷却すれば、燃料電池用セパレータの導電性が向上したり、そり、曲がりを低減するのに資するからである。但し、冷却温度の低下に伴い生産性が悪化するので、導電性を満足する範囲の高温で燃料電池用セパレータを脱型し、PPS樹脂のガラス転移点±30℃の温度でアニーリングして燃料電池用セパレータのそり、曲がりを矯正しても良い。アニーリングは、燃料電池用セパレータを積層して4903Paの錘を載せることにより実施することができる。
なお、成形用材料を金型に充填して加熱加圧する際に加熱機構を使用したり、加圧冷却する際に冷却機構を使用しても良い。こうすれば、設備費用が若干増加するものの、エネルギーコスト対策で有利である。具体的には、金型に電気ヒータからなる加熱機構を設置したり、冷却水用の流路からなる冷却機構を内蔵することができる。この蒸気を使用する際、過熱蒸気を使用すれば、常温で高温を得ることができる。
燃料電池用セパレータの表裏面、表面、裏面には、燃料ガスと酸化剤ガスとを供給したり、あるいは発電時に生成した生成水を排出する複数の流路が配列形成されるが、この流路の形成方法としては、(い)燃料電池用セパレータの成形後、複数の流路を切削等の機械加工により形成する方法、(ろ)燃料電池用セパレータの成形時に複数の流路を一体成型する方法、(は)燃料電池用セパレータに複数の流路をスタッピング法により成形する方法等が良い。
複数の流路は、例えば直線形や蛇行形、略S字形、略Z字形に形成される。各流路断面形状は、特に限定されるものでないが、長方形、台形、三角形、半円形等に形成される。また、製造した燃料電池用セパレータには、ブラスト処理等の公知の表面処理方法により表面処理を施して、燃料電池用セパレータ表面の撥水性を向上させることができる。
燃料電池用セパレータは、機械的性質が曲げ強度で40MPa以上、好ましくは50MPa以上が良い。これは曲げ強度が40MPa未満の場合には、スタック組立時に燃料電池用セパレータの強度不足で破損したり、ヒビの発生するおそれがあるからである。燃料電池用セパレータの導電性は、体積抵抗値で10mΩ・cm以下、好ましくは8mΩ・cm以下、更に好ましくは5mΩ・cmが良い。これは、体積抵抗値が10mΩ・cmを越えると、燃料電池の内部抵抗が増大するからである。燃料電池用セパレータの撥水性は、水との接触角で80°以上、好ましくは90°以上である。水との接触角が80°未満の場合は、発電時に生成した生成水が、燃料電池用セパレータ表面に付着し、排水性能が低下してしまうためである。
上記によれば、PPS樹脂とフッ素樹脂とを含む熱可塑性樹脂組成物と黒鉛とから調製した成形用材料により燃料電池用セパレータを射出成形するのではなく、圧縮成形するので、黒鉛の周辺にPPS樹脂が過度に密着して導電性を阻害したり、導電性の不足するおそれを有効に排除することが可能となる。また、PPS樹脂とフッ素樹脂の選択により、燃料電池用セパレータに優れた強靭性、耐加水分解性、難燃性を付与することができる。また、燃料電池用セパレータの機械的性質が曲げ強度で40MPa以上、導電性が体積抵抗値で10mΩ・cm以下、撥水性が水との接触角で80°以上、であるので、燃料電池用セパレータに十分な強度を付与し、燃料電池の内部抵抗の増大防止が期待でき、発電時に生成した生成水を容易に排出可能である。さらに熱可塑性樹脂成分が溶融しないよう加熱することなく黒鉛と混合するので、黒鉛の周辺に熱可塑性樹脂成分が過度に密着して導電性を阻害したり、導電性の不足するおそれを有効に排除することが可能となる。なお、本実施形態では金型を単に加熱加圧したり、加圧冷却したが、これらの作業の際にエネルギーコスト対策の観点から電気ヒーター等の加熱機構や冷却水路等の冷却機構を使用しても良い。また、蒸気を使用して加熱する場合には、常温で高温を得ることのできる過熱蒸気を使用すると良い。
(実施例1)
先ず、成形用材料を調製するためPPS樹脂としてトレリナ E2180(東レ社製:商品名)を選択し、このPPS樹脂を冷凍粉砕法により粉砕した。得られたPPS樹脂の平均粒子径は70μmであった。PPS樹脂を粉砕したら、このPPS樹脂とフッ素樹脂としてPTFE樹脂とが組成質量比率でPPS樹脂/PTFE樹脂=95.0/5.0となるようにヘンシェルミキサーに投入し、このヘンシェルミキサーを22℃、1分間の条件で回転させて、PPS樹脂とPTFE樹脂を混合し、熱可塑性樹脂組成物を調製した。PTFE樹脂としてFLUON PTFE ルブリカント L173J(旭硝子社製:商品名)を使用した。得られたPPS樹脂/PTFE樹脂組成物100質量部に対して、人造黒鉛300質量部とをポリエチレン樹脂製容器に投入し、かつポリエチレン樹脂製容器にφ10mmジルコニアボールを併せて投入し、ポリエチレン樹脂製容器に蓋を取り付けてタンブラーミキサーに装着するとともに、このタンブラーミキサーを20℃、1時間の条件で回転させて、PPS樹脂/PTFE樹脂組成物、人造黒鉛、ジルコニアボールを混合させ、その後、ジルコニアボールを取り出して成形用材料を調製した。人造黒鉛として人造黒鉛粉 AT−No.5S(オリエンタル産業社製:商品名、平均粒子径:53μm)を使用した。次いで、平型の金型に離型剤(ダイキン工業社製:商品名 ダイフリーGA−6010)を均一に塗布し、金型に所定量の成形用材料を、スクレバーを使用して均一に充填して加熱加圧した。金型を加熱加圧する場合は、熱板温度が380℃の圧縮成形機に金型を載せ、燃料電池用セパレータの面積に対して39.2MPaの圧力を作用させた。次いで、金型を加熱加圧し、金型の温度が320℃に達したら、15秒間加熱加圧し、その後熱板温度が30℃の冷却用圧縮成形機に金型を移載して、金型の温度が70℃になるまで加圧冷却し、金型から脱型することにより297mm×210mm×3mmの外形の燃料電池用セパレータを得た。燃料電池用セパレータを製造したら、この燃料電池用セパレータの撥水性、機械的強度、及び導電性の初期値と熱水浸漬500時間後を評価し、表1にまとめた。燃料電池用セパレータの撥水性、機械的強度及び導電性の測定は、燃料電池用セパレータを洗浄後に行った。燃料電池用セパレータの洗浄は、イオン交換水を入れた超音波洗浄器に燃料電池用セパレータを投入し、25℃で30分間、超音波処理を行い、次いでこの燃料電池用セパレータをイオン交換水と共にオートクレーブ中に投入し、120℃で12時間静置し、行った。初期値は、洗浄後の燃料電池用セパレータから60mm×25mmのサイズに切り出した試験片を23℃、50%RH環境下に24時間静置後測定を行った。熱水浸漬500時間後は、燃料電池用セパレータから60mm×25mmのサイズに切り出した試験片をイオン交換水を入れた樹脂製容器に投入し、蓋を取り付け、更にこの樹脂製容器を金属製耐圧容器に入れ蓋を取り付け、150℃に加熱した熱風オーブン中に500時間静置した。所定の時間静置後、金属製耐圧容器を熱風オーブン中より取り出し室温まで冷却し、試験片を取り出し、23℃、53%RH環境下24時間静置後測定を行った。
(実施例2)
先ず、成形用材料を調製するためPPS樹脂としてトレリナT1881−3(東レ社製:商品名)選択し、このPPS樹脂を冷凍粉砕法により粉砕した。得られたPPS樹脂の平均粒子径は63μmであった。PPS樹脂を粉砕したら、このPPS樹脂とフッ素樹脂としてPTFE樹脂とが組成質量比率でPPS樹脂/PTFE樹脂=90.0/10.0となるようにヘンシェルミキサーに投入し、このヘンシェルミキサーを23℃、1分間の条件で回転させて、PPS樹脂とPTFE樹脂を混合し、熱可塑性樹脂組成物を調製した。PTFE樹脂としてFLUON PTFE ルブリカント L173J(旭硝子社製:商品名)を使用した。得られたPPS樹脂/PTFE樹脂混合物100質量部に対して、鱗状黒鉛500質量部とをポリエチレン樹脂製容器に投入し、かつポリエチレン樹脂製容器にφ10mmジルコニアボールを併せて投入し、ポリエチレン樹脂製容器に蓋を取り付けてタンブラーミキサーに装着するとともに、このタンブラーミキサーを24℃、1時間の条件で回転させて、PPS樹脂/PTFE樹脂組成物、鱗状黒鉛、ジルコニアボールを混合させ、その後、ジルコニアボールを取り出して成形用材料を調製した。鱗状黒鉛としてHG−30A(中越黒鉛工業所社製:商品名、平均粒子径:30μm)を使用した。以下、実施例1と同様の操作により、燃料電池用セパレータを製造し、この燃料電池用セパレータの機械的強度、導電性及び撥水性を実施例1と同様に方法により評価し、表1にまとめた。
(実施例3)
先ず、成形用材料を調製するためPPS樹脂としてトレリナ PY15(東レ社製:商品名)を選択し、このPPS樹脂とフッ素樹脂としてPTFE樹脂とが組成質量比率でPPS樹脂/PTFE樹脂=75.0/25.0[質量%]となるようにポリエチレン樹脂製容器に投入し、かつポリエチレン樹脂製容器にφ10mmジルコニアボールを併せて投入し、ポリエチレン樹脂製容器に蓋を取り付けてタンブラーミキサーに装着するとともに、このタンブラーミキサーを25℃、1時間の条件で回転させて、PPS樹脂、PTFE樹脂、ジルコニアボールを混合させ、その後、ジルコニアボールを取り出してPPS樹脂とPTFE樹脂の混合物を調製し、熱可塑性樹脂組成物を作製した。PTFE樹脂としてFLUON PTFE ルブリカント L173J(旭硝子社製:商品名)を使用した。次いで、PPS樹脂とPTFE樹脂との混合物を真空ポンプを取り付けたφ30mmの高速二軸押出成形(PCM30、L/D=35、池貝社製)に供給し、減圧下、シリンダー温度:300〜340℃、アダプター温度:340℃、ダイス温度:340℃で溶融混練を行い、ダイスより棒状に押出、水冷後カットし、:4〜6mm、直径:2〜4mmのペレット状のPPS樹脂とPTFE樹脂との熱可塑性樹脂組成物を調製した。この熱可塑性樹脂組成物を冷凍粉砕法により粉砕した。得られた熱可塑性樹脂組成物の平均粒子径は75μmであった。熱可塑性樹脂組成物を粉砕したら、この熱可塑性樹脂組成物の粉砕品100質量部に対して、人造黒鉛400質量部とをポリエチレン樹脂製容器に投入し、かつポリエチレン樹脂製容器にφ10mmジルコニアボールを併せて投入し、ポリエチレン樹脂製容器に蓋を取り付けてタンブラーミキサーに装着するとともに、このタンブラーミキサーを20℃、1時間の条件で回転させて、熱可塑性樹脂組成物、人造黒鉛、ジルコニアボールを混合させ、その後、ジルコニアボールを取り出して成形用材料を調製した。人造黒鉛として実施例1で使用した同様の人造黒鉛粉 AT−No.5S(オリエンタル産業社製:商品名、平均粒子径:53μm)を使用した。以下、実施例1と同様の操作により、燃料電池用セパレータを製造し、この燃料電池用セパレータの機械的強度、導電性及び撥水性を実施例1と同様に方法により評価し、表1にまとめた。
(実施例4)
先ず、成形用材料を調製するためPPS樹脂としてトレリナ E2180(東レ社製:商品名)を選択し、このPPS樹脂とフッ素樹脂としてPFA樹脂とが組成質量比率でPPS樹脂/PFA樹脂=92.0/8.0となるようにポリエチレン樹脂製容器に投入し、かつポリエチレン樹脂製容器にφ10mmジルコニアボールを併せて投入し、ポリエチレン樹脂製容器に蓋を取り付けてタンブラーミキサーに装着するとともに、このタンブラーミキサーを20℃、1時間の条件で回転させて、PPS樹脂、PFA樹脂、ジルコニアボールを混合させ、その後、ジルコニアボールを取り出してPPS樹脂とPFA樹脂の混合物を作製した。PFA樹脂としてフレオン PFA P−62XP(旭硝子社製:商品名)を使用した。次いで、実施例3と同様の方法によりPPS樹脂とPFA樹脂の熱可塑性樹脂組成物を調製した。この熱可塑性樹脂組成物を冷凍粉砕法により粉砕した。得られた熱可塑性樹脂組成物の平均粒子径は68μmであった。熱可塑性樹脂組成物を粉砕したら、この熱可塑性樹脂組成物の粉砕品100質量部に対して、人造黒鉛330質量部とをポリエチレン樹脂製容器に投入し、かつポリエチレン樹脂製容器にφ10mmジルコニアボールを併せて投入し、ポリエチレン樹脂製容器に蓋を取り付けてタンブラーミキサーに装着するとともに、このタンブラーミキサーを22℃、1時間の条件で回転させて、PPS樹脂/PFA樹脂混合物、人造黒鉛、ジルコニアボールを混合させ、その後、ジルコニアボールを取り出して成形用材料を調製した。人造黒鉛として実施例1で使用した同様の人造黒鉛粉 AT−No.5S(オリエンタル産業社製:商品名、平均粒子径:53μm)を使用した。以下、実施例1と同様の操作により、燃料電池用セパレータを製造し、この燃料電池用セパレータの機械的強度、導電性及び撥水性を実施例1と同様に方法により評価し、表1にまとめた。
(実施例5)
先ず、成形用材料を調製するためPPS樹脂としてトレリナPY15(東レ社製:商品名)を選択し、このPPS樹脂とフッ素樹脂としてPFA樹脂とが組成質量比率でPPS樹脂/PFA樹脂=85.0/15.0となるようにポリエチレン樹脂製容器に投入し、かつポリエチレン樹脂製容器にφ10mmジルコニアボールを併せて投入し、ポリエチレン樹脂製容器に蓋を取り付けてタンブラーミキサーに装着するとともに、このタンブラーミキサーを24℃、1時間の条件で回転させて、PPS樹脂、PFA樹脂、ジルコニアボールを混合させ、その後、ジルコニアボールを取り出してPPS樹脂とPFA樹脂の混合物を作製した。PFA樹脂としてフレオン PFA P−66T(旭硝子社製:商品名)を使用した。
以下、実施例3と同様の操作により、PPS樹脂とPFA樹脂との熱可塑性樹脂組成物を調製した。この熱可塑性樹脂組成物を冷凍粉砕法により粉砕した。得られた熱可塑性樹脂組成物の平均粒子径は72μmであった。熱可塑性樹脂組成物を粉砕したら、この熱可塑性樹脂組成物の粉砕品100質量部に対して、人造黒鉛500質量部とをポリエチレン樹脂製容器に投入し、かつポリエチレン樹脂製容器にφ10mmジルコニアボールを併せて投入し、ポリエチレン樹脂製容器に蓋を取り付けてタンブラーミキサーに装着するとともに、このタンブラーミキサーを21℃、1時間の条件で回転させて、PPS樹脂/PFA樹脂混合物、人造黒鉛、ジルコニアボールを混合させ、その後、ジルコニアボールを取り出して成形用材料を調製した。人造黒鉛として人造黒鉛粉 AT−No.5S(オリエンタル産業社製:商品名、平均粒子径:53μm)を使用した。以下、実施例1と同様の操作により、燃料電池用セパレータを製造し、この燃料電池用セパレータの機械的強度、導電性及び撥水性を実施例1と同様に方法により評価し、表2にまとめた。
(実施例6)
先ず、成形用材料を調製するためPPS樹脂としてトレリナE2180(東レ社製:商品名)を選択し、このPPS樹脂とフッ素樹脂としてFEP樹脂とが組成質量比率でPPS樹脂/FEP樹脂=95.0/5.0となるようにポリエチレン樹脂製容器に投入し、かつポリエチレン樹脂製容器にφ10mmジルコニアボールを併せて投入し、ポリエチレン樹脂製容器に蓋を取り付けてタンブラーミキサーに装着するとともに、このタンブラーミキサーを24℃、1時間の条件で回転させて、PPS樹脂、FEP樹脂、ジルコニアボールを混合させ、その後、ジルコニアボールを取り出してPPS樹脂とFEP樹脂の混合物を作製した。FEP樹脂としてネオフロン FEP NP−102(ダイキン工業社製:商品名)を使用した。以下、実施例3と同様の操作により、PPS樹脂とFEP樹脂との熱可塑性樹脂組成物を調製した。この熱可塑性樹脂組成物を冷凍粉砕法により粉砕した。得られた熱可塑性樹脂組成物の平均粒子径は67μmであった。熱可塑性樹脂組成物を粉砕したら、この熱可塑性樹脂組成物の粉砕品100質量部に対して、人造黒鉛900質量部とをポリエチレン樹脂製容器に投入し、かつポリエチレン樹脂製容器にφ10mmジルコニアボールを併せて投入し、ポリエチレン樹脂製容器に蓋を取り付けてタンブラーミキサーに装着するとともに、このタンブラーミキサーを25℃、1時間の条件で回転させて、熱可塑性樹脂組成物の粉砕品、人造黒鉛、ジルコニアボールを混合させ、その後、ジルコニアボールを取り出して成形用材料を調製した。人造黒鉛として人造黒鉛粉 AT−No.5S(オリエンタル産業社製:商品名、平均粒子径:53μm)を使用した。以下、実施例1と同様の操作により、燃料電池用セパレータを製造し、この燃料電池用セパレータの機械的強度、導電性及び撥水性を実施例1と同様に方法により評価し、表2にまとめた。
(実施例7)
先ず、成形用材料を調製するためPPS樹脂としてトレリナPY23(東レ社製:商品名)を選択し、このPPS樹脂とフッ素樹脂としてFEP樹脂とが組成質量比率でPPS樹脂/FEP樹脂=80.0/20.0となるようにポリエチレン樹脂製容器に投入し、かつポリエチレン樹脂製容器にφ10mmジルコニアボールを併せて投入し、ポリエチレン樹脂製容器に蓋を取り付けてタンブラーミキサーに装着するとともに、このタンブラーミキサーを24℃、1時間の条件で回転させて、PPS樹脂、FEP樹脂、ジルコニアボールを混合させ、その後、ジルコニアボールを取り出してPPS樹脂とFEP樹脂の混合物を作製した。FEP樹脂としてネオフロン FEP NP−20(ダイキン工業社製:商品名)を使用した。以下、実施例3と同様の操作により、PPS樹脂とFEP樹脂との熱可塑性樹脂組成物を調製した。この熱可塑性樹脂組成物を冷凍粉砕法により粉砕した。得られた熱可塑性樹脂組成物の平均粒子径は80μmであった。熱可塑性樹脂組成物を粉砕したら、この熱可塑性樹脂組成物の粉砕品100質量部に対して、人造黒鉛550質量部とをポリエチレン樹脂製容器に投入し、かつポリエチレン樹脂製容器にφ10mmジルコニアボールを併せて投入し、ポリエチレン樹脂製容器に蓋を取り付けてタンブラーミキサーに装着するとともに、このタンブラーミキサーを25℃、1時間の条件で回転させて、熱可塑性樹脂組成物の粉砕品、人造黒鉛、ジルコニアボールを混合させ、その後、ジルコニアボールを取り出して成形用材料を調製した。人造黒鉛として人造黒鉛粉 AT−No.5S(オリエンタル産業社製:商品名、平均粒子径:53μm)を使用した。以下、実施例1と同様の操作により、燃料電池用セパレータを製造し、この燃料電池用セパレータの機械的強度、導電性及び撥水性を実施例1と同様に方法により評価し、表2にまとめた。
Figure 0005766106
Figure 0005766106
(比較例1)
先ず、成形用材料を調製するため、実施例1で使用したPPS樹脂のトレリナ E2180(東レ社製:商品名)の粉砕品(平均粒子径:70μm)とPPS樹脂を粉砕したら、このPPS樹脂とフッ素樹脂として実施例1で使用したPTFE樹脂とが組成質量比率でPPS樹脂/PTFE樹脂=99.0/1.0となるようにヘンシェルミキサーに投入し、このヘンシェルミキサーを22℃、1分間の条件で回転させて、PPS樹脂とPTFE樹脂を混合し、熱可塑性樹脂組成物を調製した。次いで、実施例1で使用した人造黒鉛(オリエンタル産業社製:商品名 人造黒鉛粉AT−No.5S)とを熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して、人造黒鉛350質量部とをポリエチレン樹脂製容器に投入し、かつポリエチレン樹脂製樹脂容器にφ10mmのジルコニアボールを併せて投入し、ポリエチレン製樹脂容器に蓋を取り付けてタンブラーミキサーに装着するとともに、このタンブラーミキサーを20℃、1時間の条件で回転させて、PPS樹脂/フッ素樹脂、人造黒鉛、ジルコニアボールを混合させ、その後、ジルコニアボールを取り出して成形用材料を調製した。以下、実施例1と同様の操作により、燃料電池用セパレータを製造し、この燃料電池用セパレータの機械的強度、導電性及び撥水性を実施例1と同様に方法により評価し、表3にまとめた。
(比較例2)
先ず、成形用材料を調製するためPPS樹脂としてトレリナ PY15(東レ社製:商品名)を選択し、このPPS樹脂とフッ素樹脂としてPFA樹脂とが組成質量比率でPPS樹脂/PTFE樹脂=60.0/40.0となるようにポリエチレン樹脂製容器に投入し、かつポリエチレン樹脂製容器にφ10mmジルコニアボールを併せて投入し、ポリエチレン樹脂製容器に蓋を取り付けてタンブラーミキサーに装着するとともに、このタンブラーミキサーを20℃、1時間の条件で回転させて、PPS樹脂、PTFE樹脂、ジルコニアボールを混合させ、その後、ジルコニアボールを取り出してPPS樹脂とPTFE樹脂の混合物を作製した。PTFE樹脂としてFLUON PTFE ルブリカント L173J(旭硝子社製:商品名)を使用した。以下、実施例3と同様の操作により、PPS樹脂とPTFE樹脂との熱可塑性樹脂組成物を調製した。この熱可塑性樹脂組成物を冷凍粉砕法により粉砕した。得られた熱可塑性樹脂組成物の平均粒子径は75μmであった。熱可塑性樹脂組成物を粉砕したら、この熱可塑性樹脂組成物の粉砕品100質量部に対して、人造黒鉛350質量部とをポリエチレン樹脂製容器に投入し、かつポリエチレン樹脂製容器にφ10mmジルコニアボールを併せて投入し、ポリエチレン樹脂製容器に蓋を取り付けてタンブラーミキサーに装着するとともに、このタンブラーミキサーを20℃、1時間の条件で回転させて、熱可塑性樹脂組成物、人造黒鉛、ジルコニアボールを混合させ、その後、ジルコニアボールを取り出して成形用材料を調製した。人造黒鉛として実施例1で使用した人造黒鉛粉 AT−No.5S(オリエンタル産業社製:商品名)を使用した。以下、実施例1と同様の操作により、燃料電池用セパレータを製造し、この燃料電池用セパレータの機械的強度、導電性及び撥水性を実施例1と同様に方法により評価し、表3にまとめた。
(比較例3)
先ず、成形用材料を調製するため、実施例4で調製したPPS樹脂とPFA樹脂の熱可塑性樹脂組成物の粉砕品100質量部に対して、人造黒鉛100質量部とをポリエチレン樹脂製容器に投入し、かつポリエチレン樹脂製樹脂容器にφ10mmのジルコニアボールを併せて投入し、ポリエチレン製樹脂容器に蓋を取り付けてタンブラーミキサーに装着するとともに、このタンブラーミキサーを22℃、1時間の条件で回転させて、熱可塑性樹脂組成物、人造黒鉛、ジルコニアボールを混合させ、その後、ジルコニアボールを取り出して成形用材料を調製した。人造黒鉛として人造黒鉛粉 AT−No.5S(オリエンタル産業社製:商品名)を使用した。以下、実施例1と同様の操作により、燃料電池用セパレータを製造し、この燃料電池用セパレータの機械的強度、導電性及び撥水性を実施例1と同様に方法により評価し、表3にまとめた。
(比較例4)
先ず、成形用材料を調製するため、実施例4で調製したPPS樹脂とPFA樹脂の熱可塑性樹脂組成物の粉砕品100質量部に対して、人造黒鉛1200質量部とをポリエチレン樹脂製容器に投入し、かつポリエチレン樹脂製樹脂容器にφ10mmのジルコニアボールを併せて投入し、ポリエチレン製樹脂容器に蓋を取り付けてタンブラーミキサーに装着するとともに、このタンブラーミキサーを21℃、1時間の条件で回転させて、PPS樹脂/PFA樹脂混合物、人造黒鉛、ジルコニアボールを混合させ、その後、ジルコニアボールを取り出して成形用材料を調製した。人造黒鉛として人造黒鉛粉 AT−No.5S(オリエンタル産業社製:商品名)を使用した。以下、実施例1と同様の操作により、燃料電池用セパレータを製造し、この燃料電池用セパレータの機械的強度、導電性及び撥水性を実施例1と同様に方法により評価し、表3にまとめた。
Figure 0005766106
(評価方法)
(機械的強度)
機械的強度は曲げ強度により評価した。曲げ強度は、JIS K7171に準拠し測定した。
(導電性)
導電性は、体積抵抗値により評価した。体積抵抗値の測定は、四端子四探針法により測定した。測定器は、低抵抗率計(三菱油化社製:商品名 ロレスター AP MCP−T400)を用いて行った。
(撥水性)
撥水性は、イオン交換水との接触角により評価した。接触角の測定は、商品名:接触角計(協和界面化学社製、型名:DMS−200)を用いて行い、液滴量は2μLとした。
実施例1〜7、比較例1〜4の結果から、以下のことが明らかとなった。
(1)実施例1〜7の燃料電池用セパレータは、150℃に加熱されたイオン交換水中に500時間浸漬後もイオン交換水との接触角が80°以上有しており、長期間に亘って高い撥水性を維持していた。また、機械的強度は曲げ強度で40MPa以上、導電性は体積抵抗値で10mΩ・cm以上有しており燃料電池用セパレータとして十分に使用可能である。
(2)比較例1の燃料電池用セパレータは、150℃に加熱したイオン交換水中に500時間浸漬後、イオン交換水との接触角が80°未満となり長期間に亘って撥水性を維持することができなかった。比較例2と比較例4の燃料電池用セパレータは、曲げ強度の初期値が40MPa未満で燃料電池用セパレータとしての使用に問題が生じる。なお、比較例2と比較例4とは、曲げ強度の初期値が40MPa未満であったため、150℃の熱水浸漬500時間後の曲げ強度の測定は行わなかった。比較例3の燃料電池用セパレータは、体積抵抗値の初期値が10mΩ・cmを超えていたため燃料電池用セパレータとしての使用に問題が生じる。なお、比較例1は、曲げ強度の初期値が10mΩ・cmを超えていたため、150℃の熱水浸漬500時間後の体積抵抗値の測定は行わなかった。
(3)本発明の燃料電池用セパレータは、PPS樹脂とフッ素樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物と黒鉛から調製した成形用材料から成形した燃料電池用セパレータであるため、優れた導電性、機械的強度および撥水性と低溶出性を有し、しかも燃料電池用セパレータに耐熱性を付与することができる効果がある。また、本発明の燃料電池用セパレータは、PPS樹脂とフッ素樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物と黒鉛とから調製されるため、熱硬化性樹脂を使用した場合のように硬化処理を必要としないため燃料電池用セパレータの製造工程を簡素化でき、また、燃料電池用セパレータを製造するため設備も特殊な設備を必要としないため安価に製造することができる。
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが、当業者には明らかである。また、その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。

Claims (9)

  1. トレリナ(登録商標)の化学構造を有するPPS樹脂と、PTFE樹脂、PFA樹脂及びFEP樹脂のうちの1種のフッ素樹脂とを含む熱可塑性樹脂組成物と、
    人造黒鉛及び鱗状黒鉛のうちの1種の黒鉛と、を少なくとも含み、
    前記熱可塑性樹脂組成物の前記PPS樹脂と前記フッ素樹脂の組成質量比率はPPS樹脂/フッ素樹脂=95/5〜75/25であり、
    前記黒鉛の含有量は、熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して300〜900質量部であって、
    曲げ強度が40MPa以上、体積抵抗値が10mΩ・cm以下、水の接触角が80°以上であることを特徴とする燃料電池用セパレータ。
  2. 前記熱可塑性樹脂組成物は、融点が200℃以上の結晶性熱可塑性樹脂又はガラス転移点が200℃以上の非晶性熱可塑性樹脂を、さらに含むことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用セパレータ。
  3. カーボンブラック、カーボンナノチューブ、又は炭素繊維のいずれかの炭素系導電材料をさらに含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池用セパレータ。
  4. 結晶核剤、耐衝撃改良剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤、耐熱向上剤、無機充填剤、及び有機充填剤を含む添加剤のうちの1種又は2種以上をさらに含むことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の燃料電池用セパレータ。
  5. トレリナ(登録商標)の化学構造を有するPPS樹脂と、PTFE樹脂、PFA樹脂及びFEP樹脂のうちの1種のフッ素樹脂とを含む熱可塑性樹脂組成物と、人造黒鉛及び鱗状黒鉛のうちの1種の黒鉛と、を少なくとも含む成形材料を、前記熱可塑性樹脂組成物の前記PPS樹脂と前記フッ素樹脂の組成質量比率をPPS樹脂/フッ素樹脂=95/5〜75/25とし、前記黒鉛の含有量を、熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して300〜900質量部として調製する工程と、
    前記PPS樹脂の融点又は前記フッ素樹脂の融点の高い方の温度以上で、400度以下の温度に加熱した金型に、前記成形材料を充填する工程と、
    前記金型を加圧して、前記黒鉛の間に前記熱可塑性樹脂組成物を流入させる工程と、
    前記金型を加圧冷却して、前記成形材料を脱型する工程と、を含む、
    曲げ強度が40MPa以上、体積抵抗値が10mΩ・cm以下、水の接触角が80°以上である燃料電池用セパレータの製造方法。
  6. 前記黒鉛の平均粒子径は、0.5〜500μmであることを特徴とする請求項に記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
  7. 前記熱可塑性樹脂組成物は、融点が200℃以上の結晶性熱可塑性樹脂又はガラス転移点が200℃以上の非晶性熱可塑性樹脂を、さらに含むことを特徴とする請求項5又は6に記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
  8. カーボンブラック、カーボンナノチューブ、又は炭素繊維のいずれかの炭素系導電材料をさらに含むことを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
  9. 結晶核剤、耐衝撃改良剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤、耐熱向上剤、無機充填剤、及び有機充填剤を含む添加剤のうちの1種又は2種以上をさらに含むことを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
JP2011269451A 2011-12-08 2011-12-08 撥水性燃料電池用セパレータおよびその製造方法 Active JP5766106B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011269451A JP5766106B2 (ja) 2011-12-08 2011-12-08 撥水性燃料電池用セパレータおよびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011269451A JP5766106B2 (ja) 2011-12-08 2011-12-08 撥水性燃料電池用セパレータおよびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013120737A JP2013120737A (ja) 2013-06-17
JP5766106B2 true JP5766106B2 (ja) 2015-08-19

Family

ID=48773278

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011269451A Active JP5766106B2 (ja) 2011-12-08 2011-12-08 撥水性燃料電池用セパレータおよびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5766106B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5683643B2 (ja) 2013-06-07 2015-03-11 キヤノン株式会社 リニア超音波モータ及びそれを有する光学装置
DK179150B1 (en) * 2016-10-19 2017-12-11 Serenergy As A fuel cell stack and its method of production, a separator plate in particular a bipolar plate, for a fuel cell and its production
JP6865147B2 (ja) * 2017-10-30 2021-04-28 信越ポリマー株式会社 燃料電池用セパレータ
US12009554B2 (en) 2020-06-04 2024-06-11 Blue World Technologies Holding ApS Separator plate for a fuel cell, precursor therefore and its method of production

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005216678A (ja) * 2004-01-29 2005-08-11 Shin Etsu Polymer Co Ltd 燃料電池用セパレータ
JP2006019227A (ja) * 2004-07-05 2006-01-19 Idemitsu Kosan Co Ltd ポリフェニレンスルフィド(pps)樹脂組成物、燃料電池用セパレーター、燃料電池、及び燃料電池用セパレーターの製造方法
JP2007128815A (ja) * 2005-11-07 2007-05-24 Kyocera Chemical Corp 燃料電池用樹脂セパレータ及びその製造方法
JP5224860B2 (ja) * 2008-03-24 2013-07-03 信越ポリマー株式会社 燃料電池用セパレータ及びその製造方法
JP5349267B2 (ja) * 2009-12-03 2013-11-20 信越ポリマー株式会社 燃料電池用セパレータの製造方法及び燃料電池用セパレータ

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013120737A (ja) 2013-06-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4388278B2 (ja) 固体高分子型燃料電池用セパレータ及びその製造方法
JP5600591B2 (ja) ポリブチレンテレフタレート樹脂混合物及びフィルム
Yeetsorn et al. A review of thermoplastic composites for bipolar plate materials in PEM fuel cells
US20110281051A1 (en) Use of an expanded graphite in a polymer material
JP5766106B2 (ja) 撥水性燃料電池用セパレータおよびその製造方法
JP3978429B2 (ja) 導電性樹脂成形体
JP5392252B2 (ja) ポリクロロトリフルオロエチレンフィルム及び太陽電池用裏面保護シート
JP2016204570A (ja) 熱伝導性樹脂成形体およびその製造方法
EP2015384B1 (en) A method for producing recyclable bipolar plate and bipolar plates produced by this method
CN104962062A (zh) 一种新能源汽车动力电池外壳用的导热绝缘阻燃塑料的制备方法
JP2009218171A (ja) 燃料電池セパレータ
JP5465091B2 (ja) 燃料電池用セパレータの製造方法及び燃料電池用セパレータ
JP4107575B2 (ja) 導電性樹脂組成物の製造方法及び樹脂成形体の製造方法
CA2960454C (en) Fuel cell separator
KR100864681B1 (ko) 연료전지 분리판 제조용 소재
JP2006019227A (ja) ポリフェニレンスルフィド(pps)樹脂組成物、燃料電池用セパレーター、燃料電池、及び燃料電池用セパレーターの製造方法
CN114761513B (zh) 半导体制造装置用密封件
JP6925099B2 (ja) 離型フィルム
JP4733008B2 (ja) 導電性樹脂成形体およびその製造方法
JP2008078023A (ja) 燃料電池用セパレータの製造方法及び燃料電池用セパレータ
JP7550766B2 (ja) バイポーラプレート用の組成物及びその製造方法
JP4254698B2 (ja) 燃料電池セパレータ用樹脂組成物と燃料電池セパレータ
JP2005216678A (ja) 燃料電池用セパレータ
JP4989880B2 (ja) 燃料電池セパレータとそのための樹脂組成物並びにその製造方法
Alo Development of a conducting multiphase polymer composite for fuel cell bipolar plate

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140210

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20141031

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150120

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150209

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20150303

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150407

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20150507

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150616

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150616

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5766106

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250